JP7112711B2 - 調理器 - Google Patents

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Description

本開示は、調理器に関する。
調理器として、カッター等の加工部材をモータで回転させて、容器に投入した食材を加工するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の調理器は、加工初期にモータの回転方向を正方向及び逆方向に切り替えながら食材を加工し、所定時間の経過後にモータの回転方向を正方向に固定して食材を加工している。加工初期に加工部材によって食材が粗く刻まれ、時間の経過に伴って食材が徐々に細かく粉砕される。モータの回転方向と回転時間を制御することによって、食材が粉砕されて所望な仕上がりに近づけられている。
国際公開第2014/054301号
しかしながら、特許文献1に記載の調理器では、モータの回転方向と回転時間によって食材を加工しているため、粗く削られた食材の欠けらが残存して仕上がりが悪くなる場合があった。加工によって食材の粒度を均質に近づけるためには、食材の加工に十分な時間が必要になっていた。
本開示はかかる点に鑑みてなされたものであり、短時間で均質な粒度まで食材を加工することができる調理器を提供することを目的の1つとする。
本開示の一態様の調理器は、容器に投入された食材を加工部材によって所定粒度まで加工する調理器であって、前記容器内を減圧する減圧機構と、前記容器の種類が複数種類のボトルから選択された減圧用ボトルであることを判別する判別部と、前記加工部材を回転駆動させるモータと、前記モータの回転数を制御する制御部とを備え、前記制御部が、前記容器の種類が前記減圧用ボトルであることを前記判別部が判別した場合に、加工開始前の減圧期間に前記減圧機構を駆動して前記減圧用ボトル内を減圧し、加工開始の第1の加工期間に第1の回転数で前記モータを駆動し、前記第1の加工期間の経過後の第2の加工期間に前記第1の回転数よりも少ない第2の回転数で前記モータを駆動し、前記第2の加工期間の経過後の第3の加工期間に前記第2の回転数よりも多い第3の回転数で前記モータを駆動することを特徴とする。
本開示によれば、第1の加工期間で加工部材によって食材が細かく加工され、第2の加工期間で回転速度を落とすことで比較的大きめの食材の欠けらを加工部材から遠ざけることなく加工が継続される。第3の加工期間で回転速度を上げることで、均質な粒度まで加工された食材が全体的に攪拌される。このように、モータの回転速度を制御することによって短時間で食材を均質な粒度まで効率的に加工することができる。
本実施の形態のボトルを装着した調理器の外観斜視図である。 本実施の形態のボトルを取り外した調理器の外観斜視図である。 比較例の調理器による加工動作の説明図である。 本実施の形態の減圧用ボトルをセットした調理器の正面模式図である。 本実施の形態の加熱用ボトルをセットした調理器の正面模式図である。 本実施の形態の保存用ボトルをセットした調理器の正面模式図である。 本実施の形態の操作パネルの正面図である。 本実施の形態の加工動作のタイムチャートを示す図である。 本実施の形態の調理器による加工動作の説明図である。
以下、本実施の形態の調理器について説明する。図1は、本実施の形態のボトルを装着した調理器の外観斜視図である。図2は、本実施の形態のボトルを取り外した調理器の外観斜視図である。なお、本実施の形態の調理器は、複数種類のボトルをセット可能な構造であるが、図1及び図2では減圧用ボトルを例示して説明している。また、以下の説明では、調理器としてミキサーを例示して説明するが、加工部材の回転によって食材を加工する調理器であればよく、例えば、本開示の技術はフードプロセッサー、スライサーにも適用可能である。
図1に示すように、調理器1は、食材が投入された減圧用ボトル70内を減圧した後、加工部材74(図4参照)によって食材を所定粒度まで細かく加工するように構成されている。減圧用ボトル70の載置台は調理器本体10になっており、調理器本体10のケース内には加工用のモータ41(図4参照)や制御基板等が収容されている。調理器本体10のケース正面は前方に山型に突出しており、ケース正面の斜面に操作パネル11が設けられている。操作パネル11には、動作モードやエラー等の表示ランプやモード変更やマニュアル操作で使用される各種スイッチが設けられている。
調理器本体10の隣には半円筒状のサイドポール20が立設されており、サイドポール20のケース内には減圧用の真空ポンプ42(図4参照)、配管、配線等が収容されている。サイドポール20の正面にはイルミネーションバー21が設けられており、イルミネーションバー21によって減圧用ボトル70の減圧状態が段階的に表示される。サイドポール20の上部には、減圧用ボトル70のボトルキャップ72に連結するアーム30が上下方向に揺動可能に支持されている。アーム30の先端側にはボトルキャップ72の上面に気密に当接する上面視円形状の当接ヘッド31が形成されている。
調理器本体10に減圧用ボトル70がセットされると、ボトルベース73に設けられた加工部材74が調理器本体10のモータ41に連結される。詳細は図示しないが、加工部材74の回転軸に設けたカップリングとモータ41の出力軸に設けたカップリングが噛み合って機械的に連結される。減圧用ボトル70のボトルキャップ72にアーム30が接続されると、アーム30及びサイドポール20のケース内の吸気路を通じて減圧用ボトル70が真空ポンプ42に接続される。このように、調理器1には、モータ41、加工部材74、動力伝達機構によって加工機構が構成され、真空ポンプ42、吸気路によって減圧機構が構成されている。
図2に示すように、調理器1はアーム30を真上に持ち上げることで、調理器本体10に対して減圧用ボトル70を着脱可能にしている。半円筒状のサイドポール20の調理器本体10側の側面22には、アーム30の外形に沿って窪んだ凹部23が形成されている。このため、アーム30が真下に降ろされると、凹部23にアーム30全体が完全に収容されて、ボトル交換時にアーム30が邪魔になることがない。凹部23の下部24はアーム30を収容した状態で隙間を残すように円弧状に切り欠かれており、隙間に指を掛けてアーム30を凹部23から引き上げることが可能になっている。
アーム30の当接ヘッド31には環状パッド32が設けられており、アーム30が水平に倒されることで、環状パッド32がボトルキャップ72の上部に気密に当接される。環状パッド32の内側には吸気路の入口が開口しており、ボトルキャップ72の上面には減圧用ボトル70の排気路の出口が形成されている。環状パッド32によってボトルキャップ72の排気路とアーム30の吸気路が気密に連通して、減圧用ボトル70内からサイドポール20内の真空ポンプ42に空気が引き込まれる。アーム30の延在方向の途中には、アーム30を水平に倒したときにボトルキャップ72の周壁75から逃げるスリット33が形成されている。
調理器本体10の上面には、減圧用ボトル70のボトルベース73の底面開口を内側から位置決めする矩形環状の環状凸部12が突設されている。環状凸部12はボトルベース73の開口縁に沿って形成され、環状凸部12の四隅の円弧状部分を高くしてボトルベース73をガイドさせ易くしている。環状凸部12の一辺が切り欠かれており、この切り欠き部分には加熱用ボトル80(図5参照)に電力を供給するソケット13が設けられている。環状凸部12の内側にはカップリング用の開口14が形成されており、ボトルベース73が環状凸部12に位置決めされることで加工部材74にモータ41の出力軸が連結される。
この調理器1は、減圧用ボトル70の他に加熱用ボトル80、保存用ボトル90(図6参照)でも使用される。加熱用ボトル80の使用時にはサイドポール20の凹部23にアーム30が収容され、加熱用ボトル80を減圧せずに食材を加熱しながら加工される。保存用ボトル90の使用時にはサイドポール20の凹部23からアーム30が引き出され、保存用ボトル90内を減圧して加工済みの食材の鮮度が長く維持される。このように、調理器1のボトルを交換することによって様々な用途に使用することが可能になっている。なお、各ボトルの詳細については後述する。
ところで、図3Aに示すように、一般的な調理器95では、ボトル96内で加工部材97が回転されると、食材が粗く裁断された後に徐々に細かく粉砕される。加工開始直後であればモータの回転数の増加に伴って食材が早く粉砕されるが、加工開始から所定時間が経過して食材が細かくなると、食材の一部の欠けらが粉砕され難くなって加工品の粒度にバラツキが生じる。これは、モータの回転数が多いと、質量が大きな食材の欠けらは流動体の中で噴き上げられ、さらに遠心力によって外側に寄せられて、比較的大きな欠けらが加工部材97から遠ざかるからである。
一方で、図3Bに示すように、モータの回転数を抑えることも考えられるが、モータの回転数を抑えると流動体が加工部材97の回転方向に一様に回転するため、流動体の上下の動きが少なくなって十分に攪拌され難い。また、モータの回転数が少なくなった分だけ食材の加工に長い時間がかかる。そこで、本実施の形態の調理器1では、モータの回転数によるボトル内の流動体の動きに着目し、食材の加工状態に応じて最適な回転数で食材を加工するようにしている。これにより、短時間で均質な粒度まで食材を加工することが可能になっている。
以下、図4から図7を参照して、本実施の形態の調理器の詳細構成について説明する。図4は、本実施の形態の減圧用ボトルをセットした調理器の正面模式図である。図5は、本実施の形態の加熱用ボトルをセットした調理器の正面模式図である。図6は、本実施の形態の保存用ボトルをセットした調理器の正面模式図である。図7は、本実施の形態の操作パネルの正面図である。なお、図4から図7は一例に過ぎず、適宜変更が可能である。
図4に示すように、調理器1には、ボトルの種類を判別するために第1-第3の検出部43、44、45が設置されている。第1の検出部43は、例えばホール素子で構成されており、防水性を考慮して調理器本体10の上面付近でケースの内側に設置されている。第2の検出部44は、例えば機械式スイッチで構成されており、アーム30のスリット33に設置されている。第3の検出部45は、例えばホール素子で構成されており、アーム30をサイドポール20の凹部23(図2参照)に収容したときに、加熱用ボトル80のボトルキャップ82に対向する位置に設置されている(図5参照)。
第1-第3の検出部43、44、45の検出結果は判別回路(不図示)に出力され、これら検出結果の組み合わせによって判別回路でボトルの種類が判別される。このように、第1-第3の検出部43、44、45及び判別回路によって、ボトルの種類を判別する判別部が構成されている。調理器1では、ボトルの種類を判別することによって、ボトルの種類に応じて機能を制限することが可能になっている。ボトルの種類に応じて加熱処理や減圧処理が禁止されて、例えば、非加熱用の減圧用ボトル70に対して加熱調理が誤って実施されることが防止される。
アーム30の当接ヘッド31内には、異物検出用の静電容量センサ47が設置されており、静電容量の変化から当接ヘッド31内の水、食材等の異物が検出される。静電容量センサ47で異常が検出されると真空ポンプ42の駆動が停止される。サイドポール20内の吸気路49の途中にはボトル内の圧力を検出する圧力センサ51が設置されており、圧力の変化から吸気路49内の水、食材等の異物が検出される。圧力センサ51で異常が検出されると真空ポンプ42の駆動が停止される。また、吸気路49の途中には大気開放弁52が設置されており、大気開放弁52の開放によって吸気路49が大気圧に戻される。
上記したように、調理器本体10のケース内には加工部材74を回転駆動させるモータ41が設置されており、モータ41には過電流を検出する電流検出回路(不図示)が接続されている。電流検出回路でモータ41の過電流が検出されるとモータ41の駆動が停止される。また、モータ41には、回転数を制御する制御部53が接続されている。制御部53は、減圧調理時に加工開始時の第1の加工期間、第1の加工期間の経過後の第2の加工期間、第2の加工期間の経過後の第3の加工期間でモータ41の回転数を変えて、食材の状態に適した加工を施すように制御している。
また、制御部53は、モータ41の回転数だけでなく、調理器1全体を統括制御している。制御部53は、各種処理を実行するプロセッサやメモリ等で構成されている。メモリは、用途に応じてROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の一つ又は複数の記憶媒体で構成される。また、メモリには、調理器1の制御プログラムの他、動作モードに応じた動作プログラム、各種パラメータ等が記憶されている。また、調理器1には、タブレット端末と無線通信可能なようにアンテナ及び送受信回路が設けられている。
減圧用ボトル70は、トライタン(登録商標)製のボトル本体71の上部にボトルキャップ72が装着され、ボトル本体71の底部にボトルベース73が装着されている。ボトルキャップ72には排気路が形成されており、排気路の途中にはボトル内へ逆流を防止する逆止弁が設けられている。ボトルキャップ72の外縁には周壁75が形成されており、周壁75がアーム30のスリット33に入り込むことで第2の検出部44が押し込まれる。ボトルベース73には加工部材74が回転可能に支持されると共に、第1の検出部43の検出対象となるマグネット76が設けられている。
減圧用ボトル70の使用時には、調理器本体10上に減圧用ボトル70が設置されて、アーム30の当接ヘッド31がボトルキャップ72に当接される。これにより、ボトルベース73のマグネット76が調理器本体10の第1の検出部43に対向し、ボトルキャップ72の周壁75がアーム30のスリット33内に入り込む。第1の検出部43によってボトルベース73のマグネット76が検出されると共に、第2の検出部44によってボトルキャップ72の周壁75が検出される。第1、第2の検出部43、44がONになり、第3の検出部45がOFFになることで減圧用ボトル70が検出される。
動作が開始されると、真空ポンプ42によって減圧用ボトル70が減圧される。このとき、減圧用ボトル70の減圧状態はサイドポール20のイルミネーションバー21に表示されている。真空ポンプ42が停止して減圧用ボトル70の減圧が完了すると、モータ41が駆動して加工部材74が回転して食材が加工される。食材の加工開始から加工終了までにモータ41の回転数が段階的に変更されることで、減圧用ボトル70内を適度に攪拌しながら食材の粒度が均質に近づけられている。なお、減圧用ボトル70を用いた食材の加工動作の詳細については後述する。
図5に示すように、加熱用ボトル80は、ガラス製のボトル本体81の上部にボトルキャップ82が装着され、ボトル本体81の底部にボトルベース83が装着されている。ボトルキャップ82の外周縁には第3の検出部45の検出対象となるマグネット85が設けられている。ボトルベース83には加工部材84が回転可能に支持されると共に、第1の検出部43の検出対象となるマグネット86が設けられている。また、加熱用ボトル80の底部は熱伝導性材料で形成されており、ボトルベース83の内側には加熱用ボトル80内で食材を加熱するヒータ87と、加熱用ボトル80内の温度を検出する温度センサ88が設けられている。
加熱用ボトル80の使用時には、アーム30がサイドポール20の凹部23(図2参照)に収容された状態で、調理器本体10上に加熱用ボトル80が設置される。これにより、ボトルベース83のマグネット86が調理器本体10の第1の検出部43に対向し、ボトルキャップ82の外周のマグネット85がアーム30の第3の検出部45に対向する。第1の検出部43によってボトルベース83のマグネット86が検出されると共に、第3の検出部45によってボトルキャップ82のマグネット85が検出される。第1、第3の検出部43、45がONになり、第2の検出部44がOFFになることで加熱用ボトル80が検出される。
動作が開始されると、ヒータ87によって加熱用ボトル80内が加熱される。このとき、ヒータ87のプラグが調理器本体10上のソケット13(図2参照)に差し込まれ、調理器本体10からヒータ87に通電される。また、加熱用ボトル80の加熱状態は、減圧状態と同様にサイドポール20のイルミネーションバー21に表示されている。ヒータ87によって加熱されながら、モータ41が駆動して加工部材84によって食材が加工される。温度センサ88によって加熱用ボトル80内の温度が検出され、加熱用ボトル80内の温度に基づいてヒータ87の加熱が制御されて、加熱用ボトル80内が所定温度に維持されている。
また、加熱用ボトル80は、加熱料理にのみ使用されるものではない。加熱用ボトル80は、加熱調理に使用可能な容器ではあるが、非加熱調理にも使用することができる。例えば、加熱用ボトル80は、後述するスープモードでスープ調理のような加熱調理に使用されてもよいし、後述するナッツモードでコーヒーミルとして非加熱状態で使用されてもよい。したがって、加熱用ボトル80のセット時に常にヒータ87が駆動するわけではない。ナッツモード等の加熱用の動作モードでありながら加熱されないモードでは、ヒータ87の駆動が無効に設定されている。
図6に示すように、保存用ボトル90は、樹脂製のボトル本体91の上部にボトルキャップ92が装着されている。また、保存用ボトル90の底部には底上げ用のアタッチメント93が着脱可能に取り付けられている。保存用ボトル90の使用時には、調理器本体10上にアタッチメント93を介して保存用ボトル90が設置されて、アーム30の当接ヘッド31がボトルキャップ92に当接される。保存用ボトル90には、マグネットも周壁も設けられていないため、保存用ボトル90がセットされた場合には、第1-第3の検出部43、44、45の全てがOFFになっている。保存用ボトル90では加工は行われず、減圧動作が実施される。
図7に示すように、操作パネル11には、動作モードランプ61a-61g、エラーランプ62a-62d、時間調整ランプ63、スピード調整ランプ64が設けられている。動作モードランプ61a-61gは図示左から豆乳モード、スープモード、ペーストモード、ナッツモード、スムージーモード、フローズンモード、マニュアルモードを示している。エラーランプ62a-62dは図示左から取付エラー、圧力エラー、食材いれ過ぎエラー、温度エラーを示している。時間調整ランプ63は時間調整モード、スピード調整ランプ64はスピード調整モードを示している。
また、操作パネル11には、セグメントディスプレイ65、ダイヤルスイッチ66、プッシュスイッチ67a-67cが設けられている。セグメントディスプレイ65には、真空調理の加工時間がカウントダウン表示される。ダイヤルスイッチ66は動作モードの切り替えの他、動作時間の調整、スピードの調整に使用される。プッシュスイッチ67a-67cは図示左からフラッシュスイッチ、スタートスイッチ、リリーススイッチを示している。フラッシュスイッチは押圧中だけ攪拌動作を実施し、スタートスイッチは押圧によって各種動作を開始し、リリーススイッチは真空リリースを実施する。
操作パネル11でダイヤルスイッチ66を回すことで、動作モードランプ61a-61gが順番に点灯されて動作モードが選択される。このとき、ボトルの種類に応じて、選択可能な動作モードが制限されている。例えば、減圧用ボトル70の場合には、ダイヤルスイッチ66を回すと動作モードランプ61e-61gの間で順番に点灯して、加熱用の動作モードが選択不能になっている。加熱用ボトル80の場合には、ダイヤルスイッチ66を回すと、動作モードランプ61a-61dの間で順番に点灯して、減圧用の動作モードが選択不能になっている。
本実施の形態では、減圧用ボトル70がセットされた場合に、減圧用の動作モードが選択可能になって、スタートスイッチを押すことで制御部53(図4参照)によって減圧機構が駆動される。加熱用ボトル80のセット時には減圧用の動作モードが選択不能になるため、減圧用の動作モードに未対応の加熱用ボトル80が誤って減圧されることがない。したがって、減圧用ボトル70と判別された場合のみ減圧が開始されて、減圧後に回転速度を変えながら食材が加工されるため、食材の酸化による栄養素の減少を抑えつつ、食材を均質な粒度まで短時間で加工することが可能になっている。
続いて、図8及び図9に示すように、調理器による加工動作について説明する。図8は、本実施の形態の加工動作のタイムチャートを示す図である。図9は、本実施の形態の調理器による加工動作の説明図である。なお、図8のタイムチャートはスムージーモードの加工動作の一例を示すものであるが、これに限定されるものではない。
図8及び図9Aに示すように、減圧用ボトル70内に食材を投入してスタートスイッチが押されると、減圧用ボトル70内の減圧動作が開始される。加工前の減圧期間では、真空ポンプ42が駆動されて、ボトルキャップ72の排気路、アーム30及びサイドポール20の吸気路を通じて真空ポンプ42によって減圧用ボトル70が真空引きされる。この状態で一定の減圧期間が経過すると、減圧用ボトル70内が十分に減圧されて真空ポンプ42が停止される。真空ポンプ42が停止されると、ボトルキャップ72内の逆止弁が閉じられて減圧用ボトル70の圧力が減圧状態で維持される。
図8及び図9Bに示すように、減圧期間の経過後の第1の加工期間では、回転数が多い第1の回転数でモータ41が駆動される。モータ41によって加工部材74が回転されて、加工部材74によって時間の経過と共に食材が徐々に細かく粉砕される。モータ41の回転数が多いため、食材が短時間で粉砕されるが、質量が大きな欠けらは流動体の中で噴き上げられて、遠心力によって外側に引き寄せられる。このため、減圧用ボトル70内には、矢印に示すように流動体の流れが生じるが、大きめの欠けらは流動体の流れに乗らず、加工部材74が届かない範囲にいて粉砕され難くなっている。
このため、図8及び図9Cに示すように、第1の加工期間の途中で、制御部53がモータ41を間欠駆動させることで、第1の加工期間内にモータ41の停止期間(例えば、1.5[s])を作り出している。停止期間では流動体の流れが収まって、容器内で舞い上がった大きめの欠けらが自重によって沈められる。停止期間の経過後に、モータ41が再び第1の回転数で駆動されて、加工部材74の届く範囲まで沈んだ大きめの欠けらが加工部材74によって粉砕される。第1の加工期間では、モータ41の駆動と停止が続けて3回繰り返される。
図8及び図9Dに示すように、第1の加工期間の経過後の第2の加工期間では、第1の回転数よりも少ない第2の回転数でモータ41が駆動される。モータ41の回転数が抑えられているため、加工部材74の回転方向に沿って流動体が流動する。このため、流動体に大きめの欠けらが残存しても、大きめの欠けらに遠心力が強く作用し難くなって加工部材74に当たり易くなっている。矢印に示すように流動体の流れが上下に動き難くなっているため、第2の加工期間でも制御部53でモータ41を間欠駆動して流動体に上下の流れを作り出している。第2の加工期間では、モータ41の駆動と停止が続けて2回繰り返される。
図8及び図9Eに示すように、第2の加工期間の経過後の第3の加工期間では、第2の回転数よりも多い第3の回転数でモータ41が駆動される。モータ41の回転数が増加されるため、矢印に示すように流動体に流れが生じて、減圧用ボトル70内で流動体が全体的に撹拌される。第3の加工期間でも制御部53でモータ41を間欠駆動して流動体の流動に変化を生じさせて、流動体全体をより均一に撹拌している。第3の加工期間では、モータ41の駆動と停止が続けて2回繰り返された後に、仕上げとして第3の回転数よりも大きな第4の回転数でモータ41が駆動される。
以上のように、本実施の形態の調理器1では、第1の加工期間で加工部材74によって食材が細かく加工され、第2の加工期間で回転速度を落とすことで比較的大きめの食材の欠けらを加工部材74から遠ざけることなく加工が継続される。第3の加工期間で回転速度を上げることで、均質な粒度まで加工された食材が全体的に攪拌される。このように、モータ41の回転速度を制御することによって短時間で食材を均質な粒度まで効率的に加工することができる。
なお、上記した実施の形態では、制御部が第1-第3の加工期間の全てでモータを間欠駆動させる構成について説明したが、この構成に限定されない。制御部は、第1の加工期間で第1の回転数でモータを駆動し、第2の加工期間で第1の回転数よりも少ない第2の回転数でモータを駆動し、第3の加工期間で第2の回転数よりも多い第3の回転数でモータを駆動する構成であればよい。したがって、制御部はモータを全ての加工期間で間欠駆動させなくてもよい。このように停止期間がなくても、加工期間によって回転数を変えることで、食材を所定粒度まで加工することができる。
また、制御部は、第1-第3の加工期間のうち少なくとも1つの加工期間だけでモータを間欠駆動させてもよく、特に、第1の加工期間でモータを間欠駆動させてもよい。少なくとも1つの加工期間でモータを間欠駆動させることで、ボトル内の食材の流動に変化を持たせて、全体を均質な粒度まで加工することができる。また、モータの間欠駆動による停止期間は、流動体中の大きめの欠けらが自重によって沈むような長さに設定されていることが好ましい。したがって、停止期間は食材によって可変されてもよいし、加工期間(食材の加工状態)に応じて可変されてもよい。
また、上記した実施の形態では、第1-第3の加工期間の長さが、3:2:3に設定されたが、この構成に限定されない。第1-第3の加工期間の長さは、適宜変更が可能である。さらに、夫々の加工期間の回転数を一定にすることは必須ではなく、夫々の加工期間の回転数を段階的又は連続的に変化させてもよい。例えば、夫々の加工期間内で間欠駆動を実施し、停止期間の前後で回転数を異ならせる等してもよい。
また、上記した実施の形態では、調理器によってボトル内が減圧された後に食材が加工部材で加工される構成にしたが、この構成に限定されない。調理器によってボトル内が減圧されずに食材が加工されてもよい。したがって、減圧期間を設けることなく、第1-第3の加工期間で加工が開始されてもよい。
また、上記した実施の形態では、調理器によってボトルの種類が判別される構成にしたが、この構成に限定されない。調理器によってボトルの種類が判別されずに食材が加工されてもよい。
また、上記した実施の形態では、減圧機構として真空ポンプで吸気路を通じてボトル内を減圧する構成を例示したが、この構成に限定されない。減圧機構は、ボトル内を減圧する構成であればよく、例えば、イジェクタで吸気路を通じてボトル内を減圧する構成にしてもよい。
また、上記した実施の形態では、判別部として第1-第3の検出スイッチの検出結果によって判別回路でボトルの種類を判別する構成を例示したが、この構成に限定されない。判別部は、少なくとも減圧用ボトルを判別可能な構成であればよく、例えば、単一の検出スイッチの検出結果によって判別回路で判別する構成にしてもよい。
また、本実施の形態及び変形例を説明したが、他の実施の形態として、上記実施の形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
また、本開示の技術は上記の実施の形態及び変形例に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらに、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
下記に、上記の実施の形態における特徴点を整理する。
上記実施の形態に記載の調理器は、容器に投入された食材を加工部材によって所定粒度まで加工する調理器であって、加工部材を回転駆動させるモータと、モータの回転数を制御する制御部とを備え、制御部が、加工開始の第1の加工期間に第1の回転数でモータを駆動し、第1の加工期間の経過後の第2の加工期間に第1の回転数よりも少ない第2の回転数でモータを駆動し、第2の加工期間の経過後の第3の加工期間に第2の回転数よりも多い第3の回転数でモータを駆動することを特徴とする。
この構成によれば、第1の加工期間で加工部材によって食材が細かく加工され、第2の加工期間で回転速度を落とすことで比較的大きめの食材の欠けらを加工部材から遠ざけることなく加工が継続される。第3の加工期間で回転速度を上げることで、均質な粒度まで加工された食材が全体的に攪拌される。このように、モータの回転速度を制御することによって短時間で食材を均質な粒度まで効率的に加工することができる。
上記実施の形態に記載の調理器において、制御部が、第1の加工期間、第2の加工期間、第3の加工期間のうち少なくとも1つの加工期間でモータを間欠駆動する。この構成によれば、モータの間欠駆動で生じた停止期間で、容器内の食材の流動に変化を持たせて、より均質な粒度に加工できると共に全体を均一に攪拌することができる。
上記実施の形態に記載の調理器において、制御部が、少なくとも第1の加工期間でモータを間欠駆動させる。この構成によれば、第1の加工期間のモータの間欠駆動で生じた停止期間で、容器内で舞い上がった大きめの食材の欠けらを自重によって沈めて、沈んだ食材を加工部材によって加工し易くしている。
上記実施の形態に記載の調理器において、容器内を減圧する減圧機構を備え、制御部が第1の加工期間よりも前の減圧期間に減圧機構を駆動する。この構成によれば、減圧状態で食材を加工することで、食材の酸化による栄養素の減少を抑えつつ、食材を均質な粒度まで短時間で加工することができる。
上記実施の形態に記載の調理器において、容器は複数種類のボトルから選択された減圧用ボトルであり、容器の種類を判別する判別部を備え、判別部に減圧用ボトルと判別された場合に、減圧機構が減圧用ボトル内を減圧する。この構成によれば、減圧耐性が弱いボトルが誤って減圧されることがなく、減圧用ボトルと判別された場合のみ最適な加工動作を実施することができる。
1 :調理器
41:モータ
42:真空ポンプ(減圧機構)
43:第1の検出部(判別部)
44:第2の検出部(判別部)
45:第3の検出部(判別部)
53:制御部
70:減圧用ボトル(容器)
74:加工部材

Claims (3)

  1. 容器に投入された食材を加工部材によって所定粒度まで加工する調理器であって、
    前記容器内を減圧する減圧機構と、
    前記容器の種類が複数種類のボトルから選択された減圧用ボトルであることを判別する判別部と、
    前記加工部材を回転駆動させるモータと、
    前記モータの回転数を制御する制御部とを備え、
    前記制御部が、前記容器の種類が前記減圧用ボトルであることを前記判別部が判別した場合に、加工開始前の減圧期間に前記減圧機構を駆動して前記減圧用ボトル内を減圧し、加工開始の第1の加工期間に第1の回転数で前記モータを駆動し、前記第1の加工期間の経過後の第2の加工期間に前記第1の回転数よりも少ない第2の回転数で前記モータを駆動し、前記第2の加工期間の経過後の第3の加工期間に前記第2の回転数よりも多い第3の回転数で前記モータを駆動することを特徴とする調理器。
  2. 前記制御部が、前記第1の加工期間、前記第2の加工期間、前記第3の加工期間のうち少なくとも1つの加工期間で前記モータを間欠駆動することを特徴とする請求項1に記載の調理器。
  3. 前記制御部が、少なくとも前記第1の加工期間で前記モータを間欠駆動させることを特徴とする請求項2に記載の調理器。
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