JP7107709B2 - 内燃機関 - Google Patents

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Description

本発明は、EGR装置を備えた内燃機関に関するものである。
自動車用の内燃機関を初めとして、近年の内燃機関では、排気ガスの浄化促進等のために、排気ガスの一部を吸気系に還流させるEGR装置を備えていることが多い。EGR装置は、必須の要素としてEGRバルブを備えており、かつ、EGRガスを冷却するためにEGRクーラを備えていることも多い。
EGR通路の態様やEGRバルブの配置位置など、EGR装置の具体的な構造は多岐に亙っているが、EGRクーラとEGRバルブとは、シリンダヘッドの排気側面の側に配置していることが多いといえる。
その例として特許文献1には、機関本体の排気側面の側にパイプより成るEGR通路を設けて、そのEGR通路に、EGRクーラを上下方向に長い姿勢で配置し、EGRクーラの上端にEGRバルブを接続し、EGRバルブをシリンダヘッドの後部(変速機に近い部位)に固定した構造が開示されている。
特許文献1において、シリンダヘッドの後部には、EGRバルブの内部に連通した内部通路が、吸気側面に向けて開口するように形成されており、内部通路は、吸気マニホールドと連通している(正確には、内部通路の終端は、吸気マニホールドに設けたサージタンクと連通していると推測される。)。
特開2016-14345号公報
EGR装置の設計において留意すべき事項の1つとして、凝縮水による腐食等の問題が挙げられる。すなわち、機関停止等によってEGRガスに含まれた水分が凝縮することがあるが、EGRガスには酸性物質が含まれていることが多いため、凝縮水が、EGR通路を構成するパイプなどを腐食させる問題があり、そこで、EGR装置の設計に当たっては、凝縮水が溜まらないような配慮が要請されている。
しかるに、特許文献1では、EGRバルブよりも上流側では凝縮水が溜まることはないと推測されるが、EGRバルブよりも上流側(すなわち、シリンダヘッドに形成した内部通路)に凝縮水が溜まりやすく、このため、シリンダヘッドが腐食されやすくなることが懸念される。
更に述べると、特許文献1では、EGRバルブがシリンダヘッドの排気側面に固定されているが、機関が停止しているときにはEGRバルブは閉じているし、また、機関の運転中においてもEGRバルブが閉じていることも多いため、シリンダヘッドの内部通路に凝縮水が溜まりやすくなっており、このため、凝縮水によってシリンダヘッドが腐食されやすくなることが懸念される。
本願発明はこのような現状を契機として成されたものであり、EGRクーラ及びEGRバルブのレイアウト等について改良が加えられた内燃機関を提供することを課題とするものである。
本願発明は多くの構成を備えており、その典型を各請求項で特定している。このうち請求項1の発明は上位概念を成すもので、
「シリンダヘッドの吸気側面に出口を開口させたEGR内部通路の前記出口に、EGRクーラとEGRバルブとを備えたEGR通路下流側第1部分が、前記EGRクーラが鉛直方向に長い姿勢で下に位置して前記EGRバルブが上に位置するように並べて接続されている内燃機関であって、
前記EGRクーラは、前記シリンダヘッドの吸気側面のうち吸気マニホールド取付け部よりも変速機配置側に位置した後部に配置されて、上に行くに従って前記吸気マニホールド取付け部から離れるように傾斜しており、かつ、前記EGRバルブがEGR通路の最も高い位置に配置されている」
という構成になっている。
本願発明において、EGRクーラは鉛直方向(上下方向)に長い姿勢になっているが、EGRバルブは、必ずしも上下長手の姿勢である必要はなく、略水平状の姿勢としたり、水平に近い状態に傾斜した姿勢に配置することが可能であり、このような形態を採用することにより、EGRバルブの高さが高くなり過ぎることを防止できる。
請求項2の発明は請求項1の展開例であり、
「前記シリンダヘッドの吸気側面に、複数の枝管を備えた吸気マニホールドが固定されており、前記吸気マニホールドの上面部に、EGRガスを各枝管に向けて供給するEGR分配通路が配置されている一方、
前記EGRバルブは前記シリンダヘッド及び前記吸気マニホールドよりも高い位置に配置されており、前記EGRバルブとEGR分配通路とが、EGRガスの流れ方向に向けて低くなったEGR通路下流側第2部分によって接続されている」
という構成になっている。
本願発明では、EGRクーラとEGRバルブを備えたEGR通路下流側第1部分はシリンダヘッドの長手一側面から立ち上がっているが、EGRクーラ及びEGRバルブはある程度の重量があるため、機関の振動に伴うEGRクーラ及びEGRバルブの触れ動きを抑制する手段を講じるのが望ましい。
そこで、請求項3の発明では、
シリンダヘッドの外周面に出口を開口させたEGR内部通路に、EGRクーラとEGRバルブとを備えたEGR通路下流側第1部分が、前記EGRクーラが鉛直方向に長い姿勢で下に位置して前記EGRバルブが上に位置するように並べて接続されており、前記EGRバルブがEGR通路の最も高い位置に配置されている」
という基本構成において、
前記EGR内部通路は、前記シリンダヘッドの1つのコーナー部の近傍に開口しており、前記シリンダヘッドの1つのコーナー部の上面に、動弁室を覆うヘッドカバーの外側に配置されて上向きに延びるブラケットがボルトによって固定されており、前記ブラケットの上端部に前記EGRバルブを固定している
という構成を採用している。
更に、請求項4では、請求項3の好適な展開例として、
「前記ブラケットは、前記シリンダヘッドの上面に固定された底板と、前記底板から立ち上がって上端部に前記EGRバルブが固定されている第1側板と、前記底板及び一方の側板と一体に繋がって前記一方の側板とは平面視で交差した姿勢になっている第2側板とを有しており、
前記第1側板に、当該第1側板に向けて開口した切欠き部を有する上下長手の補強リブ板が、前記切欠き部を挟んだ上下両側の部位を溶接することによって固定されている」
という構成になっている。
本願発明において、EGR通路を構成する下流側第1部分と下流側第2部分の「下流側」とは、シリンダヘッドに形成されているEGR内部通路よりも下流側という意味である。EGRガスの取り込み手段としては、実施形態のよう排気系からパイプでEGR内部通路に取り込むことの他に、シリンダヘッドの内部に形成した排気ガス通路からEGR内部通路に導くことも可能である。
本願発明では、EGRバルブはEGR通路のうち最も高い位置に配置されているため、特許文献1のようにEGRバルブをシリンダヘッドに直接に固定する場合に比べて、シリンダヘッドの設計の自由性を向上できる。また、EGRバルブはシリンダヘッドの上に配置できるため、シリンダヘッドの上方の空間を有効利用することも可能になる。更に、EGRバルブには制御のためのケーブルが接続されているが、ケーブルがシリンダヘッドの輻射熱を受けることを抑制できるため、ケーブルの耐久性向上にも貢献できる。
そして、EGRクーラとEGRバルブとは、シリンダヘッドの外周面から立ち上がったEGR通路下流側第1部分に配置されており、しかも、EGRバルブがEGR通路のうちで最も高い部分に配置されているため、EGRバルブが閉じた状態で、EGR通路下流側第1部分やEGR内部通路等のEGR通路に凝縮水が発生しても、それらEGR通路下流側第1部分やEGR内部通路に凝縮水が溜まったままになることはなくて、凝縮水は、EGRバルブの上流側でも下流側でも下方に流れ落ちていく。従って、凝縮水に起因して部材が腐食したり、凝縮水が凍結して運転トラブルの原因になったりすることを、防止又は著しく抑制することができる。
また、EGRクーラは上下長手の姿勢になっているため、EGRクーラ自体がEGR通路下流側第1部分の要素になっている。従って、継手パイプの長さをできるだけ短くして、EGR通路下流側第1部分の剛性を向上できる。なお、EGRクーラをシリンダヘッドの外周面(吸気側面)に直接固定することも可能であり、この場合は、継手パイプが不要になると共に、EGR通路下流側第1部分の剛性を更に向上して耐振性が高くなる利点がある。
EGRガスは吸気に添加されるが、吸気マニホールドにEGR分配通路を設けてEGRガスを吸気マニホールドの各枝管ごとに流すと、各気筒に流入するEGRガスの量を均等化できるため、燃焼の安定性に優れていると共に、吸気マニホールドの(特にサージタンクの)内面の汚れも防止できるが、EGR分配通路は吸気マニホールドの上部に設けることになるため、高さが高くなることは否めない。
この点、本願発明では、EGRバルブはEGR通路のうちの最も高い位置に配置されていて、吸気マニホールドにEGR分配通路を設けていても、EGRバルブとEGR分配通路とに接続されたEGR通路下流側第2部分を下り通路に形成できるため、凝縮水の発生を防止しつつ、EGRガスの均等な分配機能を確保することができる。
EGR通路下流側第1部分はシリンダヘッドの外周面から立ち上がっているため、その上端に位置したEGRバルブは、シリンダヘッドの振動を受けて振れ動きやすくなっているが、請求項3では、EGRバルブは、シリンダヘッドに固定されたブラケットに固定されているため、EGRバルブ(及びEGRクーラ)がシリンダヘッドに共振して大きく振れ動くことを防止できる。従って、EGR通路下流側第1部分とシリンダヘッドとの接続部に負荷が掛かることを防止して、高い耐久性を維持することができる。
そして、ブラケットは、シリンダヘッドのコーナー部に固定されているため、ブラケットを固定したことによってシリンダヘッドに生じた応力がカム軸の軸受け部に及んだり、ブラケットの振動によってシリンダヘッドに生じた応力がカム軸の軸受け部に及んだりすることを防止できる。従って、カム軸の円滑な回転を阻害することなく、EGRバルブ(及びEGRクーラ)の振動を抑制することができる。
ブラケットは上下に長いため、機関と一緒にEGRバルブ及びEGRクーラが振動すると、ブラケットには曲げ力が交互に向きを変えて作用する。この点について、本願発明では、ブラケットは第1側板と第2側板とを有しているため、第2側板が第1側板に対する補強リブの役割を果たして、堅牢な構造になっている。
更に、EGRバルブが固定された第1側板には、上下長手の補強リブ板が溶接されているため、振動に対して極めて高い抵抗を発揮する。この場合、補強リブ板は、上下中途部に切欠き部を形成した門型になっているため、第1側板に加工誤差によって反りが発生していても、第1側板との高い密着性を確保して高い補強機能を確保できると共に、軽量化にも貢献できる。
実施形態に係る内燃機関の大まかな斜視図である。 シリンダブロックを捨象した状態での斜視図である。 図2の要部拡大図である。 上部の側面図である。 図4の部分拡大図である。 平面視図である。 背面図である。 上前方から見た斜視図である。 後ろ下方から見た斜視図である。 EGRクーラとEGRバルブとEGR通路下流側第2部分との斜視図である。 要部の正面図である。 EGRバルブとEGRクーラとブラケットとの分離斜視図である(なお、三者の縮尺は正確には揃えていない。)。 (A)はEGRバルブの底面図、(B)は図12のB-B視図、(C)は図12のC-C視図である。
(1).基本構造
次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態は、車両に搭載される3気筒内燃機関に適用している。まず、概要を説明する。各図において、ドットの群や平行斜線を表示している箇所があるが、これは、部材の外形(輪郭)を明示するための措置であり断面等の表示ではない。
図1では内燃機関の全体を示している。本実施形態では、方向を特定するために前後・左右の文言を使用するが、機関の前後方向はクランク軸線Oの方向として定義し、左右方向は、クランク軸線O及びシリンダボア軸線と直交した方向として定義している。前と後ろは、タイミングチェーンが配置された側を前として、変速機が配置された側を後ろとしており、念のため、図1等に方向を明示している。
内燃機関は車両のエンジンルームに搭載されているが、内燃機関は、クランク軸が車両の左右方向に長い姿勢となる横置きにして搭載されている。従って、内燃機関の前後方向と車両の前後方向とは、90度相違している。以下で使用する方向は、特に断らない限り機関の方向である。
シリンダブロック1及びシリンダヘッド2は、吸気マニホールド3が固定されている吸気側面と、排気系が接続されている排気側面とを有しているが、本実施形態の内燃機関は、排気側面が車両の前方に向くように配置している(機関の方向から見ると、排気側面が右を向いて吸気側面が左を向いている。)。
図1は内燃機関を後ろから見ており、シリンダブロック1の後部に、スタータモータで駆動されるリングギア4が配置されている。符号5はオイルパン、符号6はオイルフィルターを示している。
シリンダヘッド2の構造は、図8で表示している。この図から理解できるように、シリンダヘッド2は、基本的には従来と同様の構造であり、周囲には、吸気側長手壁7、排気側長手壁8、フロント壁9、リア壁10を備えていて、上向きに開口している。フロント壁9にはフロント軸受け部11を形成し、内部には、中間軸受け部12とリア軸受け部13とを形成している。リア軸受け部13とリア壁部10との間には間隔が空いている(すなわち、リア軸受け部13とリア壁部10とは、縁切りされている。)。
例えば図に示すように、シリンダヘッド2の後部には、冷却水の流れを制御する分配ユニット部14が一体に形成されている(分配ユニット部14は、シリンダヘッド2とは別体に構成することも可能である。)。
分配ユニット部14には、ラジエータ行きポート15、ラジエータ戻りポート(サーモ室)16、ヒータ戻りポート17、EGR送りポート18などが開口している。各ポート15~18は後ろ向きに開口している。図2に示すラジエータ戻りポート16には、図1に示すサーモキャップ19が固定されている。
(2).吸気・排気系の概要
図では省略しているが、シリンダヘッド2の上面にはヘッドカバーが固定されており、ヘッドカバーの上に、吸気ユニット22が配置されている。図6に示すように、吸気ユニット22は、概ねシリンダヘッド2の上に配置されたエアクリーナ23と、エアクリーナ23のダスト室に接続された吸気ダクト24と、吸気ダクト24に接続されたレゾネータ25とを備えている。
吸気ダク24bの始端は前向き(車両の方向では右向き)に開口しており、平面視でUターンしてからエアクリーナ23に接続されている。レゾネータ25はエアクリーナ23の手前側に配置されており、吸気ダクト24を流れる吸気は、直進性を持ってレゾネータ25に流入する。レゾネータ25は、エアクリーナ23のダスト室とも連通している。吸気ダクト24のうち方向変換部の上流側には、拡張室(補助レゾネータ)26を接続している。本実施形態では、吸気ユニット22は広い面積を有しており、機関本体の大部分が吸気ユニット22で覆われている。
図1に示すように、エアクリーナ23のクリーン室には、吸気マニホールド3の上に位置した吸気出口27が、下向きに開口するように形成されている。他方、図4,7に示すように、吸気マニホールド3は、サージタンク28と3本の枝管29とを備えており、サージタンク28のうち前より部位に上向きに開口した受け座30を設けて、サージタンク28の受け座30とエアクリーナ23の吸気出口27との間に、図1及び図7に示すスロットルバルブ31が介在している。
例えば図7,8から理解できるように、吸気マニホールド3は、樹脂製の複数のパーツを上下に重ねて溶着することによって中空に形成されており、図2~4に示すように、枝管29は、サージタンク28を囲うように下から上に向けて1周近くぐるりと回っており、各枝管29の先端は、図7や図11に示すように、シリンダヘッド2の吸気側面32に固定されている。
図8に示すように、シリンダヘッド2の排気側面33には、1つの排気出口34が開口しており、この排気出口34に、図1,2に示す触媒ケース35が、排気ターボ過給機(図示せず)を介して接続されている。そして、図2に示すように、触媒ケース35の下流端部に、金属パイプよりなるEGR通路上流部分36の始端が接続されている。
他方、シリンダヘッド2のうち後部には、吸気側面32と排気側面33とに貫通したEGR内部通路37が形成されており、EGR内部通路37の始端に、EGR通路上流部分36の終端がフランジ接合によって接続されている。図7に示すように、EGR内部通路37は、概ね上流側の半分程度は水平状の姿勢になって、下流側の半分程度は、EGRガスの流れ方向に向けて徐々に高くなるように傾斜している。また、傾斜部は、断面円弧状のリブで囲われている。
例えば図2,3に示すように、EGR内部通路37の終端には、EGRクーラ40が、継手パイプ41及び下フランジ42を介して接続されており、更に、EGRクーラ40の上端にはEGRバルブ43が接続されている。図4,5に明示するように、EGRクーラ40及びEGRバルブ43は、吸気マニホールド3よりも後ろ側に配置されている。EGRバルブ43はシリンダヘッド2よりも高い位置に配置されており、EGRクーラ40も、大部分がシリンダヘッド2よりも上に位置している。
継手パイプ41とEGRクーラ40及びEGRバルブ43によってEGR通路下流側第1部分が構成されており、EGRバルブ43の出口ポート44(図12参照)に、EGR通路下流側第2部分45が接続されており、更に、EGR通路下流側第2部分45の下流端に、EGRガスを吸気マニホールド3における各枝管29の下流部に分けて流すEGR分配通路46が接続されている。EGR通路下流側第2部分45及びEGR分配通路46はアルミ等の鋳造品であるが、両者を一体構造品として製造することも可能である。或いは、樹脂の成形品(複合品)として製造することも可能である。
(3).EGR装置の要部
EGRクーラ40は、角形のボデーを有していて鉛直方向(上下方向)に長い姿勢になっており、EGRガスは下から上に向けて流れる。そこで、上端には、上フランジ47aを備えた出口パイプ47を設けている。出口パイプ47の曲げ方や上フランジ47aの姿勢を調整することにより、EGRバルブ43の取付け姿勢を任意に設定できる。
EGRクーラ40は上下長手の姿勢になっているが、図5に明示するように、側面視では、上に行くに従ってシリンダヘッド2から後ろに僅かずつ離れるように鉛直線に対して傾斜しており、また、図7に示すように、背面視では、上に行くに従って吸気マニホールド3から離れるように、鉛直線に対して傾斜している。また、図7のとおり、EGR通路下流側第2部分45は、EGRガスの流れ方向に向けて低くなるように背面視で傾斜している。
例えば図9,10に明示するように、EGRクーラ40には、冷却水入口ポート48aと冷却水出口ポート48bとを設けている。冷却水入口ポート48aはボデーの下部に位置して、冷却水入口ポート48aはボデーの上部に位置しており、ボデーの内部には、冷却水が下から上に向けて流れる熱交換エレメントが配置されている。
冷却水入口ポート48a及び冷却水出口ポート48bは後ろ向きに開口しており、図3に示すように、シリンダヘッド2のEGR送りポート18とEGRクーラ40の冷却水入口ポート48aとが、EGR送りパイプ49a(図1も参照)で接続されている。冷却水出口ポート48bには、EGR戻りパイプ49b(図1参照)が接続されている。なお、図2,3に示すヒータ戻りポート17には、図1に示すヒータ戻りパイプ17aが接続されている。EGR戻りパイプ49bは、ヒータコアやCVTウォーマなどに接続可能である。
EGRクーラ40の上端部には、EGRバルブ行きポート50を設けている。また、EGRクーラ40のボデーには、他の部材を固定するための補助ブラケット51,52が溶接で固定されている。
図10や図12に示すように、EGRバルブ43は、おおまかには筒状の形態であり、図4,5に示すように、前後方向(クランク軸線方向)に長い姿勢で配置されているが、図4,5の側面視で、吸気マニホールド3から離れるに従って低くなるように、水平に対して傾斜している。すなわち、EGRバルブ43は、EGRクーラ40に接続された端部が低くなるように、水平に近い姿勢に寝た姿勢になっている。
図13(A)に示すように、EGRバルブ43の一端部(後端部)にはフランジ部53を形成しており、フランジ部53が、EGRクーラ40の上フランジ47aに固定されている。フランジ部53の中央部には、EGRガスが流れる入口穴54が下向きに開口している。図12に示すように、EGRバルブ43のうちフランジ部53に寄った部位に、横向き(左向き)に露出した締結座面55が形成されており、この締結座面55に、EGRガス出口穴56が横向き(左向き)に開口している。
EGR通路下流側第2部分45の始端部は、フランジ57を介してEGRバルブ43の締結座面55に固定されている。フランジ57は2本のボルトで固定されており、締結座面55には、EGR通路下流側第2部分45のフランジ57を固定するために、ボルトが螺合する2つのタップ穴58を形成している。
EGRバルブ43の他端部(前端部)には、電磁ソレノイド等のアクチュエータを備えた制御部59を設けている。制御部59によってニードル弁等の弁体を操作することにより、EGRガスの吐出量が制御される。制御部59には、ケーブルを接続するコネクタ60が横向きに突設されている。また、EGRバルブ43は水冷式であり、上面に、冷却水の流入ポート61と流出ポート62とを設けており、冷却水の流入ポート61は、EGRクーラ40に設けたEGRバルブ行きポート50とEGRバルブ行きパイプ50aによって接続されている。なお、冷却水の流入ポート61と流出ポート62とは逆に配置してもよい。
既述のとおり、EGR通路下流側第2部分45は、図4,5の側面視で、下流端に向けて低くなるように傾斜している。また、図7に示すように、背面視でも、下流端に向けて低くなるように傾斜している。また、EGR通路下流側第2部分45の下流端部にはフランジ63を設けており、フランジ63が、EGR分配通路46の後端部にボルト(スタッドボルト)及びナットで固定されている。
例えば図3から容易に理解できるように、EGR分配通路46は、前後長手の幹通路64と、幹通路64から分岐した3つの枝通路65とを有しており、幹通路64の後端部にEGR通路下流側第2部分45の下流端が接続されている一方、各枝通路65は、それぞれ枝管29の下流部に上から接続されている。なお、枝通路65は、吸気マニホールド3の枝管29に対してボルトで固定されているが、EGR分配通路46を樹脂製として、吸気マニホールド3に溶着することも可能である。
(4).EGRバルブを支持するブラケット
図8から容易に理解できるように、EGRクーラ40及びEGRバルブ43は、大まかには、シリンダヘッド2の後部に形成した分配ユニット部14の上方に配置されており、シリンダヘッド2の四隅のうち、吸気側長手壁7とリア壁10との連接部である第1コーナー部68の近傍に配置されている(冷却水分配部14のEGR送りボート18も、第1コーナー部68に近い左端部に配置されている。)。そして、EGRバルブ43が、第1コーナー部68の上面に固定された金属板製のブラケット69に、スタッドボルト70及びナット(図12参照)で固定されている。
図12,13のとおり、ブラケット69は、シリンダヘッド2の第1コーナー部68の上面にスタッドボルト71及びナットで固定された底板73と、底板73から立ち上がった第1側板74と、底板73から立ち上がると共に第1側板74と繋がった第2側板75とを備えている。第1側板74と第2側板75とは概ねL形に交差しており、第1側板74の上端部に、EGRバルブ43の締結座面55の下端部がボルト76(図12参照)で固定されている。このため、第1側板74の上端部にはボルト挿通穴77が空いて、EGRバルブ43の締結座面55の下端部にはタップ穴78が空いている。
第1側板74は概ね前後方向に広がって、第2側板75は概ね左右方向に広がっている。これは、EGRバルブ43が概ね前後方向に長い姿勢になっていることと符合している。第1側板74の中途高さ位置には前向き張り出し部74aが形成されており、前向き張り出し部74aに、他の部材を取り付けるための補助ブラケット79が溶接で固定されている。
また、第1側板74のうち第2側板75と反対側に向いた左側面に、上下長手の補強リブ板80が溶接で固定されている。補強リブ板80は、ブラケット69よりも厚くなっており、その端面が第1側板74に重なっている。また、補強リブ板80の上下中途部には、第1側板74に向けて開口した切欠き部81が形成されており、切欠き部81よりも上の部分は、前向き張り出し部64aの箇所において第1側板74に溶接されており、切欠き部81よりも下の部分は、第1側板74の縁部に溶接されている。
従って、補強リブ板80と第1側板74とは、切欠き部81よりも上の部位ではT形の姿勢を成して、切欠き部81よりも下の部位ではL形の姿勢を成している。また、補強リブ板80は、平面視では、第1側板74から左右方向に突出している。
図6を引用して説明したように、吸気ユニット22は広い範囲に広がっていて機関本体の大部分を覆っているが、図6に明示するように、EGRバルブ43及びEGRクーラ40は、吸気ユニット22では覆われていない。すなわち、エアクリーナ23と吸気ダクト24とで形成された入り隅部に、EGRバルブ43及びEGRクーラ40が配置されている。
また、図4や図7に明示するように、EGRバルブ43の上端は、吸気ユニット22の上端よりも上には突出していない(僅かに低くなっている。)。図4では、エンジンルームを覆うフード(ボンネット)82を一点鎖線で模式的に表示しているが、仮に、事故等によってフード82が下向きに凹んだ場合、フード82は吸気ユニット22に当たって衝撃が緩和され、EGRバルブ43に衝撃が作用することはない。
EGRバルブ43が破損すると、EGRガスの流量制御が不能になって運転に重大な障害を与えるが、本実施形態では、フードが下向きに凹んでも、吸気ユニット22が緩衝材となってEGRバルブ43に衝撃が作用することはないため、EGRバルブ43の破損を防止して、運転が制御不能になる事態を防止できる。コネクタ60は横向きになっているため、フード82が凹んでもコネクタ60が変形したり破損したりすることはない。この面でも、EGRバルブ43が制御不能になることを防止できる。
(5).まとめ
本実施形態では、EGRバルブ43がEGR通路の最も高い位置に配置されているため、EGRバルブ43が閉じていても、EGR通路に発生した凝縮水は、EGRバルブ43の上流側においても下流側においても下方に流下していく。このため、凝縮水が溜まることによる腐食の問題や凍結の問題を解消できる。
特に、実施形態のように、EGR内部通路37のうち下流側の部分を傾斜させると、例えばEGRクーラ40に凝縮水が発生して流下した場合、凝縮水は惰性によってEGR内部通路37からEGR通路上流部分36に流れ落ちるため、凝縮水がEGR内部通路37に溜まることを確実に防止できる利点がある。
本実施形態では、EGRクーラ40はほぼ鉛直に近い姿勢にしつつ、EGRバルブ43は、水平に近い姿勢に寝かせている。このため、EGRバルブ43が吸気ユニット22の上に突出しないように抑制しつつ、EGRバルブ43の内部に凝縮水が溜まることを防止できる。従って、凝縮水の溜まりを確実に防止しつつ、事故によってフード82が凹んでもEGRバルブ43に影響が及ばないように保護できる。
実施形態では、EGR分配通路46は、吸気マニホールド3とは別体に構成されており、吸気マニホールド3の上面にビスで固定されている。従って、EGR分配通路46の設計の自由性が高く、また、EGRガスの放熱性も向上できる利点を有するが、EGR分配通路46は嵩高になってしまう。
しかし、本実施形態では、EGRバルブ43は高い位置にあるため、EGR分配通路46が嵩高であっても、EGR通路下流側第2部分45は下流に向けて低くなるように傾斜させることができる。従って、本実施形態では、EGR分配通路46が嵩高であっても、EGRバルブ43の下流側に凝縮水が溜まることを確実に防止できる。
本実施形態では、図4,5に明示するように、EGRクーラ40は、側面視で上に行くに従って吸気マニホールド3から離れるように傾斜している。このため、EGRクーラ40がヘッドカバーに当たることを防止できる。換言すると、EGRクーラ40を、ヘッドカバーに当たらない状態で縦型姿勢に配置できる。なお、EGRバルブ43はヘッドカバーの上に位置しているので、ヘッドカバーとの緩衝の問題はない。
さて、内燃機関は運転によって振動するが、振動は、クランク軸の軸心回りに往復回動する動きになっている。従って、EGRクーラ40及びEGRバルブ43は、機関と一緒に左右方向に振れ動く傾向を呈するが、EGRバルブ43は重量が大きくて慣性力も大きいため、補強措置を講じないと、継手パイプ41とシリンダヘッド2との接合部や、EGR通路下流側第2部分45とEGR分配通路46との接合部、或いは、EGR分配通路46と吸気マニホールド3との接合部に大きなモーメントが作用し、接合部が剥離作用を受けるおそれがある。
しかるに、本実施形態では、EGRバルブ43が、シリンダヘッド2に固定されたブラケット69に固定されているため、継手パイプ41とシリンダヘッド2との接合部などに大きな剥離作用が生じることはない。従って、強度・信頼性に優れている。
また、ブラケット69には、運転に伴う振動により、EGRバルブ43及びEGRクーラ40の慣性力が、向きを左右方向に変える交番荷重として作用するが、第2側板75が左右方向に広がるように一体に形成されていることと、左右方向に広がる補強リブ板80が第1側板74に固定されていることとにより、左右方向の外力に対して極めて高い抵抗を発揮する。すなわち、左右方向の曲げ力に対する断面係数が極めて高くなっている。従って、長期に亙って運転を継続しても、ブラケット69が変形したり折損したりするような不具合は発生せず、高い信頼性を確保できる。
そして、機関の振動により、EGRバルブ43及びEGRクーラ40の慣性力がブラケット69を介してシリンダヘッド2に作用し、これに伴い、シリンダヘッド2の第1コーナー部68に応力が生じるが、第1コーナー部68はリア軸受け部13から離れているため、第1コーナー部68に発生した応力がリア軸受け部13に及ぶことはない。従って、カム軸にこじれが発生するような不具合は皆無である。従って、カム軸の円滑な回転を 阻害することなく、EGRバルブ43及びEGRクーラ40を安定的に支持できる。
本願発明は、上記の他にも様々に具体化できる。例えば、図示の例ではEGRバルブ43をEGRクーラ40の上面に接続したが、EGRバルブ43をEGRクーラ40の上部側面に接続することも可能である。また、EGRバルブ43は、高さ等の条件が許せば、上下長手の姿勢にすることができる。
ヘッドカバーがアルミ製で頑丈な構造である場合は、EGRバルブ43をヘッドカバーに直接固定したり、ブラケット(又は弾性体)を介してヘッドカバーに固定したりすることも可能である。また、1つのブラケットに、EGRバルブ43とブラケット69とを固定することも可能である。敢えて述べるまでもないが、3気筒以外の内燃機関にも適用できる。
本願発明は、内燃機関に具体化できる。従って、産業上利用できる。
1 機関本体を構成するシリンダブロック
2 機関本体を構成するシリンダヘッド
3 吸気マニホールド
13 リア軸受け部
14 冷却水の分配ユニット部
18 EGR送りポート
22 吸気ユニット
23 エアクリーナ
24 吸気ダクト
28 吸気マニホールドのサージタンク
29 吸気マニホールドの枝管
35 触媒ケース
36 EGR通路上流部分
37 EGR内部通路
40 EGRクーラ(EGR通路下流側第1部分)
41 継手パイプ(EGR通路下流側第1部分)
43 EGRバルブ(EGR通路下流側第1部分)
45 EGR通路下流側第2部分
46 EGR分配通路
48a EGRクーラの冷却水入口ポート
48b EGRクーラの冷却水出口ポート
59 EGRバルブの制御部
65 EGR分配通路の枝通路
69 ブラケット
73 底板
74 第1側板
75 第2側板
80 補強リブ板

Claims (4)

  1. シリンダヘッドの吸気側面に出口を開口させたEGR内部通路の前記出口に、EGRクーラとEGRバルブとを備えたEGR通路下流側第1部分が、前記EGRクーラが鉛直方向に長い姿勢で下に位置して前記EGRバルブが上に位置するように並べて接続されている内燃機関であって、
    前記EGRクーラは、前記シリンダヘッドの吸気側面のうち吸気マニホールド取付け部よりも変速機配置側に位置した後部に配置されて、上に行くに従って前記吸気マニホールド取付け部から離れるように傾斜しており、かつ、前記EGRバルブがEGR通路の最も高い位置に配置されている、
    内燃機関。
  2. 前記シリンダヘッドの吸気側面に、複数の枝管を備えた吸気マニホールドが固定されており、前記吸気マニホールドの上面部に、EGRガスを各枝管に向けて供給するEGR分配通路が配置されている一方、
    前記EGRバルブは前記シリンダヘッド及び前記吸気マニホールドよりも高い位置に配置されており、前記EGRバルブとEGR分配通路とが、EGRガスの流れ方向に向けて低くなったEGR通路下流側第2部分によって接続されている、
    請求項1に記載した内燃機関。
  3. シリンダヘッドの外周面に出口を開口させたEGR内部通路に、EGRクーラとEGRバルブとを備えたEGR通路下流側第1部分が、前記EGRクーラが鉛直方向に長い姿勢で下に位置して前記EGRバルブが上に位置するように並べて接続されており、前記EGRバルブがEGR通路の最も高い位置に配置されている内燃機関であって、
    前記EGR内部通路は、前記シリンダヘッドの1つのコーナー部の近傍に開口しており、前記シリンダヘッドの1つのコーナー部の上面に、動弁室を覆うヘッドカバーの外側に配置されて上向きに延びるブラケットがボルトによって固定されており、前記ブラケットの上端部に前記EGRバルブを固定している、
    燃機関。
  4. 前記ブラケットは、前記シリンダヘッドの上面に固定された底板と、前記底板から立ち上がって上端部に前記EGRバルブが固定されている第1側板と、前記底板及び一方の側板と一体に繋がって前記一方の側板とは平面視で交差した姿勢になっている第2側板とを有しており、
    前記第1側板に、当該第1側板に向けて開口した切欠き部を有する上下長手の補強リブ板が、前記切欠き部を挟んだ上下両側の部位を溶接することによって固定されている、
    請求項3に記載した内燃機関。
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