JP7112225B2 - フレキシブル太陽電池及びフレキシブル太陽電池の製造方法 - Google Patents

フレキシブル太陽電池及びフレキシブル太陽電池の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、太陽電池セルが直列に集積された構成であっても高い光電変換効率を発揮するフレキシブル太陽電池に関する。また、本発明は、該フレキシブル太陽電池の製造方法に関する。
従来、太陽電池として、対向する電極間にN型半導体層とP型半導体層とを配置した積層体が盛んに開発されており、上記N型、P型半導体として主にシリコン等の無機半導体が用いられている。しかしながら、このような無機太陽電池は、製造にコストがかかるうえ大型化が困難であり、利用範囲が限られてしまうという問題があった。
そこで、近年、中心金属に鉛、スズ等を用いたペロブスカイト構造を有する有機無機ペロブスカイト化合物を光電変換層に用いた、ペロブスカイト太陽電池が注目されている(例えば、特許文献1、非特許文献1)。ペロブスカイト太陽電池は、高い光電変換効率が期待できるうえに、印刷法によって製造できることから製造コストを大幅に削減することができる。
一方、近年、ポリイミド、ポリエステル系の耐熱高分子材料や金属箔を基材とするフレキシブルな太陽電池が注目されるようになってきている。フレキシブル太陽電池は、薄型化や軽量化による運搬、施工の容易さや、衝撃に強い等の利点があり、例えば、フレキシブル基材上に、光が照射されると電流を生じる機能を有する光電変換層等の複数の層を薄膜状に積層することにより製造される。更に、必要に応じてフレキシブル太陽電池の上下面を、太陽電池封止シートを積層して封止する。
例えば、特許文献2には、シート状のアルミニウム基材を含む半導体装置用基板、及び、この半導体装置用基板を含む有機薄膜太陽電池が記載されている。
特開2014-72327号公報 特開2013-253317号公報
M.M.Lee,et al,Science,2012,338,643
フレキシブル太陽電池の製造時には、一般的に、フレキシブル基材上に下部電極の形成を行い、その形成した下部電極を、例えば切削ツールを用いたメカニカルパターニング等の物理的方法により一部切削加工する。次いで、切削加工された下部電極上に光電変換層の形成を行い、その形成した光電変換層を更に一部切削加工する。次いで、切削加工された光電変換層上に上部電極の形成を行い、その形成した上部電極を更に一部切削加工する。このようにして、フレキシブル基材上に切削加工された複数の層を積層していき、溝により隔てられた太陽電池セルが直列に集積されたフレキシブル太陽電池を製造することが一般的である。
このような切削加工において、本発明者らは、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層をメカニカルパターニングにより切削加工する際に、フレキシブル基材に変形(へこみ、たわみ)、削れ又はクラックが発生し、光電変換効率の低下につながるという問題を新たに見出した。
本発明は、太陽電池セルが直列に集積された構成であっても高い光電変換効率を発揮するフレキシブル太陽電池を提供することを目的とする。また、本発明は、該フレキシブル太陽電池の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、フレキシブル基材上に複数の太陽電池セルを有するフレキシブル太陽電池であって、前記複数の太陽電池セルは、それぞれ、少なくとも光電変換層と上部電極とを有する積層体からなり、かつ、隣接する太陽電池セル同士が直列に接続しており、前記フレキシブル基材は、破壊靱性値Kcが3以上、ビッカース硬さHVが50以上であり、前記光電変換層は、有機無機ペロブスカイト化合物を含むフレキシブル太陽電池である。
以下、本発明を詳述する。
本発明者らは、フレキシブル基材上に複数の太陽電池セルを有し、該複数の太陽電池セルは、それぞれ、少なくとも光電変換層と上部電極とを有する積層体からなり、かつ、隣接する太陽電池セル同士が直列に接続しているフレキシブル太陽電池を検討した。本発明者らは、このようなフレキシブル太陽電池において、フレキシブル基材の破壊靱性値Kc、及び、ビッカース硬さHVを特定範囲に調整することにより、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層をメカニカルパターニングにより切削加工する際のフレキシブル基材の変形、削れ及びクラックを抑制できることを見出した。本発明者らは、このように変形、削れ及びクラックを抑制できることにより、太陽電池セルが直列に集積された構成であっても高い光電変換効率を発揮するフレキシブル太陽電池を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
本発明のフレキシブル太陽電池は、フレキシブル基材上に複数の太陽電池セルを有する。
上記複数の太陽電池セルは、それぞれ、少なくとも光電変換層と上部電極とを有する積層体からなり、かつ、隣接する太陽電池セル同士が直列に接続している。なお、上記少なくとも光電変換層と上部電極とを有する積層体は、更に、下部電極を有することが好ましい。
図1に、本発明のフレキシブル太陽電池の一例を模式的に示す断面図を示す。
図1に示すように、フレキシブル太陽電池1は、フレキシブル基材2上に複数の太陽電池セルを有する。上記複数の太陽電池セルは、それぞれ、下部電極3と、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層5と、上部電極4とを有する積層体からなる。上記複数の太陽電池セルは、上部電極4と、隣接する太陽電池セルの下部電極3とが接続することで、隣接する太陽電池セル同士が直列に接続している。
上記複数の太陽電池セルを隔てている溝は、メカニカルパターニングにより切削加工されて形成された溝であることが好ましい。本発明のフレキシブル太陽電池の製造時には、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層をメカニカルパターニングにより切削加工する際のフレキシブル基材の変形、削れ及びクラックを抑制することができる。これにより、太陽電池セルが直列に集積された構成であっても高い光電変換効率を発揮するフレキシブル太陽電池を得ることができる。
なお、メカニカルパターニング以外の切削加工方法として、例えば、レーザーパターニング等が挙げられるが、比較的安価であることから、メカニカルパターニングが好ましく用いられる。
上記フレキシブル基材は、破壊靱性値Kcが3以上、ビッカース硬さHVが50以上である。
上記フレキシブル基材の破壊靱性値Kc、及び、ビッカース硬さHVを上記範囲に調整することにより、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層をメカニカルパターニングにより切削加工する際のフレキシブル基材の変形、削れ及びクラックを抑制することができる。これにより、太陽電池セルが直列に集積された構成であっても高い光電変換効率を発揮するフレキシブル太陽電池を得ることができる。
なお、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層の代わりにCIGS層を有するCIGS太陽電池の場合には、次のことがいえる。即ち、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層に比べてCIGS層が硬いことから、たとえ破壊靱性値Kc、及び、ビッカース硬さHVが上記範囲に調整されたフレキシブル基材が用いられていたとしても、CIGS層をメカニカルパターニングにより切削加工しようとすると、より大きな荷重が必要となる。そのため、フレキシブル基材の変形、削れ又はクラックが発生し、光電変換効率が低下することがある。
上記破壊靱性値Kcが3以上であれば、上記フレキシブル基材の削れ及びクラックを抑制することができる。上記破壊靱性値Kcの好ましい下限は4、より好ましい下限は5である。
上記破壊靱性値Kcの上限は特に限定されないが、上限は300が例示される。上記破壊靱性値Kcの好ましい上限は200、より好ましい上限は100が例示される。
上記破壊靱性値Kcは、下記式(1)により示される、JIS G0564に準拠した破壊靱性値を意味する。上記破壊靱性値Kcは、例えば、ナノインデンターG200(Keysight Technologies社製)により測定することができる。
Figure 0007112225000001
a:0.018
E:JIS R1602に準拠したヤング率(Pa)
H:ビッカース硬さHV(Pa)
P:押し込み荷重(N)
C:クラック長さの平均の半分(m)
上記ビッカース硬さHVが50以上であれば、上記フレキシブル基材の変形を抑制することができる。上記ビッカース硬さHVの好ましい下限は70、より好ましい下限は100である。
上記ビッカース硬さHVの上限は特に限定されないが、好ましい上限は500である。上記ビッカース硬さHVが500以下であれば、フレキシブル性に優れたフレキシブル太陽電池とすることができる。上記ビッカース硬さHVのより好ましい上限は300である。
上記ビッカース硬さHVは、JIS Z2244(2009)に準拠したビッカース硬さHVを意味する。上記ビッカース硬さHVは、例えば、ナノインデンターG200(Keysight Technologies社製)を用い、ガラス基板上のフレキシブル基材に対してビッカース圧子を押し込み、得られた荷重-変異曲線から算出することができる。
上記フレキシブル基材は、破壊靱性値Kc、及び、ビッカース硬さHVが上記範囲に調整されていれば特に限定されないが、金属箔を有することが好ましい。
上記金属箔を用いることにより、耐熱性高分子を用いる場合と比べてコストを抑えられるとともに、高温処理を行うことができる。即ち、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層形成時において耐光性(光劣化に対する耐性)を付与する目的で80℃以上の温度で熱アニール(加熱処理)を行っても、歪みの発生を最小限に抑えて、高い光電変換効率を得ることができる。
上記金属箔は特に限定されず、例えば、アルミニウム、チタン、銅、金等の金属や、ステンレス鋼(SUS)等の合金からなる金属箔が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、アルミニウム箔、銅箔、又は、SUS箔が好ましく、アルミニウム箔がより好ましい。上記アルミニウム箔を用いることにより、他の金属箔を用いる場合と比べてもコストを抑えられ、また、柔軟性があることから作業性を向上できる。
上記フレキシブル基材は、上記金属箔のみからなるものであってもよい。この場合、上記金属箔は、下部電極としての役割も果たしてもよい。
また、上記フレキシブル基材は、更に、上記金属箔上に形成された絶縁層を有していてもよい。この場合、上記少なくとも光電変換層と上部電極とを有する積層体は、更に、下部電極を有することが好ましい。
上記金属箔上に上記絶縁層が形成されている場合は、上記金属箔と上記絶縁層とが一体となった状態で測定される破壊靱性値Kcが3以上であれば、上記絶縁層のクラックを抑制することができる。上記破壊靱性値Kcの好ましい下限は4、より好ましい下限は5である。
上記絶縁層は特に限定されず、例えば、酸化アルミニウム、酸化ケイ素、酸化亜鉛等からなる無機絶縁層、エポキシ樹脂、ポリイミド等からなる有機絶縁層が挙げられる。なかでも、上記金属箔がアルミニウム箔である場合には、上記絶縁層が酸化アルミニウム被膜であることが好ましい。
上記絶縁層として上記酸化アルミニウム被膜を用いることにより、有機絶縁層の場合と比べて、大気中の水分が絶縁層を透過して有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を劣化させることを抑制することができる。また、上記絶縁層として上記酸化アルミニウム被膜を用いることにより、上記アルミニウム箔と接することで時間の経過とともに有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層に変色が生じ、腐食が起きるという現象を抑制することができる。
なお、一般的な他の太陽電池では光電変換層がアルミニウムと反応して変色が生じること等は報告されておらず、上記のような腐食が起きるという現象は、光電変換層が有機無機ペロブスカイト化合物を含むペロブスカイト太陽電池に特有の問題として本発明者らが見出したものである。
上記酸化アルミニウム被膜の厚みは特に限定されないが、好ましい下限が0.1μm、好ましい上限が10μmであり、より好ましい下限が0.5μm、より好ましい上限が5μmである。上記酸化アルミニウム被膜の厚みが0.5μm以上であれば、上記酸化アルミニウム被膜が上記アルミニウム箔の表面を充分に覆うことができ、上記アルミニウム箔と下部電極との間の絶縁性が安定する。上記酸化アルミニウム被膜の厚みが5μm以下であれば、上記フレキシブル基材を湾曲させても上記酸化アルミニウム被膜にクラックが生じにくい。
上記酸化アルミニウム被膜の厚みは、例えば、上記フレキシブル基材の断面を電子顕微鏡(例えば、S-4800、HITACHI社製等)で観察し、得られた写真のコントラストを解析することにより測定することができる。
上記酸化アルミニウム被膜の厚みの比率は特に限定されないが、上記フレキシブル基材の厚み100%に対する好ましい下限が0.1%、好ましい上限が10%である。上記比率が0.1%以上であれば、上記酸化アルミニウム被膜の硬度が上がり、上記下部電極を切削加工する際に上記酸化アルミニウム被膜の剥離を抑制しつつ切削加工を良好に行うことができ、絶縁不良及び導通不良の発生を抑制することができる。上記比率が10%以下であれば、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層形成時に加熱処理を行う際に、上記アルミニウム箔との熱膨張係数の差によって上記酸化アルミニウム被膜及び/又はその上に形成された上記下部電極にクラックが生じることを抑制することができる。これにより、フレキシブル太陽電池の抵抗値が上昇してしまったり、上記アルミニウム箔が露出して有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層に腐食が起きたりすることを抑制することができる。上記比率のより好ましい下限は0.5%、より好ましい上限は5%である。
上記酸化アルミニウム被膜を製膜する方法は特に限定されず、例えば、上記アルミニウム箔に陽極酸化を施す方法、上記アルミニウム箔の表面にアルミニウムのアルコキシド等を塗布する方法、上記アルミニウム箔の表面に熱処理による自然酸化被膜を形成する方法等が挙げられる。なかでも、上記アルミニウム箔の表面全体を均一に酸化させることができることから、上記アルミニウム箔に陽極酸化を施す方法が好ましい。即ち、上記酸化アルミニウム被膜は、陽極酸化被膜であることが好ましい。
上記アルミニウム箔に陽極酸化を施す場合には、陽極酸化における処理濃度、処理温度、電流密度、処理時間等を変更することにより、上記酸化アルミニウム被膜の厚みを調整することができる。上記処理時間は特に限定されないが、上記フレキシブル基材の作製の容易さの観点から、好ましい下限は5分、好ましい上限は120分であり、より好ましい上限は60分である。
上記フレキシブル基材の厚みは特に限定されないが、好ましい下限が5μm、好ましい上限が500μmである。上記フレキシブル基材の厚みが5μm以上であれば、充分な機械的強度を持つ、取扱い性に優れたフレキシブル太陽電池とすることができる。上記フレキシブル基材の厚みが500μm以下であれば、フレキシブル性に優れたフレキシブル太陽電池とすることができる。上記フレキシブル基材の厚みのより好ましい下限は10μm、より好ましい上限は100μmである。
上記フレキシブル基材の厚みとは、上記フレキシブル基材が上記金属箔と上記金属箔上に形成された絶縁層とを有する場合、上記金属箔と上記絶縁層とを含む上記フレキシブル基材全体の厚みを意味する。
上述したように上記フレキシブル基材が上記金属箔と上記金属箔上に形成された絶縁層とを有する場合、上記少なくとも光電変換層と上部電極とを有する積層体は、更に、下部電極を有することが好ましい。上記下部電極は、上記フレキシブル基材の上記絶縁層側に配置される。
上記下部電極及び上記上部電極は、どちらが陰極になってもよく、陽極になってもよい。上記下部電極及び上記上部電極の材料として、例えば、FTO(フッ素ドープ酸化スズ)、ナトリウム、ナトリウム-カリウム合金、リチウム、マグネシウム、アルミニウム、マグネシウム-銀混合物、マグネシウム-インジウム混合物、アルミニウム-リチウム合金、Al/Al混合物、Al/LiF混合物、金等の金属が挙げられる。また、CuI、ITO(インジウムスズ酸化物)、SnO、AZO(アルミニウム亜鉛酸化物)、IZO(インジウム亜鉛酸化物)、GZO(ガリウム亜鉛酸化物)等の導電性透明材料、導電性透明ポリマー等が挙げられる。これらの材料は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記光電変換層は、有機無機ペロブスカイト化合物を含む。
上記光電変換層に上記有機無機ペロブスカイト化合物を用いることにより、フレキシブル太陽電池の光電変換効率を向上させることができる。
なお、本明細書中、「層」とは、明確な境界を有するクラック層だけではなく、含有元素が徐々に変化する濃度勾配のある層をも意味する。なお、層の元素分析は、例えば、フレキシブル太陽電池の断面のFE-TEM/EDS線分析測定を行い、特定元素の元素分布を確認する等によって行うことができる。また、本明細書中、層とは、平坦な薄膜状の層だけではなく、他の層と一緒になって複雑に入り組んだ構造を形成しうる層をも意味する。
上記有機無機ペロブスカイト化合物は、一般式R-M-X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表されることが好ましい。
上記Rは有機分子であり、C(l、m、nはいずれも正の整数)で示されることが好ましい。
上記Rは、具体的には例えば、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、エチルメチルアミン、メチルプロピルアミン、ブチルメチルアミン、メチルペンチルアミン、ヘキシルメチルアミン、エチルプロピルアミン、エチルブチルアミン、イミダゾール、アゾール、ピロール、アジリジン、アジリン、アゼチジン、アゼト、イミダゾリン、カルバゾール、メチルカルボキシアミン、エチルカルボキシアミン、プロピルカルボキシアミン、ブチルカルボキシアミン、ペンチルカルボキシアミン、ヘキシルカルボキシアミン、ホルムアミジニウム、グアニジン、アニリン、ピリジン及びこれらのイオン(例えば、メチルアンモニウム(CHNH)等)やフェネチルアンモニウム等が挙げられる。なかでも、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、プロピルカルボキシアミン、ブチルカルボキシアミン、ペンチルカルボキシアミン、ホルムアミジニウム、グアニジン及びこれらのイオンが好ましく、メチルアミン、エチルアミン、ペンチルカルボキシアミン、ホルムアミジニウム、グアニジン及びこれらのイオンがより好ましい。なかでも、高い光電変換効率が得られることから、メチルアミン、ホルムアミジニウム及びこれらのイオンが更に好ましい。
上記Mは金属原子であり、例えば、鉛、スズ、亜鉛、チタン、アンチモン、ビスマス、ニッケル、鉄、コバルト、銀、銅、ガリウム、ゲルマニウム、マグネシウム、カルシウム、インジウム、アルミニウム、マンガン、クロム、モリブデン、ユーロピウム等が挙げられる。なかでも、電子軌道の重なりの観点から、鉛又はスズが好ましい。これらの金属原子は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。
上記Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子であり、例えば、塩素、臭素、ヨウ素、硫黄、セレン等が挙げられる。これらのハロゲン原子又はカルコゲン原子は単独で用いられてもよく、2種以上が併用されてもよい。なかでも、構造中にハロゲンを含有することで、上記有機無機ペロブスカイト化合物が有機溶媒に可溶になり、安価な印刷法等への適用が可能になることから、ハロゲン原子が好ましい。更に、上記有機無機ペロブスカイト化合物のエネルギーバンドギャップが狭くなることから、ヨウ素がより好ましい。
上記有機無機ペロブスカイト化合物は、体心に金属原子M、各頂点に有機分子R、面心にハロゲン原子又はカルコゲン原子Xが配置された立方晶系の構造を有することが好ましい。
図2は、体心に金属原子M、各頂点に有機分子R、面心にハロゲン原子又はカルコゲン原子Xが配置された立方晶系の構造である、有機無機ペロブスカイト化合物の結晶構造の一例を示す模式図である。詳細は明らかではないが、上記構造を有することにより、結晶格子内の八面体の向きが容易に変わることができるため、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、フレキシブル太陽電池の光電変換効率が向上すると推定される。
上記有機無機ペロブスカイト化合物は、結晶性半導体であることが好ましい。結晶性半導体とは、X線散乱強度分布を測定し、散乱ピークが検出できる半導体を意味している。
上記有機無機ペロブスカイト化合物が結晶性半導体であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、フレキシブル太陽電池の光電変換効率が向上する。また、上記有機無機ペロブスカイト化合物が結晶性半導体であれば、フレキシブル太陽電池に光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)、特に短絡電流の低下に起因する光劣化が抑制されやすくなる。
また、結晶化の指標として結晶化度を評価することもできる。結晶化度は、X線散乱強度分布測定により検出された結晶質由来の散乱ピークと非晶質部由来のハローとをフィッティングにより分離し、それぞれの強度積分を求めて、全体のうちの結晶部分の比を算出することにより求めることができる。
上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度の好ましい下限は30%である。上記結晶化度が30%以上であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、フレキシブル太陽電池の光電変換効率が向上する。また、上記結晶化度が30%以上であれば、フレキシブル太陽電池に光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)、特に短絡電流の低下に起因する光劣化が抑制されやすくなる。上記結晶化度のより好ましい下限は50%、更に好ましい下限は70%である。
また、上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度を上げる方法として、例えば、熱アニール(加熱処理)、レーザー等の強度の強い光の照射、プラズマ照射等が挙げられる。
また、他の結晶化の指標として結晶子径を評価することもできる。結晶子径は、X線散乱強度分布測定により検出された結晶質由来の散乱ピークの半値幅からhalder-wagner法で算出することができる。
上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶子径が5nm以上であれば、フレキシブル太陽電池に光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)、特に短絡電流の低下に起因する光劣化が抑制される。また、上記有機無機ペロブスカイト化合物中の電子の移動度が高くなり、フレキシブル太陽電池の光電変換効率が向上する。上記結晶子径のより好ましい下限は10nm、更に好ましい下限は20nmである。
上記光電変換層は、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物に加えて、更に、有機半導体又は無機半導体を含んでいてもよい。
上記有機半導体として、例えば、ポリ(3-アルキルチオフェン)等のチオフェン骨格を有する化合物等が挙げられる。また、例えば、ポリパラフェニレンビニレン骨格、ポリビニルカルバゾール骨格、ポリアニリン骨格、ポリアセチレン骨格等を有する導電性高分子等も挙げられる。更に、例えば、フタロシアニン骨格、ナフタロシアニン骨格、ペンタセン骨格、ベンゾポルフィリン骨格等のポルフィリン骨格、スピロビフルオレン骨格等を有する化合物や、表面修飾されていてもよいカーボンナノチューブ、グラフェン、フラーレン等のカーボン含有材料も挙げられる。
上記無機半導体として、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛、CuSCN、CuO、CuI、MoO、V、WO、MoS、MoSe、CuS等が挙げられる。
上記光電変換層は、上記有機無機ペロブスカイト化合物と上記有機半導体又は上記無機半導体とを含む場合、薄膜状の有機半導体又は無機半導体部位と薄膜状の有機無機ペロブスカイト化合物部位とを積層した積層体であってもよいし、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位とを複合化した複合膜であってもよい。製法が簡便である点では積層体が好ましく、上記有機半導体又は上記無機半導体中の電荷分離効率を向上させることができる点では複合膜が好ましい。
上記薄膜状の有機無機ペロブスカイト化合物部位の厚みは、好ましい下限が5nm、好ましい上限が5000nmである。上記厚みが5nm以上であれば、充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が高くなる。上記厚みが5000nm以下であれば、電荷分離できない領域が発生することを抑制できるため、光電変換効率の向上につながる。上記厚みのより好ましい下限は10nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は20nm、更に好ましい上限は500nmである。
上記光電変換層が、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物部位とを複合化した複合膜である場合、上記複合膜の厚みの好ましい下限は30nm、好ましい上限は3000nmである。上記厚みが30nm以上であれば、充分に光を吸収することができるようになり、光電変換効率が高くなる。上記厚みが3000nm以下であれば、電荷が電極に到達しやすくなるため、光電変換効率が高くなる。上記厚みのより好ましい下限は40nm、より好ましい上限は2000nmであり、更に好ましい下限は50nm、更に好ましい上限は1000nmである。
上記光電変換層は、光電変換層形成後に熱アニール(加熱処理)が施されていることが好ましい。熱アニール(加熱処理)を施すことにより、光電変換層中の有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度を充分に上げることができ、光を照射し続けることによる光電変換効率の低下(光劣化)をより抑制することができる。
従来の耐熱高分子材料からなるフレキシブル基材を用いたフレキシブル太陽電池にこのような熱アニール(加熱処理)を行うと、フレキシブル基材と光電変換層等との熱膨張係数の差により、アニール時に歪みが生じ、その結果、高い光電変換効率を達成することが難しくなることがある。上記金属箔を用いた場合には、熱アニール(加熱処理)を行っても、歪みの発生を最小限に抑えて、高い光電変換効率を得ることができる。
上記熱アニール(加熱処理)を行う場合、上記光電変換層を加熱する温度は特に限定されないが、100℃以上、250℃未満であることが好ましい。上記加熱温度が100℃以上であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度を充分に上げることができる。上記加熱温度が250℃未満であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物を熱劣化させることなく加熱処理を行うことができる。より好ましい加熱温度は、120℃以上、200℃以下である。また、加熱時間も特に限定されないが、3分以上、2時間以内であることが好ましい。上記加熱時間が3分以上であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物の結晶化度を充分に上げることができる。上記加熱時間が2時間以内であれば、上記有機無機ペロブスカイト化合物を熱劣化させることなく加熱処理を行うことができる。
これらの加熱操作は真空又は不活性ガス下で行われることが好ましく、露点温度は10℃以下が好ましく、7.5℃以下がより好ましく、5℃以下が更に好ましい。
本発明のフレキシブル太陽電池は、上記フレキシブル基材及び上記上部電極のうちの陰極となる側と、上記光電変換層との間に、電子輸送層を有してもよい。
上記電子輸送層の材料は特に限定されず、例えば、N型導電性高分子、N型低分子有機半導体、N型金属酸化物、N型金属硫化物、ハロゲン化アルカリ金属、アルカリ金属、界面活性剤等が挙げられる。具体的には例えば、シアノ基含有ポリフェニレンビニレン、ホウ素含有ポリマー、バソキュプロイン、バソフェナントレン、ヒドロキシキノリナトアルミニウム、オキサジアゾール化合物、ベンゾイミダゾール化合物、ナフタレンテトラカルボン酸化合物、ペリレン誘導体、ホスフィンオキサイド化合物、ホスフィンスルフィド化合物等が挙げられる。また、フルオロ基含有フタロシアニン、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ガリウム、硫化スズ、硫化インジウム、硫化亜鉛等が挙げられる。
上記電子輸送層は、薄膜状の電子輸送層(バッファ層)のみからなっていてもよいが、多孔質状の電子輸送層を含むことが好ましい。特に、上記光電変換層が、有機半導体又は無機半導体部位と有機無機ペロブスカイト化合物を複合化した複合膜である場合、より複雑な複合膜(より複雑に入り組んだ構造)が得られ、光電変換効率が高くなることから、多孔質状の電子輸送層上に複合膜が製膜されていることが好ましい。
上記電子輸送層の厚みは、好ましい下限が1nm、好ましい上限が2000nmである。上記厚みが1nm以上であれば、充分にホールをブロックできるようになる。上記厚みが2000nm以下であれば、電子輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。上記電子輸送層の厚みのより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は5nm、更に好ましい上限は500nmである。
本発明のフレキシブル太陽電池は、上記光電変換層と、上記フレキシブル基材及び上記上部電極のうちの陽極となる側との間に、ホール輸送層を有してもよい。
上記ホール輸送層の材料は特に限定されず、例えば、P型導電性高分子、P型低分子有機半導体、P型金属酸化物、P型金属硫化物、界面活性剤等が挙げられる。具体的には例えば、ポリ(3-アルキルチオフェン)等のチオフェン骨格を有する化合物等が挙げられる。また、例えば、トリフェニルアミン骨格、ポリパラフェニレンビニレン骨格、ポリビニルカルバゾール骨格、ポリアニリン骨格、ポリアセチレン骨格等を有する導電性高分子等も挙げられる。更に、例えば、フタロシアニン骨格、ナフタロシアニン骨格、ペンタセン骨格、ベンゾポルフィリン骨格等のポルフィリン骨格、スピロビフルオレン骨格等を有する化合物が挙げられる。また、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化タングステン、酸化ニッケル、酸化銅、酸化スズ、硫化モリブデン、硫化タングステン、硫化銅、硫化スズ等、フルオロ基含有ホスホン酸、カルボニル基含有ホスホン酸、CuSCN、CuI等の銅化合物、カーボンナノチューブ、グラフェン等のカーボン含有材料等が挙げられる。
上記ホール輸送層は、その一部が上記光電変換層に浸漬していてもよいし、上記光電変換層上に薄膜状に配置されてもよい。上記ホール輸送層が薄膜状に存在する時の厚みは、好ましい下限は1nm、好ましい上限は2000nmである。上記厚みが1nm以上であれば、充分に電子をブロックできるようになる。上記厚みが2000nm以下であれば、ホール輸送の際の抵抗になり難く、光電変換効率が高くなる。上記厚みのより好ましい下限は3nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は5nm、更に好ましい上限は500nmである。
本発明のフレキシブル太陽電池は、更に、上記上部電極上を覆って上記複数の太陽電池セルを封止するバリア層を有していてもよい。
上記バリア層の材料としてはバリア性を有していれば特に限定されないが、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂又は無機材料等が挙げられる。
上記熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂等が挙げられる。また、ブチルゴム、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ABS樹脂、ポリブタジエン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリイソブチレン等が挙げられる。
上記バリア層の材料が熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂である場合、バリア層(樹脂層)の厚みは、好ましい下限が100nm、好ましい上限が100000nmである。上記厚みのより好ましい下限は500nm、より好ましい上限は50000nmであり、更に好ましい下限は1000nm、更に好ましい上限は20000nmである。
上記無機材料としては、Si、Al、Zn、Sn、In、Ti、Mg、Zr、Ni、Ta、W、Cu若しくはこれらを2種以上含む合金の酸化物、窒化物又は酸窒化物が挙げられる。なかでも、上記バリア層に水蒸気バリア性及び柔軟性を付与するために、Zn、Snの両金属元素を含む金属元素の酸化物、窒化物又は酸窒化物が好ましい。
上記バリア層の材料が無機材料である場合、バリア層(無機層)の厚みは、好ましい下限が30nm、好ましい上限が3000nmである。上記厚みが30nm以上であれば、上記無機層が充分な水蒸気バリア性を有することができ、フレキシブル太陽電池の耐久性が向上する。上記厚みが3000nm以下であれば、上記無機層の厚みが増した場合であっても、発生する応力が小さいため、上記無機層と上記積層体との剥離を抑制することができる。上記厚みのより好ましい下限は50nm、より好ましい上限は1000nmであり、更に好ましい下限は100nm、更に好ましい上限は500nmである。
なお、上記無機層の厚みは、光学干渉式膜厚測定装置(例えば、大塚電子社製のFE-3000等)を用いて測定することができる。
上記バリア層の材料のうち、上記熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂で上記積層体を封止する方法は特に限定されず、例えば、シート状のバリア層の材料を用いて上記積層体をシールする方法が挙げられる。また、バリア層の材料を有機溶媒に溶解させた溶液を上記積層体に塗布する方法、バリア層となる液状モノマーを上記積層体に塗布した後、熱又はUV等で液状モノマーを架橋又は重合させる方法、バリア層の材料に熱をかけて融解させた後に冷却させる方法等が挙げられる。
上記バリア層の材料のうち、上記無機材料で上記積層体を封止する方法として、真空蒸着法、スパッタリング法、気相反応法(CVD)、イオンプレーティング法が好ましい。なかでも、緻密な層を形成するためにはスパッタリング法が好ましく、スパッタリング法のなかでもDCマグネトロンスパッタリング法がより好ましい。
上記スパッタリング法においては、金属ターゲット、及び、酸素ガス又は窒素ガスを原料とし、上記積層体上に原料を堆積して製膜することにより、無機材料からなる無機層を形成することができる。
上記バリア層の材料は、上記熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂と、上記無機材料との組み合わせでもよい。
本発明のフレキシブル太陽電池においては、更に、上記バリア層上を、例えば樹脂フィルム、無機材料を被覆した樹脂フィルム等のその他の材料が覆っていてもよい。即ち、本発明のフレキシブル太陽電池は、上記積層体と上記その他の材料との間を、上記バリア層によって封止、充填又は接着している構成であってもよい。これにより、仮に上記バリア層にピンホールがあった場合にも充分に水蒸気をブロックすることができ、フレキシブル太陽電池の耐久性をより向上させることができる。
フレキシブル基材上に複数の太陽電池セルを有し、前記複数の太陽電池セルは、それぞれ、少なくとも光電変換層と上部電極とを有する積層体からなり、かつ、隣接する太陽電池セル同士が直列に接続しているフレキシブル太陽電池の製造方法であって、少なくとも、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を形成し、前記有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層をメカニカルパターニングにより切削加工する工程(1)と、前記切削加工された光電変換層上に上部電極を形成し、前記上部電極の切削加工を行う工程(2)とを有し、前記フレキシブル基材は、破壊靱性値Kcが3以上、ビッカース硬さHVが50以上であるフレキシブル太陽電池の製造方法もまた、本発明の1つである。
このような本発明のフレキシブル太陽電池の製造方法では、上記フレキシブル基材の破壊靱性値Kc、及び、ビッカース硬さHVを上記範囲に調整することにより、有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層をメカニカルパターニングにより切削加工する際(即ち、工程(1))のフレキシブル基材の変形、削れ及びクラックを抑制することができる。これにより、太陽電池セルが直列に集積された構成であっても高い光電変換効率を発揮するフレキシブル太陽電池を得ることができる。
なお、本発明のフレキシブル太陽電池の製造方法では、工程(1)の前に、フレキシブル基材上に下部電極を形成し、上記下部電極の切削加工を行う工程を行ってもよい。
上記下部電極の切削加工、及び、上記上部電極の切削加工を行う方法は特に限定されず、例えば、レーザーパターニング等も挙げられるが、比較的安価であることから、メカニカルパターニングが好ましく用いられる。
本発明のフレキシブル太陽電池の製造方法は、生産性の観点から、ロール-to-ロール方式であることが好ましい。上記ロール-to-ロール方式は、サンプルを連続的に搬送する方式であってもよいし、サンプルを断続的に搬送するステップ送り方式であってもよい。なお、上記ロール-to-ロール方式以外にも、例えば、枚葉方式等を用いることができる。
本発明によれば、太陽電池セルが直列に集積された構成であっても高い光電変換効率を発揮するフレキシブル太陽電池を提供することができる。また、本発明によれば、該フレキシブル太陽電池の製造方法を提供することができる。
本発明のフレキシブル太陽電池の一例を模式的に示す断面図である。 有機無機ペロブスカイト化合物の結晶構造の一例を示す模式図である。
以下に実施例を挙げて本発明の態様を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
(実施例1)
(1)フレキシブル基材の作製
アルミニウム箔(東洋アルミニウム社製、品番5052-H、厚み100μm)に硫酸アルマイト処理により処理時間30分で陽極酸化を施すことにより、アルミニウム箔の表面に酸化アルミニウム被膜(アルマイト)(厚み3μm、厚みの比率3%)を形成し、フレキシブル基材を得た。
得られたフレキシブル基材の破壊靱性値Kcを、ナノインデンターG200(Keysight Technologies社製)により測定したところ、5MPa・m1/2であった。また、得られたフレキシブル基材のビッカース硬さHVを、ナノインデンターG200(Keysight Technologies社製)を用い、ガラス基板上のフレキシブル基材に対してビッカース圧子を押し込み、得られた荷重-変異曲線から算出したところ、160であった。
(2)集積化後太陽電池サンプルの作製
5cm角にカットしたフレキシブル基材の酸化アルミニウム被膜上に、蒸着機によって、厚み100nmのAl膜を形成し、更に、Al膜上に厚み100nmのTi膜をスパッタリング法によって形成し、陰極(Ti/Al膜)とした。メカニカルスクライブ機(三星ダイヤモンド工業社製、KMPD100)を用いてメカニカルパターニングによりTi/Al膜のパターニング(削り幅40μm)を行った。
Ti/Al膜の上に、エタノールと酸化チタン(平均粒子径10nmと30nmとの混合物)とを含有する酸化チタンペーストをスピンコート法により塗布した後、200℃で30分間焼成し、厚み100nmの多孔質状の電子輸送層を形成した。
次いで、ハロゲン化金属化合物としてヨウ化鉛をN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)に溶解させて1Mの溶液を調製し、多孔質状の電子輸送層上にスピンコート法によって製膜した。更に、アミン化合物としてヨウ化メチルアンモニウムを2-プロパノールに溶解させて1Mの溶液を調製した。この溶液内に上記のヨウ化鉛を製膜したサンプルを浸漬させることによって有機無機ペロブスカイト化合物であるCHNHPbIを含む層を形成した。その後、得られたサンプルに対して120℃にて30分間アニール処理を行った。
次いで、クロロベンゼン25μLにSpiro-OMeTAD(スピロビフルオレン骨格を有する)を68mM、t-ブチルピリジンを55mM、ビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド・Spiro-OMeTAD塩を9mM溶解させた溶液を調製した。この溶液を光電変換層上にスピンコート法によって塗布し、厚み150nmのホール輸送層を形成した。
その後、メカニカルスクライブ機(三星ダイヤモンド工業社製、KMPD100)を用いてメカニカルパターニングにより電子輸送層、光電変換層及びホール輸送層を合わせた層のパターニングを行った。
得られたホール輸送層上に、陽極(透明電極)としてスパッタリング法により厚み100nmのITO膜を形成した。メカニカルパターニングによりITO膜のパターニングを行った。
得られた陽極上に、スパッタリング法により100nmのZnSnOからなるバリア層を形成し、フレキシブル太陽電池(集積化後太陽電池サンプル)を得た。
(3)単セル太陽電池サンプルの作製
2.5cm角にカットしたフレキシブル基材を用い、メカニカルスクライブによるパターニングを行わなかったこと以外は集積化後太陽電池サンプルと同様にして、フレキシブル太陽電池(単セル太陽電池サンプル)を得た。
(実施例2~3)
表1に示すアルミニウム箔を用いたこと以外は実施例1と同様にして、フレキシブル太陽電池を得た。
(実施例4)
硫酸アルマイト処理をする代わりにエポキシ樹脂からなる絶縁層を得たこと以外は実施例1と同様にして、フレキシブル太陽電池を得た。エポキシ樹脂からなる絶縁層は、エタノールで洗浄したアルミニウム箔上にエポキシ樹脂(セロキサイド2021P、ダイセル化学社製)100重量部と光酸発生剤(CPI-101A、サンアプロ社製)4重量部とを5μmの厚みに製膜し、2400mJの紫外線を照射し200℃5分アニールすることにより得た。
(実施例5)
アルミニウム箔の代わりにSUS304を用いたこと以外は実施例4と同様にして、フレキシブル太陽電池を得た。
(比較例1~2)
表1に示すアルミニウム箔を用いたこと以外は実施例1と同様にして、フレキシブル太陽電池を得た。
(比較例3)
アルミニウム箔の代わりにポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(帝人社製)を用い、硫酸アルマイト処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、フレキシブル太陽電池を得た。
(比較例4)
アルミニウム箔の代わりにポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム(帝人社製)を用い、硫酸アルマイト処理を行わなかったこと以外は実施例1と同様にして、フレキシブル太陽電池を得た。
(比較例5~6)
表1に示すアルミニウム箔を用い、硫酸アルマイト処理の条件を変更することにより表1に示すように酸化アルミニウム被膜(アルマイト)を変更したこと以外は実施例1と同様にして、フレキシブル太陽電池を得た。
<評価>
実施例及び比較例で得られたフレキシブル太陽電池について、下記の評価を行った。結果を表1に示した。
(1)集積化後変換効率/単セル変換効率の測定
得られた集積化後太陽電池サンプルの電極間に電源(KEITHLEY社製、236モデル)を接続し、強度100mW/cmのソーラーシミュレーション(山下電装社製)を用い、露光面積3cm角で光電変換効率を測定し、これを集積化後変換効率とした。一方、単セル太陽電池サンプルに対して同様にして露光面積0.2cm角で光電変換効率を測定し、これを単セル変換効率とした。集積化後変換効率/単セル変換効率の値を求めた。
Figure 0007112225000002
本発明によれば、太陽電池セルが直列に集積された構成であっても高い光電変換効率を発揮するフレキシブル太陽電池を提供することができる。また、本発明によれば、該フレキシブル太陽電池の製造方法を提供することができる。
1 フレキシブル太陽電池
2 フレキシブル基材
3 下部電極
4 上部電極
5 光電変換層

Claims (3)

  1. フレキシブル基材上に複数の太陽電池セルを有するフレキシブル太陽電池であって、
    前記複数の太陽電池セルは、それぞれ、少なくとも光電変換層と上部電極とを有する積層体からなり、かつ、隣接する太陽電池セル同士が直列に接続しており、
    前記フレキシブル基材は金属箔と前記金属箔上に形成された絶縁層からなり、
    前記フレキシブル基材は、破壊靱性値Kcが3以上、ビッカース硬さHVが50以上であり、
    前記光電変換層は、有機無機ペロブスカイト化合物を含み、
    前記光電変換層は、前記絶縁層上に形成されており、
    前記金属箔は、アルミニウム箔であり、
    前記絶縁層は酸化アルミニウム又はエポキシ樹脂からなり、
    前記絶縁層の厚みが3μm以下である
    ことを特徴とするフレキシブル太陽電池。
  2. 有機無機ペロブスカイト化合物は、一般式R-M-X(但し、Rは有機分子、Mは金属原子、Xはハロゲン原子又はカルコゲン原子である。)で表されることを特徴とする請求項1記載のフレキシブル太陽電池。
  3. フレキシブル基材上に複数の太陽電池セルを有し、前記複数の太陽電池セルは、それぞれ、少なくとも光電変換層と上部電極とを有する積層体からなり、かつ、隣接する太陽電池セル同士が直列に接続しており、前記フレキシブル基材は金属箔と前記金属箔上に形成された絶縁層からなるフレキシブル太陽電池の製造方法であって、
    少なくとも、
    前記フレキシブル基材の前記絶縁層側の面上に有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層を形成し、前記有機無機ペロブスカイト化合物を含む光電変換層をメカニカルパターニングにより切削加工する工程(1)と、
    前記切削加工された光電変換層上に上部電極を形成し、前記上部電極の切削加工を行う工程(2)とを有し、
    前記フレキシブル基材は、破壊靱性値Kcが3以上、ビッカース硬さHVが50以上であり、
    前記金属箔は、アルミニウム箔であり、
    前記絶縁層は酸化アルミニウム又はエポキシ樹脂からなり、
    前記絶縁層の厚みが3μm以下である
    ことを特徴とするフレキシブル太陽電池の製造方法。
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