JP2014218063A - 射出成形により樹脂注入する電動機のステータ - Google Patents

射出成形により樹脂注入する電動機のステータ Download PDF

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Abstract

【課題】樹脂を外周部に隙間なく充填できるようにした電動機のステータを提供する。【解決手段】射出成形によって内周部及び外周部に形成される樹脂モールド部を具備する電動機のステータにおいて、ステータの内周部と外周部とを仕切る仕切部材が、ステータの軸方向端部に設けられている。この仕切部材によって、軸方向端部から注入される樹脂が内周部及び外周部に分岐して流れるようになっている。仕切部材には、ステータの軸方向端部から外周部に樹脂が流れるように樹脂流路が形成されてもよい。【選択図】図1

Description

本発明は、電動機のステータに関する。
一般的に、ステータコアに巻回される巻線を固定するとともに、巻線からの放熱作用を向上させることを目的として、電動機のステータの内周部には、樹脂モールド部が形成される。さらに、防水性の向上又はモータ外表面の塗装工程の省略を目的として、ステータの外周部に樹脂モールド部が形成されることがある。ステータの外周部に形成される樹脂モールド部は、モータを小型化すること、及びステータコアの熱を外部に効率的に放出することを目的として、できる限り薄肉であることが望ましい。しかしながら、薄肉の樹脂モールド部を射出成形によって形成しようとすると、樹脂の流路が狭くなるので注入される樹脂の流動性が十分に得られない場合がある。その結果として、樹脂が充填されない箇所が局所的に発生する場合がある。
特許文献1〜3には、ステータの周囲に樹脂モールド部を形成することが開示されている。特許文献1には、ステータコア、巻線及びそれらステータコアと巻線とを絶縁する一対のインシュレータとともに樹脂で一体成形されるフレームを備えた電動機のステータが開示されている。そして、一対のインシュレータの間に形成される隙間に樹脂を充填することを目的として、ステータコアの外周部から内周部まで貫通する貫通孔が樹脂の流路として形成されている。また、特許文献2には、ステータコア及びステータコアに巻回されたコイルとともに一体成形される樹脂製のフレームを形成することが開示されている。さらに、特許文献3には、電動機の電機子の周囲を覆うように樹脂モールド部を形成することが開示されている。
特開2012−115050号公報 特許第3552266号公報 特許第5124219号公報
樹脂を外周部に隙間なく充填できるようにした電動機のステータが望まれている。
本願の1番目の発明によれば、射出成形によって内周部及び外周部に形成される樹脂モールド部を具備する電動機のステータであって、当該ステータの軸方向端部に設けられていて当該ステータの前記内周部と前記外周部とを仕切る仕切部材を具備しており、前記仕切部材によって、前記軸方向端部から注入される樹脂が前記内周部及び前記外周部に分岐して流れるようになる、ステータが提供される。
本願の2番目の発明によれば、1番目の発明に係るステータにおいて、前記仕切部材には、当該ステータの前記軸方向端部から前記外周部に樹脂が流れるように樹脂流路が形成される。
本願の3番目の発明によれば、2番目の発明に係るステータにおいて、前記樹脂流路が、前記仕切部材の軸方向端面から当該ステータの前記外周部まで延在する貫通孔によって形成される。
本願の4番目の発明によれば、2番目の発明に係るステータにおいて、前記樹脂流路が、前記仕切部材の軸方向端面から当該ステータの前記外周部まで延在する溝によって形成される。
本願の5番目の発明によれば、1番目から4番目のいずれかの発明に係るステータにおいて、前記樹脂モールド部を形成する射出成形によって、当該ステータの軸方向端面に溝が形成される。
上記構成を備えたステータによれば、内周部と外周部とを仕切る仕切部材を設けることによって、樹脂モールド部を形成する射出成形工程において、ステータの軸方向端部からステータの内周部に注入される樹脂の流れから分岐するようにステータの外周部に樹脂が注入される。それにより、ステータの外周部に注入される樹脂にも十分な射出圧力が付与されるようになり、樹脂を外周部に隙間なく充填できるようになる。
第1の実施形態に係る電動機の構成を示す概略断面図である。 図1の電動機のステータを示す側面図である。 図1の電動機のステータにおいて樹脂モールド部を形成する射出成形工程を示す図である。 図1の電動機のステータにおいて樹脂モールド部を形成する射出成形工程を示す図である。 図3Bの領域3Cを拡大して示す部分拡大図である。 第2の実施形態に係る電動機のステータにおいて樹脂モールド部を形成する射出成形工程を示す図である。 第2の実施形態に係る電動機のステータにおいて樹脂モールド部を形成する射出成形工程を示す図である。 図4Bの領域4Cを拡大して示す部分拡大図である。 後工程を実行する前の第2の実施形態に係るステータを示す概略断面図である。 図5Aのステータを示す側面図である。 図5Aの領域5Cを拡大して示す部分拡大図である。 後工程を実行した後の第2の実施形態に係るステータを示す概略断面図である。 図6Aのステータを示す側面図である。 図6Aの領域6Cを拡大して示す部分拡大図である。 後工程を実行する前の第2の実施形態の変形例に係るステータを示す概略断面図である。 図7Aのステータを示す側面図である。 図7Aの領域7Cを拡大して示す部分拡大図である。 後工程を実行した後の第2の実施形態の変形例に係るステータを示す概略断面図である。 図8Aのステータを示す側面図である。 図8Aの領域8Cを拡大して示す部分拡大図である。
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態を説明する。図示される実施形態の構成要素は、本発明の理解を助けるために縮尺が実用的な形態から適宜変更されている。また、同様の構成要素には同一の参照符号が使用される。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る電動機100の構成を示す概略断面図である。図2は、図1の電動機100のステータ10を示す側面図である。電動機100は、ステータ10と、ステータ10の両端において前方軸受52及び後方軸受54によって軸線Oの回りに回転可能に支持されるロータ50と、ロータ50の位置及び速度等を検出する検出器60と、を備えている。電動機100は、検出器60からの検出信号を外部の制御装置に伝達するのに使用される信号コネクタ62をさらに備えている。
ステータ10は、磁性を有する材料、例えばケイ素鋼から形成される薄板を軸線Oの方向に積層することによって形成されるステータコア12を備えている。ステータコア12は、概ね円筒形状を有するコアバックと、コアバックからロータ50に向かって、すなわち半径方向内側に向かって突出していて周方向に所定の間隔を空けて形成される複数のティースと、を有している。ティースの周りには、絶縁体14を介して巻線16が巻回されている。図1において、絶縁体14は、巻線16が巻き回されていない半径方向内側の端部のみが視認可能であり、巻線16は破線で示されている。巻線16には、電源コネクタ18を介して交流電流が供給され、回転磁界が発生するようになっている。
本発明を適用可能な電動機は特定のタイプのものに限定されない。例えば、電動機100は、巻線16によって生成される回転磁界と、ロータ50の外周部に配列される永久磁石(図示せず)とが互いに協働することによってロータ50を回転させる回転トルクが得られるように形成される。或いは、電動機100は、ロータ50に誘導電流を発生させることによって回転トルクが得られるように形成されていてもよい。また、ステータコア12は、前述したような積層コアに限定されず、一体的に形成されたものであってもよい。
ステータ10の前方軸受52は、ステータ10の一方の端部に設けられるフランジ56によって保持されている。フランジ56は、例えばねじ留めなどの公知の手段によってステータコア12に取付けられている。また、フランジ56に対向するステータ10の端面には、パッキン24を収容する溝26が形成されている。
フランジ56は、前方軸受52の半径方向外側に延在していて前方軸受52を保持する軸受保持部56aと、軸受保持部56aの端部から概ね半径方向外側に向かって延在する本体部56bと、後述するステータ10のハウジング20に嵌合するようにハウジング20に対して相補形状を有する嵌合部56cと、を有している。さらに、フランジ56とロータ50との間には、オイルシール58が設けられている。また、ステータ10の前方軸受52の反対側に設けられる後方軸受54は、概ね環状の軸受ホルダ59によって半径方向外側から保持されている。
図1において、ステータコア12の周囲のハッチングが施された部位は、樹脂を充填することによって形成される樹脂モールド部22である。樹脂モールド部22は、ステータコア12(特にコアバック)の外周を覆うように形成される外方モールド部22aと、巻線16を含浸させるように形成される内方モールド部22bと、を有している。このように、本明細書においては、ステータ10のコアバックよりも半径方向外側に形成される部位を外方モールド部22a、コアバックの半径方向内側に形成される部位を内方モールド部22b、とそれぞれ便宜上称することとする。
フランジ56が設けられるステータ10の前方端において、外方モールド部22aと内方モールド部22bとは、概ね円筒形状を有するハウジング20によって半径方向において互いに仕切られている。ハウジング20は、巻線16の端部(コイルエンド)を被覆するように形成されていてもよい。ハウジング20は、樹脂、金属などの任意の材料から形成され得る。ハウジング20は、良好な電気伝導性を有する材料、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金から形成されるのが好ましい。その場合、ハウジング20がステータコア12とフランジ56との間に介在していて各部材が電気的に接続されるので、ステータコア12を接地する作用が向上する。特に、ハウジング20及びフランジ56が相補形状を有していて互いに嵌合されるように形成される場合、ハウジング20とフランジ56との間が面接触するようになって、接地作用を顕著に向上できる。
図3A及び図3Bは、本発明の第1の実施形態に係る電動機100のステータ10において、樹脂モールド部22を形成する工程を示す図である。図3Aは、樹脂RSが射出成形装置90から金型80内に射出される前の前の状態を示しており、図3Bは、樹脂RSが金型80内に充填された後の状態を示している。図3Cは、図3Bの領域3Cを拡大して示す部分拡大図である。
本実施形態において、金型80の樹脂注入口付近の内部空間は、図示されるようにハウジング20によってステータ10の半径方向において仕切られているので、外方ゲート82及び内方ゲート84がハウジング20の半径方向外側及び半径方向内側にそれぞれ設けられている。ハウジング20は、射出圧力によって所定の位置から移動しないように予め公知の手段によって固定される。例えばハウジング20は、ステータコア12にねじ留めされてもよいし、或いは、金型80に仮止めされてもよい。
図3Cを参照すると、ハウジング20は、フランジ56に面接触するように概ね平坦な端面20dを形成する端面部20aと、端面部20aの外径よりも大きくかつステータコア12と概ね同一の大きさの外径を有していてステータコア12の端部に接触するように軸線Oの方向に沿って延在する外縁部20bと、端面部20a及び外縁部20bを互いに接続するようにそれらの間に延在していて徐々に拡大する直径を有する拡径部20cと、を有している。図示されるように、外方ゲート82は、外方モールド部22aの外表面と、ハウジング20の端面部20aとの間に形成される領域に設けられる。
このように、本実施形態によれば、金型80内に注入される樹脂RSは、ハウジング20によってステータ10の外周側と内周側とに向かってそれぞれ分岐して流れるようになる。それにより、樹脂が十分な圧力を伴ってステータ10の外周側の領域内に射出されるので、薄肉の外方モールド部22aを隙間なく形成できるようになる。
続いて、他の実施形態について説明する。前述した事項と重複する内容は適宜省略される。図4A及び図4Bは、第2の実施形態に係る電動機のステータ30において樹脂モールド部22を形成する射出成形工程を示す図である。図4Aは、樹脂RSが射出成形装置90から金型80内に射出される前の前の状態を示しており、図4Bは、樹脂RSが金型80内に充填された後の状態を示している。図4Cは、図4Bの領域4Cを拡大して示す部分拡大図である。
本実施形態において、ハウジング20には、フランジ(図1参照)に対向するハウジング20の端面20dからステータ30の外周部に連通するように貫通孔32が形成されている。貫通孔32は、端面部20a、拡径部20c及び外縁部20bにわたって延在している。貫通孔32は、周方向に所定の間隔を空けて複数個、例えば8個設けられている(図6B参照)。
図4Cを参照するとよく分かるように、本実施形態において、ステータ30の外周側に設けられる外方ゲート82は、ハウジング20の貫通孔32に連通するように形成される。それにより、外方ゲート82を通って注入される樹脂RSは、貫通孔32を通ってステータ30の外周側に流入する。このようにして、外方モールド部22aが形成される。
本実施形態によれば、第1の実施形態に関連して説明した利点に加えて、パッキン24(図1参照)を収容するための溝26を、射出成形工程によって樹脂モールド部22と同時に形成できるようになる。すなわち、図4Cに示されるように、外方ゲート82がステータ30の内周部により近い位置に設けられるので、ハウジング20の端面部20aの外周側の領域を自由に成形可能になる。したがって、パッキン24が設けられる溝26を射出成形によってステータ30の端面に形成できる。
このように、射出成形によって樹脂モールド部22と同時に形成された溝26は、切削加工などの後工程によって形成される同様の溝に比べてより円滑な表面を有するようになるので、防水性が向上する。また、溝を形成するための後工程の一部を省略できるので、製造工程を簡略化できる。
図5Aは、後工程を実行する前の第2の実施形態に係るステータ30を示す概略断面図であり、図5Bはその側面図である。図5Cは、図5Aの領域5Cを拡大して示す部分拡大図である。図5A〜図5Cは、射出成形の後に金型80から取出した状態のステータ30を表している。図示されるように、ステータ30には、外方ゲート82及び内方ゲート84に対応する位置(図4C参照)にゲート跡86がそれぞれ形成されている。他方、パッキン24を収容する溝26はこの時点で既にステータ30の端面に形成されており、別途の後工程が不要である。
図6Aは、後工程を実行した後の第2の実施形態に係るステータ30を示す概略断面図であり、図6Bはその側面図である。図6Cは、図6Aの領域6Cを拡大して示す部分拡大図である。図5A〜図5C及び図6A〜図6Cを対比すると分かるように、後工程、例えば切削加工によってゲート跡86が除去されており、ステータ30の端面が円滑に仕上げられる。
次に、第2の実施形態の変形例について説明する。図7Aは、後工程を実行する前の第2の実施形態の変形例に係るステータ30’を示す概略断面図であり、図7Bはその側面図である。図7Cは、図7Aの領域7Cを拡大して示す部分拡大図である。また、図8Aは、後工程を実行した後のステータ30’を示す概略断面図であり、図8Bはその側面図である。図8Cは、図8Aの領域8Cを拡大して示す部分拡大図である。本変形例においては、前述した貫通孔32の代わりにハウジング20に流路溝34が形成されている。流路溝34は、図7Bに示されるようにハウジング20の端面20dから外縁部20bまで形成される。
流路溝34は、前述した貫通孔32と同様に作用する。すなわち、射出成形によって樹脂モールド部22を形成する際に、外方ゲート82から流路溝34に樹脂が注入される。樹脂は、流路溝34を通ってステータ30’の外周部に流れ、それにより外方モールド部22aが形成される。
以上、本発明の種々の実施形態及び変形例を説明したが、他の実施形態及び変形例によっても本発明の意図される作用効果を奏することができることは当業者に自明である。特に、本発明の範囲を逸脱することなく前述した実施形態及び変形例の構成要素を削除ないし置換することが可能であるし、公知の手段をさらに付加することが可能である。また、本明細書において明示的又は暗示的に開示される複数の実施形態の特徴を任意に組合せることによっても本発明を実施できることは当業者に自明である。
10 ステータ
12 ステータコア
14 絶縁体
16 巻線
18 電源コネクタ
20 ハウジング(仕切部材)
22 樹脂モールド部
22a 外方モールド部
22b 内方モールド部
24 パッキン
26 溝
30 ステータ
30’ ステータ
32 貫通孔
34 流路溝
50 ロータ
59 軸受ホルダ
60 検出器
82 外方ゲート
84 内方ゲート
86 ゲート後
90 射出成形装置
100 電動機
RS 樹脂

Claims (5)

  1. 射出成形によって内周部及び外周部に形成される樹脂モールド部を具備する電動機のステータであって、
    当該ステータの軸方向端部に設けられていて当該ステータの前記内周部と前記外周部とを仕切る仕切部材を具備しており、
    前記仕切部材によって、前記軸方向端部から注入される樹脂が前記内周部及び前記外周部に分岐して流れるようになる、ステータ。
  2. 前記仕切部材には、当該ステータの前記軸方向端部から前記外周部に樹脂が流れるように樹脂流路が形成される、請求項1に記載のステータ。
  3. 前記樹脂流路が、前記仕切部材の軸方向端面から当該ステータの前記外周部まで延在する貫通孔によって形成される、請求項2に記載のステータ。
  4. 前記樹脂流路が、前記仕切部材の軸方向端面から当該ステータの前記外周部まで延在する溝によって形成される、請求項2に記載のステータ。
  5. 前記樹脂モールド部を形成する射出成形によって、当該ステータの軸方向端面に溝が形成される、請求項1から4のいずれか1項に記載のステータ。
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