JP7110529B2 - 脂溶性機能性成分含有エマルション - Google Patents

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Description

本発明は、脂溶性機能性成分含有エマルション及びその製造方法等に関する。
ピペリンやテトラヒドロクルクミン、コエンザイムQ10等の脂溶性機能性成分は、人体に有用な物質であり、様々な健康機能が報告されている。しかしながら、脂溶性機能性成分は水に溶解しないため、例えば飲料や水性食品に使用した場合、安定性や透明性等に問題が生じる。そこで、脂溶性機能性成分の安定性や可溶性を向上させることを目的として種々の検討がなされている。
例えば、(a)ヘマトコッカス藻からの脂溶性抽出物とトコフェロールもしくはトコトリエノールである脂溶性成分、(b)ショ糖脂肪酸エステル、(c)ポリグリセリン脂肪酸エステル、(d)リン脂質、(e)ポリオール、(f)水の各成分を特定の配合比で配合した乳化安定性の高いエマルジョン組成物
が知られていた(特許文献1)。
一方、乳化技術については、可食性油性材料、乳化剤、多価アルコール及び水を減圧条件下で乳化処理し、平均乳化粒子径を0.2ミクロン以下とする飲食品用乳化液組成物の製法が知られていた(特許文献2)。
特許第5675079号公報 特許第2741093号公報
本発明は、融点20℃以上の脂溶性機能性成分を含有する水中油型乳化物であって、微細な乳化粒子径を有し、乳化安定性に優れた脂溶性機能性成分含有エマルションを提供する。
発明者らは、融点20℃以上の脂溶性機能性成分を乳化剤に予め溶解し、酵素分解レシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオール及び水を混合して乳化処理することで、微細な乳化粒子径を有し、水に添加した際の透明性が耐冷凍性試験及び耐酸・耐熱性試験前後でほとんど変化することのない、乳化安定性に優れた脂溶性機能性成分含有エマルションが得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[8]の態様に関する。
[1](a)融点20℃以上の脂溶性機能性成分を乳化剤に溶解させた脂溶性機能性成分溶解物、(b)酵素分解レシチン、(c)ポリグリセリン脂肪酸エステル、(d)ポリオール及び(e)水を含む、脂溶性機能性成分含有エマルション。
[2](a)脂溶性機能性成分溶解物0.5~20重量%、(d)ポリオール10~80重量%及び(e)水5~75重量%を含む、[1]記載の脂溶性機能性成分含有エマルション。
[3](a)脂溶性機能性成分溶解物の0.4~3倍重量の(b)酵素処理レシチン及び(a)脂溶性機能性成分溶解物の0.4~3倍重量の(c)ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む、[1]又は[2]記載の脂溶性機能性成分含有エマルション。
[4](a)脂溶性機能性成分溶解物中の乳化剤がHLB値0.5~10である、[1]~[3]の何れかに記載の脂溶性機能性成分含有エマルション。
[5]融点20℃以上の脂溶性機能性成分を0.1~5重量%含む、[1]~[4]の何れかに記載の脂溶性機能性成分含有エマルション。
[6]脂溶性機能性成分含有エマルションの平均粒子径が10~200nmである、[1]~[5]の何れかに記載の脂溶性機能性成分含有エマルション。
[7][1]~[6]の何れかに記載の脂溶性機能性成分含有エマルションの製造方法。
[8][1]~[6]の何れかに記載の脂溶性機能性成分含有エマルションを含む食品。
本発明によって、融点20℃以上の脂溶性機能性成分であっても、溶媒となる乳化剤に予め溶解した後で他の原料と混合して、乳化することで、微細な乳化粒子が均一に分散した脂溶性機能性成分含有エマルションを提供でき、該脂溶性機能性成分含有エマルションは、微細な乳化粒子径を有し、耐冷凍性及び耐酸・耐熱性試験によって乳化が壊れず、該試験後も透明性を保つことができ、乳化安定性に優れている。そのため、液状食品に使用した場合においても、濁り等による製品価値の低下を招きにくい。さらに、常圧下で乳化処理できるため、減圧条件下で乳化処理する必要がなく、特殊な減圧装置等を必要としないため、製造コストが安く、容易に脂溶性機能性成分含有エマルションを製造することが可能である。
本発明は、(a)融点20℃以上の脂溶性機能性成分を乳化剤に溶解させた脂溶性機能性成分溶解物、(b)酵素分解レシチン、(c)ポリグリセリン脂肪酸エステル、(d)ポリオール及び(e)水を含む、脂溶性機能性成分含有エマルションである。製造方法は特に限定されないが、前記(a)~(e)を含む原料を乳化処理することで、水中油型乳化物である脂溶性機能性成分含有エマルションが得られる。本発明の脂溶性機能性成分含有エマルションは、前記(a)~(e)を含んでいればよく、好ましくは前記(a)~(e)からなる脂溶性機能性成分含有エマルションである。
本発明に記載の脂溶性機能性成分は、融点が20℃以上の脂溶性機能性成分であればよく、例えば、ピペリン、カプサイシン、ショウガオール等のバニロイド類、テトラヒドロクルクミン、クルクミン等のクルクミノイド類、β-カロテン、カプサンチン、リコピン、ルテイン、アスタキサンチン等のカロテノイド類、セサミン、ラリシレシノール等のリグナン類、コエンザイムQ10、α-リポ酸等が例示でき、一種又は二種以上を使用できる。
本発明に記載の(a)脂溶性機能性成分溶解物は、前記の融点が20℃以上の脂溶性機能性成分を、溶媒用の乳化剤に溶解させたものであればよく、好ましくは20~200℃、より好ましくは30~180℃の加熱下で、該脂溶性機能性成分と乳化剤とを混合することで調製できる。溶媒用乳化剤は特に限定されないが、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル等が例示でき、一種又は二種以上を使用できる。該乳化剤のHLB値(Hydrophile-Lipophile Balance Value)は、0.5~10が好ましく、1~8がより好ましい。(a)脂溶性機能性成分溶解物中の、融点が20℃以上の脂溶性機能性成分の割合は、1~50重量%が好ましく、2~30重量%がより好ましい。融点が20℃以上の脂溶性機能性成分は、単体では、(b)~(e)と混合しても本発明のエマルションが得られないが、予め溶媒用乳化剤に溶解して、(a)脂溶性機能性成分溶解物とすることで、(b)~(e)と混合して本発明のエマルションを得ることができる。
原料全体を100重量%とした場合又は脂溶性機能性成分含有エマルション全体を100重量%とした場合に、(a)脂溶性機能性成分溶解物を0.5~20重量%含むのが好ましく、1~10重量%含むのがより好ましく、2~5重量%含むのがさらに好ましい。脂溶性機能性成分含有エマルション中の脂溶性機能性成分は特に限定されないが、0.1~5重量%含むのが好ましく、0.12~4重量%含むのがより好ましい。
本発明に記載の(b)酵素分解レシチンは、大豆レシチン、ひまわりレシチン、卵黄レシチン等のレシチンを、ホスホリパーゼ等の酵素で分解することによって得ることができ、市販品を使用することができる。(a)脂溶性機能性成分溶解物の含有量に対して、0.4~3倍重量の(b)酵素分解レシチンを含むのが好ましく、0.5~2倍重量含むのがより好ましい。酵素分解レシチン中のリン脂質含有量は、本発明の脂溶性機能性成分含有エマルションが得られれば特に限定されないが、40重量%以上が好ましく、60重量%以上がより好ましく、80重量%以上がさらに好ましい。(a)脂溶性機能性成分溶解物の含有量に対して、0.4~3倍重量のリン脂質含有量になるように、酵素分解レシチンを含むのがより好ましい。前記(a)、(c)、(d)及び(e)と共に酵素分解レシチンを含む脂溶性機能性成分含有エマルションは乳化粒子径が小さく、耐酸・耐熱性を有し、乳化安定性に優れている。
本発明に記載の(c)ポリグリセリン脂肪酸エステルは、本発明の脂溶性機能性成分含有エマルションが得られれば特に限定されず、市販の食品用乳化剤を使用することができる。デカグリセリンモノカプレート、テトラグリセリンモノラウレート、ペンタグリセリンモノラウレート、ヘキサグリセリンモノラウレート、デカグリセリンモノラウレート、ペンタグリセリンモノミリステート、デカグリセリンモノミリステート、ペンタグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンジステアレート、ペンタグリセリンモノオレエート、ヘキサグリセリンモノオレエート、デカグリセリンモノオレエート等が例示でき、一種又は二種類以上を使用できる。ポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値(Hydrophile-Lipophile Balance Value)は、10~20が好ましく、12~18がより好ましい。
(a)脂溶性機能性成分溶解物の含有量に対して、0.4~3倍重量の(c)ポリグリセリン脂肪酸エステルを含むのが好ましく、0.5~2倍重量含むのがより好ましい。前記(a)、(b)、(d)及び(e)と共にポリグリセリン脂肪酸エステルを含む脂溶性機能性成分含有エマルションは乳化粒子径が小さく、耐冷凍性及び耐酸・耐熱性を有し、乳化安定性に優れている。
本発明に記載の(d)ポリオールは、二価以上のアルコールであれば特に限定されず、グリセリン、プロピレングリコール、1、3-ブタンジオール、エリスリトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、イノシトール、マルチトール、ラクチトール、還元水あめ、還元澱粉分解物、フルクトース、グルコース、ガラクトース、マンノース、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、澱粉分解物、水溶性食物繊維等が例示でき、一種又は二種類以上を使用できる。
原料全体を100重量%とした場合又は脂溶性機能性成分含有エマルション全体を100重量%とした場合に(d)ポリオールを10~80重量%含むのが好ましく、15~75重量%含むのがより好ましく、20~70重量%含むのがさらに好ましい。(a)、(b)、(c)及び(e)と共にポリオールを含む脂溶性機能性成分含有エマルションは乳化粒子径が小さく、耐冷凍性及び耐酸・耐熱性を有し、乳化安定性に優れている。
本発明に記載の(e)水は、飲食品に配合できる水であればよく、特に限定されない。原料全体を100重量%とした場合又は脂溶性機能性成分含有エマルション全体を100重量%とした場合に(e)水を5~75重量%含むのが好ましく、10~70重量%含むのがより好ましい。
乳化処理は、前記成分を混合し、均質化すればよく、一般的な乳化方法で行うことができる。例えば、水に酵素分解レシチン及びポリグリセリン脂肪酸エステルを溶解させた後、ポリオールを混合することで水相部を調製し、この水相部と、脂溶性機能性成分を溶媒用乳化剤に溶解させた油相部とを、公知の乳化方法により乳化処理することで製造できる。乳化処理に用いる乳化装置としては、ホモジナイザー、ホモミキサー、コロイドミル等の高速回転型乳化装置、高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、ナノマイザー等の高圧乳化装置、超音波式乳化装置、膜式乳化装置等を例示でき、二種類以上の装置を組み合わせてもよい。本発明は、常圧下での乳化処理で、微細な乳化粒子が均一に分散した乳化物を得ることが可能なため、特殊な減圧装置等を必要とせず、製造コストが安く、容易に脂溶性機能性成分含有エマルションを製造することが可能である。
本発明の脂溶性機能性成分含有エマルションは、微細な乳化粒子径を有していれば特に限定されないが、平均粒子径は10~200nmが好ましく、10~160nmがより好ましく、10~100nmがさらに好ましい。乳化粒子の平均粒子径は、市販の粒度分布計等で測定することができる。本発明の脂溶性機能性成分含有エマルションは微細な乳化粒子径を有することで、乳化が壊れにくく、乳化安定性に優れている。さらに、濁りが忌避されるようなクリアな液状食品に添加した際でも、白濁することなく透明性を保持できる。
また、本発明の脂溶性機能性成分含有エマルションは、耐冷凍性及び耐酸・耐熱性を有する。詳細には、[評価試験3]に記載の条件で耐冷凍性試験及び耐酸・耐熱性試験を行った後も乳化状態を維持でき、1%水溶液の試験後の濁度は、好ましくはOD650が0.20以下、より好ましくは0.15以下、さらに好ましくは0.10以下である。
本発明の脂溶性機能性成分含有エマルションを各食品へ添加することで、脂溶性機能性成分含有エマルションを含む食品を製造できる。添加する食品は特に限定されないが、ソース、ドレッシング等の調味料、非アルコール飲料、アルコール飲料等の飲料、スープ等の液状食品が例示できる。特に前記(a)~(e)を含む脂溶性機能性成分含有エマルションは、耐酸性を有することから、乳化が壊れやすい酸性食品への添加も可能である。各食品への添加量は特に限定されないが、好ましくは0.01~20%、より好ましくは0.05~10%、さらに好ましくは0.1~5%である。
以下、実施例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明は以下の例によって限定されるものではない。尚、本発明において、%は別記がない限り全て重量%である。
脂溶性機能性成分としてピペリン(融点:131℃)を96%含有する黒コショウエキス(バイオアクティブズジャパン株式会社製)0.5gと溶媒用乳化剤としてグリセリン脂肪酸エステルであるポエムDO-100V(HLB:7.3、理研ビタミン株式会社製)9.5gとを90℃で10分間加熱混合してピペリンを溶解させることでピペリン溶解物9gを得た。
次に、水道水9.8gに、酵素分解レシチンであるSLP-ホワイトリゾ(リン脂質含有量:92%以上、辻製油株式会社製)0.8g、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしてサンソフトQ-14S(HLB:14.5、太陽化学株式会社製)0.8gを溶解させた後、ポリオールとしてグリセリン(食品添加物、阪本薬品工業株式会社製)8gを混合し、さらに事前に調製したピペリン溶解物0.6gを加えて、ホモジナイザー(ヒスコトロンNS-20、株式会社マイクロテック・ニチオン製)を用いて乳化処理(15,000rpm、1分間)することにより、ピペリン含有エマルション18gを得た。原料割合を表1に示した。また、酵素分解レシチン中のリン脂質についても、原料に占める割合を示した。
脂溶性機能性成分としてピペリン(融点:131℃)を96%含有する黒コショウエキス(バイオアクティブズジャパン株式会社製)0.5gと乳化剤としてプロピレングリコール脂肪酸エステルであるリケマールPO-100V(HLB:3.6、理研ビタミン株式会社製)9.5gとを90℃で10分間加熱混合してピペリンを溶解させることでピペリン溶解物9gを得た。
次に、水道水9.8gに、酵素分解レシチンであるSLP-ホワイトリゾ(リン脂質含有量:92%以上、辻製油株式会社製)0.8g、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしてサンソフトQ-17S(HLB:12.0、太陽化学株式会社製)(実施例2-1)、サンソフトA-171E(HLB:13.0、太陽化学株式会社製)(実施例2-2)、サンソフトQ-14S(HLB:14.5、太陽化学株式会社製)(実施例2-3)又はSYグリスターMM-750(HLB:15.7、阪本薬品工業株式会社製)(実施例2-4)各0.8gを溶解させた後、ポリオールとしてグリセリン(食品添加物、阪本薬品工業株式会社製)8gを混合し、さらに事前に調製したピペリン溶解物0.6gを加えて、ホモジナイザー(ヒスコトロンNS-20、株式会社マイクロテック・ニチオン製)を用いて乳化処理(15,000rpm、1分間)することにより、ピペリン含有エマルション各18gを得た。原料割合を表1に示した。また、酵素分解レシチン中のリン脂質についても、原料に占める割合を示した。
[比較例1]
ピペリンを、溶媒用乳化剤の代わりに中鎖脂肪酸油であるサンクリスタル(日清オイリオグループ株式会社製)に溶解してピペリン油溶物を調製し、それ以外は実施例1と同様に処理して、ピペリン含有エマルション18gを得た。原料割合を表1に示した。また、酵素分解レシチン中のリン脂質についても、原料に占める割合を示した。
[比較例2]
水道水10.37gに、酵素分解レシチンであるSLP-ホワイトリゾ(リン脂質含有量:92%以上、辻製油株式会社製)0.8g、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしてサンソフトQ-14S(HLB:14.5、太陽化学株式会社製)0.8gを溶解させた後、ポリオールとしてグリセリン(食品添加物、阪本薬品工業株式会社製)8gを混合し、さらにピペリン(融点:131℃)を96%含有する黒コショウエキス0.03gを加えて、ホモジナイザー(ヒスコトロンNS-20、株式会社マイクロテック・ニチオン製)を用いて乳化処理(15,000rpm、1分間)を行ったが、乳化物は得られず、ピペリンが分散したピペリン分散液18gを得た。原料割合を表1に示した。また、酵素分解レシチン中のリン脂質についても、原料に占める割合を示した。
[評価試験1]
(ピペリン含有量の測定)
実施例1、2-1~2-4及び比較例1の各ピペリン含有エマルション、並びに比較例2のピペリン分散液中のピペリン含有量について、HPLCを用いて下記測定条件で測定し、結果を表1に示した。
<HPLCの測定条件>
・検出器:UV検出器(340nm)
・カラム:InertSustain C18(内径4.6mm、長さ250mm)
・移動相:30%アセトニトリル水溶液から100%アセトニトリルヘグラジエント
・流速:1.0ml/分
・カラム温度:40℃
・標品:生化学用試薬のピペリン(ピペリン:95%、和光純薬工業株式会社製)をアセトニトリルに溶解して、検量線を作成した。
・検体:各試料をジメチルスルホキシドで希釈したもの。
[評価試験2]
(平均粒子径の測定)
実施例1、2-1~2-4及び比較例1の各ピペリン含有エマルションについて、粒度分布測定装置(SALD-2200、株式会社島津製作所製)を用いて乳化粒子の平均粒子径を測定し、結果を表1に示した。
[評価試験3]
(1%水溶液の耐冷凍性試験又は耐熱・耐酸性試験前後の濁度)
実施例1、2-1~2-4及び比較例1の各ピペリン含有エマルション、並びに比較例2のピペリン分散液について、(1)耐冷凍性試験又は(2)耐熱・耐酸性試験を行い、試験前後の濁度を測定し、結果を表1に示した。なお、各試験は、各ピペリン含有エマルション又はピペリン分散液の1%水溶液を調製して検体とし、調製直後、(1)耐冷凍性試験後又は(2)耐熱・耐酸性試験後に、分光光度計(V-660:日本分光株式会社製)を用いて、光路長1cm、波長650nmの条件で光学密度650(OD650)を測定した。(1)耐冷凍性試験は、検体を-20℃で24時間冷凍保存後、解凍した。(2)耐酸・耐熱性試験は、検体を酸性(pH4)条件下で121℃、20分間加熱処理した。
Figure 0007110529000001
ピペリンを溶媒用乳化剤に予め溶解してピペリン溶解物を調製した後で、酵素分解レシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオール及び水と混合して乳化処理した実施例1及び2-1~2-4は、溶媒用乳化剤のHLB値が7.3又は3.6の何れでも、また、乳化時のポリグリセリン脂肪酸エステルのHLB値が12~15.7の何れでも、ピペリン含有エマルションが得られ、何れも脂溶性機能性成分であるピペリンを0.13%以上含有するとともに、乳化粒子の平均粒子径が200nm未満だった。また、各ピペリン含有エマルションの1%水溶液の調製直後、耐冷凍性試験後及び耐酸・耐熱性試験後の液は何れも透明度が高く、OD650は何れも0.09未満であったことから、耐冷凍性及び耐酸・耐熱性に優れていることが明らかになった。
一方、ピペリンの溶媒として乳化剤の代わりに、中鎖脂肪酸油を用いた比較例1又は溶媒を使用しなかった比較例2では、酵素分解レシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオール及び水と混合して処理しても、乳化粒子の平均粒子径が451nmと大きいか、又は乳化できなかった。また、何れもピペリン含有量は0.06%と、理論値の半分以下であった。
以上より、脂溶性機能性成分である融点131℃のピペリンは、HLB値が3~8の溶媒用乳化剤に予め溶解してピペリン溶解物とした後で、酵素分解レシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオール及び水と混合して、乳化することで、本発明の脂溶性機能性成分含有エマルションが得られ、また、異なるHLB値のポリグリセリン脂肪酸エステルを用いても、平均粒子径が200nm未満と小さく、耐冷凍性及び耐酸・耐熱性に優れた本発明の脂溶性機能性成分含有エマルションが得られることが分かった。
脂溶性機能性成分としてピペリン(融点:131℃)を96%含有する黒コショウエキス(バイオアクティブズジャパン株式会社製)0.5gと溶媒用乳化剤としてプロピレングリコール脂肪酸エステルであるリケマールPO-100V(HLB:3.6、理研ビタミン株式会社製)9.5gとを90℃で10分間加熱混合してピペリンを溶解させることでピペリン溶解物9gを得た。
次に、水道水9gに、酵素分解レシチンであるSLP-ホワイトリゾ(リン脂質含有量:92%以上、辻製油株式会社製)0.4g(実施例3-1)、0.6g(実施例3-2)又は1.0g(実施例3-3)、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしてサンソフトQ-14S(HLB:14.5、太陽化学株式会社製)0.8gを溶解させた後、ポリオールとしてグリセリン(食品添加物、阪本薬品工業株式会社製)8gを混合し、さらに、それぞれの総重量が19.4gとなるように水道水を加えて混合した。これらに事前に調製したピペリン溶解物0.6gを加えて、ホモジナイザー(ヒスコトロンNS-20、株式会社マイクロテック・ニチオン製)を用いて乳化処理(15,000rpm、1分間)することにより、ピペリン含有エマルション各18gを得た。原料割合を表2に示した。また、酵素分解レシチン中のリン脂質についても、原料に占める割合を示した。
[比較例3]
酵素分解レシチンの代わりに、レシチンであるSLP-ホワイト(リン脂質含有量:96%以上、辻製油株式会社製)0.8gを用い、それ以外は実施例2-3と同様に処理して、ピペリン含有エマルション18gを得た。原料割合を表2に示した。また、レシチン中のリン脂質についても、原料に占める割合を示した。
[比較例4]
実施例3記載の方法から、酵素分解レシチンを除き、それ以外は実施例3と同様に処理して、ピペリン含有エマルション18gを得た。原料割合を表2に示した。
[評価試験4]
実施例3-1~3-3、比較例3及び4の各ピペリン含有エマルションについて、前記評価試験1~3と同様に評価試験を実施し、結果を表2に示した。
Figure 0007110529000002
ピペリン含有エマルション中の酵素処理レシチン含有量が2~5%(リン脂質含有量として1.8~4.6%)となるように配合して調製した実施例3-1~3-3の各ピペリン含有エマルションは、何れも脂溶性機能性成分であるピペリンを0.14%以上含有するとともに、乳化粒子の平均粒子径が100nm未満であった。また、各ピペリン含有エマルションの1%水溶液の調製直後、耐冷凍性試験後及び耐酸・耐熱性試験後の液は何れも透明度が高く、OD650は何れも0.12未満であったことから、耐冷凍性及び耐酸・耐熱性に優れていることが明らかになった。
一方、酵素分解レシチンの代わりにレシチンを使用して調製した比較例3又は酵素分解レシチンを配合せずに調製した比較例4のピペリン含有エマルションでは、何れも乳化粒子の平均粒子径は小さく、1%水溶液の調製直後のOD650は0.12未満だったが、耐冷凍性試験後の比較例3は0.25を超え、耐酸・耐熱性試験後は何れも0.3を超えており、乳化安定性が悪かった。
以上より、酵素分解レシチンを使用することで、平均粒子径が小さく、かつ耐冷凍性及び耐酸・耐熱性に優れた脂溶性機能性成分含有エマルションが得られることが分かった。
脂溶性機能性成分としてピペリン(融点:131℃)を96%含有する黒コショウエキス(バイオアクティブズジャパン株式会社製)0.5gと溶媒用乳化剤としてプロピレングリコール脂肪酸エステルであるリケマールPO-100V(HLB:3.6、理研ビタミン株式会社製)9.5gとを90℃で10分間加熱混合してピペリンを溶解させることでピペリン溶解物9gを得た。
次に、水道水9gに、酵素分解レシチンであるSLP-ホワイトリゾ(リン脂質含有量:92%以上、辻製油株式会社製)0.8g、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしてサンソフトQ-14S(HLB:14.5、太陽化学株式会社製)0.4g(実施例4-1)、0.6g(実施例4-2)又は1.0g(実施例4-3)を溶解させた後、ポリオールとしてグリセリン(食品添加物、阪本薬品工業株式会社製)8gを混合し、さらに、それぞれの総重量が19.4gとなるように水道水を加えて混合した。これらに事前に調製したピペリン溶解物0.6gを加えて、ホモジナイザー(ヒスコトロンNS-20、株式会社マイクロテック・ニチオン製)を用いて乳化処理(15,000rpm、1分間)することにより、ピペリン含有エマルション各18gを得た。原料割合を表3に示した。また、酵素分解レシチン中のリン脂質についても、原料に占める割合を示した。
[比較例5]
実施例4記載の方法から、ポリグリセリン脂肪酸エステルを除き、それ以外は実施例4と同様に処理して、ピペリン含有エマルション18gを得た。原料割合を表3に示した。また、酵素分解レシチン中のリン脂質についても、原料に占める割合を示した。
[評価試験5]
実施例4-1~4-3及び比較例5の各ピペリン含有エマルションについて、前記評価試験1~3と同様に評価試験を実施し、結果を表3に示した。
Figure 0007110529000003
ピペリン含有エマルション中のポリグリセリン脂肪酸エステル含有量が2~5%となるように配合して調製した実施例4-1~4-3の各ピペリン含有エマルションは、何れも脂溶性機能性成分であるピペリンを0.15%含有するとともに、乳化粒子の平均粒子径が100nm以下であった。また、各ピペリン含有エマルションの1%水溶液の調製直後、耐冷凍性試験後及び耐酸・耐熱性試験後の液は何れも透明度が高く、OD650は何れも0.11未満であり、耐冷凍性及び耐酸・耐熱性に優れていることが明らかになった。
一方、ポリグリセリン脂肪酸エステルを配合せずに調製した比較例5のピペリン含有エマルションでは、乳化粒子の平均粒子径が496nmと大きかった。
以上より、ポリグリセリン脂肪酸エステルを少なくとも2~5%程度使用することで、平均粒子径が小さく、かつ耐冷凍性及び耐酸・耐熱性に優れた脂溶性機能性成分含有エマルションが得られることが分かった。
脂溶性機能性成分としてテトラヒドロクルクミン(融点:92℃)を95%含有するホワイトクルクミノイド(株式会社サビンサジャパンコーポレーション製)0.5gと溶媒用乳化剤として有機酸モノグリセリドであるポエムG-002(HLB:2.0、理研ビタミン株式会社製)9.5gとを70℃で30分間加熱混合してテトラヒドロクルクミンを溶解させることでテトラヒドロクルクミン溶解物9gを得た。
次に、水道水9.8gに、酵素分解レシチンであるSLP-ホワイトリゾ(リン脂質含有量:92%以上、辻製油株式会社製)0.8g、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしてサンソフトQ-14S(HLB:14.5、太陽化学株式会社製)0.8gを溶解させた後、ポリオールとしてグリセリン(食品添加物、阪本薬品工業株式会社製)8gを混合し、さらに事前に調製したテトラヒドロクルクミン溶解物0.6gを加えて、ホモジナイザー(ヒスコトロンNS-20、株式会社マイクロテック・ニチオン製)を用いて乳化処理(15,000rpm、1分間)することにより、テトラヒドロクルクミン含有エマルション18gを得た。原料割合を表4に示した。また、酵素分解レシチン中のリン脂質についても、原料に占める割合を示した。
[比較例6]
実施例5記載の方法から、酵素分解レシチンを除き、それ以外は実施例5と同様に処理して、テトラヒドロクルクミン含有エマルション18gを得た。原料割合を表4に示した。
[比較例7]
実施例5記載の方法から、ポリグリセリン脂肪酸エステルを除き、それ以外は実施例5と同様に処理して、テトラヒドロクルクミン含有エマルション18gを得た。原料割合を表4に示した。また、酵素分解レシチン中のリン脂質についても、原料に占める割合を示した。
[評価試験6]
(テトラヒドロクルクミン含有量の測定)
実施例5、比較例6及び7の各テトラヒドロクルクミン含有エマルションのテトラヒドロクルクミン含有量について、HPLCを用いて下記測定条件で測定し、結果を表4に示した。
<HPLCの測定条件>
・検出器:UV検出器(282nm)
・カラム:InertSustain C18(内径4.6mm、長さ250mm)
・移動相:40%アセトニトリル水溶液から80%アセトニトリル水溶液へグラジエント
・流速:0.8ml/分
・カラム温度:40℃
・標品:ホワイトクルクミノイド(テトラヒドロクルクミン:95%、株式会社サビンサジャパンコーポレーション製)をジメチルスルホキシドに溶解して、検量線を作成した。
・検体:各試料をジメチルスルホキシドで希釈したもの。
[評価試験7]
実施例5、比較例6及び7の各テトラヒドロクルクミン含有エマルションについて、前記評価試験2及び3と同様に評価試験を実施し、結果を表4に示した。
Figure 0007110529000004
テトラヒドロクルクミンを溶媒用乳化剤に予め溶解してテトラヒドロクルクミン溶解物を調製した後で、酵素分解レシチン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオール及び水と混合して乳化処理した実施例4のテトラヒドロクルクミン含有エマルションは、脂溶性機能性成分であるテトラヒドロクルクミンを0.15%含有するとともに、乳化粒子の平均粒子径が100nm未満だった。また、テトラヒドロクルクミン含有エマルションの1%水溶液の調製直後、耐冷凍性試験後及び耐酸・耐熱性試験後の液は何れも透明度が高く、OD650は何れも0.02未満であったことから、耐冷凍性及び耐酸・耐熱性に優れていることが明らかになった。
一方、酵素分解レシチンを配合せずに調製した比較例6のテトラヒドロクルクミン含有エマルションでは、乳化粒子の平均粒子径は小さく、1%水溶液の調製直後及び耐冷凍性試験後の液は透明度が高かったが、耐酸・耐熱性試験後のOD650は0.5を超えており、耐酸・耐熱性が悪かった。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルを配合せずに調製した比較例7のテトラヒドロクルクミン含有エマルションでは、乳化粒子の平均粒子径が523nmと大きかった。
以上より、脂溶性機能性成分である融点92℃のテトラヒドロクルクミンは、溶媒用乳化剤に予め溶解して脂溶性機能性成分溶解物を調製した後で、ポリオール及び水の他、酵素分解レシチン及びポリグリセリン脂肪酸エステルを使用して乳化処理することで、平均粒子径が小さく、かつ耐冷凍性及び耐酸・耐熱性に優れた脂溶性機能性成分含有エマルションが得られることが分かった。
脂溶性機能性成分としてコエンザイムQ10(融点:48℃)を99%含有するカネカ・コエンザイムQ10(株式会社カネカ製)2gと溶媒用乳化剤として有機酸モノグリセリドであるポエムG-002(HLB:2.0、理研ビタミン株式会社製)8gとを50℃で30分間加熱混合してコエンザイムQ10を溶解させることでコエンザイムQ10溶解物9gを得た。
次に、ポリオールとしてグリセリン(食品添加物、阪本薬品工業株式会社製)4g(実施例6-1)、8g(実施例6-2)又は14g(実施例6-3)に、それぞれの総重量が17.8gとなるように水道水を加えた混合液に、酵素分解レシチンであるSLP-ホワイトリゾ(リン脂質含有量:92%以上、辻製油株式会社製)0.8g、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしてサンソフトQ-14S(HLB:14.5、太陽化学株式会社製)0.8gを溶解させた後、事前に調製したコエンザイムQ10溶解物0.6gを加えて、ホモジナイザー(ヒスコトロンNS-20、株式会社マイクロテック・ニチオン製)を用いて乳化処理(15,000rpm、1分間)することにより、コエンザイムQ10含有エマルション各18gを得た。原料割合を表5に示した。また、酵素分解レシチン中のリン脂質についても、原料に占める割合を示した。
[比較例8]
実施例6記載の方法から、ポリオールを除き、それ以外は実施例6と同様に処理して、コエンザイムQ10含有エマルション18gを得た。原料割合を表5に示した。また、酵素分解レシチン中のリン脂質についても、原料に占める割合を示した。
[評価試験8]
(コエンザイムQ10含有量の測定)
実施例6-1~3及び比較例8の各コエンザイムQ10含有エマルション中のコエンザイムQ10含有量について、HPLCを用いて下記測定条件で測定し、結果を表5に示した。
<HPLCの測定条件>
・検出器:UV検出器(275nm)
・カラム:InertSustain C18(内径4.6mm、長さ250mm)
・移動相:メタノール/エタノール=65/35
・流速:1.5ml/分
・カラム温度:40℃
・標品:カネカ・コエンザイムQ10(コエンザイムQ10:99%、株式会社カネカ製)をアセトンに溶解して、検量線を作成した。
・検体:各試料をジメチルスルホキシドで希釈したもの。
[評価試験9]
実施例6-1~6-3及び比較例8の各コエンザイムQ10含有エマルションについて、前記評価試験2及び3と同様に評価試験を実施し、結果を表5に示した。
Figure 0007110529000005
コエンザイムQ10を溶媒用乳化剤に予め溶解してコエンザイムQ10溶解物を調製した後で、コエンザイムQ10含有エマルション中のポリオール含有量が20~70%となるように配合して調製した実施例6-1~6-3の各コエンザイムQ10含有エマルションは、何れも脂溶性機能性成分であるコエンザイムQ10を0.59%以上含有するとともに、乳化粒子の平均粒子径が100nm未満だった。また、コエンザイムQ10含有エマルションの1%水溶液の調製直後、耐冷凍性試験後及び耐酸・耐熱性試験後の液は何れも透明度が高く、OD650は何れも0.05未満であったことから、耐冷凍性及び耐酸・耐熱性に優れていることが明らかになった。
一方、ポリオールを配合せずに調製した比較例8のコエンザイムQ10含有エマルションでは、乳化粒子の平均粒子径が409nmと大きく、1%水溶液の調製直後及び耐酸・耐熱性試験後の液は透明度が高かったが、耐冷凍性試験後のOD650は0.25を超えており、耐冷凍性が悪かった。
以上より、脂溶性機能性成分である融点48℃のコエンザイムQ10は、溶媒用乳化剤に予め溶解して脂溶性機能性成分溶解物を調製した後で、水、酵素分解レシチン及びポリグリセリン脂肪酸エステルの他、ポリオールを使用して乳化処理することで、平均粒子径が小さく、かつ耐冷凍性及び耐酸・耐熱性に優れた脂溶性機能性成分含有エマルションが得られることが分かった。

Claims (7)

  1. (a)融点20℃以上の脂溶性機能性成分を乳化剤に溶解させた脂溶性機能性成分溶解物、(b)酵素分解レシチン、(c)ポリグリセリン脂肪酸エステル、(d)ポリオール及び(e)水を含み、平均粒子径が10~200nmである、脂溶性機能性成分含有エマルション。
  2. (a)脂溶性機能性成分溶解物0.5~20重量%、(d)ポリオール10~80重量%及び(e)水5~75重量%を含む、請求項1記載の脂溶性機能性成分含有エマルション。
  3. 脂溶性機能性成分溶解物の0.4~3倍重量の(b)酵素分解レシチン及び脂溶性機能性成分溶解物の0.4~3倍重量の(c)ポリグリセリン脂肪酸エステルを含む、請求項1又は2記載の脂溶性機能性成分含有エマルション。
  4. (a)脂溶性機能性成分溶解物中の乳化剤がHLB0.5~10である、請求項1~3の何れか1項記載の脂溶性機能性成分含有エマルション。
  5. 融点20℃以上の脂溶性機能性成分を0.1~5重量%を含む、請求項1~4の何れか1項に記載の脂溶性機能性成分含有エマルション。
  6. 請求項1~の何れか1項に記載の脂溶性機能性成分含有エマルションの製造方法。
  7. 請求項1~の何れか1項に記載の脂溶性機能性成分含有エマルションを含む食品。
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