JP7327094B2 - 面間熱伝導シート - Google Patents

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Description

本発明は、各種電子機器や照明機器等に好適に用いられる面間熱伝導シートに関する。
各種電子機器あるいは照明機器などでは、用いられている素子の発熱により機器が長時間高温さらされると動作不良や故障についながる。このため機器の昇温を防ぐために熱伝導部材が広く用いられている。熱伝導部材は素子の発熱を拡散する、あるいは大気等、系外に放出するための放熱部材に伝えることで機器の昇温を防ぐ効果がある。
熱伝導部材として金属やセラミックスを用いると、軽量化しにくい、加工性が悪い、柔軟性が低い、といった問題が起こる場合がある。これらの問題は、多くの場合、樹脂やゴムからなる高分子材料を母材とすることにより解決することができる。このため、例えば、樹脂中にセラミックス微粒子を分散させたものが用いられている。
高分子材料よりなる熱伝導部材としては、シート状の高分子材料を基体とし、熱を当該高分子シートの主面に対して垂直方向(面間方向、すなわちシート厚さ方向)に伝えるための面間熱伝導シートがある。具体的には、電子回路などの熱源とヒートシンクとの間の微小な間隙を埋めることで、両者の間に熱がスムーズに流れるようにするサーマルインターフェイスマテリアル(TIM)が挙げられる。TIMについては例えば特許文献1に記載されている。TIMにはこれらの間隙を埋めるための柔軟性が求められることから、主として高分子材料を母材としたものが用いられる。
その他にも、高分子材料が電子部品を実装するプリント基板であり、当該電子部品の発熱をプリント基板の実装面とは反対側の面に設けられた放熱部材へ伝えるために、プリント基板の面間方向に熱を伝える構造を用いることがある(例えば特許文献2)。この場合はプリント基板の電子部品下部に微細な貫通孔を設け、そこに銅などの金属の部材を差し込んで面間方向の熱伝導性を得ている。
特表2010-538111号公報 特開2014-170835号公報
高分子材料を母材とする熱伝導シートの問題は、高い熱伝導率が得られないことにある。例えば、TIMとして多く用いられるシリコーンゴムの熱伝導率は0.2~5W/m・K程度と小さく、熱伝導性能は十分ではないために、より高い熱伝導率のものが求められている。また、高分子材料の貫通孔に金属の部材を差し込んだ構造のものは、加工や挿入プロセスに高い精度が要求されるため、製造が難しいという欠点がある。
本発明は、高分子材料を母材とした面間熱伝導シートであって、高い面間熱伝導性を示し、かつ容易に製造することが可能な面間熱伝導シートを提供することを課題とする。
本発明者は上記課題を解決すべく検討を重ねた結果、多孔高分子シートの孔内に炭素粒子を充填した複合材を用いることで、上記課題を解決することができることを見出した。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] 多孔高分子シートと、該多孔高分子シートの孔内に充填された炭素粒子とを有する面間熱伝導シート。
[2] 前記炭素粒子が薄片状黒鉛及び繊維状黒鉛のうちの少なくとも一方である[1]に記載の面間熱伝導シート。
[3] 前記炭素粒子が薄片状黒鉛である[2]に記載の面間熱伝導シート。
[4] 薄片状黒鉛の厚みが100nm以下である[3]に記載の面間熱伝導シート。
[5] 前記多孔高分子シートの平均孔径をD1、前記炭素粒子の最大径の平均値をD2としたとき、D1≧D2×2である[1]ないし[4]のいずれかに記載の面間熱伝導シート。
[6] 前記多孔高分子シートの平均孔径をD1、前記炭素粒子の最大径の平均値をD2としたとき、D1≦D2×3000である[1]ないし[5]のいずれかに記載の面間熱伝導シート。
[7] 前記多孔高分子シートの孔は、該多孔高分子シートの主面に対し垂直に開けられている[1]ないし[6]のいずれかに記載の面間熱伝導シート。
[8] [1]ないし[7]のいずれかに記載の面間熱伝導シートの製造方法であり、多孔高分子シートに、炭素粒子の分散液を含浸させる工程を含む面間熱伝導シートの製造方法。
多孔高分子シートの孔内に炭素粒子を充填した複合材よりなる本発明の面間熱伝導シートは、炭素粒子に由来して面間方向に高い熱伝導性を有すると共に、母材である多孔高分子シートの柔軟かつ軽量な性質を併せ持つことができるため、TIM等の各種用途に好適である。
また、本発明の面間熱伝導シートは、多孔高分子シートの孔内に炭素粒子を充填するのみで製造することができるため、その製造は非常に容易である。
本発明の面間熱伝導シートは、主に多孔高分子シートの孔内に充填された炭素粒子を介して熱が流れるため、炭素粒子を充填する多孔高分子シートの孔の密度、サイズ等を変えることにより、熱伝導率を任意に調整することができる。
また、多孔高分子シート内で孔の分布を変化させることで、局所的に熱伝導率の異なる部分を設けることも可能である。このように局所的に熱伝導率の異なる部分を有する面間熱伝導シートによれば、例えば、面方向に均一な温度分布を有する熱源の上に、この面間熱伝導シートを配置することで不均一な温度分布を任意に形成することが可能となる。逆に温度分布が不均一な熱源上にこの面間熱伝導シートを配置することで、温度分布を均一にすることもできる。
本発明における炭素粒子を内包した多孔高分子シートは、電磁波遮蔽性能や吸音性能をも有するものであるため、本発明の面間熱伝導シートは、電磁波遮蔽や吸音といった性能をも併せ持つことができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の面間熱伝導シートは、多孔高分子シートと、該多孔高分子シートの孔内に充填された炭素粒子とを有することを特徴とする。
[多孔高分子シート]
多孔高分子シートとは、高分子材料よりなる多孔シートである。
本発明に用いる多孔高分子シートを構成する高分子材料としては、例えば樹脂あるいはゴムが挙げられる。
多孔高分子シートは熱源に接触ないし近接して用いられるものであることから、この多孔高分子シートを構成する高分子材料は、耐熱温度が100℃以上であるものが好ましい。高分子材料のより好ましくい耐熱温度は150℃以上であり、さらに好ましくは200℃以上である。
高分子材料の耐熱温度は、樹脂の場合はTg(ガラス転移点)で規定され、ゴムの場合は耐熱限界温度で規定される。
本発明に用いる多孔高分子シートの構成材料として好ましい樹脂としては、例えばナイロン、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリイミド、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などが挙げられる。
また、好ましいゴムとしては天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムなどが挙げられる。これらのゴムのうち、特にシリコーンゴム、フッ素ゴムは耐熱性、柔軟性の観点から好ましい材料である。
これらの樹脂やゴムは1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
多孔高分子シートを構成するこれらの高分子材料には、ガラス繊維等の強化材や、その他の添加剤等を配合してもよい。
本発明に用いる多孔高分子シートは、十分な量の炭素粒子を内包するために、その空隙率が、好ましくは10%以上であり、より好ましくは20%以上、さらに好ましくは30%以上である。一方、機械的強度を確保するために、多孔高分子シートの空隙率は98%以下であることが好ましく、95%以下であることがより好ましい。
ここで、多孔高分子シートの空隙率は、多孔高分子シートの質量M(g)と、見掛け体積V(cm)、多孔高分子シートの構成材料の比重D(g/cm)から下記式により算出される。
空隙率(%)=[1-{M÷(V×D)}]×100
また、多孔高分子シートの孔径をある程度確保して炭素粒子を充填し易くする観点から、多孔高分子シートの孔径の平均値D1は、0.05mm以上であることが好ましく、0.08mm以上であることがより好ましく、0.1mm以上であることがさらに好ましく、0.12mm以上であることが特に好ましく、0.14mm以上であることが最も好ましい。一方、多孔高分子シートの強度を確保する観点から、またD1が大きすぎると多孔高分子シートの孔内に炭素粒子を保持しきれなくなり、炭素粒子の剥落で欠陥が発生してしまうため、D1は、5mm以下であることが好ましく、4mm以下であることがより好ましく、3mm以下であることが特に好ましい。
ここで、多孔高分子シートの孔径の平均値D1は、光学顕微鏡ないし走査型電子顕微鏡(SEM)にて多孔高分子シートを平面視したときに観察される孔について測定される20個の孔径の算術平均値である。
多孔高分子シートの孔は、孔内の面の少なくとも一部がシートの主面に対し垂直であることが好ましい。これは、分子間力で炭素粒子が孔の壁面に並行に密着したとき、当該炭素粒子のベーサル面の方向が面間方向を向いてこの方向に熱を伝えやすくなるためである。
また、多孔高分子シートの孔内に充填された炭素粒子が面間方向に熱を伝えやすくするために、多孔高分子シートの主面の片面(一方のシート面)から対抗する面(他方のシート面)まで孔が貫通している、あるいはほぼ貫通していることが好ましい。ここで、「ほぼ貫通している」とは、多孔高分子シートの厚さ(面間距離)の90%以上に孔が存在することをさす。
多孔高分子シートの上面から見た孔の形状(孔の平面視形状)は円形であっても四角形やハニカム状など他の形状であってもよい。
多孔高分子シートは高分子シートの面間方向に孔が開いた形態でもよいし、高分子細線が結合した形態でもよい。またメッシュ状であってもよい。高分子細線よりなるメッシュ状の多孔高分子シートの場合、その線幅(繊維径)は10~1000μmで、1インチあたりの開口数は10~200メッシュ程度であることが好ましい。
なお、孔が多孔高分子シートの主面に対し垂直に開けられておりかつ貫通している場合、空隙率は開口率と一致する。
本発明の面間熱伝導シートの形状、寸法は、その用途(適用対象)によって異なり、特に制限はないが、厚すぎると熱源から放熱部材に熱を伝える能力が低下するので厚さ5mm以下であることが好ましい。面間熱伝導シートがTIMである場合、厚さは熱源と放熱部材の間隙を埋めるのに十分なものでなくてはならず、また薄すぎると多孔高分子シートの孔内の炭素粒子を多孔高分子シートとの間の分子間力で保持できなくなるので50μm以上であることが好ましい。
従って、本発明に用いる多孔高分子シートの厚さについても、このような厚さの面間熱伝導シートとなるように、50μm以上5mm以下であることが好ましい。
このような多孔高分子シートの製造方法としては、特に制限されないが、高分子材料中に発泡剤を入れて加熱し発泡させる方法、繊維状の高分子材料を組み合わせてメッシュ状にする方法、高分子シートに機械的切削やレーザー、水流、エッチングなどで孔を開ける方法、孔形成のための中子や突起等を有する金型を用いて多孔高分子シートを成形する方法などが挙げられる。
[炭素粒子]
炭素粒子としては薄片状及び繊維状のうちの少なくとも一方の黒鉛を用いることが好ましい。特に薄片状黒鉛を用いることにより、炭素粒子と多孔高分子シートの孔の壁面が分子間力で結合して、たとえ貫通孔であっても炭素粒子を安定に充填することができるようになる。また分子間力により各々の炭素粒子のベーサル面が結合することで熱伝導性を向上させることができる。この分子間力は炭素粒子の厚みが薄いほど強くなるため、十分に強い分子間力を得るためには厚みの薄い薄片状黒鉛であることが好ましく、その厚みの平均値は100nm以下が好ましく、50nm以下がさらに好ましく、25nm以下が特に好ましく、中でも厚みが10nm以下になる、いわゆるグラフェンが最も好ましい。グラフェンの中でも、平均厚み8nm以下が好ましく、6nm以下がより好ましく、4nm以下が最も好ましい。ただし、炭素の原子サイズから薄片状黒鉛の厚みの下限は約0.3nmとなる。
繊維状の黒鉛としてはカーボンナノチューブが挙げられる。繊維状黒鉛の好ましい直径(繊維径)は10~1000nmであり、強い分子間力を得るために上記薄片状黒鉛の厚みと同程度の直径が好ましい。
前述の多孔高分子シートの孔内に炭素粒子が入り込んでいくためには、多孔高分子シートの平均孔径D1が炭素粒子の最大径の平均値D2より十分大きいことが好ましいため、D1≧D2×2であることが好ましく、D1≧D2×3であることがより好ましく、D1≧D2×5であることが更に好ましく、D1≧D2×10であることが特に好ましい。一方で、炭素粒子の最大径の平均値D2に対して多孔高分子シートの平均孔径D1が過度に大きいものは、多孔高分子シートの孔の壁面と炭素粒子の間の分子間力が孔内の炭素粒子を支えきれなくなり、炭素粒子が容易に剥落して欠陥を生じてしまうおそれがある。このため、D1≦D2×3000であることが好ましく、D1≦D2×2000であることがより好ましく、D1≦D2×1000であることがさらに好ましく、D1≦D2×500であることが特に好ましく、D1≦D2×200であることが最も好ましい。
また、炭素粒子間の接合部は熱抵抗を生じるので、大きい炭素粒子を用いて粒子間接合部の数を減らした方が良いという観点から、炭素粒子の最大径の平均値D2は、0.1μm以上であることが好ましく、1μm以上であることがより好ましく、3μm以上であることがさらに好ましく、5μm以上であることが特に好ましく、10μm以上であることが最も好ましい。一方、多孔高分子シートの孔内に挿入するする観点から、D2は、500μm以下であることが好ましく、200μm以下であることがより好ましく、100μm以下であることがさらに好ましく、50μm以下であることが特に好ましく、20μm以下であることが最も好ましい。
ここで、炭素粒子の最大径とは、炭素粒子を2枚の平行な板で挟んだ場合に、この2枚の平行な板の間隔が最も大きくなる部分の当該間隔の大きさに該当し、例えば薄片状黒鉛であればそのベーサル面の最も大きい径部分の長さをさす。また、繊維状黒鉛であれば繊維長さをさす。炭素粒子の最大径の平均値D2は、例えば炭素粒子の20個以上を走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは走査型プローブ顕微鏡(SPM)で観察して測定された値の算術平均値として求められる。
グラフェンの厚みの平均値についても、同様に、20個以上のグラフェン粒子の厚みを走査型電子顕微鏡(SEM)あるいは走査型プローブ顕微鏡(SPM)で観察して測定された値の算術平均値として求めることができる。
高い熱伝導率の面間熱伝導シートを得るためには、多孔高分子シートの孔内に充填された炭素粒子は多孔高分子シートの空隙体積の50%以上を占めていることが好ましく、より好ましくは60%以上であり、さらに好ましくは70%以上であり、特に好ましくは80%以上である。
なお、十分な熱伝導率を得るために、炭素粒子中の炭素原子は炭素粒子全体の90原子%以上であることが好ましく、より好ましくは95~100原子%である。
[面間熱伝導シートの製造方法]
炭素粒子を多孔高分子シートの孔内に充填して本発明の面間熱伝導シートを製造する方法としては、特に制限されないが、炭素粒子を分散媒に分散させた分散液に多孔高分子シートを浸漬して分散液を含浸させた後、該多孔高分子シートから分散媒を除去する方法(キャスト法、ディップコート法など)、炭素粒子を分散媒に分散させた分散液を多孔高分子シートに塗布(スピンコート、ブレードコート、バーコート、ダイコートなど)してから分散媒を除去する方法が挙げられる。あるいは、フィルター(例えばろ紙など)の上に多孔高分子シートを置き、炭素粒子を分散媒に分散させた分散液をこの多孔高分子シート上に供給し、ろ紙の下方から真空吸引を行って分散媒を除去する真空ろ過法を用いてもよい。インクジェット法などの印刷法により孔部分だけに炭素粒子分散液を供給することもできる。
分散媒としては水、アルコール類、アセトン、N-メチルピロリドン(NMP)などが用いられるが、安価で安全性が高く、かつ多孔高分子シートを溶かす危険性のない、水やエタノール、イソプロピルアルコールといったアルコール類及びその混合液が好ましい。
分散液中の炭素粒子濃度には特に制限はないが、分散液を効率的に多孔高分子シートの孔内に浸入させて高い充填率で炭素粒子を充填する観点から0.1~5質量%程度とすることが好ましい。
分散液には分散を補助するための分散剤(例えば、BASF社製PluronicP123)を添加することもできる。また炭素粒子を結合させるためのバインダー(例えばカルボキシメチルセルロース)を添加することもできる。ただし、これらの有機物を添加すると、その後の加熱焼成による有機物の除去で、有機物の存在していた箇所がボイドとなり、その部分では熱伝導性が得られなくなるため、熱伝導性の観点からは、これらの分散剤やバインダーは使用しないことが好ましい。
分散液含浸後の分散媒は自然乾燥させてもよいが、短時間で除去するには加熱乾燥、真空乾燥などの方法が用いられる。
分散媒の除去後に分散剤等の有機不純物を除去するために多孔高分子シートの融点以下の温度で加熱することもできる。この加熱温度は通常100~300℃程度である。
多孔高分子シートの孔部分以外に炭素粒子が密着して残ると、炭素粒子のベーサル面が面内方向(シートの主面に平行な方向)を向き、面間方向の熱伝導を妨げてしまう。これを防ぐために、多孔高分子シートに炭素粒子を充填した後、孔部以外の炭素粒子を拭き取るなどして除去する工程を行うことが好ましい。
[接触層]
本発明の面間熱伝導シートを適用する際、面間熱伝導シートと熱源や放熱部材などとの接触時の熱抵抗を低減するために熱源又は放熱部材と面間熱伝導シートとの間に接触層を設けても良い。接触層は隣接する部材との熱抵抗を低減するために柔軟性が高く、かつ熱伝導率が比較的高いものであることが好ましい。接触層の好ましい熱伝導率は1W/m・K以上である。また接触層はタック性を有するものであることが好ましい。放熱部材がLEDやICなど電気を利用する電気部材と接触する際には、電気部材の短絡を防ぐために接触層は絶縁性のものであることが好ましい。
接触層の材料の例としてはシリコーン樹脂、アクリル樹脂、EPDM(エチレンプロピレンジエンゴム)などが挙げられる。導電性のものが使用できる場合、接触層はアルミニウム、銅、銀などの金属薄膜であってもよい。多孔高分子シートに炭素粒子を充填した後に該多孔高分子シートの表面を溶融して全体を覆うことで接触層とすることもできる。
接触層は放熱部材より熱伝導率が低いので、厚すぎると放熱部材の効果が小さくなる。接触層の厚みは放熱部材の厚みの1/30以上、1/5以下であることが好ましい。
[本発明が効果を奏する理由]
本発明の面間熱伝導シートが面内熱伝導性の効果を奏する理由については、以下のとおり推察される。
すなわち、多孔高分子シートの空孔の面間方向を向いた壁面に炭素粒子が分子間力で接着し、同方向に炭素粒子が積層することで、炭素粒子のベーサル面が主に面間方向を向き、面間方向に熱が良好に流れるようになる結果、高い面間熱伝導性が得られる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
[実施例1]
<面間熱伝導シートの製造>
STREM CHEMICALS社製06-0220のグラフェン粉末(最大径の平均値:12μm、平均厚み:2.5nm)200mgと、分散媒として純水60mLと、イソプロピルアルコール40mLとを容器に入れ、超音波バスで10分超音波を印加することにより分散させた。
多孔高分子シートとしては、53メッシュ(1インチあたり53の開口)、線幅190μm、開口率49%、厚み220μmのナイロンメッシュ(平均孔径:0.45mm)を用いた。このナイロンメッシュは、断面が円形のナイロン線を格子状に組み合わせたものであり、その孔(開口)の最も狭い部分において孔面がシートの主面に対し垂直になっている。
真空ろ過装置の容器の底部に孔径0.2μmのPTFE製メンブレンフィルターをセットし、その上に20mm×20mmのナイロンメッシュを置いた。容器内に上記グラフェン分散液を入れ、メンブレンフィルターのナイロンメッシュと逆側よりダイヤフラムポンプで排気することで分散媒を抜いた。分散媒が完全に抜けた後、ナイロンメッシュを取り出した。その後、イソプロピルアルコールを含浸させた綿棒でナイロンメッシュ上の余分なグラフェンを除去した。
この結果、ナイロンメッシュの開口部にグラフェンが充填された面間熱伝導シートを得ることができた。この面間熱伝導シートは柔軟性があり、容易に手で曲げることが可能であった。
この面間熱伝導シートについて、グラフェン充填前と、グラフェン充填後のナイロンメッシュの質量差から算出した、面間熱伝導シートの中のグラフェンの質量割合は約43%と算出された。孔内には完全にグラフェンが充填されており、すなわち空隙体積の100%をグラフェンが占めていた。この面間熱伝導シートの密度は0.9g/cmであり、ナイロンの1.1g/cmよりもさらに軽量となった。
<熱伝導率の測定>
製造された面間熱伝導シートの熱伝導率を株式会社べテル製サーモウェーブアナライザTA3で測定したところ、シートの面内方向に5W/m・K、面間方向には78W/m・Kの熱伝導率が得られた。
ナイロンのみの平坦なシートでの熱伝導率は0.2W/m・Kであることから、面内方向にも面間方向にも熱伝導率が向上しており、特に面間方向の熱伝導率は飛躍的に向上していることが分かる。
<孔内への充填性の評価>
多孔高分子シートの孔内へのグラフェン粉末の充填性を、製造された面間熱伝導シートの透過光を目視で見ることにより充填状態を確認すると共に、以下の剥離試験を行って、グラフェン粉末の剥離状態を確認し、以下の基準で評価した。
<剥離試験>
スリーエムジャパン社製メンディングテープ(12mm幅)を面間熱伝導シート表面に接着した後、一気に剥がすことにより行った。
<評価基準>
○:グラフェン粉末を欠陥なく充填することができ、充填後、剥離試験で剥離しない。
△:グラフェン粉末を欠陥なく充填することができているが、充填後、剥離試験で一部剥離する。
×:グラフェン粉末を孔内部に十分に充填できていない。
これらの評価結果を表1に示す。
[実施例2]
グラフェン粉末を、シグマアルドリッチ社製製品番号900413(最大径の平均値:25μm、平均厚み:7.1nm)とした以外は、実施例1と同様にして、面間熱伝導シートを作成し、実施例1と同様に熱伝導率の測定と孔内への充填性の評価を行った。孔内には完全にグラフェンが充填されており、すなわち空隙体積の100%をグラフェンが占めていた。結果を表1に示す。
[実施例3]
グラフェン粉末をアイテック社製iGrafen-α(最大径の平均値:120μm、平均厚み:1200nm)とした以外は、実施例1と同様にして、面間熱伝導シートを作成し、実施例1と同様に熱伝導率の測定と孔内への充填性の評価を行った。孔内には完全にグラフェンが充填されており、すなわち空隙体積の100%をグラフェンが占めていた。結果を表1に示す。
[実施例4]
グラフェン粉末を、グラフェンプラットフォーム社製GNH-XZ(最大径の平均値:2μm、平均厚み:130nm)とした以外は、実施例1と同様にして、面間熱伝導シートを作成し、実施例1と同様に熱伝導率の測定と孔内への充填性の評価を行った。孔内には完全にグラフェンが充填されており、すなわち空隙体積の100%をグラフェンが占めていた。結果を表1に示す。
[実施例5]
グラフェン粉末を、XG SCIENCES社製XGnP C-500(最大径の平均値:0.12μm、平均厚み:2.8nm)とした以外は、実施例1と同様にして、面間熱伝導シートを作成し、実施例1と同様に熱伝導率の測定と孔内への充填性の評価を行った。孔内には完全にグラフェンが充填されており、すなわち空隙体積の100%をグラフェンが占めていた。結果を表1に示す。
[比較例1]
グラフェン粉末を、Luxor社製(型番無し)(最大径の平均値:330μm、平均厚み:1.6nm)とした以外は、実施例1と同様にして、面間熱伝導シートの作成を試みたが、ナイロンメッシュの孔内部にグラフェン粉末は充填されなかった。
[実施例6]
多孔高分子シートを、厚さ0.49mmで孔径0.75mmの円形の孔が、シートの主面に対して垂直に、1.1mmピッチで開いた、開口率40%のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製パンチングシートとした以外は、実施例1と同様にして、面間熱伝導シートを作成し、実施例1と同様に熱伝導率の測定と孔内への充填性の評価を行った。孔内には完全にグラフェンが充填されており、すなわち空隙体積の100%をグラフェンが占めていた。結果を表1に示す。
なお、この面間熱伝導シートは柔軟性があり、容易に手で曲げることが可能であった。また、この面間熱伝導シートの密度は1.5g/cmであり、PTFEの2.2g/cmよりもさらに軽量となった。
[実施例7]
多孔高分子シートを、厚さ0.7mmで孔径1.2mmの円形の孔が、シートの主面に対して垂直に、2.3mmピッチで開いた、開口率25%のシリコーンゴムパンチングシートとした以外は、実施例1と同様にして、面間熱伝導シートを作成し、実施例1と同様に熱伝導率の測定と孔内への充填性の評価を行った。孔内には完全にグラフェンが充填されており、すなわち空隙体積の100%をグラフェンが占めていた。結果を表1に示す。
なお、この面間熱伝導シートは柔軟性があり、容易に手で曲げることが可能であった。また、この面間熱伝導シートの密度は0.6g/cmであり、シリコーンゴムの0.97g/cmよりもさらに軽量となった。
Figure 0007327094000001
本発明の面間熱伝導シートは面間方向に高い熱伝導率を持ち、かつ柔軟性に優れる。このため、熱源と放熱部材の間を熱的に接続する、いわゆるTIMとして好適に用いることができる。また、電子素子を配置する基板に用いて、電子素子からの発熱を放熱部材に伝えることもできる。更に、スマートフォン、PCなど電子機器の筐体、電子回路基板、LED照明機器、モーター等からの発熱を放熱する用途などにも好適に用いることができる。

Claims (6)

  1. 多孔高分子シートと、該多孔高分子シートの孔内に充填された炭素粒子とを有する面間熱伝導シートであって、
    前記炭素粒子が薄片状黒鉛であり、該薄片状黒鉛の厚みが100nm以下であり、
    前記炭素粒子の最大径の平均値D2が10μm以上である面間熱伝導シート
  2. 前記多孔高分子シートの平均孔径をD1、前記炭素粒子の最大径の平均値をD2としたとき、D1≧D2×2である請求項1に記載の面間熱伝導シート。
  3. 前記多孔高分子シートの平均孔径をD1、前記炭素粒子の最大径の平均値をD2としたとき、D1≦D2×3000である請求項1又は2に記載の面間熱伝導シート。
  4. 前記多孔高分子シートの孔は、該多孔高分子シートの主面に対し垂直に開けられている請求項1ないしのいずれか1項に記載の面間熱伝導シート。
  5. 請求項1ないしのいずれか1項に記載の面間熱伝導シートの製造方法であり、多孔高分子シートに、炭素粒子の分散液を含浸させる工程を含む面間熱伝導シートの製造方法。
  6. 前記分散液を含浸させる工程において、前記多孔高分子シートをフィルター上に置き、該分散液を該多孔高分子シート上に供給し、該フィルターの下方から真空吸引を行う請求項5に記載の面間熱伝導シートの製造方法。
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