JP7110708B2 - 1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法 - Google Patents

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本開示は、製造中間体として有用な1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法に関する。
1,1-ジ置換ヒドラジノベンゾチアゾール等の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物は、液晶化合物や色素等の各種工業原料や、医薬、農薬などの製造中間体として有用である。
従来、1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法としては、例えば特許文献1に、原料にヒドラジノベンゾチアゾールを用い、塩基として炭酸カリウム、炭酸セシウム、又はヘキサメチルジシラザンを用いた、1,1-ジ置換ヒドラジノベンゾチアゾール(1,1-ジ置換体)の合成例が記載されている。しかしながら、当該文献の製造方法により、ヒドラジノベンゾチアゾールに直接置換基を導入しようとすると、競争反応が進行し、1,2-ジ置換ヒドラジノベンゾチアゾール(1,2-ジ置換体)が副生するため、収率よく目的物を得ることができないという問題があった。当該文献に記載されている方法は、分液処理後にカラム精製により、副生成物である1,2-ジ置換体を除去する工程が必要であるため、工業的生産規模で目的物を製造することが困難であり、コスト面でも課題を有していた。
特許文献1の課題を解決することを目的とした製造方法として、特許文献2には、非プロトン性極性溶媒中、特定量の、アルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物から選択される塩基の存在下、ヒドラジノベンゾチアゾール等の特定のヒドラジノ化合物を、R-Halで表されるハロゲン化合物(Halは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~12の有機基)と反応させる方法が記載されている。また、特許文献3には、非プロトン性極性溶媒と芳香族炭化水素溶媒からなる混合溶媒中、特定量の、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ金属アルコキシドからなる群から選択される塩基の存在下、ヒドラジノベンゾチアゾール等の特定のヒドラジノ化合物を、R-Halで表されるハロゲン化合物(Halは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子を表し、Rは置換基を有していてもよい炭素数1~12の有機基)と反応させる方法が記載されている。
国際公開2012/147904号公報 国際公開2015/129654号公報 特開2016-190818号公報
しかしながら、特許文献2及び3の方法においては、固体の無機塩基や反応進行時に副生する塩(NaBr、KBr、NaCl、KClなど)が溶剤に溶解し難いため、懸濁状態での反応となる。このような固体が存在する懸濁状態での反応では、固体の無機塩基や副生する塩の形状や攪拌の仕方により反応状態や収率などにばらつきが大きくなるという問題があった。また、スケールを上げた際には、無機塩基や副生した塩が反応釜のデッドスペース等に詰まったり、無機塩基や副生した塩同士が付着して塊になるなどによって、収率低下などの課題があった。
本開示の実施形態は、前述のような実情を鑑み、反応のスケールに影響を受けることが少なく、安定して、1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を製造できる製造方法を提供することを目的とする。
本開示の1実施形態は、水と非水溶性有機溶剤との混合溶媒中、相移動触媒と、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ金属アルコキシドからなる群から選択される少なくとも1つの塩基の存在下、下記一般式(1)
Figure 0007110708000001
(式中、Qは、酸素原子、硫黄原子、-CRb1b2-、又は-NRb1-を表す。ここでRb1及びRb2はそれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基を表し、Rb1及びRb2が互いに結合して3~7員環の非芳香族炭化水素環を形成していても良い。
a1~Ra4はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルチオ基、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基、又は、-C(=O)-O-Rを表し、互いに結合して3~7員環の非芳香族又は芳香族炭化水素環を形成していても良く、当該非芳香族又は芳香族炭化水素環は無置換であるか又は1つ以上のハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルチオ基、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基、又は、-C(=O)-O-Rによって置換されていても良い。ここで、Rは、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基を表す。環を構成する任意のC-Ra1~C-Ra4は窒素原子に置き換えられていてもよい。)で表されるヒドラジノ化合物を、
下記一般式(2):R-A(ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~12の有機基を表す。Aは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トシル基、メシル基、又はノシル基を表す。)で表される化合物と反応させる、
下記一般式(3)
Figure 0007110708000002
(式中、Q、Ra1~Ra4、及びRはそれぞれ、前記と同じ意味を表す。)
で表される1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法を提供する。
本開示の1実施形態においては、前記一般式(2)におけるAが、トシル基、メシル基、又はノシル基を表す、1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法を提供する。
本開示の1実施形態は、前記混合溶媒において、前記水と前記非水溶性有機溶剤とを体積比で、水:非水溶性有機溶剤=1:1~1:10の割合で含有する、1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法を提供する。
本開示の1実施形態は、前記相移動触媒が、第4級アンモニウム塩である、1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法を提供する。
本開示の実施形態によれば、反応のスケールに影響を受けることが少なく、安定して1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を製造できる製造方法を提供することができる。
本開示の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を製造する方法は、水と非水溶性有機溶剤との混合溶媒中、相移動触媒と、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ金属アルコキシドからなる群から選択される少なくとも1つの塩基の存在下、下記一般式(1)で表されるヒドラジノ化合物を、下記一般式(2):R-A(ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~12の有機基を表す。Aは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トシル基、メシル基、又はノシル基を表す。)で表される化合物と反応させる、下記一般式(3)で表される1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法である。
Figure 0007110708000003
(式中、Qは、酸素原子、硫黄原子、-CRb1b2-、又は-NRb1-を表す。ここでRb1及びRb2はそれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基を表し、Rb1及びRb2が互いに結合して3~7員環の非芳香族炭化水素環を形成していても良い。
a1~Ra4はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルチオ基、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基、又は、-C(=O)-O-Rを表し、互いに結合して3~7員環の非芳香族又は芳香族炭化水素環を形成していても良く、当該非芳香族又は芳香族炭化水素環は無置換であるか又は1つ以上のハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルチオ基、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基、又は、-C(=O)-O-Rによって置換されていても良い。ここで、Rは、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基を表す。環を構成する任意のC-Ra1~C-Ra4は窒素原子に置き換えられていてもよい。
Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~12の有機基を表す。)
本開示の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を製造する方法は、溶剤として、水と非水溶性有機溶剤を利用し、塩基と相移動触媒を組み合わせて、ヒドラジノ化合物に前記R-Aを反応させる。この反応系においては、塩基及び副生する塩は完全に水に溶解し、非水溶性有機溶剤に前記R-Aと、ヒドラジノ化合物の少なくとも一部が溶解する。相移動触媒は、水と非水溶性有機溶剤の両方に可溶であり、塩基のアニオンを有機相又は水相と有機相との間の中間相に運搬し、前記R-Aとヒドラジノ化合物との反応を進行させながら、前記R-A由来のアニオン(A)を適宜水相に運搬する機能を有する。当該作用によって、本開示の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を製造する方法では、前記R-Aとヒドラジノ化合物の反応が推進されて、且つ副生する塩を析出させることがなく、従来技術のような析出塩などの固体の存在に起因する収率低下の影響が抑制されることから、反応のスケールに影響を受けることが少なく、安定して1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を製造できる。また、本開示の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を製造する方法では、塩基及び副生する塩が反応時から水相に溶けているので、反応後に水相を除去するだけで、塩基及び副生する塩を除くことができる。
一般式(1)及び(3)中、Qは、酸素原子、硫黄原子、-CRb1b2-、又は-NRb1-を表す。ここでRb1及びRb2はそれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基を表し、Rb1及びRb2が互いに結合して3~7員環の非芳香族炭化水素環を形成していても良い。
QにおけるRb1及びRb2の置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基の炭素数1~10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、イソヘキシル基、3-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等が挙げられる。
炭素数1~10のアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;シアノ基;メチルアミノ基、ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等のアリール基;シクロプロピル基、シクロペンチル基等の炭素数3~8のシクロアルキル基;水酸基;等が挙げられる。
Qは、1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の使用目的に応じて適宜選択されればよいが、酸素原子、硫黄原子、又は-CRb1b2-であることが好ましく、反応性や選択性が良好となる点から、酸素原子、硫黄原子であることがより好ましく、硫黄原子であることがより更に好ましい。
一般式(1)及び(3)中、Ra1~Ra4はそれぞれ独立して、水素原子;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチル基、エチル基等の炭素数1~6のアルキル基;シアノ基;ニトロ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の炭素数1~6のフルオロアルキル基;メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~6のアルコキシ基;メチルチオ基、エチルチオ基等の炭素数1~6のアルキルチオ基;メチルアミノ基、エチルアミノ基、アセチルアミノ基等のモノ置換アミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、フェニルメチルアミノ基等のジ置換アミノ基;又は、-C(=O)-O-Rを表し、更に、Ra1~Ra4は互いに結合して3~7員環の非芳香族又は芳香族炭化水素環を形成していても良く、当該非芳香族又は芳香族炭化水素環は無置換であるか又は1つ以上のハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルチオ基、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基、又は、-C(=O)-O-Rによって置換されていても良い。
ここで、Rは、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基を表す。
の置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基としては、前記Rの置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基として例示したものと同様のものが挙げられる。
a1~Ra4は、すべて同一であっても、それぞれ異なっていてもよく、また、環を構成する任意のC-Ra1~C-Ra4は窒素原子に置き換えられていてもよい。下記に、C-Ra1~C-Ra4の少なくとも1つが窒素原子に置き換えられた場合の、式(1)で表される化合物の具体例を示すが、これに限定されるものではない。
Figure 0007110708000004
a1~Ra4は、中でも、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、又は炭素数1~6のアルキルチオ基であることが好ましく、更に、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、又は炭素数1~6のアルコキシ基であることが好ましい。
式(1)で表される化合物の具体例を下記に示すが、これに限定されるものではない。
Figure 0007110708000005
前記一般式(2):R-A中、Aは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トシル基(p-トルエンスルホニル基、以下Tsと略すことがある)、メシル基(メタンスルホニル基、以下Msと略すことがある)、又はノシル基(o-ニトロベンゼンスルホニル基、以下Nsと略すことがある)を表す。なかでも、本開示の効果がより得られやすい観点から、塩素原子、臭素原子、トシル基、メシル基、又はノシル基が好ましい。また、1,1-ジ置換ヒドラジン化合物に導入するRのバリエーションを広くできる点から、トシル基、メシル基、又はノシル基が好ましい。R-Aが市販品で入手可能でないRを導入して1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を製造する場合に、Aがトシル基、メシル基、又はノシル基であると、R-OHで表されるアルコール等を原料として、R-Aを工業的に安定して製造し易い。
更に、Rが酸素原子を含む場合、例えば、Rのアルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、又は-O-CO-O-で置換されている場合、更に、Rのアルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-で置換されている場合には、Aがトシル基、メシル基、又はノシル基であると、反応効率が上昇する点から、好ましい。
前記一般式(2):R-A中、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~12の有機基を表す。炭素数1~12の有機基としては、特に限定されないが、例えば、炭素数1~12のアルキル基;炭素数2~12のアルケニル基;炭素数2~12のアルキニル基;炭素数6~12のアリール基等の炭化水素基;カルボキシル基、酸無水物基、アミド基等が挙げられる。当該アルキル基、当該アルケニル基、及び当該アルキニル基はそれぞれ、炭素数が2以上の場合に、1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-は各々独立して-O-、-S-、-CO-、-COO-、-OCO-、-CO-S-、-S-CO-、又は-O-CO-O-によって置換されても良く、更に置換基を有していても良く、当該アリール基の任意の炭素原子は、ヘテロ原子に置換されていても良く、更に置換基を有していても良い。なお、有機基の炭素原子数には、置換基の炭素原子は加えるものとする。
炭素数1~12のアルキル基としては、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基が挙げられ、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、シクロペンチル基、n-へキシル基、シクロヘキシル基、1-メチルペンチル基、シクロペンチルメチル基、n-ヘプチル基、1-エチルペンチル基、シクロヘキシルメチル基、n-オクチル基、2-エチルヘキシル基、n-ノニル基、n-デシル基、3,7-ジメチルオクチル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基等が挙げられる。
炭素数2~12のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブチニル基等が挙げられる。
炭素数2~12のアルキニル基としては、プロピニル基、プロパルギル基、ブチニル基等が挙げられる。
炭素数6~12のアリール基としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。
Rが、前記アルキル基、当該アルケニル基、及び当該アルキニル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、又は-O-CO-O-によって置換されている構造を有する場合には、当該化合物や、当該化合物を原料として用いて製造した化合物の溶剤溶解性が向上する点から好適に用いられる。
Rとしては、中でも、置換基を有していても良いアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基、或いは、前記アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が、-O-によって置換されている構造であることが好ましい。
-O-によって置換されている構造の具体例としては、下記一般式(4)で表される構造が挙げられる。
一般式(4):-(R-O)-R
(一般式(4)において、Rはそれぞれ独立に、炭素数2又は3のアルキレン基を表し、Rは、置換基を有していても良いアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を表し、nは1~5の数であり、Rのアルキレン基と、Rのアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基の合計炭素数は12以下である。)
また、Rにおける置換基としては、シアノ基;ニトロ基;水酸基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;メチルアミノ基、エチルアミノ基、アセチルアミノ基、ジメチルアミノ基等の置換アミノ基;等が挙げられる。前記アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基の置換基としては、フェニル基、2-クロロフェニル基、3-メトキシフェニル基、4-メチルフェニル基、2,4-ジメチルフェニル基等の置換基を有していてもよいアリール基であってもよい。また、前記アリール基又はヘテロアリール基の置換基としては、メチル基、エチル基等の炭素数1~6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、n-ブトキシ基等、t-ブトキシ基の炭素数1~6のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基等の、炭素数1~6のアルコキシ基で置換された炭素数1~6のアルコキシ基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数3~8のシクロアルキル基であってもよい。
前記R-A(Aは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トシル基、メシル基、又はノシル基を表す)の具体例を以下に示すが、これらに限定されるものではない。
Figure 0007110708000006
本開示の製造方法においては、水と非水溶性有機溶剤との混合溶媒を用いる。ここで非水溶性有機溶剤とは、水に実質的に不溶(具体的には、20℃における水への溶解度が20g/100mL未満)の溶剤であって、本反応における各種成分(相移動触媒、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ金属アルコキシドからなる群から選択される少なくとも1つの塩基、ヒドラジノ化合物など)と反応しないものであれば、特に制限なく用いられる。
前記非水溶性有機溶剤としては、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤、エチルエーテル、ブチルエーテル等のエーテル系溶剤、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン化アルキル系溶剤、酢酸エチル、酢酸nプロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤、n-ブタノール、2-ブタノール、イソブタノール、オクタノールなどのアルコール系溶剤等が挙げられる。
反応溶媒として用いられる前記非水溶性有機溶剤としては、原料及び反応物の溶解性を考慮して適宜選択されれば良いが、溶解度パラメータ(SP値)が8以上であることが好ましい。溶解度パラメータ(SP値)が8以上の溶剤としては、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル等が挙げられる。ここで溶解度パラメータ(SP値)の測定方法や計算方法は幾つかあるが、本開示においては、Fedorsの方法[Fedors, R. F., Polymer Eng. Sci., 14, 147 (1974)]により決定する。Fedorsの方法ではSP値を、原子団寄与法により求めているが、原子団寄与法とは分子をいくつかの原子団に分割し、各原子団に経験パラメータを割り振って分子全体の物性を決定する手法である。
分子のSP値δは以下の式で定義される。
δ=(ΣΔei/ΣΔvi)1/2
δ :SP値((cal/cm1/2
Δei :各原子団のモル蒸発熱(cal/mol)
Δvi :各原子団のモル体積(cm/mol)
構成原子団iのモル蒸発熱(Δei)及びモル体積(Δvi)は、文献(R.F.Fedors, POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,14(1974)147-154)のTable5に示す数値を用いる。
中でも前記非水溶性有機溶剤としては、水との分離性が良好な点から、トルエン、キシレン、メシチレン、ベンゼン等の芳香族炭化水素系溶剤が好適に用いられ、更に、トルエン、キシレン、又はメシチレンが好適に用いられる。
前記混合溶媒においては、反応性が良好となる点から、前記水と前記非水溶性有機溶剤とを体積比で、水:非水溶性有機溶剤=1:1~1:10の割合で含有することが好ましく、1:1~1:7の割合で含有することが更に好ましく、1:3~1:7の割合で含有することがより更に好ましい。
本開示の製造方法で用いられる混合溶媒の使用量は、特に制限されないが、反応が良好となり、反応効率が良好となる点から、原料である前記一般式(1)で表されるヒドラジノ化合物の反応液中の濃度が0.1~5.0mol/Lとなるように使用することが好ましく、0.5~3.0mol/Lとなるように使用することが更に好ましい。
本開示の製造方法においては、水と非水溶性有機溶剤との混合溶媒に、相移動触媒を組み合わせて用いる。相移動触媒としては、フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)、塩化テトラブチルアンモニウム(TBACl)、臭化テトラブチルアンモニウム (TBAB)、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(TBAI)等のテトラブチルアンモニウム塩、トリオクチルメチルアンモニウム塩、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウム塩等の第4級アンモニウム塩;テトラブチルホスホニウムクロリドなどの第四級ホスホニウム塩;ドデシルピリジニウムクロリドなどのピリジニウム化合物;クラウンエーテル等が挙げられる。
中でも、本開示の製造方法で用いられる相移動触媒としては、安価で調達しやすい点から、第4級アンモニウム塩が好適に用いられ、中でも、フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)、塩化テトラブチルアンモニウム(TBACl)、臭化テトラブチルアンモニウム (TBAB)、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(TBAI)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドが更に好ましく、塩化テトラブチルアンモニウム(TBACl)、臭化テトラブチルアンモニウム (TBAB)がより更に好ましい。
本開示の製造方法で用いられる相移動触媒の使用量は、多すぎるとコストや後処理の点で好ましくなく、少なすぎると反応が進行しにくい点から、通常、前記一般式(1)で表されるヒドラジノ化合物に対して、0.01~1.0当量(モル比)の範囲が好ましく、0.05~0.5当量(モル比)が更に好ましい。
本開示においては、塩基として、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ金属アルコキシドからなる群から選択される少なくとも1つの塩基を用いる。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられる。アルカリ金属アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等が挙げられる。
これらの中でも、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシドが好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシドが特に好ましい。
本開示の製造方法で用いられる塩基の使用量は、反応を効率よく進行させる点から、通常、前記一般式(1)で表されるヒドラジノ化合物に対して、1.0~3.0当量(モル比)の範囲が好ましく、1.0~2.0当量(モル比)が更に好ましい。
前記一般式(1)で表されるヒドラジノ化合物と、前記一般式(2):R-Aとの使用割合は、R-Aが多すぎると後処理の点で好ましくなく、少なすぎると反応が進行しにくい点から、通常、前記一般式(1)で表されるヒドラジノ化合物に対して、前記一般式(2):R-Aの使用量が、1.0~3.0当量(モル比)の範囲が好ましく、1.0~2.0当量(モル比)が更に好ましい。
前記一般式(1)で表されるヒドラジノ化合物と、前記一般式(2):R-Aとの反応は、水と非水溶性有機溶剤との混合溶媒中、相移動触媒と、前記塩基の存在下で行われる。
例えば、水と非水溶性有機溶剤との混合溶媒に、前記一般式(1)で表されるヒドラジノ化合物と、相移動触媒と、前記塩基と、更に前記一般式(2):R-Aを加えて、全体を撹拌する方法が挙げられる。
また、前記塩基を溶解させた水と、非水溶性有機溶剤と、前記一般式(1)で表されるヒドラジノ化合物と、相移動触媒と、更に前記一般式(2):R-Aを加えて、全体を撹拌する方法が挙げられる。
また、前記塩基を溶解させた水と、前記一般式(1)で表されるヒドラジノ化合物と前記一般式(2):R-Aを溶解させた非水溶性有機溶剤とに、相移動触媒を加えて、全体を撹拌する方法が挙げられる。
前記反応は、副反応を抑制する点から、窒素気流下等の不活性雰囲気下で行うのが好ましい。
また、反応温度は、反応の収率が向上する点から、50℃~90℃の範囲であることが好ましい。反応時間は、スケールにもより適宜選択されれば良いが、通常、数分から数時間の範囲で行われることが好ましい。
反応終了後は、有機合成化学における通常の後処理操作を行うことによって、目的物を単離することができる。本開示の製造方法においては、反応終了後、室温まで冷却し、水相を除去することが好ましい。本開示の製造方法では、塩基及び副生する塩が水相に溶解しているので、反応後に水相を除去することにより、塩基及び副生する塩を除くことができる。
また、水相を除去した後、塩基を十分に除去する点から、水及び酸性水溶液で洗浄することが好ましい。酸性水溶液としては、例えば1Nの塩酸等が挙げられる。
また、水相を除去後、得られた有機相に、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶剤等を適宜選択して添加して、目的物を析出させる工程を有することが好ましい。
添加する溶剤としては、反応に用いられた非水溶性有機溶剤と相溶性があり、且つ、目的物の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の貧溶媒であれば特に制限されない。目的物の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の溶解性を考慮して適宜選択されれば良いが、例えば、溶解度パラメータ(SP値)が8未満であることが好ましく、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶剤等が挙げられる。
本開示の製造方法によれば、1,1-ジ置換ヒドラジン化合物が生成する反応選択性が高いので、カラム精製が不要である。
目的物とする化合物の構造は、NMR、質量分析、元素分析等により、同定することができる。前記一般式(3)で表される1,1-ジ置換ヒドラジン化合物としては、例えば、以下の構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
Figure 0007110708000007
Figure 0007110708000008
Figure 0007110708000009
本開示の製造方法によれば、溶剤として、水と非水溶性有機溶剤を利用し、塩基と相移動触媒を組み合わせて、ヒドラジノ化合物に前記R-Aを反応させることにより、塩基や副生する塩を析出させることがなく、従来技術のような析出塩などの固体の存在に起因する収率低下の影響が抑制されることから、反応のスケールに影響を受けることが少なく、安定して1,1-ジ置換ヒドラジン化合物を製造できる。
製造した各化合物は、日本電子(株)製JEOL JNM-LA400WBを用いて、H NMR測定により、化学構造を確認した。
なお、純度(%)は、高速液体クロマトグラフ(HPLC)にて分析した生成物中の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の含有割合である。
[合成例1:中間体1(求核剤R-A)の製造]
1-ヘキサノール(12.5ml、100mmol)をクロロホルム(100ml)に溶解し、氷浴下、ピリジン(16.2ml、200mmol)を加え、続いて2-ニトロベンゼンスルホニルクロリド (33.2g、150mmol)を少しずつ撹拌しながら添加した。反応終了後、有機層を水、1N HCl、5%NaHCO水溶液および水の順で洗浄し、減圧下で溶媒を除去し、水および1N塩酸にて洗浄した。得られた有機相にヘプタン100mlを添加することで、沈殿を析出させた。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、下記化学構造式の中間体1を合成した。
H NMR(DMSO ; δppm) :8.51(d,1H),8.06(d,2H),7.98(t,1H),4.02(t,2H),1.55-1.25(m,8H),0.88(t,3H).
Figure 0007110708000010
[合成例2:中間体2(求核剤R-A)の製造]
合成例1において、1-ヘキサノールの代わりに、エチレングリコールモノブチルエーテルを使用し、2-ニトロベンゼンスルホニルクロリドの代わりにp-トルエンスルホニルクロリドを使用することにより、下記化学構造式の中間体2を合成した。
H NMR(DMSO ; δppm) :7.79(t,2H),7.49(t,2H),4.11(t,2H),3.57-3.20(m,6H),2.49(s,3H),1.65-1.35(m,4H),0.88(t,3H).
Figure 0007110708000011
[合成例3:中間体3(求核剤R-A)の製造]
合成例1において、1-ヘキサノールの代わりに、ジエチレングリコールモノメチルエーテル を使用し、2-ニトロベンゼンスルホニルクロリドの代わりにp-トルエンスルホニルクロリドを使用することにより、下記化学構造式の中間体3を合成した。
H NMR(DMSO ; δppm) :7.79(t,2H),7.49(t,2H),4.11(t,2H),3.57-3.20(m,9H),2.49(s,3H).
Figure 0007110708000012
[合成例4:中間体4(求核剤R-A)の製造]
合成例1において、1-ヘキサノールの代わりに、テトラヒドロフルフリルアルコール を使用し、2-ニトロベンゼンスルホニルクロリドの代わりにp-トルエンスルホニルクロリドを使用することにより、下記化学構造式の中間体4を合成した。
H NMR(DMSO ; δppm) :7.79(t,2H),7.49(t,2H),4.12-3.80(m,5H),2.49(s,3H). 1.92-1.40(m,4H),
Figure 0007110708000013
[実施例1-1:化合物1の製造]
窒素気流下において、温度計を備えた3つ口200mLフラスコ中、2-ヒドラジノベンゾチアゾール10g(61mmol)、トルエン 50ml、水 10ml、水酸化ナトリウム3.6g(1.5eq)、テトラブチルアンモニウムブロミド2.0g(0.1eq)、ブロモヘキサン12g(1.2eq)を加えて、撹拌しながら、80℃で2時間反応した。反応終了後、室温まで冷却し、水相を除去したのち、水および1N塩酸にて洗浄した。得られた有機相にヘプタン100mlを添加することで、沈殿を析出させた。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、目的化合物である化合物1を11.4g(46mmol、収率75.5%)得た。化合物1の構造はH NMRで同定した。
Figure 0007110708000014
H NMR(CDCl ; δppm):7.60(dd,2H),7.29(t,1H),7.06(t,1H),4.22(s,2H),3.73(t,2H),1.74(m,2H),1.41-1.30(m,6H),0.89(t,3H).
[実施例1-2~1-3:化合物1の製造]
実施例1-1と比べて10倍のスケールで反応を行った。すなわち、実施例1-2では、窒素気流下において、温度計を備えた3つ口2Lフラスコ中、2-ヒドラジノベンゾチアゾール100g(605mmol)、トルエン 504ml、水 101ml、水酸化ナトリウム36.3g(1.5eq)、テトラブチルアンモニウムブロミド19.5g(0.1eq)、ブロモヘキサン120g(1.2eq)を加えて、撹拌しながら、80℃で2時間反応した。反応終了後、室温まで冷却し、水相を除去したのち、水および1N塩酸にて洗浄した。得られた有機相にヘプタン1Lを添加することで、沈殿を析出させた。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、目的化合物である化合物1を111.2g(446mmol、収率73.7%)得た。
実施例1-3では、実施例1-2と同じスケールで同様に製造を行い、目的化合物である化合物1を112.0g(449mmol、収率74.2%)得た。
[実施例1-4:化合物1の製造]
実施例1-1と比べて100倍のスケールで反応を行った。すなわち、実施例1-4では、窒素気流下において、温度計を備えた3つ口20Lフラスコ中、2-ヒドラジノベンゾチアゾール1000g(6053mmol)、トルエン 5044ml、水 1009ml、水酸化ナトリウム363.1g(1.5eq)、テトラブチルアンモニウムブロミド19.5g(0.1eq)、ブロモヘキサン1199g(1.2eq)を加えて、撹拌しながら、80℃で2時間反応した。反応終了後、室温まで冷却し、水相を除去したのち、水および1N塩酸にて洗浄した。得られた有機相にヘプタン1Lを添加することで、沈殿を析出させた。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、目的化合物である化合物1を1090.0g(4371mmol、収率72.2%)得た。
[実施例2-1、2-2:化合物1の製造]
実施例2-1では、実施例1-1において、求核剤として、ブロモヘキサン12g(1.2eq)の代わりに、p-トルエンスルホン酸ヘキシル19g(1.2eq)を用いた以外は実施例1-1と同様にして化合物1の製造を行い、目的化合物である化合物1を10.5g(42mmol、収率69.6%)得た。
実施例2-2では、実施例2-1の10倍スケール、すなわち、実施例1-2において、求核剤として、ブロモヘキサン120g(1.2eq)の代わりに、p-トルエンスルホン酸ヘキシル186g(1.2eq)を用いた以外は実施例1-2と同様にして化合物1の製造を行い、目的化合物である化合物1を102.0g(409mmol、収率67.6%)得た。
[実施例3-1、3-2:化合物1の製造]
実施例3-1では、実施例1-1において、求核剤として、ブロモヘキサン12g(1.2eq)の代わりに、メタンスルホン酸ヘキシル13g(1.2eq)を用いた以外は実施例1-1と同様にして化合物1の製造を行い、目的化合物である化合物1を10.7g(43mmol、収率70.9%)得た。
実施例3-2では、実施例3-1の10倍スケール、すなわち、実施例1-2において、求核剤として、ブロモヘキサン120g(1.2eq)の代わりに、メタンスルホン酸ヘキシル131g(1.2eq)を用いた以外は実施例1-2と同様にして化合物1の製造を行い、目的化合物である化合物1を101.0g(406mmol、収率66.9%)得た。
[実施例4-1、4-2:化合物1の製造]
実施例4-1では、実施例1-1において、求核剤として、ブロモヘキサン12g(1.2eq)の代わりに、前記合成例1の中間体1を21g(1.2eq)用いた以外は実施例1-1と同様にして化合物1の製造を行い、目的化合物である化合物1を8.5g(34mmol、収率56.3%)得た。
実施例4-2では、実施例4-1の10倍スケール、すなわち、実施例1-2において、求核剤として、ブロモヘキサン120g(1.2eq)の代わりに、合成例1の中間体1を209g(1.2eq)用いた以外は実施例1-2と同様にして化合物1の製造を行い、目的化合物である化合物1を81g(325mmol、収率53.7%)得た。
[実施例5-1、5-2:化合物2の製造]
実施例5-1では、実施例1-1において、求核剤として、ブロモヘキサン12g(1.2eq)の代わりに、1-(2-ブロモエトキシ)ブタンを13g(1.2eq)用いた以外は実施例1-1と同様にして化合物2の製造を行い、目的化合物である化合物2を8.1g(30mmol、収率50.1%)得た。
実施例5-2では、実施例5-1の10倍スケール、すなわち、実施例1-2において、求核剤として、ブロモヘキサン120g(1.2eq)の代わりに、ブロモエチルn-ブチルエーテルを132g(1.2eq)用いた以外は実施例1-2と同様にして化合物2の製造を行い、目的化合物である化合物2を79g(295mmol、収率48.8%)得た。化合物2の構造はH NMRで同定した。
Figure 0007110708000015
H NMR(CDCl ; δppm):7.61(d,1H),7.50(d,1H),7.27(t,1H),7.06(t,1H),4.74(s,2H),3.77-3.50(m,6H),1.65-1.35(m,4H),0.88(t,3H).
[実施例6-1、6-2:化合物2の製造]
実施例6-1では、実施例1-1において、求核剤として、ブロモヘキサン12g(1.2eq)の代わりに、前記合成例2の中間体2を20g(1.2eq)用いた以外は実施例1-1と同様にして化合物2の製造を行い、目的化合物である化合物2を9.2g(34mmol、収率56.9%)得た。
実施例6-2では、実施例6-1の10倍スケール、すなわち、実施例1-2において、求核剤として、ブロモヘキサン120g(1.2eq)の代わりに、合成例2の中間体2を198g(1.2eq)用いた以外は実施例1-2と同様にして化合物2の製造を行い、目的化合物である化合物2を84g(312mmol、収率51.6%)得た。
[実施例7-1、7-2:化合物3の製造]
実施例7-1では、実施例1-1において、求核剤として、ブロモヘキサン12g(1.2eq)の代わりに、前記合成例3の中間体3を20g(1.2eq)用いた以外は実施例1-1と同様にして化合物3の製造を行い、目的化合物である化合物3を10.3g(39mmol、収率63.6%)得た。
実施例7-2では、実施例7-1の10倍スケール、すなわち、実施例1-2において、求核剤として、ブロモヘキサン120g(1.2eq)の代わりに、合成例3の中間体3を199g(1.2eq)用いた以外は実施例1-2と同様にして化合物3の製造を行い、目的化合物である化合物3を98g(367mmol、収率60.6%)得た。化合物3の構造はH NMRで同定した。
Figure 0007110708000016
H NMR(CDCl ; δppm):7.61(d,1H),7.50(d,1H),7.27(t,1H),7.06(t,1H),4.74(s,2H),4.00(t,2H),3.88(t,2H),3.62(t,2H),3.52(t,2H),3.50(s,3H).
[実施例8-1、8-2:化合物4の製造]
実施例8-1では、実施例1-1において、求核剤として、ブロモヘキサン12g(1.2eq)の代わりに、テトラヒドロフルフリルブロミドを12g(1.2eq)用いた以外は実施例1-1と同様にして化合物4の製造を行い、目的化合物である化合物4を7.9g(32mmol、収率52.3%)得た。
実施例8-2では、実施例8-1の10倍スケール、すなわち、実施例1-2において、求核剤として、ブロモヘキサン120g(1.2eq)の代わりに、テトラヒドロフルフリルブロミドを12g(1.2eq)用いた以外は実施例1-2と同様にして化合物4の製造を行い、目的化合物である化合物4を75g(302mmol、収率49.9%)得た。化合物4の構造はH NMRで同定した。
Figure 0007110708000017
H NMR(CDCl ; δppm):7.61(d,1H),7.50(d,1H),7.27(t,1H),7.06(t,1H),4.76(s,2H),4.02(t,1H),3.92-3.85(m,2H),3.42(t,1H),3.21(t,1H),1.95-1.55(m,4H).
[実施例9-1、9-2:化合物4の製造]
実施例9-1では、実施例1-1において、求核剤として、ブロモヘキサン12g(1.2eq)の代わりに、前記合成例2の中間体4を19g(1.2eq)用いた以外は実施例1-1と同様にして化合物4の製造を行い、目的化合物である化合物4を8.5g(34mmol、収率56.3%)得た。
実施例9-2では、実施例9-1の10倍スケール、すなわち、実施例1-2において、求核剤として、ブロモヘキサン120g(1.2eq)の代わりに、合成例2の中間体4を190g(1.2eq)用いた以外は実施例1-2と同様にして化合物4の製造を行い、目的化合物である化合物4を80g(322mmol、収率53.1%)得た。
[比較例1-1:化合物1の製造]
窒素気流下において、温度計を備えた3つ口200mLフラスコ中、2-ヒドラジノベンゾチアゾール10g(61mmol)、トルエン 43ml、アセトニトリル 47ml、水酸化カリウム5.1g(1.5eq)、ブロモヘキサン12g(1.2eq)を加えて、撹拌しながら、80℃で2時間反応した。反応終了後、室温まで冷却し、反応液に水25mlを加え、水相を除去したのち、濃縮した。濃縮液を60度に加熱し、水40mlを加えたのち析出した沈殿物をろ過し、ろ過物をメタノール50ml、水10mlの混合溶剤で洗浄し得られた結晶を乾燥させることにより、目的化合物である化合物1を11.9g(48mmol、収率78.8%)得た。
[比較例1-2~1-3:化合物1の製造]
比較例1-1と比べて10倍のスケールで反応を行った。すなわち、比較例1-2では、窒素気流下において、温度計を備えた3つ口2Lフラスコ中、2-ヒドラジノベンゾチアゾール100g(605mmol)、トルエン 430ml、アセトニトリル 470ml、水酸化カリウム50.8g(1.5eq)、ブロモヘキサン120g(1.2eq)を加えて、撹拌しながら、80℃で2時間反応した。反応終了後、室温まで冷却し、反応液に水250mlを加え、水相を除去したのち、濃縮した。濃縮液を60度に加熱し、水400mlを加えたのち析出した沈殿物をろ過し、ろ過物をメタノール500ml、水100mlの混合溶剤で洗浄し、得られた結晶を乾燥させることにより、目的化合物である化合物1を15.9g(345mmol、収率56.9%)得た。
比較例1-3では、比較例1-2と同じスケールで同様に製造を行い、目的化合物である化合物1を95.6g(383mmol、収率63.3%)得た。
Figure 0007110708000018
Figure 0007110708000019
表2に、本開示の製造方法である実施例と、従来技術の製造方法である比較例をまとめて示した。
実施例では、反応時に析出物は無かったが、比較例では反応時に析出物が存在した。
実施例1では、ヒドラジン原料を10g用いた10gスケールでの収率と、100g用いた100gスケールでの収率を比較すると、100gスケールでの収率の方が1.8ポイント又は1.3ポイントの低下に止まった。ヒドラジン原料を10g用いた10gスケールでの収率と、1000g用いた1000gスケールでの収率を比較しても、1000gスケールでの収率の方が3.3ポイントの低下に止まった。実施例1では、スケールアップした際の純度の変化も、0.2ポイント以内に収まった。
それに対して、実施例1と同じヒドラジン原料と求核剤を用いた比較例1では、ヒドラジン原料を10g用いた10gスケールでの収率と、100g用いた100gスケールでの収率を比較すると、100gスケールでの収率の方が、21.9ポイント又は15.5ポイントも低下した。比較例1では、スケールアップした際の純度の変化が9.3ポイントと大きくなった例があった。比較例1-2と比較例1-3は100gスケールで同じ原料を用いて同様に製造した例であるが、収率と、純度に大きな差が生じた。比較例1では反応時に固体析出物があるため、その影響でスケールアップをした際の収率低下や反応のバラつきが生じたものと推定される。
反応時の求核剤を実施例1から変更した実施例2~9においても、ヒドラジン原料を10g用いた10gスケールでの収率と、100g用いた100gスケールでの収率を比較すると、100gスケールでの収率の方が5.3ポイント以内の低下に収まった。実施例2~9では、スケールアップした際の純度の変化も、0.4ポイント以内に収まった。
実施例5と実施例6の比較、及び、実施例8と実施例9の比較により、Rのアルキル基中の1個の-CH-又は隣接していない2個以上の-CH-が各々独立して-O-で置換されている場合には、Aがハロゲンよりもトシル基であると、反応効率が上昇することが示された。

Claims (4)

  1. 水と非水溶性有機溶剤との混合溶媒中、相移動触媒と、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ金属アルコキシドからなる群から選択される少なくとも1つの塩基の存在下、下記一般式(1)
    Figure 0007110708000020
    (式中、Qは、酸素原子、硫黄原子、-CRb1b2-、又は-NRb1-を表す。ここでRb1及びRb2はそれぞれ独立して、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基を表し、Rb1及びRb2が互いに結合して3~7員環の非芳香族炭化水素環を形成していても良い。
    a1~Ra4はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルチオ基、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基、又は、-C(=O)-O-Rを表し、互いに結合して3~7員環の非芳香族又は芳香族炭化水素環を形成していても良く、当該非芳香族又は芳香族炭化水素環は無置換であるか又は1つ以上のハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルチオ基、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基、又は、-C(=O)-O-Rによって置換されていても良い。ここで、Rは、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基を表す。環を構成する任意のC-Ra1~C-Ra4は窒素原子に置き換えられていてもよい。)で表されるヒドラジノ化合物を、
    下記一般式(2):R-A(ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~12の有機基を表す。Aは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トシル基、メシル基、又はノシル基を表す。)で表される化合物と反応させる、
    下記一般式(3)
    Figure 0007110708000021
    (式中、Q、Ra1~Ra4、及びRはそれぞれ、前記と同じ意味を表す。)
    で表される1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法。
  2. 前記一般式(2)におけるAが、トシル基、メシル基、又はノシル基を表す、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記混合溶媒において、前記水と前記非水溶性有機溶剤とを体積比で、水:非水溶性有機溶剤=1:1~1:10の割合で含有する、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記相移動触媒が、第4級アンモニウム塩である、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
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