JP2010247779A - ステアリングコラム装置 - Google Patents

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Tatsu Sakata
達 坂田
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Abstract

【課題】固定ジャケット及び可動ジャケット間のガタを抑制できるとともに、両ジャケットの組立て性を向上できるステアリングコラム装置を提供する。
【解決手段】ロック機構のボルト5の先端に設けられ、可動ジャケット内に配設される略円板形状の回転カム17と、固定ジャケット3の外周に固定され、回転カム17の外周に沿って円弧状に延びる鍔部16fを有する固定カム16とを備えるとともに、各カム16,17に互いに当接可能なカム突起16e,17aをそれぞれ設け、ジャケット組立て時に固定側カム突起16e間を回転側カム突起17aが通過するようにカム突起16e,17aを配置した。
【選択図】図5

Description

本発明は、ステアリングシャフトを回動可能に支承するコラムジャケットを備えたステアリングコラム装置に関する。
従来、ステアリングコラム装置として、可動ジャケット及び固定ジャケットからなるコラムジャケットと、ボルトを有するロック機構を介して可動ジャケットを上下方向及び軸方向に調整可能に支持するコラムブラケットと、可動ジャケットと固定ジャケットとの間のガタツキを抑制するガタ取り部材とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
このステアリングコラム装置100は、図12に示すように、軸方向上端にステアリングホイール(図示せず)が固定されるステアリングシャフト101と、このステアリングシャフト101を回動可能に支承するコラムジャケット102と、車体に取付けられるサポートブラケット104と、各下端がコラムジャケット102の可動ジャケット102aに固定され、サポートブラケット104に取付けられる一対の連結ブラケット105と、サポートブラケット104及び連結ブラケット105を貫通するボルト106と、サポートブラケット104の一端とボルト106の頭部106a間に介設され、ボルト106上に回転可能に組み付けられて相対回転によって軸方向寸法を変更可能なカム機構107,108と、ボルト106に回転可能に組み付けられ、カム機構107,108を操作可能な操作レバー109と、コラムジャケット102の可動ジャケット102aと固定ジャケット102bとの間のガタツキを抑制するガタ取り部材110とを備えている。該ガタ取り部材110は、一対の連結ブラケット105間に介設され、ボルト106に挿通されてボルト106と一体に回転可能な円筒部111と、円筒部111より外径方向へ突出し、固定ジャケット102bを可動ジャケット102aの方向へ押圧可能なカム部112とから一体に構成されている。
上記構成では、操作レバー109をロック方向に回動させると、カム機構107,108の作動によりボルト106が図12の左側に引張られてサポートブラケット104及び連結ブラケット105が圧接することにより可動ジャケット102aがロックされる。同時に、ボルト106が回転してガタ取り部材110が連動し、カム部112が固定ジャケット102bを押圧して可動ジャケット102aに対して圧接することにより可動ジャケット102aと固定ジャケット102b間のガタをなくすことができる。次いで、操作レバー109をロック解除方向に回動させると、カム機構107,108の作動によりボルト106を介してサポートブラケット104及び連結ブラケット105が圧接する状態が解除されるので、可動ジャケット102aのロック状態が解除される。同時に、ボルト106が回転してガタ取り部材110が連動し、カム部112が固定ジャケット102bを可動ジャケット102aに対して押圧する状態が解除されるので、可動ジャケット102aと固定ジャケット102bの間に隙間が生じる。
特開2001−322552号公報
ところで、特許文献1に記載の技術にあっては、当該ステアリングコラム装置100を組立てる際に、ガタ取り部材110の円筒部111を一対の連結ブラケット105間に介設してボルト106に挿通するとともに、カム部112を適正な状態に芯出して固定ジャケット102bに対してセットする必要があるため、芯出しや組立て作業に煩雑な手間を要し、組立て性が劣るという問題があった。さらに、ボルト106とガタ取り部材110が可動ジャケット102aと固定ジャケット102bとの干渉を避けてこれらの上、または下にオフセットして配置されているため、上下方向の高さ寸法が大きくなり、ドライバーの膝部周辺のスペースが制限され、膝当たり等の問題が発生する可能性がある。
本発明は、上記事情を考慮し、固定ジャケット及び可動ジャケット間のガタを抑制できるとともに、ドライバーの膝部周辺に広いスペースを確保し、さらに両ジャケットの組立て性の向上を図ることができるステアリングコラム装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、可動ジャケット及び該可動ジャケットの内部に嵌挿される固定ジャケットからなり、ステアリングシャフトを回動可能に支承するコラムジャケットと、車体側に固定され、ボルトを有するロック機構を介して前記可動ジャケットを上下方向及び軸方向に調整可能に支持するコラムブラケットとを備えたステアリングコラム装置であって、互いに対向する前記可動ジャケットの内面と前記固定ジャケットの外面との間に、前記ボルトのロック方向への回動操作によって前記固定ジャケットを前記可動ジャケット側に押圧するガタ押え機構を設け、該ガタ押え機構は、前記ボルトの先端の端面に該ボルトと一体に設けられ、且つ回転面に沿って円板形状に形成された回転カムと、該回転カムに対向しつつ、前記固定ジャケットの外面に固定される固定カムと、前記回転カム及び前記固定カムのいずれか一方のカム周縁に、他方のカムに向かいつつ、他方のカム面と略同径の円弧状に形成される鍔部とから構成され、該可動ジャケットに該固定ジャケットを嵌挿する際に、該鍔部がいずれか一方のカム周縁に当接することを特徴としている。
請求項2記載の発明は、請求項1に記載のステアリングコラム装置であって、前記可動ジャケットに前記固定ジャケットを嵌挿する際に、前記回転カムに前記固定カムに向かって突設される複数の回転側カム突起が、該固定カムに該回転カムに向かって突設される複数の固定側カム突起の間を通過するように配置されたことを特徴としている。
請求項3記載の発明は、請求項1、または請求項2に記載のステアリングコラム装置であって、前記固定カムは、該固定カムを構成する基板を前記固定ジャケット外周に配設された台座に固定することで前記固定ジャケットに装着されたことを特徴としている。
請求項4記載の発明は、請求項3に記載のステアリングコラム装置であって、前記台座は、前記固定ジャケットの軸方向に延びて車体後方側に開口するスリットを有し、該スリットに前記基板の取付部が圧入されたことを特徴としている。
請求項1記載の発明によれば、可動ジャケット内に固定ジャケットを挿入することにより可動ジャケットと固定ジャケットとガタ押え機構の組立てを行なう際に、回転カム及び固定カムの一方の外周を他方の鍔部に突き当てることにより、可動ジャケット及び固定ジャケットの相対位置が規制され、すなわち両ジャケットの相対位置合わせを鍔部で行なえるので、治具による両ジャケットの相対位置合わせが不要となり、組立て性の向上を図ることができる。
また、可動ジャケットの内面と固定ジャケットの外面との間にガタ押え機構を設けることで、ガタ押え機構が両ジャケットに対してオフセットしていない構造により、ステアリングコラム装置の高さ寸法を小さく抑えて小型化することができ、ドライバーの膝部周辺に広いスペースが確保でき、膝当たり等の問題を解消できる。
請求項2記載の発明によれば、可動ジャケット内に固定ジャケットを挿入する際には、回転側カム突起及び固定側カム突起は互いに係合しない状態に保たれ、回転カム及び固定カムを相対移動させて互いに対向するように配置する構成としたことにより、可動ジャケット及び固定ジャケットの相対位置合わせを行なうことが容易になり、さらに組立て性の向上を図ることができる。
請求項3記載の発明によれば、台座を介して固定カムの基板を固定ジャケットの外周面に装着することにより、固定ジャケットの湾曲する外周面に対して固定カムを固定することができる。
請求項4記載の発明によれば、基板の取付部を台座のスリットに圧入することにより、基板を台座に確実に固定できるとともに、衝突などによって、可動ジャケットの軸方向に過度の衝撃力が加わった際には、基板が台座から脱落し、可動ジャケットの軸方向へ収縮が可能になる。
本発明の一実施形態を示し、ステアリングコラム装置の平面図である。 本発明の一実施形態を示し、ステアリングコラム装置の正面図である。 本発明の一実施形態を示し、図1のI−I線に沿う断面図である。 本発明の一実施形態を示し、ステアリングコラム装置の要部を示す斜視図である。 本発明の一実施形態を示し、ステアリングコラム装置の要部を示す分解断面図である。 本発明の一実施形態を示し、ボルト及び回転カムの斜視図である。 本発明の一実施形態を示し、ボルト及び回転カムの側面図である。 本発明の一実施形態を示し、回転カムを固定カム側から見た図である。 本発明の一実施形態を示し、固定カムの側面図である。 本発明の一実施形態を示し、図9の矢印A方向から見た図である。 本発明の一実施形態を示し、図9の矢印B方向から見た図である。 従来のステアリングコラム装置を示す断面図である
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本実施形態のステアリングコラム装置1は、横断面非円形の筒状の可動ジャケット(アッパチューブ)2と、この可動ジャケット2の内部に嵌合される円筒状の固定ジャケット(ロアチューブ)3とを有しており、ステアリングコラム装置1は、図1及び図2の左方(車両前方)を下にして車体に所定角度傾斜した状態で取り付けられている。
可動ジャケット2は、固定ジャケット3に対して軸方向に移動可能であって、その下部が車体側に固定されたコラムブラケット4にボルト5によって軸方向に移動可能に取り付けられている。固定ジャケット3は、その上部が可動ジャケット2の内部に嵌合するとともに、その下端部が車体側に上下に回動可能に枢着されている。これら可動ジャケット2と固定ジャケット3によって、ステアリングシャフト6を回動可能に支承するコラムジャケットが構成されている。
ステアリングシャフト6は、下部がベアリング(図示せず)によって固定ジャケット3に回転可能に支持されるとともに、固定ジャケット3の下端の車体への枢着部(図示せず)を中心として上下に回動可能に支持されている。ステアリングシャフト6の上部は、ベアリング7によって可動ジャケット2に回転可能に支持されるとともに、その上端部にはステアリングホイール(図示せず)が固定されている。なお、ステアリングシャフト6は、図示を省略したがアッパシャフトとロアシャフトに軸方向に2分割されており、これらのアッパシャフトとロアシャフトは軸方向に摺動可能にスプライン嵌合しているため、ステアリングシャフト6は軸方向に伸縮することができる。また、ステアリングシャフト6の下端部は、パワーステアリング装置等の操舵装置(図示せず)に連結されている。
例えば、運転者が上記ステアリングホイールを左右に回転操作すると、その回転はステアリングシャフト6を経て上記操舵装置に伝達され、前輪(図示せず)が左右に転舵されて車両の左右何れかの方向の操舵がなされる。
ところで、本実施形態に係るステアリングコラム装置1には、運転者の体格や好みに応じてステアリングホイールの高さ位置を調整するチルト機能と、ステアリングホイールの軸方向位置(前後方向位置)を調整するテレスコピック機能とが備えられている。
そのため、コラムブラケット4には上下方向に長い円弧状のチルト孔8が形成され、可動ジャケット2には軸方向に長いテレスコ孔9が形成されており、上記ボルト5はチルト孔8とテレスコ孔9の双方に挿通している。可動ジャケット2と固定ジャケット3及びステアリングシャフト6は、ボルト5がチルト孔8内を上下に移動する範囲内で固定ジャケット3の車体への枢着部を中心として上下に回動することができ、これによってステアリングホイールの高さ位置が調整される(チルト機能)。また、可動ジャケット2とステアリングシャフト6は、テレスコ孔9の長手方向端部がボルト5に当接する範囲内で軸方向に移動することができ、これによってステアリングホイールの軸方向位置が調整される(テレスコピック機能)。
本実施形態では、ステアリングホイールの高さ位置と軸方向位置のロックは、ステアリングシャフト6の中心と同じ高さ位置に設けられた単一のセンターロック機構によって行われ、このセンターロック機構にガタ押え機構を付加することによってガタの発生が防がれるが、以下にガタ押え機構を備えたセンターロック機構の構成について説明する。
ボルト5は、図3に示すように、車体に対して固定ジャケット3の中心と同じ高さ位置の側部に水平にコラム軸線L1と直交して配置されており、このボルト5は、可動ジャケット2の内側からテレスコ孔9とチルト孔8を貫通しており、スライドカム11、レバーカム10、チルトレバー12及び回り止めプレート13が挿通している。ここで、スライドカム11は、チルト孔8に係合して回転しないように支持されており、レバーカム10にはチルトレバー12が一体に回動するよう嵌合している。また、チルトレバー12には、ボルト5に一体に回動するよう異形嵌合した回り止めプレート13が固定ボルト14によってチルトレバー12と一体に回動するように取り付けられている。そして、ボルト5の端部にはナット15が螺着され、レバーカム10、スライドカム11、チルトレバー12及び回り止めプレート13がボルト5上で軸方向に位置決めされており、レバーカム10とスライドカム11の相対向する面には選択的に係合する凹部と凸部から成るカム突起が形成されている。
上記チルトレバー12を回動操作した場合、これと一体にボルト5とレバーカム10が回動し、レバーカム10のカム突起とスライドカム11のカム突起は凸部と凸部が係合することによって、ボルト5が図3の左方向へ移動し、ボルト5の頭部に形成された後述の回転カム17が固定カム16を介して可動ジャケット2の垂直部をコラムブラケット4の垂直部に抑圧して、可動ジャケット2と固定ジャケット3及びステアリングシャフト6の上下方向の移動(チルト)と可動ジャケット2及びステアリングシャフト6の前後方向の移動(テレスコピック)をロックする。
さらに、図2及び図3に示すように、互いに対向する可動ジャケット2の内面と固定ジャケット3の外周面との間に、固定ジャケット3に固定される固定カム16、及びボルト5と一体に回転する略円板形状の回転カム17から成るガタ押え機構が設けられている。
図5に示すように、固定カム16は、固定ジャケット3に固着された台座16aを介して固定ジャケット3の外周面に固定される基板16bを有している。台座16aは、片面が固定ジャケット3の外周面に沿って湾曲し、他の面が平坦状に形成されるとともに、固定ジャケット3の軸方向に延びて車体後方側に開口するスリット16cを備えている。基板16bは、回転カム17と同径の略円板形状を備えるとともに、基板16bの一方の側には、スリット16cに圧入される取付部16dが設けられ、基板16bの他方の側には、回転カム17の方向に突出する一対のカム突起16eと、基板16bの他方の側の周縁に、回転カム17の外周に当接可能、且つ固定カム16と略同径の円弧状に延びる鍔部16fとが設けられている。ただし、基板16bは上記形状に限るのではなく、一対のカム突起16eが設けられていれば、同径でなくても、円板形状でなくても良い。また、固定カム16について、基板16bの長手方向に延びる中心線L2は、図11に示すように、コラム軸線L1と平行に、かつ同じ高さ位置に配置されている。中心線L2に対してボルト5及び回転カム17の軸心が垂直に交わり、すなわち中心線L2上にボルト5及び回転カム17の回転中心Oが位置している。
一対のカム突起16eは、回転中心Oを中心として円弧状かつ対称に形成されるとともに、回転中心Oより上方及び下方にそれぞれ所定距離Dをおいて配置されている。各カム突起16eは、図5に示すように、反時計方向に向かうにつれて次第に回転カム17の方向へ突出するように表面が傾斜している。ただし、カム突起16eの傾斜方向は、ロック方向により時計方向に向かうにつれて次第に回転カム17の方向へ突出するようにしても良い。
鍔部16fは、基板16b周縁の嵌挿方向奥側、つまり車体後方側(図11の左側)に配置されている。
ボルト5は、可動ジャケット2に形成されたテレスコ孔9を貫通し、ボルト5の一端は可動ジャケット2の内面と固定ジャケット3の外周面との間に配設されており、この頭部に回転カム17が一体に形成されている。ただし、ボルト5と連動して回転するのであれば、回転カム17は別体で形成しても良い。
回転カム17は、一方の側より固定カム16の方向へ突出し、一対のカム突起16eにそれぞれ当接可能な一対のカム突起17aを備えている。
一対のカム突起17aは、図8に示すように、回転中心Oを中心として略円弧状かつ対称に形成されるとともに、回転中心Oの両側にそれぞれ所定距離Dをおいて配置されている。各カム突起17aの先端は、半円筒状に形成されている。なお、一対のカム突起17aの並列方向を表示する目印として、ボルト5の端部には、並列方向に延びる溝5aが設けられている。
以上のように構成されたステアリングコラム装置1では、回転カム17を固定カム16に組付ける際に、図4に示すように、固定ジャケット3の外周面に台座16aを固着して、スリット16cに基板16bの取付部16dを圧入することにより、固定カム16を固定ジャケット3に固定する。また、可動ジャケット2内に回転カム17を挿入するとともに、ボルト5をテレスコ孔9に挿通し、ボルト5の溝5aが基板16bの中心線L2と平行となるようにボルト5及び回転カム17を回転させることにより、基板16bの中心線L2に一対のカム突起16eの並列方向を一致させる。この状態で可動ジャケット2内に固定ジャケット3を車体前方側から差し込み、回転カム17の外周が固定カム16の鍔部16fに突き当たるまで固定ジャケット3を挿入する。これにより、回転カム17の一対のカム突起17aが固定カム16の一対のカム突起16e間を通過するとともに、回転カム17及び基板16bが互いに対向する。
上記のようにして固定カム16及び回転カム17を一体化するとともに、ステアリングコラム装置1を組立てた後、チルトレバー12が図1に示す位置にあるときにはセンターロック機構はロック状態にあって可動ジャケット2と固定ジャケット3及びステアリングシャフト6の上下方向の傾動(チルト)と可動ジャケット2及びステアリングシャフト6の軸方向移動(テレスコピック)はロックされている。
すなわち、チルトレバー12が図1に示す位置にあるときには、レバーカム10とスライドカム11のカム突起同士が係合してスライドカム11がコラムブラケット4に抑圧されるため、コラムブラケット4と可動ジャケット2がスライドカム11と回転カム17によって挟持され、可動ジャケット2の移動(上下方向、および軸方向)がロックされる。
同時に、ボルト5の回動によって回転カム17が一体に回動して、回転カム17のカム突起17aが固定カム16のカム突起16eに当接することにより、固定カム16が図3の右方向へ駆動され、固定ジャケット3の外周面が可動ジャケット2の内面に押圧されるため、上下方向及び左右方向のガタの発生を防止することができる。
以上の結果、可動ジャケット2と固定ジャケット3及びステアリングシャフト6の上下の傾動(チルト)と可動ジャケット2とステアリングシャフト6の軸方向移動(テレスコピック)が確実にロックされるとともに、ガタの発生が防がれてスデアリングホイールを操作する運転者に不快感を与えることがない。
次に、運転者がステアリングホイールの高さ位置や軸方向位置を調整する場合には、図1の実線位置にあるチルトレバー12を矢印a方向(時計方向)に回動させてセンターロック機構のロックを解除すれば良い。
すなわち、チルトレバー12を図1の矢印a方向に回動させると、これと一体にボルト5とレバーカム10及び回転カム17が回動するため、レバーカム10と、スライドカム11のカム突起の凸部と凸部による係合が外れるとともに、回転カム17のカム突起17a上を固定カム16のカム突起16eが下降し、固定カム16の図3の右方向への押圧状態が解除される。この結果、コラムブラケット4及び可動ジャケット2のスライドカム11と回転カム17による挟持が解除される。このため、可動ジャケット2と固定ジャケット3及びステアリングシャフト6の上下の傾動(チルト)と可動ジャケット2とステアリングシャフト6の軸方向移動(テレスコピック)のロックが解除され、運転者はステアリングホイールの高さ位置や軸方向位置を任意に調整することができる。そして、調整後はチルトレバー12を図1の矢印b方向(反時計方向)に回動させて実線位置に戻せば、センターロック機構によりロックされてステアリングホイールの高さ位置や軸方向位置が固定される。
以上のように、本実施形態のステアリングコラム装置1によれば、固定カム16を固定ジャケット3に固定し、可動ジャケット2内に回転カム17を配設した後、可動ジャケット2内に固定ジャケット3を挿入することにより可動ジャケット2と固定ジャケット3とガタ押え機構の組立てを行なう際、回転側カム突起17a及び固定側カム突起16eは互いに係合しない状態に保たれるので、回転カム17及び固定カム16を相対移動させて互いに対向するように配置できる。また、回転カム17の外周が固定カム16の鍔部16fに当接することにより、可動ジャケット2及び固定ジャケット3の相対位置が規制され、すなわちジャケット2,3の相対位置合わせを上記鍔部16fで行なえるので、治具によるジャケットの相対位置合わせが不要となり、この点でも組立て性の向上を図ることができる。このようにしてステアリングコラム装置1を組立てた後、ボルト5のロック方向への回動操作によって回転カム17が回転して回転側カム突起17aが固定側カム突起16eと当接するので、固定カム16がボルト5の軸方向へ駆動されて固定ジャケット3を可動ジャケット2側に押圧することにより、固定ジャケット3及び可動ジャケット2間のガタを抑制できる。また、上記可動ジャケット2の内面と固定ジャケット3の外面との間にガタ押え機構を設けることで、ガタ押え機構が上記ジャケット2,3に対してオフセットしていない構造により、ステアリングコラム装置1の高さ寸法を小さく抑えて小型化することができ、ドライバーの膝部周辺に広いスペースが確保でき、膝当たり等の問題を解消できる。
本実施形態によれば、台座16aを介して固定カム16の基板16bを固定ジャケット3の外周面に装着するので、固定ジャケット3の湾曲する外周面に対して固定カム16を固定することができる。
本実施形態によれば、基板16bの取付部16dを台座16aのスリット16cに圧入することによって、基板16bを台座16aに確実に固定できるとともに、衝突などによって、可動ジャケット2の軸方向に過度の衝撃力が加わった際には、基板16bが台座16aから脱落し、可動ジャケット2の軸方向へ収縮が可能になる。
なお、上記実施形態では、固定カム16の台座16aを介して固定ジャケット3の外周面に基板16bを固定するようにしたが、本発明はこれに限らず、台座を設けずに基板を固定ジャケットの外周面に直接的に固定することもでき、さらに、プレス成形や鋳造により固定カムを固定ジャケットと一体に成形することもできる。また、上記実施形態では、台座16aのスリット16cに基板16bの取付部16dを圧入するようにしたが、この圧入の代わりに、かしめにより固定してもよく、さらに、台座および基板の一方に他方を樹脂モールド成形してもよい。
また、上記実施形態では、回転カム17を略円板形状に形成して、固定カム16に、回転カム17の外周に当接可能、且つ固定カム16と略同径の円弧状に延びて回転カム17及び固定カム16の相対位置を規制する鍔部16fを設けたが、本発明はこれに限らず、固定カムの基板を略円板形状に形成して、回転カム17に、回転カム17の外周に当接可能、且つ固定カム16と略同径の円弧状に延びて回転カム及び固定カムの相対位置を規制する鍔部を設けても同様の効果が得られる。
1 ステアリングコラム装置
2 可動ジャケット
3 固定ジャケット
4 コラムブラケット
5 ボルト
6 ステアリングシャフト
16 固定カム
16a 台座
16b 基板
16c スリット
16d 取付部
16e カム突起
16f 鍔部
17 回転カム
17a カム突起

Claims (4)

  1. 可動ジャケット及び該可動ジャケットの内部に嵌挿される固定ジャケットからなり、ステアリングシャフトを回動可能に支承するコラムジャケットと、
    車体側に固定され、ボルトを有するロック機構を介して前記可動ジャケットを上下方向及び軸方向に調整可能に支持するコラムブラケットとを備えたステアリングコラム装置であって、
    互いに対向する前記可動ジャケットの内面と前記固定ジャケットの外面との間に、前記ボルトのロック方向への回動操作によって前記固定ジャケットを前記可動ジャケット側に押圧するガタ押え機構を設け、
    該ガタ押え機構は、
    前記ボルトの先端の端面に該ボルトと一体に設けられ、且つ回転面に沿って円板形状に形成された回転カムと、
    該回転カムに対向しつつ、前記固定ジャケットの外面に固定される固定カムと、
    前記回転カム及び前記固定カムのいずれか一方のカム周縁に、他方のカムに向かいつつ、他方のカム面と略同径の円弧状に形成される鍔部とから構成され、
    該可動ジャケットに該固定ジャケットを嵌挿する際に、該鍔部がいずれか一方のカム周縁に当接することを特徴とするステアリングコラム装置。
  2. 請求項1に記載のステアリングコラム装置であって、
    前記可動ジャケットに前記固定ジャケットを嵌挿する際に、
    前記回転カムに前記固定カムに向かって突設される複数の回転側カム突起が、該固定カムに該回転カムに向かって突設される複数の固定側カム突起の間を通過するように配置されたことを特徴とするステアリングコラム装置。
  3. 請求項1、または請求項2に記載のステアリングコラム装置であって、
    前記固定カムは、該固定カムを構成する基板を前記固定ジャケット外周に配設された台座に固定することで前記固定ジャケットに装着されたことを特徴とするステアリングコラム装置。
  4. 請求項3に記載のステアリングコラム装置であって、
    前記台座は、前記固定ジャケットの軸方向に延びて車体後方側に開口するスリットを有し、該スリットに前記基板の取付部が圧入されたことを特徴とするステアリングコラム装置。
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