JP7110708B2 - 1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法 - Google Patents
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Description
従来、1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法としては、例えば特許文献1に、原料にヒドラジノベンゾチアゾールを用い、塩基として炭酸カリウム、炭酸セシウム、又はヘキサメチルジシラザンを用いた、1,1-ジ置換ヒドラジノベンゾチアゾール(1,1-ジ置換体)の合成例が記載されている。しかしながら、当該文献の製造方法により、ヒドラジノベンゾチアゾールに直接置換基を導入しようとすると、競争反応が進行し、1,2-ジ置換ヒドラジノベンゾチアゾール(1,2-ジ置換体)が副生するため、収率よく目的物を得ることができないという問題があった。当該文献に記載されている方法は、分液処理後にカラム精製により、副生成物である1,2-ジ置換体を除去する工程が必要であるため、工業的生産規模で目的物を製造することが困難であり、コスト面でも課題を有していた。
Ra1~Ra4はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルチオ基、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基、又は、-C(=O)-O-Rcを表し、互いに結合して3~7員環の非芳香族又は芳香族炭化水素環を形成していても良く、当該非芳香族又は芳香族炭化水素環は無置換であるか又は1つ以上のハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルチオ基、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基、又は、-C(=O)-O-Rcによって置換されていても良い。ここで、Rcは、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基を表す。環を構成する任意のC-Ra1~C-Ra4は窒素原子に置き換えられていてもよい。)で表されるヒドラジノ化合物を、
下記一般式(2):R-A(ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~12の有機基を表す。Aは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トシル基、メシル基、又はノシル基を表す。)で表される化合物と反応させる、
下記一般式(3)
Ra1~Ra4はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルチオ基、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基、又は、-C(=O)-O-Rcを表し、互いに結合して3~7員環の非芳香族又は芳香族炭化水素環を形成していても良く、当該非芳香族又は芳香族炭化水素環は無置換であるか又は1つ以上のハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルチオ基、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基、又は、-C(=O)-O-Rcによって置換されていても良い。ここで、Rcは、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基を表す。環を構成する任意のC-Ra1~C-Ra4は窒素原子に置き換えられていてもよい。
Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~12の有機基を表す。)
QにおけるRb1及びRb2の置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基の炭素数1~10のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、イソヘキシル基、3-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基等が挙げられる。
ここで、Rcは、水素原子、又は、置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基を表す。
Rcの置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基としては、前記Rbの置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基として例示したものと同様のものが挙げられる。
更に、Rが酸素原子を含む場合、例えば、Rのアルキル基、アルケニル基、及びアルキニル基中の1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-が各々独立して-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、又は-O-CO-O-で置換されている場合、更に、Rのアルキル基中の1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-が各々独立して-O-で置換されている場合には、Aがトシル基、メシル基、又はノシル基であると、反応効率が上昇する点から、好ましい。
炭素数2~12のアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基、ブチニル基等が挙げられる。
炭素数2~12のアルキニル基としては、プロピニル基、プロパルギル基、ブチニル基等が挙げられる。
炭素数6~12のアリール基としては、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。
Rとしては、中でも、置換基を有していても良いアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基、或いは、前記アルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基の1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-が、-O-によって置換されている構造であることが好ましい。
-O-によって置換されている構造の具体例としては、下記一般式(4)で表される構造が挙げられる。
一般式(4):-(Rd-O)n-Re
(一般式(4)において、Rdはそれぞれ独立に、炭素数2又は3のアルキレン基を表し、Reは、置換基を有していても良いアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基を表し、nは1~5の数であり、Rdのアルキレン基と、Reのアルキル基、アルケニル基、又はアルキニル基の合計炭素数は12以下である。)
反応溶媒として用いられる前記非水溶性有機溶剤としては、原料及び反応物の溶解性を考慮して適宜選択されれば良いが、溶解度パラメータ(SP値)が8以上であることが好ましい。溶解度パラメータ(SP値)が8以上の溶剤としては、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル等が挙げられる。ここで溶解度パラメータ(SP値)の測定方法や計算方法は幾つかあるが、本開示においては、Fedorsの方法[Fedors, R. F., Polymer Eng. Sci., 14, 147 (1974)]により決定する。Fedorsの方法ではSP値を、原子団寄与法により求めているが、原子団寄与法とは分子をいくつかの原子団に分割し、各原子団に経験パラメータを割り振って分子全体の物性を決定する手法である。
分子のSP値δは以下の式で定義される。
δ=(ΣΔei/ΣΔvi)1/2
δ :SP値((cal/cm3)1/2)
Δei :各原子団のモル蒸発熱(cal/mol)
Δvi :各原子団のモル体積(cm3/mol)
構成原子団iのモル蒸発熱(Δei)及びモル体積(Δvi)は、文献(R.F.Fedors, POLYMER ENGINEERING AND SCIENCE,14(1974)147-154)のTable5に示す数値を用いる。
中でも、本開示の製造方法で用いられる相間移動触媒としては、安価で調達しやすい点から、第4級アンモニウム塩が好適に用いられ、中でも、フッ化テトラブチルアンモニウム(TBAF)、塩化テトラブチルアンモニウム(TBACl)、臭化テトラブチルアンモニウム (TBAB)、ヨウ化テトラブチルアンモニウム(TBAI)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドが更に好ましく、塩化テトラブチルアンモニウム(TBACl)、臭化テトラブチルアンモニウム (TBAB)がより更に好ましい。
アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。アルカリ土類金属水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム等が挙げられる。アルカリ金属アルコキシドとしては、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド等が挙げられる。
これらの中でも、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属アルコキシドが好ましく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメトキシドが特に好ましい。
例えば、水と非水溶性有機溶剤との混合溶媒に、前記一般式(1)で表されるヒドラジノ化合物と、相間移動触媒と、前記塩基と、更に前記一般式(2):R-Aを加えて、全体を撹拌する方法が挙げられる。
また、前記塩基を溶解させた水と、非水溶性有機溶剤と、前記一般式(1)で表されるヒドラジノ化合物と、相間移動触媒と、更に前記一般式(2):R-Aを加えて、全体を撹拌する方法が挙げられる。
また、前記塩基を溶解させた水と、前記一般式(1)で表されるヒドラジノ化合物と前記一般式(2):R-Aを溶解させた非水溶性有機溶剤とに、相間移動触媒を加えて、全体を撹拌する方法が挙げられる。
また、反応温度は、反応の収率が向上する点から、50℃~90℃の範囲であることが好ましい。反応時間は、スケールにもより適宜選択されれば良いが、通常、数分から数時間の範囲で行われることが好ましい。
また、水相を除去した後、塩基を十分に除去する点から、水及び酸性水溶液で洗浄することが好ましい。酸性水溶液としては、例えば1Nの塩酸等が挙げられる。
添加する溶剤としては、反応に用いられた非水溶性有機溶剤と相溶性があり、且つ、目的物の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の貧溶媒であれば特に制限されない。目的物の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の溶解性を考慮して適宜選択されれば良いが、例えば、溶解度パラメータ(SP値)が8未満であることが好ましく、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素系溶剤等が挙げられる。
本開示の製造方法によれば、1,1-ジ置換ヒドラジン化合物が生成する反応選択性が高いので、カラム精製が不要である。
なお、純度(%)は、高速液体クロマトグラフ(HPLC)にて分析した生成物中の1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の含有割合である。
1-ヘキサノール(12.5ml、100mmol)をクロロホルム(100ml)に溶解し、氷浴下、ピリジン(16.2ml、200mmol)を加え、続いて2-ニトロベンゼンスルホニルクロリド (33.2g、150mmol)を少しずつ撹拌しながら添加した。反応終了後、有機層を水、1N HCl、5%NaHCO3水溶液および水の順で洗浄し、減圧下で溶媒を除去し、水および1N塩酸にて洗浄した。得られた有機相にヘプタン100mlを添加することで、沈殿を析出させた。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、下記化学構造式の中間体1を合成した。
合成例1において、1-ヘキサノールの代わりに、エチレングリコールモノブチルエーテルを使用し、2-ニトロベンゼンスルホニルクロリドの代わりにp-トルエンスルホニルクロリドを使用することにより、下記化学構造式の中間体2を合成した。
合成例1において、1-ヘキサノールの代わりに、ジエチレングリコールモノメチルエーテル を使用し、2-ニトロベンゼンスルホニルクロリドの代わりにp-トルエンスルホニルクロリドを使用することにより、下記化学構造式の中間体3を合成した。
合成例1において、1-ヘキサノールの代わりに、テトラヒドロフルフリルアルコール を使用し、2-ニトロベンゼンスルホニルクロリドの代わりにp-トルエンスルホニルクロリドを使用することにより、下記化学構造式の中間体4を合成した。
窒素気流下において、温度計を備えた3つ口200mLフラスコ中、2-ヒドラジノベンゾチアゾール10g(61mmol)、トルエン 50ml、水 10ml、水酸化ナトリウム3.6g(1.5eq)、テトラブチルアンモニウムブロミド2.0g(0.1eq)、ブロモヘキサン12g(1.2eq)を加えて、撹拌しながら、80℃で2時間反応した。反応終了後、室温まで冷却し、水相を除去したのち、水および1N塩酸にて洗浄した。得られた有機相にヘプタン100mlを添加することで、沈殿を析出させた。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、目的化合物である化合物1を11.4g(46mmol、収率75.5%)得た。化合物1の構造は1H NMRで同定した。
実施例1-1と比べて10倍のスケールで反応を行った。すなわち、実施例1-2では、窒素気流下において、温度計を備えた3つ口2Lフラスコ中、2-ヒドラジノベンゾチアゾール100g(605mmol)、トルエン 504ml、水 101ml、水酸化ナトリウム36.3g(1.5eq)、テトラブチルアンモニウムブロミド19.5g(0.1eq)、ブロモヘキサン120g(1.2eq)を加えて、撹拌しながら、80℃で2時間反応した。反応終了後、室温まで冷却し、水相を除去したのち、水および1N塩酸にて洗浄した。得られた有機相にヘプタン1Lを添加することで、沈殿を析出させた。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、目的化合物である化合物1を111.2g(446mmol、収率73.7%)得た。
実施例1-3では、実施例1-2と同じスケールで同様に製造を行い、目的化合物である化合物1を112.0g(449mmol、収率74.2%)得た。
実施例1-1と比べて100倍のスケールで反応を行った。すなわち、実施例1-4では、窒素気流下において、温度計を備えた3つ口20Lフラスコ中、2-ヒドラジノベンゾチアゾール1000g(6053mmol)、トルエン 5044ml、水 1009ml、水酸化ナトリウム363.1g(1.5eq)、テトラブチルアンモニウムブロミド19.5g(0.1eq)、ブロモヘキサン1199g(1.2eq)を加えて、撹拌しながら、80℃で2時間反応した。反応終了後、室温まで冷却し、水相を除去したのち、水および1N塩酸にて洗浄した。得られた有機相にヘプタン1Lを添加することで、沈殿を析出させた。沈殿物をろ過し、得られた結晶を乾燥させることにより、目的化合物である化合物1を1090.0g(4371mmol、収率72.2%)得た。
実施例2-1では、実施例1-1において、求核剤として、ブロモヘキサン12g(1.2eq)の代わりに、p-トルエンスルホン酸ヘキシル19g(1.2eq)を用いた以外は実施例1-1と同様にして化合物1の製造を行い、目的化合物である化合物1を10.5g(42mmol、収率69.6%)得た。
実施例2-2では、実施例2-1の10倍スケール、すなわち、実施例1-2において、求核剤として、ブロモヘキサン120g(1.2eq)の代わりに、p-トルエンスルホン酸ヘキシル186g(1.2eq)を用いた以外は実施例1-2と同様にして化合物1の製造を行い、目的化合物である化合物1を102.0g(409mmol、収率67.6%)得た。
実施例3-1では、実施例1-1において、求核剤として、ブロモヘキサン12g(1.2eq)の代わりに、メタンスルホン酸ヘキシル13g(1.2eq)を用いた以外は実施例1-1と同様にして化合物1の製造を行い、目的化合物である化合物1を10.7g(43mmol、収率70.9%)得た。
実施例3-2では、実施例3-1の10倍スケール、すなわち、実施例1-2において、求核剤として、ブロモヘキサン120g(1.2eq)の代わりに、メタンスルホン酸ヘキシル131g(1.2eq)を用いた以外は実施例1-2と同様にして化合物1の製造を行い、目的化合物である化合物1を101.0g(406mmol、収率66.9%)得た。
実施例4-1では、実施例1-1において、求核剤として、ブロモヘキサン12g(1.2eq)の代わりに、前記合成例1の中間体1を21g(1.2eq)用いた以外は実施例1-1と同様にして化合物1の製造を行い、目的化合物である化合物1を8.5g(34mmol、収率56.3%)得た。
実施例4-2では、実施例4-1の10倍スケール、すなわち、実施例1-2において、求核剤として、ブロモヘキサン120g(1.2eq)の代わりに、合成例1の中間体1を209g(1.2eq)用いた以外は実施例1-2と同様にして化合物1の製造を行い、目的化合物である化合物1を81g(325mmol、収率53.7%)得た。
実施例5-1では、実施例1-1において、求核剤として、ブロモヘキサン12g(1.2eq)の代わりに、1-(2-ブロモエトキシ)ブタンを13g(1.2eq)用いた以外は実施例1-1と同様にして化合物2の製造を行い、目的化合物である化合物2を8.1g(30mmol、収率50.1%)得た。
実施例5-2では、実施例5-1の10倍スケール、すなわち、実施例1-2において、求核剤として、ブロモヘキサン120g(1.2eq)の代わりに、ブロモエチルn-ブチルエーテルを132g(1.2eq)用いた以外は実施例1-2と同様にして化合物2の製造を行い、目的化合物である化合物2を79g(295mmol、収率48.8%)得た。化合物2の構造は1H NMRで同定した。
実施例6-1では、実施例1-1において、求核剤として、ブロモヘキサン12g(1.2eq)の代わりに、前記合成例2の中間体2を20g(1.2eq)用いた以外は実施例1-1と同様にして化合物2の製造を行い、目的化合物である化合物2を9.2g(34mmol、収率56.9%)得た。
実施例6-2では、実施例6-1の10倍スケール、すなわち、実施例1-2において、求核剤として、ブロモヘキサン120g(1.2eq)の代わりに、合成例2の中間体2を198g(1.2eq)用いた以外は実施例1-2と同様にして化合物2の製造を行い、目的化合物である化合物2を84g(312mmol、収率51.6%)得た。
実施例7-1では、実施例1-1において、求核剤として、ブロモヘキサン12g(1.2eq)の代わりに、前記合成例3の中間体3を20g(1.2eq)用いた以外は実施例1-1と同様にして化合物3の製造を行い、目的化合物である化合物3を10.3g(39mmol、収率63.6%)得た。
実施例7-2では、実施例7-1の10倍スケール、すなわち、実施例1-2において、求核剤として、ブロモヘキサン120g(1.2eq)の代わりに、合成例3の中間体3を199g(1.2eq)用いた以外は実施例1-2と同様にして化合物3の製造を行い、目的化合物である化合物3を98g(367mmol、収率60.6%)得た。化合物3の構造は1H NMRで同定した。
実施例8-1では、実施例1-1において、求核剤として、ブロモヘキサン12g(1.2eq)の代わりに、テトラヒドロフルフリルブロミドを12g(1.2eq)用いた以外は実施例1-1と同様にして化合物4の製造を行い、目的化合物である化合物4を7.9g(32mmol、収率52.3%)得た。
実施例8-2では、実施例8-1の10倍スケール、すなわち、実施例1-2において、求核剤として、ブロモヘキサン120g(1.2eq)の代わりに、テトラヒドロフルフリルブロミドを12g(1.2eq)用いた以外は実施例1-2と同様にして化合物4の製造を行い、目的化合物である化合物4を75g(302mmol、収率49.9%)得た。化合物4の構造は1H NMRで同定した。
実施例9-1では、実施例1-1において、求核剤として、ブロモヘキサン12g(1.2eq)の代わりに、前記合成例2の中間体4を19g(1.2eq)用いた以外は実施例1-1と同様にして化合物4の製造を行い、目的化合物である化合物4を8.5g(34mmol、収率56.3%)得た。
実施例9-2では、実施例9-1の10倍スケール、すなわち、実施例1-2において、求核剤として、ブロモヘキサン120g(1.2eq)の代わりに、合成例2の中間体4を190g(1.2eq)用いた以外は実施例1-2と同様にして化合物4の製造を行い、目的化合物である化合物4を80g(322mmol、収率53.1%)得た。
窒素気流下において、温度計を備えた3つ口200mLフラスコ中、2-ヒドラジノベンゾチアゾール10g(61mmol)、トルエン 43ml、アセトニトリル 47ml、水酸化カリウム5.1g(1.5eq)、ブロモヘキサン12g(1.2eq)を加えて、撹拌しながら、80℃で2時間反応した。反応終了後、室温まで冷却し、反応液に水25mlを加え、水相を除去したのち、濃縮した。濃縮液を60度に加熱し、水40mlを加えたのち析出した沈殿物をろ過し、ろ過物をメタノール50ml、水10mlの混合溶剤で洗浄し得られた結晶を乾燥させることにより、目的化合物である化合物1を11.9g(48mmol、収率78.8%)得た。
比較例1-1と比べて10倍のスケールで反応を行った。すなわち、比較例1-2では、窒素気流下において、温度計を備えた3つ口2Lフラスコ中、2-ヒドラジノベンゾチアゾール100g(605mmol)、トルエン 430ml、アセトニトリル 470ml、水酸化カリウム50.8g(1.5eq)、ブロモヘキサン120g(1.2eq)を加えて、撹拌しながら、80℃で2時間反応した。反応終了後、室温まで冷却し、反応液に水250mlを加え、水相を除去したのち、濃縮した。濃縮液を60度に加熱し、水400mlを加えたのち析出した沈殿物をろ過し、ろ過物をメタノール500ml、水100mlの混合溶剤で洗浄し、得られた結晶を乾燥させることにより、目的化合物である化合物1を15.9g(345mmol、収率56.9%)得た。
比較例1-3では、比較例1-2と同じスケールで同様に製造を行い、目的化合物である化合物1を95.6g(383mmol、収率63.3%)得た。
実施例では、反応時に析出物は無かったが、比較例では反応時に析出物が存在した。
実施例1では、ヒドラジン原料を10g用いた10gスケールでの収率と、100g用いた100gスケールでの収率を比較すると、100gスケールでの収率の方が1.8ポイント又は1.3ポイントの低下に止まった。ヒドラジン原料を10g用いた10gスケールでの収率と、1000g用いた1000gスケールでの収率を比較しても、1000gスケールでの収率の方が3.3ポイントの低下に止まった。実施例1では、スケールアップした際の純度の変化も、0.2ポイント以内に収まった。
それに対して、実施例1と同じヒドラジン原料と求核剤を用いた比較例1では、ヒドラジン原料を10g用いた10gスケールでの収率と、100g用いた100gスケールでの収率を比較すると、100gスケールでの収率の方が、21.9ポイント又は15.5ポイントも低下した。比較例1では、スケールアップした際の純度の変化が9.3ポイントと大きくなった例があった。比較例1-2と比較例1-3は100gスケールで同じ原料を用いて同様に製造した例であるが、収率と、純度に大きな差が生じた。比較例1では反応時に固体析出物があるため、その影響でスケールアップをした際の収率低下や反応のバラつきが生じたものと推定される。
反応時の求核剤を実施例1から変更した実施例2~9においても、ヒドラジン原料を10g用いた10gスケールでの収率と、100g用いた100gスケールでの収率を比較すると、100gスケールでの収率の方が5.3ポイント以内の低下に収まった。実施例2~9では、スケールアップした際の純度の変化も、0.4ポイント以内に収まった。
実施例5と実施例6の比較、及び、実施例8と実施例9の比較により、Rのアルキル基中の1個の-CH2-又は隣接していない2個以上の-CH2-が各々独立して-O-で置換されている場合には、Aがハロゲンよりもトシル基であると、反応効率が上昇することが示された。
Claims (4)
- 水と非水溶性有機溶剤との混合溶媒中、相間移動触媒と、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物及びアルカリ金属アルコキシドからなる群から選択される少なくとも1つの塩基の存在下、下記一般式(1)
Ra1~Ra4はそれぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルチオ基、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基、又は、-C(=O)-O-Rcを表し、互いに結合して3~7員環の非芳香族又は芳香族炭化水素環を形成していても良く、当該非芳香族又は芳香族炭化水素環は無置換であるか又は1つ以上のハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数1~6のアルキルチオ基、モノ置換アミノ基、ジ置換アミノ基、又は、-C(=O)-O-Rcによって置換されていても良い。ここで、Rcは、水素原子、又は置換基を有していてもよい炭素数1~10のアルキル基を表す。環を構成する任意のC-Ra1~C-Ra4は窒素原子に置き換えられていてもよい。)で表されるヒドラジノ化合物を、
下記一般式(2):R-A(ここで、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1~12の有機基を表す。Aは、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子、トシル基、メシル基、又はノシル基を表す。)で表される化合物と反応させる、
下記一般式(3)
で表される1,1-ジ置換ヒドラジン化合物の製造方法。 - 前記一般式(2)におけるAが、トシル基、メシル基、又はノシル基を表す、請求項1に記載の製造方法。
- 前記混合溶媒において、前記水と前記非水溶性有機溶剤とを体積比で、水:非水溶性有機溶剤=1:1~1:10の割合で含有する、請求項1又は2に記載の製造方法。
- 前記相間移動触媒が、第4級アンモニウム塩である、請求項1~3のいずれか1項に記載の製造方法。
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