A.装置構成 :
図1は、本実施例の浴槽洗浄装置10の大まかな構造を示した説明図である。本実施例の浴槽洗浄装置10は、洗浄水を噴射する噴射ノズル11と、噴射ノズル11に洗浄水を供給する洗浄水生成ユニット12と、洗浄水を生成するための洗剤13fが収容された洗剤タンク13と、洗浄水生成ユニット12の動作を制御する制御ユニット14とを備えている。
噴射ノズル11は、浴槽1内に設けられており、洗浄水生成ユニット12から供給された洗浄水を噴射することによって、浴槽1を自動で洗浄することが可能となっている。洗浄水生成ユニット12には、温水を生成する給湯器4と、洗剤タンク13と、噴射ノズル11とが接続されており、給湯器4から供給される温水(または水)と、洗剤タンク13から供給される洗剤13fとを混合することによって洗浄水を生成して、噴射ノズル11に供給する。また、洗浄水生成ユニット12が洗浄水を生成する動作は、制御ユニット14によって制御されている。すなわち、洗浄水生成ユニット12の内部には、後述する各種の電磁弁や流量制御弁などが搭載されており、制御ユニット14がこれらの動作を制御することによって、洗浄水生成ユニット12内で洗浄水が生成されるようになっている。
また、洗剤タンク13内にはフロート式の残量スイッチ13sが搭載されており、洗剤タンク13内の洗剤13fの残量が所定の閾値残量よりも少なくなると、そのことを示す信号が残量スイッチ13sから制御ユニット14に出力されるようになっている。浴槽1の底面には排水弁2が設けられており、ユーザが操作ボタン3を操作すると排水弁2が開弁状態となって、浴槽1内の残り湯を排水することができる。更に、排水弁2は、制御ユニット14の制御によって、開弁させたり、閉弁させたりすることも可能となっている。
更に、制御ユニット14は、スマートフォンなどの外部通信機器7と予めペアリングされており、洗剤タンク13の残量スイッチ13sから、洗剤13fの残量が少なくなった旨の信号を受け取ると、その旨を外部通信機器7に送信することが可能となっている。そして、洗剤13fの残量が少なくなった旨の連絡を受け取った外部通信機器7では、専用のアプリケーションプログラム(いわゆるアプリ)が立ち上がって、インターネットなどの公衆通信回線5を介して、販売店6に接続して補充用の洗剤13fを注文することも可能となっている。
図2は、浴槽洗浄装置10の洗浄水生成ユニット12の内部構造を示した説明図である。図示されるように、給湯器4の出湯配管4pは洗浄水生成ユニット12のフィルタ12aを介して、洗浄水生成ユニット12内の温水配管12pに接続されており、給湯器4で生成された温水は、フィルタ12aで異物が除去された後に、温水配管12pに供給されるようになっている。そして、温水配管12pに供給された温水(あるいは水)は、流量制御弁12b、流量センサ12c、温水電磁弁12d、三次逆止弁12e、二次逆止弁12f、逆圧排水弁12h、一次逆止弁12iを経由して、ベンチュリ管12jに供給される。また、洗剤タンク13の洗剤13fは、洗剤配管13pによって洗浄水生成ユニット12内に供給されて、洗剤電磁弁12kを経由してベンチュリ管12jに供給される。そして、ベンチュリ管12j内では、給湯器4から供給された温水(あるいは水)と、洗剤タンク13から供給された洗剤13fとが混合して洗浄水が生成されて、噴射ノズル11に供給されるようになっている。
また、流量制御弁12bや、流量センサ12c、温水電磁弁12d、洗剤電磁弁12kは制御ユニット14に接続されている。そして、ベンチュリ管12jで洗浄水を生成する動作は、以下のようにして、制御ユニット14によって制御されている。洗浄水を生成するに際しては、先ず初めに、制御ユニット14から温水電磁弁12dに駆動信号を出力することによって、温水電磁弁12dを開弁させる。すると、給湯器4からの温水の供給が開始されて、温水配管12p内を温水(あるいは水)が流れるようになる。流量センサ12cは、この温水の流量を検出して制御ユニット14に出力する。制御ユニット14は、流量センサ12cからの出力に基づいて、適切な流量が得られるように流量制御弁12bの弁開度を制御する。その結果、ベンチュリ管12jには、適切な流量の温水(あるいは水)が給湯器4から供給されるようになる。
また、温水電磁弁12dの下流側のベンチュリ管12jまでの間に設けられた三次逆止弁12eや、二次逆止弁12f、逆圧排水弁12h、一次逆止弁12i、大気開放弁12gは、断水などの影響で、給湯器4から供給される温水(あるいは水)の水圧が低下した場合でも、浴槽1内の汚水が給湯器4に逆流する事態を防止するためのものである。すなわち、給湯器4からの水圧が低下すると、ベンチュリ管12jの上流側に設けられた一次逆止弁12iが閉弁状態となり、一次逆止弁12iよりも上流側には浴槽1内の汚水が逆流しないようになっている。仮に、何らかの理由で一次逆止弁12iが完全に閉弁しなかった場合でも、給湯器4からの水圧が低下すると逆圧排水弁12hが開弁状態となるため、汚水が逆圧排水弁12hから排出されて、逆圧排水弁12hよりも上流側には逆流しないようになっている。更に、何らかの理由で逆圧排水弁12hが開弁しなかった場合でも、給湯器4からの水圧が低下すると二次逆止弁12fが閉弁状態となるため、二次逆止弁12fよりも上流側に汚水が逆流することはなく、加えて、三次逆止弁12eも閉弁状態となるため、三次逆止弁12eよりも上流側に汚水が逆流しないようになっている。更に加えて、二次逆止弁12fおよび三次逆止弁12eが何れも完全には閉弁しなかった場合でも、給湯器4からの水圧が低下すると大気開放弁12gが開弁状態となるため、汚水が大気開放弁12gから排出されて、大気開放弁12gよりも上流側には逆流しないようになっている。
また、このように給湯器4からの温水(あるいは水)がベンチュリ管12jに供給されている状態で、制御ユニット14から洗剤電磁弁12kに駆動信号を出力することによって、洗剤電磁弁12kを開弁させる。洗剤タンク13内の洗剤13fが洗剤配管13pを経由してベンチュリ管12jに供給される。その結果、ベンチュリ管12j内では、給湯器4からの温水(あるいは水)と、洗剤タンク13からの洗剤13fとが混合して洗浄水が形成されて、噴射ノズル11に供給されることになる。また、温水電磁弁12dを開弁状態としたままで、洗剤電磁弁12kを閉弁させれば、洗剤13fがベンチュリ管12jに供給されなくなるので、噴射ノズル11に供給されている洗浄水を温水(あるいは水)に切り換えることができる。更に、再び洗剤電磁弁12kを開弁させれば、噴射ノズル11に温水が供給されている状態から、洗浄水が供給される状態に復帰させることもできる。
制御ユニット14は、いわゆるマイコン14aを中心として形成されており、マイコン14aには、外部記憶装置14bなどがデータを入出力可能に接続されている。更に、制御ユニット14には、遠隔操作部15(いわゆるリモコン)や外部通信機器7と通信するための通信モジュール14cも搭載されている。マイコン14aは、内蔵されたROMに記憶されているプログラムを実行することによって各種の処理を実行することが可能となっている。そして、ユーザが、遠隔操作部15のタッチパネル15a上に表示された画像を見ながらタッチパネル15a上のボタンを選択すると、選択された内容に応じてマイコン14aが洗浄水生成ユニット12内の流量制御弁12bや、温水電磁弁12d、洗剤電磁弁12kの動作を制御する。その結果、後述する浴槽洗浄処理が実行されて、浴槽1が自動で洗浄されるようになっている。また、遠隔操作部15には、ユーザに対して、洗剤13fの補充が必要である旨を報知する報知ランプ15bも設けられている。
また、制御ユニット14には、洗剤タンク13内の残量スイッチ13s(図1参照)も接続されている。このため、マイコン14aは、洗剤タンク13内の洗剤13fの残量が少なくなったことを認識して、その旨を遠隔操作部15に出力することによって、遠隔操作部15のタッチパネルに表示したり、遠隔操作部15の報知ランプ15bを点灯させたり、効果音を出力したりすることによって、ユーザにその旨を報知すると共に、通信モジュール14cを介して外部通信機器7にもその旨を通知することができる(図1参照)。前述したように、外部通信機器7にはスマートフォンなどが用いられており、洗剤13fの残量が少なくなった旨の通知を受信すると、予めインストールされていた専用のアプリケーションプログラムが立ち上がって、補充用の洗剤13fを発注して良いかをユーザに確認する。そして、ユーザの許可が得られた場合には、図1に示した公衆通信回線5を介して販売店6に洗剤13fを発注して、洗剤13fの配達予定日(または発送予定日)を取得し、その配達予定日(または発送予定日)を洗剤13fの入手予定日として制御ユニット14に送信する。
上述したように、洗剤タンク13内の洗剤13fの残量が少なくなると、遠隔操作部15の報知ランプ15bを点灯させて、洗剤13fの補充が必要である旨をユーザに報知している。このためユーザは、補充用の洗剤13fを入手したらその日のうちに(少なくとも次回の浴槽1の洗浄までには)、洗剤タンク13に洗剤13fを補充するものと考えられるので、洗剤13fの入手予定日は、洗剤13fが補充される予定の日(補充予定日)となる。そこで、制御ユニット14は、外部通信機器7から入手予定日(すなわち、補充予定日)を受け取ると、補充用の洗剤が入手できるまでの間に洗剤タンク13内の洗剤13fが無くなることを回避しながら、洗浄能力の低下も出来るだけ抑制した状態で、浴槽1の洗浄を実行するようになっている。尚、本実施例では、洗剤13fの残量が少なくなると、制御ユニット14がその旨を外部通信機器7に通知し、通知を受けた外部通信機器7が販売店6に洗剤13fを発注して配達予定日を受け取るようになっており、その配達予定日(または発送予定日)を制御ユニット14が入手予定日として取得するものとして説明する。しかし、制御ユニット14は補充用の洗剤13fの発注および入手予定日の入力を促すものの、洗剤13fの発注や入手予定日の入力はユーザが行うようにしても良い。
B.浴槽洗浄処理 :
図3および図4は、本実施例の浴槽洗浄装置10が実行する浴槽洗浄処理のフローチャートである。この処理は、浴槽洗浄装置10の制御ユニット14に搭載されたマイコン14aによって実行される処理である。図示されるように、制御ユニット14のマイコン14aは浴槽洗浄処理を開始すると、先ず初めに、洗浄モード設定処理を開始する(STEP50)。洗浄モード設定処理の詳細については後述するが、本実施例の浴槽洗浄装置10には、複数種類の洗浄モードが設定されており、ユーザによって指定された何れかの洗浄モードに従って浴槽1を洗浄するようになっている。
図5は、本実施例の浴槽洗浄装置10に設定されている複数種類の洗浄モードについての説明図である。図示されるように、本実施例では、「スピードモード」、「標準モード」、「念入りモード」の3種類の洗浄モードが設定されており、洗浄モードによって使用される洗剤量(使用洗剤量)や、洗浄工程回数が異なっている。尚、洗浄工程回数の意味する内容については後述する。これら複数種類の洗浄モードに関するデータは、制御ユニット14に内蔵された外部記憶装置14bに予め記憶されている。従って、本実施例の制御ユニット14に内蔵された外部記憶装置14bは、本発明における「洗浄モード記憶手段」に対応する。
図3に示されるように、洗浄モード設定処理(STEP50)を終了すると、制御ユニット14のマイコン14aは、浴槽1の排水弁2を開弁させることによって、浴槽1内に残った残り湯の排水を開始する(STEP10)。図1を用いて前述したように、浴槽1の排水弁2は、ユーザが操作ボタン3を操作すると開弁するようになっているが、制御ユニット14からの信号で開弁させることも可能となっている。
排水弁2を開弁させたら、続いて、排水待機時間が経過したか否かを判断する(STEP11)。ここで、排水待機時間とは、浴槽1内の残り湯を排水するために要する時間であり、10分程度の時間に設定されている。また、マイコン14aは、排水弁2を開弁させると、図示しない内蔵タイマを起動させることによって計時を開始する。その結果、経過時間が排水待機時間に達していない場合は(STEP11:no)、計時を継続しながら、STEP11の判断を繰り返すことによって待機状態となる。
このように、浴槽1内の排水弁2を開いて待機していると、やがては経過時間が排水待機時間に達して、STEP11で「yes」と判断される。そこで今度は、洗浄水生成ユニット12内の温水電磁弁12d開弁させることによって、予備洗浄を開始する(STEP12)。ここで、予備洗浄とは、浴槽1に洗浄水を噴射するに先立って温水を噴射することによって、浴槽1に付着した髪の毛や、体毛、湯垢などの汚れを予備的に洗い流す動作である。予備洗浄では温水電磁弁12dを開弁させると共に、流量制御弁12bによって温水の流量も適切な流量に制御されており、その結果、浴槽1内の噴射ノズル11からは、適切な流量で温水の噴射が開始される。
予備洗浄を開始すると、続いて、予備洗浄時間が経過したか否かを判断する(STEP13)。予備洗浄時間とは、予備洗浄として噴射ノズル11から温水を噴射する時間であり、60秒程度の時間に設定されている。また、マイコン14aは、予備洗浄を開始すると、図示しない内蔵タイマを起動させることによって計時を開始した後、計時中の経過時間が予備洗浄時間に達したか否かを判断する(STEP13)。その結果、経過時間が予備洗浄時間に達していない場合は(STEP13:no)、計時を継続しながら、STEP13の判断を繰り返し、経過時間が予備洗浄時間に達したら(STEP13:yes)、温水電磁弁12dを一旦閉弁する(STEP14)。
そして、予備洗浄待機時間が経過したか否かを判断する(STEP15)。ここで、予備洗浄待機時間とは、浴槽1に付着した湯垢を、予備洗浄で浴槽1に噴射した温水によってふやかして、後に実行する洗浄工程で汚れを落とし易くするために待機する時間であり、30秒程度の時間に設定されている。また、マイコン14aは、温水電磁弁12dを閉弁して予備洗浄を終了すると(STEP14)、図示しない内蔵タイマを起動させることによって計時を開始した後、経過時間が予備洗浄待機時間に達したか否かを判断する(STEP15)。その結果、経過時間が予備洗浄待機時間に達していない場合は(STEP15:no)、計時を継続しながら、STEP15の判断を繰り返し、経過時間が予備洗浄待機時間に達したら(STEP15:yes)、STEP15の判断を終了する。尚、以上に説明したSTEP12〜STEP15までの工程は、予備洗浄工程と呼ばれている。
こうして予備洗浄工程を終了したら、洗浄水を噴射する洗浄工程を開始するが、それに先立って、洗浄工程回数を初期化しておく(STEP16)。ここで、洗浄工程回数とは、後述する洗浄工程を繰り返して実行する回数のことである。すなわち、図5を用いて前述したように、本実施例では複数種類の洗浄モードが設定されており、洗浄モード毎に使用する洗剤量(使用洗剤量)が異なっている。ここで、標準モードの使用洗剤量は、スピードモードの使用洗剤量の2倍となっているが、これは、標準モードで洗浄工程を実行する回数(すなわち、洗浄工程回数)が、スピードモードの洗浄工程回数の2倍の回数に設定されているためである。同様に、念入りモードの使用洗剤量は、スピードモードの使用洗剤量の3倍となっているが、これは、念入りモードの洗浄工程回数が、スピードモードの洗浄工程回数の3倍の回数に設定されているためである。このように、本実施例では、洗浄工程を繰り返して実行する回数を異ならせることによって、複数種類の洗浄モードを実現している。そこで、STEP16では、以下に説明する洗浄工程を開始するに先立って、洗浄工程回数を0回に初期化しておく。
洗浄工程では、先ず初めに、温水電磁弁12dおよび洗剤電磁弁12kを開弁することによって、浴槽1の洗浄を開始する(図4のSTEP17)。図2を用いて前述したように、温水電磁弁12dおよび洗剤電磁弁12kを開弁すると、ベンチュリ管12jで温水と洗剤13fとが混合して洗浄水が生成されて、噴射ノズル11から浴槽1内に噴射される。また、この時の温水の流量は、流量制御弁12bによって適切な流量に制御されており、その結果、噴射ノズル11からは適切な流量の洗浄水が噴射される。
続いて、洗浄時間が経過したか否かを判断する(STEP18)。ここで、洗浄時間とは、噴射ノズル11から浴槽1内に洗浄水を噴射する時間であり、2秒程度の時間に設定されている。マイコン14aは、図示しない内蔵タイマを起動させることによって洗浄水の噴射開始からの経過時間を計時しており、計時した経過時間が洗浄時間に達したか否かを判断する(STEP18)。その結果、経過時間が洗浄時間に達していない場合は(STEP18:no)、計時を継続しながら、STEP18の判断を繰り返し、経過時間が洗浄時間に達したら(STEP18:yes)、温水電磁弁12dおよび洗剤電磁弁12kを閉弁させることによって、洗浄水の噴射を停止する(STEP19)。
その後、今度は、洗浄待機時間が経過したか否かを判断する(STEP20)。ここで、洗浄待機時間とは、噴射ノズル11から噴射された洗浄水によって浴槽1内の壁面に付着した汚れが浮き上がるのを待機する時間であり、40秒程度の時間に設定されている。マイコン14aは、図示しない内蔵タイマを起動させることによって、洗浄水の噴射を停止してからの経過時間を計時しており、計時した経過時間が洗浄待機時間に達したか否かを判断する(STEP20)。その結果、経過時間が洗浄待機時間に達していない場合は(STEP20:no)、計時を継続しながら、STEP20の判断を繰り返し、経過時間が洗浄待機時間に達したら(STEP20:yes)、1回分の洗浄工程(すなわち、STEP17〜STEP20までの工程)が終了したことになる。
こうして、1回分の洗浄工程が終了したら、洗浄工程回数に「1」を加算した後(STEP21)、洗浄工程回数が予定回数に達したか否かを判断する(STEP22)。予定回数は、浴槽洗浄処理の先頭で実行される洗浄モード設定処理(STEP50)の中で、ユーザによって指定された洗浄モードに応じた回数が予め設定されている。洗浄モード設定処理(STEP50)の詳細については後述するが、本実施例では、ユーザによって指定された洗浄モードがスピードモードであった場合には、洗浄工程の予定回数は1回に設定される。また、指定された洗浄モードが標準モードであった場合には、予定回数は2回に設定され、指定された洗浄モードが念入りモードであった場合には、予定回数は3回に設定されるようになっている(図5参照)。
図4のSTEP22で、洗浄工程回数が予定回数に達していないと判断した場合は(STEP22:no)、STEP17に戻って、温水電磁弁12dおよび洗剤電磁弁12kを開弁させることによって、再び、STEP17〜STEP20の洗浄工程を実行する。そして、洗浄工程回数に「1」を加算した後(STEP21)、洗浄工程回数が予定回数に達してか否かを判断する(STEP22)。このような動作を繰り返すことによって、やがては、洗浄工程回数が予定回数に達して、STEP22で「yes」と判断されることになる。
その後は、洗剤電磁弁12kを閉弁させたまま、温水電磁弁12dを開弁させることによって、浴槽1内のすすぎを開始する(STEP23)。すなわち、上述した洗浄工程では、浴槽1内の壁面に向かって洗剤水が噴射されることによって、壁面の汚れが浮き上がった状態となっている。そこで、浮き上がった汚れを洗い流すために、噴射ノズル11から温水を噴射するのである。尚、この時の温水の流量も、流量制御弁12bによって適切な流量に制御されている。
続いて、すすぎ時間が経過したか否かを判断する(STEP24)。すすぎ時間は、90秒程度の時間に設定されている。マイコン14aは、図示しない内蔵タイマを用いて、すすぎを開始してからの経過時間を計時しており、計時した経過時間が、すすぎ時間に達したか否かを判断する(STEP24)。その結果、経過時間がすすぎ時間に達していない場合は(STEP24:no)、計時を継続しながら、STEP24の判断を繰り返し、経過時間がすすぎ時間に達したら(STEP24:yes)、温水電磁弁12dを閉弁させることによって、すすぎを停止する(STEP25)。以上に説明したSTEP23〜STEP25の工程は、すすぎ工程と呼ばれている。こうして、すすぎ工程が終わったら、図3および図4の浴槽洗浄処理を終了する。
以上のような浴槽洗浄処理では、噴射ノズル11から洗浄水を噴射することによって、浴槽1を自動で洗浄することができるが、洗剤タンク13内の洗剤13fが無くなると、洗浄水を生成することができなくなるため、浴槽1を洗浄することができなくなる。図1を用いて前述したように、洗剤タンク13内にはフロート式の残量スイッチ13sが搭載されており、洗剤タンク13内の洗剤13fの残量が所定の閾値残量よりも少なくなると、遠隔操作部15の報知ランプ15bが点灯するので、ユーザは洗剤13fの残量が少なくなったことを認識することができ、補充用の洗剤13fを準備することができる。しかし、洗剤13fの入手に日数が掛かってしまうと、洗剤13fを補充する前に洗剤タンク13が空になって、浴槽1を洗浄できなくなる事態も生じ得る。そこで、本実施例では、浴槽洗浄処理を開始すると、先ず初めに、以下に説明する洗浄モード設定処理を開始する。
C.洗浄モード設定処理 :
図6は、上述した浴槽洗浄処理内で実行される洗浄モード設定処理のフローチャートである。この処理も、浴槽洗浄処理と同様に、浴槽洗浄装置10の制御ユニット14に搭載されたマイコン14aによって実行される処理である。図示されるように、洗浄モード設定処理(STEP50)では、先ず初めに、残量スイッチ13sがONになっているか否かを判断する(STEP51)。図1を用いて前述したように、洗剤タンク13にはフロート式の残量スイッチ13sが内蔵されており、洗剤タンク13内の洗剤13fの残量が所定の閾値残量よりも少なくなると、残量スイッチ13sがONになる。そこで、洗浄モード設定処理では、先ず初めに、残量スイッチ13sがONになっているか否かを判断する(STEP51)。
その結果、残量スイッチ13sがONになっていない場合は(STEP51:no)、洗剤タンク13内には、未だ閾値残量よりも多くの洗剤13fが残っていると考えられる。そこで、この場合は、遠隔操作部15の報知ランプ15bを消灯させる(STEP52)。図2を用いて前述したように、報知ランプ15bは、ユーザに対して洗剤13fが残り少なくなったことを報知するために点灯されるランプである。尚、単に報知ランプ15bを消灯させるのではなく、報知ランプ15bが点灯しているか否かを判断して、報知ランプ15bが点灯している場合には消灯させるようにしても良い。
続いて、マイコン14aは、予め記憶されている複数種類の洗浄モード(本実施例の場合は、図5に示した「スピードモード」、「標準モード」、「念入りモード」の3種類の洗浄モード)の全てを指定可能な態様で、遠隔操作部15のタッチパネル15aに表示する(STEP53)。こうしてタッチパネル15a上に表示された洗浄モードの中からユーザが1つの洗浄モードを指定すると、マイコン14aが遠隔操作部15と通信することによって、ユーザが指定した洗浄モードを取得する(STEP58)。そして、外部記憶装置14bに記憶されている洗浄モードのデータを参照することによって、指定された洗浄モードに対応付けて記憶されている洗浄工程回数(図5を参照のこと)を読み出して、予定回数として設定する(STEP59)。
尚、本実施例では、遠隔操作部15のタッチパネル15a上でユーザによって指定された洗浄モードが、本発明における「指定洗浄モード」に対応する。また、こうして指定された洗浄モードに基づいて洗浄工程の予定回数が設定されて、前述した浴槽洗浄処理が実行されることにより、指定された洗浄モードで浴槽1の洗浄が行われることになる。前述した浴槽洗浄処理は、制御ユニット14に搭載されたマイコン14aが実行しているから、本実施例のマイコン14aは、本発明における「洗浄実行手段」に対応する。
以上では、残量スイッチ13sがONになっていない場合(STEP51:no)について説明したが、残量スイッチ13sがONになっていた場合は(STEP51:yes)、洗剤タンク13内の洗剤13fの残量が、所定の閾値残量よりも少なくなっている。そこで、この場合は、洗剤13fの残量が少なくなっていることをユーザに報知するべく、遠隔操作部15の報知ランプ15bを点灯させる(STEP54)。尚、単に報知ランプ15bを点灯させるのではなく、報知ランプ15bが消灯しているか否かを判断して、報知ランプ15bが消灯している場合には点灯させるようにしても良い。また、本実施例では、洗剤タンク13の残量スイッチ13sがONになっている状態が、本発明における「要補充準備状態」に対応する。また、残量スイッチ13sがONになっている状態は、制御ユニット14に内蔵されたマイコン14aが検知していることから、本実施例のマイコン14aは、本発明における「要補充準備状態検知手段」にも対応する。
そして、残量スイッチ13sがONになっていた場合は(STEP51:yes)、使用可能洗剤量が既に記憶されているか否かを判断する(STEP55)。ここで、使用可能洗剤量とは、残量スイッチ13sがONになった場合に算出される洗剤量であり、以下のような値となっている。すなわち、残量スイッチ13sがONになった後、洗剤タンク13に洗剤13fが補充されるまでに複数回の洗浄が行われたとしても、1回あたりの洗浄で使用する洗剤を使用可能洗剤量に抑えておけば、洗剤タンク13が空になる前に洗剤13fを補充可能となるような洗剤量である。使用可能洗剤量は、残量スイッチ13sがONになると、後述する処理で算出された後、洗剤13fが補充されるまで記憶されている。
そこで、残量スイッチ13sがONと判断した場合には(STEP51:yes)、使用可能洗剤量が記憶されているか否かを判断する(STEP55)。そして、使用可能洗剤量が未だ記憶されていない場合は(STEP55:no)、以下に説明する使用可能洗剤量算出処理(STEP100)を実行することによって使用可能洗剤量を算出した後、算出した使用可能洗剤量を読み出す(STEP56)。これに対して、使用可能洗剤量が記憶されていた場合は(STEP55:yes)、使用可能洗剤量算出処理(STEP100)が既に実行されて、得られた使用可能洗剤量が制御ユニット14の外部記憶装置14bに記憶されていることになるので、記憶されている使用可能洗剤量を読み出す(STEP56)。
尚、本実施例では、残量スイッチ13sがONの場合(STEP51:yes)、使用可能洗剤量が既に記憶されていれば(STEP55:yes)、使用可能洗剤量算出処理(STEP100)は実行せずに、既に記憶されている使用可能洗剤量を読み出して使用する。従って、残量スイッチ13sがONになって、最初に図6の洗浄モード設定処理が実行される際に、使用可能洗剤量が算出されて制御ユニット14の外部記憶装置14bに記憶され、それ以降に実行される洗浄モード設定処理では、記憶されている使用可能洗剤量が読み出されて使用されることになる。しかし、残量スイッチ13sがONになって最初に洗浄モード設定処理が実行された後も、洗浄モード設定処理が実行される度に、後述する使用可能洗剤量算出処理(STEP100)を実行することによって、その時点で最新の使用可能洗剤量を算出するようにしても良い。
図7は、使用可能洗剤量算出処理のフローチャートである。尚、この使用可能洗剤量算出処理も、制御ユニット14に搭載されたマイコン14aによって実行されている。従って、本実施例のマイコン14aは、本発明における「使用可能洗剤量算出手段」にも対応する。図7に示されるように、使用可能洗剤量算出処理では、先ず初めに、予めペアリングされている外部通信機器7に対して、洗剤13fの残量が少なくなった旨を通知する(STEP101)。更に、洗剤タンク13内に残っている洗剤量(以下、洗剤残存量)に、閾値残量を設定する(STEP102)。尚、前述したように閾値残量とは、洗剤タンク13に内蔵されたフロート式の残量スイッチ13sがONになる洗剤量であり、予め求めておくことが出来る値である。また、本実施例のマイコン14aは、残量スイッチ13sがONになった時点で、閾値残量を洗剤残存量として設定していることから、本発明における「洗剤残存量取得手段」に対応する。
一方、洗剤13fが少なくなった旨の通知を受けた外部通信機器7では、予めインストールされていた専用のアプリケーションプログラムが起動して、補充用の洗剤13fを発注して良いかをユーザに確認するための画像を、外部通信機器7の画面上に表示する。そして、ユーザが発注を許可した場合には、ユーザによって予め設定されていた販売店6のサーバに対して、インターネットなどの公衆通信回線5を介して接続することによって、補充用の洗剤13fを発注する。更に、外部通信機器7のアプリケーションプログラムは、販売店6のサーバから、洗剤13fの配達予定日を取得して、その配達予定日を洗剤13fの入手予定日として制御ユニット14に送信するようになっている。
そこで、制御ユニット14のマイコン14aは、洗剤残存量を設定すると(STEP102)、洗剤13fの入手予定日を外部通信機器7から受け取ったか否かを判断する(STEP103)。その結果、入手予定日を受け取っていない場合は(STEP103:no)、同じSTEP103の判断を繰り返すことによって待機状態となる。そうして待機している間に、外部通信機器7から入手予定日を受け取ったら(STEP103:yes)、現在の日付から入手予定日までの日数を算出することによって、補充用の洗剤13fの入手予定日数を算出する(STEP104)。尚、入手予定日から入手予定日数を算出する動作は、制御ユニット14に搭載されたマイコン14aが実行しているから、本実施例のマイコン14aは、本発明における「入手予定日数取得手段」にも対応する。
また、ここでは、制御ユニット14のマイコン14aが外部通信機器7と通信することによって、外部通信機器7から洗剤13fの入手予定日を取得するものとして説明しているが、ユーザが入力した入手予定日を取得するようにしても良い。すなわち、図7の使用可能洗剤量算出処理を開始すると、先ず初めに、遠隔操作部15のタッチパネル15a上に、補充用の洗剤13fを準備する必要がある旨を表示した画像と、補充用の洗剤13fの入手予定日を入力するための画像とを表示することによって、入手予定日の入力を要求する。入手予定日としては、洗剤13fを買いに出かける予定の日(例えば、次の休日)を入力しても良いし、電話や通販サイトで洗剤13fを注文したときに取得した配達予定日を入力しても良い。高い蓋然性で洗剤13fを入手できると考えられる日であれば、その日を入手予定日とすることができる。そして、遠隔操作部15のタッチパネル15a上で入手予定日が入力されたか否かを判断し、入手予定日が入力されたら、その入手予定日を取得するようにしても良い。また、ユーザに洗剤13fの入手予定日を入力させるのではなく、「何日後に入手できるか」を尋ねる画像を表示することによって、ユーザに入手予定日数を入力させるようにしても良い。
また、前述したように遠隔操作部15の報知ランプ15bを点灯させることによって、洗剤タンク13内の洗剤13fの残量が少なくなっていることはユーザに報知しているから(図6のSTEP54)、ユーザは洗剤13fを入手したら、少なくとも次回に浴槽1を洗浄するまでの間には、洗剤タンク13に洗剤13fを補充すると考えて良い。従って、入手予定日は、洗剤タンク13に洗剤13fを補充する予定日となる。そこで、以上のようにして入手予定日数を取得したら、今度は、一日あたりの平均洗浄回数を取得する(STEP105)。すなわち、浴槽1を洗浄する頻度は、家庭によって大まかな頻度が決まっていると考えられる。そこで、本実施例では、過去の所定期間(本実施例では一週間)に浴槽1が洗浄された履歴を記憶しておき、その履歴に基づいて、一日あたりの平均洗浄回数を算出して記憶しており、STEP105では、その算出値を取得する。
図8は、一週間分の洗浄履歴に基づいて一日あたりの平均洗浄回数を算出する方法についての説明図である。図示した例では、5月1日からの洗剤履歴が記憶されており、5月1日および2日には、使用洗剤量が20cc(すなわち標準モード)の洗浄を1回ずつ、5月3日には、使用洗剤量が10cc(すなわちスピードモード)の洗浄を1回と、使用洗剤量が30cc(すなわち念入りモード)の洗浄を1日の合計で2回の洗浄を行っている。また、本実施例では、過去の一週間分の履歴から平均洗浄回数を算出することとしているので、過去の一週間分の履歴が揃うのは5月8日以降となる。そして、5月8日では、過去の一週間分(5月1日〜7日)までに9回の洗浄が行われているから、一日あたりの平均洗浄回数は1.29(=9/7)回となる。また、5月9日では、5月2日〜8日までの履歴を用いて、一日あたりの平均洗浄回数は1.29(=9/7)回となる。
一般に、生活のパターンは曜日によって大まかには決まっていることが多いから、浴槽1を洗浄する回数も曜日によって大まかに決まっていると考えられる。図8に示した例では、月曜日から金曜日は毎日1回ずつ浴槽1を洗浄し、土曜日および日曜日は毎日2回ずつ浴槽1を洗浄している。従って、平均洗浄回数を算出する場合には、一週間に相当する7日間、あるいは7の整数倍の日数の期間での履歴を用いて算出してやれば、曜日による生活パターンの変動の影響を受けることなく、安定した平均洗浄回数を算出することができる。
本実施例の制御ユニット14に内蔵された外部記憶装置14bには、図8に例示した過去の洗浄履歴が記憶されており、制御ユニット14のマイコン14aは、日付けが変わる度に、過去の洗浄履歴を参照することによって、一日あたりの平均洗浄回数を算出して、外部記憶装置14bに記憶している。また、外部記憶装置14bに洗浄履歴を記憶する動作は、マイコン14aが実行していることから、本実施例の制御ユニット14のマイコン14aは、本発明における「学習手段」に対応する。更に、外部記憶装置14bに記憶されている平均洗浄回数を読み出す動作もマイコン14aが実行しているから、本実施例の制御ユニット14のマイコン14aは、本発明における「平均洗浄回数取得手段」にも対応する。尚、本実施例では、記憶された洗浄履歴から一日あたりの平均洗浄回数を算出するものとして説明したが、遠隔操作部15のタッチパネル15a上からユーザが適切な平均洗浄回数を入力するようにしても良い。
続いて、補充用の洗剤13fを入手するまでの間に浴槽1を洗浄すると予想される回数(すなわち予想洗浄回数)を算出する(STEP106)。上述したように、補充用の洗剤13fを入手するまでに要する入手予定日数は分かっており、過去の履歴から求めた一日あたりの平均洗浄回数も分かっているから、補充用の洗剤13fを入手するまでの予想洗浄回数は、「入手予定日数」に「平均洗浄回数」を乗算することによって算出することができる。
こうして予想洗浄回数が分かれば、一回の洗浄で使用可能な洗剤量(すなわち使用可能
洗剤量)を算出することができる。すなわち、STEP102で設定しておいた洗剤残存量を、洗剤13fが補充されるまでの予想洗浄回数で除算すれば、使用可能洗剤量を算出することができる。こうして使用可能洗剤量を算出したら(STEP107)、算出した使用可能洗剤量を外部記憶装置14bに記憶して(STEP108)、図7の使用可能洗剤量算出処理を終了した後、図6の洗浄モード設定処理に復帰する。
以上のようにして使用可能洗剤量算出処理(STEP100)から復帰すると、制御ユニット14のマイコン14aは、外部記憶装置14bに記憶されている使用可能洗剤量を読み出す(STEP56)。そして、使用可能洗剤量よりも使用洗剤量が少ない洗浄モードを、ユーザが指定可能な態様で遠隔操作部15のタッチパネル15aに表示する(STEP57)。例えば、使用可能洗剤量が25ccであったとすると、使用可能洗剤量は1回の洗浄で使用可能な洗剤量であるから、1回の洗浄で30ccの洗剤を使用する念入りモードで洗浄すると(図5参照)、使用可能洗剤量を超えてしまう。そして、このようなことが続くと、補充用の洗剤13fを入手する前に洗剤タンク13内の洗剤13fが無くなってしまう虞がある。これに対して、標準モードやスピードモードでの洗浄であれば、こうした虞は生じない。そこで、制御ユニット14のマイコン14aは、スピードモードおよび洗浄モードについては、ユーザが指定可能な態様で遠隔操作部15のタッチパネル15a上に表示し、念入りモードについてはユーザが指定できない態様でタッチパネル15a上に表示することとしている。
尚、使用可能洗剤量が小さな値となった場合には、その使用可能洗剤量よりも使用洗剤量が少ない洗浄モードが存在しない事態も起こり得る。例えば、本実施例で使用洗剤量が最も少ない洗浄モードはスピードモードであるが、スピードモードの使用洗剤量(ここでは10cc)よりも、使用可能洗剤量が少なくなってしまうことも起こり得る。このような場合に、何れの洗浄モードも指定可能な態様で表示されなくなってしまうと、ユーザが浴槽1を洗浄することができなくなる。そこで、このような場合には、STEP57では、使用洗剤量が最も少ない洗浄モードについては、ユーザが指定可能な態様で表示するようにしても良い。また、この場合(すなわち、使用洗剤量が使用可能洗剤量よりも多いにも拘わらず、洗浄モードを指定可能な態様で表示した場合)は、その洗浄モードを選択可能な回数を表示するようにしても良い。選択可能な回数は、洗剤タンク13内の洗剤13fの残量(洗剤残存量)を、その洗浄モードの使用洗剤量で除算することによって求めることができる。また、ユーザがその洗浄モードを選択する度に、表示している回数を1つずつ減らすことによって更新してもよい。このようにして、選択可能な回数を表示すれば、ユーザが浴槽1の洗浄頻度を抑制するようになるので、補充用の洗剤13fを入手する前に、洗剤タンク13が空になって浴槽1を洗浄できなくなる事態を回避することが可能となる。
こうして表示された洗浄モードの中からユーザが1つの洗浄モードを選択して、遠隔操作部15のタッチパネル15a上でその洗浄モードを指定すると、マイコン14aが遠隔操作部15と通信することによって、指定された洗浄モードを取得する(STEP58)。そして、指定された洗浄モードに対応する洗浄工程回数を、予定回数として設定する(STEP59)。上述したように、使用可能洗剤量が記憶されている場合に、使用可能洗剤量を洗浄モード毎の使用洗剤量と比較することによって、その洗浄モードでの洗浄が可能か否かを判断する処理は、制御ユニット14のマイコン14aが行っている。そして、使用洗剤量の多い洗浄モードはユーザが指定できなくなる結果、洗剤タンク13に洗剤13fが補充されるまでの間は、洗剤13fの使用量が制限されることになる。従って、本実施例のマイコン14aは、本発明における「制限要否判断手段」および「使用量制限手段」に対応する。
以上に説明したように、本実施例の浴槽洗浄装置10では、洗剤タンク13内の洗剤13fの残量が閾値残量まで減少すると、1回の洗浄で使用可能な洗剤量(使用可能洗剤量)が算出されて、洗剤13fが補充されるまでの間は、毎回の洗浄で使用する洗剤量が使用可能洗剤量を超えないように制限される。また、使用可能洗剤量は、補充用の洗剤13fを入手するまでに要する日数(入手予定日数)や、浴槽1の洗浄する頻度を考慮して算出されている。このため、毎回の洗浄で使用する洗剤量を使用可能洗剤量以下に制限しておけば、補充用の洗剤13fを入手するまでに洗剤タンク13が空になる事態を回避することができる。加えて、使用可能洗剤量は入手予定日数や洗浄頻度も考慮して合理的に算出されているので、洗剤の使用量が過度に抑制されてしまうことは無く、しかも、使用可能洗剤量を超えない範囲であれば、ユーザが好みの洗浄モードで洗浄することができる。このため、洗剤タンク13に洗剤13fが補充されるまでの間も、洗浄性能が大幅に低下する事態も回避することが可能となる。
D.変形例 :
上述した本実施例の浴槽洗浄装置10には、幾つかの変形例が存在する。以下では、本実施例との相違点に焦点を当てて、これらの変形例について説明する。
D−1.第1変形例 :
上述した本実施例では、残量スイッチ13sがONになっている間は、使用洗剤量が使用可能洗剤量よりも少ない洗浄モードの中から選択したモードで洗浄する必要があった。しかし、使用洗剤量が使用可能洗剤量を少しでも超えてしまうと、その洗浄モードでは洗浄できなくなってしまうのでは、制限が厳しすぎる場合も起こり得る。例えば、使用可能洗剤量が29ccであった場合、図5に例示した念入りモードの使用洗剤量は30ccで僅かに使用可能洗剤量を超えるので念入りモードは使用できないとすると、ユーザは標準モードを使用するしかなくなってしまう。
しかし、標準モードは念入りモードに比べて洗浄性能が低いので、標準モードを使用するしかないとすると、ユーザにとっては不便となる。従って、残量スイッチ13sがONになったら、使用可能洗剤量に応じた専用の洗浄モードが生成されて、この専用の洗浄モードも選択できれば便利である。また、使用可能洗剤量は、既存の洗浄モードの使用洗剤量とは異なる値となることが通常なので、使用可能洗剤量に応じた専用の洗浄モードが選択できるようになれば便利と考えられる。以下では、このような第1変形例について説明する。
図9および図10は、第1変形例の洗浄モード設定処理のフローチャートである。この処理は、図3を用いて前述した浴槽洗浄処理の中で図6の洗浄モード設定処理(STEP50)の代わりに実行される処理である。また、第1変形例の洗浄モード設定処理も、制御ユニット14に内蔵されたマイコン14aによって実行される。
図示されるように、第1変形例の洗浄モード設定処理(STEP60)でも、先ず初めに、洗剤タンク13内の残量スイッチ13sがONになっているか否かを判断する(STEP61)。そして、残量スイッチ13sがONになっていない場合は(STEP61:no)、遠隔操作部15の報知ランプ15bを消灯させる(STEP62)。尚、単に報知ランプ15bを消灯させるのではなく、報知ランプ15bが点灯しているか否かを判断して、報知ランプ15bが点灯している場合には消灯させるようにしても良い。その後、既存の全ての洗浄モード(ここでは、スピードモード、標準モード、念入りモードの3種類の洗浄モード)を指定可能な態様で、遠隔操作部15のタッチパネル15a上に表示する(STEP63)。
これに対して、残量スイッチ13sがONになっていた場合は(STEP61:yes)、洗剤13fの残量が少なくなっていることをユーザに報知するべく、遠隔操作部15の報知ランプ15bを点灯させる(STEP64)。尚、単に報知ランプ15bを点灯させるのではなく、報知ランプ15bが消灯しているか否かを判断して、報知ランプ15bが消灯している場合には点灯させるようにしても良い。
続いて、使用可能洗剤量が記憶されているか否かを判断する(STEP65)。その結果、未だ、使用可能洗剤量が記憶されていない場合は(STEP65:no)、図7を用いて前述した使用可能洗剤量算出処理(STEP100)を実行する。使用可能洗剤量算出処理(STEP100)については既に説明済みなので、ここでは説明を省略する。そして、使用可能洗剤量算出処理(STEP100)から復帰すると、制御ユニット14の外部記憶装置14bに記憶されている使用可能洗剤量を読み出す(STEP66)。また、既に使用可能洗剤量が記憶されていた場合は(STEP65:yes)、使用可能洗剤量算出処理(STEP100)を行うことなく、使用可能洗剤量を読み出す(STEP66)。
続いて、第1変形例の洗浄モード設定処理では、以下のようにして、使用可能洗剤量に応じた専用の洗浄モードを生成するための処理を開始する。先ず、図5に例示した既存の洗浄モードの中で使用洗剤量が最も少ない洗浄モード(ここでは、スピードモード)に着目して、この洗浄モードの使用洗剤量と使用可能洗剤量とを比較する(STEP67)。その結果、使用可能洗剤量の方が少なかった場合は(STEP67:yes)、使用洗剤量が最も少ない洗浄モード(ここでは、スピードモード)の使用洗剤量を減少させることによって、使用可能洗剤量に応じた専用の洗浄モードを生成する(STEP68)。例えば、使用可能洗剤量が8ccであったとすると、スピードモードの使用洗剤量は10ccであるから(図5参照)、使用洗剤量を20%減らす必要がある。ここで、図3および図4を用いて前述したように、スピードモードでは洗浄工程が1回実行されており、洗浄工程の中では洗剤電磁弁12kが洗浄時間(ここでは2秒間)だけ開弁することによって、洗剤13fが使用されている。従って、洗剤電磁弁12kが開弁する洗浄時間を80%に減らして1.6秒間とすることによって、使用洗剤量が使用可能洗剤量となるような専用の洗浄モードを生成することができる。あるいは、使用可能洗剤量に対して若干の余裕を持たせた使用洗剤量の洗浄モードとしても良い。STEP68では、このようにして、使用可能洗剤量に応じた専用の洗浄モードを生成して、制御ユニット14の外部記憶装置14bに記憶する。また、専用の洗浄モードの洗浄工程回数は、ベースとした洗浄モード(ここではスピードモード)の洗浄工程回数を記憶する。尚、こうして生成された専用の洗浄モードが、本発明における「専用洗浄モード」に対応する。また、以上では、既存の洗浄モード(すなわち、スピードモード)をベースとして専用の洗浄モードを生成するものとして説明したが、既存の洗浄モードをベースにすることなく、新たに専用の洗浄モードを生成するようにしても良い。
続いて、制御ユニット14のマイコン14aは、生成した専用の洗浄モードを、ユーザが指定可能な態様で遠隔操作部15のタッチパネル15a上に表示する(STEP69)。尚、ここでは、使用可能洗剤量が、既存の何れの洗浄モードの用洗剤量よりも少ない(STEP67:yes)としているから、既存の洗浄モードの中には、ユーザが指定可能な態様で表示されるものはないが、専用の洗浄モードは表示される。
一方、既存の洗浄モードの中で使用洗剤量が最も少ない洗浄モード(ここでは、スピードモード)の使用洗剤量よりも、使用可能洗剤量の方が多かった場合は(STEP67:no)、今度は、使用洗剤量が2番目に少ない洗浄モード(ここでは、標準モード)の使用洗剤量と、使用可能洗剤量とを比較する(STEP70)。その結果、使用可能洗剤量の方が少なかった場合は(STEP70:yes)、標準モードの使用洗剤量を減少させることによって、使用可能洗剤量に応じた専用の洗浄モードを生成する(STEP71)。例えば、使用可能洗剤量が18ccであったとすると、標準モードの使用洗剤量は20ccであるから(図5参照)、使用洗剤量を10%減らす必要がある。前述したように標準モードでは洗浄工程が2回実行されており、洗浄工程の中では洗剤電磁弁12kが洗浄時間(ここでは2秒間)だけ開弁しているから、毎回の洗浄工程で洗剤電磁弁12kが開弁する洗浄時間を90%に減らして1.8秒間とすることによって、使用洗剤量が使用可能洗剤量となるような専用の洗浄モードを生成する。あるいは、1回目の洗浄工程で洗剤電磁弁12kが開弁する時間は変更せずに、2回目の洗浄工程で開弁する時間を80%に減らし1.6秒間とすることによって、全体としての開弁時間を90%に減らしても良い。STEP71では、このようにして、使用可能洗剤量に応じた専用の洗浄モードを生成して、制御ユニット14の外部記憶装置14bに記憶する。また、専用の洗浄モードの洗浄工程回数は、ベースとした洗浄モード(ここでは標準モード)の洗浄工程回数を記憶する。
続いて、制御ユニット14のマイコン14aは、既存の洗浄モードの中で使用洗剤量が使用可能洗剤量よりも少ない洗浄モード(ここでは、スピードモード)と、生成した専用の洗浄モードとを、遠隔操作部15のタッチパネル15a上に、ユーザが指定可能な態様で表示する(STEP72)。
また、既存の洗浄モードの中で使用洗剤量が2番目に少ない洗浄モード(ここでは、標準モード)の使用洗剤量よりも、使用可能洗剤量の方が多かった場合は(STEP70:no)、今度は、使用洗剤量が最も多い洗浄モード(ここでは、念入りモード)の使用洗剤量と、使用可能洗剤量とを比較する(図10のSTEP73)。その結果、使用可能洗剤量の方が少なかった場合は(STEP73:yes)、念入りモードの使用洗剤量を減少させることによって、使用可能洗剤量に応じた専用の洗浄モードを生成する(STEP74)。例えば、使用可能洗剤量が24ccであったとすると、標準モードの使用洗剤量は30ccであるから(図5参照)、使用洗剤量を20%減らす必要がある。前述したように念入りモードでは洗浄工程が3回実行されており、洗浄工程の中では洗剤電磁弁12kが洗浄時間(ここでは2秒間)だけ開弁しているから、毎回の洗浄工程で洗剤電磁弁12kが開弁する洗浄時間を20%に減らして1.6秒間とすることによって、使用洗剤量が使用可能洗剤量となるような専用の洗浄モードを生成する。あるいは、1回目の洗浄工程で洗剤電磁弁12kが開弁する時間は変更せずに、2回目および3回目の洗浄工程で開弁する時間を70%に減らし1.4秒間とすることによって、全体としての開弁時間を80%に減らしても良い。STEP74では、このようにして、使用可能洗剤量に応じた専用の洗浄モードを生成して、制御ユニット14の外部記憶装置14bに記憶する。また、専用の洗浄モードの洗浄工程回数は、ベースとした洗浄モード(ここでは念入りモード)の洗浄工程回数を記憶する。
続いて、制御ユニット14のマイコン14aは、既存の洗浄モードの中で使用洗剤量が使用可能洗剤量よりも少ない洗浄モード(ここでは、スピードモードおよび標準モード)と、生成した専用の洗浄モードとを、遠隔操作部15のタッチパネル15a上に、ユーザが指定可能な態様で表示する(STEP75)。
また、既存の洗浄モードの中で使用洗剤量が最も多い洗浄モード(ここでは、念入りモード)の使用洗剤量よりも、使用可能洗剤量の方が多かった場合は(STEP73:no)、既存の何れの洗浄モードで洗浄しても、補充用の洗剤13fを入手する前に、洗剤タンク13内の洗剤13fが無くなる事態は生じないと考えて良い。そこで、この場合(STEP73:no)は、専用の洗浄モードは生成せずに、既存の全ての洗浄モードを、ユーザが指定可能な態様で、遠隔操作部15のタッチパネル15a上に表示する(STEP76)。
以上のようにして、遠隔操作部15のタッチパネル15a上に洗浄モードを表示したら(図9のSTEP63、STEP69、STEP72、図10のSTEP75、STEP76)、ユーザによって指定された洗浄モードを取得する(STEP77)。そして、指定された洗浄モードに対応する洗浄工程回数を、制御ユニット14の外部記憶装置14bから読み出して、予定回数として設定する(STEP78)。こうして第1変形例の洗浄モード設定処理を終了したら、図3および図4を用いて前述した浴槽洗浄処理に復帰する。
以上に説明したように、第1変形例の浴槽洗浄装置10では、使用可能洗剤量に応じた専用の洗浄モードが生成されて、その洗浄モードでも浴槽1を洗浄可能となるので、洗剤13fの使用量を過度に制限してしまうことが無い。また、ユーザにとっては、指定可能な洗浄モードの種類が増えるので便利であり、更に、使用可能洗剤量が少なくなり、既存の洗浄モードの中には実行可能な洗浄モードが存在しなかった場合でも、専用の洗浄モードは実行できるので、この点でもユーザの利便性を向上させることができる。それでいながら、毎回の洗浄で使用する洗剤量は、使用可能洗剤量以下に制限されるので、補充用の洗剤13fを入手するまでに洗剤タンク13が空になる事態も回避することが可能となる。
D−2.第2変形例 :
上述した本実施例および第1変形例では、使用可能洗剤量よりも使用洗剤量が多い洗浄モードは実行できないものとしていた。この理由は、洗剤13fが補充されるまでの間に、そのような洗浄モードが実行され続けると、洗剤13fの補充前に洗剤タンク13が空になってしまうと考えられるからである。しかし、頻度が少なければ、使用洗剤量の多い洗浄モードで洗浄しても、洗剤タンク13が空になることはないと考えられる。また、浴槽1を洗浄する頻度や洗浄時の洗浄モードなどには、家庭毎に一定のパターンが存在する場合がある。従って、過去のパターンを考慮して、実行可能な洗浄モードを選択してやれば、より一層、適切に選択することが可能と考えられる。そこで、以下に説明する第2変形例では、過去の洗浄履歴を学習しておき、洗剤タンク13内の洗剤13fの残量が閾値残量まで減少した後は、洗浄履歴を考慮して、実行可能な洗浄モードと、実行するべきでない洗浄モードとを判断することとしている。
図11は、第2変形例の洗浄モード設定処理のフローチャートである。この処理も、前述した第1変形例の洗浄モード設定処理と同様に、図3の浴槽洗浄処理の中で洗浄モード設定処理(STEP50)の代わりに実行される処理である。また、第2変形例の洗浄モード設定処理も、制御ユニット14に内蔵されたマイコン14aによって実行される。
図示されるように、第2変形例の洗浄モード設定処理(STEP80)でも、先ず初めに、洗剤タンク13内の残量スイッチ13sがONになっているか否かを判断する(STEP81)。そして、残量スイッチ13sがONになっていない場合は(STEP81:no)、遠隔操作部15の報知ランプ15bを消灯させる(STEP82)。尚、単に報知ランプ15bを消灯させるのではなく、報知ランプ15bが点灯しているか否かを判断して、報知ランプ15bが点灯している場合には消灯させるようにしても良い。その後、全ての洗浄モードを指定可能な態様で、遠隔操作部15のタッチパネル15a上に表示する(STEP83)。
一方、残量スイッチ13sがONになっていた場合は(STEP81:yes)、洗剤13fの残量が少なくなっていることをユーザに報知するべく、遠隔操作部15の報知ランプ15bを点灯させる(STEP84)。尚、単に報知ランプ15bを点灯させるのではなく、報知ランプ15bが消灯しているか否かを判断して、報知ランプ15bが消灯している場合には点灯させるようにしても良い。そして、使用可能洗剤量が記憶されているか否かを判断し(STEP85)、使用可能洗剤量が記憶されていない場合は(STEP85:no)、図7を用いて前述した使用可能洗剤量算出処理(STEP100)を実行する。また、使用可能洗剤量が記憶されていた場合は(STEP85:yes)、使用可能洗剤量算出処理(STEP100)を行うことなく、使用可能洗剤量を読み出す(STEP86)。
続いて、第2変形例の洗浄モード設定処理では、平均使用洗剤量を取得する(STEP87)。ここで、平均使用洗剤量とは、過去の洗浄履歴に基づいて算出された1回の洗浄で使用される平均的な洗剤量である。第2変形例では、過去の所定期間(ここでは一週間)での洗浄履歴を記憶しておき、その洗浄履歴に基づいて、1回の洗浄で使用する平均的な洗剤量(すなわち平均使用洗剤量)を算出している。
図12は、一週間分の洗浄履歴に基づいて平均使用洗剤量を算出する方法についての説明図である。前述した本実施例で参照した図8と図12とを比較すると、第2変形例では、過去一週間分の洗浄回数に加えて、過去一週間分に使用した洗剤量の累積値(累積洗剤量)を考慮する点が異なっている。すなわち、図12に示した例でも、5月1日からの洗剤履歴が記憶されており、5月8日からは、過去の一週間分の洗浄回数および累積洗剤量を求めることが可能となっている。例えば、5月8日では、5月1日〜7日までに行われた9回の洗浄での使用洗剤量の合計値が累積洗剤量となる。従って、この累積洗剤量を、一週間分の洗浄回数で除算することによって、1回あたりの平均使用洗剤量を算出することができる。また、5月9日では、5月2日〜8日までの9回の洗浄での使用洗剤量を合計した値が累積洗剤量となり、この累積洗剤量を一週間分の洗浄回数で除算することによって平均使用洗剤量を算出することができる。また、第2変形例でも、制御ユニット14のマイコン14aは、日付けが変わる度に、過去の洗浄履歴を参照することによって、平均使用洗剤量を算出して、外部記憶装置14bに記憶している。
図11に示した第2変形例の洗浄モード設定処理のSTEP87では、このようにして外部記憶装置14bに記憶された平均使用洗剤量を読み出すことによって取得する。続いて、STEP86で読み出しておいた使用可能洗剤量と、STEP87で読み出した平均使用洗剤量とを比較する(STEP88)。その結果、使用可能洗剤量の方が、平均使用洗剤量よりも多かった場合は(STEP88:yes)、これまで通り(すなわち、洗浄履歴の通り)の頻度および洗浄モードで浴槽1を洗浄していても、補充用の洗剤13fを入手する前に洗剤タンク13が空になることは無いと考えられる。そこで、この場合(STEP88:yes)、既存の全ての洗浄モードをユーザが指定可能な態様で、遠隔操作部15のタッチパネル15a上に表示する(STEP83)。
これに対して、使用可能洗剤量の方が、平均使用洗剤量よりも少なかった場合は(STEP88:no)、これまで通り(すなわち、洗浄履歴の通り)の頻度および洗浄モードで浴槽1を洗浄していると、補充用の洗剤13fを入手する前に洗剤タンク13が空になる可能性が高いと考えられる。そこで、この場合(STEP88:no)は、既存の洗浄モードの中で、使用洗剤量が使用可能洗剤量よりも少ない洗浄モードを、ユーザが指定可能な態様で遠隔操作部15のタッチパネル15a上に表示する(STEP89)。その後、タッチパネル15aに表示された洗浄モードの中からユーザが洗浄モードを指定すると、その洗浄モードを取得して(STEP90)、取得した洗浄モードに対応する洗浄工程回数を予定回数として設定する(STEP91)。その後、第2変形例の洗浄モード設定処理を終了して、図3および図4に示した浴槽洗浄処理に復帰する。
以上に説明した第2変形例の浴槽洗浄装置10では、洗剤タンク13内の洗剤13fが残り少なくなった場合でも、それまでに学習された洗浄頻度および洗浄モードに基づいて、実行可能な洗浄モードを選択することができるので、洗浄モードの選択が過度に制限されてしまうことがない。このため、ユーザの利便性をより一層向上させることが可能となる。
D−3.第3変形例 :
上述した本実施例および各種の変形例では、1回の洗浄で使用可能な洗剤量(使用可能洗剤量)を算出するための洗剤残存量として、洗剤タンク13の残量スイッチ13sがONになった時点での洗剤量を用いるものとして説明した。しかし、洗剤残存量としては、必ずしも、残量スイッチ13sがONになった時点での洗剤量を用いる必要は無い。例えば、入手予定日(あるいは入手予定日数)を取得した時点で、洗剤タンク13内に残っている洗剤量を、洗剤残存量として用いても良い。以下では、このような第3変形例について、上述した本実施例との相違点を中心として簡単に説明する。
図13は、第3変形例の使用可能洗剤量算出処理のフローチャートである。尚、この第3変形例の使用可能洗剤量算出処理は、図7を用いて前述した本実施例の使用可能洗剤量算出処理の代わりに実行される処理である。また、前述した本実施例や各種の変形例では、残量スイッチ13sはフロート式のスイッチであって、洗剤タンク13内の洗剤13fが所定の閾値残量よりも少なくなったことを検知することはできるが、洗剤13fの残量自体は検出できないものとして説明した。しかし、第3変形例では、残量スイッチ13sのフロートの位置(あるいは洗剤13fの液面の位置)を検出することによって、洗剤13fの残量自体も検出することが可能となっている。
第3変形例の使用可能洗剤量算出処理でも、前述した本実施例の使用可能洗剤量算出処理と同様に、先ず初めに、予めペアリングされている外部通信機器7に対して、洗剤13fの残量が少なくなった旨を通知する(STEP151)。但し、第3変形例の使用可能洗剤量算出処理では、前述した本実施例の処理とは異なり、洗剤残存量は設定しない。
一方、外部通信機器7は、第3変形例の場合も、前述した本実施例と同様に動作する。すなわち、洗剤13fが少なくなった旨の通知を受けると、専用のアプリケーションプログラムが起動して、補充用の洗剤13fを発注して良いかをユーザに確認した後、予め設定されていた販売店6のサーバに接続して、補充用の洗剤13fを発注する。更に、洗剤13fの配達予定日を販売店6のサーバから取得して、その配達予定日を洗剤13fの入手予定日として制御ユニット14に送信する。
そこで、制御ユニット14のマイコン14aは、洗剤13fの残量が少ない旨を外部通信機器7に通知すると(STEP151)、洗剤13fの入手予定日を外部通信機器7から受け取ったか否かを判断する(STEP152)。その結果、入手予定日を受け取っていない場合は(STEP152:no)、同じSTEP152の判断を繰り返すことによって待機状態となり、入手予定日を受け取った場合には(STEP152:yes)、今度は、洗剤タンク13内の洗剤13fの残量(洗剤残存量)を取得する(STEP153)。すなわち、前述した本実施例などでは、残量スイッチ13sがONになった時点で洗剤残存量を取得していたので、残量スイッチ13sの閾値残量を洗剤残存量として設定した(図7のSTEP102参照)。これに対して、第3変形例では、入手予定日を取得した時点で洗剤タンク13内に残っている洗剤量を、洗剤残存量として取得するようになっている。
洗剤タンク13内に残っている洗剤量は、洗剤タンク13内のフロートの位置を検出することによって求めることができる。すなわち、前述した本実施例では、洗剤タンク13内で洗剤13fの液面と共に上下するフロートが残量スイッチ13sをONにすることによって、洗剤13fの残量が閾値残量以下になったことを検出していたが、第3変形例では、フロートの位置も検出することが可能となっている。例えば、フロートの上下方向の動きをガイドするガイドレールにリニアエンコーダを取り付けておき、エンコーダの出力からフロートの位置を検出することができるし、あるいはフロートの上下動によって回転するアームの回転軸にロータリエンコーダを取り付けておき、エンコーダの出力からフロートの位置を検出することができる。更には、発光素子を用いた非接触の位置センサを用いて、フロートの位置(あるいは、洗剤13fの液面の位置)を検出しても良い。
また、上述した方法は何れも、洗剤タンク13内の洗剤13fの残量を検出することによって洗剤残存量を取得する方法であるが、以下のようにして、閾値残量から洗剤13fの残量を推定することによって洗剤残存量を取得することも可能である。すなわち、残量スイッチ13sがONになって以降に、浴槽1を洗浄した回数を計数しておく。また、出来れば、洗浄ごとの使用洗剤量(あるいは洗浄モード)も記憶しておく。そして、入手予定日を受け取ったら(図13のSTEP152:yes)、残量スイッチ13sがONになった後に消費した洗剤量を算出して、閾値残量から減算することによって、洗剤残存量を推定しても良い。残量スイッチ13sがONになった以降の洗剤13fの消費量は、計数しておいた洗浄回数と、記憶しておいた使用洗剤量(あるいは洗浄モード)とに基づいて算出することが出来る。あるいは、過去の洗浄実績から得られた平均的な使用洗剤量を求めておき、残量スイッチ13sがONになった後に計数した洗浄回数と、平均的な使用洗剤量とを乗算することによって、残量スイッチ13sがONになった以降の洗剤13fの消費量を算出しても良い。
これらの方法によって、残量スイッチ13sがONになった後の洗剤13fの消費量を算出してやれば、洗剤タンク13内のフロートの位置(あるいは洗剤13fの液面の位置)を検出するためのセンサを搭載することなく、洗剤残存量を取得することが可能となる。尚、第3変形例で、入手予定日を取得した時点での洗剤残存量を取得する動作は、制御ユニット14に内蔵されているマイコン14aが実行している。従って、第3変形例のマイコン14aは、本発明における「洗剤残存量取得手段」に対応している。
以上のようにして、洗剤残存量を取得した以降の処理内容については、図7を用いて前述した本実施例と同様である。以下、簡単に説明すると、補充用の洗剤13fの入手予定日数を算出する(STEP154)。続いて、一日あたりの平均洗浄回数を取得して(STEP155)、入手予定日数と平均洗浄回数とを乗算することによって、予想洗浄回数(補充用の洗剤13fを入手するまでの間に浴槽1を洗浄すると予想される回数)を算出する(STEP156)。そして、STEP153で取得した洗剤残存量を、予想洗浄回数で除算することによって、一回の洗浄で使用可能な使用可能洗剤量を算出する(STEP157)。その後、算出した使用可能洗剤量を外部記憶装置14bに記憶して(STEP158)、図13の第3変形例の使用可能洗剤量算出処理を終了した後、図6の洗浄モード設定処理に復帰する。
以上に説明した第3変形例では、残量スイッチ13sがONになった時点での洗剤13fの残量ではなく、補充用の洗剤13fの入手予定日が分かった時点での洗剤13fの残量に基づいて、使用可能洗剤量を算出している。このため、例えば、残量スイッチ13sがONになっていることに気付かない等の理由で、残量スイッチ13sがONになってから入手予定日を取得するまでの間に浴槽1を洗浄してしまった場合でも、適切な使用可能洗剤量を算出することができる。このため、補充用の洗剤13fを入手するまでに洗剤タンク13が空になる事態を、確実に回避することが可能となる。
D−4.第4変形例 :
また、上述した本実施例および各種の変形例では、洗剤タンク13内の洗剤残存量と、補充量の洗剤13fの入手予定日数と、平均洗浄回数とを取得すると、それらの情報を、一回の洗浄で使用可能な洗剤量(使用可能洗剤量)に変換して、使用可能洗剤量に基づいて、洗剤13fの使用量の制限要否を判断した。この判断方法は、一回の洗浄で使用する洗剤量に着目して判断する方法であるが、洗剤残存量に着目して判断することもできる。すなわち、入手予定日数および平均洗浄回数は分かっているから、ある洗浄モードで洗浄し続けた場合に、補充用の洗剤13fを入手するまでの間に消費されることとなる予想洗剤量を算出することができる。例えば、入手予定日数が10日であり、平均洗浄回数が1.2回であったとして、毎回の洗浄モードが標準モードであったとする。標準モードは1回の洗浄で20ccの洗剤を消費するから(図5参照)、補充用の洗剤13fを入手するまでの間に消費されるであろう予想洗剤量は、10×1.2×20=24ccとなる。従って、この予想洗剤量が洗剤残存量よりも少なかった場合は、洗剤13fの使用量の制限は不要と判断し、予想洗剤量が洗剤残存量よりも多かった場合は、洗剤13fの使用量の制限が必要と判断することができる。このような第4変形例によっても、上述した本実施例や各種の変形例と同様に、補充用の洗剤13fを入手するまでに洗剤タンク13が空になる事態を回避することが可能となる。
以上、本実施例および変形例の浴槽洗浄装置10について説明したが、本発明は上記の実施例および変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。