以下に、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔第1実施形態〕
排水栓装置1は、槽体としての浴槽100の底壁部101に貫通形成された排水口102を開閉するための装置であり、図1に示すように、排水口装置2、自動閉栓機構3及び操作部としての電動操作装置6を備えている。
排水口装置2は、排水口部材21、アタッチメント部材22、支持軸機構23及び栓蓋24を備えている。
排水口部材21は、筒状に形成されており、その内周に、アタッチメント部材22を取付けるために用いられる突起や切欠きを備えている。また、排水口部材21は、自身の中心軸と排水口102の中心軸とがほぼ一致するように排水口102に挿設されている。より詳しくは、排水口部材21は、自身の外周に形成された雄ねじ部へと図示しない配管が螺合され、自身の上端部に形成された鍔部と前記配管とによって底壁部101を挟み込んだ状態とされることで、排水口102に挿設されている。尚、本実施形態では、前記鍔部と底壁部101との間に、弾性変形可能な材料(例えば、ゴムや樹脂等)からなる環状のシール部材25が配置されており、当該シール部材25によって排水口部材21及び底壁部101間の水密性が確保されている。
アタッチメント部材22は、排水口部材21の内部、つまり、排水の流路にて支持軸機構23を保持するためのものである。アタッチメント部材22は、同心円状に形成された外筒部22A及び内筒部22Bと、これらを連結するアーム部22Cとを備えている。アタッチメント部材22は、内筒部22Bの内周において支持軸機構23を保持しつつ、外筒部22Aが排水口部材21へと前記突起や切欠きを利用して取付けられることで、支持軸機構23を排水口部材21の内部にて保持している。
支持軸機構23は、栓蓋24を上下動させるための機構である。支持軸機構23は、前記内筒部22Bにより上下動不能な状態で保持された円筒ケース23A、当該円筒ケース23Aの内部に配置された上下動可能な支持軸23B、及び、円筒ケース23A及び支持軸23B間に配置され、支持軸23Bに対し下方に向けた戻り力を付与する戻りばね23Cを備えている。支持軸23Bは、その上端部に栓蓋24が取付けられており、筒状のチューブ部材72の内部にて往復移動可能な伝達部材71(例えば、金属製のワイヤなど)によって押し上げ可能となっている。尚、本実施形態では、支持軸23B内にアブソーバスプリング23Dが設けられており、当該アブソーバスプリング23Dによって、排水口102が開状態であるときに栓蓋24を踏み付けた場合など、栓蓋24へと下向きの大きな力が加わった場合に、伝達部材71やアタッチメント部材22等へと過大な負荷が加わらないように構成されている。
栓蓋24は、支持軸23Bとともに上下動することで、排水口102を開閉するためのものである。栓蓋24は、樹脂等からなる円板状の栓蓋本体部24Aと、弾性変形可能な材料(例えば、ゴムや樹脂等)によって環状に形成され、栓蓋本体部24Aに取付けられたパッキン部24Bとを備えている。本実施形態では、伝達部材71が往動し(後述する通電動作ユニット4側から排水口装置2側へと移動し)、戻りばね23Cからの戻り力に抗して支持軸23Bが上動することで栓蓋24が上動する。そして、パッキン部24Bが排水口部材21から離間することで、排水口102(排水の流路)が開状態とされる(図2参照)。一方、伝達部材71が復動し、戻りばね23Cからの戻り力によって支持軸23Bが下動することで栓蓋24が下動する。そして、パッキン部24Bの外周部分全域が排水口部材21に接触することで、排水口102(排水の流路)が閉状態とされる(図1参照)。
次いで、自動閉栓機構3について説明する。自動閉栓機構3は、排水口102を閉状態から開状態へと切換えるように電動操作装置6が操作されてから所定時間経過後に、排水口102を自動的に開状態から閉状態へと切換える自動閉栓機能を実現するための装置である。自動閉栓機構3は、通電動作ユニット4及び制御装置5を備えている。
通電動作ユニット4は、浴槽100の上部外縁に設けられた図示しないフランジ部の下方(裏側)などに設けられており、ケース41と、変位部材42と、減速歯車群43と、通電動作部としてのモータ44と、それぞれ位置検知手段に相当する第一磁気センサ45A及び第二磁気センサ45Bとを備えている。尚、通電動作ユニット4を必ずしも前記フランジ部の下方に設ける必要はなく、その配設位置を適宜変更してもよい。
ケース41は、変位部材42や減速歯車群43等を収容するためのものであり、ケース41の内部には、変位部材42の移動をガイドするためのガイド部やモータ44を保持するための保持部(それぞれ不図示)などが形成されている。ケース41の側壁には貫通孔が形成されており、前記貫通孔を通って伝達部材71の端部がケース41内に配置された状態となっている。
変位部材42は、ケース41内にて往復移動可能な状態で配置されており、その往復移動方向に沿って並ぶ複数の歯42Aを備えたラックによって構成されている。変位部材42は、自身の往復移動方向に沿って伝達部材71の端部と直列的に連結されており、変位部材42の往復移動に伴い伝達部材71が往復移動するようになっている。
加えて、変位部材42には、磁石42Bが取付けられており、当該磁石42Bは、変位部材42の移動に合わせてその位置が変化するようになっている。
減速歯車群43は、モータ44で生じた駆動力を変位部材42に対し、回転数を減じつつ伝達するものである。本実施形態において、減速歯車群43は、それぞれ2段歯車(歯数の異なる2つの歯車が、歯車の回転軸方向に沿って並ぶようにして配置されたもの)によって構成された、第一歯車43A及び第二歯車43Bを備えている。
第一歯車43A及び第二歯車43Bは、それぞれ図示しない軸部によって自由回転可能に支持されている。第一歯車43Aは、その大きい側の歯車が後述するウォーム44Bに噛合され、その小さい側の歯車が第二歯車43Bにおける大きい側の歯車に噛合されている。また、第二歯車43Bは、その小さい側の歯車が変位部材42に噛合されている。尚、減速歯車群43を構成する歯車の数などは、変位部材42における移動量や次述する駆動軸44Aの回転数などに応じて適宜変更してもよい。
モータ44は、通電により動作可能であるとともに、自身の動作により栓蓋24を移動させることが可能とされた、排水口102を開閉するための駆動源である。モータ44は、回転可能な棒状の駆動軸44Aを備えるとともに、制御装置5と一体に設けられた図示しない電源に対し電気的に接続されている。モータ44は、前記電源からの給電により、駆動軸44Aを双方向に回転させることができるようになっている。また、駆動軸44Aには、ウォーム44Bが固定されている。ウォーム44Bは、外周に螺旋状の突部を備えてなり、上述の通り、第一歯車43Aにおける大きい側の歯車に噛合されている。
本実施形態では、ウォーム44B及びこれに噛合された第一歯車43Aからなるセルフロック機構によってストッパ機構46が構成されている。ストッパ機構46によれば、駆動軸44Aを回転させることで第一歯車43Aを回転させることができる一方、第二歯車43B側から加わる力による第一歯車43Aの回転を規制することができる。これにより、水圧や自重により栓蓋24側から加わる負荷によって伝達部材71や変位部材42が移動してしまうことを防止でき、ひいては栓蓋24を上動した状態でロックし、排水口102を開状態のまま維持することができるようになっている。
第一磁気センサ45A及び第二磁気センサ45Bは、それぞれ磁石42Bで生じている磁気を検知するためのセンサであり、例えば、ホール素子などを有している。第一磁気センサ45A及び第二磁気センサ45Bは、変位部材42の側方において、変位部材42の往復移動方向に沿って所定間隔をあけた状態で、ケース41の側壁に固定されている。両磁気センサ45A,45Bは、それぞれ制御装置5と電気的に接続されており、磁石42Bで生じている磁気を検知して変位部材42の位置を検知することで、栓蓋24の位置を間接的に検知する。
本実施形態では、変位部材42が往動して排水口102が開状態とされたときに、第一磁気センサ45Aによって磁石42Bの磁気が検知されるようになっており、一方、変位部材42が復動して排水口102が閉状態となったときに、第二磁気センサ45Bによって磁石42Bの磁気が検知されるようになっている。従って、両磁気センサ45A,45Bによれば、排水口102を閉状態から開状態へと切換えるように電動操作装置6が操作されたことを把握することができる。尚、第一磁気センサ45A及び第二磁気センサ45Bのうち磁石42Bの磁気を検知している側は、所定の磁気検知信号を制御装置5へと所定の短時間毎に出力する。
次いで、制御装置5の説明に先立って、まず電動操作装置6について説明する。電動操作装置6は、制御装置5と電気的に接続されており、主として栓蓋24を上下動させて排水口102の開閉状態を切換えるために、使用者によって操作される装置である。但し、本実施形態における電動操作装置6は、排水口102の開閉状態の切換のみならず、排水口102の自動閉栓に係るタイミングを設定・変更したり、各種情報を表示したりすることも可能である。本実施形態において、電動操作装置6は、例えば浴室内に設けられている。尚、電動操作装置6の設置場所は、特に限定されるものではなく、浴室以外の部屋などに設けてもよい。また、電動操作装置6を複数設けてもよいし、持ち運び可能な装置としてもよい。
電動操作装置6は、液晶等からなり各種情報を表示するための表示部61と、押しボタン等からなる情報の入力部62とを備えている。
表示部61は、排水口102を自動的に開状態から閉状態へと切換える際における、閉状態への切換タイミングに係る情報、すなわち、自動閉栓機能を実行する場合において排水口を閉状態から開状態へと切換えた後に排水口102を開状態のままで維持する時間に関する情報(以下、「閉栓タイミング情報α」という)を表示可能とされている。より詳しくは、電動操作装置6は、制御装置5と通信することで、後述する設定記憶部51に記憶された閉栓タイミング情報αを受信し、受信した閉栓タイミング情報αを表示部61にて表示する。表示部61では、閉栓タイミング情報αを分単位で表示することができるようになっている。また、閉栓タイミング情報αは、一定時間ごとに更新表示されるようになっている。尚、表示部61において、例えば、排水口102の現在の開閉状態に関する情報や、浴槽100へと吐出される湯の温度などを表示可能としてもよい。また、表示部61及び入力部62をタッチパネルによって構成し、両者を一体化してもよい。
入力部62は、それぞれ排水口102の開閉状態を切換える際に押圧操作される通常開栓入力部62A、自閉開栓入力部62B及び閉栓入力部62Cと、閉栓タイミング情報αを調節する(増減させる)際に押圧操作される増大入力部62D及び減少入力部62Eとを備えている。本実施形態では、増大入力部62D及び減少入力部62Eが入力手段に相当する。
通常開栓入力部62Aは、排水口102を開状態として、その開状態をそのまま維持したいときに使用者による操作対象となるものである。通常開栓入力部62Aは、例えば、排水口102が開状態となった後にその状態がそのまま維持されることを示す文字や図形、記号(例えば、「通常開栓」といった文字等)などの付された押しボタン等により構成されている。通常開栓入力部62Aが押圧操作されると、電動操作装置6は、制御装置5へと所定の通常開栓要求信号を出力する。
自閉開栓入力部62Bは、排水口102を開状態とするとともに、閉栓タイミング情報αに対応する所定時間だけ経過したときに排水口102を自動的に閉状態としたい場合に使用者による操作対象となるものである。自閉開栓入力部62Bは、例えば、排水口102が開状態となってから所定時間経過後に閉状態に切換えられることを示す文字や図形、記号(例えば、「自動閉栓付き開栓」といった文字等)などの付された押しボタン等により構成されている。自閉開栓入力部62Bが押圧操作されると、電動操作装置6は、制御装置5へと所定の自閉開栓要求信号を出力する。
閉栓入力部62Cは、排水口102を閉状態としたいときに使用者による操作対象となるものである。閉栓入力部62Cは、例えば、排水口102が閉状態となることを示す文字や図形、記号(例えば、「閉栓」といった文字等)などの付された押しボタン等により構成されている。閉栓入力部62Cが押圧操作されると、電動操作装置6は、制御装置5へと所定の閉栓要求信号を出力する。
増大入力部62Dは、後述する設定記憶部51に記憶された閉栓タイミング情報αを増加させたいとき、つまり排水口102を開状態のままでより長期間に亘って維持したいときに使用者による操作対象となるものである。増大入力部62Dは、閉栓タイミング情報αが増加することを示す文字や図形、記号(例えば、「+」といった記号等)などの付された押しボタン等によって構成されている。増大入力部62Dが押圧されると、電動操作装置6は、制御装置5へと所定の増大要求信号を出力する。
減少入力部62Eは、設定記憶部51に記憶された閉栓タイミング情報αを減少させたいとき、つまり排水口102を開状態で維持する時間をより短いものとしたいときに使用者による操作対象となるものである。減少入力部62Eは、閉栓タイミング情報αが減少することを示す文字や図形、記号(例えば、「-」といった記号等)などの付された押しボタン等によって構成されている。減少入力部62Eが押圧されると、電動操作装置6は、制御装置5へと所定の減少要求信号を出力する。尚、本実施形態では、増大入力部62D及び減少入力部62Eを用いることで、閉栓タイミング情報αを分単位で増減させることができるようになっている。
次いで、制御装置5について説明する。制御装置5は、例えばマイコン等により構成されており、通電動作ユニット4を制御して排水口102の開閉状態を切換えるための装置である。制御装置5は、設定記憶部51、制御タイマ部52及び動作制御部53を備えている。
設定記憶部51は、閉栓タイミング情報αなどの各種情報を記憶するためのものである。設定記憶部51は、電動操作装置6から制御装置5へと増加要求信号が入力されると、記憶されている閉栓タイミング情報αを1分間だけ増大させるように更新した上で新たな閉栓タイミング情報αを記憶する。一方、設定記憶部51は、電動操作装置6から制御装置5へと減少要求信号が入力されると、記憶されている閉栓タイミング情報αを1分間だけ減少させるように更新した上で新たな閉栓タイミング情報αを記憶する。但し、閉栓タイミング情報αが設定可能な最大値であるときに制御装置5へと増大要求信号が入力された場合、又は、閉栓タイミング情報αが設定可能な最小値であるときに制御装置5へと減少要求信号が入力された場合、設定記憶部51は、閉栓タイミング情報αを更新することなくそのまま維持する。尚、閉栓タイミング情報αは、制御タイマ部52の時間計測に関する後述の最小値及び最大値間の値に対応するものとされる。また、開栓タイミング情報αは、浴槽100に最大限の水を溜めた状態において、排水口102を閉状態から開状態へと切換えてから、浴槽100内の水がほぼ全て排出されるまでに要する時間と同程度の時間又はこれよりも長い時間に対応するものとすることが好ましい。
さらに、設定記憶部51は、閉動作非実行用情報βも記憶している。閉動作非実行用情報βは、排水口102を開状態のまま維持するとき、すなわち、排水口102が自動的に閉状態とならないようにするときに利用される数値である。閉動作非実行情報βとしては、制御タイマ部52の時間計測に関する最小値及び最大値間の値以外の値に対応するものが設定されている。
制御タイマ部52は、排水口102を閉状態から開状態へと切換えるように電動操作装置6が操作されたことを契機として時間の計測を開始する。本実施形態において、制御タイマ部52は、第一磁気センサ45A及び第二磁気センサ45Bによる検知結果に基づき、より詳しくは、排水口102が閉状態から開状態へと切換わり、磁気検知信号を出力するセンサが第二磁気センサ45Bから第一磁気センサ45Aへと切換わったことに基づき、時間の計測を開始する。尚、本実施形態における制御タイマ部52は、所定の最初値(例えば0)から所定の最大値まで時間計測し、前記最大値まで計測した後に計測値を前記最小値に戻すように構成されたループタイマである。
また、制御タイマ部52は、時間計測の最中に、排水口102を開状態から閉状態へと切換えるように電動操作装置6が操作されたことを契機として、時間計測を停止するとともに、計測した時間をリセットする(例えば0とする)。より詳しくは、制御タイマ部52は、磁気検知信号を出力するセンサが第一磁気センサ45Aから第二磁気センサ45Bへと切換わったことに基づき、時間計測を停止するとともに、計測した時間をリセットする。
動作制御部53は、入力された各種信号や制御タイマ部52における時間計測結果に基づき、制御タイマ部52やモータ44の動作を制御するためのものである。
動作制御部53は、電動操作装置6から通常開栓要求信号又は自閉開栓要求信号が入力されると、排水口102を開状態とするための動作を行う。具体的には、動作制御部53は、まず、第一磁気センサ45A又は第二磁気センサ45Bから入力される磁気検知信号を確認し、排水口102が閉状態であるか否かを把握する。そして、排水口102が閉状態である場合(第二磁気センサ45Bから磁気検知信号が入力されている場合)、動作制御部53は、前記電源からモータ44に対し、駆動軸44Aを一方側に所定数だけ回転させるための電力を供給させる。尚、モータ44に対する給電制御は、例えば、給電開始からの経過時間に応じて行うこととしてもよい。また、磁気センサ45A,45Bからの磁気検知信号に基づき、前記電源からモータ44への給電停止を制御してもよい。前記電源からモータ44に対する電力の供給により、排水口102は開状態から閉状態へと切換わることとなる。一方、排水口102が開状態である場合(第一磁気センサ45Aから磁気検知信号が入力されている場合)、動作制御部53は、前記電源からモータ44へと電力を供給させることなく、排水口102を開状態のまま維持する。
さらに、動作制御部53は、電動操作装置6から自閉開栓要求信号が入力された場合、上述した排水口102を開状態とするための動作に加えて、排水口102を自動的に閉状態とするための動作を行う。詳述すると、動作制御部53は、閉動作用カウンタ値Xとして、設定記憶部51に記憶された閉栓タイミング情報αを設定する。その上で、動作制御部53は、排水口102が開状態となった後において制御タイマ部52による計測時間tが設定した閉動作用カウンタ値Xと等しくなったときに、排水口102を開状態に切換えてから所定時間(閉栓タイミング情報α)が経過したものとして、前記電源からモータ44に対し駆動軸44Aを他方側に所定数だけ回転させるための電力を供給する。これにより、排水口102は、開状態へと切換わってから所定時間後に自動的に閉状態へと切換わり、自動閉栓機能が実現されることとなる。
尚、本実施形態では、制御タイマ部52による計測時間tが、閉動作用カウンタ値Xすなわち設定記憶部51に記憶された閉栓タイミング情報αと等しくなることが、「制御タイマ部52による計測時間が所定の条件を満たすこと」に相当する。つまり、本実施形態における所定の条件には、制御タイマ部52による計測時間が閉栓タイミング情報αと等しくなるという条件と、その閉栓タイミング情報αが設定記憶部51に記憶された情報であるという条件とが含まれる。従って、増大入力部62D及び減少入力部62Eによって、設定記憶部51に記憶される閉栓タイミング情報αを設定・変更することは、前記所定の条件を設定・変更することにあたる。
動作制御部53の説明に戻り、動作制御部53は、電動操作装置6から通常開栓要求信号が入力された場合、上述した排水口102を開状態とするための動作に加えて、排水口102を開状態で維持するための動作を行う。詳述すると、動作制御部53は、閉動作用カウンタ値Xとして、設定記憶部51に記憶された閉動作非実行用情報βを設定する。本実施形態では、制御タイマ部52による計測時間tが閉動作非実行用情報βと等しくなることはないため、結果的に、排水口102が自動的に閉状態となることが防止され、排水口102が開状態のままで維持される。このように本実施形態における排水栓装置1では、自動閉栓機能だけでなく、排水口102を閉状態から開状態へと切換えるように電動操作装置6が操作された後に排水口102を開状態のまま維持する開栓維持機能をも実現されており、通常開栓入力部62A又は自閉開栓入力部62Bを操作することで、自動閉栓機能及び開栓維持機能を選択的に利用することができるようになっている。
また、動作制御部53は、電動操作装置6から閉栓要求信号が入力された場合、排水口102を閉状態とするための動作を行う。具体的には、動作制御部53は、第一磁気センサ45A又は第二磁気センサ45Bから入力される磁気検知信号に基づき、排水口102が開状態であるか否かを把握する。そして、排水口102が開状態である場合(第一磁気センサ45Aから磁気検知信号が入力されている場合)、動作制御部53は、前記電源からモータ44に対し駆動軸44Aを他方側に所定数だけ回転させるための電力を供給する。これにより、排水口102は開状態から閉状態へと切換えられることとなる。一方、排水口102が閉状態である場合(第二磁気センサ45Bから磁気検知信号が入力されている場合)、動作制御部53は、前記電源からモータ44へと電力を供給させることなく、排水口102を閉状態のまま維持する。
次に、上述した排水栓装置1における排水口102の開閉動作のうち、電動操作装置6から制御装置5へと自閉開栓要求信号が入力された場合、つまり自動閉栓機能を発揮させようとした場合の動作、及び、電動操作装置6から制御装置5へと通常開栓要求信号が入力された場合、つまり自動閉栓機能を発揮させず、開栓維持機能を発揮させようにした場合の動作を中心に説明する。
まず、電動操作装置6から制御装置5へと自閉開栓要求信号が入力された場合の動作について説明する。図3に示すように、電動操作装置6から制御装置5(動作制御部53)へと自閉開栓要求信号が入力されると(ステップS1)、動作制御部53によって磁気センサ45A,45Bからの出力に基づき排水口102の開閉状態が確認される(ステップS2)。そして、排水口102が閉状態であると、動作制御部53により閉動作用カウンタ値Xとして閉栓タイミング情報αが設定される(ステップS3)。また、動作制御部53により前記電源が制御され(ステップS4)、前記電源からモータ44へと電力が供給される(ステップS5)。その結果、駆動軸44Aが一方側に回転するようにモータ44が動作し(ステップS6)、排水口102が閉状態から開状態へと切換えられる(ステップS7)。さらに、排水口102が開状態へとなることで、磁気検知信号を出力するセンサが第二磁気センサ45Bから第一磁気センサ45Aへと切換わるため、制御タイマ部52による時間計測が開始される(ステップS8)。
その後、電動操作装置6から制御装置5へと閉栓要求信号が入力されることなく、制御タイマ部52による計測時間tが閉動作用カウンタ値Xと等しくなると(ステップS9)、動作制御部53により前記電源が制御され(ステップS10)、前記電源からモータ44へと電力が供給される(ステップS11)。その結果、駆動軸44Aが他方側に回転するようにモータ44が動作し(ステップS12)、排水口102が開状態から閉状態へと切換えられる(ステップS14)。さらに、排水口102が閉状態になることで、磁気検知信号を出力するセンサが第一磁気センサ45Aから第二磁気センサ45Bへと切換わるため、制御タイマ部52による時間計測が停止されるとともに、計測時間tがリセットされる(ステップS13)。
尚、図4に示すように、制御タイマ部52による計測時間tが閉動作用カウンタ値Xと等しくなる前に、電動操作装置6から制御装置5へと閉栓要求信号が入力された場合(ステップS15)、まず動作制御部53によって磁気センサ45A,45Bからの出力に基づき排水口102の開閉状態が確認される(ステップS16)。そして、排水口102が開状態である場合に、上述したステップS10~S14の動作が行われることで、排水口102が強制的に閉状態とされる。
次いで、電動操作装置6から制御装置5へと通常開栓要求信号が入力された場合の動作について説明すると、図5に示すように、電動操作装置6から制御装置5へと通常開栓要求信号が入力された場合(ステップS17)、基本的には上述したS2~S8の動作が実行される。但し、ステップS3の動作に代えて、動作制御部53により閉動作用カウンタ値Xとして閉動作非実行用情報βが設定される(ステップS18)。これにより、自動閉栓機能が実行されない状態となり、排水口102は開状態のまま維持される。
以上詳述したように、本実施形態によれば、自動閉栓機構3によって、排水口102を閉状態から開状態へと切換えるように電動操作装置6が操作されてから所定時間経過後に、排水口102を自動的に閉状態とする自動閉栓機能を実現することができる。これにより、浴槽100に水を溜めようとしたときに、排水口102を開状態としたまま浴槽100に水を供給してしまうといった事態をより生じにくくすることができる。また、このような事態を防ぐために、排水口102の開閉状態を実際に見て十分に確認するといった面倒な行動をとる必要がない。これらの結果、浴槽100へと水が無駄に供給されてしまうことをより容易にかつより確実に防止できる。
また、自動閉栓機構3によって、浴槽100へと水を溜めようとする度に、排水口102を開状態から閉状態へと切換えるといった面倒な手間を減らすことができる。その結果、使用者にとっての利便性を著しく向上させることができる。
さらに、自動閉栓機能の実行が予約されている段階で、つまり排水口102が未だ開状態で維持されているときに、排水口102を開状態から閉状態へと切換えるように電動操作装置6(閉栓入力部62C)を操作することで、排水口102を強制的に閉状態に切換えることができる。これにより、清掃時やシャワー入浴時等において排水口102を開状態とした後に閉状態へと直ちに切換えたり、排水口102を誤って開状態にしてしまったときに排水口102を閉状態へと切換えることでそれ以上の水の排出を防止したり、排水口102を開状態とすることである程度の水を排出した後に再度排水口102を閉状態に切換えることにより浴槽100の貯水量を調節したりすること等が可能となる。その結果、使用者にとっての利便性をより向上させることができる。
加えて、本実施形態によれば、自動閉栓機構3を、電気的な動作や制御を利用することによって比較的簡単に構成することができる。また、制御タイマ部52によって時間計測し、その計測時間に基づき排水口102を閉状態へと切換えるため、閉状態へと切換えるタイミングにバラツキが生じにくくなり、より正確な自動閉栓動作を実現することができる。
さらに、所定時間が経過したか否かを判定するために用いられる所定の条件(本実施形態では、閉栓タイミング情報α)を設定・変更するための増大入力部62D及び減少入力部62Eが設けられている。従って、浴槽100における排水能力や使用者の要望に合わせて開栓維持時間を変更することができ、利便性の更なる向上を図ることができる。
〔第2実施形態〕
次いで、第2実施形態について上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。上記第1実施形態では、電動操作装置6に設けられた入力部62を操作することで、排水口102の開閉状態が切換えられるように構成されている。これに対し、本第2実施形態では、図6に示すように、電動操作装置6に加えて、栓蓋24を手動により上下動させるときに操作対象となる手動操作装置8を備えている。本第2実施形態では、電動操作部としての電動操作装置6と、手動操作部としての手動操作装置8とによって、操作部としての操作装置10が構成されている。尚、手動操作装置8は、浴室(浴槽100)に設けられており、電動操作装置6は、浴室以外の部屋(例えば台所など)に設けられている。勿論、手動操作装置8及び電動操作装置6の設置位置を適宜変更してもよい。
手動操作装置8は、使用者によって押圧操作可能に構成されており、使用者による操作で生じた操作力により栓蓋24を移動させるものである。手動操作装置8は、円板状の操作ボタン81と、操作ボタン81の中心部に連結され、上下方向に往復移動可能な操作軸82とを備えている。また、操作軸82の側部には、突起状の被押圧部83が形成されている。被押圧部83は、変位部材42が往動するときに当該変位部材42によって押圧可能に構成されており、変位部材42により被押圧部83が押圧されることで、手動操作装置8が往動するようになっている。
さらに、本第2実施形態において、磁石42Bは、操作軸82に取付けられており、操作軸82の移動に伴い変位するようになっている。
また、上記第1実施形態において、栓蓋24を上動させた状態でロックし排水口102を開状態のまま維持する機能はストッパ機構36によって実現されているが、本第2実施形態では、メカボックス9によってこの機能が実現されている。メカボックス9は、所定のロック機構(図示せず)を内蔵しており、本第2実施形態では、操作ボタン81を押圧する度に、前記ロック機構によって操作軸82が往動した状態で所定位置においてロックされることと、ロック解除に伴い、伝達部材71を介して前記戻りばね23Cから加わる付勢力により操作軸82が復動することとが交互に行われるようになっている。操作軸82が往動した状態でロックされることにより伝達部材71が往動した状態でロックされ、その結果、栓蓋24が上動して排水口102が開状態のまま維持される(図7参照)。一方、操作軸82のロックが解除されて操作軸82が復動すると、戻りばね23Cからの付勢力により伝達部材71が復動して栓蓋24が下動し、その結果、排水口102が閉状態とされる(図6参照)。
さらに、上記第1実施形態において、動作制御部53は、排水口102を閉状態から開状態へと切換える際に駆動軸44Aを一方側に回転させ、排水口102を開状態から閉状態へと切換える際に駆動軸44Aを他方側に回転させるようにモータ44を制御する。これに対し、本第2実施形態における動作制御部53は、排水口102を閉状態から開状態へと切換える際であっても開状態から閉状態へと切換える際であっても、駆動軸44Aが一方側に所定の回転数だけ回転した後に他方側に同じ回転数だけ回転するようにモータ44を制御する。従って、排水口102の開閉状態を切換える際に、変位部材42は常に一定の往復移動を行うこととなる。
また、本第2実施形態における動作制御部53は、自閉開栓要求信号又は通常開栓要求信号が入力されることなく、手動により排水口102が閉状態から開状態へと切換えられ、制御タイマ部52による時間計測が開始した場合、閉動作用カウンタ値Xとして閉栓タイミング情報αを設定するようになっている。これにより、手動操作によって排水口102が閉状態とされた場合に、自動閉栓機能が実行されることとなる。
次に、上記のように構成された本第2実施形態の排水栓装置1における排水口102の開閉動作のうち、特に手動操作装置8を操作した場合について説明する。
図8に示すように、排水口102を閉状態から開状態へと切換えるべく、手動操作装置8(操作ボタン81)を押圧操作すると(ステップS21)、メカボックス9の前記ロック機構によって操作軸82が往動した状態でロックされるとともに、栓蓋24が上動して排水口102が開状態とされる(ステップS22)。排水口102が開状態になることで、磁気検知信号を出力するセンサが第二磁気センサ45Bから第一磁気センサ45Aへと切換わるため、制御タイマ部52による時間計測が開始される(ステップS23)。また、時間計測の開始に伴い、動作制御部53により閉動作用カウンタ値Xとして閉栓タイミング情報αが設定される(ステップS24)。
その後、電動操作装置6から制御装置5へと閉栓要求信号が入力されたり、手動操作によって排水口102が閉状態とされたりすることなく、制御タイマ部52による計測時間tが閉動作用カウンタ値Xと等しくなると(ステップS25)、動作制御部53により前記電源が制御され(ステップS26)、前記電源からモータ44へと電力が供給される(ステップS27)。その結果、駆動軸44Aが双方向に回転する(一方側に回転した後に他方側に回転する)ようにモータ44が動作し(ステップS28)、被押圧部83が変位部材42に押圧されることで、前記ロック機構による操作軸82のロックが解除される。その結果、戻りばね23Cからの戻り力によって、排水口102が開状態から閉状態へと切換えられるとともに(ステップS29)、操作軸82が復動(戻り移動)する(ステップS30)。さらに、排水口102が閉状態へとなることで、磁気検知信号を出力するセンサが第一磁気センサ45Aから第二磁気センサ45Bへと切換わるため、制御タイマ部52による時間計測が停止されるとともに、計測時間がリセットされる(ステップS31)。
尚、図9に示すように、排水口102を開状態とした後であって計測時間tが閉動作用カウンタ値Xと等しくなる前に、手動操作装置8(操作ボタン81)が押圧操作された場合(ステップS32)、排水口102が強制的に開状態とされるとともに(ステップS33)、操作軸82が復動(戻り移動)する(ステップS34)。また、開状態への切換えに伴い制御タイマ部52による時間計測が停止されるとともに、計測時間がリセットされることで(ステップS35)、自動閉栓機能の実行が解除される。
以上、本第2実施形態によれば、基本的には上記第1実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。
また、本第2実施形態において、操作装置10は、栓蓋24を電動操作するための電動操作装置6に加えて、栓蓋24を手動操作するための手動操作装置8を備えている。そのため、電動操作装置6が停電や電池切れ等により使用できない状態になっても、手動操作装置8を使用することにより排水口102の開閉状態を切換えることができる。従って、使用者にとっての利便性をより向上させることができる。
さらに、第一磁気センサ45A及び第二磁気センサ45Bを用いることにより、排水口102を閉状態から開状態へと切換えるように操作装置10が操作されたか否かを、操作対象が手動操作装置8であっても電動操作装置6であっても同様に把握することができる。従って、操作対象がどちらであっても自動閉栓機能を発揮させることができる。その結果、浴槽100へと水が無駄に供給されてしまうことを一層確実に防止できる。また、排水口102を開状態から閉状態へと切換えるといった面倒な手間をより確実に減らすことができ、使用者にとっての利便性を一段と向上させることができる。特に本第2実施形態では、電動操作装置6及び手動操作装置8の設置場所が異なる場合であっても、各操作装置6,8が操作されたときに自動閉栓機能を発揮させることができるため、利便性をより一層高めることができる。
〔第3実施形態〕
次いで、第3実施形態について、上記第2実施形態との相違点を中心に説明する。上記第2実施形態では、電動操作装置6が設けられており、当該電動操作装置6を操作してモータ44を動作させることによって、栓蓋24を上動させて排水口102を閉状態から開状態へと切換えること、及び、栓蓋24を下動させて排水口102を開状態から閉状態へと切換えることの双方が可能に構成されている。これに対し、本第3実施形態では、図10に示すように、電動操作装置6は設けられておらず、栓蓋24の上下動すなわち排水口102の開閉状態の切換えは、基本的には操作部としての手動操作装置8によって行われるように構成されている。そして、モータ44は、自動閉栓機能を実行する場合の動作のみ、つまり、栓蓋24を下動させて排水口102を開状態から閉状態とする動作のみが可能であり、栓蓋24を上動させて排水口102を閉状態から開状態とする動作を行わないように構成されている。
また、本第3実施形態では、自動閉栓機能を有効又は無効とする際に、使用者によって操作される切換装置16が設けられている。切換装置16は、それぞれ押しボタン等によって構成された有効入力部16A及び無効入力部Bを備えている。そして、有効入力部16Aが押圧操作されることで、切換装置16から制御装置5に対し所定の機能有効信号が出力され、一方、無効入力部16Bが押圧操作されることで、切換装置16から制御装置5に対し所定の機能無効信号が出力されるようになっている。尚、切換装置16において、閉栓タイミング情報αを増減させるための入力部(上記第2実施形態における増大入力部62Dや減少入力部62E)を設け、設定記憶部51に記憶される閉栓タイミング情報αを増減可能としてもよい。
さらに、本第3実施形態において、制御装置5の設定記憶部51は、自動閉栓機能の有効・無効を判別するための有効無効判別情報が記憶されている。制御装置5は、切換装置16から機能有効信号が入力されると、有効無効判別情報として、自動閉栓機能が有効であることを示す情報(ON情報)を設定記憶部51に記憶する。一方、切換装置16から機能無効信号が入力されると、制御装置5は、有効無効判別情報として、自動閉栓機能が無効であることを示す情報(OFF)情報を設定記憶部51に記憶する。
また、動作制御部53は、手動操作装置8により排水口102が閉状態から開状態へと切換えられ、制御タイマ部52による時間計測が開始した場合、設定記憶部51に記憶された有効無効判別情報に基づき、閉動作用カウンタ値Xとして閉栓タイミング情報α及び閉動作非実行用情報βのいずれかを設定する。具体的には、動作制御部53は、設定記憶部51にON情報が記憶されていれば、閉動作用カウンタ値Xとして閉栓タイミング情報αを設定し、一方、設定記憶部51にOFF情報が記憶されていれば、閉動作用カウンタ値Xとして閉動作非実行用情報βを設定する。これにより、設定記憶部51にON情報が記憶されている場合、自動閉栓機能を実行することができる一方、設定記憶部51にOFF情報が記憶されている場合、自動閉栓機能を実行せず、排水口102を開状態のままで維持することができるようになっている。
次に、上記のように構成された本第3実施形態の排水栓装置1における、手動操作装置8により排水口102を閉状態から開状態へと切換えた後の動作について、設定記憶部51にON情報が記憶されている場合の動作と、設定記憶部51にOFF情報が記憶されている場合の動作とを説明する。
まず、設定記憶部51にON情報が記憶されている場合について説明する。図11に示すように、排水口102を閉状態から開状態へと切換えるべく、手動操作装置8(操作ボタン81)を押圧操作すると(ステップS41)、メカボックス9の前記ロック機構によって操作軸82が往動した状態でロックされるとともに、栓蓋24が上動して排水口102が開状態とされる(ステップS42)。排水口102が開状態になることで、磁気検知信号を出力するセンサが第二磁気センサ45Bから第一磁気センサ45Aへと切換わるため、制御タイマ部52による時間計測が開始される(ステップS43)。また、設定記憶部51にON情報が記憶されているため(ステップS44)、時間計測の開始に伴い、動作制御部53により閉動作用カウンタ値Xとして閉栓タイミング情報αが設定される(ステップS45)。
その後、手動操作によって排水口102が閉状態とされることなく、制御タイマ部52による計測時間tが閉動作用カウンタ値Xと等しくなると(ステップS46)、動作制御部53により前記電源が制御され(ステップS47)、前記電源からモータ44へと電力が供給される(ステップS48)。その結果、駆動軸44Aが双方向に回転するようにモータ44が動作し(ステップS49)、前記ロック機構による操作軸82のロックが解除されることで、戻りばね23Cからの戻り力によって、排水口102が開状態から閉状態へと切換えられるとともに(ステップS50)、操作軸82が復動(戻り移動)する(ステップS51)。さらに、排水口102が閉状態へとなることで、磁気検知信号を出力するセンサが第一磁気センサ45Aから第二磁気センサ45Bへと切換わるため、制御タイマ部52による時間計測が停止されるとともに、計測時間がリセットされる(ステップS52)。
次いで、設定記憶部51にOFF情報が記憶されている場合について説明する。設定記憶部51にOFF情報が記憶されている場合には、上記ステップS41~S43と同様の動作が行われた後、設定記憶部51にOFF情報が記憶されているため(ステップS53)、動作制御部53により閉動作用カウンタ値Xとして閉動作非実行用情報βが設定される(ステップS54)。これにより、自動閉栓機能が実行されない状態となり、排水口102は開状態のまま維持される。
以上、本第3実施形態によれば、モータ44は、自動閉栓機能を実行するために栓蓋24を下動させて排水口102を開状態から閉状態へと切換えるための動作のみが可能であり、栓蓋24を上動させて排水口102を閉状態から開状態へと切換えるための動作を行わないように構成されている。このようにモータ44が構成されることで、モータ44として出力の大きなものを特段用いる必要がなくなる。従って、モータ44の小型化や省電力化、製造コストの増大抑制などを効果的に図ることができる。
〔第4実施形態〕
次いで、第4実施形態について上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。上記第1実施形態において、自動閉栓機構3は、通電動作可能なモータ44を有する通電動作ユニット4と、モータ44の動作を制御する制御装置5とによって構成されている。これに対し、本第4実施形態において、自動閉栓機構11は、図13に示すように、機械的に動作する機械式動作ユニット12によって構成されている。
機械式動作ユニット12は、図示しない所定の壁部(例えば浴槽100に取付けられたエプロンなど)の裏側に配設されており、それぞれ所定のケース11A内に配置された、回動部121、スライド部122、及び、機械式タイマ部及び機械式閉栓動力部に相当する駆動装置123を備えている。
回動部121は、回動可能な状態で軸支されており、前記壁部の表側に露出する、操作部としての操作ツマミ(図示せず)を備えている。回動部121は、前記操作ツマミの回動に伴い回動する。また、回動部121における表側の面(一端面)の外周寄りには、スライド部122と接触する連結突起121Aが設けられている。尚、本第4実施形態において、回動部121を一方側に最大限回動させたとき、連結突起121Aは、配置可能な範囲内における最下部に位置し、このときの連結突起121Aの中心軸は、回動部121の回動軸の直下に配置されるようになっているが、回動部121を一方側に最大限回動させたときにおける連結突起121Aの位置は適宜変更してもよい。例えば、回動部121を一方側に最大限回動させたとき、連結突起121Aが前記最下部よりも手前に位置するように構成してもよい。
一方、回動部121における裏側の面(他端面)の外周寄りには、回動突起121Bが設けられている。尚、図13等では、図示の便宜上、回動部121及び後述する第二歯車123Dを非同軸状として示しているが、実際には、回動部121及び第二歯車123Dは同軸状で配置されている(図17参照)。また、実際には回動突起121B及び後述する伝達突起123Eが1つずつ設けられているが、図13等では、各突起121B,123Eの動作をより容易に理解可能とするために、回動部121及び第二歯車123D側に各突起121B,123Eをそれぞれ示している(各突起121B,123Eがそれぞれ2つずつ存在するように図示している)。尚、図13等では、回動突起121Bに散点模様を付し、伝達突起123Eに鎖線模様を付している。
スライド部122は、貫通形成された長孔122Aを備えており、当該長孔122Aに対し前記連結突起121Aが挿通されている。また、スライド部122は、前記ケース11Aに設けられた図示しないガイド部によって往復移動のみが可能な状態とされている。さらに、スライド部122には、その往復移動に沿って伝達部材71が直列的に連結されており、回動部121の回動に伴いスライド部122が往復移動することで、伝達部材71が往復移動するようになっている。
駆動装置123は、ぜんまい式動力部123Aと、それぞれ回動可能に軸支された第一歯車123C及び第二歯車123Dとを備えている。
ぜんまい式動力部123Aは、所定のぜんまいばねや調速装置等(それぞれ不図示)を備えており、第一歯車123Cの回動により自身の駆動軸(図示せず)に取付けられた歯車123Bへと力が加わることで、前記ぜんまいばねにおいて蓄力可能に構成されている。歯車123Bは、前記ぜんまいばねにおける蓄力により回動する。
第一歯車123Cは、二段歯車によって構成されており、第二歯車123D及び歯車123B間における動力の伝達経路として機能する。第一歯車123Cは、大きい側の歯車が歯車123Bに噛合され、小さい側の歯車が第二歯車123Dに噛合された状態となっている。
第二歯車123Dは、回動部121側に突出する伝達突起123Eを備えており、当該伝達突起123Eの移動経路は、回動突起121Bの移動経路と重なるようになっている。すなわち、回動部121が回動したときには、回動突起121Bにより伝達突起123Eが押圧されることで第二歯車123Dが回動可能とされており、第二歯車123Dが回動したときには、伝達突起123Eにより回動突起121Bが押圧されることで回動部121が回動可能とされている。
また、本第4実施形態では、前記ぜんまいばねの蓄力によって第二歯車123Dが回動する際、第一歯車123C及び前記調速装置によって、第二歯車123Dが一定の速度で回動するようになっている。また、前記ぜんまいばねを最大限巻き締めたときには、第一歯車123C及び前記調速装置によって、第二歯車123Dが所定角度(例えば、180度)を所定時間(例えば、30分程度)かけて低速で回動するように構成されている。
上記のように構成された自動閉栓機構11においては、前記排水口102が閉状態であるときに、初期状態にある前記操作ツマミを操作して前記回動部121を一方側に回動させることで、連結突起121Aが一方側に回動し、スライド部122が往動する。その結果、伝達部材71が往動(自動閉栓機構11側から排水口装置2側へと移動)し、栓蓋24が上動することで排水口102が開状態に切換えられる(図14参照)。尚、駆動装置123で生じる摩擦力などによって、自重や水圧による栓蓋24の下動は十分に抑制される。
また、回動部121を一方側に回動させることで、回動突起121Bによって伝達突起123Eが押圧され、第二歯車123Dが一方側に回動する。その結果、第一歯車123C等を介してぜんまい式動力部123Aへと力が加わり、その力がぜんまい式動力部123Aに蓄えられる。つまり、駆動装置123は、排水口102を閉状態から開状態へと切換える際に力(操作力)が加わるとともに、その力を蓄えるように構成されている。
そして、前記操作ツマミに対する操作が解除される(例えば、前記操作ツマミから手を離す)と、ぜんまい式動力部123Aの蓄力によって歯車123B、第一歯車123C及び第二歯車123Dが操作時とは反対方向に回転する。つまり、駆動装置123は、蓄力を用いて栓蓋24を徐々に下動させるように戻り動作する。そして、第二歯車123Dが他方側に徐々に回動していくことで、伝達突起123Eによって回動突起121Bが押圧され、回動部121が他方側に徐々に回動していく(図15参照)。その結果、スライド部122及び伝達部材71が徐々に復動していき、栓蓋24が徐々に下動していく。そして、前記操作ツマミが操作されてから(ぜんまい式動力部123Aにおいて力が蓄えられてから)、蓄力の大きさに対応する時間が経過してぜんまい式動力部123Aの前記ぜんまいばねが初期状態に戻ったとき(例えば、前記操作ツマミを最大限回動操作したときには、前記操作ツマミの回動操作から30分程度が経過したとき)に、栓蓋24(パッキン部24B)が排水口部材21へと最終的に接触し、排水口102が閉状態とされる。つまり、機械式動作ユニット12による自動閉栓機能によって、排水口102が自動的に閉状態とされる。
尚、図16に示すように、排水口102が開状態であるときに、回動部121を他方側に回動させるように前記操作ツマミを回動させることで、スライド部122及び伝達部材71を復動させて、自動閉栓機能によることなく、排水口102を強制的に閉状態とすることができる。この場合、駆動装置123は、回動部121に影響を与えることなく、ぜんまい式動力部123Aの蓄力によって徐々に戻り移動していくこととなる。
以上、本第4実施形態によれば、電力を用いることなく、駆動装置123を用いることで、所定時間(蓄力の大きさに対応する時間)が経過したときに排水口102を自動的に閉状態とすることができる。そのため、電力を用いたタイマや動力部を用いる場合と比較して、漏電などの発生防止をより確実に図ることができる。さらに、水に対する耐久性を高めることができ、故障などをより生じにくくすることができる。
加えて、駆動装置123(ぜんまい式動力部123A)は、排水口102を閉状態から開状態へと切換える際に加わる力を蓄えることができる。従って、排水口102を閉状態から開状態へと切換える際に加わる力を、排水口102を自動的に閉状態にするための動力へと変換して有効的に活用することができる。
〔第5実施形態〕
次いで、第5実施形態について上記第4実施形態との相違点を中心に説明する。上記第4実施形態では、操作ツマミに対する操作力によりぜんまい式動力部123Aにて蓄力し、その蓄力を用いて栓蓋24を徐々に下動させるように構成されている。これに対し、本第5実施形態では、図18及び図19に示すように、自動閉栓機構13は、ぜんまいばね等を有し、力を加えられることで蓄力可能とされたぜんまい式タイマ部131を備えているが、当該ぜんまい式タイマ部131は専ら時間計測用のタイマとして利用され、蓄力ではなく戻りばね23Cからの戻り力を用いることで栓蓋24を自動的に下動させるように構成されている。本第5実施形態におけるぜんまい式タイマ部131は、機械式タイマ部に相当する。
自動閉栓機構13は、ぜんまい式タイマ部131に加え、回動板132及びスライダ133等を備えている。尚、実際の回動板132やスライダ133等は、図示しないケースなどに収容されており、当該ケースが後述するガイド筒15や浴槽100等へと取付けられることで、所定位置に配設されるようになっている。
ぜんまい式タイマ部131は、例えば浴槽100に取付けられたエプロンなどに設置されており、ぜんまいばねや調速装置等(それぞれ不図示)を備えている。ぜんまい式タイマ部131は、回動可能な駆動軸131Aと、自動閉栓機能を利用したいときに操作されるタイマ用ツマミ131Bとを備えており、当該タイマ用ツマミ131Bを一方側に回動させることで、前記ぜんまいばねにて蓄力がなされるとともに、駆動軸131Aが一方側に回動するようになっている。一方、前記ぜんまいばねの蓄力によって、駆動軸131Aが他方側に回動(戻り移動)するようになっている。尚、本第5実施形態では、前記ぜんまいばねを最大限巻き締めたときに、前記調速装置によって、駆動軸131Aが所定角度(例えば、270度)を所定時間(例えば、30分程度)かけて他方側に回動(戻り移動)するように構成されている。
回動板132は、駆動軸131Aと連結されており、駆動軸131Aとともに回動する。回動板132の端面の外周寄りには、傾斜リブ132Aが突出形成されている。傾斜リブ132Aは、回動板132の回動方向に対し傾斜する傾斜面を有している。
スライダ133は、後述するスライダ挿通孔151に挿通されており、通常、後述するガイド筒15の内面から突出した状態とされている。スライダ133は、ガイド筒の内面から突出する方向に沿って往復移動可能とされており、図示しない付勢手段(例えば、ばね等)によってガイド筒15の内面から突出する方向に常に付勢された状態となっている。
また、スライダ133は、傾斜リブ132Aの移動経路と重なる位置に、突起状の揺動部133Aを具備している。揺動部133Aは、回動板132の一方側への回動方向に沿って揺動可能である一方、回動板132の他方側への回動方向に沿って揺動不能に構成されている。これにより、タイマ用ツマミ131Bを一方側に回動させて駆動軸131A及び回動板132をそれぞれ一方側に回動させたとき、傾斜リブ132Aによって押される方向(図19の太矢印方向)に揺動部133Aが揺動し、その結果、傾斜リブ132Aが揺動部133Aを通過する。一方、前記ぜんまいばねの蓄力により駆動軸131A及び回動板132がそれぞれ他方側に回動するとき、揺動部133Aは揺動することなく傾斜リブ132Aの前記傾斜面と接触する。
加えて、本第5実施形態においては、操作部として操作装置14が設けられている。操作装置14は、手動操作されることで、所定のガイド筒15の内周面に沿って往復移動可能に構成されている。ガイド筒15は、例えば浴槽100の前記フランジ部に形成された貫通孔に挿設されており、内外方向に貫通するスライダ挿通孔151を備えている。
また、操作装置14は、ガイド筒15に挿通される操作軸141を有しており、当該操作軸141は、伝達部材71と直列的に接続されている。さらに、操作軸141の外周には、スライダ133の先端部を配置可能な溝部141A,141Bが形成されている。溝部141Aにスライダ133を配置した状態とすることで、操作軸141の移動を規制して排水口102を開状態で維持することができ、一方、溝部141Bにスライダ133を配置した状態とすることで、操作軸141の移動を規制して排水口102を閉状態で維持することができるようになっている。
上記のように構成された自動閉栓機構13では、操作軸141を往復移動させることで栓蓋24を上下動させ、排水口102の開閉状態を切換えることができる。具体的には、操作軸141を押し、スライダ133を溝部141Bから外して溝部141Aに配置した状態とすることで、排水口102を閉状態から開状態へと切換えることができる。一方、操作軸141を引き、スライダ133を溝部141Aから外して溝部141Bに配置した状態とすることで、排水口102を開状態から閉状態へと切換えることができる。
また、排水口102が開状態であるときに、タイマ用ツマミ131Bを一方側に回動させることで、自動閉栓機能を利用することができる。すなわち、タイマ用ツマミ131Bを一方側に回動させることで、ぜんまい式タイマ部131が蓄力するとともに、回動板132が一方側に回動する。このとき、揺動部133Aは傾斜リブ132Aに押されて揺動するため、スライダ133はガイド筒15の内面から突出した状態で維持され、排水口102も開状態のままで維持される。
そして、タイマ用ツマミ131Bに対する操作が解除されると(例えばタイマ用ツマミ131Bから手を離すと)、ぜんまい式タイマ部131の蓄力によって回動板132が他方側に徐々に回動していく。回動板132の回動が進むと、傾斜リブ132Aの前記傾斜面が揺動部133Aと接触した状態となり、この状態で回動板132の回動がさらに進むと、揺動部133Aが前記ガイド筒15の内面から離間する方向に徐々に移動していく。また、揺動部133Aの移動により、スライダ133は、ガイド筒15の内面に対する突出量を減じる方向に移動していく。そして、ガイド筒15の内面に対するスライダ133の突出量が十分に減じた状態になると、操作軸141がスライダ133から外れ、戻りばね23Cからの戻り力によって操作軸141及び伝達部材71が復動する。その結果、排水口102が閉状態となる。
以上、本第5実施形態によれば、タイマ用ツマミ131Bを操作することで、自動閉栓機能を利用することができ、一方、タイマ用ツマミ131Bを操作しなければ、排水口102を開状態のまま維持する機能(開栓維持機能)を利用することができる。従って、手動操作によって、排水口を自動的に閉状態としたり、排水口を開状態のまま維持したりすることができ、使用者にとっての利便性を一層向上させることができる。
また、ぜんまい式タイマ部131を用いるため、電力を用いたタイマを用いる場合と比較して、漏電などの発生防止をより確実に図ることができる。さらに、水に対する耐久性を高めることができ、故障などをより生じにくくすることができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、排水口102を閉状態から開状態へと切換えるように電動操作装置6や手動操作装置8など操作されてから所定時間経過後に、排水口102が自動的に閉状態に切換えられるように構成されている。すなわち、電動操作装置6等が操作されてからの経過時間に基づき、排水口102を自動的に閉状態に切換えるタイミングが決定されている。これに対し、時間以外のその他の情報に基づき、排水口102を自動的に閉状態に切換えるタイミングを決定してもよい。例えば、浴槽100における水位を検知するための水位検知手段(例えば、水位検知センサ)や、浴槽100における水の残り量を把握するための残水量把握手段(例えば、浴槽100内を撮像するカメラと、当該カメラにより得られた撮像画像に基づき残水量を検出する検出手段とを備えた手段)、排水口102を流れる排水の流量を検知するための流量検知手段(例えば、流量検知センサ)などから得られた情報に基づき、排水口102を自動的に閉状態に切換えるタイミングを決定してもよい。
(b)上記第1実施形態等において、位置検知手段としての両磁気センサ45A,45Bは、磁石42Bの位置を検知することで、栓蓋24の位置を間接的に検知するように構成されているが、位置検知手段によって栓蓋24の位置を直接検知するように構成してもよい。例えば、栓蓋24に磁石を取付けるとともに、位置検知手段としての磁気センサによって前記磁石の磁気を検知するように構成することによって、栓蓋24の位置を直接検知するように構成してもよい。
(c)上記第1実施形態等において、制御装置5は、通常開栓要求信号、自閉開栓要求信号又は閉栓要求信号が入力されたときに磁気センサ45A,45Bから磁気検知信号を確認し、確認内容に基づきモータ44の動作を制御するように構成されている。これに対し、第一磁気センサ45A及び第二磁気センサ45Bから所定時間毎に入力される磁気検知信号に基づき、排水口102の開閉状態に関する情報として「開状態」又は「閉状態」である旨を所定の記憶手段(例えばメモリ)に記憶し、通常開栓要求信号、自閉開栓要求信号又は閉栓要求信号が入力されたときには、前記記憶手段に記憶された情報に基づき、モータ44を動作させるか否かを決定するように制御装置5を構成してもよい。
(d)上記第4実施形態では、回動部121を一方側に最大限回動させたとき、連結突起121Aの中心軸は、回動部121の回動軸の直下に配置されるようになっている。つまり、連結突起121Aの中心軸は、回動部121を一方側に最大限回動させたとき、回動部121の回転軸を含みスライド部122の往復移動方向と平行な仮想平面VLと重なるようになっている。これに対し、図20に示すように、回動部121を一方側に最大限回動させたとき、連結突起121Aの中心軸CLが前記仮想平面VSを越える位置に至るように構成してもよい。この場合には、排水口102を自動的に閉状態とするとき、ぜんまい式動力部123Aの蓄力によって、栓蓋24は一度上動した後に下動することとなる。そのため、浴槽100に水が溜まった状態で回動部121を最大限回動させて排水口102を開状態とすると、栓蓋24はまず水圧に抗して上動することになる。従って、栓蓋24の上動が終了するまでの時間、換言すれば、栓蓋24の下動が始まるまでの時間を増大させることができる。これにより、排水口102を開状態としてからしばらくの間、栓蓋24の直下に位置する通水空間を十分に大きなものとすることができ、ひいては良好な排水能力をより確実に確保することができる。尚、浴槽100の水位が高い場合には栓蓋24に加わる水圧がより大きなものとなるため、栓蓋24の下動開始時期はより遅いものとなり、良好な排水能力をより長期間に亘って確保することが可能となる。
(e)上記実施形態では、栓蓋24(パッキン部24B)が排水口部材21に接触することで、排水口102を閉鎖するように構成されているが、栓蓋24(パッキン部24B)が底壁部101に接触することで、排水口102を閉鎖するように構成してもよい。
(f)上記実施形態では、槽体として浴槽100を例示しているが、本発明の技術思想を適用可能な槽体は浴槽100に限定されるものではない。従って、例えば、洗面ボウルやキッチンの流し台などに対し本発明の技術思想を適用することとしてもよい。