JP7120558B2 - せん断応力負荷時のフォンウィルブランド因子高分子マルチマーの保持率のインビトロ測定法 - Google Patents

せん断応力負荷時のフォンウィルブランド因子高分子マルチマーの保持率のインビトロ測定法 Download PDF

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Description

本発明は医療及び診断分野に関し、より詳しくは、せん断応力負荷時のフォンウィルブランド因子高分子マルチマーの保持率をインビトロで測定する方法に関する。
フォンウィルブランド因子(vWF)はマルチマー(多量体)構造をした止血必須因子で、
一次止血に関与する。高分子領域のマルチマーがより強い血小板凝集能を持つため、止血において特に重要であり、高分子領域のマルチマーが欠損すると止血異常症である後天性フォンウィルブランド症候群(AVWS)を発症する。
vWFは、特異的分解酵素ADAMTS13により分解されることが知られている。また、マルチ
マーを形成しているvWFが、高せん断応力負荷時には伸展構造を取ることによりADAMTS13
分解部位が露出してADAMTS13による分解を受けやすくなり、高分子マルチマーが減少することが知られている。
近年では定常流型補助人工心臓の登場により体内への補助人工心臓の植込みが可能となり、末期心不全患者のQOL(quality of life)は劇的に改善した。植込型左室補助人工心臓(LVAD)はその小型化された形態と良好な長期耐久性により施行数が激増している一方で、その副作用が大きな問題となっている。補助人工心臓装着患者で頻度の多い副作用として出血合併症が挙げられ、それに密接にかかわるのがAVWSである。すなわち、補助人工心臓装着患者では定常流型ポンプにより生じる高せん断応力によってvWFの高分子マルチ
マーが分解されやすくなり、止血異常症であるAVWSを発症する。
発症するAVWSの血液学的重症度を補助人工心臓装着前に予め予測できれば、対象患者に適した補助人工心臓の機種の選択も可能となると考えられる。また、現在、様々な補助人工心臓が開発されているが、装着によるAVWSの重症度予測ができれば、補助人工心臓の開発においても非常に有用と考えられる。しかしながら、現状ではインビトロで発症するAVWSの血液学的重症度を事前評価する検査は存在せず、実際には補助人工心臓装着後にAVWSの発症が判明するのみである。
なお、非特許文献1では、インビトロで卓上撹拌機であるVortexerを用いて血液にせん断応力を負荷し、vWFマルチマー解析を行った結果が報告されているが、Vortexerにより
負荷されるせん断応力は簡単な計算式から導き出される概算の値にすぎず、定量的にせん断応力を血液に負荷することはできないので、せん断応力負荷によるAVWSの発症をインビトロで評価できる系ではない。
J Thorac Cardiovasc Surg 2015; 149, p281-289
上記の通り、止血必須因子であるvWFは補助人工心臓の高速回転するポンプで発生する
せん断応力依存的に分解され、患者は止血異常症であるAVWSを発症する。しかし、せん断応力の正確な数値とvWF高分子マルチマーの保持率の定量的相関は明らかにされておらず
、せん断応力に応じたvWF高分子マルチマーの保持率をインビトロで定量的に評価できる
システムはない。
そこで、本発明はインビトロで少量の血液を用い、インビボの補助人工心臓によるせん断応力を再現して、せん断応力下でのvWF高分子マルチマーの保持率を定量的に評価でき
る方法を提供することを課題とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、補助人工心臓内で発生するせん断応力をインビトロで実現することのできる高せん断応力負荷装置を使用し、実際の補助人工心臓内で生じるせん断応力を数値として設定して、定量的せん断応力を血液に一定時間与えたのちにvWF高分子マルチマー解析を行うことで、せん断応力に応じたvWF高分子マルチマーの保持率の定量的解析を実現した新しい粘弾性学的検査法の開発に成功し、この知見に基づいて本発明を完成させた。
本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]せん断応力負荷時のフォンウィルブランド因子(vWF)高分子マルチマーの保持率
の測定法であって、
インビトロで血液試料に10000(s-1)以上の一様なせん断速度でせん断応力を負荷する工程、および
vWFの高分子マルチマーの存在比を解析する工程、
を含む方法。
[2]血液試料が血漿である、[1]に記載の方法。
[3]一様なせん断速度が10000~100000(s-1)である、[2]に記載の方法。
[4]せん断応力の負荷時間を一定にし、10000~100000(s-1)の範囲の一様なせん断速度でせん断応力を複数負荷してvWFの高分子マルチマーの存在比を解析する
、[3]に記載の方法。
[5]血液試料に一様なせん断応力を負荷する時間が300秒以下である、[1]~[4]のいずれかに記載の方法。
[6]せん断応力を一定にし、300秒以下の時間内で負荷時間を変化させてvWFの高分
子マルチマーの存在比を解析する、[5]に記載の方法。
[7]一様なせん断応力が高せん断応力負荷装置により負荷される、[1]~[6]のいずれかに記載の方法。
[8]アガロースゲル電気泳動によりvWFの高分子マルチマーの存在比を解析する、[1
]~[7]のいずれかに記載の方法。
[9]vWFの高分子マルチマーの存在比を、被検者の血液試料におけるvWFの高分子マルチマーの存在比を健常人の血液試料におけるvWFの高分子マルチマーの存在比で除したvWF高分子マルチマーインデックスとして数値化する、[1]~[8]のいずれかに記載の方法。
[10]血液試料が心臓病患者由来である、[1]~[9]のいずれかに記載の方法。
[11]心臓病患者が人工心臓の装着を要する心臓病患者であり、vWFの高分子マルチマ
ーの存在比の解析により人工心臓装着後の後天性フォンウィルブランド症候群の重症度を予測するために行われる、[10]に記載の方法。
[12]せん断応力負荷時のvWF高分子マルチマーの保持率の測定システムであって、せ
ん断応力負荷装置、アガロース電気泳動装置、およびvWFの高分子マルチマー存在比解析
装置を含む、システム。
本発明によれば、高せん断応力を負荷した血液に対してvWF高分子マルチマー解析を行
うことで、定量的に与えたせん断応力によって高分子マルチマーがどれだけ欠損せずに保たれているかをインビトロで簡便に検査することができる。
本発明の方法で解析することにより、補助人工心臓で起こるAVWSをインビトロで再現す
ることができ、AVWSの重症度を予測することができる。あらかじめ流体力学的解析により補助人工心臓内部で生じるせん断応力が判明する場合、そのせん断応力を負荷したときのvWF高分子マルチマーの保持率、すなわちAVWSの重症度を予測することができるので、補
助人工心臓の事前評価がインビトロで行え、補助人工心臓の開発に非常に有用である。このように、本発明の方法は補助人工心臓の種類の選択、さらには、今後の補助人工心臓の開発にも大きく貢献するものである。
vWF高分子マルチマーの測定手順を示す図(一部写真)。 vWF高分子マルチマーインデックスを非出血患者と出血患者で群分けしてプロットした結果を示す図。 vWF高分子マルチマーインデックスを軸流型LVAD装着患者と遠心型LVAD装着患者で群分けしてプロットした結果を示す図。 Vortexerでせん断応力を負荷した後にvWFマルチマー解析を行った結果を示す図(写真)。サンプル番号1が120分処理、2,3が60分処理、4,5,6が10分処理である。 Rheologia Iでせん断応力を負荷した後にvWFマルチマー解析を行った結果を示す図(写真)。 20000~45000s-1のせん断速度でせん断応力を負荷した後にvWFマルチマー解析を行った結果を示す図(写真)。 せん断応力(横軸;s-1)とvWF高分子マルチマーインデックス(縦軸;%)の関係を示す図。 時間(横軸;s)とvWF高分子マルチマーインデックス(縦軸;%)の関係を示す図。
本発明の方法は、せん断応力負荷時のvWF高分子マルチマーの保持率の測定法であって
、インビトロで血液試料に10000(s-1)以上の一様なせん断速度でせん断応力を負荷する工程、およびvWFの高分子マルチマーの存在比を解析する工程、を含む方法である
vWFは分子量約25万の分子であるが、そのN末端同士およびC末端同士が結合し、2
~80分子のマルチマーとして存在する。vWFのマルチマーパターンは、例えば、後述の
実施例で示したようなアガロースゲル電気泳動で解析することができ、このうち、高分子マルチマーとしては、アガロースゲル電気泳動で分離後に染色して得られるvWFのマルチ
マーのバンドパターンにおいて、下(最も低分子)から数えて11番目以上のバンドとして検出されるマルチマーを意味する。ちなみに11番目のバンドはvWFの22量体であり
、高分子マルチマーは22量体以上のマルチマーを意味する。
vWF高分子マルチマーの保持率はvWFの高分子マルチマーの存在比に基づいて算出できる。例えば、上記のような11番目以上のバンドとして検出される高分子マルチマーの全vWFマルチマーに対する割合が、健常人などの対照者を基準にして保たれている割合を意味
する。高分子マルチマーの全vWFマルチマーに対する割合(高分子マルチマーの存在比)
は、例えば、血液試料をアガロースゲル電気泳動で分離した後に、タンパク質を膜に転写し、抗vWF抗体を用いたウエスタンブロットによりvWFを染色して得られるvWFマルチマー
のバンドパターンを画像解析することによって算出することができる。具体的には、画像処理ソフトを使用して、11番目以上のバンドの濃さと全バンドの濃さをそれぞれ算出し、前者を後者で除することによって高分子マルチマーの全vWFマルチマーに対する割合を
得ることができる。
そして、vWF高分子マルチマーの保持率は、下記のvWF高分子マルチマーインデックスとして数値化することが好ましい(図1)。
vWF高分子マルチマーインデックス=(被検者における高分子マルチマーの全vWFマルチマーに対する割合)/(対照者(健常人)における高分子マルチマーの全vWFマルチマーに
対する割合)
vWF高分子マルチマーインデックスはAVWSの血液学的重症度の指標とすることができる
。なお、AVWSの血液学的重症度とは、出血合併症発生リスクを意味する。例えば、vWF高
分子マルチマーインデックスが一定の値以下であるときに出血合併症発症リスクが高いと評価することができ、より具体的には40%以下である時に出血合併症リスクが高いAVWSとして評価することができる。
本発明の方法によれば、微量(例えば、3~6ml程度)の血液試料を用いてインビトロで解析を行うことができる。
血液試料としては被検対象から単離された血液試料であればよく、vWFマルチマーを含
む限り全血でも血漿でもよいが、せん断応力を負荷した後に電気泳動を行うという解析のしやすさにおいては血漿を用いることが好ましい。
被検対象は特に制限されないが、vWF高分子マルチマーの保持率に基づく病態を予測・
解析するという観点からは、心臓病患者または心臓病が疑われる被検者が好ましく、補助人工心臓の適用が必要とされる心臓病患者がより好ましい。
単離される血液試料は特にどの血管から単離されたものでもよいが、試料の入手しやすさから、末梢血を用いることが好ましい。
血液試料は単離後すぐにせん断応力負荷試験に供してもよいし、血漿として凍結保存したのち、解凍してせん断応力負荷試験に供してもよい。
インビトロで血液試料に10000(s-1)以上の一様(一定)なせん断速度でせん断応力を負荷する際の方法は、10000(s-1)以上の一様なせん断速度でせん断応力を負荷できる方法であれば特に制限されないが、回転型レオメーターなどの高せん断応力負荷装置を用いることが好ましい。回転型レオメーターとしては、特開2009-63505で開示されたような共軸二重円筒式の回転型レオメーターが好ましい。なお、10000(s-1)以上の高せん断速度でせん断応力を一様に安定して試料に負荷するためには内筒回転型とすることが好ましい。さらに、内筒と外筒に挟まれ、高せん断応力が負荷される試料が存在する流体隙間の幅はなるべく小さくすることが好ましく、0.2mm以下が好ましく、0.17mm以下がより好ましく、約0.15mmが特に好ましい。せん断速度は当該流体隙間の幅と周速度によって計算できるので、特定の流体隙間の幅のレオメーターを用いる場合、レオメーターの回転数によってせん断速度を適宜調節できる。
内筒の直径は特に制限されないが、本発明の方法では6ml以下の微量の血液試料で解析することが可能なため、例えば、直径100mm以下、好ましくは直径75mm以下、より好ましくは直径約50mmとすることができる。せん断応力負荷中の試料の温度を一定に保つため、外筒の周囲には恒温水が流れる構造とすることが好ましい。
せん断速度10000(s-1)以上のせん断応力は生体内で人工心臓からの血流により血液が受けるせん断応力の値に近く、せん断速度10000(s-1)以上の一様なせん断応力を血液に負荷することで、生体内での血液の動態、特にvWFの動態を反映した検査を
インビトロで行うことができる。せん断速度の上限は用いる血液試料の種類やせん断応力負荷時間にもよるが、血漿を用いる場合、例えば、100000(s-1)である。なお、全血試料を用いる場合は、粘度を考慮して、例えば、せん断速度の上限を40000(s-1)とすることができる。
血液試料に一様なせん断応力を負荷する時間は、生体内での短時間での現象を評価するために300秒以下であることが好ましい。なお、負荷時間の下限はvWFのマルチマー分
布に変化が見られる限り、特に制限されることはなく、ほんの一瞬であっても(0秒を超えていれば)よいが、通常は0.05秒~20秒である。
血液試料に一様なせん断応力を負荷するときの温度は、生体内での状況を模擬するために、約37℃とすることが好ましい。
このようにしてインビトロで10000(s-1)以上の一様なせん断速度でせん断応力を負荷した血液試料に対し、上記で説明したアガロースゲル電気泳動のような方法を用いてvWFの高分子マルチマー解析を行う。
なお、負荷するせん断応力の値またはせん断応力の負荷時間を変えて複数点においてvWFの高分子マルチマー解析を行うことが好ましい。例えば、複数の血液試料を用意し、せ
ん断応力の負荷時間を一定にし、10000~100000(s-1)の範囲の一様なせん断速度でせん断応力を複数負荷して、それぞれについてvWFの高分子マルチマーの存在比
を解析することが挙げられる。これにより、せん断応力とvWFの高分子マルチマー保持率
との関係を解析することができる。
一方、複数の血液試料を用意し、せん断応力を一定にし、300秒以下の時間内で負荷時間を変化させて複数の時点でのvWFの高分子マルチマーの存在比を解析することもでき
、これにより、vWFの高分子マルチマー保持率の時間変化を解析することもできる。
本発明の方法により、心臓病患者の血液試料を用いてインビトロでせん断応力を負荷し、vWFの高分子マルチマーの存在比を解析することで、インビトロで補助人工心臓装着に
よるせん断応力負荷を再現し、かつ、補助人工心臓装着後に起こりうるAVWSの重症度を予測することができる。したがって、人工心臓の種類の選択が可能である。例えば、補助人工心臓には軸流型と遠心型があるが、一般に前者の方がせん断応力は高いので、AVWSの重症度が高いと予測される患者には遠心型を選択するという判断も可能となる。
また、あらかじめAVWSの重症度が高い群と低い群とに分けた血液試料におけるvWF高分
子マルチマーインデックス値が用意されているならば、それを指標に、解析対象はAVWSが重症化する危険性が高いかどうかを調べることができる。
本発明のシステムは、せん断応力負荷時のvWF高分子マルチマーの保持率の測定システ
ムであって、せん断応力負荷装置、アガロース電気泳動装置、およびvWFの高分子マルチ
マー存在比解析装置を含む、システムである。
せん断応力負荷装置は上述したような共軸二重円筒式の回転型レオメーターが例示される。アガロース電気泳動装置は、電気泳動槽、電源を含み、さらに、ブロッティング装置などを含んでもよい。vWFの高分子マルチマー存在比解析装置は画像解析装置が例示され
る。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施態様には限定されない。まず、vWFマルチマー解析の一例を示す。
<vWFマルチマー解析>
vWF multimer analysis protocol
Gelの作成;
1.0% agarose Gel; Separating gel buffer + Agarose
Glass platesを準備。
56℃でGlass platesを温める。
Separating gel buffer を必要分とり、Agarose を加える。
Agaroseの結晶が完全に溶けきるまで撹拌しながら電子レンジで加熱。ゲルを電動ピ
ペットでガラスプレートに満ちるまで注ぎ、コームを入れる。
室温で約40分間ゆっくり冷却し、4℃で保存。
[Separating gel buffer組成]
Tris 3.0g
Glycine 15.0g
SDS 0.5g
Glycerol 150ml
Water
Total 500ml
Sample 調整;
Plasma 10μl
Sample buffer 240μl
total 250μl

Sample bufferに血漿を加えた後、56℃で20分温める。
その後速やかに氷で 3 分間冷やし、-80℃で保存する。
[Sample buffer (50ml)]
3M Tris(pH 6.8) 174μl
0.5M EDTA 208μl
20%SDS 5ml
1%BPB 1ml
50%Glycerol 43.6ml
total 50ml
Sample buffer は4℃で保存。
電気泳動;
ゲルよりコームを外し、ガラスプレートを泳動槽に取り付け、反対側にも取り付ける。
上下槽にbufferを注ぎ、wellを洗浄する。
サンプルを37℃で解凍。wellを洗い、sampleをapplyする。
3mA, 10-12hrもしくは2mA, 20hrの設定(いずれもゲル1枚に対して)で電気泳動を行
う。
[Running Gel buffer]
Tris 6.0g
Glycine 30.0g
SDS 1.0g
Water 1000ml
Total 1000ml
転写;
Semi-dry blotting
濾紙8枚とPVDF membraneを用意。
PVDF membraneを親水化し、30分陽極buffer2で振盪する。
陽極buffer1に3枚の濾紙を、陽極buffer2に1枚の濾紙とPVDF membraneを、陰極buffer
に4枚の濾紙を浸す。
下から順に
陽極buffer1に浸った3枚の濾紙
陽極buffer2に浸った1枚の濾紙
PVDF membrane
ゲル
陰極bufferに浸った4枚の濾紙
と重ねてSemi-dry blottingを行う(0.4A 60min)。
[陽極 buffer1] 0.3M Tris + 20% Methanol
[陽極buffer2] 25mM Tris + 20% Methanol
[陰極 buffer] 25mM Tris + 40mM 6-Aminohexanoic acid + 20% Methanol
転写後Ponceauにてbandをチェック。
スキムミルクとPBS-Tを加えてブロッキングを行う。
一次抗体を加えて1時間、置く。
*一次抗体: polyclonal rabbit anti-human vWF antibody (DAKO)
PBS-Tにて3回洗浄する。
Immuno Star zeta(和光純薬) を加えて LAS 4000(GE Healthcare)によりvisualizationする。
vWF large multimerの定量
ImageJ を用いて画像を取り込む。
図1のようにbandをscanしてdensityの図を表示。
1~5本目までのbandをsmall multimer、6~10本目までをmedium multimer、1
1本目以降をlarge multimerとして、値を測定する。
vWF large multimerのratio(高分子マルチマー面積/全面積)を求める。
vWF large multimer Index(対象患者の高分子マルチマー比/健常人の高分子マルチマー比)を求める。
<LVAD装着患者のvWFマルチマー解析>
LVADを装着し、消化管出血(GIB)を発症しなかった心臓病患者29名とGIBを発症した患者12名について、末梢血を採取し、血漿を調製して上記のvWFマルチマー解析を行っ
た。患者の内訳を表1に示す。
Figure 0007120558000001
GIBを発症しなかった心臓病患者群とGIBを発症した患者群について、vWFマルチマーイ
ンデックスを算出し、プロットした結果を図2に示す。出血患者でvWFマルチマーインデ
ックスが小さい傾向が見られた。このことは出血とAVWSが密接に関わっていることを示している。
また、上記の合計41名の患者は軸流型(HeartMate II、Jarvik 2000)または遠心型
(Duraheart、EVAHEART、HVAD)のLVADを装着しているが、vWFマルチマーインデックスを人工心臓のタイプで群分けしてプロットしたところ、図3に示すように、軸流型装着患者でvWFマルチマーインデックスが小さい傾向が見られた。このことは、軸流型においてせ
ん断応力が遠心型より高いという事実と一致している。しかしながら、軸流型装着患者において、vWFマルチマーインデックスが高く、出血を発症していない患者も見られたこと
から、患者によって高せん断応力に対してある程度耐性を有し、軸流型を装着してもAVWSが起きにくい場合があることが分かる。このことが補助人工心臓装着前に分かると、補助人工心臓の機種選定に有用と考えられる。そこで、インビトロで血液試料にせん断応力を負荷し、vWFマルチマーインデックスを解析できる系について検討した。
まず、健常人由来の血漿2mlに対してVortexer(TAITEK社、日本)を用いて2800r
pmで10分、60分、120分と所定時間回転させてせん断応力をかけて、その後、vWFマルチマー解析を行った。その結果、図4に示すように、10分間せん断応力をかけた場合でもマルチマーパターンのデータにばらつきがみられ、60分、120分の場合は高分子マルチマーが消失した上に、中分子マルチマーも減少したため、vWFマルチマー分布の解析を
行うことができなかった。
次に、溶血試験に使用されるRheologia I(エルクエスト社、日本)を用いて2880
-1のせん断速度で健常人由来の血漿4mlに対して、せん断応力を1分、10分、30分と所定時間負荷し、その後、vWFマルチマー解析を行った。その結果、図5に示すように、安定
したパターンは得られず、また、時間に依存した高分子マルチマーの明確な減少は見られなかったので、Rheologia Iでは補助人工心臓における短時間での高せん断応力が再現で
きないと考えられた。
そこで、より高せん断応力を負荷するために、特開2009-63505で開示されたような共軸二重円筒式の回転型レオメーターを用いた。ただし、内筒回転型とし、内筒の直径を50mmとし、内筒と外筒に挟まれ、血漿試料を存在させる流体隙間の幅は0.15mmとした。また、外筒の周囲には37℃の恒温水を循環させた。
3.6mlの健常人由来全血から調製した血漿を用い、上記装置を用いて20000~45000s-1のせん断速度で30秒間せん断応力を負荷し、その後、vWFマルチマー解
析を行った。その結果、図6、図7に示すように、vWF高分子マルチマーはせん断応力依
存的に減少し、せん断応力とvWF高分子マルチマー保持率との間に相関を得ることができ
た。
次に、せん断速度を一定にし、せん断応力負荷時間を変えて解析を行った。せん断速度は45000s-1の場合(2回実施)と、22500s-1の場合について解析した。vWF
マルチマー解析で算出したvWFマルチマーインデックスを時間とともにプロットした結果
を図8に示す。vWF高分子マルチマーはせん断応力負荷時間依存的に減少し、せん断応力
負荷時間とvWF高分子マルチマー保持率との間に相関を得ることができた。
以上のように、インビトロで血液試料に一様の高せん断応力を短時間で負荷した後に、vWFマルチマー解析を行うことで、補助人工心臓装着後におけるインビボで起こりうる高
せん断応力に応じたAWVSを定量的に再現できることが分かった。
これにより、あらかじめAWVS患者のサンプルで検量線を用意しておけば、それと比較して被検対象が高せん断応力負荷時のAVWSリスクがあるかを予測できる。
本発明の方法によれば、患者のせん断応力に対するAVWSの重症度をあらかじめ予測でき、人工心臓による副作用も予測できる。また、今後の補助人工心臓開発において、せん断応力による出血傾向発現の指標となりうる。

Claims (9)

  1. せん断応力負荷時のフォンウィルブランド因子(vWF)高分子マルチマーの保持率の測定
    法であって、
    インビトロで血液試料に20000~45000(s-1)の一様なせん断速度でせん断応力を、vWFのマルチマー分布に変化が見られる時間であって、300秒以下の時間、負荷
    する工程、および
    vWFの高分子マルチマーの存在比を解析する工程、
    を含む方法。
  2. 血液試料が血漿である、請求項1に記載の方法。
  3. せん断応力の負荷時間を、vWFのマルチマー分布に変化が見られる時間であって、300
    秒以下の時間内で一定にし、20000~45000(s-1)の範囲の一様なせん断速度でせん断応力を複数負荷してvWFの高分子マルチマーの存在比を解析する、請求項1また
    は2に記載の方法。
  4. せん断応力を20000~45000(s-1)の範囲内で一定にし、vWFのマルチマー分
    布に変化が見られる時間であって、300秒以下の時間内で負荷時間を変化させてvWFの
    高分子マルチマーの存在比を解析する、請求項1または2に記載の方法。
  5. 一様なせん断応力が共軸二重円筒式の回転型レオメーターにより負荷される、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
  6. アガロースゲル電気泳動によりvWFの高分子マルチマーの存在比を解析する、請求項1~
    5のいずれか一項に記載の方法。
  7. vWFの高分子マルチマーの存在比を、被検者の血液試料におけるvWFの高分子マルチマーの存在比を健常人の血液試料におけるvWFの高分子マルチマーの存在比で除したvWF高分子マルチマーインデックスとして数値化する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 血液試料が心臓病患者由来である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
  9. せん断応力負荷時のvWF高分子マルチマーの保持率の測定システムであって、血液試料に
    20000~45000(s‐1)の一様なせん断速度でせん断応力を、vWFのマルチマ
    ー分布に変化が見られる時間であって、300秒以下の時間負荷する手段を備えたせん断応力負荷装置、アガロース電気泳動装置、およびvWFの高分子マルチマー存在比解析装置
    を含む、システム。
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