以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための複数の実施形態を説明する。各実施形態において先行する実施形態で説明した事項に対応する部分には同一の参照符号を付して重複する説明を省略する場合がある。各実施形態において構成の一部のみを説明している場合は、構成の他の部分については先行して説明した他の実施形態を適用することができる。各実施形態で具体的に組合せが可能であることを明示している部分同士の組合せばかりではなく、特に組合せに支障が生じなければ、明示していなくとも実施形態同士を部分的に組み合せることも可能である。
以下に説明する第1~第22実施形態のうち、第2~第22実施形態が特許請求の範囲に記載した発明の実施形態であり、第1実施形態は、発明の前提となる形態である。
(第1実施形態)
図1を用いて、本発明に係る温度調整装置1の第1実施形態を説明する。本実施形態の温度調整装置1は、走行用の駆動力を電動モータから得る電気自動車に搭載されている。温度調整装置1は、電気自動車において電動モータ等へ電力を供給するバッテリ80、および空調対象空間である車室内へ送風される送風空気の温度を調整する。
従って、本実施形態のバッテリ80および送風空気は、温度調整装置1が温度調整を行う対象物である。
バッテリ80は、複数の電池セルを電気的に直列的あるいは並列的に接続することによって形成された組電池である。電池セルは、充放電可能な二次電池(本実施形態では、リチウムイオン電池)である。バッテリ80は、複数の電池セルを略直方体形状となるように積層配置して専用ケースに収容したものである。
この種のバッテリは、低温になると化学反応が進行しにくく出力が低下しやすい。バッテリは、作動時(すなわち、充放電時)に発熱する。さらに、バッテリは、高温になると劣化が進行しやすい。このため、バッテリの温度は、バッテリの充放電容量を充分に活用することのできる適切な温度範囲内(本実施形態では、15℃以上、かつ、55℃以下)に維持されていることが望ましい。
温度調整装置1は、図1の全体構成図に示すように、冷凍サイクル装置10、および熱媒体回路40を備えている。冷凍サイクル装置10は、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13、室内蒸発器14を環状に接続した蒸気圧縮式の冷凍サイクルである。
冷凍サイクル装置10では、冷媒としてHFO系冷媒(具体的には、R1234yf)を採用している。冷凍サイクル装置10は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒の圧力が冷媒の臨界圧力を超えない亜臨界冷凍サイクルを構成している。さらに、冷媒には圧縮機11を潤滑するための冷凍機油が混入されている。冷凍機油の一部は、冷媒とともにサイクルを循環している。
圧縮機11は、冷凍サイクル装置10において、冷媒を吸入し、高圧冷媒となるまで圧縮して吐出するものである。圧縮機11は、吐出容量が固定された固定容量型の圧縮機構を電動モータにて回転駆動する電動圧縮機である。圧縮機11は、後述する制御装置70から出力される制御信号によって、回転数(すなわち、冷媒吐出能力)が制御される。
凝縮器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と室外送風機15から送風された外気とを熱交換させて、高圧冷媒を凝縮させる熱交換器である。凝縮器12のうち高圧冷媒を流通させる冷媒通路12aは、圧縮機11から吐出された高圧冷媒を凝縮させる凝縮部である。室外送風機15は、制御装置70から出力される制御電圧によって、回転数(すなわち、送風能力)が制御される電動送風機である。
凝縮器12は、駆動装置室内の前方側に配置されている。駆動装置室は、走行用の駆動力を出力するための駆動用装置(例えば、電動モータ)の少なくとも一部が配置される空間を形成している。駆動装置室は、車室の前方側に配置されている。駆動装置室には、車両最前部のフロントグリルに形成された通気孔を介して、外気が導入される。
膨張弁13は、凝縮器12から流出した高圧冷媒を低圧冷媒となるまで減圧させる減圧部である。本実施形態の冷凍サイクル装置10では、膨張弁13として、室内蒸発器14の出口側冷媒の過熱度が予め定めた基準過熱度に近づくように機械的機構によって絞り開度を変化させる温度式膨張弁を採用している。
室内蒸発器14は、膨張弁13にて減圧された低圧冷媒と図示しない室内送風機から車室内へ送風された送風空気とを熱交換させて、低圧冷媒を蒸発させる熱交換器である。室内蒸発器14のうち低圧冷媒を流通させる冷媒通路14aは、低圧冷媒を蒸発させる蒸発部である。室内送風機は、制御装置70から出力される制御電圧によって、回転数(すなわち、送風能力)が制御される電動送風機である。
熱媒体回路40は、バッテリ80の冷却水通路80aとラジエータ41との間で熱媒体を循環させる熱媒体循環回路である。熱媒体としては、エチレングリコール、ジメチルポリシロキサン、あるいはナノ流体等を含む溶液、不凍液等を採用することができる。
熱媒体回路40には、水ポンプ42が配置されている。水ポンプ42は、ラジエータ41から流出した熱媒体をバッテリ80の冷却水通路80aへ圧送する。水ポンプ42は、制御装置70から出力される制御電圧によって、回転数(すなわち、水圧送能力)が制御される電動ポンプである。
バッテリ80の冷却水通路80aは、バッテリ80の専用ケースに形成されている。冷却水通路80aは、熱媒体を流通させてバッテリ80と熱交換させる蒸発側対象物熱交換部である。より具体的には、冷却水通路80aは、バッテリ80の有する熱(すなわち、バッテリ80の排熱)を熱媒体に吸熱させる熱交換部である。
冷却水通路80aの通路構成は、専用ケースの内部で複数の通路を並列的に接続した通路構成となっている。これにより、冷却水通路80aは、バッテリ80の全域からバッテリ80の排熱を均等に吸熱できるように形成されている。換言すると、冷却水通路80aは、全ての電池セルの有する熱を均等に吸熱して、全ての電池セルを冷却できるように形成されている。
ラジエータ41は、バッテリ80の冷却水通路80aから流出した熱媒体と室外送風機15から送風された外気とを熱交換させて、熱媒体の有する熱を外気に放熱させる第1熱交換部である。ラジエータ41において熱媒体を流通させる熱媒体通路41aは、熱媒体を介してバッテリ80の排熱を外気に放熱させる放熱部である。熱媒体通路41aの出口には、水ポンプ42の吸入口側が接続されている。
ラジエータ41は、駆動装置内の前方側であって、凝縮器12よりも外気の流れ方向上流側に配置されている。このため、車両走行時には、ラジエータ41に走行風を当てることができる。ラジエータ41と凝縮器12は、外気の流れ方向から見たときに、熱交換に寄与する熱交換部の面積が略同等に形成されている。ラジエータ41と凝縮器12は、外気の流れ方向から見たときに、重合するように近接配置されている。
従って、凝縮器12は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒とラジエータ41通過後の外気とを熱交換させる。ラジエータ41は、バッテリ80の冷却水通路80aから流出した熱媒体と凝縮器12にて吸熱する前の外気とを熱交換させる。
換言すると、凝縮器12の冷媒通路12aは、高圧冷媒の有する熱を、ラジエータ41を通過後の外気に放熱させる。ラジエータ41の熱媒体通路41aは、熱媒体が吸熱したバッテリ80の排熱を、凝縮器12にて吸熱する前の外気に放熱させる。
制御装置70は、CPU、ROMおよびRAM等を含む周知のマイクロコンピュータとその周辺回路から構成されている。そして、そのROM内に記憶された空調制御プログラムに基づいて各種演算、処理を行い、その出力側に接続された各種制御対象機器11、15、42等の作動を制御する。
また、制御装置70の入力側には、制御用のセンサ群が接続されている。制御用のセンサ群には、車室内温度(内気温)Trを検出する内気温検出部、バッテリ80の温度であるバッテリ温度TBを検出するバッテリ温度検出部等が含まれる。
さらに、制御装置70の入力側には、図示しない操作パネルが接続されている。操作パネルには、例えば、車室内温度を設定する温度設定部等が設けられている。制御装置70には、これらのセンサ群の検出信号および操作パネルの操作信号が入力される。
本実施形態の制御装置70は、その出力側に接続された各種制御対象機器を制御する制御部が一体的に形成されたものである。つまり、それぞれの制御対象機器の作動を制御する構成(ハードウェアおよびソフトウェア)が、それぞれの制御対象機器の作動を制御する制御部を構成している。例えば、圧縮機11の作動を制御する構成が圧縮機制御部を構成している。
次に、上記構成の温度調整装置1の作動について説明する。温度調整装置1では、制御装置70が、バッテリ温度TBが適切な温度範囲内に維持されるように、室外送風機15、水ポンプ42等の作動を制御する。また、制御装置70は、車室内温度Trが温度設定部によって設定された設定温度に近づくように、圧縮機11、室外送風機15、室内送風機等の作動を制御する。
制御装置70が水ポンプ42を作動させると、熱媒体回路40では、水ポンプ42から圧送された熱媒体が、バッテリ80の冷却水通路80aへ流入する。冷却水通路80aへ流入した熱媒体は、冷却水通路80aを流通する際にバッテリ80の排熱を吸熱する。これにより、バッテリ80が冷却される。
冷却水通路80aから流出した熱媒体は、ラジエータ41の熱媒体通路41aへ流入する。熱媒体通路41aへ流入した熱媒体は、外気に放熱する。これにより、熱媒体が冷却される。熱媒体通路41aから流出した熱媒体は、水ポンプ42へ吸入されて再び冷却水通路80aへ圧送される。
一方、冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、凝縮器12の冷媒通路12aへ流入する。冷媒通路12aへ流入した冷媒は、ラジエータ41を通過後の外気に放熱して凝縮する。凝縮器12にて凝縮した液相の高圧冷媒は、膨張弁13へ流入して減圧される。この際、膨張弁13の絞り開度は、室内蒸発器14の出口側冷媒の過熱度が基準過熱度に近づくように調整される。
膨張弁13にて減圧された低圧冷媒は、室内蒸発器14の冷媒通路14aへ流入する。室内蒸発器14の冷媒通路14aへ流入した低圧冷媒は、室内送風機から送風された送風空気と熱交換して蒸発する。これにより、送風空気が冷却される。室内蒸発器14の冷媒通路14aから流出した冷媒は、圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
以上の如く、本実施形態の温度調整装置1によれば、熱媒体を介してラジエータ41にてバッテリ80の排熱を外気に放熱させることができる。これにより、バッテリ80を冷却して、バッテリ80の温度上昇を抑制することができる。また、室内蒸発器14にて送風空気を冷却して、車室内の冷房を行うことができる。
さらに、本実施形態の温度調整装置1では、ラジエータ41の外気の流れ方向下流側に凝縮器12が配置されている。つまり、ラジエータ41の熱媒体通路41aは、熱媒体が吸熱したバッテリ80の排熱を凝縮器12にて吸熱する前の外気に放熱させている。また、凝縮器12の冷媒通路12aは、高圧冷媒の有する熱を、ラジエータ41を通過後の外気に放熱させている。
従って、ラジエータ41では、冷凍サイクル装置10の作動状態の影響を受けることなく、バッテリ80の排熱を、熱媒体を介して安定的に外気に放熱させることができる。つまり、冷凍サイクル装置10が停止していても、バッテリ80を冷却することができる。その結果、冷凍サイクル装置10に不必要なエネルギを消費させることなく、効率的にバッテリ80を冷却することができる。
さらに、冷凍サイクル装置10を作動させる際には、バッテリ80の発熱量によらず、成績係数(COP)が極大値に近づくように、圧縮機11の回転数を調整することができる。つまり、冷凍サイクル装置10では、凝縮器12へ流入する外気の温度によらず、COPが向上するように、圧縮機11の回転数を調整することができる。従って、室内蒸発器14にて効率的に送風空気を冷却することができる。
また、温度調整装置1では、ラジエータ41および凝縮器12が、外気の流れ方向から見たときに、互いに重合するように近接配置されている。さらに、共通する室外送風機15によって、ラジエータ41および凝縮器12に向けて外気を送風している。これによれば、ラジエータ41、凝縮器12、および室外送風機15の搭載スペースを縮小させて、搭載自由度を向上させることができる。
なお、本実施形態では、室内蒸発器14にて冷却された送風空気を車室内へ吹き出す例を説明したが、室内蒸発器14にて冷却された送風空気をバッテリ80へ吹き付けるようにしてもよい。これによれば、温度調整装置1を、専らバッテリ80を冷却するために利用されるバッテリ冷却装置として利用することができる。
この場合は、水ポンプ42および室外送風機15を作動させて、バッテリ80の温度を適切な温度範囲内に維持することができる場合には、冷凍サイクル装置10を停止させておくことができる。従って、温度調整を行う対象物(本実施形態では、バッテリ80)を効率的に冷却することができる。
(第2実施形態)
本実施形態では、図2に示すように、第1実施形態に対して、第2熱媒体回路50を追加した例を説明する。本実施形態の温度調整装置1は、バッテリ80を冷却するバッテリ冷却装置に適用されている。なお、図2では、図示の明確化のために、制御装置70、並びに、制御装置70と各種制御対象機器とを接続する電力線や信号線の図示を省略している。このことは、他の図面においても同様である。
また、本実施形態では、説明の明確化のために、第1実施形態で説明した熱媒体回路40を第1熱媒体回路40と記載する。さらに、第1熱媒体回路40の構成機器については、「第1」等を付して記載する。例えば、第1実施形態で説明した水ポンプ42については、第1バッテリ側水ポンプ42と記載する。熱媒体については、第1熱媒体と記載する。ラジエータ41については、第1ラジエータ41と記載する。
本実施形態の冷凍サイクル装置10では、凝縮器12に代えて水-冷媒熱交換器121を採用している。さらに、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、室内蒸発器14に代えて、チラー141を採用している。
水-冷媒熱交換器121は、冷媒通路121aおよび熱媒体通路121bを有している。冷媒通路121aは、圧縮機11から吐出された高圧冷媒を流通させる通路である。熱媒体通路121bは、第2熱媒体回路50を循環する第2熱媒体を流通させる通路である。水-冷媒熱交換器121は、冷媒通路121aを流通する高圧冷媒と、熱媒体通路121bを流通する第2熱媒体とを熱交換させる熱交換器である。
従って、冷凍サイクル装置10の作動時の冷媒通路121aでは、高圧冷媒が第2熱媒体に放熱して凝縮する。一方、熱媒体通路121bでは、第2熱媒体が高圧冷媒から吸熱して加熱される。
つまり、冷媒通路121aは、圧縮機11から吐出された高圧冷媒を凝縮させる凝縮部である。また、熱媒体通路121bは、凝縮部と熱的に接続されて第2熱媒体と高圧冷媒とを熱交換させて、高圧冷媒の有する熱を第2熱媒体に吸熱させる凝縮側熱交換部である。
第2熱媒体回路50は、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121bと第2ラジエータ51との間で第2熱媒体を循環させる熱媒体循環回路である。第2熱媒体としては、第1熱媒体と同じ熱媒体を採用することができる。
第2熱媒体回路50には、第2熱交換器側水ポンプ52が配置されている。第2熱交換器側水ポンプ52は、第2ラジエータ51から流出した第2熱媒体を水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121bへ圧送する。第2熱交換器側水ポンプ52の基本的構成は、第1バッテリ側水ポンプ42と同様である。
第2ラジエータ51は、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121bから流出した第2熱媒体と室外送風機15から送風された外気とを熱交換させる第2熱交換部である。第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aには、第2熱交換器側水ポンプ52の吸入口側が接続されている。
第2ラジエータ51は、第1実施形態で説明した凝縮器12と同様に、駆動装置内の前方側に配置されている。つまり、第2ラジエータ51は、第1ラジエータ41よりも外気の流れ方向下流側に配置されている。
第1ラジエータ41と第2ラジエータ51は、外気の流れ方向から見たときに、熱交換に寄与する熱交換部の面積が略同等に形成されている。第1ラジエータ41と第2ラジエータ51は、外気の流れ方向から見たときに、重合するように近接配置されている。
従って、第2ラジエータ51は、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121bから流出した第2熱媒体と第1ラジエータ41を通過後の外気とを熱交換させる。第1ラジエータ41は、バッテリ80の冷却水通路80aから流出した第1熱媒体と第2ラジエータ51にて第2熱媒体と熱交換する前の外気とを熱交換させる。
換言すると、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aは、第1熱媒体が吸熱したバッテリ80の排熱を、第2ラジエータ51にて吸熱する前の外気に放熱させる。第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aは、第2熱媒体が吸熱した高圧冷媒の有する熱を、第1ラジエータ41を通過後の外気に放熱させる。
チラー141は、冷媒通路141aおよび熱媒体通路141bを有している。冷媒通路141aは、膨張弁13にて減圧された低圧冷媒を流通させる通路である。熱媒体通路141bは、第1熱媒体回路40を循環する第1熱媒体を流通させる通路である。チラー141は、冷媒通路141aを流通する低圧冷媒と、熱媒体通路141bを流通する第1熱媒体とを熱交換させる熱交換器である。
従って、冷凍サイクル装置10の作動時の冷媒通路141aでは、低圧冷媒が第1熱媒体から吸熱して蒸発する。一方、熱媒体通路141bでは、第2熱媒体が低圧冷媒に吸熱されて冷却される。
つまり、冷媒通路141aは、膨張弁13にて減圧された低圧冷媒を蒸発させる蒸発部である。また、熱媒体通路141bは、蒸発部と熱的に接続されて第1熱媒体と低圧冷媒とを熱交換させて、第1熱媒体の有する熱を低圧冷媒に吸熱させる蒸発側熱交換部である。
熱媒体通路141bの出口には、バッテリ80の冷却水通路80aの入口側が接続されている。その他の第1熱媒体回路40の構成は、第1実施形態と同様である。従って、本実施形態の第1熱媒体回路40および第2熱媒体回路50は、第1熱媒体と第2熱媒体とを混合させることのない互いに独立した熱媒体回路を形成している。
また、本実施形態のバッテリ80は、蒸発側対象物であって、温度調整装置1が温度調整を行う対象物に含まれる。また、冷却水通路80aは、蒸発側対象物熱交換部である。
次に、上記構成の本実施形態の温度調整装置1の作動について説明する。本実施形態の温度調整装置1では、制御装置70が、バッテリ温度TBが適切な温度範囲内に維持されるように、出力側に接続された各制御対象機器の作動を制御する。本実施形態の温度調整装置1では、バッテリ温度TBに応じて、第1電池冷却モードと第2電池冷却モードとを切り替えることができる。
(a)第1電池冷却モード
第1電池冷却モードは、バッテリ温度TBが予め定めた第1基準温度KTB1以上となった際に実行される。第1基準温度KTB1は、バッテリ80の適切な温度範囲内の上限値以下の値(本実施形態では、30℃)に設定されている。第1電池冷却モードでは、制御装置70が、室外送風機15および第1バッテリ側水ポンプ42を作動させる。さらに、制御装置70は、圧縮機11および第2熱交換器側水ポンプ52を停止させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141bへ流入する。第1電池冷却モードでは、圧縮機11が停止している。従って、第1熱媒体は熱媒体通路141bで冷却されることなく、バッテリ80の冷却水通路80aへ流入する。
冷却水通路80aへ流入した第1熱媒体は、冷却水通路80aを流通する際にバッテリ80の排熱を吸熱する。これにより、バッテリ80が冷却される。冷却水通路80aから流出した第1熱媒体は、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aへ流入する。
第1熱媒体通路41aへ流入した第1熱媒体は、外気に放熱する。これにより、第1熱媒体が冷却される。第1熱媒体通路41aから流出した第1熱媒体は、第1バッテリ側水ポンプ42へ吸入されて再び冷却水通路80aへ圧送される。
従って、第1電池冷却モードでは、第1熱媒体を介してバッテリ80の排熱を第1ラジエータ41にて外気に放熱させることができる。これにより、バッテリ80を冷却することができる。
(b)第2電池冷却モード
第2電池冷却モードは、バッテリ温度TBが第1基準温度KTB1よりも上昇して、予め定めた第2基準温度KTB2以上となった際に実行される。第2基準温度KTB2は、第1基準温度KTB1よりも高い値であって、バッテリ80の適切な温度範囲内の上限値以下の値(本実施形態では、45℃)に設定されている。
第2電池冷却モードでは、制御装置70が、室外送風機15および第1バッテリ側水ポンプ42を作動させる。さらに、制御装置70は、圧縮機11および第2熱交換器側水ポンプ52を作動させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第1電池冷却モードと同様に、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141b→バッテリ80の冷却水通路80a→第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環する。
これにより、第1熱媒体回路40では、第1熱媒体がバッテリ80の冷却水通路80aを流通する際に吸熱したバッテリ80の排熱を、第1ラジエータ41にて外気に放熱させることができる。
また、第2熱媒体回路50では、第2熱交換器側水ポンプ52から圧送された第2熱媒体が、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121bへ流入する。熱媒体通路121bへ流入した第2熱媒体は、水-冷媒熱交換器121の冷媒通路121aを流通する高圧冷媒から吸熱して加熱される。
熱媒体通路121bから流出した第2熱媒体は、第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aへ流入する。第2熱媒体通路51aへ流入した第2熱媒体は、第1ラジエータ41通過後の外気に放熱する。これにより、第2熱媒体が冷却される。第2熱媒体通路51aから流出した第2熱媒体は、第2熱交換器側水ポンプ52へ吸入されて再び熱媒体通路121bへ圧送される。
また、冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、水-冷媒熱交換器121の冷媒通路121aへ流入する。冷媒通路121aへ流入した高圧冷媒は、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121bを流通する第2熱媒体に放熱して凝縮する。
水-冷媒熱交換器121の冷媒通路121aにて凝縮した冷媒は、膨張弁13へ流入して減圧される。この際、膨張弁13の絞り開度は、室内蒸発器14の出口側冷媒の過熱度が基準過熱度に近づくように調整される。膨張弁13にて減圧された低圧冷媒は、チラー141の冷媒通路141aへ流入する。
チラー141の冷媒通路141aへ流入した低圧冷媒は、熱媒体通路141bを流通する第1熱媒体から吸熱して蒸発する。これにより、チラー141の熱媒体通路141bを流通する第1熱媒体が冷却される。冷媒通路141aから流出した冷媒は、圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
従って、第2電池冷却モードでは、第1電池冷却モードと同様に、バッテリ80の温度上昇を抑制することができる。さらに、第2電池冷却モードでは、バッテリ80の冷却水通路80aへ流入する第1熱媒体の温度を第1電池冷却モードよりも低下させることができる。従って、第2電池冷却モードでは、第1電池冷却モードよりも高い冷却能力でバッテリ80を冷却することができる。
以上の如く、本実施形態の温度調整装置1によれば、バッテリ80を冷却して、バッテリ80の温度上昇を抑制することができる。
さらに、本実施形態の温度調整装置1では、第1ラジエータ41の外気の流れ方向下流側に第2ラジエータ51が配置されている。つまり、第2ラジエータ51は、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121bから流出した第2熱媒体と第1ラジエータ41を通過後の外気と熱交換させる。また、第1ラジエータ41は、バッテリ80の冷却水通路80aから流出した第1熱媒体と第2ラジエータ51を通過する前の外気とを熱交換させる。
従って、第1ラジエータ41では、冷凍サイクル装置10の作動状態の影響を受けることなく、バッテリ80の排熱を、第1熱媒体を介して安定的に外気に放熱させることができる。つまり、第1電池冷却モードのように、冷凍サイクル装置10が停止していても、バッテリ80を冷却することができる。その結果、冷凍サイクル装置10に不必要なエネルギを消費させることなく、効率的にバッテリ80を冷却することができる。
また、本実施形態の温度調整装置1では、チラー141を備えているので、第2電池冷却モード時に第1熱媒体を冷却して、第1電池冷却モードよりも高い冷却能力でバッテリ80を冷却することができる。従って、第1電池冷却モード時にバッテリ80の冷却が不充分となってしまう運転条件時に、第2電池冷却モードへ切り替えることで、バッテリ80を確実に冷却することができる。
その結果、本実施形態の温度調整装置1によれば、冷凍サイクル装置10に不必要なエネルギを消費させることなく、効率的に、かつ、確実にバッテリ80を冷却することができる。
また、本実施形態の温度調整装置1では、第1熱媒体回路40および第2熱媒体回路50が互いに独立した熱媒体回路を形成している。これによれば、第1熱媒体と第2熱媒体が混ざり合ってしまうことによる第1熱媒体の温度変化がない。従って、冷凍サイクル装置10にて、第1熱媒体の温度を調整しやすい。その結果、より一層、確実にバッテリ80の温度を適切な温度範囲内に維持しやすい。
(第3実施形態)
本実施形態では、図3に示すように、第2実施形態に対して、第1熱媒体回路40の構成および第2熱媒体回路50の構成を変更して、加熱部を追加した例を説明する。加熱部は、車室内へ送風される送風空気を加熱する。従って、本実施形態の送風空気は、加熱対象流体である。加熱対象流体は、温度調整装置1が温度調整を行う対象物に含まれる。
具体的には、本実施形態の第1熱媒体回路40は、第1バッテリ迂回通路401を有している。第1バッテリ迂回通路401は、チラー141の熱媒体通路141bから流出した第1熱媒体を、バッテリ80の冷却水通路80aを迂回させて、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aの入口側へ導く熱媒体通路である。
さらに、本実施形態の第1熱媒体回路40は、第1バッテリ側開閉弁45aおよび第1迂回通路側開閉弁45bを有している。第1バッテリ側開閉弁45aおよび第1迂回通路側開閉弁45bは、第1熱媒体回路40の回路構成を切り替える切替部である。
第1バッテリ側開閉弁45aは、チラー141の熱媒体通路141bから流出した第1熱媒体を、バッテリ80の冷却水通路80aへ流入させる熱媒体通路を開閉する電磁弁である。第1迂回通路側開閉弁45bは、第1バッテリ迂回通路401を開閉する電磁弁である。第1バッテリ側開閉弁45aおよび第1迂回通路側開閉弁45bは、制御装置70から出力される制御電圧によって、その作動が制御される。
また、本実施形態の第2熱媒体回路50は、第2ラジエータ迂回通路501を有している。第2ラジエータ迂回通路501は、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121bから流出した第2熱媒体を、第2ラジエータ51を迂回させて第2熱交換器側水ポンプ52の吸入側へ導く熱媒体通路である。
さらに、本実施形態の第2熱媒体回路50は、ヒータコア53、第2ラジエータ側流量調整弁54、第2ヒータコア側開閉弁55を有している。
ヒータコア53は、第2ラジエータ迂回通路501に配置されている。第2ラジエータ51とヒータコア53は、熱媒体通路121bから流出した第2熱媒体の流れに対して、互いに並列的に接続されている。ヒータコア53は、熱媒体通路121bから流出した第2熱媒体と図示しない室内送風機から車室内へ送風された送風空気とを熱交換させて、送風空気を加熱する熱交換器である。
第2ラジエータ側流量調整弁54は、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121bから流出した第2熱媒体を第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aへ導く熱媒体通路に配置されている。第2ラジエータ側流量調整弁54は、第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aへ流入する第2熱媒体の流量を調整する。
第2ラジエータ側流量調整弁54は、電気式の可変絞り機構である。第2ラジエータ側流量調整弁54は、弁開度を全開にすることで流量調整作用を殆ど発揮することなく単なる熱媒体通路として機能する全開機能、および弁開度を全閉にすることで熱媒体通路を閉塞する全閉機能を有している。第2ラジエータ側流量調整弁54は、制御装置70から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
第2ヒータコア側開閉弁55は、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121bから流出した第2熱媒体をヒータコア53へ導く熱媒体通路に配置されている。第2ヒータコア側開閉弁55は、第2ラジエータ迂回通路501を開閉する電磁弁である。第2ヒータコア側開閉弁55の基本的構成は、第1バッテリ側開閉弁45a等と同様である。その他の温度調整装置1の構成は、第2実施形態と同様である。
従って、本実施形態の第2熱媒体回路50では、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121bにて加熱された第2熱媒体をヒータコア53へ流入させることによって、ヒータコア53にて送風空気を加熱することができる。
つまり、本実施形態の温度調整装置1では、水-冷媒熱交換器121およびヒータコア53を有する第2熱媒体回路50によって、加熱部が構成されている。より詳細には、第2熱媒体回路50のうち、水-冷媒熱交換器121とヒータコア53との間で第2熱媒体を循環させる回路によって加熱部が構成されている。
次に、上記構成の本実施形態の温度調整装置1の作動について説明する。本実施形態の温度調整装置1では、制御装置70が、バッテリ温度TBが適切な温度範囲内に維持されるように、制御対象機器の作動を制御する。また、制御装置70は、車室内温度Trが温度設定部によって設定された設定温度に近づくように、制御対象機器の作動を制御する。
本実施形態の温度調整装置1では、バッテリ温度TBおよび車室内温度Trに応じて、運転モードを切り替えることができる。以下に各運転モードについて説明する。
(a)第1電池冷却モード
第1電池冷却モードは、バッテリ温度TBが第1基準温度KTB1以上となっており、かつ、車室内温度Trが設定温度よりも高くなっている際に実行される。バッテリ温度TBが第1基準温度KTB1以上となっている際には、バッテリ80を冷却する必要がある。また、車室内温度Trが設定温度よりも高くなっている際には、車室内の暖房を行う必要がない。そのため、第1電池冷却モードでは、冷凍サイクル装置10を作動させる必要はない。
第1電池冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを開き、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じる。さらに、制御装置70は、室外送風機15および第1バッテリ側水ポンプ42を作動させる。また、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52および圧縮機11を停止させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第2実施形態と同様に、第1熱媒体が循環する。これにより、第1熱媒体回路40では、第1熱媒体がバッテリ80の冷却水通路80aを流通する際に吸熱したバッテリ80の排熱を、第1ラジエータ41にて外気に放熱させることができる。
また、第2熱媒体回路50では、第2熱交換器側水ポンプ52が停止しているので、第2熱媒体が循環することはない。また、冷凍サイクル装置10では、圧縮機11が停止しているので、冷媒が循環することはない。
従って、第1電池冷却モードでは、第2実施形態で説明した第1電池冷却モードと同様に、バッテリ80を冷却することができる。
(b)第2電池冷却モード
第2電池冷却モードは、バッテリ温度TBが第2基準温度KTB2以上となっており、かつ、車室内温度Trが設定温度よりも高くなっている際に実行される。バッテリ80の温度が第2基準温度KTB2以上となっている際には、第1熱媒体回路40にて第1熱媒体を循環させるだけでは、バッテリ80を充分に冷却できないおそれがある。従って、第2電池冷却モードでは、冷凍サイクル装置10を作動させる。
第2電池冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを開き、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じる。さらに、制御装置70は、室外送風機15および第1バッテリ側水ポンプ42を作動させる。また、制御装置70は、第2ラジエータ側流量調整弁54を全開とし、第2ヒータコア側開閉弁55を閉じる。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52および圧縮機11を作動させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第1電池冷却モードと同様に、第1熱媒体が循環する。これにより、第1熱媒体回路40では、第1熱媒体がバッテリ80の冷却水通路80aを流通する際に吸熱したバッテリ80の排熱を、第1ラジエータ41にて外気に放熱させることができる。
また、第2熱媒体回路50では、第2実施形態の第2電池冷却モードと同様に、第2熱交換器側水ポンプ52から圧送された第2熱媒体が、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121b→第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51a→第2熱交換器側水ポンプ52の吸入側の順に循環する。これにより、第2熱媒体回路50では、第2熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて高圧冷媒から吸熱した熱を、第2ラジエータ51にて外気に放熱させることができる。
また、冷凍サイクル装置10では、第2実施形態の第2電池冷却モードと同様に、圧縮機11から吐出された冷媒が、水-冷媒熱交換器121の冷媒通路121a→膨張弁13→チラー141の冷媒通路141a→圧縮機11の吸入側の順に循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、冷媒がチラー141にて第1熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体へ放熱させることができる。
従って、第2電池冷却モードでは、第2実施形態で説明した第2電池冷却モードと同様に、バッテリ80の冷却水通路80aへ流入する第1熱媒体の温度を第1電池冷却モードよりも低下させて、第1電池冷却モードよりも高い冷却能力でバッテリ80を冷却することができる。
(c)暖房冷却モード
暖房冷却モードは、バッテリ温度TBが第1基準温度KTB1以上となっており、かつ、車室内温度Trが設定温度よりも低くなっている際に実行される。車室内温度Trが設定温度よりも低くなっている際には、車室内の暖房を行う必要がある。
暖房冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを開き、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じる。さらに、制御装置70は、室外送風機15および第1バッテリ側水ポンプ42を作動させる。
また、制御装置70は、第2ラジエータ側流量調整弁54の開度を調整するとともに、第2ヒータコア側開閉弁55を開く。第2ラジエータ側流量調整弁54の開度は、車室内温度Trが設定温度に近づくように調整される。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52および圧縮機11を作動させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第1電池冷却モードと同様に、第1熱媒体が循環する。これにより、第1熱媒体回路40では、第1熱媒体がバッテリ80の冷却水通路80aを流通する際に吸熱したバッテリ80の排熱を、第1ラジエータ41にて外気に放熱させることができる。
また、第2熱媒体回路50では、第2熱交換器側水ポンプ52から圧送された第2熱媒体が、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121bにて加熱される。
熱媒体通路121bにて加熱された一部の第2熱媒体は、第2ヒータコア側開閉弁55を介して、ヒータコア53へ流入する。ヒータコア53へ流入した第2熱媒体は、室内送風機から送風された送風空気と熱交換して放熱する。これにより、送風空気が加熱される。ヒータコア53から流出した第2熱媒体は、第2熱媒体通路51aから流出した第2熱媒体と合流する。
熱媒体通路121bにて加熱された残余の第2熱媒体は、第2ラジエータ側流量調整弁54を介して、第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aへ流入する。第2熱媒体通路51aへ流入した第2熱媒体は、第1ラジエータ41通過後の外気に放熱する。これにより、第2熱媒体が冷却される。
この際、第2ラジエータ側流量調整弁54の開度は、車室内温度Trを設定温度に近づけるために、第2ラジエータ51にて第2熱媒体の有する熱が過度に外気へ放熱されないように調整される。第2熱媒体通路51aから流出した第2熱媒体は、ヒータコア53から流出した第2熱媒体と合流して、第2熱交換器側水ポンプ52へ吸入される。
また、冷凍サイクル装置10では、第2電池冷却モードと同様に、冷媒が循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、冷媒がチラー141にて第1熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体へ放熱させることができる。
従って、暖房冷却モードでは、第2電池冷却モードと同様に、高い冷却能力でバッテリ80を冷却することができる。さらに、ヒータコア53にて送風空気を加熱して、車室内の暖房を行うことができる。
(d)暖房運転モード
暖房運転モードは、バッテリ温度TBが第1基準温度KTB1より低くなっており、かつ、車室内温度Trが設定温度よりも低くなっている際に実行される。バッテリ温度TBが第1基準温度KTB1より低くなっている際には、バッテリ80の冷却を行う必要がない。
暖房運転モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを開く。さらに、制御装置70は、室外送風機15および第1バッテリ側水ポンプ42を作動させる。
また、制御装置70は、第2ラジエータ側流量調整弁54の開度を調整するとともに、第2ヒータコア側開閉弁55を開く。第2ラジエータ側流量調整弁54の開度は、車室内温度Trが設定温度に近づくように調整される。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52および圧縮機11を作動させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141bへ流入する。チラー141の熱媒体通路141bへ流入した第1熱媒体は、チラー141の冷媒通路141aを流通する低圧冷媒に吸熱されて冷却される。
熱媒体通路141bから流出した第1熱媒体は、第1バッテリ迂回通路401を介して、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aへ流入する。従って、暖房運転モードでは、第1熱媒体がバッテリ80の排熱を吸熱することはない。第1熱媒体通路41aへ流入した第1熱媒体は、室外送風機15から送風された外気と熱交換する。
暖房運転モードでは、低温の第1熱媒体が第1熱媒体通路41aへ流入する。このため、第1ラジエータ41では、第1熱媒体が外気から吸熱して外気温程度に温度上昇する。第1熱媒体通路41aから流出した第1熱媒体は、第1バッテリ側水ポンプ42へ吸入されて再び熱媒体通路141bへ圧送される。
また、第2熱媒体回路50では、暖房冷却モードと同様に、第2熱交換器側水ポンプ52から圧送された第2熱媒体が、水-冷媒熱交換器121の冷媒通路121a→第2ヒータコア側開閉弁55→ヒータコア53→第2熱交換器側水ポンプ52の吸入口の順に循環するとともに、水-冷媒熱交換器121の冷媒通路121a→第2ラジエータ側流量調整弁54→第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51a→第2熱交換器側水ポンプ52の吸入口の順に循環する。
これにより、第2熱媒体回路50では、第2熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて高圧冷媒から吸熱した熱のうち一部の熱を、ヒータコア53にて送風空気に放熱させることができる。さらに、残余の熱を、第2ラジエータ51にて外気に放熱させることができる。
また、冷凍サイクル装置10では、第2電池冷却モードと同様に、冷媒が循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、冷媒がチラー141にて第1熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体に放熱させることができる。
従って、暖房運転モードでは、バッテリ80を冷却することなく、ヒータコア53にて送風空気を加熱することができる。これにより、車室内の暖房を行うことができる。
以上の如く、本実施形態の温度調整装置1では、第1電池冷却モードと第2電池冷却モードとを切り替えることができる。従って、第2実施形態と同様に、冷凍サイクル装置10に不必要なエネルギを消費させることなく、効率的に、かつ、確実にバッテリ80を冷却して、バッテリ80の温度上昇を抑制することができる。
また、本実施形態の温度調整装置1では、加熱部として、水-冷媒熱交換器121およびヒータコア53を有する第2熱媒体回路50を備えている。さらに、冷凍サイクル装置10では、チラー141にて第1熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体に放熱させている。従って、ヒータコア53では、高圧冷媒を熱源として、第2熱媒体を介して送風空気を加熱することができる。
さらに、本実施形態の温度調整装置1では、第1ラジエータ41にて、第1熱媒体と第2ラジエータ51を通過する前の外気とを熱交換させる。
これによれば、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aへ流入する第1熱媒体の温度によらず、第1熱媒体通路41aから流出する第1熱媒体の温度を、外気温に近づけることができる。つまり、暖房冷却モードと暖房運転モードとを切り替えても、チラー141の熱媒体通路141bへ流入する第1熱媒体の温度を、外気温に近づけることができる。
従って、暖房冷却モードと暖房運転モードとを切り替えても、チラー141にて冷媒が第1熱媒体から吸熱する吸熱量の変動を抑制することができる。そして、暖房冷却モードと暖房運転モードとを切り替えても、水-冷媒熱交換器121にて冷媒が第2熱媒体に放熱する放熱量の変動を抑制することができる。
その結果、本実施形態の温度調整装置1によれば、暖房冷却モードと暖房運転モードとを切り替えても、安定した暖房性能を発揮することができる。
(第4実施形態)
本実施形態では、図4に示すように、第2実施形態に対して、第1熱媒体回路40の構成および第2熱媒体回路50の構成を変更して、加熱部を追加した例を説明する。
具体的には、本実施形態の第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42の吐出口に、バッテリ80の冷却水通路80aの入口側が接続されている。冷却水通路80aの出口には、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aの入口側およびチラー141の熱媒体通路141bの入口側が接続されている。
本実施形態の第1バッテリ側開閉弁45aは、第1熱媒体通路41aから流出した第1熱媒体を、第1バッテリ側水ポンプ42の吸入口へ導く熱媒体通路を開閉するように配置されている。
本実施形態の第1バッテリ迂回通路401は、バッテリ80の冷却水通路80aから流出した第1熱媒体を、第1熱媒体通路41aを迂回させて、チラー141の熱媒体通路141bの入口側へ導くように接続されている。つまり、本実施形態の第1ラジエータ41とチラー141は、冷却水通路80aから流出した第1熱媒体の流れに対して、互いに並列的に接続されている。
熱媒体通路141bの出口は、第1バッテリ側水ポンプ42の吸入口側に接続されている。第1迂回通路側開閉弁45bは、熱媒体通路141bから流出した第1熱媒体を、第1バッテリ側水ポンプ42の吸入口へ流入させる熱媒体通路を開閉するように配置されている。その他の構成は、第3実施形態と同様である。従って、本実施形態の加熱部は、第3実施形態と同様に、第2熱媒体回路50によって構成されている。
次に、上記構成の本実施形態の温度調整装置1の作動について説明する。本実施形態の温度調整装置1では、バッテリ温度TBおよび車室内温度Trに応じて、3つの運転モードを切り替えることができる。以下に各運転モードについて説明する。
(a)第1電池冷却モード
第1電池冷却モードは、バッテリ温度TBが第1基準温度KTB1以上となっており、かつ、車室内温度Trが設定温度よりも高くなっている際に実行される。
第1電池冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを開き、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じる。さらに、制御装置70は、室外送風機15および第1バッテリ側水ポンプ42を作動させる。また、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52および圧縮機11を停止させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から吐出された第1熱媒体が、バッテリ80の冷却水通路80aへ流入する。冷却水通路80aへ流入した第1熱媒体は、冷却水通路80aを流通する際にバッテリ80の排熱を吸熱して加熱される。これにより、バッテリ80が冷却される。
冷却水通路80aから流出した第1熱媒体は、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aへ流入する。第1熱媒体通路41aへ流入した第1熱媒体は、外気に放熱する。これにより、第1熱媒体が冷却される。第1熱媒体通路41aから流出した第1熱媒体は、第1バッテリ側水ポンプ42へ吸入されて再び冷却水通路80aへ圧送される。
また、第2熱媒体回路50では、第2熱交換器側水ポンプ52が停止しているので、第2熱媒体は循環が循環することはない。また、冷凍サイクル装置10では、圧縮機11が停止しているので、冷媒が循環することはない。
従って、第1電池冷却モードでは、第2実施形態で説明した第1電池冷却モードと同様に、バッテリ80の温度上昇を抑制することができる。
(b)第2電池冷却モード
第2電池冷却モードは、バッテリ温度TBが第2基準温度KTB2以上となっており、かつ、車室内温度Trが設定温度よりも高くなっている際に実行される。
第2電池冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを開き、第1迂回通路側開閉弁45bを開く。さらに、制御装置70は、室外送風機15および第1バッテリ側水ポンプ42を作動させる。また、制御装置70は、第2ラジエータ側流量調整弁54を全開とし、第2ヒータコア側開閉弁55を閉じる。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52および圧縮機11を作動させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、バッテリ80の冷却水通路80aへ流入する。冷却水通路80aへ流入した第1熱媒体は、バッテリ80の排熱を吸熱して加熱される。これにより、バッテリ80が冷却される。
冷却水通路80aにて加熱された一部の第1熱媒体は、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aへ流入する。第1熱媒体通路41aへ流入した一部の第1熱媒体は、第1ラジエータ41通過後の外気に放熱する。これにより、第1熱媒体が冷却される。第1熱媒体通路41aから流出した第1熱媒体は、チラー141の熱媒体通路141bから流出した第1熱媒体と合流する。
冷却水通路80aにて加熱された残余の第1熱媒体は、チラー141の熱媒体通路141bへ流入する。チラー141の熱媒体通路141bへ流入した第1熱媒体は、チラー141の冷媒通路141aを流通する低圧冷媒に吸熱されて冷却される。これにより、第1熱媒体の温度が外気温よりも低下する。
熱媒体通路141bから流出した第1熱媒体は、第1熱媒体通路41aから流出した第1熱媒体と合流して、第1バッテリ側水ポンプ42に吸入される。このため、第2電池冷却モードでは、第1バッテリ側水ポンプ42から吐出されてバッテリ80の冷却水通路80aへ流入する第1熱媒体の温度が、第1電池冷却モードよりも低下する。
また、第2熱媒体回路50では、第3実施形態の第2電池冷却モードと同様に、第2熱媒体が循環する。これにより、第2熱媒体回路50では、第2熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて高圧冷媒から吸熱した熱を、第2ラジエータ51にて外気に放熱させることができる。
また、冷凍サイクル装置10では、第3実施形態の第2電池冷却モードと同様に、冷媒が循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、冷媒がチラー141にて第1熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体へ放熱させることができる。
従って、第2電池冷却モードでは、バッテリ80の冷却水通路80aへ流入する第1熱媒体の温度を第1電池冷却モードよりも低下させて、第1電池冷却モードよりも高い冷却能力でバッテリ80を冷却することができる。
(c)暖房冷却モード
暖房冷却モードは、バッテリ温度TBが第1基準温度KTB1以上となっており、かつ、車室内温度Trが設定温度よりも低くなっている際に実行される。
暖房冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを開き、第1迂回通路側開閉弁45bを開く。さらに、制御装置70は、室外送風機15および第1バッテリ側水ポンプ42を作動させる。
また、制御装置70は、第2ラジエータ側流量調整弁54の開度を調整するとともに、第2ヒータコア側開閉弁55を開く。第2ラジエータ側流量調整弁54の開度は、車室内温度Trが設定温度に近づくように調整される。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52および圧縮機11を作動させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第2電池冷却モードと同様に、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、バッテリ80の冷却水通路80a→第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41a→第1バッテリ側開閉弁45a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入口の順に循環するとともに、チラー141の熱媒体通路141b→第1迂回通路側開閉弁45b→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入口の順に循環する。
これにより、第1熱媒体回路40では、第1熱媒体がバッテリ80から吸熱した熱のうち一部の熱を、第1ラジエータ41にて外気に放熱させることができる。さらに、残余の熱を、チラー141にて低圧冷媒に吸熱させることができる。
また、第2熱媒体回路50では、第2実施形態の暖房冷却モードと同様に、第2熱媒体が循環する。これにより、第2熱媒体回路50では、第2熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて高圧冷媒から吸熱した熱のうち一部の熱を、ヒータコア53にて送風空気に放熱させることができる。さらに、残余の熱を、第2ラジエータ51にて外気に放熱させることができる。
また、冷凍サイクル装置10では、第2電池冷却モードと同様に、冷媒が循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、冷媒がチラー141にて第1熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体に放熱させることができる。
従って、暖房冷却モードでは、第2電池冷却モードと同様に、高い冷却能力でバッテリ80を冷却することができる。また、ヒータコア53にて送風空気を加熱して、車室内の暖房を行うことができる。
以上の如く、本実施形態の温度調整装置1では、第1電池冷却モードと第2電池冷却モードとを切り替えることができる。従って、第2実施形態と同様に、冷凍サイクル装置10に不必要なエネルギを消費させることなく、効率的に、かつ、確実にバッテリ80を冷却して、バッテリ80の温度上昇を抑制することができる。
また、本実施形態の温度調整装置1では、加熱部として、水-冷媒熱交換器121およびヒータコア53を有する第2熱媒体回路50を備えている。従って、第3実施形態と同様に、送風空気を加熱して車室内の暖房を行うことができる。
(第5実施形態)
本実施形態では、図5に示すように、第1実施形態に対して、冷凍サイクル装置10の構成を変更して、加熱部を追加した例を説明する。具体的には、本実施形態の冷凍サイクル装置10は、室内凝縮器122、冷凍サイクル装置用の迂回通路101、開閉弁16、および第2実施形態と同様のチラー141を有している。
室内凝縮器122は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒と図示しない室内送風機から車室内へ送風された送風空気とを熱交換させて、送風空気を加熱する加熱用の熱交換器である。換言すると、室内凝縮器122は、高圧冷媒を熱源として送風空気を加熱する加熱部である。室内凝縮器122の冷媒出口には、凝縮器12の冷媒通路12aの入口側が接続されている。
迂回通路101は、圧縮機11から吐出された高圧冷媒を、室内凝縮器122を迂回させて凝縮器12の冷媒通路12aの入口側へ導く冷媒通路である。開閉弁16は、迂回通路101を開閉する開閉弁である。開閉弁16の基本的構成は、第3実施形態で説明した第2熱媒体回路50の第2ヒータコア側開閉弁55等と同様である。
ここで、冷媒が迂回通路101を通過する際に生じる圧力損失は、冷媒が室内凝縮器122の冷媒通路を通過する際に生じる圧力損失に対して極めて小さい。従って、開閉弁16が開いている場合には、圧縮機11から吐出された殆ど全ての高圧冷媒が、迂回通路101を介して凝縮器12へ流入する。また、開閉弁16が閉じている場合には、圧縮機11から吐出された全ての高圧冷媒が、室内凝縮器122の冷媒通路へ流入する。
また、本実施形態の第1熱媒体回路40は、第3実施形態と同様の第1バッテリ迂回通路401、第1バッテリ側開閉弁45a、第1迂回通路側開閉弁45bを有している。
本実施形態の第1バッテリ側開閉弁45aは、チラー141の熱媒体通路141bから流出した冷媒の流れを分岐する分岐部からバッテリ80の冷却水通路80aの入口へ至る熱媒体通路に配置されている。もちろん、第3実施形態と同様に、第1バッテリ側開閉弁45aは、バッテリ80の冷却水通路80aの出口から合流部へ至る熱媒体通路に配置されていてもよい。
合流部は、バッテリ80の冷却水通路80aから流出した冷媒の流れと第1バッテリ迂回通路401を流通した冷媒の流れとを合流させる部位である。その他の温度調整装置1の構成は、第1実施形態と同様である。
次に、上記構成の本実施形態の温度調整装置1の作動について説明する。本実施形態の温度調整装置1では、制御装置70が、バッテリ温度TBが適切な温度範囲内に維持されるように、制御対象機器の作動を制御する。また、制御装置70は、車室内温度Trが温度設定部によって設定された設定温度に近づくように、制御対象機器の作動を制御する。
(a)第1電池冷却モード
第1電池冷却モードは、バッテリ温度TBが第1基準温度KTB1以上となっており、かつ、車室内温度Trが設定温度よりも高くなっている際に実行される。
第1電池冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを開き、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じる。さらに、制御装置70は、室外送風機15および第1バッテリ側水ポンプ42を作動させる。また、制御装置70は、開閉弁16を開き、圧縮機11を停止させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第2実施形態と同様に、第1熱媒体が循環する。これにより、第1熱媒体回路40では、第1熱媒体がバッテリ80の冷却水通路80aを流通する際に吸熱したバッテリ80の排熱を、第1ラジエータ41にて外気に放熱させることができる。また、冷凍サイクル装置10では、圧縮機11が停止しているので、冷媒が循環することはない。
従って、第1電池冷却モードでは、第2実施形態で説明した第1電池冷却モードと同様に、バッテリ80の温度上昇を抑制することができる。
(b)第2電池冷却モード
第2電池冷却モードは、バッテリ温度TBが第2基準温度KTB2以上となっており、かつ、車室内温度Trが設定温度よりも高くなっている際に実行される。
第2電池冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを開き、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じる。さらに、制御装置70は、室外送風機15および第1バッテリ側水ポンプ42を作動させる。また、制御装置70は、開閉弁16を開き、圧縮機11を作動させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第1電池冷却モードと同様に、第1熱媒体が循環する。これにより、第1熱媒体回路40では、第1熱媒体がバッテリ80の冷却水通路80aを流通する際に吸熱したバッテリ80の排熱を、第1ラジエータ41にて外気に放熱させることができる。
また、冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、開閉弁16を介して凝縮器12の冷媒通路12aへ流入する。冷媒通路12aへ流入した冷媒は、ラジエータ41を通過後の外気に放熱して凝縮する。凝縮器12にて凝縮した液相の高圧冷媒は、膨張弁13へ流入して減圧される。この際、膨張弁13の絞り開度は、室内蒸発器14の出口側冷媒の過熱度が基準過熱度に近づくように調整される。
膨張弁13にて減圧された低圧冷媒は、チラー141の冷媒通路141aへ流入する。チラー141の冷媒通路141aへ流入した低圧冷媒は、チラー141の熱媒体通路141bを流通する第1熱媒体から吸熱して蒸発する。これにより、第1熱媒体が冷却される。チラー141の冷媒通路141aから流出した冷媒は、圧縮機11へ吸入されて再び圧縮される。
従って、第2電池冷却モードでは、第2実施形態で説明した第2電池冷却モードと同様に、第1電池冷却モードよりも高い冷却能力でバッテリ80を冷却することができる。
(c)暖房冷却モード
暖房冷却モードは、バッテリ温度TBが第1基準温度KTB1以上となっており、かつ、車室内温度Trが設定温度よりも低くなっている際に実行される。
暖房冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを開き、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じる。さらに、制御装置70は、室外送風機15および第1バッテリ側水ポンプ42を作動させる。また、制御装置70は、開閉弁16を閉じ、圧縮機11を作動させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第1電池冷却モードと同様に、第1熱媒体が循環する。これにより、第1熱媒体回路40では、第1熱媒体がバッテリ80の冷却水通路80aを流通する際に吸熱したバッテリ80の排熱を、第1ラジエータ41にて外気に放熱させることができる。
また、冷凍サイクル装置10では、開閉弁16が閉じているので、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、室内凝縮器122へ流入する。室内凝縮器122へ流入した高圧冷媒は、室内送風機から送風された送風空気と熱交換して放熱する。これにより、送風空気が加熱される。室内凝縮器122から流出した高圧冷媒は、凝縮器12の冷媒通路12aへ流入する。以降の冷凍サイクル装置10の作動は、第2電池冷却モードと同様である。
従って、暖房冷却モードでは、第2電池冷却モードと同様に、高い冷却能力でバッテリ80を冷却することができる。また、室内凝縮器122にて送風空気を加熱して、車室内の暖房を行うことができる。
(d)暖房運転モード
暖房運転モードは、バッテリ温度TBが第1基準温度KTB1より低くなっており、かつ、車室内温度Trが設定温度よりも低くなっている際に実行される。
暖房運転モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを開く。さらに、制御装置70は、室外送風機15および第1バッテリ側水ポンプ42を作動させる。また、制御装置70は、開閉弁16を閉じ、圧縮機11を作動させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第3実施形態の暖房運転モードと同様に、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141b→第1バッテリ迂回通路401→第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入口の順に循環する。これにより、第1熱媒体回路40では、第1熱媒体が第1ラジエータ41にて外気から吸熱した熱を、チラー141にて低圧冷媒に放熱させることができる。
また、冷凍サイクル装置10では、暖房冷却モードと同様に、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、室内凝縮器122→凝縮器12の冷媒通路12a→膨張弁13→チラー141の冷媒通路141a→圧縮機11の吸入口の順に循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、冷媒がチラー141にて第1熱媒体から吸熱した熱を、室内凝縮器122にて送風空気に放熱させることができる。
従って、暖房運転モードでは、バッテリ80を冷却することなく、室内凝縮器122にて送風空気を加熱することができる。これにより、車室内の暖房を行うことができる。
以上の如く、本実施形態の温度調整装置1では、第1電池冷却モードと第2電池冷却モードとを切り替えることができる。従って、第2実施形態と同様に、冷凍サイクル装置10に不必要なエネルギを消費させることなく、効率的に、かつ、確実にバッテリ80を冷却して、バッテリ80の温度上昇を抑制することができる。
また、本実施形態の温度調整装置1では、加熱部として、室内凝縮器122を備えている。さらに、冷凍サイクル装置10では、チラー141にて第1熱媒体から吸熱して蒸発した低圧冷媒を圧縮機11にて高圧冷媒となるまで圧縮して吐出している。
従って、本実施形態の加熱部では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒を熱源として、室内凝縮器122にて、直接的に送風空気を加熱して車室内の暖房を行うことができる。
また、本実施形態の温度調整装置1では、第1ラジエータ41にて、第1熱媒体と第2ラジエータ51を通過する前の外気とを熱交換させる。
これによれば、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aへ流入する第1熱媒体の温度によらず、第1熱媒体通路41aから流出する第1熱媒体の温度を、外気温に近づけることができる。つまり、暖房冷却モードと暖房運転モードとを切り替えても、チラー141の熱媒体通路141bへ流入する第1熱媒体の温度を、外気温に近づけることができる。
従って、暖房冷却モードと暖房運転モードとを切り替えても、チラー141にて冷媒が第1熱媒体から吸熱する吸熱量の変動を抑制することができる。すなわち、暖房冷却モードと暖房運転モードとを切り替えても、室内凝縮器122にて冷媒が送風空気に放熱する放熱量の変動を抑制することができる。
その結果、本実施形態の温度調整装置1によれば、暖房冷却モードと暖房運転モードとを切り替えても、安定した暖房性能を発揮することができる。
(第6実施形態)
本実施形態では、図6に示すように、第2実施形態に対して、第1熱媒体回路40の構成および第2熱媒体回路50の構成を変更して、加熱部を追加した例を説明する。
具体的には、本実施形態の第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42の吐出口に、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aの入口側が接続されている。第1熱媒体通路41aの出口には、バッテリ80の冷却水通路80aの入口側が接続されている。さらに、冷却水通路80aの出口には、第1バッテリ側水ポンプ42の吸入口側に接続されている。
つまり、本実施形態の第1熱媒体回路40には、チラー141の熱媒体通路141bが接続されていない。このため、第1熱媒体がチラー141の熱媒体通路141bを流通することはない。
また、本実施形態の第2熱媒体回路50は、第3実施形態で説明した第2熱媒体回路50に対して、第2ヒータコア迂回通路502を有している。さらに、本実施形態の第2熱媒体回路50は、第2チラー側水ポンプ52aおよび第2チラー側開閉弁55aを有している。
第2ヒータコア迂回通路502は、第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aから流出した第2熱媒体を、ヒータコア53を迂回させて第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aの入口側へ導く熱媒体通路である。第2ヒータコア迂回通路502には、チラー141の熱媒体通路141bが接続されている。
第2チラー側水ポンプ52aは、チラー141の熱媒体通路141bから流出した第2熱媒体を第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aの入口側へ圧送する。第2チラー側水ポンプ52aの基本的構成は、第2熱交換器側水ポンプ52と同様である。
第2チラー側開閉弁55aは、チラー141の熱媒体通路141bから流出した第2熱媒体を第2ラジエータ51へ導く熱媒体通路に配置されている。第2チラー側開閉弁55aの基本的構成は、第2ヒータコア側開閉弁55と同様である。その他の構成は、第2実施形態と同様である。
次に、上記構成の本実施形態の温度調整装置1の作動について説明する。本実施形態では、バッテリ温度TBが適切な温度範囲内に維持されるように、制御装置70が、第1実施形態と同様に、室外送風機15、第1バッテリ側水ポンプ42の作動を制御する。
また、車室内温度Trが温度設定部によって設定された設定温度に近づくように、制御装置70が、第3実施形態の暖房冷却モード等と同様に、第2ラジエータ側流量調整弁54の開度を調整する。さらに、第2ヒータコア側開閉弁55および第2チラー側開閉弁55aを開く。また、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52および圧縮機11を作動させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された熱媒体が第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aへ流入する。第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aへ流入した第1熱媒体は、室外送風機15から送風された外気と熱交換する。これにより、第1熱媒体の温度が外気温に近づく。
第1熱媒体通路41aから流出した第1熱媒体は、バッテリ80の冷却水通路80aへ流入する。冷却水通路80aへ流入した熱媒体は、冷却水通路80aを流通する際にバッテリ80の排熱を吸熱する。これにより、バッテリ80が冷却される。冷却水通路80aから流出した熱媒体は、第1バッテリ側水ポンプ42に吸入されて再び第1熱媒体通路41aへ圧送される。
また、第2熱媒体回路50では、第2実施形態の暖房冷却モードと同様に、第2熱媒体が循環する。さらに、本実施形態の第2熱媒体回路50では、第2チラー側水ポンプ52aから圧送された第2熱媒体が、第2チラー側開閉弁55aを介して、第2ヒータコア迂回通路502から流出する。第2ヒータコア迂回通路502から流出した第2熱媒体は、第2ラジエータ側流量調整弁54から流出した第2熱媒体と合流して、第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aへ流入する。
第2熱媒体通路51aへ流入した第2熱媒体は、第1ラジエータ41通過後の外気と熱交換して、外気の有する熱を吸熱する。第2熱媒体通路51aから流出した第2熱媒体のうち一部の第2熱媒体は、第2ヒータコア迂回通路502へ流入して、チラー141の熱媒体通路141bへ導かれる。熱媒体通路141bへ流入した第2熱媒体は、チラー141の冷媒通路141aを流通する低圧冷媒と熱交換して冷却される。
これにより、本実施形態の第2熱媒体回路50では、第2熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて高圧冷媒から吸熱した熱のうち一部の熱を、ヒータコア53にて送風空気に放熱させることができる。
また、冷凍サイクル装置では、第2実施形態の第2電池冷却モードと同様に、冷媒が循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、冷媒がチラー141にて第2熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体へ放熱させることができる。
以上の如く、本実施形態の温度調整装置1では、第1実施形態と同様に、冷凍サイクル装置10の作動状態の影響を受けることなく、バッテリ80を冷却することができる。従って、冷凍サイクル装置10に不必要なエネルギを消費させることなく、効率的にバッテリ80を冷却することができる。
また、本実施形態の温度調整装置1では、加熱部として、水-冷媒熱交換器121およびヒータコア53を有する第2熱媒体回路50を備えている。さらに、冷凍サイクル装置10では、チラー141にて第2熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体に放熱させている。従って、ヒータコア53では、高圧冷媒を熱源として、第2熱媒体を介して送風空気を加熱することができる。
この際、第2ラジエータ51では、第2熱媒体と第1ラジエータ41通過後の外気とを熱交換させる。つまり、第2ラジエータ51では、第2熱媒体とバッテリ80の排熱によって加熱された外気とを熱交換させる。従って、第2熱媒体と第1ラジエータ41を通過する前の外気とを熱交換させる場合よりも、チラー141の熱媒体通路141bへ流入する第2熱媒体の温度を上昇させることができる。
これにより、冷媒がチラー141にて第2熱媒体から吸熱する吸熱量を増加させて、水-冷媒熱交換器にて第2熱媒体へ放熱する放熱量を増加させることができる。その結果、ヒータコア53における送風空気の加熱能力を向上させることができる。
(第7実施形態)
本実施形態では、図7に示すように、第3実施形態に対して、第1熱媒体回路40の構成を変更して、外気側対象物熱交換部を追加した例を説明する。本実施形態の外気側対象物熱交換部は、第1熱媒体と外気側対象物とを熱交換させて、外気側対象物の有する熱(すなわち、外気側対象物の排熱)を第1熱媒体に吸熱させる。外気側対象物は、温度調整装置1が温度調整を行う対象物に含まれる。
本実施形態の外気側対象物は、作動時に発熱する車載機器81である。具体的には、車載機器81として、電動モータ、インバータ、先進運転システム用制御装置等を採用することができる。電動モータは、走行用の駆動力を出力する車載機器である。インバータは、電動モータに電力を供給する車載機器である。先進運転システム用制御装置は、いわゆるADAS用の制御装置である。
車載機器81を適切に作動させるためには、バッテリ80と同様に、車載機器81が適切な温度範囲内に維持されていることが望ましい。但し、バッテリ80の適切な温度範囲と車載機器81の適切な温度範囲は異なっている。本実施形態では、車載機器81の適切な温度範囲の上限値が、バッテリ80の適切な温度範囲の上限値よりも高くなっている。
車載機器81の外殻を形成するハウジング部あるいはケースの内部には、第1熱媒体を流通させる冷却水通路81aが形成されている。冷却水通路81aは、車載機器81の有する熱(すなわち、車載機器81の排熱)を第1熱媒体に吸熱させる外気側対象物熱交換部である。
また、本実施形態の第1熱媒体回路40は、第1車載機器用迂回通路402を有している。第1車載機器用迂回通路402は、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aから流出した第1熱媒体を、チラー141の熱媒体通路141bおよびバッテリ80の冷却水通路80aを迂回させて、第1熱媒体通路41aの入口側へ導く熱媒体通路である。車載機器81の冷却水通路81aは、第1車載機器用迂回通路402に接続されている。
さらに、本実施形態の第1熱媒体回路40は、第1ラジエータ側水ポンプ42aおよび第1車載機器側流量調整弁44を有している。第1ラジエータ側水ポンプ42aおよび第1車載機器側流量調整弁44は、第1車載機器用迂回通路402に配置されている。
第1ラジエータ側水ポンプ42aは、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aから流出した第1熱媒体の一部を車載機器81の冷却水通路81aへ圧送する。第1ラジエータ側水ポンプ42aの基本的構成は、第1バッテリ側水ポンプ42と同様である。
第1車載機器側流量調整弁44は、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aから流出して第1車載機器用迂回通路402へ流入する第1熱媒体の流量を調整する。第1車載機器側流量調整弁44の基本的構成は、第2ラジエータ側流量調整弁54と同様である。
また、本実施形態の制御装置70の入力側には、制御用のセンサ群として、車載機器81の温度である車載機器温度TMを検出する図示しない車載機器温度検出部が接続されている。その他の構成は、第3実施形態と同様である。
次に、上記構成の本実施形態の温度調整装置1の作動について説明する。本実施形態の温度調整装置1では、第3実施形態と同様に、制御装置70が、バッテリ温度TBが適切な温度範囲内に維持されるように、制御対象機器の作動を制御する。また、制御装置70は、車室内温度Trが温度設定部によって設定された設定温度に近づくように、制御対象機器の作動を制御する。さらに、制御装置70は、車載機器温度TMが適切な温度範囲内に維持されるように、制御対象機器の作動を制御する。
具体的には、車載機器温度TMが予め定めた基準温度KTMより低くなっている際には、制御装置70は、第1ラジエータ側水ポンプ42aを停止させ、第1車載機器側流量調整弁44を全閉状態とする。
このため、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aから流出した第1熱媒体が、第1車載機器用迂回通路402へ流入することはない。つまり、車載機器温度TMが基準温度KTMより低くなっている際の温度調整装置1は、第3実施形態と全く同様の構成となる。従って、第3実施形態と同様に、第1電池冷却モード、第2電池冷却モード、暖房冷却モード、および暖房運転モードの運転を実行することができる。
また、車載機器温度TMが基準温度KTM以上となっている際には、制御装置70は、第1ラジエータ側水ポンプ42aを作動させ、第1車載機器側流量調整弁44の弁開度を調整する。この際、第1車載機器側流量調整弁44の開度は、車載機器温度TMが適切な温度範囲内に維持されるように調整される。
従って、いずれの運転モードにおいても、車載機器温度TMが基準温度KTM以上となっている際には、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aにて冷却された第1熱媒体の一部が、第1ラジエータ側水ポンプ42aに吸入される。第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された第1熱媒体は、車載機器81の冷却水通路81aへ流入する。
車載機器81の冷却水通路81aへ流入した第1熱媒体は、車載機器81から吸熱する。これにより、車載機器81が冷却される。冷却水通路81aから流出した第1熱媒体は、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体と合流して、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aへ流入する。
第1熱媒体通路41aへ流入した第1熱媒体は、室外送風機15から送風された外気と熱交換する。これにより、第1熱媒体の温度が外気温に近づく。その他の作動は、第3実施形態と同様である。
従って、本実施形態の温度調整装置1では、第3実施形態と同様に、冷凍サイクル装置10に不必要なエネルギを消費させることなく、効率的に、かつ、確実にバッテリ80を冷却して、バッテリ80の温度上昇を抑制することができる。さらに、送風空気を加熱して車室内の暖房を行うことができる。
これに加えて、第1車載機器用迂回通路402に外気側対象物熱交換部である車載機器81の冷却水通路81aが接続されているので、車載機器81の排熱を第1熱媒体に吸熱させることができる。従って、車載機器81を冷却して、車載機器温度TM上昇を抑制することができる。
また、本実施形態の温度調整装置1では、バッテリ80および車載機器81の冷却を行う際に、第1熱媒体通路41aから流出した第1熱媒体の流れに対して、バッテリ80の冷却水通路80aおよび車載機器81の冷却水通路81aが並列的に接続される。従って、バッテリ80の温度および車載機器温度TMを、それぞれ異なる温度範囲内に維持しやすい。
(第8実施形態)
本実施形態では、図8に示すように、第4実施形態に対して、第1熱媒体回路40の構成を変更して、外気側対象物熱交換部を追加した例を説明する。
本実施形態の第1熱媒体回路40は、第7実施形態と同様に、第1車載機器用迂回通路402を有している。第1車載機器用迂回通路402には、車載機器81の冷却水通路81aが接続されている。さらに、第1車載機器用迂回通路402には、第1車載機器側流量調整弁44が配置されている。
本実施形態の第1ラジエータ側水ポンプ42aは、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aから分岐部へ至る冷媒通路に配置されている。分岐部は、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された冷媒の流れを第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側へ導く流れと、第1バッテリ側水ポンプ42へ流入させる流れとに分岐する。
また、本実施形態の第2熱媒体回路50では、第4実施形態に対して、第1バッテリ側水ポンプ42がチラー141の熱媒体通路141bの熱媒体流れ上流側に配置されている。さらに、第1チラー側開閉弁45cが、第1バッテリ迂回通路401の第1バッテリ側水ポンプ42の熱媒体流れ上流側に配置されている。第1チラー側開閉弁45cは、第1バッテリ迂回通路401を開閉する。
第1チラー側開閉弁45cの基本的構成は、第1バッテリ側開閉弁45aおよび第1迂回通路側開閉弁45bと同様である。第1チラー側開閉弁45cは、第1バッテリ側開閉弁45aおよび第1迂回通路側開閉弁45bとともに、第1熱媒体回路40の回路構成を切り替える切替部である。
次に、上記構成の本実施形態の温度調整装置1の作動について説明する。本実施形態の温度調整装置1では、第4実施形態と同様に、各運転モードを切り替えることができる。さらに、制御装置70は、車載機器温度TMが適切な温度範囲内に維持されるように、制御対象機器の作動を制御する。以下に、各運転モードについて説明する。
(a)第1電池冷却モード
第1電池冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを開き、第1迂回通路側開閉弁45bを開き、第1チラー側開閉弁45cを閉じる。さらに、制御装置70は、室外送風機15および第1ラジエータ側水ポンプ42aを作動させる。また、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42、第2熱交換器側水ポンプ52および圧縮機11を停止させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された第1熱媒体が、バッテリ80の冷却水通路80a→第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aの順に循環する。つまり、実質的に、第1熱媒体が、第4実施形態の第1電池冷却モードと同様に循環する。これにより、第1熱媒体回路40では、第1熱媒体がバッテリ80から吸熱した排熱を、第1ラジエータ41にて外気に放熱させることができる。
また、第2熱媒体回路50では、第2熱交換器側水ポンプ52が停止しているので、第2熱媒体は循環が循環することはない。また、冷凍サイクル装置10では、圧縮機11が停止しているので、冷媒が循環することはない。
従って、第1電池冷却モードでは、第4実施形態の第1電池冷却モードと同様に、バッテリ80の温度上昇を抑制することができる。
(b)第2電池冷却モード
第2電池冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを開き、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じ、第1チラー側開閉弁45cを開く。さらに、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42を作動させ、第1ラジエータ側水ポンプ42aを停止させる。
また、制御装置70は、第2ラジエータ側流量調整弁54を全開とし、第2ヒータコア側開閉弁55を閉じる。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52および圧縮機11を作動させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141bへ流入する。チラー141の熱媒体通路141bへ流入した第1熱媒体は、チラー141の冷媒通路141aを流通する冷媒に吸熱されて冷却される。
熱媒体通路141bから流出した第1熱媒体は、バッテリ80の冷却水通路80aへ流入する。バッテリ80の冷却水通路80aへ流入した第1熱媒体は、バッテリ80の排熱を吸熱して温度上昇する。これにより、バッテリ80が冷却される。冷却水通路80aから流出した第1熱媒体は、第1バッテリ側水ポンプ42に吸入されて再び熱媒体通路141bへ圧送される。
また、第2熱媒体回路50では、第3実施形態の第2電池冷却モードと同様に、第2熱媒体が循環する。これにより、第2熱媒体回路50では、第2熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて高圧冷媒から吸熱した熱を、第2ラジエータ51にて外気に放熱させることができる。
また、冷凍サイクル装置10では、第3実施形態の第2電池冷却モードと同様に、冷媒が循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、冷媒がチラー141にて第1熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体へ放熱させることができる。
従って、第2電池冷却モードでは、バッテリ80の温度上昇を抑制することができる。さらに、第2電池冷却モードでは、バッテリ80の冷却水通路80aへ流入させる第1熱媒体の温度を、第1電池冷却モードより低下させることができる。従って、第2電池冷却モードでは、第1電池冷却モードよりも高い冷却能力でバッテリ80を冷却することができる。
(c)暖房冷却モード
第2電池冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを開き、第1迂回通路側開閉弁45bを開き、第1チラー側開閉弁45cを開く。さらに、制御装置70は、室外送風機15、第1バッテリ側水ポンプ42および第1ラジエータ側水ポンプ42aを作動させる。この際、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42の圧送能力を、第1ラジエータ側水ポンプ42aの圧送能力よりも高くする。
また、制御装置70は、第4実施形態の暖房冷却モードと同様に、第2ラジエータ側流量調整弁54の開度を調整するとともに、第2ヒータコア側開閉弁55を開く。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52および圧縮機11を作動させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141bへ流入する。熱媒体通路141bへ流入した第1熱媒体は、チラー141の冷媒通路141aを流通する低圧冷媒に吸熱されて冷却される。
チラー141の熱媒体通路141bから流出した第1熱媒体のうち一部の第1熱媒体は、バッテリ80の冷却水通路80aへ流入する。ここで、本実施形態では、第1バッテリ側水ポンプ42の圧送能力が、第1ラジエータ側水ポンプ42aの圧送能力よりも高くなっている。従って、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された第1熱媒体が、バッテリ80の冷却水通路80aを第1バッテリ側開閉弁45aへ逆流することはない。
バッテリ80の冷却水通路80aへ流入した第1熱媒体は、バッテリ80の排熱を吸熱して温度上昇する。これにより、バッテリ80が冷却される。冷却水通路80aから流出した第1熱媒体は、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された第1熱媒体と合流する。
チラー141の熱媒体通路141bから流出した残余の第1熱媒体は、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aへ流入する。第1熱媒体通路41aへ流入した第1熱媒体は、室外送風機15から送風された外気と熱交換する。これにより、第1熱媒体の温度が外気温に近づく。
第1熱媒体通路41aから流出した第1熱媒体は、第1ラジエータ側水ポンプ42aに吸入されて圧送される。第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された第1熱媒体は、バッテリ80の冷却水通路80aから流出した第1熱媒体と合流する。合流した第1熱媒体は、第1バッテリ側水ポンプ42へ吸入されて再び熱媒体通路141bへ圧送される。
また、第2熱媒体回路50では、第4実施形態の暖房冷却モードと同様に、第2熱媒体が循環する。これにより、第2熱媒体回路50では、第2熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて高圧冷媒から吸熱した熱のうち一部の熱を、ヒータコア53にて送風空気に放熱させることができる。さらに、残余の熱を、第2ラジエータ51にて外気に放熱させることができる。
また、冷凍サイクル装置10では、第2電池冷却モードと同様に、冷媒が循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、冷媒がチラー141にて第1熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体へ放熱させることができる。
従って、暖房冷却モードでは、第2電池冷却モードと同様に、高い冷却能力でバッテリ80を冷却することができる。また、ヒータコア53にて送風空気を加熱して、車室内の暖房を行うことができる。
さらに、本実施形態の温度調整装置1では、上述した各運転モードにおいて、第7実施形態と同様に、制御装置70が、車載機器温度TMが適切な温度範囲内に維持されるように、制御対象機器の作動を制御する。
具体的には、車載機器温度TMが予め定めた基準温度KTMより低くなっている際には、制御装置70は、第1ラジエータ側水ポンプ42aを停止させ、第1車載機器側流量調整弁44を全閉状態とする。また、車載機器温度TMが基準温度KTM以上となっている際には、制御装置70は、第1ラジエータ側水ポンプ42aを作動させ、第1車載機器側流量調整弁44を開弁状態(すなわち、流量調整状態)とする。
従って、本実施形態の温度調整装置1では、第4実施形態と同様に、冷凍サイクル装置10に不必要なエネルギを消費させることなく、効率的に、かつ、確実にバッテリ80を冷却して、バッテリ80の温度上昇を抑制することができる。ヒータコア53にて送風空気を加熱して車室内の暖房を行うことができる。
これに加えて、第1車載機器用迂回通路402に外気側対象物熱交換部である車載機器81の冷却水通路81aが接続されているので、車載機器81の排熱を第1熱媒体に吸熱させることができる。従って、車載機器81を冷却して、第7実施形態と同様に、車載機器温度TM上昇を抑制することができる。
また、本実施形態の温度調整装置1では、切替部である第1バッテリ側開閉弁45a、第1迂回通路側開閉弁45bおよび第1チラー側開閉弁45cを備えている。
従って、第1電池冷却モードのように、第1ラジエータ41から流出した第1熱媒体を、チラー141の熱媒体通路141bを迂回させて、バッテリ80の冷却水通路80aへ流入させる回路構成に切り替えることができる。これによれば、第1ラジエータ41を、バッテリ80の排熱を、第1熱媒体を介して外気に放熱させる放熱用熱交換器をして利用することができる。
さらに、暖房冷却モードのように、第1ラジエータから流出した第1熱媒体を、バッテリ80の冷却水通路80aを通過させることなく、チラー141の熱媒体通路141bへ流入させる回路構成を切り替えることができる。これによれば、第1ラジエータ41を、外気から第1熱媒体に吸熱させる吸熱用熱交換器として利用することができる。
(第9実施形態)
本実施形態では、図9に示すように、第3実施形態に対して、第2熱媒体回路50の構成を変更して、外気側対象物熱交換部を追加した例を説明する。本実施形態の外気側対象物熱交換部は、第2熱媒体と外気側対象物とを熱交換させて、外気側対象物の有する熱(すなわち、外気側対象物の排熱)を第2熱媒体に吸熱させる。
本実施形態の外気側対象物は、作動時に発熱する車載機器82である。車載機器82としては、第7実施形態と同様の機器を採用することができる。車載機器82の外殻を形成するハウジング部あるいはケースの内部には、第2熱媒体を流通させる冷却水通路82aが形成されている。冷却水通路82aは、車載機器82の有する熱(すなわち、車載機器82の排熱)を第2熱媒体に吸熱させる外気側対象物熱交換部である。
冷却水通路82aは、第2熱媒体回路50に接続されている。より具体的には、冷却水通路82aは、第2熱媒体の合流部から第2熱交換器側水ポンプ52の吸入口側へ至る熱媒体通路に配置されている。第2熱媒体の合流部は、第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aから流出した第2熱媒体の流れとヒータコア53から流出した第2熱媒体の流れとを合流させる部位である。その他の構成は、第3実施形態と同様である。
このため、本実施形態の温度調整装置1を作動させると、第3実施形態と同様に、各運転モードを切り替えることができる。さらに、第2熱交換器側水ポンプ52が作動する、第2電池冷却モード、暖房冷却モード、および暖房運転モード時には、冷却水通路82aに第2熱媒体を流通させることができる。
従って、本実施形態の温度調整装置1では、第3実施形態と同様に、冷凍サイクル装置10に不必要なエネルギを消費させることなく、効率的に、かつ、確実にバッテリ80を冷却して、バッテリ80の温度上昇を抑制することができる。さらに、ヒータコア53にて送風空気を加熱して車室内の暖房を行うことができる。
さらに、本実施形態の温度調整装置1では、第2電池冷却モード、暖房冷却モード、および暖房運転モード時に、車載機器82の冷却水通路82aに、第2熱媒体を流入させることができる。
ここで、車載機器82の冷却水通路82aに流入する第2熱媒体は、第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aにて外気と熱交換した第2熱媒体、ヒータコア53にて送風空気と熱交換した第2熱媒体、あるいは、これらを合流させた第2熱媒体となる。このため、車載機器82の冷却水通路82aに流入する第2熱媒体の温度は、外気温に近づく。
従って、第2電池冷却モード、暖房冷却モード、および単独暖房モーでは、車載機器82の冷却水通路82aに、外気温程度となっている第2熱媒体を流入させて、車載機器82を冷却することができる。これにより、車載機器82の温度上昇を抑制することができる。
また、本実施形態では、バッテリ80の冷却水通路80aが第1熱媒体回路40に接続され、車載機器82の冷却水通路82aが第2熱媒体回路50に接続されている。従って、バッテリ80の温度および車載機器82の温度を、それぞれ異なる温度範囲内に維持しやすい。
(第10実施形態)
本実施形態では、図10に示すように、第7実施形態に対して、第1熱媒体回路40の構成を変更した例を説明する。
具体的には、本実施形態の第1熱媒体回路40は、第1ラジエータ迂回通路403を有している。第1ラジエータ迂回通路403は、バッテリ80の冷却水通路80aから流出した第1熱媒体を、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aを迂回させて、第1バッテリ側水ポンプ42の吸入口側へ導く熱媒体通路である。
第1ラジエータ迂回通路403には、第1ラジエータ迂回通路403を開閉する第1ラジエータ側開閉弁45dが配置されている。第1ラジエータ側開閉弁45dの基本的構成は、第1バッテリ側開閉弁45a等と同様である。その他の構成は、第7実施形態と同様である。
このため、本実施形態の温度調整装置1では、第1ラジエータ側開閉弁45dが第1ラジエータ迂回通路403を閉じると、第7実施形態と全く同様の構成となる。従って、本実施形態の温度調整装置1は、第7実施形態と全く同様に作動して、第7実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態の温度調整装置1では、暖房冷却モード時に、送風空気の加熱能力が低下した際に、強暖房冷却モードを実行することができる。
強暖房冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じ、第1ラジエータ側開閉弁45dを開く。さらに、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42を作動させる。また、制御装置70は、第2ラジエータ側流量調整弁54を全閉状態にするとともに、第2ヒータコア側開閉弁55を開く。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52および圧縮機11を作動させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141bへ流入する。チラー141の熱媒体通路141bへ流入した第1熱媒体は、チラー141の冷媒通路141aを流通する低圧冷媒に吸熱されて冷却される。
冷媒通路141aから流出した第1熱媒体は、バッテリ80の冷却水通路80aへ流入する。冷却水通路80aへ流入した第1熱媒体は、バッテリ80の排熱を吸熱して温度上昇する。これにより、バッテリ80が冷却される。
冷却水通路80aから流出した第1熱媒体は、第1ラジエータ側開閉弁45dが開いているので、第1ラジエータ迂回通路403を介して、第1バッテリ側水ポンプ42へ吸入されて再び熱媒体通路141bへ圧送される。
第2熱媒体回路50では、第2熱交換器側水ポンプ52から圧送された第2熱媒体が、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121bへ流入する。熱媒体通路121bへ流入した第2熱媒体は、冷媒通路121aを流通する高圧冷媒から吸熱して温度上昇する。
熱媒体通路121bから流出した第2熱媒体は、第2ラジエータ側流量調整弁54が全閉状態になっているので、ヒータコア53へ流入する。ヒータコア53へ流入した第2熱媒体は、室内送風機から送風された送風空気と熱交換して放熱する。これにより、送風空気が加熱される。ヒータコア53から流出した第2熱媒体は、第2熱交換器側水ポンプ52へ吸入されて再び熱媒体通路121bへ圧送される。
また、冷凍サイクル装置10では、暖房冷却モードと同様に、冷媒が循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、冷媒がチラー141にて第1熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体へ放熱させることができる。
つまり、強暖房冷却モードの第1熱媒体回路40では、第1熱媒体がバッテリ80から吸熱した全ての排熱を、チラー141にて冷媒に放熱することができる。冷凍サイクル装置10では、冷媒がチラー141にて第1熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体へ放熱することができる。さらに、第2熱媒体回路50では、第2熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体から吸熱した熱を、ヒータコア53にて送風空気へ放熱することができる。
従って、本実施形態の温度調整装置1によれば、第7実施形態と同様に、冷凍サイクル装置10に不必要なエネルギを消費させることなく、効率的に、かつ、確実にバッテリ80を冷却して、バッテリ80の温度上昇を抑制することができる。さらに、送風空気を加熱して、車室内の暖房を行うことができる。車載機器81を冷却して、車載機器温度TM上昇を抑制することができる。
これに加えて、本実施形態の温度調整装置1では、強暖房冷却モードの運転を実行できる。強暖房冷却モードでは、第1熱媒体がバッテリ80から吸熱した全ての排熱を熱源として、送風空気を加熱することができる。従って、冷凍サイクル装置10に不必要なエネルギを消費させることなく、送風空気を加熱するための熱源を効率的に確保することができる。そして、暖房冷却モードよりも高い加熱能力で車室内の暖房を行うことができる。
(第11実施形態)
本実施形態では、図11に示すように、第10実施形態に対して、冷凍サイクル装置10の構成を変更した例を説明する。本実施形態の冷凍サイクル装置10では、第10実施形態に対して、流体側蒸発部としての室内蒸発器14が追加されている。室内蒸発器14へ送風される送風空気は、冷却対象流体である。冷却対象流体は、温度調整装置1が温度調整を行う対象物に含まれる。
より具体的には、本実施形態の冷凍サイクル装置10では、チラー141の冷媒通路141aおよび室内蒸発器14の冷媒通路14aは、水-冷媒熱交換器121の冷媒通路121aから流出した冷媒の流れに対して、互いに並列的に接続されている。
水-冷媒熱交換器121の冷媒通路121aから流出した冷媒の流を分岐する分岐部からチラー141の冷媒通路141aの入口側へ至る冷媒通路には、減圧部としてのチラー側膨張弁13aが配置されている。さらに、分岐部から室内蒸発器14の冷媒通路14aの入口側へ至る冷媒通路には、流体側減圧部としての蒸発器側膨張弁13bが配置されている。
チラー側膨張弁13aおよび蒸発器側膨張弁13bは、絞り開度を変更可能に構成された弁体と、この弁体の開度を変化させる電動アクチュエータとを有して構成される電気式の膨張弁である。チラー側膨張弁13aおよび蒸発器側膨張弁13bは、全開機能および全閉機能を有している。チラー側膨張弁13aおよび蒸発器側膨張弁13bは、制御装置70から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
室内蒸発器14の冷媒通路14aから合流部へ至る冷媒通路には、蒸発圧力調整弁17が配置されている。合流部は、チラー141の冷媒通路141aから流出した冷媒の流れと室内蒸発器14の冷媒通路14aから流出した冷媒の流れとを合流させる。
蒸発圧力調整弁17は、上流側の冷媒圧力を予め定めた基準圧力以上に維持する機能を果たす。換言すると、蒸発圧力調整弁17は、室内蒸発器14における冷媒蒸発圧力を、基準圧力以上に維持する機能を果たす。
蒸発圧力調整弁17は、室内蒸発器14の出口側冷媒の圧力の上昇に伴って、弁開度を増加させる機械式の可変絞り機構で構成されている。さらに、蒸発圧力調整弁17は、室内蒸発器14における冷媒蒸発温度を、室内蒸発器14の着霜を抑制可能な着霜抑制温度(本実施形態では、1℃)以上に維持している。
次に、図12を用いて、本実施形態の室内蒸発器14およびヒータコア53の配置態様について説明する。室内蒸発器14およびヒータコア53は、室内空調ユニット30のケーシング31内に収容されている。室内空調ユニット30は、温度調整された送風空気を車室内の適切な箇所へ吹き出すためのユニットである。室内空調ユニット30は、車室内最前部の計器盤(すなわち、インストルメントパネル)の内側に配置されている。
ケーシング31は、車室内に送風される送風空気の空気通路を形成している。ケーシング31の送風空気流れ最上流側には、内外気切替装置33が配置されている。内外気切替装置33は、ケーシング31内へ内気(車室内空気)と外気(車室外空気)とを切替導入する内外気切替部である。内外気切替装置33は、制御装置70から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
内外気切替装置33の送風空気流れ下流側には、室内送風機32が配置されている。室内送風機32は、内外気切替装置33を介して吸入した空気を車室内へ向けて送風する。室内送風機32は、制御装置70から出力される制御電圧によって、回転数(すなわち、送風能力)が制御される電動送風機である。
室内送風機32の送風空気流れ下流側には、室内蒸発器14およびヒータコア53が、送風空気の流れに対して、この順に配置されている。つまり、室内蒸発器14は、ヒータコア53よりも送風空気流れ上流側に配置されている。また、ケーシング31内には、室内蒸発器14を通過した送風空気を、ヒータコア53を迂回させて下流側へ流す冷風バイパス通路35が形成されている。
室内蒸発器14の送風空気流れ下流側であって、かつ、ヒータコア53の送風空気流れ上流側には、エアミックスドア34が配置されている。エアミックスドア34は、室内蒸発器14を通過後の送風空気のうち、ヒータコア53を通過させる風量と冷風バイパス通路35を通過させる風量との風量割合を調整するものである。エアミックスドア駆動用の電動アクチュエータは、制御装置70から出力される制御信号によって、その作動が制御される。
ヒータコア53の送風空気流れ下流側には、ヒータコア53にて加熱された送風空気と冷風バイパス通路35を通過してヒータコア53にて加熱されていない送風空気とを混合させる混合空間36が設けられている。さらに、ケーシング31の送風空気流れ最下流部には、混合空間36にて混合された送風空気(空調風)を、車室内へ吹き出す図示しない開口穴が配置されている。
従って、エアミックスドア34が、ヒータコア53を通過させる風量と冷風バイパス通路35を通過させる風量との風量割合を調整することによって、混合空間36にて混合される空調風の温度が調整される。これにより、各吹出口から車室内へ吹き出される送風空気の温度が調整される。その他の構成は、第10実施形態と同様である。
このため、本実施形態の温度調整装置1では、チラー側膨張弁13aが全閉状態となっていると、第10実施形態と同様の構成となる。従って、本実施形態の温度調整装置1は、第10実施形態と同様に作動して、第10実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態の温度調整装置1では、室内蒸発器14を備えている。従って、第2電池冷却モード、暖房冷却モード、暖房運転モードのように冷凍サイクル装置10の圧縮機11を作動させる運転モード時に、室内蒸発器14にて送風空気を冷却することができる。
より詳細には、冷凍サイクル装置10の圧縮機11を作動させる運転モード時に、蒸発器側膨張弁13bを、冷媒減圧作用を発揮する絞り状態とする。これにより、室内蒸発器14の冷媒通路14aへ低圧冷媒を流入させることができる。そして、室内蒸発器14の冷媒通路14aにて低圧冷媒を蒸発させて吸熱作用を発揮させることによって、送風空気を冷却することができる。
従って、本実施形態の温度調整装置1によれば、第10実施形態と同様の効果が得られるとともに、室内蒸発器14にて送風空気を冷却して、車室内の冷房を行うことができる。
この際、チラー側膨張弁13aおよび蒸発器側膨張弁13bの絞り開度を調整することによって、チラー141の冷媒通路141aへ流入する冷媒の流量と室内蒸発器14の冷媒通路14aへ流入する冷媒の流量との流量比を調整することができる。これにより、チラー141にて発揮される第1熱媒体の冷却能力と室内蒸発器14にて発揮される送風空気の冷却能力とを調整することができる。
さらに、本実施形態の温度調整装置1では、室内空調ユニット30を備えている。室内空調ユニット30では、エアミックスドア34の開度を調整することで、室内蒸発器14にて冷却された送風空気をヒータコア53にて再加熱することができる。従って、冷却されて除湿された送風空気を再加熱して車室内に吹き出す除湿暖房を行うことができる。
つまり、暖房冷却モード、強暖房冷房モード、暖房運転モードのようにヒータコア53にて送風空気を加熱する運転モード時に、室内蒸発器14に低圧冷媒を流入させて送風空気を冷却することで、車室内の除湿暖房を行うことができる。
さらに、本実施形態の室内空調ユニット30は、図12に示すように、内外気切替装置33を有している。そこで、送風空気を冷却する運転モードから送風空気とバッテリ80の双方を冷却する運転モードに切り替えられた際には、室内蒸発器14へ流入させる送風空気における外気の導入割合を増加させるように内外気切替装置33の作動を制御してもよい。
ここで、送風空気を冷却する運転モードは、室内蒸発器14へ低圧冷媒を供給して送風空気を冷却する運転モードである。つまり、送風空気を冷却する運転モードは、車室内の冷房や除湿暖房を行う運転モードである。
また、送風空気とバッテリ80の双方を冷却する運転モードは、室内蒸発器14とチラー141の双方に低圧冷媒を供給して、室内蒸発器14にて送風空気を冷却する。さらに、チラー141にて冷却された第1熱媒体をバッテリ80の冷却水通路80aへ流入させる運転モードである。
送風空気を冷却する運転モードから送風空気とバッテリ80の双方を冷却する運転モードに切り替えられた直後は、バッテリ80の排熱を吸熱した比較的温度の高い第1熱媒体がチラー141の熱媒体通路141bへ流入する。このため、チラー141の冷媒通路141aを流通する低圧冷媒の圧力が上昇しやすい。これに伴って、室内蒸発器14における冷媒蒸発圧力も上昇しやすい。
従って、外気の導入割合を増加させることで、冷凍サイクル装置10の熱負荷を低減させ、室内蒸発器14における冷媒蒸発圧力の上昇を抑制することができる。
(第12実施形態)
本実施形態では、図13に示すように、第8実施形態に対して、冷凍サイクル装置10の構成を変更した例を説明する。本実施形態の冷凍サイクル装置10では、第11実施形態と同様に、室内蒸発器14、チラー側膨張弁13a、蒸発器側膨張弁13b、および蒸発圧力調整弁17が追加されている。
また、本実施形態の室内蒸発器14およびヒータコア53も第11実施形態と同様に室内空調ユニット30のケーシング31内に収容されている。このことは、室内蒸発器14およびヒータコア53を同時に備える温度調整装置、あるいは室内蒸発器14および室内凝縮器122を同時に備える温度調整装置においても同様である。その他の構成は、第8実施形態と同様である。
このため、本実施形態の温度調整装置1では、チラー側膨張弁13aが全閉状態となっていると、第8実施形態と同様の構成となる。従って、本実施形態の温度調整装置1は、第8実施形態と同様に作動して、第10実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、第11実施形態と同様に、車室内の冷房や除湿暖房を行うことができる。
(第13実施形態)
上述した第8実施形態や第12実施形態では、例えば、第1電池冷却モード時にバッテリ80の冷却水通路80aを流通する第1熱媒体の流れ方向と、第2電池冷却モード時にバッテリ80の冷却水通路80aを流通する第1熱媒体の流れ方向が異なっている。このような流れ方向の変更は、バッテリ80の冷却性能に悪影響を及ぼす可能性もある。
そこで、本実施形態では、図14に示すように、第12実施形態に対して、第1熱媒体回路40の構成を変更した例を説明する。
具体的には、本実施形態の第1熱媒体回路40は、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aから流出した第1熱媒体をバッテリ80の冷却水通路80aの入口側へ導く第1ラジエータ出口側通路404を有している。第1ラジエータ出口側通路404は、第1チラー側開閉弁45cよりも上流側の第1熱媒体を冷却水通路80aの入口側へ導く。
第1ラジエータ出口側通路404には、第1ラジエータ出口側逆止弁46aが配置されている。第1ラジエータ出口側逆止弁46aは、第1熱媒体通路41aから流出した第1熱媒体が冷却水通路80aの入口側へ流れることを許容し、逆流することを禁止する。
さらに、第1熱媒体回路40は、バッテリ80の冷却水通路80aから流出した第1熱媒体を第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aの入口側へ導く第1ラジエータ入口側通路405を有している。第1ラジエータ入口側通路405には、第1ラジエータ側開閉弁45dが配置されている。
バッテリ80の冷却水通路80aの出口側から第1チラー側開閉弁45cの下流側の第1バッテリ側水ポンプ42の吸入口側へ至る熱媒体通路には、第1バッテリ出口側逆止弁46bが配置されている。第1バッテリ出口側逆止弁46bは、冷却水通路80aから流出した第1熱媒体が第1バッテリ側水ポンプ42の吸入口側へ流れることを許容し、逆流することを禁止する。その他の構成は、第12実施形態と同様である。
次に、上記構成の本実施形態の温度調整装置1の作動について説明する。本実施形態の温度調整装置1の基本的作動は、第12実施形態と同様である。以下に、各運転モードについて説明する。
(a)第1電池冷却モード
第1電池冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを開き、第1チラー側開閉弁45cを閉じ、第1ラジエータ側開閉弁45dを閉じる。さらに、制御装置70は、室外送風機15および第1ラジエータ側水ポンプ42aを作動させる。また、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42および第2熱交換器側水ポンプ52を作動させ、圧縮機11を停止させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された第1熱媒体が、第1ラジエータ出口側通路404を介して、バッテリ80の冷却水通路80aへ流入する。冷却水通路80aへ流入した第1熱媒体は、バッテリ80から吸熱して温度上昇する。これにより、バッテリ80が冷却される。
バッテリ80の冷却水通路80aから流出した第1熱媒体は、第1バッテリ側水ポンプ42に吸入される。第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体は、チラー141の熱媒体通路141bへ流入する。熱媒体通路141bへ流入した第1熱媒体は、圧縮機11が作動していないので、冷媒とは熱交換することなく熱媒体通路141bから流出する。
熱媒体通路141bから流出した第1熱媒体は、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aへ流入する。第1熱媒体通路41aへ流入した第1熱媒体は、室外送風機15から送風された外気と熱交換して放熱する。これにより、第1熱媒体が冷却される。第1熱媒体通路41aから流出した第1熱媒体は、第1ラジエータ側水ポンプ42aへ吸入されて再び冷却水通路80aの入口側へ圧送される。
(b)第2電池冷却モード
第2電池冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを開き、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じ、第1チラー側開閉弁45cを閉じ、第1ラジエータ側開閉弁45dを閉じる。さらに、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42を作動させ、第1ラジエータ側水ポンプ42aを停止させる。
また、制御装置70は、第2ラジエータ側流量調整弁54を全開とし、第2ヒータコア側開閉弁55を閉じる。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52および圧縮機11を作動させる。従って、第2電池冷却モードの温度調整装置1では、第8実施形態の第2電池冷却モードと同様に作動する。
(c)暖房冷却モード
第2電池冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを開き、第1迂回通路側開閉弁45bを開き、第1チラー側開閉弁45cを開き、第1ラジエータ側開閉弁45dを閉じる。さらに、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42および第1ラジエータ側水ポンプ42aを作動させる。この際、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42の圧送能力を、第1ラジエータ側水ポンプ42aの圧送能力よりも高くする。
また、制御装置70は、第8実施形態の暖房冷却モードと同様に、第2ラジエータ側流量調整弁54の開度を調整するとともに、第2ヒータコア側開閉弁55を開く。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52および圧縮機11を作動させる。従って、第2電池冷却モードの温度調整装置1では、第8実施形態の暖房冷却モードと同様に作動する。
以上の如く、本実施形態の温度調整装置1では、第8実施形態と同様に作動して、第8実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、本実施形態では、運転モードを切り替えてもバッテリ80の冷却水通路80aを流通する第1熱媒体の流れ方向が変化しない。従って、第1熱媒体の流れ方向が変化することによるバッテリ80の冷却性能の変動を抑制することができる。
(第14実施形態)
本実施形態では、図15に示すように、第4実施形態に対して、第2熱媒体回路50の構成を変更して、外気側対象物熱交換部を追加した例を説明する。本実施形態の第2熱媒体回路50には、第9実施形態と同様に、外気側対象物熱交換部である車載機器82の冷却水通路82aが接続されている。
さらに、本実施形態の第1熱媒体回路40は、第1ラジエータ側水ポンプ42aを有している。第1ラジエータ側水ポンプ42aは、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aから流出した第1熱媒体をバッテリ80の冷却水通路80a側あるいは第1バッテリ側水ポンプ42の吸入口側へ圧送する。その他の構成は、第8実施形態と同様である。
次に、上記構成の本実施形態の温度調整装置1の作動について説明する。本実施形態の温度調整装置1の基本的作動は、第4実施形態と同様である。従って、第4実施形態と同様に、冷凍サイクル装置10に不必要なエネルギを消費させることなく、効率的に、かつ、確実にバッテリ80を冷却して、バッテリ80の温度上昇を抑制することができる。
また、ヒータコア53にて送風空気を加熱して車室内の暖房を行うことができる。また、切替部である第1バッテリ側開閉弁45a、第1迂回通路側開閉弁45bおよび第1チラー側開閉弁45cを備えているので、第8実施形態と同様に、第1ラジエータ41を放熱用熱交換器あるいは吸熱用熱交換器として有効に活用することができる。
これに加えて、第2電池冷却モード、および暖房冷却モードでは、第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aから流出した第2熱媒体を車載機器82の冷却水通路82aに流入させることができる。第2熱媒体通路51aから流出した第2熱媒体は、第1ラジエータ41を通過した外気と同程度の温度となっている。これにより、車載機器82を冷却して、車載機器82の温度上昇を抑制することができる。
(第15実施形態)
本実施形態では、図16に示すように、第10実施形態に対して、第1熱媒体回路40および第2熱媒体回路50の構成を変更した例を説明する。
具体的には、本実施形態の第1熱媒体回路40は、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121bへ第1熱媒体を圧送する第1熱交換器側水ポンプ42bを有している。第1熱交換器側水ポンプ42bの基本的構成は、第1バッテリ側水ポンプ42と同様である。熱媒体通路121bの出口側には、熱媒体通路121bから流出した第1熱媒体の流れを分岐する分岐部が接続されている。
分岐部の一方の流出口には、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aの一方の出入口側が接続されている。第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aの他方の出入口には、第1熱交換器側水ポンプ42bの吸入口側が接続されている。分岐部の他方の流出口には、ヒータコア53の熱媒体入口側が接続されている。ヒータコア53の熱媒体出口には、第1熱交換器側水ポンプ42bの吸入口側が接続されている。
分岐部から第1熱媒体通路41aの一方の出入口へ至る熱媒体通路には、第1ラジエータ側流量調整弁44aが配置されている。第1ラジエータ側流量調整弁44aは、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aへ流入する第1熱媒体の流量を調整する。第1ラジエータ側流量調整弁44aの基本的構成は、第1車載機器側流量調整弁44や第2ラジエータ側流量調整弁54等と同様である。
分岐部からヒータコア53へ至る熱媒体通路には、第1ヒータコア側開閉弁45eが配置されている。第1ヒータコア側開閉弁45eは、分岐部からヒータコア53へ至る熱媒体通路を開閉する電磁弁である。第1ヒータコア側開閉弁45eの基本的構成は、第1バッテリ側開閉弁45a等と同様である。
本実施形態では、第1バッテリ側開閉弁45a、第1迂回通路側開閉弁45b、第1ラジエータ側開閉弁45d、第1ヒータコア側開閉弁45e、および第1ラジエータ側流量調整弁44aが第1熱媒体回路40の回路構成を切り替える切替部となる。
本実施形態の切替部は、チラー141の熱媒体通路141bから流出した第1熱媒体をバッテリ80の冷却水通路80aを介して第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aへ流入させる回路構成に切り替えることができる。さらに、熱媒体通路141bから流出した第1熱媒体を、冷却水通路80aを迂回させて第1熱媒体通路41aへ流入させる回路構成とを切り替えることができる。
また、切替部は、バッテリ80の冷却水通路80aから流出した第1熱媒体を第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aを介してチラー141の熱媒体通路141bへ流入させる回路構成に切り替えることができる。さらに、冷却水通路80aから流出した第1熱媒体を、第1熱媒体通路41aを迂回させて熱媒体通路141bへ流入させる回路構成とを切り替えることができる。
また、本実施形態の第2熱媒体回路50は、第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aと車載機器81の冷却水通路81aとの間で第2熱媒体を循環させる。第2熱媒体回路50は、第2ラジエータ側水ポンプ52bおよび第2車載機器側流量調整弁54aを有している。
第2ラジエータ側水ポンプ52bは、冷却水通路81aへ第2熱媒体を圧送する。第2ラジエータ側水ポンプ52bの基本的構成は、第2熱交換器側水ポンプ52等と同様である。第2車載機器側流量調整弁54aは、第2熱媒体回路50を循環する第2熱媒体の循環流量を調整する。第2車載機器側流量調整弁54aの基本的構成は、第2ラジエータ側流量調整弁54等と同様である。その他の構成は第10実施形態と同様である。
このため、バッテリ80の冷却水通路80aは、第1熱媒体を流通させてバッテリ80と熱交換させる蒸発側対象物熱交換部である。また、車載機器81の冷却水通路81aは、第2熱媒体を流通させて車載機器81と熱交換させる外気側対象物熱交換部である。
次に、上記構成の本実施形態の温度調整装置1の作動について説明する。本実施形態では、制御装置70が、バッテリ温度TBが適切な温度範囲内に維持され、車載機器温度TMが適切な温度範囲内に維持され、さらに、必要に応じて車室内の暖房を実現できるように、各種運転モードを切り替える。以下に各運転モードについて説明する。
(a)第1電池冷却モード
第1電池冷却モードは、バッテリ温度TBが第1基準温度KTB1以上となっており、かつ、車室内温度Trが設定温度よりも高くなっている際に実行される。
第1電池冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを開き、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じ、第1ラジエータ側開閉弁45dを閉じる。さらに、制御装置70は、室外送風機15および第1バッテリ側水ポンプ42を作動させる。また、制御装置70は、第1ラジエータ側流量調整弁44aを全閉状態とする。さらに、制御装置70は、第1熱交換器側水ポンプ42bを停止させる。また、制御装置70は、圧縮機11を停止させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141b→バッテリ80の冷却水通路80a→第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環する。
これにより、第1熱媒体がバッテリ80の冷却水通路80aを流通する際に吸熱したバッテリ80の排熱を、第1ラジエータ41にて室外送風機15から送風された外気に放熱させることができる。
また、冷凍サイクル装置10では、圧縮機11が停止しているので、冷媒が循環することはない。このため、第1熱媒体がチラー141にて冷媒に吸熱されて冷却されることはない。
従って、第1電池冷却モードでは、バッテリ80を冷却して、バッテリ80の温度上昇を抑制することができる。
(b)第2電池冷却モード
第2電池冷却モードは、バッテリ温度TBが第2基準温度KTB2以上となっており、かつ、車室内温度Trが設定温度よりも高くなっている際に実行される。
第2電池冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じ、第1ラジエータ側開閉弁45dを開く。さらに、制御装置70は、室外送風機15および第1バッテリ側水ポンプ42を作動させる。また、制御装置70は、第1ラジエータ側流量調整弁44aを全開状態とし、第1ヒータコア側開閉弁45eを閉じる。さらに、第1熱交換器側水ポンプ42bを作動させる。また、制御装置70は、圧縮機11を作動させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141b→バッテリ80の冷却水通路80a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環する。
さらに、第1熱交換器側水ポンプ42bから圧送された第1熱媒体が、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121b→第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41a→第1熱交換器側水ポンプ42bの吸入側の順に循環する。
これにより、第1熱媒体がバッテリ80の冷却水通路80aを流通する際に吸熱したバッテリ80の排熱を、チラー141にて冷媒に吸熱させることができる。さらに、第1熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて高圧冷媒から吸熱した熱を、第1ラジエータ41にて外気に放熱させることができる。
また、冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された冷媒が、水-冷媒熱交換器121の冷媒通路121a→膨張弁13→チラー141の冷媒通路141a→圧縮機11の吸入側の順に循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、冷媒がチラー141にて第1熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第1熱媒体へ放熱させることができる。
従って、第2電池冷却モードでは、第1熱媒体が吸熱したバッテリ80の排熱を、冷凍サイクル装置10を介して、外気に放熱させることができる。さらに、第2電池冷却モードでは、チラー141の熱媒体通路141bにて冷却された第1熱媒体をバッテリ80の冷却水通路80aへ流入させるので、第1電池冷却モードよりも高い冷却能力でバッテリ80を冷却することができる。
(c)暖房冷却モード
暖房冷却モードは、バッテリ温度TBが第1基準温度KTB1以上となっており、かつ、車室内温度Trが設定温度よりも低くなっている際に実行される。
暖房冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じ、第1ラジエータ側開閉弁45dを開く。さらに、制御装置70は、室外送風機15および第1バッテリ側水ポンプ42を作動させる。
また、制御装置70は、第1ラジエータ側流量調整弁44aの開度を調整するとともに、第1ヒータコア側開閉弁45eを開く。第1ラジエータ側流量調整弁44aの開度は、車室内温度Trが設定温度に近づくように調整される。さらに、第1熱交換器側水ポンプ42bを作動させる。また、制御装置70は、圧縮機11を作動させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、第2電池冷却モードと同様にチラー141の熱媒体通路141b→バッテリ80の冷却水通路80a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環する。
さらに、第1熱交換器側水ポンプ42bから圧送された第1熱媒体が、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121b→第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環するとともに、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121b→ヒータコア53→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環する。
これにより、第1熱媒体がバッテリ80の冷却水通路80aを流通する際に吸熱したバッテリ80の排熱を、チラー141にて冷媒に吸熱させることができる。さらに、第1熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて高圧冷媒から吸熱した熱を、第1ラジエータ41にて外気に放熱させることができるとともに、ヒータコア53にて室内送風機から送風された送風空気に放熱して、送風空気を加熱することができる。
また、冷凍サイクル装置10では、第2電池冷却モードと同様に、冷媒が循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、冷媒がチラー141にて第1熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第1熱媒体へ放熱させることができる。
従って、暖房冷却モードでは、第1熱媒体が吸熱したバッテリ80の排熱を、冷凍サイクル装置10を介して、外気および送風空気に放熱させることができる。さらに、第2電池冷却モードと同様に、第1電池冷却モードよりも高い冷却能力でバッテリ80を冷却することができる。
(d)暖房運転モード
暖房運転モードは、バッテリ温度TBが第1基準温度KTB1より低くなっており、かつ、車室内温度Trが設定温度よりも低くなっている際に実行される。
暖房運転モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを開き、第1ラジエータ側開閉弁45dを閉じる。さらに、制御装置70は、室外送風機15および第1バッテリ側水ポンプ42を作動させる。また、制御装置70は、第1ラジエータ側流量調整弁44aを全閉状態にするとともに、第1ヒータコア側開閉弁45eを開く。さらに、第1熱交換器側水ポンプ42bを作動させる。また、制御装置70は、圧縮機11を作動させる。
従って、第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141b→第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環する。
さらに、第1熱交換器側水ポンプ42bから圧送された第1熱媒体が、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121b→ヒータコア53→第1熱交換器側水ポンプ42bの吸入側の順に循環する。
これにより、第1熱媒体が第1ラジエータ41にて外気から吸熱した熱をチラー141にて冷媒に吸熱させることができる。さらに、第1熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて高圧冷媒から吸熱した熱を、ヒータコア53にて室内送風機から送風された送風空気に放熱して、送風空気を加熱することができる。
また、冷凍サイクル装置10では、第2電池冷却モードと同様に、冷媒が循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、冷媒がチラー141にて第1熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第1熱媒体へ放熱させることができる。
従って、暖房運転モードでは、第1熱媒体が外気から吸熱した熱を、冷凍サイクル装置10を介して、送風空気に放熱させることができる。
さらに、本実施形態の温度調整装置1では、第7実施形態と同様に、制御装置70は、車載機器温度TMが適切な温度範囲内に維持されるように、制御対象機器の作動を制御する。
具体的には、車載機器温度TMが予め定めた基準温度KTMより低くなっている際には、制御装置70は、第2ラジエータ側水ポンプ52bを停止させ、第2車載機器側流量調整弁54aを全閉状態とする。このため、第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aから流出した第2熱媒体が、車載機器81の冷却水通路81aへ流入することはない。
また、車載機器温度TMが基準温度KTM以上となっている際には、制御装置70は、第2ラジエータ側水ポンプ52bを作動させ、第2車載機器側流量調整弁54aの弁開度を調整する。この際、第2車載機器側流量調整弁54aの弁開度は、車載機器温度TMが適切な温度範囲内に維持されるように調整される。
従って、いずれの運転モードにおいても、車載機器温度TMが基準温度KTM以上となっている際には、第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aにて冷却された第2熱媒体が、第2ラジエータ側水ポンプ52bに吸入される。第2ラジエータ側水ポンプ52bから圧送された第2熱媒体は、車載機器81の冷却水通路81aへ流入する。
車載機器81の冷却水通路81aへ流入した第1熱媒体は、車載機器81から吸熱する。これにより、車載機器81が冷却される。冷却水通路81aから流出した第2熱媒体は、第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aへ流入する。第2熱媒体通路51aへ流入した第2熱媒体は、第1ラジエータ41を通過後の外気と熱交換する。これにより、第2熱媒体の温度が第1ラジエータ41を通過後の外気の温度に近づく。
以上の如く、本実施形態の温度調整装置1では、第1電池冷却モードと第2電池冷却モードとを切り替えることができる。従って、第2実施形態等と同様に、冷凍サイクル装置10に不必要なエネルギを消費させることなく、効率的に、かつ、確実にバッテリ80を冷却して、バッテリ80の温度上昇を抑制することができる。
さらに、第2ラジエータ51を有する第2熱媒体回路50を備えているので、車載機器81の排熱を、第2熱媒体を介して外気へ放熱させることができる。これによれば、圧縮機11が停止して冷凍サイクル装置10が冷却能力を発揮していなくても、車載機器81を冷却して、車載機器81の温度上昇を抑制することができる。
また、本実施形態の第1ラジエータ41では、バッテリ80の冷却水通路80a、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121b、およびチラー141の熱媒体通路141bのうちの一つから流出した第1熱媒体と外気とを熱交換させている。従って、バッテリ80の排熱を、第1熱媒体を介して外気へ放熱することや、冷凍サイクル装置10の作動状態に応じて外気を冷媒の吸熱源あるいは放熱先として利用することができる。
この際、第1ラジエータ41は、第1熱媒体と第2ラジエータ51にて熱交換する前の外気とを熱交換させる。従って、第1ラジエータ41では、第2ラジエータ51における第2熱媒体と外気との熱交換量の影響を受けることなく、バッテリ80の排熱を安定的に外気へ放熱することや、外気を冷媒の吸熱源あるいは放熱先として安定的に利用することができる。
その結果、冷凍サイクル装置10の非効率的なエネルギ消費を招くことなく、効率的にバッテリ80あるいは車載機器81を冷却することができる。
また、本実施形態では、切替部として第1バッテリ側開閉弁45a、第1迂回通路側開閉弁45b、第1ラジエータ側開閉弁45d、第1ヒータコア側開閉弁45e、および第1ラジエータ側流量調整弁44aを備えている。これにより、熱媒体回路を容易に切り替えることができる。すなわち、第1電池冷却モード、第2電池冷却モード、暖房冷却モード、および単独冷却モードを容易に切り替えることができる。
(第16実施形態)
ところで、第11実施形態のように、送風空気を冷却あるいは加熱する温度調整装置1では、送風空気を冷却する際にも加熱する際にも冷凍サイクル装置10を効率的に作動させることが望ましい。
しかしながら、送風空気を冷却する冷房運転モード(すなわち、冷却運転モード)時における冷凍サイクル装置10の作動点と、送風空気を加熱する暖房運転モード(すなわち、加熱運転モード)時における冷凍サイクル装置10の作動点は異なる。従って、いずれの運転モードにおいても冷凍サイクル装置10に高い作動効率を発揮させることは難しい。
そこで、本実施形態では、冷房運転モードおよび暖房運転モードのいずれの運転モードにおいても、効率的に送風空気の温度調整が可能な温度調整装置1について説明する。本実施形態では、図17~図20に示すように、第11実施形態に対して、第1熱媒体回路40の構成を変更している。
具体的には、本実施形態では、第11実施形態に対して、第1熱媒体回路40の第1ラジエータ側水ポンプ42aにおける第1熱媒体の圧送方向が異なっている。つまり、本実施形態の第1ラジエータ側水ポンプ42aは、車載機器81の冷却水通路81aから流出した第1熱媒体を吸入して圧送する。
さらに、本実施形態では、第1ラジエータ41および第2ラジエータ51として、いわゆるタンクアンドチューブ型の熱交換器を採用している。第1ラジエータ41および第2ラジエータ51の基本的構成は同等である。タンクアンドチューブ型の熱交換器は、複数の熱媒体チューブと一対の熱媒体タンクを有している。
熱媒体チューブは、熱媒体を流通させて第1熱媒体通路41aを形成する管である。本実施形態では、熱媒体チューブとして、断面扁平形状の扁平チューブを採用している。複数の熱媒体チューブは上下方向に延びている。
複数の熱媒体チューブは、平坦面(いわゆる、扁平面)同士が違互いに平行となるように、一定の間隔を開けて水平方向に積層配置されている。これにより、隣り合う熱媒体チューブ同士の間には、室外送風機15から送風された外気が流通する外気通路が形成される。外気通路には、熱媒体と外気との熱交換を促進する図示しない熱交換フィンが配置されている。
一対の熱媒体タンクは、複数の熱媒体チューブに対して熱媒体を分配する空間、および複数の熱媒体チューブから流出した熱媒体を集合させる空間を形成する。一対の熱媒体タンクは、複数の熱媒体チューブの両端部に接続されている。従って、本実施形態の第1ラジエータ41および第2ラジエータ51では、それぞれ第1熱媒体および第2熱媒体が下方側から上方側あるいは上方側から下方側へ流れる。
その他の構成は、第11実施形態と同様である。本実施形態では、車載機器81が外気側対象物となり、車載機器81の冷却水通路81aが外気側対象物熱交換部となる。さらに、バッテリ80が蒸発側対象物となり、バッテリ80の冷却水通路80aが蒸発側対象物熱交換部となる。
また、第1バッテリ側開閉弁45a、第1迂回通路側開閉弁45b、および第1ラジエータ側開閉弁45dが第1切替部となる。さらに、第2ヒータコア側開閉弁55および第2ラジエータ側流量調整弁54が第2切替部となる。
次に、上記構成の本実施形態の温度調整装置1の作動について説明する。本実施形態の温度調整装置1の基本的作動は、第11実施形態と同様である。そこで、本実施形態では、冷房運転モード、暖房運転モード、電池機器冷却モード、および電池優先冷却モードについて説明する。
(a)冷房運転モード
冷房運転モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じ、第1ラジエータ側開閉弁45dを閉じる。さらに、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42を停止させ、第1ラジエータ側水ポンプ42aを作動させ、第1車載機器側流量調整弁44を開弁状態とする。
また、制御装置70は、第2ヒータコア側開閉弁55を閉じる。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52を作動させ、第2ラジエータ側流量調整弁54を開弁状態とする。また、制御装置70は、蒸発器側膨張弁13bを絞り状態として、圧縮機11を作動させる。
従って、図17に示すように、冷房運転モードの第1熱媒体回路40では、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された第1熱媒体が、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41a→車載機器81の冷却水通路81a→第1ラジエータ側水ポンプ42aの吸入側の順に循環する。
これにより、第1熱媒体回路40では、第1熱媒体が吸熱した車載機器81の排熱を、第1ラジエータ41にて室外送風機15から送風された外気へ放熱させることができる。この際、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aでは、第1熱媒体が上方側から下方側へ流れる。
また、第2熱媒体回路50では、第2熱交換器側水ポンプ52から圧送された第2熱媒体が、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121b→第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51a→第2熱交換器側水ポンプ52の吸入側の順に循環する。
これにより、第2熱媒体回路50では、第2熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて吸熱した高圧冷媒の有する熱を、第2ラジエータ51にて第1ラジエータ41を通過後の外気に放熱させることができる。
この際、第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aでは、第2熱媒体が上方側から下方側へ流れる。つまり、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aを流通する第1熱媒体の流れ方向と第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aを流通する第2熱媒体の流れ方向は、同一となる。
また、冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、水-冷媒熱交換器121の冷媒通路121a→蒸発器側膨張弁13b→室内蒸発器14→圧縮機11の吸入側の順に循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、冷媒が室内蒸発器14にて送風空気から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体へ放熱させることができる。
従って、冷房運転モードでは、室内蒸発器14にて、送風空気を冷却して、車室内の冷房を行うことができる。さらに、冷凍サイクル装置10の作動状態の影響を受けることなく、車載機器81を冷却することができる。
(b)暖房運転モード
暖房運転モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを開き、第1ラジエータ側開閉弁45dを閉じる。さらに、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42を作動させ、第1ラジエータ側水ポンプ42aを作動させ、第1車載機器側流量調整弁44を開弁状態とする。
また、制御装置70は、第2ヒータコア側開閉弁55を開く。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52を作動させ、第2ラジエータ側流量調整弁54を全閉状態とする。また、制御装置70は、少なくともチラー側膨張弁13aを絞り状態として、圧縮機11を作動させる。
従って、図18に示すように、暖房運転モードの第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141b→第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環するとともに、チラー141の熱媒体通路141b→車載機器81の冷却水通路81a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環する。
つまり、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aと車載機器81の冷却水通路81aが、チラー141の熱媒体通路141bから流出した第1熱媒体の流れに対して、並列的に接続される。
これにより、第1熱媒体回路40では、チラー141の熱媒体通路141bにて冷却された第1熱媒体のうち一部が、冷却水通路81aへ流入して、車載機器81の排熱を吸熱する。これにより、車載機器81が冷却される。さらに、残余の第1熱媒体が、第1ラジエータ41にて外気から吸熱する。そして、第1熱媒体が、車載機器81および外気から吸熱した熱を、チラー141にて低圧冷媒に吸熱させることができる。
この際、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aでは、第1熱媒体が下方側から上方側へ流れる。つまり、冷房運転モード時に第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aを流通する第1熱媒体の流れ方向と、暖房運転モード時に第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aを流通する第1熱媒体の流れ方向は、異なっている。
さらに、冷房運転モード時に第1ラジエータ41の車載機器81の冷却水通路81aを流通する第1熱媒体の流れ方向と、暖房運転モード時に冷却水通路81aを流通する第1熱媒体の流れ方向は、同一となっている。
また、第2熱媒体回路50では、第2熱交換器側水ポンプ52から圧送された第2熱媒体が、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121b→ヒータコア53→第2熱交換器側水ポンプ52の吸入側の順に循環する。これにより、第2熱媒体回路50では、第2熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて吸熱した高圧冷媒の有する熱を、ヒータコア53にて送風空気へ放熱させることができる。
また、冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、少なくとも水-冷媒熱交換器121の冷媒通路121a→チラー側膨張弁13a→チラー141の冷媒通路141a→圧縮機11の吸入側の順に循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、少なくとも冷媒がチラー141にて第1熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体へ放熱させることができる。
従って、暖房運転モードでは、ヒータコア53にて、送風空気を加熱して、車室内の暖房を行うことができる。さらに、暖房運転モード時に、図18に図示するように、蒸発器側膨張弁13bを絞り状態として室内蒸発器14に低圧冷媒を流入させてもよい。これによれば、車室内の除湿暖房を行うことができる。
(c)電池機器冷却モード
電池機器冷却モードは、バッテリ80および車載機器81の双方を冷却する運転モードである。
電池機器冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを開き、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じ、第1ラジエータ側開閉弁45dを閉じる。さらに、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42を作動させ、第1ラジエータ側水ポンプ42aを作動させ、第1車載機器側流量調整弁44を開弁状態とする。
また、制御装置70は、第2ヒータコア側開閉弁55を閉じる。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52を作動させ、第2ラジエータ側流量調整弁54を開弁状態とする。また、制御装置70は、少なくともチラー側膨張弁13aを絞り状態として、圧縮機11を作動させる。
従って、図19に示すように、電池機器冷却モードの第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141b→バッテリ80の冷却水通路80a→第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環するとともに、チラー141の熱媒体通路141b→バッテリ80の冷却水通路80a→車載機器81の冷却水通路81a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環する。
つまり、バッテリ80の冷却水通路80aと車載機器81の冷却水通路81aが、第1熱媒体の流れに対して、直列的に接続される。
これにより、第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141bへ流入する。熱媒体通路141bへ流入した第1熱媒体は、低圧冷媒に吸熱されて冷却される。
熱媒体通路141bにて冷却された第1熱媒体は、バッテリ80の冷却水通路80aへ流入する。冷却水通路80aへ流入した第1熱媒体は、バッテリ80の排熱を吸熱する。これにより、バッテリ80が冷却される。
冷却水通路80aから流出した第1熱媒体のうちの一部は、車載機器81の冷却水通路81aへ流入する。冷却水通路81aへ流入した第1熱媒体は、車載機器81の排熱を吸熱する。これにより、車載機器81が冷却される。この際、第1車載機器側流量調整弁44の開度は、車載機器81が充分に冷却されるように調整される。
冷却水通路81aから流出した第1熱媒体は、第1ラジエータ側水ポンプ42aに吸入されて圧送される。第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された第1熱媒体は、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aから流出した第1熱媒体と合流する。
一方、冷却水通路80aから流出した残余の第1熱媒体は、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aへ流入する。第1熱媒体通路41aへ流入した第1熱媒体は、室外送風機15から送風された外気と熱交換して放熱する。第1熱媒体通路41aから流出した第1熱媒体は、冷却水通路81aから流出した第1熱媒体と合流して、第1バッテリ側水ポンプ42に吸入されて再びチラー141の熱媒体通路141bへ圧送される。
また、第2熱媒体回路50では、冷房運転モードと同様に第2熱媒体が循環する。これにより、第2熱媒体回路50では、第2熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて吸熱した高圧冷媒の有する熱を、第2ラジエータ51にて第1ラジエータ41を通過後の外気に放熱させることができる。
また、冷凍サイクル装置10では、暖房運転モードと同様に冷媒が循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、少なくとも冷媒がチラー141にて第1熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体へ放熱させることができる。
従って、電池機器冷却モードでは、チラー141にて冷却された第1熱媒体をバッテリ80の冷却水通路80aに流入させて、バッテリ80を冷却することができる。さらに、冷却水通路80aから流出した第1熱媒体を車載機器81の冷却水通路81aに流入させて、車載機器81を冷却することができる。
ところで、電池機器冷却モードでは、バッテリ80の冷却水通路80aと車載機器81の冷却水通路81aが、第1熱媒体の流れに対して、直列的に接続されている。バッテリ80の温度と車載機器81の温度の双方を、それぞれ適切な温度範囲内に調整することが難しい。
つまり、第1熱媒体の流れの上流側に配置されるバッテリ80の温度を適切な温度範囲内に維持しようとすると、車載機器81の冷却が不充分になってしまうおそれがある。また、第1熱媒体の流れの下流側に配置される車載機器81の温度を適切な温度範囲内に維持しようとすると、バッテリ80の温度が低くなり過ぎてしまうおそれがある。
そこで、本実施形態の温度調整装置1では、電池優先冷却モードを実行することができる。電池優先冷却モードは、車載機器81の温度上昇を抑制しつつ、バッテリ80の温度を適切な温度範囲内に維持するための運転モードである。電池優先冷却モードは、少なくとも蒸発側対象物であるバッテリ80を冷却する蒸発側対象物冷却モードである。以下に、電池優先冷却モードについて説明する。
(d)電池優先冷却モード
電池優先冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じ、第1ラジエータ側開閉弁45dを開く。さらに、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42を作動させ、第1ラジエータ側水ポンプ42aを作動させ、第1車載機器側流量調整弁44を開弁状態とする。
また、制御装置70は、第2ヒータコア側開閉弁55を閉じる。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52を作動させ、第2ラジエータ側流量調整弁54を開弁状態とする。また、制御装置70は、少なくともチラー側膨張弁13aを絞り状態として、圧縮機11を作動させる。
従って、図20に示すように、電池優先冷却モードの第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141b→バッテリ80の冷却水通路80a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環する。さらに、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された第1熱媒体が、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41a→車載機器81の冷却水通路81a→第1ラジエータ側水ポンプ42aの吸入側の順に循環する。
つまり、電池優先冷却モードでは、第1切替部が、チラー141の熱媒体通路141aにて冷却された第1熱媒体をチラー141の熱媒体通路141aへ流入させる。さらに、熱媒体通路141aから流出した第1熱媒体を車載機器81の冷却水通路81aを迂回させて熱媒体通路141aの入口側へ導く回路構成に切り替える。
これにより、第1熱媒体回路40では、第1熱媒体がバッテリ80から吸熱した熱をチラー141にて冷媒に吸熱させることができる。さらに、第1熱媒体が、車載機器81から吸熱した熱を第1ラジエータ41にて外気に放熱させることができる。
また、第2熱媒体回路50では、冷房運転モードと同様に第2熱媒体が循環する。これにより、第2熱媒体回路50では、第2熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて吸熱した高圧冷媒の有する熱を、第2ラジエータ51にて第1ラジエータ41を通過後の外気に放熱させることができる。
また、冷凍サイクル装置10では、暖房運転モードと同様に冷媒が循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、少なくとも冷媒がチラー141にて第1熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体へ放熱させることができる。
従って、電池優先冷却モードでは、チラー141の熱媒体通路141bにて冷却された第1熱媒体をバッテリ80の冷却水通路80aへ流入させて、バッテリ80を冷却することができる。さらに、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aにて外気温に近づくように冷却された第1熱媒体を車載機器81の冷却水通路81aへ流入させて、車載機器81を冷却することができる。
以上の如く、本実施形態の温度調整装置1によれば、バッテリ80および車載機器81を冷却して、バッテリ80および車載機器81の温度上昇を抑制することができる。さらに、送風空気の温度を調整して、車室内の冷房、暖房、除湿暖房を行うことができる。
さらに、本実施形態の温度調整装置1によれば、冷房運転モード時に第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aを流通する第1熱媒体の流れ方向と第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aを流通する第2熱媒体の流れ方向が同一となっている。つまり、第1熱媒体通路41aを流通する第1熱媒体の流れと第2熱媒体通路51aを流通する第2熱媒体の流れが、いわゆる並行流となる。
従って、第1ラジエータ41を通過した外気に温度分布が生じても、第1ラジエータ41を通過した外気と第2ラジエータ51を流通する第2熱媒体との温度差の拡大を抑制することができる。
その結果、冷房運転モード時には、第2ラジエータ51を流通する第2熱媒体と外気との熱交換効率を向上させて、効率的に第2熱媒体の有する熱を外気に放熱させることができる。そして、冷凍サイクル装置10にて、効率的に冷却対象流体である送風空気を冷却することができる。
また、冷房運転モード時に第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aを流通する第1熱媒体の流れ方向と、暖房運転モード時に第1熱媒体通路41aを流通する第1熱媒体の流れ方向は、異なっている。さらに、冷房運転モード時に車載機器81の冷却水通路81aを流通する第1熱媒体の流れ方向と、暖房運転モード時に車載機器81の冷却水通路81aを流通する第1熱媒体の流れ方向は、同一となっている。
これにより、冷房運転モード時には、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aと車載機器81の冷却水通路81aとを直列的に接続する回路構成とすることができる。そして、暖房運転モード時には、チラー141の熱媒体通路141bから流出した第1熱媒体の流れに対して、第1熱媒体通路41aと冷却水通路81aとを並列的に接続する回路構成とすることができる。
従って、暖房運転モード時には、第1ラジエータ側水ポンプ42aの圧送能力を調整することによって、第1ラジエータ41へ流入させる第1熱媒体の流量と車載機器81の冷却水通路81aへ流入させる第1熱媒体の流量との流量比を調整することができる。その結果、暖房運転モード時には、第1熱媒体が車載機器81から吸熱する吸熱量を適切に調整して、効率的に送風空気を加熱することができる。
また、本実施形態の温度調整装置1では、冷房運転モード時に、第1ラジエータ41を流通する第1熱媒体の流れ方向が、上方側から下方側へ向かう流れとなる。また、冷房運転モード時の第1ラジエータ41は、第1熱媒体が吸熱した車載機器81の排熱を外気に放熱させる放熱用の熱交換器となる。
上方側から下方側へ向かう流れは、重力の作用によって、下方側から上方側へ向かう流れよりも流速が速くなる。従って、第1熱媒体の急激な温度変化を抑制して、第1ラジエータ41や車載機器81の急激な温度変化を抑制することができる。
一方、本実施形態の温度調整装置1では、暖房運転モード時に第1ラジエータ41を流通する第1熱媒体の流れ方向が、下方側から上方側へ向かう流れとなる。また、冷房運転モード時の第1ラジエータ41は、第1熱媒体に外気の有する熱を吸熱させる吸熱用の熱交換器となる。
下方側から上方側へ向かう流れは、重力の作用によって、上方側から下方側へ向かう流れよりも流速が遅くなる。従って、第1ラジエータ41にて外気の有する熱を第1熱媒体に効率的に吸熱させることができる。
また、本実施形態の温度調整装置1では、電池優先冷却モード時に、第1切替部が、チラー141の熱媒体通路141aにて冷却された第1熱媒体をバッテリ80の冷却水通路80aへ流入させる回路構成に切り替える。さらに、冷却水通路80aから流出した第1熱媒体を、車載機器81の冷却水通路81aを迂回させて熱媒体通路141aの入口側へ導く回路構成に切り替える。
これによれば、電池優先冷却モード時の第1熱媒体回路40では、2つの独立した回路が形成される。具体的には、チラー141の熱媒体通路141aとバッテリ80の冷却水通路80aとの間で第1熱媒体を循環させる回路と、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aと車載機器81の冷却水通路81aとの間で第1熱媒体を循環させる回路が形成される。
従って、電池優先冷却モードでは、車載機器81の排熱の影響を受けることなく、チラー141にて冷却された第1熱媒体によってバッテリ80を冷却することができる。
(第17実施形態)
本実施形態では、図21、図22に示すように、第16実施形態に対して、第1熱媒体回路40の構成を変更した例を説明する。
具体的には、本実施形態の第1熱媒体回路40は、第1車載機器用迂回通路402に補助迂回通路406を追加している。さらに、補助迂回通路406には、三方式の補助流量調整弁44bが接続されている。
補助迂回通路406は、電池機器冷却モード時に第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された第1熱媒体を車載機器81の冷却水通路81aの入口側へ戻す熱媒体通路である。補助流量調整弁44bは、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された第1熱媒体のうち、補助迂回通路406側へ流出させる第1熱媒体の流量と、第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側へ流出させる第1熱媒体の流量との流量比を調整する。
補助流量調整弁44bは、補助迂回通路406側の流入口および第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の流出口のいずれか一方を全閉させて、第1熱媒体回路40の回路構成を切り替えることができる。従って、補助流量調整弁44bは、第1切替部に含まれる。補助流量調整弁44bは、制御装置70から出力される制御信号によって、その作動が制御される。その他の構成は、第16実施形態と同様である。
次に、上記構成の本実施形態の温度調整装置1の作動について説明する。本実施形態の温度調整装置1では、補助流量調整弁44bが、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された第1熱媒体の全流量を、第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側へ流出させると、第16実施形態と全く同様の構成となる。従って、本実施形態の温度調整装置1は、第16実施形態と同様に作動して、第16実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態の温度調整装置1では、バッテリ80の冷却を行わず、車載機器81の冷却を行う機器単独冷却モード、および車載機器81の冷却を行わず、バッテリ80の冷却を行う電池単独冷却モードを実行することができる。以下、これらの運転モードについて説明する。
(a)機器単独冷却モード
機器単独冷却モードは、例えば、第16実施形態で説明した電池機器冷却モード時に、バッテリ温度TBが低くなり、バッテリ80を冷却する必要がなくなった場合等に実行される。
電池機器冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを開き、第1ラジエータ側開閉弁45dを閉じる。さらに、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42を作動させ、第1ラジエータ側水ポンプ42aを作動させる。
また、制御装置70は、第2ヒータコア側開閉弁55を閉じる。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52を作動させ、第2ラジエータ側流量調整弁54を開弁状態とする。また、制御装置70は、少なくともチラー側膨張弁13aを絞り状態として、圧縮機11を作動させる。また、制御装置70は、補助流量調整弁44bを開弁状態とする。
従って、図21に示すように、機器単独冷却モードの第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141b→第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環するとともに、チラー141の熱媒体通路141b→車載機器81の冷却水通路81a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環する。
さらに、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された第1熱媒体の一部が、補助迂回通路406を介して、車載機器81の冷却水通路81aの入口側に戻される。車載機器81の冷却水通路81aの入口側に戻された第1熱媒体は、チラー141の熱媒体通路141bにて冷却された第1熱媒体と合流する。
これにより、第1熱媒体回路40では、第1熱媒体が第1ラジエータ41にて外気から吸熱した熱、および車載機器81から吸熱した排熱を、チラー141にて低圧冷媒に放熱させることができる。
また、第2熱媒体回路50では、第16実施形態の冷房運転モードと同様に第2熱媒体が循環する。これにより、第2熱媒体回路50では、第2熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて吸熱した高圧冷媒の有する熱を、第2ラジエータ51にて第1ラジエータ41を通過後の外気に放熱させることができる。
また、冷凍サイクル装置10では、第16実施形態の冷房運転モードと同様に冷媒が循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、少なくとも冷媒がチラー141にて第1熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体へ放熱させることができる。
従って、機器単独冷却モードでは、チラー141にて冷却された第1熱媒体を車載機器81の冷却水通路81aへ流入させて、車載機器81を冷却することができる。
(b)電池単独冷却モード
電池単独冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じ、第1ラジエータ側開閉弁45dを開く。さらに、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42を作動させ、第1ラジエータ側水ポンプ42aを作動させる。
また、制御装置70は、第2ヒータコア側開閉弁55を閉じる。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52を作動させ、第2ラジエータ側流量調整弁54を開弁状態とする。また、制御装置70は、少なくともチラー側膨張弁13aを絞り状態として、圧縮機11を作動させる。
また、制御装置70は、補助流量調整弁44bを全開状態とする。補助流量調整弁44bが全開状態になると、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された第1熱媒体の全流量が補助迂回通路406へ流入する。
従って、図22に示すように、機器単独冷却モードの第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141b→バッテリ80の冷却水通路80a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環する。さらに、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された第1熱媒体が、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41a→第1ラジエータ側水ポンプ42aの吸入側の順に循環する。
これにより、第1熱媒体回路40では、第1熱媒体が吸熱したバッテリ80の排熱をチラー141にて冷媒に吸熱させることができる。
また、第2熱媒体回路50では、機器単独冷却モードと同様に第2熱媒体が循環する。これにより、第2熱媒体回路50では、第2熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて吸熱した高圧冷媒の有する熱を、第2ラジエータ51にて第1ラジエータ41を通過後の外気に放熱させることができる。
また、冷凍サイクル装置10では、機器単独冷却モードと同様に冷媒が循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、少なくとも冷媒がチラー141にて第1熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体へ放熱させることができる。
従って、電池単独冷却モードでは、チラー141にて冷却された第1熱媒体をバッテリ80の冷却水通路80aへ流入させて、バッテリ80を冷却することができる。
以上の如く、本実施形態の温度調整装置1によれば、バッテリ80および車載機器81を冷却して、バッテリ80および車載機器81の温度上昇を抑制することができる。さらに、送風空気の温度を調整して、車室内の冷房、暖房、除湿暖房を行うことができる。
これに加えて、本実施形態の温度調整装置1では、補助迂回通路406と補助流量調整弁44bとを備えているので、運転モードを切り替えた際に、車載機器81の温度の急変動を抑制することができる。
このことをより詳細に説明すると、例えば、第16実施形態で説明した電池機器冷却モードと同様に作動させている際に、バッテリ温度TBが低くなり、バッテリ80を冷却する必要がなくなったとする。このような場合には、機器単独冷却モードに切り替えることが考えられる。
電池機器冷却モードから機器単独冷却モードへ切り替えるためには、第1切替部である第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを開けばよい。これにより、バッテリ80の不必要な冷却を抑制することができる。
ところが、単に第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを開くだけでは、チラー141の熱媒体通路141bで冷却された第1熱媒体が、バッテリ80の排熱を吸熱することなく車載機器81の冷却水通路81aへ流入してしまう。
このため、図23の太破線に示すように、車載機器81の冷却水通路81aへ流入する第1熱媒体の温度である車載機器入口側温度TMinが、急降下して車載機器81の適切な温度範囲の下限値を下回ってしまうおそれがある。
これに対して、本実施形態の温度調整装置1では、補助迂回通路406と補助流量調整弁44bとを備えている。従って、補助流量調整弁44bの開度を調整することによって、車載機器81の冷却水通路81aから流出した第1熱媒体のうち、再び車載機器81の冷却水通路81aの入口側へ戻す第1熱媒体の流量を変化させることができる。これにより、車載機器入口側温度TMinを調整することができる。
従って、図23の太実線に示すように、車載機器入口側温度TMinが車載機器81の適切な温度範囲の下限値より高くなるように、冷却水通路81aの入口側へ戻す第1熱媒体の流量を調整することができる。その結果、車載機器81が過度に冷却されてしまうことを抑制して、車載機器81の温度を適切な温度範囲内に維持することができる。
また、本実施形態の温度調整装置1では、電池単独冷却モード時に、補助流量調整弁44bが、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された第1熱媒体の全流量を補助迂回通路406へ流入させる。
これによれば、電池単独冷却モード時の第1熱媒体回路40では、2つの独立した回路が形成される。具体的には、チラー141の熱媒体通路141aとバッテリ80の冷却水通路80aとの間で第1熱媒体を循環させる回路と、車載機器81の冷却水通路81aから流出した第1熱媒体を再び冷却水通路81aへ流入させる回路が形成される。
従って、電池単独冷却モードでは、車載機器81の排熱の影響を受けることなく、確実に、バッテリ80の温度を適切な温度範囲内に維持することができる。
(第18実施形態)
本実施形態では、図24~図26に示すように、第16実施形態で説明した第1熱媒体回路40および第2熱媒体回路50の構成を変更した温度調整装置1aについて説明する。
温度調整装置1aでは、第16実施形態で説明した温度調整装置1の第1熱媒体回路40および第2熱媒体回路50を接続して、1つの熱媒体回路60としている。さらに、温度調整装置1aでは、第16実施形態で説明した第1ラジエータ41および第2ラジエータ51が、1つのラジエータ61として一体化されている。
ラジエータ61は、熱媒体と室外送風機15から送風された外気とを熱交換させる室外熱交換部である。ラジエータ61の基本的構成は、第16実施形態で説明した第1ラジエータ41および第2ラジエータ51と同様である。すなわち、ラジエータ61は、タンクアンドチューブ型の熱交換器である。ラジエータ61が有する複数の熱媒体チューブは、熱媒体を流通させる熱媒体通路61aを形成している。
温度調整装置1aでは、熱媒体通路61aの一方の熱媒体出口に、ヒータコア53の熱媒体出口側、バッテリ80の冷却水通路80aの出口側、車載機器81の冷却水通路81aの入口側等が接続されている。熱媒体通路61aの他方の熱媒体出口に、第1ラジエータ側水ポンプ42aの吐出口側、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121bの出口側、ヒータコア53の熱媒体入口側等が接続されている。
その他の構成は、第16実施形態と同様である。なお、本実施形態では、1つの熱媒体回路60に種々の構成機器が接続されている。これらの構成機器のうち、ラジエータ61を除く構成機器は、第16実施形態の第1熱媒体回路40および第2熱媒体回路50に接続されていた構成機器と同様である。従って、本実施形態では、これらの構成機器の名称および符号を変更せずに説明をする。このことは他の熱媒体回路60を採用する実施形態でも同様である。
このため、本実施形態では、車載機器81が外気側対象物となり、車載機器81の冷却水通路81aが外気側対象物熱交換部となる。さらに、バッテリ80が蒸発側対象物となり、バッテリ80の冷却水通路80aが蒸発側対象物熱交換部となる。また、第1バッテリ側開閉弁45a、第1迂回通路側開閉弁45b、第1ラジエータ側開閉弁45d、第2ヒータコア側開閉弁55および第2ラジエータ側流量調整弁54が切替部となる。
次に、上記構成の本実施形態の温度調整装置1aの作動について説明する。本実施形態の温度調整装置1aの基本的作動は、第16実施形態の温度調整装置1と同様である。以下に、冷房運転モード、暖房運転モード、および電池優先冷却モードについて説明する。
(a)冷房運転モード
冷房運転モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じ、第1ラジエータ側開閉弁45dを閉じる。さらに、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42を停止させ、第1ラジエータ側水ポンプ42aを作動させ、第1車載機器側流量調整弁44を開弁状態とする。
また、制御装置70は、第2ヒータコア側開閉弁55を閉じる。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52を作動させ、第2ラジエータ側流量調整弁54を全開状態とする。また、制御装置70は、蒸発器側膨張弁13bを絞り状態として、圧縮機11を作動させる。
従って、図24に示すように、冷房運転モードの熱媒体回路60では、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された熱媒体が、ラジエータ61の熱媒体通路61a→車載機器81の冷却水通路81a→第1ラジエータ側水ポンプ42aの吸入側の順に循環する。
さらに、第2熱交換器側水ポンプ52から圧送された熱媒体が、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121b→ラジエータ61の熱媒体通路61a→第2熱交換器側水ポンプ52の吸入側の順に循環する。
これにより、熱媒体回路60では、熱媒体が冷却水通路81aにて吸熱した車載機器81の排熱、および熱媒体が水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121bにて吸熱した高圧冷媒の有する熱をラジエータ61にて外気へ放熱させることができる。この際、ラジエータ61の熱媒体通路61aでは、熱媒体が上方側から下方側へ流れる。
また、冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、第16実施形態と同様に循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、冷媒が室内蒸発器14にて送風空気から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて熱媒体へ放熱させることができる。
従って、冷房運転モードでは、室内蒸発器14にて、送風空気を冷却して、車室内の冷房を行うことができる。さらに、車載機器81を冷却することができる。
(b)暖房運転モード
暖房運転モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを開き、第1ラジエータ側開閉弁45dを閉じる。さらに、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42を作動させ、第1ラジエータ側水ポンプ42aを作動させ、第1車載機器側流量調整弁44を開弁状態とする。
また、制御装置70は、第2ヒータコア側開閉弁55を開く。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52を作動させ、第2ラジエータ側流量調整弁54を全閉状態とする。また、制御装置70は、少なくともチラー側膨張弁13aを絞り状態として、圧縮機11を作動させる。
従って、図25に示すように、暖房運転モードの熱媒体回路60では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141b→ラジエータ61の熱媒体通路61a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環するとともに、チラー141の熱媒体通路141b→車載機器81の冷却水通路81a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環する。
つまり、ラジエータ61の熱媒体通路61aと車載機器81の冷却水通路81aが、チラー141の熱媒体通路141bから流出した熱媒体の流れに対して、並列的に接続される。
これにより、熱媒体回路60では、チラー141の熱媒体通路141bにて冷却された熱媒体のうち一部の熱媒体が、冷却水通路81aへ流入して、車載機器81の排熱を吸熱する。これにより、車載機器81が冷却される。さらに、残余の熱媒体が、ラジエータ61にて外気から吸熱する。そして、熱媒体が、車載機器81および外気から吸熱した熱を、チラー141にて低圧冷媒に吸熱させることができる。
この際、ラジエータ61の熱媒体通路61aでは、熱媒体が下方側から上方側へ流れる。従って、冷房運転モード時にラジエータ61の熱媒体通路61aを流通する熱媒体の流れ方向と、暖房運転モード時に熱媒体通路61aを流通する熱媒体の流れ方向は、異なっている。
さらに、冷房運転モード時に車載機器81の冷却水通路81aを流通する熱媒体の流れ方向と、暖房運転モード時に冷却水通路81aを流通する熱媒体の流れ方向は、同一となっている。
また、熱媒体回路60では、第2熱交換器側水ポンプ52から圧送された熱媒体が、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121b→ヒータコア53→第2熱交換器側水ポンプ52の吸入側の順に循環する。これにより、熱媒体回路60では、熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて吸熱した高圧冷媒の有する熱を、ヒータコア53にて送風空気へ放熱させることができる。
また、冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、第16実施形態と同様に循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、少なくとも冷媒がチラー141にて熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて熱媒体へ放熱させることができる。
従って、暖房運転モードでは、ヒータコア53にて、送風空気を加熱して、車室内の暖房を行うことができる。さらに、暖房運転モード時に、図25に図示するように、蒸発器側膨張弁13bを絞り状態として室内蒸発器14に低圧冷媒を流入させてもよい。これによれば、車室内の除湿暖房を行うことができる。
(c)電池優先冷却モード
電池優先冷却モードは、少なくとも蒸発側対象物であるバッテリ80を冷却する蒸発側対象物冷却モードである。電池優先冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じ、第1ラジエータ側開閉弁45dを開く。さらに、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42を作動させ、第1ラジエータ側水ポンプ42aを作動させ、第1車載機器側流量調整弁44を全開状態とする。
また、制御装置70は、第2ヒータコア側開閉弁55を閉じる。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52を作動させ、第2ラジエータ側流量調整弁54を全閉状態とする。また、制御装置70は、少なくともチラー側膨張弁13aを絞り状態として、圧縮機11を作動させる。
従って、図26に示すように、電池優先冷却モードの熱媒体回路60では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141b→バッテリ80の冷却水通路80a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環する。さらに、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された熱媒体が、ラジエータ61の熱媒体通路61a→車載機器81の冷却水通路81a→第1ラジエータ側水ポンプ42aの吸入側の順に循環する。
これにより、熱媒体回路60では、熱媒体が吸熱したバッテリ80の排熱をチラー141にて冷媒に吸熱させることができる。さらに、熱媒体が、車載機器81から吸熱した熱をラジエータ61にて外気に放熱させることができる。
さらに、熱媒体回路60では、暖房運転モードと同様に熱媒体が循環する。これにより、熱媒体回路60では、熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて吸熱した高圧冷媒の有する熱を、ヒータコア53にて送風空気へ放熱させることができる。
また、冷凍サイクル装置10では、暖房モードと同様に冷媒が循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、少なくとも冷媒がチラー141にて第1熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体へ放熱させることができる。
従って、電池優先冷却モードでは、チラー141の熱媒体通路141bにて冷却された熱媒体をバッテリ80の冷却水通路80aへ流入させて、バッテリ80を冷却することができる。さらに、ラジエータ61の熱媒体通路61aにて外気温に近づくように冷却された熱媒体を車載機器81の冷却水通路81aへ流入させて、車載機器81を冷却することができる。
以上の如く、本実施形態の温度調整装置1aによれば、バッテリ80および車載機器81を冷却して、バッテリ80および車載機器81の温度上昇を抑制することができる。さらに、送風空気の温度を調整して、車室内の冷房、暖房、除湿暖房を行うことができる。
また、本実施形態の温度調整装置1aでは、冷房運転モード時にラジエータ61の熱媒体通路61aを流通する熱媒体の流れ方向と、暖房運転モード時に熱媒体通路61aを流通する熱媒体の流れ方向は、異なっている。さらに、冷房運転モード時に車載機器81の冷却水通路81aを流通する熱媒体の流れ方向と、暖房運転モード時に車載機器81の冷却水通路81aを流通する熱媒体の流れ方向は、同一となっている。
従って、第16実施形態と同様に、暖房運転モード時には、熱媒体が車載機器81から吸熱する吸熱量を適切に調整して、効率的に送風空気を加熱することができる。
また、本実施形態の温度調整装置1aでは、電池優先冷却モード時に、切替部が、チラー141の熱媒体通路141aにて冷却された熱媒体をチラー141のバッテリ80の冷却水通路80aへ流入させる回路構成に切り替える。さらに、冷却水通路80aから流出した熱媒体を、車載機器81の冷却水通路81aを迂回させて熱媒体通路141aの入口側へ導く回路構成に切り替える。
従って、電池優先冷却モードでは、車載機器81の排熱の影響を受けることなく、チラー141にて冷却された第1熱媒体によってバッテリ80を冷却することができる。
(第19実施形態)
本実施形態では、図27に示すように、第18実施形態に対して、熱媒体回路60の構成を変更した例を説明する。本実施形態の熱媒体回路60では、第1バッテリ側開閉弁45aおよび第1ラジエータ側開閉弁45dを廃止して、蒸発側流量調整弁44cを追加している。
蒸発側流量調整弁44cは、バッテリ80の冷却水通路80aから流出した熱媒体のうち、ラジエータ61の熱媒体通路61aの入口側へ流入させる熱媒体の流量と、チラー141の熱媒体通路141bの入口側へ流入させる熱媒体の流量との流量比を調整する。
蒸発側流量調整弁44cは、ラジエータ61の熱媒体通路61a側の流出口およびチラー141の熱媒体通路141b側の流出口の少なくとも一方を開閉させて、第1熱媒体回路40の回路構成を切り替えることができる。従って、蒸発側流量調整弁44cは、切替部に含まれる。蒸発側流量調整弁44cは、制御装置70から出力される制御信号によって、その作動が制御される。その他の構成は、第18実施形態と同様である。
従って、本実施形態の温度調整装置1aでは、第18実施形態で説明した、暖房運転モードおよび電池優先冷却モードと同様の回路に切り替えて、暖房運転モードおよび電池優先冷却モードと同様に作動させることができる。さらに、図27に示すように、電池冷却切替モードを実行することができる。
電池冷却切替モードでは、制御装置70が、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じる。さらに、制御装置70は、バッテリ80の冷却水通路80aから流出した熱媒体を、ラジエータ61の熱媒体通路61aおよびチラー141の熱媒体通路141bの双方に流入させるように蒸発側流量調整弁44cの作動を制御する。その他の作動は、第18実施形態で説明した電池優先冷却モードと同様である。
ここで、暖房運転モード時にバッテリ温度TBが上昇してバッテリ80を冷却する必要が生じた場合には、電池優先冷却モードに切り替えることが考えられる。具体的には、切替部である蒸発側流量調整弁44cの作動を制御して、バッテリ80の冷却水通路80aから流出した熱媒体の全流量をチラー141の熱媒体通路141b側へ流出させればよい。これにより、車室内の暖房を行いつつ、バッテリ80の冷却を行うことができる。
ところが、単に暖房運転モードから電池優先冷却モードへ切り替えるだけでは、バッテリ80の冷却水通路80aにて加熱された熱媒体の全流量が、チラー141の熱媒体通路141bへ流入してしまう。
このため、図28の太破線に示すように、チラー141の熱媒体通路141bへ流入する熱媒体の温度であるチラー入口側温度TCinが、急上昇してしまうおそれがある。このようなチラー入口側温度TCinの急上昇は、冷凍サイクル装置10の低圧冷媒の圧力を上昇させてしまい、冷凍サイクル装置10の効率的な作動を妨げる原因となる。
これに対して、本実施形態の温度調整装置1では、蒸発側流量調整弁44cを備えている。これによれば、第1バッテリ側水ポンプ42の入口側にて、混合されるバッテリ80の冷却水通路80aから流出した熱媒体とラジエータ61の熱媒体通路61aから流出した熱媒体との混合割合を変化させることができる。
従って、電池冷却切替モードでは、蒸発側流量調整弁44cの開度を調整することによって、第1バッテリ側水ポンプ42の入口側で混合される熱媒体の混合割合を変化させることができる。そして、チラー入口側温度TCinを調整することができる。
その結果、図28の太実線に示すように、チラー入口側温度TCinが急上昇しないように、蒸発側流量調整弁44cの作動を制御することができる。その結果、冷凍サイクル装置10の非効率的に作動してしまうことを抑制することができる。
(第20実施形態)
本実施形態では、図29に示すように、第18実施形態に対して、第1熱媒体回路40の構成を変更した例を説明する。具体的には、本実施形態の第1熱媒体回路40には、第17実施形態と同様に、補助迂回通路406、および補助流量調整弁44bが追加されている。その他の構成は、第18実施形態と同様である。
次に、上記構成の本実施形態の温度調整装置1の作動について説明する。本実施形態の温度調整装置1aでは、補助流量調整弁44bが、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された第1熱媒体の全流量を、第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側へ流出させると、第18実施形態と全く同様の構成となる。従って、本実施形態の温度調整装置1は、第18実施形態と同様に作動して、第18実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、本実施形態の温度調整装置1aでは、バッテリ80の冷却を行わず、車載機器81の冷却を行う機器単独冷却モードを実行することができる。
機器単独冷却モードは、例えば、第18実施形態で説明した電池優先冷却モード時に、バッテリ温度TBが低くなり、バッテリ80を冷却する必要がなくなった場合等に実行される。
機器単独冷却モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを開き、第1ラジエータ側開閉弁45dを閉じる。さらに、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42を作動させ、第1ラジエータ側水ポンプ42aを作動させる。
また、制御装置70は、第2ヒータコア側開閉弁55を閉じる。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52を作動させ、第2ラジエータ側流量調整弁54を全開状態とする。また、制御装置70は、少なくともチラー側膨張弁13aを絞り状態として、圧縮機11を作動させる。また、制御装置70は、補助流量調整弁44bを開弁状態とする。
従って、図29に示すように、機器単独冷却モードの第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141b→ラジエータ61の熱媒体通路61a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環するとともに、チラー141の熱媒体通路141b→車載機器81の冷却水通路81a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環する。
さらに、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された熱媒体の一部が、補助迂回通路406を介して、車載機器81の冷却水通路81aの入口側に戻される。車載機器81の冷却水通路81aの入口側に戻された熱媒体は、チラー141の熱媒体通路141bにて冷却された熱媒体と合流する。
これにより、熱媒体回路60では、熱媒体がラジエータ61にて外気から吸熱した熱、および車載機器81から吸熱した排熱を、チラー141にて低圧冷媒に放熱させることができる。
さらに、熱媒体回路60では、第18実施形態の電池優先冷却モードと同様に、第2熱交換器側水ポンプ52から圧送された熱媒体が循環する。これにより、熱媒体回路60では、熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて吸熱した高圧冷媒の有する熱を、ヒータコア53にて送風空気へ放熱させることができる。
また、冷凍サイクル装置10では、第18実施形態の電池優先冷却モードと同様に、圧縮機11から吐出された冷媒が循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、少なくとも冷媒がチラー141にて熱媒体から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて熱媒体へ放熱させることができる。
従って、機器単独冷却モードでは、チラー141にて冷却された第1熱媒体を車載機器81の冷却水通路81aへ流入させて、車載機器81を冷却することができる。
以上の如く、本実施形態の温度調整装置1によれば、バッテリ80および車載機器81を冷却して、バッテリ80および車載機器81の温度上昇を抑制することができる。さらに、送風空気の温度を調整して、車室内の冷房、暖房、除湿暖房を行うことができる。
これに加えて、本実施形態の温度調整装置1では、補助迂回通路406と補助流量調整弁44bとを備えているので、運転モードを切り替えた際に、車載機器81の温度の急変動を抑制することができる。
このことをより詳細に説明すると、例えば、本実施形態の温度調整装置1を、第18実施形態で説明した電池優先冷却モードで作動させている際に、バッテリ温度TBが低くなり、バッテリ80を冷却する必要がなくなったとする。このような場合には、機器単独冷却モードに切り替えることが考えられる。
電池優先冷却モードから機器単独冷却モードに切り替えるためには、切替部である第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを開けばよい。これにより、バッテリ80の不必要な冷却を抑制することができる。
ところが、単に第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを開くだけでは、チラー141の熱媒体通路141bで冷却された第1熱媒体が、バッテリ80の排熱を吸熱することなく車載機器81の冷却水通路81aへ流入してしまう。このため、第17実施形態の図23で説明したように、車載機器入口側温度TMinが、急降下して車載機器81の適切な温度範囲の下限値を下回ってしまうおそれがある。
これに対して、本実施形態の温度調整装置1では、補助迂回通路406と補助流量調整弁44bとを備えている。従って、第17実施形態と同様に、補助流量調整弁44bが、車載機器81の冷却水通路81aの入口側へ戻す熱媒体の流量を変化させることができる。その結果、車載機器81が過度に冷却されてしまうことを抑制して、車載機器81の温度を適切な温度範囲内に維持することができる。
(第21実施形態)
本実施形態の温度調整装置1は、図30、図31に示すように、第11実施形態に対して、第2熱媒体回路50の構成を変更した例を説明する。
具体的には、本実施形態では、第11実施形態に対して、第2熱媒体回路50の第2熱交換器側水ポンプ52の配置を変更している。より具体的には、冷房運転モード時に、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aを流通する第1熱媒体の流れ方向と第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aを流通する第2熱媒体の流れ方向が同一となるように変更している。
その他の構成は、第11実施形態と同様である。本実施形態では、車載機器81が外気側対象物となり、車載機器81の冷却水通路81aが外気側対象物熱交換部となる。さらに、バッテリ80が蒸発側対象物となり、バッテリ80の冷却水通路80aが蒸発側対象物熱交換部となる。
また、第1バッテリ側開閉弁45a、第1迂回通路側開閉弁45b、および第1ラジエータ側開閉弁45dが第1切替部となる。さらに、第2ヒータコア側開閉弁55および第2ラジエータ側流量調整弁54が第2切替部となる。
次に、上記構成の本実施形態の温度調整装置1の作動について説明する。本実施形態の温度調整装置1の基本的作動は、第11実施形態と同様である。そこで、本実施形態では、バッテリ80を冷却する運転モードについての説明は省略し、冷房運転モードおよび暖房運転モードについて説明する。
(a)冷房運転モード
冷房運転モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じ、第1ラジエータ側開閉弁45dを閉じる。さらに、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42を停止させ、第1ラジエータ側水ポンプ42aを作動させ、第1車載機器側流量調整弁44を開弁状態とする。
また、制御装置70は、第2ヒータコア側開閉弁55を閉じる。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52を作動させ、第2ラジエータ側流量調整弁54を開弁状態とする。また、制御装置70は、蒸発器側膨張弁13bを絞り状態として、圧縮機11を作動させる。
従って、図30に示すように、冷房運転モードの第1熱媒体回路40では、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された第1熱媒体が、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41a→車載機器81の冷却水通路81a→第1ラジエータ側水ポンプ42aの吸入側の順に循環する。
これにより、第1熱媒体回路40では、第1熱媒体が吸熱した車載機器81の排熱を、第1ラジエータ41にて室外送風機15から送風された外気へ放熱させることができる。この際、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aでは、第1熱媒体が上方側から下方側へ流れる。
また、第2熱媒体回路50では、第2熱交換器側水ポンプ52から圧送された第2熱媒体が、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121b→第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51a→第2熱交換器側水ポンプ52の吸入側の順に循環する。
これにより、第2熱媒体回路50では、第2熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて吸熱した高圧冷媒の有する熱を、第2ラジエータ51にて第1ラジエータ41を通過後の外気に放熱させることができる。
この際、第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aでは、第2熱媒体が上方側から下方側へ流れる。つまり、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aを流通する第1熱媒体の流れ方向と第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aを流通する第2熱媒体の流れ方向は、同一となる。
また、冷凍サイクル装置10では、第16実施形態と同様に冷媒が循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、冷媒が室内蒸発器14にて送風空気から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて第2熱媒体へ放熱させることができる。
従って、冷房運転モードでは、室内蒸発器14にて、送風空気を冷却して、車室内の冷房を行うことができる。さらに、冷凍サイクル装置10の作動状態の影響を受けることなく、車載機器81を冷却することができる。
(b)暖房運転モード
暖房運転モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを開き、第1ラジエータ側開閉弁45dを閉じる。さらに、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42を作動させ、第1ラジエータ側水ポンプ42aを作動させ、第1車載機器側流量調整弁44を開弁状態とする。
また、制御装置70は、第2ヒータコア側開閉弁55を開く。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52を作動させ、第2ラジエータ側流量調整弁54を全閉状態とする。また、制御装置70は、少なくともチラー側膨張弁13aを絞り状態として、圧縮機11を作動させる。
従って、図31に示すように、暖房運転モードの第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141b→第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環する。
さらに、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された第1熱媒体が、車載機器81の冷却水通路81a→第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41a→第1ラジエータ側水ポンプ42aの吸入側の順に循環する。
つまり、暖房運転モードの第1熱媒体回路40では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された第1熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141bへ流入して冷却される。熱媒体通路141bにて冷却された第1熱媒体は、車載機器81の冷却水通路81aにて加熱された第1熱媒体と合流して、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aへ流入する。
第1熱媒体通路41aへ流入した熱媒体は、室外送風機15から送風された外気と熱交換する。これにより、第1熱媒体通路41aから流出する第1熱媒体の温度が外気温に近づく。
外気温程度となった第1熱媒体のうちの一部は、第1ラジエータ側水ポンプ42aに吸入されて、車載機器81の冷却水通路81aへ圧送される。冷却水通路81aへ流入した第1熱媒体は、車載機器81の排熱を吸熱する。これにより、車載機器81が冷却される。冷却水通路81aから流出した第1熱媒体は、チラー141にて冷却された第1熱媒体と合流して、再び第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aへ流入する。
このため、暖房運転モード時の第1熱媒体回路40では、チラー141の熱媒体通路141bにて冷却された第1熱媒体と車載機器81の冷却水通路81aにて加熱された第1熱媒体が混ざり合って、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aへ流入する。
一方、外気温程度となった残余の第1熱媒体は、第1バッテリ側水ポンプ42に吸入されて、チラー141の熱媒体通路141bへ圧送される。熱媒体通路141bへ流入した第1熱媒体は低圧冷媒に吸熱される。これにより、第1熱媒体が冷却される。熱媒体通路141bから流出した第1熱媒体は、車載機器81の冷却水通路81aから流出した第1熱媒体と合流して、第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aへ流入する。
この際、車載機器81の冷却水通路81aを流通する第1熱媒体の流れ方向は、冷房運転モード時の流れ方向と同じとなっている。
また、第2熱媒体回路50では、第2熱交換器側水ポンプ52から圧送された第2熱媒体が、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121b→ヒータコア53→第2熱交換器側水ポンプ52の吸入側の順に循環する。これにより、第2熱媒体回路50では、第2熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて吸熱した高圧冷媒の有する熱を、ヒータコア53にて送風空気へ放熱させることができる。
従って、暖房運転モードでは、ヒータコア53にて、送風空気を加熱して、車室内の暖房を行うことができる。さらに、暖房運転モード時に、蒸発器側膨張弁13bを絞り状態として室内蒸発器14に低圧冷媒を流入させてもよい。これによれば、車室内の除湿暖房を行うことができる。その他の作動は、第11実施形態と同様である。
以上の如く、本実施形態の温度調整装置1によれば、車載機器81を冷却して、車載機器81の温度上昇を抑制することができる。もちろん、第11実施形態と同様に、バッテリ80を冷却して、バッテリ80の温度上昇を抑制することができる。さらに、送風空気の温度を調整して、車室内の冷房、暖房、除湿暖房を行うことができる。
また、本実施形態の温度調整装置1によれば、冷房運転モード時に第1ラジエータ41の第1熱媒体通路41aを流通する第1熱媒体の流れと第2ラジエータ51の第2熱媒体通路51aを流通する第2熱媒体の流れ方向が同一となっている。つまり、第1ラジエータ41を流通する第1熱媒体の流れと第2ラジエータ51を流通する第2熱媒体の流れが、いわゆる並行流となる。
従って、第16実施形態と同様に、第2ラジエータ51を流通する第2熱媒体と外気との熱交換効率を向上させて、効率的に送風空気を冷却することができる。
また、冷房運転モード時に車載機器81の冷却水通路81aを流通する第1熱媒体の流れ方向と暖房運転モード時に冷却水通路81aを流通する第1熱媒体の流れ方向が、同一となっている。
従って、冷房運転モードおよび暖房運転モードのいずれの運転モードにも、第1ラジエータ41から流出した外気温程度となっている第1熱媒体を、車載機器81の冷却水通路81aへ流入させることができる。その結果、冷房運転モードと暖房運転モードとを切り替えても、冷凍サイクル装置10の作動状態によらず、車載機器81の温度を確実、かつ、安定的に外気温程度に維持することができる。
(第22実施形態)
本実施形態では、図32、図33に示すように、第21実施形態で説明した第1熱媒体回路40および第2熱媒体回路50の構成を変更した温度調整装置1aについて説明する。本実施形態の温度調整装置1aでは、第18実施形態と同様に、1つの熱媒体回路60に、1つのラジエータ61を接続している。その他の構成は、第18実施形態と同様である。
このため、本実施形態では、車載機器81が外気側対象物となり、車載機器81の冷却水通路81aが外気側対象物熱交換部となる。さらに、バッテリ80が蒸発側対象物となり、バッテリ80の冷却水通路80aが蒸発側対象物熱交換部となる。また、第1バッテリ側開閉弁45a、第1迂回通路側開閉弁45b、第1ラジエータ側開閉弁45d、第2ヒータコア側開閉弁55および第2ラジエータ側流量調整弁54が切替部となる。
次に、上記構成の本実施形態の温度調整装置1aの作動について説明する。本実施形態の温度調整装置1aの基本的作動は、第21実施形態の温度調整装置1と同様である。以下に、冷房運転モードおよび暖房運転モードの作動について説明する。
(a)冷房運転モード
冷房運転モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを閉じ、第1ラジエータ側開閉弁45dを閉じる。さらに、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42を停止させ、第1ラジエータ側水ポンプ42aを作動させ、第1車載機器側流量調整弁44を開弁状態とする。
また、制御装置70は、第2ヒータコア側開閉弁55を閉じる。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52を作動させ、第2ラジエータ側流量調整弁54を開弁状態とする。また、制御装置70は、蒸発器側膨張弁13bを絞り状態として、圧縮機11を作動させる。
従って、図23に示すように、冷房運転モードの熱媒体回路60では、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された熱媒体が、ラジエータ61の熱媒体通路61a→車載機器81の冷却水通路81a→第1ラジエータ側水ポンプ42aの吸入側の順に循環する。
さらに、第2熱交換器側水ポンプ52から圧送された熱媒体が、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121b→ラジエータ61の熱媒体通路61a→第2熱交換器側水ポンプ52の吸入側の順に循環する。
これにより、熱媒体回路60では、熱媒体が冷却水通路81aにて吸熱した車載機器81の排熱、および熱媒体が水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121bにて吸熱した高圧冷媒の有する熱をラジエータ61にて外気へ放熱させることができる。この際、ラジエータ61の熱媒体通路61aでは、熱媒体が上方側から下方側へ流れる。
また、冷凍サイクル装置10では、圧縮機11から吐出された高圧冷媒が、第18実施形態と同様に循環する。これにより、冷凍サイクル装置10では、冷媒が室内蒸発器14にて送風空気から吸熱した熱を、水-冷媒熱交換器121にて熱媒体へ放熱させることができる。
従って、冷房運転モードでは、室内蒸発器14にて、送風空気を冷却して、車室内の冷房を行うことができる。さらに、車載機器81を冷却することができる。
(b)暖房運転モード
暖房運転モードでは、制御装置70が、第1バッテリ側開閉弁45aを閉じ、第1迂回通路側開閉弁45bを開き、第1ラジエータ側開閉弁45dを閉じる。さらに、制御装置70は、第1バッテリ側水ポンプ42を作動させ、第1ラジエータ側水ポンプ42aを作動させ、第1車載機器側流量調整弁44を開弁状態とする。
また、制御装置70は、第2ヒータコア側開閉弁55を開く。さらに、制御装置70は、第2熱交換器側水ポンプ52を作動させ、第2ラジエータ側流量調整弁54を全閉状態とする。また、制御装置70は、少なくともチラー側膨張弁13aを絞り状態として、圧縮機11を作動させる。
従って、図24に示すように、暖房運転モードの熱媒体回路60では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141b→ラジエータ61の熱媒体通路61a→第1バッテリ側水ポンプ42の吸入側の順に循環する。
さらに、第1ラジエータ側水ポンプ42aから圧送された熱媒体が、車載機器81の冷却水通路81a→ラジエータ61の熱媒体通路61a→第1ラジエータ側水ポンプ42aの吸入側の順に循環する。
つまり、暖房運転モードの熱媒体回路60では、第1バッテリ側水ポンプ42から圧送された熱媒体が、チラー141の熱媒体通路141bへ流入して冷却される。熱媒体通路141bにて冷却された熱媒体は、車載機器81の冷却水通路81aにて加熱された熱媒体と合流して、ラジエータ61の熱媒体通路61aへ流入する。
熱媒体通路61aへ流入した熱媒体は、室外送風機15から送風された外気と熱交換する。これにより、熱媒体通路61aから流出する熱媒体は外気温程度の温度となる。
外気温程度となった熱媒体のうちの一部は、第1ラジエータ側水ポンプ42aに吸入されて、車載機器81の冷却水通路81aへ圧送される。冷却水通路81aへ流入した熱媒体は、車載機器81の排熱を吸熱する。これにより、車載機器81が冷却される。冷却水通路81aから流出した熱媒体は、チラー141にて冷却された熱媒体と合流して、ラジエータ61の熱媒体通路61aへ流入する。
このため、熱媒体回路60では、チラー141の熱媒体通路141bにて冷却された熱媒体と車載機器81の冷却水通路81aにて加熱された熱媒体が混ざり合って、ラジエータ61の熱媒体通路61aへ流入する。
一方、外気温程度となった残余の熱媒体は、第1バッテリ側水ポンプ42に吸入されて、チラー141の熱媒体通路141bへ圧送される。熱媒体通路141bへ流入した熱媒体は低圧冷媒に吸熱される。これにより、熱媒体が冷却される。熱媒体通路141bから流出した熱媒体は、車載機器81の冷却水通路81aから流出した熱媒体と合流して、ラジエータ61の熱媒体通路61aへ流入する。
この際、車載機器81の冷却水通路81aを流通する熱媒体の流れ方向は、冷房運転モード時の流れ方向と同じとなっている。
さらに、熱媒体回路60では、第2熱交換器側水ポンプ52から圧送された熱媒体が、水-冷媒熱交換器121の熱媒体通路121b→ヒータコア53→第2熱交換器側水ポンプ52の吸入側の順に循環する。これにより、熱媒体回路60では、熱媒体が水-冷媒熱交換器121にて吸熱した高圧冷媒の有する熱を、ヒータコア53にて送風空気へ放熱させることができる。
従って、暖房運転モードでは、ヒータコア53にて、送風空気を加熱して、車室内の暖房を行うことができる。さらに、暖房運転モード時に、蒸発器側膨張弁13bを絞り状態として室内蒸発器14に低圧冷媒を流入させてもよい。これによれば、車室内の除湿暖房を行うことができる。
以上の如く、本実施形態の温度調整装置1aによれば、車載機器81を冷却して、車載機器81の温度上昇を抑制することができる。もちろん、第11実施形態と同様に、バッテリ80を冷却して、バッテリ80の温度上昇を抑制することができる。さらに、送風空気の温度を調整して、車室内の冷房、暖房、除湿暖房を行うことができる。
また、本実施形態の温度調整装置1aによれば、冷房運転モード時に車載機器81の冷却水通路81aを流通する熱媒体の流れ方向と加熱運転モード時に冷却水通路81aを流通する熱媒体の流れ方向は、同一となっている。
従って、冷房運転モードおよび暖房運転モードのいずれの運転モードにも、ラジエータ61から流出した外気温程度となっている熱媒体を、車載機器81の冷却水通路81aへ流入させることができる。その結果、冷房運転モードと暖房運転モードとを切り替えても、冷凍サイクル装置10の作動状態によらず、車載機器81の温度を確実、かつ、安定的に外気温程度に維持することができる。
(他の実施形態)
本発明は上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、以下のように種々変形可能である。
(1)上述の実施形態では、温度調整装置1、1aを、車両に適用した例を説明したが、温度調整装置1、1aの適用はこれに限定されない。例えば、サーバ(コンピュータ)の温度を適切に調整しつつ、サーバが収容される室内の空調を行うサーバ冷却機能付きの空調装置等に適用してもよい。
(2)上述の第1実施形態では、放熱部としてラジエータ41の熱媒体通路41aを採用した例を説明したが、放熱部はこれに限定されない。
例えば、放熱部として、バッテリ80の外表面に配置された複数の放熱用フィンを採用してもよい。つまり、熱媒体を介することなく、バッテリ80の排熱を放熱用フィンから直接的に外気に放熱させてもよい。この場合は、凝縮器12では、複数の放熱用フィン同士の間を通過して加熱された外気と冷媒とを熱交換させるようにすればよい。
(3)第1熱媒体回路40、第2熱媒体回路50、熱媒体回路60の各構成機器は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。
例えば、第1切替部、第2切替部、切替部を構成する複数の開閉弁や流量調整弁は、適宜一体化してもよい。例えば、第3実施形態で説明した第1バッテリ側開閉弁45aおよび第1迂回通路側開閉弁45bついては、第3実施形態と同様に第1熱媒体回路40の回路構成を切替可能であれば、三方弁として一体化させてもよい。
また、上述の実施形態では、第1ラジエータ41および第2ラジエータ51として、熱交換部の面積が互いに同等のものを採用した例を説明したが、これに限定しない。例えば、第2ラジエータ51の熱交換部の面積が第1ラジエータ41の面積よりも広くなっていてもよい。そして、第2ラジエータ51にて、第2熱媒体と第1ラジエータ41から流出した外気の少なくとも一部とを熱交換させるようになっていてもよい。
また、上述の第1~第17、第21実施形態では、第1ラジエータ41と第2ラジエータ51とを別体として構成して、近接配置した例を説明したがこれに限定されない。例えば、図34、図35に示すように、第1ラジエータ41と第2ラジエータ51とを複合型熱交換器611として一体化させてもよい。
具体的には、複合型熱交換器611では、図34に示すように、第1ラジエータ41および第2ラジエータ51として、第16実施形態と同様に、タンクアンドチューブ型の熱交換器を採用している。従って、第1ラジエータ41は、複数の第1チューブ411および一対の第1タンク412を有している。同様に、第2ラジエータ51は、複数の第2チューブ511および一対の第2タンク512を有している。
そして、第1タンク412と第2タンク512とを同一の部材にて形成し、複数の第1チューブ411、一対の第1タンク412、複数の第2チューブ511、一対の第2タンク512、熱交換フィン612を一体ロウ付け接合する。これにより、第1ラジエータ41および第2ラジエータ51を一体化させた複合型熱交換器611を形成する。
この際、複合型熱交換器611では、図35に示すように、隣り合う第1チューブ411同士の間に形成される空気通路と隣り合う第2チューブ511同士の間に形成される空気通路に、一つの金属部材で形成された熱交換フィン612を配置している。
熱交換フィン612は、第1チューブ411を流通する第1熱媒体と外気との熱交換を促進するとともに、第2チューブ511を流通する第2熱媒体と第1ラジエータ41を通過後の外気との熱交換を促進する。さらに、熱交換フィン612では、第1チューブ411を流通する第1熱媒体と第2チューブ511を流通する第2熱媒体との間の熱移動を可能としている。
つまり、複合型熱交換器611では、第1ラジエータ41および第2ラジエータ51が、第1熱媒体と第2熱媒体との間の熱移動が可能となるように熱的に接続されている。これによれば、例えば、第1ラジエータ41に着霜が生じた際に、第2ラジエータ51を流通する第2熱媒体の有する熱によって、第1ラジエータ41の除霜を行うことができる。
さらに、第3実施形態の暖房運転モードのように、外気の有する熱を暖房用の熱源として第1ラジエータ41にて第1熱媒体に吸熱させる際に、第2ラジエータ51を流通する第2熱媒体の有する熱も、暖房用の熱源として第1熱媒体に吸熱させることができる。これにより、ヒータコア53における送風空気の加熱能力を向上させることができる。
また、上述の実施形態では、第1ラジエータ41、第2ラジエータ51、およびラジエータ61にて、それぞれ第1熱媒体、第2熱媒体、および熱媒体が下方側から上方側あるいは上方側から下方側へ流れる例を説明したが、これに限定されない。例えば、水平方向に流れるようになっていてもよい。
さらに、第1ラジエータ41にて第1熱媒体から外気へ熱を放熱させる際に、第1ラジエータ41を流通する第1熱媒体の流れ方向が、上方側から下方側へ向かう流れになることに限定されない。第1熱媒体から外気へ熱を放熱させる際に、下方側から上方側へ向かう流れになっていてもよい。
同様に、第1ラジエータ41にて第1熱媒体が外気から吸熱する際に、第1ラジエータ41を流通する第1熱媒体の流れ方向が、下方側から上方側へ向かう流れとなることに限定されない。第1熱媒体が外気から吸熱する際に、上方側から下方側へ向かう流れになっていてもよい。このことは、第2ラジエータ51、ラジエータ61においても同様である。
(4)冷凍サイクル装置10の各構成機器は、上述の実施形態に開示されたものに限定されない。例えば、上述の実施形態では、圧縮機11として、電動圧縮機を採用した例を説明したが、内燃機関から伝達される回転駆動力によって駆動されるエンジン駆動式の圧縮機を採用してもよい。
また、上述の実施形態では、冷媒としてR1234yfを採用した例を説明したが、冷媒はこれに限定されない。例えば、R134a、R600a、R410A、R404A、R32、R407C、等を採用してもよい。または、これらの冷媒のうち複数種を混合させた混合冷媒等を採用してもよい。