JP7099227B2 - グラフェン被覆織物の製造方法およびグラフェン被覆織物 - Google Patents

グラフェン被覆織物の製造方法およびグラフェン被覆織物 Download PDF

Info

Publication number
JP7099227B2
JP7099227B2 JP2018180202A JP2018180202A JP7099227B2 JP 7099227 B2 JP7099227 B2 JP 7099227B2 JP 2018180202 A JP2018180202 A JP 2018180202A JP 2018180202 A JP2018180202 A JP 2018180202A JP 7099227 B2 JP7099227 B2 JP 7099227B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
graphene
woven fabric
coated
less
coated woven
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2018180202A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019060067A (ja
JP2019060067A5 (ja
Inventor
浩一郎 眞鍋
典子 長井
栄一郎 玉木
恵司 竹田
潤 川上
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Publication of JP2019060067A publication Critical patent/JP2019060067A/ja
Publication of JP2019060067A5 publication Critical patent/JP2019060067A5/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7099227B2 publication Critical patent/JP7099227B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
  • Treatments For Attaching Organic Compounds To Fibrous Goods (AREA)
  • Woven Fabrics (AREA)

Description

本発明は、織物をグラフェンで被覆してなるグラフェン被覆織物の製造方法およびグラフェン被覆織物に関する。
フレキシブルな配線部材は、特に小型軽量化が望まれるスマートフォンやウェアラブルデバイス、航空機など様々な機器で使用されている。近年、ウェアラブルデバイスの開発、実用化が本格化しており、導電性、フレキシブル性に加えて装着時の快適性を兼ね備えたフレキシブル配線材料の需要が高まっている。
これらの特性を満たす可能性がある材料の一つに導電性繊維がある。従来、導電性繊維として、銅などの金属を繊維表面にコーティングしたもの、カーボンブラックを繊維素材内部に含有させたもの、金属細線を織り込んだもの、などが知られている。これらの導電性繊維は、金属配線やカーボンの樹脂成形物などと比べ、軽量かつ柔軟性に優れるため、静電気防止衣料などに利用されている。また、生体電極やバイオインターフェースへ応用することで、デバイスを装着している感覚を低減できる可能性があり、盛んに研究されている。
導電性繊維に用いられる導電材の中でもカーボン系材料は金属と比べ軽量であり、腐蝕することが無く、装着時に皮膚に接触した際アレルギーのリスクが低いことから、カーボン系材料の導電性を利用した低抵抗な導電性繊維が求められている。
特許文献1では、ポリエステル樹脂にカーボンブラックを溶融混練した後、溶融紡糸する、カーボンブラック練り込み導電性繊維の作製手法が開示されている。
また、特許文献2では、パルプ繊維水懸濁液にカチオン性高分子水溶液を添加した上で酸化グラフェン水分散液を添加、酸化グラフェンをカチオン性高分子に静電吸着させ、その後、脱水、シート化、還元する、パルプ繊維上にグラフェンを固定化した電極シートの作製手法が開示されている。
特開2007-247095号公報 特開2015-221947号公報
特許文献1では、絶縁性のポリエステル繊維内にカーボンブラックが混ぜ込まれるため、カーボンブラックの導電パスがポリエステルに寸断され、カーボンブラック単独よりも導電性が低くなり、これを用いて織物を製織しても抵抗が高くなりやすいという課題があった。
また、特許文献2では、パルプ繊維をホットプレス処理することでシート化するため、パルプ繊維が高密度に固着しやすく、織物を始めとする布に比べ、特有の柔らかな風合いが失われやすいという課題があった。
上記課題を解決するための本発明は、グラフェン被覆織物の製造方法であって、織物を、
5≦グラフェン材料の平均サイズに対する織物の目開きの比(A)≦500
を満たす平均サイズのグラフェン材料の分散液中に浸漬する浸漬工程を有するグラフェン被覆織物の製造方法である。
本発明の製造方法により得られるグラフェン被覆織物は、目開きとグラフェンのサイズの比を制御したことで、織物中の繊維表面を層状のグラフェンで薄く均一に被覆することに成功した。フレキシブル性を持つ薄いグラフェン被覆層は繊維の可動域を阻害せず、また、目開きをグラフェンサイズより十分大きくすることで、グラフェンが複数の単繊維に付着して繊維の可動域を阻害することを防ぐことができる。この様な構造を実現したことで、織物の持つ柔らかな風合いを損なうことなく高い導電性を付与することができる。
<グラフェン被覆織物の製造方法>
グラフェンとは、狭義には1原子の厚さのsp2結合炭素原子のシート(単層グラフェン)を指すが、本明細書においては、単層グラフェンが積層した薄片状の形態を持つものも含めてグラフェンと呼ぶ。また、酸化グラフェンも同様に、積層した薄片状の形態を持つものも含めた呼称とする。また、本明細書においては、X線光電子分光分析(XPS)によって測定された酸素原子の炭素原子に対する元素割合(酸化度)が0.4を超えるものを酸化グラフェン、0.4以下のものをグラフェンと呼ぶ。さらに、グラフェンや酸化グラフェンには分散性の向上等を目的とした表面処理がなされる場合があるが、本明細書においては、このような表面処理剤が付着したグラフェンまたは酸化グラフェンも含めて「グラフェン」または「酸化グラフェン」と呼称するものとする。なお、本明細書においては、このようなグラフェンと酸化グラフェンを総称して「グラフェン材料」と呼ぶものとする。
酸化グラフェンは公知の方法で作製することができる。また市販の酸化グラフェンを購入してもよい。酸化グラフェンの作製法は改良ハマーズ法が好ましい。
グラフェン材料の酸化の度合いは、XPSによって測定される酸素原子の炭素原子に対する比(酸化度)で表すことができる。グラフェン材料表面の酸素原子は、グラフェン材料表面のヒドロキシ基(-OH)、カルボキシル基(-COOH)、エステル結合(-C(=O)-O-)、エーテル結合(-C-O-C-)、カルボニル基(-C(=O)-)、エポキシ基などの官能基に含まれる酸素原子や、表面処理剤が有する官能基に含まれる酸素原子からなる。酸化度は、例えば化学剥離法を用いた場合は原料となる酸化グラフェンの酸化度を変えたり表面処理剤の量を変えたりすることによりコントロールすることが可能である。酸化グラフェンは、それ自体は絶縁性で、導電性を有しないが、還元して酸化度を下げてグラフェンにすると、導電性を発現するようになる。
浸漬工程において、グラフェン材料の分散液として酸化グラフェン分散液を用いる場合、酸化グラフェンの酸化度が高い方が、極性溶媒中で官能基同士の反発により、極性溶媒への分散性も向上し、凝集が少なくなり、薄く被覆される傾向がある。一方、酸化度が低すぎると、還元して得られるグラフェンの導電性が悪くなる場合がある。これらの観点から、織物を酸化グラフェンで被覆する場合に使用する酸化グラフェンの酸化度は、0.5以上0.8以下であることが好ましい。酸化グラフェンの酸化度は、黒鉛の酸化反応に用いる酸化剤の量を変化させることで調整することができる。具体的には、酸化反応の際に用いる、黒鉛に対する硝酸ナトリウムおよび過マンガン酸カリウムの量が多いほど高い酸化度になり、少ないほど低い酸化度になる。
また、酸化グラフェンは、内部までグラファイトが酸化されていないと、還元した時に薄片状のグラフェンが得られにくい。そのため、酸化グラフェンは、乾燥させてX線回折測定をした時に、グラファイト特有のピークが検出されないことが望ましい。
グラフェンの作製方法としては、例えば、前述した酸化グラフェン水分散液を還元する方法が挙げられる。酸化グラフェンを還元する方法は特に限定されないが、化学還元が好ましい。化学還元の場合、還元剤としては、有機還元剤、無機還元剤が挙げられるが、還元後の洗浄の容易さから無機還元剤がより好ましい。還元後のグラフェン/水分散液を乾燥して溶媒を除去することでグラフェンを得ることができる。乾燥方法は特に限定されるものではないが、凍結乾燥又はスプレードライなどを好適に用いることができる。
織物をグラフェンで被覆する場合は、酸化度が0.05以上0.35以下のグラフェンを用いることが好ましい。グラフェン表面の酸素原子が少なすぎると溶媒中での帯電が弱く、さらに溶媒に対する分散性も悪化する傾向がある。逆に、酸素原子が多すぎるとグラフェンが十分還元できていない状態であり、π電子共役構造が復元せずに導電性が低下する傾向がある。グラフェンの酸化度は、より好ましくは0.07以上であり、さらに好ましくは0.09以上であり、特に好ましくは0.10以上である。また同様に、より好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.20以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
分散液に含まれるグラフェン材料の平均サイズは、0.10μm以上であることが好ましく、0.15μm以上であることがより好ましく、0.20μm以上であることがさらに好ましい。また同様に、1.00μm以下であることが好ましく、0.80μm以下であることがより好ましく、0.60μm以下であることがさらに好ましい。ここでいうグラフェン材料のサイズとは、グラフェン材料面の最長径と最短径の平均を指す。グラフェン材料の平均サイズが0.01μmを下回ると、グラフェン材料同士の凝集力が強くなり、繊維への被覆が不均一になる傾向がある。一方、グラフェン材料の平均サイズが1.00μmを上回ると、溶媒への分散性が低下し、繊維への被覆が不均一になる傾向がある。
グラフェン材料の平均厚みは、特に制限は無いが、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは20nm以下である。また同様に、1nm以上が好ましく、2nm以上がより好ましい。グラフェン材料の平均厚みが100nmを上回ると、グラフェン材料のフレキシブル性が低下し、繊維表面へ追従しにくくなる傾向がある。一方、グラフェン材料の平均厚みが1nmを下回ると、グラフェン材料同士の凝集力が強くなり、繊維への被覆が不均一になる傾向がある。
グラフェン材料の平均サイズと平均厚みは、グラフェン材料をN-メチルピロリドン溶剤中で0.002~0.005質量%にまで希釈し、ガラス基板などの平滑性の高い基板上に滴下・乾燥し、レーザー顕微鏡や原子間力顕微鏡で観察することで測定することができ、具体的には、後述する測定例5および測定例8に記載の方法により測定することができる。また、グラフェン被覆織物に含まれるグラフェンの平均サイズは、具体的には、後述する測定例7の方法により測定することができる。
このようなグラフェン材料を溶媒に分散させることで、グラフェン材料の分散液を得る。溶媒としては、極性溶媒が好ましく、水、エタノール、メタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、γ-ブチロラクトン、或いは上記の混合物等を用いることができるが、水を用いることが特に好ましい。
溶媒中にグラフェン材料を分散させるための装置は、ビーズミル、ホモジェナイザー、フィルミックス(登録商標)(プライミクス社)、湿式ジェットミル、乾式ジェットミル、超音波など、せん断力が強い装置を用いることが好ましい。
グラフェン材料分散液の濃度は、織物内部への浸透性の観点から、低粘度となる2wt%以下が好ましい。より好ましくは1wt%以下であり、さらに好ましくは0.5wt%以下である。また、繊維とグラフェン材料の衝突確率を上げるために、0.001wt%以上が好ましい。より好ましくは0.01wt%以上であり、さらに好ましくは0.1wt%以上である。
また、乾燥を行わずに、還元後のグラフェン/水分散液を必要に応じて溶媒置換することで、グラフェン分散液を作製してもよい。この場合においても、グラフェン分散液の好ましい態様は上記の通りである。
浸漬工程において、どのような織物を用いて浸漬工程を行うかは、繊維の種類や最終的な用途によって選択することができる。
本発明に用いる織物を構成する織糸(ヤーン)は、特に制限はなく、織糸は、天然繊維であっても化学繊維であってもよいが、繊維の直径を厳密に制御しやすい点で、化学繊維を用いることが好ましい。すなわち、本発明において、織物は化学繊維を含むものであることが好ましい。化学繊維としては、ポリエステル繊維、ポリオレフィン繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維、ポリアリレート繊維、ポリフェニレンスルフィド繊維、ポリエーテルエーテルケトン繊維、ポリテトラフルオロエチレン繊維、ポリクロロトリフルオロエチレン繊維、あるいは、これらの繊維を構成するポリマーの構成成分に他の成分が共重合された共重合ポリマーからなる繊維を好ましく用いることができる。また、天然繊維としては、綿、絹などの繊維を用いることができる。また、織糸は、導電性を更に向上できる観点から、導電材料を含有する糸を使用しても良い。このような導電材料には特に制限はないが、腐蝕しにくい点からカーボンが好ましい。また、糸の強度を保つ観点から一次径の小さい材料が好ましく、一次径が100nm以下の導電材料が好ましい。ここでいう一次径とは導電材料の形状に関わらずその最も小さい部分の径を指し、球状・繊維状の場合は直径、平面状の場合は厚さを表す。上記の観点から、カーボンブラック、カーボンナノチューブ、グラフェンなどが好ましく用いられる。
また、織糸は、フィラメント糸であってもスパン糸であってもよいが、スパン糸は紡績した際に繊維同士の接触点が増えて接触抵抗が増大する傾向があるため、フィラメント糸であることが好ましい。フィラメント糸は、モノフィラメント糸であってもマルチフィラメント糸であってもよいが、表面積が大きく、グラフェン材料の付着量を多くできるため、抵抗を下げやすいことから、マルチフィラメント糸であることが好ましい。
織物の形態は特に制限はなく、一重組織、重ね組織などを用いることができるが、織物を構成する全ての繊維表面にグラフェン材料を到達させる観点から、中でも平織、斜文織、朱子織などの一重組織が好ましい。
本発明において、織物の目開きは、1μm以上200μm以下であることが好ましい。目開きとは、織物において経糸および緯糸に囲まれて形成された孔部の面積の平方根として求められる値である。織物の目開きは、具体的には後述する測定例1の方法で測定することができる。目開きが1μm未満の場合、互いに干渉しやすくなり、織物の柔軟性が低くなる傾向がある。また目開きが200μmより大きい場合、糸が動きやすいため、平面内で糸の偏りが生じやすく、織物の耐久性が低下する傾向がある。織物の目開きは、3μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましく、10μm以上がさらに好ましい。また、織物の目開きは、150μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、50μm以下がさらに好ましい。
本発明に用いる織物の織糸ピッチは、経糸、緯糸ともに、100μm以上1500μm以下であることが好ましい。織糸ピッチとは、ある織糸の径方向の中心から隣接する織糸の径方向の中心までの距離を意味する。織糸ピッチが小さすぎる場合、互いに干渉しやすくなり、織物の柔軟性が低くなる傾向がある。織糸ピッチは、200μm以上が好ましく、300μm以上がより好ましく、400μm以上がさらに好ましい。また織糸ピッチが大きすぎる場合、引き裂き強度など織物の耐久性が低下する傾向がある。織糸ピッチは、1200μm以下が好ましく、900μm以下がより好ましく、600μm以下がさらに好ましい。なお、織物は、経糸のピッチと緯糸のピッチが異なるものであってもよい。
なお、織物の目開き、ピッチ、および織物を構成する織糸の直径(経糸径、緯糸径)は、「目開き=ピッチ-織糸の直径」の関係である。
本明細書においては、短繊維から紡績されたスパン糸、モノフィラメント糸、またはマルチフィラメント糸を構成する繊維、を含めて単繊維と呼ぶ。本発明において、織物を構成する単繊維の周長は、30μm以上300μm以下のものを用いることが好ましい。周長が30μmを下回ると、単位体積当たりの単繊維の数が多くなり、単繊維の間の接触点が増えるため、接触抵抗が増大し、高抵抗となる傾向がある。一方、単繊維の周長が300μmを上回ると、表面積が小さくなるため、繊維の単位体積当たりのグラフェン付着量が少なくなり、導電性が低下する傾向がある。単繊維の周長は、45μm以上が好ましく、60μm以上がより好ましく、75μm以上がさらに好ましい。また、単繊維の周長は、250μm以下が好ましく、190μm以下がより好ましく、130μm以下がさらに好ましい。なお、単繊維の周長とは単繊維の軸方向に垂直な断面の周長を意味し、具体的には後述する測定例6の方法で測定することができる。
本発明に用いる織物の単繊維径は、2μm以上100μm以下であることが好ましい。単繊維径が2μm未満の場合、強度が不足し、織物の耐久性が低くなる傾向がある。単繊維径は、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、20μm以上がさらに好ましい。また単繊維径が100μmより大きい場合、表面積が小さくなるため、繊維の単位体積当たりのグラフェン付着量が少なくなり、導電性が低下する傾向がある。単繊維径は、80μm以下が好ましく、60μm以下がより好ましく、40μm以下がさらに好ましい。なお、織物は、経糸径と緯糸径が異なるものであってもよい。
分散液中に分散したグラフェン材料はアニオン性を示す。そのため、浸漬工程において織物をグラフェン材料で被覆する前に、織物をカチオン化剤で処理しておくと、静電吸着により、グラフェン材料が織物を被覆しやすくなる。カチオン化剤は、最終的に少なくともその一部がグラフェンと織物を構成する糸の間に存在していることで、グラフェンと繊維の間の接着性を高める効果を発揮する。
カチオン化剤処理においては、まず、カチオン化剤に極性溶媒を加えて撹拌を行うことにより、カチオン化剤溶液を用意する。極性溶媒としては、織物、カチオン化剤と反応しないものであれば良く、水が好適に用いられる。撹拌するための機器としては、特に制限はなく、自公転ミキサー、自動乳鉢・三本ロール、ビーズミル、遊星ボールミル、ホモジェナイザー、フィルミックス(登録商標)(プライミクス社)、プラネタリーミキサー、二軸混練機、湿式ジェットミル、乾式ジェットミル、などを利用することができる。
次に、織物をカチオン化剤溶液に浸漬する。これにより、織物の表面にカチオン化剤が吸着しカチオン化される。織物を構成する糸にカチオン化剤を均一に付着させるため、浸漬と同時にカチオン化剤溶液を撹拌することが好ましい。撹拌は、容器を回転させるなど液流を発生させることにより行うことが好ましい。撹拌方法は特に限定されるものではないが、マグネティックスターラー、スリーワンモーターを始めとした撹拌機、ミニカラー染色機に代表される染色機などを好適に用いることができる。
この時、織物および織物を構成する繊維にカチオン化剤をより強固に接着するため、カチオン化剤溶液を加熱しておくことも好ましい。
織物をカチオン化剤で処理した後、グラフェン材料により被覆する前に、表面に付着したカチオン化剤量を調節するために、織物を極性溶媒で洗浄しても良い。
カチオン化剤は特に限定されるものではないが、第4級アンモニウムカチオンやピリジニウム塩型、などのカチオン性低分子化合物や、カチオン性高分子化合物を使用することができ、カチオン性高分子化合物を用いることが均一なグラフェンの被覆状態を形成する上で好ましい。カチオン性低分子化合物のカチオン化剤の具体例としては、下記(1)または(2)に、カチオン性高分子化合物のカチオン化剤の具体例としては、下記(3)に記載の化合物が挙げられる。これらのカチオン化剤は、一種類だけではなく、複数種類を混合して用いてもよい。
(1)第4級アンモニウムカチオン(下記一般式(1))
Figure 0007099227000001
(一般式(1)中、R1~R4は、水素原子、炭素数1~36の直鎖または分岐のアルキル基またはベンジル基を表し、それぞれ同一であってもそれぞれ異なっていても良い。Xは第4級アンモニウムと塩を形成し得る任意のアニオンを表す。)
一般式(1)中、R1~R4としては、水素原子、炭素数1~18の直鎖または分岐のあるアルキル基またはベンジル基が好ましく、それぞれ同一であってもそれぞれ異なっていても良い。
Xとしては、ハロゲン原子、炭素数1又は2のアルキル硫酸基、または有機酸の水素原子を除いた残基が好ましい。
第4級アンモニウムカチオンの具体例としては、下記の化合物を挙げることができる。
グリシジルトリメチルアンモニウムクロライド、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ジメチルラウリルアンモニウムクロライド、ラウリルメチルアンモニウムクロライド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ステアリルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、オクタデシルジメチルエチルアンモニウムブロミド、オクタデセニルトリメチルアンモニウムブロミド
(2)ピリジニウム塩型
ピリジニウム塩型の化合物の具体例としては、ラウリルピリジニウムクロライド、ステアリルアミドメチルピリジニウムクロライドが挙げられる。
(3)カチオン性高分子化合物
カチオン性高分子化合物のカチオン化剤としては、第一級アミノ基(-NH2)、第二級アミノ基(-NHR1)、又は第三級アミノ基(-NR1R2)、イミノ基(=NH)、イミド基(-C(=O)-NH-C(=O)-)、アミド基(-C(=O)NH-)、前述した第4級アンモニウムカチオンのうち少なくとも1種類以上有する高分子化合物が挙げられる。
このようなカチオン性高分子化合物の具体例としては、ポリ(N-メチルビニルアミン)、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリアリルジメチルアミン、ポリジアリルメチルアミン、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ポリジアリルジメチルアンモニウムトリフルオロメタンスルホネート、ポリジアリルジメチルアンモニウムナイトレート、ポリジアリルジメチルアンモニウムペルクロレート、ポリビニルピリジニウムクロリド、ポリ(2-ビニルピリジン)、ポリ(4-ビニルピリジン)、ポリビニルイミダゾール、ポリ(4-アミノメチルスチレン)、ポリ(4-アミノスチレン)、ポリビニル(アクリルアミド-co-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)、ポリビニル(アクリルアミド-co-ジメチルアミノエチルメタクリレート)、ポリエチレンイミン、ポリリジン、DAB-Am及びポリアミドアミンデンドリマー、ポリアミノアミド、ポリヘキサメチレンビグアニド、ポリジメチルアミン-エピクロロヒドリン、塩化メチルによるポリエチレンイミンのアルキル化の生成物、エピクロロヒドリンによるポリアミノアミドのアルキル化の生成物、カチオン性モノマーによるカチオン性ポリアクリルアミド、ジシアンジアミドのホルマリン縮合物、ジシアンジアミド-ポリアルキレンポリアミン重縮合物、天然ベースのカチオン性ポリマーの例としては、部分的に脱アセチル化したキチン、キトサン、及びキトサン塩が挙げられる。合成ポリペプチド、例えばポリアスパラギン、ポリリシン、ポリグルタミン、およびポリアルギニンが挙げられる。
中でも、第一級アミノ基、または第二級アミノ基を有するカチオン性高分子化合物のカチオン化剤を用いることにより、アミド結合による接着力も加わり、固着がより強固になるため好ましい。
カチオン性高分子化合物の数平均分子量は600以上であることが好ましい。数平均分子量が600を下回ると、分子当たりの単繊維への接着力が不足するため、グラフェン被覆が不均一になる傾向がある。一方、数平均分子量が200000を上回ると、カチオン性高分子化合物の粘度が上昇し単繊維間に入り込みづらくなり、グラフェン被覆が不均一になる傾向があるため、カチオン性高分子化合物の数平均分子量は200000以下であることが好ましい。同様の観点から、カチオン性高分子化合物の数平均分子量は、5000以上100000以下であることがより好ましく、10000以上80000以下が更に好ましい。カチオン化剤による処理方法は特に限定されず、カチオン化剤溶液またはカチオン化剤分散液への織物の浸漬、浸漬してからの撹拌、などにより行うことができる。
第一級アミノ基、または第二級アミノ基を有するカチオン性高分子化合物を用いた場合、カチオン化剤による処理時に加熱することで繊維表面のカルボニル基やエステル結合との反応が促進され、カチオン性高分子化合物と繊維をより強固に接着することができる。この場合の加熱温度は、好ましくは40℃以上200℃以下、より好ましくは60℃以上160℃以下、さらに好ましくは80℃以上120℃以下である。加熱温度が200℃を超えると、糸の劣化や変形が進む傾向がある。
なお、糸表面がグラフェン材料分散液中で正のゼータ電位を持つ織物を用いる場合は、カチオン化処理は実施せずに、そのままグラフェン材料による被覆を行うことも好ましい態様である。
浸漬工程においては、織物を、
5≦グラフェン材料の平均サイズに対する織物の目開きの比(A)≦500
を満たす平均サイズのグラフェン材料の分散液中に浸漬する。
織物をグラフェン材料分散液中に浸漬する際、Aを制御することで織物内部までグラフェン材料を浸透させ、織物中の単繊維がグラフェン材料で均一に被覆される。加えて、織物中の単繊維間をグラフェン材料が適度に橋掛けでき、抵抗が低減される。Aが5未満の場合、目開きに対してグラフェン材料サイズが大きく、織物内部までグラフェン材料が入り込めず、織物表面でグラフェンが凝集し、織物を構成する単繊維がグラフェンで均一に被覆され難い傾向がある。さらに、複数の単繊維にまたがったグラフェンの付着が多くなりやすいため、単繊維の可動域が狭まり、風合いが損なわれる傾向がある。また、Aが500より大きい場合、目開きに対してグラフェン材料サイズが小さく、グラフェンによる単繊維間の橋かけが起こりにくくなるため、織物内の導電パスが単繊維間で取りづらくなり、導電性が低下する傾向がある。
Aは、好ましくは10以上であり、より好ましくは20以上であり、さらに好ましくは30以上である。また、Aは、好ましくは400以下であり、より好ましくは、200以下であり、さらに好ましくは100以下である。
浸漬工程においては、さらに撹拌処理を行うことが好ましい。撹拌処理は、容器を回転させるなど液流を発生させることにより行うことが好ましい。撹拌方法は特に限定されるものではないが、マグネティックスターラー、スリーワンモーターを始めとした撹拌機、ミニカラー染色機に代表される染色機などを好適に用いることができる。
織物を構成する単繊維にグラフェン材料をより強固に接着するため、グラフェン材料分散液は、浸漬工程の前に加熱しておくことが好ましい。本加熱処理は、前述のカチオン化処理の有無に関わらず効果がある。カチオン化処理を行わない場合、本加熱処理によりグラフェンが単繊維表面に沿う形でより密着し、グラフェンと単繊維の間の多点水素結合が強固になる傾向がある。カチオン化処理を行う場合、上記同様、グラフェンとカチオン化処理された単繊維の密着による多点水素結合の効果に加えて、第一級アミノ基、または第二級アミノ基を有するカチオン化剤の官能基とグラフェンの官能基の間でアミド結合を形成しより強固に接着される傾向がある。加熱する温度範囲としては、前述のカチオン化剤溶液と同様の温度範囲が好ましい。
グラフェン材料の分散液として酸化グラフェン分散液を用いた場合等、グラフェン材料の酸化度が高いことにより導電性が不足している場合は、浸漬工程を経て得られた処理物をさらに還元する還元工程を行うことでグラフェン被覆織物とすることが好ましい。すなわち、還元工程を必要とする場合には、浸漬工程で得られるものはグラフェン被覆織物の前駆体であると言える。この場合、還元工程によりグラフェン材料のπ電子共役構造が復元され、グラフェン被覆織物表面の電子伝導性が向上する。
還元方法は特に限定されないが、化学還元が好ましい。化学還元の場合、還元剤としては、有機還元剤、無機還元剤が挙げられるが、還元後の洗浄の容易さから無機還元剤がより好ましい。
有機還元剤としてはアルデヒド系還元剤、ヒドラジン誘導体還元剤、アルコール系還元剤が挙げられ、中でもアルコール系還元剤は比較的穏やかに還元することができるため、特に好適である。アルコール系還元剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ベンジルアルコール、エタノールアミン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、などが挙げられる。
無機還元剤としては亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウム、亜リン酸、水素化ホウ素ナトリウム、ヒドラジンなどが挙げられ、中でも亜ジチオン酸ナトリウム、亜ジチオン酸カリウムは、低毒性かつ反応時間が短い上、酸性基を比較的保持しながら還元できるので溶媒への分散性の高いグラフェンが製造でき、好適に用いられる。
還元工程の後かつ乾燥工程の前の段階で、還元剤の除去を目的としてグラフェン被覆織物を極性溶媒で洗浄しても良い。
浸漬工程または還元工程の後、グラフェン被覆織物を乾燥して溶媒を除去することが好ましい。乾燥方法は特に限定されるものではないが、熱風乾燥機又は真空乾燥機などを好適に用いることができる。
<グラフェン被覆織物>
上記のような製造方法により、
5≦グラフェンの平均サイズに対する織物の目開きの比(A)≦500
を満たす平均サイズのグラフェンによって織物中の繊維表面が被覆されてなるグラフェン被覆織物を得ることができ、これもまた本発明の一態様であると言うことができる。
グラフェン被覆織物表面の、XPSにより測定される炭素に対する窒素の元素比(N/C比)は、0.001以上0.500以下であることが好ましい。本発明のグラフェン被覆織物をX線光電子分光法により測定すると284eV付近に炭素に由来するC1sピークが検出されるが、炭素が酸素に結合している場合は高エネルギー側にシフトすることが知られている。具体的には炭素が酸素に結合していないC-C結合、C=C二重結合、C-H結合に基づくピークはシフトせずに284eV付近に検出され、C-O一重結合の場合286.5eV付近に、C=O二重結合の場合287.5eV付近に、COO結合の場合288.5eV付近にシフトする。そのため、炭素に由来する信号は、284eV付近、286.5eV付近、287.5eV付近、288.5eV付近のそれぞれのピークを重ね合わせた形で検出される。また同時に、402eV付近に窒素に由来するN1sピークが検出される。N/C比は、C1sピークとN1sピークのピーク面積から求めることができる。
グラフェン被覆織物表面の窒素原子は、カチオン化剤に含まれるアミノ基、ピリジン基やイミダゾール基、アセトアミド構造などの窒素を含有する化学構造に由来すると考えられる。このような窒素含有化学構造は繊維に対するグラフェンの接着性を向上する上で、適度に含有されていることが好ましい。グラフェン被覆織物表面のN/C比が0.001未満の場合、グラフェンと単繊維の間の接着力が不足し、被覆が不均一になる傾向がある。また、N/C比が0.500より大きい場合、グラフェンが織物表面で凝集する傾向がある。同様の観点から、グラフェン被覆織物表面のN/C比は、より好ましくは0.010以上であり、さらに好ましくは0.020以上である。また、グラフェン被覆織物表面のN/C比は、より好ましくは0.100以下であり、さらに好ましくは0.050以下である。
また、グラフェンの酸化度の好ましい範囲は、上記の製造方法の記載に準じる。すなわち、酸化度が0.05以上0.35以下のグラフェンを用いることが好ましく、下限はより好ましくは0.07以上であり、さらに好ましくは0.09以上であり、特に好ましくは0.10以上である。また同様に、上限はより好ましくは0.30以下であり、さらに好ましくは0.20以下であり、特に好ましくは0.15以下である。
〔測定例1:織物の目開き〕
織物表面を走査型電子顕微鏡により200倍で観察し、経糸および緯糸に囲まれて形成された孔部の面積を異なる20箇所で測定し、その平方根の平均値を目開きサイズとした。
〔測定例2:単繊維径〕
織物表面を走査型電子顕微鏡により2000倍で観察し、単繊維径を異なる20本の単繊維で測定し、その平均値を単繊維径とした。
〔測定例3:マルチフィラメント径〕
織物表面を走査型電子顕微鏡により100倍で観察し、マルチフィラメント径を異なる20本のマルチフィラメントで測定し、その平均値をマルチフィラメント径とした。
〔測定例4:織糸のピッチ〕
織物表面を走査型電子顕微鏡により200倍で観察し、織糸のピッチを異なる20箇所で測定し、その平均値を織糸ピッチとした。
〔測定例5:分散液中のグラフェン材料の平均サイズ〕
グラフェン材料の分散液を分散媒と同じ溶媒で0.002wt%に希釈し、マイカ基板上に滴下、乾燥し、基板上に付着させた。基板上のグラフェン材料をキーエンス社製レーザー顕微鏡VK-X250で観察して、グラフェン材料の小片の最も長い部分の長さ(長径)と最も短い部分の長さ(短径)をランダムに50個測定し、(長径+短径)/2で求められる数値を50個分平均して求めた。
〔測定例6:グラフェン被覆繊維の周長〕
グラフェン被覆織物をエポキシ樹脂で包埋し、Reichert社製FC・4E型クライオセクショニングシステムで凍結し、ダイヤモンドナイフを具備したReichert-Nissei ultracut N(ウルトラミクロトーム)で切削した後、その切削面を走査型電子顕微鏡で観察し、繊維の軸方向に垂直な断面の周長を測定した。これを繊維10本に対して行い、平均して求めた。
〔測定例7:グラフェンの平均サイズ〕
グラフェン被覆織物を水中、浴比1:50で40℃でホットスターラーREXIM RSH-6DN(AS ONE社)で回転数450rpmで24時間撹拌処理することによりグラフェンを遊離させた。得られた混合物を吸引濾過で繊維の直径かグラフェンのサイズのいずれか小さい方のみを通過可能な孔径を有するろ紙に数回かけることで織物とグラフェンを分離した。その後、得られたグラフェンをNMPで希釈し、フィルミックス(登録商標)30-30型(プライミクス社)で回転速度40m/s(せん断速度:毎秒20000)で60秒処理した後、マイカ基板上に滴下、乾燥し、基板上に付着させた。基板上のグラフェンをキーエンス社製レーザー顕微鏡VK-X250で観察して、グラフェンの小片の最も長い部分の長さ(長径)と最も短い部分の長さ(短径)をランダムに50個測定し、(長径+短径)/2で求められる数値を50個分平均して求めた。
〔測定例8:グラフェンの平均厚み〕
グラフェン被覆織物を水中、浴比1:50で40℃でホットスターラーREXIM RSH-6DN(AS ONE社)で回転数450rpmで24時間撹拌処理することによりグラフェンを遊離させた。得られた混合物を吸引濾過で繊維の直径かグラフェンのサイズのいずれか小さい方のみを通過可能な孔径を有するろ紙に数回かけることで織物とグラフェンを分離した。その後、得られたグラフェンをNMPで希釈し、フィルミックス(登録商標)30-30型(プライミクス社)で回転速度40m/s(せん断速度:毎秒20000)で60秒処理した後、マイカ基板上に滴下、乾燥し、基板上に付着させた。基板上のグラフェンを、原子間力顕微鏡(Dimension Icon;Bruker社)で観察して、グラフェンの厚みをランダムに50個測定し、平均値を求めた。一小片で厚みにバラつきがあった場合は面積平均を求めた。
〔測定例9:X線光電子測定〕
X線光電子測定はQuantera SXM (PHI社製))を使用して測定した。励起X線は、monochromatic Al Kα1,2 線(1486.6eV)であり、X線径は200μm、光電子脱出角度は45°である。炭素原子に基づくC1sメインピークを284.3eVとし、酸素原子に基づくO1sピークを533eV付近のピーク、窒素原子に基づくN1sピークを402eV付近のピークに帰属し、各ピークの面積比からO/C比、およびN/C比を求めた。
下記実施例で作製したグラフェン被覆織物に対してN/C比を、グラフェン材料の分散液中のグラフェン材料およびグラフェン被覆織物から分離したグラフェンに対してO/C比の測定を行った。
グラフェン材料の分散液中のグラフェン材料は、分散液を吸引濾過器で濾過し、さらに真空乾燥することで溶媒を除去した上で測定した。
グラフェン被覆織物から分離したグラフェンは、以下の手順で作製した。グラフェン被覆織物を水中、浴比1:50で、40℃でホットスターラーREXIM RSH-6DN(AS ONE社)を用いて回転数450rpmで24時間撹拌処理することによりグラフェンを遊離させた。得られた混合物を吸引濾過で繊維の直径かグラフェンのサイズのいずれか小さい方のみを通過可能な孔径を有するろ紙に数回かけることで繊維とグラフェンを分離した。その後、得られたグラフェンをNMPで希釈し、フィルミックス(登録商標)30-30型(プライミクス社)で回転速度40m/s(せん断速度:毎秒20000)で60秒処理した後、吸引濾過器で濾過し、さらに凍結乾燥してグラフェンを得た。
〔測定例10:抵抗値〕
抵抗値測定は、Loresta-GP(三菱化学社製)を使用して測定した。プローブはLSPプローブ(三菱化学社製、型番MCP-TPLSP)を用い、四探針法測定とした。測定は、下記実施例で作製したグラフェン被覆織物に対して行った。
〔測定例11:風合い〕
グラフェン被覆織物を同サイズにて作成し、25±1℃、60±5%RHの環境で170cm±2cm、65±3kgの男性被験者10名に、ソフトさについて判定させた。回答については5段階評定とし、その平均値を示した。
5:非常に高い
4:高い
3:どちらともいえない
2:低い
1:非常に低い
[実施例1]
(酸化グラフェン水分散液の調製)
1500メッシュの天然黒鉛粉末(上海一帆石墨有限会社)を原料として、氷浴中の10gの天然黒鉛粉末に、220mlの98%濃硫酸、5gの硝酸ナトリウム、30gの過マンガン酸カリウムを入れ、1時間機械攪拌し、混合液の温度は20℃以下で保持した。この混合液を氷浴から取り出し、35℃水浴中で4時間攪拌反応し、その後イオン交換水500mlを入れて得られた懸濁液を90℃で更に15分反応を行った。その後、600mlのイオン交換水と50mlの過酸化水素を入れ、5分間の反応を行い、酸化グラフェン分散液を得た。熱いうちにこれを濾過し、希塩酸溶液で金属イオンを洗浄し、イオン交換水で酸を洗浄し、pHが7になるまで洗浄を繰り返して酸化グラフェンゲルを調製した。調製した酸化グラフェンゲルの、X線光電子分光法により測定される酸素原子の炭素原子に対する元素比は0.53であった。得られた酸化グラフェンゲルにイオン交換水を加えて濃度を0.5wt%とし、超音波装置UP400S(hielscher社)を使用して、出力300Wで超音波を30分間印加し、0.5wt%酸化グラフェン水分散液を調整した。得られた酸化グラフェンの平均サイズは0.5μmであった。
(織物のカチオン化処理)
単繊維径15μm、マルチフィラメント径243μmの84T-36Fのポリエステルフィラメントからなる経糸ピッチ520μm、緯糸ピッチ520μmの織物を、5wt%ポリエチレンイミン(数平均分子量70000)水溶液中で100℃、浴比1:50で混合し、ホットスターラーREXIM RSH-6DN(AS ONE社)を用いて回転数450rpmにて30分処理した。その後、イオン交換水中で浴比1:1000で混合し、ホットスターラーで回転数200rpmにて1分間洗浄する操作を2回繰り返した。
(浸漬工程)
次に、調製した0.5wt%酸化グラフェン水分散液中で80℃、浴比1:50で混合し、ホットスターラーを用いて回転数450rpmにて30分処理した。その後、イオン交換水中で浴比1:1000で混合し、ホットスターラーを用いて回転数600rpmにて1分間洗浄する操作を3回繰り返した。
(還元工程)
続いて、5wt%亜ジチオン酸ナトリウム水溶液中で40℃、浴比1:50で混合し、ホットスターラーを用いて回転数450rpmにて5分処理した。その後、イオン交換水中で浴比1:1000で混合し、ホットスターラーで回転数600rpmにて1分間洗浄する操作を3回繰り返した。
(乾燥工程)
その後、熱風乾燥機で乾燥し、グラフェン被覆織物を得た。
[実施例2]
経糸ピッチ496μm、緯糸ピッチ496μmの織物を用いた以外は、実施例1と同様にして、グラフェン被覆織物を得た。
[実施例3]
経糸ピッチ586μm、緯糸ピッチ586μmの織物を用いた以外は、実施例1と同様にして、グラフェン被覆織物を得た。
[実施例4]
経糸ピッチ886μm、緯糸ピッチ886μmの織物を用いた以外は、実施例1と同様にして、グラフェン被覆織物を得た。
[実施例5]
ポリエチレンイミンによる織物のカチオン化処理を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、グラフェン被覆織物を得た。
[実施例6]
(グラフェンNMP分散液の調製)
実施例1と同様に調製した0.5wt%酸化グラフェン水分散液1000mlに15gの亜ジチオン酸ナトリウムを入れて、40℃で1時間反応を行った。その後、減圧吸引濾過器で濾過し、さらにイオン交換水で0.5質量%まで希釈して吸引濾過する洗浄工程を5回繰り返して洗浄した。洗浄後にNMPで0.5質量%まで希釈してフィルミックス(登録商標)30-30型(プライミクス社製)を用いて回転速度40m/s(せん断速度:毎秒20000)で60秒処理して吸引濾過した。その後、NMPで0.5質量%まで希釈して、ホモディスパー2.5型(プライミクス社製)を用いて回転数3000rpmで30分処理して吸引濾過する工程を2回繰り返した。濾過後にNMPで0.5質量%まで希釈して、ホモディスパー2.5型(プライミクス社製)を用いて回転数3000rpmで30分処理し0.5wt%グラフェンNMP分散液を調整した。得られたグラフェンの平均サイズは3μmであった。
このように調製した0.5wt%グラフェンNMP分散液を浸漬工程で用い、洗浄もNMPを用いて行ったこと、還元工程を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にしてグラフェン被覆織物を得た。
[実施例7]
単繊維径15μm、マルチフィラメント径243μmの84T-36Fの、カーボンブラック含有ポリエステルフィラメント(カーボン重量比20%)を用いた以外は実施例1と同様にして、グラフェン被覆織物を得た。
[実施例8]
酸化グラフェンゲルへの超音波装置UP400Sによる超音波印加時間を2分間とした以外は実施例1と同様にして、グラフェン被覆織物を得た。
[実施例9]
ポリエチレンイミンとして、数平均分子量3000のものを用いた以外は、実施例1と同様にして、グラフェン被覆織物を得た。
[比較例1]
(酸化グラフェン水分散液の調製)
超音波処理条件を出力300Wで超音波を120分間印加にした以外は、実施例1と同様にして0.5wt%酸化グラフェン水分散液を調整した。得られた酸化グラフェンの平均サイズは0.1μmであった。
織物として、経糸ピッチ606μm、緯糸ピッチ606μmの織物を用い、グラフェン材料の分散液として、上記のように調製した0.5wt%酸化グラフェン水分散液を浸漬工程で用いた以外は、実施例1と同様にして、グラフェン被覆織物を得た。
[比較例2]
経フィラメントピッチ488μm、緯フィラメントピッチ488μmの織物を用いた以外は、実施例1と同様にして、グラフェン被覆織物を得た。
[比較例3]
(酸化グラフェン水分散液の調製)
超音波処理をしなかったこと以外は、実施例1と同様にして0.5wt%酸化グラフェン水分散液を調整した。得られた酸化グラフェンの平均サイズは10μmであった。
単繊維周長25μmの木材パルプ繊維を、5wt%ポリエチレンイミン(数平均分子量70000)水溶液中で100℃、浴比1:50で混合し、ホットスターラーREXIM RSH-6DN(AS ONE社)を用いて回転数450rpmにて30分処理した。その後、減圧濾過で水を除いた上で、イオン交換水と浴比1:1000で混合し、ホットスターラーを用いて回転数200rpmにて1分間洗浄する操作を2回繰り返した。
次に、減圧濾過で水を除いた上で、上記のように調製した0.5wt%酸化グラフェン水分散液中で80℃、浴比1:50で混合し、ホットスターラーを用いて回転数450rpmにて30分処理した。その後、減圧濾過で水を除いた上で、イオン交換水中で浴比1:1000で混合し、ホットスターラーを用いて回転数600rpmにて1分間洗浄する操作を3回繰り返した。
続いて、減圧濾過で水を除いた上で、5wt%亜ジチオン酸ナトリウム水溶液中で40℃、浴比1:50で混合し、ホットスターラーを用いて回転数450rpmにて5分処理した。その後、減圧濾過で水を除いた上で、イオン交換水中で浴比1:1000で混合し、ホットスターラーを用いて回転数600rpmにて1分間洗浄する操作を3回繰り返した後、減圧濾過を行い、グラフェン複合導電性パルプ繊維の固形物を得た。この固形物に対して、110℃、1MPaの熱プレスをかけ、シート状に成型した。
各実施例、比較例について、グラフェン被覆布帛の製法上の特徴、構成および評価結果を表1に示す。
Figure 0007099227000002

Claims (13)

  1. グラフェン被覆織物の製造方法であって、織物を、5≦グラフェン材料の平均サイズに対する織物の目開きの比(A)≦500を満たす平均サイズのグラフェン材料の分散液中に浸漬する浸漬工程を有するグラフェン被覆織物の製造方法。
  2. 前記浸漬工程において、さらに撹拌処理を行う、請求項1に記載のグラフェン被覆織物の製造方法。
  3. 前記浸漬工程の前に、織物をカチオン化剤で処理する、請求項1または2に記載のグラフェン被覆織物の製造方法。
  4. 前記浸漬工程の後、さらにグラフェン材料を還元する還元工程を有する、請求項1~3のいずれかに記載のグラフェン被覆織物の製造方法。
  5. 前記織物が化学繊維を含む、請求項1~4のいずれかに記載のグラフェン被覆織物の製造方法。
  6. 前記グラフェン材料の平均サイズが0.10μm以上1.00μm以下である、請求項1~5のいずれかに記載のグラフェン被覆織物の製造方法。
  7. 前記織物の目開きが1μm以上200μm以下である、請求項1~6のいずれかに記載のグラフェン被覆織物の製造方法。
  8. 前記織物を構成する単繊維が導電材料を含有する、請求項1~7のいずれかに記載のグラフェン被覆織物の製造方法。
  9. ≦グラフェンの平均サイズに対する織物の目開きの比(A)≦500を満たす平均サイズのグラフェンによって織物中の繊維表面が被覆されてなるグラフェン被覆織物。
  10. 前記グラフェンの酸化度が0.05以上0.35以下である、請求項9に記載のグラフェン被覆織物。
  11. さらに、カチオン化剤を含む、請求項9または10に記載のグラフェン被覆織物。
  12. X線光電子分光法により測定される炭素に対する窒素の元素比が0.001以上0.500以下である、請求項11に記載のグラフェン被覆織物。
  13. 前記織物を構成する単繊維が導電材料を含有する、請求項9~12のいずれかに記載のグラフェン被覆織物。
JP2018180202A 2017-09-26 2018-09-26 グラフェン被覆織物の製造方法およびグラフェン被覆織物 Active JP7099227B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017184500 2017-09-26
JP2017184500 2017-09-26

Publications (3)

Publication Number Publication Date
JP2019060067A JP2019060067A (ja) 2019-04-18
JP2019060067A5 JP2019060067A5 (ja) 2021-05-20
JP7099227B2 true JP7099227B2 (ja) 2022-07-12

Family

ID=66177144

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018180202A Active JP7099227B2 (ja) 2017-09-26 2018-09-26 グラフェン被覆織物の製造方法およびグラフェン被覆織物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7099227B2 (ja)

Families Citing this family (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2019176933A1 (ja) * 2018-03-14 2019-09-19 株式会社Nbcメッシュテック メッシュ部材、篩及びスクリーン版
CN110512333A (zh) * 2019-05-07 2019-11-29 常州兴烯石墨烯科技有限公司 一种石墨烯远红外发热保暖席垫的制备方法
JP7463874B2 (ja) 2019-06-27 2024-04-09 東レ株式会社 積層体
CN110592778B (zh) * 2019-10-09 2021-03-23 刘国成 一种基于石墨烯的复合纤维凉席及其制备方法
JP7327094B2 (ja) * 2019-11-12 2023-08-16 三菱ケミカル株式会社 面間熱伝導シート
CN111455661B (zh) * 2020-04-24 2023-02-03 安徽工程大学 一种石墨烯涂层棉织物的制备方法、产品及其应用
CN111501333A (zh) * 2020-05-29 2020-08-07 诸暨先行机械科技有限公司 一种石墨烯杀菌布料及其制备工艺
CN111705502B (zh) * 2020-06-13 2022-12-06 佛山市南庄恒安织造厂有限公司 一种石墨烯抗菌织物的制造方法
WO2021253286A1 (zh) * 2020-06-17 2021-12-23 苏州科技大学 一种柔性光/电-热双响应相变布制备方法
KR102187910B1 (ko) * 2020-07-02 2020-12-07 국방과학연구소 그래핀/유연 기재 제조방법
CN112609469B (zh) * 2020-12-17 2022-06-07 广东金发科技有限公司 一种石墨烯熔喷无纺布及其制备方法
CN114032674A (zh) * 2021-12-17 2022-02-11 南通强生石墨烯科技有限公司 一种石墨烯抗化学纤维及其制备方法
CN115627628B (zh) * 2022-09-22 2024-03-12 重庆交通大学 具有刺激响应性的微纳材料柔性复合织物制备方法
CN115726190A (zh) * 2022-11-28 2023-03-03 赵子瑞 一种还原氧化石墨烯/阳离子改性棉织物的制备方法

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20120135745A (ko) 2011-06-07 2012-12-17 단국대학교 산학협력단 그래핀이 처리된 섬유의 제조 방법
CN106930096A (zh) 2017-03-15 2017-07-07 山东圣泉新材料股份有限公司 一种改性纤维制品、制备方法及其用途
CN106930097A (zh) 2017-03-15 2017-07-07 山东圣泉新材料股份有限公司 一种改性纤维制品、制备方法及其用途
WO2019176933A1 (ja) 2018-03-14 2019-09-19 株式会社Nbcメッシュテック メッシュ部材、篩及びスクリーン版

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20120135745A (ko) 2011-06-07 2012-12-17 단국대학교 산학협력단 그래핀이 처리된 섬유의 제조 방법
CN106930096A (zh) 2017-03-15 2017-07-07 山东圣泉新材料股份有限公司 一种改性纤维制品、制备方法及其用途
CN106930097A (zh) 2017-03-15 2017-07-07 山东圣泉新材料股份有限公司 一种改性纤维制品、制备方法及其用途
WO2019176933A1 (ja) 2018-03-14 2019-09-19 株式会社Nbcメッシュテック メッシュ部材、篩及びスクリーン版

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019060067A (ja) 2019-04-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP7099227B2 (ja) グラフェン被覆織物の製造方法およびグラフェン被覆織物
JP7110703B2 (ja) グラフェン被覆繊維、導電性マルチフィラメント、導電性布帛およびグラフェン被覆繊維の製造方法
KR102193267B1 (ko) 전도성 섬유
CN110528314B (zh) 一种含熔喷聚苯硫醚超细纤维的复合片材及其制备方法和应用
JP7290147B2 (ja) 繊維状セルロース含有被膜の製造方法、樹脂組成物、被膜及び積層体
JP7287460B2 (ja) セルロースナノクリスタル複合体及びその製造方法
EP2204493A1 (en) Sheet-like article and method for producing the same
Ling et al. Multifunctional cellulosic paper based on quaternized chitosan and gold nanoparticle–reduced graphene oxide via electrostatic self-assembly
Wang et al. Surface-conductive UHMWPE fibres via in situ reduction and deposition of graphene oxide
Gaminian et al. Decorating silver nanoparticles on electrospun cellulose nanofibers through a facile method by dopamine and ultraviolet irradiation
WO2017135413A1 (ja) 樹脂複合体及び樹脂複合体の製造方法
JP3845823B2 (ja) 天然繊維にカーボンナノチューブを被覆する方法
Rastegar et al. Clean low-temperature in situ synthesis of durable silver nanoparticles along with aminolysis of polyester fabric using dopamine hydrochloride
Hasani et al. Cationization of cellulose/polyamide on UV protection, bio‐activity, and electro‐conductivity of graphene oxide‐treated fabric
JP7255106B2 (ja) 固形状体及び繊維状セルロース含有組成物
CN107988808B (zh) 一种导电面料的制造方法
JP3820575B2 (ja) カーボンナノチューブを天然繊維へ被覆する方法
Sha et al. Effect of surface modification process conditions on properties of aramid paper
JP7156701B2 (ja) ナノカーボン含有構造体、ナノカーボン分散液及び該分散液を用いたナノカーボン含有構造体の製造方法
CN108060586B (zh) 一种高导电性的击剑服
Yin et al. Functionalization of fiber materials for washable smart wearable textiles
KR102247316B1 (ko) 은 코팅층을 포함한 셀룰로오스 섬유 및 이의 제조 방법
KR102075122B1 (ko) 탄소섬유 부직포 제조용 인조펄프 및 이를 이용하여 제조된 습식 탄소섬유 부직포
KR20220127011A (ko) 나노탄소 멀티필라멘트-금속 복합 와이어의 제조방법, 이로부터 제조되는 복합 와이어
RO137401A2 (ro) Compozite cu proprietăţi antistatice şi conductive funcţionalizate cu hidrogeluri pe bază de chitosan

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210406

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20210406

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20220317

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20220329

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20220427

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220531

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220613

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7099227

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151