JP7114668B2 - エピナスチン又はその塩を含有する花粉破裂抑制剤 - Google Patents

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本発明は、エピナスチン又はその塩を含有する花粉破裂抑制剤、より詳しくはエピナスチン又はその塩と、低級脂肪族カルボン酸類とを含有する花粉破裂抑制剤(以下、「本発明の花粉破裂抑制剤」ともいう)に関する。
近年、アレルギー性疾患の治療について様々な検討がなされており、アレルギー性疾患の発症機序について解明されつつある。例えば、非特許文献1及び非特許文献2によると、スギ花粉によるアレルギー性結膜炎は、飛散した花粉粒子が結膜嚢内に侵入した後、涙液によって花粉外壁が破裂し、溶出したアレルゲンが結膜組織に移行して肥満細胞上の抗体へ結合することにより発症すると考えられている。涙液中では花粉外壁の破裂は起こりやすく、花粉外壁の破裂に影響を及ぼす因子には、pHや温度といった物理化学的な影響に加えて、涙液中の成分(リゾチームやタンパク質、様々な分解酵素等)による影響があることが示唆されている。また、種々の抗アレルギー点眼液においても、その種類によっては、従来の薬理作用の他にも花粉外壁の破裂やアレルゲンの溶出に影響を及ぼす可能性があることが示唆されている。
また、非特許文献3によると、点眼液に含まれる添加剤についても、花粉外壁の破裂やアレルゲンの溶出に影響を及ぼす可能性があり、例えば、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)は花粉外壁の破裂を促進する可能性が示唆されている。そのため、アレルギー性結膜炎治療用の点眼剤において、リン酸又はその塩等の他の成分の添加には一定の懸念があった。
特許文献1及び特許文献2には、アレルギー性結膜炎治療用の点眼剤の有効成分であるエピナスチン又はその塩自体にスギ花粉外壁の破裂を抑制する作用があること、花粉外壁の破裂を促進するリン酸又はその塩を添加しても一定範囲のリン酸濃度に対してであればエピナスチン又はその塩はスギ花粉外壁の破裂を抑制する効果を有することが開示されている。しかしながら、特許文献1及び特許文献2には、低級脂肪族カルボン酸類が、花粉外壁の破裂を促進する作用を有するものではなく、エピナスチン又はその塩の花粉外壁の破裂を抑制する効果を妨げないことは記載されていない。
特開2018-188385号公報 再表2018-203424号公報
アレルギー・免疫 2010,Vol.17,No.2,124-129 アレルギー・免疫 2011,Vol.18,No.2,82-87 アレルギー・免疫 2016,Vol.23,No.2,124-130
種々の抗アレルギー製剤、例えば、抗アレルギー点眼液や点眼液に含まれる添加剤が、花粉外壁の破裂やアレルゲンの溶出にどのような影響を及ぼすのか明らかにすることは有効成分の効果に対する影響を考慮すると非常に有用である。したがって、花粉外壁の破裂を強く抑制することにより、より強い薬効が期待できる、有効成分としてエピナスチン又はその塩を含有する、花粉破裂抑制剤を提供することは興味深い課題である。
本発明者らは、エピナスチン又はその塩を含有する製剤について鋭意研究を行ったところ、点眼剤においてエピナスチン又はその塩と低級脂肪族カルボン酸類を配合させることにより、エピナスチン又はその塩自体が有する花粉外壁の破裂を抑制する作用を妨げずに、優れた花粉外壁の破裂を抑制する作用が生じることを見出した。さらには、エピナスチン又はその塩と、低級脂肪族カルボン酸類とを含有する医薬組成物(花粉破裂抑制剤)を眼に投与することにより、エピナスチンの眼組織への移行性が向上する効果があることも見出した。本発明は、これらの知見に基づき完成されたものである。
具体的に、本発明は以下を提供する。
(1)エピナスチン又はその塩と、低級脂肪族カルボン酸類とを含有する花粉破裂抑制剤。
(2)低級脂肪族カルボン酸類が、クエン酸、エデト酸、酢酸、ε-アミノカプロン酸、グルタミン酸及びそれらの塩からなる群より選択される1種以上である、(1)に記載の花粉破裂抑制剤。
(3)エピナスチン又はその塩の濃度が、0.01~5%(w/v)である、(1)又は(2)に記載の花粉破裂抑制剤。
(4)エピナスチン又はその塩の濃度が、0.05%(w/v)以上である、(1)又は(2)に記載の花粉破裂抑制剤。
(5)エピナスチン又はその塩が、エピナスチン塩酸塩である、(1)~(4)のいずれか1つに記載の花粉破裂抑制剤。
(6)点眼投与に用いるための、(1)~(5)のいずれか1つに記載の花粉破裂抑制剤。
(7)1眼あたり1滴又は2滴を1回として1日2回~4回点眼されるように用いられる、(1)~(6)のいずれか1つに記載の花粉破裂抑制剤。
(8)(1)~(5)のいずれか1つに記載の花粉破裂抑制剤を眼に投与することにより、眼表面又はその近傍に付着した花粉の破裂を抑制する方法。
(9)(1)~(5)のいずれか1つに記載の花粉破裂抑制剤を、花粉と接触させることを特徴とする、花粉の破裂を抑制する方法。
なお、前記(1)から(9)の各構成は、任意に2以上を選択して組み合わせることができる。
さらに、本発明は以下も提供する。
(10)エピナスチン又はその塩と、低級脂肪族カルボン酸類とを含有する点眼剤。
(11)エピナスチン又はその塩を含有する点眼剤に、低級脂肪族カルボン酸類を配合することによって、エピナスチン又はその塩の眼組織への移行性を向上させる方法。
(12)治療が必要な患者に、治療上の有効量の(1)~(7)のいずれか1つに記載の花粉破裂抑制剤を投与することを特徴とする、アレルギー性疾患の治療方法。
(13)アレルギー性疾患の治療に使用する、(1)~(7)のいずれか1つに記載の花粉破裂抑制剤。
(14)アレルギー性疾患を治療するための医薬を製造するための、(1)~(7)のいずれか1つに記載の花粉破裂抑制剤の使用。
本発明は、エピナスチン又はその塩と、低級脂肪族カルボン酸類を配合することによって、優れた花粉外壁の破裂を抑制する効果をもたらす、花粉破裂抑制剤を得ることができる。また、エピナスチン又はその塩と、低級脂肪族カルボン酸類とを含有する花粉破裂抑制剤を眼に投与することにより、エピナスチンの眼組織への移行性を向上させて優れた薬効をもたらす、点眼剤を得ることができる。
以下に、本発明について詳細に説明する。
本発明において、「エピナスチン」とは、化学名(±)-3-Amino-9,13b-dihydro-1H-dibenz[c,f]imidazo[1,5-a]azepineで表される化合物であり、また下記式:
Figure 0007114668000001
で表される化合物である。
本発明の花粉破裂抑制剤において、含有されるエピナスチンはラセミ体であってもよく、光学異性体であってもよい。
本発明の花粉破裂抑制剤において、含有されるエピナスチンは塩であってもよく、医薬として許容される塩であれば特に制限はない。塩としては、例えば、無機酸との塩、有機酸との塩等が挙げられる。
無機酸との塩としては、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等との塩が挙げられる。
有機酸との塩としては、酢酸、シュウ酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、リンゴ酸、クエン酸、酒石酸、アジピン酸、グルコン酸、グルコヘプト酸、グルクロン酸、テレフタル酸、メタンスルホン酸、アラニン、乳酸、馬尿酸、1,2-エタンジスルホン酸、イセチオン酸、ラクトビオン酸、オレイン酸、没食子酸、パモ酸、ポリガラクツロン酸、ステアリン酸、タンニン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、硫酸ラウリル、硫酸メチル、ナフタレンスルホン酸、スルホサリチル酸等との塩が挙げられる。
エピナスチンの塩としては、一塩酸塩(エピナスチン塩酸塩)が特に好ましい。
本発明の花粉破裂抑制剤において、含有されるエピナスチン又はその塩は、水和物又は溶媒和物の形態をとってもよい。
本発明の花粉破裂抑制剤において、エピナスチン又はその塩の含有量は、0.01%(w/v)以上が好ましく、0.05%(w/v)以上がより好ましく、0.09%(w/v)以上がさらに好ましく、0.1%(w/v)以上がさらにより好ましく、その上限は眼科製剤として許容される濃度であればよく、例えば5%(w/v)である。エピナスチン又はその塩の含有量としては、0.01~5%(w/v)が好ましく、0.05~1%(w/v)がより好ましく、0.05~0.2%(w/v)がさらに好ましく、0.05~0.1%(w/v)が特に好ましい。例えば、その含有量は0.09%(w/v)又は0.1%(w/v)である。
なお、本発明において、「%(w/v)」は、本発明の花粉破裂抑制剤(点眼剤)100mL中に含まれる対象成分の質量(g)を意味する。本発明においてエピナスチンの塩が含有される場合、その値はエピナスチンの塩の含有量である。また、本発明においてエピナスチン又はその塩が、水和物又は溶媒和物の形態をとって配合される場合、その値はエピナスチン又はその塩の、水和物又は溶媒和物の含有量である。以下、特に断りがない限り同様とする。
本発明において、「低級脂肪族カルボン酸類」とは、炭素数15個以下であり、1個以上のカルボキシル基を有するカルボン酸又はその塩、これらの水和物又は溶媒和物を指す。
低級脂肪族カルボン酸類のカルボキシル基の数は、特に限定されないが、1~4個が好ましく、1~3個がより好ましい。また、低級脂肪族カルボン酸類の炭素数は、15個以下であればよく、好ましくは2~12個であり、より好ましくは4~10個である。
低級脂肪族カルボン酸類中の炭素鎖は、直鎖でも分枝でもよく、飽和でも不飽和でもよい。
また、低級脂肪族カルボン酸類は、カルボキシル基以外にも置換基を有していてもよく、置換基の数や種類は特に限定されない。置換基としては例えば、アミノ基、水酸基等が挙げられる。
本発明の花粉破裂抑制剤において、含有される低級脂肪族カルボン酸類が塩形態である場合、医薬として許容される塩であれば特に制限されるものではない。塩としては例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。また、含有される低級脂肪族カルボン酸類が置換基として例えば、アミノ基を有する場合には、その塩としては塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、硫酸、リン酸等の無機酸との塩等が挙げられる。
本発明の花粉破裂抑制剤において、含有される低級脂肪族カルボン酸類は、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、乳酸、リンゴ酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、フマル酸、マレイン酸、ピルビン酸、酒石酸、ソルビン酸、エデト酸、ε-アミノカプロン酸(イプシロン-アミノカプロン酸)、グリシン、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、セリン、アスパラギン酸、グルタミン酸又はこれらの塩等が挙げられ、これらの水和物又は溶媒和物であってもよい。好ましくは、クエン酸、エデト酸、酢酸、ε-アミノカプロン酸、グルタミン酸又はこれらの塩又はこれらの水和物であり、より好ましくは、クエン酸又はその塩、ε-アミノカプロン酸又はその塩、グルタミン酸又はその塩であり、さらに好ましくは、クエン酸又はその塩である。クエン酸又はその塩としては例えば、クエン酸、クエン酸一ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸三ナトリウム(クエン酸ナトリウム)、クエン酸一カリウム、クエン酸二カリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸マグネシウム、クエン酸カルシウムが挙げられる。エデト酸又はその塩としては例えば、エデト酸、エデト酸一ナトリウム、エデト酸二ナトリウム(エデト酸ナトリウム)、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、エデト酸一カリウム、エデト酸二カリウム、エデト酸三カリウム、エデト酸四カリウム、エデト酸カルシウムナトリウム、エデト酸マグネシウムナトリウムが挙げられる。酢酸又はその塩としては例えば、酢酸、酢酸ナトリウム、酢酸カリウムが挙げられる。ε-アミノカプロン酸又はその塩としては例えば、ε-アミノカプロン酸、ε-アミノカプロン酸ナトリウム、ε-アミノカプロン酸カリウム、ε-アミノカプロン酸塩酸塩、ε-アミノカプロン酸臭化水素酸塩、ε-アミノカプロン酸ヨウ化水素酸塩、ε-アミノカプロン酸硝酸塩、ε-アミノカプロン酸硫酸塩、ε-アミノカプロン酸リン酸塩が挙げられる。グルタミン酸又はその塩としては例えば、グルタミン酸、グルタミン酸一ナトリウム、グルタミン酸二ナトリウム、グルタミン酸一カリウム、グルタミン酸二カリウム、グルタミン酸塩酸塩、グルタミン酸臭化水素酸塩、グルタミン酸ヨウ化水素酸塩、グルタミン酸硝酸塩、グルタミン酸硫酸塩、グルタミン酸リン酸塩が挙げられる。
本発明の花粉破裂抑制剤において、低級脂肪族カルボン酸類は、医薬品の添加剤、例えば緩衝剤、安定化剤、防腐剤、pH調節剤等としての作用も有する。そのため、低級脂肪族カルボン酸類は、医薬品の添加剤としても使用することができる。低級脂肪族カルボン酸類が、例えば、クエン酸又はその塩であれば緩衝剤、pH調節剤等の作用を有し、エデト酸又はその塩であれば安定化剤、抗酸化剤、キレート剤等の作用を有し、酢酸又はその塩であれば緩衝剤、pH調節剤等の作用を有し、ε-アミノカプロン酸又はその塩であれば緩衝剤等の作用を有し、グルタミン酸又はその塩であれば緩衝剤等の作用を有する。
また本発明の花粉破裂抑制剤において、低級脂肪族カルボン酸類は、1種又は2種以上一緒に用いてもよい。
本発明の花粉破裂抑制剤において、低級脂肪族カルボン酸類の含有量は、種類によって適宜調整できるが、例えば、0.01~5%(w/v)が好ましく、0.1~4%(w/v)がより好ましく、0.5~3.5%(w/v)がさらに好ましい。例えば、低級脂肪族カルボン酸類がクエン酸又はその塩である場合、その含有量は、0.01~5%(w/v)が好ましく、0.5~3.5%(w/v)がより好ましく、1~3.5%(w/v)がさらに好ましい。例えば、その含有量は、1.6%(w/v)又は3.2%(w/v)である。例えば、低級脂肪族カルボン酸類がε-アミノカプロン酸又はその塩である場合、その含有量は、0.01~5%(w/v)が好ましく、0.1~3.5%(w/v)がより好ましく、0.5~2%(w/v)がさらに好ましい。例えば、その含有量は、0.5%(w/v)又は2%(w/v)である。例えば、低級脂肪族カルボン酸類がグルタミン酸又はその塩である場合、その含有量は、0.01~5%(w/v)が好ましく、0.1~3.5%(w/v)がより好ましく、0.5~2%(w/v)がさらに好ましい。例えば、その含有量は、0.6%(w/v)又は2%(w/v)である。
本発明の花粉破裂抑制剤は、眼の表面や粘膜上に存在する花粉の破裂を抑制し、花粉により生じるアレルギー症状を有効に抑制することができる。本発明の花粉破裂抑制剤は、アレルギー性疾患の治療に用いることができる。
また、本発明の花粉破裂抑制剤は、エピナスチンの眼組織への移行性を向上させて、エピナスチンの薬効を効率的にもたらすことができる。
本発明において、「アレルギー性疾患」とは、外部からの抗原に対する免疫反応によって引き起こされる疾患又はその症状を指す。外部からの抗原とは、例えば花粉である。アレルギー性疾患の例として、アレルギー性結膜炎が挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明において、アレルギー性疾患の治療とは、アレルギー性疾患又はその症状のあらゆる治療(例えば、治癒、改善、軽減、進行の抑制等)及びその予防を指す。また、アレルギー性疾患の再発の阻止も含まれる。
本発明において、「眼組織」とは、例えば、結膜、角膜、涙液、房水、前房等が挙げられる。本発明の花粉破裂抑制剤を眼に投与する場合、角膜や結膜等の眼表面やその近傍の睫毛、眼瞼縁等に付着する花粉の破裂を抑制することができる。さらには、眼組織へのエピナスチン又はその塩の移行量を増大(又は向上ともいう)させることができ、特に結膜への移行量を増大させることが好ましい。
本発明において、「患者」とは、ヒトのみに限らずその他の動物、例えば、イヌ、ネコ、ウマ等も意味する。患者は、好ましくは哺乳動物であり、より好ましくはヒトである。本発明において、「治療上の有効量」とは、未治療対象と比べて、アレルギー性疾患及びその症状の治療効果をもたらす量、又はアレルギー性疾患及びその症状の進行の遅延をもたらす量等を指す。
本発明の花粉破裂抑制剤には、必要に応じて医薬品の添加剤を用いることができ、例えば、緩衝剤、粘稠化剤、界面活性化剤、等張化剤、安定化剤、防腐剤、抗酸化剤、pH調節剤等を加えることができる。これらは、それぞれ単独で用いてもよく、また、2種以上を適宜組み合わせて用いてもよく、適量を配合することができる。
本発明の花粉破裂抑制剤に緩衝剤を配合する場合の緩衝剤は、医薬品の添加剤として使用可能な緩衝剤を適宜配合することができ、例えば、リン酸又はその塩、ほう酸又はその塩、炭酸又はその塩或いは有機アミン等が挙げられ、これらの水和物又は溶媒和物であってもよい。
リン酸又はその塩としては、リン酸、リン酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二カリウム等が挙げられ、これらの水和物であってもよい。
ほう酸又はその塩としては、ほう酸、ほう酸ナトリウム(ほう砂)、ほう酸カリウム等が挙げられ、これらの水和物であってもよい。
炭酸又はその塩としては、炭酸、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられ、これらの水和物であってもよい。
有機アミンとしては、トロメタモール等が挙げられ、これらの水和物であってもよい。
本発明の花粉破裂抑制剤に緩衝剤を配合する場合の緩衝剤の含有量は、緩衝剤の種類等により適宜調整することができるが、0.001~10%(w/v)が好ましく、0.01~5%(w/v)がより好ましく、0.1~5%(w/v)がさらに好ましく、0.1~1%(w/v)が特に好ましい。
また本発明の花粉破裂抑制剤に緩衝剤を配合する場合には、緩衝剤を1種又は2種以上一緒に用いてもよい。
本発明の花粉破裂抑制剤に粘稠化剤を配合する場合の粘稠化剤は、医薬品の添加剤として使用可能な粘稠化剤を適宜配合することができ、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートサクシネート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、カルボキシビニルポリマー、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明の花粉破裂抑制剤に粘稠化剤を配合する場合の粘稠化剤の含有量は、粘稠化剤の種類等により適宜調整することができるが、0.001~5%(w/v)が好ましく、0.01~3%(w/v)がより好ましく、0.1~2%(w/v)がさらに好ましい。
また本発明の花粉破裂抑制剤に粘稠化剤を配合する場合には、粘稠化剤を1種又は2種以上一緒に用いてもよい。
本発明の花粉破裂抑制剤に界面活性化剤を配合する場合の界面活性化剤は、医薬品の添加剤として使用可能な界面活性化剤を適宜配合することができ、例えば、カチオン性界面活性化剤、アニオン性界面活性化剤、非イオン性界面活性化剤等が挙げられる。
カチオン性界面活性化剤としては、アルキルアミン塩、アルキルアミンポリオキシエチレン付加物、脂肪酸トリエタノールアミンモノエステル塩、アシルアミノエチルジエチルアミン塩、脂肪酸ポリアミン縮合物、アルキルイミダゾリン、1-アシルアミノエチル-2-アルキルイミダゾリン、1-ヒドロキシルエチル-2-アルキルイミダゾリン等が挙げられる。
アニオン性界面活性化剤としては、レシチン等のリン脂質等が挙げられる。
非イオン性界面活性化剤としては、ステアリン酸ポリオキシル40等のポリオキシエチレン脂肪酸エステル;ポリソルベート80、ポリソルベート60、ポリソルベート40、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリソルベート65等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油10、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油50、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60等のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油;ポリオキシル5ヒマシ油、ポリオキシル9ヒマシ油、ポリオキシル15ヒマシ油、ポリオキシル35ヒマシ油、ポリオキシル40ヒマシ油等のポリオキシルヒマシ油;ポリオキシエチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリコール、ポリオキシエチレン(42)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(54)ポリオキシプロピレン(39)グリコール、ポリオキシエチレン(196)ポリオキシプロピレン(67)グリコール、ポリオキシエチレン(20)ポリオキシプロピレン(20)グリコール等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール;ショ糖ステアリン酸エステル等のショ糖脂肪酸エステル;トコフェロールポリエチレングリコール1000コハク酸エステル(ビタミンE TPGS)等が挙げられる。
本発明の花粉破裂抑制剤に界面活性化剤を配合する場合の界面活性化剤の含有量は、界面活性化剤の種類等により適宜調整することができるが、0.01~1%(w/v)が好ましく、0.05~0.5%(w/v)がより好ましく、0.05~0.2%(w/v)がさらに好ましい。
また本発明の花粉破裂抑制剤に界面活性化剤を配合する場合には、界面活性化剤を1種又は2種以上一緒に用いてもよい。
本発明の花粉破裂抑制剤に等張化剤を配合する場合の等張化剤は、医薬品の添加剤として使用可能な等張化剤を適宜配合することができ、例えば、イオン性等張化剤、非イオン性等張化剤等が挙げられる。
イオン性等張化剤としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム等が挙げられる。
非イオン性等張化剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、トレハロース、マルトース、スクロース、キシリトール等が挙げられる。
本発明の花粉破裂抑制剤に等張化剤を配合する場合の等張化剤としては、イオン性等張化剤が好ましく、塩化ナトリウムが特に好ましい。
本発明の花粉破裂抑制剤に等張化剤を配合する場合の等張化剤の含有量は、等張化剤の種類等により適宜調整することができるが、0.001~10%(w/v)が好ましく、0.01~5%(w/v)がより好ましく、0.1~3%(w/v)がさらに好ましく、0.2~1%(w/v)が特に好ましい。
また本発明の花粉破裂抑制剤に等張化剤を配合する場合には、等張化剤を1種又は2種以上一緒に用いてもよい。
本発明の花粉破裂抑制剤に安定化剤を配合する場合の安定化剤は、医薬品の添加剤として使用可能な安定化剤を適宜配合することができ、例えば、シクロデキストリン、チオ硫酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明の花粉破裂抑制剤に安定化剤を配合する場合の安定化剤の含有量は、安定化剤の種類等により適宜調整することができるが、0.001~5%(w/v)が好ましく、0.01~3%(w/v)がより好ましく、0.05~1%(w/v)がさらに好ましい。
また本発明の花粉破裂抑制剤に安定化剤を配合する場合には、安定化剤を1種又は2種以上一緒に用いてもよい。
本発明の花粉破裂抑制剤に防腐剤を配合する場合の防腐剤は、医薬品の添加剤として使用可能な防腐剤を適宜配合することができ、例えば、塩化ベンザルコニウム、臭化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸クロルヘキシジン、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸プロピル、亜塩素酸ナトリウム又はクロロブタノール等が挙げられる。
本発明の花粉破裂抑制剤に防腐剤を配合する場合の防腐剤の含有量は、防腐剤の種類等により適宜調整することができるが、安全性に悪影響を及ぼさない程度の量がよく、例えば、0.0001~0.1%(w/v)が好ましく、0.001~0.05%(w/v)がより好ましい。
本発明の花粉破裂抑制剤に抗酸化剤を配合する場合の抗酸化剤は、医薬品の添加剤として使用可能な抗酸化剤を適宜配合することができ、例えば、アスコルビン酸、トコフェロール、ジブチルヒドロキシトルエン、亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。
本発明の花粉破裂抑制剤に抗酸化剤を配合する場合の抗酸化剤の含有量は、抗酸化剤の種類等により適宜調整することができるが、0.001~5%(w/v)が好ましく、0.01~3%(w/v)がより好ましく、0.1~2%(w/v)がさらに好ましい。
また本発明の花粉破裂抑制剤に抗酸化剤を配合する場合には、抗酸化剤を1種又は2種以上一緒に用いてもよい。
本発明の花粉破裂抑制剤にpH調節剤を配合する場合のpH調節剤は、医薬品の添加剤として使用可能なpH調節剤を適宜配合することができるが、例えば、酸又は塩基であり、酸としては例えば、塩酸、リン酸等、塩基としては例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられる。
本発明の花粉破裂抑制剤のpHは、医薬品として許容される範囲内にあればよく、例えば4.0~8.5又は4.0~8.0の範囲内であり、6.0~8.0が好ましく、6.5~7.5がより好ましい。特に好ましいpHは、6.7~7.3であるが、6.7、6.8、6.9、7.0、7.1、7.2、7.3もさらにより好ましい。
本発明の花粉破裂抑制剤の浸透圧比は、医薬品として許容される範囲内にあればよく、例えば0.5~2.0であり、0.7~1.6が好ましく、0.8~1.4がより好ましく、0.9~1.2がさらに好ましい。
本発明の花粉破裂抑制剤は、非経口(例えば、局所)投与に適している。本発明の花粉破裂抑制剤の非経口投与経路としては、医薬品として許容される局所投与経路、例えば、眼への局所投与(例えば、点眼投与)、点鼻(経鼻)投与、耳への局所投与(例えば、点耳投与)、吸入投与、噴霧投与、経皮投与、皮膚上投与、注射投与等が挙げられる。好ましくは、眼への局所投与である。
本発明の花粉破裂抑制剤は、眼科用製剤、耳鼻科用製剤、吸入用製剤、経皮吸収用製剤として用いることができ、その剤形は、医薬品として使用可能なものであれば特に制限されるものではない。剤形としては、例えば、液剤、懸濁剤等の経口投与剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、吸入剤、(吸入粉末剤、吸入液剤、吸入エアゾール剤)、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤、経皮吸収型製剤、貼付剤(テープ剤、パップ剤)、外用液剤(ローション剤、リニメント剤)、外用固形剤(外用散剤)、スプレー剤(ポンプスプレー剤、外用エアゾール剤)、注射剤(輸液剤、埋め込み注射剤、持続性注射剤)等の局所投与剤が挙げられる。好ましくは点眼剤である。これらは当該技術分野における通常の方法に従って製造することができる。
本発明の花粉破裂抑制剤は、構成成分が全て溶解又は一部懸濁していてもよく、またエマルション、半固体状の形態であってもよい。本発明の花粉破裂抑制剤は、構成成分が全て溶解している溶液状態であることがより好ましく、水溶液であることが最も好ましい。
本発明の花粉破裂抑制剤がエマルションである場合は、水中油型エマルション(水相を連続相として、水相と分散した油性液滴から構成されるエマルション)であっても油中水型エマルション(油相を連続相として、油と分散した水性液滴から構成されるエマルション)であってもよい。
本発明の花粉破裂抑制剤を眼科用製剤として使用する場合は、特にアレルギー性結膜炎の治療剤として有用である。また、本発明の花粉破裂抑制剤は、特に断りのない限り、エピナスチン又はその塩以外の医薬品活性成分、例えば他の点眼剤に用いられる有効成分を含んでいてもよいし、エピナスチン又はその塩を唯一の有効成分としてもよい。
本発明の花粉破裂抑制剤を点眼剤として眼に投与する場合、所望の薬効を奏するのに十分であれば用法用量に特に制限はないが、1回1滴、1日1~10回、好ましくは1日1~6回、より好ましくは1日2~4回に分けて点眼することができる。また、コンタクトレンズ装用時においても使用することができる。
本発明の花粉破裂抑制剤を点眼剤として使用する場合、マルチドーズ型容器、1回使い切りのユニットドーズ型容器又はPFMD(Preservative Free Multi Dose)容器のいずれに収容されていてもよい。なお、容器の素材に特に制限はなく、一般に汎用される点眼剤の容器であればよいが、好ましくは樹脂製容器であり、例えば、ポリエチレン(PE)製、ポリプロピレン(PP)製、ポリエチレンテレフタレート(PET)製、ポリブチレンテレフタレート(PBT)製、ポリプロピレン-ポリエチレンコポリマー製、ポリ塩化ビニル製、アクリル製、ポリスチレン製、ポリ環状オレフィンコポリマー製等の容器を用いることができる。また、樹脂製容器の材質が、例えばポリエチレンであれば、ポリエチレンはその密度によって分類され、低密度ポリエチレン(LDPE)製、中密度ポリエチレン(MDPE)製、高密度ポリエチレン(HDPE)製等の容器を用いることができる。
以下に、製剤例及び試験例を示すが、これらは本発明をより良く理解するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
製剤例
以下に本発明の代表的な製剤例を示す。なお、下記製剤例において各成分の配合量は製剤1mL中の含量である。
製剤例1
エピナスチン塩酸塩 1mg
クエン酸ナトリウム 8mg
塩化ナトリウム 5mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
製剤例2
エピナスチン塩酸塩 0.5mg
クエン酸ナトリウム 8mg
塩化ナトリウム 5mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
製剤例3
エピナスチン塩酸塩 0.5mg
クエン酸ナトリウム 8mg
エデト酸ナトリウム 1mg
ほう酸 1mg
塩化ナトリウム 5mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
製剤例4
エピナスチン塩酸塩 0.5mg
クエン酸ナトリウム 4mg
エデト酸ナトリウム 1mg
ほう酸 0.5mg
リン酸二水素ナトリウム 5mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
製剤例5
エピナスチン塩酸塩 0.5mg
エデト酸ナトリウム 1mg
ほう酸 0.5mg
リン酸二水素ナトリウム 12mg
塩化ナトリウム 8mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
製剤例6
エピナスチン塩酸塩 1mg
エデト酸ナトリウム水和物 0.5mg
ε-アミノカプロン酸 5mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
製剤例7
エピナスチン塩酸塩 1mg
エデト酸ナトリウム水和物 0.5mg
グルタミン酸ナトリウム 5mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
製剤例8
エピナスチン塩酸塩 1mg
エデト酸ナトリウム水和物 1mg
塩化ナトリウム 8mg
希塩酸 適量
水酸化ナトリウム 適量
精製水 適量
pH 7.0
試験例
1.花粉破裂試験
(1)被験製剤の調製
下表1の濃度になるように、エピナスチン塩酸塩、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウムを水に溶解し、pH調節剤(希塩酸及び/又は水酸化ナトリウム)と水を加えて全量を10mLとし、濾過滅菌を行うことにより、実施例1の製剤を調製した。
また、実施例1の製剤の調製方法と同様の方法にて、下表1の実施例2~4及び比較例1の製剤を調製した。なお、表1中の「M」は体積モル濃度(製剤1L中に含まれる対象成分の物質量(mol))を表す。
Figure 0007114668000002
(2)試験方法
スギ花粉粒子を約3μLずつ採取し、96ウェルマイクロプレートに播種した。その後、各ウェルに被験製剤50μLを滴下し、直後に血球計算盤を用いて光学顕微鏡下でトータルの花粉数を計測した。さらに、経時的に滴下5分後及び10分後に破裂した花粉数を同様に顕微鏡下で計測した。これを各被験製剤で2回ずつ実施した。
花粉破裂率は以下の計算式より算出し、さらに各被験製剤ごとの平均花粉破裂率を算出した。
花粉破裂率(%)=(滴下5分後又は10分後までに破裂した花粉数)/(被験製剤滴下直後のトータル花粉数)×100
(3)試験結果及び考察
試験結果を表1に示す。
Figure 0007114668000003
表2に示されるように、リン酸塩を含有する比較例1に対して、低級脂肪族カルボン酸類を含有する実施例1、2(クエン酸塩)、実施例3(ε-アミノカプロン酸)及び実施例4(グルタミン酸塩)は、花粉外壁の破裂をより抑制することが示された。
2.眼内動態試験
(1)被験製剤の調製
実施例1の製剤の調製方法と同様の方法にて、下表3の実施例5、実施例6及び比較例2の製剤を調製した。なお、いずれの被験製剤の浸透圧を等しくするために、塩化ナトリウムの含有量を適宜調整した。
Figure 0007114668000004
(2)試験方法
各被験製剤5μLをラットに1回点眼投与し(n=6)、点眼投与後1時間の時点で屠殺処分後の眼球を摘出した。その結膜中のエピナスチン濃度を測定し、平均値を算出した。
(3)試験結果及び考察
試験結果を表4に示す。
Figure 0007114668000005
表4に示されるように、クエン酸ナトリウム水和物を含有する実施例5、ε-アミノカプロン酸を含有する実施例6は、低級脂肪族カルボン酸類を含有しない比較例2と比べて、結膜組織中のエピナスチン濃度が増大することが確認された。従って、本発明の花粉破裂抑制剤において、エピナスチンの結膜組織への移行性が向上することが示された。
本発明は、エピナスチン又はその塩と、低級脂肪族カルボン酸類とを含有する花粉破裂抑制剤を提供する。

Claims (6)

  1. 花粉外壁の破裂を抑制する作用を発揮する成分としてエピナスチン又はその塩のみと、0.1~4%(w/v)濃度の低級脂肪族カルボン酸類とを含有する花粉破裂抑制剤であって、低級脂肪族カルボン酸類が、クエン酸、ルタミン酸及びそれらの塩からなる群より選択される1種以上である、花粉破裂抑制剤。
  2. エピナスチン又はその塩の濃度が、0.01~5%(w/v)である、請求項1に記載の花粉破裂抑制剤。
  3. エピナスチン又はその塩の濃度が、0.05%(w/v)以上である、請求項1に記載の花粉破裂抑制剤。
  4. エピナスチン又はその塩が、エピナスチン塩酸塩である、請求項1~3のいずれか1項に記載の花粉破裂抑制剤。
  5. 点眼投与に用いるための、請求項1~4のいずれか1項に記載の花粉破裂抑制剤。
  6. 1眼あたり1滴又は2滴を1回として1日2回~4回点眼されるように用いられる、請求項1~5のいずれか1項に記載の花粉破裂抑制剤。
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