JP7109727B2 - 正弦波ノイズ除去装置及び正弦波ノイズ除去方法 - Google Patents
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Description
ノイズのひとつに交流電源由来等の正弦波ノイズがあり、このような正弦波ノイズへの対策に関する技術が特許文献1で開示されている。
特許文献1の技術は、正弦波ノイズ対策としては簡便且つ有効な方法であるが、移動平均を用いるものであるため、移動平均に使用した信号値の時間間隔に基づく遅れが生じてしまう。例えば、現時点の信号値と1秒前の信号値の2点の信号値の移動平均をとった場合、これによって得られる値は0.5秒前の値に相当し、従って、0.5秒の遅れが生じるのと同義となるものである。
このような時間遅れは、高速で高精度な処理に対する妨げとなるものであった。
正弦波ノイズが乗っている信号に対し、前記正弦波ノイズが相互に打ち消される測定点のペアにおいて前記正弦波ノイズが乗っている信号を測定し、当該測定した測定値の移動平均を前記信号の信号値とする正弦波ノイズ除去部と、前記信号の信号波形の近似式情報を取得する近似式情報取得部と、前記移動平均によって生じる遅れ時間を取得する遅れ時間取得部と、前記近似式情報と前記遅れ時間に基づいて、前記遅れ時間に対応する前記信号値の変化量である信号値変化量を算出する信号値変化量算出部と、前記正弦波ノイズ除去部によって得られた信号値に、前記信号値変化量を加算する遅れ補償部と、を備えることを特徴とする正弦波ノイズ除去装置。
正弦波ノイズが乗っている信号に対し、前記正弦波ノイズが相互に打ち消される測定点のペアにおいて前記正弦波ノイズが乗っている信号を測定し、当該測定した測定値の移動平均を前記信号の信号値とする正弦波ノイズ除去部と、下記の計算式に基づいて、前記正弦波ノイズ除去部によって得られた信号値の遅れ補償処理を行う遅れ補償部と、を備えることを特徴とする正弦波ノイズ除去装置。
正弦波ノイズが乗っている信号に対し、前記正弦波ノイズが相互に打ち消される測定点のペアにおいて前記正弦波ノイズが乗っている信号を測定し、当該測定した測定値の移動平均を前記信号の信号値とする正弦波ノイズ除去ステップと、前記信号の信号波形の近似式情報を取得する近似式情報取得ステップと、前記移動平均によって生じる遅れ時間を取得する遅れ時間取得ステップと、前記近似式情報と前記遅れ時間に基づいて、前記遅れ時間に対応する前記信号値の変化量である信号値変化量を算出する信号値変化量算出ステップと、前記正弦波ノイズ除去ステップによって得られた信号値に、前記信号値変化量を加算する遅れ補償ステップと、を備えることを特徴とする正弦波ノイズ除去方法。
正弦波ノイズが乗っている信号に対し、前記正弦波ノイズが相互に打ち消される測定点のペアにおいて前記正弦波ノイズが乗っている信号を測定し、当該測定した測定値の移動平均を前記信号の信号値とする正弦波ノイズ除去ステップと、下記の計算式に基づいて、前記正弦波ノイズ除去ステップによって得られた信号値の遅れ補償処理を行う遅れ補償ステップと、を備えることを特徴とする正弦波ノイズ除去方法。
正弦波ノイズ除去装置1は、入力部11と、入力部11に入力されるアナログ信号(例えば温度センサからの信号等)を、A/D変換してマイコン13に入力するA/D変換部12と、正弦波ノイズ除去処理や、遅れ補償処理を行うマイコン13と、出力部14と、を備える。
図2には、簡単化のため0出力の信号に対して正弦波ノイズが乗っているものを例示した。図2は、正弦波ノイズ1周期の中で2つのペアの測定点、即ち、正弦波ノイズ1周期の中に4つの測定点を設けた例であり、従って、各測定点の間隔は正弦波ノイズ周期の1/4である。
図2から理解されるように、測定点anと測定点an-2、測定点an-1と測定点an-3がそれぞれペアとなり、これらを加算すると0になる。即ち、ペア数をmとした場合において、2mの測定点を正弦波ノイズの周期の1/2m間隔で測定し、これらを加算すると、正弦波ノイズがキャンセルされる。
図2では、信号出力を0としているが、信号出力がある場合には、各測定点an~an-3の加算によって信号出力も加算されることになるため、これを測定点の数(ここでは4)で除算する(即ち、移動平均をとる)ことによって、正弦波ノイズが除去された信号値bnを得ることができる。
正弦波ノイズが除去された信号値bnは、下記の数3によって算出することができる。
図2の例において、測定点an~an-3に基づいて移動平均を算出した場合、これによって得られる信号値bnは、信号波形が一次関数である場合、測定点an~an-3の真ん中の時点(an-1とan-2の真ん中)における信号値に相当する。即ち、3/8周期の遅れが生じているのに等しい結果となる。測定点anとan-2の1つのペアに基づいて移動平均を算出した場合、これによって得られる信号値bnは、anとan-2の真ん中における信号値に相当する。即ち、1/4周期の遅れが生じているのに等しい結果となる。
図3における実線は信号の測定値(信号値に正弦波ノイズが重畳されているもの)としてのラインであり、一点鎖線は移動平均による正弦波ノイズ除去後の信号値を示すラインである。これに対し、点線は、真の信号値を示すラインである。
図3は測定点のペア数mが1、即ち測定点が2つである場合の例である。
前述のごとく、測定点が2つ(2つの測定点の間隔が1/2周期)である場合、遅れ(以下、「遅れ時間」という)は1/4周期となる。即ち、点線で示した真の信号値に対して、一点鎖線で示した正弦波ノイズ除去後の信号値は、1/4周期の遅れが生じているのに等しい結果となる。
この遅れは、正弦波ノイズ除去後の信号値bnに対して、遅れ時間(ここの例では1/4周期)の間に信号値が変化した変化量(以下、「信号値変化量」という)を加算することによって補償することができる。
信号値変化量は、信号波形が一次関数である場合には、下記の数4によって算出することができる。なお、“信号波形が一次関数である場合”とは、bn-1とbnの時間間隔における信号波形を一次関数とみなし得る場合を含む。
上記に基づき、遅れ補償した信号値cnは、下記の数5によって算出することができる。
ステップ402では、A/D変換部12から入力される信号の値を、測定値asとして取得する処理を行う。
次の測定点の測定時が到来した場合には、sをインクリメントし(ステップ408:Yes→ステップ409)、ステップ402へと戻り、A/D変換部12から入力される信号の値を、測定値asとして取得する処理を行う。
ステップ405では、上述した数3に基づく計算を行い、これをbnに代入する。
即ち、マイコン13は、「正弦波ノイズが乗っている信号に対し、前記正弦波ノイズが相互に打ち消される測定点のペアにおいて前記正弦波ノイズが乗っている信号を測定し、当該測定した測定値の移動平均を前記信号の信号値とする正弦波ノイズ除去部」として機能するものである。
一方、nが1でない場合はbnが複数あることを意味し、この場合にはステップ407へと移行して、上述した数5に基づく計算を行い、これをcnに代入する。
即ち、マイコン13は、「数5に基づいて、前記正弦波ノイズ除去部によって得られた信号値の遅れ補償処理を行う遅れ補償部」として機能するものである。
即ち、信号値bnを何点か取得することによって、信号波形の近似式を算出することが可能であり、また、当該近似式と、移動平均によって算出された値と、移動平均の算出に使用した測定点の時間間隔等に基づいて、遅れ時間を算出することが可能である。そして、信号波形の近似式に基づいて、遅れ時間の間に信号値が変化する変化量を算出することができ、これを信号値bnに加算することによって、遅れ補償した信号値cnを算出する処理を、マイコン13において実行できるものである。
この場合、マイコン13は、「信号波形の近似式情報を取得する近似式情報取得部と、移動平均によって生じる遅れ時間を取得する遅れ時間取得部と、前記近似式情報と前記遅れ時間に基づいて、前記遅れ時間に対応する前記信号値の変化量である信号値変化量を算出する信号値変化量算出部と、前記正弦波ノイズ除去部によって得られた信号値に、前記信号値変化量を加算する遅れ補償部」として機能するものである。
なお、サンプリング周波数が十分に高い場合には、信号波形をサンプリング周期レベルでみると、信号波形を一次関数とみなせることが多く、本実施形態で説明した各数式(若しくはこれを適宜変形させた式)による算出方法で対応可能である。
12...A/D変換部
13...マイコン(正弦波ノイズ除去部、近似式情報取得部、遅れ時間取得部、信号値変化量算出部、遅れ補償部)
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