JP7111104B2 - コーティング組成物、コーティング膜、コーティング製剤及びその製造方法 - Google Patents

コーティング組成物、コーティング膜、コーティング製剤及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、食品、医薬品等のコーティングに用いられるコーティング組成物、コーティング膜、コーティング製剤及びその製造方法に関するものである。
乳酸菌や酵素等のタンパク質の機能成分のように、胃での分解を防ぎ、構造を維持して腸まで届けることにより高い機能性を発揮する有効成分があり、胃で溶けず腸で溶解し、有効成分を腸に到達させる腸溶性の製剤が求められている。
有効成分を腸まで到達させるためのコーティング膜としては、胃の中のpH条件(酸性)で溶解せず、小腸のpH条件(中性~アルカリ性)で溶解する成分が使用される。そのような成分としては、例えば、メタクリル酸系高分子化合物、シェラック、ツェイン、アルギン酸塩等が挙げられるが、メタクリル酸系高分子化合物は医薬品用途に限られており、シェラック、ツェインは有機溶剤を用いて噴霧する方法が一般的であることから、最近では、医薬品用途だけでなく食品用途でも使用でき、かつ環境に対する負荷が少ない水を用いたコーティングが可能なアルギン酸塩の利用が拡大しつつある。
しかしながら、アルギン酸塩を使用した腸溶性コーティング膜製剤は、高温高湿度の環境下で保存された場合、アルギン酸塩の加水分解が原因と考えられるコーティング膜の劣化により、胃液耐性能が低下することがあった。そのため、高温高湿度の環境下で保存された場合においても、胃液耐性能低下を抑制できるコーティング技術が望まれていた。
なお、本発明に関連する先行技術文献としては下記のものが挙げられる。
特開2002-193792号公報
本発明は、欠け、はがれがなく均一にコーティングできコーティング性に優れるだけでなく、高温高湿度の環境下における耐久性に優れたコーティング膜を与えるコーティング組成物、このコーティング組成物を用いて得られるコーティング膜、このコーティング組成物でコーティングされたコーティング製剤及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、アルギン酸塩と、二価陽イオンとを所定の比率で含むコーティング組成物が、欠け、はがれがなく均一にコーティングできコーティング性に優れるだけでなく、高温高湿度の環境下における耐久性に優れたコーティング膜を与え、該組成物を用いてコーティングを施した製剤が、高温高湿度の環境下で保存した場合においても胃液耐性能の低下が小さく、保存安定性に優れたものとなることを知見した。また、アルギン酸塩と、二価陽イオンとを所定の比率で含むコーティング膜が、高温高湿度の環境下における耐久性に優れ、コーティング膜で覆われたコーティング製剤が、高温高湿度の環境下で保存した場合においても胃液耐性能の低下が小さく、保存安定性に優れることを知見し、本発明をなすに至ったものである。
従って、本発明は下記を提供する。
[1] (A)アルギン酸塩と(B)二価陽イオンとを含み、(B)/(A)×100で表される(A)成分に対する(B)成分の含有質量比が0.015~0.25であることを特徴とするコーティング組成物。
[2] (A)成分が、1質量%水溶液の20℃での粘度が600mPa・s以下のアルギン酸塩である[1]のコーティング組成物。
[3] さらに、(C)可塑剤を含有する[1]又は[2]のコーティング組成物。
[4] (B)/(C)×100で表される(C)成分に対する(B)成分の含有質量比が0.02~5である[3]のコーティング組成物。
[5] さらに、(D)皮膜形成成分を含有する[1]~[4]のコーティング組成物。
[6] 被コーティング物と、[1]~[5]のいずれかのコーティング組成物から形成されたコーティング膜とを有するコーティング製剤。
[7] 被コーティング物に、[1]~[5]のいずれかのコーティング組成物及び水を含むコーティング溶液を噴霧し、乾燥することにより、被コーティング物の表面にコーティング膜を形成する工程を含む、コーティング製剤の製造方法。
[8] 被コーティング物の表面に形成されるコーティング膜であって、(A)アルギン酸塩と(B)二価陽イオンとを含み、(B)/(A)×100で表される(A)成分に対する(B)成分の含有質量比が0.015~0.25であることを特徴とするコーティング膜。
[9] さらに、(C)可塑剤を含有する[8]のコーティング膜。
[10] (B)/(C)×100で表される(C)成分に対する(B)成分の含有質量比が0.02~5である[9]のコーティング膜。
[11] さらに、(D)皮膜形成成分を含有する[8]~[10]のいずれかのコーティング膜。
本発明によれば、コーティング性に優れるだけでなく、高温高湿度の環境下における耐久性に優れるコーティング膜を与えるコーティング組成物、このコーティング組成物を用いて得られるコーティング膜、このコーティング組成物でコーティングされた保存安定性に優れるコーティング製剤及びその製造方法を提供することができる。また、高温高湿度の環境下における耐久性に優れるコーティング膜及びその製造方法を提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
(I)コーティング組成物
本発明のコーティング組成物は、(A)アルギン酸塩及び(B)二価陽イオンを含有する。
(A)アルギン酸塩
アルギン酸塩としては、アルカリ金属塩及びアンモニウム塩等の一価のアルギン酸塩、水溶性のアルギン酸塩が好ましく、アルカリ金属塩がより好ましく、ナトリウム塩及びカリウム塩がより一層好ましく、ナトリウム塩がさらに好ましい。上記アルギン酸塩としては、適宜な粘度を有するものを1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができるが、その粘度は全体として、1質量%水溶液の20℃での粘度で600mPa・s以下が好ましく、25mPa・s以上400mPa・s以下がより好ましい。さらには、(A-1)1質量%水溶液の20℃での粘度が50mPa・s以上のものと、(A-2)1質量%水溶液の20℃での粘度が50mPa・s未満のものとを組み合わせて用いることがより一層好ましい。
(A-1)1質量%水溶液の20℃での粘度が50mPa・s以上のアルギン酸塩としては、50mPa・s以上600mPa・s以下のものが好ましく、50mPa・s以上400mPa・s以下のものがより好ましい。(A-1)アルギン酸塩としては、アルギン酸ナトリウム塩が好ましい。
(A-2)1質量%水溶液の20℃での粘度が50mPa・s未満のアルギン酸塩としては、5mPa・s以上50mPa・s未満のものが好ましく、10mPa・s以上50mPa・s未満のものがより好ましい。(A-2)アルギン酸塩としては、アルギン酸ナトリウム塩が好ましい。
本発明では、(A)成分の粘度を上記範囲とすることで、コーティング性や腸溶性をより向上させることができる。
(A)成分の含有量は、コーティング組成物に対して5~85質量%(固形分:以下固形分と記載されている場合は、溶媒を除いた成分全量に対する割合で、コーティング膜中の割合と同じである。)が好ましく、10~80質量%(固形分)がより好ましく、10~70質量%(固形分)がより一層好ましく、10~60質量%(固形分)の範囲がさらに好ましい。(A)成分の含有量を上記範囲の下限以上とすることで良好な腸溶性を得ることができ、上限以下とすることで良好なコーティング性を得ることができる。なお、本発明において、(A)成分の含有量は、アルギン酸ナトリウムの量を意味し、(A)成分がアルギン酸ナトリウム以外のアルギン酸塩である場合は、アルギン酸ナトリウムの量に換算した量を意味するものとする。例えば、(A)成分がアルギン酸カリウムである場合は、アルギン酸カリウムの含有量に0.92を乗じた値、(A)成分がアルギン酸アンモニウムである場合は、アルギン酸アンモニウムの含有量に1.03を乗じた値を(A)成分の含有量とする。後述する(A-1)成分、(A-2)成分やその他成分との質量比においても同様とする。
(A-1)アルギン酸塩を含有する場合は、含有量はコーティング組成物に対して5~85質量%(固形分)が好ましく、10~60質量%(固形分)がより好ましく、20~50質量%(固形分)の範囲がさらに好ましい。上記下限以上とすることで、良好な腸溶性をより得ることができ、上記上限以下とすることで、コーティングする際の付着やはがれを防ぎ良好なコーティング性能を得ることができる。
(A-2)アルギン酸塩を含有する場合は、含有量はコーティング組成物に対して85質量%(固形分)以下が好ましく、5~50質量%(固形分)がより好ましく、10~40質量%(固形分)の範囲がさらに好ましい。上記範囲内とすることで、腸溶性が向上し、かつコーティング性が良好となる。
本発明においては、(A)アルギン酸塩として、(A-1)アルギン酸塩を用いることが好ましい。このような一定以上の分子量のアルギン酸塩を用いることで、コーティング性がよく、形成されたコーティング膜に高い耐酸性を付与することができる。また、(A-1)アルギン酸塩と(A-2)アルギン酸塩とを併用することにより、腸溶性を維持しつつ、コーティング性能をより向上することができる。
上記(A-1)アルギン酸塩と、(A-2)アルギン酸塩とのように、粘度の異なる2種のアルギン酸塩を用いるのは、単にコーティング溶液の粘度の調整ではなく、腸溶性及びコーティング性の観点から、2種類のアルギン酸塩を選択したものである。その質量比(A-1):(A-2)((A-1)/(A-2))は、1:5~10:1(0.2~10)が好ましく、1:3~5:1(0.33~5)がより好ましく、1:1.8~3:1(0.56~3)がさらに好ましい。下限以上とすることで酸性下での皮膜性能がより高くなるため非溶出性が良好となり、上限以下とすることでコーティング性がより良好となる。
なお、本発明において、アルギン酸塩の粘度測定は回転式粘度計(BM型)を用いて行う。粘度が200mPa・s未満の粘度はローターNo.1を用い、200mPa・s以上1,000mPa・s未満の粘度はローターNo.2を用いて、1質量%水溶液を20℃、30rpmの条件にて測定し、60秒後の値を測定値とする。
アルギン酸塩の粘度は、アルギン酸塩の分子量にほぼ比例するものである。例えば上記、(A-1)の重量平均分子量(Mw)は80万以上であり、80万以上300万未満が好ましく、80万以上190万未満がより好ましい。(A-2)の重量平均分子量(Mw)は20万以上80万未満であり、30万以上80万未満が好ましい。なお、本発明のアルギン酸塩の重量平均分子量(Mw)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定方法を以下に示す。
(1)サンプルの調製
アルギン酸塩濃度が0.1質量%となるように移動相(0.1M(mol/L)NaNO3水溶液)に溶かしこれをサンプルとする。
各種分子量の標準品(プルラン:Mw=166万、Mw=38万、Mw=10万、Mw=1.22万、移動相に0.1質量%濃度で溶解)を用いて検量線を作成する。
(2)GPC測定条件
カラム:Shodex OHpak SB-806M HQ(8mmI.D.×300mmL.,13μm)
移動相:0.1M(mol/L)NaNO3水溶液
流 量:0.5mL/min
温 度:40℃
注入量:200μL(0.1% in移動相)
検出器:示差屈折率(RI)検出器
(3)解析方法
検量線サンプルより検量線式を求め、試料のGPC分析結果からプルランに換算した重量平均分子量(Mw)を求める。
(B)二価陽イオン
二価陽イオンとしては、マグネシウムイオン及びカルシウムイオンを含むことが好適であり、カルシウムイオンがより好ましい。上記二価陽イオンは、二価陽イオンを含む金属塩を含有することで本発明のコーティング組成物に含有させることができる。具体的には、塩化カルシウム、乳酸カルシウム、グルタミン酸カルシウム、クエン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、塩化マグネシウム、水酸化カルシウム、硫酸マグネシウムや、ミルクカゼイン、にがり、海水等の食品素材等が挙げられ、本発明では、これらの中でも、塩化カルシウム、乳酸カルシウム及び塩化マグネシウムを好適に使用し得る。
(B)成分の含有量(含有割合)は、コーティング組成物に対して0.005~0.10質量%(固形分)が好ましく、0.01~0.08質量%(固形分)がより好ましく、0.03~0.06質量%(固形分)がさらに好ましい。(B)成分の含有量を上記範囲内とすることで、コーティング膜の安定性がより向上する。また、良好な腸溶性が得られる。なお、(B)成分の含有量は、二価陽イオンを含む金属塩の実際の使用量に、その化合物中に含まれる二価陽イオンの割合を乗じることにより算出することができる。例えば、塩化カルシウム二水和物中のカルシウムイオンは27.27質量%、乳酸カルシウム五水和物中のカルシウムイオンは13.00質量%、塩化マグネシウム六水和物中のマグネシウムイオンは11.96質量%となり、金属塩としての使用量に、これらの割合を乗じることによって、(B)成分の含有量を算出することができる。
また、二価陽イオンの含有量は、科学・工業分野において通常使用される方法および機器を使用して確認することができる。その方法としては、誘導結合プラズマ発光分析、誘導結合プラズマ質量分析、電子線マイクロアナライザ、X線光電子分光、二次イオン質量分析法、イオンクロマト法、原子吸光光度法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(B)/(A)×100で表される(A)成分に対する(B)成分の含有質量比は0.015~0.25であり、0.02~0.20が好ましく、0.06~0.20がより好ましく、0.09~0.16が最も好ましい。上記含有質量比が、0.015未満となった場合や0.25を超えた場合は、得られるコーティング膜は劣化しやすく、耐久性が低いものとなり、このようなコーティング膜を有する錠剤は保存安定性に劣るものとなる。
(C)可塑剤
可塑剤としては、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、ショ糖等の糖、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、エリスリトール、キシリトール等の糖アルコール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ヘキサデシルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール等(好適には炭素数6~22)の高級アルコール、中鎖脂肪酸エステル(好適には炭素数6~12)等の油脂が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、コーティング膜の可塑効果の点から、グリセリンが好ましく、腸溶性の点からは界面活性剤が好ましく、グリセリン及び/又はショ糖脂肪酸エステルがより好ましい。
(C)成分の含有量は、コーティング組成物に対して0.1~70質量%(固形分)が好ましく、2~50質量%(固形分)がより好ましい。(C)成分の含有量を上記範囲内とすることで、コーティングの安定性がより向上する。また、上記範囲の下限以上とすることで、コーティング時の膜のはがれがより抑制され、上限以下とすることで、コーティング時のベタツキが抑制され、コーティング処理がより容易となるとともに、良好な腸溶性が得られる。
(C)/(A)で表される(A)成分に対する(C)成分の含有質量比は、0.001~3の範囲が好ましく、0.05~3がより好ましく、0.05~2が特に好ましい。上記範囲内とすることで、酸性下での皮膜性能がより高くなり、コーティング膜の安定性がより向上する。
また、(B)/(C)×100で表される(C)成分に対する(B)成分の含有質量比は、0.02~5が好ましく、0.04~1.6がより好ましく、0.06~1.6がさらに好ましい。上記範囲内とすることで、コーティング膜の安定性がより向上する。
(D)皮膜形成成分
本発明のコーティング組成物には、(A)成分以外の皮膜形成成分を含有してもよい。(D)皮膜形成成分としては、水溶性高分子が好ましく、具体例としては、ゼラチン、ペクチン、カードラン、プルラン、アラビアガム、キサンタンガム及びジェランガム等の天然水溶性多糖類、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム及びヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セルロース誘導体、寒天、キトサン、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、ポリビニルアルコール、エチルセルロース水分散液等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ゼラチン、カードラン、プルラン、アラビアガム、キサンタンガム、ジェランガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースから選ばれる成分が、コーティング性及び(A)成分との組み合わせの点から好ましい。
(D)成分の含有量は、コーティング組成物に対して1~80質量%(固形分)が好ましく、5~75質量%(固形分)がより好ましい。上記範囲内とすることで、(D)成分含有の効果をより得ることができ、上記範囲を超えて含有すると、腸溶性に影響を与えるおそれがある。
この場合、(A):(D)((A)/(D))で表される含有質量比は、1:10~20:1(0.1~20)が好ましく、1:5~20:1(0.2~20)がより好ましく、1:1~10:1(1~10)がさらに好ましい。この範囲内とすることで、コーティング性と外観の美しさを維持した上で、特に酸性下での皮膜性能がより高い腸溶性能に優れる錠剤を得ることができる。
コーティング組成物には、(E)微粒子を含有してもよい。微粒子を含有することで、コーティング処理時の錠剤同士の付着によるコーティング膜のはがれを防止することができる。(E)成分としては、タルク、ステアリン酸カルシウム、二酸化ケイ素、酸化チタン等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。微粒子の粒径は0.01~50μmであり、0.1~20μmが好ましい。なお、粒径の測定はレーザー回折式粒度分布測定装置(乾式測定)にて行う。
(E)成分の含有量は、コーティング組成物に対して1~80質量%(固形分)が好ましく、3~60質量%(固形分)がより好ましく、5~40質量%(固形分)がさらに好ましい。上記範囲内とすることで、上記(E)成分を含有する効果をより得ることができ、上記範囲を超えて含有すると、成膜性に影響を与えるおそれがある。
本発明のコーティング組成物には、上記(A)~(E)成分の他に、コーティング組成物に通常用いられる成分を1種単独で又は2種以上、適量含有することができる。このような任意成分としては、消泡剤、着色剤等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサン・二酸化ケイ素混合物、含水二酸化ケイ素、二酸化ケイ素等が挙げられ、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
着色剤としては、例えば、アセンヤクタンニン末、ウコン抽出液、黄色三二酸化鉄、オレンジエッセンス、褐色酸化鉄、カーボンブラック、カラメル、カルミン、カロチン液、β-カロテン、カンゾウエキス、金箔、黒酸化鉄、軽質無水ケイ酸、酸化チタン、三二酸化鉄、食用青色1号、食用黄色4号、食用黄色4号アルミニウムレーキ、食用黄色5号、食用赤色2号、食用赤色3号、食用赤色102号、水酸化ナトリウム、銅クロロフィンナトリウム、銅クロロフィル、ハダカムギ緑葉抽出エキス、薬用炭、酪酸リボフラビン、リボフラビン、緑茶末、リン酸リボフラビンナトリウム等が挙げられる。
本発明のコーティング組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、水、エタノール等の有機溶媒を含むことができる。コーティング組成物中の溶媒含有量は、コーティング組成物全体に対して、1~98質量%の範囲で適宜選定され、50~98質量%が好ましく、70~96質量%がより好ましい。
(II)コーティング製剤
本発明におけるコーティングとは、コーティング溶液を被コーティング物の表面に塗布又は噴霧して、あるいは被コーティング物をコーティング溶液中に浸漬して、乾燥固化することで皮膜を形成させることを含むものとする。本発明では、上記コーティング組成物を用いて、被コーティング物に当該コーティング組成物からなるコーティング膜を形成させることにより、コーティング製剤を得ることができる。
(1)被コーティング物
本発明において、被コーティング物の形や、剤型は特に限定されず、錠剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、硬カプセル、軟カプセル、粉末等の固体表面にコーティング膜を形成できる形状であればよい。錠剤は単層でも二層以上でもよい。この中でも、腸溶性をより発揮する点から、錠剤とすることが好ましい。錠剤の寸法は特に限定されず、錠剤の取り扱いやすさと嚥下性の観点から、錠剤の径として5~14mmφが好ましく、7~12mmφがより好ましい。また、1錠あたりの錠剤質量としては150~700mg程度が適切である。
また、被コーティング物としては特に限定されず、食品、医薬品等の有効成分等が挙げられる。例えば、乳酸菌、システイン、鉄、抗体やラクトフェリン等のタンパク質、ペプチド、ATP-2Na等が挙げられ、これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。中でも、タンパク質等の高分子量成分や水不溶性の成分が好適である。
(2)コーティング膜
本発明において、コーティング膜とは、本発明に係るコーティング組成物を用いて得られるコーティング膜(以下、メインコーティング膜と表記することもある。)のみが形成されている場合は、当該メインコーティング膜を意味するが、当該メインコーティング膜に加えて、後述するプレコーティング膜や上掛けコーティング膜が形成されている場合は、これらも含むコーティング膜全体を意味するものとする。
また、上記メインコーティング膜、プレコーティング膜及び上掛けコーティング膜は、それぞれについて一層としても二層以上としてもよい。例えば、メインコーティング膜においては、(A)アルギン酸塩と(B)二価陽イオンの比率が異なるコーティン溶液を用いてコーティングし、二層以上の層を有するものとしてもよい。なお、同一組成のコーティング溶液を用いて2回以上連続してコーティングを施した場合は、コーティング膜が複数層形成されていても、同一組成の層が連続する範囲を全体として一層と数えるものとする。
(2-1)メインコーティング膜
本発明のコーティング組成物から形成されたコーティング膜(メインコーティング膜)は、上記(A)成分を含有するが、後述するようにアルギン酸水溶液を直接乾燥させて水溶性の膜を形成させている。この水溶性の膜は、酸性下において、一価の陽イオンが水素イオンと置き換わり、アルギン酸へ変化して不溶性の膜を形成し、さらに中性~アルカリ性で溶解するという特性を有する。
本発明のコーティング組成物及びこのコーティング組成物から形成されるコーティング膜は、腸溶性、つまり「胃で溶けず腸で溶解し、被コーティング物を腸に到達させることができる。」という性質を有するものである。本発明の腸溶性を有するコーティング組成物を用いて被コーティング物をコーティングすることにより、被コーティング物と、上記コーティング組成物から形成された腸溶性コーティング膜を有する腸溶性コーティング製剤を容易に得ることができる。
本発明において「腸溶性」とは、機能性成分を腸まで届ける剤のことをいう。日本薬局法の溶出試験法の方法に準じて試験を行い、胃液相当の溶出試験液(pH1.2)にて、2時間で溶出率50%未満(好適には30%未満)、腸液相当の溶出試験液(pH6.8)で、2時間で溶出率70%以上をいう。
メインコーティング膜の厚さは、特に限定されないが、5μm~2.5mmが好ましく、10μm~2.0mmがより好ましく、50μm~1.5mmがさらに好ましい。コーティング膜の厚さを5μm以上とすることで、経時での十分な胃耐性を得ることができ、2.5mm以下とすることで、腸環境での溶出性が良好となる。被コーティング物の放出プロフィールは、コーティング膜の厚さを変化させることで調節することができる。
本発明のコーティング組成物により被コーティング物にコーティングが施されていること、及びコーティング膜の厚さは、科学・工業分野において通常使用される方法および機器を使用して確認することができる。
その方法としては、例えば、下記(i)及び(ii)の方法が例示されるが、これらの方法に限定されるものではない。
(i)コーティング製剤をカッターで切断した断面をデジタルマイクロスコープや走査型電子顕微鏡で観察してコーティング膜の厚みを複数箇所で測定し、それらの測定値の平均値を層厚とする。
(ii)コーティング製剤を近赤外/中赤外/遠赤外イメージングシステムやテラヘルツイメージングシステム、OCTイメージングシステム(光干渉断層計)を用い、各システムの測定方法に準じて非侵襲的に層厚分布を測定し、それらの測定値の平均値を層厚とする。
被コーティング物が、錠剤、硬カプセル又は軟カプセルである場合、メインコーティング膜の単位面積当たりの重量は、特に限定されないが、3.0~25mg/cm2が好ましく、5.0~20mg/cm2がより好ましい。メインコーティング膜の単位面積当たりの重量を3.0mg/cm2以上とすることで、経時での十分な胃耐性を得ることができ、25mg/cm2以下とすることで、腸環境での溶出性が良好となる。
また、錠剤、硬カプセル又は軟カプセルの場合はコーティング製剤に対して、メインコーティング膜を0.5~20質量%とすることが好ましく、1~15質量%がより好ましい。散剤、細粒剤、顆粒剤又は粉末の場合は10~60質量%とすることが好ましく、15~50質量%がより好ましい。なお、メインコーティング膜中の上記各成分の含有量(固形分)は、上記コーティング組成物と同じである。
(2-2)プレコーティング膜
本発明では、上記メインコーティング膜を形成する前に、被コーティング物に当該メインコーティング膜の下層となるプレコーティングを施してもよい。
プレコーティング組成物としては、特に限定されないが、上記(D)皮膜形成成分を含有する組成物を好適に使用することができる。プレコーティング組成物における(D)成分の含有量は、組成物中10~90質量%(固形分)が好ましく、20~80質量%(固形分)がより好ましい。
さらに、上記プレコーティング組成物は、(C)可塑剤を含有してもよい。
(C)成分を含有する場合、その含有量は、組成物中1~40質量%(固形分)が好ましい。
プレコーティング膜の厚さは、特に限定されないが、1~500μmが好ましく、10~300μmがより好ましい。プレコーティング膜の厚さを1μm以上とすることで、経時での十分な胃耐性を得ることができ、500μm以下とすることで、腸環境での溶出性が良好となる。
被コーティング物が、錠剤、硬カプセル又は軟カプセルの場合、プレコーティング膜の単位面積当たりの重量は、特に限定されないが、0.5~10mg/cm2が好ましく、1~5mg/cm2がより好ましい。プレコーティング膜の単位面積当たりの重量を0.5mg/cm2以上とすることで、経時での十分な胃耐性を得ることができ、10mg/cm2以下とすることで、腸環境での溶出性が良好となる。
また、錠剤、硬カプセル又は軟カプセルの場合はコーティング製剤に対して、プレコーティング膜を0.5~20質量%とすることが好ましく、1~12質量%がより好ましい。散剤、細粒剤、顆粒剤又は粉末の場合は10~60質量%とすることが好ましく、15~50質量%がより好ましい。
(2-3)上掛けコーティング膜
本発明では、上記コーティング組成物を用いてメインコーティング膜を形成した後、当該メインコーティング膜の上にさらに上掛けコーティングを施してもよい。
上掛けコーティング組成物としては、特に限定されないが、(C)成分、(D)成分、(E)成分を含有する組成物を用いることができる。また、任意成分として、カルバナロウ、ハクロウ、ミツロウ、セラック等を含有することができる。
上掛けコーティング膜の厚さ、単位面積当たりの重量、及びコーティング製剤に対する質量割合は、特に限定されないが、上記プレコーティング膜と同様の範囲とすることができる。コーティング製剤に上記上掛けコーティング膜を形成することで、亀裂やクラッキングの発生の防止、着色(主に(E)成分による)、臭気のマスキング、素錠に含まれる物質の酸化の抑制、光沢化剤による光沢の付与が可能となる。
(2-4)コーティング膜全体
コーティング膜全体における各成分の好適な含有量(含有割合)は以下のとおりである。なお、以下の含有量は、コーティング膜が、メインコーティング膜のみである場合は、メインコーティング膜における含有量を表し、プレコーティング膜及び上掛けコーティング膜のいずれか一方又は両方を含む場合は、メインコーティング膜とこれらのコーティング膜を含むコーティング膜全体における含有量を表すものとする。なお、好適な含有量以外の、各成分の好適な成分、物理化学的性質(1%水溶液粘度、分子量、微粒子径)は、コーティング組成物における各成分と同様である。また、下記(A)~(E)成分のほかに、含有可能な任意成分についても、コーティング組成物と同様である。
(A)アルギン酸塩の含有量は、コーティング膜全体の質量に対して5~85質量%が好ましく、10~80質量%がより好ましく、10~70質量%がより一層好ましく、10~60質量%の範囲がさらに好ましい。(A)成分の含有量を上記範囲内とすることで良好な腸溶性やコーティング性を得ることができる。
(A-1)アルギン酸塩を含有する場合は、含有量はコーティング膜全体の質量に対して5~85質量%が好ましく、10~60質量%がより好ましく、20~50質量%の範囲がさらに好ましい。(A-1)成分の含有量を上記下限以上とすることで、良好な腸溶性をより得ることができ、上記上限以下とすることで、コーティング膜の安定性が向上する。
(A-2)アルギン酸塩を含有する場合は、含有量はコーティング膜全体の質量に対して85質量%以下が好ましく、5~50質量%がより好ましく、10~40質量%の範囲がさらに好ましい。上記範囲内とすることで、腸溶性が向上し、かつコーティング膜の安定性がより向上する。
上記(A-1)アルギン酸塩と(A-2)アルギン酸塩の質量比(A-1):(A-2)((A-1)/(A-2))は、1:5~10:1(0.2~10)が好ましく、1:3~5:1(0.33~5)がより好ましく、1:1.8~3:1(0.56~3)がさらに好ましい。下限以上とすることで酸性下での皮膜性能がより高くなるため非溶出性が良好となり、上限以下とすることでコーティング膜の安定性がより良好となる。
(B)二価陽イオンの含有量は、コーティング膜全体の質量に対して0.005~0.10質量%が好ましく、0.01~0.08質量%がより好ましく、0.03~0.06質量%がさらに好ましい。(B)成分の含有量を上記範囲内とすることで、コーティング膜の安定性がより向上する。また、良好な腸溶性が得られる。
上記二価陽イオンの使用量は、科学・工業分野において通常使用される方法および機器を使用して確認することができる。その方法としては、誘導結合プラズマ発光分析、誘導結合プラズマ質量分析、電子線マイクロアナライザ、X線光電子分光、二次イオン質量分析法、イオンクロマト法、原子吸光光度法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(C)可塑剤の含有量は、コーティング膜全体の質量に対して0.1~70質量%が好ましく、2~50質量%がより好ましい。(C)成分の含有量を上記範囲内とすることで、コーティングの安定性がより向上する。また、良好な腸溶性が得られる。
(D)皮膜形成成分の含有量は、コーティング膜全体の質量に対して1~80質量%が好ましく、5~75質量%がより好ましい。(D)成分の含有量を上記範囲内とすることで、良好な腸溶性を得ることができる。
(E)微粒子の含有量は、コーティング膜全体の質量対して1~80質量%が好ましく、3~60質量%がより好ましく、5~40質量%がさらに好ましい。上記範囲内とすることで、上記(E)成分を含有する効果(コーティング製剤同士の付着によるコーティング膜のはがれの防止)をより得ることができ、上記範囲を超えて含有すると、成膜性に影響を与えるおそれがある。
なお、コーティング膜には、コーティング組成物に含まれている溶媒が残存することがあるが、本発明の効果を損なわない範囲であれば特に制限はない。本発明では、コーティング膜全体の質量に対して、通常30質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、含まないこと(0質量%)がより一層好ましい。
コーティング膜全体において、(C)/(A)で表される(A)成分に対する(C)成分の含有質量比は、0.001~3の範囲が好ましく、0.05~3がより好ましく、0.15~2が特に好ましい。含有質量比を上記範囲内とすることで、酸性下での皮膜性能がより高くなり、コーティング膜の安定性がより向上する。
また、(B)/(C)×100で表される(C)成分に対する(B)成分の含有質量比は、0.02~5が好ましく、0.04~1.6がより好ましく、0.06~1.6がさらに好ましい。上記含有質量比を下限以上とすることで酸性下での皮膜性能がより高くなるため非溶出性が良好となり、上限以下とすることでコーティング膜の安定性がより良好となる。
また、(A):(D)((A)/(D))で表される含有質量比は、1:10~20:1(0.1~20)が好ましく、1:5~20:1(0.2~20)がより好ましく、1:1~10:1(1~10)がさらに好ましい。含有質量比を上記範囲内とすることで、コーティング膜の安定性と外観の美しさを維持した上で、特に酸性下での皮膜性能がより高い腸溶性能に優れる錠剤を得ることができる。
プレコーティングを施す場合、プレコーティング膜のコーティング膜全体に対する割合は、特に限定されないが、コーティング膜全体の質量に対して、5~60質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましい。プレコーティング膜の上記割合を、上記範囲の下限以上とすることで、経時での十分な胃耐性を得ることができ、上限以下とすることで、腸環境での溶出性が良好となる。
上掛けコーティングを施す場合、上掛けコーティング膜のコーティング膜全体に対する割合は、特に限定されないが、コーティング膜全体の質量に対して、5~60質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましい。上掛けコーティング膜の上記割合を、上記範囲の下限以上とすることで、経時での十分な胃耐性を得ることができ、上限以下とすることで、腸環境での溶出性が良好となる。
コーティング膜全体の厚さは、特に限定されないが、5μm~2.5mmが好ましく、10μm~2.0mmがより好ましく、50μm~1.5mmがさらに好ましい。コーティング膜全体の厚さを5μm以上とすることで、経時での十分な胃耐性を得ることができ、2.5mm以下とすることで、腸環境での溶出性が良好となる。被コーティング物の放出プロフィールは、コーティング膜全体の厚さを変化させることで調節することができる。
被コーティング物が、錠剤、硬カプセル又は軟カプセルである場合、コーティング膜全体の単位面積当たりの重量は、特に限定されないが、3.0~25mg/cm2が好ましく、5.0~20mg/cm2がより好ましい。コーティング膜全体の単位面積当たりの重量を3.0mg/cm2以上とすることで、経時での十分な胃耐性を得ることができ、25mg/cm2以下とすることで、腸環境での溶出性が良好となる。
また、錠剤、硬カプセル又は軟カプセルの場合はコーティング製剤に対して、コーティング膜全体を0.5~20質量%とすることが好ましく、1~15質量%がより好ましい。散剤、細粒剤、顆粒剤又は粉末の場合は10~60質量%とすることが好ましく、15~50質量%がより好ましい。
なお、コーティング製剤を糖衣錠とする場合、上記と同様、メインコーティング膜には上記(A)成分、(B)成分、及び(C)成分のほか、(D)成分及び(E)成分も適宜含有することができる。(C)成分としては、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、ショ糖等の糖、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、エリスリトール、キシリトール等の糖アルコールが好ましく、(D)成分としては、ゼラチン、ペクチン、プルラン、アラビアガム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアルコールが好ましい。(E)成分としては、タルク、酸化チタンが好ましい。さらに、着色剤を含有することも可能である。さらに、(C)成分や(D)成分を含有するプレコーティング膜や、上掛けコーティング層を有することができる。糖衣錠とした場合の、コーティング膜全体の(A)~(E)成分の含有割合や含有比率は、上記と同じである。
(III)コーティング製剤の製造方法
コーティング組成物は上記必須成分を混合することにより得ることができ、コーティング製剤は、被コーティング物に、コーティング組成物そのまま、又は水を加えたコーティング溶液を噴霧し、乾燥することにより、被コーティング物の表面にコーティング膜を形成させることにより得ることができる。本発明のコーティング組成物は水性であるため、水を用いたコーティングが可能であり、コーティング膜が形成される。
メインコーティング膜のコーティング溶液(以下、メインコーティング溶液と称する場合がある)の調製方法は、最終的に被コーティング物の表面で各成分が混合された状態とすることができれば特に限定されない。
本発明では、あらかじめ(A)成分、(B)成分及び任意成分の全てを含有する溶液を調製する一液型であっても、各成分を複数の溶液に分けて調製する二液型又は多液型であってもよい。
一液型のメインコーティング溶液の例としては、コーティング組成物及び水を含むものであり、コーティング溶液の水分量は50~98質量%が好ましく、70~96質量%がより好ましい。また、本発明の効果を損なわない範囲で、エタノール等の有機溶媒を含有してもよい。
二液型及び多液型のメインコーティング溶液の例としては、以下のような方法が例示されるが、これらに限定されるものではない。
(i)(A)成分を含む溶液と、(B)成分を含む溶液をそれぞれ調製する方法
(ii)(A)成分及び任意成分を含む溶液と、(B)成分を含む溶液をそれぞれ調製する方法
(iii)(A)成分を含む溶液と、(B)成分及び任意成分を含む溶液をそれぞれ調製する方法
(iv)(A)成分及び任意成分を含む溶液と、(B)成分及び任意成分を含む溶液をそれぞれ調製する方法
(v)(A)成分及び(B)成分を含む溶液と、任意成分を含む溶液をそれぞれ調製する方法
(vi)(A)成分を含む溶液と、(B)成分を含む溶液と、任意成分を含む溶液をそれぞれ調製する方法
(vii)(A)成分及び(B)成分及び任意成分を含む溶液α1と、(A)成分及び(B)成分及び任意成分を含む溶液α2をそれぞれ調製する方法(溶液α1とα2は各成分の含有割合が異なる)
(viii)(A)成分及び(B)成分及び任意成分を含む溶液αと、(B)成分及び任意成分を含む溶液βをそれぞれ調製する方法
(ix)(A)成分及び(B)成分及び任意成分を含む溶液αと、(A)成分及び任意成分を含む溶液γをそれぞれ調製する方法
コーティング機は特に限定されず、パンコーティング機、流動層コーティング機、転動コーティング機、ドラフトチューブ付噴流層装置、噴霧乾燥造粒装置等を用いることができるが、通常、該技術分野で使用されるものであればよい。
コーティング方法は特に限定されないが、例えば、被コーティング物に、メインコーティング溶液を噴霧し、加温により乾燥させることにより、被コーティング物の表面にフィルム化させる方法が挙げられる。メインコーティング溶液は適宜加温することができ、温度は30~80℃が好ましく、乾燥温度は40~80℃が好ましい。メインコーティング溶液の添加速度は、乾燥風量1m3/minに対し、1~5g/minが好ましい。その他、メインコーティング溶液に、被コーティング物を浸漬して乾燥させるディップコートの方法をとることも可能である。乾燥はコーティング製剤中の水分量が0.1~20質量%になるまで乾燥させることが好ましい。
また、メインコーティング溶液が二液型又は多液型である場合、各溶液はコーティング機に送液される前に混合してもよく、コーティング機に送液した後、被コーティング物に塗布又は噴霧する直前に混合してもよい。
さらに、各溶液は、コーティング機において塗布又は噴霧する工程において混合することもできる。例えば、以下のような方法が例示されるが、これらに限定されるものではない。
(i)(A)成分を含んだコーティング溶液と、(B)成分を含んだコーティング溶液を同時に噴霧する方法
(ii)(B)成分を含んだコーティング溶液を被コーティング物に噴霧した後、(A)成分を含んだコーティング溶液を噴霧する方法
(iii)(A)成分を含んだコーティング溶液を被コーティング物に塗布した後、(B)成分を含んだコーティング溶液を噴霧する方法
(iv)(B)成分を含んだコーティング溶液を被コーティング物に噴霧した後、(A)成分及び(B)成分を含んだコーティング溶液を噴霧する方法
(v)(A)成分を含んだコーティング溶液を被コーティング物に噴霧した後、(A)成分及び(B)成分を含んだコーティング溶液を噴霧する方法
(vi)(A)成分及び(B)成分を含んだコーティング溶液を噴霧した後、前記コーティング溶液とは(A)成分及び(B)成分の含有比率が異なるコーティング溶液を噴霧する方法
これらの方法により、被コーティング物の表面で本発明のコーティング組成物、コーティング膜を調製することができる。
上記メインコーティングを施す前にプレコーティングを施す場合は、上記プレコーティング組成物そのまま、又は水を加えたコーティング溶液を噴霧し、乾燥することにより、被コーティング物の表面にプレコーティング膜を形成することができる。プレコーティング膜の形成方法は、上記メインコーティング膜を形成する場合と同様の装置及び方法を採用し得る。
また、上掛けコーティングを施す場合は、例えば、上記上掛けコーティング組成物そのまま、又は水を加えたコーティング溶液を噴霧し、乾燥することにより、被コーティング物の表面に上掛けコーティング膜を形成することができる。上掛けコーティング膜の形成方法は、上記メインコーティング膜を形成する場合と同様の装置及び方法を採用し得る。
コーティングは、被コーティング物の全面を覆う全コーティングとしても、一部を覆う部分コーティングとしてよい。例えば、2層錠の錠剤において片側の層のみをコーティング溶液中に浸漬することで、部分コーティング錠剤を得ることができる。
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示す。
[実施例1~34、比較例1~4]
以下の素錠を調製し、下記表1~11に示す組成のコーティング溶液を調製し下記方法で素錠をコーティングし、コーティング錠を調製した。なお、(B)成分の含有割合については、塩化カルシウム二水和物中のカルシウム含量を27.27質量%、乳酸カルシウム五水和物中のカルシウム含量を13.00質量%、塩化マグネシウム六水和物中のマグネシウム含量を11.96質量%として算出した。
[素錠]
下記原料を混合し、打錠機を用いて錠剤(300mg、φ9.0mm、厚み5.3mm)になるよう打錠を行った。
<素錠組成>
ラクトフェリン:1,156g
デキストリン:500g
結晶セルロース:649g
マルチトール:600g
カルボキシメチルセルロースカルシウム:60g
微粒二酸化ケイ素:30g
ステアリン酸カルシウム:5g
[コーティング溶液の調製]
(1)プレコーティング溶液の調製
表1~10に記載の組成に従って全成分を混合攪拌し、均一溶解させてプレコーティング溶液を得た。なお、表中の右欄は固形分(%)を示す(以下、同様)。
(2)メインコーティング溶液の調製
表1~10に記載のコーティング溶液組成に従って(A)成分と(B)成分を一部の水に分散し、均一溶解させて液Aを調製した。次いで、他の成分を残りの水に分散して液Bを調製し、これを上記液Aに加え、さらに混合攪拌してメインコーティング溶液を得た。
[コーティング]
(1)プレコーティング
コーティング機(フロイント産業(株)製 ハイコーターFZ-Lab)を用い、素錠200gに対し、プレコーティング溶液(25℃)45gを平均4g/minで噴霧し、品温約50℃でプレコーティングを施した。噴霧後約45℃で2min間乾燥させ、コーティング製剤(錠剤)を得た。プレコーティング膜の厚さは10~30μm、プレコーティング膜の単位面積当たりの重量は1.0~2.0mg/cm2の範囲内であった。なお、実施例32はプレコーティング膜を形成せず、後述のメインコーティングのみを行った。
(2)メインコーティング
コーティング機(フロイント産業(株)製 ハイコーターFZ-Lab)を用い、素錠200gに対し、メインコーティング溶液(60℃)200gを平均4g/minで噴霧し、品温約50℃でメインコーティングを施した。噴霧後約45℃で2min間乾燥させ、コーティング製剤(錠剤)を得た。メインコーティング膜の厚さは50~200μm、メインコーティング膜の単位面積当たりの重量は5~20mg/cm2の範囲内であった。また、プレコーティング膜及びメインコーティング膜を含むコーティング膜全体の膜の厚さは、80~230μm、プレコーティング膜及びメインコーティング膜を含むコーティング膜全体の膜の単位面積当たりの重量は7~21mg/cm2の範囲内であり、コーティング製剤中の水分量は2~7質量%であった。
[実施例35~37]
実施例1と同様に素錠を調製し、表11示す組成の二液型のコーティング溶液を調製し、下記方法で素錠をコーティングし、コーティング錠を調製した。
[二液型コーティング溶液の調製]
(1)メインコーティング溶液Iの調製
表11に記載の組成に従って(B)成分を一部の水に分散し、均一溶解させて液Aを調製した。次いで、他の成分を残りの水に分散して液Bを調製し、これを上記液Aに加え、さらに混合攪拌してメインコーティング溶液Iを得た。
(2)メインコーティング溶液IIの調製
表11に記載の組成に従って(A)成分を一部の水に分散し、均一溶解させて液Aを調製した。次いで、他の成分を残りの水に分散して液Bを調製し、これを上記液Aに加え、さらに混合攪拌してメインコーティング溶液IIを得た。
[実施例38]
実施例1と同様に素錠を調製し、表11示す組成の二液型のコーティング溶液を調製し下記方法で素錠をコーティングし、コーティング錠を調製した。
[二液型コーティング溶液の調製]
(1)メインコーティング溶液Iの調製
表11に記載の組成に従って(B)成分を一部の水に分散し、均一溶解させて液Aを調製した。次いで、他の成分を残りの水に分散して液Bを調製し、これを上記液Aに加え、さらに混合攪拌してメインコーティング溶液Iを得た。
(2)メインコーティング溶液IIの調製
表11に記載の組成に従って(A)成分と(B)成分を一部の水に分散し、均一溶解させて液Aを調製した。次いで、他の成分を残りの水に分散して液Bを調製し、これを上記液Aに加え、さらに混合攪拌してメインコーティング溶液IIを得た。
[コーティング]
(1)コーティングI層(メインコーティング第1層)
コーティング機(フロイント産業(株)製 ハイコーターFZ-Lab)を用い、素錠200gに対し、メインコーティング溶液I(25℃)45gを平均4g/minで噴霧し、品温約50℃でコーティングIを施した。噴霧後約45℃で2min間乾燥させた。コーティングIの膜の厚さは10~30μm、コーティングIの膜の単位面積当たりの重量は1.5~2mg/cm2の範囲内であった。
(2)コーティングII層(メインコーティング第2層)
コーティング機(フロイント産業(株)製 ハイコーターFZ-Lab)を用い、素錠200gに対し、メインコーティング溶液II(60℃)200gを平均4g/minで噴霧し、品温約50℃でコーティングIIを施した。噴霧後約45℃で2min間乾燥させ、コーティング製剤(錠剤)を得た。コーティングIIの膜の厚さは50~200μm、コーティングIIの膜の単位面積当たりの重量は6.5~9mg/cm2の範囲内であった。また、コーティングI及びIIを含むコーティング膜全体の膜の厚さは、80~230μm、コーティングI及びIIを含むコーティング膜全体の膜の単位面積当たりの重量は8~11mg/cm2の範囲内であり、コーティング製剤中の水分量は2~7質量%であった。

なお、本発明の実施例におけるコーティング製剤中の水分量は、以下の方法により測定した。
[コーティング製剤中の水分量測定]
コーティング製剤を乳鉢または粉砕機で粉砕し、粉砕した試料約5gを加熱式水分計の秤量皿に乗せ、105℃20分間加熱した後の水分値を記録する。
水分量(%)=(粉砕後乾燥前の試料量-加熱後の試料量)/粉砕後乾燥前の試料量 × 100
[酸性pH非溶出性試験]
日局1液(pH1.2)を用い、日局一般試験法に準拠し、パドル法(回転数50rpm)による溶出試験を行い、2時間30分後に採取した溶出試験液中のラクトフェリン量を下記手順に従って定量した。試験は6錠の錠剤について行い、その平均値を算出した。
◎:2時間30分で溶出性1%未満
○:2時間30分で溶出性1%以上10%未満
△:2時間30分で溶出性10%以上30%未満
×:2時間30分で溶出性30%以上
[中性~アルカリpH溶出性試験]
日局2液(pH6.8)を用い、日局一般試験法に準拠し、パドル法(回転数50rpm)による溶出試験を行い、2時間後に採取した溶出試験液中のラクトフェリン量を下記手順に従って定量した。試験は6錠の錠剤について行い、その平均値を算出した。
◎:2時間で溶出性90%以上
○:2時間で溶出性70%以上90%未満
△:2時間で溶出性50%以上70%未満
×:2時間で溶出性50%未満
なお、上記[酸性pH非溶出性試験]で「△」、「○」又は「◎」、かつ上記[中性~アルカリpH溶出性試験]で「△」、「○」又は「◎」の場合を合格とした。
[ラクトフェリン定量]
ラクトフェリンの定量法は第9版食品添加物公定書案の方法に準拠した。
<定量>
上記溶出試験の2時間後のサンプリング溶液を試料溶液とした。試料溶液及び3濃度の標準溶液をそれぞれ20μLずつ量り、次の操作条件で液体クロマトグラフィーを行った。それぞれの標準液のラクトフェリンピーク面積を測定し、検量線を作成した。この検量線と試料溶液のラクトフェリン面積から試料溶液中のラクトフェリン濃度を求め、次式によりラクトフェリン100mg/錠に対するラクトフェリン溶出率を求める。
ラクトフェリン溶出率(%)=試料溶液中のラクトフェリン濃度(mg/mL)×900(mL)×定量用ラクトフェリンの純度(%)×1/100×1/100(mg)×100
クロマトグラフィー条件
検出器:紫外吸光光度計(測定波長:280nm)
カラム充填剤:5μmの液体クロマトグラフィー用ブチル化ポリビニルアルコールポリマーゲル(Shodex Asahipak C4P-50 4D)
カラム管:内径4.6mm、長さ15cmのステンレス管
ガードカラム:Shodex Asahipak C4P-50G 4A
カラム温度:35℃
移動相A
0.03w/v%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル/塩化ナトリウム溶液(3→100)混液(10:90)
移動相B
0.03w/v%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル/塩化ナトリウム溶液(3→100)混液(50:50)
濃度勾配 A:B(50:50)から(0:100)までの直線濃度勾配を25分間行った。
流量:0.8mL/分
定量用ラクトフェリン:和光純薬工業(株)製 生化学用「ラクトフェリン、牛乳由来」
定量用ラクトフェリンの純度(%):和光純薬工業(株)検査成績書の含量(HPLC)の数値を使用
[コーティング性]
下記評価基準に基づき、コーティング性を評価した。
◎:均一にコーティングがなされ、欠け、はがれが見られず、コーティング表面にツヤがある。
○:均一にコーティングがなされ、欠け、はがれがほとんど見られないが、ややコーティング表面に荒れがある。
△:一部の錠剤にコーティングの欠けが見られる。
[保存安定性試験]
以下の条件で錠剤を充填し、50℃、RH75%で2ヶ月間保存した。
包材:ボトル
錠剤数:60錠
乾燥材:1個
保存後の錠剤について、上記と同様の手順で酸性pH非溶出性試験を行い、その溶出性を評価した。
Figure 0007111104000001
Figure 0007111104000002
Figure 0007111104000003
Figure 0007111104000004
Figure 0007111104000005
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Figure 0007111104000008
Figure 0007111104000009
Figure 0007111104000010
Figure 0007111104000011
実施例及び比較例を調製する際に用いた原料を以下に示す。
Figure 0007111104000012
Figure 0007111104000013

Claims (11)

  1. (A)一価のアルギン酸塩(B)二価陽イオン及び(C)可塑剤を含み、(A)成分の1質量%水溶液の20℃での粘度が400mPa・s以下であり、(B)成分がマグネシウムイオン及びカルシウムイオンから選ばれる1種以上であり、(B)/(A)×100で表される(A)成分に対する(B)成分の含有質量比が0.015~0.25であることを特徴とするコーティング組成物。
  2. (B)成分の含有量が、コーティング組成物に対して0.005~0.10質量%(固形分)である請求項1記載のコーティング組成物。
  3. C)可塑剤が、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、ショ糖、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ヘキサデシルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール及び炭素数6~12の中鎖脂肪酸エステルから選ばれる1種以上である請求項1又は2記載のコーティング組成物。
  4. (B)/(C)×100で表される(C)成分に対する(B)成分の含有質量比が0.02~5である請求項1~3のいずれか1項記載のコーティング組成物。
  5. さらに、(D)皮膜形成成分を含有する請求項1~4のいずれか1項記載コーティング組成物。
  6. 被コーティング物と、請求項1~5のいずれか1項記載のコーティング組成物から形成されたコーティング膜とを有するコーティング製剤。
  7. 被コーティング物に、請求項1~5のいずれか1項記載のコーティング組成物及び水を含むコーティング溶液を噴霧し、乾燥することにより、被コーティング物の表面にコーティング膜を形成する工程を含む、コーティング製剤の製造方法。
  8. 被コーティング物の表面に形成されるコーティング膜であって、(A)一価のアルギン酸塩(B)二価陽イオン及び(C)可塑剤を含み、(A)成分の1質量%水溶液の20℃での粘度が400mPa・s以下であり、(B)成分がマグネシウムイオン及びカルシウムイオンから選ばれる1種以上であり、(B)/(A)×100で表される(A)成分に対する(B)成分の含有質量比が0.015~0.25であることを特徴とするコーティング膜。
  9. C)可塑剤が、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、モノグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブドウ糖、果糖ブドウ糖液糖、ショ糖、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、エリスリトール、キシリトール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、ヘキサデシルアルコール、イソステアリルアルコール、2-オクチルドデカノール及び炭素数6~12の中鎖脂肪酸エステルから選ばれる1種以上である請求項8記載のコーティング膜。
  10. (B)/(C)×100で表される(C)成分に対する(B)成分の含有質量比が0.02~5である請求項8又は9記載のコーティング膜。
  11. さらに、(D)皮膜形成成分を含有する請求項8~10のいずれか1項記載のコーティング膜。
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