以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の実施形態を説明する。各実施形態において先行する実施形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の実施形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
(第1実施形態)
図1~図14を用いて、本発明に係る空調装置の第1実施形態を説明する。本実施形態では、本発明に係る空調装置を、電気自動車に搭載された車両用空調装置1に適用している。電気自動車は、走行用の駆動力を電動モータから得る車両である。車両用空調装置1は、電気自動車において、空調対象空間である車室内の空調を行う。
車両用空調装置1は、ヒートポンプサイクル10、熱媒体回路20、空調ユニット30、制御装置40等を備えている。
まず、図1を用いて、ヒートポンプサイクル10について説明する。ヒートポンプサイクル10は、車両用空調装置1において、車室内へ送風される空気の温度を調整する。ヒートポンプサイクル10は、圧縮機11、水-冷媒熱交換器12、第1膨張弁13a、第1熱交換器14a、第2膨張弁13b、第2熱交換器14b、アキュムレータ15等を有している。
ヒートポンプサイクル10では、冷媒としてHFO系冷媒(具体的には、R1234yf)を採用している。ヒートポンプサイクル10は、高圧側の冷媒圧力が冷媒の臨界圧力を超えない蒸気圧縮式の亜臨界冷凍サイクルを構成する。冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油(具体的には、PAGオイル)が混入されている。冷凍機油の一部は、冷媒とともにヒートポンプサイクル10を循環している。
圧縮機11は、ヒートポンプサイクル10において、冷媒を吸入し、圧縮して吐出する。圧縮機11は、車室の前方側の駆動装置室内に配置されている。駆動装置室は、走行用の駆動力を出力するための駆動用装置(例えば、電動モータ)の少なくとも一部が配置される空間を形成している。
圧縮機11は、吐出容量が固定された固定容量型の圧縮機構を電動モータで回転駆動する電動圧縮機である。圧縮機11は、後述する制御装置40から出力される制御信号によって、回転数(すなわち、冷媒吐出能力)が制御される。
圧縮機11の吐出口には、水-冷媒熱交換器12の冷媒通路の入口側が接続されている。水-冷媒熱交換器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒を流通させる冷媒通路、および後述する熱媒体回路20を循環する熱媒体を流通させる熱媒体通路を有している。水-冷媒熱交換器12は、冷媒通路を流通する高圧冷媒と熱媒体通路を流通する熱媒体とを熱交換させる。水-冷媒熱交換器12では、高圧冷媒の有する熱を熱媒体に放熱させて熱媒体を加熱することができる。
水-冷媒熱交換器12の冷媒通路の出口には、第1膨張弁13aの入口側が接続されている。第1膨張弁13aは、水-冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出した冷媒を減圧させる第1減圧部である。さらに、第1膨張弁13aは、下流側へ流出させる冷媒の流量を調整する第1流量調整部である。
第1膨張弁13aは、絞り開度を変化させる弁体、および弁体を変位させる電動アクチュエータ(具体的には、ステッピングモータ)を有する電気式の可変絞り機構である。第1膨張弁13aは、制御装置40から出力される制御パルスによって、その作動が制御される。
さらに、第1膨張弁13aは、弁開度を全開にすることで冷媒減圧作用および流量調整作用を殆ど発揮することなく単なる冷媒通路として機能する全開機能を有している。また、第1膨張弁13aは、弁開度を全閉にすることで冷媒通路を閉塞する全閉機能を有している。
第1膨張弁13aの出口には、第1熱交換器14aの冷媒入口側が接続されている。第1熱交換器14aは、第1膨張弁13aから流出した冷媒と空気とを熱交換させる第1熱交換部である。第1熱交換器14aは、後述する空調ユニット30のケーシング31内に形成された第1空気通路31a内に配置されている。
本実施形態では、第1熱交換器14aとして、いわゆるタンクアンドチューブ型の熱交換器を採用している。タンクアンドチューブ型の熱交換器は、複数の冷媒チューブと一対のタンクとを有している。冷媒チューブは、内部に冷媒を流通させる金属製の管である。複数の冷媒チューブは、所定方向に間隔を空けて積層配置されている。隣り合う冷媒チューブ同士の間には、冷媒と熱交換する空気を流通させる空気通路が形成される。
タンクは、複数の冷媒チューブの積層方向に延びる金属製の有底筒状部材である。一対のタンクは、それぞれ複数の冷媒チューブの両端部に接続されている。タンクの内部には、複数の冷媒チューブへ冷媒を分配する分配空間、および複数の冷媒チューブから流出した冷媒を集合させる集合空間が形成されている。
これにより、各冷媒チューブを流通する冷媒と空気通路を流通する空気とを熱交換させる熱交換コア部が形成されている。空気通路には、冷媒と空気との熱交換を促進させる熱交換フィンを配置してもよい。
さらに、第1熱交換器14aでは、第1熱交換器14aから吹き出される空気の温度分布を抑制するために、複数(具体的には、2つ)の熱交換コア部を空気流れ方向に直列に配置している。また、第1熱交換器14aでは、冷媒チューブの長手方向が、上下方向に延びる成分を有するように配置されている。
第1熱交換器14aの冷媒出口には、第2膨張弁13bの入口側が接続されている。第2膨張弁13bは、第1熱交換器14aの冷媒通路から流出した冷媒を減圧させる第2減圧部である。さらに、第2膨張弁13bは、下流側へ流出させる冷媒の流量を調整する第2流量調整部である。第2膨張弁13bの基本的構成は、第1膨張弁13aと同様である。
第2膨張弁13bの出口には、第2熱交換器14bの冷媒入口側が接続されている。第2熱交換器14bは、第2膨張弁13bから流出した冷媒と空気とを熱交換させる第2熱交換部である。第2熱交換器14bは、空調ユニット30のケーシング31内に形成された第2空気通路31b内に配置されている。第2熱交換器14bの基本的構成は、第1熱交換器14aと同様である。
第2熱交換器14bの冷媒出口には、アキュムレータ15の入口側が接続されている。アキュムレータ15は、内部に流入した冷媒の気液を分離して、分離された液相冷媒をサイクル内の余剰冷媒として貯える低圧側の貯液部である。アキュムレータ15の気相冷媒出口には、圧縮機11の吸入口側が接続されている。
次に、熱媒体回路20について説明する。熱媒体回路20は、熱媒体を循環させる回路である。熱媒体回路20には、熱媒体ポンプ21、ヒータコア22、熱媒体ラジエータ23、水-冷媒熱交換器12の熱媒体通路等が接続されている。熱媒体回路20では、熱媒体としてエチレングリコール水溶液を採用している。
熱媒体ポンプ21は、熱媒体回路20において、熱媒体を圧送する。熱媒体ポンプ21は、制御装置40から出力される制御電圧によって、回転数(すなわち、圧送能力)が制御される電動ポンプである。
熱媒体ポンプ21の吐出口には、ヒータコア22の熱媒体入口側が接続されている。ヒータコア22は、熱媒体ポンプ21から圧送された熱媒体と車室内へ送風される空気とを熱交換させる。ヒータコア22では、熱媒体の有する熱を空気に放熱させて熱媒体を加熱することができる。
ヒータコア22は、空調ユニット30のケーシング31内に形成された第3空気通路31c内に配置されている。ヒータコア22の熱媒体出口には、第1流量調整弁24aの一方の流入口が接続されている。
さらに、熱媒体回路20には、熱媒体ポンプ21から圧送された熱媒体を、ヒータコア22を迂回させて、第1流量調整弁24aの他方の流入口側へ導く第1迂回通路20aが接続されている。第1流量調整弁24aの流出口には、水-冷媒熱交換器12の熱媒体通路の入口側が接続されている。
第1流量調整弁24aは、熱媒体ポンプ21から圧送された熱媒体のうち、ヒータコア22へ流入させる熱媒体の流量と第1迂回通路20aへ流入させる熱媒体の流量との流量比を調整する。第1流量調整弁24aは、制御装置40から出力される制御信号によって、その作動が制御される電気式の三方流量調整弁である。
水-冷媒熱交換器12の熱媒体通路の出口には、熱媒体ラジエータ23の熱媒体入口側が接続されている。熱媒体ラジエータ23は、水-冷媒熱交換器12の熱媒体通路を流出した熱媒体と図示しない外気送風機によって送風された外気とを熱交換させる。熱媒体ラジエータ23では、熱媒体の有する熱を外気に放熱させて熱媒体を冷却することができる。
熱媒体ラジエータ23は、駆動装置室内の前方側に配置されている。このため、車両走行時には、熱媒体ラジエータ23に、グリルを介して駆動装置室内へ流入した走行風を当てることができる。熱媒体ラジエータ23の熱媒体出口には、第2流量調整弁24bの一方の流入口が接続されている。
さらに、熱媒体回路20には、水-冷媒熱交換器12の熱媒体通路を流出した熱媒体を、熱媒体ラジエータ23を迂回させて、第2流量調整弁24bの他方の流入口側へ導く第2迂回通路20bが接続されている。第2流量調整弁24bの流出口には、熱媒体ポンプ21の吸入口側が接続されている。
第2流量調整弁24bは、水-冷媒熱交換器12の熱媒体通路を流出した熱媒体のうち、熱媒体ラジエータ23へ流入させる熱媒体の流量と第2迂回通路20bへ流入させる熱媒体の流量との流量比を調整する。第2流量調整弁24bの基本的構成は、第1流量調整弁24aと同様である。
従って、本実施形態の熱媒体回路20では、水-冷媒熱交換器12にて高圧冷媒を熱源として熱媒体を加熱することができる。さらに、ヒータコア22にて熱媒体を熱源として車室内へ送風される空気を加熱することができる。つまり、本実施形態の水-冷媒熱交換器12およびヒータコア22は、高圧冷媒を熱源として空気を加熱する加熱部を構成している。また、第1膨張弁13aは、加熱部の下流側の冷媒を減圧させている。
次に、図2を用いて、空調ユニット30について説明する。空調ユニット30は、車両用空調装置1において、適切に温度調整された空気を車室内の適切な箇所へ吹き出すために、複数の構成機器を一体化したユニットである。
空調ユニット30は、ケーシング31を有している。ケーシング31は、空調ユニットの外殻を形成するとともに、内部に空気通路を形成する。ケーシング31は、ある程度の弾性を有し、強度的にも優れた樹脂(具体的には、ポリプロピレン)にて成形されている。
ケーシング31の内部には、第1空気通路31a、第2空気通路31b、第3空気通路31c、および第4空気通路31dが形成されている。ケーシング31内に形成された各空気通路は、互いに少なくとも一部が隣接配置されている。
ケーシング31の第3空気通路31cを形成する部位の一部、およびケーシング31の第4空気通路31dを形成する部位の一部は、車室R1内に配置されている。さらに、空調ユニット30のうち、ケーシング31の第1空気通路31aを形成する部位、ケーシング31の第2空気通路31bを形成する部位、およびその他の部位は、駆動装置室R2内に配置されている。
車室R1と駆動装置室R2は、隔壁38によって仕切られている。隔壁38は、内燃機関(エンジン)から車両走行用の駆動力を得る通常のエンジン車両において、ダッシュパネルあるいはファイアウォールと呼ばれる防音防火用の隔壁部材に対応する。
第1空気通路31a内には、第1熱交換器14aが配置されている。従って、第1空気通路31aは、第1熱交換器14aへ流入する空気、および第1熱交換器14aを通過した空気を流通させる空気通路である。
第1空気通路31aの空気流れ最上流側には、第1入口側内外気切替部である第1入口側内外気切替装置32aが配置されている。第1入口側内外気切替装置32aは、第1熱交換器14aへ流入させる空気として、車室内の空気である内気を第1熱交換器14aの入口側へ導く通風路と、車室外の空気である外気を第1熱交換器14aの入口側へ導く通風路とを切り替える。
第1入口側内外気切替装置32aは、第1入口側外気ドア321aおよび第1入口側内気ドア322aを有している。
第1入口側外気ドア321aは、第1外気導入口323aを開閉する。第1外気導入口323aは、第1空気通路31aへ外気を導入する導入口である。第1外気導入口323aは、ケーシング31の第1空気通路31aを形成する部位のうち、第1熱交換器14aよりも空気流れ上流側の部位に形成されている。
第1入口側内気ドア322aは、第1内気導入口35aを開閉する。第1内気導入口35aは、第1空気通路31aと第4空気通路31dとを連通させる。第1内気導入口35aは、第4空気通路31dを介して第1空気通路31aへ内気を導入する導入口である。第1内気導入口35aは、ケーシング31の第1空気通路31aを形成する部位のうち、第1熱交換器14aよりも空気流れ上流側の部位に形成されている。
第1入口側外気ドア321aおよび第1入口側内気ドア322aは、リンク機構等を介して、図示しない第1入口側電動アクチュエータに連結されている。第1入口側外気ドア321aおよび第1入口側内気ドア322aは、第1入口側電動アクチュエータによって連動して駆動される。
第1入口側電動アクチュエータは、第1外気導入口323aおよび第1内気導入口35aの開度を連続的に調整することができる。例えば、第1入口側電動アクチュエータは、第1外気導入口323aの開度を減少させるに伴って、第1内気導入口35aの開度を増加させることができる。第1入口側電動アクチュエータは、制御装置40から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
第1空気通路31aの空気流れ最下流側には、第1出口側内外気切替部である第1出口側内外気切替装置33aが配置されている。第1出口側内外気切替装置33aは、第1熱交換器14aを通過した空気を第3空気通路31cを介して車室内へ導く通風路と、第1熱交換器14aを通過した空気を車室外へ導く通風路とを切り替える。
第1出口側内外気切替装置33aは、第1出口側室外ドア331aおよび第1出口側室内ドア332aを有している。
第1出口側室外ドア331aは、第1室外流出口333aを開閉する。第1室外流出口333aは、第1空気通路31aから室外へ空気を流出させる流出口である。第1外気導入口323aは、ケーシング31の第1空気通路31aを形成する部位のうち、第1熱交換器14aよりも空気流れ下流側の部位に形成されている。
第1出口側室内ドア332aは、第1室内流出口35bを開閉する。第1室内流出口35bは、第1空気通路31aと第3空気通路31cとを連通させる。第1室内流出口35bは、第1空気通路31aから第3空気通路31cを介して室内側へ空気を流出させる流出口である。第1室内流出口35bは、ケーシング31の第1空気通路31aを形成する部位のうち、第1熱交換器14aよりも空気流れ下流側の部位に形成されている。
第1出口側室外ドア331aおよび第1出口側室内ドア332aは、リンク機構等を介して、図示しない第1出口側電動アクチュエータに連結されている。第1出口側室外ドア331aおよび第1出口側室内ドア332aは、第1出口側電動アクチュエータによって連動して駆動される。
第1出口側電動アクチュエータは、第1室外流出口333aおよび第1室内流出口35bの開度を連続的に調整することができる。例えば、第1出口側電動アクチュエータは、第1室外流出口333aの開度を減少させるに伴って、第1室内流出口35bの開度を増加させることができる。第1出口側電動アクチュエータは、制御装置40から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
第2空気通路31b内には、第2熱交換器14bが配置されている。従って、第2空気通路31bは、第2熱交換器14bへ流入する空気、および第2熱交換器14bを通過した空気を流通させる空気通路である。
第2空気通路31bの空気流れ最上流側には、第2入口側内外気切替部としての第2入口側内外気切替装置32bが配置されている。第2入口側内外気切替装置32bは、第2熱交換器14bへ流入させる空気として、内気を第2熱交換器14bの上流側へ導く通風路と、外気を第2熱交換器14bの上流側へ導く通風路とを切り替える。
第2入口側内外気切替装置32bは、第2入口側外気ドア321bおよび第2入口側内気ドア322bを有している。
第2入口側外気ドア321bは、第2外気導入口323bを開閉する。第2外気導入口323bは、第2空気通路31bへ外気を導入する導入口である。第2外気導入口323bは、ケーシング31の第2空気通路31bを形成する部位のうち、第2熱交換器14bよりも空気流れ上流側の部位に形成されている。
第2入口側内気ドア322bは、第2内気導入口35cを開閉する。第2内気導入口35cは、第2空気通路31bと第4空気通路31dとを連通させる。第2内気導入口35cは、第4空気通路31dを介して第2空気通路31bへ内気を導入する導入口である。第2内気導入口35cは、ケーシング31の第2空気通路31bを形成する部位のうち、第2熱交換器14bよりも空気流れ上流側の部位に形成されている。
第2入口側外気ドア321bおよび第2入口側内気ドア322bは、リンク機構等を介して、図示しない第2入口側電動アクチュエータに連結されている。第2入口側外気ドア321bおよび第2入口側内気ドア322bは、第2入口側電動アクチュエータによって連動して駆動される。
第2入口側電動アクチュエータは、第2外気導入口323bおよび第2内気導入口35cの開度を連続的に調整することができる。例えば、第2入口側電動アクチュエータは、第2外気導入口323bの開度を減少させるに伴って、第2内気導入口35cの開度を増加させることができる。第2入口側電動アクチュエータは、制御装置40から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
第2空気通路31bの空気流れ最下流側には、第2出口側内外気切替部である第2出口側内外気切替装置33bが配置されている。第2出口側内外気切替装置33bは、第2熱交換器14bを通過した空気を第3空気通路31cを介して車室内へ導く通風路と、第2熱交換器14bを通過した空気を車室外へ導く通風路とを切り替える。
第2出口側内外気切替装置33bは、第2出口側室外ドア331bおよび第2出口側室内ドア332bを有している。
第2出口側室外ドア331bは、第2室外流出口333bを開閉する。第2室外流出口333bは、第2空気通路31bから室外へ空気を流出させる流出口である。第2外気流出口333bは、ケーシング31の第2空気通路31bを形成する部位のうち、第2熱交換器14bよりも空気流れ下流側の部位に形成されている。
第2出口側室内ドア332bは、第2室内流出口35dを開閉する。第2室内流出口35dは、第2空気通路31bと第3空気通路31cとを連通させる。第2室内流出口35dは、第2空気通路31bから第3空気通路31cを介して室内側へ空気を流出させる流出口である。第2室内流出口35dは、ケーシング31の第2空気通路31bを形成する部位のうち、第2熱交換器14bよりも空気流れ下流側の部位に形成されている。
第2出口側室外ドア331bおよび第2出口側室内ドア332bは、リンク機構等を介して、図示しない第2出口側電動アクチュエータに連結されている。第2出口側室外ドア331bおよび第2出口側室内ドア332bは、第2出口側電動アクチュエータによって連動して駆動される。
第2出口側電動アクチュエータは、第2室外流出口333bおよび第2室内流出口35dの開度を連続的に調整することができる。例えば、第2出口側電動アクチュエータは、第2室外流出口333bの開度を減少させるに伴って、第2室内流出口35dの開度を増加させることができる。第2出口側電動アクチュエータは、制御装置40から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
第1空気通路31aの第1室外流出口333aおよび第2空気通路31bの第2室外流出口333bの下流側には、放出用送風機36が配置されている。放出用送風機36は、第1室外流出口333aおよび第2室外流出口333bから流出した空気を吸入して室外へ放出する電動送風機である。放出用送風機36は、制御装置40から出力される制御電圧によって回転数(すなわち、送風能力)が制御される。
第3空気通路31c内には、ヒータコア22が配置されている。従って、第3空気通路31cは、ヒータコア22へ流入する空気、およびヒータコア22を通過した空気を流通させる空気通路である。
第3空気通路31cの空気流れ最上流側には、外気導入部である外気導入装置32cが配置されている。外気導入装置32cは、第3空気通路31cへ外気を流入させる。より詳細には、外気導入装置32cは、加熱部を構成するヒータコア22の入口側に、第1熱交換器14aおよび第2熱交換器14bを迂回させた外気を導く。
外気導入装置32cは、外気導入ドア321cを有している。外気導入ドア321cは、第3外気導入口323cを開閉する。第3外気導入口323cは、第3空気通路31cへ外気を導入する導入口である。第3外気導入口323cは、ケーシング31の第3空気通路31cを形成する部位のうち、ヒータコア22よりも空気流れ上流側の部位に形成されている。
また、第1空気通路31aと第3空気通路31cとを連通させる第1室内流出口35bは、ケーシング31の第3空気通路31cを形成する部位のうち、ヒータコア22よりも空気流れ上流側の部位に形成されている。また、第2空気通路31bと第3空気通路31cとを連通させる第2室内流出口35dは、ケーシング31の第3空気通路31cを形成する部位のうち、ヒータコア22よりも空気流れ上流側の部位に形成されている。
従って、ヒータコア22は、外気導入部から第3空気通路31cへ流入した空気を加熱可能に配置されている。また、ヒータコア22は、第1熱交換器14aを通過した空気であって、第1室内流出口35bから第3空気通路31cへ流入した空気を加熱可能に配置されている。また、ヒータコア22は、第2熱交換器14bを通過した空気であって、第2室内流出口35dから第3空気通路31cへ流入した空気を加熱可能に配置されている。
第3空気通路31c内の第3外気導入口323c、第1室内流出口35bおよび第2室内流出口35dの空気流れ下流側であって、ヒータコア22よりも空気流れ上流側には、室内送風機37が配置されている。室内送風機37は、第3空気通路31cへ流入した空気を吸入して車室内へ向けて送風する電動送風機である。室内送風機37は、制御装置40から出力される制御電圧によって回転数(すなわち、送風能力)が制御される。
本実施形態では、室内送風機37として、ターボファンを備える遠心送風機を採用している。本実施形態のように、複数の空気通路を導入口等を介して接続することによって通風路を形成される空調ユニットでは、空気が通風路を流通する際に生じる圧力損失が増大しやすい。これに対して、ターボファンを備える遠心送風機は、圧力比が高くなりやすいので、空気を車室内へ送風しやすいという点で有効である。
さらに、ケーシング31の第3空気通路31cの最下流部を形成する部位には、ヒータコア22を通過した空気を車室内へ吹き出すための図示しない複数の開口穴が形成されている。
開口穴としては、フェイス開口穴、フット開口穴、およびデフロスタ開口穴が設けられている。フェイス開口穴は、車室内の乗員の上半身に向けて空気を吹き出すための開口穴である。フット開口穴は、乗員の足元に向けて空気を吹き出すための開口穴である。デフロスタ開口穴は、車両前面窓ガラス内側面に向けて空気を吹き出すための開口穴である。
これらの開口穴の上流側には、図示しない吹出モード切替ドアが配置されている。吹出モード切替ドアは、各開口穴を開閉することによって、空調風を吹き出す開口穴を切り替える。吹出モード切替ドアは、吹出モード切替ドア駆動用の電動アクチュエータによって駆動される。吹出モード切替ドア駆動用の電動アクチュエータは、制御装置40から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
第4空気通路31dは、内気を導入して流通させる空気通路である。ケーシング31の第3空気通路31cと第4空気通路31dとを仕切る部位には、加熱部入口側切替装置34aおよび加熱部出口側切替装置34bが配置されている。
加熱部入口側切替装置34aは、内気を第1内気導入口35aおよび第2内気導入口35c側へ導く通風路と、内気を直接的に室内送風機37へ吸入させる通風路とを切り替える加熱部入口側切替部である。より詳細には、加熱部入口側切替装置34aは、第4空気通路31dを流通する内気を、第1空気通路31aおよび第2空気通路31bを迂回させて、室内送風機37へ吸入させる。
加熱部入口側切替装置34aは、加熱部入口側ドア341aを有している。加熱部入口側ドア341aは、加熱部入口側開口部35eを開閉する。加熱部入口側開口部35eは、第3空気通路31cと第4空気通路31dとを連通させる。加熱部入口側開口部35eは、ケーシング31の第3空気通路31cを形成する部位のうち、室内送風機37の吸入口よりも空気流れ上流側の部位に形成されている。
加熱部入口側ドア341aは、図示しない加熱部入口側電動アクチュエータに連結されている。加熱部入口側ドア341aは、加熱部入口側電動アクチュエータによって駆動される。加熱部入口側電動アクチュエータは、制御装置40から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
加熱部出口側切替装置34bは、加熱部を構成するヒータコア22にて加熱された空気を車室内へ導く通風路と、ヒータコア22にて加熱された空気を直接的に第4空気通路31dへ導く通風路とを切り替える加熱部出口側切替部である。より詳細には、加熱部出口側切替装置34bは、ヒータコア22にて加熱された空気を、車室内を迂回させて第1内気導入口35aおよび第2内気導入口35c側へ戻すことができる。
加熱部出口側切替装置34bは、加熱部出口側ドア341bを有している。加熱部出口側ドア341bは、加熱部出口側開口部35fを開閉する。加熱部出口側開口部35fは、第3空気通路31cと第4空気通路31dとを連通させる。加熱部出口側開口部35fは、ケーシング31の第3空気通路31cを形成する部位のうち、ヒータコア22よりも空気流れ下流側の部位に形成されている。
加熱部出口側ドア341bは、図示しない加熱部出口側電動アクチュエータに連結されている。加熱部出口側ドア341bは、加熱部出口側電動アクチュエータによって駆動される。加熱部出口側電動アクチュエータは、制御装置40から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
また、第4空気通路31dと第1空気通路31aとを連通させる第1内気導入口35aは、ケーシング31の第4空気通路31dを形成する部位のうち、加熱部入口側開口部35eよりも第4空気通路31dの空気流れ下流側の部位に形成されている。
また、第4空気通路31dと第2空気通路31bとを連通させる第2内気導入口35cは、ケーシング31の第4空気通路31dを形成する部位のうち、加熱部入口側開口部35eよりも第4空気通路31dの内気流れ下流側の部位に形成されている。
なお、図2では、説明の明確化のため、各切替装置32a~32c、33a、33b、34a、34bの各ドアが、各外気導入口、各内気導入口、各室外流出口、各室内流出口、各開口部を閉じた状態を示している。
次に、図3を用いて、車両用空調装置1の電気制御部の概要について説明する。制御装置40は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。制御装置40は、ROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、出力側に接続された各種制御対象機器11、13a、13b、21、24a、24b、32a、32b、32c、33a、33b、34a、34b、36、37等の作動を制御する。
制御装置40の入力側には、図3に示すように、各種の制御用センサが接続されている。制御用センサとしては、内気温センサ41a、外気温センサ41b、日射量センサ41c等が含まれる。さらに、制御用センサとしては、高圧圧力センサ41d、第1熱交換器温度センサ41e、第2熱交換器温度センサ41f、第1冷媒温度センサ41g、第2冷媒温度センサ41h、第3冷媒温度センサ41i、熱媒体温度センサ41j等が含まれる。
内気温センサ41aは、車室内の温度である内気温Trを検出する内気温検出部である。外気温センサ41bは、車室外の温度である外気温Tamを検出する外気温検出部である。日射量センサ41cは、車室内へ照射される日射量Asを検出する日射量検出部である。高圧圧力センサ41d、圧縮機11から吐出された高圧冷媒の高圧圧力Pdを検出する高圧圧力検出部である。
第1熱交換器温度センサ41eは、第1熱交換器14aにおける冷媒蒸発温度(すなわち、第1熱交換器14aの温度)を検出する第1熱交換器温度検出部である。第2熱交換器温度センサ41fは、第2熱交換器14bにおける冷媒蒸発温度(すなわち、第2熱交換器14bの温度)を検出する第2熱交換器温度検出部である。
第1冷媒温度センサ41gは、水-冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出した冷媒の温度である第1冷媒温度T1を検出する第1冷媒温度検出部である。第2冷媒温度センサ41hは、第1熱交換器14aから流出した冷媒の温度である第2冷媒温度T2を検出する第2冷媒温度検出部である。第3冷媒温度センサ41iは、第2熱交換器14bから流出した冷媒の温度である第3冷媒温度T3を検出する第3冷媒温度検出部である。
熱媒体温度センサ41jは、ヒータコア22へ流入する熱媒体の温度である熱媒体温度Twを検出する熱媒体温度検出部である。
さらに、制御装置40の入力側には、車室内前部の計器盤付近に配置された操作パネル42が接続され、この操作パネル42に設けられた各種操作スイッチからの操作信号が入力される。操作パネル42に設けられた各種操作スイッチとしては、具体的に、オートスイッチ、エアコンスイッチ、風量設定スイッチ、温度設定スイッチ等がある。
オートスイッチは、冷凍サイクル装置10の自動制御運転を設定あるいは解除する操作スイッチである。エアコンスイッチは、第1熱交換器14aあるいは第2熱交換器14bにて空気の冷却を行うことを要求する操作スイッチである。風量設定スイッチは、室内送風機37の風量をマニュアル設定する操作スイッチである。温度設定スイッチは、車室内の目標温度Tsetを設定する操作スイッチである。
また、本実施形態の制御装置40は、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御部が一体に構成されたものである。従って、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(すなわち、ハードウェアおよびソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御部を構成している。
例えば、制御装置40のうち、ヒートポンプサイクル10の圧縮機11の作動を制御する構成は、圧縮機制御部40aである。
また、第1入口側内外気切替装置32aの作動を制御する構成は、第1入口側内外気切替制御部40bである。また、第2入口側内外気切替装置32bの作動を制御する構成は、第2入口側内外気切替制御部40cである。また、外気導入装置32cの作動を制御する構成は、外気導入制御部40dである。
また、第1出口側内外気切替装置33aの作動を制御する構成は、第1出口側内外気切替制御部40eである。また、第2出口側内外気切替装置33bの作動を制御する構成は、第2出口側内外気切替制御部40fである。また、加熱部入口側切替装置34aの作動を制御する構成は、加熱部入口側切替制御部40gである。また、加熱部出口側切替装置34bの作動を制御する構成は、加熱部出口側切替制御部40hである。
次に、上記構成の本実施形態の車両用空調装置1の作動について説明する。車両用空調装置1は、車室内の空調を行うために、冷房モード、暖房モード、除湿暖房モード、除霜モード等の運転モードを切り替えることができる。
冷房モードは、冷却された空気を車室内へ吹き出す運転モードである。暖房モードは、加熱された空気を車室内へ吹き出す運転モードである。除湿暖房モードは、冷却されて除湿された空気を再加熱して車室内へ吹き出す運転モードである。除霜モードは、着霜の生じた熱交換器の霜を取り除く運転モードである。
運転モードの切り替えは、予め制御装置40に記憶されている空調制御プログラムが実行されることによって行われる。空調制御プログラムは、操作パネル42のオートスイッチが投入(ON)されると実行される。空調制御プログラムでは、各種制御用センサの検出信号および操作パネルの操作信号に基づいて、運転モードを切り替える。以下に各運転モードの作動について説明する。
(a)冷房モード
冷房モードは、主に外気温Tamが比較的高温(本実施形態では、20℃以上)となっている際に実行される運転モードである。本実施形態の車両用空調装置1では、冷房モードとして、内気冷房モード、外気冷房モード、および複合冷房モードを切り替えることができる。
(a-1)内気冷房モード
内気冷房モードでは、制御装置40は、ヒートポンプサイクル10の圧縮機11を作動させる。より具体的には、制御装置40は、第2熱交換器温度センサ41fによって検出された第2熱交換器温度Tefin2が目標蒸発器温度TEOに近づくように、圧縮機11の冷媒吐出能力を制御する。
目標蒸発器温度TEOは、車室内へ吹き出される空気の目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置40に記憶されている冷房モード用の制御マップを参照して決定される。目標吹出温度TAOは、各種制御用センサの検出信号および操作パネルの操作信号を用いて算定される。
本実施形態の制御マップでは、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、目標蒸発器温度TEOを上昇させるように決定する。また、目標蒸発器温度TEOは、第2熱交換器14bの着霜を抑制可能な値(本実施形態では、少なくとも1℃以上)に決定される。
また、制御装置40は、第1膨張弁13aを全開状態とする。また、制御装置40は、第2膨張弁13bを冷媒減圧作用を発揮する絞り状態とする。より具体的には、制御装置40は、第2膨張弁13bへ流入する冷媒の過冷却度SC2が、目標過冷却度SCO2に近づくように第2膨張弁13bの作動を制御する。
目標過冷却度SCO2は、第2冷媒温度センサ41hによって検出された第2冷媒温度T2に基づいて、予め制御装置40に記憶されている冷房モード用の制御マップを参照して決定される。本実施形態の制御マップでは、目標過冷却度SCO2は、サイクルの成績係数(すなわち、COP)が極大値に近づくように決定される。
また、制御装置40は、予め定めた基準圧送能力を発揮するように、熱媒体回路20の熱媒体ポンプ21を作動させる。
また、制御装置40は、熱媒体ポンプ21から吐出された熱媒体の全流量が、水-冷媒熱交換器12の熱媒体通路へ流入するように第1流量調整弁24aの作動を制御する。また、制御装置40は、水-冷媒熱交換器12の熱媒体通路から流出した熱媒体の全流量が、熱媒体ラジエータ23へ流入するように、第2流量調整弁24bの作動を制御する。
また、制御装置40は、空調ユニット30の第1外気導入口323aを開き、第1内気導入口35aを閉じるように、第1入口側内外気切替装置32aの作動を制御する。つまり、第1入口側内外気切替装置32aは、外気を第1熱交換器14aへ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第1室外流出口333aを開き、第1室内流出口35bを閉じるように、第1出口側内外気切替装置33aの作動を制御する。つまり、第1出口側内外気切替装置33aは、第1熱交換器14aを通過した空気を車室外へ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第2外気導入口323bを閉じ、第2内気導入口35cを開くように、第2入口側内外気切替装置32bの作動を制御する。つまり、第2入口側内外気切替装置32bは、内気を第2熱交換器14bへ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第2室外流出口333bを閉じ、第2室内流出口35dを開くように、第2出口側内外気切替装置33bの作動を制御する。つまり、第2出口側内外気切替装置33bは、第2熱交換器14bを通過した空気を車室内へ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第3外気導入口323cを閉じるように、外気導入装置32cの作動を制御する。また、制御装置40は、加熱部入口側開口部35eを閉じるように、加熱部入口側切替装置34aの作動を制御する。また、制御装置40は、加熱部出口側開口部35fを閉じるように、加熱部出口側切替装置34bの作動を制御する。
また、制御装置40は、予め定めた基準送風能力を発揮するように放出用送風機36を作動させる。また、制御装置40は、目標送風能力を発揮するように室内送風機37を作動させる。
室内送風機37の目標送風能力は、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置40に記憶されている制御マップを参照して決定される。本実施形態の制御マップでは、目標吹出温度TAOの極低温域(最大冷房域)および極高温域(最大暖房域)で室内送風機37の送風能力を最大とする。
さらに、目標吹出温度TAOが極低温域から中間温度域に向かって上昇するに伴って、目標吹出温度TAOの上昇に応じて送風能力を減少させ、目標吹出温度TAOが極高温域から中間温度域に向かって低下するに伴って、目標吹出温度TAOの低下に応じて送風能力を減少させる。また、目標吹出温度TAOが所定の中間温度域内に入ると、送風能力を最小とする。
従って、内気冷房モードのヒートポンプサイクル10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、水-冷媒熱交換器12の冷媒通路へ流入する。水-冷媒熱交換器12の冷媒通路へ流入した冷媒は、熱媒体通路を流通する熱媒体と熱交換する。水-冷媒熱交換器12では、冷媒が熱媒体に放熱して凝縮する。これにより、熱媒体が加熱される。
水-冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出した冷媒は、全開となっている第1膨張弁13aを介して、第1熱交換器14aへ流入する。
第1熱交換器14aへ流入した冷媒は、空調ユニット30の第1外気導入口323aから第1空気通路31aへ流入した空気(具体的には、外気)と熱交換する。第1熱交換器14aでは、冷媒が空気に放熱して、さらに凝縮する。これにより、第1空気通路31aを流通する空気が加熱される。
第1熱交換器14aから流出した冷媒は、第2膨張弁13bへ流入して減圧される。第2膨張弁13bにて減圧された低圧冷媒は、第2熱交換器14bへ流入する。
第2熱交換器14bへ流入した冷媒は、空調ユニット30の第2内気導入口35cから第2空気通路31bへ流入した空気(具体的には、内気)と熱交換する。第2熱交換器14bでは、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。これにより、第2空気通路31bを流通する空気が冷却される。
第2熱交換器14bから流出した冷媒は、アキュムレータ15へ流入する。アキュムレータ15へ流入した冷媒は、気液分離される。アキュムレータ15にて分離された気相冷媒は、圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
また、内気冷房モードの熱媒体回路20では、熱媒体ポンプ21から圧送された全流量の熱媒体が、水-冷媒熱交換器12の熱媒体通路へ流入する。水-冷媒熱交換器12の熱媒体通路へ流入した熱媒体は、冷媒通路を流通する冷媒と熱交換する。水-冷媒熱交換器12では、熱媒体が加熱される。
水-冷媒熱交換器12から流出した全流量の熱媒体は、熱媒体ラジエータ23へ流入する。熱媒体ラジエータ23へ流入した熱媒体は、外気と熱交換する。熱媒体ラジエータ23では、熱媒体が外気に放熱して冷却される。熱媒体ラジエータ23から流出した熱媒体は、熱媒体ポンプ21に吸入されて再び圧送される。
また、内気冷房モードの空調ユニット30では、図4の太線矢印で示すように、空気が各空気通路を流れる。
第1空気通路31aには、第1外気導入口323aを介して空気(具体的には、外気)が流入する。第1空気通路31aへ流入した空気は、第1熱交換器14aにて、冷媒と熱交換して加熱される。第1熱交換器14aにて加熱された空気は、第1室外流出口333aから流出する。第1室外流出口333aから流出した空気は、放出用送風機36に吸入されて車室外へ放出される。
第2空気通路31bには、第2内気導入口35cを介して第4空気通路31dを流通した空気(具体的には、内気)が流入する。第2空気通路31bへ流入した空気は、第2熱交換器14bにて冷媒と熱交換して冷却される。第2熱交換器14bにて冷却された空気は、第2室内流出口35dを介して第3空気通路31cへ流入する。
第3空気通路31cへ流入した空気は、室内送風機37に吸入されてヒータコア22へ送風される。内気冷房モードでは、ヒータコア22に熱媒体が流通していない。従って、ヒータコア22へ流入した空気は、熱媒体に加熱されることなく、車室内へ送風される。これにより、車室内の冷房が実現される。
内気冷房モードでは、内気を循環送風して第2熱交換器14bにて冷却している。従って、冷房を開始した直後に内気冷房モードへ切り替えることにより、車室内の速効冷房を期待することができる。
(a-2)外気冷房モード
外気冷房モードでは、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、ヒートポンプサイクル10の圧縮機11、第1膨張弁13a、および第2膨張弁13bの作動を制御する。また、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、熱媒体回路20の熱媒体ポンプ21、第1流量調整弁24a、および第2流量調整弁24bの作動を制御する。
また、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、空調ユニット30の第1入口側内外気切替装置32aおよび第1出口側内外気切替装置33aの作動を制御する。
また、制御装置40は、第2外気導入口323bを開き、第2内気導入口35cを閉じるように、第2入口側内外気切替装置32bの作動を制御する。つまり、第2入口側内外気切替装置32bは、外気を第2熱交換器14bへ導く通風路に切り替える。また、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、第2出口側内外気切替装置33bの作動を制御する。
また、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、外気導入装置32c、加熱部入口側切替装置34a、および加熱部出口側切替装置34bの作動を制御する。また、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、放出用送風機36および室内送風機37の作動を制御する。
従って、外気冷房モードのヒートポンプサイクル10および熱媒体回路20では、内気冷房モードと同様に作動する。
また、外気冷房モードの空調ユニット30では、図5の太線矢印で示すように、空気が各空気通路を流れる。
第1空気通路31aには、第1外気導入口323aを介して空気(具体的には、外気)が流入する。第1空気通路31aへ流入した空気は、内気冷房モードと同様に、第1熱交換器14aにて加熱されて車室外へ放出される。
第2空気通路31bには、第2外気導入口323bを介して空気(具体的には、外気)が流入する。第2空気通路31bへ流入した空気は、第2熱交換器14bにて冷媒と熱交換して冷却される。第2熱交換器14bにて冷却された空気は、第2室内流出口35dを介して第3空気通路31cへ流入する。
第3空気通路31cへ流入した空気は、内気冷房モードと同様に、車室内へ送風される。これにより、車室内の冷房が実現される。
(a-3)複合冷房モード
複合冷房モードでは、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、ヒートポンプサイクル10の圧縮機11の作動を制御する。
また、制御装置40は、第1膨張弁13aを絞り状態とする。より具体的には、制御装置40は、第1膨張弁13aへ流入する冷媒の過冷却度SC1が、目標過冷却度SCO1に近づくように第1膨張弁13aの作動を制御する。
目標過冷却度SCO1は、第1冷媒温度センサ41gによって検出された第1冷媒温度T1に基づいて、予め制御装置40に記憶されている冷房モード用の制御マップを参照して決定される。本実施形態の制御マップでは、目標過冷却度SCO1は、サイクルの成績係数(すなわち、COP)が極大値に近づくように決定される。
また、制御装置40は、第2膨張弁13bを全開状態とする。
また、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、熱媒体回路20の熱媒体ポンプ21、第1流量調整弁24a、および第2流量調整弁24bの作動を制御する。
また、制御装置40は、空調ユニット30の第1外気導入口323aを開き、第1内気導入口35aを閉じるように、第1入口側内外気切替装置32aの作動を制御する。つまり、第1入口側内外気切替装置32aは、外気を第1熱交換器14aへ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第1室外流出口333aを閉じ、第1室内流出口35bを開くように、第1出口側内外気切替装置33aの作動を制御する。つまり、第1出口側内外気切替装置33aは、第1熱交換器14aを通過した空気を車室内へ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第2外気導入口323bを開き、第2内気導入口35cを閉じるように、第2入口側内外気切替装置32bの作動を制御する。つまり、第2入口側内外気切替装置32bは、外気を第2熱交換器14bへ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第2室外流出口333bを閉じ、第2室内流出口35dを開くように、第2出口側内外気切替装置33bの作動を制御する。つまり、第2出口側内外気切替装置33bは、第2熱交換器14bを通過した空気を車室内へ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、外気導入装置32c、加熱部入口側切替装置34aおよび加熱部出口側切替装置34bの作動を制御する。また、制御装置40は、放出用送風機36を停止させる。また、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、室内送風機37の作動を制御する。
従って、複合冷房モードのヒートポンプサイクル10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、水-冷媒熱交換器12の冷媒通路へ流入する。水-冷媒熱交換器12では、内気冷房モードと同様に、熱媒体が加熱される。
水-冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出した冷媒は、第1膨張弁13aへ流入して減圧される。第1膨張弁13aにて減圧された低圧冷媒は、第1熱交換器14aへ流入する。
第1熱交換器14aへ流入した冷媒は、空調ユニット30の第1外気導入口323aから第1空気通路31aへ流入した空気(具体的には、外気)と熱交換する。第1熱交換器14aでは、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。これにより、第1熱交換器14aを流通する空気が冷却される。
第1熱交換器14aから流出した冷媒は、全開となっている第2膨張弁13bを介して、第2熱交換器14bへ流入する。
第2熱交換器14bへ流入した冷媒は、空調ユニット30の第2外気導入口323bから第2空気通路31bへ流入した空気(具体的には、外気)と熱交換する。第2熱交換器14bでは、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。これにより、第2空気通路31bを流通する空気が冷却される。
第2熱交換器14bから流出した冷媒は、アキュムレータ15へ流入する。アキュムレータ15へ流入した冷媒は、気液分離される。アキュムレータ15にて分離された気相冷媒は、圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
また、複合冷房モードの熱媒体回路20では、内気冷房モードと同様に作動する。
また、複合冷房モードの空調ユニット30では、図6の太線矢印で示すように、空気が各空気通路を流れる。
第1空気通路31aには、第1外気導入口323aを介して空気(具体的には、外気)が流入する。第1空気通路31aへ流入した空気は、第1熱交換器14aにて冷却される。第1熱交換器14aにて冷却された空気は、第1室内流出口35bを介して第3空気通路31cへ流入する。
第2空気通路31bには、第2外気導入口323bを介して空気(具体的には、外気)が流入する。第2空気通路31bへ流入した空気は、第2熱交換器14bにて冷却される。第2熱交換器14bにて冷却された空気は、第2室内流出口35dを介して第3空気通路31cへ流入する。
第3空気通路31cへ流入した空気は、内気冷房モードと同様に、車室内へ送風される。これにより、車室内の冷房が実現される。
複合冷房モードでは、第1熱交換器14aおよび第2熱交換器14bの双方で空気を冷却することができるので、充分な流量の空気を冷却することができる。また、複合冷房モードにおいても、第1入口側内外気切替装置32aが、内気を第1熱交換器14aへ導く通風路に切り替えてもよい。さらに、第2入口側内外気切替装置32bが、内気を第2熱交換器14bへ導く通風路に切り替えてもよい。
(b)暖房モード
暖房モードは、主に外気温Tamが比較的低温(本実施形態では、0℃以下)となっている際に実行される運転モードである。本実施形態の車両用空調装置1では、暖房モードとして、内気暖房モード、外気暖房モード、および換気暖房モードを切り替えることができる。
(b-1)内気暖房モード
内気暖房モードでは、制御装置40は、ヒートポンプサイクル10の圧縮機11を作動させる。より具体的には、制御装置40は、高圧圧力センサ41dによって検出された高圧圧力Pdが、目標高圧PDOに近づくように、圧縮機11の冷媒吐出能力を制御する。目標高圧PDOは、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置40に記憶されている暖房モード用の制御マップを参照して決定される。
本実施形態の制御マップでは、目標吹出温度TAOの上昇に伴って、目標高圧PDOを上昇させるように決定する。
また、制御装置40は、第1膨張弁13aを絞り状態とする。また、制御装置40は、第2膨張弁13bを全開状態とする。より具体的には、制御装置40は、第1膨張弁13aへ流入する冷媒の過冷却度SC1が、目標過冷却度SCO1に近づくように、第1膨張弁13aの作動を制御する。
目標過冷却度SCO1は、第1冷媒温度センサ41gによって検出された第1冷媒温度T1に基づいて、予め制御装置40に記憶されている暖房モード用の制御マップを参照して決定される。本実施形態の制御マップでは、サイクルの成績係数が極大値に近づくように、目標過冷却度SCO1が決定される。
また、制御装置40は、予め定めた基準圧送能力を発揮するように、熱媒体回路20の熱媒体ポンプ21を作動させる。
また、制御装置40は、熱媒体ポンプ21から吐出された熱媒体の全流量が、ヒータコア22へ流入するように、第1流量調整弁24aの作動を制御する。また、制御装置40は、熱媒体温度センサ41jによって検出された熱媒体温度Twが、目標熱媒体温度TWOに近づくように、第2流量調整弁24bの作動を制御する。
目標熱媒体温度TWOは、目標吹出温度TAOに基づいて、予め制御装置40に記憶されている暖房モード用の制御マップを参照して決定される。
また、制御装置40は、空調ユニット30の第1外気導入口323aを開き、第1内気導入口35aを閉じるように、第1入口側内外気切替装置32aの作動を制御する。つまり、第1入口側内外気切替装置32aは、外気を第1熱交換器14aへ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第1室外流出口333aを開き、第1室内流出口35bを閉じるように、第1出口側内外気切替装置33aの作動を制御する。つまり、第1出口側内外気切替装置33aは、第1熱交換器14aを通過した空気を車室外へ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第2外気導入口323bを開き、第2内気導入口35cを閉じるように、第2入口側内外気切替装置32bの作動を制御する。つまり、第2入口側内外気切替装置32bは、外気を第2熱交換器14bへ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第2室外流出口333bを開き、第2室内流出口35dを閉じるように、第2出口側内外気切替装置33bの作動を制御する。つまり、第2出口側内外気切替装置33bは、第2熱交換器14bを通過した空気を車室外へ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第3外気導入口323cを閉じるように、外気導入装置32cの作動を制御する。また、制御装置40は、加熱部入口側開口部35eを開くように、加熱部入口側切替装置34aの作動を制御する。また、制御装置40は、加熱部出口側開口部35fを閉じるように、加熱部出口側切替装置34bの作動を制御する。
また、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、放出用送風機36および室内送風機37の作動を制御する。
従って、内気暖房モードのヒートポンプサイクル10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、水-冷媒熱交換器12の冷媒通路へ流入する。水-冷媒熱交換器12の冷媒通路へ流入した高圧冷媒は、熱媒体通路を流通する熱媒体と熱交換する。水-冷媒熱交換器12では、冷媒が熱媒体へ放熱して凝縮する。これにより、熱媒体が加熱される。
水-冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出した冷媒は、第1膨張弁13aへ流入して減圧される。第1膨張弁13aにて減圧された低圧冷媒は、第1熱交換器14aへ流入する。
第1熱交換器14aへ流入した冷媒は、空調ユニット30の第1外気導入口323aから第1空気通路31aへ流入した空気(具体的には、外気)と熱交換する。第1熱交換器14aでは、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。第1熱交換器14aから流出した冷媒は、全開となっている第2膨張弁13bを介して、第2熱交換器14bへ流入する。
第2熱交換器14bへ流入した冷媒は、空調ユニット30の第2外気導入口323bから第2空気通路31bへ流入した空気(具体的には、外気)と熱交換する。第2熱交換器14bでは、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。
第2熱交換器14bから流出した冷媒は、アキュムレータ15へ流入する。アキュムレータ15へ流入した冷媒は、気液分離される。アキュムレータ15にて分離された気相冷媒は、圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
また、内気暖房モードの熱媒体回路20では、熱媒体ポンプ21から圧送された熱媒体がヒータコア22へ流入する。ヒータコア22へ流入した熱媒体は、第3空気通路31cを流通する空気と熱交換する。ヒータコア22では、熱媒体が空気へ放熱する。これにより、第3空気通路31cを流通する空気が加熱される。
ヒータコア22から流出した熱媒体は、水-冷媒熱交換器12の熱媒体通路へ流入する。水-冷媒熱交換器12の熱媒体通路へ流入した熱媒体は、冷媒と熱交換して加熱される。
水-冷媒熱交換器12の熱媒体通路から流出した一部の熱媒体は、熱媒体ラジエータ23へ流入する。熱媒体ラジエータ23へ流入した熱媒体は、外気に放熱して冷却される。熱媒体ラジエータ23から流出した熱媒体は、第2流量調整弁24bの一方の流入口へ流入する。水-冷媒熱交換器12の熱媒体通路から第2迂回通路20bへ流入した熱媒体は、第2流量調整弁24bの他方の流入口へ流入する。
この際、第2流量調整弁24bは、熱媒体温度Twが目標熱媒体温度TWOに近づくように、熱媒体ラジエータ23へ流入させる熱媒体の流量と熱媒体バイパス通路25へ流入させる熱媒体の流量との流量比を調整する。第2流量調整弁24bから流出した熱媒体は、熱媒体ポンプ21に吸入されて再びヒータコア22側へ圧送される。
また、内気暖房モードの空調ユニット30では、図7の太線矢印で示すように、空気が各空気通路を流れる。
第1空気通路31aには、第1外気導入口323aを介して空気(具体的には、外気)が流入する。第1空気通路31aへ流入した空気は、第1熱交換器14aにて、冷媒と熱交換して冷却される。第1熱交換器14aにて冷却された空気は、第1室外流出口333aから流出する。第1室外流出口333aから流出した空気は、放出用送風機36に吸入されて車室外へ放出される。
第2空気通路31bには、第2外気導入口323bを介して空気(具体的には、外気)が流入する。第2空気通路31bへ流入した空気は、第2熱交換器14bにて、冷媒と熱交換して冷却される。第2熱交換器14bにて冷却された空気は、第2室外流出口333bから流出する。第2室外流出口333bから流出した空気は、放出用送風機36に吸入されて車室外へ放出される。
第4空気通路31dを流通する空気(具体的には、内気)は、加熱部入口側開口部35eを介して第3空気通路31cへ流入する。第3空気通路31cへ流入した空気は、室内送風機37に吸入されてヒータコア22へ送風される。ヒータコア22へ流入した空気は、熱媒体と熱交換して加熱される。ヒータコア22にて加熱された空気は、車室内へ送風される。これにより、車室内の暖房が実現される。
内気暖房モードでは、内気を循環送風してヒータコア22にて加熱している。従って、暖房を開始した直後に内気暖房モードへ切り替えることにより、車室内の速効暖房を期待することができる。
(b-2)外気暖房モード
外気暖房モードでは、制御装置40は、内気暖房モードと同様に、ヒートポンプサイクル10の圧縮機11、第1膨張弁13a、および第2膨張弁13bの作動を制御する。また、制御装置40は、内気暖房モードと同様に、熱媒体回路20の熱媒体ポンプ21、第1流量調整弁24a、および第2流量調整弁24bの作動を制御する。
また、制御装置40は、内気暖房モードと同様に、空調ユニット30の第1入口側内外気切替装置32a、第1出口側内外気切替装置33a、第2入口側内外気切替装置32b、および第2出口側内外気切替装置33bの作動を制御する。
また、制御装置40は、第3外気導入口323cを開くように、外気導入装置32cの作動を制御する。また、制御装置40は、加熱部入口側開口部35eを閉じるように、加熱部入口側切替装置34aの作動を制御する。また、制御装置40は、加熱部出口側開口部35fを閉じるように、加熱部出口側切替装置34bの作動を制御する。
また、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、放出用送風機36および室内送風機37の作動を制御する。
従って、外気暖房モードのヒートポンプサイクル10および熱媒体回路20では、内気暖房モードと同様に作動する。
また、外気暖房モードの空調ユニット30では、図8の太線矢印で示すように、空気が各空気通路を流れる。
第1空気通路31aには、第1外気導入口323aを介して空気(具体的には、外気)が流入する。第1空気通路31aへ流入した空気は、内気暖房モードと同様に、第1熱交換器14aにて冷却されて車室外へ放出される。
第2空気通路31bには、第2外気導入口323bを介して空気(具体的には、外気)が流入する。第2空気通路31bへ流入した空気は、内気暖房モードと同様に、第2熱交換器14bにて冷却されて車室外へ放出される。
第3空気通路31cには、第3外気導入口323cを介して空気(具体的には、外気)が流入する。第3空気通路31cへ流入した空気は、室内送風機37に吸入されてヒータコア22へ送風される。ヒータコア22へ流入した空気は、熱媒体と熱交換して加熱される。ヒータコア22にて加熱された空気は、車室内へ送風される。これにより、車室内の暖房が実現される。
(b-3)換気暖房モード
換気暖房モードでは、制御装置40は、内気暖房モードと同様に、ヒートポンプサイクル10の圧縮機11の作動を制御する。
また、制御装置40は、第1膨張弁13aを絞り状態とする。より具体的には、制御装置40は、第1熱交換器14aにおける冷媒蒸発温度が内気温Trよりも低い温度であって、かつ、第1熱交換器14aに着霜を生じさせない温度(本実施形態では、1℃よりも高い温度)となるように、第1膨張弁13aの作動を制御する。
また、制御装置40は、第2膨張弁13bを絞り状態とする。より具体的には、制御装置40は、第1膨張弁13aへ流入する冷媒の過冷却度SC1が、目標過冷却度SCO1に近づくように、第2膨張弁13bの作動を制御する。
また、制御装置40は、内気暖房モードと同様に、熱媒体回路20の熱媒体ポンプ21、第1流量調整弁24a、および第2流量調整弁24bの作動を制御する。
また、制御装置40は、空調ユニット30の第1外気導入口323aを閉じ、第1内気導入口35aを開くように、第1入口側内外気切替装置32aの作動を制御する。つまり、第1入口側内外気切替装置32aは、内気を第1熱交換器14aへ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第1室外流出口333aを開き、第1室内流出口35bを閉じるように、第1出口側内外気切替装置33aの作動を制御する。つまり、第1出口側内外気切替装置33aは、第1熱交換器14aを通過した空気を車室外へ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、内気暖房モードと同様に、第2入口側内外気切替装置32bおよび第2出口側内外気切替装置33bの作動を制御する。
また、制御装置40は、第3外気導入口323cを開くように、外気導入装置32cの作動を制御する。また、制御装置40は、加熱部入口側開口部35eを閉じるように、加熱部入口側切替装置34aの作動を制御する。また、制御装置40は、加熱部出口側開口部35fを閉じるように、加熱部出口側切替装置34bの作動を制御する。
また、制御装置40は、内気暖房モードと同様に、放出用送風機36および室内送風機37の作動を制御する。
従って、換気暖房モードのヒートポンプサイクル10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、水-冷媒熱交換器12の冷媒通路へ流入する。水-冷媒熱交換器12では、内気暖房モードと同様に、熱媒体が加熱される。水-冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出した冷媒は、第1膨張弁13aへ流入して減圧される。第1膨張弁13aにて減圧された低圧冷媒は、第1熱交換器14aへ流入する。
第1熱交換器14aへ流入した冷媒は、空調ユニット30の第1内気導入口35aから第1空気通路31aへ流入した空気(具体的には、内気)と熱交換する。第1熱交換器14aでは、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。第1熱交換器14aから流出した冷媒は、第2膨張弁13bへ流入して減圧される。第2膨張弁13bにて減圧された低圧冷媒は、第2熱交換器14bへ流入する。
第2熱交換器14bへ流入した冷媒は、内気暖房モードと同様に、空気(具体的には、外気)から吸熱して蒸発する。第2熱交換器14bから流出した冷媒は、アキュムレータ15へ流入する。アキュムレータ15へ流入した冷媒は、気液分離される。アキュムレータ15にて分離された気相冷媒は、圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
また、換気暖房モードの熱媒体回路20では、内気暖房モードと同様に作動する。
また、換気暖機モードの空調ユニット30では、図9の太線矢印で示すように、空気が各空気通路を流れる。
第1空気通路31aには、第1内気導入口35aを介して第4空気通路31dを流通した空気(具体的には、内気)が流入する。第1空気通路31aへ流入した空気は、冷媒と熱交換して冷却される。第1熱交換器14aにて冷却された空気は、第1室外流出口333aから流出する。第1室外流出口333aから流出した空気は、放出用送風機36に吸入されて車室外へ放出される。
第2空気通路31bには、第2外気導入口323bを介して空気(具体的には、外気)が流入する。第2空気通路31bへ流入した空気は、内気暖房モードと同様に、第2熱交換器14bにて冷却されて車室外へ放出される。
第3空気通路31cには、第3外気導入口323cを介して空気(具体的には、外気)が流入する。第3空気通路31cへ流入した空気は、室内送風機37に吸入されてヒータコア22へ送風される。ヒータコア22へ流入した空気は、熱媒体と熱交換して加熱される。ヒータコア22にて加熱された空気は、車室内へ送風される。これにより、車室内の暖房が実現される。
(c)除湿暖房モード
除湿暖房モードは、主に外気温Tamが中低温(本実施形態では、0℃以上、かつ、20℃以下)となっている際に実行される運転モードである。さらに、本実施形態の車両用空調装置1では、除湿暖房モードとして、第1除湿暖房モードおよび第2除湿暖房モードを切り替えることができる。
第1除湿暖房モードは、外気温Tamが予め定めた基準除湿暖房温度KTam(本実施形態では、10℃)以上となっている際に実行される。また、第2除湿暖房モードは、外気温Tamが基準除湿暖房温度KTamより低くなっている際に実行される。
(c-1)第1除湿暖房モード
外気暖房モードでは、制御装置40は、内気暖房モードと同様に、ヒートポンプサイクル10の圧縮機11の作動を制御する。
また、制御装置40は、第1膨張弁13aを絞り状態とする。より具体的には、制御装置40は、第1熱交換器14aにおける冷媒蒸発温度が、外気温Tamよりも低い温度であって、かつ、第2熱交換器14aの冷媒蒸発温度以上となるように、第1膨張弁13aの作動を制御する。
また、制御装置40は、第2膨張弁13bを絞り状態とする。より具体的には、制御装置40は、第2熱交換器14bにおける冷媒蒸発温度が、基準蒸発温度KTe2(本実施形態では、1℃)となるように、第2膨張弁13bの作動を制御する。
また、制御装置40は、内気暖房モードと同様に、熱媒体回路20の熱媒体ポンプ21、第1流量調整弁24a、および第2流量調整弁24bの作動を制御する。
また、制御装置40は、空調ユニット30の第1外気導入口323aを開き、第1内気導入口35aを閉じるように、第1入口側内外気切替装置32aの作動を制御する。つまり、第1入口側内外気切替装置32aは、外気を第1熱交換器14aへ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第1室外流出口333aを開き、第1室内流出口35bを閉じるように、第1出口側内外気切替装置33aの作動を制御する。つまり、第1出口側内外気切替装置33aは、第1熱交換器14aを通過した空気を車室外へ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第2外気導入口323bを閉じ、第2内気導入口35cを開くように、第2入口側内外気切替装置32bの作動を制御する。つまり、第2入口側内外気切替装置32bは、内気を第2熱交換器14bへ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第2室外流出口333bを閉じ、第2室内流出口35dを開くように、第2出口側内外気切替装置33bの作動を制御する。つまり、第2出口側内外気切替装置33bは、第2熱交換器14bを通過した空気を車室内へ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第3外気導入口323cを閉じるように、外気導入装置32cの作動を制御する。また、制御装置40は、加熱部入口側開口部35eを閉じるように、加熱部入口側切替装置34aの作動を制御する。また、制御装置40は、加熱部出口側開口部35fを閉じるように、加熱部出口側切替装置34bの作動を制御する。
また、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、放出用送風機36および室内送風機37の作動を制御する。
従って、第1除湿暖房モードのヒートポンプサイクル10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、水-冷媒熱交換器12の冷媒通路へ流入する。水-冷媒熱交換器12では、内気暖房モードと同様に、熱媒体が加熱される。水-冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出した冷媒は、第1膨張弁13aへ流入して減圧される。第1膨張弁13aにて減圧された低圧冷媒は、第1熱交換器14aへ流入する。
第1熱交換器14aへ流入した冷媒は、空調ユニット30の第1外気導入口323aから第1空気通路31aへ流入した空気(具体的には、外気)と熱交換する。第1熱交換器14aでは、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。第1熱交換器14aから流出した冷媒は、第2膨張弁13bへ流入して減圧される。第2膨張弁13bにて減圧された低圧冷媒は、第2熱交換器14bへ流入する。
第2熱交換器14bへ流入した冷媒は、第2内気導入口35cから第2空気通路31bへ流入した空気(具体的には、内気)と熱交換する。第2熱交換器14bでは、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。これにより、第2空気通路31bを流通する空気が冷却されて除湿される。
第2熱交換器14bから流出した冷媒は、アキュムレータ15へ流入する。アキュムレータ15へ流入した冷媒は、気液分離される。アキュムレータ15にて分離された気相冷媒は、圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
また、第1除湿暖房モードの熱媒体回路20では、内気暖房モードと同様に作動する。
また、第1除湿暖房モードの空調ユニット30では、図10の太線矢印で示すように、空気が各空気通路を流れる。
第1空気通路31aには、第1外気導入口323aを介して空気(具体的には、外気)が流入する。第1空気通路31aへ流入した空気は、内気暖房モードと同様に、第1熱交換器14aにて冷却されて車室外へ放出される。
第2空気通路31bには、第2内気導入口35cを介して第4空気通路31dを流通した空気(具体的には、内気)が流入する。第2空気通路31bへ流入した空気は、第2熱交換器14bにて冷媒と熱交換して冷却されて除湿される。第2熱交換器14bにて除湿された空気は、第2室内流出口35dを介して第3空気通路31cへ流入する。
第3空気通路31cへ流入した空気は、室内送風機37に吸入されてヒータコア22へ送風される。ヒータコア22へ流入した空気は、熱媒体と熱交換して再加熱される。ヒータコア22にて再加熱された空気は、車室内へ送風される。これにより、車室内の除湿暖房が実現される。
第1除湿暖房モードでは、第1熱交換器14aの冷媒蒸発温度が、第2熱交換器14bの冷媒蒸発温度よりも高くなる。従って、第1熱交換器14aおよび第2熱交換器14bのいずれの熱交換器にも着霜が生じることがない。
(c-2)第2除湿暖房モード
第2除湿暖房モードでは、制御装置40は、内気暖房モードと同様に、ヒートポンプサイクル10の圧縮機11の作動を制御する。
また、制御装置40は、第1膨張弁13aを絞り状態とする。より具体的には、制御装置40は、第1熱交換器14aにおける冷媒蒸発温度が、基準蒸発温度KTe1(本実施形態では、1℃)となるように、第1膨張弁13aの作動を制御する。
また、制御装置40は、第2膨張弁13bを絞り状態とする。より具体的には、制御装置40は、第2熱交換器14aにおける冷媒蒸発温度が、外気温Tamよりも低い温度となるように、第2膨張弁13bの作動を制御する。
また、制御装置40は、内気暖房モードと同様に、熱媒体回路20の熱媒体ポンプ21、第1流量調整弁24a、および第2流量調整弁24bの作動を制御する。
また、制御装置40は、空調ユニット30の第1外気導入口323aを閉じ、第1内気導入口35aを開くように、第1入口側内外気切替装置32aの作動を制御する。つまり、第1入口側内外気切替装置32aは、内気を第1熱交換器14aへ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第1室外流出口333aを閉じ、第1室内流出口35bを開くように、第1出口側内外気切替装置33aの作動を制御する。つまり、第1出口側内外気切替装置33aは、第1熱交換器14aを通過した空気を車室内へ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第2外気導入口323bを開き、第2内気導入口35cを閉じるように、第2入口側内外気切替装置32bの作動を制御する。つまり、第2入口側内外気切替装置32bは、外気を第2熱交換器14bへ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第2室外流出口333bを開き、第2室内流出口35dを閉じるように、第2出口側内外気切替装置33bの作動を制御する。つまり、第2出口側内外気切替装置33bは、第2熱交換器14bを通過した空気を車室外へ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第3外気導入口323cを閉じるように、外気導入装置32cの作動を制御する。また、制御装置40は、加熱部入口側開口部35eを閉じるように、加熱部入口側切替装置34aの作動を制御する。また、制御装置40は、加熱部出口側開口部35fを閉じるように、加熱部出口側切替装置34bの作動を制御する。
また、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、放出用送風機36および室内送風機37の作動を制御する。
従って、第2除湿暖房モードのヒートポンプサイクル10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、水-冷媒熱交換器12の冷媒通路へ流入する。水-冷媒熱交換器12では、内気暖房モードと同様に、熱媒体が加熱される。水-冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出した冷媒は、第1膨張弁13aへ流入して減圧される。第1膨張弁13aにて減圧された低圧冷媒は、第1熱交換器14aへ流入する。
第1熱交換器14aへ流入した冷媒は、空調ユニット30の第1内気導入口35aから第1空気通路31aへ流入した空気(具体的には、内気)と熱交換する。第1熱交換器14aでは、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。これにより、第1空気通路31aを流通する空気が冷却されて除湿される。第1熱交換器14aから流出した冷媒は、第2膨張弁13bへ流入して減圧される。第2膨張弁13bにて減圧された低圧冷媒は、第2熱交換器14bへ流入する。
第2熱交換器14bへ流入した冷媒は、第2外気導入口323bから第2空気通路31bへ流入した空気(具体的には、外気)と熱交換する。第2熱交換器14bでは、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。
第2熱交換器14bから流出した冷媒は、アキュムレータ15へ流入する。アキュムレータ15へ流入した冷媒は、気液分離される。アキュムレータ15にて分離された気相冷媒は、圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
また、第2除湿暖房モードの熱媒体回路20では、内気暖房モードと同様に作動する。
また、第2除湿暖房モードの空調ユニット30では、図11の太線矢印で示すように、空気が各空気通路を流れる。
第1空気通路31aには、第1内気導入口35aを介して第4空気通路31dを流通した空気(具体的には、内気)が流入する。第1空気通路31aへ流入した空気は、第1熱交換器14aにて冷媒と熱交換して冷却されて除湿される。第1熱交換器14bにて冷却された空気は、第1室内流出口35bを介して第3空気通路31cへ流入する。
第2空気通路31bには、第2外気導入口323bを介して空気(具体的には、外気)が流入する。第2空気通路31bへ流入した空気は、内気暖房モードと同様に、第2熱交換器14bにて冷却されて車室外へ放出される。
第3空気通路31cへ流入した空気は、室内送風機37に吸入されてヒータコア22へ送風される。ヒータコア22へ流入した空気は、熱媒体と熱交換して再加熱される。ヒータコア22にて再加熱された空気は、車室内へ送風される。これにより、車室内の除湿暖房が実現される。
ここで、第2除湿暖房モードのヒートポンプサイクル10では、第2熱交換器14bにおける冷媒蒸発温度が0℃以下になってしまうことがある。さらに、第2除湿暖房モードが実行される際の外気の絶対湿度は、暖房モードが実行される際の外気の絶対湿度よりも高い。このため、第2除湿暖房モードでは、第2熱交換器14bに着霜が生じてしまう可能性が高い。
このような着霜は、第2熱交換器14bの空気通路を閉塞させてしまい、冷媒と外気との熱交換性能を著しく低下させてしまう。その結果、第2熱交換器14bに着霜が生じると、ヒートポンプサイクル10の空気の加熱能力が低下してしまう。
そこで、本実施形態の空調装置では、図12のフローチャートに示す制御ルーチンを実行して、第2熱交換器14bの除霜を行っている。なお、図12に示す制御ルーチンは、第2除湿暖房モードが実行されている際に、空調制御プログラムのサブルーチンとして所定の周期毎に実行される。
まず、図12のステップS11では、予め定めた着霜条件が成立したか否かが判定される。本実施形態では、第2除湿暖房モードの開始後、第2熱交換器温度Tefin2が基準着霜温度以下となっている時間が、基準着霜時間以上となった際に、着霜条件が成立したものとしている。具体的には、本実施形態では、基準着霜温度を-5℃とし、基準着霜時間を5分としている。
ステップS11にて、着霜条件が成立したと判定された際には、ステップS12へ進む。ステップS12では、第2除湿暖房モードから除霜モードへ切り替えられて、ステップS13へ進む。除霜モードの詳細については後述する。ステップS11にて、着霜条件が成立したと判定されない際には、メインルーチンへ戻る。
ステップS13では、除霜終了条件が成立したか否かが判定される。本実施形態では、除霜運転が継続されている時間が、基準着霜時間以上となった際に、除霜終了条件が成立したものとしている。具体的には、本実施形態では、基準着霜時間を3分としている。
ステップS13にて、除霜終了条件が成立したと判定された際には、ステップS14へ進む。ステップS14では、除霜モードから再び第2除湿暖房モードへ切り替えられて、メインルーチンへ戻る。ステップS13にて、除霜終了条件が成立したと判定されない際には、ステップS12へ進み、除霜モードが継続される。以下に、除霜モードの詳細について説明する。
(d)除霜モード
本実施形態の車両用空調装置1では、除霜モードとして、通常除霜モードおよび低内気温除霜モードを切り替えることができる。低内気温除霜モードは、内気温Trが基準除霜内気温KTr(本実施形態では、0℃)以下となっている際に実行される除霜モードである。
(d-1)通常除霜モード
通常除霜モードでは、制御装置40は、ヒートポンプサイクル10の圧縮機11の冷媒吐出能力を低下させる。すなわち、第2除湿暖房モードよりも第2熱交換器14bを流通する冷媒の流量を低下させる。但し、制御装置40は、圧縮機11を停止させることなく作動させている。
また、制御装置40は、第2熱交換器14bを流通する冷媒の温度が予め定めた基準除霜温度範囲となるように、第2膨張弁13bの作動を制御する。より詳細には、除霜モードでは、制御装置40は、第2熱交換器14bを流通する冷媒の温度が基準除霜温度範囲となるように、圧縮機11および第2膨張弁13bの作動を制御する。
本実施形態では、基準除霜温度範囲として、具体的に、-3℃以上、かつ、10℃以下を採用している。これは、第2熱交換器14bを除霜可能な冷媒の温度範囲として実験的に得られた値である。
また、制御装置40は、圧縮機11および第2膨張弁13bの作動に応じて、サイクル全体としての吸放熱量のバランスがとれるように、第1膨張弁13aの作動を制御する。
また、制御装置40は、内気暖房モードと同様に、熱媒体回路20の熱媒体ポンプ21、第1流量調整弁24a、および第2流量調整弁24bの作動を制御する。
また、制御装置40は、空調ユニット30の第1外気導入口323aを閉じ、第1内気導入口35aを開くように、第1入口側内外気切替装置32aの作動を制御する。つまり、第1入口側内外気切替装置32aは、内気を第1熱交換器14aへ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第1室外流出口333aを閉じ、第1室内流出口35bを開くように、第1出口側内外気切替装置33aの作動を制御する。つまり、第1出口側内外気切替装置33aは、第1熱交換器14aを通過した空気を車室内へ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第2外気導入口323bを閉じ、第2内気導入口35cを開くように、第2入口側内外気切替装置32bの作動を制御する。つまり、第2入口側内外気切替装置32bは、内気を第2熱交換器14bへ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第2室外流出口333bを閉じ、第2室内流出口35dを開くように、第2出口側内外気切替装置33bの作動を制御する。つまり、第2出口側内外気切替装置33bは、第2熱交換器14bを通過した空気を車室内へ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、外気導入装置32c、加熱部入口側切替装置34aおよび加熱部出口側切替装置34bの作動を制御する。また、制御装置40は、放出用送風機36を停止させる。また、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、室内送風機37の作動を制御する。
従って、通常除霜モードのヒートポンプサイクル10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、水-冷媒熱交換器12の冷媒通路へ流入する。この際、高圧冷媒の温度は、第2除湿暖房モードよりも低くなる。このため、水-冷媒熱交換器12の冷媒通路へ流入した冷媒は、熱媒体に殆ど放熱することなく冷媒通路から流出する。
水-冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出した冷媒は、第1膨張弁13aへ流入して減圧される。第1膨張弁13aにて減圧された低圧冷媒は、第1熱交換器14aへ流入する。
第1熱交換器14aへ流入した冷媒は、空調ユニット30の第1内気導入口35aから第1空気通路31aへ流入した空気(具体的には、内気)と熱交換する。第1熱交換器14aでは、サイクル全体としての吸放熱量のバランスがとれるように、冷媒が放熱あるいは吸熱する。
第1熱交換器14aから流出した冷媒は、第2膨張弁13bへ流入して減圧される。この際、第2膨張弁13bの絞り開度は、第2熱交換器14bを流通する冷媒の温度が基準除霜温度範囲となるように調整される。第2膨張弁13bにて減圧された低圧冷媒は、第2熱交換器14bへ流入する。
第2熱交換器14bでは、冷媒が霜に放熱する。これにより、霜が融解して、第2熱交換器14bの除霜が進行する。第2熱交換器14bから流出した冷媒は、アキュムレータ15へ流入する。アキュムレータ15へ流入した冷媒は、気液分離される。アキュムレータ15にて分離された気相冷媒は、圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
また、通常除霜モードの熱媒体回路20では、内気暖房モードと同様に作動する。
また、通常除霜モードの空調ユニット30では、図13の太線矢印で示すように、空気が各空気通路を流れる。
第1空気通路31aには、第1内気導入口35aを介して空気(具体的には、内気)が流入する。第1空気通路31aへ流入した空気は、第1熱交換器14aにて冷媒と熱交換する。第1熱交換器14bにて冷媒と熱交換した空気は、第1室内流出口35bを介して第3空気通路31cへ流入する。
第2空気通路31bには、第2内気導入口35cを介して第4空気通路31dを流通した空気(具体的には、内気)が流入する。第2空気通路31bへ流入した比較的高温の内気は、第2熱交換器14bの霜に放熱する。これにより、霜が融解して、第2熱交換器14bの除霜が進行する。
さらに、第2空気通路31bへ流入した空気は、霜によって0℃近くまで冷却されて除湿される。第2熱交換器14bを通過した空気は、第2室内流出口35dを介して第3空気通路31cへ流入する。
第3空気通路31cへ流入した空気は、室内送風機37に吸入されてヒータコア22へ送風される。ヒータコア22へ流入した空気は、熱媒体と熱交換して再加熱される。ヒータコア22にて再加熱された空気は、車室内へ送風される。これにより、第2熱交換器14bの除霜および車室内の除湿暖房が実現される。
(d-2)低内気温除霜モード
低内気温除霜モードでは、制御装置40は、予め定めた低内気温除霜モード用の基準吐出能力を発揮するように圧縮機11の作動を制御する。
また、制御装置40は、第1膨張弁13aを絞り状態とする。より具体的には、制御装置40は、第1熱交換器14aおよび第2熱交換器14bを流通する冷媒の温度が基準除霜温度範囲となるように第1膨張弁13aの作動を制御する。また、制御装置40は、第2膨張弁13bを全開状態とする。
また、制御装置40は、内気暖房モードと同様に、熱媒体回路20の熱媒体ポンプ21、第1流量調整弁24a、および第2流量調整弁24bの作動を制御する。
また、制御装置40は、空調ユニット30の第1内気導入口35aを閉じるように、第1入口側内外気切替装置32aの作動を制御する。なお、低内気温除霜モードでは、図14に示すように、第1入口側内外気切替装置32aが、第1外気導入口323aを閉じていることが望ましいが、第1外気導入口323aを開いてもよい。
また、制御装置40は、第1室内流出口35bを開くように、第1出口側内外気切替装置33aの作動を制御する。なお、低内気温除霜モードでは、図14に示すように、第1出口側内外気切替装置33aが、第1室外流出口333aを閉じていることが望ましいが、第1室外流出口333aを開いてもよい。
また、制御装置40は、第2外気導入口323bを閉じ、第2内気導入口35cを開くように、第2入口側内外気切替装置32bの作動を制御する。つまり、第2入口側内外気切替装置32bは、内気を第2熱交換器14bへ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第2室外流出口333bを閉じ、第2室内流出口35dを開くように、第2出口側内外気切替装置33bの作動を制御する。つまり、第2出口側内外気切替装置33bは、第2熱交換器14bを通過した空気を車室内へ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第3外気導入口323cを閉じるように、外気導入装置32cの作動を制御する。また、制御装置40は、加熱部入口側開口部35eを閉じるように、加熱部入口側切替装置34aの作動を制御する。
また、制御装置40は、加熱部出口側開口部35fを開くように、加熱部出口側切替装置34bの作動を制御する。つまり、加熱部出口側切替装置34bは、ヒータコア22にて加熱された空気を、車室内を迂回させて第4空気通路31d側へ流入させる通風路に切り替える。
また、制御装置40は、放出用送風機36を停止させる。また、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、室内送風機37の作動を制御する。
従って、低内気温除霜モードのヒートポンプサイクル10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、水-冷媒熱交換器12の冷媒通路へ流入する。水-冷媒熱交換器12では、熱媒体が加熱される。水-冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出した冷媒は、第1膨張弁13aへ流入して減圧される。第1膨張弁13aにて減圧された低圧冷媒は、第1熱交換器14aへ流入する。
低内気温除霜モードでは、第1熱交換器14aに空気を流通させない。このため、第1熱交換器14aへ流入した冷媒は、殆ど空気と熱交換することなく第1熱交換器14aから流出していく。第1熱交換器14aから流出した冷媒は、全開となっている第2膨張弁13bを介して第2熱交換器14bへ流入する。
第2熱交換器14bでは、冷媒が霜に放熱する。これにより、霜が融解して、第2熱交換器14bの除霜が進行する。第2熱交換器14bから流出した冷媒は、アキュムレータ15へ流入する。アキュムレータ15へ流入した冷媒は、気液分離される。アキュムレータ15にて分離された気相冷媒は、圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
また、低内気温除霜モードの熱媒体回路20では、内気暖房モードと同様に作動する。
また、低内気温除霜モードの空調ユニット30では、図14の太線矢印で示すように、空気が各空気通路を流れる。
第2空気通路31bには、第2内気導入口35cを介して第4空気通路31dを流通した空気が流入する。第2空気通路31bへ流入した空気は霜に放熱する。これにより、第2熱交換器14bの除霜が進行する。さらに、第2空気通路31bへ流入した空気が霜によって0℃近くまで冷却されて除湿される。第2熱交換器14bを通過した空気は、第2室内流出口35dを介して第3空気通路31cへ流入する。
第3空気通路31cへ流入した空気は、室内送風機37に吸入されてヒータコア22へ送風される。ヒータコア22へ流入した空気は、熱媒体と熱交換して再加熱される。ヒータコア22にて加熱された空気の少なくとも一部は、加熱部出口側切替装置34bが加熱部出口側開口部35fを開いているので、車室内へ送風されることなく、第4空気通路31dへ流入する。
第4空気通路31dへ流入した比較的温度の高い空気は、第2内気導入口35cを介して再び第2空気通路31bへ導かれる。これにより、第2熱交換器14bの除霜が実現される。
以上の如く、本実施形態の車両用空調装置1によれば、運転モードを切り替えることによって、車室内の快適な空調を実現することができる。
より詳細には、本実施形態の第2除湿暖房モードでは、第1出口側内外気切替装置33aが、第1熱交換器14aを通過した空気を車室内へ導く通風路に切り替える。さらに、ヒータコア22が、第1熱交換器14aを通過した空気を加熱する。従って、第1熱交換器14aにて冷却されて除湿された空気をヒータコア22にて再加熱して車室内へ導くことで、車室内の除湿暖房を行うことができる。
さらに、第2除湿暖房モードでは、第2入口側内外気切替装置32bが、外気を第2熱交換器14bへ導く通風路に切り替える。第2出口側内外気切替装置33bが、第2熱交換器14bを通過した空気を車室外へ導く通風路に切り替える。従って、第2熱交換器14bにて冷媒が外気から吸熱した熱を熱源として、ヒータコア22にて空気を確実に再加熱することができる。
ところが、第2除湿暖房モードでは、前述の如く、第2熱交換器14bに着霜が生じてしまう可能性が高い。
これに対して、本実施形態の通常除霜モードでは、第2入口側内外気切替装置32bが、内気を第2熱交換器14bへ導く通風路に切り替える。従って、比較的高温となっている内気の有する熱を利用して、第2熱交換器14bへの除霜を行うことができる。
同時に、通常除霜モードでは、第2除湿暖房モードよりも第2熱交換器14bを流通する冷媒の流量を低減させることによって第2熱交換器14bを流通する冷媒の温度を、基準除霜温度範囲内に維持している。従って、効果的に第2熱交換器14bの除霜を行うことができる。
その結果、本実施形態の車両用空調装置1によれば、第2熱交換器14bの除霜を行うためにヒートポンプサイクル10にて消費されるエネルギ(具体的には、圧縮機11にて消費される電力)を低減することができる。
また、本実施形態の通常除霜モードでは、圧縮機11を作動させるので、ヒートポンプサイクル10内に冷媒を循環させ、第2熱交換器14b内に冷媒を流通させることができる。これにより、通常除霜モード時に第2熱交換器14bの均温化が促進されるので、より一層、効果的に第2熱交換器14bの除霜を行うことができる。
さらに、本実施形態では、第2熱交換器14bとして、タンクアンドチューブ型の熱交換器を採用している。さらに、冷媒チューブの長手方向が上下方向に延びる成分を有するように、第2熱交換器14bを配置している。これによれば、融解した霜を下方側に落下させて、除霜を促進することができる。そして、除霜時間を短縮化することができる。
また、本実施形態の通常除霜モードでは、第2出口側内外気切替装置33bが第2熱交換部14bを通過した空気を車室内へ導く通風路に切り替える。従って、ヒータコア22にて第2熱交換部14bを通過した空気を再加熱して、車室内の除湿暖房を行うことができる。
この際、通常除霜モードでは、圧縮機11の冷媒吐出能力を低下させるため、水-冷媒熱交換器12における熱媒体の加熱能力が低下する。従って、一時的にヒータコア22における空気の加熱能力も低下してしまう可能性がある。
これに対して、本実施形態の通常除霜モードでは、熱媒体回路20を循環する熱媒体に蓄えられた熱を利用して、ヒータコア22にて空気の加熱を継続することができる。従って、通常除霜モード時に、乗員の暖房感の悪化を抑制することができる。
さらに、本実施形態の車両用空調装置1では、図12のフローチャートで説明したように、第2除湿暖房モードと通常除霜モードとを連続的に切り替えている。従って、車室内の除湿暖房を連続的に行うことができ、乗員の暖房感の悪化をより一層抑制することができる。
また、本実施形態の車両用空調装置1では、冷房モードの運転を行うことができる。冷房モードでは、第1入口側内外気切替装置32aが、外気を第1熱交換器14aへ導く通風路に切り替える。第1出口側内外気切替装置33aが、第1熱交換器14aを通過した空気を車室外へ導く通風路に切り替える。
さらに、第2入口側内外気切替装置32bが、内気および外気の少なくとも一方を第2熱交換器14bへ導く通風路に切り替える。第2出口側内外気切替装置33bが、第2熱交換器14bを通過した空気を車室内へ導く通風路に切り替える。従って、第1熱交換器14aにて冷却された空気を車室内へ導くことで、車室内の冷房を行うことができる。
また、本実施形態の車両用空調装置1では、加熱部出口側切替装置34bを備えている。そして、低内気温除霜モードでは、加熱部出口側切替装置34bがヒータコア22にて加熱された空気を第4空気通路31dを介して、第2空気通路31bの第2熱交換器14bへ流入させる。
これによれば、内気温Trが低く、内気の有する熱を利用して第2熱交換器14bの除霜を行うことができない場合であっても、第2熱交換器14bの除霜を行うことができる。
また、本実施形態の車両用空調装置1では、換気暖房モードの運転を行うことができる。換気暖房モードでは、第1入口側内外気切替装置32aが、内気を第1熱交換器14aへ導く通風路に切り替える。さらに、第1出口側内外気切替装置33aが、第1熱交換器14aを通過した空気を車室外へ導く通風路に切り替える。
これによれば、第1熱交換器14aにて、外気よりも温度の高い内気の有する熱を冷媒に吸熱させることができる。従って、内気暖房モードおよび外気暖房モードよりも、ヒータコア22における送風空気の加熱能力を増大させることができる。また、第2熱交換器14bにて、冷媒が外気から吸熱する吸熱量を低下させることができる。従って、第2熱交換器14bに着霜が生じることを抑制することができる。
さらに、本実施形態では、換気暖房モード時に、第1熱交換器14aにおける冷媒蒸発温度が、内気よりも低い温度であって、第1熱交換器14aに着霜を生じさせない温度に調整されている。従って、冷媒に内気の有する熱を確実に吸熱させることができる。さらに、第1熱交換器14aに着霜を生じさせてしまうこともない。
また、本実施形態の車両用空調装置1は、外気導入装置32cを備えている。従って、換気暖房モード時に、外気導入装置32cが第3空気通路31cへ外気を導入する通風路に切り替えることができる。さらに、第2出口側内外気切替装置33bが第2熱交換器14bを通過した空気を車室外へ導く通風路に切り替えることができる。
これによれば、第2熱交換器14bにて、外気の有する熱を冷媒に吸熱させることができる。従って、より一層、送風空気の加熱能力を増大させることができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、図15に示すように、第1実施形態に対して、車両用空調装置1の構成を変更した例を説明する。具体的には、本実施形態の車両用空調装置1では、熱媒体回路20が廃止されている。また、本実施形態のヒートポンプサイクル10では、水-冷媒熱交換器12に代えて、室内凝縮器12aを備えている。
室内凝縮器12aは、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と室内送風機37から車室内へ送風される空気とを熱交換させる。室内凝縮器12aでは、高圧冷媒の有する熱を空気に放熱させて空気を加熱することができる。
室内凝縮器12aは、第1実施形態で説明したヒータコア22と同様に、空調ユニット30のケーシング31内に形成された第3空気通路31c内に配置されている。つまり、本実施形態の室内凝縮器12aは、高圧冷媒を熱源として空気を加熱する加熱部を構成している。その他の車両用空調装置1の構成は第1実施形態と同様である。
次に、上記構成の本実施形態の作動について説明する。本実施形態の車両用空調装置1では、室内凝縮器12aにて冷媒と空気とを熱交換させることによって、実質的に、第1実施形態と同様の暖房モード、除湿暖房モード、および除霜モードを実行することができる。
従って、本実施形態の車両用空調装置1においても、第1実施形態と同様に、第2熱交換器14bの除霜を行うためにヒートポンプサイクル10にて消費されるエネルギを低減することができる。
ここで、本実施形態の車両用空調装置1では、熱媒体回路20が廃止されている。従って、第2除湿暖房モードから通常除霜モードへ切り替えた際に、熱媒体に蓄えられた熱を利用して空気を加熱することができない。このため、第2除湿暖房モードと通常除霜モードとを連続的に切り替えた際に、乗員の暖房感が悪化してしまう可能性がある。
これに対して、本実施形態では、冷媒と空気とを直接熱交換させる室内凝縮器12aを採用しているので、車室内の空気を加熱する際の即効性が高い。従って、第2除湿暖房モードと通常除霜モードとを切り替える周期を短縮化させることで、乗員の暖房感の悪化を抑制することができる。
(第3実施形態)
本実施形態では、図16に示すように、第1実施形態に対して、ヒートポンプサイクル10の構成を変更した例を説明する。具体的には、本実施形態のヒートポンプサイクル10は、冷媒バイパス通路16および開閉弁16aを備えている。
冷媒バイパス通路16は、第1熱交換器14aから流出した冷媒を、第2膨張弁13bおよび第2熱交換器14bを迂回させて、アキュムレータ15の入口側へ導く冷媒通路である。開閉弁16aは、冷媒バイパス通路16を開閉する電磁弁である。開閉弁16aは、制御装置40から出力される制御電圧によって、その作動が制御される。その他の車両用空調装置1の構成は第1実施形態と同様である。
次に、上記構成の本実施形態の作動について説明する。本実施形態の車両用空調装置1では、制御装置40が開閉弁16aを閉じることによって、第1実施形態と同様の冷房モード、暖房モード、除湿暖房モード、および除霜モードを実行することができる。さらに、本実施形態では、制御装置40が開閉弁16aを開くことによって、吸熱除霜モードを実行することができる。以下に、吸熱除霜モードについて説明する。
(d-3)吸熱除霜モード
吸熱除霜モードでは、制御装置40は、第2除湿暖房モードと同様に、ヒートポンプサイクル10の圧縮機11の作動を制御する。また、制御装置40は、第1膨張弁13aを絞り状態とする。より具体的には、制御装置40は、第1熱交換器14aにおける冷媒蒸発圧力が外気温Tamよりも低くなるように、第1膨張弁13aの作動を制御する。
また、制御装置40は、第2膨張弁13bを全閉状態とする。また、制御装置40は、開閉弁16aを開く。
また、制御装置40は、通常除霜モードと同様に、熱媒体回路20の熱媒体ポンプ21、第1流量調整弁24a、および第2流量調整弁24bの作動を制御する。
また、制御装置40は、空調ユニット30の第1外気導入口323aを開き、第1内気導入口35aを閉じるように、第1入口側内外気切替装置32aの作動を制御する。つまり、第1入口側内外気切替装置32aは、外気を第1熱交換器14aへ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第1室外流出口333aを開き、第1室内流出口35bを閉じるように、第1出口側内外気切替装置33aの作動を制御する。つまり、第1出口側内外気切替装置33aは、第1熱交換器14aを通過した空気を車室外へ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、通常除霜モードと同様に、第2入口側内外気切替装置32bおよび第2出口側内外気切替装置33bの作動を制御する。また、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、外気導入装置32c、加熱部入口側切替装置34aおよび加熱部出口側切替装置34bの作動を制御する。また、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、放出用送風機36および室内送風機37の作動を制御する。
従って、吸熱除霜モードのヒートポンプサイクル10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、水-冷媒熱交換器12の冷媒通路へ流入する。水-冷媒熱交換器12では、熱媒体が加熱される。水-冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出した冷媒は、第1膨張弁13aへ流入して減圧される。第1膨張弁13aにて減圧された低圧冷媒は、第1熱交換器14aへ流入する。
第1熱交換器14aへ流入した冷媒は、空調ユニット30の第1外気導入口323aから第1空気通路31aへ流入した空気(具体的には、外気)と熱交換する。第1熱交換器14aでは、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。
第1熱交換器14aから流出した冷媒は、開閉弁16aが開いているので、冷媒バイパス通路16を介して、アキュムレータ15へ流入する。アキュムレータ15へ流入した冷媒は、気液分離される。アキュムレータ15にて分離された気相冷媒は、圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
また、吸熱除霜モードの熱媒体回路20では、通常除霜モードと同様に作動する。
また、吸熱除霜モードの空調ユニット30では、図17の太線矢印で示すように、空気が各空気通路を流れる。
第1空気通路31aには、第1外気導入口323aを介して空気(具体的には、外気)が流入する。第1空気通路31aへ流入した空気は、内気暖房モードと同様に、第1熱交換器14aにて冷却されて車室外へ放出される。
第2空気通路31bには、第2内気導入口35cを介して第4空気通路31dを流通した空気(具体的には、内気)が流入する。第2空気通路31bへ流入した比較的高温の内気は霜に放熱する。これにより、霜が融解して、第2熱交換器14bの除霜が進行する。さらに、第2空気通路31bへ流入した空気は、霜によって0℃近くまで冷却されて除湿される。第2熱交換器14bを通過した空気は、第2室内流出口35dを介して第3空気通路31cへ流入する。
第3空気通路31cへ流入した空気は、室内送風機37に吸入されてヒータコア22へ送風される。ヒータコア22へ流入した空気は、熱媒体と熱交換して再加熱される。ヒータコア22にて再加熱された空気は、車室内へ送風される。これにより、第2熱交換器14bの除霜および車室内の除湿暖房が実現される。
本実施形態の車両用空調装置1では、以上の如く作動するので、第1実施形態と同様に、第2熱交換器14bの除霜を行うためにヒートポンプサイクル10にて消費されるエネルギを低減することができる。
さらに、本実施形態の車両用空調装置1では、吸熱除霜モードの運転を行うことができる。吸熱除霜モードでは、第1熱交換部14aにて冷媒が外気から吸熱した熱を熱源として、水-冷媒熱交換器12にて熱媒体を加熱することができる。従って、吸熱除霜モードでは、通常除霜モードよりも、熱媒体の加熱能力の低下を抑制することができ、乗員の暖房感の悪化をより一層抑制することができる。
ここで、吸熱除霜モードでは、第1熱交換器14aにおける冷媒蒸発温度が0℃以下になってしまうことがある。このため、吸熱除霜モードでは、第1熱交換器14aに着霜が生じてしまうことがある。従って、第2熱交換器14bの除霜が完了する前に、第1熱交換器14aに着霜が生じてしまう運転条件では、吸熱除霜モードから通常除霜モードに切り替えてもよい。
(第4実施形態)
本実施形態では、図18に示すように、第1実施形態に対して、ヒートポンプサイクル10の構成を変更した例を説明する。具体的には、本実施形態のヒートポンプサイクル10では、アキュムレータ15に代えて、レシーバ17を備えている。
レシーバ17は、水-冷媒熱交換器12の冷媒通路の出口から第1膨張弁13aの入口へ至る冷媒流路に配置されている。レシーバ17は、水-冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出した冷媒の気液を分離して、分離された液相冷媒をサイクル内の余剰冷媒として貯える高圧側の貯液部である。その他の車両用空調装置1の構成は第1実施形態と同様である。
次に、上記構成の本実施形態の作動について説明する。本実施形態では、各運転モードにおいて、第2蒸発器14bの出口側の冷媒の過熱度が予め定めた基準過熱度(本実施形態では、3℃)となるように、第1膨張弁13aおよび第2膨張弁13bの少なくとも一方の絞り開度が調整される。その他の基本的作動は、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態の車両用空調装置1では、実質的に、第1実施形態と同様の暖房モード、除湿暖房モード、および除霜モードを実行することができる。
さらに、内気冷房モードあるいは外気冷房モードでは、制御装置40は、第1膨張弁13aを全開状態とする。また、制御装置40は、第2膨張弁13bを冷媒減圧作用を発揮する絞り状態とする。この際、制御装置40は、第2蒸発器14bの出口側の冷媒の過熱度が基準過熱度に近づくように第2膨張弁13bの作動を制御する。
従って、内気冷房モードあるいは外気冷房モードのヒートポンプサイクル10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、第1実施形態と同様に、水-冷媒熱交換器12にて、冷媒が熱媒体に放熱して凝縮する。これにより、熱媒体が加熱される。
水-冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出した冷媒は、レシーバ17へ流入して気液分離される。レシーバ17にて分離された液相冷媒の一部は、第1膨張弁13aを介して、第1熱交換器14aへ流入する。
第1熱交換器14aへ流入した液相冷媒は、空調ユニット30の第1外気導入口323aから第1空気通路31aへ流入した空気(具体的には、外気)と熱交換する。第1熱交換器14aでは、液相冷媒が過冷却される。第1熱交換器14aから流出した冷媒は、第2膨張弁13bへ流入して減圧される。第2膨張弁13bにて減圧された低圧冷媒は、第2熱交換器14bへ流入する。
第2熱交換器14bへ流入した冷媒は、空調ユニット30の第2空気通路31bへ流入した空気と熱交換する。第2熱交換器14bでは、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。これにより、第2空気通路31bを流通する空気が冷却される。さらに、第2熱交換器14bの出口側の冷媒が過熱度を有する気相冷媒となる。
第2熱交換器14bから流出した過熱度を有する気相冷媒は、圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
また、熱媒体回路20および空調ユニット30では、第1実施形態と同様に作動する。従って、空調ユニット30では、第2熱交換器14bにて冷却された空気が、第1実施形態と同様に、車室内へ送風される。これにより、車室内の冷房が実現される。
本実施形態の車両用空調装置1では、以上の如く作動するので、第1実施形態と同様に、第2熱交換器14bの除霜を行うためにヒートポンプサイクル10にて消費されるエネルギを低減することができる。
さらに、本実施形態の車両用空調装置1では、内気冷房モードあるいは外気冷房モード時に、第1熱交換器14aにて冷媒を過冷却することができる。従って、第2熱交換器14bの入口側の冷媒のエンタルピから出口側の冷媒のエンタルピを減算したエンタルピ差を拡大することができる。その結果、第2熱交換器14bにおける空気の冷却能力を向上させることができる。
(第5実施形態)
本実施形態では、図19に示すように、第4実施形態に対して、ヒートポンプサイクル10の構成を変更した例を説明する。
本実施形態のヒートポンプサイクル10では、第1熱交換器14aおよび第2熱交換器14bとして、熱交換能力が異なるものを採用している。より具体的には、第1熱交換器14aおよび第2熱交換器14bとして、熱交換面積の異なるものを採用している。本実施形態では、第1熱交換器14aの熱交換面積が、第2熱交換器14bの熱交換面積よりも小さくなっている。
ここで、熱交換器における熱交換面積とは、空気の流れ方向から見たときの熱交換コア部の正面面積(換言すると、投影面積)を意味する。熱交換器では、熱交換面積の増加に伴って、熱交換性能が向上する。本実施形態の第1熱交換器14aおよび第2熱交換器14bにおける熱交換面積は、矩形状に形成されている。その他の車両用空調装置1の構成および作動は、第1実施形態と同様である。
次に、上記構成の本実施形態の作動について説明する。本実施形態の車両用空調装置1では、第1実施形態と同様の冷房モード、暖房モード、除湿暖房モード、除霜モードを実行することができる。従って、本実施形態の車両用空調装置1においても、第1実施形態と同様に、第2熱交換器14bの除霜を行うためにヒートポンプサイクル10にて消費されるエネルギを低減することができる。
さらに、本実施形態の車両用空調装置1では、第2熱交換器14bにて冷媒が低温の外気から吸熱する運転モード時に、熱交換面積の大きい第2熱交換器14bにおける冷媒の吸熱量を増加させることができる。具体的には、内気暖房モード、外気暖房モード、換気暖房モード、および第2除湿暖房モード時に、第2熱交換器14bにおける冷媒の吸熱量を増加させて、車室内の暖房能力を増加させることができる。
ここで、第1除湿暖房モードでは、第1熱交換器14aにて冷媒が外気から吸熱する。第1除湿暖房モードは、第2除湿暖房モード等よりも外気温Tamが高くなっている際に実行される運転モードなので、空気の再加熱のために必要とされる熱量が第2除湿暖房モード等よりも少なくなる。従って、第1除湿暖房モード時に、第1熱交換器14aの熱交換面積が小さくなっていても、車室内の暖房能力が不足してしまうことはない。
また、本実施形態の車両用空調装置1では、内気冷房モード時あるいは外気冷房モード時に、第4実施形態と同様に、第1熱交換器14aにて液相冷媒が過冷却される。本実施形態では、第1熱交換器14aの熱交換面積が第2熱交換器14bの熱交換面積よりも小さくなっている。従って、第1熱交換器14aに貯まる液相冷媒量を低減させて、ヒートポンプサイクル10内の冷媒封入量を低減することができる。
(第6実施形態)
本実施形態では、図20に示すように、第5実施形態に対して、ヒートポンプサイクル10の構成を変更した例を説明する。具体的には、本実施形態のヒートポンプサイクル10は、第3膨張弁13c、冷却用バイパス通路18および冷却器18aを備えている。
冷却用バイパス通路18は、第1熱交換器14aから流出した冷媒を、第2膨張弁13bおよび第2熱交換器14bを迂回させて、圧縮機11の吸入側へ導く冷媒通路である。
第3膨張弁13cは、第1熱交換器14aの冷媒通路から流出した冷媒を減圧させる第3減圧部である。第3膨張弁13cは、冷却用バイパス通路18に配置されている。さらに、第3膨張弁13cは、冷却器18aへ流入させる冷媒の流量を調整する第2流量調整部である。第3膨張弁13cの基本的構成は、第1膨張弁13aおよび第2膨張弁13bと同様である。
冷却器18aは、第3膨張弁13cにて減圧された冷媒と冷却対象物とを熱交換させる。冷却器18aでは、冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させることによって、冷却対象物を冷却することができる。本実施形態の冷却対象物は、電動モータ等に電力を供給するバッテリである。
本実施形態のバッテリは、複数の電池セルを電気的に直列的あるいは並列的に接続することによって形成された組電池である。電池セルは、充放電可能な二次電池(本実施形態では、リチウムイオン電池)である。バッテリは、複数の電池セルを略直方体形状となるように積層配置して専用ケースに収容したものである。
冷却器18aは、バッテリの専用ケースに冷媒通路を形成することによって、専用ケースに一体的に形成されている。その他の車両用空調装置1の構成は第1実施形態と同様である。
次に、上記構成の本実施形態の作動について説明する。本実施形態の車両用空調装置1では、制御装置40が第3膨張弁13cを全閉状態とすることによって、第1実施形態と同様の冷房モード、暖房モード、除湿暖房モード、および除霜モードを実行することができる。
従って、本実施形態の車両用空調装置1においても、第1実施形態と同様に、第2熱交換器14bの除霜を行うためにヒートポンプサイクル10にて消費されるエネルギを低減することができる。
さらに、本実施形態の車両用空調装置1では、内気冷房モードあるいは外気冷房モード時に、制御装置40が第3膨張弁13cを絞り状態とすることで、冷却対象物であるバッテリを冷却することができる。
(第7実施形態)
図21~図23を用いて、車両用空調装置1aについて説明する。車両用空調装置1aは、ヒートポンプサイクル101、熱媒体回路20、空調ユニット301、制御装置40等を備えている。本実施形態のヒートポンプサイクル101は、図21等に示すように、圧縮機11、水-冷媒熱交換器12、レシーバ17、膨張弁13d、熱交換器14c等を有している。
膨張弁13dは、レシーバ17から流出した液相冷媒を減圧させる減圧部である。さらに、膨張弁13dは、下流側へ流出させる冷媒の流量を調整する流量調整部である。膨張弁13dの基本的構成は、第1膨張弁13a等と同様である。
膨張弁13dの出口には、熱交換器14cの冷媒入口側が接続されている。熱交換器14cは、膨張弁13dから流出した冷媒と空気とを熱交換させる熱交換部である。熱交換器14cの基本的構成は、第1熱交換器14a等と同様である。熱交換器14cの冷媒出口には、圧縮機11の吸入口側が接続されている。
その他のヒートポンプサイクル10の構成は、第1実施形態で説明したヒートポンプサイクル10と同様である。また、本実施形態の熱媒体回路20は、第1実施形態で説明した熱媒体回路20と同様である。本実施形態のヒータコア22は、空調ユニット301のケーシング311内に形成された加熱部側空気通路31f内に配置されている。
次に、空調ユニット301について説明する。空調ユニット301は、第1実施形態と同様に、ケーシング311を有している。ケーシング311の内部には、熱交換部側空気通路31eと加熱部側空気通路31fが形成されている。熱交換部側空気通路31eと加熱部側空気通路31fは、少なくとも一部が隣接配置されている。
熱交換部側空気通路31e内には、熱交換器14cが配置されている。従って、熱交換部側空気通路31eは、熱交換器14cへ流入する空気、および熱交換器14cを通過した空気を流通させる空気通路である。
熱交換部側空気通路31eの空気流れ最上流側には、熱交換部入口側内外気切替部である熱交換部入口側内外気切替装置32eが配置されている。熱交換部入口側内外気切替装置32eは、熱交換器14cへ流入させる空気として、内気を熱交換器14cの入口側へ導く通風路と、外気を熱交換器14cの入口側へ導く通風路とを切り替える。
熱交換部入口側内外気切替装置32eは、熱交換部入口側ドア321eを有している。熱交換部入口側ドア321eは、熱交換部側空気通路31eへ外気を導入する外気導入口と熱交換部側空気通路31eへ内気を導入する内気導入口との開口比率を連続的に変化させる。
熱交換部入口側ドア321eは、図示しない熱交換部入口側電動アクチュエータによって駆動される。熱交換部入口側電動アクチュエータは、制御装置40から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
熱交換部側空気通路31eの熱交換部14cよりも空気流れ下流側には、熱交換部出口側内外気切替部である熱交換部出口側内外気切替装置33eが配置されている。熱交換部出口側内外気切替装置33eは、ケーシング311の熱交換部側空気通路31eと加熱部側空気通路31fとを仕切る部位に配置されている。
熱交換部出口側内外気切替装置33eは、熱交換部出口側内外気切替装置33eは、熱交換部14cを通過した空気を、加熱部側空気通路31fを介して車室内へ導く通風路と、熱交換部14cを通過した空気を車室外へ導く通風路とを切り替える。
熱交換部出口側内外気切替装置33eは、熱交換部出口側ドア331eを有している。熱交換部出口側ドア331eは、熱交換部出口側開口部35gの開度を連続的に変化させる。熱交換部出口側開口部35gは、熱交換部側空気通路31eと加熱部側空気通路31fとを連通させる。
熱交換部出口側開口部35gは、加熱部側空気通路31fのうち、ヒータコア22よりも空気流れ上流側の部位に形成されている。従って、ヒータコア22では、熱交換器14cを通過した空気であって、熱交換部出口側開口部35gから加熱部側空気通路31fへ流入した空気を加熱可能に配置されている。
熱交換部出口側ドア331eは、図示しない加熱部入口側電動アクチュエータに連結されている。熱交換部出口側ドア331eは、熱交換部入口側電動アクチュエータによって駆動される。熱交換部入口側電動アクチュエータは、制御装置40から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
加熱部側空気通路31f内には、ヒータコア22が配置されている。従って、加熱部側空気通路31fは、ヒータコア22へ流入する空気、およびヒータコア22を通過した空気を流通させる空気通路である。
加熱部側空気通路31fの空気流れ最上流側には、加熱部入口側内外気切替部である加熱部入口側内外気切替装置32fが配置されている。加熱部入口側内外気切替装置32fは、ヒータコア22へ流入させる空気として、内気をヒータコア22の入口側へ導く通風路と、外気をヒータコア22の入口側へ導く通風路とを切り替える。
加熱部入口側内外気切替装置32fは、加熱部入口側ドア321fを有している。加熱部入口側ドア321fは、加熱部側空気通路31fへ外気を導入する外気導入口と加熱部側空気通路31fへ内気を導入する内気導入口との開口比率を連続的に変化させる。
加熱部入口側ドア321fは、図示しない加熱部入口側電動アクチュエータによって駆動される。加熱部入口側電動アクチュエータは、制御装置40から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
ケーシング311の加熱部側空気通路31fのヒータコア22よりも下流側には、第1実施形態の空調ユニット30と同様に、図示しないフェイス開口穴、フット開口穴、およびデフロスタ開口穴が形成されている。また、ケーシング311の各室外流出口の下流側には、第1実施形態と同様の放出用送風機36が配置されている。また、ケーシング311の室内流出口の下流側には、第1実施形態と同様の室内送風機37が配置されている。
その他の車両用空調装置1aの基本的構成は、第1実施形態で説明した車両用空調装置1と同様である。
次に、上記構成の本実施形態の車両用空調装置1aの作動について説明する。車両用空調装置1aは、車室内の空調を行うために、暖房モードおよび除霜モードの運転モードを切り替えることができる。
(b)暖房モード
車両用空調装置1aでは、暖房モードとして、内気暖房モードと外気暖房モードとを切り替えることができる。
(b-1)内気暖房モード
内気冷房モードでは、制御装置40は、ヒートポンプサイクル10の圧縮機11を作動させる。より具体的には、第1実施形態の内気暖房モードと同様に、高圧圧力Pdが、目標高圧PDOに近づくように、圧縮機11の冷媒吐出能力を制御する。また、制御装置40は、第4実施形態と同様に、熱交換器14cの出口側の冷媒の過熱度が基準過熱度となるように、膨張弁13dの絞り開度を調整する。
また、制御装置40は、予め定めた基準圧送能力を発揮するように、熱媒体回路20の熱媒体ポンプ21を作動させる。さらに、制御装置40は、第1実施形態の内気暖房モードと同様に、第1流量調整弁24aおよび第2流量調整弁24bの作動を制御する。
また、制御装置40は、熱交換部入口側内外気切替装置32eの作動を制御して、外気を熱交換器14cへ導く通風路に切り替える。また、制御装置40は、熱交換部出口側内外気切替装置33eの作動を制御して、熱交換器14cを通過した空気を車室外へ導く通風路に切り替える。また、制御装置40は、加熱部入口側内外気切替装置32fの作動を制御して、内気をヒータコア22へ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第1実施形態の内気暖房モードと同様に、放出用送風機36および室内送風機37の作動を制御する。
従って、内気暖房モードのヒートポンプサイクル101では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、水-冷媒熱交換器12の冷媒通路へ流入する。水-冷媒熱交換器12の冷媒通路へ流入した高圧冷媒は、熱媒体通路を流通する熱媒体と熱交換する。水-冷媒熱交換器12では、冷媒が熱媒体へ放熱して凝縮する。これにより、熱媒体が加熱される。
水-冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出した冷媒は、レシーバ17へ流入して気液分離される。レシーバ17にて分離された液相冷媒の一部は、膨張弁13dへ流入して減圧される。膨張弁13dにて減圧された低圧冷媒は、熱交換器14cへ流入する。
熱交換器14cへ流入した冷媒は、熱交換部側空気通路31eへ流入した空気(具体的には、外気)と熱交換する。熱交換器14cでは、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。熱交換器14cから流出した過熱度を有する気相冷媒は、圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
また、内気暖房モードの熱媒体回路20では、第1実施形態の内気暖房モードと同様に作動する。
また、内気暖房モードの空調ユニット301では、図21の太線矢印で示すように、空気が各空気通路を流れる。
熱交換部側空気通路31eには、熱交換部入口側内外気切替装置32eが外気を流入させる。熱交換部側空気通路31eへ流入した空気は、熱交換器14cにて冷媒と熱交換して吸熱される。熱交換器14cにて冷却された空気は、熱交換部出口側内外気切替装置33eによって放出用送風機36の吸入側へ導かれて車室外へ放出される。
加熱部側空気通路31fには、加熱部入口側内外気切替装置32fが内気を流入させる。加熱部側空気通路31fへ流入した空気は、ヒータコア22にて熱媒体と熱交換して加熱される。ヒータコア22にて加熱された空気は、室内送風機37へ吸入されて車室内へ送風される。これにより、車室内の暖房が実現される。
内気暖房モードでは、内気を循環送風してヒータコア22にて加熱している。従って、暖房を開始した直後に内気暖房モードへ切り替えることにより、車室内の速効暖房を期待することができる。
(b-2)
外気暖房モードでは、制御装置40は、内気暖房モードと同様に、ヒートポンプサイクル10の圧縮機11および膨張弁13dの作動を制御する。また、制御装置40は、内気暖房モードと同様に、熱媒体回路20の熱媒体ポンプ21、第1流量調整弁24a、および第2流量調整弁24bの作動を制御する。
また、制御装置40は、内気暖房モードと同様に、空調ユニット30の熱交換部入口側内外気切替装置32eおよび熱交換部出口側内外気切替装置33eの作動を制御する。また、制御装置40は、内気暖房モードと同様に、放出用送風機36および室内送風機37の作動を制御する。
従って、外気暖房モードのヒートポンプサイクル10および熱媒体回路20では、上述した内気暖房モードと同様に作動する。
また、外気暖房モードの空調ユニット301では、図22の太線矢印で示すように、空気が各空気通路を流れる。
熱交換部側空気通路31eには、内気暖房モードと同様に、外気が流入する。熱交換部側空気通路31eへ流入した空気は、内気暖房モードと同様に、熱交換器14cにて冷却されて車室外へ放出される。
加熱部側空気通路31fには、加熱部入口側内外気切替装置32fが外気を流入させる。加熱部側空気通路31fへ流入した空気は、内気暖房モードと同様に、ヒータコア22にて加熱される。ヒータコア22にて加熱された空気は、室内送風機37へ吸入されて車室内へ送風される。これにより、車室内の暖房が実現される。
ここで、暖房モードのヒートポンプサイクル10では、熱交換器14cにおける冷媒蒸発温度が0℃以下になってしまうことがある。このため、熱交換器14cに着霜が生じてしまう可能性がある。
そこで、本実施形態の車両用空調装置1aにおいても、暖房モードが実行されている際に、第1実施形態の図12で説明した制御フローと同等のサブルーチンを所定の周期毎に実行する。なお、本実施形態では、図12のステップS14の運転モードが「暖房モード」になる。
(d)除霜モード
車両用空調装置1aでは、熱交換器14cを除霜するために除霜モードの運転を実行することができる。さらに、除霜モードを実行すると同時に、車室内の除湿暖房を実行することができる。従って、以下に説明する除霜モードは、除霜能力付きの除湿暖房モードと表現することもできる。
除霜モードでは、制御装置40は、ヒートポンプサイクル10の圧縮機11の冷媒吐出能力を低下させる。すなわち、暖房モードよりも熱交換器14cを流通する冷媒の流量を低下させる。但し、制御装置40は、圧縮機11を停止させることなく作動させている。
また、制御装置40は、熱交換器14cを流通する冷媒の温度が第1実施形態で説明した基準除霜温度範囲となるように、膨張弁13dの作動を制御する。より詳細には、除霜モードでは、制御装置40は、熱交換器14cを流通する冷媒の温度が基準除霜温度範囲となるように、圧縮機11および膨張弁13dの作動を制御する。
また、制御装置40は、内気暖房モードと同様に、熱媒体回路20の熱媒体ポンプ21、第1流量調整弁24a、および第2流量調整弁24bの作動を制御する。
また、制御装置40は、内気暖房モードと同様に、熱媒体回路20の熱媒体ポンプ21、第1流量調整弁24a、および第2流量調整弁24bの作動を制御する。
また、制御装置40は、熱交換部入口側内外気切替装置32eの作動を制御して、内気を熱交換器14cへ導く通風路に切り替える。また、制御装置40は、熱交換部出口側内外気切替装置33eの作動を制御して、熱交換器14cを通過した空気を加熱部側空気通路31fを介して車室内へ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、加熱部入口側内外気切替装置32fの作動を制御して、外気をヒータコア22へ導く通風路に切り替える。また、制御装置40は、放出用送風機36を停止させる。また、制御装置40は、内気暖房モードと同様に、室内送風機37の作動を制御する。
従って、除霜モードのヒートポンプサイクル10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、水-冷媒熱交換器12の冷媒通路へ流入する。この際、高圧冷媒の温度は、内気暖房モードおよび外気暖房モードよりも低くなる。このため、水-冷媒熱交換器12の冷媒通路へ流入した冷媒は、熱媒体に殆ど放熱することなく冷媒通路から流出する。
水-冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出した冷媒は、レシーバ17を介して膨張弁13dへ流入して減圧される。膨張弁13dにて減圧された低圧冷媒は、熱交換器14cへ流入する。熱交換器14cでは、冷媒が霜に放熱する。れにより、霜が融解して、第2熱交換器14bの除霜が進行する。熱交換器14cから流出した冷媒は、圧縮機11に吸入されて再び圧縮される。
また、除霜モードの熱媒体回路20では、内気暖房モードと同様に作動する。
また、除霜モードの空調ユニット30では、図23の太線矢印で示すように、空気が各空気通路を流れる。
熱交換部側空気通路31eには、熱交換部入口側内外気切替装置32eが内気を流入させる。熱交換部側空気通路31eへ流入した比較的高温の内気は、熱交換器14cの霜に放熱する。これにより、霜が融解して、熱交換器14cの除霜が進行する。さらに、熱交換器14cへ流入した空気は、霜によって0℃近くまで冷却されて除湿される。
熱交換器14cを通過した空気は、熱交換部出口側内外気切替装置33eによって加熱部側空気通路31fへ流入する。さらに、加熱部側空気通路31fには、加熱部入口側内外気切替装置32fが、比較的温度および湿度の低い外気を流入させる。
加熱部側空気通路31fへ流入した空気は、ヒータコア22へ流入する。ヒータコア22へ流入した空気は、熱媒体と熱交換して再加熱される。ヒータコア22にて再加熱された空気は、車室内へ送風される。これにより、第2熱交換器14bの除霜および車室内の除湿暖房が実現される。
ここで、本実施形態の除霜モードでは、熱交換器14cの除霜と同時に車室内の除湿暖房を実現するために、熱交換部出口側内外気切替装置33eが熱交換器14cを通過した空気を、加熱部側空気通路31fへ導いている。これに対して、車室内の除湿暖房を必要としない場合は、熱交換部出口側内外気切替装置33eが熱交換器14cを通過した空気を車室外へ導くようにしてもよい。この場合は、放出用送風機36を作動させればよい。
以上の如く、本実施形態の車両用空調装置1によれば、運転モードを切り替えることによって、車室内の暖房および除湿暖房を実現することができる。
より詳細には、本実施形態の暖房モード(すなわち、内気暖房モードおよび外気暖房モード)では、熱交換部出口側内外気切替部33eが、熱交換器14cを通過した空気を車室外へ導く通風路に切り替える。従って、暖房モードでは、ヒータコア22にて加熱された空気を車室内へ導くことで、車室内の暖房を行うことができる。
さらに、暖房モードでは、熱交換器14cにて冷媒が外気から吸熱した熱を熱源として、ヒータコア22にて空気を確実に加熱することができる。ところが、暖房モードでは、前述の如く、熱交換器14cにおける冷媒蒸発温度が0℃以下になってしまうことがある。このため、熱交換器14cに着霜が生じてしまう可能性がある。
これに対して、本実施形態の除霜モードでは、熱交換部入口側内外気切替部32eが、内気を熱交換器14cへ導く通風路に切り替える。従って、比較的高温になっている内気の有する熱を利用して、熱交換器14cの除霜を行うことができる。
同時に、除霜モードでは、暖房モードよりも熱交換器14cを流通する冷媒の流量を低減させることによって熱交換器14cを流通する冷媒の温度を、基準除霜温度範囲内に維持している。従って、効果的に熱交換器14cの除霜を行うことができる。
その結果、本実施形態の車両用空調装置1aによれば、熱交換器14cの除霜を行うためにヒートポンプサイクル101にて消費されるエネルギを低減することができる。
また、本実施形態の除霜モードでは、圧縮機11を作動させるので、ヒートポンプサイクル101内に冷媒を循環させ、熱交換器14c内に冷媒を流通させることができる。これにより、除霜モード時に熱交換器14cの均温化が促進されるので、より一層、効果的に熱交換器14cの除霜を行うことができる。
また、本実施形態の除霜モードでは、熱交換部出口側内外気切替装置33eが、熱交換器14cを通過した空気を車室内へ導く通風路に切り替える。従って、ヒータコア22にて熱交換器14cを通過した空気を再加熱して、車室内の除湿暖房を行うことができる。
この際、除霜モードでは、圧縮機11の冷媒吐出能力を低下させるため、水-冷媒熱交換器12における熱媒体の加熱能力が低下する。従って、一時的にヒータコア22における空気の加熱能力も低下してしまう可能性がある。
これに対して、本実施形態の除霜モードでは、熱媒体回路20を循環する熱媒体に蓄えられた熱を利用して、ヒータコア22にて空気の加熱を継続することができる。従って、通常除霜モード時に、乗員の暖房感の悪化を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、暖房モードと除霜モードとを連続的に切り替える。従って、車室内の暖房と除湿暖房とを連続的に行うことができ、乗員の暖房感の悪化をより一層抑制することができる。
(第8実施形態)
本実施形態では、図24に示すように、第7実施形態に対して、車両用空調装置1aの構成を変更した例を説明する。具体的には、本実施形態の車両用空調装置1aでは、第2実施形態と同様に、熱媒体回路20が廃止されている。また、本実施形態のヒートポンプサイクル101では、水-冷媒熱交換器12に代えて、室内凝縮器12aを備えている。その他の車両用空調装置1aの構成は、第7実施形態と同様である。
本実施形態の車両用空調装置1aでは、室内凝縮器12aにて冷媒と空気とを熱交換させることによって、実質的に、第7実施形態と同様の暖房モードおよび除霜モードを実行することができる。従って、第2実施形態で説明したように暖房感の悪化の可能性があるものの、第7実施形態と同様に、熱交換器14cの除霜を行うためにヒートポンプサイクル101にて消費されるエネルギを低減することができる。
(第9実施形態)
本実施形態では、図25に示すように、第7実施形態に対して、ヒートポンプサイクル101の構成を変更した例を説明する。
具体的には、本実施形態のヒートポンプサイクル101は、第3実施形態と同様の冷媒バイパス通路16および開閉弁16aを備えている。より詳細には、本実施形態の冷媒バイパス通路16は、膨張弁13dの出口側の冷媒を、熱交換器14cを迂回させて、圧縮機11の吸入側へ導く冷媒通路である。その他の車両用空調装置1aの構成は、第7実施形態と同様である。
本実施形態の車両用空調装置1aでは、開閉弁16aが冷媒バイパス通路16を閉じている際には、第7実施形態と同様に作動する。従って、第7実施形態と同様に、熱交換器14cの除霜を行うためにヒートポンプサイクル101にて消費されるエネルギを低減することができる。
さらに、除霜モード時には、開閉弁16aを開くことによって、熱交換器14cを流通する冷媒の流量を低減させることができる。さらに、水-冷媒熱交換器12において、圧縮機11の圧縮仕事による熱を熱媒体に放熱させることができる。これにより、除霜モードでは、熱交換器14cの除霜および車室内の除湿暖房を実現することができる。
(第10実施形態)
図26、図27を用いて、車両用空調装置1bについて説明する。車両用空調装置1bは、ヒートポンプサイクル102、熱媒体回路20、空調ユニット30、制御装置40等を備えている。本実施形態のヒートポンプサイクル102は、図26等に示すように、第1実施形態で説明したヒートポンプサイクル10に対して、冷媒回路切替部としての四方弁19を追加している。
四方弁19は、第1膨張弁13aの出口側と第1熱交換器14aの1つの冷媒出入口側とを接続すると同時に、第2熱交換器14bの1つの冷媒出入口側とアキュムレータ15の入口側とを接続する第1冷媒回路に切り替えることができる。また、四方弁19は、第1膨張弁13aの出口側と第2熱交換器14bの1つの冷媒出入口側とを接続すると同時に、第1熱交換器14aの冷媒出口側とアキュムレータ15の入口側とを接続する第2冷媒回路に切り替えることができる。
第1冷媒回路では、圧縮機11の吐出口→水-冷媒熱交換器12→第1膨張弁13a→第1熱交換器14a→第2膨張弁13b→第2熱交換器14b→アキュムレータ15→圧縮機11の吸入口の順に冷媒が循環する冷媒回路に切り替えられる。つまり、第1冷媒回路に切り替えられたヒートポンプサイクル102は、第1実施形態で説明したヒートポンプサイクル10と全く同じサイクル構成となる。
また、第2冷媒回路では、圧縮機11の吐出口→水-冷媒熱交換器12→第1膨張弁13a→第2熱交換器14b→第2膨張弁13b→第1熱交換器14a→アキュムレータ15→圧縮機11の吸入口の順に冷媒が循環する冷媒回路に切り替えられる。つまり、第2冷媒回路に切り替えられたヒートポンプサイクル102は、第1実施形態で説明したヒートポンプサイクル10に対して、第1熱交換器14aと第2熱交換器14bとを置換した冷媒回路に切り替えられる。
その他の車両用空調装置1bの構成は、第1実施形態で説明した車両用空調装置1と全く同様である。従って、四方弁19がヒートポンプサイクル102を第1冷媒回路に切り替えている際には、車両用空調装置1bは、第1実施形態で説明した車両用空調装置1と全く同様に作動して、全く同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態の車両用空調装置1bでは、着霜が生じた熱交換器を除霜しながら車室内の暖房を実現する除霜暖房モードの運転を実行することができる。以下、除霜暖房モードの作動について説明する。
(d-4)除霜暖房モード
ここで、以下の説明では、四方弁19が第1冷媒回路に切り替えている際の除霜暖房モードを例として説明する。四方弁19が第1冷媒回路に切り替えている際には、第1熱交換器14aを、着霜が生じる可能性のない一方の熱交換部と定義する。また、第2熱交換器14bを、着霜が生じる可能性がある他方の熱交換部と定義する。
除霜暖房モードでは、制御装置40が、他方の熱交換部である第2熱交換器14bが、一方の熱交換部である第1熱交換器14aよりも冷媒流れ上流側に配置されるように、四方弁19の作動を制御する。つまり、制御装置40が、第2冷媒回路に切り替える。
制御装置40は、四方弁19が冷媒回路を切り替える際に、一時的に圧縮機11を停止させる。そして、制御装置40は、四方弁19が冷媒回路を切り替えた後に、第2除湿暖房モードと同様に、ヒートポンプサイクル102の圧縮機11の作動を制御する。
また、制御装置40は、第1膨張弁13aを絞り状態とする。より具体的には、制御装置40は、第2熱交換器14bを流通する冷媒の温度が基準除霜温度範囲となるように、第1膨張弁13aの作動を制御する。
また、制御装置40は、第2膨張弁13bを絞り状態とする。より具体的には、制御装置40は、第1熱交換器14aにおける冷媒蒸発温度が、外気温Tamよりも低くなるように、第1膨張弁13aの作動を制御する。
また、制御装置40は、通常除霜モードと同様に、熱媒体回路20の熱媒体ポンプ21、第1流量調整弁24a、および第2流量調整弁24bの作動を制御する。
また、制御装置40は、空調ユニット30の第1外気導入口323aを開き、第1内気導入口35aを閉じるように、第1入口側内外気切替装置32aの作動を制御する。つまり、第1入口側内外気切替装置32aは、外気を一方の熱交換器である第1熱交換器14aへ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第1室外流出口333aを開き、第1室内流出口35bを閉じるように、第1出口側内外気切替装置33aの作動を制御する。つまり、第1出口側内外気切替装置33aは、一方の熱交換器である第1熱交換器14aを通過した空気を車室外へ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第2外気導入口323bを閉じ、第2内気導入口35cを開くように、第2入口側内外気切替装置32bの作動を制御する。つまり、第2入口側内外気切替装置32bは、内気を他方の熱交換器である第2熱交換器14bへ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、第2室外流出口333bを閉じ、第2室内流出口35dを開くように、第2出口側内外気切替装置33bの作動を制御する。つまり、第2出口側内外気切替装置33bは、他方の熱交換器である第2熱交換器14bを通過した空気を車室内へ導く通風路に切り替える。
また、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、外気導入装置32c、加熱部入口側切替装置34a、および加熱部出口側切替装置34bの作動を制御する。また、制御装置40は、内気冷房モードと同様に、放出用送風機36および室内送風機37の作動を制御する。
従って、除霜暖房モードのヒートポンプサイクル102では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、水-冷媒熱交換器12の冷媒通路へ流入する。水-冷媒熱交換器12では、熱媒体が加熱される。
水-冷媒熱交換器12の冷媒通路から流出した冷媒は、第1膨張弁13aへ流入して減圧される。この際、第1膨張弁13aの絞り開度は、第2熱交換器14bを流通する冷媒の温度が基準除霜温度範囲となるように調整される。
第1膨張弁13aにて減圧された低圧冷媒は、四方弁19を介して、第2熱交換器14bへ流入する。第2熱交換器14bでは、冷媒が霜に放熱する。これにより、霜が融解して、第2熱交換器14bの除霜が進行する。
第2熱交換器14bから流出した冷媒は、第2膨張弁13bへ流入して減圧される。この際、第2膨張弁13bの絞り開度は、第1熱交換器14aにおける冷媒蒸発温度が外気温Tamよりも低くなるように調整される。
第2膨張弁13bにて減圧された低圧冷媒は、第1熱交換器14aへ流入する。第1熱交換器14aへ流入した冷媒は、空調ユニット30の第1外気導入口323aから第1空気通路31aへ流入した空気(具体的には、外気)と熱交換する。第1熱交換器14aでは、冷媒が空気から吸熱して蒸発する。
第1熱交換器14aから流出した冷媒は、四方弁19を介して、アキュムレータ15へ流入する。アキュムレータ15へ流入した冷媒は、気液分離される。アキュムレータ15にて分離された気相冷媒は、圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
また、除霜暖房モードの熱媒体回路20では、通常除霜モードと同様に作動する。
また、除霜暖房モードの空調ユニット30では、図27の太線矢印で示すように、空気が各空気通路を流れる。
第1空気通路31aには、第1外気導入口323aを介して空気(具体的には、外気)が流入する。第1空気通路31aへ流入した空気は、第1熱交換器14aにて、冷媒と熱交換して吸熱される。第1熱交換器14aにて加熱された空気は、第1室外流出口333aから流出する。第1室外流出口333aから流出した空気は、放出用送風機36に吸入されて車室外へ放出される。
第2空気通路31bには、第2内気導入口35cを介して第4空気通路31dを流通した空気(具体的には、内気)が流入する。第2空気通路31bへ流入した比較的高温の内気は霜に放熱する。これにより、霜が融解して、第2熱交換器14bの除霜が進行する。さらに、第2空気通路31bへ流入した空気は、霜によって0℃近くまで冷却されて除湿される。第2熱交換器14bを通過した空気は、第2室内流出口35dを介して第3空気通路31cへ流入する。
第3空気通路31cへ流入した空気は、室内送風機37に吸入されてヒータコア22へ送風される。ヒータコア22へ流入した空気は、熱媒体と熱交換して再加熱される。ヒータコア22にて再加熱された空気は、車室内へ送風される。これにより、第2熱交換器14bの除霜および車室内の除湿暖房が実現される。
また、本実施形態の車両用空調装置1bでは、四方弁19がヒートポンプサイクル102を第2冷媒回路に切り替えている際には、第2熱交換器14bが一方の熱交換部となり、第1熱交換器14aが他方の熱交換部となる。そして、四方弁19がヒートポンプサイクル102を第2冷媒回路に切り替えている際にも、第1実施形態で説明した各運転モードおよび上述した除霜暖房モードの運転を行うことができる。
本実施形態の車両用空調装置1bでは、以上の如く作動するので、いずれの冷媒回路に切り替えられていても、第1実施形態と同様に、他方の熱交換部の除霜の行うためにヒートポンプサイクル102にて消費されるエネルギを低減することができる。
さらに、本実施形態の車両用空調装置1bでは、除霜暖房モードの運転を行うことができる。除霜暖房モードでは、一方の熱交換部にて冷媒が外気から吸熱した熱を熱源として、水-冷媒熱交換器12にて熱媒体を加熱することができる。従って、除霜暖房モードでは、通常除霜モードよりも、熱媒体の加熱能力の低下を抑制することができ、乗員の暖房感の悪化をより一層抑制することができる。
ここで、除霜暖房モードでは、一方の熱交換部における冷媒蒸発温度が0℃以下になってしまうことがある。このため、除霜暖房モードでは、一方の熱交換部に着霜が生じてしまうことがある。従って、他方の熱交換部の除霜が完了する前に、一方の熱交換部に着霜が生じてしまう運転条件では、除霜除霜モードから通常除霜モードに切り替えてもよい。
(第11実施形態)
本実施形態では、図28に示すように、第10実施形態に対して、車両用空調装置1bの構成を変更した例を説明する。具体的には、本実施形態の車両用空調装置1bでは、第2実施形態と同様に、熱媒体回路20が廃止されている。また、本実施形態のヒートポンプサイクル102では、水-冷媒熱交換器12に代えて、室内凝縮器12aを備えている。その他の車両用空調装置1bの構成は、第10実施形態と同様である。
本実施形態の車両用空調装置1bでは、室内凝縮器12aにて冷媒と空気とを熱交換させることによって、実質的に、第10実施形態と同様に暖房モードおよび除霜モードを実行することができる。従って、第2実施形態で説明したように暖房感の悪化の可能性があるものの、第10実施形態と同様に、他方の熱交換部の除霜を行うためにヒートポンプサイクル102にて消費されるエネルギを低減することができる。
(第12実施形態)
本実施形態では、図29に示すように、第10実施形態に対して、ヒートポンプサイクル102の構成を変更した例を説明する。
具体的には、本実施形態のヒートポンプサイクル102は、第3実施形態と同様の冷媒バイパス通路16および開閉弁16aを備えている。本実施形態の冷媒バイパス通路16は、第1熱交換器14aと第2膨張弁13bとを接続する冷媒通路を流通する冷媒を、アキュムレータ15の入口側(すなわち、圧縮機11の吸入側)へ導いている。その他の車両用空調装置1bの構成は、第10実施形態と同様である。
本実施形態の車両用空調装置1bでは、開閉弁16aが冷媒バイパス通路16を閉じている際には、第10実施形態と同様に作動する。従って、第10実施形態と同様に、他方の熱交換部の除霜を行うためにヒートポンプサイクル102にて消費されるエネルギを低減することができる。
さらに、除霜モード時には、開閉弁16aを開くことによって、熱交換器14cを流通する冷媒の流量を低減させることができる。さらに、水-冷媒熱交換器12において、圧縮機11の圧縮仕事による熱を熱媒体に放熱させることができる。これにより、除霜モードでは、熱交換器14cの除霜および車室内の除湿暖房を実現することができる。
(第13実施形態)
本実施形態では、図30に示すように、第10実施形態に対して、ヒートポンプサイクル102の構成を変更した例を説明する。具体的には、本実施形態のヒートポンプサイクル102は、第4実施形態と同様に、アキュムレータ15に代えて、レシーバ17を備えている。その他の車両用空調装置1bの構成および作動は、第10実施形態と同様である。
従って、第10実施形態と同様に、他方の熱交換部の除霜を行うためにヒートポンプサイクル102にて消費されるエネルギを低減することができる。
さらに、本実施形態の車両用空調装置1bでは、内気冷房モードあるいは外気冷房モード時に、一方の熱交換部にて冷媒を過冷却することができる。従って、他方の熱交換部の入口側の冷媒のエンタルピから出口側の冷媒のエンタルピを減算したエンタルピ差を拡大することができる。その結果、他方の熱交換部における空気の冷却能力を向上させることができる。
(第14実施形態)
本実施形態では、図31に示すように、第10実施形態に対して、ヒートポンプサイクル102の構成を変更した例を説明する。
具体的には、本実施形態のヒートポンプサイクル102は、第6実施形態と同様の第3膨張弁13c、冷却用バイパス通路18および冷却器18aを備えている。本実施形態の冷却用バイパス通路18は、第1膨張弁13bの出口側と四方弁19とを接続する冷媒通路を流通する冷媒を、アキュムレータ15の入口側(すなわち、圧縮機11の吸入側)へ導いている。その他の車両用空調装置1bの構成は、第10実施形態と同様である。
本実施形態の車両用空調装置1bでは、第3膨張弁13cが全閉状態となっている際には、第10実施形態と同様に作動する。従って、第10実施形態と同様に、他方の熱交換部の除霜を行うためにヒートポンプサイクル102にて消費されるエネルギを低減することができる。
さらに、本実施形態の車両用空調装置1bでは、内気冷房モードあるいは外気冷房モード時に、制御装置40が第3膨張弁13cを絞り状態とすることで、冷却対象物であるバッテリを冷却することができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の実施形態では、本発明に係る空調装置を車両用空調装置に適用した例を説明したが、これに限定されない。本発明に係る空調装置を定置型の空調装置に適用してもよい。
(2)上述の実施形態では、種々の運転モードを実行可能な車両用空調装置について説明したが、これに限定されない。すなわち、車両用空調装置では、必要な運転モードを実行することができればよい。
例えば、第1~第6実施形態で説明した車両用空調装置1においては、少なくとも第2除霜暖房モードと通常除霜モードとを切り替えることができればよい。これにより、第2熱交換器14bの除霜を行うためにヒートポンプサイクル10にて消費されるエネルギを低減することができる。
例えば、第7~第9実施形態で説明した車両用空調装置1aにおいては、少なくとも暖房モード(すなわち、内気暖房モードおよび外気暖房モードのいずれか一方)と除霜モードとを切り替えることができればよい。これにより、熱交換器14cの除霜を行うためにヒートポンプサイクル101にて消費されるエネルギを低減することができる。
例えば、第10~第14実施形態で説明した車両用空調装置1bにおいては、少なくとも第2除霜暖房モードと通常除霜モードとを切り替えることができればよい。これにより、他方の熱交換部の除霜を行うためにヒートポンプサイクル102にて消費されるエネルギを低減することができる。
さらに、上述の実施形態で説明した以外の運転モードを実施してもよい。例えば、上述の第1実施形態で説明した換気暖房モードにおいて、第1出口側内外気切替装置33aが、第1熱交換器14aを通過した空気の一部または全部を車室内へ導くように通風路を切り替えてもよい。
(3)ヒートポンプサイクル10、101、102は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。
例えば、第10~第14実施形態では、冷媒回路切替部として四方弁19を採用した例を説明したがこれに限定されない。複数(例えば、4つ)の開閉弁を組み合わせることによって、冷媒回路切替部を形成してもよい。
また、上述の実施形態では、冷媒としてR1234yfを採用した例を説明したが、冷媒はこれに限定されない。例えば、R134a、R600a、R410A、R404A、R32、R407C等を採用してもよい。または、これらのうち複数の冷媒を混合させた混合冷媒等を採用してもよい。
(4)熱媒体回路20は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。
例えば、熱媒体ポンプ21を第1流量調整弁24aから水-冷媒熱交換器12の熱媒体通路へ至る流路に配置してもよい。また、第1流量調整弁24aに代えて、電気式の三方弁を採用してもよい。
また、熱媒体回路20に、熱媒体を加熱する補助加熱部を配置してもよい。補助加熱部として、制御装置40から電力を供給されることによって発熱する電気ヒータを採用することができる。そして、制御装置40は、水-冷媒熱交換器12にて熱媒体を充分に加熱することができない場合に、熱媒体温度Twが、目標熱媒体温度TWOに近づくように、電気ヒータを作動させればよい。
また、上述の実施形態では、熱媒体としてエチレングリコール水溶液を採用した例を説明したが、熱媒体はこれに限定されない。例えば、ジメチルポリシロキサン、あるいはナノ流体等を含む溶液、不凍液、アルコール等を含む水系の液冷媒、オイル等を含む液媒体等を採用することができる。
(5)空調ユニット30、301は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。
例えば、空調ユニット30の第3空気通路31c内、あるいは、空調ユニット301の加熱部側空気通路31f内に、ヒータコア22あるいは室内凝縮器12aを迂回させて空気を流す空気バイパス通路を設けてもよい。さらに、ヒータコア22あるいは室内凝縮器12aを流通する風量と空気バイパス通路を流通する風量割合を調整するエアミックスドアを配置してもよい。
これによれば、エアミックスドアの風量割合調整によって、空調対象空間へ吹き出す空気の温度を調整することもできる。
(6)また、上記各実施形態に開示された手段は、実施可能な範囲で適宜組み合わせてもよい。
例えば、第3実施形態で説明した冷媒バイパス通路16および開閉弁16aを備えるヒートポンプサイクル10において、第4実施形態で説明したようにレシーバ17を採用してもよい。例えば、第5実施形態で説明した第1熱交換器14aおよび第2熱交換器14bの熱交換面積が異なるヒートポンプサイクル10において、第1実施形態で説明したようにアキュムレータ15を採用してもよい。