JP7109573B2 - 回転電機の絶縁構造体および回転電機の絶縁構造体の製造方法 - Google Patents

回転電機の絶縁構造体および回転電機の絶縁構造体の製造方法 Download PDF

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Description

本願は回転電機の絶縁構造体および回転電機の絶縁構造体の製造方法に関するものである。
従来、電磁鋼板をプレス金型で打ち抜いた鋼板を複数枚積層してなる積層鉄心にコイルを巻回するとともに、このコイルと積層鉄心との電気的導通を防止するための絶縁用樹脂からなる樹脂絶縁部を一体成形して構成された回転電機の回転子または固定子などの絶縁構造体が知られている(例えば、下記の特許文献1参照)。
特開平8-98473号公報
上記特許文献1に記載のような回転電機の回転子または固定子の絶縁構造体において、絶縁用樹脂よりなる樹脂絶縁部を一体成形する場合、射出成形方法を用いて成形金型に絶縁用樹脂を充填する際に、絶縁用樹脂の増粘、硬化などの流動抵抗の増加に起因して充填圧力の損失が発生する。この圧力損失は、特に絶縁用樹脂の樹脂流動末端部において大きくなり、絶縁用樹脂を十分に充填できない、または電気的な絶縁性能が低下するといった問題がある。
その対策として、流動性の良い絶縁用樹脂の材料を新たに調合して、成形金型に充填する際の圧力損失の低下を抑えることが考えられる。しかし、このような流動性の良い絶縁用樹脂は、特別に材料調合する必要があるため高価になり、ひいては回転電機の製造コストが増加するという不具合を生じる。
本願に開示される回転電機の絶縁構造体は、
複数枚の鋼板が積層されてなる積層鉄心を備えるとともに、前記積層鉄心には少なくともコイルが巻装される箇所の表面部を覆って樹脂絶縁部が一体形成され、前記樹脂絶縁部上に前記コイルが巻装されている回転電機の絶縁構造体において、
前記樹脂絶縁部は、前記積層鉄心の軸方向に沿って両端面よりも中央側において周方向に向けて肉厚に形成された膨出部を備え
前記樹脂絶縁部は、前記積層鉄心の軸方向の端面に形成された箇所の最大厚さが、前記積層鉄心の軸方向に沿って形成された箇所の最大厚さよりも厚く、かつ、前記積層鉄心の軸方向の端面に形成された箇所に樹脂注入口痕を備えるものである。
また、本願に開示される回転電機の絶縁構造体は、
複数枚の鋼板が積層されてなる積層鉄心を備えるとともに、前記積層鉄心には少なくともコイルが巻装される箇所の表面部を覆う樹脂絶縁部が軸方向の2方向以上から組み立てられ、前記樹脂絶縁部上に前記コイルが巻装されている回転電機の絶縁構造体において、
前記樹脂絶縁部は、前記積層鉄心の軸方向の端面に形成された箇所の最大厚さが、前記積層鉄心の軸方向に沿って形成された箇所の最大厚さよりも厚く、かつ、前記積層鉄心の軸方向の端面に形成された箇所に樹脂注入口痕を有し、
前記樹脂絶縁部は、前記積層鉄心の軸方向の端面の形成された箇所の厚さが均一に形成され、
前記樹脂絶縁部は、前記積層鉄心の軸方向に沿って両端面よりも中央側において周方向に向けて肉厚に形成されたものである。
また、本願に開示される回転電機の絶縁構造体の製造方法は、
鋼板が積層されてなる積層鉄心を備えるとともに、前記積層鉄心には少なくともコイルが巻装される箇所の表面部を覆って樹脂絶縁部が一体形成され、前記樹脂絶縁部上に前記コイルが巻装されている回転電機の絶縁構造体を製造方法であって、
前記樹脂絶縁部の射出成形用の成形金型を適用し、この成形金型の金型内壁には前記積層鉄心の軸方向に沿って両端面よりも中央側において周方向に向けて肉厚となる膨出部形成用の凹部を予め形成しておき、前記成形金型の内部に前記積層鉄心を配置した後、前記成形金型の樹脂注入口から絶縁用樹脂を注入して前記樹脂絶縁部を成形するものである。
また、本願に開示される回転電機の絶縁構造体の製造方法は、
複数枚の鋼板が積層されてなる積層鉄心を備えるとともに、前記積層鉄心には少なくともコイルが巻装される箇所の表面部を覆う樹脂絶縁部が軸方向の2方向以上から組み立てられ、前記樹脂絶縁部上に前記コイルが巻装されている回転電機の絶縁構造体の製造方法であって、
前記樹脂絶縁部を軸方向の2方向以上に分割した射出成形用の成形金型を適用し、この成形金型の金型内壁には前記積層鉄心の軸方向に沿って両端面よりも中央側において周方向に向けて肉厚となる膨出部形成用の凹部を予め形成しておき、前記成形金型の樹脂注入口から絶縁用樹脂を注入して軸方向の2方向以上に分割された前記樹脂絶縁部を成形し、前記成形金型から軸方向の2方向以上に分割された前記樹脂絶縁部を取り出した後、前記積層鉄心に軸方向の2方向以上に分割された前記樹脂絶縁部を軸方向の2方向以上から組み立てるものである。
本願は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、余分なコストアップまたは性能低下を招来することなく、小型で高効率、かつ絶縁性能を有する回転電機の絶縁構造体および回転電機の絶縁構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本願に開示される回転電機の絶縁構造体は、
複数枚の鋼板が積層されてなる積層鉄心を備えるとともに、前記積層鉄心には少なくともコイルが巻装される箇所の表面部を覆って樹脂絶縁部が一体形成され、前記樹脂絶縁部上に前記コイルが巻装されている回転電機の絶縁構造体において、
前記樹脂絶縁部は、前記積層鉄心の軸方向に沿って両端面よりも中央側において周方向に向けて肉厚に形成された膨出部を備え、
前記樹脂絶縁部は、前記積層鉄心の軸方向の両端面に形成された箇所の最大厚さが、前記積層鉄心の軸方向に沿って形成された箇所の最大厚さよりも厚く、かつ、前記積層鉄心の軸方向の両端面に形成された箇所に樹脂注入口痕と、軸方向の両端面における前記樹脂注入口痕の位置から注入され前記樹脂絶縁部を形成する絶縁用樹脂同士が前記膨出部において接して硬化された樹脂流動末端部とを備えるものである。
た、本願に開示される回転電機の絶縁構造体の製造方法は、
鋼板が積層されてなる積層鉄心を備えるとともに、前記積層鉄心には少なくともコイルが巻装される箇所の表面部を覆って樹脂絶縁部が一体形成され、前記樹脂絶縁部上に前記コイルが巻装されている回転電機の絶縁構造体を製造方法であって、
前記樹脂絶縁部の射出成形用の成形金型を適用し、この成形金型の金型内壁には前記積層鉄心の軸方向に沿って両端面よりも中央側において周方向に向けて肉厚となる膨出部形成用の凹部を予め形成しておき、前記成形金型の内部に前記積層鉄心を配置し
た後、前記成形金型において、前記積層鉄心の軸方向の両端面側に設けられた樹脂注入口から絶縁用樹脂を注入し、前記絶縁用樹脂同士が前記膨出部形成用の凹部において接して硬化された樹脂流動末端部を備える前記樹脂絶縁部を成形するものである。
本願の回転電機の絶縁構造体および回転電機の絶縁構造体の製造方法によれば、
余分なコストアップまたは性能低下を招来することなく、小型で高効率、かつ絶縁性能を有することができる。
実施の形態1の回転電機の絶縁構造体として固定子に適用した場合の半周分である6個のティース分を示す斜視図である。 図1の固定子を構成する分割固定子の一つを示す斜視図である。 図2の分割固定子を構成する絶縁分割鉄心を示す斜視図である。 図3の絶縁分割鉄心を径方向から見た正面図である。 図4の絶縁分割鉄心をA-A線に沿って切断した場合の斜視図である。 図3の絶縁分割鉄心を構成する積層鉄心を示す斜視図である。 実施の形態1において絶縁分割鉄心にコイルが巻装された状態を示す断面図である。 比較技術1における絶縁分割鉄心の上にコイルが巻装された状態を示す断面図である。 実施の形態1における固定子の製造方法の工程を示すフローチャートである。 実施の形態1において成形金型を用いて積層鉄心に樹脂絶縁部を射出成形する場合の手順を示す説明図である。 実施の形態1において成形金型を用いて積層鉄心に樹脂絶縁部を射出成形する場合の手順を示す説明図である。 実施の形態1において成形金型を用いて積層鉄心に樹脂絶縁部を射出成形する場合の手順を示す説明図である。 実施の形態1において成形金型を用いて積層鉄心に樹脂絶縁部を射出成形する場合の手順を示す説明図である。 実施の形態1において成形金型を用いて積層鉄心に樹脂絶縁部を射出成形する場合の手順を示す説明図である。 実施の形態1において成形金型を用いて積層鉄心に樹脂絶縁部を射出成形する場合の手順を示す説明図である。 実施の形態1において成形金型を用いて絶縁用樹脂を積層鉄心に注入する場合の部分拡大断面図である。 実施の形態1において成形金型を用いて絶縁用樹脂を積層鉄心に注入する場合の絶縁用樹脂の流動状態を示す説明図である。 成形金型を用いて絶縁用樹脂を注入する場合の絶縁用樹脂に生じる流動抵抗の説明図である。 比較技術2において成形金型を用いて絶縁用樹脂を積層鉄心に注入する場合の部分拡大断面図である。 実施の形態1において積層鉄心に形成される樹脂絶縁部の膨出部の変形例にコイルが巻装された状態とともに示す断面図である。 実施の形態1において積層鉄心に形成される樹脂絶縁部の膨出部の他の変形例にコイルが巻装された状態とともに示す断面図である。 実施の形態2の回転電機の絶縁構造体として回転子に適用した場合の斜視図である。 図17の回転子を構成する絶縁鉄心とシャフトを示す分解斜視図である。 図17の回転子の平面図である。 図19の回転子をB-B線に沿って切断した場合の斜視図である。 図17の固定子の絶縁鉄心を構成する積層鉄心を示す斜視図である。 実施の形態2において絶縁鉄心の上にコイルが巻装された状態を示す断面図である。 比較技術3において絶縁鉄心の上にコイルが巻装された状態を示す断面図である。 実施の形態2における回転子の製造方法の工程を示すフローチャートである。 実施の形態2において成形金型を用いて積層鉄心ごとに樹脂絶縁部を射出成形する場合の手順を示す説明図である。 実施の形態2において成形金型を用いて積層鉄心ごとに樹脂絶縁部を射出成形する場合の手順を示す説明図である。 実施の形態2において成形金型を用いて積層鉄心ごとに樹脂絶縁部を射出成形する場合の手順を示す説明図である。 実施の形態2において成形金型を用いて積層鉄心ごとに樹脂絶縁部を射出成形する場合の手順を示す説明図である。 実施の形態2において成形金型を用いて積層鉄心ごとに樹脂絶縁部を射出成形する場合の手順を示す説明図である。 実施の形態2において成形金型を用いて積層鉄心ごとに樹脂絶縁部を射出成形する場合の手順を示す説明図である。 実施の形態2において成形金型を用いて絶縁用樹脂を積層鉄心に注入する場合の部分拡大断面図である。 実施の形態2において成形金型を用いて絶縁用樹脂を積層鉄心に注入する場合の絶縁用樹脂の流動状態を示す説明図である。 比較技術4において成形金型を用いて絶縁用樹脂を積層鉄心に注入する場合の部分拡大断面図である。 実施の形態2において積層鉄心に形成される樹脂絶縁部の膨出部の変形例にコイルが巻装された状態とともに示す断面図である。 実施の形態2において積層鉄心に形成される樹脂絶縁部の膨出部の他の変形例にコイルが巻装された状態とともに示す断面図である。 実施の形態2においての樹脂絶縁部が一体成形される積層鉄心の変形例を示す断面図である。 実施の形態2においての樹脂絶縁部が一体成形される積層鉄心の他の変形例を示す断面図である。 実施の形態2においての樹脂絶縁部が一体成形される積層鉄心の他の変形例を示す断面図である。 実施の形態3の回転電機の絶縁構造体として固定子に適用した場合の半周分である6個のティース分を示す斜視図である。 図34の固定子を構成する分割固定子の一つを示す斜視図である。 図35の分割固定子を構成する絶縁分割鉄心を示す斜視図である。 図36の絶縁分割鉄心を径方向から見た正面図である。 図37の絶縁分割鉄心をC-C線に沿って切断した場合の斜視図である。 図36の絶縁分割鉄心を構成する積層鉄心を示す斜視図である。 実施の形態3において絶縁分割鉄心の上にコイルが巻装された状態を示す断面図である。 比較技術5において絶縁分割鉄心の上にコイルが巻装された状態を示す断面図である。 実施の形態3における回転子の製造方法の工程を示すフローチャートである。 実施の形態3において回転電機の絶縁構造体の組み立ての手順を示す説明図である。 実施の形態3において回転電機の絶縁構造体の組み立ての手順を示す説明図である。 実施の形態3において回転電機の絶縁構造体の組み立ての手順を示す説明図である。 実施の形態3において成形金型を用いて樹脂絶縁部を射出成形する場合の手順を示す説明図である。 実施の形態3において成形金型を用いて樹脂絶縁部を射出成形する場合の手順を示す説明図である。 実施の形態3において成形金型を用いて樹脂絶縁部を射出成形する場合の手順を示す説明図である。 実施の形態3において成形金型を用いて樹脂絶縁部を射出成形する場合の手順を示す説明図である。 実施の形態3において成形金型を用いて樹脂絶縁部を射出成形する場合の手順を示す説明図である。 実施の形態3において成形金型を用いて樹脂絶縁部を射出成形する場合の部分拡大断面図である。 実施の形態3において成形金型を用いて絶縁用樹脂を注入する場合の絶縁用樹脂の流動状態を示す説明図である。 比較技術6において絶縁分割鉄心の構成を示す断面図である。 実施の形態3において積層鉄心に組み立てられる樹脂絶縁部の膨出部の変形例にコイルが巻装された状態とともに示す断面図である。 実施の形態3において積層鉄心に組み立てられる樹脂絶縁部の膨出部の他の変形例にコイルが巻装された状態とともに示す断面図である。
実施の形態1.
図1は、本願の実施の形態1の回転電機の絶縁構造体として固定子に適用した場合の半周分である6個のティース分を示す斜視図、図2は図1の固定子を構成する分割固定子の一つを示す斜視図、図3は図2の分割固定子を構成する絶縁分割鉄心を示す斜視図である。また、図4は図3の絶縁分割鉄心を周方向から見た正面図、図5は図4の絶縁分割鉄心をA-A線に沿って切断した場合の斜視図である。また、図6は図3の絶縁分割鉄心を構成する積層鉄心の斜視図、図7は実施の形態1において絶縁分割鉄心にコイルが巻装された状態を示す断面図である。なお、ここでは固定子または分割固定子の軸方向を符号X、径方向を符号D、周方向を符号Rでそれぞれ示すものとする。
この実施の形態1の固定子1は、回転電機の周方向Rに沿って12個のティース分の分割固定子2を円環状に連結配置して構成されている。この場合の各々の分割固定子2は、絶縁分割鉄心3とコイル4とからなる。コイル4は、例えば銅電線、アルミ電線などの導体を所望の回数だけ絶縁分割鉄心3に巻回したものである。なお、ここではティースの数を12個としているが、これに限らず、回転電機の性能、構造に合わせて任意に設計することができる。
絶縁分割鉄心3は、図3~図5に示すように、積層鉄心5と樹脂絶縁部6とからなる。
ここに、積層鉄心5は、図6に示すように、厚み寸法が0.1mm~3.0mm程度の電磁鋼板、または珪素鋼板からなる所定枚数の鋼板を所望の軸長寸法L0に合わせて積層して構成されている。そして、積層鉄心5は、周方向Rに沿って平面視で扇状に広がるバックヨーク部5a、このバックヨーク部5aから固定子1の中心方向に突出するティース部5b、およびティース部5bから周方向Rに沿って延びる突出部5cを有する。
また、樹脂絶縁部6は、例えばPPS(Poly Phenylene Sulfide)、LCP(Liquid Crystal Polymer)、PBT(Polybutylene terephthalate)、POM(Polyoxymethylene)、PET(Polyethylene terephthalate)、PA(Polyamide)、SPS(Syndiotactic Polystyrene)などの熱可塑性樹脂、あるいはエポキシ樹脂、またはBMC(Bulk Molding Compound)、SMC(Sheet Molding Compound)などの熱硬化性樹脂を用いて射出成形することで積層鉄心5と一体成形されている。
すなわち、樹脂絶縁部6は、積層鉄心5のティース部5b、バックヨーク部5aの軸方向Xの両端面、および突出部5cの軸方向Xの両端面をそれぞれ覆う状態で形成されている。具体的には、バックヨーク部5aおよび突出部5cの軸方向Xの両端面をそれぞれ覆う樹脂絶縁部は、積層鉄心5の軸方向の端面からそれぞれ所定長さL1分だけ突出した鍔部6a、6bとして形成されている。各鍔部6a、6bは、コイル4の巻装位置よりもさらに軸方向Xに突出することによりコイル4の絶縁状態を確実に保つように設定されている。
また、コイル4が巻装されるティース部5bの表面を覆う樹脂絶縁部は、ティース部5bの軸方向Xの両端面を覆ってそれぞれ形成された端面巻装部6cと、ティース部5bの周方向Rに対面して軸方向Xに沿って伸びる側面部分を覆って形成された側面巻装部6dとからなる。側面巻装部6dは、自ティース部に巻装するコイルと周方向Rに隣接する他ティース部のコイルとの干渉を避け、かつ、自ティース部に巻装するコイルのコイル占積率を向上させるため、厚さを薄く、軸方向Xに長く形成することが望まれる。そして、端面巻装部6cは、コイル4を形成する導体の最小屈曲半径を害さないよう構成され、その厚さは、図7に示すように、(端面巻装部6cの最大厚さT1)>(側面巻装部6dの最大厚さW2)となるように形成される。樹脂絶縁部6には、積層鉄心5の軸方向Xの端面に形成された箇所に樹脂注入口痕を備える。
このように、積層鉄心5の少なくともコイル4が巻回されるティース部5bの表面部を覆って樹脂絶縁部6(すなわち、端面巻装部6cと側面巻装部6d)が形成されることにより、絶縁分割鉄心3とコイル4とが電気的に絶縁されて回転電機の所要の特性を発揮することができる。
さらに、この実施の形態1の場合(図7参照)、端面巻装部6cの厚さT1は全面で均一であるが、側面巻装部6dの厚さは、軸方向Xに沿う両端面の厚さW1よりも中央側において周方向Rに向けての厚さW2が肉厚となるように膨出部として形成されている。よって、上述した、厚さT1が端面巻装部6cの最大厚さT1となり、厚さW2が側面巻装部6dの最大厚さW2となる。すなわち、この場合の側面巻装部である膨出部6dは、軸方向Xの中央を頂点として両端面に向かって厚さが次第に減少するように断面が半紡錘状に形成されている。しかも、この場合、膨出部6dは、図7に示すように、膨出部6dの上にコイル4が巻装された場合にティース部5bの周方向Rに対面する表面を基準にコイル4との間に生じる巻膨れ隙間G1よりも小さい範囲内で周方向Rに向けて膨出するように形成されている。
積層鉄心5のティース部5bの表面部を覆う端面巻装部6cと側面巻装部6dに対して、弾性体である銅電線、アルミ電線などの導体を巻回してコイル4を形成する場合、導体の弾性により直線に巻くことができず、端面巻装部6cと側面巻装部6dにおいて円弧状に膨れて配置される。このため、図7に示すように、特にティース部5bの周方向Rに対面する表面を基準にコイル4との間に巻膨れ隙間G1が生じるが、この実施の形態1では、上記のように側面巻装部としての膨出部6dは、巻膨れ隙間G1よりも小さい範囲内で周方向Rに向けて膨出するように形成されているので、膨出部6dの周方向Rの厚さを可能な限り大きくして絶縁性を確保できるとともに、巻装されるコイル4の周回数を減らす必要性がない。すなわち、膨出部6dが形成されても、コイル4のコイル占積率を低下させることはない。そのため、回転電機の性能を徒に低下させることなく、絶縁機能を向上させることができ、効率の良い回転電機を得ることができる。
これに対して、図8に示す比較技術1の場合には、積層鉄心5のティース部5bの表面部を覆う樹脂絶縁部6の内、特に側面巻装部606dは、周方向Rに向けて膨出するように形成されておらず、軸方向Xに沿った厚さは、均一な平坦部として形成されている。
このように、図8に示す比較技術1の場合、側面巻装部606dの周方向Rの厚さは、軸方向Xに沿って薄く均一なので、コイル4と積層鉄心5とを電気的に絶縁する機能が低下する。この対策として、側面巻装部606dの厚さを均一に大きく設定すると、絶縁機能の低下は防げるが、巻装されるコイル4の周回数が少なくなってしまい、回転電機の性能が低下する。本願の場合はこのような比較技術1による不都合は生じない。
次に、図1に示した回転電機の固定子1の製造工程について説明する。
図9は本願の実施の形態1における固定子の製造方法の工程を示すフローチャート、図10A~図10Fは成形金型を用いて積層鉄心ごとに樹脂絶縁部を射出成形する場合の手順を示す説明図、図11は成形金型を用いて絶縁用樹脂を積層鉄心に注入する場合の部分拡大断面図、図12は成形金型を用いて絶縁用樹脂を積層鉄心に注入する場合の絶縁用樹脂の流動状態を示す説明図である。
図9のフローチャートに示すように、まず、鋼板をプレス成形して積層することにより図10A(図6)に示す積層鉄心5を複数個形成する。そして、図10Aに示す積層鉄心5を成形金型7内に位置決め、固定する(図10Bおよび図10C)。その後、成形金型7内に絶縁用樹脂を射出成形し、積層鉄心5に樹脂絶縁部6が一体形成された図3に示した絶縁分割鉄心3を形成する(図10D)。射出成形が終了した後は、絶縁分割鉄心3を成形金型7から分離し(図10E)、不要樹脂部分を除去する(図10F)。この際、樹脂注入口痕が残る。次に、この絶縁分割鉄心3に導体を巻回してコイル4を形成し、図2に示した分割固定子2を構成する。そして、所定数の分割固定子2を周方向Rに沿って円環状に連結配置することで固定子1が構成される。
ここで、積層鉄心5ごとに樹脂絶縁部6を射出成形する場合の方法について、さらに詳しく説明する。
図10Bおよび図10Cに示すように、まず、図10A(図6)に示した積層鉄心5を成形金型7内に入れて位置決めして、固定する。成形金型7は、積層鉄心5のバックヨーク部5a、ティース部5b、および突出部5cを密閉する金型内壁7aと、軸方向Xの上下それぞれの平坦な端面に設けられた樹脂注入口7bとを有する。
特に、この実施の形態1に適用される成形金型7は、図10B~図10E、図11に示すように、コイル占積率を向上させることを目的にして軸方向Xの側面に側面巻装部6dを形成するためのキャビティ、および、コイル4を形成する導体の最小屈曲半径を確保するために軸方向の端面に端面巻装部6cを形成するためのキャビティを有する。積層鉄心5の軸方向Xに沿って両端面よりも中央側において周方向に向けて肉厚となる膨出部6dを形成するための凹部7dが予め形成されている。また、図12に示すように、樹脂注入口7bは、例えば樹脂絶縁部6の鍔部6bまたは端面巻装部6cを形成する位置などに任意に設けられ、樹脂注入口7bから絶縁用樹脂が注入される。
図12中の矢印は、一例として上下の各樹脂注入口7bから絶縁用樹脂が注入された場合の流れる方向を示す。注入された絶縁用樹脂は、金型内壁7aと積層鉄心5との間の空間であるキャビティ内を流れ、充填後に硬化することで、積層鉄心5を覆って一体化された樹脂絶縁部6が形成される。よって、図12の場合、各樹脂注入口7bから絶縁用樹脂が注入されるため、積層鉄心5の軸方向Xに沿ってキャビティ内を流れ込み、軸方向Xにおける中央部分が樹脂流動末端部E1になる。
絶縁用樹脂が積層鉄心5と金型内壁7aとの間のキャビティ内を流れる過程で、流動抵抗による圧力損失を受ける。ここで、図13に示すように、キャビティ内の流路深さをM、流路幅をN、流路長さをL、比例乗数をK、流量をQとし、絶縁用樹脂を注入する始端の圧力をPin、終端の圧力をPoutとすると、圧力損失ΔP(=Pin-Pout)は、次の(式1)で示される。
ΔP=(12×K×L×Q)/(N×M) (式1)
上記(式1)から分かるように、絶縁用樹脂の流路断面におけるキャビティの流路深さMが小さいほど流動抵抗が大きくなって圧力損失ΔPが大きくなる。つまり、絶縁用樹脂がキャビティ内を流れる際、キャビティ内の流路深さMが小さいと、図12に示した樹脂注入口7bから樹脂流動末端部E1に至るまでの圧力損失ΔPが大きくなり、樹脂流動末端部E1で圧力が不足し易くなる。そして、樹脂流動末端部E1で圧力が不足すると絶縁用樹脂の流動が停止し、絶縁用樹脂の充填不良と絶縁機能の低下が生じる。このことは、積層鉄心5に樹脂絶縁部6が形成された後の結果から見ると、樹脂絶縁部6の厚さ(流路深さMに相当)が薄い程、絶縁用樹脂の充填不良と絶縁機能の低下が生じ易いことを意味する。
この実施の形態1の場合、成形金型7には、図10A~図10F、図11(図7参照)に示したように、樹脂絶縁部6の絶縁用樹脂の樹脂流動末端部E1である軸方向Xに沿って両端面(樹脂絶縁部6形成後の図7の側面巻装部6dの厚さW1の箇所に相当)よりも中央側(樹脂絶縁部6形成後の図7の側面巻装部6dの厚さW2の箇所に相当)において周方向Rに向けて肉厚となる膨出部形成用の凹部7dが予め形成されている。従って、樹脂注入口7bから樹脂流動末端部E1に至るに従ってキャビティの流路深さMが次第に大きくなるため、圧力損失ΔPの低下が抑制される。その結果、樹脂流動末端部E1における充填不良が防止され、絶縁機能を向上させることができる。
そして、軸方向Xに沿う両端面のように肉厚の厚さW1が薄い側面巻装部6dの近傍に樹脂注入口7bを配置しても、上記に示した圧力損失の(式1)により、端面巻装部6c、バックヨーク部5a上の鍔部6a、突出部5c上の鍔部6bに絶縁用樹脂が流動しやすく、側面巻装部6dが絶縁用樹脂の樹脂流動末端部E1になる。
これに対して、図14に示す比較技術2の場合には、本願の実施の形態1のような周方向に向けて肉厚となる膨出部形成用の凹部7dは形成されておらず、キャビティ内の流路深さMが軸方向Xに沿って薄く均一になる金型内壁607aが形成されているので、樹脂注入口7bから樹脂流動末端部に至るに従って圧力損失ΔPが増加し、絶縁用樹脂の流動が停止し、樹脂の充填不良と絶縁機能の低下が生じ易い。
以上のように、この実施の形態1では、積層鉄心5と一体化された樹脂絶縁部6には、積層鉄心5の軸方向Xに沿って両端面の厚さW1よりも中央側において周方向Rに向けての厚さW2が肉厚となる膨出部6dが形成されているので、成形金型7を用いて絶縁用樹脂を射出成形する際の流動抵抗の増加に起因した圧力損失ΔPを低減することができ、絶縁用樹脂の充填性の向上と絶縁性能を向上することができる。
しかも、巻装されるコイル4の中央が弾性変形により巻膨らむが、樹脂絶縁部6の膨出部6dは、その両端面の厚さW1よりも中央側において周方向Rに向けての厚さW2が肉厚となるように形成されているため、コイル4と膨出部6dとの間の隙間が小さくなり、巻装されるコイル4の周回数を減らすことがなく、コイル4の占積率の低下が抑えられる。このため、回転電機の性能を低下させることなく、絶縁機能を向上させることができ、小型で高効率、かつ十分な絶縁性能を有する回転電機の絶縁構造体を提供することが可能となる。
また、流動性が良い高価な絶縁用樹脂を選定する必要がなく、また、絶縁用樹脂の流動性を向上するために成形金型7の局所加熱を行う必要性もないので、材料費および設備費を抑制することで安価な回転電機を提供することができる。
ところで、図10A~図10F、図11に示したように、成形金型7の軸方向Xの両端にそれぞれ樹脂注入口7bを設けると、樹脂流動末端部E1が側面巻装部6dの軸方向Xに沿った中央部分にできるが、樹脂絶縁部6の形状によっては絶縁用樹脂の流れ方と樹脂流動末端部E1の位置が変化する。
そこで、樹脂絶縁部6の膨出部6dは、軸方向Xに沿ってその両端面の厚さW1から中央側において次第に周方向Rに厚さW2の肉厚となるように半紡錘状に形成したものに限らず、例えば図15に示すように、軸方向Xに沿ってその両端面の厚さW1よりも中央側において周方向Rに向けて厚さW2を有する断面が台形状に形成された膨出部6d、または、図16に示すように、軸方向Xに沿ってその両端面の厚さW1よりも中央側において周方向Rに向けて厚さW2を有する断面が突起状に形成された膨出部6dが形成されるように、成形金型7の凹部7dの形状を変更することで、成形金型7を用いて絶縁用樹脂を射出成形する際の流動抵抗の増加を局部的に抑えて絶縁機能の改善を図ることが可能である。
また、成形金型7の樹脂注入口7bを、例えば軸方向Xの片側1ヵ所にのみ設ける場合には、樹脂流動末端部E1が側面巻装部(膨出部)6dの軸方向Xの中央位置からずれる可能性がある。その場合にも、図15に示した断面が台形状の膨出部6d、または、図16に示した断面が突起状に形成された膨出部6dの位置を軸方向Xの中央位置から適宜ずらして形成することで、同様の絶縁機能の向上効果が得られる。
なお、この実施の形態1の回転電機の絶縁構造体は、サーボモータ用、燃料噴射バルブ開閉タイミング制御ユニット、空調用ファンモータ、車載用燃料ポンプユニット、巻上機用などの各種の回転電機の固定子に適用することができる。
上記のように構成された実施の形態1の回転電機の絶縁構造体によれば、
複数枚の鋼板が積層されてなる積層鉄心を備えるとともに、前記積層鉄心には少なくともコイルが巻装される箇所の表面部を覆って樹脂絶縁部が一体形成されている回転電機の絶縁構造体において、
前記樹脂絶縁部は、前記積層鉄心の軸方向に沿って両端面よりも中央側において周方向に向けて肉厚に形成された膨出部を備えるので、
また、回転電機の絶縁構造体の製造方法によれば、
鋼板が積層されてなる積層鉄心を備えるとともに、前記積層鉄心には少なくともコイルが巻装される箇所の表面部を覆って樹脂絶縁部が一体形成されている回転電機の絶縁構造体の製造方法であって、
前記樹脂絶縁部の射出成形用の成形金型を適用し、この成形金型の金型内壁には前記積層鉄心の軸方向に沿って両端面よりも中央側において周方向に向けて肉厚となる膨出部形成用の凹部を予め形成しておき、前記成形金型の内部に前記積層鉄心を配置した後、前記成形金型の樹脂注入口から絶縁用樹脂を注入して前記樹脂絶縁部を成形するので、
巻回されるコイルの軸方向の中央部分が弾性変形により巻膨らむが、膨出部は、その軸方向の両端面よりも中央側において周方向に向けて肉厚となるように形成されているため、コイルのコイル占積率を低下させることなく絶縁性能を向上することができ、同じ性能で小型の回転電機の絶縁構造体、ひいては回転電機を得られることができる。また、コイルと樹脂絶縁部との間の空気層を減らすことで、コイルによる発熱を積層鉄心に伝達する効率が向上するため、従来構造に対し、余分なコストアップまたは性能低下を招来することなく、同じサイズで高効率、放熱部品を削減した回転電機の絶縁構造体、ひいては回転電機を得ることができる。
さらに、成形金型の金型内壁には積層鉄心の軸方向に沿って両端面よりも中央側において周方向に向けて肉厚となる膨出部形成用の凹部を予め形成しておき、成形金型の内部に積層鉄心を配置した後、成形金型の樹脂注入口から絶縁用樹脂を注入するので、
絶縁用樹脂を充填する際の流動抵抗の増加に起因した圧力損失を低減することができる。このため、絶縁用樹脂の充填性が向上するので、流動性が良い高価な絶縁用樹脂を選定する必要がなく、また、絶縁用樹脂の流動性を向上するために成形金型の局所加熱を行う必要性もないので、材料費および設備費を抑制することができ、安価な回転電機の絶縁構造体、ひいては回転電機を提供することができる。
また、前記樹脂絶縁部は、前記積層鉄心の軸方向の端面に形成された箇所の最大厚さが、前記積層鉄心の軸方向に沿って形成された箇所の最大厚さよりも厚く、かつ、前記積層鉄心の軸方向の端面に形成された箇所に樹脂注入口痕を備えるので、
絶縁用樹脂の充填性をさらに向上できる。
また、前記樹脂絶縁部は、前記積層鉄心の軸方向の端面の形成された箇所の厚さが均一に形成されているので、
積層鉄心の軸方向の両端において、樹脂絶縁部とコイルとの絶縁性を確保することができる。
また、前記膨出部は、前記積層鉄心と前記コイルとの間の巻膨れ隙間よりも小さい範囲内で施されているので、
膨出部は、コイルのコイル占積率を確実に低下させることなく絶縁性能を確実に向上することができ、同じ性能で小型の回転電機を確実に得ることができる。また、コイルと樹脂絶縁部との間の空気層を確実に減らすことで、コイルによる発熱を積層鉄心に伝達する効率が確実に向上するため、従来構造に対し、余分なコストアップまたは性能低下を招来することなく、同じサイズで高効率、放熱部品を削減した回転電機の絶縁構造体、ひいては回転電機を確実に得ることができる。
また、前記膨出部は、前記積層鉄心の周方向に対面するティース側面部に対応する箇所に形成されているので、
膨出部を簡便に形成することができる。
また、前記膨出部は、前記軸方向の中央を頂点として前記両端面に向かって厚さが次第に減少する断面が半紡錘状に形成されているので、
絶縁用樹脂の充填性をさらに向上できる。
また、前記膨出部は、断面が台形状に形成されているので、
膨出部を簡便に形成することができる。
また、前記膨出部は、断面が突起状に形成されているので、
膨出部を簡便に形成することができる。
実施の形態2.
図17は本願の実施の形態2の回転電機の絶縁構造体として回転子に適用した場合の斜視図、図18は回転子を構成する絶縁鉄心とシャフトを示す分解斜視図、図19は図17の回転子の平面図、図20は図19の回転子をB-B線に沿って切断した場合の斜視図である。また、図21は図17の固定子の絶縁鉄心を構成する積層鉄心の斜視図、図22は実施の形態2において絶縁鉄心の上にコイルが巻装された状態を示す断面図である。なお、ここでは回転子および絶縁鉄心の軸方向を符号X、径方向を符号D、周方向を符号Rでそれぞれ示すものとする。
この実施の形態2の回転子11は、回転電機の回転軸となるシャフト12、絶縁鉄心13、および絶縁鉄心13に巻回された図示していないコイルからなる。なお、ここでは絶縁鉄心13のティースの数が4個ある場合を示しているが、これに限らず、ティースの数は回転電機の性能、構造に合わせて任意に設計することができる。また、巻装された図示しないコイルは、導体である銅電線、アルミ電線等を所望の回数だけ巻回するなど、回転電機の性能、構造に合わせて任意に設計することができる。
絶縁鉄心13は、積層鉄心15と樹脂絶縁部16とからなる。
ここに、積層鉄心15は、図21に示すように、厚み寸法が0.1mm~3.0mm程度の電磁鋼板、または珪素鋼板からなる所定枚数の鋼板を所望の軸長寸法に合わせて積層して構成されており、シャフト12の挿入穴15aが形成された円筒状の鉄心中央部15b、この鉄心中央部15bから径方向Dの外周側に突出するティース部15c、およびティース部15cから周方向Rに沿って延びる平面視で扇型の鉄心外周部15dを有する。
また、樹脂絶縁部16は、例えばPPS、LCP、PBT、POM、PA、PET、SPSなどの熱可塑性樹脂、エポキシ樹脂、BMCなどの熱硬化性樹脂を用いて射出成形することで積層鉄心15と一体成形されている。
ここで、樹脂絶縁部16は、積層鉄心15の全面を覆うように形成されている。すなわち、積層鉄心15の鉄心中央部15b、ティース部15c、および鉄心外周部15dの全面を全て覆うように形成されている。
特に、積層鉄心15のコイルが巻回されるティース部15cの表面を覆う樹脂絶縁部16は、ティース部15cの軸方向Xの両端面を覆ってそれぞれ形成された端面巻装部16cと、ティース部15cの周方向Rに対面して軸方向Xに沿って伸びる側面部分を覆って形成された側面巻装部16dとからなる。側面巻装部16dは、自ティース部に巻装するコイルと周方向Rに隣接する他ティース部のコイルとの干渉を避け、かつ、自ティース部に巻装するコイルのコイル占積率を向上させるため、厚さを薄く、軸方向Xに長く形成することが望まれる。そして、端面巻装部16cは、コイル14を形成する導体の最小屈曲半径を害さないよう構成され、その厚さは、図22に示すように、(端面巻装部16cの最大厚さT11)>(側面巻装部16dの最大厚さW12)となるように形成される。樹脂絶縁部16には、積層鉄心15の軸方向Xの端面に形成された箇所に樹脂注入口痕を備える。
このように、積層鉄心15の少なくともコイルが巻回されるティース部15cの表面部を覆って樹脂絶縁部16(すなわち、端面巻装部16cと側面巻装部16d)が形成されることにより、絶縁鉄心13とコイルとが電気的に絶縁されて回転電機の所要の特性を発揮することができる。
さらに、この実施の形態2の場合(図22参照)、端面巻装部16cの厚さT11は全面で均一であるが、側面巻装部16dの厚さは、軸方向Xに沿って両端面の厚さW11よりも中央側において周方向Rに向けての厚さW12が肉厚となるように膨出部として形成されている。よって、上述した、厚さT11が端面巻装部16cの最大厚さT11となり、厚さW12が側面巻装部16dの最大厚さW12となる。すなわち、この場合の側面巻装部である膨出部16dは、軸方向Xの中央を頂点として両端面に向かって厚さが次第に減少するように断面が半紡錘状に形成されている。しかも、この場合、膨出部16dは、図22に示すように、膨出部16dの上にコイル14が巻装された場合にティース部15cの周方向Rに対面する表面を基準にコイル14との間に生じる巻膨れ隙間G2よりも小さい範囲内で周方向Rに向けて膨出するように形成されている。
積層鉄心15のティース部15cの表面部を覆う端面巻装部16cと側面巻装部16dに対して、導体を巻回してコイル14とする場合、導体の弾性により直線に巻くことができず、端面巻装部16cと側面巻装部16dにおいて円弧状に膨れて配置される。このため、図22に示すように、特にティース部15cの周方向Rに対面する表面を基準にコイル14との間に巻膨れ隙間G2が生じるが、この実施の形態2では、上記のように側面巻装部としての膨出部16dは、コイル14の巻膨れ隙間G2よりも小さい範囲内で周方向Rに向けて膨出するように形成されているので、実施の形態1の場合と同様、膨出部16dの周方向Rの厚さを可能な限り大きくして絶縁性を確保できるとともに、巻装されるコイル14の周回数を減らす必要性がない。すなわち、膨出部16dが形成されても、コイル14のコイル占積率を低下させることはない。そのため、回転電機の性能を徒に低下させることなく、絶縁機能を向上させることができ、効率の良い回転電機を得ることができる。
これに対して、図23に示す比較技術3の場合には、積層鉄心15のティース部15cの表面部を覆う樹脂絶縁部16の内、特に側面巻装部616dは、周方向Rに向けて膨出するように形成されておらず、軸方向に沿った厚さは、均一な平坦部として形成されている。
このように、図23に示す比較技術3の場合、側面巻装部616dの周方向Rの厚さは軸方向Xに沿って薄く均一なので、コイル14と積層鉄心15とを電気的に絶縁する機能が低下する。この対策として、側面巻装部616dの厚さを均一に大きく設定すると、絶縁機能の低下は防げるが、巻装されるコイル14の周回数が少なくなってしまい、回転電機の性能が低下する。本実施の形態の場合はこのような比較技術3による不都合は生じない。
次に、図17~図20に示した回転電機の回転子の製造工程について説明する。
図24は本願の実施の形態2における回転子の製造方法の工程を示すフローチャート、図25A~図25Fは成形金型を用いて積層鉄心ごとに樹脂絶縁部を射出成形する場合の手順を示す説明図、図26は成形金型を用いて絶縁用樹脂を積層鉄心に注入する場合の部分拡大断面図、図27は成形金型を用いて絶縁用樹脂を積層鉄心に注入する場合の絶縁用樹脂の流動状態を示す説明図である。
図24のフローチャートに示すように、まず、鋼板をプレス成形して積層することにより図25A(図21)に示す積層鉄心15を形成する。そして、図25Aに示す積層鉄心15を成形金型17内に位置決め、固定する(図25Bおよび図25C)。その後、成形金型17内に絶縁用樹脂を射出成形し、積層鉄心15に樹脂絶縁部16が一体形成された図17~図20に示す絶縁鉄心13を形成する(図25D)。射出成形が終了した後は、絶縁鉄心13を成形金型17から分離し(図25E)、不要樹脂部分を除去する(図25F)。この際、樹脂注入口痕が残る。次に、絶縁鉄心13にシャフト12を挿入し、この絶縁鉄心13に導体を巻回してコイル14を形成することで回転子が構成される。なお、その際、積層鉄心15にシャフト12を挿入した後に絶縁用樹脂を射出して樹脂絶縁部16を一体成形する方法と、積層鉄心15に絶縁用樹脂を射出して樹脂絶縁部16を一体成形した後にシャフト12を挿入する方法とがあるが、いずれの方法でもあってもよい。
ここで、積層鉄心15に対して樹脂絶縁部16を射出成形する場合の方法について、さらに詳しく説明する。
図25Bおよび図25Cに示すように、まず、図25A(図21)に示した積層鉄心15を成形金型17内に入れて位置決めして、固定する。成形金型17は、積層鉄心15の鉄心中央部15b、ティース部15c、および鉄心外周部15dを密閉する金型内壁17aと、軸方向Xの上下それぞれの平坦な端面に設けられた樹脂注入口17bとを有する。
特に、この場合の成形金型17は、図25B~図25E、図26に示すように、コイル占積率を向上させることを目的にして軸方向Xの側面に側面巻装部16dを形成するためのキャビティ、および、コイル14を形成する導体の最小屈曲半径を確保するために軸方向の端面に端面巻装部16cを形成するためのキャビティを有する。積層鉄心15の軸方向Xに沿って両端面よりも中央側において周方向に向けて肉厚となる膨出部16dを形成するための凹部17dが予め形成されている。また、図27に示すように樹脂注入口17bは、例えば積層鉄心15の鉄心中央部15bまたは鉄心外周部15dの軸方向Xの両端面の位置に任意に設けられ、樹脂注入口17bから絶縁用樹脂が注入される。
図27中の矢印は、一例として上下の各樹脂注入口17bから絶縁用樹脂が注入された場合の流れる方向を示す。注入された絶縁用樹脂は、金型内壁17aと積層鉄心15との間の空間であるキャビティ内を流れ、充填後に硬化することで、積層鉄心15を覆って一体化された樹脂絶縁部16が形成される。よって、図27の場合、各樹脂注入口17bから絶縁用樹脂が注入されるため、積層鉄心15の軸方向Xに沿ってキャビティ内を流れ込む、軸方向Xにおける中央部分が樹脂流動末端部E2になる。
絶縁用樹脂が積層鉄心15と金型内壁17aとの間のキャビティ内を流れる過程で、流動抵抗による圧力損失を受ける。圧力損失ΔPの大きさは前述の(式1)で示されており、絶縁用樹脂の流路断面における流路深さに相当する肉厚寸法Mが小さいほど抵抗が大きくなり、樹脂流動末端部で圧力が不足し易くなる。
しかしながら、この実施の形態2の場合、実施の形態1の場合と同様、成形金型17には、図25B~図25E、図26(図22参照)に示したように、樹脂絶縁部16の絶縁用樹脂の樹脂流動末端部E2である軸方向Xに沿って両端面(樹脂絶縁部16形成後の図22の側面巻装部16dの厚さW11の箇所に相当)よりも中央側(樹脂絶縁部16形成後の図22の側面巻装部16dの厚さW12の箇所に相当)において周方向に向けて肉厚となる膨出部形成用の凹部17dが予め形成されているので、樹脂注入口17bから樹脂流動末端部E2に至るに従ってキャビティの流路深さMが次第に大きくなるため、圧力損失ΔPの低下が抑制される。その結果、樹脂流動末端部E2における充填不良が防止され、絶縁機能を向上させることができる。
そして、軸方向Xに沿う両端面のように肉厚の厚さW11が薄い側面巻装部6dの近傍に樹脂注入口17bを配置しても、上記に示した前述の圧力損失の(式1)により、端面巻装部16c(鉄心中央部15bおよび鉄心外周部15dの上を含む)に樹脂が流動しやすく、側面巻装部16dが絶縁用樹脂の樹脂流動末端部E2になる。
これに対して、図28に示す比較技術4の場合には、本願の実施の形態2のような周方向に向けて肉厚となる膨出部形成用の凹部17dは形成されておらず、キャビティ内の流路深さMが軸方向Xに沿って薄く均一になる金型内壁617aが形成されているので、樹脂注入口17bから樹脂流動末端部に至るに従って圧力損失ΔPが増加し、絶縁用樹脂の流動が停止し、樹脂の充填不良と絶縁機能の低下が生じ易い。
以上のように、この実施の形態2では、積層鉄心15と一体化された樹脂絶縁部16には、積層鉄心15の軸方向に沿って両端面の厚さW11よりも中央側において周方向Rに向けての厚さW12が肉厚となる膨出部16dが形成されているので、成形金型17を用いて絶縁用樹脂を射出成形する際の流動抵抗の増加に起因した圧力損失ΔPを低減することができ、絶縁用樹脂の充填性の向上と絶縁性能を向上することができる。
しかも、巻装されたコイル14の中央が弾性変形により巻膨らむが、樹脂絶縁部16の膨出部16dは、その両端面の厚さW11よりも中央側において周方向Rに向けての厚さW12が肉厚となるように形成されているため、コイル14と膨出部16dとの間の隙間が小さくなり、巻装されるコイル14の周回数を減らすことがなく、コイル14の占積率の低下が抑えられる。このため、回転電機の性能を低下させることなく、絶縁機能を向上させることができ、小型で高効率、かつ十分な絶縁性能を有する回転電機の絶縁構造体を提供することが可能となる。
また、流動性が良い高価な絶縁用樹脂を選定する必要がなく、また、絶縁用樹脂の流動性を向上するために成形金型7の局所加熱を行う必要性もないので、材料費および設備費を抑制することで安価な回転電機を提供することができる。
ところで、図25B~図25E、図26に示したように、成形金型17の軸方向Xの両端にそれぞれ樹脂注入口17bを設けると、樹脂流動末端部E2が側面巻装部16dの軸方向Xに沿った中央にできるが、樹脂絶縁部16の形状により、絶縁用樹脂の流れ方と樹脂流動末端部E2の位置が変化する。
そこで、樹脂絶縁部16の膨出部16dは、軸方向Xに沿ってその両端面の厚さW11から中央側において次第に周方向Rに厚さW12の肉厚となるように半紡錘状に形成したものに限らず、例えば図29に示すように、軸方向Xに沿ってその両端面の厚さW11よりも中央側において周方向Rに向けて厚さW12を有する断面が台形状に形成された膨出部16d、または、図30に示すように、軸方向Xに沿ってその両端面の厚さW11よりも中央側において周方向Rに向けて厚さW12を有する断面が突起状に形成された膨出部16dが形成されるように、成形金型17の凹部17dの形状を変更することで、成形金型17を用いて絶縁用樹脂を射出成形する際の流動抵抗の増加を局部的に抑えて絶縁機能の改善を図ることが可能である。
また、成形金型17の樹脂注入口17bを、例えば軸方向Xの片側1ヵ所にのみ設ける場合には、樹脂流動末端部E2が側面巻装部(膨出部)16dの軸方向Xの中央位置からずれる可能性がある。その場合にも、図29に示した断面が台形状の膨出部16d、または、図30に示した断面が突起状に形成された膨出部16dの位置を軸方向Xの中央位置から適宜ずらして形成することで、同様の絶縁機能の向上効果が得られる。
なお、この実施の形態2の回転電機の絶縁構造体は、サーボモータ用、燃料噴射バルブ開閉タイミング制御ユニット、空調用ファンモータ、車載用燃料ポンプユニット、巻上機用などの各種の回転電機の回転子に適用することができる。
なお、上記実施の形態1および実施の形態2においては、コイルが巻装される積層鉄心5、15の周方向Rの長さを、軸方向Xにおいていずれの位置でも同一の長さにて形成する例を示したが、これに限られることはなく、例えば図31から図33に示すように、コイルの巻装される箇所の積層鉄心5、15の周方向Rの長さを、軸方向Xの両端側の周方向Rの長さH1より、軸方向Xの中央側において周方向Rの長さH2が短く形成された箇所を形成する場合も考えられる。このように形成すれば、一体成形での樹脂流動末端部E1、E2に該当する部位が、積層鉄心5、15の周方向Rにおいてへこんだ位置となるため、絶縁用樹脂の粘度が増加する樹脂流動末端部E1、E2の充填性が向上し、樹脂絶縁部の絶縁性能を向上できる。
上記のように構成された実施の形態2の回転電機の絶縁構造体および回転電機の絶縁構造体の製造方法によれば、上記実施の形態1と同様の効果を奏するのはもちろんのこと、前記積層鉄心の前記コイルが巻装される箇所は、軸方向の両端側の周方向の長さよりも、軸方向の中央側において周方向の長さが短く形成された箇所を有するので、
絶縁用樹脂の充填性をさらに向上できる。
実施の形態3.
図34は、本願の実施の形態3の回転電機の絶縁構造体として固定子に適用した場合の半周分である6個のティース分を示す斜視図、図35は図34の固定子を構成する分割固定子の一つを示す斜視図、図36は図35の分割固定子を構成する絶縁分割鉄心を示す斜視図である。また、図37は図36の絶縁分割鉄心を周方向から見た正面図、図38は図37の絶縁分割鉄心をC-C線に沿って切断した場合の斜視図である。また、図39は図36の絶縁分割鉄心を構成する積層鉄心の斜視図、図40は実施の形態3において絶縁分割鉄心にコイルが巻装された状態を示す断面図である。なお、ここでは固定子または分割固定子の軸方向を符号X、径方向を符号D、周方向を符号Rでそれぞれ示すものとする。
この実施の形態3の固定子101は、回転電機の周方向Rに沿って12個のティース分の分割固定子102を円環状に連結配置して構成されている。この場合の各々の分割固定子102は、絶縁分割鉄心103とコイル104とからなる。コイル104は、例えば銅電線、アルミ電線などの導体を所望の回数だけ絶縁分割鉄心103に巻回したものである。なお、ここではティースの数を12個としているが、これに限らず、回転電機の性能、構造に合わせて任意に設計することができる。
絶縁分割鉄心103は、図36~図38に示すように、積層鉄心105と樹脂絶縁部106とからなる。
ここに、積層鉄心105は、図39に示すように、厚み寸法が0.1mm~3.0mm程度の電磁鋼板、または珪素鋼板からなる所定枚数の鋼板を所望の軸長寸法L100に合わせて積層して構成されている。そして、積層鉄心5は、周方向Rに沿って平面視で扇状に広がるバックヨーク部105a、このバックヨーク部105aから固定子101の中心方向に突出するティース部105b、およびティース部105bから周方向Rに沿って延びる突出部105cを有する。
また、樹脂絶縁部106は、例えばPPS、LCP、PBT、POM、PET、PA、SPSなどの熱可塑性樹脂、あるいはエポキシ樹脂、またはBMC、SMCなどの熱硬化性樹脂を用いて射出成形することで形成されている。
そして、樹脂絶縁部106は、積層鉄心105に対して軸方向Xの上下2方向から組み立てられることで、積層鉄心105のティース部105b、バックヨーク部105aの軸方向Xの両端面、および突出部105cの軸方向Xの両端面をそれぞれ覆うように形成されている。具体的には、バックヨーク部105aおよび突出部105cの軸方向Xの両端面をそれぞれ覆う樹脂絶縁部は、積層鉄心5の軸方向の端面からそれぞれ所定長さL101分だけ突出した鍔部106a、106bとして形成されている。各鍔部106a、106bは、コイル104の巻装位置よりもさらに軸方向Xに突出することによりコイル104の絶縁状態を確実に保つように設定されている。
また、コイル104が巻装されるティース部105bの表面を覆う樹脂絶縁部は、ティース部105bの軸方向Xの両端面を覆ってそれぞれ形成された端面巻装部106cと、ティース部105bの周方向Rに対面して軸方向Xに沿って伸びる側面部分を覆って形成された側面巻装部106dとからなる。側面巻装部106dは、自ティース部に巻装するコイルと周方向Rに隣接する他ティース部のコイルとの干渉を避け、かつ、自ティース部に巻装するコイルのコイル占積率を向上させるため、厚さを薄く、軸方向Xに長く形成することが望まれる。そして、端面巻装部106cは、コイル104を形成する導体の最小屈曲半径を害さないよう構成され、その厚さは、図40に示すように、(端面巻装部106cの最大厚さT111)>(側面巻装部106dの最大厚さW102)となるように形成される。樹脂絶縁部106には、積層鉄心105の軸方向Xの端面に形成された箇所に樹脂注入口痕106eを備える。
このように、積層鉄心105の少なくともコイル104が巻回されるティース部105bの表面部を覆って樹脂絶縁部106(すなわち、端面巻装部106cと側面巻装部106d)が形成されることにより、絶縁分割鉄心103とコイル104とが電気的に絶縁されて回転電機の所要の特性を発揮することができる。
さらに、この実施の形態3の場合(図40参照)、端面巻装部106cの厚さT111は全面で均一であるが、側面巻装部106dの厚さは、軸方向Xに沿う両端面の厚さW101よりも中央側において周方向Rに向けての厚さW102が肉厚となるように膨出部として形成されている。よって、上述した、厚さT111が端面巻装部106cの最大厚さT111となり、厚さW102が側面巻装部106dの最大厚さW102となる。すなわち、この場合の側面巻装部である膨出部106dは、軸方向Xの中央を頂点として両端面に向かって厚さが次第に減少するように断面が半紡錘状に形成されている。しかも、この場合、膨出部106dは、図40に示すように、膨出部106dの上にコイル104が巻装された場合にティース部105bの周方向Rに対面する表面を基準にコイル104との間に生じる巻膨れ隙間G3よりも小さい範囲内で周方向Rに向けて膨出するように形成されている。
積層鉄心105のティース部105bの表面部を覆う端面巻装部106cと側面巻装部106dに対して、弾性体である銅電線、アルミ電線などの導体を巻回してコイル104を形成する場合、導体の弾性により直線に巻くことができず、端面巻装部106cと側面巻装部106dにおいて円弧状に膨れて配置される。このため、図40に示すように、特にティース部105bの周方向Rに対面する表面を基準にコイル104との間に巻膨れ隙間G3が生じるが、この実施の形態3では、上記のように側面巻装部としての膨出部106dは、巻膨れ隙間G3よりも小さい範囲内で周方向Rに向けて膨出するように形成されているので、膨出部106dの周方向Rの厚さを可能な限り大きくして絶縁性を確保できるとともに、巻装されるコイル104の周回数を減らす必要性がない。すなわち、膨出部106dが形成されても、コイル104のコイル占積率を低下させることはない。そのため、回転電機の性能を徒に低下させることなく、絶縁機能を向上させることができ、効率の良い回転電機を得ることができる。
これに対して、図41に示す比較技術5の場合には、積層鉄心105のティース部105bの表面部を覆う樹脂絶縁部106の内、特に積層鉄心105の軸方向Xの両端に形成される端面巻装部606cが、軸方向Xに膨出するように形成されているため、コイル104と端面巻装部606cとの間の隙間G101が狭くなる点で異なる。
このように、図41に示す比較技術5の場合、導体による巻回を行うと、端面巻装部606cに設置された樹脂注入口痕606eである突起とコイル104とが接触し、電気的に絶縁する機能が低下する。本願では図40のように端面巻装部106cは平坦部を有しており、コイル104と端面巻装部106cとの間に隙間G10を有しているため、樹脂注入口痕106eとコイル104とが接触しないため、比較技術5で発生しうる絶縁性能の低下は生じない。
次に、図34に示した回転電機の固定子101の製造工程について説明する。
図42は本願の実施の形態3における固定子の製造方法の工程を示すフローチャート、図43A~図43Cは固定子の組み立て手順を示す説明図、図44A~図44Eは成形金型を用いて樹脂絶縁部を射出成形する場合の手順を示す説明図、図45は成形金型を用いて絶縁用樹脂を注入する場合の部分拡大断面図、図46は成形金型を用いて絶縁用樹脂を注入する場合の絶縁用樹脂の流動状態を示す説明図である。
図42のフローチャートに示すように、まず、鋼板をプレス成形して積層することにより積層鉄心105を複数個形成する。次に、成形金型107を軸方向Xの上下方向に移動させて(図44A)、所定に位置に設置する(図44B)。次に、成形金型107内に絶縁用樹脂を射出成形する(図44C)。射出成形が終了した後は、成形金型107を軸方向Xの上下方向に離反させ、樹脂絶縁部106を取り出す(図44D)。次に、不要樹脂部分を除去する(図44E)。この際、樹脂注入口痕106eが残る。
次に、積層鉄心105に樹脂絶縁部106を軸方向Xの上下2方向から組み立てられ(図43A)、絶縁分割鉄心103が形成される(図43B、図36)。次に、この絶縁分割鉄心103に導体を巻回してコイル104を形成し分割固定子102を形成する(図43C、図35)。そして、所定数の分割固定子102を周方向Rに沿って円環状に連結配置することで固定子101が構成される。
ここで、積層鉄心105ごとに樹脂絶縁部106を射出成形する場合の方法について、さらに詳しく説明する。
図44Aおよび図44Bに示すように、成形金型107を密閉することで樹脂絶縁部106を形成するためのキャビティが形成される。成形金型107は、樹脂絶縁部106を形成するための金型内壁107aと、軸方向Xの端面である平坦面に設けられた樹脂注入口107bとを有する。
特に、この実施の形態3に適用される成形金型107は、図44B~図44E、図45に示すように、コイル占積率を向上させることを目的にして軸方向Xの側面に側面巻装部106dを形成するためのキャビティ、および、コイル104を形成する導体の最小屈曲半径を確保するために軸方向の端面に端面巻装部106cを形成するためのキャビティを有する。成形金型107には組付けられる積層鉄心5の軸方向Xに沿った中央部に相当し、積層鉄心5の軸方向Xに沿って両端面よりも中央側において周方向に向けて肉厚となる膨出部106dを形成するための凹部107dが予め形成されている。また、図46に示すように、樹脂注入口107bは、例えば樹脂絶縁部106の鍔部106bまたは端面巻装部106cを形成する位置などに任意に設けられ、樹脂注入口107bから絶縁用樹脂が注入される。
図46中の矢印は、一例として上部の樹脂注入口107bから絶縁用樹脂が注入された場合の流れる方向を示す。注入された絶縁用樹脂は、成形金型107の金型内壁107aの空間であるキャビティ内を流れ、充填後に硬化することで、樹脂絶縁部106の上部側が形成される。よって、図46の場合、樹脂注入口107bから絶縁用樹脂が注入されるため、軸方向Xに沿ってキャビティ内を流れ込む、軸方向Xにおける中央部分に相当する箇所が樹脂流動末端部E3になる。なお、当然のことながら樹脂絶縁部106の下部側も、上部側と同様に形成される。
絶縁用樹脂が成形金型107の金型内壁107aのキャビティ内を流れる過程で、流動抵抗による圧力損失を受ける。ここで、図13に示すように、キャビティ内の流路深さをM、流路幅をN、流路長さをL、比例乗数をK、流量をQとし、絶縁用樹脂を注入する始端の圧力をPin、終端の圧力をPoutとすると、圧力損失ΔP(=Pin-Pout)は、前記(式1)で示される。
上記(式1)から分かるように、絶縁用樹脂の流路断面におけるキャビティの流路深さMが小さいほど流動抵抗が大きくなって圧力損失ΔPが大きくなる。つまり、絶縁用樹脂がキャビティ内を流れる際、キャビティ内の流路深さMが小さいと、図46に示した樹脂注入口7bから樹脂流動末端部E3に至るまでの圧力損失ΔPが大きくなり、樹脂流動末端部E1で圧力が不足し易くなる。そして、樹脂流動末端部E3で圧力が不足すると絶縁用樹脂の流動が停止し、絶縁用樹脂の充填不良と絶縁機能の低下が生じる。このことは、成形金型107の金型内壁107aの密閉されたキャビティに絶縁用樹脂が注入され、樹脂絶縁部106が形成された後の結果から見ると、樹脂絶縁部106の厚さ(流路深さMに相当)が薄い程、絶縁用樹脂の樹脂流動末端部の充填不良と絶縁機能の低下が生じ易いことを意味する。
この実施の形態3の場合、成形金型107には、図44A~図44E、図45(図40参照)に示したように、樹脂絶縁部106の絶縁用樹脂の樹脂流動末端部E3である軸方向Xに沿って端面(樹脂絶縁部116形成後の図40の側面巻装部116dの厚さW101の箇所に相当)よりも中央側(樹脂絶縁部116形成後の図40の側面巻装部116dの厚さW102の箇所に相当)において周方向Rに向けて肉厚となる膨出部形成用の凹部107dが予め形成されている。従って、樹脂注入口107bから樹脂流動末端部E3に至るに従ってキャビティの流路深さMが次第に大きくなるため、圧力損失ΔPの低下が抑制される。その結果、樹脂流動末端部E3における充填不良が防止され、絶縁機能を向上させることができる。
そして、軸方向Xに沿う両端面のように肉厚の厚さW101が薄い側面巻装部106dの近傍に樹脂注入口107bを配置しても、上記に示した圧力損失の(式1)により、端面巻装部106c、バックヨーク部105a上の鍔部106a、突出部105c上の鍔部106bに絶縁用樹脂が流動しやすく、側面巻装部106dが絶縁用樹脂の樹脂流動末端部E3になる。
これに対して、図47に示す比較技術5の場合には、本願の実施の形態3のような軸方向の上下2方向から樹脂絶縁部を組み立てて形成されているが、2つの樹脂絶縁部は軸方向Xにおいて離反されており、嵌合する構造になっていない。よって、沿面距離を延長して絶縁性能を向上させることができない。
以上のように、この実施の形態3では、樹脂絶縁部106には、組み立てられる積層鉄心105の中央部に相当する部位おいて、積層鉄心105の軸方向Xに沿って両端面の厚さW101よりも中央側において周方向Rに向けての厚さW102が肉厚となる膨出部106dが形成されているので、成形金型107を用いて絶縁用樹脂を射出成形する際の流動抵抗の増加に起因した圧力損失ΔPを低減することができ、絶縁用樹脂の充填性の向上と絶縁性能を向上することができる。
しかも、巻装されるコイル104の中央が弾性変形により巻膨らむが、樹脂絶縁部106の膨出部106dは、その両端面の厚さW101よりも中央側において周方向Rに向けての厚さW102が肉厚となるように形成されているため、コイル104と膨出部106dとの間の隙間が小さくなり、巻装されるコイル104の周回数を減らすことがなく、コイル104の占積率の低下が抑えられる。このため、回転電機の性能を低下させることなく、絶縁機能を向上させることができ、小型で高効率、かつ十分な絶縁性能を有する回転電機の絶縁構造体を提供することが可能となる。
また、流動性が良い高価な絶縁用樹脂を選定する必要がなく、また、絶縁用樹脂の流動性を向上するために成形金型107の局所加熱を行う必要性もないので、材料費および設備費を抑制することで安価な回転電機を提供することができる。
ところで、図44A~図44E、図45に示したように、成形金型107の軸方向Xの端面に樹脂注入口107bを設けると、樹脂流動末端部E3が側面巻装部106dの軸方向Xに沿った中央部分にできるが、樹脂絶縁部106の形状によっては絶縁用樹脂の流れ方と樹脂流動末端部E3の位置が変化する。
そこで、樹脂絶縁部106の膨出部106dは、軸方向Xに沿ってその両端面の厚さW101から中央側において次第に周方向Rに厚さW102の肉厚となるように半紡錘状に形成したものに限らず、例えば図48に示すように、軸方向Xに沿ってその両端面の厚さW101よりも中央側において周方向Rに向けて厚さW102を有する断面が台形状に形成された膨出部106d、または、図49に示すように、軸方向Xに沿ってその両端面の厚さW101よりも中央側において周方向Rに向けて厚さW102を有する断面が突起状に形成された膨出部106dが形成されるように、成形金型107の凹部107dの形状を変更することで、成形金型107を用いて絶縁用樹脂を射出成形する際の流動抵抗の増加を局部的に抑えて絶縁機能の改善を図ることが可能である。
例えば、比較技術として、コイルを巻装する樹脂絶縁部に軸方向の両端面に突起を有する場合が考えられるが、当該突起を軸方向の端面に配置している点で異なり、本願のように、軸方向の両側面の絶縁性能を向上させる効果が得られない点で異なる。よって、本願のようにコイルの占積率を低下させることなく絶縁性能を向上することができ、同じ性能で小型の回転電機を得られるという効果がある点で異なる。さらに、本願のように、コイルと絶縁部の間の空気層を減らすことで、コイルによる発熱を鉄心に伝達する効率が向上するため、従来構造に対し、同じサイズで高効率、放熱部品を削減した回転電機を得るという効果がある点で異なる。
なお、この実施の形態3の回転電機の絶縁構造体は、サーボモータ用、燃料噴射バルブ開閉タイミング制御ユニット、空調用ファンモータ、車載用燃料ポンプユニット、巻上機用などの各種の回転電機の固定子に適用することができる。
なお、本実施の形態3においては、樹脂絶縁部106を積層鉄心105に対して軸方向Xの上下2方向から組み立てる例を示したが、これに限られることはなく、軸方向Xの上下の複数の箇所から組み立てる場合も考えられ、その場合であっても上記実施の形態3と同様の効果を奏することができる。
また、本実施の形態3においては、樹脂絶縁部106には、積層鉄心105の軸方向Xの端面に形成された箇所に樹脂注入口痕106eを図示しているが、図のおいては、比較技術との違いを明確にすうために大きく示しているが、当該樹脂注入口痕は小さいため、上記実施の形態1および実施の形態2においてはその図示を省略している。
上記のように構成された実施の形態3の回転電機の絶縁構造体および回転電機の絶縁構造体の製造方法によれば、上記各実施の形態と同様の効果を奏するとともに、
複数枚の鋼板が積層されてなる積層鉄心を備えるとともに、前記積層鉄心には少なくともコイルが巻装される箇所の表面部を覆う樹脂絶縁部が軸方向の2方向以上から組み立てられる回転電機の絶縁構造体において、
前記樹脂絶縁部は、前記積層鉄心の軸方向の端面に形成された箇所の最大厚さが、前記積層鉄心の軸方向に沿って形成された箇所の最大厚さよりも厚く、かつ、前記積層鉄心の軸方向の端面に形成された箇所に樹脂注入口痕を有し、
前記樹脂絶縁部は、前記積層鉄心の軸方向の端面の形成された箇所の厚さが均一に形成され、
前記樹脂絶縁部は、前記積層鉄心の軸方向に沿って両端面よりも中央側において周方向に向けて肉厚に形成された膨出部を備えるので、
また、複数枚の鋼板が積層されてなる積層鉄心を備えるとともに、前記積層鉄心には少なくともコイルが巻装される箇所の表面部を覆う樹脂絶縁部が軸方向の2方向以上から組み立てられる回転電機の絶縁構造体の製造方法であって、
前記樹脂絶縁部を軸方向の2方向以上に分割した射出成形用の成形金型を適用し、この成形金型の金型内壁には前記積層鉄心の軸方向に沿って両端面よりも中央側において周方向に向けて肉厚となる膨出部形成用の凹部を予め形成しておき、前記成形金型の樹脂注入口から絶縁用樹脂を注入して軸方向の2方向以上に分割された前記樹脂絶縁部を成形し、前記成形金型から軸方向の2方向以上に分割された前記樹脂絶縁部を取り出した後、前記積層鉄心に軸方向の2方向以上に分割された前記樹脂絶縁部を軸方向の2方向以上から組み立てるので、
巻回されるコイルの軸方向の中央部分が弾性変形により巻膨らむが、膨出部は、その軸方向の両端面よりも中央側において周方向に向けて肉厚となるように形成されているため、コイルのコイル占積率を低下させることなく絶縁性能を向上することができ、同じ性能で小型の回転電機の絶縁構造体、ひいては回転電機を得られることができる。また、コイルと樹脂絶縁部との間の空気層を減らすことで、コイルによる発熱を積層鉄心に伝達する効率が向上するため、従来構造に対し、余分なコストアップまたは性能低下を招来することなく、同じサイズで高効率、放熱部品を削減した回転電機の絶縁構造体、ひいては回転電機を得ることができる。
さらに、成形金型の金型内壁には積層鉄心の軸方向に沿って両端面よりも中央側において周方向に向けて肉厚となる膨出部形成用の凹部を予め形成しておき、成形金型の内部に積層鉄心を配置した後、成形金型の樹脂注入口から絶縁用樹脂を注入するので、
絶縁用樹脂を充填する際の流動抵抗の増加に起因した圧力損失を低減することができる。このため、絶縁用樹脂の充填性が向上するので、流動性が良い高価な絶縁用樹脂を選定する必要がなく、また、絶縁用樹脂の流動性を向上するために成形金型の局所加熱を行う必要性もないので、材料費および設備費を抑制することができ、安価な回転電機の絶縁構造体ひいては回転電機を提供することができる。
なお、本願は、様々な例示的な実施の形態が記載されているが、一つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、および機能は特定の実施の形態の適用に限られるものではなく、単独で、または様々な組み合わせで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも一つの構成要素を変形する場合、追加する場合、または省略する場合、さらには、少なくとも一つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組み合わせる場合が含まれものとする。
1 固定子、2 分割固定子、3 絶縁分割鉄心、4 コイル、5 積層鉄心、5a バックヨーク部、5b ティース部、5c 突出部、6 樹脂絶縁部、6a,6b 鍔部、6c 端面巻装部、6d 側面巻装部、7 成形金型、7a 金型内壁、7b 樹脂注入口、7d 凹部、G1 巻膨れ隙間、11 回転子、12 シャフト、13 絶縁鉄心、14 コイル、15 積層鉄心、15a 挿入穴、15b 鉄心中央部、15c ティース部、15d 鉄心外周部、16 樹脂絶縁部、16c 端面巻装部、16d 側面巻装部、17 成形金型、17a 金型内壁、17b 樹脂注入口、17d 凹部、G2 巻膨れ隙間、101 固定子、102 分割固定子、103 絶縁分割鉄心、104 コイル、105 積層鉄心、105a バックヨーク部、105b ティース部、105c 突出部、106 樹脂絶縁部、106a,106b 鍔部、106c 端面巻装部、106d 側面巻装部、106e 樹脂注入口痕、107 成形金型、107a 金型内壁、107b 樹脂注入口、107d 凹部、G3 巻膨れ隙間、606c 端面巻装部、606e 樹脂注入口痕、606d 側面巻装部、607a 金型内壁、616d 側面巻装部、617a 金型内壁。

Claims (11)

  1. 複数枚の鋼板が積層されてなる積層鉄心を備えるとともに、前記積層鉄心には少なくともコイルが巻装される箇所の表面部を覆って樹脂絶縁部が一体形成され、前記樹脂絶縁部上に前記コイルが巻装されている回転電機の絶縁構造体において、
    前記樹脂絶縁部は、前記積層鉄心の軸方向に沿って両端面よりも中央側において周方向に向けて肉厚に形成された膨出部を備え、
    前記樹脂絶縁部は、前記積層鉄心の軸方向の両端面に形成された箇所の最大厚さが、前記積層鉄心の軸方向に沿って形成された箇所の最大厚さよりも厚く、かつ、前記積層鉄心の軸方向の両端面に形成された箇所に樹脂注入口痕と、軸方向の両端面における前記樹脂注入口痕の位置から注入され前記樹脂絶縁部を形成する絶縁用樹脂同士が前記膨出部において接して硬化された樹脂流動末端部とを備える回転電機の絶縁構造体。
  2. 前記樹脂注入口痕は、前記積層鉄心の前記コイルが巻装される箇所を覆う前記樹脂絶縁部の軸方向の両端面に設けられている請求項1に記載の回転電機の絶縁構造体。
  3. 前記樹脂絶縁部は、前記積層鉄心の軸方向の端面に形成された箇所の厚さが均一に形成されている請求項1または請求項2に記載の回転電機の絶縁構造体。
  4. 前記積層鉄心の前記コイルが巻装される箇所は、軸方向の両端側の周方向の長さよりも、軸方向の中央側において周方向の長さが短く形成された箇所を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転電機の絶縁構造体。
  5. 前記膨出部は、前記積層鉄心と前記コイルとの間の巻膨れ隙間よりも小さい範囲内で施されている請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の回転電機の絶縁構造体。
  6. 前記コイルと、前記樹脂絶縁部のうち前記積層鉄心の軸方向の端面に形成された箇所に設けられた前記樹脂注入口痕との間には、隙間が形成されている請求項2に記載の回転電機の絶縁構造体。
  7. 前記膨出部は、前記積層鉄心の周方向に対面するティース側面部に対応する箇所に形成されている請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の回転電機の絶縁構造体。
  8. 前記膨出部は、前記軸方向の中央を頂点として前記両端面に向かって厚さが次第に減少する断面が半紡錘状に形成されている請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の回転電機の絶縁構造体。
  9. 前記膨出部は、断面が台形状に形成されている請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の回転電機の絶縁構造体。
  10. 前記膨出部は、断面が突起状に形成されている請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の回転電機の絶縁構造体。
  11. 鋼板が積層されてなる積層鉄心を備えるとともに、前記積層鉄心には少なくともコイルが巻装される箇所の表面部を覆って樹脂絶縁部が一体形成され、前記樹脂絶縁部上に前記コイルが巻装されている回転電機の絶縁構造体の製造方法であって、
    前記樹脂絶縁部の射出成形用の成形金型を適用し、この成形金型の金型内壁には前記積層鉄心の軸方向に沿って両端面よりも中央側において周方向に向けて肉厚となる膨出部形成用の凹部を予め形成しておき、前記成形金型の内部に前記積層鉄心を配置した後、前記成形金型において、前記積層鉄心の軸方向の両端面側に設けられた樹脂注入口から絶縁用樹脂を注入し、前記絶縁用樹脂同士が前記膨出部形成用の凹部において接して硬化された樹脂流動末端部を備える前記樹脂絶縁部を成形する回転電機の絶縁構造体の製造方法。
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