以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1~図3はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態の中枠付き包装用箱10は、厚紙等の一枚のブランクシートを打ち抜いて形成された外箱形成片を組み立てて作られた外箱12と、外箱12の中に入れられて収容物11を保持する中枠14が設けられている。
ここで、中枠14について説明する。中枠14は、外箱12と同様に厚紙等の一枚のブランクシートを打ち抜いて形成された中枠形成片16を組み立てて形成されている。図3は、中枠形成片16を表面から見た展開図であり、一方向に長い矩形の側面18と、側面18の長い一側縁部に隣接し側面18よりも小さい矩形の側面20が折罫線22で区切られて設けられている。側面20は、側面18との連接方向の長さは側面18とほぼ同じであり、連接方向に交差する長さは側面18よりも短い。側面20の、折罫線22と反対側の側縁部には、側面18の表面に糊付けされる糊付片24が折罫線26で区切られて設けられている。
側面18の、折罫線22に交差し使用状態で上方に位置する上端部18aは、側面18の、折罫線22に直交する中央付近の幅より少し短いものであり、側面18の、一対の側縁部は、上端部18aに繋がる部分が、上端部18aに近づくにつれて互いに近づくような傾斜部18bとなっている。これは外箱12の後述する差込片70にぶつからない為の逃がしとなる。上端部18aの中心には、上端部18aから略直角に上方へ突出する舌片状の摘み部28が形成され、摘み部28の基端部には、側面18の中央に向かって湾曲する摘み部用折罫線30が設けられている。
側面18の、上端部18aと反対側で下方に位置する下端部18cに近い位置には、切断線であるスリット部32が切り欠かれて設けられている。スリット部32は、折罫線22が設けられた側縁部に連通し、スリット部32の反対側の先端部32aは側面18の幅の中心をわずかに超えて折罫線22と反対側の側縁部18dの近傍に達している。スリット部32の長手方向は折罫線22に対して略直角である。スリット部32の上側の縁部と、折罫線22が交差する部分は、面取りされて傾斜部22aとなり、外箱12に挿入する際の逃がしとなる。側面18の、下端部18cと側縁部18dが交差する部分も、面取りされて傾斜部18eとなり、外箱12に挿入する際の逃がしとなる。
また、側面18には、スリット部32の先端部32aと、下端部18cを結ぶ折曲線34が設けられ、折曲線34は、スリット部32の長手方向および下端部18cに対して略直角である。スリット部32と、折曲線34、下端部18cで囲まれた部分は保持片36である。保持片36は、折罫線22の方向に側面18が延びた部分により形成され、下端部18cに沿って長い帯状であり、保持片36の、折曲線34と反対側の先端部36aは、折罫線22の延長線に達しない長さであり、折曲線34及び折罫線22に対して略平行な直線で形成されている。保持片36の先端部36aの、下端部18cと反対側の部分、つまりスリット部32の下側の側縁部には、スリット部32の内側に向かって突出する突起38が設けられている。保持片36の長手方向の中心付近には、折曲線34に対して略平行な折曲線40が設けられ、折曲線40は、保持片36の幅の全長にわたって、スリット部32と下端部18cに連通している。
側面20は、側面18に折罫線22を介して連続し、側面18の上端部18aに近い方の上端部20aは、折罫線22に対して略直角に位置する直線であり、端部18aの延長線よりも端部18cに近い位置にあり、折罫線22の端部に連続している。上端部20aの中心には、側面20の中央に向って湾曲して窪む凹部42が形成されている。側面20の、上端部20aと反対側の下端部20bは、側面18の端部18cの延長線上に位置する直線である。上端部20aと下端部20bの間には、折罫線22を挟んで、スリット部32、保持片36と線対称となるスリット部44、保持片46が設けられている。保持片46も、折罫線22の方向に側面20が延びた部分により形成され、スリット部44と折罫線22が交差する部分は、傾斜部22aと線対称形状の傾斜部22bとなる。保持片46には、折曲線34,40、突起38と線対称形状の、折曲線48,50、突起52が設けられている。折罫線26と端部20bが交差する部分は、面取りされて傾斜部20cとなり、外箱12に挿入する際の逃がしとなる。なお、一対の保持片36,46は、先端部36a,46a同士の間が離間している。
糊付片24の、側面20の上端部20aに連続する上端部24aは、上端部20aの延長線上に位置する直線である。上端部24aと反対側の下端部24bは、下端部20bよりも糊付片24の中央に近く、傾斜部20cの端部に連続する直線である。
なお、上述の各折罫線、各折曲線は、折り曲げやすいように破断線で設けられてもよい。
次に、中枠14の組立方法の一例について説明する。なお、ここでは図3が中枠14の中枠形成片16の表面を見たものであり、中枠形成片16の表面が凸になる折り方を正折り、そして裏面が凸になる折り方を逆折りと称する。
まず、保持片46の、折曲線50と先端部46aの間の部分に、裏面に糊54を塗布する。糊付片24の裏面にも糊56を折罫線26に沿って長く塗布する。次に、折罫線22を正折りして保持片46の裏面を保持片36の裏面に糊付けする。そして、折罫線26を正折りして糊付片24の裏面を側面18の表面に糊付けする。中枠形成片16は、折り畳み状態となり、中枠14はこの折り畳み状態で出荷される。
次に、収容物11を収容し包装する工場等において、折罫線22と折罫線26を近づけるように力を加え、折り畳まれて重ねられた側面18,20を、互いに離れるように外側に湾曲させて、内側に平面視で図1(b)に示すように紡錘形の空間を作る。この時、保持片36,46は側面18,20に引かれて互いに離れるが、先端部36a,46a付近が糊54で接着されているため、折曲線34,48は正折りされ、折曲線40,50は逆折りされ、平面視で図1(b)に示すようにY字形となり、側面18,20の間の空間の下方で、下端部18c,20bに沿って組み立てられる。
次に、側面18,20の間の空間に、上端部18a,20aから収容物11を入れる。収容物11は、例えば液体の薬剤が入れられたバイアルである。収容物11の側周面は、側面18,20の弾性力で側面18,20に両側から押されて挟持される。収容物11の底面は、Y字形に組み立てられた保持片36,46に当接し保持される。なお、保持片36,46の突起38,52が収容物11の底面の側方に位置し、側面18,20の間の紡錘形の空間の、長手方向への移動を抑え、安定させる。
収容物11を入れた中枠14は、外箱12に入れて包装する。ここで、外箱12について説明する。外箱12は、4つの側面58,60,62,64が互いに平行に連接されて設けられ、糊付片で糊付けされて四角筒状に組み立てられている。筒体の下方の開口端部は底蓋片66で閉鎖され、箱体として保形性を維持している。側面58の上方の端部には、上蓋片68が折罫線で区切られて設けられている。上蓋片68の側面58と反対側の端部には、さらに差込片70が折罫線で区切られて設けられている。側面58に対して直角に位置する側面60,64の上方の端部には、矩形の上フラップ72が折罫線で区切られて設けられている。なお、4つの側面58,60,62,64の形状は互いに同じであり、側面どうしの連接方向よりも連接方向に交差する方向が長い矩形であり、組み立てられた四角筒状の内側空間は、中枠14の、側面18の下端部18cと上端部18aまでの長さよりも僅かに深く、対角線の長さは、側面18の折罫線22から折罫線22と反対側の側縁部18dまでの長さよりも少し短いものである。
収容物11の包装に際して、図1に示すように、側面58,60,62,64と、底蓋片66を組み立てた外箱12の中に、収容物11を保持した中枠14を入れる。この時、中枠14の側面18,20が、外箱12の四角筒状の内側空間の、深さ方向に対して交差する対角線に沿ってセットする。外箱12の内側空間の対角線は、側面18の折罫線22から側縁部18dまでの長さよりも少し短いため、収容物11により側面18,20が互いに離れるように外側に湾曲させた状態で入れることが可能であり、対角線上に位置する一対の角部の間に隙間なく収容される。側面18,20の下端部18c,20bは底蓋片66に当接し、保持片36,保持片46は底蓋片66に沿ってY字形に設置される。側面18の上端部18aは、外箱12の上方の開口端部よりも少し低い位置にあり、中枠14の摘み部28は、外箱12の開口端部を超えて上方に突出する。
次に、中枠14の摘み部28を摘み部用折罫線30で正折りする。摘み部用折罫線30は湾曲しているため、湾曲された側面18に沿って、略90°に正折りすることができる。そして、摘み部28の上から、外箱12の一対の上フラップ72を折罫線で正折りし、その後、上蓋片68を折罫線で正折りし、さらに差込片70を折罫線で正折りし、側面18の内側に差し込み、閉鎖して、図2に示すように中枠付き包装用箱10の包装が完了する。収容物11は、外箱12の側面58,60,62,64と、底蓋片66から離れて緩衝的に保持され、外箱12に安全に収容される。
中枠付き包装用箱10に収容された収容物11の薬剤を使用する時は、上蓋片68を引き上げて開封する。そして一対の上フラップ72を開き、中枠14の摘み部28を引き起こし、摘み部28を保持して上方に引き上げる。
この実施形態の中枠付き包装用箱10と中枠14によれば、外箱12と中枠14が別体で使い易いものであり、中枠14は側面18,20からなるシンプルな構造の中枠形成片16を組み立てて簡単に作られ、製造効率が良好である。中枠形成片16は、側面18,20からなり面積が小さいため、一枚のブランクシートから多数の中枠形成片16を打ち抜いて設けることができ、効率よく得ることができる。中枠14は、側面18,20からなる小さい面積でありながら、側面18,20の下端部18c,下端部20bに連続する部分から保持片36,46を引き起こして立体形状にし、収容物11を確実に支えることができる。収容物11を外箱12の側面58,60,62,64、底蓋片66から離間して保持することができ、外から受ける衝撃や振動が伝わることが無く安全に保管と運搬を行うことができる。側面18,20は撓んで収容物11に接するため、弾性的に保持することができる。保持片36,46は、一部が互いに糊付けされて2重構造となり、強度が高く、外から衝撃が加えられても安全である。一対の保持片36,46は、中枠14に収容物11を入れる際に側面18,20が互いに離れる方へ湾曲する時に自動的に側面18,20から引き起こされ、組み立て工程が不要である。保持片36,46は、平面視でY字形であり、収容物11の底部を確実に保持し、また突起38,52が設けられているため、収容物11がずれることがなく安定する。傾斜部18e,20c,22a,22bは、外箱12に挿入する際の逃がしとなり、中枠14を外箱12に入れる際に引っ掛からず、円滑に入れることができる。傾斜部18bは、外箱12の差込片70を側面62の内側に入れる際の逃がしとなり、円滑に差込片70を差し込んで上蓋片68を閉めることができる。側面20の上端部20aは、側面18の上端部18aよりも低い位置に設けられ、また凹部42が設けられているため、収容物11を容易に側面18と側面20の間に収容することができる。
次にこの発明の第二実施形態について図4に基づいて説明する。なお、ここで、上記実施形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略する。この実施形態の中枠付き包装用箱74は、上記実施形態と同様の外箱12と、外箱12の中に入れられて収容物11を保持する中枠76が設けられている。
中枠76は、外箱12と同様に厚紙等の一枚のブランクシートを打ち抜いて形成された中枠形成片78を組み立てて形成されている。図4は、中枠形成片78を表面から見た展開図であり、側面18と側面20が折罫線22で区切られて設けられている。側面20の、折罫線22と反対側の側縁部には、側面18の表面に糊付けされる糊付片24が折罫線26で区切られて設けられている。
側面18の上端部18aには、摘み部28が摘み部用折罫線30で区切られて設けられている。側面18の、下端部18cに近い位置には、切断線80が設けられている。切断線80は折罫線22が設けられた側縁部に連通し、折罫線22から離れるにつれて下端部18cに近づくように傾斜し、途中で折り曲げられて下端部18cに対して平行となるへの字である。切断線80の、折罫線22と反対側の先端部80aは、側面18の幅の中心をわずかに超えて側縁部18dの近傍に達し、上端部18aに向かって小さい直径の半円形状に湾曲する形状となる。切断線80の途中には、切り残し部81が設けられている。
また、切断線80の先端部80aと、下端部18cを結ぶ折曲線82が設けられ、折曲線82は、切断線80および下端部18cに対して略直角である。切断線80と、折曲線82、下端部18cで囲まれた部分は保持片84である。保持片84は、折罫線22の方向に側面18が延びた部分により形成され、下端部18cに沿って長い帯状であり、保持片84の、折曲線82と反対側の先端部84aは、折罫線22の延長線に達する長さであり、折曲線82及び折罫線22に対して平行な直線で形成されている。保持片84の先端部84aの、切断線80側の部分は、切断線80の傾斜した部分に沿って上端部18aに向かって突出する突起86が設けられている。突起86の突出する先端部付近は、切断線80から離れて隙間が生じている。保持片84の先端部84aの、下端部18c側の部分は、角部が面取りされて傾斜部88となり、外箱12に挿入する際の逃がしとなる。保持片84の長手方向の中心付近には、折曲線82に対して略平行な折曲線90が設けられ、折曲線90は、保持片84の幅の全長にわたって、切断線80と下端部18cに連通している。
側面20は、上端部20aは、端部18aの延長線よりも端部18cに近い位置にある直線であり、下端部20bは、側面18の端部18cの延長線上に位置する直線である。側面20の、上端部20aと下端部20bの間には、折罫線22を挟んで、切断線80、保持片84と線対称となる切断線92、保持片94が設けられている。保持片94も、折罫線22の方向に側面20が延びた部分により形成され、切断線92の途中には、切り残し部93が設けられている。保持片94の先端部94aは、折罫線22の延長線上で保持片84の先端部84aに連続し、折罫線96で区切られている。先端部94aの、下端部20b側の部分は、角部が面取りされて、傾斜部88と線対称形状の傾斜部98となる。保持片94には、折曲線82,90、突起86と線対称形状の、折曲線100,102、突起104が設けられている。
次に、中枠76の組立方法の一例について説明する。なお、ここでは図4が中枠76の中枠形成片78の表面を見たものであり、中枠形成片78の表面が凸になる折り方を正折り、そして裏面が凸になる折り方を逆折りと称する。
まず、保持片94の、折曲線102と先端部94aの間の部分に、裏面に糊54を塗布する。糊付片24の裏面にも糊56を折罫線26に沿って長く塗布する。次に、折罫線22を正折りして保持片94の裏面を保持片84の裏面に糊付けする。そして、折罫線26を正折りして糊付片24の裏面を側面18の表面に糊付けする。中枠形成片78は、折り畳み状態となり、中枠76はこの折り畳み状態で出荷される。
次に、収容物11を収容し包装する工場等において、折罫線22と折罫線26を近づけるように力を加え、側面18,20を互いに離れるように外側に湾曲させて内側に平面視で紡錘形の空間を作る。この時、保持片84,94は、側面18,20に引かれて互いに離れるが、先端部84a,94a付近が糊54で接着されているため、折曲線82,100は正折りされ、折曲線90,102は逆折りされ、上記実施形態と同様に、平面視でY字形となり、側面18,20の間の空間の下方で、下端部18c,20bに沿って組み立てられる。保持片84,94が側面18,20から引き起こされる際に、切断線80,92の切り残し部81,93は破断する。次に、側面18,20の間の空間に、上端部18a,20aから収容物11を入れる。収容物11の底面は、Y字形に組み立てられた保持片84,94に当接し保持される。なお、保持片84,保持片94の突起86,104が、収容物11の底面の側方に位置し、安定する。
収容物11を入れた中枠76は、外箱12に入れて包装する。傾斜部18e,20c,88,98,は、外箱12に挿入する際の逃がしとなり、円滑に入れることができる。
この実施形態の中枠付き包装用箱74と中枠76によれば、中枠付き包装用箱10と同様の使用方法であり、同様の効果を有するものである。保持片84,94同士が連続し、また保持片84,94は側面18,20を区切る切断線80,92に切り残し部81,93が設けられて連続するため、中枠形成片78が他の部材または同形状の中枠形成片78に絡まることがなく、生産時の安定を図り、取り扱いが容易である。
次にこの発明の第三実施形態について図5に基づいて説明する。なお、ここで、上記実施形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略する。この実施形態の中枠付き包装用箱106は、上記実施形態と同様の外箱12と、外箱12の中に入れられて収容物11を保持する中枠108が設けられている。
中枠108は、外箱12と同様に厚紙等の一枚のブランクシートを打ち抜いて形成された中枠形成片110を組み立てて形成されている。図5は、中枠形成片110を表面から見た展開図であり、側面18と側面20が折罫線22で区切られて設けられている。側面20の、折罫線22と反対側の側縁部には、側面18の表面に糊付けされる糊付片24が折罫線26で区切られて設けられている。側面18には切断線と保持片は設けられていない。側面18の下端部18cの、折罫線22側の角部は面取りされて傾斜部88となり、外箱12に挿入する際の逃がしとなる。
側面20は、下端部20bに近い位置に、切断線112が設けられている。切断線112は折罫線22が設けられた側縁部に連通し下端部20bに対して略平行な直線である。切断線112の、折罫線22と反対側の先端部112aは側面20の幅の中心をわずかに超えて折罫線26の近傍に達し、上端部20aに向かって小さい直径の半円形状に湾曲する形状となる。切断線112の途中には、切り残し部114が設けられている。
また、切断線112の先端部112aと、下端部20bを結ぶ折曲線116が設けられ、折曲線116は、切断線112および下端部20bに対して略直角である。切断線112と、折曲線116、下端部20bで囲まれた部分は保持片118である。保持片118は、折罫線22の方向に側面20が延びた部分により形成され、下端部20bに沿って長い帯状であり、保持片118の、折罫線22側の先端部118aは、折曲線120を介して側面18に連続している。つまり折曲線120は、折罫線22に連続している。保持片118の先端部118aの、下端部20b側の部分は、角部が面取りされて傾斜部98となり、外箱12に挿入する際の逃がしとなる。保持片118の長手方向の中心よりも先端部118aに近い位置には、折曲線116に対して略平行な折曲線122が設けられ、折曲線122は、保持片118の幅の全長にわたって、切断線112と下端部20bに連通している。
次に、中枠108の組立方法の一例について説明する。なお、ここでは図5が中枠108の中枠形成片110の表面を見たものであり、中枠形成片110の表面が凸になる折り方を正折り、そして裏面が凸になる折り方を逆折りと称する。
まず、保持片118の、折曲線122と先端部118aの間の部分に、裏面に糊54を塗布する。糊付片24の裏面にも糊56を折罫線26に沿って長く塗布する。次に、折罫線22を正折りして保持片118の裏面を側面18の裏面に糊付けする。そして、折罫線26を正折りして糊付片24の裏面を側面18の表面に糊付けする。中枠形成片110は、折り畳み状態となり、中枠108はこの折り畳み状態で出荷される。
次に、収容物11を収容し包装する工場等において、折罫線22と折罫線26を近づけるように力を加え、側面18,20を互いに離れるように外側に湾曲させて内側に平面視で紡錘形の空間を作る。この時、保持片118は、側面20に引かれて側面18から離れるが、先端部118a付近が糊54で側面18に接着されているため、折曲線116は正折りされ、折曲線122は逆折りされ、保持片118の折曲線116と折曲線122の間の部分が、側面18と側面20を連結し、側面18,20の間の空間に渡され、側面18,20の下方で下端部18c,20bに沿って組み立てられる。保持片118が側面20から引き起こされる際に、切断線112の切り残し部114は破断する。
次に、側面18,20の間の空間に、上端部18a,上端部20aから収容物11を入れる。収容物11の底面は、保持片118に当接し保持される。
収容物11を入れた中枠14は、外箱12に入れて包装する。傾斜部18e,20c,88,98,は、外箱12に挿入する際の逃がしとなり、円滑に入れることができる。
この実施形態の中枠付き包装用箱106と中枠108によれば、中枠付き包装用箱10と同様の使用方法であり、同様の効果を有するものである。切断線112と折曲線116,122が側面20のみに設けられ、構造がシンプルで製造が容易である。弱い力でも折曲線116,122を折り曲げ、切り残し部114を破断して保持片118を組み立てることができる。
次に、この発明の第四実施形態について図6、図7に基づいて説明する。なお、ここで、上記実施形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略する。この実施形態の中枠付き包装用箱124は、上記実施形態と同様の外箱12と、外箱12の中に入れられて収容物11を保持する中枠126が設けられている。
中枠126は、外箱12と同様に厚紙等の一枚のブランクシートを打ち抜いて形成された中枠形成片128を組み立てて形成されている。図6は、中枠形成片128を表面から見た展開図であり、側面18と側面20が折罫線22で区切られて設けられている。側面18の、下端部18cに近い位置には、切断線130が設けられている。切断線130は、側縁部18dに連通し、下端部18c対して略平行な直線である。切断線130の、折罫線22側の先端部130aは側面18の幅の中心をわずかに超えて折罫線22の近傍に達し、上端部18aに向かって小さい直径の半円形状に湾曲する形状となる。切断線130の途中には、切り残し部131が設けられている。
また、切断線130の先端部130aと、上端部18aを結ぶ折曲線132が設けられ、折曲線132は、切断線130および上端部18aに対して略直角である。折曲線132と側縁部18dの間には、折曲線132に対して略平行な折曲線134,136が設けられ、折曲線132,134,136は上端部18aと切断線130に連通し、互いに等間隔である。上端部18aは、折曲線132と折曲線134の間に、下方に窪む凹部133が形成されている。また、側縁部18dは切断線130と交差する部分が面取りされて傾斜部18fとなり、外箱12に挿入する際の逃がしとなる。
切断線130と下端部18cの間の部分は、保持片138である。保持片138は、折罫線22の方向に側面18が延びた部分により形成され、下端部18cに沿って長い帯状であり、保持片138の、折罫線22と反対側の先端部138aは、側縁部18dの延長線に達しない長さであり、側縁部18dに対して略平行な直線で形成されている。
側面20は、ほぼ側面18と、折罫線22を挟んで線対称となる形状であり、側面18と同様に、切断線130、切り残し部131、折曲線132,134,136、保持片138が設けられている。保持片138の、折罫線22と反対側の先端部138aは、側縁部20dの延長線に達しない長さである。傾斜部18e,18fと同様の傾斜部20e,20fが設けられている。ただし、上端部20aは、上端部18aと異なる形状であり、折曲線134と折曲線136の間に、下方に窪む凹部135が形成されている。
次に、中枠126の組立方法の一例について説明する。なお、ここでは図6が中枠126の中枠形成片128の表面を見たものであり、中枠形成片128の表面が凸になる折り方を正折り、そして裏面が凸になる折り方を逆折りと称する。
まず、側面20の、保持片138の裏面に糊54を塗布し、折曲線136と側縁部の間の部分に糊56を塗布する。糊54は、折罫線22に沿って長く塗布してもよく、広い面積に塗布してもよい。
この後、折罫線22を正折りして中枠形成片128を二つ折りする。保持片138同士は糊54で糊付けされ、折曲線136と側縁部18dの間の部分と折曲線136と側縁部20dの間の部分は糊56で糊付けされる。中枠形成片128は、折り畳み状態となり、中枠126はこの折り畳み状態で出荷される。
次に、収容物11を収容し包装する工場等において、側縁部18d,20dと折罫線22を近づけるように力を加える。すると、図7(b)に示すように、側面18,20は、折曲線134が互いに離れるように外側に折り曲げられ、折曲線134は正折りされ、折曲線132,136は逆折りされ、内側に平面視で矩形の空間を作る。この時、二重にかさねられた保持片138は、側面18,20の間の矩形の空間の対角線を横断する。側面18,20が立体的に組み立てられる際に、切断線130の切り残し部131は破断する。上端部18a,20aは、凹部133,135の位置がずれているため、側面18,20を立体的にする際に、指で上端部18a20aの凹部133,135を外側に押し出すようにして、容易に側面18,20を離間することができる。
次に、側面18,20の間の空間に、上端部18a,20aから収容物11を入れる。収容物11の底面は、保持片138に当接し保持される。
収容物11を入れた中枠126は、外箱12に入れて包装する。傾斜部18e,18f,88,98は、外箱12に挿入する際の逃がしとなり、円滑に入れることができる。外箱12の内側空間の対角線は、側面18,20の、折罫線22から側縁部18dまたは側縁部20dまでの長さよりも少し短いため、収容物11により折曲線134が互いに離れるように外側に正折りされた状態で入れることが可能であり、対角線上に位置する一対の角部の間に隙間なく収容される。保持片138の折罫線22から先端部138aまでの長さは、対角線とほぼ等しく、撓むことがなく、対角線に沿って位置する。
この実施形態の中枠付き包装用箱124と中枠126によれば、中枠付き包装用箱10と同様の使用方法であり、同様の効果を有するものである。小さい収容物11でも確実に緩衝的に保持することができる。また、上端部18a,20aには、凹部133,135が形成され、組立時に側面18,20を離間する操作を容易に行うことができる。
なお、この発明の中枠と中枠付き包装用箱は、上記実施形態に限定されるものではない。中枠の大きさや、保持片の幅や長さ、折曲線の位置や数等は、収容物に合わせて適宜変更可能である。外箱も、各部材の形状や、底蓋片、上蓋片等の構造は、自由に設計することができる。中枠の材料は、厚紙以外に合成樹脂シートで作られてもよい。