以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。図中、同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
図1は、この実施の形態に係る電動車両の構成を示す図である。図1を参照して、車両50は、インレット110と、充放電器120と、電池パック130と、走行駆動部140と、電子制御ユニット(以下、「ECU(Electronic Control Unit)」と表記する)150と、入力装置160と、報知装置170と、通信機器180と、駆動輪Wとを備える。電池パック130は、電池モジュール(以下、「電池MD」と表記する)131と、センサモジュール(以下、「センサMD」と表記する)132と、ヒータ133とを含む。
図2は、充放電器120及び電池パック130の詳細構成を示す図である。図2を参照して、電池MD131は、走行用の電力を蓄電するメイン電池131aと、車両50に搭載された補機類に電力を供給するサブ電池131bと、DC/DCコンバータ131cとを含む。メイン電池131aは、たとえばリチウムイオン電池又はニッケル水素電池のような二次電池である。メイン電池131aは、組電池であってもよい。サブ電池131bは、たとえば鉛蓄電池又はニッケル水素電池のような二次電池である。サブ電池131bの容量は、メイン電池131aの容量よりも小さい。DC/DCコンバータ131cは、メイン電池131aから供給される電力をサブ電池131bの充電に適した直流電力に変換(たとえば、降圧)してサブ電池131bへ出力するように構成される。DC/DCコンバータ131cは、ECU150(図1)によって制御される。
図2には示していないが、センサMD132(図1)は、メイン電池131a及びサブ電池131bの各々の状態を監視するように構成される。センサMD132は、メイン電池131a及びサブ電池131bの各々の状態(たとえば、温度、電流、電圧)を検出する各種センサを含み、検出結果をECU150(図1)へ出力する。ECU150は、センサMD132の出力(すなわち、各種センサの検出値)に基づいてメイン電池131a及びサブ電池131bの各々の状態(たとえば、温度、電流、電圧、SOC、及び内部抵抗)を取得することができる。
ヒータ133は、電気を用いてメイン電池131aを加熱するように構成される。電池パック130は、リレーRY11及びRY12をさらに含む。リレーRY11は、充放電器120からヒータ133までの電力経路の接続/遮断を切り替えるように構成される。リレーRY12は、サブ電池131bからヒータ133までの電力経路の接続/遮断を切り替えるように構成される。リレーRY11が閉状態(接続状態)になっているときに、ヒータ133は、車両外部から供給される電力(すなわち、外部電力)を用いてメイン電池131aを加熱することができる。リレーRY12が閉状態(接続状態)になっているときに、ヒータ133は、サブ電池131bから供給される電力(すなわち、電池電力)を用いてメイン電池131aを加熱することができる。リレーRY11、リレーRY12、及びヒータ133の各々は、ECU150(図1)によって制御される。ECU150は、ヒータ133を駆動するときにリレーRY11及びRY12のいずれか一方を閉状態(接続状態)にする。ヒータ133が停止状態(OFF)のときには、リレーRY11及びRY12の両方が開状態(遮断状態)になっている。この実施の形態に係るヒータ133は、本開示に係る「電気ヒータ」の一例に相当する。
充放電器120は、インレット110とメイン電池131aとの間に位置する。充放電器120は、リレー121と、電力変換回路122とを含む。リレー121は、インレット110からメイン電池131aまでの電力経路の接続/遮断を切り替えるように構成される。電力変換回路122としては、たとえば双方向コンバータを採用できる。リレー121及び電力変換回路122の各々は、ECU150(図1)によって制御される。
なお、充放電器120の構成は上記に限られず適宜変更可能である。充放電器120は、たとえば整流回路、力率改善(Power Factor Correction)回路、絶縁回路(たとえば、絶縁トランス)、インバータ、及びフィルタ回路の少なくとも1つを含んでもよい。
図1及び図2を参照して、車両50は、EVSE40(車両用給電設備)の給電方式に対応するインレット110及び充放電器120を備える。車両50は、EVSE40から電力の供給を受けてメイン電池131aの充電を行なうことができる。なお、図1には、インレット110及び充放電器120のみを図示しているが、車両50は、複数種の給電方式(たとえば、AC方式及びDC方式)に対応できるように、給電方式ごとの複数の充電インレット及び充放電器を備えてもよい。
EVSE40は、電源41(すなわち、車両外部の電源)を含む。EVSE40には、充電ケーブル42が接続される。充電ケーブル42は、常にEVSE40に接続されていてもよいし、EVSE40に対して着脱可能であってもよい。EVSE40は、コンセントタイプの充電設備であってもよい。充電ケーブル42は、先端にコネクタ43を有し、内部に電力線を含む。インレット110は、車両50の外部から供給される電力を受電するように構成される。インレット110には、充電ケーブル42のコネクタ43を接続することができる。EVSE40につながれた充電ケーブル42のコネクタ43が車両50のインレット110に接続されることで、EVSE40と車両50とが電気的に接続される。これにより、EVSE40から充電ケーブル42を通じて車両50に電力を供給することが可能になる。
車両50外部のEVSE40とインレット110とが充電ケーブル42を介して接続されることにより、EVSE40と車両50との間で電力の授受を行なうことが可能になる。たとえば、車両50の外部から電力の供給を受けて車両50のメイン電池131aを充電すること(すなわち、外部充電)が可能になる。外部充電のための電力は、たとえばEVSE40から充電ケーブル42を通じてインレット110に供給される。充放電器120の電力変換回路122は、インレット110が受電した電力をメイン電池131aの充電に適した電力に変換し、変換された電力をメイン電池131aへ出力するように構成される。また、EVSE40とインレット110とが充電ケーブル42を介して接続されることにより、車両50から充電ケーブル42を通じてEVSE40に給電(ひいては、メイン電池131aの放電)を行なうことが可能になる。車両50外部への給電(すなわち、外部給電)のための電力は、メイン電池131aから充放電器120に供給される。充放電器120の電力変換回路122は、メイン電池131aから供給される電力を外部給電に適した電力に変換(たとえば、DC/AC変換)し、変換された電力(たとえば、交流電力)をインレット110へ出力するように構成される。外部充電及び外部給電のいずれかを実行するときには充放電器120のリレー121が閉状態(接続状態)にされ、外部充電及び外部給電のいずれも実行しないときには充放電器120のリレー121が開状態(遮断状態)にされる。
走行駆動部140は、図示しないPCU(Power Control Unit)とMG(Motor Generator)とを含み、メイン電池131aに蓄えられた電力を用いて車両50を走行させるように構成される。PCUは、たとえば、プロセッサを含んで構成される制御装置と、インバータと、コンバータと、リレー(以下、「SMR(System Main Relay)」と称する)と(いずれも図示せず)を含んで構成される。PCUの制御装置は、ECU150からの指示(制御信号)を受信し、その指示に従ってPCUのインバータ、コンバータ、及びSMRを制御するように構成される。MGは、たとえば三相交流モータジェネレータである。MGは、PCUによって駆動され、駆動輪Wを回転させるように構成される。また、MGは、回生発電を行ない、発電した電力をメイン電池131aに供給するように構成される。SMRは、メイン電池131aからPCUまでの電力経路の接続/遮断を切り替えるように構成される。SMRは、車両50の走行時に閉状態(接続状態)にされる。なお、車両50の駆動方式は、図1に示される前輪駆動に限られず、後輪駆動又は4輪駆動であってもよい。
車両50は、メイン電池131aに蓄えられた電力のみを用いて走行可能な電気自動車(EV)であってもよいし、メイン電池131aに蓄えられた電力とエンジン(図示せず)の出力との両方を用いて走行可能なプラグインハイブリッド車(PHV)であってもよい。この実施の形態に係る車両50、メイン電池131a、サブ電池131bは、それぞれ本開示に係る「電動車両」、「電池(対象電池)」、「他の電池」の一例に相当する。
図1を参照して、ECU150は、プロセッサ151、RAM(Random Access Memory)152、記憶装置153、及びタイマ154を含んで構成される。プロセッサ151としては、たとえばCPU(Central Processing Unit)を採用できる。RAM152は、プロセッサ151によって処理されるデータを一時的に記憶する作業用メモリとして機能する。記憶装置153は、格納された情報を保存可能に構成される。記憶装置153は、たとえばROM(Read Only Memory)及び書き換え可能な不揮発性メモリを含む。記憶装置153には、プログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、及び各種パラメータ)が記憶されている。この実施の形態では、記憶装置153に記憶されているプログラムをプロセッサ151が実行することで、ECU150における各種制御が実行される。ただし、ECU150における各種制御は、ソフトウェアによる実行に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で実行することも可能である。なお、ECU150が備えるプロセッサの数は任意であり、所定の制御ごとにプロセッサが用意されてもよい。
タイマ154は、設定時刻の到来をプロセッサ151に知らせるように構成される。タイマ154に設定された時刻になると、タイマ154からプロセッサ151へその旨を知らせる信号が送信される。この実施の形態では、タイマ154としてタイマ回路を採用する。ただし、タイマ154は、ハードウェア(タイマ回路)ではなく、ソフトウェアによって実現してもよい。
ECU150は、メイン電池131aの充電制御及び放電制御を実行するように構成される。ECU150は、メイン電池131aに入力される電力を所定の第1閾値(以下、「Win」と表記する)以下に制限するように構成される。ECU150は、充放電器120及び走行駆動部140を制御することにより、Winを超える電力がメイン電池131aに入力されないようにする。また、ECU150は、メイン電池131aから出力される電力を所定の第2閾値(以下、「Wout」と表記する)以下に制限するように構成される。ECU150は、充放電器120及び走行駆動部140を制御することにより、Woutを超える電力がメイン電池131aから出力されないようにする。Win及びWoutは、たとえばメイン電池131aを保護する目的で設定される。Winはメイン電池131aに入力可能な電力(すなわち、入力電力の最大値)を示し、Woutはメイン電池131aから出力可能な電力(すなわち、出力電力の最大値)を示す。
ECU150はWoutを可変設定するように構成される。少なくともメイン電池131aの温度を含む1以上のパラメータとWoutとの関係を示す情報(以下、「Woutマップ」と称する)が、記憶装置153に記憶されている。ECU150は、Woutマップに基づいてWoutを設定するように構成される。Woutはメイン電池131aの温度に応じて変化する。この実施の形態では、メイン電池131aの常用域(たとえば、後述する第1温度を含む温度範囲)においてメイン電池131aの温度が低くなるほどWoutが小さくなる関係が、Woutマップによって示される。Woutマップにおけるメイン電池131aの温度以外のパラメータの例としては、メイン電池131aのSOCが挙げられる。なお、ECU150は、Woutと同様の手法によってWinを可変設定するように構成されてもよい。
ECU150は、サブ電池131bの充電制御及び放電制御を実行するように構成される。ECU150は、サブ電池131bについても、上記と同様の手法によって入出力電力を制限するように構成されてもよい。
入力装置160は、ユーザからの入力を受け付ける装置である。入力装置160は、ユーザによって操作され、ユーザの操作に対応する信号をECU150へ出力する。通信方式は有線でも無線でもよい。入力装置160の例としては、各種スイッチ、各種ポインティングデバイス、キーボード、タッチパネルが挙げられる。入力装置160は、カーナビゲーションシステムの操作部であってもよい。
報知装置170は、ECU150から要求があったときに、ユーザ(たとえば、車両50の乗員)へ所定の報知処理を行なうように構成される。報知装置170は、表示装置(たとえば、タッチパネルディスプレイ)、スピーカ(たとえば、スマートスピーカ)、及びランプ(たとえば、MIL(故障警告灯))の少なくとも1つを含んでもよい。報知装置170は、メータパネル、ヘッドアップディスプレイ、又はカーナビゲーションシステムであってもよい。
通信機器180は、各種通信I/F(インターフェース)を含んで構成される。ECU150は、通信機器180を通じて車両50外部の通信装置と無線通信を行なうように構成される。
この実施の形態に係るVGI(Vehicle Grid Integration)システムでは、VPP(仮想発電所)を実現するためのDSRとして、電池を備える電動車両(たとえば、上述した車両50)を採用する。
図3は、この実施の形態に係る電動車両を含む電力システムの構成を示す図である。図3に示されるVGIシステム1は、電力システムの一例に相当する。図3には、車両、EVSE、及びアグリゲータサーバの各々を1つずつしか示していないが、VGIシステム1は、車両、EVSE、及びアグリゲータサーバの各々を複数含む。VGIシステム1に含まれる車両、EVSE、及びアグリゲータサーバの数は、各々独立して任意であり、10個以上であってもよいし、100個以上であってもよい。VGIシステム1に含まれる各車両は、個人が所有する車両(POV)であってもよいし、MaaS(Mobility as a Service)事業者が管理する車両(MaaS車両)であってもよい。図3には1つの携帯端末のみを図示しているが、携帯端末は、車両のユーザごとに携帯されている。図3には、家庭用のEVSEを例示するが、VGIシステム1は公共のEVSEを含んでもよい。
図3を参照して、VGIシステム1は、送配電事業者サーバ10(以下、単に「サーバ10」とも称する)と、スマートメータ11と、アグリゲータサーバ30(以下、単に「サーバ30」とも称する)と、EVSE40と、車両50(図1参照)と、HEMS-GW(Home Energy Management System-GateWay)60と、データセンタ70と、携帯端末80と、電力系統PGとを含む。この実施の形態では、携帯端末80として、タッチパネルディスプレイを具備するスマートフォンを採用する。ただしこれに限られず、携帯端末80としては、任意の携帯端末を採用可能であり、たとえばタブレット端末、携帯型ゲーム機、及びスマートウォッチのようなウェアラブルデバイスも採用可能である。
サーバ10は、送配電事業者に帰属するサーバである。この実施の形態では、電力会社が発電事業者及び送配電事業者を兼ねる。電力会社は、図示しない発電所及び送配電設備によって電力系統PG(電力網)を構築するとともに、サーバ10、スマートメータ11、EVSE40、HEMS-GW60、及び電力系統PGを保守及び管理する。この実施の形態では、電力会社が、電力系統PGを運用する系統運用者に相当する。電力会社は、たとえば電力を使用する需要家(たとえば、個人又は会社)と取引を行なうことにより利益を得ることができる。電力会社は、各需要家にスマートメータを提供する。たとえば、車両50のユーザには、スマートメータ11が提供されている。各スマートメータを識別するための識別情報(以下、「メータID」とも称する)がスマートメータごとに付与されており、サーバ10は、各スマートメータの計測値をメータIDで区別して管理している。電力会社は、各スマートメータの計測値に基づいて需要家ごとの電力使用量を把握することができる。
VGIシステム1においては、複数のアグリゲータを識別するための識別情報(ID)がアグリゲータごとに付与されている。サーバ10はアグリゲータごとの情報をアグリゲータのIDで区別して管理している。アグリゲータは、管轄内の需要家が制御した電力量を束ねることによってエネルギーマネジメントサービスを提供する。アグリゲータは、DR信号によって各需要家に電力平準化を要請することにより電力量を制御する。
サーバ30は、アグリゲータに帰属するサーバである。サーバ30は、プロセッサ及び記憶装置(図示せず)を含んで構成される。VGIシステム1においてアグリゲータ(ひいては、サーバ30)が管理するDSRは電動車両(たとえば、POV又はMaaS車両)である。需要家は、電動車両によって電力量を制御する。VGIシステム1に含まれる各電動車両を識別するための識別情報(以下、「車両ID」とも称する)が電動車両ごとに付与されている。サーバ30は電動車両ごとの情報を車両IDで区別して管理している。ただし、アグリゲータは、電動車両だけでなく、電動車両以外のリソース(たとえば、バイオマス)からも、電気の供給力(容量)を調達してもよい。アグリゲータは、たとえば電力会社と取引を行なうことにより利益を得ることができる。なお、アグリゲータは、送配電事業者(たとえば、電力会社)と連絡する上位アグリゲータと、需要家と連絡する下位アグリゲータとに分かれていてもよい。
データセンタ70は、たとえば情報を管理するサーバ(図示せず)を含んで構成される。データセンタ70は、登録された複数の携帯端末(携帯端末80を含む)の情報を管理するように構成される。携帯端末の情報には、端末自体の情報(たとえば、携帯端末の通信アドレス)に加えて、携帯端末を携帯するユーザに関する情報(たとえば、当該ユーザに帰属する電動車両の車両ID)も含まれる。携帯端末を識別するための識別情報(以下、「端末ID」とも称する)が携帯端末ごとに付与されており、データセンタ70は携帯端末ごとの情報を端末IDで区別して管理している。端末IDは、ユーザを識別する情報(ユーザID)としても機能する。
携帯端末80には所定のアプリケーションソフトウェア(以下、単に「アプリ」と称する)がインストールされており、携帯端末80は、そのアプリを通じてHEMS-GW60及びデータセンタ70の各々と情報のやり取りを行なうように構成される。携帯端末80は、たとえばインターネットを介してHEMS-GW60及びデータセンタ70の各々と無線通信するように構成される。ユーザは、携帯端末80を操作することによりユーザの状態及び予定を示す情報をデータセンタ70へ送信することができる。ユーザの状態を示す情報の例としては、ユーザがDRに対応可能な状況であるか否かを示す情報が挙げられる。ユーザの予定を示す情報の例としては、POVが自宅を出発する時刻、又はMaaS車両の運行計画が挙げられる。データセンタ70は、携帯端末80から受信した情報を端末IDごとに区別して保存するように構成される。
サーバ10とサーバ30とは、たとえばVPN(Virtual Private Network)を介して相互通信可能に構成される。サーバ30とデータセンタ70とは、たとえばインターネットを介して相互通信可能に構成される。サーバ30は、ユーザに関する情報をデータセンタ70から取得することができる。サーバ30及びデータセンタ70の各々とHEMS-GW60とは、たとえばインターネットを介して相互通信可能に構成される。この実施の形態では、サーバ30とEVSE40との間では通信が行なわれないが、サーバ30とEVSE40とは相互通信可能に構成されてもよい。
サーバ10は、DR(デマンドレスポンス)を利用して電力平準化を行なうように構成される。サーバ10が、電力平準化を行なうときには、まず、各アグリゲータサーバ(サーバ30を含む)に対してDRへの参加を要請する信号(以下、「DR参加要請」とも称する)を送信する。DR参加要請には、当該DRの対象となる地域、DRの種類(たとえば、下げDR又は上げDR)、及びDR期間が含まれる。サーバ30は、サーバ10からDR参加要請を受信したときに、DR可能量(すなわち、DRに従って調整可能な電力量)を求めてサーバ10へ送信するように構成される。サーバ30は、たとえば管轄内の各需要家のDR容量(すなわち、DR対応可能な容量)の合計に基づいてDR可能量を求めることができる。
サーバ10は、各アグリゲータサーバから受信したDR可能量に基づいてアグリゲータごとのDR量(すなわち、アグリゲータに依頼する電力調整量)を決定し、各アグリゲータサーバ(サーバ30を含む)にDR実行を指示する信号(以下、「DR実行指示」とも称する)を送信する。DR実行指示には、当該DRの対象となる地域、DRの種類(たとえば、下げDR又は上げDR)、アグリゲータに対するDR量、及びDR期間が含まれる。サーバ30は、DR実行指示を受信すると、管轄内の電動車両のうちDR対応可能な各電動車両に対してDR量の割当てを行ない、電動車両ごとのDR信号を作成するとともに各電動車両へDR信号を送信する。DR信号には、DRの種類(たとえば、下げDR又は上げDR)、電動車両に対するDR量、及びDR期間が含まれる。
ECU150は、車両外部から通信機器180を通じてDR信号を受信するように構成される。車両50のユーザは、ECU150が上記のDR信号を受信した場合に、EVSE40及び車両50を用いてDR信号に従う充電又は放電を行なうことによって電力平準化に貢献することができる。車両50のユーザと電気事業者(たとえば、電力会社又はアグリゲータ)との間の取り決めによって、車両50のユーザが電力平準化に貢献したときに貢献量に応じたインセンティブが電気事業者から車両50のユーザへ支払われてもよい。
図4は、VGIシステム1における電力供給量と電力需要量との関係の一例を示す図である。図4において、線L1は、太陽光発電によって供給される電力量(以下、「太陽光発電量」とも称する)を示す。線L2は、太陽光発電以外によって供給される電力量と太陽光発電量との総量(すなわち、全体の電力供給量)を示す。全体の電力供給量は、電力系統PGが供給可能な電力量に相当する。線L3は、電力需要量を示す。
図4を参照して、太陽光発電量は日射量に依存することから、全体の電力供給量は昼間において多くなる。全体の電力供給量(線L2)が電力需要量(線L3)を上回るときには、車両50のユーザは、電力系統PGから供給される電力を電池MD131(図1)に蓄電することで、電力平準化に貢献できる。全体の電力供給量(線L2)が電力需要量(線L3)を下回るときには、車両50のユーザは、電池MD131(図1)から放電して電力系統PGに電力を供給することで、電力平準化に貢献できる。
再び図3を参照して、車両50は、住宅(たとえば、ユーザの自宅)の駐車スペースに駐車した状態で、充電ケーブル42を介して屋外のEVSE40と電気的に接続されている。EVSE40は、ユーザ及びユーザの家族のみによって使用される非公共の充電設備である。EVSE40につながれた充電ケーブル42のコネクタ43が車両50のインレット110に接続されることで、車両50とEVSE40との間での通信が可能になるとともに、EVSE40が備える電源41から車両50(ひいては、メイン電池131a)へ電力を供給することが可能になる。電源41は、電力会社が提供する電力系統PGにスマートメータ11を介して接続されている。電源41は、電力系統PGから供給される電力を充電ケーブル42を介して車両50へ供給するように構成される。
HEMS-GW60は、エネルギーマネジメントに関する情報(たとえば、電力の使用状況を示す情報)をサーバ30、データセンタ70、及び携帯端末80の各々へ送信するように構成される。HEMS-GW60は、スマートメータ11から電力量の計測値を受信するように構成される。スマートメータ11とHEMS-GW60との通信方式は任意であり、920MHz帯小電力無線通信であってもよいし、PLC(Power Line Communication)であってもよい。HEMS-GW60とEVSE40とは、たとえばLAN(Local Area Network)を介して相互通信可能に構成される。LANは、有線LANであってもよいし、無線LANであってもよい。
車両50に搭載された通信機器180は、充電ケーブル42を介してEVSE40と通信するように構成される。EVSE40と車両50との通信方式は任意であり、たとえば、CAN(Controller Area Network)であってもよいし、PLCであってもよい。また、通信機器180は、たとえば移動体通信網(テレマティクス)を介してサーバ30と無線通信するように構成される。さらに、この実施の形態では、通信機器180と携帯端末80とが相互に無線通信するように構成される。通信機器180と携帯端末80との通信は、近距離通信(たとえば、車内及び車両周辺の範囲での直接通信)であってもよい。
スマートメータ11は、所定時間経過ごと(たとえば、30分経過ごと)に電力使用量を計測し、計測した電力使用量を記憶するとともにサーバ10及びHEMS-GW60の各々へ送信するように構成される。スマートメータ11とサーバ10との間の通信プロトコルとしては、たとえばIEC(DLMS/COSEM)を採用できる。また、サーバ10は、サーバ30へスマートメータ11の計測値を随時送信する。サーバ10は、定期的に送信してもよいし、サーバ30からの要求に応じて送信してもよい。
EVSE40は、スマートメータ11を介して電力系統PGに接続されている。スマートメータ11は、EVSE40から車両50に供給した電力量を計測するように構成される。EVSE40は、逆潮流に対応する充電設備(すなわち、充放電設備)であってもよい。スマートメータ11は、車両50からEVSE40に逆潮流された電力量を計測するように構成されてもよい。
車両50は、外部充電及び外部給電の両方を可能に構成されるメイン電池131a(図2)を備える。しかし、メイン電池131aは、低温状態で十分な出力性能を発揮しないことがある。そこで、この実施の形態におけるECU150は、外部給電を実行する前にメイン電池131aの昇温制御を行なってメイン電池131aの温度を所定温度以上にするように構成される。この実施の形態において、ECU150によって実行される昇温制御は、車両外部から供給される外部電力と、車載電池(たとえば、メイン電池131a又はサブ電池131b)に蓄えられた電池電力とのいずれかを選択し、選択された電力を用いて熱を発生させることによりメイン電池131aを昇温させる制御である。この実施の形態では、ECU150が、上記の昇温制御において、上記選択された電力をヒータ133(図2)に供給することによりヒータ133を駆動して、メイン電池131aを昇温させるための熱を発生させるように構成される。
下げDR信号によって車両50に外部給電が要請されているときには、エネルギーリソースが不足していると推察される。そこで、この実施の形態におけるECU150は、下げDR信号が要請する外部給電を実行する際にメイン電池131aの温度が所定の第1温度よりも低い場合には、その外部給電を実行する前に、電池電力(たとえば、図2に示すサブ電池131bに蓄えられた電力)を用いて上述の昇温制御を実行するように構成される。この実施の形態に係るECU150は、本開示に係る「制御装置」の一例に相当する。
図5は、この実施の形態に係る電動車両(車両50)の動作の一例を説明するための図である。図3とともに図5を参照して、車両50は、走行を終えると、ユーザの自宅に戻り、自宅の駐車スペースに駐車する。車両50が駐車状態であるときに、EVSE40につながれた充電ケーブル42のコネクタ43をユーザが車両50のインレット110に接続(プラグイン)することにより、車両50の充電準備が完了する。車両50は、この状態で待機する。待機状態の車両50は、外部給電時に車両50が出力可能な電力を示す情報(以下、「給電能力情報」とも称する)をサーバ30へ随時送信する。給電能力情報は、DR容量を示す情報の一例に相当する。車両50は、定期的に給電能力情報を送信してもよいし、サーバ30からの要求に応じて給電能力情報を送信してもよい。この実施の形態におけるECU150は、メイン電池131aの温度が第1温度よりも低いときに、メイン電池131aの温度が第1温度以上である状態においてメイン電池131aから出力可能な電力を示す情報を、上記給電能力情報としてサーバ30へ送信するように構成される。
この実施の形態に係る車両50では、メイン電池131aの温度が第1温度よりも低いときには、DR信号が要請する外部給電が実行される前にメイン電池131aの昇温制御が実行される。外部給電を実行するときにはメイン電池131aの温度が第1温度以上になっている。メイン電池131aの温度が第1温度よりも低いときに、そのときのメイン電池131aから出力可能な電力(すなわち、昇温前のメイン電池131aの出力性能)を示す情報をサーバ30(アグリゲータサーバ)へ送信すると、外部給電を実行するときのメイン電池131a(すなわち、昇温後のメイン電池131a)から出力可能な電力よりも小さい電力がアグリゲータに通知されることになる。アグリゲータは、DR参加を要請する電動車両を選ぶときに電動車両の電池の出力性能を考慮することがあり、電池の出力性能が高い電動車両ほどアグリゲータに選ばれる可能性が高くなる傾向がある。この点、上記のECU150によれば、昇温後のメイン電池131aの出力性能を示す情報をサーバ30へ送信することが可能になる。これにより、昇温前のメイン電池131aの出力性能を示す情報がサーバ30へ送信される場合よりも、車両50がアグリゲータに選ばれやすくなる。
待機状態の車両50は、外部充電及び外部給電の両方が可能な状態で駐車している(図3参照)。車両50が待機しているときに、DR信号が外部給電を要請する期間(すなわち、DR期間)内になると、ECU150が外部給電を実行する。ただし、メイン電池131aの温度が第1温度よりも低い場合には、ECU150は、外部給電を実行する前に電池電力を用いて前述の昇温制御を実行することによりメイン電池131aの温度を第1温度以上にする。そして、メイン電池131aの温度が第1温度以上になった後、ECU150がメイン電池131aの放電を行なうことにより外部給電を実行する。以下、外部給電を要請するDR信号を「対象DR信号」と称する。
DR開始タイミングは、DR信号に含まれるDR期間によって示される。DR期間は、DR開始タイミングとDR終了タイミングと示す。DR開始タイミングは、DR信号の送信時刻(すなわち、即時開始)であってもよい。対象DR信号に含まれるDR期間は、対象DR信号が外部給電を要請する期間(すなわち、外部給電の開始タイミング及び終了タイミング)を示す。対象DR信号には、外部給電の即時開始を要請する対象DR信号と、即時開始ではない外部給電の開始タイミングを指定する対象DR信号とがある。車両50が受信した対象DR信号が後者の対象DR信号であるときには、車両50は対象DR信号を受信してもすぐには外部給電を開始せず、対象DR信号が示す外部給電の開始タイミングになると、車両50が外部給電を開始する。
図6は、待機状態の車両50に対してDR信号が外部給電を要請する状況の一例を示す図である。図3とともに図6を参照して、車両50は、ヒータ133が停止状態(OFF)で待機する。このため、車両50が待機している期間においては、メイン電池131aの温度(電池温度)が低下する。電力系統PGの供給可能な電力量(系統予備電力量)が少なくなると、サーバ30から車両50へ対象DR信号(たとえば、DRの即時開始を要請する対象DR信号)が送信される。図6に示す例では、この対象DR信号を車両50が受信したときにメイン電池131aの温度が第1温度よりも低くなっている。このため、ECU150は、図2に示すリレーRY12を閉状態(接続状態)にしてサブ電池131bの電力(電池電力)をヒータ133(図2)に供給することによりヒータ133を駆動する。ヒータ133が作動状態(ON)になってから、しばらくすると、ヒータ133の熱がメイン電池131aに伝わってメイン電池131aの温度が上昇する。そして、ECU150は、メイン電池131aの温度が第1温度以上になってから、DR信号に従う外部給電を実行する。
図7は、ECU150によって実行される電池昇温及び外部給電に係る処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、車両50が外部充電及び外部給電の両方が可能な状態で駐車しているとき(たとえば、前述した待機状態になっているとき)に繰り返し実行される。
図1~図3とともに図7を参照して、ステップ(以下、単に「S」と表記する)11では、ECU150が、メイン電池131aの温度(以下、「BT」と表記する)を取得する。ECU150は、センサMD132に含まれる温度センサ(より特定的には、メイン電池131aの温度を検出する温度センサ)の出力に基づいてBTを取得することができる。
S12では、現在時刻がDR期間内か否かを、ECU150が判断する。DR期間は対象DR信号によって示される。たとえば、外部給電の即時開始を要請する対象DR信号を車両50が受信したときには、S12においてYESと判断され、処理がS13に進む。
S13では、メイン電池131aのSOC(以下、「メインSOC」とも称する)が所定SOC値以上か否かを、ECU150が判断する。ECU150は、センサMD132の出力に基づいてメインSOCを取得することができる。SOCの測定方法としては、たとえば、電流値積算(クーロンカウント)による手法、又は開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)とSOCとの関係からSOCを推定する手法など、種々の公知の手法を採用できる。
メインSOCが所定SOC値よりも低い場合(S13にてNO)には、S30においてECU150がサーバ30へDR不参加通知を送信した後、処理がS11に戻る。この場合、後述する外部給電(S18)は行なわれない。DR不参加通知は、車両50がDRに参加しない旨をサーバ30に伝える通知である。この実施の形態において、メインSOCが所定SOC値よりも低いことは、メイン電池131aの蓄電残量が外部給電を実行するために十分ではないことを意味する。この実施の形態におけるECU150は、メインSOCが所定SOC値よりも低い場合には、メイン電池131aの放電(ひいては、外部給電)を行なわないように構成される。これにより、メイン電池131aが過放電になること(ひいては、メイン電池131aの劣化が促進されること)が抑制される。
メインSOCが所定SOC値以上である場合(S13にてYES)には、ECU150が、S14において、S11で取得したBTが所定値(以下、「T11」と表記する)よりも低いか否かを判断する。この実施の形態において、BTがT11よりも低いことは、メイン電池131aから出力可能な電力が外部給電を実行するために十分ではないことを意味する。メイン電池131aの出力は前述のWoutによって制限される。メイン電池131aから出力可能な電力は、メイン電池131aの温度によって変化する。この実施の形態におけるT11は、本開示に係る「第1温度」の一例に相当する。
BTがT11よりも低い場合(S14にてYES)には、ECU150が、S15において、リレーRY12を閉状態(接続状態)とし、サブ電池131bの電力(電池電力)を用いてヒータ133を駆動することにより前述の昇温制御を実行する。BTがT11以上になるまでの期間(すなわち、S14においてYESと判断されている期間)においては、S15の昇温制御が継続的に実行される。そして、BTがT11以上になると(S14にてNO)、処理がS16に進む。
S16では、ECU150が、S11で取得したBTが所定値(以下、「T12」と表記する)よりも低いか否かを判断する。T12は、T11よりも高い温度である。BTがT12よりも低い場合(S16にてYES)には、S17を経て処理がS18に進み、BTがT12以上である場合(S16にてNO)には、S17を経ずに処理がS18に進む。S17では、前述したS15と同様に昇温制御が実行される。S18では、ECU150が、充放電器120を制御することにより、メイン電池131aの電力(電池電力)を用いて外部給電を実行する。S18において外部給電が実行されることは、車両50からEVSE40(ひいては、電力系統PG)へ逆潮流が行なわれることを意味する。S12及びS13のいずれかでNOと判断されるまで、S18の外部給電は継続的に実行される。BTがT12よりも低い場合(S16にてYES)には、外部給電とともに昇温制御(S17)が実行され、BTがT12以上になると(S16にてNO)、昇温制御(S17)は実行されなくなる。
この実施の形態では、昇温制御の実行/非実行を切り替える閾値(T11,T12)にヒステリシスを持たせている。昇温制御によってメイン電池131aの温度がT11以上になっても、すぐには昇温制御は停止しない。メイン電池131aの温度がT12に達するまでは昇温制御が継続される。これにより、外部給電の実行中にメイン電池131aの温度がT11よりも低くなることを抑制している。
現在時刻がDR期間内でない場合(S12にてNO)には、ECU150が、S20において、DR容量を示す情報(より特定的には、前述の給電能力情報)をサーバ30へ送信する。図8は、S20の処理の詳細を示すフローチャートである。
図8を参照して、S201では、ECU150が、図7のS11で取得したBTがT11よりも低いか否かを判断する。S201の処理は、図7のS14の処理と同じである。
BTがT11よりも低い場合(S201にてYES)には、ECU150が、S202において、メイン電池131aの温度がT11以上の所定値(以下、「T13」と表記する)である状態においてメイン電池131aから出力可能な電力(すなわち、昇温後のメイン電池131aから出力可能な電力)を示す情報を、上記給電能力情報としてサーバ30へ送信する。T13は、たとえばT11以上T12以下の値であり、たとえばT11であってもよい。ECU150は、たとえば前述のWoutマップを参照して、温度T13のメイン電池131aから出力可能な電力を取得することができる。他方、BTがT11以上である場合(S201にてNO)には、ECU150が、S203において、現在のメイン電池131a(すなわち、温度BTのメイン電池131a)から出力可能な電力を示す情報を、上記給電能力情報としてサーバ30へ送信する。ECU150は、たとえば前述のWoutマップを参照して、温度BTのメイン電池131aから出力可能な電力を取得することができる。
再び図7を参照して、S20の処理後、ECU150は、S21において、S11で取得したBTが所定値(以下、「T2」と表記する)よりも低いか否かを判断する。T2は、T11よりも低い温度である。この実施の形態では、メイン電池131aが凍結しない温度領域とメイン電池131aが凍結し得る温度領域との境界値を、T2に設定する。BTがT2よりも低いことは、メイン電池131aが凍結し得ることを意味する。この実施の形態におけるT2は、本開示に係る「第2温度」の一例に相当する。
BTがT2よりも低い場合(S21にてYES)には、S22を経て処理がS11に戻り、BTがT2以上である場合(S21にてNO)には、S22を経ずに処理がS11に戻る。S22では、ECU150が、図2に示すリレーRY11を閉状態(接続状態)にしてEVSE40からインレット110に入力される電力(すなわち、外部電力)をヒータ133に供給することによりヒータ133を駆動する。そして、ECU150は、外部電力を用いてヒータ133を駆動することにより前述の昇温制御を実行する。この実施の形態におけるECU150は、車両50が待機状態であるときに、DR信号が外部給電を要請しておらず、かつ、メイン電池131aの温度がT2よりも低い場合(S12にてNOかつS21にてYES)には、外部電力を用いて昇温制御(S22)を実行するように構成される。車両50が外部給電の要請を待っている期間において、メイン電池131aの温度がT2を下回ると、ECU150によって昇温制御が実行される。これにより、メイン電池131aの凍結が抑制される。また、電池電力ではなく外部電力を用いて昇温制御が行なわれるため、電池電力が不足することが抑制される。なお、図7のS21及びS22では、昇温制御の実行/非実行を切り替える閾値にヒステリシスを持たせていないが、これに限られず、ヒステリシスを持たせてもよい。
この実施の形態では、下げDR信号に従う外部給電を行なうための処理(すなわち、上記図7の処理)についてのみ言及しているが、図7の処理と並行して、上げDR信号に従う外部充電を行なうための処理(図示せず)が、ECU150によって実行されてもよい。
以上説明したように、この実施の形態に係る電動車両(車両50)が備えるECU150は、メイン電池131aの温度が低い場合(S14にてYES)には、DR信号が要請する外部給電を実行する前にメイン電池131aの昇温制御を実行する(S15)。これにより、DR信号が要請する外部給電を実行するとき(S18)に十分なメイン電池131aの出力性能を確保しやすくなる。また、昇温制御が、外部電力ではなく電池電力を用いて実行されることで、車両外部のエネルギーリソースを用いることなくメイン電池131aを昇温させることが可能になる。このように、車両50は、エネルギーマネジメントに適したメイン電池131aの昇温制御を行なうことができる。
ECU150は、対象DR信号(すなわち、外部給電を要請するDR信号)が示す外部給電の開始タイミングと、現在時刻と、メイン電池131aの温度とを用いて、昇温制御を実行するか否かと、昇温制御において外部電力と電池電力とのいずれを選択するかとを決定するように構成されてもよい。たとえば、ECU150は、前述の図7の処理に代えて、図9の処理を実行するように構成されてもよい。
図9は、図7に示した処理の変形例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、車両50が外部充電及び外部給電の両方が可能な状態で駐車していることと、車両50が参加可能な対象DR信号を受信したこととの両方を満たす場合に繰り返し実行される。
図1~図3とともに図9を参照して、S31では、メインSOCが所定SOC値以上か否かを、ECU150が判断する。S31の処理は、たとえば図7のS13の処理と同じである。
メインSOCが所定SOC値以上である場合(S31にてYES)には、ECU150が、S32において現在時刻を取得する。ECU150は、ECU150に内蔵されるリアルタイムクロック(RTC)回路(図示せず)を利用して現在時刻を取得してもよいし、通信によって車両外部から現在時刻を取得してもよい。
S33では、対象DR信号が示すDR開始タイミング(以下、「tdr」と表記する)をECU150が取得する。S34では、BT(すなわち、現在のメイン電池131aの温度)をECU150が取得する。そして、ECU150は、記憶装置153に記憶された制御マップを参照して、昇温制御を実行するか否かと、昇温制御において外部電力と電池電力とのいずれを選択するかとを決定する。
図10は、図9の処理において用いられる制御マップの一例を示す図である。図10において、縦軸はBTを表わす。横軸は、tdrと現在時刻との時間差(以下、「ΔT」と表記する)を表わす。ΔTは、現在時刻からtdr(すなわち、対象DR信号が示す外部給電の開始タイミング)に至るまでの時間(余裕時間)を意味する。BTは図9のS34で、tdrは図9のS33で、現在時刻は図9のS32で、ECU150に取得される。
図10を参照して、この制御マップは、BTが線L10よりも高い場合には、昇温制御を実行しないことを規定する。また、この制御マップは、BTが線L10以下である領域のうち、ΔTがΔTx以上である領域をR1領域とする。R1領域は、外部電力を用いて昇温制御を実行する条件を示している。また、この制御マップは、BTが線L10以下である領域のうち、ΔTがΔTx未満である領域をR2領域とする。R2領域は、電池電力を用いて昇温制御を実行する条件を示している。
再び図9を参照して、S35では、ECU150は、今回の処理ルーチンにおけるS32~S34で取得した現在時刻、tdr、及びBTを用いて、図10に示した制御マップのR1領域が示す条件が成立するか否かを判断する。R1領域が示す条件が成立する場合(S35にてYES)には、S371において、ECU150が外部電力を用いて昇温制御を実行する。その後、処理はS373に進む。S371の処理は、たとえば図7のS22の処理と同じである。R1領域が示す条件が成立しない場合(S35にてNO)には、ECU150は、今回の処理ルーチンにおけるS32~S34で取得した現在時刻、tdr、及びBTを用いて、図10に示した制御マップのR2領域が示す条件が成立するか否かを判断する(S36)。R2領域が示す条件が成立する場合(S36にてYES)には、S372において、ECU150が電池電力を用いて昇温制御を実行する。その後、処理はS373に進む。S372の処理は、たとえば図7のS15の処理と同じである。R2領域が示す条件が成立しない場合(S36にてNO)には、昇温制御が実行されることなく、処理がS373に進む。
S373では、ECU150が、S34で取得したBTがT11よりも低いか否かを判断する。S373の処理は、たとえば図7のS14の処理と同じである。BTがT11以上である場合(S373にてNO)には、処理がS38に進む。
S38では、現在時刻がDR期間内か否かを、ECU150が判断する。DR期間は対象DR信号によって示される。現在時刻がDR期間内である場合(S38にてYES)には、ECU150が、S39において、メイン電池131aの電力(電池電力)を用いて外部給電を実行する。その後、処理はS31に戻る。S39の処理は、たとえば図7のS18の処理と同じである。
メインSOCが所定SOC値未満である場合(S31にてNO)と、BTがT11よりも低い場合(S373にてYES)と、現在時刻がDR期間内でない場合(S38にてNO)との各々においては、外部給電が実行されることなく、処理がS31に戻る。ただし、S31においてNOと判断された場合には、S40においてECU150がサーバ30へDR不参加通知を送信する。S40の処理は、たとえば図7のS30の処理と同じである。
以上説明した図9の処理によっても、エネルギーマネジメントに適したメイン電池131aの昇温制御が行なわれる。
図11は、図5に示した電動車両の動作の第1変形例を示す図である。図11に示すように、メイン電池131aの昇温制御は、対象DR信号が示すDR開始タイミング(すなわち、外部給電の開始タイミング)よりも前(たとえば、直前)に実行されてもよい。
図12は、図5に示した電動車両の動作の第2変形例を示す図である。図12に示すように、プラグインによってメイン電池131aの外部充電が開始されてもよい。この外部充電によって、メイン電池131aのSOCを外部給電にとって十分な値まで高めてもよい。こうした外部充電が実行される電動車両では、外部給電を実行する際のSOC判断(たとえば、図7のS13又は図9のS31)を割愛することができる。
上記実施の形態では、ECU150が、メイン電池131aの昇温制御において、サブ電池131bの電力(電池電力)を用いてヒータ133を駆動している。しかしこれに限られず、ECU150は、メイン電池131aの電力(電池電力)を用いてヒータ133を駆動することによりメイン電池131aの昇温制御を実行してもよい。
メイン電池131aを昇温させる手法は、電気ヒータ(たとえば、ヒータ133)に限られない。たとえば、メイン電池131aの通電(たとえば、充電及び放電の繰り返し)によってメイン電池131aを昇温させてもよい。図2に示したDC/DCコンバータ131cは、双方向コンバータであってもよい。DC/DCコンバータ131cは、サブ電池131bから供給される電力をメイン電池131aの充電に適した直流電力に変換(たとえば、昇圧)してメイン電池131aへ出力するように構成されてもよい。ECU150は、DC/DCコンバータ131cを制御してメイン電池131aとサブ電池131bとの間で相互に電力の入出力を繰り返し行なうことによってメイン電池131aを昇温させてもよい。
電力システムの構成は、図3に示した構成に限られない。たとえば、電力システムは、スマートメータに代えて又は加えて、メータ機能を有する充電ケーブルによって、電力平準化に対する貢献量を計測するように構成されてもよい。電力会社は、事業別に分社化されていてもよい。電力システムに含まれる発電事業者と送配電事業者とが異なる会社であってもよい。上記実施の形態では、電力会社がアグリゲータにDRへの参加を要請しているが、電力市場がアグリゲータにDRへの参加を要請してもよい。アグリゲータは、電力市場での取引(たとえば、容量又は調整力の取引)を行なうことにより利益を得てもよい。
上記実施の形態では、平準化信号として、電気事業者(たとえば、電力会社又はアグリゲータ)が需要家に電力平準化を要請するDR信号を例示している。しかし、平準化信号は、こうしたDR信号に限定されず、たとえば、ある需要家(たとえば、個人又は法人)から別の需要家(たとえば、個人又は法人)に電力平準化を要請する信号であってもよい。また、平準化信号は、ユーザの自宅に設置された自家発電設備の発電量(又は、蓄電装置の蓄電残量)が少なくなったときに自宅の通信装置から電動車両(又は、ユーザが携帯する携帯端末)へ自動的に送信される信号(たとえば、自宅での外部給電を要請する信号)であってもよい。
電力システムに含まれる電動車両の構成は、図1及び図2に示した構成に限られない。たとえば、電力変換回路122は、電動車両ではなくEVSEに搭載されていてもよい。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。