JP2004304988A - 電動機のステータ構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】部品点数を増大させることなく、且つ、効率良くコイル11に発生するジュール熱を放熱することのできる電動機のステータ構造を提供する。
【解決手段】略円環形状のバックヨーク9、及び該バックヨーク9から内周方向へ突出する複数のティース6とを備えたステータコア5と、ティース6間のスロット7内に挿入してティース6に巻装されるコイル11とを有するステータ5とを具備し、コイル11に電流を流して、ロータ2を回転駆動させる電動機のステータ構造において、ティース6は、該ティース6からスロット7に向けて膨出し、且つ弾性変形可能な膨出部15を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】略円環形状のバックヨーク9、及び該バックヨーク9から内周方向へ突出する複数のティース6とを備えたステータコア5と、ティース6間のスロット7内に挿入してティース6に巻装されるコイル11とを有するステータ5とを具備し、コイル11に電流を流して、ロータ2を回転駆動させる電動機のステータ構造において、ティース6は、該ティース6からスロット7に向けて膨出し、且つ弾性変形可能な膨出部15を備えたことを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機のステータ構造に係り、特に、コイル(ステータ巻線)に発生する熱をフレーム側に効率良く伝導させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電動機に用いられるステータ(固定子)は、図5に示すように、珪素鋼板、或いは鋼鉄製の薄板材を円盤状、及び円環状に同時に打ち抜いて製作された薄板101を複数枚積層してステータコア102を作成し、更にこのステータコア102のスロットに、絶縁紙、コイル、ウェッジを挿入し、ワニスを含侵させて形成される。
【0003】
このようなステータに用いられるコイルは、表面の絶縁被覆に耐熱制限を有する構成とされているが、通電時に生じるジュール熱により発熱し、電動機の性能を大きく制約する部品となっている。
【0004】
即ち、コイルに発生する熱は、効率良く外部冷却媒体等を通じて放熱されることが要求され、通常この熱は、図6に示すように、複数本のコイル103間に充填されたワニス104、絶縁紙105、バックヨーク106を経由して外部冷却媒体等に伝導される。ここで、コイル103に発生する熱を効率良く放熱させるためには、スロット内のコイル103間の隙間、つまり、ワニス104が充填される部分を少なくすることが望ましい。
【0005】
ところが、インサータマシン等を用いてコイル103をスロット内に挿入する際の作業性、コイル103の捩れ、重なり等に起因し、スロット内にはある程度の隙間が必要となり、熱伝導の妨げになる要因となっている。
【0006】
また、コイルからステータへの熱伝導性を向上させる方法として、例えば、特開2002−191155号公報(特許文献1)に示されているように、ステータコアからはみ出したコイルエンドと筐体の間に熱伝導体を配置したり、特開2002−51491号公報(特許文献2)に示されているように、コイル全体を樹脂モールドする等の方法が知られている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−191155号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2001−51491号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した特許文献1に記載された技術では、熱伝導体を追加することになり、部品点数の増加、取り付け作業工数の増加を招き、作業効率の低下、及びコストアップの原因となる。
【0010】
また、特許文献2に記載された技術では、樹脂モールドは、材料となる樹脂が高価であるため、作業工数が増加するばかりでなく、コストアップにつながるという欠点がある。
【0011】
この発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、部品点数を増大させることなく、且つ、効率良くコイルに発生するジュール熱を放熱することのできる電動機のステータ構造を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願発明は、内部に永久磁石を備えたロータと、前記ロータの外周部に固定され、略円環形状のバックヨーク、及び該バックヨークから内周方向へ突出する複数のティースとを備えたステータ鉄心と、前記ティース間のスロット内に挿入して前記ティースに巻装されるコイルとを有するステータと、を具備し、前記コイルに電流を流して、前記ロータを回転駆動させる電動機の、前記ステータ構造において、前記ティースは、該ティースから前記スロットに向けて膨出し、且つ弾性変形可能なティース側膨出部を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本願の他の発明は、内部に永久磁石を備えたロータと、前記ロータの外周部に固定され、略円環形状のバックヨーク、及び該バックヨークから内周方向へ突出する複数のティースとを備えたステータ鉄心と、前記ティース間のスロット内に挿入して前記ティースに巻装されるコイルとを有するステータと、を具備し、前記コイルに電流を流して、前記ロータを回転駆動させる電動機の、前記ステータ構造において、前記バックヨークは、該バックヨークからスロットに向けて膨出し、且つ弾性変形可能なバックヨーク側膨出部を設けたことを特徴とする。
【0014】
【発明の効果】
本発明に係る電動機のステータ構造によれば、ステータ鉄心のティース、及びバックヨークに、弾性変形可能なティース側膨出部、及びバックヨーク側膨出部が形成されるので、スロット内にコイルを挿入する際には、各膨出部が弾性変形することにより、コイルの挿入を可能とし、コイルが挿入された後には、膨出部がコイルを締め付けるように力が働くので、コイルどうしの間の隙間を減少させることができる。従って、コイルに発生するジュール熱を効率良くステータ鉄心に伝達させることができ、放熱作用を向上させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る電動機のステータ構造が適用される電動機の構成を示す断面図、図2は、本発明の一実施形態に係るステータ構造を示すステータコア(ステータ鉄心)の一部分の構成を示す説明図である。
【0016】
図1に示すように、電動機1は、中心に回転軸となるシャフト13が設けられ、更に、該シャフト13と連動して回転する永久磁石を有するロータ2が設けられている。また、電動機1全体をモールドする筐体3の内面には、ステータ4が設けられており、該ステータ4に搭載されるコイル(ステータ巻線)に電流を流し、これにより発生する回転磁界により、シャフト13が回転駆動するようになされている。
【0017】
また、図2に示すように、ステータ4を構成するステータコア(ステータ鉄心)5は、ティース6と、スロット7とが交互に形成された凹凸形状をなしている。ティース6は、スロット7側に若干膨出する膨出部(ティース側膨出部)15を有しており、更に、この膨出部15は、突出部(ティース側突出部)14及び弓型のスリット(ティース側スリット)8を有している。この際、スリット8の幅を除いたティース6の幅は、スリット8を形成しない従来型(図6参照)のティースの幅と同一となるように設計される。即ち、図2及び図6において、Wt=Wt1+Wt2+Wt3とされている。換言すれば、突出部14の突出部分の幅と、スリット8の幅が略同一とされている。
【0018】
また、バックヨーク9についても同様に、スロット7側に若干膨出した膨出部(バックヨーク側膨出部)17が形成されており、この膨出部17は、突出部(バックヨーク側突出部)16と、弓形のスリット(バックヨーク側スリット)10を有している。この際、スリット10の幅を除いたバックヨーク9の幅は、スリット10を形成しない従来型(図6参照)のバックヨークの幅と同一となるように設計される。即ち、図2及び図6において、Wb=Wb1+Wb2となる。換言すれば、突出部16の突出の幅と、スリット8の幅が略同一とされている。
【0019】
上記したスリット8,10は、薄板材からステータコアを打ち抜く際に、同時に打ち抜くことにより、形成することができる。
【0020】
次に、上述のように構成されたステータコア5のスロット7内に、コイル(ステータ巻線)11を挿入する際の手順について、図3,図4に示す説明図を参照しながら説明する。
【0021】
コイル挿入時には、図3に示すように、スロット7の入り口部分となる狭幅部からコイル11を挿入し、更に、インサータマシン等のコイル押し込み部12を用いて、コイル11をスロット7の内側に押し込む。
【0022】
この際、スロット7内部は、ティース6が膨出していることにより、幅狭となっているが、コイル挿入時の圧力により、ティース6の膨出部15が弾性変形して、スロット7内部にコイル11が挿入される。
【0023】
コイル11がスロット7内に挿入された後は、図4に示すように、ティース6に形成されたスリット8が広がる方向に作用し、突出部14がスロット7の幅を狭くする方向に押し付け、ひいては、スロット7内に挿入されたコイル11を締め付けるように力が作用する。これにより、コイル11どうしの間の隙間を著しく減少させることができる。
【0024】
また、バックヨーク9に形成された膨出部17についても同様に、突出部16が弾性変形した状態で、スロット7内にコイル11が挿入され、その後、突出部16がコイル11を締め付けるように力が作用するので、コイル11どうしの間の隙間を減少させることができる。
【0025】
このようにして、本実施形態に係る電動機のステータ構造では、ステータコア5のティース6に弾性変形可能な膨出部15が形成されるので、スロット7内にコイル11を挿入する際には、該膨出部15が弾性変形することにより、コイル11の挿入を可能とし、コイル11が挿入された後には、膨出部15がコイル11を締め付けるように力が働くので、コイル11どうしの間の隙間を減少させることができる。従って、コイル11に発生するジュール熱を効率良くステータコア5に伝達させることができ、放熱作用を向上させることができる(請求項1の効果)。
【0026】
また、膨出部15が突出部14とスリット8で形成され、スリット8の幅が伸縮することにより、突出部14が弾性変形する構成としているので、ステータコア5の作成を容易とすることができ、製作工程を簡素化することができる(請求項2の効果)。
【0027】
更に、バックヨーク9に弾性変形可能な膨出部17が形成されるので、スロット7内にコイル11を挿入する際には、該膨出部17が弾性変形することにより、コイル11の挿入を可能とし、コイル11が挿入された後には、膨出部17がコイル11を締め付けるように力が働くので、コイル11どうしの間の隙間を減少させることができる。従って、コイル11に発生するジュール熱を効率よく放熱させることができる(請求項4の効果)。
【0028】
また、膨出部17が突出部16とスリット10で形成され、スリット10の幅が伸縮することにより、突出部16が弾性変形する構成としているので、ステータコア5の作成を容易とすることができ、製作工程を簡素化することができる(請求項5の効果)。
【0029】
更に、ティース側の突出部14の突出幅とスリット8の幅とが同一となるように構成され、且つ、バックヨーク側の突出部16の突出幅とスリット10の幅とが同一となるように構成されるので、従来のステータ構造と比較して、ティース6、及びバックヨーク9の総磁束通路幅は変化せず、電動機の特性に影響を与えることはない(請求項3,6の効果)。
【0030】
以上、本発明の電動機のステータ構造を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0031】
例えば、本実施形態では、ティース6側の膨出部15が突出部14とスリット8とで構成され、バックヨーク9側の膨出部17が突出部16とスリット10とで構成される例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、弾性変形し、且つスロット7側に膨出する構成のものであれば、他の構成を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るステータ構造が適用される電動機の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るステータ構造を示す構成図である。
【図3】ステータのスロットにコイルを挿入するときの様子を示す説明図である。
【図4】コイルを挿入した後の、ステータの様子を示す説明図である。
【図5】電動機に用いられるステータの製作工程を示す説明図である。
【図6】従来におけるステータの構成図であり、スロット内にコイルが挿入されたときの様子を示す。
【符号の説明】
1 電動機
2 ロータ
3 筐体
4 ステータ
5 ステータコア
6 ティース
7 スロット
8 スリット(ティース側スリット)
9 バックヨーク
10 スリット(バックヨーク側スリット)
11 コイル
12 コイル押し込み部
13 シャフト
14 突出部(ティース側突出部)
15 膨出部(ティース側膨出部)
16 突出部(バックヨーク側突出部)
17 膨出部(バックヨーク側膨出部)
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動機のステータ構造に係り、特に、コイル(ステータ巻線)に発生する熱をフレーム側に効率良く伝導させる技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、電動機に用いられるステータ(固定子)は、図5に示すように、珪素鋼板、或いは鋼鉄製の薄板材を円盤状、及び円環状に同時に打ち抜いて製作された薄板101を複数枚積層してステータコア102を作成し、更にこのステータコア102のスロットに、絶縁紙、コイル、ウェッジを挿入し、ワニスを含侵させて形成される。
【0003】
このようなステータに用いられるコイルは、表面の絶縁被覆に耐熱制限を有する構成とされているが、通電時に生じるジュール熱により発熱し、電動機の性能を大きく制約する部品となっている。
【0004】
即ち、コイルに発生する熱は、効率良く外部冷却媒体等を通じて放熱されることが要求され、通常この熱は、図6に示すように、複数本のコイル103間に充填されたワニス104、絶縁紙105、バックヨーク106を経由して外部冷却媒体等に伝導される。ここで、コイル103に発生する熱を効率良く放熱させるためには、スロット内のコイル103間の隙間、つまり、ワニス104が充填される部分を少なくすることが望ましい。
【0005】
ところが、インサータマシン等を用いてコイル103をスロット内に挿入する際の作業性、コイル103の捩れ、重なり等に起因し、スロット内にはある程度の隙間が必要となり、熱伝導の妨げになる要因となっている。
【0006】
また、コイルからステータへの熱伝導性を向上させる方法として、例えば、特開2002−191155号公報(特許文献1)に示されているように、ステータコアからはみ出したコイルエンドと筐体の間に熱伝導体を配置したり、特開2002−51491号公報(特許文献2)に示されているように、コイル全体を樹脂モールドする等の方法が知られている。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−191155号公報
【0008】
【特許文献2】
特開2001−51491号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した特許文献1に記載された技術では、熱伝導体を追加することになり、部品点数の増加、取り付け作業工数の増加を招き、作業効率の低下、及びコストアップの原因となる。
【0010】
また、特許文献2に記載された技術では、樹脂モールドは、材料となる樹脂が高価であるため、作業工数が増加するばかりでなく、コストアップにつながるという欠点がある。
【0011】
この発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、部品点数を増大させることなく、且つ、効率良くコイルに発生するジュール熱を放熱することのできる電動機のステータ構造を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本願発明は、内部に永久磁石を備えたロータと、前記ロータの外周部に固定され、略円環形状のバックヨーク、及び該バックヨークから内周方向へ突出する複数のティースとを備えたステータ鉄心と、前記ティース間のスロット内に挿入して前記ティースに巻装されるコイルとを有するステータと、を具備し、前記コイルに電流を流して、前記ロータを回転駆動させる電動機の、前記ステータ構造において、前記ティースは、該ティースから前記スロットに向けて膨出し、且つ弾性変形可能なティース側膨出部を備えたことを特徴とする。
【0013】
また、本願の他の発明は、内部に永久磁石を備えたロータと、前記ロータの外周部に固定され、略円環形状のバックヨーク、及び該バックヨークから内周方向へ突出する複数のティースとを備えたステータ鉄心と、前記ティース間のスロット内に挿入して前記ティースに巻装されるコイルとを有するステータと、を具備し、前記コイルに電流を流して、前記ロータを回転駆動させる電動機の、前記ステータ構造において、前記バックヨークは、該バックヨークからスロットに向けて膨出し、且つ弾性変形可能なバックヨーク側膨出部を設けたことを特徴とする。
【0014】
【発明の効果】
本発明に係る電動機のステータ構造によれば、ステータ鉄心のティース、及びバックヨークに、弾性変形可能なティース側膨出部、及びバックヨーク側膨出部が形成されるので、スロット内にコイルを挿入する際には、各膨出部が弾性変形することにより、コイルの挿入を可能とし、コイルが挿入された後には、膨出部がコイルを締め付けるように力が働くので、コイルどうしの間の隙間を減少させることができる。従って、コイルに発生するジュール熱を効率良くステータ鉄心に伝達させることができ、放熱作用を向上させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係る電動機のステータ構造が適用される電動機の構成を示す断面図、図2は、本発明の一実施形態に係るステータ構造を示すステータコア(ステータ鉄心)の一部分の構成を示す説明図である。
【0016】
図1に示すように、電動機1は、中心に回転軸となるシャフト13が設けられ、更に、該シャフト13と連動して回転する永久磁石を有するロータ2が設けられている。また、電動機1全体をモールドする筐体3の内面には、ステータ4が設けられており、該ステータ4に搭載されるコイル(ステータ巻線)に電流を流し、これにより発生する回転磁界により、シャフト13が回転駆動するようになされている。
【0017】
また、図2に示すように、ステータ4を構成するステータコア(ステータ鉄心)5は、ティース6と、スロット7とが交互に形成された凹凸形状をなしている。ティース6は、スロット7側に若干膨出する膨出部(ティース側膨出部)15を有しており、更に、この膨出部15は、突出部(ティース側突出部)14及び弓型のスリット(ティース側スリット)8を有している。この際、スリット8の幅を除いたティース6の幅は、スリット8を形成しない従来型(図6参照)のティースの幅と同一となるように設計される。即ち、図2及び図6において、Wt=Wt1+Wt2+Wt3とされている。換言すれば、突出部14の突出部分の幅と、スリット8の幅が略同一とされている。
【0018】
また、バックヨーク9についても同様に、スロット7側に若干膨出した膨出部(バックヨーク側膨出部)17が形成されており、この膨出部17は、突出部(バックヨーク側突出部)16と、弓形のスリット(バックヨーク側スリット)10を有している。この際、スリット10の幅を除いたバックヨーク9の幅は、スリット10を形成しない従来型(図6参照)のバックヨークの幅と同一となるように設計される。即ち、図2及び図6において、Wb=Wb1+Wb2となる。換言すれば、突出部16の突出の幅と、スリット8の幅が略同一とされている。
【0019】
上記したスリット8,10は、薄板材からステータコアを打ち抜く際に、同時に打ち抜くことにより、形成することができる。
【0020】
次に、上述のように構成されたステータコア5のスロット7内に、コイル(ステータ巻線)11を挿入する際の手順について、図3,図4に示す説明図を参照しながら説明する。
【0021】
コイル挿入時には、図3に示すように、スロット7の入り口部分となる狭幅部からコイル11を挿入し、更に、インサータマシン等のコイル押し込み部12を用いて、コイル11をスロット7の内側に押し込む。
【0022】
この際、スロット7内部は、ティース6が膨出していることにより、幅狭となっているが、コイル挿入時の圧力により、ティース6の膨出部15が弾性変形して、スロット7内部にコイル11が挿入される。
【0023】
コイル11がスロット7内に挿入された後は、図4に示すように、ティース6に形成されたスリット8が広がる方向に作用し、突出部14がスロット7の幅を狭くする方向に押し付け、ひいては、スロット7内に挿入されたコイル11を締め付けるように力が作用する。これにより、コイル11どうしの間の隙間を著しく減少させることができる。
【0024】
また、バックヨーク9に形成された膨出部17についても同様に、突出部16が弾性変形した状態で、スロット7内にコイル11が挿入され、その後、突出部16がコイル11を締め付けるように力が作用するので、コイル11どうしの間の隙間を減少させることができる。
【0025】
このようにして、本実施形態に係る電動機のステータ構造では、ステータコア5のティース6に弾性変形可能な膨出部15が形成されるので、スロット7内にコイル11を挿入する際には、該膨出部15が弾性変形することにより、コイル11の挿入を可能とし、コイル11が挿入された後には、膨出部15がコイル11を締め付けるように力が働くので、コイル11どうしの間の隙間を減少させることができる。従って、コイル11に発生するジュール熱を効率良くステータコア5に伝達させることができ、放熱作用を向上させることができる(請求項1の効果)。
【0026】
また、膨出部15が突出部14とスリット8で形成され、スリット8の幅が伸縮することにより、突出部14が弾性変形する構成としているので、ステータコア5の作成を容易とすることができ、製作工程を簡素化することができる(請求項2の効果)。
【0027】
更に、バックヨーク9に弾性変形可能な膨出部17が形成されるので、スロット7内にコイル11を挿入する際には、該膨出部17が弾性変形することにより、コイル11の挿入を可能とし、コイル11が挿入された後には、膨出部17がコイル11を締め付けるように力が働くので、コイル11どうしの間の隙間を減少させることができる。従って、コイル11に発生するジュール熱を効率よく放熱させることができる(請求項4の効果)。
【0028】
また、膨出部17が突出部16とスリット10で形成され、スリット10の幅が伸縮することにより、突出部16が弾性変形する構成としているので、ステータコア5の作成を容易とすることができ、製作工程を簡素化することができる(請求項5の効果)。
【0029】
更に、ティース側の突出部14の突出幅とスリット8の幅とが同一となるように構成され、且つ、バックヨーク側の突出部16の突出幅とスリット10の幅とが同一となるように構成されるので、従来のステータ構造と比較して、ティース6、及びバックヨーク9の総磁束通路幅は変化せず、電動機の特性に影響を与えることはない(請求項3,6の効果)。
【0030】
以上、本発明の電動機のステータ構造を図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置き換えることができる。
【0031】
例えば、本実施形態では、ティース6側の膨出部15が突出部14とスリット8とで構成され、バックヨーク9側の膨出部17が突出部16とスリット10とで構成される例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、弾性変形し、且つスロット7側に膨出する構成のものであれば、他の構成を用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るステータ構造が適用される電動機の構成を示す説明図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るステータ構造を示す構成図である。
【図3】ステータのスロットにコイルを挿入するときの様子を示す説明図である。
【図4】コイルを挿入した後の、ステータの様子を示す説明図である。
【図5】電動機に用いられるステータの製作工程を示す説明図である。
【図6】従来におけるステータの構成図であり、スロット内にコイルが挿入されたときの様子を示す。
【符号の説明】
1 電動機
2 ロータ
3 筐体
4 ステータ
5 ステータコア
6 ティース
7 スロット
8 スリット(ティース側スリット)
9 バックヨーク
10 スリット(バックヨーク側スリット)
11 コイル
12 コイル押し込み部
13 シャフト
14 突出部(ティース側突出部)
15 膨出部(ティース側膨出部)
16 突出部(バックヨーク側突出部)
17 膨出部(バックヨーク側膨出部)
Claims (6)
- 内部に永久磁石を備えたロータと、
前記ロータの外周部に固定され、略円環形状のバックヨーク、及び該バックヨークから内周方向へ突出する複数のティースとを備えたステータ鉄心と、前記ティース間のスロット内に挿入して前記ティースに巻装されるコイルとを有するステータと、を具備し、前記コイルに電流を流して、前記ロータを回転駆動させる電動機の、前記ステータ構造において、
前記ティースは、該ティースから前記スロットに向けて膨出し、且つ弾性変形可能なティース側膨出部を備えたことを特徴とする電動機のステータ構造。 - 前記ティース側膨出部は、前記ティースから前記スロットに向けて突出するティース側突出部と、該ティース側突出部を弾性変形させるためのティース側スリットからなることを特徴とする請求項1に記載の電動機のステータ構造。
- 前記ティース側突出部における突出部分の幅は、前記ティース側スリットの幅と略同一とされたことを特徴とする請求項2に記載の電動機のステータ構造。
- 内部に永久磁石を備えたロータと、
前記ロータの外周部に固定され、略円環形状のバックヨーク、及び該バックヨークから内周方向へ突出する複数のティースとを備えたステータ鉄心と、前記ティース間のスロット内に挿入して前記ティースに巻装されるコイルとを有するステータと、を具備し、前記コイルに電流を流して、前記ロータを回転駆動させる電動機の、前記ステータ構造において、
前記バックヨークは、該バックヨークからスロットに向けて膨出し、且つ弾性変形可能なバックヨーク側膨出部を設けたことを特徴とする電動機のステータ構造。 - 前記バックヨーク側膨出部は、前記バックヨークから前記スロットに向けて突出するバックヨーク側突出部と、該バックヨーク側突出部を弾性変形させるためのバックヨーク側スリットからなることを特徴とする請求項4に記載の電動機のステータ構造。
- 前記バックヨーク側突出部における突出部分の幅は、前記バックヨーク側スリットの幅と略同一とされたことを特徴とする請求項5に記載の電動機のステータ構造。
Priority Applications (1)
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JP2003098167A JP2004304988A (ja) | 2003-04-01 | 2003-04-01 | 電動機のステータ構造 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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DE102021101925A1 (de) | 2021-01-28 | 2022-07-28 | Schaeffler Technologies AG & Co. KG | Elektrische Maschine |
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2003
- 2003-04-01 JP JP2003098167A patent/JP2004304988A/ja active Pending
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