JP7156669B2 - 排水栓装置 - Google Patents

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Description

本発明は、浴槽の排水口を開閉可能な栓蓋を有する排水栓装置に関する。
従来、浴槽の底部に形成された排水口を開閉するための排水栓装置が知られている。
排水栓装置は、排水口を開閉するための上下動可能な栓蓋や、排水口を通過した排水の流路を構成する配管などを備えており、所定の操作部材(例えば操作ボタンなど)を操作して栓蓋を上下動させることで、排水口の開閉状態を切換えるものである。また、排水栓装置としては、各種部品の破損防止などを図るべく、栓蓋を支持する支持軸の内部にアブソーバスプリングを設け、栓蓋へと下向きの力が加わったときに、栓蓋が下動するようにしてアブソーバスプリングが圧縮されることで、各種部品の緩衝を図るように構成したものも知られている(例えば、特許文献1等参照)。さらに近年では、電動により栓蓋を上下動させることで、排水口の開閉状態を切換える電動式の排水栓装置も提案されている。
加えて、上記のような排水栓装置においては、設置スペースや部品点数の削減などを考慮して、浴室洗い場の排水口に対応して設けられた排水トラップと前記配管とを繋がった状態とし、浴槽の排水口を通過した排水と洗い場の排水口を通過した排水との双方が共通の排水流路へと流れ込むように構成することがある。しかし、この構成では、浴槽から流れ出た排水が洗い場の排水口へと到達し得る状態となる。そのため、浴槽の水位が高く、浴槽の底部にかかる圧力(水頭圧)が大きい場合には、浴槽の排水口から前記配管内へと水が勢いよく多量に流れ込んでしまい、ひいては洗い場の排水口から排水が溢れ出てしまうおそれがある。
また、水位が高い場合には、配管内へと水が勢いよく多量に流れ込むことで、水による不快な異音(例えば「ゴボゴボ」といった音)が生じてしまうおそれもある(尚、異音は、前記配管が前記排水トラップに繋がっているかいないかによらず生じ得る)。
これに対し、水の溢れ出しや異音の発生防止を図るべく、排水口を開状態としたときにおける栓蓋の高さ位置を低めに設定することによって、栓蓋の下に形成された、排水の流れる隙間の面積(通水面積)を減らしたり、排水口に対する水の流入を阻害する遮蔽部材を設けたりすることで、単位時間当たりの排水の流出量を少なくすることが考えられる。しかし、この場合には、単位時間当たりの排水の流出量が常に小さなものとなってしまうため、排水に時間がかかってしまい、利便性の低下を招いてしまうおそれがある。
特開2016-132897号公報
そこで、上述したアブソーバスプリングを利用して、浴槽の水位に応じて栓蓋の高さ位置が変更されるように構成する手法が考えられる。すなわち、浴槽の水位が高く栓蓋に加わる水圧が大きい場合には、アブソーバスプリングが十分に圧縮されて栓蓋が低めの位置に配置されるように構成する一方、浴槽の水位が低く栓蓋に加わる水圧が小さい場合には、アブソーバスプリングがさほど圧縮されず栓蓋が高めの位置に配置されるように構成する手法が考えられる。この手法によれば、水位が高い場合には、通水面積が小さなものとなるため、水の溢れ出しや異音の発生防止を図ることができ、一方、水位が低い場合には、通水面積が大きなものとなるため、良好な排水性能を得ることができると考えられる。
しかしながら、栓蓋に加わる圧力は、単に水位の高低のみで定まるものではなく、浴槽や栓蓋の形状、大きさなど各種要素に応じて変動する。さらに、部品間の摩擦力などの要素によってアブソーバスプリングの圧縮量は変動する。そのため、上記の手法を用いて、上述した作用効果(水の溢れ出し等を防止しつつ、良好な排水性能を得るという作用効果)を十分かつより確実に発揮させるようにすることは実際には非常に困難であると考えられる。また、仮に作用効果が十分かつより確実に発揮されるようになったとしても、アブソーバスプリングの劣化や部品間における摩擦力の増減などに伴い、作用効果が経時的に低下してしまうおそれがある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、水の溢れ出し等を防止しつつ良好な排水性能を得るという作用効果を十分かつより確実に発揮させることができるとともに、この作用効果をより容易に実現可能であり、さらに、作用効果の経時的な低下をより確実に防止することができる排水栓装置を提供することにある。
以下、上記目的を解決するのに適した各手段につき、項分けして説明する。なお、必要に応じて対応する手段に特有の作用効果を付記する。
手段1.浴槽の底部に形成された排水口を開閉するための上下動可能な栓蓋と、
前記排水口を通過して流れる排水の流路を構成する配管と、
通電により動作可能であるとともに、自身の動作により前記栓蓋を移動させることが可能に構成された通電動作部とを備えた排水栓装置であって、
前記排水口における開閉状態の切換えを検知する切換検知部と、
前記通電動作部の動作を制御することで、前記栓蓋の高さ位置を調節可能な動作制御部とを有し、
前記動作制御部は、前記切換検知部によって前記排水口における閉状態から開状態への切換えが検知されると、前記栓蓋の高さ位置を、前記浴槽の水位が高い場合又は高いと推定される場合に低めとし、前記浴槽の水位が低い場合又は低いと推定される場合に高めとするように、前記通電動作部の動作を制御するように構成されていることを特徴とする排水栓装置。
尚、浴槽の水位に関し、「高い場合」又は「低い場合」とあるのは、浴槽の水位それ自体が高い場合又は低い場合を意味し、「高いと推定される場合」又は「低いと推定される場合」とあるのは、浴槽の水位それ自体ではなく、水位と関連性がある又は通常水位と関連性のあることが多い情報から、浴槽の水位が高い又は低いと推定される場合を意味する。
上記手段1によれば、動作制御部は、切換検知部により排水口における閉状態から開状態への切換えが検知されると、栓蓋の高さ位置を、浴槽の水位が高い場合又は高いと推定される場合に低めとし、浴槽の水位が低い場合又は低いと推定される場合に高めとするように、通電動作部の動作を制御する。通電動作部の動作を制御するため、栓蓋の高さ位置をより容易にかつより正確に調節することができる。これにより、水の溢れ出しや異音の発生を防止しつつ良好な排水性能を得るという作用効果を十分かつより確実に発揮させることができるとともに、この作用効果をより容易に実現することができる。さらに、上記作用効果を得るにあたって、アブソーバスプリング等の水圧に応じて伸縮する部品などを用いる必要はなく、また、部品間の摩擦力が増減したとしても栓蓋の高さ位置を十分に正確に調節することができる。従って、部品の劣化や摩擦力の増減に伴う作用効果の経時的な低下をより確実に防止することができる。
手段2.前記切換検知部による前記排水口の閉状態から開状態への切換えが検知されたことを契機として、切換えからの経過時間の計測を開始する制御タイマ部を有し、
前記動作制御部は、前記制御タイマ部により計測された経過時間に基づき、前記通電動作部の動作を制御するように構成されていることを特徴とする手段1に記載の排水栓装置。
一般的に、排水口が閉状態から開状態へと切換えられた直後に浴槽の水位は高く、切換えからある程度の時間が経った後に浴槽の水位は低いことが多い。すなわち、排水口を閉状態から閉状態へと切換えてからの経過時間は、浴槽における水位の高低に関連するものとなることが多い。
この点を利用して、上記手段2によれば、動作制御部は、制御タイマ部により計測された、閉状態から閉状態へと切換えてからの経過時間に基づき、通電動作部の動作を制御する。すなわち、動作制御部は、経過時間が短ければ水位が高いと推定される場合であるとして、栓蓋の高さ位置を低めとするように通電動作部の動作を制御する。一方、動作制御部は、経過時間が長ければ水位が低いと推定される場合であるとして、栓蓋の高さ位置を高めとするように通電動作部の動作を制御する。このように動作制御の元となる情報として経過時間を利用することで、動作制御の元となる情報をより容易に得ることができる。従って、製造コストの増大や装置の複雑化をより確実に防止することができる。
手段3.前記配管を流れる水の単位時間当たりの流量を検知するための流量検知センサを有し、
前記動作制御部は、前記流量検知センサによる検知流量に基づき、前記通電動作部の動作を制御するように構成されていることを特徴とする手段1に記載の排水栓装置。
浴槽における水位が高い場合、配管における水の単位時間当たりの流量は多くなり、浴槽における水位が低い場合、配管における水の単位時間当たりの流量は少なくなることが多い。
この点、上記手段3によれば、動作制御部は、流量検知センサにより検知された配管における水の単位時間当たりの流量に基づき、通電動作部の動作を制御する。すなわち、動作制御部は、流量が多ければ水位が高いと推定される場合であるとして、栓蓋の高さ位置を低めとするように通電動作部の動作を制御する。一方、動作制御部は、流量が少なければ水位が低いと推定される場合であるとして、栓蓋の高さ位置を高めとするように通電動作部の動作を制御する。配管における流量を検知し、その検知結果に基づき栓蓋の高さ位置を設定するため、配管における流量をより正確に制御(調整)することができる。その結果、水の溢れ出しや異音の発生を一層確実に防止することができる。
手段4.前記浴槽における水位を検知するための水位検知センサを有し、
前記動作制御部は、前記水位検知センサによる検知水位に基づき、前記通電動作部の動作を制御するように構成されていることを特徴とする手段1に記載の排水栓装置。
上記手段4によれば、動作制御部は、水位検知センサにより検知された、浴槽における実際の水位に基づき、通電動作部の動作を制御する。従って、実際の水位に合わせた適切な高さ位置に栓蓋を配置することが可能となり、水の溢れ出しや異音の発生をより一層確実に防止することができる。
手段5.前記通電動作部は、通電により回転可能な駆動軸を備えたモータであり、
前記駆動軸の回転による駆動力を、前記栓蓋側へと所定の減速歯車を介して伝達するように構成されていることを特徴とする手段1乃至4のいずれかに記載の排水栓装置。
上記手段5によれば、減速歯車を介して駆動軸の回転による駆動力が栓蓋側へと伝達されるようになっている。そのため、栓蓋の高さ位置をより容易に微調整することができ、水の溢れ出しや異音の発生をより効果的に防止することができる。
手段6.前記動作制御部は、前記排水口が開状態に切換えられてから所定時間経過後に、前記排水口が自動的に閉状態となるように前記通電動作部の動作を制御するように構成されていることを特徴とする手段1乃至5のいずれかに記載の排水栓装置。
上記手段6によれば、排水口を開状態に切換えてから所定時間経過後に、排水口を自動的に開状態から閉状態とすることができる。これにより、浴槽に水を溜めようとしたときに、排水口を開状態としたまま浴槽に水を供給してしまうといった事態をより生じにくくすることができる。また、使用者においては、このような事態を防ぐべく排水口が閉状態であることを実際に見て十分に確認する、といった面倒な行動をとる必要がなくなる。これらの結果、浴槽へと水が無駄に供給されてしまうことをより容易にかつより確実に防止できる。
さらに、浴槽へと水を溜めようとする度に、排水口を開状態から閉状態へと切換えるといった面倒な手間を減らすことができる。その結果、使用者にとっての利便性を著しく向上させることができる。
第1実施形態における排水栓装置の概略図である。 第1実施形態等における排水口装置の断面模式図である。 第1実施形態において、栓蓋を最も高い位置に配置して排水口を開状態としたときにおける排水口装置等の概略図である。 第1実施形態において、栓蓋動作パターン情報の例を示す図である。 第1実施形態において、栓蓋の上動態様の例を示すグラフである。 第1実施形態において、栓蓋をやや低めの位置に配置した状態における排水口装置等の概略図である。 第1実施形態において、栓蓋をやや高めの位置に配置した状態における排水口装置等の概略図である。 第1実施形態において、排水口を閉状態から開状態へと切換えた場合における排水栓装置等の動作や状態を説明するための説明図である。 第1実施形態において、栓蓋の段階的な上動の途中で、排水口を閉状態とする場合における排水栓装置等の動作や状態を説明するための説明図である。 第2実施形態における排水栓装置の概略図である。 第2実施形態において、手動対応動作パターン情報の例を示す図である。 第2実施形態において、栓蓋の上動態様の例を示すグラフである。 第2実施形態において、手動により排水口を閉状態から開状態へと切換えた場合における排水栓装置等の動作や状態を説明するための説明図である。 第2実施形態において、手動により排水口を開状態から閉状態へと切換えた場合における排水栓装置等の動作や状態を説明するための説明図である。 第3実施形態における排水口装置の断面模式図である。 第3実施形態における排水栓装置の概略図である。 第4実施形態における排水口装置の断面模式図である。 第4実施形態における水位給電情報の例を示すグラフである。
以下に、実施形態について図面を参照しつつ説明する。
〔第1実施形態〕
排水栓装置1は、浴槽の底部に貫通形成された排水口を遠隔操作により開閉するための装置である。排水栓装置1は、図1に示すように、排水口装置2、開閉制御装置3及び電動操作装置6を備えている。
排水口装置2は、図2に示すように、排水口部材21、配管22、アタッチメント部材23、支持軸機構24及び栓蓋25を備えている。
排水口部材21は、筒状に形成されており、その内周に、アタッチメント部材23を取付けるために用いられる突起や切欠きを備えている。排水口部材21は、自身の中心軸と浴槽100の底部101に貫通形成された排水口102の中心軸とがほぼ一致するように排水口102に挿設されている。また、排水口部材21は、その上端部において径方向外側に突出形成された鍔部21Aと、当該鍔部21Aよりも下側の外周に形成された雄ねじ部21Bとを備えている。
配管22は、排水口102を通過して流れる排水の流路を構成する屈曲筒状部材であり、上下方向に延びる円筒状の鉛直管22Aと、当該鉛直管22Bの下端部に連なりほぼ水平方向に延びる連結管22Bとを備えている。連結管22Bは、浴室洗い場の排水口に対応して設けられた排水トラップ(不図示)と繋がった状態とされており、配管22へと流れ込んだ水と、前記洗い場の排水口を通過した排水との双方が共通の排水流路(不図示)へと流れ込むように構成されている。
また、鉛直管22Aは、その一端部(上端部)内周に前記雄ねじ部21Bを螺合可能な雌ねじ部22Cを備えている。そして、雄ねじ部21Bを雌ねじ部22Cに螺合し、鍔部21A及び配管22の上端面により前記底部101を挟み込んだ状態とすることで、排水口部材21及び配管22が接続されるとともに、両者が浴槽100に取付けられた状態となっている。
尚、本実施形態において、鍔部21Aと底部101の表面(上面)との間には、弾性変形可能な材料により形成された環状のシール部材26が配置されており、また、配管22の上端面と底部101の裏面との間には、シール部材26と同様に弾性変形可能な材料により形成された環状のシール部材27が配置されている。これらシール部材26,27によって、排水口部材21及び配管22と浴槽100との間からの漏水防止が図られている。
アタッチメント部材23は、排水口部材21の内部、つまり、排水の流路にて支持軸機構24を保持するためのものである。アタッチメント部材23は、同心円状に形成された外筒部23A及び内筒部23Bと、これらを連結するアーム部23Cとを備えている。アタッチメント部材23は、内筒部23Bの内周において支持軸機構24を保持しつつ、外筒部23Aが排水口部材21へと前記突起や切欠きを利用して取付けられることで、支持軸機構24を排水口部材21の内部にて保持している。
支持軸機構24は、栓蓋25を上下動させるための機構である。支持軸機構24は、前記内筒部23Bにより上下動不能な状態で保持された円筒ケース24A、当該円筒ケース24Aの内部に配置された上下動可能な支持軸24B、並びに、円筒ケース24A及び支持軸24B間に配置され、支持軸24Bに対し下方に向けた戻り力を付与する戻りばね24Cを備えている。支持軸24Bは、その上端部に栓蓋25が取付けられており、筒状のチューブ部材72の内部にて往復移動可能な伝達部材71(例えば、金属製のワイヤなど)によって押し上げ可能となっている。尚、本実施形態では、支持軸24B内にアブソーバスプリング24Dが設けられており、当該アブソーバスプリング24Dによって、排水口102が開状態であるときに栓蓋25を踏み付けた場合など、栓蓋25へと下向きの大きな力が加わった場合に、伝達部材71やアタッチメント部材23等へと過大な負荷が加わらないように構成されている。但し、アブソーバスプリング24Dは、浴槽100内の水からの圧力によって圧縮変形しない程度の弾性反発力(ばね力)を有するものである。
栓蓋25は、支持軸24Bとともに上下動することで、排水口102を開閉するためのものである。栓蓋25は、樹脂等からなる円板状の栓蓋本体部25Aと、弾性変形可能な材料(例えば、ゴムや樹脂等)によって環状に形成され、栓蓋本体部25Aに取付けられたパッキン部25Bとを備えている。本実施形態では、伝達部材71が往動し(後述する通電動作ユニット4側から排水口装置2側へと移動し)、戻りばね24Cからの戻り力に抗して支持軸24Bが上動することで栓蓋25が上動する。そして、パッキン部25Bが排水口部材21から離間することで、排水口102(排水の流路)が開状態とされる(図3,6,7参照。尚、図3等では配管22等を不図示)。一方、伝達部材71が復動し、戻りばね24Cからの戻り力によって支持軸24Bが下動することで栓蓋25が下動する。そして、パッキン部25Bの外周部分全域が排水口部材21に接触することで、排水口102(排水の流路)が閉状態とされる(図2参照)。
図1に戻り、開閉制御装置3について説明する。開閉制御装置3は、排水口102の開閉状態を切換えるとともに、排水口102を開状態としたときにおいて栓蓋25の高さを変動させるための装置である。開閉制御装置3は、通電動作ユニット4及び制御装置5を備えている。
通電動作ユニット4は、浴槽100の上部外縁に設けられた図示しないフランジ部の下方(裏側)などに設けられており、ケース41と、変位部材42と、減速歯車群43と、通電動作部としてのモータ44と、第一磁気センサ45A及び第二磁気センサ45Bとを備えている。尚、通電動作ユニット4を必ずしも前記フランジ部の下方に設ける必要はなく、その配設位置を適宜変更してもよい。
ケース41は、変位部材42や減速歯車群43等を収容するためのものであり、ケース41の内部には、変位部材42の移動をガイドするためのガイド部やモータ44を保持するための保持部(それぞれ不図示)などが形成されている。ケース41の側壁には貫通孔が形成されており、当該貫通孔を通って伝達部材71の端部がケース41内に配置された状態となっている。
変位部材42は、ケース41内にて往復移動可能な状態で配置されており、その往復移動方向に沿って並ぶ複数の歯42Aを備えたラックによって構成されている。変位部材42は、自身の往復移動方向に沿って伝達部材71の端部と直列的に連結されており、変位部材42の往復移動に伴い伝達部材71が往復移動するようになっている。
また、変位部材42は、所定の閉鎖時位置から所定の全開放時位置までの間を往復移動可能である。変位部材42が前記閉鎖時位置に配置されることで、排水口102は閉状態となり、栓蓋25は配置可能範囲内における最も低い位置に配置された状態となる。一方、変位部材42が前記全開放時位置に配置されることで、排水口102が開状態となり、栓蓋25は配置可能範囲内における最も高い位置に配置された状態となる。尚、変位部材42が前記閉鎖時位置よりも若干往動した位置である小開放時位置に配置された段階で、栓蓋25(パッキン部25B)は排水口部材21から浮いた状態となり、排水口102は開状態となる。
加えて、変位部材42には、磁石42Bが取付けられており、当該磁石42Bは、変位部材42の移動に合わせてその位置が変化するようになっている。
減速歯車群43は、モータ44で生じた駆動力を変位部材42に対し、回転数を減じつつ伝達するものである。本実施形態において、減速歯車群43は、それぞれ2段歯車(歯数の異なる2つの歯車が、歯車の回転軸方向に沿って並ぶようにして配置されたもの)によって構成された、第一減速歯車43A及び第二減速歯車43Bを備えている。
各減速歯車43A,43Bは、それぞれ図示しない軸部によって自由回転可能に支持されている。第一減速歯車43Aは、その大きい側の歯車が後述するウォーム44Bに噛合され、その小さい側の歯車が第二減速歯車43Bにおける大きい側の歯車に噛合されている。また、第二減速歯車43Bは、その小さい側の歯車が変位部材42に噛合されている。尚、減速歯車群43を構成する歯車の数などを適宜変更してもよい。
モータ44は、通電により動作可能であるとともに、自身の動作により栓蓋25を移動させることが可能とされた、排水口102を開閉するための駆動源である。モータ44は、回転可能な棒状の駆動軸44Aを備えるとともに、制御装置5と一体に設けられた図示しない電源に対し電気的に接続されている。モータ44は、前記電源からの給電により、駆動軸44Aを双方向に回転させることができるようになっている。また、駆動軸44Aには、ウォーム44Bが固定されている。ウォーム44Bは、外周に螺旋状の突部を備えてなり、上述の通り、第一減速歯車43Aにおける大きい側の歯車に噛合されている。
本実施形態では、ウォーム44B及びこれに噛合された第一減速歯車43Aからなるセルフロック機構によってストッパ機構46が構成されている。ストッパ機構46によれば、駆動軸44Aを回転させることで第一減速歯車43Aを回転させることができる一方、第二減速歯車43B側から加わる力による第一減速歯車43Aの回転を規制することができる。これにより、水圧や自重により栓蓋25側から加わる負荷によって伝達部材71や変位部材42が移動してしまうことを防止でき、ひいてはモータ44に電力を供給することなく、排水口102を開状態のまま維持することができるようになっている。
第一磁気センサ45A及び第二磁気センサ45Bは、それぞれ磁石42Bで生じている磁気を検知するためのセンサであり、例えば、ホール素子などを有している。第一磁気センサ45A及び第二磁気センサ45Bは、変位部材42の側方において、変位部材42の往復移動方向に沿って所定間隔をあけた状態で、ケース41の側壁に固定されている。両磁気センサ45A,45Bは、それぞれ制御装置5と電気的に接続されており、磁石42Bで生じている磁気を検知して変位部材42の位置を検知することで、栓蓋25の位置を間接的に検知する。
本実施形態では、変位部材42が往動して排水口102が開状態とされたときに、第一磁気センサ45Aによって磁石42Bの磁気が検知されるようになっている。より詳しくは、第一磁気センサ45Aは、変位部材42が前記小開放時位置から前記全開放時位置までの間に配置されているとき、つまり排水口102が少しでも開いているときに、磁石42Bの磁気を検知するようになっている。
一方、変位部材42が前記閉鎖時位置に配置されて排水口102が閉状態となっているときに、第二磁気センサ45Bによって磁石42Bの磁気が検知されるようになっている。従って、両磁気センサ45A,45Bによれば、排水口102の開閉状態を把握することができる。尚、第一磁気センサ45A及び第二磁気センサ45Bのうち磁石42Bの磁気を検知している側は、所定の磁気検知信号を制御装置5へと所定時間(短時間)毎に出力する。
次いで、制御装置5の説明に先立って、まず電動操作装置6について説明する。電動操作装置6は、制御装置5と電気的に接続されており、主として栓蓋25を上下動させて排水口102の開閉状態を切換えるために、使用者によって操作される装置である。但し、本実施形態における電動操作装置6は、排水口102の開閉状態の切換のみならず、排水口102を開状態としたときにおける栓蓋25の高さの変動パターンを変更したり、各種情報を表示したりすることも可能である。本実施形態において、電動操作装置6は、例えば浴室内に設けられている。尚、電動操作装置6の設置場所は、特に限定されるものではなく、浴室以外の部屋などに設けてもよい。また、電動操作装置6を複数設けてもよいし、持ち運び可能な装置としてもよい。
電動操作装置6は、液晶等からなり各種情報を表示するための表示部61と、押しボタン等からなる情報の入力部62とを備えている。
表示部61は、排水口102を開状態としたときにおける栓蓋25の高さ変動パターンの種別に関する情報(以下、「高さ変動設定情報α」という)を表示可能とされている。より詳しくは、電動操作装置6は、制御装置5と通信することで、後述する設定記憶部51に記憶された高さ変動設定情報αを受信し、受信した高さ変動設定情報αを表示部61にて表示する。表示部61では、高さ変動設定情報αを一定時間ごとに更新表示可能である。尚、表示部61及び入力部62をタッチパネルによって構成し、両者を一体化してもよい。
本実施形態における高さ変動設定情報αは、例えば「1」、「2」又は「3」の三種類とされている。後述するように、高さ変動設定情報αの種別に応じて、栓蓋25の高さ位置を段階的に変動させるときにおける、栓蓋25の動作パターンが変化するようになっている。
入力部62は、それぞれ排水口102の開閉状態を切換える際に押圧操作される開栓入力部62A及び閉栓入力部62Bと、高さ変動設定情報αを調節する(増減させる)際に押圧操作される増大入力部62C及び減少入力部62Dとを備えている。
開栓入力部62Aは、排水口102を閉状態から開状態へと切換える際に、使用者による操作対象となるものである。開栓入力部62Aは、例えば、排水口102が開状態となることを示す文字や図形、記号(例えば、「開栓」といった文字等)などの付された押しボタン等により構成されている。開栓入力部62Aが押圧操作されると、電動操作装置6は、制御装置5へと所定の開栓要求信号を出力する。
閉栓入力部62Bは、排水口102を開状態から閉状態へと切換える際に使用者による操作対象となるものである。閉栓入力部62Bは、例えば、排水口102が閉状態となることを示す文字や図形、記号(例えば、「閉栓」といった文字等)などの付された押しボタン等により構成されている。閉栓入力部62Bが押圧操作されると、電動操作装置6は、制御装置5へと所定の閉栓要求信号を出力する。
増大入力部62Cは、高さ変動設定情報αを増加させたいときに使用者による操作対象となるものである。増大入力部62Cは、高さ変動設定情報αが増加することを示す文字や図形、記号(例えば、「+」といった記号等)などの付された押しボタン等によって構成されている。増大入力部62Cが押圧されると、電動操作装置6は、制御装置5へと所定の増大要求信号を出力する。
減少入力部62Dは、高さ変動設定情報αを減少させたいときに使用者による操作対象となるものである。減少入力部62Dは、高さ変動設定情報αが減少することを示す文字や図形、記号(例えば、「-」といった記号等)などの付された押しボタン等によって構成されている。減少入力部62Dが押圧されると、電動操作装置6は、制御装置5へと所定の減少要求信号を出力する。
次いで、制御装置5について説明する。制御装置5は、例えばマイコン等により構成されており、通電動作ユニット4を制御して排水口102の開閉状態を切換えるとともに、排水口102を開状態としたときにおける栓蓋25の高さ位置を制御するための装置である。制御装置5は、設定記憶部51、切換検知部52、制御タイマ部53及び動作制御部54を備えている。
設定記憶部51は、高さ変動設定情報αなどの各種情報を記憶するためのものである。設定記憶部51は、電動操作装置6から制御装置5へと増大要求信号が入力されると、記憶されている高さ変動設定情報αを「1」だけ増大させるように更新した上で新たな高さ変動設定情報αを記憶する。一方、設定記憶部51は、電動操作装置6から制御装置5へと減少要求信号が入力されると、記憶されている高さ変動設定情報αを「1」だけ減少させるように更新した上で新たな高さ変動設定情報αを記憶する。但し、記憶されている高さ変動設定情報αが設定可能な最大値(本実施形態では「3」)であるときに制御装置5へと増大要求信号が入力された場合、又は、記憶されている高さ変動設定情報αが設定可能な最小値(本実施形態では「1」)であるときに制御装置5へと減少要求信号が入力された場合、設定記憶部51は、高さ変動設定情報αを更新することなくそのまま維持する。
さらに、設定記憶部51には、栓蓋動作パターン情報βが予め記憶されている。栓蓋動作パターン情報βは、栓蓋25の高さ位置を制御する際に利用される情報であり、高さ変動設定情報αに対応する複数(本実施形態では、3つ)の栓蓋動作パターン情報βが記憶されている。本実施形態において、栓蓋動作パターン情報βは、図4に示すように、例えば、モータ44に対する電力の供給タイミングに関する情報である、第一電力供給期間、第二電力供給期間、及び、第三電力供給期間に関する情報を備えている。
第一~第三電力供給期間としては、それぞれ電力の供給開始タイミングを示す始期t1,t3,t5と電力の供給停止タイミングを示す終期t2,t4,t6とが設定されている。また、複数の栓蓋動作パターン情報βは、第一~第三電力供給期間がそれぞれ異なるものとされている。例えば、高さ変動設定情報αが「1」であるときに対応する栓蓋動作パターン情報βにおいては、第一電力供給期間として短めの期間が設定され、第三電力供給期間として長めの期間が設定されている。また、例えば、高さ変動設定情報αが「3」であるときに対応する栓蓋動作パターン情報βにおいては、第一電力供給期間として長めの期間が設定され、第三電力供給期間として短めの期間が設定されている。尚、第一~第三電力供給期間の合計値は、栓蓋25を配置可能範囲内における最も低い位置(排水口102を閉状態とする位置)から最も高い位置まで上動させるために必要な電力の供給時間に対応するものとされる。
さらに、複数の栓蓋動作パターン情報βにおいて、1の電力供給期間とその次の電力供給期間との間隔を、前記1の電力供給期間の長さに応じて適宜設定してもよい。例えば、第一電力供給期間として短めの期間が設定されている場合、第一電力供給期間及び第二電力供給期間の間隔(t2からt3までの時間)を長めに設定してもよい。また、第一電力供給期間として長めの期間が設定されている場合、第一電力供給期間及び第二電力供給期間の間隔(t2からt3までの時間)を短めに設定してもよい。
切換検知部52は、排水口102における開閉状態の切換えを検知するためのものである。本実施形態では、排水口102が閉状態であるときに、つまり、第二磁気センサ45Bから磁気検知信号が入力されているときに、制御装置5から開栓要求信号が入力されると、切換検知部52により、排水口102における閉状態から開状態への切換えが検知される。また、排水口102が開状態であるときに、つまり、第一磁気センサ45Aから磁気検知信号が入力されているときに、制御装置5から閉栓要求信号が入力されると、切換検知部52により、排水口102における開状態から閉状態への切換えが検知される。尚、本実施形態では、切換検知部52による検知がなされた時点で排水口102における開閉状態の切換えは未だ行われておらず、実際の開閉状態の切換えは検知の直後に行われる。そのため、切換検知部52によって開閉状態の切換えを検知するということは、将来的な(直近のタイミングでの)開閉状態の切換えを検知することと同義といえる。
制御タイマ部53は、切換検知部52によって排水口102の閉状態から開状態への切換えが検知されたことを契機として時間の計測を開始する。尚、本実施形態における制御タイマ部53は、所定の最小値(例えば0)から所定の最大値まで時間計測し、前記最大値まで計測した段階で、時間計測を停止するとともに、計測した切換えからの経過時間tをリセットする(前記最小値に戻す)タイマである。
また、制御タイマ部53は、時間計測の最中に、排水口102を開状態から閉状態へと切換えるように電動操作装置6が操作されたことを契機として、時間計測を停止するとともに、計測した経過時間tをリセットする。より詳しくは、切換検知部52によって排水口102の開状態から閉状態への切換えが検知されたことを契機として、時間計測を停止するとともに、計測した経過時間tをリセットする。さらに、制御タイマ部53は、計測した経過時間tが現在設定されている高さ変動設定情報αに対応する栓蓋動作パターン情報βの第三電力供給期間の終期(t6)に至った場合にも、時間計測を停止するとともに、計測した経過時間tをリセットする。
動作制御部54は、入力された各種信号や設定記憶部51に記憶された情報、制御タイマ部53により計測された経過時間tなどに基づき、モータ44の動作を制御する。
動作制御部54は、排水口102が閉状態であるときに制御装置5へと開栓要求信号が入力されると、つまり切換検知部52により排水口102における閉状態から開状態への切換えが検知されると(但し、上記の通り、この時点では実際に開閉状態の切換えが開始されている訳ではない)、排水口102を開状態とするとともに、栓蓋25を段階的に上動させるための動作を行う。
具体的には、動作制御部54は、設定記憶部51に記憶された複数(本実施形態では三種類)の栓蓋動作パターン情報βの中から、現在設定されている高さ変動設定情報αに対応するものを参照し、参照した栓蓋動作パターン情報βにおける電力の供給タイミングに関する情報に基づき、前記電源からモータ44に対し、駆動軸44Aを一方側に回転させるための電力を供給させる。より詳しくは、動作制御部54は、制御タイマ部53により計測された経過時間tが、第一電力供給期間内、第二電力供給期間内又は第三電力供給期間内であるときに、前記電源からモータ44に対し、駆動軸44Aを一方側に回転させるための電力を供給させる。
このように動作制御部54がモータ44に対する電力供給を制御することで、図5に示すように、経過時間tに応じて栓蓋25は段階的に上動していくこととなる。
例えば、本実施形態では、制御タイマ部53により計測された経過時間tが、第一電力供給期間の後であって第二電力供給期間の前であるとき、つまり、排水の開始直後であって、浴槽100の水位が高いと推定される場合には、モータ44へと電力が供給された期間は第一電力供給期間(t1~t2)のみであるため、図6に示すように、栓蓋25はさほど上動せず、栓蓋25の高さ位置が低めとされる。従って、栓蓋25の下に形成された、排水の流れる隙間の面積(通水面積)は比較的小さなものとなり、配管22に対する排水の流れ込み量が抑えられる。
また、制御タイマ部53により計測された経過時間tが、第二電力供給期間の後であって第三電力供給期間の前であるとき、つまり、排水がある程度進んで浴槽100の水位がやや低くなってきたと推定される場合には、第二電力供給期間(t3~t4)にてモータ44へと電力が供給された後であるため、図7に示すように、栓蓋25は上述した低めの位置(図6にて示す位置)から上動し、栓蓋25の高さ位置がやや高めとされる。これにより、栓蓋25の下方に形成された前記通水面積はやや大きなものとなる。
さらに、制御タイマ部53により計測された経過時間tが、第三電力供給期間の後であるとき、つまり、排水が進んで浴槽100の水位が相当低くなってきたと推定される場合には、第三電力供給期間(t5~t6)にてモータ44へと電力が供給された後であるため、栓蓋25はさらに上動し、栓蓋25の高さ位置が最も高めとされる(図3参照)。このように本実施形態では、栓蓋25の上動が三回行われることで、栓蓋25の下に形成された隙間の面積(通水面積)が段階的に増大していく。
尚、第一~第三電力供給期間の長さに応じて、すなわち参照する栓蓋動作パターン情報βに応じて、一動作当たりの栓蓋25の上動量は異なるものとなる。そのため、本実施形態では、高さ変動設定情報αを設定・変更することで、排水能力の状態や変化などの各種要素を踏まえた、より適切な栓蓋25の上動パターンを選択することができる。
例えば、配管22内へと水が比較的多量に流れ込んだとしても、洗い場排水口側からの水の溢れ出しや不快な異音の発生が生じにくいような状態である場合には、第一電力供給期間が比較的長い栓蓋動作パターン情報βが参照されるように高さ変動設定情報αを設定・変更すれば、1回目の栓蓋25の上動量が比較的大きなものとなり、排水を短期間で完了させることができる。
一方、配管22内へと水が比較的多量に流れ込むと、洗い場排水口側からの水の溢れ出しや不快な異音の発生が生じやすい状態である場合には、第一電力供給期間が比較的短い栓蓋動作パターン情報βが参照されるように高さ変動設定情報αを設定・変更すれば、1回目の栓蓋25の上動量が比較的小さなものとなり、水の溢れ出しや異音の発生を抑制することができる。尚、この場合、参照する栓蓋動作パターン情報βにおいて、第一電力供給期間及び第二電力供給期間の間隔(t2からt3までの時間)を長めに設定することで、十分な排水時間を確保することができる。
また、動作制御部54は、排水口102が開状態であるときに制御装置5へと閉栓要求信号が入力されると、つまり切換検知部52によって排水口102における開状態から閉状態への切換えが検知される(但し、上記の通り、この時点では実際に開閉状態の切換えが開始されている訳ではない)と、排水口102を閉状態とするための動作を行う。具体的には、動作制御部54は、第二磁気センサ45Bから磁気検知信号が入力されるまで前記電源からモータ44へと電力を供給させる。これにより、排水口102は開状態から閉状態へと切換えらえることとなる。尚、本実施形態では、栓蓋25が段階的に上動している最中であっても、排水口102を閉状態にすることが可能である。
次に、上述した排水栓装置1において、排水口102を閉状態から開状態へと切換える場合の動作、及び、栓蓋25の段階的な上動の途中に電動操作装置6から制御装置5へと閉栓要求信号が入力された場合の動作について説明する。
まず、排水口102を閉状態から開状態へと切換える場合の動作について説明する。図8に示すように、電動操作装置6から制御装置5へと開栓要求信号が入力されると(ステップS1)、切換検知部52によって磁気センサ45A,45Bからの出力に基づき排水口102の開閉状態が確認される。そして、排水口102が閉状態であると、切換検知部52によって排水口102の閉状態から開状態への切換えが検知される(ステップS2)。また、切換検知部52による切換えの検知によって、制御タイマ部53による時間計測が開始される(ステップS3)。
そして、現在設定されている高さ変動設定情報αに対応する栓蓋動作パターン情報βの第一電力供給期間の始期(t1)に至ると(ステップS4)、動作制御部54により前記電源が制御され(ステップS5)、前記電源からモータ44へと電力の供給が開始される(ステップS6)。その結果、モータ44の動作が開始して駆動軸44Aが一方側に回転し(ステップS7)、栓蓋25の上動が開始される(ステップS8)。すなわち、一回目の栓蓋25の上動が開始される。
その後、制御タイマ部53により計測された経過時間tが、栓蓋動作パターン情報βの第一電力供給期間の終期(t2)に至ると(ステップS9)、動作制御部54により前記電源が制御され(ステップS10)、前記電源からモータ44への電力供給が停止される(ステップS11)。その結果、モータ44の動作(駆動軸44Aの一方側への回転)が停止され(ステップS12)、栓蓋25の上動が停止される(ステップS13)。
以降においては、制御タイマ部53により計測された経過時間tが、栓蓋動作パターン情報βにおける第二、第三電力供給期間の始期(t3,t5)に至ると(ステップS14,S16)、上述したステップS5~S8と同様の動作が行われ、経過時間tが栓蓋動作パターン情報βにおける第二、第三電力供給期間の終期(t4,t6)に至ると(ステップS15,S17)、上述したステップS10~S13と同様の動作が行われる。その結果、栓蓋25は段階的に上動し、最終的に配置可能範囲内における最も高い位置にて停止した状態で維持される。また、制御タイマ部53により計測された経過時間tが第三電力供給期間の終期(t6)に至った段階で、制御タイマ部53による時間計測が停止されるとともに、計測した経過時間tがリセットされる(ステップS18)。
次いで、栓蓋25の段階的な上動の途中に電動操作装置6から制御装置5へと閉栓要求信号が入力された場合の動作に関し、栓蓋25における1回目の上動の後であって2回目の上動の前に閉栓要求信号が入力された場合を例に説明する。
図9に示すように、電動操作装置6から制御装置5へと閉栓要求信号が入力されると(ステップS31)、切換検知部52によって磁気センサ45A,45Bからの出力に基づき排水口102の開閉状態が確認される。そして、排水口102が開状態であると、切換検知部52によって排水口102の開状態から閉状態への切換えが検知される(ステップS32)。尚、切換検知部52によって排水口102の開状態から閉状態への切換が検知された段階で、制御タイマ部53による時間計測が停止されるとともに、計測した経過時間tがリセットされる(ステップS33)。
さらに、排水口102の開状態から閉状態への切換えが検知されると、動作制御部54により前記電源が制御され(ステップS34)、前記電源からモータ44へと電力が供給される(ステップS35)。その結果、モータ44が動作開始して駆動軸44Aが他方側に回転していき(ステップS36)、栓蓋25が下動を開始する(ステップS37)。
そして、駆動軸44Aの他方側への回転により変位部材42が復動し、第二磁気センサ45Bから磁気検知信号が入力される状態になると、動作制御部54により前記電源が制御され(ステップS38)、前記電源からモータ44への電力供給が停止される(ステップS39)。その結果、駆動軸44Aの回転が停止し(ステップS40)、栓蓋25の下動が停止する(ステップS41)。これにより、排水口102が閉状態となる。
以上詳述したように、本実施形態によれば、切換検知部52によって排水口102における閉状態から開状態への切換えが検知されると、経過時間tが短く浴槽100の水位が高いと推定される場合に、栓蓋25の高さ位置が低めとされ、経過時間tが長く浴槽100の水位が低いと推定される場合に、栓蓋25の高さ位置が高めとされる。モータ44の動作を制御することにより栓蓋25の高さ位置を制御するため、栓蓋25の高さ位置をより容易にかつより正確に調節することができる。これにより、水の溢れ出しや異音の発生を防止しつつ良好な排水性能を得るという作用効果を十分かつより確実に発揮させることができるとともに、この作用効果をより容易に実現することができる。さらに、上記作用効果を得るにあたって、水圧に応じて伸縮する部品などを用いる必要はなく、また、部品間の摩擦力が増減したとしても栓蓋25の高さ位置を十分に正確に調節することができる。従って、部品の劣化や摩擦力の増減に伴う作用効果の経時的な低下をより確実に防止することができる。
また、モータ44の動作制御の元となる情報として経過時間tを利用することで、動作制御の元となる情報をより容易に得ることができる。従って、製造コストの増大や装置の複雑化をより確実に防止することができる。
さらに、本実施形態では、減速歯車43A,43Bを介して駆動軸44Aの回転による駆動力が栓蓋25側へと伝達されるようになっている。そのため、栓蓋25の高さ位置をより容易に微調整することができ、水の溢れ出しや異音の発生をより効果的に防止することができる。
〔第2実施形態〕
次いで、第2実施形態について上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。上記第1実施形態では、電動操作装置6に設けられた入力部62を操作することで、排水口102の開閉状態が切換えられるように構成されている。これに対し、本第2実施形態では、図10に示すように、電動操作装置6に加えて、栓蓋25を手動により上下動させるときに操作対象となる手動操作装置8を備えている。尚、手動操作装置8は、浴室(浴槽100)に設けられており、電動操作装置6は、浴室以外の部屋(例えば台所など)に設けられている。勿論、手動操作装置8及び電動操作装置6の設置位置を適宜変更してもよい。
手動操作装置8は、使用者によって押圧操作可能に構成されており、使用者による操作で生じた操作力により栓蓋25を移動させるものである。手動操作装置8は、円板状の操作ボタン81と、操作ボタン81の中心部に連結され、上下方向に往復移動可能な操作軸82とを備えている。また、操作軸82の側部には、突起状の被押圧部83が形成されている。被押圧部83は、変位部材42が往動するときに当該変位部材42によって押圧可能に構成されており、変位部材42により被押圧部83が押圧されることで、操作ボタン81や操作軸82が往動するようになっている。
さらに、本第2実施形態において、排水口102の開閉状態を把握するための磁石42Bは、操作軸82に取付けられており、操作軸82の移動に伴い変位するようになっている。
加えて、本第2実施形態では、操作軸82が配置可能範囲内における最も往動した位置(最往動位置)に至ったか否かを判定するための操作軸用磁石84と、変位部材42が配置可能な範囲内における最も復動した位置(前記閉鎖時位置)にあるか否かを把握するための変位部材用磁石85とが設けられている。また、操作軸用磁石84で生じている磁気を検知するための第三磁気センサ86と、変位部材用磁石85で生じている磁気を検知するための第四磁気センサ87とが設けられている。第三磁気センサ86は、操作軸82が前記最往動位置にあるときに操作軸用磁石84の磁気を検知可能な位置に設けられており、操作軸用磁石84の磁気を検知すると、磁気検知信号を制御装置5へと出力する。また、第四磁気センサ87は、変位部材42が前記閉鎖時位置に配置されたときに変位部材用磁石85の磁気を検知可能な位置に設けられており、変位部材用磁石85の磁気を検知すると、磁気検知信号を制御装置5へと出力する。
また、上記第1実施形態においては、栓蓋25を上動させた状態でロックし排水口102を開状態のまま維持する機能はストッパ機構36によって実現されているが、本第2実施形態では、メカボックス9によってこの機能が実現されている。メカボックス9は、所定のロック機構(図示せず)を内蔵している。
本第2実施形態では、操作ボタン81を押圧して操作軸82を最大限往動させる度に、つまり操作軸82を前記最往動位置まで往動させる度に、前記ロック機構によって操作軸82を所定の通常開放時位置にてロックすることと、ロック解除に伴い、伝達部材71を介して前記戻りばね24Cから加わる付勢力により操作軸82が復動することとが交互に行われるようになっている。より詳しくは、操作軸82のロックが解除されている状態においては、操作ボタン81を押圧して操作軸82を前記最往動位置まで往動させた上で、操作ボタン81への押圧を解除すると、前記戻りばね24Cからの付勢力により、操作軸82は前記通常開放時位置まで戻った段階でロックされる。尚、前記通常開放時位置にて操作軸82をロックした状態においては、操作軸82の復動は規制されているものの、操作軸82の往動は規制されていない状態である。一方、操作軸82がロックされている状態においては、操作ボタン81を押圧して操作軸82を前記最往動位置まで往動させることでロックが解除され、その上で操作ボタン81への押圧を解除すると、前記戻りばね24Cからの付勢力により、操作軸82が最大限復動した状態となる。
尚、本第2実施形態では、前記通常開放時位置にて操作軸82をロックした状態において、栓蓋25はやや低めの高さ位置(以下、「通常開放時高さ」と称す)に配置されるように構成されている。そして、この状態で操作軸82を往動させると、操作軸82の往動に合わせて栓蓋25が上動し、栓蓋25の高さ位置は低めから高めへと変化するようになっている。すなわち、操作軸82をロックした後に操作軸82をさらに往動させることで、栓蓋25の高さ位置を変更することができるようになっている。
次いで、本第2実施形態における制御装置5について説明する。まず、設定記憶部51について説明する。
本第2実施形態では、手動により排水口102が閉状態から開状態へと切換えられた場合に対応すべく、設定記憶部51には、手動操作時に対応する手動対応動作パターン情報γが予め記憶されている。手動対応動作パターン情報γは、電動動作時に対応する栓蓋動作パターン情報βと同様に、栓蓋25の高さ位置を制御する際に利用される情報である。本第2実施形態では、手動対応動作パターン情報γは一種類のみ記憶されているが、手動対応動作パターン情報γを複数種類用意してもよい。
手動対応動作パターン情報γは、それぞれモータ44に対する電力の供給タイミングに関する情報である、第一電力供給期間、第二電力供給期間及び第三電力供給期間に関する情報を備えている(図11参照)。手動対応動作パターン情報γにおける第一電力供給期間の始期(t11)は、操作ボタン81の押圧操作が開始されてから、操作軸82が前記通常開放時位置にてロックされるまでに要すると考えられる時間又はこれよりも大きな時間に対応するものとされている。これにより、通常、操作軸82が前記通常開放時位置にてロックされてから、栓蓋25の段階的な上動が開始されるようになっている。
さらに、後述するように、手動操作後における栓蓋25の段階的な上動を開始する際に、変位部材42は前記閉鎖時位置に配置された状態とされる。そのため、変位部材42と前記通常開放時位置に配置された操作軸82の被押圧部83との間にある程度の距離が存在した状態で、栓蓋25の段階的な上動が開始される。この点を踏まえて、手動対応動作パターン情報γにおける第一電力供給期間は、前記閉鎖時位置にある変位部材42を往動させて、前記通常開放時位置に配置された操作軸82の被押圧部83を押すことができるような比較的長い時間に設定されている。
また、手動対応動作パターン情報γにおける各電力供給期間は、第三電力供給期間におけるモータ44への電力供給後に、操作軸82が前記最往動位置まで至らない程度の時間に設定されている。操作軸82が前記最往動位置まで至ることによって操作軸82のロックが解除されてしまうことを防止し、排水口102を開状態のままで維持するためである。
次いで、本第2実施形態における制御タイマ部53について説明する。本第2実施形態において、制御タイマ部53は、切換検知部52により排水口102における閉状態から開状態への切換えが検知された場合のみならず、制御装置5へと開栓要求信号が入力されることなく、手動により排水口102が閉状態から開状態へと切換えられた場合にも、この切換えを契機として時間の計測を開始するように構成されている。つまり、制御タイマ部53は、磁気センサ45A,45Bにより排水口102の閉状態から開状態への切換えが検知される(磁気検知信号を出力するセンサが第二磁気センサ45Bから第一磁気センサ45Aへと切換わる)とともに、第三磁気センサ86から制御装置5へと磁気検知信号が入力された(操作軸82が前記最往動位置に至った)場合にも、時間計測を開始する。
また、本第2実施形態における制御タイマ部53は、切換検知部52により排水口102における開状態から閉状態への切換えが検知された場合のみならず、手動により排水口102が開状態から閉状態へと切換えられた場合にも、この切換えを契機として時間計測を停止するとともに、計測した経過時間tをリセットするように構成されている。すなわち、制御装置5へと閉栓要求信号が入力されることなく、第三磁気センサ86から制御装置5へと磁気検知信号が入力される(操作軸82が前記最往動位置に至る)とともに、磁気センサ45A,45Bにより排水口102の開状態から閉状態への切換えが検知された(磁気検知信号を出力するセンサが第一磁気センサ45Aから第二磁気センサ45Bへと切換わった)場合にも、時間計測の停止等を行う。さらに、制御タイマ部53は、計測した経過時間tが手動対応動作パターン情報γの第三電力供給期間の終期(t16)に至った場合にも、時間計測を停止するとともに、計測した経過時間tをリセットする。
次いで、本第2実施形態における動作制御部54について説明する。上記第1実施形態における動作制御部54は、電動操作(制御装置5への開栓要求信号の入力)により排水口102を閉状態から開状態へと切換える際には、駆動軸44Aを一方側に回転させ、その一方、電動操作(制御装置5への閉栓要求信号の入力)により排水口102を開状態から閉状態へと切換える際には、駆動軸44Aを他方側に回転させるようにモータ44を制御する。これに対し、本第2実施形態における動作制御部54は、電動操作(制御装置5への開栓要求信号又は閉栓要求信号の入力)により、排水口102を閉状態から開状態へと切換える際であっても開状態から閉状態へと切換える際であっても、駆動軸44Aが一方側に回転した後、他方側に回転するようにモータ44を制御する。つまり、変位部材42が往復移動するようにモータ44を制御する。
但し、駆動軸44Aの一方側への回転態様は、排水口102を閉状態から開状態へと切換える際と、排水口102を開状態から閉状態へと切換える際とで異なるものとされている。すなわち、動作制御部54は、排水口102を閉状態から開状態へと切換える際には、栓蓋動作パターン情報βに従って、モータ44を間欠的に動作させることで、駆動軸44Aの一方側への回転を段階的に行わせる。一方、動作制御部54は、排水口102を開状態から閉状態へと切換える際には、第三磁気センサ86から磁気検知信号が入力されるまで、モータ44を連続的に動作させることで、駆動軸44Aの一方側への回転を連続的に行わせる。尚、駆動軸44Aの他方側への回転態様は、排水口102を閉状態から開状態へと切換える際であっても開状態から閉状態へと切換える際であっても同様であり、動作制御部54は、第四磁気センサ87から磁気検知信号が入力されるまで、つまり変位部材42が前記閉鎖時位置に配置されるまで駆動軸44Aを他方側に連続的に回転させる。
さらに、動作制御部54は、制御装置5へと開栓要求信号や閉栓要求信号が入力されることなく、第三磁気センサ86から制御装置5へと磁気検知信号が入力されると、つまり手動操作により前記最往動位置に操作軸82が配置されると、変位部材42を前記閉鎖時位置に配置するようにモータ44を制御する。つまり、動作制御部54は、第四磁気センサ87から磁気検知信号が入力されるまで、駆動軸44Aを他方側に回転させるための電力をモータ44へと供給する。尚、変位部材42を前記閉鎖時位置に配置することは、変位部材42による操作軸82の移動阻害を防止するために行われる。例えば、栓蓋25を段階的に上動させている途中に、手動操作により排水口102を閉状態から閉状態へと切換えようとしたとき、変位部材42がそのままの位置にあると、変位部材42によって操作軸82の戻り移動ひいては栓蓋25の下動が阻害されるといった不具合が生じ得るが、上記のように変位部材42を復動させることで、このような不具合の発生防止を図ることができる。従って、本第2実施形態では、手動操作による排水口102の開閉状態の切換時において前記最往動位置に操作軸82が配置された状態になると、変位部材42は常に前記閉鎖時位置に配置されることとなる。
加えて、動作制御部54は、電動操作装置6を操作して排水口102の開閉状態を切換えた場合(切換検知部52により排水口102における閉状態から開状態への切換えが検知された場合)のみならず、手動による排水口102の閉状態から開状態への切換えが検知された場合にも、栓蓋25を段階的に上動させるための動作を行う。
より詳しくは、動作制御部54は、制御装置5へと開栓要求信号が入力されることなく、第三磁気センサ86から制御装置5へと磁気検知信号が入力され、かつ、磁気センサ45A,45Bにより排水口102の閉状態から開状態への切換えが検知される(磁気検知信号を出力するセンサが第二磁気センサ45Bから第一磁気センサ45Aへと切換わる)と、つまり手動により排水口102が閉状態から開状態へと切換えられたことが検知されると、上述した変位部材42を前記閉鎖時位置に配置するためのモータ44の制御を行った後に、栓蓋25を段階的に上動させるための動作を行う。すなわち、動作制御部54は、設定記憶部51に記憶された手動対応動作パターン情報γを参照し、制御タイマ部53により計測された経過時間tが、参照した手動対応動作パターン情報γにおける第一電力供給期間(t11~t12)内、第二電力供給期間(t13~t14)内又は第三電力供給期間(t15~t16)内であるときに、前記電源からモータ44に対し、駆動軸44Aを一方側に回転させるための電力を供給させる。これにより、制御タイマ部53により計測された経過時間tに応じて、変位部材42が段階的に往動していき、この変位部材42により被押圧部83が押圧されることで、操作軸82が前記通常開放時位置から段階的に往動していく。その結果、図12に示すように、当初は前記通常開放時高さに配置された栓蓋25が段階的に上動していくこととなる。尚、本第2実施形態では、切換検知部52と、第一磁気センサ45A、第二磁気センサ45B及び第三磁気センサ86とが、それぞれ排水口102における開閉状態の切換えを検知する切換検知部に相当する。
さらに、動作制御部54は、第三電力供給期間(t15~t16)におけるモータ44への電力供給後から一定時間(例えば、浴槽100からの排水が十分に完了すると推定される時間)が経過すると、第三磁気センサ86から制御装置5へと磁気検知信号が入力されるまで、前記電源からモータ44に対し、駆動軸44Aを他方側に回転させるための電力を供給させる。これにより、栓蓋25を段階的に上動させた後に、変位部材42が復動して前記閉鎖時位置に配置されることとなる。また、変位部材42の復動に伴い戻りばね24Cからの付勢力によって操作軸82が前記通常開放時位置まで戻り、前記ロック機構によってロックされた状態となる。
次に、本第2実施形態に係る排水栓装置1において、手動によって排水口102を閉状態から開状態へと切換えた場合の動作、及び、栓蓋25の段階的な上動中に手動によって排水口102を開状態から閉状態へと切換えた場合の動作について説明する。
まず、手動によって排水口102を閉状態から開状態へと切換えた場合の動作について説明する。図13に示すように、制御装置5へと開栓要求信号が入力されることなく、手動操作装置8(操作ボタン81)が押圧操作されると(ステップS51)、磁気センサ45A,45Bにより排水口102の閉状態から開状態への切換えが検知されるとともに、第三磁気センサ86から制御装置5へと磁気検知信号が入力されることとなり、その結果、制御タイマ部53による時間計測が開始される(ステップS52)。また、手動操作装置8の押圧操作に伴い栓蓋25が上動していく(ステップS53)。
さらに、第三磁気センサ86から制御装置5へと磁気検知信号が入力されると、動作制御部54により前記電源が制御され(ステップS54)、前記電源からモータ44へと電力の供給が開始されることで(ステップS55)、モータ44の動作が開始して駆動軸44Aの他方側への回転が開始する(ステップS56)。これにより、変位部材42の復動が開始される。そして、第四磁気センサ87から磁気検知信号が入力されると、動作制御部54により前記電源が制御され(ステップS57)、前記電源からモータ44へと電力の供給が停止されることで(ステップS58)、モータ44における駆動軸44Aの他方側への回転が停止される(ステップS59)。その結果、変位部材42が前記閉鎖時位置に配置されることとなる。尚、第三磁気センサ86から制御装置5へと磁気検知信号が入力された時点で、変位部材42が前記閉鎖時位置に既に配置されていた場合には、変位部材42はその位置で停止した状態で維持される。
また、手動操作装置8(操作ボタン81)に対する押圧操作が解除されると(ステップS60)、戻りばね24Cからの付勢力により操作軸82が戻り移動して、前記通常開放時位置にてロックされる。さらに、栓蓋25は、配置可能範囲内における最も高い位置から下動して(ステップS61)、前記通常開放時高さに配置されることとなる(ステップS62)。
その後、制御タイマ部53により計測された経過時間tが、手動対応動作パターン情報γの第一電力供給期間の始期(t11)に至ると(ステップS63)、動作制御部54により前記電源が制御され(ステップS64)、前記電源からモータ44へと電力の供給が開始される(ステップS65)。その結果、モータ44の動作が開始して駆動軸44Aが一方側に回転し(ステップS66)、栓蓋25の上動が開始される(ステップS67)。これにより、一回目の栓蓋25の上動が開始される。
そして、制御タイマ部53により計測された経過時間tが、手動対応動作パターン情報γの第一電力供給期間の終期(t12)に至ると(ステップS68)、動作制御部54により前記電源が制御され(ステップS69)、前記電源からモータ44への電力供給が停止される(ステップS70)。その結果、モータ44の動作(駆動軸44Aの一方側への回転)が停止され(ステップS71)、一回目の栓蓋25の上動が停止される(ステップS72)。
以降においては、制御タイマ部53により計測された経過時間tが、手動対応動作パターン情報γにおける第二、第三電力供給期間の始期(t13,t15)に至ると、上述したステップS64~S67と同様の動作が行われ、経過時間tが手動対応動作パターン情報γにおける第二、第三電力供給期間の終期(t14,t16)に至ると、上述したステップS69~S72と同様の動作が行われる。その結果、栓蓋25は段階的に上動し、最終的に配置可能範囲内における最も高い位置よりやや下方にて停止した状態とされる(ステップS73)。尚、この状態において、変位部材42は最も往動した位置のやや手前に配置されることとなる。
さらに、制御タイマ部53により計測された経過時間tが、第三電力供給期間の終期(t16)から一定時間が経過した時間(X1)に至ると(ステップS74)、制御タイマ部53による時間計測が停止されるとともに、経過時間tがリセットされる(ステップS75)。また、動作制御部54により前記電源が制御され(ステップS76)、前記電源からモータ44へと電力の供給が開始されることで(ステップS77)、モータ44の動作が開始して駆動軸44Aが他方側に回転する(ステップS78)。これにより、変位部材42の復動が開始されるとともに、栓蓋25の下動が開始される(ステップS79)。
そして、第四磁気センサ87から磁気検知信号が入力されると、動作制御部54により前記電源が制御され(ステップS80)、前記電源からモータ44へと電力の供給が停止されることで(ステップS81)、モータ44における駆動軸44Aの他方側への回転が停止される(ステップS82)。その結果、変位部材42が前記閉鎖時位置に配置される。また、操作軸82は前記ロック機構によりロックされ、栓蓋25は前記通常開放時高さに配置された状態となる(ステップS83)。
次いで、栓蓋25の段階的な上動の途中に手動によって排水口102を開状態から閉状態へと切換えた場合の動作について説明する。制御装置5へと閉栓要求信号が入力されることなく、手動操作装置8(操作ボタン81)が押圧操作され(ステップS91)、操作軸82が前記最往動位置に配置されることで、第三磁気センサ86から制御装置5へと磁気検知信号が入力されると、上述したステップS54~59の動作が行われる。その結果、変位部材42は、前記閉鎖時位置に配置されて操作軸82の移動を阻害しない状態になる。尚、第三磁気センサ86から制御装置5へと磁気検知信号が入力された時点で、変位部材42が前記閉鎖時位置に既に配置されていた場合には、変位部材42はその位置で停止した状態で維持される。
また、手動操作装置8(操作ボタン81)の押圧操作(ステップS91)に伴い、栓蓋25が上動し(ステップS92)、操作軸82が前記最往動位置に配置されることで操作軸82のロックが解除される。そして、手動操作装置8(操作ボタン81)に対する押圧解除(ステップS93)に伴い、戻りばね24Cからの付勢力によって操作軸82が戻り移動する。これにより、栓蓋25が下動して(ステップS94)、最終的に最も低い位置に配置される(ステップS95)。その結果、排水口102は閉状態となる。
さらに、第三磁気センサ86により制御装置5へと磁気検知信号が入力されるとともに、磁気センサ45A,45Bにより排水口102の開状態から閉状態への切換えが検知されると、制御タイマ部53による時間計測が停止されるとともに、計測した経過時間tがリセットされる(ステップS96)。これにより、栓蓋25の段階的な上動が中止される。
以上、本第2実施形態によれば、基本的には上記第1実施形態と同様の作用効果が奏されることとなる。
加えて、栓蓋25を電動操作するための電動操作装置6に加えて、栓蓋25を手動操作するための手動操作装置8が設けられているため、電動操作装置6が停電や電池切れ等により使用できない状態になっても、手動操作装置8を使用することにより排水口102の開閉状態を切換えることができる。従って、使用者にとっての利便性をより向上させることができる。
〔第3実施形態〕
次いで、第3実施形態について上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。上記第1実施形態では、制御タイマ部53により計測された経過時間tに基づき、動作制御部54がモータ44の動作を制御して、栓蓋25の高さ位置を調節するように構成されている。これに対し、本第3実施形態では、図15に示すように、配管22に対応して当該配管22を流れる水の単位時間当たりの流量を検知するための流量検知センサ10が設けられており、当該流量検知センサ10による検知流量に基づき、動作制御部54がモータ44の動作を制御することで、栓蓋25の高さ位置を調節するように構成されている。
流量検知センサ10は、電磁式、カルマン渦式、羽根車式などの方式を用いた公知の流量検知用のセンサである。流量検知センサ10により検知された配管22を流れる水の単位時間当たりの流量に関する情報は、制御装置5へと入力されるようになっている。
加えて、本第3実施形態では、図16に示すように、変位部材42が最も往動した位置に配置された(換言すれば、栓蓋25が配置可能範囲内における最も高い位置に配置された)ときに当該変位部材42と接触可能な感圧センサ11が設けられている。感圧センサ11は、所定の感圧素子などを有する公知の接触検知用のセンサであり、制御装置5に対し所定の接触把握用信号を出力する。尚、接触把握用信号は、感圧センサ11に変位部材42が接触しているか否かによってその態様が変化する。そのため、接触把握用信号に基づき、変位部材42が最も往動した位置に配置されているか否かを判別することができる。尚、感圧センサ以外のセンサ(例えば磁気センサなど)を用いて、変位部材42が最も往動した位置に配置されているか否かを判別するように構成してもよい。
さらに、本第3実施形態において、動作制御部54は、排水口102が閉状態であるときに制御装置5へと開栓要求信号が入力されると、つまり切換検知部52により排水口102における閉状態から開状態への切換えが検知されると、まず、前記電源からモータ44に対し所定時間だけ電力を供給させることで、栓蓋25を配置可能範囲内における最も高い位置に配置する。
その上で、動作制御部54は、流量検知センサ10により得られた配管22を流れる水の単位時間当たりの流量から、予め設定された基準流量を減じた値(以下、「流量差」と称す)を算出し、算出した流量差に基づき、前記電源からモータ44に対する電力の供給を制御する。より詳しくは、動作制御部54は、流量差が予め設定された0を含む適正範囲(例えば、-xから+yまでの数値範囲)よりも大きなものであるときに、つまり配管22を流れる流量が比較的多い場合、前記電源からモータ44に対し、駆動軸44Aを他方側に回転させるための電力を一定時間だけ供給する。これにより、栓蓋25は一定距離だけ下動することとなる。一方、動作制御部54は、流量差が前記適正範囲よりも小さなものあるときに、つまり配管22を流れる流量が比較的少ない場合、前記電源からモータ44に対し、駆動軸44Aを一方側に回転させるための電力を一定時間だけ供給する。これにより、栓蓋25は一定距離だけ上動することとなる。尚、流量差が前記適正範囲内であるとき、動作制御部54は、前記電源からモータ44に電力を供給させることなく、栓蓋25をそのままの高さ位置で維持する。
また、動作制御部54は、感圧センサ11からの接触把握用信号に基づき、変位部材42が最も往動した位置に配置されていると把握した場合、つまり、栓蓋25が最も高い位置に配置されている場合、算出される流量差が前記適正範囲よりも少ないものであっても、前記電源からモータ44へと電力を供給させることなく、栓蓋25をそのままの高さ位置で維持する。
次いで、本第3実施形態に係る排水栓装置1において、浴槽100の水位が高いときに電動操作装置6を操作して排水口102を閉状態から開状態へと切換える場合の動作について説明する。
浴槽100の水位が高いときには、通常排水口102が閉状態となっているため、電動操作装置6が操作されて制御装置5へと開栓要求信号が入力されると、切換検知部52により排水口102における閉状態から開状態への切換えが検知されることとなる。切換検知部52によって切換えが検知されると、動作制御部54によって前記電源が制御されて栓蓋25は最も高い位置に配置され、配管22内に水が流れ込む状態となる。
そして、浴槽100における水位が高い場合には、流量検知センサ10により検知される単位時間当たりの水の流量は比較的多いものとなるため、通常、算出される流量差は前記適正範囲よりも大きなものとなる。そこで、動作制御部54により前記電源が制御され、駆動軸44Aを他方側に回転させるための電力が前記電源からモータ44へと一定時間だけ供給されることが、算出される流量差が前記適正範囲内となるまで繰り返し行われる。これにより、栓蓋25は下動して低めの位置に配置される。すなわち、流量検知センサ10により検知される単位時間当たりの水の流量が比較的多いものであり、浴槽100の水位が高いと推定される場合には、栓蓋25の高さ位置が低めとされる。
その後、浴槽100における排水が進み、浴槽100における水位が徐々に低くなっていくと、流量検知センサ10により検知される単位時間当たりの水の流量が減少するため、算出される流量差は前記適正範囲よりも小さなものとなる。そこで、流量差が前記適正範囲内で維持されるように、動作制御部54により前記電源が制御され、駆動軸44Aを一方側に回転させるための電力がモータ44へと一定時間だけ供給されることが繰り返し行われる。これにより、栓蓋25は徐々に上動していくこととなる。すなわち、流量検知センサ10により検知される単位時間当たりの水の流量が比較的少ないものであり、浴槽100の水位が低いと推定される場合には、栓蓋25の高さ位置が高めとされる。
そして、浴槽100における排水がさらに進み、前記電源からモータ44に対し、駆動軸44Aを一方側に回転させるための電力が一定時間だけ供給されることが繰り返し行われると、最終的に変位部材42が最も往動した位置に配置される。この状態になると、動作制御部54によって変位部材42が最も往動した位置に配置されたことが把握され、その結果、前記電源からモータ44に電力が供給されなくなる。最終的に、栓蓋25は最も高い位置に配置されたまま、その高さ位置にて維持されることとなる。
このように本第3実施形態では、浴槽100の水位が比較的高い場合、栓蓋25は最も高い位置に配置された後に下動し、その後、流量検知センサ10により検知される単位時間当たりの水の流量、つまり、浴槽100の水位に合わせて連続的に上動していく。その結果、栓蓋25の下に形成された、排水の流れる隙間の面積(通水面積)は連続的に増大していく。
尚、浴槽100の水位が比較的低く、算出される流量差が当初から前記適正範囲よりも小さなものであるときには、栓蓋25は下動することなく、最も高い位置に配置された状態で維持されることとなる。
以上、本第3実施形態によれば、上記第1実施形態と同様、水の溢れ出しや異音の発生を防止しつつ良好な排水性能を得るという作用効果を十分かつより確実に発揮させることができるとともに、この作用効果をより容易に実現することができる。さらに、部品の劣化や摩擦力の増減に伴う作用効果の経時的な低下をより確実に防止することができる。
また、本第3実施形態では、配管22における流量を検知し、その検知結果に基づき栓蓋25の高さ位置を設定するため、配管22における流量をより正確に制御(調整)することができる。その結果、水の溢れ出しや異音の発生を一層確実に防止することができる。
〔第4実施形態〕
次いで、第4実施形態について上記第1実施形態との相違点を中心に説明する。上記第1実施形態では、制御タイマ部53により計測された経過時間tに基づき、動作制御部54がモータ44の動作を制御して、栓蓋25の高さ位置を調節するように構成されている。これに対し、本第4実施形態では、図17に示すように、浴槽100の側壁103に対応して当該浴槽100の水位を検知するための水位検知センサ12が設けられており、当該水位検知センサ12による検知水位に基づき、動作制御部54がモータ44の動作を制御することで、栓蓋25の高さ位置を調節するように構成されている。
水位検知センサ12は、フロート式や圧力式などの方式を用いた公知の水位検知用のセンサである。勿論、水位検知センサとして、浴槽100における水面の高さを検知可能な超音波式や電磁式などの水位検知用のセンサを用いてもよい。水位検知センサ12による検知水位に関する情報は、制御装置5へと一定時間(例えば10秒)ごとに入力されるようになっている。
さらに、設定記憶部51には、図18に示すように、水位とモータ44に対する電力の供給時間との関係を示す水位給電情報が記憶されている。水位給電情報においては、予め定められた複数の水位レベル(水位範囲)ごとに異なる電力の供給時間がそれぞれ設定されている。本第4実施形態では、水位レベルとして「L1」、「L2」、「L3」、「L4」及び「L5」の計5種類が定められており、各水位レベルに対応して電力の供給時間として「D1」、「D2」、「D3」、「D4」及び「D5」が設定されている。
また、設定記憶部51には、最大供給時間に関する情報も記憶されている。最大供給時間は、栓蓋25を最も低い位置から最も高い位置まで移動させるために必要となる、モータ44に対する電力の供給時間に対応するものである。尚、前記水位給電情報において、最も低い水位レベル「L1」に対応する電力の供給時間「D5」は前記最大供給時間と等しいものとされている。
また、本第4実施形態において、動作制御部54は、水位検知センサ12による検知水位に対応する水位レベルと、排水口102を閉状態から開状態へと切換える際におけるモータ44に対する電力の供給時間の累積値とをそれぞれ一時記憶可能とされている。尚、動作制御部54は、排水口102が開状態から閉状態へと切換えられた場合、つまり磁気検知信号を出力するセンサが第一磁気センサ45Aから第二磁気センサ45Bへと切換わった場合、一時記憶している水位レベルを所定の初期情報に更新し、一時記憶している電力の供給時間の累積値を所定の初期値(例えば0)に更新する。水位レベルの初期情報は、予め定められている水位レベル「L1」~「L5」とは異なるものに設定されている。
さらに、動作制御部54は、排水口102が閉状態であるときに制御装置5へと開栓要求信号が入力されると、つまり切換検知部52により排水口102における閉状態から開状態への切換えが検知されると、水位検知センサ12による検知水位と、前記水位給電情報とに基づき、モータ44の動作を制御する。
詳しく説明すると、動作制御部54は、切換検知部52により排水口102における閉状態から開状態への切換えが検知されると、水位検知センサ12から検知水位に関する情報が入力される度に、この検知水位に対応する水位レベルを得るとともに、得られた水位レベルと、一時的に記憶している水位レベルとを比較する。そして、得られた水位レベルと一時記憶している水位レベルとが異なる場合、動作制御部54は、得られた水位レベルを新たに一時記憶する。
さらに、動作制御部54は、得られた水位レベルと一時記憶している水位レベルとが異なる場合、前記水位給電情報から、得られた水位レベルに対応する電力の供給時間を得る。その上で、動作制御部54は、得られた電力の供給時間から、一時記憶されている電力の供給時間の累積値を減算した時間を算出するとともに、算出した時間だけ前記電源から前記モータ44へと電力を供給させることで、駆動軸44Aを一方側に回転させる。また、動作制御部54は、電力の供給時間の累積値として、得られた電力の供給時間を新たに一時記憶する。
上記のように動作制御部54が動作することで、経時的に変化する浴槽100の水位に応じた高さ位置に栓蓋25が配置されることとなる。
例えば、排水口102を閉状態から開状態へと切換えた直後であって浴槽100の水位が比較的高く、水位検知センサ12から得られる水位レベルが「L5」である場合、前記水位給電情報において水位レベル「L5」に対応する電力の供給時間「D1」から、電力の供給時間の初期値(0)を減算した時間だけモータ44へと電力が供給される。そのため、栓蓋25はやや低めの位置に配置されることとなる。すなわち、水位検知センサ12により検知される浴槽100の水位が高い場合には、栓蓋25の高さ位置が低めとされる。
その後、浴槽100からの排水が進み、水位検知センサ12から得られる水位レベルが「L4」、「L3」、「L2」と変化していくと、その変化に合わせてモータ44へと段階的に電力が供給され、栓蓋25は段階的に上動していく。すなわち、水位検知センサ12により検知される浴槽100の水位が低くなるにつれて、栓蓋25の位置が段階的に高くされていく。
そして、最終的に水位検知センサ12から得られる水位レベルが「L1」になると、モータ44に対する電力の供給時間の累積値が前記最大供給時間と等しいものとなり、栓蓋25は最も高い位置に配置されることとなる。尚、通常、排水口102が開状態であるときに水位レベルが「L1」から変化することはないため、栓蓋25は最も高い位置に配置された状態で維持されることとなる。
一方、例えば、排水口102を閉状態から開状態へと切換えた直後であって浴槽100の水位が比較的低く、水位検知センサ12から得られる水位レベルが「L3」である場合、前記水位給電情報において水位レベル「L3」に対応する電力の供給時間「D3」から、電力の供給時間の初期値を減算した時間だけモータ44へと電力が供給される。そのため、水位検知センサ12により検知される浴槽100の水位がやや低い場合、栓蓋25はやや高めの位置に配置されることとなる。
その後、浴槽100からの排水が進み、水位検知センサ12から得られる水位レベルが「L2」、「L1」と変化していくと、その変化に合わせてモータ44へと段階的に電力が供給されて、栓蓋25は段階的に上動し、最終的に栓蓋25は最も高い位置に配置されることとなる。
このように本第4実施形態では、栓蓋25は、排水口102を閉状態から開状態へと切換えた直後において浴槽100の水位に合わせた高さ位置に配置され、その後、浴槽100の水位の低下に合わせて段階的に上動していく。その結果、栓蓋25の下に形成された、排水の流れる隙間の面積(通水面積)は段階的に増大していく。
尚、排水口102を閉状態から開状態へと切換えた直後における浴槽100の水位が相当低く、水位検知センサ12から得られる水位レベルが当初から「L1」である場合、栓蓋25は最も高い位置まで一度に上動し、その状態で維持されることとなる。
以上、本第4実施形態によれば、動作制御部54は、水位検知センサ12により検知された、浴槽100における実際の水位に基づき、モータ44の動作を制御する。従って、実際の水位に合わせた適切な高さ位置に栓蓋25を配置することが可能となり、水の溢れ出しや異音の発生をより一層確実に防止することができる。
尚、上記実施形態の記載内容に限定されず、例えば次のように実施してもよい。勿論、以下において例示しない他の応用例、変更例も当然可能である。
(a)上記実施形態では、栓蓋25が段階的に上動した後において、電動操作装置6や手動操作装置8を操作して排水口102を閉状態へと切換えようとしない限り、排水口102は開状態のままで維持されるように構成されている。これに対し、動作制御部54を、排水口102が開状態に切換えられてから所定時間経過後に、排水口102が自動的に閉状態となるようにモータ44の動作を制御するように構成することで、栓蓋25が段階的に上動した後に、電動操作装置6や手動操作装置8を操作せずとも排水口102が自動的に閉状態となるように構成してもよい。つまり、排水栓装置1が、排水口102を自動的に開状態から閉状態へと切換える自動閉栓機能を具備するように構成してもよい。この構成は、例えば、制御タイマ部53により計測された経過時間tが所定時間(例えば、第三電力供給期間の終期から十分な時間が経過したときの時間など)に至ったときに、動作制御部54によって、排水口102を閉状態とするための動作が行われるようにモータ44を制御する構成とすることで実現可能である。尚、「所定時間」は、浴槽100に最大限の水を溜めた状態において、排水口102を閉状態から開状態へと切換えてから、浴槽100内の水がほぼ全て排出されるまでに要する時間と同程度の時間又はこれよりも長い時間(例えば、30分以上など)とすることが好ましい。
上記のように構成することで、浴槽100に水を溜めようとしたときに、排水口102を開状態としたまま浴槽100に水を供給してしまうといった事態をより生じにくくすることができる。また、使用者においては、このような事態を防ぐべく排水口102が閉状態であることを実際に見て十分に確認する、といった面倒な行動をとる必要がなくなる。これらの結果、浴槽100へと水が無駄に供給されてしまうことをより容易にかつより確実に防止できる。
さらに、浴槽100へと水を溜めようとする度に、排水口102を開状態から閉状態へと切換えるといった面倒な手間を減らすことができる。その結果、使用者にとっての利便性を著しく向上させることができる。
(b)上記第1、第2実施形態における高さ変動設定情報αは、例えば「1」、「2」又は「3」の三種類とされており、栓蓋25の動作パターン(栓蓋動作パターン情報β)が三種類用意されているが、栓蓋25の動作パターンは二種類又は四種類以上であってもよい。勿論、栓蓋25の動作パターンが一種類であってもよい。
また、上記第1実施形態等では、高さ変動設定情報αを変更することで、参照する栓蓋動作パターン情報βが変化するように構成されているが、入力部62を用いることで、栓蓋動作パターン情報βにおける各電力供給期間の始期や終期を設定・変更できるように構成してもよい。勿論、手動対応動作パターン情報γについても同様である。
(c)栓蓋25の高さ位置を変動させる機能と、栓蓋25の高さ位置を一定に維持する機能とを選択的に利用可能とし、排水口102を閉状態から開状態へと切換えるときに、浴槽100における水位の高低に合わせて栓蓋25の高さ位置を変動させる場合と、浴槽100における水位の高低に関わらず栓蓋25の高さ位置を一定に維持する場合とを使い分けられるように構成してもよい。この場合には、使用者にとっての利便性を向上させることができる。
(d)上記第3実施形態では、排水口102を閉状態から開状態へと切換える際に、まず、栓蓋25が配置可能範囲内における最も高い位置に配置されるように構成されている。これに対し、排水口102を閉状態から開状態へと切換える際に、まず、栓蓋25がやや低めの位置に配置され、その後、流量検知センサ10による検知水量に基づき、栓蓋25が上下動するように構成してもよい。
(e)上記第1実施形態などにおいて、栓蓋25は段階的に上動するように構成されているが、栓蓋25が連続的に上動するように構成してもよい。
また、上記第1実施形態などにおいて、栓蓋25は、段階的な上動時に計3回上動するように構成されているが、上動の回数は特に限定されるものではなく、適宜変更可能である。
(f)上記実施形態では、電力の供給時間を利用してモータ44に対する電力の供給制御を行っているが、駆動軸44Aの回転量(回転角度)を利用してモータ44に対する電力の供給制御を行うこととしてもよい。
(g)上記実施形態では、栓蓋25(パッキン部25B)が排水口部材21に接触することで、排水口102を閉鎖するように構成されているが、栓蓋25(パッキン部25B)が底部101に接触することで、排水口102を閉鎖するように構成してもよい。
(h)上記実施形態では、配管22は浴室洗い場の排水口に対応して設けられた排水トラップと繋がった状態とされているが、必ずしも配管22及び前記排水トラップとを繋げた状態としなくてもよい。
1…排水栓装置、10…流量検知センサ、12…水位検知センサ、22…配管、25…栓蓋、43A…第一減速歯車、43B…第二減速歯車、44…モータ(通電動作部)、44A…駆動軸、52…切換検知部、53…制御タイマ部、54…動作制御部、100…浴槽、101…底部、102…排水口。

Claims (6)

  1. 浴槽の底部に形成された排水口を開閉するための上下動可能な栓蓋と、
    前記排水口を通過して流れる排水の流路を構成する配管と、
    通電により動作可能であるとともに、自身の動作により前記栓蓋を移動させることが可能に構成された通電動作部とを備えた排水栓装置であって、
    前記排水口における開閉状態の切換えを検知する切換検知部と、
    前記通電動作部の動作を制御することで、前記栓蓋の高さ位置を調節可能な動作制御部とを有し、
    前記動作制御部は、前記切換検知部によって前記排水口における閉状態から開状態への切換えが検知されると、前記栓蓋の高さ位置を、前記浴槽の水位が高い場合又は高いと推定される場合に低めとし、前記浴槽の水位が低い場合又は低いと推定される場合に高めとするように、前記通電動作部の動作を制御するように構成されていることを特徴とする排水栓装置。
  2. 前記切換検知部による前記排水口の閉状態から開状態への切換えが検知されたことを契機として、切換えからの経過時間の計測を開始する制御タイマ部を有し、
    前記動作制御部は、前記制御タイマ部により計測された経過時間に基づき、前記通電動作部の動作を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の排水栓装置。
  3. 前記配管を流れる水の単位時間当たりの流量を検知するための流量検知センサを有し、
    前記動作制御部は、前記流量検知センサによる検知流量に基づき、前記通電動作部の動作を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の排水栓装置。
  4. 前記浴槽における水位を検知するための水位検知センサを有し、
    前記動作制御部は、前記水位検知センサによる検知水位に基づき、前記通電動作部の動作を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の排水栓装置。
  5. 前記通電動作部は、通電により回転可能な駆動軸を備えたモータであり、
    前記駆動軸の回転による駆動力を、前記栓蓋側へと所定の減速歯車を介して伝達するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の排水栓装置。
  6. 前記動作制御部は、前記排水口が開状態に切換えられてから所定時間経過後に、前記排水口が自動的に閉状態となるように前記通電動作部の動作を制御するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の排水栓装置。
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