JP7100034B2 - 多環式ペプチド及びそれらの調製方法 - Google Patents

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Description

本発明はタンパク質模倣(proteinmimetics)の分野に関する。特に、本発明は、複数のペプチドループをもたらす、複数の結合を介して足場に共有結合したペプチドを含む化合物を調製するための方法に関する。本発明はまた、そのような方法で得られる環化ペプチド又はペプチド模倣体及びそれらの使用に関する。
多環式ペプチドフレームワークは、有望な新しいクラスのペプチド治療学を構成する。多環式ペプチドフレームワークは自然界に広範に存在するため、進行中の新規かつ革新的な合成手順の探求が何十年にもわたって続けられている。環化ペプチドは、一般に、それらの固定された二次構造、及び各種エキソペプチダーゼに対するタンパク質分解安定性の増大のおかげで、通常、薬物開発における使用にとって、環化ペプチドの線状類似体よりもはるかに優れた特徴を有する。
構造的複雑性の次のレベルに、多環式疑似ペプチドフレームワークの合成がある。臨床的に承認された多くの候補薬物がそのような多環式フレームワークに基づいているという事実は特に興味深い。バンコマイシンが最も顕著な例である、これらの薬物に関連する主な問題は、それらの薬物を製造するための困難で大きな労力を要する合成経路である。とりわけ、限定された多様性生成のために、いわゆる「ローリングループスキャン(rolling-loop scan)」を利用して、抑制された「バンコマイシン」模倣体を合成することによって、この障害を克服する試みがなされてきた(ten Brink 2006)。別の手法は、合理的に設計されたペプチドループをカリックス[4]アレーンフレームワークの上部に使用して抗体様の性質を模倣することである(Hamura 1997; Blaskovich 2000; Sun 2004)。それらの魅力的な構造にもかかわらず、これらの方法の一般的な制限は、「抗体様」構造多様性を規定どおりに生成することができないことであり、それは結合親和性及び/又は選択性を微調整することを極めて困難にしている。
2005年には、線状ジ-、トリ-及びテトラ-SHペプチドと1,2-; 1,3-;又は1,4-ジブロモ-キシレン、1,3,5-トリブロモメシチレン又は1,2,4,5-テトラブロモジュレンとのタンデム環化を介した単環式、二環式及び三環式ペプチドの合成が報告された(Timmerman 2005; Timmerman 2009、WO2004/077062)。WO2004/077062は、化合物を(ヘテロ)芳香族分子、例えばハロメチルアレーンに結合させることによって、化合物の三次元構造を制限する方法を記載している。2004/077062に記載されているような、化合物、例えばペプチドの、(ヘテロ)芳香族分子へのカップリングは、ペプチドループの形成をもたらす。そのようなペプチドループは、例えば、化合物が模倣体として使用され得る天然タンパク質におけるループに類似している。「CLIPS」と命名された、この技術は、合成の単純さと緩やかさにおいて独特であり、多重環化は、触媒の助けなしで、更には側鎖保護基なしで、室温で30分未満に完了に至る。更に、環化は中性pH(約7.8)の水性条件下で進行し、ファージディスプレイライブラリ(PDL)のような、感受性の高い生物系に対する適合性がある。
本発明者らによって開発され、例えばWO2004/077062に記載された、既存のCLIPSペプチド環化技術は、i)構造剛性、ii)構造多様性、iii)結合選択性、及びiv)結合/阻害効力に関して限界がある。最近では、おそらくCLIPS-二環(CLIPS-bicycle)の構造上の制限に起因して、特定の標的タンパク質について親和性の最適化(<50nM)が深刻に妨げられることが発見された(Heinis、2011)。しかしながら、CLIPS化学を三環式ペプチドの生成に向けて拡張することは、図1に示されるように、最大6つの位置異性体の錯体混合物の形成をもたらし、スクリーニングプロセスにおける直接的使用の方略を妨げる。
Ruchalaら(2015)は、位置異性体形成なしで三環式ペプチドをもたらし得るペンタエリスリトールベースの足場の使用について記載している。しかしながら、依然として2つのジアステレオ異性体が形成され、この方法論をより多く官能化された多環式ペプチド(例えば四環)の形成に向けて拡張する直接的方法はない。
Sugaら(2015)は、4つのシステイン残基及び1つのN末端クロロアセチル基を含有するペプチドの合成による縮合三環式ペプチドの合成について記載している。著者らは、第2のシステイン基を選択的に配置することで、N-末端クロロメチル基との選択的反応によって、第1の単環を形成することができると述べている。残りの3つのシステイン残基をT3足場と反応させると、三環式ペプチドがもたらされる。直交的に保護された(orthogonally protected)システイン残基の精密な導入がこの技術において必要であり、さもなければ生成物の混合物が形成される。この方法論はまた、四環式化合物等の、より多く官能化された多環式ペプチドの形成をもたらさない。
Smeenkら(2012)及びSmeenkら(2015)は、CLIPS反応において2つのチオエーテル連鎖を介して単一のペプチドを足場に付着することによって最初の2つの単環式ペプチド(ペプチド1及び2)を調製する方法において、2つの別々の単環式ペプチドからなる二環式化合物を形成する。ペプチド1に付着された足場は直交ライゲーション(orthogonal ligation)反応に関与するための1つの反応性基を含有し、ペプチド2に付着された足場は相補的反応性基を含有する。その後、直交ライゲーション反応において、このようなペプチド含有足場のうちの2つが、単結合を介して互いに付着され得る。そのような手法では、二環式化合物のみを形成することができる。三環式又は四環式化合物を得るためのさらなるループは、ペプチド内ジスルフィド結合を形成することによって導入される必要がある。
したがって、足場環化ペプチドの構造多様性を増大させ、特に少なくとも3つのペプチドループを有するもののために、改良された多環式ペプチドを提供することが当該技術分野において必要とされている。
WO2004/077062 WO2009/098450
Ten Brink HT、Rijkers DTS、Liskamp RMJ、J. Org. Chem. 2006、71巻、1817~1824頁 Hamura Y、Calama MC、Park HS & Hamilton AD、'A calixarene with four peptide loops: an antibody mimic for recognition of protein surfaces'、Angew. Chem. Int. Ed. 1997、36巻、2680~2683頁 Blaskovich、M. A.、Lin、Q.、Delarue、F. L.、Sun、J.、Park、H. S.、Coppola、D.、Hamilton、A. D.、and Sebti、S. M. (2000) Nat. Biotechnol. 18巻、1065~1070頁 Sun、J.、Blaskovich、M. A.、Jain、R. K.、Delarue、F.、Paris、D.、Brem、S., Timmerman P et al. ChemBioChem. 2005 May;6巻(5号):821~4頁 Timmerman P et al. J Biol Chem. 2009、284巻(49号): 34126~34134頁 Heinis、C.、Rutherford、T.、Freund、S. & Winter、G. Nat. Chem. Biol. 5巻、502~507頁(2009)
本発明は、多環式ペプチドを調製するための既存の方法論の上記のような欠点を克服し、足場環化ペプチドの構造多様性を増大させることを目的としている。本発明者らは、CLIPS化学と追加の直交ライゲーション反応とを特定の二段階反応プロトコルにおいて組み合わせるという特定の手法を用いた新規な方法を開発した。以前の技術では、二環式ペプチドのみを純粋な形態で得ることができたが、この新しいアプローチは、2~6個、特に3~6個のペプチドループが形成される環化ペプチドの生成をもたらす。環化ペプチドは、好ましくは主として1つ又は2つの位置異性体形態、より好ましくは本質的に1つ又は2つの位置異性体形態で形成される。
したがって、第1の態様において、本発明は、分子足場に付着したペプチドを含む化合物を調製するための方法であって、
1)ペプチドと分子足場との間でチオラート求核置換反応を行って、前記ペプチドと前記分子足場との間に2つ又は3つのチオエーテル連鎖を形成する工程と、
2)オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド付加環化、チオール-エン反応、ヒドラゾン-ライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋反応、及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される、前記ペプチドと前記分子足場との間での反応を行い、前記ペプチドと前記分子足場との間に2つ又は3つのさらなる連鎖を形成し、それによって3つ~6つのペプチドループを形成する工程と
を含み、
- 前記ペプチド及び前記分子足場が、前記チオラート求核置換反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基と、工程2)の前記反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基とを、前記反応を行う前に含み、
- 前記分子足場が、芳香族若しくはヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又は6員シクロアルキレンを含み、2回又は3回対称性を有する、
方法を提供する。1)及び2)の反応は表示された順序で行われる。好ましい実施形態において、前記化合物は3~6個のペプチドループを含む。
さらなる態様において、本発明は、分子足場に付着したペプチドを含む化合物を調製するための方法であって、
1)ペプチドと分子足場との間でチオラート求核置換反応を行って、前記ペプチドと前記分子足場との間に2つ又は3つのチオエーテル連鎖を形成する工程と、
2)オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド付加環化、チオール-エン反応、ヒドラゾン-ライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋反応、及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される、前記ペプチドと前記分子足場との間での反応を行い、前記ペプチドと前記分子足場との間に1つ、2つ又は3つのさらなる連鎖を形成し、それによって2つ~6つのペプチドループを形成する工程と
を含み、
- 前記ペプチド及び前記分子足場が、前記チオラート求核置換反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基と、工程2)の前記反応に関与することができる1つ、2つ又は3つの反応性基とを、前記反応を行う前に含み、
- 前記分子足場が、芳香族若しくはヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又は6員シクロアルキレンを含み、2回又は3回対称性を有する、
方法を提供する。1)及び2)の反応は表示された順序で行われる。
本発明は更に、本発明による方法によって得られる化合物を提供する。
さらなる態様において、本発明は、ペプチド及び分子足場を含む化合物であって、
i.前記ペプチドは、4つ~6つの連鎖によって前記分子足場に付着しており;
ii.前記分子足場は、芳香族若しくはヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又は6員シクロアルキレンを含み、2回又は3回対称性を有し;
iii.前記化合物は、前記ペプチドの前記分子足場への付着の結果として形成された3つ~6つのペプチドループを含み;
iv.前記連鎖のうちの2つ又は3つはチオエーテル連鎖であり;
v.前記連鎖のうちの2つ又は3つは、オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド付加環化、チオール-エン反応、ヒドラゾンライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋形成、及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される反応から得られる、
化合物を提供する。
さらなる態様において、本発明は、本発明による複数の化合物を含むライブラリを提供する。
さらなる態様において、本発明は、ペプチド及び分子足場を含む化合物であって、
i.前記ペプチドは、2つ~6つの連鎖によって前記分子足場に付着しており;
ii.前記分子足場は、芳香族若しくはヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又は6員シクロアルキレンを含み、2回又は3回対称性を有し;
iii.前記化合物は、前記ペプチドの前記分子足場への付着の結果として形成された2つ~6つのペプチドループを含み;
iv.前記連鎖のうちの2つ又は3つはチオエーテル連鎖であり;
v.前記連鎖のうちの1つ、2つ又は3つは、オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド付加環化、チオール-エン反応、ヒドラゾンライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋形成、及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される反応から得られる、
化合物を提供する。
さらなる態様において、本発明は、本発明による複数の化合物を含むライブラリを提供する。
さらなる態様において、本発明は、
- 芳香族若しくはヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又は6員シクロアルキレン、
- チオラート求核置換反応に関与することができる2又は3個の反応性基、
- オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド環化付加、チオール-エン反応、ヒドラゾン-ライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋形成及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される反応に関与することができる2又は3個の反応性基
を含み、2回又は3回対称性を有する、分子足場であって、ただし、1,3,5-トリス(ブロモメチル)-2,4,6-トリス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼンではない、分子足場を提供する。
さらなる態様において、本発明は、対象標的に結合できる化合物を同定する方法であって、本発明による化合物のライブラリを対象標的と接触させる工程と、前記化合物の前記標的への結合を決定する工程と、前記標的に結合する化合物を選択する工程とを含む、方法を提供する。
さらなる態様において、本発明は、候補薬物化合物を選択するための方法における、本発明による化合物又は本発明によるライブラリの使用を提供する。
さらなる態様において、本発明は医薬に使用するための本発明による化合物を提供する。
本発明の方法は、多環式ペプチドの調製を可能にし、同時に、望ましくない位置異性体の形成を防止又は制限する。以前の技術では単一の位置異性体形態の二環式ペプチドのみを得ることができたが、本発明の方法は本質的に単一の位置異性体形態の多環式ペプチドの生成を可能にする。更に、ペプチドが2つ以上のチオエーテル連鎖を介して足場にカップリングされる一段階カップリング法を使用する以前の技術において、本発明の二段階法は、足場環化ペプチドの構造多様性を増大させる。ペプチドの付着のために2つの異なる官能基を備えた別の足場を使用することによって、構造的に異なるループ、したがって生成物を形成することができる。したがって、チオラート求核性ライゲーション及び直交ライゲーション技術の利用は必須であり、足場及び出発ペプチドの両方が適切な官能基を備えていなければならない。異なるライゲーション技術をこのように組み合わせることの、従来の方法に対する別の利点は、多環式ペプチドの大規模なライブラリを比較的速く容易に調製できることである。これにより、生物学的に関連性のある標的に対するスクリーニングを直接的に行うことが可能になる。
本発明の方法の一例では、ペプチドは、4つの連鎖(「結合」とも言う)によって分子足場に付着し、それによって、出発ペプチドが例えば骨格環化ペプチドである場合に、3つのペプチドループ又は4つのペプチドループを形成する。第1の工程では、第1の反応においてペプチドと足場との間に2つのチオエーテル連鎖が形成される。第2の工程において、同じ型の2つのさらなる連鎖、例えば2つの1,2,3-トリアゾール連鎖又は2つのオキシムコンジュゲート連鎖が、第2の反応においてペプチドと足場との間に形成される。そのような環化ペプチドの合成は、図2A、並びに図2B及び2Cにそれぞれ概略的に示されており、それぞれ特定の反応の例を示している。この化合物において、例えばペプチドのN末端とC末端のカップリング又はペプチド中の2つのアミノ酸残基間のジスルフィド架橋の形成により、追加の連鎖をペプチドに導入することによって、任意に、さらなるペプチドループを形成することができる。
本発明の方法のさらなる例では、ペプチドを5つの連鎖によって分子足場に付着させて、4つのペプチドループ、又は出発ペプチドが例えば骨格環化ペプチドである場合は5つのペプチドループを有する、化合物を形成する。第1の工程では、第1の反応においてペプチドと足場との間に3つのチオエーテル連鎖が形成される。第2の工程において、同じ型の2つのさらなる連鎖、例えば2つの1,2,3-トリアゾール連鎖又は2つのオキシムコンジュゲート連鎖が、第2の反応においてペプチドと足場との間に形成される。そのような環化ペプチドの合成は、図3A、並びに図3B及び3Cにそれぞれ概略的に示されており、それぞれ特定の反応の例を示している。この化合物において、例えばペプチドのN末端とC末端のカップリング又はペプチド中の2つのアミノ酸残基間のジスルフィド架橋の形成により、追加の連鎖をペプチドに導入することによって、任意に、さらなるペプチドループを形成することができる。
本発明の方法の更に別の例では、ペプチドを6つの連鎖によって分子足場に付着させて、5つのペプチドループ、又は出発ペプチドが例えば骨格環化ペプチドである場合は6つのペプチドループを有する、化合物を形成する。第1の工程では、第1の反応においてペプチドと足場との間に3つのチオエーテル連鎖が形成される。第2の工程において、同じ型の3つのさらなる連鎖、例えば3つの1,2,3-トリアゾール連鎖又は3つのオキシムコンジュゲート連鎖が、第2の反応においてペプチドと足場との間に形成される。そのような環化ペプチドの合成は図4Aに概略的に示される。図4B及び図4Cはそれぞれ、特定の反応の例を示す。この化合物において、例えばペプチドのN末端とC末端とのカップリングにより、ペプチド中に追加の連鎖を形成することによって、さらなるペプチドループが導入され得る。
これらすべての例において、i)2つの異なるタイプの反応及びペプチドと足場との間に形成される連鎖を使用すること、並びにii)上記2つの異なる反応のそれぞれについて、ペプチド及び3回回転対称性を有する分子足場において、典型的に交互に存在する2つ又は3つの反応性基を選択することにより、ペプチドは、好ましい立体配座構造、或いは更に単一の可能な立体配座構造をとるように強制され、望ましくない位置異性体の形成は制限される。
本発明の方法の更に別の例では、ペプチドを3つの連鎖によって分子足場に付着させて、2つのペプチドループ、又は出発ペプチドが例えば骨格環化ペプチドである場合は3つのペプチドループを有する、化合物を形成する。第1の工程では、第1の反応においてペプチドと足場との間に2つのチオエーテル連鎖が形成される。第2の工程において、1つのさらなる連鎖、例えば1,2,3-トリアゾール連鎖又はオキシムコンジュゲート連鎖が、第2の反応においてペプチドと足場との間に形成される。この化合物において、例えばペプチドのN末端とC末端とのカップリングにより、ペプチド中に追加の連鎖を形成することによって、さらなるペプチドループが導入され得る。
本明細書で使用される用語「分子足場」は、ペプチドのための足場として機能し、ペプチドが付着し得る複数の官能性基を備える分子を指す。本発明による化合物中に存在する分子足場において、これらの基が反応してペプチドと足場との間に連鎖を生じたので、反応性基はもはや存在しない。用語「分子足場」及び「足場」は、本明細書において互換的に使用される。
本発明に従って使用されるか、又は本発明の化合物中に存在する、本発明による分子足場は、芳香族若しくはヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又は6員シクロアルキレンを含み、2回又は3回対称性を有する。足場中に存在する環状構造及び対称性は、選択される特定の足場に応じて、ペプチドのカップリングは、本質的に単一の位置異性体又は本質的に2つの位置異性体として化合物を生成することを確実にする。好ましい実施形態において、足場は芳香族又はヘテロ芳香族部分を含む。「芳香族又はヘテロ芳香族環式部分」は、本明細書において、「(ヘテロ)芳香族部分」とも呼ばれる。芳香族部分に任意に存在するヘテロ原子は、好ましくはN、S又はOである。芳香族部分は0、1又は2個のヘテロ原子を含有することが更に好ましい。好ましい(ヘテロ)芳香族部分は、フェニル、ビフェニル、ナフチル及びイソインドリンである。特に好ましい実施形態において、本発明に従って使用されるか、又は本発明の化合物中に存在する分子足場は、任意に、縮合二環式環構造、第2の環式基を有するスピロ-二環式環構造、又は環のうちの1つが第3の環構造に結合している縮合二環式環を含む三環式環構造を形成する、フェニルを含む。分子足場が本明細書で定義した3回対称性を有する場合、足場は好ましくは6員(ヘテロ)芳香族部分、好ましくはフェニルを含む。分子足場が本明細書で定義した2回対称性を有する場合、足場は、好ましくは6員(ヘテロ)芳香族部分、好ましくは、任意に縮合二環式環構造、第2の環式基を有するスピロ-二環式環構造、又は環のうちの1つが第3の環構造に結合している縮合二環式環を含む三環式環構造を形成する、フェニルを含む。
本発明に従って使用されるか、又は本発明の化合物中に存在する、本発明による分子足場は、2回又は3回対称性を有する。特に、分子足場は、チオラート求核置換反応に関与することができる2つの反応性基と第2の反応に関与することができる2つの反応性基とを有する場合、又は4つの連鎖を介してペプチドに付着している場合、2回対称性、好ましくは2回回転対称性を有する。分子足場は、チオラート求核置換反応に関与することができる3つの反応性基と第2の反応に関与することができる3つの反応性基とを有する場合、又は5つ又は6つの連鎖を介してペプチドに付着している場合、3回対称性、好ましくは3回回転対称性を有する。最も好ましくは、分子足場は、C2v対称性又はD3h対称性を有する。特に、チオラート求核置換反応に関与することができる2つの反応性基と、第2の反応に関与することができるか又は4つの連鎖によってペプチドに付着することができる2つの反応性基とを有する足場は、好ましくはC2v対称性を有する。チオラート求核置換反応に関与することができる3つの反応性基と、第2の反応に関与することができるか又は5つ又は6つの連鎖によってペプチドに付着することができる3つの反応性基とを有する分子足場は、好ましくはD3h対称性を有する。これらの対称基は当該技術分野で一般的に使用されている。したがって、当業者は、特定の分子足場がC2v対称基に属するかD3h対称基に属するかを決定すること、及び/又は本発明の方法及び化合物で使用するために、そのような対称基に属する分子足場を構築することが十分にできる。要約すると、C2v対称基は、2回回転対称軸(C2)と、2回回転対称軸と一致する2つの鏡面(σv及びσv'と呼ばれる)を有する。D3h対称基は、3回回転対称軸(C3)、3回回転対称軸に対して直角をなす3つの2回回転軸(C2)、及び2回回転対称軸と一致する3つの垂直対称面(σv)を有する。当業者は、本明細書に定義した環状基、好ましくは本明細書に定義した対称性要件を満たす(ヘテロ)芳香族部分を有する分子足場を選択することが十分に可能である。
好適であり好ましい分子足場の例を図5及び6に示す。したがって、好ましい実施形態において、足場は、図5及び図6に示した足場から選択される。当然ながら、足場が本発明の化合物中に存在する場合、図5及び図6に示した反応性基はペプチドへの連鎖によって置き換えられており、ペプチドが5つの連鎖によって足場に付着している場合、任意に、足場における1つの反応性基が合計6つの反応性基を含むままになる。
本発明による、又は本発明の方法で使用される分子足場は、チオラート求核置換反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基と、第2の反応に関与することができる1つ、2つ又は3つの反応性基とを、前記反応を行う前に更に含む。好ましい実施形態において、本発明による、又は本発明の方法で使用される分子足場は、少なくとも3つのペプチドループを有する化合物が形成されるように、チオラート求核置換反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基と、第2の反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基とを、前記反応を行う前に含む。好適であり好ましい反応性基について以下で考察する。好ましくは、足場は、4つの反応性基、すなわち各タイプの2つの反応性基、又は6つの反応性基、すなわち各タイプの3つの反応性基のいずれかを含む。好ましくは、第1及び第2の反応を行う前の分子足場は、
i)チオラート求核置換反応(第1の反応)に関与することができる2つの反応性基、及び第2の反応、好ましくはオキシム-ライゲーション反応若しくはアルキン-アジド環化付加に関与することができる2つの反応性基、又は
ii)チオラート求核置換反応(第1の反応)に関与することができる3つの反応性基、及び第2の反応、好ましくはオキシム-ライゲーション反応若しくはアルキン-アジド環化付加に関与することができる3つの反応性基
のいずれかを含む。オキシムライゲーション反応に関与することができる前記2つ又は3つの反応性基は、好ましくは同じケトン、より好ましくは2つ若しくは3つのケトン、2つ若しくは3つのアルデヒド又は2つ若しくは3つのアミノキシ基である。アルキン-アジド付加環化反応に関与することができる前記2つ又は3つの反応性基は、好ましくは同じアジド、より好ましくは2つ若しくは3つのアジド又は2つ若しくは3つのアルキンである。
i)における反応性基の組合せは、足場へのペプチドの付着の結果として形成される3つ又は4つのペプチドループを含む本発明による化合物を調製するうえで好ましい。i)における反応性基の組合せは、足場へのペプチドの付着の結果として形成される4つ、5つ又は6つのペプチドループを含む本発明による化合物を調製するうえで好ましい。
本発明によって提供される分子足場は、好ましくは1,3,5-トリス(ブロモメチル)-2,4,6-トリス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼンではない(図6の第1の構造)。本発明によって提供される分子足場はまた、1,3,5-トリス(アセトキシメチル)-2,4,6-トリエチニルベンゼンではない。しかしながら、これらの足場は、本発明によって提供される方法及び化合物における使用に適している。
特に好ましい実施形態において、本発明による、又は本発明に従って使用される足場は、C2v対称性又はD3h対称性を有し、
- 芳香族又はヘテロ芳香族環式部分、
- それぞれ活性化メチレン基に結合した2又は3個のハロゲン化物、及び
- オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド環化付加及びチオール-エン反応からなる群から選択される反応、好ましくはオキシム-ライゲーション反応又はアルキン-アジド環化付加に関与することができる2又は3個の反応性基
を含む。好ましくは、前記足場は、活性化メチレン基にそれぞれ結合した2つのハロゲン化物、並びにオキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド環化付加及びチオール-エン反応からなる群から選択される反応、好ましくはオキシム-ライゲーション反応又はアルキン-アジド環化付加に関与することができる2つの反応性基、又はそれぞれ活性化メチレン基に結合した3つのハロゲン化物、及びオキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド環化付加及びチオール-エン反応からなる群から選択される反応、好ましくはオキシム-ライゲーション反応又はアルキン-アジド環化付加に関与することができる3つの反応性基を含む。
オキシムライゲーション反応に関与することができる前記2つ又は3つの反応性基は、好ましくは同じケトン、より好ましくは2つ若しくは3つのケトン、2つ若しくは3つのアルデヒド又は2つ若しくは3つのアミノキシ基である。アルキン-アジド付加環化反応に関与することができる前記2つ又は3つの反応性基は、好ましくは同じアジド、より好ましくは2つ若しくは3つのアジド又は2つ若しくは3つのアルキンである。
更に好ましい分子足場は、チオラート求核置換反応に関与することができる前記2つ又は3つの反応性基を含有する足場の一部と、オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド付加環化、チオール-エン反応、ヒドラゾンライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋形成、及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される反応に関与することができる前記2つ又は3つの反応性基を含有する足場の一部との間に位置する、自由回転結合を含む。前記分子足場は、更に好ましくは、各タイプの反応性基のうちの2つを含み、C2v対称性を有する。したがって、更に好ましい分子足場は、
- それぞれ活性化メチレン基に結合した2つのハロゲン化物;
- オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド環化付加及びチオール-エン反応からなる群から選択される反応、好ましくはオキシム-ライゲーション反応又はアルキン-アジド環化付加に関与することができる2つの反応性基、並びに
- 前記2つのハロゲン化物を含有する足場の一部と、前記2つの反応性基を含有する足場の一部との間に位置する、自由回転結合
を含み、
前記分子足場はC2v対称性を有する。
別の実施形態において、第1及び第2の反応を行う前の分子足場は、チオラート求核置換反応(第1の反応)に関与することができる2つの反応性基、及び第2の反応、好ましくはオキシム-ライゲーション反応若しくはアルキン-アジド環化付加に関与することができる1つの反応性基を含む。オキシム-ライゲーション反応に関与することができる前記反応性基は、好ましくは、ケトン、アルデヒド又はアミノキシ基である。アルキン-アジド環化付加反応に関与することができる前記反応性基は、好ましくは、アジド又はアルキンである。
本明細書で使用する場合用語「ペプチド」は、複数のアミノ酸を含むペプチド又はポリペプチドを指す。用語「ペプチド」及び「ポリペプチド」は互換的に使用される。本明細書で使用する場合「ペプチド」は単一のペプチドを指す。すなわち、4つ~6つの連鎖を介して分子足場に付着したペプチドを含む化合物を調製するための方法は、前記4つ~6つの連鎖を介して単一のペプチドを分子足場に付着させることを含む。このことは、前記4つ~6つの連鎖を形成するために使用されるアミノ酸が単一のペプチド中に存在することを意味する。同じことが、本発明による分子足場に付着したペプチドを含む化合物にも当てはまる。ペプチドは、天然アミノ酸と非天然若しくは非リボソームアミノ酸の両方、又はそれらの任意の組合せを含有し得る。本明細書で使用する場合「非天然アミノ酸」及び「非リボソームアミノ酸」とは、それらが天然に存在するか否かにかかわらず、遺伝的にコードされていないアミノ酸を指す。例えば、反応性基を含む非天然アミノ酸は、例えば本発明の方法の第1及び第2の反応に関与するために存在する。本発明に従って使用されるか又は本発明の化合物中に存在するペプチドは、非ペプチド構造要素を含んでよい。そのような非ペプチド構造要素は、前記配列の1つ又は複数のアミノ酸の置換又は改変の結果として、本発明のポリペプチドのアミノ酸配列中に存在してよい。代替的に、又は追加的に、ペプチドは、アミノ酸配列の外側、例えば任意のN及び/又はC末端伸長基中に、非ペプチド構造要素を含んでもよい。改変の例としては、アセチル化、アミド化、アシル化、リン酸化及びメチル化が挙げられる。
本発明による化合物において、ペプチドは、3、4、5又は6つの連鎖によって分子足場に付着している。本発明による化合物、又は本発明に従って調製される化合物は、ペプチドと前記分子足場との間の3~6つの連鎖の結果として形成された2~6個のペプチドループ又はループ状ペプチドセグメントを含む。好ましくは、本発明による化合物、又は本発明に従って調製される化合物は、ペプチドと前記分子足場との間の4~6つの連鎖の結果として形成された3~6個のペプチドループ又はループ状ペプチドセグメントを含む。好ましい態様において、化合物は3~6個のペプチドループを含有する。好ましい態様において、化合物は3~6個のペプチドループを含有する。本明細書で使用するとき、用語「ペプチドループ」は、本明細書で定義した分子足場への2つの連鎖を有するペプチド中の2つの異なるアミノ酸のカップリング後に形成される構造として定義される。これらのループ、したがってループ状又は環状ペプチド構造の形成は、別々のアミノ酸と足場との間の4~6つの連鎖を介したペプチドの足場への付着の結果であり、ペプチドはそのような特定の立体配座をとることを強制される。足場への4つ、5つ又は6つの連鎖を介したペプチドの付着は、出発ペプチドが例えば直鎖状ペプチドである場合、それぞれ3つ、4つ又は5つのペプチドループの形成をもたらす。足場への4つ、5つ又は6つの連鎖を介したペプチドの付着は、出発ペプチドが例えば骨格環化ペプチドである場合、すなわちN-及びC-末端アミノ酸のペプチド骨格がカップリングされている場合、それぞれ4つ、5つ又は6つのペプチドループの形成をもたらす。そのようなペプチドループは、例えば、化合物が模倣体として使用されるタンパク質性分子中に存在するペプチドループに類似している。
ペプチドと足場との間の連鎖のそれぞれは、好ましくは、ペプチドの別々のアミノ酸と足場との間の連鎖である。したがって、ペプチドは、好ましくは3、4、5又は6個の異なるアミノ酸との連鎖を介して、より好ましくは4、5又は6個の異なるアミノ酸との連鎖を介して、足場に付着している。本発明の方法において使用されるか又は本発明の化合物中に存在するペプチドは、好ましくは少なくとも7つのアミノ酸を有する。ただし、好ましくは、足場に付着しているアミノ酸のそれぞれの間に少なくとも2つのアミノ酸が存在している。すなわち、各ペプチドループは、第1及び第2の反応の結果として形成された4つ~6つの連鎖を介して足場に付着しているアミノ酸を除いて、少なくとも2つのアミノ酸からなる。結果として、ペプチドは好ましくは、例えばペプチドが4つの連鎖によって足場に付着している場合、少なくとも10個のアミノ酸を含むか又は含有する。ペプチドが5つの連鎖によって足場に付着している場合、ペプチドは好ましくは少なくとも13個のアミノ酸を有し、ペプチドが6つの連鎖によって足場に付着している場合、ペプチドは好ましくは少なくとも16個のアミノ酸を有する。より好ましくは、各連鎖はペプチドの異なるアミノ酸同士の間で形成され、少なくとも3つのアミノ酸が、足場に付着したこれらのアミノ酸のそれぞれの間に位置する。すなわち、各ペプチドループは好ましくは、足場に連鎖されているアミノ酸を除いて、少なくとも3つのアミノ酸からなる。例えば、3個のアミノ酸、4個のアミノ酸、5個のアミノ酸、6個のアミノ酸、7個のアミノ酸、8個のアミノ酸、9個のアミノ酸、10個のアミノ酸、11個のアミノ酸、12個のアミノ酸、13個のアミノ酸、14個のアミノ酸、15個のアミノ酸、20個のアミノ酸又は25個のアミノ酸である。各ループのアミノ酸の数、すなわち、足場に連鎖している2つのアミノ酸の各組の間に位置するアミノ酸の数は、本発明の単一の化合物内で同じである必要はないことを理解すべきである。すなわち、本発明の化合物中の各ペプチドループ中のアミノ酸の数は、他のペプチドループ中のアミノ酸の数から独立している。したがって、好ましくは、各ペプチドループは、足場に連鎖しているアミノ酸を除いて、独立して少なくとも2つのアミノ酸、好ましくは少なくとも3つのアミノ酸、より好ましくは少な
くとも4つのアミノ酸を含む。更に、本発明の方法で使用されるペプチドは、足場に連鎖している外側のアミノ酸のN末端及び/又はC末端に位置する1つ又は複数のアミノ酸を有してよい。ペプチドループ中のアミノ酸の数及びペプチド全体の長さの上限は、あまり重要ではなく、例えば、ペプチド全体で、アミノ酸数最大200、更にそれ以上であってよく、好ましくはアミノ酸数最大200である。好ましくは、例えばペプチドの製造コストを最小限に抑えるために、ペプチド全体の長さは、例えばアミノ酸数最大70である。したがって、本発明に従って使用されるか、又は本発明による化合物中に存在するペプチドは、好ましくは、アミノ酸数7~200の長さを有し、より好ましくはアミノ酸数10~200、より好ましくは13~200、好ましくは10~70、13~70、16~70、20~70の長さを有する。好ましくは、各ペプチドループは独立して、2~100個のアミノ酸、より好ましくは2~75個のアミノ酸、より好ましくは2~50個のアミノ酸、より好ましくは2~25個のアミノ酸、より好ましくは2~15個のアミノ酸からなる。この文脈で使用する「独立して」とは、本発明の化合物中の各ペプチドループ中のアミノ酸の数が他のペプチドループ中のアミノ酸の数から独立していることを意味する。
好ましい実施形態において、本発明の方法で使用されるペプチドは、足場への付着前に直鎖状ペプチドである。或いは、本発明の方法で使用されるペプチドは、足場に付着する前のペプチド中に1つ又は複数の連鎖を含有する。すなわち、ペプチド骨格の連鎖、例えば、2つのアミノ酸残基(例えば、システイン)間のジスルフィド結合、又はN末端アミノ酸とC末端アミノ酸との間のカップリングに加えて、ペプチドが骨格環化されるようにする。
本発明の方法で使用されるペプチドは、チオラート求核置換反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基と、第2の反応に関与することができる1、2又は3つの反応性基とを、前記反応を行う前に更に含む。好適であり好ましい反応性基について以下で考察する。一実施形態において、ペプチドは、チオラート求核置換反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基と、第2の反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基と、前記反応を行う前に含む。好ましくは、第1及び第2の反応を行う前のそのようなペプチドは、
i)チオラート求核置換反応(第1の反応)に関与することができる2つの反応性基、及び第2の反応、好ましくはオキシム-ライゲーション反応若しくはアルキン-アジド環化付加に関与することができる2つの反応性基、又は
ii)チオラート求核置換反応(第1の反応)に関与することができる3つの反応性基、及び第2の反応、好ましくはオキシム-ライゲーション反応若しくはアルキン-アジド環化付加に関与することができる3つの反応性基
のいずれかを含む。チオラート求核置換反応に関与することができる前記2つ又は3つの反応性基は、好ましくは同じであり、より好ましくは2つ又は3つのチオールである。オキシムライゲーション反応に関与することができる前記2つ又は3つの反応性基は、好ましくは同じケトン、より好ましくは2つ若しくは3つのケトン、2つ若しくは3つのアルデヒド又は2つ若しくは3つのアミノキシ基である。アルキン-アジド付加環化反応に関与することができる前記2つ又は3つの反応性基は、好ましくは同じアジド、より好ましくは2つ若しくは3つのアジド又は2つ若しくは3つのアルキンである。
別の実施形態において、ペプチドは、チオラート求核置換反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基と、第2の反応に関与することができる1つの反応性基とを、前記反応を行う前に含む。チオラート求核置換反応に関与することができる前記2つの反応性基は、好ましくは同じであり、より好ましくは2つ又は3つのチオールである。オキシムライゲーション反応に関与することができる前記反応性基は、好ましくは、ケトン、アルデヒド又はアミノキシである。アルキン-アジド環化付加反応に関与することができる前記反応性基は、好ましくは、アジド又はアルキンである。
分子足場に付着したペプチドを含む化合物を調製するための本発明の方法は、ペプチドを足場にカップリングするための二段階反応を含む。まず、チオラート求核置換反応を行って、ペプチドと足場との間に2つ又は3つのチオエーテル連鎖を形成する。この反応は、本明細書において第1の反応とも呼ばれる。その後、オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド環化付加、チオール-エン反応、ヒドラゾンライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋形成及び閉環メタセシス反応から選択される第2の反応を行って、ペプチドと足場との間に更に1、2又は3つの連鎖を形成し、好ましくはペプチドと足場との間に更に2又は3つの連鎖を形成する。この反応は、本明細書において第2の反応とも呼ばれる。これらの反応は直交ライゲーション反応の例である。得られる連鎖のタイプは、第2の反応として選択される特定の反応に依存する。
したがって、本発明の方法では、ペプチドと足場との間に合計3、4、5又は6つの連鎖が形成される。好ましい一実施形態では、本発明の方法において、ペプチドと足場との間に4、5又は6つの連鎖が形成される。これらの連鎖は、好ましくは、共有結合とも呼ばれる、共有連鎖(covalent linkage)である。用語「共有連鎖」又は「共有結合」は、原子間で電子対を共有することを特徴とする化学結合の形態を指す。本発明の方法は、第1及び第2の反応として2つの異なるタイプの反応を使用する。その結果、ペプチドは、第1の組の2つ又は3つのチオエーテル連鎖、及び第2の組の2つ又は3つの同じタイプの連鎖を介して、足場に付着される。例えば、ペプチドは、2つ又は3つのチオエーテル連鎖によって、及びオキシム-ライゲーション反応から生じる2つ又は3つの連鎖によって、足場に付着する。別の例として、ペプチドは、2つ又は3つのチオエーテル連鎖によって、及びアルキン-アジド環化付加から生じる2つ又は3つの連鎖によって、足場に付着する。
本発明の方法の第1の工程で行われる反応は、チオラート求核置換反応である。この反応により、ペプチドと分子足場との間に2つ又は3つのチオエーテル連鎖が形成される。したがって、本質的に、2つ又は3つの別々のチオラート求核置換反応が各単一ペプチドと足場との間で行われる。求核置換反応は、当該技術分野において一般的に知られており、電子豊富な求核剤が原子又は原子団の陽電荷又は部分的陽電荷と選択的に結合して、脱離基を置き換える反応である。本発明の方法の第1の反応において、強力な求核剤であるチオラートアニオンは、脱離基に結合している求電子性炭素原子と反応する。好ましくは、2つ又は3つのチオラート反応性基がペプチド中に存在し、2つ又は3つの脱離基が分子足場中に存在する。チオラート求核置換反応は、好ましくはSN2型の反応である。SN2型機構では、足場中のカルボカチオンの形成は非常に遅いため効率的に生じず、それによって水との反応による足場の加水分解が回避される。チオラート求核反応は、参照により本明細書に組み込まれる、Timmerman 2005; Timmerman 2009;及びWO2004/077062に詳細に記載されている。
本発明の方法の第2の工程で使用される反応は当該技術分野において周知であり、当業者は、そのような反応を実施するために適切な反応性基を選択することが十分に可能である。それらの反応はしばしば「クリック反応」として集合的に示される。「クリックケミストリー」とは、収率が高く、適用範囲が広く、クロマトグラフィーなしで除去することができる副生成物のみを生成し、立体特異性があり、実施が簡単であり、容易に除去可能又は良性の溶媒中で実施することができる反応を表すために、2001年にK. B. Sharplessによって導入された用語である。図7は、オキシムライゲーション、ヒドラゾンライゲーション、銅触媒化アルキン-アジド環化付加、銅非含有(歪み促進型)アルキン-アジド環化付加及びテトラジンライゲーションの例を概略的に示す。本発明の方法の工程2)における反応は、ペプチドと分子足場との間に2つ又は3つのさらなる連鎖の形成をもたらす。各反応は、ペプチドのアミノ酸残基中の反応性基と足場分子中の反応性基との間で起こる。したがって、本質的に、2つ又は3つの別々の反応が各単一ペプチドと足場の間で行われる。2つ又は3つの別々の反応は、同じであることが好ましく、例えば、2つ若しくは3つの別々のオキシム-ライゲーション反応、又は2つ若しくは3つの別々のアルキン-アジド付加環化であることが好ましい。
オキシム-ライゲーション反応は、置換アミノキシ基(R1-O-NH2)とアルデヒド基[R2-(C=O)H]又はケトン[R2-C(=O)R3]基との間の化学反応であり、オキシムコンジュゲート(R1-O-N=CH-R2又はR1-O-N=C-R2R3)の形成をもたらす。R1及びR2は、典型的に、独立して-(C=O)-アルキル-又は-(C=O)-アリール-(式中、「アルキル」は、任意の直鎖又は分岐状の、例えばC1~4の炭素フラグメントを指し、「アリール」は、任意の、5員又は6員の(置換)(ヘテロ)アリール連鎖単位を指し、R3は、任意の直鎖又は分岐状の、例えばC1~4のアルキル、又は任意の、例えば5員又は6員の(任意に置換される)(ヘテロ)アリール基を指す)である。この反応は、化学選択的であり、完全無保護側鎖を有するペプチドの存在下で行うことができる。この反応は水性条件下で、好ましくは約4~6のわずかに酸性のpHで行うことができるが、反応はわずかに塩基性の条件下でも進行する(Advanced Organic Chemistry, J. March、第4版、906~907頁)。
ヒドラゾン-ライゲーション反応は、置換ヒドラジン(R1-NH-NH2)とアルデヒド基[R2-(C=O)H]又はケトン[R2-C(=O)-R3]基との間の化学反応であり、ヒドラゾンコンジュゲート(R1-NH-N=CH-R2又はR1-NH-N=C(-R2)-R3)(式中、R1及びR2は、典型的に、独立して-(C=O)-アルキル-又は-(C=O)-アリール-であり、式中、「アルキル」は、任意の直鎖又は分岐状の、例えばC1~4の炭素フラグメントを指し、「アリール」は、任意の、例えば5員又は6員の(置換)(ヘテロ)アリール連鎖単位を指し、R3は、任意の直鎖又は分岐状の、例えばC1~4のアルキル、又は任意の、例えば5員又は6員の(任意に置換されている)(ヘテロ)アリール基を指す)の形成をもたらす。この反応は、化学選択的であり、完全無保護側鎖を有するペプチドの存在下で行うことができる。この反応は水性条件下で、好ましくは約4~6のpHで行うことができる(Advanced Organic Chemistry, J. March、第4版、904~905頁)。
アルキン-アジド環化付加(「CLICK」反応とも呼ばれる)は、置換アルキン(R1-C≡CH)とアジド(R2-N=N+=N-、又は単純にR2-N3)との間の化学反応であり、1,2,3-トリアゾールの形成をもたらす(式中、R1及びR2は、典型的に、独立して(C=O)アルキル-又は-(C=O)-アリール-であり、式中、「アルキル」は、任意の直鎖又は分岐状の、例えばC1~4の炭素フラグメントを指し、「アリール」は、任意の、例えば5員又は6員の(任意に置換される)(ヘテロ)アリール基を指す)。この反応は完全に化学選択的であり、通常、Cu(I)によって触媒される。(例えば)歪んだ(ヘテロ)環の一部であり、したがってアジドと自発的に反応する、いくつかのアルキンについては、Cu(I)の非存在下で、反応を行うことができる。Cu(I)触媒化反応は排他的に1,4-異性体を形成する一方で、1,4-異性体及び1,5-異性体の混合物は熱反応において形成される。
Figure 0007100034000001
反応は、完全無保護側鎖を有するペプチドの存在下で、水性条件下で行うことができる(Bockら、2006)。
チオール-エン反応は、不飽和又は二重結合(R10CH=CHR7)へのチオール(R3SH)の(ラジカル)付加を含む反応であり、チオエーテルの形成をもたらす。
Figure 0007100034000002
(式中、R3は、-(C=O)-アルキル-又は-(C=O)-アリール-であり、R10は、C(=O)-アルキル-O-、C(=O)-アルキル-NH-、C(=O)-アルキル-O-C(=O)-、C(=O)-アルキル-NH-C(=O)-、C(=O)-アリール-O-、C(=O)-アリール-NH-、 C(=O)-アリール-O-C(=O)-、C(=O)-アリール-NH-C(=O)-であり、式中、「アルキル」は、任意の直鎖又は分岐状の、例えばC1~4の炭素フラグメントを指し、「アリール」は、任意の、例えば5員又は6員の(任意に置換される)(ヘテロ)アリール基を指し、R7は、任意の直鎖又は分岐状の、例えばC1~4のアルキル、又は任意の、例えば5員又は6員の(任意に置換される)(ヘテロ)アリール基又は水素を指す)
この反応は金属触媒に依存せず、O2及び水と適合する(Advanced Organic Chemistry, J. March、第4版、766~767頁; Dondoniら、2009)。
ディールスアルダー型反応としては、ディールスアルダー反応とテトラジンライゲーション反応の両方が挙げられる。
ディールスアルダー反応とは、ジエノフィル(二重結合を含む任意の化合物)と共役ジエンとの間の[4+2]環化付加反応を意味し、6員環(典型的にはシクロヘキセン環)の形成をもたらす。
Figure 0007100034000003
(式中、R3は、-(C=O)-アルキル-又は-(C=O)-アリール-であり、R9は、-(C=O)-アルキル-C(=O)-、-C(=O)-アルキル-O-C(=O)-、-C(=O)-アルキル-NH-C(=O)-、-C(=O)-アルキル-S(=O)-、-C(=O)-アルキル-O-S(=O)-、-(C=O)-アリール-C(=O)-、-C(= O)-アリール-O-C(=O)-、-C(=O)-アリール-NH-C(=O)-、-C(=O)-アリール-S(=O)-、又は-C(=O)-アリール-O-S(=O)-であり、式中、「アルキル」は、任意の直鎖又は分岐状の、例えばC1~4の炭素フラグメントを指し、「アリール」は、任意の、例えば5員又は6員の(任意に置換される)(ヘテロ)アリール連鎖単位を指す)
通常のアルケンはゆっくりと反応するが、電子求引性基で置換されたアルケンはディールス-アルダー反応において急速にジエンと反応する。反応は完全に化学選択的であり、完全無保護側鎖を有するペプチドの存在下で水性条件下で行うことができる(Advanced Organic Chemistry、J. March、第4版、839~852頁)。
テトラジンライゲーション反応は、テトラジンとノルボルネン等の歪みアルケン(strained alkene)との間の逆電子要請型ディールス-アルダー反応であり、ジヒドロピラジン生成物を形成する。歪みアルキンも使用することができ、ピラジン生成物が得られる。これらの反応は一般に、触媒、添加剤、又は外部刺激を用いずに、周囲条件下で、マイクロモル希釈下の水性媒体中で生じる。反応は非常に速く選択的であり、等モルであり、副生成物を形成しない。反応は完全無保護ペプチドを用いて行うことができ、細胞可溶化物及び生細胞の存在下で行うことができる(Devaraj NKら、2008)。
閉環メタセシス反応は、2つのアルケン間のルテニウム触媒化反応である。閉環メタセシスでは、2つの末端アルケンが環式生成物を形成するのに必要とされる。環式生成物の形成は、エチレンの放出によってエントロピー的に有利になる。官能基耐性が高いルテニウム触媒の開発は、ペプチド及び他の生物系の分野における閉環メタセシスの導入を大幅に促進した(White CJ、Yudin、A.K. 2011)。
ジスルフィド架橋形成は、2つのチオール間の反応であり、一般構造R-S-S-R'の連鎖をもたらし、ジスルフィド結合とも呼ばれる。反応は完全に化学選択的であり、ジスルフィド架橋形成に関与することが意図されていないチオール含有残基を除く、完全無保護側鎖を有するペプチドの存在下で、水性条件下で行うことができる。
2つ又は3つの連鎖がペプチドと分子足場との間に形成される第1の反応は、チオラート求核置換反応である。さらなる1つ、2つ又は3つの連鎖、好ましくは2つ又は3つの連鎖がペプチドと分子足場との間に形成される第2の反応は、オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド環化付加、チオール-エン反応、ヒドラゾン-ライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋形成及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される。より好ましくは、第2の反応は、オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド環化付加及びチオール-エン反応からなる群から選択され、更により好ましくはオキシム-ライゲーション反応又はアルキン-アジド環化付加から選択される。チオラート求核置換反応は第1の反応として行われ、すなわち、ペプチドと足場との間の最初の2つ又は3つのチオエーテル連鎖の形成のために行われる。なぜなら、この反応は、特に水性環境において、極めて選択的で迅速であるためである。2つ又は3つのチオエーテル連鎖は、単一の足場への2つのペプチドの付着から生じる化合物等の副生物を基本的に伴わずに、単一のペプチドと適切な反応性基を含む足場との間に形成される。これは、第1のチオエーテル連鎖の形成に続いてペプチドと足場との間に形成される、第2及び任意に第3のチオエーテル連鎖の非常に速い速度の結果である。本発明の方法の第2の工程で行われる直交ライゲーション反応は、典型的に、チオラート求核置換反応よりも遅い。しかしながら、第2のカップリング反応(例えばオキシムライゲーション又はアルキン-アジド環化付加)も迅速に進行し、副生成物の顕著な形成は生じない。これは、分子内連鎖(すなわち、2つ又は3つのチオエーテル連鎖が形成された後の、同じ化合物内のペプチドと足場との間の連鎖)が、分子間連鎖(すなわち、まだカップリングされていないペプチドと足場との間の連鎖)よりも速く促進されるためである。チオエーテル連鎖が存在しないと、直交ライゲーション反応を行うために、比較的高濃度のペプチド及び足場が必要となるであろう。チオエーテル連鎖が存在するため、本発明による化合物を調製するうえで、低濃度のペプチド及び足場で十分である。第1の反応がチオラート求核置換反応である場合、第2の反応、例えばオキシム-ライゲーション又はアルキン-アジド環化付加は、濃度に依存しない。チオラート求核置換反応と、第2の反応として本明細書で定義した直交反応との組合せのさらなる利点は、第1反応と第2反応との間に精製工程を必要とせずに両方の反応を続けて行うことができることである。
ペプチド及び分子足場は、第1のカップリング反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基と、前記第2のカップリング反応に関与することができる1つ、2つ又は3つの反応性基とを、前記反応を行う前に含む。ペプチド及び分子足場は、好ましくは、第1のカップリング反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基と、前記第2のカップリング反応に関与することができる1つ、2つ又は3つの反応性基とを、前記反応を行う前に含有する。更に好ましくは、
- ペプチドが4つの連鎖によって足場に付着し、これらの連鎖の結果として、3つのペプチドループが形成される場合、ペプチドと足場はそれぞれ、第1の反応に関与することができる2つの反応性基と第2の反応に関与することができる2つの反応性基とを含み、
- ペプチドと足場はそれぞれ、第1の反応に関与することができる3つの反応性基を含有し、ペプチドは、第2の反応に関与することができる2つの反応性基を含有し、ペプチドが5つの連鎖によって足場に付着し、これらの連鎖の結果として4つのペプチドループが形成される場合に、足場は、第2の反応に関与することができる3つの反応性基を含有し、
- ペプチドが6つの連鎖によって足場に付着し、これらの連鎖の結果として5つのペプチドループが形成される場合に、ペプチド及び足場はそれぞれ、第1の反応に関与することができる3つの反応性基を含み、又は
- ペプチドが3つの連鎖によって足場に付着し、これらの連鎖の結果として、2つのペプチドループが形成される場合、ペプチドと足場はそれぞれ、第1の反応に関与することができる2つの反応性基と第2の反応に関与することができる1つの反応性基とを含む。
好ましくは、ペプチド中に存在する第1のカップリング反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基は同一であり、足場中に存在する第1のカップリング反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基もまた同一である。同様に、ペプチド中に存在する第2のカップリング反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基は同一であり、足場中に存在する第2のカップリング反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基もまた同一である。このように、より直接的に、分子足場において必要な対称性が得られる。第1及び第2の反応それ自体は、ペプチド化学の分野で一般的に使用されており、当業者は、ペプチド及び分子足場中の適切な反応性基、並びに第1及び第2の反応を行うための反応条件を選択することが十分に可能である。好ましい反応性基については以下で検討するが、当業者は適切な代替物を選択することができるだろう。
好ましくは、ペプチドは、第1の反応を行うための2つ又は3つのチオール基を含む。これらのチオール基は、好ましくは、それぞれペプチドのアミノ酸残基中に存在する。このアミノ酸残基は、天然及び非天然アミノ酸を含む、チオールを含む任意の残基であり得る。適切なアミノ酸残基の非限定的な例は、システイン(Cys)、ホモシステイン、ペニシラミン、Phe(SH)又は(β-メルカプト)フェニルアラニン、Lys(Y-SH)又は(γ-メルカプト)リジン、Leu(B-SH)又は(β-メルカプト)ロイシン、Pro(3-SH)及びPro(4-SH)、並びにThr(γ-SH)又は(γ-メルカプト)トレオニンである。好ましくは、チオールを含むアミノ酸残基は、システイン(Cys)、ホモシステイン及びペニシラミンから選択される。特に好ましい実施形態において、このアミノ酸残基はシステインである。ペプチド中の第1の反応に関与することができるチオール基は同じであること、すなわち、同じアミノ酸残基中に存在することが更に好ましい。このことは、本発明による化合物の望ましくない位置異性体の形成を回避又は制限することに役立つ。ペプチドは、第1の反応を妨害する可能性がある、さらなるチオール基を含有しないことが更に好ましい。このことは、第1の反応に関与するチオールのみを含有するペプチドを使用することによって、又はより多くのチオールを含有するペプチドが使用される場合、第1の反応に関与することが意図されないチオール基を保護することによって、達成され得る。例えばシステイン残基中に存在するチオールのための好適な保護基は当該技術分野で周知であり、Acm(S-アセトアミドメチル)、9-フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、SStBu(tert-ブチルチオ)、StBu(tert-ブチル)、STrt(トリチル)、S-Mbsh(S-4,4-ジメチルスルフィニルベンズヒドリル)、SBz(ベンジル)、STNP(S-チオ(3-ニトロピリジン))、SMob(メトキシベンジル)、SDpm(ジフェニルメチル)及びS-Tmp(S-トリメトキシフェニルチオ)を含む。したがって、ペプチドが4つの連鎖(第1の反応で形成された2つの連鎖及び第2の反応で形成された2つの連鎖)を介して足場にカップリングされている場合、ペプチドは、好ましくは2つの非保護チオール基を含有する。ペプチドが5つ又は6つの連鎖(第1の反応で形成された3つの連鎖及び第2の反応で形成された2つ又は3つの連鎖)を介して足場にカップリングされる場合、ペプチドは、好ましくは3つの非保護チオール基を含有する。
分子足場は、好ましくは、第1の反応を行うための2つ又は3つの脱離基を含む。これらの脱離基は、求核置換反応に関与するのに適した任意の良好な脱離基であり得る。好ましくは、第1の反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基は、ハロゲン化物、特に塩化物、臭化物又はヨウ化物であり、好ましくは臭化物又は塩化物、より好ましくは臭化物である。ハロゲン化物は、好ましくは、それぞれ活性化メチレン基に結合している。本明細書中で使用する場合、「活性化」とは、メチレン基が陽性の極性(electropositive polarity)を有することを意味する。そのような活性化は、メチレン基に隣接する求電子性基の存在によって引き起こされる。そのような求電子性基の例は、ニトロ、シアノ、アザ、カルボニル、カルバミド、カルボアルコキシ、アリール及びカルボキシ基である。特に好ましい脱離基は、メチレンに結合しており、更にそのメチレンがアリールに結合している、ハロゲン化物、例えば、芳香族部分のベンジル位にあるハロゲン化物、又はメチレンに結合しており、更にそのメチレンがカルボニルに結合している、ハロゲン化物である。ペプチドに関しては、分子足場中で第1の反応に関与することができる反応性基、すなわち脱離基及び活性化メチレンは、同じであることが更に好ましい。これは、本発明による化合物の望ましくない位置異性体の形成を回避又は制限することに役立つためである。
本発明の方法における第2の反応として可能な直交反応は、当該技術分野において周知である。第2の反応に関与することができる反応性基を含む任意のアミノ酸残基を使用することができ、加えて、そのような反応性基を含むように側鎖が改変されている任意のアミノ酸残基を使用することができる。
例えば、好ましい例において、第2の反応がオキシムライゲーション反応である場合、ペプチド及び分子足場の両方は、反応に関与することができる1つ、2つ又は3つの反応性基、好ましくは2つ又は3つのそのような反応性基を含む。一方のケトン/アルデヒド反応性基、及び他方のアミノキシ基は両方とも、ペプチド中又は足場中に存在することができる。ペプチドは、好ましくは2つ又は3つのケトン基又はアミノキシ基を含む。オキシム-ライゲーション反応に関与することができる反応性基を含む好適なアミノ酸誘導体の例を図9に示す。ケトンを含む好適なアミノ酸誘導体の例としては、パラ-アセチルフェニルアラニン、メタ-アセチルフェニルアラニン、p-ベンゾイルフェニルアラニン、4-アセトアセチル-L-フェニルアラニン、3-[(6-アセチル-2-ナフタレニル)-アミノ] -L-アラニン、リジンN-置換誘導体、並びに(S)-2-アミノ-5-オキソヘキサン酸及びそれらの誘導体が挙げられる。特に好ましいケトン含有アミノ酸残基は、パラ-アセチルフェニルアラニンである。アミノキシを含む好適なアミノ酸誘導体の例としては、図9Bに示されるものが挙げられる。リジン及びアスパラギン酸/グルタミン酸等の、側鎖官能化アミノ酸を使用することが更に可能であり、側鎖はケトン又はアミノキシを含有する(図9C参照)。オキシム-ライゲーション反応から生じる本発明の化合物中に存在する連鎖は、オキシム結合と呼ばれる。
別の好ましい例として、第2の反応がアルキン-アジド付加環化である場合、ペプチドと分子足場の両方が、反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基を含む。反応前に、2つ又は3つのアルキンがペプチド中に存在し、2つ又は3つのアジドが足場中に存在するか、若しくは2つ又は3つのアジドがペプチド中に存在し、2つ又は3つのアルキンが足場中に存在する。特に好ましい実施形態において、前記アルキン-アジド付加環化を行う前に、ペプチドは2つ又は3つのアジドを含有し、足場は2つ又は3つのアルキンを含有している。アルキン又はアジドを含む好適なアミノ酸誘導体の例は図8に示されている。2つ又は3つのアルキンを含む分子足場の好適な例は図5及び図6に示されている。アルキン-アジド反応の場合、足場中の反応性基は、好ましくは、R3C≡CH、R3N3及び官能化シクロオクチン、例えば、
Figure 0007100034000004
(式中、R3は-(C=O)-アルキル-又は-(C=O)-アリール-であり、R8は-C=Oであり、式中、「アルキル」は、任意の直鎖又は分岐状の、例えばC1~4の炭素フラグメントを指し、「アリール」は、任意の、例えば5員又は6員の(任意に置換される)(ヘテロ)アリール連鎖単位を指す)
からなる群から選択される。より好ましい実施形態において、足場中に存在する反応性基は、C(=O)-CH2-N3又は
Figure 0007100034000005
のいずれかである。アルキン-アジド付加環化から生じる本発明の化合物中に存在する連鎖は、1,2,3-トリアゾールと呼ばれる。
好ましい実施形態において、本発明の方法において使用されるペプチドは、図8及び図9に示されたものから選択されるアミノ酸残基を1つ、2つ又は3つ、好ましくは2つ又は3つ含む。好ましくは、図8及び図9から選択される前記2つ又は3つのアミノ酸残基は同一のものである。
好ましい実施形態において、本発明の方法は、分子足場に付着したペプチドを含む化合物を調製するためのものであり、方法は、
1)ペプチドと分子足場との間でチオラート求核置換反応を行って、前記ペプチドと前記分子足場との間に2つのチオエーテル連鎖を形成する工程と、
2)オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド付加環化、チオール-エン反応、ヒドラゾン-ライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋形成、及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される、前記ペプチドと前記分子足場との間での反応を行い、前記ペプチドと前記分子足場との間に2つのさらなる連鎖を形成し、
それによって、3つ又は4つ、好ましくは3つのペプチドループを形成する工程と
を含み、
- 前記ペプチド及び前記分子足場はそれぞれ、前記チオラート求核置換反応に関与することができる2つの反応性基と、前記反応を行う前に工程2)の前記反応に関与することができる2つの反応性基とを含み、
- 前記分子足場は、芳香族若しくはヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又は6員シクロアルキレンを含み、2回対称性を有する。本明細書の他の箇所に記載されているように、第1及び第2の反応に続いてペプチドに連鎖を導入することによって、さらなるループを化合物に導入してもよい。
別の好ましい実施形態において、本発明の方法は、分子足場に付着したペプチドを含む化合物を調製するためのものであり、方法は、
1)ペプチドと分子足場との間でチオラート求核置換反応を行って、前記ペプチドと前記分子足場との間に3つのチオエーテル連鎖を形成する工程と、
2)オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド付加環化、チオール-エン反応、ヒドラゾン-ライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋形成、及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される、前記ペプチドと前記分子足場との間での反応を行い、前記ペプチドと前記分子足場との間に2つのさらなる連鎖を形成し、
それによって、4つ又は5つ、好ましくは4つのペプチドループを形成する工程と
を含み、
- 前記ペプチド及び前記分子足場はそれぞれ、前記反応を行う前に、前記チオラート求核置換反応に関与することができる3つの反応性基を含み;
- 前記ペプチドは、前記反応を行う前に、工程2)の前記反応に関与することができる2つの反応性基を含み;
- 前記分子足場は、前記反応を行う前に、工程2)の前記反応に関与することができる3つの反応性基を含み;
- 前記分子足場は、芳香族若しくはヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又は6員シクロアルキレンを含み、3回対称性を有する。本明細書の他の箇所に記載されているように、第1及び第2の反応に続いてペプチドに連鎖を導入することによって、さらなるループを化合物に導入してもよい。
更に別の好ましい実施形態において、本発明の方法は、分子足場に付着したペプチドを含む化合物を調製するためのものであり、方法は、
1)ペプチドと分子足場との間でチオラート求核置換反応を行って、前記ペプチドと前記分子足場との間に3つのチオエーテル連鎖を形成する工程と、
2)オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド付加環化、チオール-エン反応、ヒドラゾン-ライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋形成、及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される、前記ペプチドと前記分子足場との間での反応を行い、前記ペプチドと前記分子足場との間に3つのさらなる連鎖を形成し、
それによって、5つ又は6つ、好ましくは5つのペプチドループを形成する工程と
を含み、
- 前記ペプチド及び前記分子足場はそれぞれ、前記チオラート求核置換反応に関与することができる3つの反応性基と、工程2)の前記反応に関与することができる3つの反応性基とを、前記反応を行う前に含み、
- 前記分子足場は、芳香族若しくはヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又は6員シクロアルキレンを含み、3回対称性を有する。
更に別の好ましい実施形態において、本発明の方法は、分子足場に付着したペプチドを含む化合物を調製するためのものであり、方法は、
1)ペプチドと分子足場との間でチオラート求核置換反応を行って、前記ペプチドと前記分子足場との間に2つのチオエーテル連鎖を形成する工程と、
2)オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド付加環化、チオール-エン反応、ヒドラゾン-ライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋形成、及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される、前記ペプチドと前記分子足場との間での反応を行い、前記ペプチドと前記分子足場との間に1つのさらなる連鎖を形成し、
それによって、2つ又は3つ、好ましくは2つのペプチドループを形成する工程と
を含み、
- 前記ペプチド及び前記分子足場はそれぞれ、前記チオラート求核置換反応に関与することができる2つの反応性基と、工程2)の前記反応に関与することができる1つの反応性基とを、前記反応を行う前に含み、
- 前記分子足場は、芳香族若しくはヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又は6員シクロアルキレンを含み、3回対称性を有する。
本発明はまた、本発明による方法によって得られる化合物をも提供する。
ペプチド及び分子足場を含む化合物であって、
i.前記ペプチドは、4つ~6つの連鎖によって前記分子足場に付着しており;
ii.前記分子足場は、芳香族若しくはヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又はシクロアルキレンを含み、2回又は3回対称性を有し;
iii.前記化合物は、前記ペプチドの前記分子足場への付着の結果として形成された3つ~6つのペプチドループを含み;
iv.前記連鎖のうちの2つ又は3つはチオエーテル連鎖であり;
v.前記連鎖のうちの2つ又は3つは、オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド付加環化、チオール-エン反応、ヒドラゾンライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋形成、及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される反応から得られる、
化合物もまた提供される。
ペプチド及び分子足場を含む化合物であって、
i.前記ペプチドは、3つの連鎖によって前記分子足場に付着しており;
ii.前記分子足場は、芳香族若しくはヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又はシクロアルキレンを含み、2回又は3回対称性を有し;
iii.前記化合物は、前記ペプチドの前記分子足場への付着の結果として形成された2つのペプチドループを含み;
iv.前記連鎖のうちの2つはチオエーテル連鎖であり;
v.前記連鎖のうちの1つは、オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド付加環化、チオール-エン反応、ヒドラゾンライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋形成、及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される反応から得られる、
化合物もまた提供される。
本発明の方法は、選択される足場に応じて、本質的に単一の位置異性体形態又は本質的に2つの位置異性体形態で足場に付着したペプチドを含む化合物の調製をもたらす。本明細書で使用する場合、用語「位置異性体」又は「位置異性体形態」は、ペプチド中の反応性基を足場上の異なる反応性基にカップリングすることによって得られる異性体を指す。2つの後続の方法工程並びにペプチド及び足場の構造に起因して、化合物は、単一の位置異性体、又は第1及び第2の反応の両方において2つの反応性基を含む足場中の1つ若しくは2つの位置異性体でのみ形成され得る。或いは、ペプチド及び足場中の反応性基の近接性は、第1の反応において第1のチオエーテル連鎖が生じた後に、第2及び任意に第3のチオエーテル連鎖の位置、並びに第2の反応で形成される2つ又は3つの連鎖の位置が、実際上、実質的に固定されるように、選択される。したがって、好ましい実施形態において、本発明による化合物は、本質的に1つ又は2つの位置異性体の形態、好ましくは本質的に単一の異性体の形態である。本明細書中で使用する場合、用語「本質的に1つ又は2つの位置異性体の形態である」とは、本発明の化合物の個々の分子の少なくとも90%が1つ又は2つの位置異性体の形態であることを意味する。好ましくは、化合物の個々の分子の少なくとも95%が1つ又は2つの位置異性体の形態であり、より好ましくは少なくとも97%、更に好ましくは少なくとも98%、更に好ましくは少なくとも99%が1つ又は2つの位置異性体の形態である。特に好ましい実施形態において、本発明の化合物は1つ又は2つの位置異性体形態で存在する。本明細書中で使用する場合、用語「本質的に単一の位置異性体の形態である」とは、本発明の化合物の個々の分子の少なくとも90%が同じ位置異性体の形態であることを意味する。好ましくは、化合物の個々の分子の少なくとも95%が同じ位置異性体の形態であり、より好ましくは少なくとも97%、更に好ましくは少なくとも98%、更に好ましくは少なくとも99%が同じ位置異性体の形態である。特に好ましい実施形態において、本発明の化合物は単一の位置異性体の形態で存在する。
同じタイプの反応性基の2つ又は3つが環状部分に対して回転可能な位置にある4つ又は6つの反応性基を含む足場を選択すると、化合物は、単一の位置異性体の形態で得ることができる。同じタイプの他の2つ又は3つの反応性基は、環状部分に直接又は間接的に結合している。したがって、これらの足場は、チオラート求核置換反応に関与することができる上記2つ又は3つの反応性基を含有する足場の一部と、工程2)の反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基を含有する足場の一部との間に位置する、自由回転結合を含む。したがって、そのような足場は、本発明の方法を行う場合及び本発明による化合物中にある場合に、特に好ましい。したがって、好ましい実施形態において、工程1)及び2)の前記反応を行う前の、本発明による又は本発明に従って使用される足場は、チオラート求核置換反応に関与することができる前記2つ又は3つの反応性基を含有する足場の一部と、工程2)の反応に関与することができる前記2つ又は3つの反応性基を含有する足場の一部との間に位置する、自由回転結合を含む。
さらなる好ましい実施形態において、足場は、チオラート求核置換反応に関与することができる2つの反応性基を含有する足場の一部と、工程2)の反応に関与することができる2つの反応性基を含有する足場の一部との間に位置する、自由回転結合を含む。そのような足場は、4つの連鎖、2つのチオエーテル連鎖、及び工程2)の反応から生じる2つの連鎖を介して足場に付着しているペプチドを含む化合物を得るための、本発明の方法での使用に好ましい。なぜなら、得られる化合物は、純粋な形態、すなわち単一の位置異性体形態で存在するためである。図5は、そのような足場のいくつかの例である、CLIPS/CLICK反応のための足場T4(-≡)2-3及びT4(-≡)2-4、並びにCLIPS/OXIME反応のための足場T4N-2、T4N-3、T4C-1及びT4C-3を示す。一例として、足場T4(-≡)2-4において、自由回転結合は、2つの環状部分の間に位置する。したがって、さらなる好ましい実施形態において、工程1)及び2)の前記反応を行う前の、本発明による又は本発明に従って使用される足場は、4つの反応性基、すなわちチオラート求核置換反応に関与することができる2つの反応性基と、工程2)の反応に関与することができる2つの反応性基とを含み、チオラート求核置換反応に関与することができる2つの反応性基を含有する足場の一部と、工程2)の反応に関与することができる2つの反応性基を含有する足場の一部との間に位置する、自由回転結合を含む。前記足場は、好ましくは、C2v対称性を有する。
本明細書中で使用する場合、用語「自由回転結合」とは、水素原子以外の単結合した原子対、好ましくは2個の炭素原子、又は1個の炭素原子及び1個の窒素原子を指す。自由回転結合を含むそのような足場の好ましい例は、図5に示した足場、すなわちT4(-≡)2-3、T4(-≡)2-4、T4N-2、T4N-3、T4C-1及びT4C-3として示される足場である。ただし、図5に示したこれらの例及び本明細書で以下に記載するそれらの調製に関する実験の詳細に基づいて、当業者はそのような自由回転結合を含む他の足場を開発及び合成することができる。工程2)における反応がアルキン-アジド付加環化である場合に本発明に従って使用される特に好ましい足場は、図5に示した足場T4(-≡)2-4である。
特に好ましい実施形態において、本発明の方法は、4つの結合を介して分子足場に付着したペプチドを含む化合物を調製するためのものであり、方法は、
1)ペプチドと分子足場との間でチオラート求核置換反応を行って、前記ペプチドと前記分子足場との間に2つのチオエーテル連鎖を形成する工程と、
2)オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド付加環化、チオール-エン反応、ヒドラゾン-ライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋形成、及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される、前記ペプチドと前記分子足場との間での反応を行い、前記ペプチドと前記分子足場との間に2つのさらなる連鎖を形成し、
それによって、3つ又は4つ、好ましくは3つのペプチドループを形成する工程と
を含み、
- 前記ペプチド及び前記分子足場はそれぞれ、前記チオラート求核置換反応に関与することができる2つの反応性基と、工程2)の前記反応に関与することができる2つの反応性基とを、前記反応を行う前に含み、
- 前記分子足場は、芳香族若しくはヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又は6員シクロアルキレンを含み、2回対称性、好ましくはC2v対称性を有し、チオラート求核置換反応に関与することができる2つの反応性基を含有する足場の一部と、工程2)の反応に関与することができる2つの反応性基を含有する足場の一部との間に位置する、自由回転結合を含む。
本明細書の他の箇所に記載されているように、第1及び第2の反応に続いてペプチドに連鎖を導入することによって、例えば、ペプチドのN末端とC末端のカップリング、又はペプチド中の2つのアミノ酸残基間におけるジスルフィド架橋の形成によって、さらなるループを化合物に導入してもよい。工程2)における前記反応は、好ましくは、オキシム-ライゲーション反応又はアルキン-アジド付加環化である。本発明による化合物において、そのような自由回転結合は、ペプチドと足場との間の連鎖の形成による構造の固定の結果として、もはや存在しない。ただし、本発明による好ましい化合物は、チオラート求核置換反応に関与することができる、2つ又は3つ、好ましくは2つの反応性基を含有する足場の一部と、ペプチドに付着する前に自由回転結合であった、工程2)の反応に関与することができる、2つ又は3つ、好ましくは2つの反応性基を含有する足場の一部との間に位置する結合を含む足場を含む。したがって、そのような化合物では、オキシム化反応からなる群から選択される反応から生じる、2つ又は3つのチオエーテル連鎖を含む分子足場の一部、及びオキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド付加環化、チオール-エン反応、ヒドラゾンライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋形成、及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される反応から生じる2つ又は3つの連鎖を含む分子足場の一部は、水素原子以外の単結合した原子対、好ましくは2個の炭素原子、又は1個の炭素原子及び1個の窒素原子によって分離されている。
3~6つの連鎖は、好ましくは共有連鎖である。v.における1つ、2つ又は3つの連鎖は、オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド付加環化及びチオール-エン反応、好ましくはオキシム-ライゲーション反応又はアルキン-アジド付加環化からなる群から選択される反応から生じることが更に好ましい。
好ましい実施形態において、化合物は、
- オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド付加環化、チオール-エン反応、ヒドラゾン-ライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋形成、及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される反応から生じる2つのチオエーテル連鎖及び2つの共有連鎖、好ましくはオキシム結合又は1,2,3-トリアゾール結合によって足場に付着しているペプチドを含み、
- 足場は、2回対称性、好ましくはC2v対称性を含み、
- 化合物は、ペプチドの足場への付着の結果として形成された、3つ~4つ、好ましくは3つのペプチドループを含む。
別の好ましい実施形態において、化合物は、
- オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド付加環化、チオール-エン反応、ヒドラゾン-ライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋反応、及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される反応から生じる3つのチオエーテル連鎖及び2つの共有連鎖、好ましくはオキシム結合又は1,2,3-トリアゾール結合によって足場に付着しているペプチドを含み、
- 足場は、3回対称性、好ましくはD3h対称性を含み、
- 化合物は、ペプチドの足場への付着の結果として形成された、4つ又は5つ、好ましくは4つのペプチドループを含む。
別の好ましい実施形態において、化合物は、
- オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド付加環化、チオール-エン反応、ヒドラゾン-ライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋形成、及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される反応から生じる3つのチオエーテル連鎖及び3つの共有連鎖、好ましくはオキシム結合又は1,2,3-トリアゾール結合によって足場に付着しているペプチドを含み、
- 足場は、3回対称性、好ましくはD3h対称性を含み、
- 化合物は、ペプチドの足場への付着の結果として形成された、5つ又は6つ、好ましくは5つのペプチドループを含む。
これらの化合物のそれぞれは、ペプチド中の1つ又は複数の連鎖、すなわち2つのアミノ酸残基間の連鎖の結果として形成された、1つ又は複数のさらなるループを含んでよい。そのような連鎖の好ましい例は、本明細書の他の箇所に記載されている。
本発明による複数の化合物を含むライブラリも提供される。本明細書で使用する場合用語「複数」は、2つ又は3つ以上として定義される。ただし、ライブラリは好ましくは多数の化合物を含む。したがって、複数は、好ましくは、少なくとも2、3、4、5、10、100、1000、又はそれ以上、例えば、最大108個の化合物を指す。
本明細書に記載の分子足場の2回又は3回対称性により、足場の反応性基は、芳香族又はヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又は6員シクロアルキレンに対して特定の位置を有する。
1つの好ましい実施形態において、足場は、4つの連鎖を介してペプチドを足場に付着させるための、第1の反応のための2つの反応性基と第2の反応のための2つの反応性基とを含んでいるか、又は足場は4つの連鎖を介してペプチドを足場に付着しており、足場は本明細書で定義される2回対称性、好ましくはC2v対称性を有する。反応性基又はペプチドへの連鎖は、対称性要件が満たされる限り、任意の方法で足場中に配置されてよい。或いは別の言い方をすれば、C2v対称性の要件が満たされる限り、反応性基又は連鎖の任意の配置が許容される。当業者は反応性基又は連鎖に好適な位置を選択することができる。例えば、足場は、1,3,5-置換(ヘテロ)芳香族、シクロアルキル又はシクロアルキレン環であり、それによって、第2の反応に関与することができる2つの反応性基が1位にあり、第1のチオラート求核置換反応に関与することができる2つの反応性基は3位と5位のいずれかにある。芳香族又はヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又は6員シクロアルキレンに対する2組の2つの反応性基についての好適で好ましい位置は、図5に示されている。
ペプチドが4つの連鎖によって足場に付着している化合物において、ペプチドはまた、第1の反応に関与することができる2つの反応性基及び第2の反応に関与することができる2つの反応性基、又は足場への付着後の対応する連鎖をも含む。好ましくは、反応性基又は連鎖は、第2の反応の2つの反応性基又は連鎖、好ましくはオキシム-ライゲーション又はアルキン-アジド付加環化に、第1の反応の2つの反応性基又は連鎖、好ましくはチオールが隣接するか、又はその逆であるように、ペプチド中に位置している。したがって、ペプチドは、好ましくは、配列A-X-B-X-B-X-A又はB-X-A-X-A-B(式中、Aは、第1の反応に関与することができる反応性基を含むアミノ酸残基又は足場へのチオエーテル連鎖であり、Bは、第2の反応に関与することができる反応性基を含むアミノ酸残基又は足場への連鎖であり、Xは、任意の数のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも2つのアミノ酸残基である)を含む。好ましくは、ペプチドは、配列A-X-B-X-B-X-Aを有する。ペプチドは、足場への反応性基又は連鎖を含む隣接アミノ酸残基の一方又は両方に結合した、1つ又は複数のアミノ酸残基のストレッチを更に含んでよい。
別の好ましい実施形態において、足場は、5つ又は6つの連鎖を介してペプチドを足場に付着させるための、第1の反応のための3つの反応性基と第2の反応のための3つの反応性基とを含んでいるか、又は足場は5つ又は6つの連鎖を介してペプチドを足場に付着しており、足場は本明細書で定義される3回対称性、好ましくはD3h対称性を有する。反応性基又は連鎖は、対称性要件が満たされる限り、任意の方法で足場中に配置されてよい。或いは別の言い方をすれば、D3h対称性の要件が満たされる限り、反応性基の任意の配置が許容される。当業者は反応性基又は連鎖に好適な位置を選択することができる。一実施形態において、第1及び第2の反応のための反応性基又は連鎖は、代替的に、6員芳香族、シクロアルキル又はシクロアルキレン環の6つの位置に交互に結合している。別の実施形態において、第1の反応のための1つの反応性基及び第2の反応のための1つの反応性基は、6員芳香環、シクロアルキルシクロアルキレンの1位、3位及び5位のそれぞれの、自由に回転可能な置換基に結合している。芳香族又はヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又は6員シクロアルキレンに対する2組の反応性基についての好適で好ましい位置は、図5に示されている。
ペプチドが5つの連鎖によって足場に付着している化合物において、付着前のペプチドは、第1の反応に関与することができる3つの反応性基と第2の反応に関与することができる2つの反応性基、又は第1の反応に関与することができる2つの反応性基と第2の反応に関与することができる3つの反応性基を含む。或いは、付着後に、ペプチドは、対応する連鎖を含む。これらの反応性基又は連鎖は、好ましくは、ペプチド中で交互に存在する。すなわち、ペプチドは、好ましくは、配列A-X-B-X-A-X-B-X-A又はB-X-A-X-B-X-A-B(式中、Aは、第1の反応に関与することができる反応性基を含むアミノ酸残基であり、Bは、第2の反応に関与することができる反応性基を含むアミノ酸残基であり、Xは、任意の数のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも2つのアミノ酸残基である)を含む。ペプチドは、第1の反応に関与することができる3つの反応性基と第2の反応に関与することができる2つの反応性基とを含むことが好ましい。したがって、ペプチドは、好ましくは、配列A-X-B-X-A-X-B-X-Aを含む。ペプチドは、足場への反応性基又は連鎖を含む隣接アミノ酸残基の一方又は両方に結合した、1つ又は複数のアミノ酸残基のストレッチを更に含んでよい。
ペプチドが6つの連鎖によって足場に付着している化合物において、ペプチドは、第1の反応に関与することができる3つの反応性基と第2の反応に関与することができる3つの反応性基とを含む。これらの反応性基は、好ましくは、ペプチド中に交互に存在する。すなわち、好ましくは、直鎖状ペプチドは、配列A-X-B-X-A-X-B-X-A-X-B又はB-X-A-X-B-X-A-B-X-A(式中、Aは、第1の反応に関与することができる反応性基を含むアミノ酸残基であり、Bは、第2の反応に関与することができる反応性基を含むアミノ酸残基であり、Xは、任意の数のアミノ酸残基、好ましくは少なくとも2つのアミノ酸残基である)を含む。ペプチドは、足場への反応性基又は連鎖を含む隣接アミノ酸残基の一方又は両方に結合した、1つ又は複数のアミノ酸残基のストレッチを更に含んでよい。
ペプチドが配列c(LRCFRLP[Aha]RQLR[Aha]FRLPCRQ)(式中、(Aha)はアジドホモアラニンである)の配列を含む環化ペプチドである、本発明の化合物であって、ペプチドが4つの連鎖によって分子足場に付着しており、前記連鎖のうちの2つがチオエーテル連鎖であり、前記足場が、芳香族若しくはヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又は6員シクロアルキレンを含み、前記化合物が、前記ペプチドの前記分子足場への付着の結果として形成された4つのペプチドループを含み、前記足場が、2回対称性、好ましくはC2v対称性を有する、化合物が更に提供される。表示「c(LRCFRLP [Aha] RQLR [Aha] FRLPCRQ)」は、配列が環状であり、最終アミノ酸Qが第1のアミノ酸Lに結合していることを意味する。前記ペプチドは、好ましくは、N末端とC末端のカップリングの結果としての環化ペプチドである。前記チオエーテル連鎖は、前記ペプチド中の2つのシステイン残基と、システインと反応することができる分子足場中の脱離基を含んでいる2つの反応性基、好ましくは2つのハロゲン化物、より好ましくは2つの活性メチレン基にそれぞれ結合しているハロゲン化物との間に形成される。好ましくは、前記連鎖の残りの2つはアルキン-アジド付加環化から生じ、ペプチド中の2つのアジドホモアラニン残基とアルキンを含む分子足場中の2つの反応性基との間に形成される。特に好ましい実施形態において、分子足場はペプチドに連鎖したT4(-≡)2-3又はT4(-≡)2-4、より好ましくはT4(-≡)2-3である。そのような化合物は、第XIIA因子活性の強力な阻害剤であることが示されている。
したがって、ペプチドが治療に使用するための配列c(LRCFRLP[Aha]RQLR[Aha]FRLPCRQ)を含む環化ペプチドである、本発明による化合物もまた提供される。前記ペプチドは、4つの連鎖によって分子足場に付着しており、前記連鎖のうちの2つはチオエーテル連鎖であり、前記足場は、芳香族若しくはヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又はシクロアルキレンを含み、前記化合物は、前記ペプチドの前記分子足場への付着の結果として形成された4つのペプチドループを含み、前記足場は、2回対称性、好ましくはC2v対称性を有する。前記ペプチドは、好ましくは、N末端とC末端のカップリングの結果としての環化ペプチドである。前記チオエーテル連鎖は、前記ペプチド中の2つのシステイン残基と、システインと反応することができる分子足場中の脱離基を含んでいる2つの反応性基、好ましくは2つのハロゲン化物、より好ましくは2つの活性メチレン基にそれぞれ結合しているハロゲン化物との間に形成される。好ましくは、前記連鎖の残りの2つはアルキン-アジド付加環化から生じ、ペプチド中の2つのアジドホモアラニン残基とアルキンを含む分子足場中の2つの反応性基との間に形成される。特に好ましい実施形態において、分子足場はペプチドに連鎖したT4(-≡)2-3又はT4(-≡)2-4、より好ましくはT4(-≡)2-3である。好ましくは、血栓症又は血栓性疾患(卒中、心筋梗塞又は肺塞栓症等)、遺伝性血管性浮腫及び体外循環時の接触活性化(contact activation)からなる群から選択される障害又は症状の処置における、第XIIA因子活性の阻害における使用のための化合物が更に提供される。第XIIA因子活性の阻害におけるそのような化合物の使用が更に提供される。そのような阻害はインビトロ阻害又はインビボ阻害であり得る。それを必要とする患者において第XIIA因子活性を阻害する方法であって、治療有効量の本発明による化合物を前記患者に投与することを含む方法もまた提供され、ここで、ペプチドは配列c(LRCFRLP[Aha]RQLR[Aha]FRLPCRQ)を含む環化ペプチドである。前記方法は、好ましくは、血栓症又は血栓性疾患(脳卒中、心筋梗塞又は肺塞栓症等)、遺伝性血管浮腫及び体外循環時の接触活性化からなる群から選択される障害又は処置の治療のためのものである。
第1及び後続の第2の反応は両方とも、水性環境中で極めて良好に速く進行する。したがって、両方の反応は、好ましくは、水性環境中で行われる。本明細書で使用する場合、用語「水性環境」は、水を含む任意の溶液を指す。水は、ペプチドを溶解するのに十分な量で反応混合物中に存在しなければならない。典型的に、ペプチドを溶解するために少なくとも10%の水で十分である。したがって、好ましくは、水は、本発明の方法が実施される溶液中に、少なくとも10%の濃度(v/v%)で存在する。反応がより速く進行することが所望される場合、より高濃度の水が好ましい場合がある。したがって、好ましくは、水は、少なくとも20%、より好ましくは少なくとも25%、より好ましくは少なくとも30%、より好ましくは少なくとも35%、より好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも45%、より好ましくは少なくとも50%の濃度(v/v%)で存在する。反応は50%の水を含む溶液中で良好に進行する。例えば、第1及び第2の反応は、緩衝液、例えば、炭酸水素アンモニウム緩衝液、(重)炭酸ナトリウム緩衝液、(重)炭酸カリウム緩衝液、リン酸ナトリウム緩衝液又はTRIS緩衝液中で行われる。溶液又は緩衝溶液は更に1種又は複数の溶媒を含んでもよい。存在し得る溶媒の非限定的な例は、アセトニトリル(ACN)、ジメチルホルムアミド(DMF)、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラヒドロフラン(THF)、テトラフルオロエチレン(TFE)、ジオキサン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール((i)-PrOH)及びブタノールである。好ましい実施形態において、第1及び第2の反応が行われる溶液は、20~90%の緩衝溶液(例えば、重炭酸アンモニウム緩衝液)と10~80%のアセトニトリルとの組合せ等の、水とアセトニトリルとの組合せを含む。
チオラート求核置換反応は、好ましくは塩基性pH、好ましくはわずかに塩基性のpH、好ましくはpH7~8.5、より好ましくはpH7.5~8で行われる。第2の反応として行われる特定の反応に応じて、第1の反応に続いてpHを変えることができる。
例えば、オキシム-ライゲーション反応は、中性よりわずかに高いpHで生じるであろうが、好ましくは、わずかに酸性のpH、例えばおおよそpH4.5~6、例えばpH5で行われる。したがって、第2の反応がオキシム-ライゲーション反応である場合、pHは、好ましくは、第1の反応と第2の反応との間で、わずかに塩基性からわずかに酸性にすることが好ましい。
アルキン-アジド付加環化はpHに依存しない。したがって、第2の反応がアルキン-アジド付加環化である場合、pHを第1の反応と第2の反応との間で変える必要はない。ただし、アルキン-アジド付加環化は、典型的に、銅、特にCu(I)の存在下で行われる。したがって、第2の反応がアルキン-アジド付加環化である場合、好ましくは、第1の反応と第2の反応との間で反応混合物にCu(I)を添加する。
第2の反応に関与することができるペプチド及び/又は足場中の反応性基が第1の反応を妨害し得る場合、これらの反応性基を第1の反応中に保護してもよい。当業者は、特定の第2の反応が第1の反応を妨害し得るかどうかを判断することができ、特定の第2の反応が第1の反応を妨害し得る場合、適切な保護基を選択することができる。
例えば、オキシム-ライゲーションが第2の反応として開始される前に、例えば第1の反応中に、オキシム-ライゲーションに関与することができる反応性基は、好ましくは、チオラート求核置換反応を妨害しないように保護される。原則として、ペプチド中の反応性基又は足場中の反応性基のみが保護されることが必要である。好ましくは、足場中に存在するか又はペプチド中に存在する、アミノキシ反応性基及びアルデヒド反応性基が、保護される。保護されたアミノキシ基の例は、R3ONHBoc、R3ONHFmoc、R3ONHCbz、R3ONHTrt、R3ONHMmt、又はR3ONHMtt(式中、Trtはトリチル(1,1,1-トリフェニルメチル)であり;Mttはメトキシトリチル((1(4-メトキシフェニル)1,1-ジフェニルメチル)であり;Mmtはメチルトリチル((1(4-メチルフェニル)-1,1-ジフェニルメチル)であり;Bocはtert-ブトキシカルボニルであり;Fmocは9H-フルオレン-9-イルメトキシカルボニルであり;Cbzはカルボベンジルオキシである)である。保護されたアルデヒド基の例は、R4C(Oアルキル)2(式中、R4は-(C=O)-アルキル-又は-(C=O)-アリール-であり、「アルキル」は、任意の直鎖又は分岐状の、例えばC1~4の炭素フラグメントを指し、「アリール」は、任意の、例えば5員又は6員の(任意に置換される)(ヘテロ)アリール基を指す)である。保護されたケトン基の例は、R4C(Oアルキル)2アルキル、R4C(Oアルキル)2アリール(式中、R4は-(C=O)-アルキル-又は-(C=O)-アリール-であり、式中、「アルキル」は、任意の直鎖又は分岐状の、C1~4の炭素フラグメントを指し、「アリール」は、任意の5員又は6員の(置換される)(ヘテロ)アリール連鎖単位を指す)である。したがって、第2の反応がオキシム-ライゲーション反応である場合、その反応におけるペプチド又は足場中に含まれる反応性基、任意にその両方は、第1の反応中に保護される。保護された関連反応性基は、第1の反応と第2の反応の間に脱保護することができる。反応性基の脱保護のための手順は当該技術分野において周知である。例としては、6MのHClを使用するBoc-脱保護、希酸を使用するアセタール脱保護、及びわずかに過剰のヒドラジン水和物又はメチルヒドラジンを使用するフタルイミド脱保護が挙げられる。
第2の反応がアルキン-アジド環化付加である場合、第2の反応は第1の反応を妨害しないので、ペプチド及び足場中の反応性基の保護は不要である。
本発明の方法は、ペプチドと足場との間の連鎖の結果として形成される、2つ~6つ、好ましくは3つ~5つの、本明細書中で定義したペプチドループを含む化合物の調製をもたらす。ループの数はペプチド及び足場に存在する反応性基の数に依存する。ペプチド中に1つ又は複数の連鎖、好ましくは1つの連鎖を導入することによって、さらなるループを化合物中に形成することができる。本明細書で使用する場合「ペプチド中の連鎖」とは、ペプチド中の2つの官能基間の連鎖、例えば、アミノ酸側鎖又はN末端若しくはC末端中の官能基間の連鎖を指す。したがって、一実施形態において、本発明の方法は、好ましくは1つ又は複数の追加のループを形成するために、ペプチドに1つ又は複数の連鎖を導入することを更に含む。同様に、本発明による化合物は、1つ又は複数のペプチド内連鎖を含んでよい。したがって、これらは、第1及び第2の反応を行うことによって本発明の方法によって調製される化合物内に含まれるか、又は本発明の化合物中に存在する、2~6個のペプチドループに追加されたループである。ペプチド中のそのような1つ又は複数の連鎖は、第1及び第2の反応を行う前又は後に導入することができる。ただし、1つ又は複数の連鎖が第1及び第2の反応の後に導入されることが好ましい。そのような連鎖の好ましい例は、ジスルフィド架橋及びN末端とC末端のカップリングである。N末端とC末端のカップリングは、本明細書において「頭-尾環化(head-to-tail cyclization)」又は「骨格環化」とも呼ばれる。ペプチドのN末端とC末端のカップリング方法は当該技術分野において公知である。例としては、例えば、Timmermanら、2009に記載されているベンゾトリアゾール-1-イル-オキシトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスフェート(PyBOP)を使用する、側鎖保護ペプチドにおける化学的ライゲーション、及び例えばソルターゼ、ブテラーゼ、ペプチリガーゼ又はオムニリガーゼを使用する酵素媒介ライゲーション技術(Schmidtら、2017)が挙げられる。例えばシステイン、ホモシステイン又はペニシラミン残基の遊離チオール基間に、ジスルフィド架橋を形成することができる。第1のチオラート求核置換反応における、そのようなチオール基との干渉を防ぐために、ペプチドに追加の連鎖を導
入するために使用されるチオール基は、第1の反応中に保護される。ペプチド内のジスルフィド架橋の位置は、遊離チオールによりアミノ酸残基の位置を調節することによって容易に調節される。さらなる実施形態において、アスパラギン酸残基又はグルタミン酸残基のCOOH側鎖は、リジン残基のNH2側鎖にカップリングしている。このようにしてアミド結合が形成される。ペプチドのN末端とC末端のカップリングは、様々な方法で行うことができる。例えば、ジスルフィド結合を介してカップリングされ得る2つのシステイン等の、連鎖が形成され得るN-末端及びC-末端残基として、アミノ酸残基がペプチドに組み込まれる。別の例として、N末端及びC末端はペプチド結合により連鎖されて(joined)、すなわち、ペプチドの遊離COOH末端をペプチドの遊離NH2末端にカップリングすることにより内部結合を形成し、それによりアミド結合を形成してもよい。更に別の例は、2つのセレノシステイン残基間のSe-Se(二セレン)結合である。アミノ酸配列内に内部結合を形成するための代替方法が利用可能であり、その方法は当技術分野において公知である。
一実施形態において、本発明による化合物は、抗体産生又は体液性応答を増強するために、薬学的に許容される担体、補助剤、希釈剤及び/又は賦形剤と組み合わされる。適切な担体の例は、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン(例えば、BSA又はRSA)及びオボアルブミンを含む。油性及び水性の多くの好適な補助剤が当業者に知られている。一実施形態において、前記補助剤はSpecolを含む。一実施形態において、前記希釈剤は、例えば生理食塩水のような溶液を含む。したがって、本発明による化合物と薬学的に許容される賦形剤、担体、補助剤、及び/又は希釈剤とを含む医薬組成物も提供される。前記医薬組成物は、好ましくは免疫原性組成物、更により好ましくは防御免疫応答を誘導することができるワクチンである。代替的に又は追加的に、本発明による化合物は、疾患を被っている患者を処置するために免疫応答を誘導及び/又は増強するために使用される。医薬、医薬組成物、及び/又は予防剤として使用するための本発明による化合物もまた、本明細書において提供される。好ましくは、そのような医薬、医薬組成物及び/又は予防剤は、防御免疫応答を誘導することができるワクチンである。本明細書に記載の予防的及び/又は治療的適用に使用される、本発明による化合物の用量範囲は、厳密なプロトコル要件が存在する臨床試験における増加用量試験に基づいて設計されている。典型的に、用量は、体重1kg当たり0.01~1000μg、特に体重1kg当たり約0.1~100μgの範囲で変動する。
本発明による化合物は、任意の所望の形態であり得る。一実施形態において、化合物は溶液中で調製される。すなわち、化合物は他のいかなる構造成分にも結合していない。溶液中での化合物の調製は、例えば、所望の模倣体(例えば候補薬物化合物)が、例えば本発明のスクリーニング方法において同定された後に、行われることが好ましい。次いで、化合物を、それらの意図する用途のために、例えば治療薬として溶液中で調製することができる。
別の実施形態において、化合物は、アレイ表面、又は例えばクロマトグラフィー用途、ELISA型アッセイ又はBiacore技術において使用される樹脂又は担体材料等の、固体担体に結合している。例えば、化合物は、N-末端又はC-末端アミノ酸残基を介して固体担体に結合し得る。別の代替物として、化合物、好ましくは化合物のペプチド部分は、リンカーを介して固体担体に結合する。ペプチドを固体担体に結合させるためのリンカーは、当該技術分野において周知である。固体に結合させるための特定の順序又は手順はない。例えば、本発明による方法でペプチドを足場に付着させる前に、ペプチドを担体にカップリングすることができる。或いは、本発明の方法によりペプチドを足場にカップリングした後に、化合物を固体担体に結合させる。固体担体に結合した化合物は、対象標的に結合させるために複数の化合物がスクリーニングされるスクリーニング方法に特に適している。そのための一実施形態において、本発明による方法又は本発明による化合物が提供され、前記化合物は、分子足場に付着したペプチドからなり、任意に固体担体に結合している。
更に別の実施形態において、化合物は前記ペプチドをディスプレイする遺伝子パッケージを含み、前記遺伝子パッケージは前記ペプチドをエンコードする核酸を含む。本明細書で使用する用語「遺伝子パッケージ」は、原核生物又は真核生物の遺伝子パッケージを指し、細胞、胞子、酵母、細菌、ウイルス及びバクテリオファージを含む複製可能な遺伝子パッケージ、又はリボソーム及びmRNAパッケージ等の無細胞ディスプレイパッケージであり得る。本発明による化合物をディスプレイするために使用され得るディスプレイ技術は、ファージディスプレイ、mRNAディスプレイ、リボソームディスプレイ、DNAディスプレイ、細菌ディスプレイ及び酵母ディスプレイである。好ましい遺伝子パッケージはファージディスプレイ粒子、mRNAディスプレイ粒子又はリボソームディスプレイ粒子である。本発明の方法で使用されるペプチドは、遺伝子パッケージ上にディスプレイされ得、すなわち、それらのペプチドは、遺伝子パッケージの基又は分子、例えば、遺伝子パッケージの外面に位置する分子に結合している。ペプチドをディスプレイする遺伝子パッケージは、ディスプレイされるペプチドをエンコードする核酸分子を複製可能な遺伝子パッケージのゲノムに導入して、通常、複製可能な遺伝子パッケージの外面で発現する自己由来タンパク質との融合タンパク質を形成することによって、形成される。或いは、ペプチドをディスプレイする遺伝子パッケージは、ディスプレイされるペプチドをエンコードする核酸分子を無細胞ディスプレイ系の核酸に導入することによって形成される。ディスプレイ技術は当該技術分野において周知であり、当業者は、そのようなディスプレイ粒子上に、本発明の方法において使用されるペプチドをディスプレイすることが十分にできる。ペプチドを分子足場に付着させるためのチオラート求核置換反応は、ファージディスプレイライブラリ(例えば、WO2009/098450)のような、感受性の高い生物系に対する適合性があることが示されている。例示的な手順については、WO2009/098450及びHeinisら、2009を参照されたい。加えて、本発明の方法における第2の反応として行われる直交ライゲーション反応は、そのような生物系に対して特に適合性がある。前記ペプチド及び前記ペプチドをエンコードする核酸をディスプレイ
する遺伝子パッケージを含む化合物は、対象標的への結合のために複数の化合物がスクリーニングされる、スクリーニング方法に特に適している。そのための一実施形態において、本発明による方法又は本発明による化合物が提供され、前記化合物は、前記ペプチドをディスプレイする遺伝子パッケージと、前記ペプチドをエンコードする核酸とを含む。
本発明の方法及び化合物に使用されるペプチドは、非天然アミノ酸、特に、方法の工程2)における反応に関与することができる反応性基を含むアミノ酸、例えば、オキシム-ライゲーション反応のためのケトン/アルデヒド及びアミノキシ、並びにアルキン-アジド付加環化のためのアジド及びアルキンを含有してよい。当該分野で公知である2つの方法を用いて、非天然アミノ酸をペプチドに組み込むために、細菌等の細胞系又は遊離リボソーム系等の無細胞系をペプチド合成又は発現に利用するペプチド-ライブラリ生成系(例えばファージディスプレイライブラリ)を使用することができる。
1つの方法は栄養要求株方法であり、細菌は、1つのアミノ酸(通常、メチオニン)を欠いており、別の構造的に類似のアミノ酸が提示され、置き換えられたアミノ酸のtRNAに対応するコドン(通常、メチオニンコドンAUG、及び相補的tRNAシンテターゼによって所望のアミノ酸が装填されるメチオニンtRNA)を使用して組み込まれる。この方法は、置き換えられたアミノ酸のtRNAシンテターゼによって受容されるアミノ酸にのみ適用可能である。メチオニンは、例えばアジド-ホモ-アラニンによって置換することができる。この方法を使用する際には、メチオニンは組み込まれず、他のペプチド及び酵素中のすべてのメチオニン残基が新しいアミノ酸によって置き換えられることに留意することが重要である。これは置換法であり、拡張法ではないため、アクセスすることができる多様なアミノ酸の数は20のままである。
遺伝暗号を使用した非天然アミノ酸の組込みのために、非天然アミノ酸に対するtRNA/コドン対が選択される。アミノ酸をペプチドに組み込むことができるコドンはいわゆる「終始コドン」であり、これは通常、ペプチド伸長を終結させる。アンバー(UAG)、オーカー(UAA)及びオパール(UGA)コドンを使用することができ、これらのうちアンバーコドンが最も一般的に使用される。3つの「終始」コドンがあるため、この方法は、原則として複数のアミノ酸の組込みを可能にする。このコドンの相補的tRNAを合成し、その上に所望のアミノ酸を(化学的又は酵素的に)装填する。この方法によってペプチドに組み込むことができるアミノ酸の例は、パラ-アセチルフェニルアラニン、及びパラ-アジドフェニルアラニンである。この方法は、組み込むことができるアミノ酸に、より多くの汎用性を残す。細菌等の細胞系については、終止コドンの翻訳がペプチド終結と競合することに留意すべきである。このことは、遊離リボソーム系等の、終結因子(release factor)を省略することができる、無細胞系には当てはまらない。遺伝暗号の拡張及び再プログラミングに向けた最近の努力により、mRNAディスプレイ系を使用して、いくつかの非天然アミノ酸を単一のペプチドに組み込むことがもたらされた。遺伝暗号法は、非天然アミノ酸の部位特異的な組込みを可能にする一方で、すべての天然アミノ酸にアクセスすることができるため、拡張法として注目されている。
本明細書中で前述したように、本発明による化合物中に存在するか又は本発明の方法で調製されたペプチドループは、例えば、化合物が模倣体として使用されるタンパク性分子中に存在するペプチドループに類似している。前記ペプチドループは、好ましくは、対象のタンパク性分子内の二次構造に類似している。本発明による化合物によって模倣される対象のタンパク性分子内の二次構造は、例えば、対象の前記分子の不連続エピトープ、リガンド結合部位、受容体結合部位、又は触媒ドメインである。本発明の化合物は、タンパク質又はタンパク性分子の1つ又は複数の結合部位又はエピトープ、好ましくは1つ又は複数の不連続結合部位又はエピトープを模倣するのに特に有用である。したがって、本発明の化合物は、タンパク性分子の結合部位又はエピトープの模倣体であることが好ましい。本発明の化合物における複数のループの存在は、例えば、対象のタンパク性分子が、エピトープ、触媒ドメイン、又はその2つ以上の領域からなるリガンド結合ドメイン、いわゆる不連続ドメインを含む場合に、特に適している。本発明の化合物によって模倣される対象のタンパク性分子、又は結合部位若しくはエピトープが本発明の化合物によって模倣される対象のタンパク性分子は、任意のタンパク性分子であってよい。不連続エピトープは、例えば免疫優性エピトープである。免疫優性エピトープは、免疫系によって容易に認識され、したがって誘導されたる抗体の特異性に影響を与える抗原決定基のサブユニットとして定義される。ただし、本発明の化合物によって模倣される対象のタンパク性分子内の二次構造はまた、亜優性エピトープ(subdominant epitope)を含んでもよい。一般に、免疫優性エピトープは、その名前が示すように、所与のタンパク質の又は所与のタンパク質の少なくとも一部における他のすべてのエピトープではないとしても、ほとんどのエピトープより優性である。したがって、免疫系は、亜優性エピトープ又は潜在エピトープとも呼ばれる、非優性エピトープを認識しない。別の態様では、本発明による化合物によって模倣される前記二次構造は、リガンドの受容体結合部位、又は受容体のリガンド結合部位である。リガンドの受容体結合部位を模倣する本発明による化合物は、例えば前記受容体を活性化(アゴニスト)又は遮断(アンタゴニスト)に使用することができる。したがって、本発明によるそのような化合物を用いて、受容体作用を調節することが可能である。例えば、受容体のリガンド結合部位に類似する本発明による化合物は、例えばリガンドに結合し、それによって好ましくは前記リガンドの生物活性を低下させる。更に別の態様では、本発明による化合物によって模倣され得る二次構造は、例えば、プロテアーゼ、ヌクレアーゼ、ホスホジエステラーゼ、リパーゼ及びホスファターゼ等の酵素の触媒ドメインである。これらは、例えば酵素補充療法における使用に適している可能性がある。前述のように、天然の立体配座によく似ている小さなタンパク性分子は、免疫応答の誘導等の、望ましくない効果が少ないと予想される。
本発明による複数の化合物を含むライブラリを作製するための方法もまた提供される。そのようなライブラリは、化合物の結合特性及び/又は免疫原性を決定するために特に有用である。そのようなライブラリはまた、(細胞表面)受容体、リガンド、抗体、サイトカイン、ホルモン等の対象標的に結合することができる化合物を同定するうえでも特に有用である。そのようなライブラリは、例えば候補薬物化合物のスクリーニングに適している。したがって、本発明はまた、対象標的に結合することができる化合物を同定し、本発明による化合物のライブラリを対象標的と接触させ、前記化合物の前記標的への結合を決定し、前記標的に結合する化合物を選択するための方法をも提供する。本明細書中で使用する場合「標的分子」又は「対象標的」は、分子、好ましくはタンパク性分子が、本発明の化合物によって結合されるよう意図されていることを意味する。候補薬物化合物を選択するための方法における、本発明による化合物又は本発明によるライブラリの使用もまた提供される。加えて、本発明は、少なくとも1つの潜在的標的分子を用いて本発明によるライブラリをスクリーニングする工程、及び前記ライブラリの化合物と前記標的分子との間の結合を検出する工程を含む、標的分子と相互作用することができる結合部位をスクリーニングする方法を提供する。
標的への化合物の結合を決定するために当該技術分野で一般的に使用される方法が、本発明の方法において使用され得る。例えば、酵素結合(ELISA型)アッセイが使用される。なぜなら、これらのアッセイは典型的には非常に高感度であるためである。任意の所与の分子を用いたそのような化合物ライブラリのスクリーニングは、単純で、迅速であり、かつ直接的である。
本発明のスクリーニング方法において使用される本発明による化合物又は化合物のライブラリは、好ましくは溶液中にあるか、若しくは固体担体、例えばアレイ表面に結合しているか、又は前記ペプチド及び前記ペプチドをエンコードする核酸をディスプレイする遺伝子パッケージを含む。本発明の化合物のそのような形態は、化合物中に存在するペプチドのアミノ酸配列の容易な同定を可能にする。固体担体への結合については、このことは、化合物が、例えばアレイ形式で、位置的又は空間的にアドレス可能であることによる。前記ペプチド及び前記ペプチドをエンコードする核酸をディスプレイする遺伝子パッケージを含む化合物については、ペプチドをエンコードする核酸の配列を決定することにより、アミノ酸配列を容易に同定することができる。
選択又はスクリーニングプロセスの完了後、選択された候補薬物化合物は、その後、同じ手順に従って、所望であればより大規模に、溶液中で合成することができる。したがって、提供される方法によれば、本発明によるスクリーニング方法において選択される化合物と本質的に同じ結合特性を有する化合物を溶液中で合成することが現時点で可能である。
候補薬物化合物を選択するための方法であって、
- 本発明による化合物のライブラリを用意する工程と、
- 前記化合物を標的分子と接触させる工程と、
- 前記標的分子の前記化合物への結合を決定する工程と、
- 前記標的分子への結合を示す少なくとも1つの化合物を選択する工程と
を含む、方法も提供される。
好ましい実施形態において、本発明は、前記結合が化合物の前記ライブラリを備えた固相上で決定される、本発明による方法を提供する。
本発明による複数の化合物を含むライブラリをスクリーニングするためのさらなる詳細な手順は、参照により本明細書に組み込まれる、WO2004/077062に記載されている。
明確さ及び簡潔な説明のために、本明細書では、特徴を本発明の同じ又は別々の態様又は実施形態の一部として説明することがある。当業者であれば、本発明の範囲は、同一又は別個の実施形態の一部として本明細書に記載された特徴の全部又は一部の組合せを有する実施形態を含み得ることを理解するであろう。
以下の非限定的な実施例において、本発明をより詳細に説明する。
Timmermanら、2005に記載されているCLIPS技術を使用して三環式ペプチドを生成するための、4つの連鎖による、4つの反応性基を含有する足場(T4足場と呼ばれる)へのペプチドの付着は、最大6つの位置異性体の錯体混合物の形成をもたらす。 3つのペプチドループを有する化合物を調製するための、4つの連鎖によるペプチドの分子足場へのカップリングの概略図(A)。位置異性体2は、特定の分子足場でのみ生じる。 4つの結鎖によって足場にペプチドを付着させるための、求核置換及びアルキン-アジド付加環化反応(B)の例。 4つの結鎖によって足場にペプチドを付着させるための、求核置換及びオキシムライゲーション反応(C)の例。 4つのペプチドループを有する化合物を調製するための、5つの連鎖によるペプチドの分子足場へのカップリングの概略図(A)。 5つの連鎖によってペプチドを足場に付着させるための、求核置換及びアルキン-アジド付加環化反応(B)の例。 5つの連鎖によってペプチドを足場に付着させるための、求核置換及びオキシム-ライゲーション反応(C)の例。 5つのペプチドループを有する化合物を調製するための、6つの連鎖によるペプチドの分子足場へのカップリングの概略図(A)。 6つの連鎖によってペプチドを足場に付着させるための、求核置換及びアルキン-アジド付加環化反応(B) の例。 6つの連鎖によってペプチドを足場に付着させるための、求核置換及びオキシム-ライゲーション反応(C)の例。 ペプチドの環化のために本発明に従って使用することができる、4つの反応性基を含有する分子足場(T4足場と呼ばれる)の例。CLIPS/CLICK:チオラート求核置換反応及びアルキン-アジド付加環化を介してペプチドに付着させることができる足場。CLIPS/OXIME:チオラート求核置換反応及びオキシムライゲーション反応を介してペプチドに付着させることができる足場。 図5-1の続き。 ペプチドの環化のために本発明に従って使用することができる、6つの反応性基を含有する分子足場(T6足場と呼ばれる)の例。CLIPS/CLICK:求核置換反応及びアルキン-アジド付加環化を介してペプチドに付着させることができる足場。CLIPS/OXIME:求核置換反応及びオキシムライゲーション反応を介してペプチドに付着させることができる足場。 図6-1の続き。 本発明の方法において使用することができる「クリック反応」の概略例。 図7-1の続き。 図7-2の続き。 アルキン-アジド付加環化反応に関与することができるアミノ酸誘導体の例。A.アジド含有アミノ酸残基。B.アルキン含有アミノ酸残基。 オキシム-ライゲーション反応に関与することができるアミノ酸誘導体の例。A.ケトン含有アミノ酸残基。 図9A-1の続き。 オキシム-ライゲーション反応に関与することができるアミノ酸誘導体の例。B.アミノキシ含有アミノ酸残基。 オキシム-ライゲーション反応に関与することができるアミノ酸誘導体の例。C.側鎖官能化リジン及びアスパラギン酸/グルタミン酸(式中、Rはケトン又はアミノキシを含有する)。 CLiPS反応を介して足場T4N-3に付着したペプチドAc-CE(pAcF)A(pAcF)KC-NH2のLC-MSクロマトグラム。 図10-1の続き。 CLiPS及びオキシム反応後に足場T4N-3に付着したペプチドAc-CE(pAcF)A(pAcF)KC-NH2のLC-MSクロマトグラム。 図11-1の続き。 CLiPS反応を介して足場T4N-3に付着したペプチドAc-CEK(pAcF)AS(pAcF)KDC-NH2のLC-MSクロマトグラム。 図12-1の続き。 CLiPS及びオキシム反応を介して足場T4N-3に付着したペプチドAc-CEK(pAcF)AS(pAcF)KDC-NH2のLC-MSクロマトグラム。 図13-1の続き。 図13-2の続き。 CLiPS及びオキシム反応を介して足場T4C-3に付着したペプチドAc-CEQFhS(ONH2)AKFhS(ONH2)LKNC-NH2のUPLC-MSクロマトグラム。 CLiPS及びオキシム反応を介して足場T4C-3に付着したペプチドAc-CERKFK(Aoa)SGAVK(Aoa)KLYSC- NH2のUPLC-MSクロマトグラム。 CLiPS及びオキシム反応を介して足場T4C-3に付着したペプチドAc-K(Aoa)EQFCAKFCLKNK(Aoa)-NH2のUPLC-MSクロマトグラム。 CLiPS及びオキシム反応を介して足場T4C-3に付着したペプチドAc-K(Aoa)ERKFCSGAVCKLYSK(Aoa)-NH2のUPLC-MSクロマトグラム。 A. Rt=2.06分がCLIPS反応(CLIPSed)ペプチドに対応する、CLIPS反応のUPLC-MSクロマトグラム。Rt=1.82分の小さいピークは、少量のS-S酸化ペプチドに対応する。 B. Rt=1.64分において完全な変換を示す、銅/リガンド/アスコルビン酸塩混合物の添加(CLICK)から1分後のUPLC-MSクロマトグラム。Rt=1.82分の小さいピークは、少量のS-S酸化ペプチドに対応する。 直鎖状ペプチドAc-CQWG[Aha]KAS[Aha]FSEC-NH2(1333)のUPLC-MSクロマトグラム。 ワンポットCLIPS/CuAAC反応のUPLC-MSクロマトグラム。A.単環式CLIPSペプチド[1333-T4(-≡)2-3]。B.三環式CLIPS/CuAACペプチド[I333-T4(-≡)2-3]。C.HPLC精製の後に単離した三環(足場T4(-≡)2-3上のCQWG[Aha]KAS[Aha]FSEC)。 C.HPLC精製の後に単離した三環(足場T4(-≡)2-3上のCQWG[Aha]KAS[Aha]FSEC)。 ワンポットCLIPS/CuAAC反応のUPLC-MSクロマトグラム。A.単環式CLIPSペプチド[1333-T4(-≡)2-4]。B.三環式CLIPS/CuAACペプチド[I333-T4(-≡)2-4]。 C.HPLC精製の後に単離した三環(足場T4(-≡)2-4上のCQWG[Aha]KAS[Aha]FSEC)。 ILCQWGA[Aha]KASE[Aha]FSKVCPK:204444+T4(-≡)2-3のワンポットCLIPS/CuAAC反応のUPLC-MSクロマトグラム。 ILCQWGA[Aha]KASE[Aha]FSKVCPK:204444+T4(-≡)2-4のワンポットCLIPS/CuAAC反応のUPLC-MSクロマトグラム。 ILKCQKGAT[Aha]KASEK[Aha]NHSKVCPK215555+T4(-≡)2-3のワンポットCLIPS/CuAAC反応のUPLC-MSクロマトグラム。 ILKCQKGAT[Aha]KASEK[Aha]NHSKVCPK215555+T4(-≡)2-4のワンポットCLIPS/CuAAC反応のUPLC-MSクロマトグラム。 Ac-CQ[Aha]KCF[Aha]ACK[Aha]-NH2:2211111+T6(-≡)3-1のワンポットCLIPS/CuAAC反応のUPLC-MSクロマトグラム。 図26-1の続き。 Ac-CQW[Aha]KACFS[Aha]ATCKN[Aha]-NH2:2322222+T6-(≡)3-1のワンポットCLIPS/CuAAC反応のUPLC-MSクロマトグラム。 図27-1の続き。 H-CQWGA[Aha]KASECFSEK[Aha]ATKGCGNKG[Aha]-NH2:2444444+T6-(≡)3-1のワンポットCLIPS/CuAAC反応のUPLC-MSクロマトグラム。 図28-1の続き。 H-CQWGAS[Aha]KASEVCFSEKG[Aha]ATKGKCGNKGE[Aha]-NH2:2555555+T6-(≡)3-1のワンポットCLIPS/CuAAC反応のUPLC-MSクロマトグラム。 図29-1の続き。 A.足場T4(-≡)2-3及びT4(-≡)2-4を有するc(LRCFRLP[Aha]RQLR[Aha]FRLPCRQ)のワンポットCLIPS/CuAAC反応のUPLC-MSクロマトグラム。 B.四環式ペプチド及び対照二環式ペプチドの第XIIA因子に対する機能活性。
Figure 0007100034000006
(実施例1)
チオラート求核置換反応とオキシム-ライゲーションを介したペプチドと足場のカップリング
アミノ酸
フタルイミド保護アミノ-オキシ含有アミノ酸の合成例
Figure 0007100034000007
火炎乾燥フラスコ内で、N2流下にて、Fmoc-Asp-OtBu(100g、2.41mmol)を、15mlの新たに蒸留したTHF中に溶解させた。混合物を氷上で冷却した後、BH3・SMe2(484μL、5.10mmol、2.1当量)を滴加した。混合物を室温に温めて一晩撹拌すると、その後、TLCは出発物質の完全な変換を示した。反応混合物を飽和NH4Cl溶液でクエンチし、EtOAcで抽出した。回収した有機相を食塩水で洗浄してNa2SO4上で乾燥させた。揮発物を減圧下で除去し、無色の油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(2:2:0.5-CH2Cl2:P.E.:EtOAc)により、無色の油状物としてホモセリン由来生成物(833mg、2.10mmol、86%)を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.79 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.62 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.43 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 7.35 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 5.64 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 4.55 - 4.36 (m, 3H), 4.25 (t, J = 6.9 Hz, 1H), 3.77 - 3.67 (m, 1H), 3.62 (td, J = 11.8, 11.2, 3.2 Hz, 1H), 3.03 (br. s, 1H), 2.19 (ddt, J = 14.4, 9.9, 4.7 Hz, 1H), 1.64 (ddd, J = 13.7, 7.9, 3.1 Hz, 1H), 1.50 (s, 9H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 171.69, 156.92, 143.79, 143.59, 141.29, 127.73, 127.07, 125.06, 125.00, 120.00, 119.97, 82.54, 67.14, 58.30, 51.52, 47.17, 36.05, 27.97.
火炎乾燥フラスコ内で、N2流下にて、精製Fmoc保護ホモセリン(750mg、1.89mmol)を11mlの無水THF中に溶解させた。溶液を氷浴上で冷却し、PPh3(544mg、2.08mmol、1.1当量)、N-ヒドロキシフタルイミド(338mg、2.08mmol、1.1当量)を添加した。DIAD(408μL、2.08mmol、1.1当量)を滴加し、混合物を室温まで温めた。5時間撹拌した後、揮発物を減圧下で除去した。濃いオレンジ色の油状物をシリカ上に固定化し、その後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(3:2:0.5-P.E.:CH2Cl2:EtOAc)により、オフホワイト固体としてフタルイミド保護ホモセリン(793mg、1.47mmol、78%)を得た。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 7.88 (dd, J = 5.0, 3.1 Hz, 3H), 7.83 - 7.72 (m, 4H), 7.70 (t, J = 7.3 Hz, 2H), 7.40 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 7.36 - 7.27 (m, 2H), 6.33 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 4.55 (q, J = 5.7 Hz, 1H), 4.49 - 4.39 (m, 2H), 4.35 (t, J = 5.7 Hz, 2H), 4.28 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 2.36 (d, J = 5.6 Hz, 2H), 1.51 (s, 9H).
13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 171.70, 156.97, 143.76, 143.55, 141.29, 127.74, 127.07, 125.06, 124.98, 120.01, 119.98, 82.61, 67.15, 58.24, 51.39, 47.15, 36.17, 27.96.
フタルイミド誘導体(100mg、0.18mmol)を、700μLの新たに蒸留したCH2Cl2中に溶解させた。HCOOH(1.4mL)を添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。揮発物を減圧下で除去して、無色の泡状物としてtBu脱保護されたFmoc-ホモセリン誘導体(84mg、0.17mmol、95%)を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.88 (dd, J = 5.3, 3.1 Hz, 2H), 7.79 (dd, J = 5.4, 3.1 Hz, 2H), 7.75 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.69 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 7.39 (t, J = 7.5 Hz, 2H), 7.35 - 7.29 (m, 2H), 6.33 (d, J = 8.3 Hz, 1H), 4.57 - 4.48 (m, 1H), 4.40 (dd, J = 7.4, 2.9 Hz, 2H), 4.34 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 4.27 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 2.35 (q, J = 5.9 Hz, 2H). MS (ESI) [M+H]+ 計算値486.48, 実測値486.7.
Boc-保護アミノオキシ含有アミノ酸の合成例
Figure 0007100034000008
火炎乾燥フラスコ内で、Ar圧下にて、Fmoc-Asp(OtBu)-OH(43.106g、106.12mmol、1当量)を400mlの無水MeOHに懸濁させた。Cs2CO3(17.288g、53.06mmol、0.5当量)を添加すると、混合物は直ちに無色の溶液になり、その後、この溶液を45分間撹拌した。揮発物を減圧下で除去し、白色固体を得た。残留物を500mlの無水MeCN中に溶解させ、臭化ベンジル(37.86ml、318.36mmol、3当量)を添加した。混合物を室温で3時間撹拌し、その間に白色の沈殿物が形成された。揮発物を除去し、残った固体を水及びEtOHで2回洗浄して、白色固体として所望のFmoc-Asp(OtBu)-OBnを定量収率で得た。1H-NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.78 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.62 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 7.42 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 7.33 (m, J = 15.3, 7.5 Hz, 7H), 5.93 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.23 (dd, J = 33.0, 12.4 Hz, 1H), 4.70 (dt, J = 8.4, 4.1 Hz, 1H), 4.51 - 4.40 (m, 1H), 4.40 - 4.30 (m, 1H), 4.26 (t, J = 7.1 Hz, 1H), 2.92 (ddd, J = 70.8, 17.0, 4.4 Hz, 2H), 1.45 (s, 9H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 170.70, 169.85, 155.89, 143.81, 143.59, 141.14, 135.15, 128.47, 128.31, 128.13, 127.60, 126.97, 125.08, 125.03, 119.87, 81.74, 67.34, 67.17, 50.55, 46.98, 37.62, 27.89.
Fmoc-Asp(OtBu)-OBn(1.604g、3.197mmol)を、15mlの新たに蒸留したCH2Cl2中に溶解させた。15mlのHCOOHを溶液に添加し、混合物を室温で一晩撹拌すると、その後、TLCは出発物質の完全な変換を示した。揮発物を減圧下で除去し、HCOOHの残留物をCH2Cl2との同時蒸発により除去して、白色固体としてFmoc-Asp(OH)-OBn(1.310g、2.94mmol、92%)を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 11.15 (s, 1H), 7.80 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.66 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.44 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 7.36 (d, J = 7.4 Hz, 7H), 6.16 (d, J = 8.5 Hz, 1H), 5.26 (s, 2H), 4.83 (dt, J = 8.6, 4.4 Hz, 1H), 4.50 (dd, J = 10.4, 7.4 Hz, 1H), 4.46 - 4.38 (m, 1H), 4.26 (t, J = 7.1 Hz, 1H), 3.18 (dd, J = 17.4, 4.6 Hz, 1H), 3.01 (dd, J = 17.4, 4.2 Hz, 1H) 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 175.36, 170.34, 156.04, 143.53, 143.39, 141.02, 134.84, 128.34, 128.20, 127.94, 127.51, 126.87, 124.90, 119.76, 67.44, 67.21, 50.18, 46.79, 36.12.
火炎乾燥フラスコ内で、N2流下にて、Fmoc-Asp(OH)-OBn(11.11g、25mmol)を、175mlの新たに蒸留したTHF中に溶解させた。反応混合物を0℃に冷却し、その後、BH3・SMe2(11.85ml、125mmol、5当量)を1時間かけて滴加する。混合物を氷上で2時間撹拌し、続いて室温まで温めて一晩撹拌すると、その後、TLCは出発物質の完全な消費を示した。混合物を飽和NH4Cl溶液で慎重にクエンチし、EtOAcで抽出した(3回)。有機相を1MのKHSO4、食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。揮発物を減圧下で除去すると、その後、Fmoc-ホモSer-OBnが白色固体(10.74g、24.86mmol、99%)として結晶化した。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.79 (d, J = 7.4 Hz, 2H), 7.62 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 7.43 (t, J = 7.4 Hz, 3H), 7.40 - 7.29 (m, 8H), 5.76 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 5.29 - 5.11 (m, 2H), 4.68 - 4.57 (m, 1H), 4.55 - 4.39 (m, 2H), 4.24 (t, J = 6.6 Hz, 1H), 3.79 - 3.67 (m, 1H), 3.61 (t, J = 9.8 Hz, 1H), 2.21 (ddt, J = 14.4, 9.4, 4.4 Hz, 1H), 1.75 (ddd, J = 14.1, 9.4, 4.4 Hz, 1H).
火炎乾燥フラスコ内で、N2下にて、Fmoc-ホモSer-OBn(7.01g、16.21mmol)を125mlの無水THF中に溶解させた。続いて、Boc2NOH(3.97g、17.02mmol、1.05当量)及びPPh3(4.46g、17.02mmol、1.05当量)を添加し、フラスコを氷浴上で冷却した。シリンジポンプを介してDIAD(4.29ml、17.02mmol、1.05当量)を滴加した(4.4ml/時)。混合物を室温まで温め、一晩撹拌した。揮発物を減圧下で除去し、その後、混合物をシリカ中に固定化した。カラムクロマトグラフィー(6:2:1-P.E.:CH2Cl2:EtOAc)により、白色固体として生成物(7.514g、11.60mmol、72%)を得た。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 7.77 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.67 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 7.40 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 7.37 - 7.33 (m, 2H), 7.33 - 7.24 (m, 5H), 6.63 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 5.20 (s, 2H), 4.65 (dt, J = 10.3, 5.5 Hz, 1H), 4.42 (dd, J = 10.2, 7.5 Hz, 1H), 4.38 - 4.29 (m, 1H), 4.24 (t, J = 7.2 Hz, 1H), 4.16 - 4.07 (m, 1H), 4.03 - 3.93 (m, 1H), 2.29 (q, J = 10.2, 6.0 Hz, 2H), 2.23 (dd, J = 12.8, 8.1 Hz, 1H), 1.55 (s, 18H).13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 171.63, 156.42, 150.34, 144.08, 143.95, 141.28, 135.52, 128.54, 128.31, 128.17, 127.66, 127.65, 127.07, 127.06, 125.32, 125.31, 119.92, 84.41, 72.54, 67.18, 67.14, 52.04, 47.21, 29.64, 28.10. HR-MS FD m/z [M+] C36H42N2O9の計算値:646.2890, 実測値646.2866.
Fmoc-ホモセリン(ONBoc2)-ベンジル-エステル(11.32g、17.51mmol)を150mlのCH2Cl2中に溶解させた。TFA(2.14ml、27.94mmol、1.6当量)。それを一晩撹拌すると、その後、NMRは不完全な変換を示した。0.9ml(11.75mmol、0.67当量)のTFAを添加し、反応混合物を再び一晩撹拌した。揮発物を除去した後、モノ-Boc化合物をカラムクロマトグラフィー(6:4:1-P.E.:CH2Cl2:EtOAc)で精製して、白色固体5.17g(9.22mmol、53%)を得た。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 7.79 (d, J = 7.6 Hz, 2H), 7.69 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.42 (t, J = 7.5 Hz, 3H), 7.40 - 7.27 (m, 9H), 6.57 (s, 1H), 5.22 (s, 2H), 4.64 (q, J = 6.5 Hz, 1H), 4.42 (tt, J = 17.9, 8.9 Hz, 2H), 4.26 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 4.01 (ddd, J = 11.4, 7.4, 4.3 Hz, 1H), 3.93 (dt, J = 10.5, 5.3 Hz, 1H), 2.20 (tq, J = 15.4, 9.8, 9.2 Hz, 2H), 1.52 (s, 9H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 171.96, 157.13, 156.32, 143.98, 143.79, 141.21, 135.33, 128.49, 128.30, 128.19, 127.59, 127.00, 125.21, 119.85, 82.05, 72.89, 67.16, 67.05, 51.81, 47.11, 29.92, 28.14. IR (cm-1) 3285, 3065, 2977, 2933, 1702, 1529, 1477, 1449, 1391, 1367, 1337, 1248, 1214, 1159, 1104, 1080, 1057, 1003, 909, 853, 757, 737. HR-MS FD m/z [M+] C31H34N2O7の計算値:546.2336, 実測値546.2366. mp 43℃.
火炎乾燥フラスコ内で、Fmoc-ホモセリン(ONHBoc)-ベンジル-エステル(5.17g、9.22mmol)を200mlのEtOH中に溶解させた。フラスコを脱気し、Pd/C(10質量%装填、256mg)を添加した。フラスコを排気し、H2で3回パージし、反応混合物をH2圧力(バルーン)下で、室温にて4時間撹拌した。TLCは出発物質の完全な変換を示し、反応フラスコをN2でパージした。混合物をセライトで濾過し、EtOHで溶出させた。揮発物を減圧下で蒸発させて、白色固体として所望のFmoc-ホモセリン(ONHBoc)-OHアミノ酸(4.20g、9.21mmol、99%)を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.78 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.67 (d, J = 7.3 Hz, 2H), 7.54 (s, 1H), 7.41 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 7.32 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 6.66 (s, 1H), 4.63 (q, J = 6.1 Hz, 1H), 4.41 (p, J = 10.3 Hz, 3H), 4.26 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 4.11 - 3.93 (m, 3H), 2.20 (d, J = 4.5 Hz, 2H), 1.52 (s, 9H).
ケトン含有アミノ酸の合成例:パラ-アセチルフェニルアラニンの合成
Figure 0007100034000009
還流凝縮器を備えたフラスコにH-Phe-OH(33.073g、200mmol)を添加し、170mlのEtOH中に懸濁させた。Ac2O(52ml、540mmol、2.7当量)を添加し、溶液を還流状態で一晩撹拌した。揮発物(酢酸残留物)を減圧下で除去して、黄色がかった粘着性の油状物を得た。この油状物を170mlのEtOHに再溶解させ、濃HCl(4ml、触媒量)を添加した。混合物を加熱還流して一晩撹拌した。揮発物を減圧下で除去した。黄色油状物をEtOAcに再溶解させ、1MのKHSO4溶液、飽和NaHCO3溶液及び食塩水で洗浄し、続いてNa2SO4上で乾燥させた。揮発物を減圧下で除去して、オフホワイトの固体としてAc-Phe-OEt(38.89g、165.31mmol、82%)を得た。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 7.28 (dt, J = 15.6, 7.0 Hz, 3H), 7.13 (d, J = 6.9 Hz, 2H), 6.16 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 4.87 (q, J = 6.0 Hz, 1H), 4.17 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.12 (tt, J = 13.8, 7.0 Hz, 2H), 1.99 (s, 3H), 1.25 (t, J = 7.1 Hz, 3H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 171.69, 169.61, 135.95, 129.26, 128.45, 127.00, 61.43, 53.16, 37.90, 23.04, 14.06. IR (cm-1) 3312, 3025, 3002, 2973, 2932, 2908, 1946, 1728, 1641, 1530, 1493, 1480, 1444, 1398, 1374, 1345, 1319, 1259, 1220, 1198, 1156, 1129, 1075, 1033, 1021, 966, 929, 909, 867, 824, 813, 764, 745. mp (℃) 67.
火炎乾燥フラスコに、N2流下及び0℃で、AlCl3(12.40g、93.00mmol、5.5当量)を添加し、続いてAcCl(7.2ml、101.27mmol、6.0当量)を滴加した。塊を含む(chunky)懸濁液に、18mlのCH2Cl2中のAc-Phe-OEt(4.00g、17.00mmol、1当量)の溶液を滴加した。暗橙色溶液を氷上で30分間撹拌し、次いで混合物を室温に温め、一晩撹拌した。HCl溶液(10%、1M)を用いて混合物を氷上で砕いた。生成物をCH2Cl2で抽出し、有機相を飽和NaHCO3溶液及び水で2回洗浄した。Na2SO4上で乾燥させた後、揮発物を減圧下で除去して、暗褐色の油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(1:2-P.E.:EtOAc)により、静置時に結晶化する、黄色がかった油状物としてアシル化生成物(4.26g、15.36mmol、90%)を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.84 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 7.19 (d, J = 8.2 Hz, 2H), 6.17 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 4.86 (dd, J = 19.7, 7.7 Hz, 1H), 4.14 (q, J = 6.2 Hz, 2H), 3.19 (dd, J = 13.8, 6.1 Hz, 1H), 3.10 (dd, J = 13.8, 5.9 Hz, 1H), 2.54 (s, 3H), 1.95 (s, 3H), 1.21 (t, J = 7.1 Hz, 3H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 197.50, 171.19, 169.48, 141.59, 135.78, 129.39, 128.32, 61.51, 52.79, 37.74, 26.38, 22.90, 13.94.
還流凝縮器を備えたフラスコに、アシル化生成物(7.00g、25.24mmol)を添加した。9MのHCl溶液を添加し(100ml、過剰)、わずかに橙色の混合物を90℃に加熱し、6時間撹拌した。混合物を室温まで冷却し、沈殿物を得た。この沈殿物を濾過し、アセトン及びEt2Oで洗浄して、わずかに黄色い微細な針状晶として、完全に脱保護されたH-p-AcPhe-OH生成物(3.769mg、15.41mmol、61%)を得た。残りの溶液を蒸発乾固させて黄色の固体を得て、それをアセトン及びEt2Oで洗浄した。濾過により、淡黄色の固体として生成物の第2のバッチ(2.316g、9.47mmol、37%)を得た。1H NMR (500 MHz, 重水) δ 7.89 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.36 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 4.28 - 4.20 (m, 1H), 3.26 (ddd, J = 58.6, 14.5, 6.7 Hz, 2H), 2.55 (s, 3H). 13C NMR (126 MHz, D2O) δ 203.57, 171.59, 140.59, 135.99, 129.81, 129.29, 54.09, 35.75, 26.31.
遊離H-p-AcPhe-OH(1.00g、4.09mmol)を11mlの1,4-ジオキサン中に溶解させ、その後、15mlの飽和NaHCO3水溶液を添加し、続いて溶液を0℃に冷却した。10mlのアセトン中のFmoc-OSu(1.45g、4.29mmol、1.05当量)の溶液を滴加した。フラスコを室温まで温め、溶液を一晩撹拌した。揮発物を減圧下で除去し、残りの溶液をEtOAcで希釈した。有機相を1MのKHSO4溶液で(8回)洗浄し、続いて食塩水で洗浄した。Na2SO4上で乾燥させた後、揮発物を減圧下で蒸発させて、オフホワイトの固体としてFmoc-pAcF-OH(1.72g、3.99mmol、97%)を得た。1H NMR (500 MHz, メタノール-d4) δ 7.89 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 7.78 (d, J = 7.5 Hz, 2H), 7.57 (dd, J = 11.1, 7.7 Hz, 2H), 7.38 (t, J = 6.4 Hz, 4H), 7.28 (q, J = 7.0 Hz, 2H), 7.20 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 4.50 (dd, J = 9.6, 4.6 Hz, 1H), 4.30 (dd, J = 10.5, 7.2 Hz, 1H), 4.22 (dd, J = 10.4, 7.1 Hz, 1H), 4.12 (t, J = 6.9 Hz, 1H), 3.31 (d, J = 4.5 Hz, 1H), 3.03 (dd, J = 13.7, 9.8 Hz, 1H), 2.52 (s, 3H). 13C NMR (126 MHz, MeOD) δ 198.79, 173.70, 156.85, 143.75, 143.52, 141.09, 135.40, 129.28, 128.16, 127.31, 126.68, 124.83, 124.74, 119.44, 66.49, 55.01, 46.89, 37.15, 25.20. LC-MS (ESI), tr 7.46, ([M+H]+ 計算値429.47 実測値429.8).
ペプチド合成
Prelude(Protein Technologies社、USA)合成装置において、4-(2',4'-ジメトキシフェニル-Fmoc-アミノメチル)-フェノキシ(RinkAmide)樹脂(Bachem社、Germany)を用いて、固相上でペプチドを合成した。すべてのFmoc-アミノ酸は、側鎖官能基がFmoc-プロトコルに従って保護された状態((N-tBoc(KW)、OtBu(DESTY)、N-Trt (HNQ)、S-Trt(C)又はN-Pbf(R)基)で、Biosolve社(Netherlands)、Bachem社(Germany)又はFluorochem社(UK)から購入した。二重カップリングを用いて、活性化時間を15分として、正準アミノ酸をNMP中の4倍過剰のHATU:アミノ酸:DIPEA(1:1:2)とカップリングした。二重カップリングを用いて、活性化時間を60分として、非天然アミノ酸をNMP中の2倍過剰のHATU:アミノ酸:DIPEA(1:1:2)とカップリングした。NMP中20%のピペリジン溶液を使用して、Fmoc脱保護を行った。樹脂をNMP:Ac2O:DIPEA(10:1:0.1 v/v/v)と室温で30分間反応させることによって、ペプチドのN末端のアシル化を行った。アシル化ペプチドは樹脂開裂により開裂し、保護基の除去と同時に生じた。室温で2時間撹拌した後の開裂カクテル(60ml/mmol樹脂)は、80体積%のTFA、7.5質量%のフェノール、5体積%のチオアニソール、2.5体積%のトリ-イソプロピルシラン、5体積%のMilliQ水からなり、樹脂を濾別し、粗ペプチドを氷冷エーテル:ペンタン-1:1で沈殿させる。ペレットをMeCN:H2O(1:1)中に溶解させ、凍結乾燥させる。ペプチドを更に精製するために、分取HPLCを行う。
Figure 0007100034000010
T4足場
Figure 0007100034000011
火炎乾燥フラスコに、N2流下で、ベンジルアミン(5ml、45.77mmol)を添加し、続いてブロモアセトアルデヒドジエチルアセタール(16ml、106.36mmol、2.3当量)及びNEt3(18ml、129.05mmol、2.8mmol)を添加した。黄色がかった混合物を100℃で18時間撹拌した。混合物をEtOAcで希釈し、H2O及びNaHCO3と食塩水の飽和溶液で洗浄し、続いてNa2SO4上で乾燥させた。揮発物を減圧下で除去して、橙色の油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(9:1-P.E.:EtOAc)により、淡黄色の油状物としてベンジル保護アミン(6.08g、17.91mmol)を収率31%で得る。1H NMR (300 MHz, クロロホルム-d) δ 7.30 (ddt, J = 21.7, 13.9, 7.0 Hz, 5H), 4.58 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 3.81 (s, 2H), 3.65 (dq, J = 9.2, 7.1 Hz, 4H), 3.51 (dq, J = 9.3, 7.0 Hz, 4H), 2.76 (d, J = 5.2 Hz, 4H), 1.20 (t, J = 7.1 Hz, 12H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 139.75, 128.68, 127.86, 126.59, 102.25, 61.75, 59.97, 57.21, 15.17. IR (cm-1) 3027, 2973, 2928, 2876, 1602, 1494, 1452, 1372, 1345, 1267, 1114, 1056, 1023, 916, 849, 816, 739, 698. HR-MS (FD) 339.23924, (計算値339.23828)
ベンジル保護アミン(5.008g、14.75mmol)を150mlのEtOH中に溶解させ、溶液を脱気し、N2でフラッシュした。Pd/C(10%装填、256mg)を添加し、排気/飽和(3回)後に水素圧をかけた(H2充填バルーン)。TLCが出発物質の完全な変換を示した後、混合物を室温で4時間撹拌した。溶液をNa2SO4/セライトパッドで濾過し、EtOHで溶出させた。揮発物を減圧下で除去し、淡黄色の油状物としてアセタール保護アミン(3.480g、13.98mmol、94%)を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 4.44 (t, J = 5.6 Hz, 2H), 3.60 - 3.50 (m, 4H), 3.44 - 3.34 (m, 4H), 2.59 (d, J = 5.6 Hz, 4H), 1.06 (t, J = 7.1 Hz, 12H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 101.70, 61.98, 51.62, 14.99. IR (cm-1) 2974, 2876, 1455, 1372, 1346, 1282, 1223, 1118, 1056, 1021, 944, 854, 813, 603, 504. HR-MS (FD) 249.19077 (計算値249.19401)
火炎乾燥フラスコ内で、N2流下にて、1,2,4,5-テトラキス(ブロモメチル)ベンゼン(2.50g、5.55mmol、3当量)を、200mlの新たに蒸留したMeCNに溶解させ、DIPEA(650μL、6.77mmol、1.2当量)を添加した。第2級アミン生成物(461mg、1.85mmol、1当量)を30mlのMeCN中に溶解させ、ジュレン溶液に滴加した。一晩撹拌した後、反応混合物を濃縮し、シリカ上に固定化し、その後、フラッシュカラムクロマトグラフィー(2:1-CH2Cl2:EtOAc~CH2Cl2中15%のMeOH)により、明るい橙色のワックス状固体(468mg、0.87mmol、47%)として足場を得た。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.58 (s, 2H), 5.06 (s, 4H), 4.87 (s, 4H), 3.80 (d, J = 4.8 Hz, 4H), 3.66 - 3.53 (m, 4H), 3.44 - 3.36 (m, 4H), 3.16 (dt, J = 7.4, 3.7 Hz, 2H), 1.32 - 1.22 (m, 12H). LC-MS (ESI) tr 6.76分, [M]+ 計算値538.34, 実測値538.2.
Figure 0007100034000012
火炎乾燥フラスコ内で、N2流下にて、tert-ブチル3,5-ビス(ブロモメチル)ベンゾエート(500mg、1.37mmol)を27mlの無水DMF中に溶解させた。KPhth(1015mg、5.48mmol、4当量)を次に添加し、混合物を125℃に加熱し一晩撹拌した。懸濁液を室温まで冷却し、混合物を蒸発乾固させた。混合物をCH2Cl2中に溶解させ、水、1MのKHSO4、飽和NaHCO3水溶液及び水で洗浄した。Na2SO4上で乾燥させた後、揮発物を減圧下で除去した。フタルイミド残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(3:1-P.E:EtOAcで最初のスポットを除去し、次いで4:1-EtOAc:P.E.まで増加させた)によって除去して、白色固体としてフタルイミド生成物(533mg、1.07mmol、78%)を得た。1H NMR (300 MHz, クロロホルム-d) δ 7.90 (d, J = 1.4 Hz, 2H), 7.85 (dd, J = 5.4, 3.1 Hz, 4H), 7.72 (dd, J = 5.4, 3.1 Hz, 4H), 7.64 (s, 1H), 4.87 (s, 4H), 1.56 (s, 9H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 167.88, 164.97, 137.03, 134.06, 133.01, 132.31, 132.02, 128.57, 123.46, 81.35, 41.10, 28.11. IR (cm-1) 2975, 2938, 1769, 1706, 1607, 1554, 1536, 1466, 1427, 1391, 1367, 1342, 1310, 1257, 1231, 1155, 1122, 1099, 1086, 973, 957, 918, 896, 845, 794, 774, 726, 710, 695. HR-MS FD m/z [M+] C29H24N2O6の計算値:496.1634, 実測値496.1634. mp 212℃.
フタルイミド化合物(468mg、0.94mmol)を、5mlの新たに蒸留したCH2Cl2中に溶解させ、HCOOHを添加した(10ml、過剰)。混合物を室温で一晩撹拌すると、その間に沈殿物が形成された。固体を濾別し、乾燥させた。遊離した酸をオフホワイトの粉末(398mg、0.91mmol、96%)として得て、それを更に精製することなく使用した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.10 (s, 1H), 7.88 (q, J = 4.4 Hz, 8H), 7.76 (s, 2H), 7.53 (s, 1H), 4.82 (s, 4H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 167.61, 166.70, 137.65, 134.61, 131.43, 130.93, 127.27, 123.26, 40.44. IR (cm-1) 3064, 1771, 1704, 1604, 1466, 1428, 1393, 1359, 1343, 1311, 1261, 1240, 1190, 1170, 1112, 1102, 1086, 1071, 980, 960, 914, 885, 834, 792, 773, 746, 725, 710. mp 228℃ (昇華物), 351℃融解. HRMS FD m/z [M+] C25H16N2O6の計算値:440.1008, 実測値440.1004.
火炎乾燥フラスコ内で、N2流下にて、Phth酸(1000mg、2.27mmol)を15mlの無水DMF中に懸濁させた。HATU(949mg、2.497mmol、1.1当量)及びDIPEA(1ml、5.74mmol、2.5当量)を添加して、透明な溶液を得た。混合物を30分間撹拌し、その後、アセタール保護アミン(594mg、2.38mmol、1.05当量)を添加した。混合物を一晩撹拌し、その後、EtOAcで希釈し、H2O及び食塩水で洗浄した。Na2SO4上で乾燥し、濾過し、揮発物を蒸発させた後、フタルイミド-アミドが薄茶色の固体(1540mg、2.27mmol、定量分析)として得られ、これを更に精製することなく使用する。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 7.82 (dd, J = 5.3, 3.1 Hz, 4H), 7.70 (dd, J = 5.4, 3.0 Hz, 4H), 7.54 (s, 1H), 7.33 (s, 2H), 4.82 (s, 4H), 4.77 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 4.33 (t, J = 4.7 Hz, 1H), 3.80 - 3.68 (m, 2H), 3.63 (d, J = 4.9 Hz, 2H), 3.57 (dt, J = 15.5, 6.7 Hz, 3H), 3.44 (dt, J = 14.8, 7.0 Hz, 3H), 3.38 (d, J = 4.8 Hz, 2H), 3.25 (p, J = 7.1 Hz, 2H), 1.20 (t, J = 6.6 Hz, 8H), 1.02 (t, J = 6.8 Hz, 6H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 171.76, 167.76, 137.71, 137.21, 134.03, 132.05, 129.72, 126.25, 123.39, 101.49, 100.98, 63.56, 63.26, 52.70, 49.26, 41.12, 15.42, 15.20. IR cm-1 2974, 2929, 2877, 1765, 1702, 1635, 1605, 1468, 1445, 1421, 1394, 1348, 1329, 1313, 1260, 1233, 1173, 1119, 1103, 1054, 1016, 958, 960, 938, 914, 886, 846, 799, 733, 712 HR-MS FD m/z [M+] C37H41N3O9の計算値:671.2843, 実測値671.2842 mp 161-164℃.
フタルイミドアミド(1530mg、2.27mmol)を20mlのトルエン/EtOH(1:2)中に懸濁させた。ヒドラジン水和物(51%水溶液、1.42ml、22.77mmol、10当量)を添加し、混合物を還流状態で2時間撹拌すると、その間に濃厚な沈殿物が形成された。混合物を室温まで冷却し、その後、固体を濾別し、CH2Cl2で洗浄した。揮発物を減圧下で除去し、粗ジアミンを定量収率で得た。これを更に精製することなく使用した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 7.33 (s, 1H), 7.14 (s, 2H), 5.76 (s, 2H), 4.73 (s, 1H), 4.54 (s, 1H), 3.73 (s, 4H), 3.71 - 3.63 (m, 2H), 3.62 - 3.55 (m, 3H), 3.55 - 3.40 (m, 5H), 3.35 (d, J = 12.5 Hz, 4H), 1.16 (t, J = 6.3 Hz, 8H), 1.08 - 0.95 (m, 6H).
粗ジアミン(水を含有、1190mg、推定2.27当量)を、5mlのEtOHを添加した55mlのCH2Cl2中に溶解させた。次いで、NaHCO3(1334mg、15.89mmol、7当量)及びブロモ酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(1768mg、7.49mmol、3.3当量)を添加し、混合物を1時間撹拌すると、その後、TLC分析は完全な変換を示した。反応混合物を水で希釈し、CH2Cl2で抽出した。続いて有機相を水、食塩水及びNaHCO3の飽和溶液で洗浄した。Na2SO4上で乾燥し、濾過し、揮発物を減圧下で蒸発させた後、粗生成物が得られ、これをカラムクロマトグラフィー(7:1-EtOAc:P.E.)で精製し、綿毛状の白色固体として所望の足場(950mg、1.54mmol、全体で64%)を得た。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 7.20 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 7.18 (s, 2H), 7.13 (s, 1H), 4.79 (t, J = 4.9 Hz, 1H), 4.46 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 4.36 (d, J = 5.9 Hz, 4H), 3.88 (s, 4H), 3.75 (p, J = 7.2 Hz, 2H), 3.66 (d, J = 4.9 Hz, 2H), 3.58 (dq, J = 14.1, 6.9 Hz, 5H), 3.43 (d, J = 4.8 Hz, 2H), 3.37 (dt, J = 15.5, 7.2 Hz, 2H), 1.22 (t, J = 6.9 Hz, 6H), 1.13 (t, J = 6.9 Hz, 6H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 172.11, 165.89, 138.56, 137.35, 127.32, 125.09, 101.14, 100.80, 63.33, 52.68, 48.78, 43.40, 28.86, 15.28. IR (cm-1) 3262, 3067, 2971, 2873, 1678, 1665, 1599, 1480, 1424, 1373, 1341, 1297, 1266, 1248, 1227, 1209, 1177, 1120, 1063, 1027, 933, 905, 858, 830, 799, 763, 723, 708. HR-MS FD m/z [M+] C25H39Br2N3O7の計算値:651.1155, 実測値651.1136. mp 74℃
Figure 0007100034000013
ビス-Bocヒドロキシルアミンの合成
火炎乾燥フラスコに、N2流下で、N-ベンジルヒドロキシルアミン塩酸塩(3.794g、23.77mmol)を、30mlの新たに蒸留したMeCN中に懸濁させた。NEt3(3.65ml、26.15mmol、1.1当量)を添加し、混合物を室温で2時間撹拌した。固体を濾別し、30mlのMeCNで洗浄した。残った液体を0℃まで冷却し、30mlのMeCN中にBoc2O(5.931g、27.19mmol、1.14当量)の溶液を滴加した。続いて溶液を室温に温め、一晩撹拌した。30mlのMeCNにおけるBoc2Oの第2の部分(8.300g、38.03mmol、1.6当量)を、DMAP(290mg、2.38mmol、0.1当量)と一緒に添加した。溶液を40℃に温め、6時間撹拌し、その後、溶液を室温まで冷却した。揮発物を減圧下で除去して、白色ワックス状固体を得た。残渣をEtOAc中に溶解させ、1Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7)で洗浄し、続いて食塩水で洗浄し、有機相をNa2SO4上で乾燥させた。揮発物を回転蒸発により除去し、無色油状物としてN,N-ビス-Boc保護N-ベンジルヒドロキシルアミンを得た。これを放置すると、ワックス状固体に固化した(7.424g、22.96mmol、96%)。
先に得られた生成物のすべてを35mlのEtOH中に溶解させた。溶媒を脱酸素し、N2でフラッシュした。Pd/C(5質量%装填、436mg、5mol%)を添加し、バルーンを介してH2圧力を加えた。3サイクルの排気/飽和の後、混合物を室温で16時間撹拌した。このときTLCは出発物質を示さなかった。反応混合物をセライトパッドで濾過し、EtOHで溶出させた。揮発物を回転蒸発により除去し、得られた油状物をEtOAc中に再溶解させた。それを1MのNaOH溶液でトライス(trice)洗浄し、その後、水相を1MのKHSO4溶液でpH7まで慎重に中和した。次いで、生成物をEtOAcで抽出し、収集した有機相を食塩水で洗浄しNa2SO4上で乾燥させた。揮発物を減圧下で除去すると、粘着性の油状物が得られ、それを放置すると結晶化し、白色結晶性固体としてビス-Bocヒドロキシルアミン(4.586g、19.66mmol、85%)が得られた。分析データは文献(Jayasekara, P.S.; Jacobson、2014)に報告されているものと一致する。
フラスコに、ジエタノールアミン(4.8ml、50mmol)を添加し、170mlのジオキサン及び100mlの飽和NaHCO3溶液(水溶液)中に溶解させた。次いで、125mlのアセトン中のCbz-OSu(13.09g、52.5mmol、1.05当量)の溶液を混合物に滴加した。混合物を室温で一晩撹拌し、その後、揮発物を減圧下で除去した。得られたスラリーをEtOAc中に再溶解させ、水と1MのKHSO4の溶液(水溶液)(6回)で交互に洗浄し、食塩水で洗浄した。Na2SO4上で乾燥させた後、揮発物を減圧下で除去し、Cbz-保護ジエタノールアミン生成物の無色油状物(10.065g、42.06mmol、84%)を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.43 - 7.31 (m, 5H), 5.15 (s, 2H), 3.85 (s, 3H), 3.78 (s, 2H), 3.50 (p, J = 4.6 Hz, 4H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 156.24, 135.93, 128.04, 127.59, 127.30, 66.81, 60.82, 60.43, 51.78, 51.20. IR (cm-1) 3368, 3064, 3032, 3942, 2879, 1671, 1496, 1473, 1455, 1415, 1363, 1262, 1217, 1130, 1046, 989, 906, 858, 768, 734, 696.
火炎乾燥フラスコ内で、N2流下にて、Cbz-保護ジエタノールアミン(10.0g、41.79mmol)を、230mlの新たに蒸留したTHF中に溶解させた。PPh3(23.02g、87.76mmol、2.1当量)及びBoc2N-OH(20.47g、87.76mmol、2.1当量)を添加し、溶液を0℃まで冷却した。シリンジポンプを介してDIAD(17.3ml、87.76mmol、2.1当量)を滴加した(5ml /時)。混合物を室温まで温め、一晩撹拌した。揮発物を減圧下で除去し、黄色の油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(3:2:0.5-P.E.:CH2Cl2:EtOAc)により、無色の油状物として、保護アミノ-オキシ化合物(21.39g、31.94mmol、76%)を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.39 - 7.30 (m, 5H), 5.14 (s, 2H), 4.10 (t, J = 5.0 Hz, 2H), 4.04 (t, J = 5.5 Hz, 2H), 3.67 (q, J = 5.2 Hz, 4H), 1.53 (s, 18H), 1.51 (s, 18H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 155.73, 149.88, 136.43, 128.49, 128.03, 127.93, 83.72, 83.68, 75.00, 74.90, 67.21, 47.26, 46.68, 28.01. IR (cm-1) 2979, 2936, 1792, 1751, 1703, 1475, 1457, 1412, 1393, 1368, 1344, 1271, 1247, 1140, 1109, 1092, 1038, 1004, 912, 890, 848, 794, 768, 751, 735, 697.
保護アミノオキシ化合物(840mg、1.2mmol、1当量)を20mlのCH2Cl2中に溶解させた。TFA(368μL、4.8mmol、4当量)を滴加し、その後、混合物を室温で16時間撹拌した。TLC及びNMR分析はモノ脱保護を示した。揮発物を減圧下で除去した。CbZ-基を除去するために、油状残渣を25mlのEtOHに再溶解させた。溶液を排気し、N2でパージした。Pd/C(10質量%、75mg)を添加した。バルーンを介してH2圧を添加した。溶液を3回排気し、H2で飽和させた。溶液を室温で3時間撹拌し、その後、それをセライトパッドで濾過した。EtOHで溶出した後、揮発物を減圧下で除去し、不透明な油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc:EtOH-5:1)を介してさらなる精製により、非常に粘着性の高い泡状物として脱保護アミン1(363mg、1.08mmol、90%)を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 4.26 - 4.13 (m, 4H), 3.40 - 3.18 (m, 4H), 1.50 (s, 18H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 158.30, 82.98, 71.54, 45.93, 28.17. IR (cm-1) 3198, 2981, 2938, 1672, 1446, 1395, 1369, 1287, 1253, 1201, 1161, 1112, 1051, 1011, 925, 837, 799, 774, 721.
Figure 0007100034000014
火炎乾燥フラスコ内で、N2流下にて、1,2,4,5-テトラキス(ブロモメチル)ベンゼン(1.350g、3mmol、3当量)を、175mlの新たに蒸留したMeCN中に溶解させた。DIPEA(348μL、2mmol、2当量)を添加し、すべての固体が溶解するまで混合物を撹拌した。20mlのMeCN中の脱保護アミン1(335mg、1mmol、1当量)の溶液をジュレン溶液に1時間かけて滴加し、混合物を一晩撹拌した。出発物質の完全消費がLC-MS分析により示された。フラッシュカラムクロマトグラフィー(EtOAc、次いで、5:1から2:1までのEtOAc:EtOH)により、黄色の泡状物としてT4N-1(400mg、0.64mmol、64%)を得た。1H NMR (400 MHz, CH3CN+D2O) δ 7.47 (s, 2H), 5.05 (s, 4H), 4.74 (s, 4H), 4.18 (s, 4H), 3.95 - 3.88 (m, 4H), 1.43 (s, 18H). 13C NMR (101 MHz, CH3CN+D2O) δ 157.78, 138.90, 134.88, 126.62, 82.51, 70.58, 69.38, 60.80, 30.16, 28.10. LC-MS [M]+ 計算値624.39 実測値624.4.
Figure 0007100034000015
火炎乾燥フラスコ内で、N2流下にて、3,5-ジメチル安息香酸(2.00g、13.31mmol)を1.6mlのトルエン中に懸濁させた。塩化チオニル(2ml、27.6mmol、2.06当量)を添加し、混合物を穏やかに還流するまで温め、4時間撹拌した。揮発物を減圧下で除去し、その後、油状残渣を、4mlの新たに蒸留したCH2Cl2で希釈した。t-BuOH(2.05ml、21.31mmol、1.6当量)を添加し、続いてピリジン(1.13ml、13.98mmol、1.05当量)を添加した。混合物を12時間撹拌し、その後、固体を濾過により除去してCH2Cl2で洗浄する。有機相を4MのHCl、水、2MのNaOH及び水で洗浄した。K2CO3上で乾燥させた後、揮発物を除去し、無色の油状物としてOtBu-エステル(2.48g、12.03mmol、90%)を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.63 (s, 2H), 7.17 (s, 1H), 2.38 (s, 6H), 1.62 (s, 9H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 166.12, 137.75, 133.99, 127.09, 80.70, 28.18, 21.13.
火炎乾燥フラスコ内で、N2流下にて、OtBu-エステル(13.95g、67.64mol)を、新たに蒸留したCH2Cl2(250ml)中に溶解させた。NBS(25.28g、142.04mmol、2.1当量)を添加し、混合物を脱気し、N2でフラッシュした。フラスコに市販のハロゲン工事ランプ(500W)を照射し、混合物を穏やかに還流するまで加熱した。混合物を1.5時間撹拌すると、その後、1H-NMRにより反応が完了したことが示された*。混合物をCH2Cl2で希釈し、水で洗浄した。Na2SO4上で乾燥させた後、揮発物を減圧下で除去し、無色の油状物を得た。混合物をヘキサンから結晶化し、白色固体として臭素化生成物(7.56g、20.77mmol、31%)を得た。2回目の結晶化により、更に1.71g(4.70mmol、7%)を得た。*混合物は、二重臭素化生成物(<15%)及び<15%の不完全臭素化出発物質の両方を含有する。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.94 (s, 2H), 7.60 (s, 1H), 4.51 (s, 4H), 1.61 (s, 9H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 164.31, 138.54, 133.28, 133.10, 129.69, 81.56, 31.94, 28.01. IR (cm-1) 3013, 2982, 2969, 2932, 1790, 1714, 1604, 1472, 1449, 1390, 1369, 1319, 1236, 1213, 1154, 1110, 1060, 999, 973, 953, 918, 893, 846, 794, 771, 753, 734, 692. mp 52℃.
臭素化生成物(5.00g、13.73mmol)を、新たに蒸留したCH2Cl2(50ml)中に溶解させた。HCOOHを添加し、溶液を室温で一晩撹拌すると、その後、1H-NMRにより反応の完了が示された。揮発物を減圧下で除去し、CH2Cl2との同時蒸発(3回)により、白色固体として酸生成物(3.98g、12.92mmol、94%)を得て、これを更に精製することなく使用した。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.10 (s, 2H), 7.71 (s, 1H), 4.55 (s, 4H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 170.03, 139.08, 134.64, 130.45, 130.31, 31.53. IR (cm-1) 2971, 2821, 2710, 2604, 2539, 1686, 1603, 1460, 1437, 1420, 1308, 1278, 1248, 1211, 1162, 1111, 1056, 998, 938, 927, 904, 855, 771, 728, 691, 662. mp 123℃ (昇華物), 142℃ (融解).
火炎乾燥フラスコに、N2流下で、酸生成物(2.00g、6.49mmol)を添加し、SOCl2(9ml、過剰)中に懸濁させた。混合物を温めて還流させ、橙色の溶液を4時間撹拌した。その後、温度を50℃に下げ、混合物を一晩撹拌した。SOCl2の残留物を減圧下で除去し、トルエンと共に2回同時蒸発させた。得られた橙色の油状物を50mlの新たに蒸留したCH2Cl2中に溶解させ、DMAP(50mg、6mol%)を添加した。10mlのCH2Cl2中のアミン1(1.94g、5.78mmol、0.9当量)及びDIPEA(1.13ml、6.49mmol、1当量)の溶液を酸塩化物溶液に滴加した。2時間後、反応は完全な変換を示した。混合物を分液漏斗に移し、1MのKHSO4溶液(水溶液)及び食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させる。揮発物を減圧下で除去し、橙色の油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(3:1-2:1-4:3-ペンタン:EtOAc)により、黄色がかった粘着性のある固体として生成物を得る。1H-NMR、13C-NMR及びLC-MSにより、生成物は2つの臭化物を含有しないが、ハロゲン交換が行われ、生成物の一部がBrの代わりにClを含有するようになったと決定した。NMRデータに基づき、これは質量の30%を占める。追跡化学は有害な影響を受けない。したがって、化合物の分子量は、現在、625.36ではなく612.02となっており、21%の収率(763mg、1.24mmol)でT4N-2足場が得られる。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 8.37 (s, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.38 (s, 1H), 7.34 (s, 1H), 4.50 (s, 1H), 4.39 (s, 3H), 4.01 (s, 2H), 3.87 (s, 2H), 3.79 (s, 2H), 3.49 (s, 2H), 1.39 (d, J = 7.0 Hz, 18H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 171.60, 156.97, 156.71, 138.90, 138.57, 137.23, 137.18, 130.45, 129.98, 127.42, 126.90, 81.68, 81.38, 74.31, 73.53, 48.09, 45.10, 43.97, 32.06, 28.23. (下線値は塩素置換基に属するピークである). LC-MS:ピークが2つ現れる, 1) tr 8.11, (副)、1x Cl、1x Br、[M+H]+ 計算値581.91, 実測値581.91, 更にm/z 604.2 (Na+), m/z 482.0 (-Boc + H+)及びm/z 382.2 (-2Boc + 2H+). 2) tr 8.18 (主)、2x Br、[M+H]+ 計算値626.38, 実測値625.8, 更にm/z 648.1 (Na+), m/z 525.9 (-Boc + H+)及びm/z 426.1 (-2Boc + 2H+).
Figure 0007100034000016
火炎乾燥フラスコ内で、N2流下にて、tert-ブチル3,5-ビス(ブロモメチル)ベンゾエート(500mg、1.37mmol)を27mlの無水DMF中に溶解させた。KPhth(1015mg、5.48mmol、4当量)を次に添加し、混合物を125℃に加熱し一晩撹拌した。懸濁液を室温まで冷却し、混合物を蒸発乾固させた。混合物をCH2Cl2中に溶解させ、水、1MのKHSO4、飽和NaHCO3水溶液及び水で洗浄した。Na2SO4上で乾燥させた後、揮発物を減圧下で除去した。フタルイミド残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(3:1-P.E.:EtOAcで最初のスポットを除去し、次いで4:1-EtOAc:P.E.まで増加させた)によって除去して、白色固体としてフタルイミド生成物(533mg、1.07mmol、78%)を得た。1H NMR (300 MHz, クロロホルム-d) δ 7.90 (d, J = 1.4 Hz, 2H), 7.85 (dd, J = 5.4, 3.1 Hz, 4H), 7.72 (dd, J = 5.4, 3.1 Hz, 4H), 7.64 (s, 1H), 4.87 (s, 4H), 1.56 (s, 9H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 167.88, 164.97, 137.03, 134.06, 133.01, 132.31, 132.02, 128.57, 123.46, 81.35, 41.10, 28.11. IR (cm-1) 2975, 2938, 1769, 1706, 1607, 1554, 1536, 1466, 1427, 1391, 1367, 1342, 1310, 1257, 1231, 1155, 1122, 1099, 1086, 973, 957, 918, 896, 845, 794, 774, 726, 710, 695. mp 212℃.
フタルイミド化合物(468mg、0.94mmol)を、5mlの新たに蒸留したCH2Cl2中に溶解させ、HCOOHを添加した(10ml、過剰)。混合物を室温で一晩撹拌すると、その間に沈殿物が形成された。固体を濾別し、乾燥させた。遊離した酸をオフホワイトの粉末(398mg、0.91mmol、96%)として得て、それを更に精製することなく使用した。1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 13.10 (s, 1H), 7.88 (q, J = 4.4 Hz, 8H), 7.76 (s, 2H), 7.53 (s, 1H), 4.82 (s, 4H). 13C NMR(126 MHz, CDCl3) δ 167.61, 166.70, 137.65, 134.61, 131.43, 130.93, 127.27, 123.26, 40.44.
粗酸(298mg、0.68mmol)を3mlのDMF中に懸濁させた。HATU(283mg、0.74mmol、1.1当量)を添加し、続いてDIPEA(235μL、1.35mmol、2当量)を添加した。混合物を15分間撹拌し、その後アミン1(283mg、0.74mmol、1.1当量)を4mlのDMF中に溶解させ、反応混合物に滴加した。4時間後、LC-MS分析により完全な変換が観察された。混合物を減圧下で濃縮し、残渣をEtOAc中に溶解させ、水で洗浄し(5回)、続いて食塩水で洗浄した。Na2SO4上で乾燥させた後、揮発物を減圧下で除去し、生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(1:1-P.E:EtOAc)で精製して、白色泡状物としてアミド(375mg、0.50mmol、73%)を得た。1H NMR (300 MHz, クロロホルム-d) δ 8.42 (s, 1H), 8.08 (s, 1H), 7.68 (dd, J = 5.3, 3.1 Hz, 4H), 7.58 (dd, J = 5.4, 3.1 Hz, 4H), 7.43 (s, 1H), 7.28 (s, 2H), 4.71 (s, 4H), 3.97 (s, 2H), 3.85 (s, 2H), 3.75 (s, 2H), 3.42 (s, 2H), 1.33 (s, 18H). 13C NMR (75 MHz, CDCl3) δ 171.87, 167.75, 156.88, 156.63, 137.24, 137.06, 134.10, 131.77, 129.64, 126.22, 123.33, 81.39, 81.07, 74.27, 73.41, 47.96, 43.87, 40.98, 28.17. IR (cm-1) 3266, 2976, 2934, 1770, 1707, 1624, 1468, 1426, 1391, 1366, 1344, 1248, 1161, 1108, 1050, 1012, 955, 728, 711. mp 78℃.
アミド化合物(1866mg、2.36mmol)をフラスコに添加し、EtOH:トルエン-2:1(31ml)中に溶解させた。ヒドラジン水和物(水中50%溶液、1.6ml、23.6mml、10当量)を添加し、混合物を加熱還流したところ、30分後に固体が沈殿し始めた。混合物を還流状態で一晩撹拌し、その後、黄色の懸濁液を室温まで冷却させた。固体を濾別し、CH2Cl2で洗浄した(3回)。揮発物を減圧下で除去し、白色固形物としてビス-アミン(1084mg、2.18mmol、92%)を得、これを更に精製することなく次の反応工程で使用した。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 8.51 (s, 1H), 8.21 (s, 1H), 7.33 (s, 2H), 7.31 (s, 1H), 4.11 (s, 2H), 4.00 (s, 2H), 3.92 (s, 4H), 3.87 (s, 2H), 3.59 (s, 2H), 1.49 (s, 18H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 173.28, 157.34, 156.60, 143.71, 136.76, 127.11, 124.05, 81.65, 81.48, 74.01, 73.35, 48.03, 45.97, 43.39, 38.62, 28.26.
ビス-アミン(688mg、1.38mmol)を36mlの新たに蒸留したCH2Cl2中に溶解させ、7mlのEtOHを添加してアミンを完全に溶解させた。NaHCO3(s)(381mg、4.53mmol、3.3当量)を添加した。ブロモ酢酸N-ヒドロキシスクシンイミドエステル(1071mg、4.54mmol、3.3当量)を添加し、反応混合物を室温で30分間撹拌すると、その後、LC-MS分析は完全な変換を示した。揮発物を減圧下で除去し、その後、残渣をCH2Cl2中に溶解させ、1MのKHSO4、水、食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を再び除去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(7:1-EtOAc:P.E.)により、白色泡状物としてT4N-3足場(635ngm、0.86mmol、62%)を得た。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 8.30 (d, J = 15.0 Hz, 2H), 7.62 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 7.21 (s, 2H), 7.16 (s, 1H), 4.32 (d, J = 5.9 Hz, 4H), 4.02 (s, 2H), 3.92 (s, 2H), 3.84 (s, 4H), 3.77 (s, 2H), 3.46 (s, 2H), 1.44 (s, 18H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3, rt) δ 172.47, 166.58, 157.14, 156.76, 138.92, 136.62, 128.38, 127.39, 125.56, 124.58, 81.80, 81.66, 73.71, 73.61, 73.20, 72.99, 48.22, 44.09, 43.72, 43.35, 42.97, 29.64, 29.50, 28.86, 28.74, 28.23, 27.85, 26.96.
T6足場
Figure 0007100034000017
ベンゼン-1,3,5-トリイルトリメタノール(400mg、2.38mmol)を8mlのtBuOH中に懸濁させ、IBX(4.00g、14.27mmol、6当量)を添加した。混合物を加熱還流し、5時間撹拌した。懸濁液を室温まで冷却させ、固体を濾別し、続いてCH2Cl2で洗浄した。透明な液体を蒸発乾固させて、白色粉末としてトリアルデヒド(385mg、2.38mmol、定量分析)を得た。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 10.21 (s, 3H), 8.64 (s, 3H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 189.78, 137.80, 134.76.
火炎乾燥フラスコ内で、N2流下にて、トリ-アルデヒド(162mg、1.00mmol)を6mlの1:1 CHCl3:MeOH中に溶解させた。次に、2,2-ジエトキシエタンアミン(653μL、4.5mmol、4.5当量)を滴加した。混合物を室温で1時間撹拌し、その後、揮発物を減圧下で除去し、橙色の油状物としてイミン(499mg、0.98mmol、98%)を得た。残渣(458mg、0.90mmol)を4mlのMeOH中に溶解させ、0℃まで冷却した。NaBH4(204mg、5.42mmol、6当量)を添加し、混合物を1時間撹拌すると、その後、TLCは完全な完了を示した。反応混合物を飽和NH4Cl溶液でクエンチし、CH2Cl2で抽出した。合わせた有機相を飽和NaHCO3溶液及び食塩水で洗浄し、続いてNa2SO4上で乾燥させた。揮発物を減圧下で除去して淡黄色油状物としてトリアミン(457mg、0.88mmol、98%)を得、これを更に精製することなく粗原料として使用した。1H NMR 1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 7.12 (s, 3H), 4.58 (t, J = 5.5 Hz, 3H), 3.74 (s, 6H), 3.63 (dt, J = 14.2, 7.0 Hz, 6H), 3.53 - 3.42 (m, 6H), 2.70 (d, J = 5.5 Hz, 6H), 1.15 (t, J = 7.1 Hz, 15H). 13C NMR 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 140.22, 126.42, 101.91, 62.10, 53.58, 51.46, 15.18.
トリ-アミン(457mg、0.89mmol、1当量)を7.5mlのCH2Cl2中に溶解させ、その後、13mlの飽和NaHCO3溶液を添加した。混合物を0℃まで冷却し、6mlのCH2Cl2中の臭化ブロモアセチル(227μL、2.70mmol、4.5当量)の溶液を滴加した。二相溶液を室温まで温め、2時間撹拌すると、その後、TLCは完全な変換を示した。生成物をCH2Cl2で抽出し、有機相を飽和NaHCO3溶液で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。揮発物を減圧下で除去して、橙色の油状物を得た。フラッシュカラムクロマトグラフィー(1:1-P.E.:EtOAc)により、薄橙色の油状物としてT6C-2足場(318mg、0.36mmol、41%)を得た。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 7.06 - 6.81 (m, 3H), 4.69 (d, J = 6.3 Hz, 3H), 4.60 (d, J = 8.2 Hz, 4H), 4.44 (dt, J = 18.1, 4.5 Hz, 2H), 4.07 (t, J = 11.0 Hz, 4H), 3.78 (s, 2H), 3.75 - 3.62 (m, 6H), 3.59 - 3.48 (m, 2H), 3.44 (dt, J = 15.3, 7.4 Hz, 4H), 3.36 (s, 6H), 1.20 - 1.12 (m, 18H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 168.38, 168.29, 168.20, 167.41, 167.38, 138.89, 138.42, 138.31, 138.05, 137.89, 137.56, 126.16, 126.01, 124.34, 123.57, 100.83, 100.79, 100.73, 64.11, 64.03, 63.85, 63.81, 53.12, 53.09, 51.01, 50.96, 49.74, 49.65, 49.55, 49.38, 49.31, 49.21, 27.03, 26.74, 26.46, 26.30, 26.14, 25.92, 15.34, 15.25.
Figure 0007100034000018
火炎乾燥フラスコに、Ar圧(バルーン)下で、ヨードベンゼン(28ml、250mmol)を添加し、続いてTFA(100ml)及びCHCl3(240ml)を添加した。オキソン(116g、377mmol、1.5当量)を激しく撹拌しながら添加した。すべてのオキソンを添加してから5分後、発熱が生じるため、混合物を30分間氷上に置いた。氷浴を取り外し、混合物を室温で2日間撹拌した。固体をCHCl3中に懸濁させ、濾過した。収集した濾液を減圧下で蒸発乾固させて、オフホワイトの固体としてビス-トリフルオロアセトキシヨードベンゼン(89.3g、208mmol、83%)を得た。1H NMR (300 MHz, クロロホルム-d) δ 8.20 (d, J = 7.8 Hz, 2H), 7.74 (t, J = 7.4 Hz, 1H), 7.62 (t, J = 7.8 Hz, 2H).
火炎乾燥フラスコ内で、N2流下にて、ヨウ素(102g、40mmol、6当量)を120mlのCCl4中に溶解させた。メシチレンを添加し、続いてビス-トリフルオロアセトキシ-ヨードベンゼン(50g、116.3mmol、1.7当量)を添加した。明るい紫色の溶液を一晩撹拌したところ、その間に、白色がかったケーキが側面に形成された。固体を濾別して、I2結晶を含む黄色がかった固体を得た。ケーキが橙色を発しなくなるまで、ケーキをアセトンで洗浄した。トリス-ヨード化生成物をオフホワイトの固体(25.74g、51.70mmol、76%)として単離した。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 3.01 (s, 9H).
1,3,5-トリヨード-2,4,6-トリメチルベンゼン(25g、50.2mmol)を添加した、Ac2O(470ml)、AcOH(235ml)及びH2SO4(47ml)から溶液を調製し、乳白色のピンク色の懸濁液を得た。各工程後で発熱が生じるため、KMnO4(31.82g、301.3mmol、4.1当量)を、3時間かけて少量ずつ添加した。週末を通じて黄色の懸濁液を撹拌した。溶液を濃縮し、その後、水を添加した。水相をCH2Cl2で抽出し(6回)、収集した有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。濃縮後、アセトンから生成物を沈殿させた。沈殿物を濾過し、アセトンで洗浄し、減圧下で乾燥させて、微細なオフホワイトの粉末としてトリアセテート化合物(14.78g、22.0mmol、44%)を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 5.72 (s, 6H), 2.13 (s, 9H).
tert-ブチル(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)カルバメートの合成:火炎乾燥フラスコに、N2流下で、臭化プロパルギル(トルエン中80質量%溶液、10ml、89.76mmol)を、266mlの新たに蒸留したMeCN中に溶解させ、溶液を0℃まで冷却させた。tert-ブチルヒドロキシカルバメート(13.75g、116.7mmol、1.15当量)を添加し、続いてDBU(17.45ml、116.7mmol、1.3当量)を添加した。混合物を0℃で30分間撹拌し、その後、混合物を室温まで温め、更に1時間撹拌した。揮発物を減圧下で除去し、残留物をCH2Cl2中に懸濁させた。NaHCO3の飽和溶液を添加し、有機相を2回洗浄し、続いて食塩水で洗浄した。Na2SO4上で乾燥させた後、残留物を濃縮した。フラッシュカラム精製(10:1-P.E.:EtOAc)により、無色の油状物としてアセチレン生成物(1.28g、59.65mmol、66%)を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.36 (s, 1H), 4.50 (d, J = 2.3 Hz, 2H), 2.52 (t, J = 2.3 Hz, 1H), 1.51 (s, 9H).
火炎乾燥させた高圧管に、Ar流下で、トリアセトキシ化合物(100mg、0.149mmol)、PdCl2(PPh3)2(7.0mg、8.9μmol、6 mol%)及びCuI(1.3mg、6.6μmol、4.5mol%)を添加し、1.2mlのNEt3中に懸濁させた。黄色の懸濁液に、tert-ブチル(プロパ-2-イン-1-イルオキシ)カルバメート(112mg、0.54mmol、3.6当量)を添加した。管を密閉し、50℃に加熱し、混合物を一晩撹拌した。得られた褐色懸濁液をセライトで濾過し、CH2Cl2で溶出させた。揮発物を減圧下で除去した。フラッシュカラム精製(2:1~1:1-P.E.:EtOAc)により、トリアルキン生成物を、黄色がかった泡状物(75mg、0.094mmol、62%)として得た。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 7.99 (s, 3H), 5.50 (s, 6H), 4.74 (s, 6H), 2.12 (s, 9H), 1.51 (s, 27H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 171.25, 156.43, 139.06, 126.23, 95.14, 81.95, 80.92, 64.14, 63.18, 28.15, 20.76.
火炎乾燥フラスコ内で、N2流下にて、トリアルキン(2.19g、2.73mmol、1当量)を100mlのEtOH中に溶解させた。溶液を脱気し、N2でパージした。NEt3を添加し(5v/v%、5.2ml)、溶液を脱気してN2でパージした。Pd/C(10質量%装填、500mg、20モル%)を添加し、溶液を脱気した。H2圧をかけ(バルーン)、反応容器を脱気し、H2でパージして(3回)、フラスコをH2で飽和させた。混合物をH2圧下で一晩撹拌し、その後、TLC分析及び1H-NMRが出発物質の完全消費を示した。反応混合物をセライトで濾過し、CH2Cl2で溶出させた。揮発物を減圧下で除去した。フラッシュカラムクロマトグラフィー(2:1~1:1-P.E.:EtOAc)により、黄色の泡状物としてトリアルケン生成物(1.86g、2.298mmol、84%)を得た。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.76 (d, J = 13.0 Hz, 3H), 6.59 (dt, J = 33.3, 14.4 Hz, 3H), 6.05 (dt, J = 11.8, 6.6 Hz, 3H), 4.90 (d, J = 56.2 Hz, 6H), 4.02 (s, 6H), 1.93 (s, 9H), 1.35 (s, 27H). 13C NMR (101 MHz, CDCl3) δ 170.34, 156.65, 139.58, 139.49 (広幅ピーク), 131.16, 130.79, 129.59, 129.38, 81.34, 72.54, 62.19, 27.94, 20.50.
トリ-アルケン生成物(163mg、0.201mmol)を9mlのEtOH中に溶解させた。K2CO3(5mg、触媒)を添加し、不透明な溶液を一晩撹拌した。揮発物を減圧下で除去した。残留物をCH2Cl2中に溶解させ、食塩水で洗浄した。水相をCH2Cl2で更に2回抽出し、Na2SO4上で乾燥させた。揮発物を減圧下で除去して、淡黄色の泡状物としてアルケンアルコールを得た。1H NMR (300 MHz, クロロホルム-d) δ 7.71 (s, 2H), 7.03 - 6.86 (m, 3H), 6.30 - 6.08 (m, 3H), 4.54 (s, 6H), 4.25 (d, J = 8.4 Hz, 6H), 2.80 (t, J = 6.5 Hz, 2H), 1.45 (s, 27H).
アルケンアルコール残留物を7mlのEtOH中に溶解させた。溶液を脱気し、N2でパージした。Pd/C(10質量%装填、32mg、10%)を添加し、溶液を脱気した。H2圧をかけ(バルーン)、反応容器を脱気し、H2でパージして(3回)、フラスコをH2で飽和させた。混合物をH2圧下で一晩撹拌し、その後、TLC分析及び1H-NMRが出発物質の完全な変換を示した。混合物をセライトで濾過し、EtOHで溶出させた。揮発物を減圧下で除去し、無色の泡状物として所望のアルカン生成物(131mg、0.190mmol、94%)を得た。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 8.14 (s, 3H), 4.65 (s, 6H), 3.92 (s, 6H), 3.49 (br s, 3H), 3.02 - 2.85 (m, 6H), 1.82 (s, 6H), 1.50 (s, 27H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 157.23, 141.79, 135.33, 81.51, 76.29, 58.40, 30.76, 28.29, 26.08. (IR cm-1) 3433 (br), 3263 (br), 2973, 2926, 1710, 1477, 1455, 1392, 1366, 1276, 1250, 1162, 1110, 1003, 754. mp (℃) 68
火炎乾燥フラスコ内で、Ar流下にて、アルカン生成物(50mg、72.6μmol)を、2.5mlの新たに蒸留したCH2Cl2中に溶解させ、0℃まで冷却させた。ピリジン(26μl、0.33mmol、4.5当量)を添加し、続いてPBr3(24μl、0.25mmol、3.5当量)を滴加した。氷上で1時間後、溶液を室温まで温めると、不透明になった。LC-MS分析が所望の生成物への完全な変換を示した。反応混合物をEtOAcで希釈し、NaHCO3でクエンチした。KHSO4で中和し、その後、生成物をEtOAcで抽出した(3回)。回収した有機相を食塩水で洗浄してNa2SO4上で乾燥させた。濾過後、揮発物を減圧下で除去し、無色の泡状物としてT6N-1(20mg、22.8μmol、31%)を得た。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 7.22 (s, 3H), 4.60 (s, 6H), 4.03 (t, J = 5.8 Hz, 6H), 3.01 (t, J = 9.5, 8.2 Hz, 9H), 1.99 (d, J = 12.9 Hz, 6H), 1.51 (s, 27H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 157.08, 142.83, 133.61, 81.90, 76.26, 29.60, 28.75, 28.25, 26.48. IR (cm-1) 3275, 2925, 2854, 1712, 1476, 1454, 1366, 1248, 1161, 1107, 773, 517. mp (℃) 56-57
Figure 0007100034000019
火炎乾燥フラスコに、N2下で、メシチレン(0.7ml、5mmol)を添加し、続いてAcOH中の酢酸(2.6ml)及びHBr(33質量%溶液)(3.5ml)を添加した。次いで、パラホルムアルデヒド(570mg、18.8mmol、3.7当量)を添加した。溶液を95℃で撹拌した。3時間後に固体が現れ始めた。混合物を更に9時間撹拌し、その後、混合物を室温まで冷却させた。混合物を氷上で砕いた後、固体を濾過し乾燥させた。固体をCH2Cl2:P.E.から再結晶させ、白色針状晶として所望のブロモメチル化生成物(1.99g、5mmol、99%)を得た。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 4.61 (s, 6H), 2.50 (s, 9H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 137.84, 133.18, 29.93, 15.38.

火炎乾燥フラスコ内で、N2下にて、トリス(ブロモメチル)メシチレン(5.012g、12.53mmol)を、200mlの無水DMF中に懸濁させた。フタルイミドカリウム(KPhth、14.00g、75.58mmol、6当量)を添加し、スラリーを125℃で18時間激しく撹拌した。白色固体を濾別し、DMF、水及びアセトンで2回洗浄した。白色無定形固体を高真空下で乾燥させ、フタルイミド誘導体を78%で得た(5.846g、9.78mmol)。1H NMR (400 MHz, クロロホルム-d) δ 7.80 (dd, J = 5.4, 3.0 Hz, 6H), 7.70 (dd, J = 5.4, 3.1 Hz, 6H), 4.97 (s, 6H), 2.52 (s, 9H).
火炎乾燥フラスコ内で、N2流下にて、フタルイミド誘導体(2.50g、4.18mmol)を、30mlのDBE中に懸濁させた。市販の500Wハロゲンランプで照射しながら、Br2(711μL、13.80mmol、33当量)を添加し、混合物を加熱還流した。2時間後、溶液は薄橙色になり、その後、1H-NMRにより、反応が完全な変換に達していないことが示された。2回目のBr2(400μL、7.76mmol、1.86当量)を添加し、還流及び照射を更に2時間続けると、その後、1H-NMRが完全な変換を示した。反応混合物を0.5MのNa2S2O3溶液でクエンチし、CH2Cl2で抽出した。揮発物を減圧下で除去した後、粘着性の黄色い個体が得られた。フラッシュカラムクロマトグラフィー(3:1~1:1-P.E.:EtOAc)により、白色固体として臭素化生成物(3.09g、3.71、88%)を得た。分析データは、文献(Roelensら、2009)で報告されているものと一致している。
火炎乾燥フラスコ内で、N2流下にて、臭素化化合物(2.50g、3mmol)を、42mlの新たに蒸留したMeCN中に懸濁させ、混合物を0℃まで冷却した。N-Bocヒドロキシルアミン(1.80g、13.5mmol、4.5当量)を添加し、その後、DBU(1.80ml、12mmol、4当量)を滴加した。懸濁液は10分後に透明で黄色がかった溶液に変わった。混合物を室温まで温め、一晩撹拌した。揮発物を減圧下で除去した。残留物をCH2Cl2中に溶解させ、飽和NaHCO3溶液及び食塩水で洗浄し、続いてNa2SO4上で乾燥させた。濾過して揮発物を減圧下で除去した後、明黄色の泡状物として粗生成物を得た。フラッシュカラム精製(2.5:1-P.E.:EtOAc)により、明黄色固体としてアミノオキシ官能化生成物(1.43g、1.44mmol、48%)を得た。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 7.80 (dd, J = 5.4, 3.0 Hz, 6H), 7.70 (dd, J = 5.4, 3.1 Hz, 6H), 7.26 (s, 3H), 5.45 (s, 6H), 5.39 (s, 6H), 1.42 (s, 27H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 168.25, 156.16, 139.09, 135.69, 133.95, 131.95, 123.20, 81.60, 72.47, 36.81, 28.15.
アミノオキシ官能化生成物(200mg、0.202mmol)を3.5mlのEtOH:トルエン(2:1)に懸濁させ、その後、ヒドラジン-水和物(水中50%溶液、μL、mmol、当量)を添加した。懸濁液を加熱還流した。混合物は70℃に達すると、無色の溶液になる。還流下で20分間撹拌した後、白色固体が沈殿し始める。還流を12時間続け、その後、固体を濾別し、残留物を蒸発乾固させて、オフホワイトの固体としてトリス-アミン(118mg、0.198mmol、98%)を得、次の工程でこれを更に精製することなく使用した。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 5.16 (s, 6H), 4.12 (s, 6H), 1.53 (s, 27H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 157.25, 145.71, 131.96, 81.51, 72.04, 39.78, 28.33.
トリス-アミンを7mlのCHCl3中に懸濁させ、懸濁液を0℃まで冷却した。7mlの飽和溶液NaHCO3を添加する。ブロモアセチルブロミド(70μL、0.786mmol、4当量)を滴加し、溶液を室温まで温め、3時間撹拌した。LC-MSにより、s.m.が存在しないことを確認し、生成物をCH2Cl2で抽出した。有機相を食塩水で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、揮発物を減圧下で除去した。生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(1:1-P.E.:EtOAc)で精製して、無色の固体として足場T6N-2(120mg、0.125mmol、63%)を得た。1H NMR (500 MHz, クロロホルム-d) δ 8.81 (s, 3H), 8.13 (s, 3H), 5.31 (s, 6H), 4.79 (d, J = 6.2 Hz, 6H), 3.85 (s, 6H), 1.47 (s, 27H). 13C NMR (126 MHz, CDCl3) δ 166.73, 157.56, 141.69, 133.99, 82.53, 71.98, 37.72, 28.98, 28.24. MS (ESI) 計算値964.5, 実測値964.8.
ペプチド環化実験
ペプチド中のケトンについては、足場中のアミノオキシ
CLiPS反応
典型的なCLiPS実験では、ペプチドを3:2のDMF:MilliQ溶液中に溶解させる(最大0.25mM)。次いで、(足場に応じて)MeCN又はMeCN:H2O中の溶液として、足場を添加する(0.9当量)。得られたペプチド溶液を、水中のNH4HCO3溶液の添加により、pH7.8~8に調節する。反応の進行を逆相LC-MS又はUPLC-MSを介してモニターする。反応が完了したら(典型的には15~30分)、アミノオキシ保護基の脱保護を開始することができる。
アミノオキシ基の遊離とオキシムライゲーション
CLiPS反応混合物に、等容積の6MのHCl(水溶液)を添加して、Boc脱保護を開始する。反応混合物を典型的に1時間撹拌して、すべてのアミノ-オキシ部分の完全な遊離を確保する。これは逆相LC-MS又はUPLC-MSによって確認することができる。上記の条件が満たされているときオキシムライゲーションは既に発生しているが、二重オキシム化ペプチド構築物への完全な変換は達成されていないことに留意することが重要である。5.5MのNaOH(水溶液)溶液(典型的には添加されたHCl溶液の95体積%)を使用して、反応混合物のpHを約pH4に調整する。次いで、逆相LC-MS又はUPLC-MSによって判断して、完全に変換されるまで、反応混合物を1~16時間放置する。
ペプチド環化反応の例
(実施例A)
低分子ペプチドによるT4N-3環化。
ペプチドAc-CE(pAcF)A(pAcF)KC-NH2(1.10mg、1.13μmol)を、1mlの3:2 DMF:H2O(1.13mM)中に溶解させた。足場T4N-3(500μlのMeCN原料中6.10mg、65μl使用、0.8当量)を添加し、続いて50μlの1M NH4HCO3溶液を添加してpH8.5にした。図10は、30分の反応時間後のLC-MSクロマトグラムを示す。Rt6.16分において、[M+H]+に対応してm/z1549.6(計算値1549.6)を有し、[M+2H]2+では775.3(計算値775.3)を有する、CLiPS反応ペプチドのUVトレースが見られる。Rt5.34分において、ペプチドジスルフィドのトレースが見られる。
Boc脱保護のために、1mlの6M HCl溶液を用いて、反応混合物を酸性化する。反応混合物を室温で1時間撹拌し、その後、810μlの5.5M NaOH(水溶液)溶液を用いて、pHをpH4に補正する。反応混合物を室温で一晩撹拌した。図11にLC-MSクロマトグラムを示す。Rt5.51分においてピーク1が見られ、Rt5.71分においてピーク2が見られる。1及び2は両方とも類似した質量スペクトルを示し、これらは、2×CLiPS反応、2×OXIM反応ペプチド構築物に対応し、(1)については、[M+H]+に対応してm/z1314.6(計算値1314.5)であり、[M+2H]2+では657.6(計算値657.7)である。(2)については、[M+H]+に対応して、m/z1313.7(計算値1314.5)であり、[M+2H]2+では657.6(計算値657.7)である。異なるピークが見られ、1つの同じ分子の異なる立体配座が見られる可能性が最も高い。Rt5.34分において、ペプチドジスルフィドのトレースが見られる。
(実施例B)
より高分子量のペプチドによるT4N-3環化
ペプチドAc-CEK(pAcF)AS(pAcF)KDC-NH2(1.30mg、0.99mmol)を、1mlの3:2 DMF:H2O(1.13mM)中に溶解させた。足場T4N-3(500μlのMeCN原料中6.10mg、57μl使用、0.7当量)を添加し、続いて50μlの1M NH4HCO3溶液を添加してpH8.5にした。図12は、30分の反応時間後のLC-MSクロマトグラムを示す。Rt5.66分において、CLiPS反応ペプチドについて、UVトレースが見られ、[M+H]+に対応してm/z1880.8(計算値1879.8)であり、[M+2H]2+では940.7(計算値940.4)である。Rt4.92分において、ペプチドジスルフィドのトレースが見られる。
Boc脱保護のために、1mlの6M HCl溶液を用いて、反応混合物を酸性化する。反応混合物を室温で1時間撹拌し、その後、790μlの5.5M NaOH(水溶液)溶液を用いて、pHをpH4に補正する。反応混合物を室温で一晩撹拌した。図13にLC-MSクロマトグラムを示す。Rt5.31分にピーク1が見られ、Rt5.03~5.20分において、2つの部分として、互いに接近した3つの小さなピークが示されている。1及び2は両方とも類似した質量スペクトルを示し、これらは、2×CLiPS反応、2×OXIM反応ペプチド構築物に対応し、(1)については、[M+H]+に対応してm/z1644.7(計算値1644.8)であり、[M+2H]2+では822.7(計算値822.9)である。(2)については、[M+H]+に対応してm/z1644.7(計算値1644.8)であり、[M+2H]2+では822.7(計算値822.9)である。Rt=5.31分に大きなピークがあるので、一般に1つの配座異性体が好ましい。他の配座異性体はピーク2にある。5.34分において、ペプチド-ジスルフィドのトレースが見られる。
アミノオキシ残基を含有するペプチドを用いたT4C-3環化実験の一般的手順:
ペプチドを1:1のDMSO:H2Oに溶解させて最終濃度を50mMとし、次いで足場(0.63当量、ストック溶液由来)を添加する。1MのNH4HCO3を添加することにより、反応混合物をpH>8に塩基性化する。一般的なスケールは0.3mgのペプチドであり、これは30μLの1M NH4HCO3溶液を必要とする。UPLCが、CLIPS反応が(一般に30分以内に)完全な変換に達したことを示した後、15%TFA溶液を用いて反応物を酸性化する。塩基と等しい容積(通常30μL)を添加する。溶液を一晩放置し、オキシム生成物を定量収率で得る。
(実施例C)
中サイズペプチドによるT4C-3環化
ペプチドAc-CEQF hS(ONH2)AKF hS(ONH2)LKNC-NH2(0.22mg)を274μLのDMSO:H2O(1:1)中に溶解させる。足場T4C-3を添加する(200μLのMeCN中に2.31mg、4.27μLを添加した)。次に、30μLの1M NH4HCO3溶液を添加すると、その後、20分以内にCLIPSが生じる。図14は、0.89分の直鎖状ペプチドから1.24分のCLIPS反応ペプチドへのRtシフトを示す。質量は所望の生成物に対応する。35μLの15%TFA溶液を添加し、室温で16時間後に二重オキシム生成物を得る。それぞれRt1.06分及び1.08分において、2つの生成物が見出される。質量スペクトルは二重オキシム生成物と一致する。2つのピークが見え、これらは1つの同じ分子の異なる立体配座を表す可能性が最も高い。
(実施例D)
中サイズペプチドによるT4C-3環化
ペプチドAc-CERKFK(Aoa)SGAVK(Aoa)KLYSC-NH2(0.26mg)を254μLのDMSO:H2O(1:1)中に溶解する。足場T4C-3を添加する(100μLのMeCN中に0.93mg、5.66μLを添加した)。次に、30μLの1M NH4HCO3溶液を添加すると、その後、20分以内にCLIPSが生じる。図15は、0.88分の直鎖状ペプチドから1.17分のCLIPS反応ペプチドへのRtシフトを示す。質量は所望の生成物に対応する。30μLの15%TFA溶液を添加し、室温で16時間後に二重オキシム生成物を得る。Rt=0.90分において、2つの生成物が見出される。生成物のピークは非常に接近している。質量スペクトルは二重オキシム生成物と一致する。
(実施例E)
末端の中サイズペプチド-アミノオキシによるT4C-3環化
ペプチドAc-K(Aoa)EQFCAKFCLKNK(Aoa)-NH2(0.41mg)を、460μLのDMSO:H2O(1:1)中に溶解させる。足場T4C-3を添加する(100μLのMeCN中に0.78mg、12.19μLを添加した)。次に、40μLの1M NH4HCO3溶液を添加すると、その後、20分以内にCLIPSが生じる。図16は、0.95分の直鎖状ペプチドから1.32分のCLIPS反応ペプチドへのRtシフトを示す。質量は所望の生成物に対応する。50μLの15%TFA溶液を添加し、室温で16時間後に二重オキシム生成物を得る。Rt1.12分で、単一のピークが見出され、質量スペクトルは所望の生成物に対応する。
(実施例F)
末端の中サイズペプチド-アミノオキシによるT4C-3環化
ペプチドAc-K(Aoa)ERKFCSGAVCKLYSK(Aoa)-NH2(0.23mg)を、226μLのDMSO:H2O(1:1)中に溶解させる。足場T4C-3を添加する(100μLのMeCN中に0.93mg、5.00μLを添加した)。次に、30μLの1M NH4HCO3溶液を添加すると、その後、20分以内にCLIPSが生じる。図17は、0.83分の直鎖状ペプチドから1.21分のCLIPS反応ペプチドへのRtシフトを示す。質量は所望の生成物に対応する。30μLの15%TFA溶液を添加し、室温で16時間後に二重オキシム生成物を得る。Rt=0.92分で、単一のピークが見出され、質量スペクトルは所望の生成物に対応する。
(実施例2)
チオラート求核置換反応とアルキン-アジド付加環化によるペプチドと足場のカップリング
1.T4(-≡)2-足場の合成経路
異なるT4(-≡)2-足場の合成経路をスキーム1に示す。
Figure 0007100034000020
スキーム1. a)T4(-≡)2-1足場の合成:a)ジプロパルギルアミン、DIPEA、CH3CN、RT(定量分析[DIPEA塩を含有する]);b)T4(-≡)2-2足場:b)[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼン、I2、CCl4、RT(74%);c)エチニルトリメチルシラン、CuI、Pd(PPh3)2Cl2、Et2NH、RT(82%);d)NBS、ジベンゾイルペルオキシド、CCl4、Δ(10%);e)K2CO3、CH3OH、0℃(90%);f)ピペリジン、DIPEA、CH2Cl2/CH3CN(71%);c)T4(-≡)2-3足場の合成:g)SOCl2、トルエンΔ;次いで、tert-BuOH、ピリジン、CH2Cl2、RT(2つの工程をかけて51%);h)NBS、hν、CH2Cl2、Δ(42%);i)HCOOH、CH2Cl2、RT(97%);j)SOCl2、Δ;次いで、DIPEA、DMAP、ジプロパルギルアミン、CH2Cl2、0℃~RT(2つの工程をかけて48%);d)T4(-≡)2-4足場の合成:k)3,4-ジヒドロ-2H-ピラン、PPTS、THF、RT(86%);l)B2Pin2、NaOAc、Pd(dba)2、DPEPhos、トルエン、Δ(87%);m)Pd(dppf)Cl2、K2CO3、ジオキサン/H2O(2:1)、60℃(86%);n)NaH、臭化プロパルギル、THF、RT(70%);o)PPTS、EtOH、55℃(98%);p)MsCl、Et3N、THF、RT(95%);q)LiBr、THF、RT(80%);dba=ジベンジリデンアセトン、DIPEA=N,N-ジイソプロピルエチルアミン、DMAP=4-ジメチルアミノピリジン、DPEPhos=ビス[(2-ジフェニルホスフィン)フェニル]エーテル、dppf=(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、NBS=N-ブロモスクシンイミド、PPTS=ピリジニウムp-トルエンスルホネート。
2. 実験手順及び化合物の分光データ
概説
特に明記しない限り、反応は乾燥又はN2/アルゴン雰囲気のような特別な対策なしに行われた。乾燥剤としてCaH2を用いてこれらの溶媒を蒸留することにより、乾燥CH2Cl2及びCH3CNを得た。ナトリウムと共に蒸留することにより、乾燥THFを得た。すべての乾燥溶媒をN2雰囲気下で保存した。4Åモレキュラーシーブ上の乾燥DMF及びDMSOをSigma-Aldrich社から入手し、N2雰囲気下で保存した。試薬はSigma Aldrich社及びFluorochem社から最高純度(通常>98%)で購入し、受け取ったままの状態で使用した。反応は、0.25mmのE. Merck社製シリカゲルプレート(60F-254)上で行った薄層クロマトグラフィー(TLC)でモニターした。SilaFlash(登録商標)P60(粒径40~63μm)をシリカカラムクロマトグラフィーに使用した。Bruker DRX-300、400及び500MHz計器で、NMRスペクトルを記録し、内部標準としての残留非重水素化溶媒信号に基づいて較正した。1H-NMRの多重度は、下記の通り略記した。s=一重項、d=二重項、t=三重項、q=四重項、quint=五重項、m=多重項。AccuTOFgC v 4g、JMS-T100GCV質量分析計(日本電子株式会社、日本)で、高分解能質量スペクトル(HRMS)を記録した。FD/FIプローブは、FDエミッター(Carbotec社又はLinden社、Germany)、FD10μmを装備していた。電流率は1.2分にわたり51.2mA/分であり、機械はイオン化法として電界脱着(FD)を使用した。Wagner & Munz社製Polytherm A融点機器で融点を記録し、補正されていない。Bruker社製Alpha FTIR装置で、IRスペクトルを記録した。
T4足場
足場T4(-≡)2-1
Figure 0007100034000021
乾燥CH3CN(550mL)中の1,2,4,5-テトラキス(ブロモメチル)ベンゼン(8.13mmol、3.85g、3当量)及びDIPEA(5.42mmol、0.9mL、2当量)の撹拌溶液に、乾燥CH3CN(30mL)中のジプロパルギルアミン(2.709mmol、263mg、1当量)に滴加した。アミンを消費した後(2時間後)、溶媒を真空中で蒸発させ、Et2O(100mL)を添加し、混合物を30分間撹拌した。沈殿物を単離し、シリカプラグ(100%CH2Cl2対CH2Cl2/MeOH9:1)で濾過した。溶媒を蒸発させ、生成物を凍結乾燥して、灰色の粉末として足場T4(-≡)2-1(定量、DIPEA塩含有)を得た。足場をそのまま使用した。1H NMR (400 MHz, D2O/CD3CN 9:1) δ 7.74 (s, 4H), 5.28 (s, 4H), 4.97 (s, 4H), 4.76 (d, 4H), 3.56 (t, 2H). 13C NMR (400 MHz, D2O/CD3CN 9:1) δ 140.9, 136.0, 129.0, 85.8, 73.7, 68.9, 54.7, 45.5, 32.9. IR ν 2978, 2932, 2663, 2617, 2121, 1426, 1391, 1182, 1135 cm-1. HRMS (EI+) m/z C16H16Br2Nの計算値379.9649, 実測値379.9676.
足場T4(-≡)2-2
ジヨードアレーン1
Figure 0007100034000022
ヨウ素(127mmol、32.4g、1.1当量)をCCl4(175mL)中に溶解させた。ジュレン(114mmol、15.3g、1当量)及び[ビス(トリフルオロアセトキシ)ヨード]ベンゼン(145mmol、62.4g、1.3当量)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。溶媒を蒸発させ、0.1MのNaOH溶液(100mL)を添加した。生成物をCH2Cl2(3×75mL)で抽出し、続いて有機層をH2O(1×100mL)及び食塩水(1×100mL)で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物をMeOH中で粉砕し、1を真空濾過により収集した(74%)。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.63 (s, 12H). 13C NMR (400 MHz, CDCl3) δ 138.0, 112.4, 30.0. IR ν 1396, 1160, 971, 673 cm-1. HRMS (EI+) m/z C10H12I2の計算値385.9028, 実測値385.8989.スペクトルデータは報告されたデータ(Zhdankinら、2017)と一致する。
TMS-アセチレン2
Figure 0007100034000023
Et2NH中の1(3.02g、7.82mmol、1当量)、Pd(PPh3)2Cl2(0.380g、0.541mmol、0.07当量)及びCuI(0.101g、0.530mmol、0.07当量)の溶液に、エチニルトリメチルシラン(2.45mL、17.3mmol、2.2当量)を添加し、反応物をRTで一晩撹拌した。溶媒を蒸発させ、続いてCH2Cl2(3×100mL)で抽出し、H2O(2×200mL)及び食塩水(250mL)で有機層を洗浄した。合わせた有機層をMgSO4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(PE)により、生成物を精製して、オフホワイトの結晶として2(82%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 2.38 (s, 12H), 0.27 (s, 18H). 13C NMR (400 MHz, CDCl3) δ 136.0, 123.4, 104.2, 103.2, 18.5, 0.27. IR ν 2957, 2138, 1270, 1073, 863 cm-1. HRMS (EI+) m/z C20H30Si2の計算値326.1886, 実測値326.1870.
テトラキス(ブロモメチル)アレーン3
Figure 0007100034000024
2(2.30g、7.06mmol、1当量)をCCl4(50mL)中に溶解させた。NBS(6.1g、34.3、5当量)及びジベンゾイルペルオキシド(452mg、1.88mmol、0.3当量)を添加し、混合物を一晩還流した。溶媒を蒸発させ、粗生成物をカラムクロマトグラフィー(100%PE対PE/EtOAc9:1)で精製した。その後のPEからの再結晶化により、白色粉末として3を10%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 4.83 (s, 4H), 0.34 (s, 9H). 13C NMR (400 MHz, CDCl3) δ 139.6, 125.6, 109.8, 98.5, 27.8, 0.24. IR ν 2957, 2154, 1420, 1283, 1247, 1200, 957, 837 cm-1. HRMS (FD+) m/z C20H26Br4Si2の計算値641.8266, 実測値641.8285.
足場T4(-≡)2-2
Figure 0007100034000025
化合物3(300mg、0.480mmol、1当量)を乾燥MeOH(24mL)に懸濁させ、0℃まで冷却した。K2CO3(13.0mg、0.104mmol、0.2当量)を添加し、混合物を30分間撹拌した。溶媒を真空下で除去し、CH2Cl2を添加し、続いてH2O(2×15mL)及び食塩水(20mL)で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗生成物(0.482mmol、240mg、3当量)及びDIPEA(0.321mmol、56μL、2当量)を、アルゴン雰囲気下で、乾燥CH2Cl2/CH3CN(3/1:40mL)中に溶解させた。完全な溶媒和を確保するために、混合物をヒートガンでわずかに加熱した。CH3CN(2mL)中のピペリジン(0.161mmol、16μL、1当量)を、0.1mL/時の速度で滴加した。反応混合物を一晩撹拌し、続いて混合物を濃縮した。カラムクロマトグラフィーを行い、無色の油状物として生成物T4(-≡)2-2を単離した。次いで、生成物を凍結乾燥して白色固体(71%)を得た。1H NMR (400 mHz, CD3OD) δ 5.09 (s, 4H), 4.92 (s, 4H), 4.59 (s, 2H), 3.67-3.70 (t, 4H), 2.00-2.05 (q, 4H), 1.76-1.81 (q, 4H). 13C NMR (300 MHz, CD3OD) δ 141.88, 137.66, 120.52, 92.61, 77.49, 69.36, 63.55, 27.03, 22.43, 21.92. IR ν 943.54, 1033.55, 1061.91, 1078.57, 1114.23, 1160.01, 1172.68, 1209.72, 1270.77, 1323.98, 1444.45, 1719.71, 2871.49, 3175.00, 3251.47, 3360.79. HRMS (ESI+) m/z C19H20Br2N+の計算値419.9962, 実測値421.9943.LCMSにより、前の工程において食塩水で洗浄した後に起こり得る量のBr-Cl交換が観察された。しかしながら、これは引き続いてのCLIPS反応において問題を引き起こさなかった。
足場T4(-≡)2-3
tert-ブチルエステル4
Figure 0007100034000026
3,5-ジメチル安息香酸(10.0グラム、66.6mmol、1当量)を、窒素雰囲気下でトルエン(8mL)中に溶解させた。SOCl2(10.0mL、137mmol、2.06当量)を添加し、混合物を2.5時間還流した。温度をRTまで下げて、混合物を一晩撹拌した。溶媒を蒸発させた後、CH2Cl2(20mL)を添加し、続いてtert-ブタノール(8.01グラム、108mmol、1.6当量)及びピリジン(5.53g、69.9mmol、1.05当量)を添加して、混合物を一晩撹拌した。混合物を濾過し、母層を真空中で濃縮した。粗生成物をカラム濾過(EtOAc)で精製して、無色の油状物としてエステル4(51%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.61 (s, 2H), 7.15 (s, 1H), 2.35 (s, 6H), 1.60 (s, 9H). 13C NMR (400 MHz, CDCl3) δ 166.2, 137.9, 134.1, 132.0, 127.2, 80.8, 28.3, 21.3. IR ν 3006, 1711, 1315, 1231, 1159 cm-1. HRMS (EI+) m/z C13H18O2の計算値206.1307, 実測値206.1297.
ビス(ブロモメチル)-tert-ブチルエステル5
Figure 0007100034000027
化合物4(6.79g、32.9mmol、1当量)を、不活性雰囲気下でCH2Cl2(130mL)中に溶解させた。N-ブロモスクシンイミド(12.2g、68.5mmol、2.1当量)を添加し、ランプ(hν)を混合物に照射した。1時間後ランプを取り外し、混合物を一晩撹拌した。H2O(100mL)を混合物に添加し、層を分離した。有機層をH2O(3×100mL)及び食塩水(1×200mL)で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮して、無色の油状物を得た。ヘキサンからの再結晶化を介して精製生成物を得て、白色固体として5を42%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.92 (s, 2H), 7.59 (s, 1H), 4.50 (s, 4H), 1.60 (s, 9H). 13C NMR (400 MHz, CDCl3) δ 164.7, 138.6, 133.6, 131.3, 130.0, 81.9, 32.2, 28.3. IR ν 2977, 1713, 1241, 1160 cm-1. HRMS (EI+) m/z C13H16Br2O2の計算値361.9517, 実測値361.9503.
安息香酸6
Figure 0007100034000028
化合物5(4.90g、13.5mmol、1当量)を、(不活性雰囲気下で)乾燥CH2Cl2中に溶解させた。ギ酸(54mLの0.25M溶液)を添加し、混合物を一晩撹拌した。溶媒を蒸発さると、白色の粉末として生成物6が97%の収率で得られ、さらなる精製の必要はなかった。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.08 (s, 2H), 7.69 (s, 1H), 4.52 (s, 4H). 13C NMR (400 MHz, CDCl3) δ 170.8, 139.3, 135.0, 130.7, 130.6, 31.8. IR ν 2972, 1694, 1254 cm-1. HRMS (EI+) m/z C9H8Br2O2の計算値305.8891, 実測値305.8889.
足場T4(-≡)2-3
Figure 0007100034000029
化合物6(3.92g、12.7mmol、1当量)を、SOCl2(15mL)中に溶解させ、室温で一晩還流した。揮発物を蒸発させた後、塩化アシルを乾燥CH2Cl2(130mL)中に溶解させた。DMAP(37mg、0.30mmol、0.02当量)を混合物に添加し、続いて0℃でCH2Cl2(13mL)中のジプロパルギルアミン(1.42mL、1.23mmol、1.05当量)を滴加した。温度を室温まで上げ、反応が完了した後にH2O(100mL)及びCH2Cl2(50mL)を添加した。層を分離し、有機層をH2O(2×200mL)及び食塩水(1×250mL)で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。粗生成物のカラム精製により、白色の粉末として所望の足場T4(-≡)2-3を48%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3, 測定は-50℃) δ 7.55 - 7.51 (m, 3H), 4.47 (s, 4H), 4.46 (d, 2H, ABの一部), 4.15 (d, 2H, ABの一部), 2.44 (t, 1H, ABの一部), 2.31 (t, 1H, ABの一部). 13C NMR (400 MHz, CDCl3, 測定は-50℃) δ 169.6, 139.0, 135.4, 131.8, 127.9, 74.0, 72.8, 38.5 (回転異性体シグナルA), 33.9 (回転異性体シグナルB), 32.2. IR ν 3277, 1644, 1599, 1452, 1219 cm-1. HRMS (EI+) m/z C15H13Br2NOの計算値380.9364, 実測値380.9345.
足場T4(-≡)2-4
ビスアルコール7
Figure 0007100034000030
5-ブロモイソフタル酸(25.0グラム、0.102mol、1当量)を、アルゴン雰囲気下で0℃にて乾燥THF(500mL)中に溶解させた。10Mのボランジメチルスルフィド錯体(50mL、0.50mmol、5当量)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。H2O(1000mL)を混合物に慎重に添加し、続いてEtOAc(1000mL)を添加した。層を分離し、その後、有機層をH2O(3×750mL)及び食塩水(1000mL)で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮すると、白色の粉末としてアルコール7が85%の収率で得られ、さらなる精製の必要はなかった。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 7.36 (s, 2H), 7.25 (s, 1H), 5.30 (t, 2H), 4.48 (d, 4H). 13C NMR (400 MHz, DMSO) δ 145.2, 127.1, 123.1, 121.3, 62.1. IR ν 3210, 2851, 1602, 1419 cm-1. HRMS (FD+) m/z C8H9BrO2の計算値215.9786, 実測値215.9798.スペクトルデータは報告されたデータ(Wytko及びWeiss、1994)と一致する。
THP-エーテル8
Figure 0007100034000031
7(4.18g、19.2mmol、1当量)を、窒素雰囲気下で乾燥THF(9mL)中に溶解させた。
3,4-ジヒドロ-2H-ピラン(5.3mL、58mmol、3当量)及びPPTS(417mg、1.66mmol、0.09当量)を添加し、混合物を48時間撹拌した。H2O(50mL)を添加し、生成物をEtOAc(3×50mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(1×50mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。濾過及び真空中での濃縮後、生成物をシリカのプラグで濾過して、無色の油状物として8を90%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.44 (s, 2H), 7.25 (s, 1H), 4.75 (d 2H, ABの一部), 4.70 (t, 2H), 4.46 (d, 2H, ABの一部), 3.92 - 3.87 (m, 2H), 3.58 - 3.52 (m, 2H), 1.87 - 1.52 (m, 12H). 13C NMR (400 MHz, CDCl3) δ 140.8, 129.8, 125.5, 122.7, 98.1, 68.1, 62.3, 30.6, 25.6, 19.4. IR ν 2940, 2869, 1574, 1386, 1119, 1024 cm-1. HRMS (FD+) m/z C18H25BrO4の計算値384.0936, 実測値384.0950.スペクトルデータは報告されたデータ[1]と一致する。
ボロン酸エステル9
Figure 0007100034000032
8(10.4g、27.0mmol、1当量)、B2Pin2(8.41g、32.8mmol、1.2当量)、Pd(dba)2(158mg、0.275mmol、0.01当量)、DPEPhos(146mg、0.271mmol、0.01当量)及び酢酸ナトリウム(4.50g、55mmol、2当量)を、窒素雰囲気下で、乾燥トルエン(35mL)中で混合した。混合物を加熱還流し、週末を通して撹拌した。H2O(50mL)を添加し、層を分離し、有機層をH2O(3×50mL)及び食塩水(1×250mL)で洗浄した。MgSO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮し、続いてカラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc:9:1~6:1)で精製して、無色の油状物として化合物9を86%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.71 (s, 2H), 7.52 (s, 1H), 4.79 (d, 2H, ABの一部), 4.71 (t, 2H), 4.50 (d, 2H, ABの一部), 3.95 - 3.90 (m, 2H), 3.56 - 3.53 (m, 2H), 1.90 - 1.50 (m, 12H), 1.34 (s, 12H). 13C NMR (400 MHz, CDCl3) δ 137.9, 133.8, 130.7, 98.0, 84.0, 69.0, 62.2, 30.7, 25.6, 25.0, 19.5. IR ν 2975, 2870, 1606, 1372, 1344, 1122, 1034 cm-1. HRMS (FD+) m/z C24H37BO6の計算値431.2719, 実測値431.2655.
THP-ビアリール10
Figure 0007100034000033
9(7.36g、17.0mmol、1.05当量)及び7(3.52g、16.2mmol、1当量)を、窒素雰囲気下で、ジオキサン/H2O(2:1、85mL)中に、添加した。炭酸カリウム(6.70g、48.6mmol、3当量)及びPd(dppf)Cl2(1.21g、1.64mmol、0.1当量)を添加し、混合物を60℃で一晩撹拌した。混合物をH2O(500mL)に注ぎ入れ、混合物をEtOAc(3×400mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(1×1000mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc 1:1~1:3)を介した精製によって、無色の油状物として10を86%の収率で得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.48 (s, 2H), 7.46 (s, 2H), 7.35 (s, 1H), 7.28 (s, 1H), 4.81 (d, 2H, ABの一部), 4.73 (t, 2H), 4.65 (s, 4H), 4.53 (d, 2H, ABの一部), 3.96 - 3.91 (m, 2H), 3.59 - 3.53 (m, 2H), 3.11 (br s, 2H), 1.90 - 1.52 (m, 12H). 13C NMR (400 MHz, CDCl3) δ 141.9, 141.4, 141.2, 138.9, 126.6, 126.1, 124.9, 124.5, 98.0, 68.9, 65.0, 62.4, 30.6, 25.5, 19.5. IR ν 3395, 2940, 2868, 1601, 1119, 1025 cm-1. HRMS (FD+) m/z C26H34O6の計算値442.2355, 実測値442.2347.
プロパルギルエーテル11
Figure 0007100034000034
10(3.42g、7.75mmol、1当量)を、0℃で、THF(45mL)中のNaH(691mg、17.3mmol、2.2当量)の懸濁液に添加した。1時間撹拌した後、プロパルギルブロミド(1.3mL、17.3mmol、2.2当量)を滴加して、混合物を室温で一晩撹拌した。H2O(500mL)を添加し、生成物をEtOAc(4×300mL)で抽出した。合わせた有機層を食塩水(1000mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc 4:1)による精製により、無色の油状物として11(70%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.54 (s, 2H), 7.52 (s, 2H), 7.37 (s, 1H), 7.34 (s, 1H), 4.85 (d, 2H, ABの一部), 4.74 (t, 2H), 4.68 (s, 4H), 4.57 (d, 2H, ABの一部), 4.22 (d, 4H), 3.97 - 3.92 (m, 2H), 3.59 - 3.52 (m, 2H), 2.49 (t, 2H), 1.92 - 1.50 (m, 12H). 13C NMR (400 MHz, CDCl3) δ 141.7, 141.1, 139.1, 138.2, 126.8, 126.7, 126.6, 126.1, 98.0, 79.7, 74.9, 71.5, 68.9, 62.4, 57.4, 30.7, 25.6, 19.5. IR ν 3285, 2941, 2868, 1601, 1385, 1118, 1078, 1034 cm-1. HRMS (FD+) m/z C32H38O6の計算値518.2668, 実測値518.2675.
ビスアルコール12
Figure 0007100034000035
11(2.78g、5.37mmol、1当量)をEtOH(30mL)中に溶解させ、PPTS(4.02g、15.8mmol、2.9当量)を添加した。混合物を55℃で2時間撹拌し、続いてH2O(50mL)を添加し、EtOAc(3×100mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc 2:1~1:2)により、無色の油状物として98%で12を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.47 (s, 2H), 7.41 (s, 2H), 7.30 (s, 1H), 7.23 (s, 1H), 4.61 (s, 4H), 4.57 (s, 4H), 4.20 (d, 4H), 3.72 (s, 2H), 2.52 (t, 2H). 13C NMR (400 MHz, CDCl3) δ 141.8, 141.2, 140.7, 138.1, 126.7, 126.3, 124.7, 124.5, 79.6, 75.1, 71.4, 64.6, 57.4. IR ν 3287, 2860, 1601, 1445, 1350, 1254, 1162, 1071 cm-1. HRMS (FD+) m/z C22H22O4の計算値350.1518, 実測値350.1515.
足場T4(-≡)2-4
Figure 0007100034000036
化合物12(861mg、2.46mmol、1当量)及びEt3N(860μL、6.15mmol、2.5当量)を、0℃上で乾燥THF(25mL)中に溶解させ、続いてMsCl(761μL、9.84mmol、4当量)を滴加した。混合物をRTで一晩撹拌し、その後、H2O(100mL)で1時間かけてクエンチした。生成物をEtOAc(3×150mL)で抽出し、飽和NaBr溶液(300mL)で洗浄した。有機層をMgSO4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。得られた無色の油状物を乾燥THF(20mL)中に溶解させ、LiBr(855mg、9.84mmol、4当量)を添加し、混合物を2時間撹拌した。H2O(100mL)を添加し、続いてEtOAc(3×200mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaBr溶液(500mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、真空中で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc 5:1~3:1)による精製により、白色の粉末として足場T4(-≡)2-4(80%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.55 (s, 2H), 7.52 (s, 2H), 7.41 (s, 1H), 7.37 (s, 1H), 4.68 (s, 4H), 4.53 (s, 4H), 4.24 (d, 4H), 2.50 (t, 2H). 13C NMR (400 MHz, CDCl3) δ 142.1, 140.5, 139.1, 138.5, 128.7, 128.1, 127.1, 126.4, 79.6, 75.0, 71.4, 57.6, 32.9, 29.8. IR ν 3289, 2924, 2853, 1601, 1448, 1352, 1214, 1082 cm-1. HRMS (EI+) m/z C22H20Br2O2の計算値473.9830, 実測値473.9840.
足場T6(-≡)3-1
フタルイミド13
Figure 0007100034000037
1,3,5-トリス(ブロモメチル)メシチレン(19.8mmol、7.88g、1当量)を、不活性雰囲気下で無水DMF(300mL)中に溶解させた。フタルイミドカリウム塩(120mmol、22.2g、6当量)を添加し、混合物を一晩還流した。室温まで冷却し、その後、混合物を濾過し、DMF(2×50mL)、H2O(2×100mL)及びアセトン(100mL)で順次洗浄した。真空中で残留物を乾燥させた後、白色固体として生成物13(16.8mmol、85%)を単離した。スペクトルデータは報告されたデータと一致していた(Roelensら、2009)。
ブロマイド14
Figure 0007100034000038
フタルイミド13(18.1mmol、10.8g、1当量)を1,2-ジブロモエタン(120mL)に懸濁させ、臭素(60.2mmol、3.1mL、3.3当量)を添加した。混合物を撹拌し、120℃で25分間照射し、その後、更に2.5時間加熱せずに照射した。チオ硫酸塩(...M)の水溶液を添加することによって過剰の臭素をクエンチし、生成物をジブロモエタン(2×50mL)で抽出した。合わせた有機層を飽和NaHCO3溶液(100mL)、食塩水(150mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、真空中で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(CH2Cl2)により精製して、黄色固体として14(9.11mmol、51%)を得た。スペクトルデータは報告されたデータと一致していた(Roelensら、2009)。
プロパルギルエーテル15
Figure 0007100034000039
14(8.45mmol、7.05g、1当量、文献の手順に従って調製した)をDMSO(85mL)中に懸濁させ、銀トリフレート(28.6mmol、7.34g、3.4当量)を添加した。混合物を暗所で1時間激しく撹拌し、続いてDIPEA(42.3mmol、7.4mL、5当量)を添加し、1時間撹拌した。水(50mL)を添加し、混合物を濾過し、続いてCH2Cl2(4×100mL)で抽出した。合わせた有機層を2MのHCl(2×75mL)及び水(100mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗黄色固体(7.40mmol、88%)を不活性雰囲気下で乾燥CH2Cl2(170mL)中に溶解させた。その場で生成したトリメチル(2-プロピン-1-イルオキシ)シラン(3.5当量)及びトリエチルシラン(22.6mmol、3.4mL、3.4当量)を添加し、混合物を-60℃に冷却した。TMSOTf(3.42mmol、620μL、0.5当量)を添加し、混合物を室温で一晩撹拌した。DCM(200mL)で希釈した後、混合物をH2O(200mL)、食塩水(250mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。カラムクロマトグラフィー(CH2Cl2/EtOAc 95:5)による濾過、濃縮、精製により、白色固体として15(3.987mmol、59%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.79 - 7.65 (dq, 12H), 5.08 (s, 6H), 4.96 (s, 6H), 3.97 (d, 6H), 2.22 (t, 3H). 13C NMR (400 MHz, CDCl3) δ 168.17, 137.76, 132.25, 133.90, 132.23, 123.34, 79.47, 74.69, 66.40, 57.80, 37.00. IR ν 1770, 1391, 1058, 712 cm-1. HRMS (FD+) m/z C45H33N3O9の計算値759.2217, 実測値759.2191.
足場T6(-≡)3-1
Figure 0007100034000040
不活性雰囲気下における、EtOH/トルエン(3:1、3.5mL)中のプロパルギルエーテル15(0.341mmol、259mg、1当量)の懸濁液に、メチルヒドラジン(2.09mmol、110μL、6.1当量)を添加した。混合物を90℃で一晩撹拌した。完了後、混合物を40%KOH溶液(25mL)に注ぎ入れ、CH2Cl2(3×25mL)で抽出した。合わせた有機層をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、濃縮した。粗白色固体(0.252mmol、74%)を、更に精製することなく、引き続いての反応に使用した。ブロモアセチルブロミド(23.0mmol、2mL、17当量)を乾燥CH2Cl2(15mL)に添加し、混合物を0℃まで冷却した。CH2Cl2(15mL)中のトリアミンX(1.35mmol、497mg、1当量)を混合物に滴加した。完了後、混合物を飽和NaHCO3溶液(25mL)でクエンチし、CH2Cl2(3×30mL)で抽出した。合わせた有機層をH2O(50mL)、食塩水(35mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させた。カラムクロマトグラフィー(PE/EtOAc 2:1~5:1)での濃縮及び精製により、白色粉末として所望のT6(-≡)3-1足場(0.739mmol、55%)を得た。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.16 (t, 3H), 4.82 (s, 6H), 4.72 (d, 6H), 4.36 (d, 6H), 3.86 (s, 6H), 2.58 (t, 3H). 13C NMR (400 MHz, CDCl3) δ 164.85, 139.08, 136.91, 78.80, 76.22, 65.91, 58.51, 38.37, 29.09. IR ν 3277, 1641, 1537, 1070 cm-1. HRMS (FD+) m/z C27H30Br3,N3O6の計算値731.9791, 実測値731.9744.
3. 固相ペプチド合成(SPPS)
概説:
アミノ酸は1文字のコードで示されている。ペプチドは、N末端でアセチル化され、C末端でアミド化されている。非天然アミノ酸アジドホモアラニンは[Aha]と略される。
ペプチドのFmac合成のための一般的手順:
Prelude(Protein Technologies社、USA)、Symfony(Protein Technologies社、USA)、Syro(I)(MultiSyntech社、Germany)合成装置において、4-(2‘,4'-ジメトキシフェニル-Fmoc-アミノメチル)-フェノキシ(RinkAmide)樹脂(BACHEM社、Germany)を使用する固相上で、ペプチドを合成した。すべてのFmoc-アミノ酸は、Biosolve社(Netherlands)又はBachem社(Germany)から購入し、N-t-Boc(アミノ酸KW)、O-t-Bu(DESTY)、N-Trt(HNQ)、S-Trt(C)又はN-Pbf(R)基として保護された適切な側鎖官能基を有する。ペプチド合成に使用されるすべての溶媒(ピペリジン、トリフルオロ酢酸、NMP及びDMF)は、ペプチドグレードの品質でBiosolve社(Netherlands)から購入した。Fmoc-アジドホモアラニン-OH(Fmoc-Aha-OH)を、Springら、2011によって記載された文献の手順に従って合成した。アミノ酸をDMF(200mM)中に溶解させ、そのまま使用した。ピペリジンをNMP中の20%原液として使用し、HATUをDMF中の0.4M原液として使用し、DIPEAをNMP中の2M原液として使用した。[Aha]を含む標準的アミノ酸を、1時間の反応時間により、単一カップリングプロトコル(5倍過剰のHATU/アミノ酸及び10倍過剰のDIPEA)を介してカップリングさせた。困難なアミノ酸カップリング、例えば、R、K及びCの場合、2×15分の反応時間による、二重カップリングプロトコル(10倍過剰のHATU/アミノ酸及び20倍過剰のDIPEA)を使用した。樹脂をNMP/Ac2O/DIPEA(10:1:0.1)と室温で30分間反応させることによって、ペプチドのN末端のアセチル化(Ac)を行った。アセチル化ペプチドを、TFA/MilliQ/チオアニソール/DODT/TIS(90:5:2.5:5:2.5)のカクテルと室温で2時間反応させることによって、樹脂から切断した。Et2O/ペンタン(1:1)によりペプチドを沈殿させ、続いて沈殿したペプチドを凍結乾燥させ、粗ペプチドを得た。逆相HPLC(移動相は、溶離液A(0.05%TFAを含有するmilliQ-H2O)及び溶離液B(0.05%TFAを含有するACN)の勾配混合物からなる)によって、粗ペプチドの精製を行った。
4. CLIPS/CuAACライゲーション-環化
T4足場による環化
概説
UPLC-ESMSシステム(特に明記しない限り、3分間、5~80%B、Acquity UPLC Peptide BEH C18カラム、130Å、1.7μm、2.1×50mm、UV検出(λ=215nm)及びMS分析用正イオン電流上で、ライゲーション環化反応を測定した。直鎖状ペプチドは、数字(#)とそれに続く下付き文字のループ長(y)を用いて表記され、例えば、(3×3×3のペプチドループを有する特定のペプチドについては)#333と表記される。単環式CLIPS-ペプチドは、T4(-≡)2-@(式中、@は、足場数であり、1、2、3又は4である)への共有結合により表記され、例えば、[#333-T4(-≡)2-@]と表記される。三環式CLIPS/CuAACペプチドは、アラビア数字の代わりにローマ数字で表記され、例えば、ペプチド1333と足場T4(-≡)2-4との三環化の生成物は、[I333-T4(-≡)2-4]と表記される。
Figure 0007100034000041
ワンポットCLIPS/CuAACライゲーション-環化の一般的手順
直鎖状ペプチド(1.0当量)をDMF/H2O(2:1、0.5mM)中に溶解させ、T4(-≡)2-足場の0.8当量の10mM原液(DMF中)を、混合物に添加した。CLIPS反応を開始するために、NH4HCO3溶液(1M)を添加することによって、溶液のpHを8に調整した。直鎖状ペプチドを完全に消費した後、H2O中のCuSO4(2当量)、THPTA-リガンド(2当量)及びアスコルビン酸ナトリウム(10当量)のプレインキュベートカクテルを、反応混合物に添加した。完了後、0.1MのEDTA溶液(5当量)を混合物に添加して反応をクエンチし、続いてすぐに逆相HPLC精製又は凍結乾燥を行った。
CuAAC反応完了確認:シュタウディンガー還元
CuAAC反応が完了したかどうかを確認するために、70μLのUPLC試料に20μLの1M TCEPを添加した。混合物を24時間インキュベートし、UPLCで分析した。CLIPS/CuAACとCuAAC/CLIPSの両方を実施した。CuAACを最初に行ったとき、システイン残基の遊離チオールは、銅(I)への厳密な配位と共に酸化され、S-S酸化ペプチドの形成をもたらす傾向があった。更に、CLIPS反応は、マイクロモル濃度下で行うことができ、それによって、ペプチド-足場構築物のオリゴマー化を制限することができる。これらの理由から、常にCuAACの前にCLIPSから開始することが推奨される。
足場T4(-≡)2-3上でのペプチドAc-CQWG[Aha]KSR[Aha]FIIC-NH2のCLIPS/CLICK環化のための実験手順全体
Figure 0007100034000042
CLIPS:ペプチドAc-CQWG[Aha]KSR[Aha]FIIC-NH2(1.00mg、0.612μmol、1当量)を、DMF/H2O(2:1、1.2mL)中に溶解させて0.5mM溶液を得た。次いで、足場T4(-≡)2-3(1.71mg、4.45μmol)をDMF(445μl)中に溶解させて10mM溶液を得、この溶液の49μL(0.8当量)をペプチド溶液に添加した。続いて、10μLのNH4HCO3溶液(1M)を添加しpH=8に達するようにして反応を開始させた。ESI-MS分析と組み合わせたUPLC/UV(図18A)によって、ペプチドの完全な消費及び単環式ペプチドの形成を確認した。この分析は特定の場合に30分未満の時間を要した。
CLICK:硫酸銅(II)五水和物(5.0mg、20μmol)を500μLのH2O中に溶解させることにより、H2O中の硫酸銅(II)五水和物の10mM原液を調製した。THPTA(5.0mg、12μmol)を1.2mLのH2O中に溶解させることにより、H2O中のTHPTAリガンドの10mM原液を調製した。両方の化合物をペプチドに対して2倍モル過剰で添加した。122μLの10mM硫酸銅(II)原液及び122μLの10mM THPTA原液を、別個のバイアル内で混ぜ合わせ、続いて5当量のアスコルビン酸ナトリウム(1.2mg、6.06μmol)を添加した。ペプチドと比較した最終的な当量は、銅/リガンド/アスコルベートについてそれぞれ2/2/10である。続いて、Cu(I)/THPTA/アスコルベート混合物をペプチド溶液に添加し、続いてUPLC/UV及びESI-MSで直接分析した。したがって、添加したすべてのCu(I)イオンを錯化してCLICK反応をクエンチするために、反応混合物の50μL試料を20μLの0.1M EDTA溶液(pH=7.8)と混合した。1分後、UPLC-MSによると反応は本質的に完了した(図18B)。
足場T4(-≡)2-3上でのペプチドAc-CQWG[Aha]KAS[Aha]FSEC-NH2のCLIPS/CuAAC環化のための実験手順全体
Figure 0007100034000043
CLIPS:ペプチドAc-CQWG[Aha]KAS[Aha]FSEC-NH2(5.30mg、3.44μmol、1当量)を、DMF/H2O(2:1、6.9mL)中に溶解させて0.5mM溶液を得た。次いで、足場T4(-≡)2-3(DMF中の10mM溶液からの0.275μL、2.75μmol、0.8当量)を添加した。続いて、反応を開始するために、20μLのNH4HCO3溶液(200mM)を添加してpH=8にした。
CuAAC:CuAAC反応を開始するために、H2O中のCuSO4/THPTA/Asc(直鎖状ペプチドと比較して2:2:10当量)のプレインキュベートした混合物をCLIPS混合物に添加した。
図19は、ペプチド(ペプチドI333)のUPLC-MSクロマトグラムを示す。図20は、足場T4(-≡)2-3とカップリングされたペプチドI333のCLIPS(図20A)及びCuAAC(図20B)反応のUPLC-MSクロマトグラムを示す。
完了後、0.1MのEDTA溶液を添加することによって反応をクエンチし、RP-HPLCで直接精製して、三環式ペプチドを18%の収率で得た(図20C)。
足場T4(-≡)2-4上でのペプチドAc-CQWG[Aha]KAS[Aha]FSEC-NH2のCLIPS/CuAAC環化のための実験手順全体
Figure 0007100034000044
CLIPS:ペプチドAc-CQWG[Aha]KAS[Aha]FSEC-NH2(9.64mg、6.26μmol、1当量)を、DMF/H2O(2:1、12.6mL)中に溶解させて0.5mM溶液を得た。次いで、足場T4(-≡)2-4(DMF中の10mM溶液からの0.501μL、5.01μmol、0.8当量)を添加した。続いて、反応を開始するために、50μLのNH4HCO3溶液(200mM)を添加してpH=8にした。
CuAAC:CuAAC反応を開始するために、H2O中のCuSO4/THPTA/Asc(直鎖状ペプチドと比較して2:2:10当量)のプレインキュベートした混合物をCLIPS混合物に添加した。図19は、ペプチド(ペプチドI333)のUPLC-MSクロマトグラムを示す。図21は、足場T4(-≡)2-4とカップリングされたペプチドI333のCLIPS(図21A)及びCuAAC(図21B)反応のUPLC-MSクロマトグラムを示す。
完了後、0.1MのEDTA溶液を添加することによって反応をクエンチし、RP-HPLCで直接精製して、三環式ペプチドを28%の収率で得た(図21C)。
さらなるCLIPS/CuAAC反応
上記のワンポットCLIPS/CuAACライゲーション-環化のための一般的手順により、及び上記のCLIPS/CLICK環化のための実験手順全体と同様に、上記の19種の異なるペプチド及び足場T4(-≡)2-1、T4(-≡)2-42、T4(-≡)2-3及びT4(-≡)2-4を用いて、CLIPS/CuAAC環化を行った。全反応の結果(保持時間、直鎖状ペプチド、単環式CLIPS-ペプチド及び三環式CLIPS/CuAAC-ペプチドのMW計算値/実測値を含む)をTable1(表1)に示す。
Figure 0007100034000045
Figure 0007100034000046
Figure 0007100034000047
Figure 0007100034000048
四環式ペプチドを生成するための、単環のT4環化の一般的手順:
Figure 0007100034000049
単環式ペプチドは、頭-尾環化のための各種方法(例えば、Schmidtら、2017、及びTimmermanら、2009)を介して作製することができる。
CLIPS:単環式ペプチド204444(0.52、0.233μmol、1当量)を480μLのDMF/H2O(2:1)中に溶解させ、0.5mM溶液を得た。次いで、足場T4(-≡)2-4(DMF中の10mM原液からの19μL、0.186μmol、0.8当量)を添加した。続いて、反応を開始させるために、40μLの水性NH4HCO3-溶液(200mM)を添加してpH=8にした。
CuAAC:CuAAC反応を開始するために、H2O中のCuSO4/THPTA/Asc(直鎖状ペプチドと比較して2:2:10当量)のプレインキュベートした混合物をCLIPS混合物に添加した。
異なるT4足場を用いて、2つの頭-尾環化ペプチドを更に環化して、四環式ペプチドを得た。頭-尾環化ペプチド、二環式CLIPSペプチド及び四環式CLIPS/CuAACペプチドのUPLC-MSクロマトグラムを、以下の通り、図21~図24に示す。
ILCQWGA[Aha]KASE[Aha]FSKVCPK:204444+T4(-≡)2-3(図22)、
ILCQWGA[Aha]KASE[Aha]FSKVCPK:204444+T4(-≡)2-4(図23)、
ILKCQKGAT[Aha]KASEK[Aha]NHSKVCPK 215555+T4(-≡)2-3(図24)、及び
ILKCQKGAT[Aha]KASEK[Aha]NHSKVCPK 215555+T4(-≡)2-4(図25)。
T6足場による環化
五環式ペプチドを生成するためのT6環化の一般的手順
CLIPS:直鎖状ペプチド2211111(0.72mg、0.533μmol、1当量)をDMF/H2O(1:1)中に溶解させて、0.5mM溶液を得た。次いで、足場T6(-≡)3-1(DMF中の10mM原液からの43μL、0.426μmol、0.8当量)を添加した。続いて、反応を開始させるために、40μLの水性NH4HCO3-溶液(200mM)を添加してpH=8にした。
CuAAC:CuAAC反応を開始するために、H2O中のCuSO4/THPTA/Asc(直鎖状ペプチドと比較して2:2:10当量)のプレインキュベートした混合物をCLIPS混合物に添加した。
異なるT4足場を用いてペプチドを環化して、四環式ペプチドを得た。
頭-尾環化ペプチド、二環式CLIPSペプチド及び四環式CLIPS/CuAACペプチドのUPLC-MSクロマトグラムを、以下の通り、図21~図24に示す。
Ac-CQ[Aha]KCF[Aha]ACK[Aha]-NH2:2211111+T6(-≡)3-1(図26)、
Ac-CQW[Aha]KACFS[Aha]ATCKN[Aha]-NH2:2322222+T6-(≡)3-1(図27)、
H-CQWGA[Aha]KASECFSEK[Aha]ATKGCGNKG[Aha]-NH2:2444444+T6-(≡)3-1(図28)、及び
H-CQWGAS[Aha]KASEVCFSEKG[Aha]ATKGKCGNKGE[Aha]-NH2:2555555+T6-(≡)3-1(図29)。
(実施例3)
生物学的に活性な四環の同定
配列R[Aha]FRLPCRQLRCFRLP[Aha]RQL-OcamL(式中、OcamLは、オムニラーゼ-1酵素の認識部位である)を有するペプチドを、Schmidtら、2017に記載されているように、オムニラーゼ-1を使用して触媒的に頭-尾環化した。その後、このペプチドを、2つの異なるT4足場、T4(-≡)2-3及びT4(-≡)2-4とカップリングさせて、四環式ペプチドを得た。図30Aは、四環式ペプチドをもたらす、CLIPS及びCLICK反応混合物のUPLC-MSクロマトグラムを示す。
最大半減阻害濃度(IC50)として表される、凝固第XIIA因子に対する生物活性を、Baeriswylら、2015、Middendorpら、2017、及びHeinisら、2009に記載されているように、残留蛍光アッセイによって決定した。要約すると、可溶性組換えヒト第XIIA因子(Baeriswylら、2015)を、四環式又は二環式ペプチドの複数の希釈物(50μM~12nMの7種の希釈物)と共にインキュベートした。15分後、C末端に開裂可能蛍光性AMC基を有する(したがって「基質」と呼ばれる)トリペプチドを、混合物に添加した。酵素第XIIA因子は、酵素阻害剤が存在しない場合にAMC基を開裂して蛍光シグナルを増加させることが知られている。しかしながら、四環式ペプチド又は二環式ペプチド間の結合は、酵素による基質の蛍光標識の開裂を阻害し、したがって、蛍光シグナルの減少をもたらす。非線形回帰により、IC50を決定することができる(GraphPathソフトウェアにより決定を行った)。同じペプチド配列を有するがTATAの代わりに足場1,3,5-トリス-(ブロモメチル)ベンゼン(TBMB)に付着している、凝固第XIIA因子の既知の二環式ペプチド阻害剤(FXIIA618、Baeriswylら、2015)の変異体を、生物学的活性の比較のために使用した。
図30Bに示されるように、四環式ペプチドは、二環式ペプチドについての1.9μMのIC50と比べて、IC50は0.54μMの([2F-T4(-≡)2-3])及び1.2μMの([2F-T4(-≡)2-4])であり、FXIIAに対して優れた生物活性を示した、。
参考文献
1 アミン
2 位置異性体

Claims (20)

  1. 分子足場に付着したペプチドを含む化合物を調製する方法であって、
    1)ペプチドと分子足場との間でチオラート求核置換反応を行って、前記ペプチドと前記分子足場との間に2つ又は3つのチオエーテル連鎖を形成する工程と、
    2)オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド付加環化、チオール-エン反応、ヒドラゾン-ライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋形成、及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される、前記ペプチドと前記分子足場との間での後続の反応を行い、前記ペプチドと前記分子足場との間に2つ又は3つのさらなる連鎖を形成し、
    それによって、3つ~6つのペプチドループを形成する工程と
    を含み、
    - 前記ペプチド及び前記分子足場が、前記チオラート求核置換反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基と、工程2)の前記反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基とを、前記反応を行う前に含み、
    - 前記分子足場が、芳香族若しくはヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又は6員シクロアルキレンを含み、2回又は3回対称性を有する、
    方法。
  2. 工程2)の前記反応が、オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド環化付加、及びチオール-エン反応からなる群から選択され、好ましくはオキシム-ライゲーション反応又はアルキン-アジド付加環化である、請求項1に記載の方法。
  3. 工程1)及び2)の前記反応を行う前の前記分子足場が、
    - 前記チオラート求核置換反応に関与することができる2つの反応性基と、工程2)の前記反応に関与することができる2つの反応性基、又は
    - 前記チオラート求核置換反応に関与することができる3つの反応性基と、工程2)の前記反応に関与することができる3つの反応性基
    を含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記ペプチドが、工程1)及び2)の前記反応を行う前に、2つ又は3つのチオール基を含み、前記分子足場が、工程1)及び2)の前記反応を行う前に、活性化メチレン基に結合した2つ又は3つのハロゲン化物を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記ペプチドが、工程1)及び2)の前記反応を行う前に直鎖状ペプチドである、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記ペプチドに1つ又は複数の連鎖を導入する工程を更に含む、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 前記足場が、工程1)及び2)の前記反応を行う前に、前記チオラート求核置換反応に関与することができる2つ又は3つの反応性基を含む足場の一部と、工程2)の前記反応に関与することができる前記2つ又は3つの反応性基を含む足場の一部との間に位置する、自由回転結合を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. - 前記ペプチド及び前記分子足場が、工程1)及び2)の前記反応を行う前に、前記チオラート求核置換反応に関与することができる2つの反応性基と、工程2)の前記反応に関与することができる2つの反応性基とを含み、
    - 前記分子足場が、C2v対称性を有し、
    - 前記分子足場が、工程1)及び2)の前記反応を行う前に、チオラート求核置換反応に関与することができる前記2つの反応性基を含む足場の一部と、工程2)の反応に関与することができる前記2つの反応性基を含む足場の一部との間に位置する、自由回転結合を含む、
    請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
  9. 分子足場に付着したペプチドを含む化合物であって、
    i. 前記ペプチドは、4つ~6つの連鎖によって前記分子足場に付着しており;
    ii. 前記分子足場は、芳香族若しくはヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又はシクロアルキレンを含み、2回又は3回対称性を有し;
    iii. 前記化合物は、前記ペプチドの前記分子足場への付着の結果として形成された3つ~6つのペプチドループを含み;
    iv. 前記連鎖のうちの2つ又は3つはチオエーテル連鎖であり;
    v. 前記連鎖のうちの2つ又は3つは、オキシムコンジュゲート、1,2,3-トリアゾール、チオエーテル、ヒドラゾンコンジュゲート、6員環、及びジスルフィド架橋から選択される、
    化合物。
  10. 本質的に1つ又は2つの位置異性体の形態である、請求項9に記載の化合物。
  11. 前記ペプチドが、ペプチド内連鎖を含む、請求項9又は10に記載の化合物。
  12. 前記2つ又は3つのチオエーテル連鎖を含む前記分子足場の一部と、オキシムコンジュゲート、1,2,3-トリアゾール、チオエーテル、ヒドラゾンコンジュゲート、6員環、及びジスルフィド架橋からなる群から選択される、前記2つ又は3つの連鎖を含む前記分子足場の一部が、水素原子以外の原子の単結合対によって分離されている、請求項9から11のいずれか一項に記載の化合物。
  13. 前記化合物が、前記ペプチドをディスプレイし前記ペプチドをエンコードする核酸を含んでいる遺伝子パッケージを含み、好ましくは、前記遺伝子パッケージが、ファージディスプレイ粒子、mRNAディスプレイ粒子、リボソームディスプレイ粒子、DNAディスプレイ粒子、細菌ディスプレイ粒子又は酵母ディスプレイ粒子である、請求項9から12のいずれか一項に記載の化合物。
  14. 請求項9から13のいずれか一項に記載の複数の化合物を含むライブラリ。
  15. - 芳香族若しくはヘテロ芳香族環式部分、6員シクロアルキル又は6員シクロアルキレン、
    - それぞれ活性化メチレン基に結合した2又は3個のハロゲン化物である、チオラート求核置換反応に関与することができる2又は3個の反応性基、
    - オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド環化付加、チオール-エン反応、ヒドラゾン-ライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋形成及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される反応に関与することができる、2つ又は3つの反応性基
    を含み、2回又は3回対称性を有する分子足場であって、ただし、1,3,5-トリス(ブロモメチル)-2,4,6-トリス(トリメチルシリルエチニル)ベンゼンではない、分子足場。
  16. - 芳香族又はヘテロ芳香族環式部分、
    - それぞれ活性化メチレン基に結合した2又は3個のハロゲン化物、及び
    - オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド環化付加及びチオール-エン反応からなる群から選択される反応、好ましくはオキシム-ライゲーション反応又はアルキン-アジド環化付加に関与することができる、2つ又は3つの反応性基
    を含み、C2v対称性又はD3h対称性を有する、請求項15に記載の分子足場。
  17. チオラート求核置換反応に関与することができる前記2つ又は3つの反応性基を含有する足場の一部と、オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド付加環化、チオール-エン反応、ヒドラゾン-ライゲーション反応、ディールスアルダー型反応、ジスルフィド架橋形成、及び閉環メタセシス反応からなる群から選択される反応に関与することができる前記2つ又は3つの反応性基を含有する足場の一部との間に位置する、自由回転結合を含む、請求項15又は16に記載の分子足場。
  18. - それぞれ活性化メチレン基に結合した2つのハロゲン化物;
    - オキシム-ライゲーション反応、アルキン-アジド環化付加及びチオール-エン反応からなる群から選択される反応、好ましくはオキシム-ライゲーション反応又はアルキン-アジド環化付加に関与することができる2つの反応性基、並びに
    - 前記2つのハロゲン化物を含有する足場の一部と、前記2つの反応性基を含有する足場の一部との間に位置する、自由回転結合
    を含み、C2v対称性を有する、請求項17に記載の分子足場。
  19. 対象標的に結合することができる化合物を同定する方法であって、請求項14に記載の化合物のライブラリを対象標的と接触させる工程と、前記化合物の前記標的への結合を決定する工程と、前記標的に結合する化合物を選択する工程とを含む、方法。
  20. 候補薬物化合物を選択するための方法における、請求項9から13のいずれか一項に記載の化合物又は請求項14に記載のライブラリの使用。
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