各図においてZ軸方向は、正の側を上側とし、負の側を下側とする上下方向である。各図に適宜示す仮想軸である中心軸Jの軸方向は、Z軸方向、すなわち上下方向と平行である。以下の説明においては、中心軸Jの軸方向と平行な方向を単に「軸方向」と呼び、中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼び、中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。
本実施形態において、上側は、軸方向一方側に相当し、下側は、軸方向他方側に相当する。なお、上下方向、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
図1および図2に示すように、本実施形態の流路装置10は、流体Wが流れる流路部20と、流路部20を開閉する電磁弁30と、を備える。流体Wは、特に限定されず、例えば、水である。図1においては、電磁弁30が開き、流路部20内を流体Wが流れる開状態OSを示す。図2においては、電磁弁30が閉じ、流路部20内の流体Wの流れが堰き止められた閉状態CSを示す。電磁弁30は、開状態OSと、閉状態CSと、を切り換え可能である。
本実施形態の流路装置10は、流路システム1に備えられる。流路システム1は、被冷却体5を冷却する冷却システムである。流路システム1は、例えば、車両に搭載される。被冷却体5は、例えば、車両の駆動部である。
流路システム1は、ポンプ部2と、流体冷却部3と、流体タンク4と、被冷却体5と、流路装置10と、を備える。ポンプ部2は、流体タンク4内の流体Wを被冷却体5に送る。流体冷却部3は、流路部20内の流体Wを冷却する。流体冷却部3は、流路部20のうちポンプ部2と被冷却体5との間の部分に設けられる。
流路部20は、第1流路部21と、第2流路部22と、流入部23と、流出部24と、を有する。流入部23は、流体タンク4からポンプ部2まで延びる流路である。流出部24は、被冷却体5から流体タンク4まで延びる流路である。第1流路部21は、ポンプ部2から延びる流路である。第1流路部21には、ポンプ部2によって送られる流体Wが流入する。本実施形態において第1流路部21には、流体冷却部3が設けられる。
第2流路部22は、第1流路部21から被冷却体5まで延びる流路である。第2流路部22は、第1流路部21の上側に位置する。第1流路部21と第2流路部22とは、仕切壁部27によって軸方向に仕切られる。仕切壁部27は、軸方向と直交する方向に延びる壁であり、第1流路部21の上側の壁部の一部と第2流路部22の下側の壁部の一部とを構成する。仕切壁部27は、仕切壁部27を軸方向に貫通する孔部25を有する。すなわち、流路部20は、孔部25を有する。図示は省略するが、孔部25は、例えば、円形の孔である。図1に示す開状態OSにおいては、第1流路部21と第2流路部22とは、孔部25を介して繋がれる。
第2流路部22は、電磁弁30が取り付けられる取付孔26を有する。取付孔26は、第2流路部22の壁部のうち上側の上壁部28に設けられる。取付孔26は、上壁部28を軸方向に貫通する。取付孔26は、孔部25の上側に位置する。図示は省略するが、取付孔26は、例えば、円形の孔である。取付孔26の内径は、孔部25の内径よりも大きい。
なお、本明細書において「第2流路部が第1流路部の上側に位置する」とは、第2流路部のうち第1流路部と孔部を介して繋がる部分が、第1流路部のうち第2流路部と孔部を介して繋がる部分の上側に位置すればよい。すなわち、本明細書において「第2流路部が第1流路部の上側に位置する」とは、第2流路部の一部が第1流路部の下側に位置するような場合も含む。
図1に示すように、開状態OSにおいて、流体タンク4内の流体Wは、ポンプ部2によって、流入部23を介して第1流路部21に流入される。第1流路部21に流入した流体Wは、孔部25を介して、第2流路部22に流入する。第2流路部22に流入した流体Wは、被冷却体5を冷却し、流出部24を介して、流体タンク4に戻る。このように、開状態OSにおいては、流体タンク4と流路部20との間で流体Wが循環し、被冷却体5を流体Wによって冷却することができる。
一方、図2に示すように、閉状態CSにおいては、電磁弁30によって孔部25が閉塞されて第1流路部21と第2流路部22とが遮断される。これにより、第2流路部22に流体Wが流れなくなり、被冷却体5の冷却が停止される。
電磁弁30は、流路部20に固定される。より詳細には、電磁弁30は、取付孔26に取り付けられ、第2流路部22の上壁部28に固定される。図3および図4に示すように、電磁弁30は、本体部40と、可動部50と、支持部材60と、ダイヤフラム70と、弾性部材80と、を備える。なお、図3は、開状態OSを示し、図4は、閉状態CSを示す。
本体部40は、カバー41と、ソレノイド42と、第1磁性部材44aと、第2磁性部材44bと、スペーサ45と、ブッシュ46a,46bと、Oリング47a,47bと、を有する。カバー41は、ソレノイド42を収容する。カバー41は、磁性材である。カバー41は、上壁部28に固定される。カバー41は、第1カバー41aと、第2カバー41bと、を有する。
第1カバー41aは、カバー本体41cと、円環板部41dと、保持部41eと、を有する。カバー本体41cは、下側に開口する有蓋の筒状である。本実施形態においてカバー本体41cは、中心軸Jを中心とする円筒状である。円環板部41dは、カバー本体41cの下側の端部から径方向外側に拡がる。保持部41eは、円環板部41dの径方向外縁部から下側に突出する筒状である。
第2カバー41bは、板面が軸方向を向く板状である。図示は省略するが、本実施形態において第2カバー41bは、中心軸Jを中心とする円板状である。第2カバー41bは、保持部41eの径方向内側に嵌め合わされる。第2カバー41bは、第1カバー41aの下側の開口を閉じる。第2カバー41bは、第2カバー41bの中央部を軸方向に貫通するカバー貫通孔41fを有する。
ソレノイド42は、ボビン部42aと、コイル43と、モールド部42bと、を有する。ボビン部42aは、軸方向に延び、軸方向両側に開口する筒状である。本実施形態においてボビン部42aは、中心軸Jを中心とする円筒状である。ボビン部42aの下側の端部は、第2カバー41bと接触する。ボビン部42aの上側の端部は、第1カバー41aの上側の蓋部と接触する。コイル43は、ボビン部42aの外周面に巻き回される。モールド部42bは、ボビン部42aの径方向外側およびコイル43の径方向外側を覆う。
第1磁性部材44aおよび第2磁性部材44bは、軸方向に延び、軸方向両側に開口する筒状である。本実施形態において第1磁性部材44aおよび第2磁性部材44bは、中心軸Jを中心とする円筒状である。第1磁性部材44aおよび第2磁性部材44bは、ボビン部42aの径方向内側に嵌め合わされる。第1磁性部材44aの下側の端部は、第2カバー41bと接触する。第2磁性部材44bは、第1磁性部材44aの上側に位置する。第2磁性部材44bの上側の端部は、第1カバー41aの上側の蓋部と接触する。第1磁性部材44aおよび第2磁性部材44bは、磁性材である。
スペーサ45は、軸方向に延び、軸方向両側に開口する筒状である。本実施形態においてスペーサ45は、中心軸Jを中心とする円筒状である。スペーサ45は、第1磁性部材44aと第2磁性部材44bとの軸方向の間に位置する。スペーサ45の軸方向両端部は、各磁性部材と接触する。スペーサ45は、非磁性材である。スペーサ45は、例えば、樹脂から成る。
ブッシュ46a,46bは、軸方向に延び、軸方向両側に開口する筒状である。本実施形態においてブッシュ46a,46bは、中心軸Jを中心とする円筒状である。ブッシュ46aの下側の端部は、カバー貫通孔41fに嵌め合わされる。ブッシュ46aの上側の部分は、第1磁性部材44aの径方向内側に嵌め合わされる。ブッシュ46bは、第2磁性部材44bの径方向内側に嵌め合わされる。
Oリング47a,47bは、周方向に沿った環状である。本実施形態においてOリング47a,47bは、中心軸Jを中心とする円環状である。Oリング47aは、ボビン部42aの上側の端部と第1カバー41aの上側の蓋部との間に位置する。Oリング47aは、ボビン部42aと第1カバー41aとに接触して、ボビン部42aと第1カバー41aとの間を封止する。Oリング47bは、ボビン部42aの下側の端部と第2カバー41bとの間に位置する。Oリング47bは、ボビン部42aと第2カバー41bとに接触して、ボビン部42aと第2カバー41bとの間を封止する。
可動部50は、軸方向に延びる中心軸Jに沿って移動可能である。可動部50は、シャフト部51と、弁部52と、コア部53と、フランジ部54と、を有する。シャフト部51は、中心軸Jに沿って延びる。シャフト部51は、本体部40から下側に突出し、取付孔26を介して第2流路部22の内部に挿入される。本実施形態においてシャフト部51は、第1シャフト部51aと、第2シャフト部51bと、を有する。第1シャフト部51aと第2シャフト部51bとは、互いに別部材である。
第1シャフト部51aは、軸方向に延びる柱状である。本実施形態において第1シャフト部51aは、中心軸Jを中心とする円柱状である。第1シャフト部51aは、本体部40の内部に位置する。第1シャフト部51aは、第1磁性部材44aの内部とスペーサ45の内部と第2磁性部材44bの内部とに跨って配置される。
第2シャフト部51bは、第2シャフト部本体51cと、突出部51dと、を有する。第2シャフト部本体51cは、軸方向に延びる筒状である。本実施形態において第2シャフト部本体51cは、軸方向両側に開口し、中心軸Jを中心とする円筒状である。第2シャフト部本体51cの外径は、第1シャフト部51aの外径よりも大きい。第2シャフト部本体51cの内径は、第1シャフト部51aの外径よりも小さい。
第2シャフト部本体51cは、第1シャフト部51aの下側に位置する。第2シャフト部本体51cの上側の端部は、本体部40の内部に位置する。第2シャフト部本体51cの上側の端部は、ブッシュ46aの径方向内側に嵌め合わされ、ブッシュ46aによって軸方向に移動可能に支持される。第2シャフト部本体51cの上側の端部は、第1シャフト部51aの下側の端部と接触可能である。本実施形態では、少なくとも開状態OSと閉状態CSとにおいて、第2シャフト部本体51cの上側の端部は、第1シャフト部51aの下側の端部と接触する。
第2シャフト部本体51cの下側の部分は、本体部40の内部から下側に突出し、取付孔26を介して第2流路部22の内部に挿入される。本実施形態において第2シャフト部本体51cの下側の端部は、開状態OSおよび閉状態CSの両状態において、第2流路部22の内部を軸方向に貫通し、孔部25を介して、第1流路部21の内部まで突出する。第2シャフト部本体51cの下側の端部における外周面には、雄ネジ部が設けられる。
突出部51dは、第2シャフト部本体51cの軸方向の中央部分から径方向外側に突出する。本実施形態において突出部51dは、中心軸Jを中心とする円環状である。突出部51dは、支持部材60の内部に位置する。
弁部52は、固定筒部52aと、弁体部52bと、を有する。すなわち、可動部50は、固定筒部52aと、弁体部52bと、を有する。固定筒部52aは、軸方向に延びる筒状である。本実施形態において固定筒部52aは、中心軸Jを中心とし、軸方向両側に開口する円筒状である。固定筒部52aの内周面には、雌ネジ部が設けられる。固定筒部52aは、内周面の雌ネジ部が第2シャフト部本体51cの雄ネジ部に締め込まれて、第2シャフト部本体51cの下側の部分に固定される。固定筒部52aの下側の端部は、第2シャフト部本体51cの下側の端部よりも上側に位置する。
弁体部52bは、固定筒部52aを介して第2シャフト部本体51cの下側の部分に固定される。これにより、弁体部52bは、シャフト部51に設けられる。弁体部52bは、固定筒部52aの上側の端部から径方向外側に拡がる。本実施形態において弁体部52bは、中心軸Jを中心とし、板面が軸方向を向く円環板状である。弁体部52bの外径は、突出部51dの外径および孔部25の内径よりも大きい。本実施形態において弁体部52bの下側の面は、径方向外側に向かうに従って上側に位置する湾曲面である。弁体部52bの上側の面は、軸方向と直交する平坦な面である。
弁体部52bは、第2流路部22の内部に位置する。図4に示すように、弁体部52bは、閉状態CSにおいて上側から孔部25を閉塞する。閉状態CSにおいて、弁体部52bの径方向外縁部は、第2流路部22の内側面のうち孔部25の縁部と接触する。弁体部52bは、第2受圧面52cを有する。第2受圧面52cは、下側を向く面であり、弁体部52bの下側の面の一部である。本実施形態において第2受圧面52cは、弁体部52bの下側の面のうち径方向外縁部を除く部分である。第2受圧面52cは、閉状態CSにおいて第1流路部21に露出する。第2受圧面52cは、閉状態CSにおいて、第1流路部21内の流体Wから上側向きの圧力を受ける。
コア部53は、軸方向に延びる。本実施形態においてコア部53は、中心軸Jを中心とする円筒状である。コア部53は、第1シャフト部51aの外周面に嵌め合わされて固定される。コア部53は、ブッシュ46bの径方向内側に嵌め合わされ、ブッシュ46bによって軸方向に移動可能に支持される。コア部53は、磁性材である。
フランジ部54は、シャフト部51の外周面から径方向外側に拡がる。本実施形態においてフランジ部54は、第2シャフト部本体51cの外周面から径方向外側に拡がる。フランジ部54は、板面が軸方向を向く板状である。本実施形態においてフランジ部54は、中心軸Jを中心とする円板状である。フランジ部54の軸方向の面は、軸方向と直交する平坦面である。フランジ部54の外径は、突出部51dの外径よりも大きい。フランジ部54の外径は、弁体部52bの外径とほぼ同じである。本実施形態においてフランジ部54の外径は、弁体部52bの外径よりも僅かに小さい。
フランジ部54は、本体部40よりも下側で、かつ、弁体部52bよりも上側に位置する。フランジ部54は、支持部材60の内部に位置する。本実施形態においてフランジ部54は、取付孔26の内部に位置する。フランジ部54は、突出部51dの上側に位置する。フランジ部54の下側の面のうち径方向内縁部は、突出部51dの上側の面に接触する。フランジ部54は、フランジ部54の外周面から径方向内側に窪む溝部54bを有する。溝部54bは、周方向に沿った円環状である。本実施形態においてフランジ部54は、シャフト部51と別部材である。
支持部材60は、本体部40の下側に固定される。支持部材60は、取付孔26に嵌め合わされて、上壁部28に固定される。支持部材60は、底部61と、筒部62と、を有する。底部61は、第2流路部22の内部において径方向に拡がる。底部61の外径は、フランジ部54の外径および弁体部52bの外径よりも大きい。底部61は、弁体部52bとフランジ部54との軸方向の間に位置する。
底部61は、凹部61bと、第1貫通孔61aと、第2貫通孔61cと、を有する。凹部61bは、底部61の上側の面のうち中央部分から下側に窪む。第1貫通孔61aは、底部61の中央部分を軸方向に貫通する。より詳細には、第1貫通孔61aは、凹部61bの底面から底部61の下側の面までを軸方向に貫通する。第1貫通孔61aには、シャフト部51が通される。本実施形態において第1貫通孔61aには、第2シャフト部本体51cが通される。第1貫通孔61aの内径は、突出部51dの外径よりも小さい。
第2貫通孔61cは、第1貫通孔61aよりも径方向外側において底部61を軸方向に貫通する。本実施形態において第2貫通孔61cは、複数設けられる。図示は省略するが、第2貫通孔61cは、周方向に沿って一周に亘って等間隔に配置される。本実施形態において第2貫通孔61cは、軸方向に沿って視て、弁体部52bの径方向外縁部およびフランジ部54の径方向外縁部と重なる。
筒部62は、底部61の径方向外縁部から上側に延びる。本実施形態において筒部62は、中心軸Jを中心とする円筒状である。筒部62は、取付孔26に嵌め合わされる。筒部62の上側の端部は、第2カバー41bの下側の面のうち径方向外縁部と接触して固定される。これにより、筒部62の上側の端部は、本体部40に固定される。筒部62の上側の端部は、径方向外側に突出する突出部62aを有する。突出部62aは、周方向に沿った円環状である。突出部62aは、上壁部28における上側の面のうち取付孔26の周縁部の上側に位置する。
筒部62は、筒部62の外周面から径方向内側に窪む溝部62bを有する。溝部62bは、周方向に沿った円環状である。溝部62bは、筒部62の外周面のうち取付孔26に嵌め合わされる部分に設けられる。溝部62bには、Oリング63が嵌め込まれる。Oリング63は、溝部62bの溝底面と取付孔26の内周面とに接触する。Oリング63は、筒部62の外周面と取付孔26の内周面との間を封止する。これにより、第2流路部22内の流体Wが取付孔26から外部に漏れることを抑制できる。
ダイヤフラム70は、シャフト部51の径方向外側においてシャフト部51を囲む筒状である。ダイヤフラム70は、筒部62の径方向内側に位置する。ダイヤフラム70の上側の端部は、本体部40に固定される。本実施形態においてダイヤフラム70の上側の端部は、筒部62の上側の端部と第2カバー41bとによって軸方向に挟持されて固定される。これにより、ダイヤフラム70の上側の端部によって、筒部62の上側の端部と第2カバー41bとの間を封止できる。
ダイヤフラム70の下側の端部は、フランジ部54の径方向外縁部に固定される。本実施形態においてダイヤフラム70の下側の端部は、溝部54bに嵌め込まれて固定される。ダイヤフラム70の下側の端部における内径は、ダイヤフラム70の上側の端部における内径よりも小さい。
ダイヤフラム70は、例えば、ゴム等の弾性体製である。ダイヤフラム70は、閉状態CSにおいて、フランジ部54を介して可動部50に下側向きの弾性力Fdを加える。本実施形態では、ダイヤフラム70は、開状態OSにおいても、フランジ部54を介して可動部50に下側向きの弾性力を加える。
弾性部材80は、支持部材60によって下側から支持される。弾性部材80は、底部61とフランジ部54との軸方向の間に位置する。本実施形態において弾性部材80は、軸方向に延びるコイルスプリングである。弾性部材80の上側の端部は、突出部51dに径方向外側から嵌め合わされ、フランジ部54の下側の面に接触する。弾性部材80の下側の部分は、凹部61bの内部に挿入される。弾性部材80の下側の端部は、凹部61bの底面と接触する。すなわち、弾性部材80の下側の端部は、底部61に接触する。弾性部材80は、フランジ部54を介して、可動部50に上側向きの弾性力Fsを加える。
図3に示す開状態OSからソレノイド42のコイル43に電流を供給すると、コイル43の径方向内側に上側から下側に向かう磁界が生じる。これにより、磁束が、第2磁性部材44b、コア部53、第1磁性部材44a、第2カバー41b、カバー本体41cを順に通り、カバー本体41cの上側の蓋部から第2磁性部材44bに戻る磁気回路が生じる。この磁気回路によって、コア部53は、下側向きの電磁力Fmを受ける。そのため、コア部53および第1シャフト部51aが下側に移動し、かつ、第1シャフト部51aに上側から押されて、第2シャフト部51bも下側に移動する。このようにして、ソレノイド42は、可動部50を軸方向に移動させることができる。図4に示すように、可動部50が下側に移動することで、弁体部52bが孔部25を閉塞し、開状態OSから閉状態CSへと切り換えられる。
一方、閉状態CSにおいて、ソレノイド42のコイル43への電流供給を停止すると、上述した磁気回路が消失し、コア部53に生じた電磁力Fmも消失する。これにより、弁体部52bが第1流路部21内の流体Wから受ける上側向きの流体力Fw2と、フランジ部54が弾性部材80から受ける上側向きの弾性力Fsとによって、第2シャフト部51bおよび弁体部52bが上側に移動し、孔部25が開放される。したがって、閉状態CSから開状態OSへと切り換えられる。なお、このとき、第1シャフト部51aおよびコア部53も、第2シャフト部51bによって押されて、上側に移動する。
以上のように、電磁弁30は、ソレノイド42のコイル43への電流の供給と停止とを切り換えることで、孔部25を開閉し、開状態OSと閉状態CSとを切り換えることができる。
電磁弁30は、第1流路部21を流れる流体Wを収容可能な収容部90をさらに備える。収容部90は、弁体部52bよりも上側に位置する。本実施形態において収容部90は、支持部材60の内部に位置する。収容部90は、支持部材60の内部のうちダイヤフラム70で仕切られた上側の部分である。収容部90の内部のうち上側の端部は、取付孔26よりも上側に位置する。図4に示すように、収容部90は、閉状態CSにおいて第2流路部22と遮断される。
本実施形態において収容部90は、本体部40とフランジ部54とダイヤフラム70とに囲まれて構成される。本実施形態においてフランジ部54の上側の面は、上側を向き、収容部90の内側面の一部を構成する第1受圧面54aである。すなわち、可動部50は、第1受圧面54aを有する。本実施形態において第1受圧面54aは、軸方向と直交する平坦な面である。第1受圧面54aの面積と第2受圧面52cの面積とは、互いに同じである。
なお、本明細書において「第1受圧面の面積と第2受圧面の面積とが、互いに同じである」とは、第1受圧面の面積と第2受圧面の面積とが厳密に同じである場合に加えて、第1受圧面の面積と第2受圧面の面積とが略同じである場合も含む。
図3および図4に示すように、収容部90の容積は、開状態OSと閉状態CSとで変化する。閉状態CSにおける収容部90の容積は、開状態OSにおける収容部90の容積よりも大きい。収容部90の容積変化に伴って、支持部材60の内部のうちダイヤフラム70で仕切られた下側の部分の容積は、開状態OSから閉状態CSへと切り換えられると小さくなる。支持部材60の内部のうちダイヤフラム70で仕切られた下側の部分は、開状態OSにおいては流体Wが収容された状態となり、閉状態CSにおいては流体Wが排出された状態となる。
電磁弁30は、電磁弁30の外部と収容部90とを繋ぐ接続流路部55をさらに備える。接続流路部55は、閉状態CSにおいて第1流路部21と収容部90とを繋ぐ。そのため、図4に示す閉状態CSにおいて、接続流路部55を介して、収容部90内に第1流路部21から流体Wが流入した状態となる。これにより、収容部90内の流体Wの圧力によって、第1受圧面54aには下側向きの流体力Fw1が加えられる。したがって、第1流路部21内の流体Wの圧力によって弁体部52bの第2受圧面52cに加えられる流体力Fw2の少なくとも一部を、流体力Fw1によって相殺することができる。そのため、弁体部52bによって孔部25を閉塞して、閉状態CSに維持するために必要な電磁弁30の出力を小さくできる。これにより、電磁弁30を小型化できる。
なお、本実施形態において電磁弁30の出力とは、電磁力Fmである。本実施形態の閉状態CSは、電磁力Fmと流体力Fw1とダイヤフラム70からの弾性力Fdとの合計が、流体力Fw2と弾性部材80からの弾性力Fsとの合計よりも大きいことで、維持される。
また、例えば、孔部25の開口面積が大きいほど、開状態OSにおいて第1流路部21から第2流路部22へと流れる流体Wの損失を小さくできる。しかし、一方で、孔部25の開口面積が大きいほど、弁体部52bの第2受圧面52cに加えられる流体力Fw2が大きくなる。そのため、従来では、流体Wの損失を抑えようとして孔部25の開口面積を大きくすると、電磁弁の出力を大きくする必要があり、電磁弁が大型化する場合があった。
これに対して、本実施形態によれば、上述したように、閉状態CSを維持するために必要な電磁弁30の出力を小さくできる。そのため、電磁弁30の出力を変えずに、従来よりも大きい流体力Fw2に抗して閉状態CSを維持できる。これにより、電磁弁30を大型化することなく、孔部25の開口面積を従来よりも大きくでき、流路部20を流れる流体Wの損失を低減できる。
また、本実施形態によれば、第1受圧面54aの面積と第2受圧面52cの面積とは、互いに同じである。そして、収容部90と第1流路部21とは互いに繋がっているため、収容部90内の流体Wの圧力と、第1流路部21内の流体Wの圧力とは、ほぼ同じである。これにより、第1受圧面54aに加えられる流体力Fw1の大きさと、第2受圧面52cに加えられる流体力Fw2の大きさと、をほぼ同じにできる。したがって、第2受圧面52cに加えられる上側向きの流体力Fw2を、流体力Fw1によってほぼ相殺できる。そのため、閉状態CSを維持するために必要な電磁弁30の出力をより小さくできる。これにより、電磁弁30をより小型化できる。
また、本実施形態によれば、第1受圧面54aは、平坦な面である。そのため、収容部90内の流体Wから下側向きの流体力Fw1を安定して受けやすい。これにより、閉状態CSを維持するために必要な電磁弁30の出力をより小さくしやすく、電磁弁30をより小型化できる。
また、本実施形態によれば、収容部90は、本体部40とフランジ部54とダイヤフラム70とに囲まれて構成される。そのため、ダイヤフラム70によって収容部90と第2流路部22との遮断を好適に行うことができる。これにより、閉状態CSにおいて収容部90から流体Wが漏れることを抑制でき、閉状態CSを好適に維持できる。
また、本実施形態によれば、ダイヤフラム70は、閉状態CSにおいて可動部50に下側向きの弾性力Fdを加える。そのため、閉状態CSを維持するために必要な電磁弁30の出力をより小さくできる。これにより、電磁弁30をより小型化できる。
また、本実施形態によれば、筒部62は、ダイヤフラム70の径方向外側においてダイヤフラム70を囲む。そのため、ダイヤフラム70を保護することができ、ダイヤフラム70が損傷することを抑制できる。
また、本実施形態によれば、底部61は、第2貫通孔61cを有する。そのため、支持部材60の内部のうちダイヤフラム70で仕切られた下側の部分に対する流体Wの流入出を、第2貫通孔61cを介して容易に行うことができる。これにより、収容部90と、支持部材60の内部のうちダイヤフラム70で仕切られた下側の部分とのそれぞれにおける容積変化を容易に行うことができる。
本実施形態において接続流路部55は、可動部50に設けられる。そのため、接続流路部55を設けやすい。接続流路部55は、第1部分55aと、第2部分55bと、を有する。第1部分55aは、シャフト部51の内部に設けられ、軸方向に延びる。本実施形態において第1部分55aは、第2シャフト部本体51cの内部である。
第2部分55bは、第1部分55aからシャフト部51の外周面まで径方向に延びる。本実施形態において第2部分55bは、第2シャフト部本体51cのうちフランジ部54よりも上側の部分に設けられる。第2部分55bは、開状態OSおよび閉状態CSのいずれの状態においても、収容部90の内部に開口する。本実施形態において第2部分55bは、複数設けられる。例えば、第2部分55bは、第2シャフト部本体51cの壁部のうち軸方向と直交する第1方向両側の部分に1つずつ、第2シャフト部本体51cの壁部のうち軸方向および第1方向の両方と直交する第2方向両側の部分に1つずつの合計4つ設けられる。
このように接続流路部55が設けられていることにより、閉状態CSにおいて第1流路部21に露出する第2シャフト部本体51cの下端部の開口から、第1部分55aに流体Wが流入する。そして、第1部分55aに流入した流体Wは、第2部分55bから収容部90に流入する。これにより、閉状態CSにおいて、収容部90内に流体Wが収容された状態となる。なお、図3に示すように、開状態OSにおいても、収容部90は接続流路部55を介して第1流路部21と繋がるため、収容部90内には流体Wが流入する。
本実施形態によれば、シャフト部51の内部に接続流路部55が設けられるため、例えばシャフト部51よりも径方向外側に接続流路部55を設けるような場合に比べて、可動部50を径方向に小型化しやすい。また、第2シャフト部本体51cを筒状にすることで、容易に第1部分55aを作ることができる。そのため、接続流路部55の作製を容易にできる。
また、本実施形態によれば、弁体部52bとフランジ部54との軸方向の間に位置する底部61を有する支持部材60が設けられ、弾性部材80がフランジ部54と底部61との間に位置する。そのため、シャフト部51のうち、本体部40の内部においてコア部53が設けられる第1シャフト部51aと本体部40の外部においてフランジ部54が設けられる第2シャフト部51bとを互いに別部材としても、第2シャフト部51bに加えられた弾性部材80の弾性力Fsを第1シャフト部51aに伝えることができる。これにより、シャフト部51を複数の部材に分けつつ、閉状態CSから開状態OSに切り換える際に、弾性部材80によって可動部50を上側に移動させることができる。したがって、接続流路部55が設けられる第2シャフト部本体51cの軸方向の寸法を小さくすることができる。そのため、第2シャフト部本体51cを筒状として作製することを容易にでき、接続流路部55の作製を容易にできる。
本発明は上述の実施形態に限られず、以下の他の構成を採用することもできる。収容部は、弁体部よりも上側に位置すれば、いずれの位置に設けられてもよい。収容部は、本体部の内部に設けられてもよい。収容部の構成は、収容部が閉状態CSにおいて第1流路部と繋がり第2流路部と遮断されるならば、特に限定されない。収容部は、例えば、シリンダ部材の内部がピストン部材で仕切られて構成されてもよい。
上述した実施形態においては、第1受圧面がフランジ部の上側の面である構成としたが、これに限られない。第1受圧面は、可動部が有する面であれば、いずれの部分の面であってもよい。第1受圧面の面積と第2受圧面の面積とは、互いに異なってもよい。第1受圧面は、平坦な面でなくてもよく、曲面であってもよい。
接続流路部は、閉状態CSにおいて第1流路部と収容部とを繋ぐならば、特に限定されない。接続流路部は、曲がって延びてもよい。接続流路部は、例えば、支持部材等、可動部以外の部分に設けられてもよい。接続流路部は、複数設けられてもよい。接続流路部は、開状態OSにおいて、第1流路部と収容部とを繋がなくてもよい。
ダイヤフラムは、可動部に弾性力を加えなくてもよい。ダイヤフラムは、可動部に上側向きの弾性力を加えてもよい。弾性部材は、本体部の内部に設けられてもよい。この場合、支持部材は、設けられなくてもよい。シャフト部は、単一部の部材であってもよい。
なお、上述した実施形態の電磁弁および流路装置の用途は、特に限定されない。また、以上に説明した各構成は、相互に矛盾しない範囲において、適宜組み合わせることができる。