JP7116548B2 - 不織布ワイパーおよびその製造方法 - Google Patents

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本発明は、パルプなどの天然繊維や再生セルロース繊維などからなる吸水性を有する天然系繊維ウエブと、ポリプロピレンなどの合成繊維ウエブとによって形成してあるスパンレース型の基材シートを重ね合わせて形成してある、新規な構造の不織布ワイパーに関する。
パルプなどの天然系繊維とポリプロピレンなどの合成繊維とによって形成されるスパンレース型の不織布ワイパーは、天然系繊維ウエブと合成繊維系ウエブとを積層状態にした後、これに水流交絡処理することにより得られる。この様な不織布ワイパーは強度と吸水性等とを両立させている優れた不織布製品となるので、工業用ワイパーや対人用のワイパーとして様々な用途で使用されている。
上記の複合型の不織布ワイパーについては、例えば特許文献1に基本的な製造工程が開示されており、天然系繊維ウエブと合成繊維系ウエブとの比率や坪量を適宜に調整して所望する不織布ワイパーを製造することができる。
特許第2533260号公報
上記のような不織布ワイパーにあっては、その吸水性を向上させることができれば、拭取り性能を向上させた製品としてユーザに提供することができる。ここで、従来にあっては、不織布における吸水性を向上させるための対処としては、一般にウエブの坪量を上げることであった。
しかしながら、ウエブの坪量を上げて、前述した水流交絡処理を実行すると、繊維が交絡する密度も増加してしまう。その結果、完成した不織布は厚みが低下し、嵩高感(バルク感)に乏しく、風合いに劣る不織布になる傾向があった。
よって、本発明の主な目的は、吸水性および嵩高感に優れている新規な不織布ワイパーを提供することにある。また、この不織布ワイパーの製造方法を提供することにある。
上記目的は、合成繊維ウエブの上に天然系繊維ウエブを積層した状態で一体形成してあるスパンレース型不織布を基材シートとして、2枚含み、
前記合成繊維ウエブ同士を対向させて前記基材シートが重ね合わされ、前記合成繊維ウエブを構成している繊維の少なくとも一部が溶融固化した接合部を介して、接合されている不織布ワイパーにおいて、
前記合成繊維ウエブ間の接着強度が0.49cN/mm以上であり、
前記基材シートは、水流交絡処理する際に使用する高圧水の噴射ノズルの配置位置や噴射方向に基づいて、前記合成繊維ウエブの表面に突出する、前記天然系繊維ウエブの繊維の存在密度が低い領域を設定することにより、前記合成繊維ウエブの表面の少なくとも一部が露出するようにして前記基材シートの合成繊維同士を接触させ溶融固化することにより前記接合部が形成されるようにしてあり、
前記基材シートの含有比率は、前記天然系繊維ウエブ80~60重量%に対して前記合成繊維ウエブ20~40重量%であり、
更に、
前記天然系繊維ウエブが、木材パルプであって、ラジアータパイン、スラッシュパイン、サザンパイン、スプルースおよびダグラスファーから選択されたNBKPで形成されており、
前記接合部は前記合成繊維ウエブの面積に対して10~40%の加熱領域を設定して形成されており、
前記接合部の周部には、前記2枚の基材シートの間に空間が形成され
前記2枚の基材シートをそれぞれ前記スパンレース型不織布を単体で用いた不織布ワイパーに比して相対的に低坪量に形成することにより、前記天然系繊維ウエブの繊維の交絡する密度を増加させないで、当該繊維の前記存在密度が低い領域を設定し、これより前記接合部及び前記空間が形成され、前記スパンレース型不織布を単体で用いた不織布ワイパーに比して嵩高に形成される
ことを特徴とする不織布ワイパーにより達成できる。
上記目的は、請求項1に記載の不織布ワイパーの製造方法であって、
合成繊維ウエブの上に天然系繊維ウエブを積層した状態で一体形成してあるスパンレース型不織布を基材シートとして、前記合成繊維ウエブの表面の少なくとも一部が露出するようにして前記基材シートの合成繊維同士を接触させ溶融固化することにより前記接合部が形成されるようにしたもの、を2枚準備し、
前記基材シートを前記合成繊維ウエブ同士が対向するようにして送り出し、前記基材シート同士を重ね合わせて予備的積層体を得る積層形成工程と、
前記予備的積層体を挟持しながら、加熱処理を行って前記合成繊維ウエブを構成している繊維の少なくとも一部を溶融固化した接合部によって前記基材シート同士を接合して一体化する接合処理工程とを含む、不織布ワイパーの製造方法において、
前記基材シートは10Mpa以下で水流交絡処理したスパンレース型不織布であり、
前記基材シートの含有比率は、前記天然系繊維ウエブ80~60重量%に対して前記合成繊維ウエブ20~40重量%であり、
前記基材シートは、水流交絡処理する際に使用する高圧水の噴射ノズルの配置位置や噴射方向に基づいて、前記合成繊維ウエブの表面に突出する、前記天然系繊維ウエブの繊維の存在密度が低い領域を設定することにより、前記合成繊維ウエブの表面の少なくとも一部が露出するようにしたものであり、
前記加熱処理を行うための加熱手段は、熱エンボス装置又は超音波接合装置であって、
更に、
前記天然系繊維ウエブが、木材パルプであって、ラジアータパイン、スラッシュパイン、サザンパイン、スプルースおよびダグラスファーから選択されたNBKPで形成されており、
前記接合部は前記合成繊維ウエブの面積に対して10~40%の加熱領域を設定して形成されており、
前記接合部の周部には、前記2枚の基材シートの間に空間が形成され
前記2枚の基材シートをそれぞれ前記スパンレース型不織布を単体で用いた不織布ワイパーに比して相対的に低坪量に形成することにより、前記天然系繊維ウエブの繊維の交絡する密度を増加させないで、当該繊維の前記存在密度が低い領域を設定し、これより前記接合部及び前記空間が形成され、前記スパンレース型不織布を単体で用いた不織布ワイパーに比して嵩高に形成される
ことを特徴とする不織布ワイパーの製造方法によっても達成される。
本発明による不織布ワイパーは、強度と吸水性とを兼ね備えているスパンボンド型の不織布を基材シートとし、これを重ね合せた新規な構造に形成してあるので、吸水性と嵩高感の両方に優れた高機能な不織布ワイパーとして提供できる。
本発明に係る不織布ワイパーについて示した模式図である。 本発明に係る不織布ワイパーの製造工程を説明するために示した概略図である。
以下、本発明の一実施形態に係る不織布ワイパーを、図を参照して説明する。
図1は本発明の不織布ワイパー1について一部を拡大して示している模式図であり、図1の右側図は断面構成を示している図、図1の左側図は不織布ワイパー1を構成している2枚の基材シート10、20を分離して示した図である。
不織布ワイパー1について、その概略を予め説明すると、スパンレース型の複合不織布(天然系繊維ウエブと合成繊維系ウエブとによる不織布)を基材シートとして、この基材シートを2枚重ね合せた新規な構造に形成してある。この新規な不織布ワイパー1は、合成繊維系ウエブ同士を対向して配置し、合成繊維系ウエブを構成している繊維を溶融固化した接合部を介して一体化し重ね合せた構造(積層構造)を有しているものである。
本発明者は、単体のスパンレース型不織布の坪量を単に増加させると先に指摘した問題が生じるが、相対的に薄く(低坪量に)形成した2枚の不織布を重ね合せて同等の坪量とした場合、吸水性(保水性)が改善され、厚さの減少(嵩高感の減少)も抑制できること、更に風合いも柔らかくなることを確認して、本発明の着眼点を得た。
ただし、天然系繊維ウエブと合成繊維系ウエブとによるスパンレース不織布を重ね合わせる場合、拭取り性、肌触り感などを考慮すると、天然系繊維ウエブが表側(すなわち、表裏両面)に配置された形態とすることが好ましい。よって、2枚のスパンレース不織布は、合成繊維系ウエブ同士を対向して接合(接続)するのが望ましいことになる。
従来の一般的な天然系繊維ウエブと合成繊維系ウエブとによるスパンレース不織布の合成繊維系ウエブ面側を微視的に見ると、反対側(表面側とする)に位置している天然系繊維ウエブを構成している繊維(例えばパルプ繊維)が、合成繊維系ウエブを貫通して裏面側へ突出した状態となっている。これは水流交絡処理(スパンレース処理)した際に、天然系繊維ウエブ上に噴射された高圧の水流によりパルプ繊維の一部が反対側まで流し出されて、突出するからである。このように、裏面側に突出したパルプ繊維が、合成繊維系ウエブの表面にある程度の密度をもって存在すると、吸液性の乏しい合成繊維系ウエブの表面を吸水性に富むパルプ繊維が表面覆うことになる。これにより、従来のスパンレース型の不織布は吸水性に劣る裏面側であっても、違和感なくして拭取り作業を行うことができる。
上記のように、単体であるスパンレース型不織布の場合は、合成繊維系ウエブの表面にパルプ繊維等が突出した形態は、不織布をそのまま使用する上では好ましいと言うことができる。
しかし、このスパンレース型不織布を重ね合わせて接合するという観点からは課題のある形態である。合成繊維系ウエブを構成している繊維(合成樹脂)を溶融することによって、対向配置した合成繊維系ウエブを接合する場合、表面を覆うように存在するパルプ繊維等の天然系繊維は合成繊維同士の結合の障害となるからである。本発明者は、この問題を解消して本発明の完成に至ったものである。
以下、図に基づいて、不織布ワイパー1を更に詳細に説明する。
図1右側の不織布ワイパー1は、図1左側の第1の基材シート10と第2の基材シート20とを重ね合せて製造されている。ここで、第1の基材シート10、第2の基材シート20のそれぞれは同様に、合成繊維ウエブ14、24の上に天然系繊維ウエブ12、22を積層した状態で一体形成してあるスパンレース型不織布である。ただし、図1では、下側の第2の基材シート20を上下反転させた姿勢で示している。
前述したように第1の基材シート10、第2の基材シート20は、水流交絡処理によりに天然系繊維ウエブ12、22の繊維の一部が、下側の合成繊維ウエブ14、24を貫通して不織布の裏面(すなわち、合成繊維ウエブの表面)側に突出している。天然系繊維ウエブ12、14の繊維が、合成繊維ウエブ14、24の表面全体を密に覆ってしまった状態になると、合成繊維ウエブ14、24同士の接合が困難となる。
よって、不織布ワイパー1に用いる基材シート10、20は、合成繊維ウエブ14、24の表面の少なくとも一部が露出しているように形成されている(製造された)ものが望ましいことになる。
図1左側の第1の基材シート10および第2の基材シート20では、貫通し反対側に突出した天然系繊維ウエブの一部である繊維を符号12a、22aで示している。
そして、第1の基材シート10および第2の基材シート20は、上記の突出繊維12a、22aが存在しない領域、或いは、存在の少ない領域(以下、両領域を天然系繊維の存在密度が低い領域、と称す)が露出領域14a、24aとして存在するように形成されている。
なお、図1で示す露出領域14a、24aは点在しているが、合成繊維ウエブ14、24の表面全体を天然系繊維の存在密度が低い領域に形成できれば、その表面全体を露出領域14a、24aとすることも可能である。また、露出領域14a、24aは少なくとも合成繊維ウエブ14、24を構成している繊維同士が接触して加熱されたときに溶融固化して接合部を形成できる程度の露出状態が確保されていればよいものである。
合成繊維ウエブ14、24の表面側に突出する天然系繊維を抑制したスパンレース型不織布は、標準的な構成の不織布を製造する場合と比較して、天然系繊維ウエブの含有比率を下げること、例えば含有比率を、天然系繊維ウエブ80~60重量%に対して合成繊維ウエブ20~40重量%とするにより、製造できる。このように製造される混合型不織布は、従来の一般的な不織布と比較して、天然系繊維ウエブの割合が低く設定してあるので、合成繊維ウエブ14、24表面側に突出する天然系繊維を少なくできる。
また、水流交絡処理時に高圧水(ウォータジェット)を噴き出す噴射ノズルの配置位置や噴射方向を設計することにより、前述した天然系繊維の存在密度が低い領域が所定位置に現れるように設計したスパンレース型不織布を製造することができる。なお、噴射ノズルの配置位置と噴射方向との双方を調整して、存在密度が低い領域を設定してもよいし、いずれか一方を調整して存在密度が低い領域を設定してもよい。このように製造された不織布を基材シートとして、合成繊維ウエブ14、24を対向させると、露出領域14a、24a同士を効率良く接触させて、合成繊維ウエブの繊維を溶融固化させて、接合部を形成できる。
更に、製造工程において、水流交絡処理に用いる水圧を下げること、例えば10Mpa以下にて交絡処理することにより、表面側に突出してくる天然系繊維を抑制したスパンレース型不織布を製造できる。このように製造される混合型不織布は、従来の一般的な不織布と比較して、交絡処理する際の水圧が低く目に設定してあるので、合成繊維ウエブ14、24表面側に突出する天然系繊維を少なくすることができる。
上記で説明した、合成繊維ウエブの表面側に突出する天然系繊維を抑制するための手法を単独、或いは、組合わせて、露出領域14a、24aが形成された合成繊維ウエブを備えた基材シート10、20を製造(形成)すればよい。
上記のように形成される基材シート10、20は、通常の不織布よりも薄め(低坪量)とし、合成繊維ウエブを重ね合わせ接触させながら加熱することで、合成繊維ウエブの繊維を溶融固化させた接合部を形成して一体化された不織布ウエブを得ることができる。
ただし、合成繊維ウエブ14、24を対向させた状態で、露出領域14a、24a同士が互いに対面して接触していることを確認することは困難である。また、合成繊維ウエブ14、24全体を加熱するのは製造上非効率である。
そこで、合成繊維ウエブ14、24を一定の割合以上を加熱して露出領域14a、24aの合成繊維を溶融させるように加熱領域を設定するのが望ましい。合成繊維ウエブの面積に対して、例えば10~40%の加熱領域を設定する。より具体的には、加熱領域は、後述する熱エンボス装置あるいは超音波接合装置等の加熱手段によって合成繊維ウエブ14、24の表面を加熱する領域となる。
上記基材シート10、20によって製造される、不織布ワイパー1は合成繊維ウエブ14、24間の接着強度が0.49cN/mm以上であるのが好ましい。このような接着強度を備えれば、不織布ワイパー1を実際に使用しても基材シート10、20が分離するなどの不都合を生じることがない。
合成繊維ウエブ14、24の露出領域14a、24aにおける繊維の溶融固化した接合部30の状態を確認することは困難であるが、接着強度に基づいて、接合部30を介して基材シート10、20が一体化されていることを確認できる。
そして、天然系繊維ウエブを構成する繊維としては、パルプ、コットンなどの天然繊維に基づくものや再生繊維を採用することができる。例えば、木材パルプを採用する場合には、材種としてラジアータパイン、スラッシュパイン、サザンパイン、スプルース、ダグラスファー等のNBKPが好ましく、解繊性や歩留まり等を考慮して適宜に選定すればよい。再生セルロース繊維としてはレーヨンなどを好適に用いることができる。
また、上記合成繊維系ウエブを構成する合成繊維としては、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等から選択するのが好ましい。
上記で重ね合わされる基材シート10、20のぞれぞれは、通常よりも薄め(低坪量)とされ、例えば坪量は85g/m以下とすることができる。例えば基材シート10、20それぞれの坪量を40g/mとすれば、不織布ワイパー1の坪量は2倍の80g/mとなる。坪量が80g/mである単体の不織布ワイパーと比較して、本発明の不織布ワイパー1の方が吸水性、嵩高感に優れ、更に柔軟なものとなる。
なお、厚め(高坪量100g/m)の基材シートを重ねあわせた場合でも、200g/mの非常に嵩高で、吸水量が高く、柔軟な不織布ワイパーを同様に得ることができる。
図1右側は、上記基材シート10、20を、ここでは図示していない加熱手段により加熱して、対向した合成繊維ウエブの露出領域14a、24aの合成繊維を溶融固化した接合部30を介して一体化された不織布ワイパー1である。
図1右図に示した不織布ワイパーは、周表面に複数の凸部が設けてある加熱ローラと周表面が平坦な平滑ローラとを備えたローラ式の熱エンボス装置を用い、2つのローラ間に重ね合せ状態の基材シート10、20を挟持しながら加熱することにより、対向配置された合成繊維ウエブ同士で互いに接触した露出領域にある繊維同士が溶融固化して接合部30となる。このように形成される接合部30は厚みが減少するので、各接合部30に対応してワイパー表面に複数の凹部35となって現れることになる(図1右図、参照)。
上記凹部35が複数存在するエンボス処理を施したワイパー表面の状態は、汚れに対する掻き取り性能などが改善することが知られている。よって、図1に例示した本発明の不織布ワイパー1は、掻き取り性能においても改善がされている不織布ワイパーになる。
ただし、図1右図は例示の一形態である。上下ローラ両方がその周表面に凸部が設けてあるものとして、表裏両面に凹部が形成された不織布ワイパーとしてもよい。また、熱エンボス装置に替えて超音波接合装置で、接合部30を形成するようにしてもよい。
上記基材シート10、20が一定以上の高坪量になると接合部30への熱伝達が困難となってくる。よって、基材シートの坪量が、例えば80g/mを超えるような場合には、熱エンボス装置に替えて坪量変化の影響の小さい超音波接合装置を用いて接合するのが好ましい。
図2は不織布ワイパー1の製造工程の概略を模式的に示した図である。
図2の左側には、ロール状に巻かれた2つの基材シート10、20が予め準備されている。各基材シート10、20は、前述したように、天然系繊維ウエブと合成繊維系ウエブとによるスパンレース型不織布であるが、合成繊維ウエブの表面の少なくとも一部が露出するように予め形成されていたものである。
図2で、上側の基材シート10は上面側に天然系繊維ウエブ12が位置している不織布であり、下側の基材シート20は下面側に天然系繊維ウエブ22が位置している不織布である。この基材シート10、20は、互いに合成繊維系ウエブ14、24側が対向するように設定されている。前述したように、この合成繊維系ウエブ14、24の表面には露出領域14a、24aが存在している。
上記ロールから送り出された基材シート10、20は、先ず積層形成工程を経る。この工程では、基材シート10、20が一緒に挟持ローラ装置2の間に案内されて、基材シート同士を重ね合わせた予備的積層体40が形成される。
その下流では、予備的積層体40を挟持しながら、所定の加熱領域に加熱処理を行う接合処理工程が実行される。
ここでは、予備的積層体40に部分的な加熱処理をするための加熱手段3が配設してある。加熱手段3は、加熱領域にある合成繊維系ウエブ14、24の加熱処理を行って、露出領域14a、24aの繊維を溶融する。加熱手段3としては、発熱部を備えて、予備的積層体40を挟持しながら部分的な加熱処理を実行する熱エンボス装置又は超音波接合装置など、公知の加熱装置を適宜に採用することができる。よって、接合処理工程を経ると、合成繊維系ウエブ14、24を構成している繊維の一部が溶融固化した接合部30により基材シート10、20同士が接合されている不織布ワイパー1を得ることができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更して実施することができることは言うまでもない。
1 不織布ワイパー
10、20 基材シート
12、22 天然系繊維ウエブ
12a、22a 突出繊維(天然系繊維ウエブの一部)
14、24 合成繊維系ウエブ
14a、24a 露出領域
30 接合部
35 凹部
40 予備的積層体

Claims (2)

  1. 合成繊維ウエブの上に天然系繊維ウエブを積層した状態で一体形成してあるスパンレース型不織布を基材シートとして、2枚含み、
    前記合成繊維ウエブ同士を対向させて前記基材シートが重ね合わされ、前記合成繊維ウエブを構成している繊維の少なくとも一部が溶融固化した接合部を介して、接合されている不織布ワイパーにおいて、
    前記合成繊維ウエブ間の接着強度が0.49cN/mm以上であり、
    前記基材シートは、水流交絡処理する際に使用する高圧水の噴射ノズルの配置位置や噴射方向に基づいて、前記合成繊維ウエブの表面に突出する、前記天然系繊維ウエブの繊維の存在密度が低い領域を設定することにより、前記合成繊維ウエブの表面の少なくとも一部が露出するようにして前記基材シートの合成繊維同士を接触させ溶融固化することにより前記接合部が形成されるようにしてあり、
    前記基材シートの含有比率は、前記天然系繊維ウエブ80~60重量%に対して前記合成繊維ウエブ20~40重量%であり、
    更に、
    前記天然系繊維ウエブが、木材パルプであって、ラジアータパイン、スラッシュパイン、サザンパイン、スプルースおよびダグラスファーから選択されたNBKPで形成されており、
    前記接合部は前記合成繊維ウエブの面積に対して10~40%の加熱領域を設定して形成されており、
    前記接合部の周部には、前記2枚の基材シートの間に空間が形成され
    前記2枚の基材シートをそれぞれ前記スパンレース型不織布を単体で用いた不織布ワイパーに比して相対的に低坪量に形成することにより、前記天然系繊維ウエブの繊維の交絡する密度を増加させないで、当該繊維の前記存在密度が低い領域を設定し、これより前記接合部及び前記空間が形成され、前記スパンレース型不織布を単体で用いた不織布ワイパーに比して嵩高に形成される、ことを特徴とする不織布ワイパー。
  2. 請求項1に記載の不織布ワイパーの製造方法であって、
    合成繊維ウエブの上に天然系繊維ウエブを積層した状態で一体形成してあるスパンレース型不織布を基材シートとして、前記合成繊維ウエブの表面の少なくとも一部が露出するようにして前記基材シートの合成繊維同士を接触させ溶融固化することにより前記接合部が形成されるようにしたもの、を2枚準備し、
    前記基材シートを前記合成繊維ウエブ同士が対向するようにして送り出し、前記基材シート同士を重ね合わせて予備的積層体を得る積層形成工程と、
    前記予備的積層体を挟持しながら、加熱処理を行って前記合成繊維ウエブを構成している繊維の少なくとも一部を溶融固化した接合部によって前記基材シート同士を接合して一体化する接合処理工程とを含む、不織布ワイパーの製造方法において、
    前記基材シートは10Mpa以下で水流交絡処理したスパンレース型不織布であり、
    前記基材シートの含有比率は、前記天然系繊維ウエブ80~60重量%に対して前記合成繊維ウエブ20~40重量%であり、
    前記基材シートは、水流交絡処理する際に使用する高圧水の噴射ノズルの配置位置や噴射方向に基づいて、前記合成繊維ウエブの表面に突出する、前記天然系繊維ウエブの繊維の存在密度が低い領域を設定することにより、前記合成繊維ウエブの表面の少なくとも一部が露出するようにしたものであり、
    前記加熱処理を行うための加熱手段は、熱エンボス装置又は超音波接合装置であって、
    更に、
    前記天然系繊維ウエブが、木材パルプであって、ラジアータパイン、スラッシュパイン、サザンパイン、スプルースおよびダグラスファーから選択されたNBKPで形成されており、
    前記接合部は前記合成繊維ウエブの面積に対して10~40%の加熱領域を設定して形成されており、
    前記接合部の周部には、前記2枚の基材シートの間に空間が形成され
    前記2枚の基材シートをそれぞれ前記スパンレース型不織布を単体で用いた不織布ワイパーに比して相対的に低坪量に形成することにより、前記天然系繊維ウエブの繊維の交絡する密度を増加させないで、当該繊維の前記存在密度が低い領域を設定し、これより前記接合部及び前記空間が形成され、前記スパンレース型不織布を単体で用いた不織布ワイパーに比して嵩高に形成される、ことを特徴とする不織布ワイパーの製造方法。
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