JP7097736B2 - ポリイミド系フィルム及び表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリイミド系フィルム及び表示装置に関する。
最近のディスプレイの傾向として、軽量で、スリムな形状を有し、非平坦な表面においてムラのない表示が可能であることが求められている。そのため、ソフトでフレキシブルなディスプレイ基板がガラス基板に代わるものとして最近開発が進められてきている。
その目的を達成するために、フレキシブルなプラスチック基板として、ポリカーボネート基板、ポリエチレンテレフタレート基板及びポリイミド基板などがフラットパネルディスプレイ用に開発されてきている。
例えば、特許文献1では、微粒子化したシリカを分散させたポリイミド樹脂組成物から、従来の物性を保持したまま、透明性、フレキシブル性、耐折性に優れたポリイミドフィルムを得ることができる旨が報告されている。
特開2009-215412号公報
しかしながら、ポリイミド系樹脂組成物中にシリカ微粒子を添加すると、形成されるフィルムの弾性率が向上する一方で耐屈曲性が低下する傾向がある。そのため、シリカ微粒子を添加した場合、形成されるフィルムの耐屈曲性の改善がフレキシブルディスプレイ用の部材として使用するための課題となっている。
そこで、本発明は、良好な透明性及び良好な耐屈曲性を有するポリイミド系フィルム、及び、それを用いた表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、小角X線散乱測定において、特定の散乱パターンを示すフィルムであれば上記課題を解決できることを見出し、発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、下記[1]~[8]に関する。
[1]ポリイミド系高分子を含み、小角X線散乱測定において、波数領域q(nm-1)が0.01<q<0.2の範囲で散乱強度の極大ピークを有し、且つ、q=0.03での散乱強度を初期散乱強度(I)として、極大ピークの散乱強度(I)と初期散乱強度との比(I/I)が0.8以上3.8以下である、ポリイミド系フィルム。
[2]微粒子をさらに含む、上記[1]に記載のポリイミド系フィルム。
[3]前記微粒子が、BET法により測定された比表面積を用いて算出される一次粒子径が31nm以上60nm以下の第1のシリカ微粒子と、BET法により測定された比表面積を用いて算出される一次粒子径が16nm以上30nm以下である第2のシリカ微粒子との混合物である、上記[2]に記載のポリイミド系フィルム。
[4]前記微粒子が、動的光散乱法により測定される体積平均粒子径が50nm以上100nm以下の第1のシリカ微粒子と、動的光散乱法により測定される体積平均粒子径が25nm以上49nm以下の第2のシリカ微粒子との混合物である、上記[2]又は[3]に記載のポリイミド系フィルム。
[5]前記微粒子の多分散指数が10~29%である、上記[2]~[4]のいずれかに記載のポリイミド系フィルム。
[6]前記微粒子の含有量が、前記ポリイミド系高分子及び前記微粒子の合計の含有量を基準として10質量%以上60質量%以下であり、前記微粒子がシリカ微粒子である、上記[2]~[5]のいずれかに記載のポリイミド系フィルム。
[7]前記ポリイミド系高分子及び前記微粒子の合計の含有量100質量部に対して、0.1質量部以上3.0質量部以下の金属アルコキシドをさらに含み、前記微粒子がシリカ微粒子である、上記[2]~[6]のいずれかに記載のポリイミド系フィルム。
[8]上記[1]~[7]のいずれかに記載のポリイミド系フィルムを備える表示装置。
本発明によれば、良好な透明性及び良好な耐屈曲性を有するポリイミド系フィルム、及び、それを用いた表示装置を提供することができる。
実施例1~5で得られた各フィルムの小角X線散乱プロファイルを示す図であり、縦軸及び横軸の両方ともに対数プロットである。 比較例1~3で得られた各フィルムの小角X線散乱プロファイルを示す図であり、縦軸及び横軸の両方ともに対数プロットである。
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
[ポリイミド系樹脂組成物]
まず、本実施形態のポリイミド系フィルムを形成するためのポリイミド系樹脂組成物について説明する。本実施形態に係るポリイミド系樹脂組成物は、ポリイミド系高分子を含む。ポリイミド系樹脂組成物は、フィルムの特性改善に寄与する微粒子を含むことが好ましく、該微粒子としては、金属酸化物等の無機微粒子や樹脂微粒子が挙げられる。
(ポリイミド系高分子)
本明細書において、ポリイミド系高分子とは、式(PI)、式(a)、式(a’)又は式(b)で表される繰り返し構造単位を少なくとも1種含む重合体を意味する。なかでも、式(PI)で表される繰り返し構造単位が、ポリイミド系高分子の主な構造単位であると、フィルムの強度及び透明性の観点で好ましい。式(PI)で表される繰り返し構造単位は、ポリイミド系高分子の全繰り返し構造単位を基準として、好ましくは40モル%以上であり、より好ましくは50モル%以上であり、さらに好ましくは70モル%以上であり、殊更好ましくは90モル%以上であり、殊更さらに好ましくは98モル%以上である。
Figure 0007097736000001
式(PI)中のGは4価の有機基を表し、Aは2価の有機基を表す。式(a)中のGは3価の有機基を表し、Aは2価の有機基を表す。式(a’)中のGは4価の有機基を表し、Aは2価の有機基を表す。式(b)中のG及びAは、それぞれ2価の有機基を表す。
式(PI)中、Gで表される4価の有機基の有機基(以下、Gの有機基ということがある)は、非環式脂肪族基、環式脂肪族基、及び、芳香族基からなる群から選ばれる基が挙げられる。ポリイミド系フィルムの透明性及び屈曲性の観点から、Gは、4価の環式脂肪族基及び4価の芳香族基であることが好ましい。芳香族基としては、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、及び、芳香族基が直接又は結合基により相互に連結された非縮合多環式芳香族基等が挙げられる。ポリイミド系フィルムの透明性及び着色の抑制の観点から、Gの有機基は、環式脂肪族基、フッ素系置換基を有する環式脂肪族基、フッ素系置換基を有する単環式芳香族基、フッ素系置換基を有する縮合多環式芳香族基又はフッ素系置換基を有する非縮合多環式芳香族基であってもよい。本明細書においてフッ素系置換基とは、フッ素原子を含む基を意味する。フッ素系置換基は、好ましくはフルオロ基(フッ素原子,-F)及びパーフルオロアルキル基であり、さらに好ましくはフルオロ基及びトリフルオロメチル基である。
より具体的には、Gの有機基は、例えば、飽和又は不飽和シクロアルキル基、飽和又は不飽和へテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、ヘテロアルキルアリール基、及びこれらのうちの任意の2つの基(同一でもよい)を有しこれらが直接又は結合基により相互に連結された基から選ばれる。
結合基としては、-O-、炭素数1~10のアルキレン基、-SO-、-CO-又は-CO-NR-(Rは、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~3のアルキル基又は水素原子を表す)が挙げられる。
Gで表される4価の有機基の炭素数は通常2~32であり、好ましくは4~15であり、より好ましくは5~10であり、さらに好ましくは6~8である。Gの有機基が環式脂肪族基及び芳香族基である場合、これらの基を構成する炭素原子のうちの少なくとも1つがヘテロ原子で置き換えられていてもよい。ヘテロ原子としては、O、N又はSが挙げられる。
Gの具体例としては、式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)又は式(26)で表される基が挙げられる。式中の*は結合手を示す。式(26)中のZは、単結合、-O-、-CH-、-C(CH-、-Ar-O-Ar-、-Ar-CH-Ar-、-Ar-C(CH-Ar-又は-Ar-SO-Ar-を表す。Arは炭素数6~20のアリーレン基を表し、例えばフェニレン基が挙げられる。これらの基の水素原子のうち少なくとも1つが、フッ素系置換基で置換されていてもよい。
Figure 0007097736000002
式(PI)中、Aで表される2価の有機基の有機基(以下、Aの有機基ということがある)は、非環式脂肪族基、環式脂肪族基及び芳香族基からなる群から選択される2価の有機基が挙げられる。Aで表される2価の有機基は、2価の環式脂肪族基及び2価の芳香族基であることが好ましい。芳香族基としては、単環式芳香族基、縮合多環式芳香族基、及び2以上の芳香族環を有しそれらが直接又は結合基により相互に連結された非縮合多環式芳香族基が挙げられる。ポリイミド系フィルムの透明性及び着色の抑制の観点から、Aの有機基には、フッ素系置換基が導入されていることが好ましい。
より具体的には、Aの有機基は、例えば、飽和又は不飽和シクロアルキル基、飽和又は不飽和へテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アリールアルキル基、アルキルアリール基、ヘテロアルキルアリール基、及びこれらの内の任意の2つの基(同一でもよい)を有しそれらが直接又は結合基により相互に連結された基から選ばれる。ヘテロ原子としては、O、N又はSが挙げられ、結合基としては、-O-、炭素数1~10のアルキレン基、-SO-、-CO-又は-CO-NR-(Rはメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~3のアルキル基又は水素原子を表す)が挙げられる。
Aで表される2価の有機基の炭素数は、通常2~40であり、好ましくは5~32であり、より好ましくは12~28であり、さらに好ましくは24~27である。
Aの具体例としては、式(30)、式(31)、式(32)、式(33)又は式(34)で表される基が挙げられる。式中の*は結合手を示す。Z~Zは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-CH-、-C(CH-、-SO-、-CO-又は―CO―NR-(Rはメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~3のアルキル基又は水素原子を表す)を表す。下記の基において、ZとZ、及び、ZとZは、それぞれ、各環に対してメタ位又はパラ位にあることが好ましい。また、Zと末端の単結合、Zと末端の単結合、及び、Zと末端の単結合とは、それぞれメタ位又はパラ位にあることが好ましい。Aの1つの例は、Z及びZが-O-であり、かつ、Zが-CH-、-C(CH-又は-SO-である。これらの基の水素原子の1つ又は2つ以上が、フッ素系置換基で置換されていてもよい。
Figure 0007097736000003
A及びGの少なくとも一方は、これらを構成する水素原子のうちの少なくとも1つの水素原子が、フッ素系置換基、水酸基、スルホン基、炭素数1~10のアルキル基等からなる群から選ばれる少なくとも1種の官能基で置換されていてもよい。また、Aの有機基及びGの有機基がそれぞれ環式脂肪族基又は芳香族基である場合に、A及びGの少なくとも一方がフッ素系置換基を有することが好ましく、A及びGの両方がフッ素系置換基を有することがより好ましい。
、A及びAの具体例としては、Aと同様の置換基が例示される。
式(a)中のGは、3価の有機基である。この有機基は、3価である点以外は、式(PI)中のGの有機基と同様の基から選択することができる。Gの例としては、Gの具体例として挙げられた式(20)~式(26)で表される基の4つの結合手のうち、いずれか1つが水素原子に置き換わった基を挙げることができる。式(a)中のAは、式(PI)中のAと同様の基から選択することができる。
式(a’)中のGは、式(PI)中のGと同様の基から選択することができる。式(a’)中のAは、式(PI)中のAと同様の基から選択することができる。
式(b)中のGは、2価の有機基である。この有機基は、2価の基である点以外は、式(PI)中のGの有機基と同様の基から選択することができる。Gの例としては、Gの具体例として挙げられた式(20)~式(26)で表される基の4つの結合手のうちいずれか2つが水素原子に置き換わった基を挙げることができる。式(b)中のAは、式(PI)中のAと同様の基から選択することができる。
ポリイミド系フィルムに含まれるポリイミド系高分子は、ジアミン類と、テトラカルボン酸化合物(酸クロライド化合物及びテトラカルボン酸二無水物などのテトラカルボン酸化合物類縁体を含む)又はトリカルボン酸化合物(酸クロライド化合物及びトリカルボン酸無水物などのトリカルボン酸化合物類縁体を含む)の少なくとも1種類とを重縮合することにより得られる縮合型高分子であってもよい。さらにジカルボン酸化合物(酸クロライド化合物などの類縁体を含む)を重縮合させてもよい。式(PI)又は式(a’)で表される繰り返し構造単位は、通常、ジアミン類及びテトラカルボン酸化合物から誘導される。式(a)で表される繰り返し構造単位は、通常、ジアミン類及びトリカルボン酸化合物から誘導される。式(b)で表される繰り返し構造単位は、通常、ジアミン類及びジカルボン酸化合物から誘導される。
テトラカルボン酸化合物としては、芳香族テトラカルボン酸化合物、脂環式テトラカルボン酸化合物及び非環式脂肪族テトラカルボン酸化合物が挙げられる。テトラカルボン酸化合物は、2種以上を併用してもよい。テトラカルボン酸化合物は、好ましくはテトラカルボン酸二無水物である。テトラカルボン酸二無水物としては、芳香族テトラカルボン酸二無水物、脂環式テトラカルボン酸二無水物及び非環式脂肪族テトラカルボン酸二無水物が挙げられる。
ポリイミド系高分子の溶媒に対する溶解性、ポリイミド系フィルムを形成した場合の透明性及び屈曲性の観点から、テトラカルボン酸化合物は、脂環式テトラカルボン酸化合物及び芳香族テトラカルボン酸化合物であることが好ましい。ポリイミド系フィルムの透明性及び着色の抑制の観点から、テトラカルボン酸化合物は、フッ素系置換基を有する脂環式テトラカルボン酸化合物及びフッ素系置換基を有する芳香族テトラカルボン酸化合物であることが好ましく、脂環式テトラカルボン酸化合物であることがさらに好ましい。
トリカルボン酸化合物としては、芳香族トリカルボン酸、脂環式トリカルボン酸、非環式脂肪族トリカルボン酸及びそれらの類縁の酸クロライド化合物、酸無水物等が挙げられる。トリカルボン酸化合物は、好ましくは芳香族トリカルボン酸、脂環式トリカルボン酸、非環式脂肪族トリカルボン酸及びそれらの類縁の酸クロライド化合物である。トリカルボン酸化合物は、2種以上併用してもよい。
ポリイミド系高分子の溶媒に対する溶解性、ポリイミド系フィルムを形成した場合の透明性及び屈曲性の観点から、トリカルボン酸化合物は、脂環式トリカルボン酸化合物又は芳香族トリカルボン酸化合物であることが好ましい。ポリイミド系フィルムの透明性及び着色の抑制の観点から、トリカルボン酸化合物は、フッ素系置換基を有する脂環式トリカルボン酸化合物及びフッ素系置換基を有する芳香族トリカルボン酸化合物であることが好ましい。
ジカルボン酸化合物としては、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、非環式脂肪族ジカルボン酸及びそれらの類縁の酸クロライド化合物、酸無水物等が挙げられる。ジカルボン酸化合物は、好ましくは芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、非環式脂肪族ジカルボン酸及びそれらの類縁の酸クロライド化合物である。ジカルボン酸化合物は、2種以上併用してもよい。
ポリイミド系高分子の溶媒に対する溶解性、ポリイミド系フィルムを形成した場合の透明性及び屈曲性の観点から、ジカルボン酸化合物は、脂環式ジカルボン酸化合物及び芳香族ジカルボン酸化合物であることが好ましい。ポリイミド系フィルムの透明性及び着色の抑制の観点から、ジカルボン酸化合物は、フッ素系置換基を有する脂環式ジカルボン酸化合物及びフッ素系置換基を有する芳香族ジカルボン酸化合物であることが好ましい。
ジアミン類としては、芳香族ジアミン、脂環式ジアミン及び脂肪族ジアミンが挙げられる。ジアミン類は、2種以上併用してもよい。ポリイミド系高分子の溶媒に対する溶解性、ポリイミド系フィルムを形成した場合の透明性及び屈曲性の観点から、ジアミン類は、脂環式ジアミン及びフッ素系置換基を有する芳香族ジアミンであることが好ましい。
このようなポリイミド系高分子を使用すれば、特に優れた屈曲性を有し、高い光透過率(例えば、550nmの光に対して85%以上、好ましくは88%以上)、及び、低い黄色度(YI値、例えば5以下、好ましくは3以下)、低いヘイズ(例えば1.5%以下、好ましくは1.0%以下)のポリイミド系フィルムが得られ易い。
ポリイミド系高分子は、異なる種類の複数の上記の繰り返し単位を含む共重合体でもよい。ポリイミド系高分子の重量平均分子量は、通常10,000~500,000である。ポリイミド系高分子の重量平均分子量は、好ましくは、50,000~500,000であり、さらに好ましくは70,000~400,000である。重量平均分子量は、GPCで測定した標準ポリスチレン換算分子量である。ポリイミド系高分子の重量平均分子量が大きい方が高い屈曲性を得られやすい傾向があるが、ポリイミド系高分子の重量平均分子量が大きすぎると、ポリイミド系樹脂組成物の粘度が高くなり、加工性が低下する傾向がある。
ポリイミド系高分子は、上述のフッ素系置換基等によって導入できるフッ素原子等のハロゲン原子を含んでいてもよい。ポリイミド系高分子がハロゲン原子を含むことにより、ポリイミド系フィルムの弾性率を向上させ且つ黄色度を低減させることができる。これにより、ポリイミド系フィルムにキズ及びシワ等が発生することを抑制し、且つ、ポリイミド系フィルムの透明性を向上させることができる。ハロゲン原子として好ましくは、フッ素原子である。ポリイミド系高分子におけるハロゲン原子の含有量は、ポリイミド系高分子の全質量を基準として、1~40質量%であることが好ましく、1~30質量%であることがより好ましい。
(微粒子)
ポリイミド系樹脂組成物に含まれる微粒子は、透明性を維持しつつ得られるポリイミド系フィルムの強度及び弾性率を高める観点から、シリカ微粒子を含有することが好ましい。上記シリカ微粒子は、動的光散乱法により測定される体積平均粒子径D(50)が35nm以上60nm以下であることが好ましい。
シリカ微粒子のD(50)が35nm以上であることで、得られるポリイミド系フィルムの耐屈曲性を良好にすることができ、60nm以下であると、透明性及び耐屈曲性が良好であるポリイミド系フィルムが得られやすい。得られるポリイミド系フィルムの透明性及び耐屈曲性をより向上させる観点から、シリカ微粒子のD(50)は、40nm以上55nm以下であることが好ましく、43nm以上55nm以下であることがより好ましい。
シリカ微粒子のD(50)は、液体中に分散させたシリカ微粒子を試料として、動的光散乱法により測定することができる。例えば、水等の溶媒を用いて所定の濃度に調整したシリカ分散液について、Zetasizer Nano ZS(Malvern Instruments Ltd.製)等の分析装置を用いて分析することにより、測定することができる。濃度調整に用いる溶媒は、シリカ微粒子を分散可能であれば特に限定されず、一般的には水が用いられるが、メタノール、γ-ブチロラクトン、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、シクロヘキサノンなどを用いることができる場合がある。測定サンプルは充分に分散させること、多重散乱を防ぐことを目的に、通常は0.01~1質量%の濃度に調製される。
本実施形態のポリイミド系フィルムに含まれるシリカ微粒子は、粒子径が異なる2種類以上のシリカ微粒子の混合物であることが好ましい。比較的粒子径が大きく耐屈曲性の向上に好適な第1のシリカ微粒子と、比較的粒子径が小さく透明性の向上に好適な第2のシリカ微粒子とを混合することで、透明性と耐屈曲性とを両立させやすくなる傾向がある。
比較的粒子径が大きい第1のシリカ微粒子と、比較的粒子径が小さい第2のシリカ微粒子との混合比率は、質量比で5:95~30:70であることが好ましい。7:93~30:70であることがより好ましく、7:93~25:75であることがより好ましい。
このような比率で2種類のシリカ微粒子を混合することで、透明性と耐屈曲性とを両立させやすくなる傾向がある。
2種類以上のシリカ微粒子の混合物である場合、本発明の好ましい態様の一つにおいて、シリカ微粒子は、BET法により測定された比表面積を用いて算出される一次粒子径(BET径)が異なる2種類以上のシリカ微粒子の混合物である。なお、BET径は、BET法(窒素吸着法)により測定されたシリカ微粒子の比表面積A(m/g)を用いて、下記式により求めることができる。
d=6000/(A×ρ)
式中、dはBET径(nm)、ρはシリカ微粒子の比重(g/cm)を示す。
シリカ微粒子が、第1のシリカ微粒子と、それよりもBET径が小さい第2のシリカ微粒子とを含む場合、第1のシリカ微粒子のBET径が31~60nm、第2のシリカ微粒子のBET径が16~30nmであることが好ましい。第1のシリカ微粒子のBET径が31~50nm、第2のシリカ微粒子のBET径が16~30nmであることがより好ましく、第1のシリカ微粒子のBET径が31~50nm、第2のシリカ微粒子のBET径が20~25nmであることがさらに好ましい。上記範囲内のBET径を有する第1及び第2のシリカ微粒子を組み合わせて用いることにより、得られるポリイミド系フィルムの透明性と耐屈曲性とを両立させやすくなる傾向がある。また、同じ理由で、第1のシリカ微粒子のBET径と第2のシリカ微粒子のBET径との差は、5nm以上30nm以下であることが好ましく、10nm以上30nm以下であることがより好ましく、15nm以上30nm以下であることがさらに好ましい。
また、別の好ましい態様の一つにおいて、シリカ微粒子は、動的光散乱法により測定された体積平均粒子径D(50)が異なる2種類以上のシリカ微粒子の混合物である。
シリカ微粒子が、第1のシリカ微粒子と、それよりもD(50)が小さい第2のシリカ微粒子とを含む場合、第1のシリカ微粒子のD(50)が50~100nm、第2のシリカ微粒子のD(50)が25~49nmであることが好ましく、第1のシリカ微粒子のD(50)が50~80nm、第2のシリカ微粒子のD(50)が25~45nmであることがより好ましく、第1のシリカ微粒子のD(50)が55~80nm、第2のシリカ微粒子のD(50)が30~45nmであることがさらに好ましい。上記範囲内のD(50)を有する第1及び第2のシリカ微粒子を組み合わせて用いることにより、得られるポリイミド系フィルムの透明性と耐屈曲性とを両立させやすくなる傾向がある。また、同じ理由で、第1のシリカ微粒子のD(50)と第2のシリカ微粒子のD(50)との差は、10nm以上50nm以下であることが好ましく、20nm以上40nm以下であることがより好ましい。
シリカ微粒子の多分散指数(PDI:Polydispersity Index)は、シリカ微粒子の粒子径の分布(粒度分布)の広がりを示すパラメータであり、この値が大きいほど分布が広いことを意味する。本発明で用いるシリカ微粒子のPDIは、好ましくは10%以上、より好ましくは12%以上、さらに好ましくは13%以上であり、好ましくは29%以下、より好ましくは25%以下、さらに好ましくは23%以下である。シリカ微粒子のPDIが上記範囲内であると、シリカ微粒子の粒度分布が適度な広がりを有し、シリカ微粒子を添加することによるポリイミド系フィルムの強度及び弾性率の向上効果をより充分に得ながら、ポリイミド系フィルムの透明性及び耐屈曲性をより向上させることができる。
ポリイミド系樹脂組成物において、シリカ微粒子の含有量は、ポリイミド系高分子及びシリカ微粒子の合計の含有量を基準として、好ましくは10質量%以上60質量%以下、より好ましくは15質量%以上50質量%以下、さらに好ましくは20質量%以上40質量%以下である。シリカ微粒子の含有量が上記の範囲内であると、ポリイミド系フィルムの透明性及び機械的強度が向上する傾向を示す。
シリカ微粒子を含むポリイミド系樹脂組成物を用いて得られるポリイミド系フィルムにおいて、シリカ微粒子同士は、シロキサン結合を有する分子により結合されていてもよい。
ポリイミド系樹脂組成物は、組成物の安定性を向上させるために、金属アルコキシドを含有してもよい。金属アルコキシドとして好ましくはアルコキシシランであり、より好ましくはアミノ基を有するアルコキシシランである。ポリイミド系樹脂組成物が金属アルコキシド(特にアミノ基を有するアルコキシシラン)をさらに含有することで、シリカ微粒子の分散性が向上し、ポリイミド系フィルムの強度及び耐屈曲性を向上させる効果、フィルムの良好な透明性を得る効果がより高められる傾向がある。
金属アルコキシドの添加量は、上記効果をより充分に得る観点から、ポリイミド系高分子及びシリカ微粒子の合計の含有量100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上3.0質量部以下、より好ましくは0.2質量部以上1.2質量部以下である。
ポリイミド系樹脂組成物は、得られるポリイミド系フィルムの透明性及び耐屈曲性を損なわない範囲で、さらに他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、酸化防止剤、離型剤、安定剤、ブルーイング剤等の着色剤、難燃剤、滑剤、増粘剤、レベリング剤等が挙げられる。得られるポリイミド系フィルムにおける上記他の成分の含有量は、ポリイミド系フィルムの全質量を基準として、好ましくは0質量%超20質量%以下、より好ましくは0質量%超10質量%以下である。
ポリイミド系樹脂組成物は、オルトケイ酸テトラエチル等の4級アルコキシシラン等、シルセスキオキサン誘導体等の有機ケイ素化合物を含むこともできる。
(ポリイミド系フィルム)
本実施形態のポリイミド系フィルムは、上述したポリイミド系樹脂組成物を用いて形成することができる。ポリイミド系樹脂組成物が微粒子を含有し、且つ、微粒子が上述したBET径及びD(50)の好ましい条件を満たす場合、当該ポリイミド系樹脂組成物を用いて形成されたポリイミド系フィルム中の微粒子も、ポリイミド系樹脂組成物中での一次粒子径を維持する。
ポリイミド系フィルムの厚さは、用途に応じて適宜調整されるが、通常、10~500μm、好ましくは15~200μm、より好ましくは20~100μmである。
本発明のポリイミド系フィルムは、その小角X線散乱測定において、波数領域q(nm-1)が0.01<q<0.2の範囲で散乱強度の極大ピークを有し、且つ、q=0.03での散乱強度を初期散乱強度(I)として、極大ピークの散乱強度(I)と初期散乱強度との比(I/I)が0.8以上3.8以下である。
波数領域q(nm-1)が0.01<q<0.2の範囲で散乱強度の極大ピークを有することは、フィルムが一定の粒径のシリカ等の微粒子を含み、それらが凝集していないことや、高分子が高次構造を形成していることなどを意味する。例えば、シリカ微粒子が凝集していると、極大ピークは低波数側にシフトし、極大ピークが見えにくくなるためである。0.01<q<0.2の範囲に上記極大ピークが存在することで、ポリイミド系フィルムは良好な透明性及び良好な耐屈曲性を得ることができる傾向がある。
また、I/Iが0.8以上であることは、上記極大ピークに対応した特定のサイズの周期的構造を、ある程度の量、フィルム中に有していることを意味している。周期的構造のサイズが不均一な場合には、充分な耐屈曲性が得られにくい傾向があるため、I/Iは0.8以上であることが好ましい。一方、I/Iが3.8以下であることは、上記特定のサイズの周期的構造のみが極端に偏って存在してはいないことを意味している。I/Iが0.8以上3.8以下、好ましくは2.0以上3.8以下、より好ましくは2.5以上3.8以下、さらに好ましくは3.0以上3.8以下であることで、ポリイミド系フィルムはより良好な透明性及びより良好な耐屈曲性を得ることができる。
このポリイミド系フィルムは、JIS K7105:1981に準拠した全光線透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。また、このポリイミド系フィルムは、JIS K7105:1981に準拠したヘイズ(Haze)が1以下であることが好ましく、0.9以下であることがより好ましい。また、このポリイミド系フィルムは、JIS K 7373:2006に準拠した黄色度YIが5以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。かかる光学物性を有するポリイミド系フィルムは、高い視認性が求められるスマートフォン、タブレットPC向けの光学フィルムとして好適に用いることができる。
(製造方法)
次に、本実施形態のポリイミド系樹脂組成物の製造方法及び本実施形態のポリイミド系フィルムの製造方法の一例を説明する。
ポリイミド系樹脂組成物(ワニス)は、公知のポリイミド系高分子の合成手法を用いて重合された溶媒可溶なポリイミド系高分子を溶媒に溶解し、さらに必要に応じてシリカ微粒子等の微粒子、金属アルコキシド及び他の成分を加えて混合して調製される。微粒子は、公知の撹拌法によりポリイミド系樹脂組成物を撹拌し、混合することで、ポリイミド系樹脂組成物に均一に分散させることができる。
溶媒としては、ポリイミド系高分子を溶解する溶媒であれば特に限定されないが、例えば、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、γ-ブチロラクトン(GBL)、N-メチルピロリドン(NMP)、酢酸エチル、メチルエチルケトン(MEK)、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、アセトン、シクロペンタノン、ジメチルスルホキシド、キシレン及びそれらの組み合わせが挙げられる。
ポリイミド系高分子としては、溶媒可溶なポリイミド系高分子であればよく、上述した構造であることができる。
ポリイミド系樹脂組成物は、さらに水を含んでいてもよい。水の含有量は、ポリイミド系樹脂組成物の全質量を基準として、通常、0.1~10質量%である。ポリイミド系樹脂組成物が水を含有することにより、シリカ微粒子のゲル化が抑制されるという利点もある。そのため、ポリイミド系樹脂組成物が水を適度に含有することで、形成されるポリイミド系フィルムにはシリカ微粒子のゲル化による外観不良が生じ難く、且つ、高い耐屈曲性が得られ易い。
ポリイミド系樹脂組成物の固形分濃度は、保存安定性及び塗工性の観点から、好ましくは5~30質量%、より好ましくは10~25質量%である。
調製されたポリイミド系樹脂組成物は、次いで、公知のロール・ツー・ロールやバッチ方式により、PET基材、SUSベルト、又はガラス基材上に、塗布されて塗膜を形成する。この塗膜は、乾燥されて、ポリイミド系フィルムとなる。
塗膜の乾燥は、温度50~350℃にて、適宜、不活性雰囲気あるいは減圧の条件下に溶媒及び水を蒸発させることにより行われる。塗膜の乾燥は、温度条件を変えて多段階で行われてもよい。その場合、後段にいくほど温度が高くされてもよい。このように塗膜の乾燥が多段階で行われることにより、溶媒及び水が蒸発する速度を制御することができ、ポリイミド系高分子の構造を均一化できるとともに、ポリイミド系高分子の凝集をより抑制することができ、得られるフィルムの外観及び耐屈曲性をより向上させることができる。
また、塗膜の乾燥は、基材から剥離した後にさらに行われてもよい。すなわち、塗膜は、第1乾燥として基材上で乾燥された後、基材から剥離され、第2乾燥としてさらに乾燥されることができる。第2乾燥は、基材から剥離された塗膜に金属の枠が取り付けられ、又は、公知のテンター設備を用いられるなどして行われることができる。第2乾燥は第1乾燥よりも高温で行われることができ、例えば、第1乾燥が50~190℃にて行われ、第2乾燥が190~350℃にて行われることができる。さらに、第1乾燥及び第2乾燥のそれぞれも、温度条件を変えて多段階で行われてもよい。
(用途)
このようなポリイミド系フィルムは、透明性及び耐屈曲性に優れるのでフレキシブルディスプレイ等の表示装置の構成要素として使用できる。例えば、フレキシブルディスプレイ等の表示装置の表面保護用の前面板(ウィンドウフィルム)として使用することができる。
また、このポリイミド系フィルムに、紫外線吸収層、ハードコート層、粘着層、色相調整層、屈折率調整層などの種々の機能層を付加した積層体とすることもできる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。
[シリカゾル1~5の調製]
ナスフラスコに、原料シリカゾルとして、表1に示す各粒子径のシリカ微粒子の水ゾル(シリカ微粒子の固形分濃度:20~30質量%)を入れた。そこにγ-ブチロラクトン(以下、「GBL」ともいう)を添加し、エバポレーターで減圧しながら攪拌した。圧力を60hPa、40hPa、25hPa、15hPaと段階的に下げていき、残留する水を減らしていった。得られたゾル分を目開き10μmのメンブレンフィルターでろ過し、シリカ/GBL置換ゾル(シリカゾル1~5)を得た。得られたシリカ/GBL置換ゾルはいずれも、シリカ成分が30~32質量%であり、水分値が1.0質量%以下であった。また、得られたシリカ/GBL置換ゾルに含まれるシリカ微粒子の平均粒子径をBET法及び動的光散乱法により測定し、それぞれの原料と同等の一次粒子径(BET径)および体積平均粒子径D(50)を有することを確認した。
Figure 0007097736000004
[実施例1~5及び比較例1~3]
ポリイミド樹脂(三菱瓦斯化学(株)製「ネオプリム(登録商標)6A20S」、ガラス転移温度390℃)のGBL溶液に、シリカゾル1~5のうちの1種類又は2種類を、表2に示す組み合わせ(第1のシリカゾル単独又は第1及び第2のシリカゾルの混合物)及び比率(質量比)で添加して混合した。このとき、ポリイミド樹脂とシリカ微粒子(2種用いている場合はその合計量)との固形分質量比が70:30(ポリイミド樹脂:シリカ微粒子)となるようにシリカゾル1~5を添加した。次いで、アミノ基を有するアルコキシシランをポリイミド樹脂及びシリカ微粒子の固形分総量100質量部に対して1.7質量部と、GBLとを加えて充分に混合し、目開き10μmのメンブレンフィルターにてろ過した後、撹拌脱泡を行って、実施例1~5及び比較例1~3のポリイミド系樹脂組成物を得た。
得られたポリイミド系樹脂組成物を、ガラス板に貼ったPET基材上にキャストし、自動塗工装置でクリアランス500μmにて製膜を行った。この塗膜を50℃で30分、140℃で10分、210℃で1時間と段階的に乾燥、硬化させていった。硬化させた塗膜をPET基材から剥がし、厚み約60μmの実施例1~5及び比較例1~3のポリイミド系透明フィルムを得た。
<体積平均粒子径D(50)の測定>
実施例1~5及び比較例1~3で用いたシリカゾル(シリカゾル1~5の1種類又は2種類の混合物)を水で0.1質量%に希釈し、体積平均粒子径D(50)を測定した。
分析装置としては、Zetasizer Nano ZS(Malvern Instruments Ltd.製)を用いた。得られた結果を表2に示す。
<PDIの測定>
体積平均粒子径D(50)の測定と同様に、実施例1~5及び比較例1~3で用いたシリカゾル(シリカゾル1~5の1種類又は2種類の混合物)を水で0.1質量%に希釈し、シリカゾルの多分散指数(PDI)を評価した。分析装置としては、Zetasizer Nano ZS(Malvern Instruments Ltd.製)を用いた。得られた結果を表2に示す。
<小角X線散乱測定>
実施例1~5及び比較例1~3で得られた各フィルムの小角X線散乱プロファイルを小角散乱測定装置(SPring-8、BL19B2)により以下の条件で取得した。X線のエネルギーは18keV、波数qの範囲は0.001~0.4nmとした。実施例1~5及び比較例1~3で得られたフィルムを適切な大きさに切り取り、35mmスライドマウントにセットし、光を照射し、プロファイルを測定した。データを解析し、0.01~0.2nmのデータを抽出した。
得られたプロファイルから、q=0.03での散乱強度Iを初期散乱強度(I)として求めた。また、0.01<q<0.2の範囲に散乱強度Iの極大ピークを有する場合、極大ピークでの散乱強度(I)を求めた。さらに、初期散乱強度(I)と極大ピークの散乱強度(I)との比(I/I)を求めた。その結果を表2に示す。また、実施例1~5で得られた各フィルムの小角X線散乱プロファイルを図1に、比較例1~3で得られた各フィルムの小角X線散乱プロファイルを図2に、それぞれ示す。図1及び2に示したプロファイルは、縦軸及び横軸の両方ともに対数プロットである。なお、比較例1及び3で得られた各フィルムの小角X線散乱プロファイルでは、波数q(nm-1)が0.01<q<0.2の範囲で散乱強度の極大ピークが存在しなかった。そのため、これらのフィルムについては、I/Iが求められなかった。
<光学特性の評価>
実施例1~5及び比較例1~3で得られたフィルムに対して、以下に記載の評価手法により、光学特性(全光線透過率、ヘイズ及びYI値)を評価した。全光線透過率、ヘイズ及びYI値について、全ての評価結果の判定がAである場合、光学特性の総合評価をAと判定し、全ての評価結果の判定がCである場合、光学特性の総合評価をCと判定し、それ以外の場合、光学特性の総合評価をBと判定した。光学特性の総合評価が良好であるほど、透明性に優れる。光学特性の総合評価がA又はBである場合、良好な透明性を有していると言える。全光線透過率、ヘイズ及びYI値のそれぞれの評価手法及び評価基準は以下の通りとした。各評価の結果を表3に示す。
(全光線透過率(Tt))
実施例1~5及び比較例1~3で得られたフィルムを30mm×30mmの大きさにカットし、紫外可視近赤分光光度計(日本分光(株)製「V-670」)を用いて、全光線透過率(%)の測定を行った。評価は下記基準に基づいて行った。
A:85%≦全光線透過率
C:85%>全光線透過率
(曇り度(ヘイズ))
実施例1~5及び比較例1~3で得られたフィルムを30mm×30mmの大きさにカットし、ヘイズメーター(高千穂精機(株)製)にてヘイズを測定した。評価は下記基準に基づいて行った。
A:3.0%≦ヘイズ
C:3.0%>ヘイズ
(イエローインデックス(YI)値)
測定手法はJIS K 7105に従って行った。実施例1~5及び比較例1~3で得られたフィルムを30mm×30mmの大きさにカットし、紫外可視近赤分光光度計(日本分光(株)製「V-670」)を用いて、三刺激値(X,Y,Z)を求め、下記計算式に代入することにより、YI値を計算で求めた。
YI=100×(1.2769X-1.0592Z)/Y
評価は下記基準に基づいて行った。
A:2.5≦YI
B:2.5<YI≦5.0
C:5.0<YI
<耐屈曲性の評価>
実施例1~5及び比較例1~3で得られたフィルムを、ダンベルカッターを用いて10mm×100mmの短冊状にカットした。カットしたフィルムをMIT耐折疲労試験機((株)東洋精機製作所製「MIT-DA」)本体にセットして、試験速度175cpm、折り曲げ角度135°、加重750g、折り曲げクランプのR 1.0mmの条件で、裏表両方向への折り曲げ試験を実施した。各フィルムの耐屈曲回数(破断せずに折り曲げ可能な回数)を測定し、下記基準に基づいて判定した。なお、評価サンプル数はn=2とし、耐屈曲回数はその平均値を用いた。結果を表3に示す。
A:0.55万回≦屈曲回数
B:0.50万回≦屈曲回数<0.55万回
C:0.50万回>屈曲回数
Figure 0007097736000005
Figure 0007097736000006

Claims (6)

  1. ポリイミド系高分子と、シリカ微粒子と、を含み、
    前記ポリイミド系高分子が、式(PI)で表される繰り返し構造単位を少なくとも1種含む重合体であり、
    前記シリカ微粒子の合計量が、前記ポリイミド系高分子及び前記シリカ微粒子の合計の含有量を基準として、10質量%以上40質量%以下であり、
    小角X線散乱測定において、波数領域q(nm-1)が0.01<q<0.2の範囲で散乱強度の極大ピークを有し、且つ、q=0.03での散乱強度を初期散乱強度(I)として、極大ピークの散乱強度(I)と初期散乱強度との比(I/I)が0.8以上3.8以下である、ポリイミド系フィルム。
    Figure 0007097736000007

    [式(PI)中、Gは式(20)、式(21)、式(22)、式(23)、式(24)、式(25)又は式(26)で表される基、或いはこれらの基の水素原子のうち少なくとも1つがフッ素系置換基で置換された基を示し、Aは式(32)、式(33)又は式(34)で表される基、或いはこれらの基の水素原子のうち少なくとも1つがフッ素系置換基で置換された基を示し、式中の*は結合手を示す。]
    Figure 0007097736000008

    [式(26)中、Zは単結合、-O-、-CH-、-C(CH-、-Ar-O-Ar-、-Ar-CH-Ar-、-Ar-C(CH-Ar-又は-Ar-SO-Ar-を表し、Arは炭素数6~20のアリーレン基を表す。]
    Figure 0007097736000009

    [式(32)、式(33)及び式(34)中、Z、Z及びZはそれぞれ独立に、単結合、-O-、-CH-、-C(CH-、-SO-、-CO-又は-CO-NR-(Rは炭素数1~3のアルキル基又は水素原子を表す)を表す。]
  2. 前記シリカ微粒子が、BET法により測定された比表面積を用いて算出される一次粒子径が31nm以上60nm以下の第1のシリカ微粒子と、BET法により測定された比表面積を用いて算出される一次粒子径が16nm以上30nm以下である第2のシリカ微粒子との混合物である、請求項1に記載のポリイミド系フィルム。
  3. 前記シリカ微粒子が、動的光散乱法により測定される体積平均粒子径が50nm以上100nm以下の第1のシリカ微粒子と、動的光散乱法により測定される体積平均粒子径が25nm以上49nm以下の第2のシリカ微粒子との混合物である、請求項1又は2に記載のポリイミド系フィルム。
  4. 前記シリカ微粒子の多分散指数が10~29%である、請求項1~3のいずれか一項に記載のポリイミド系フィルム。
  5. 前記ポリイミド系高分子及び前記シリカ微粒子の合計の含有量100質量部に対して、0.1質量部以上3.0質量部以下の金属アルコキシドをさらに含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のポリイミド系フィルム。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載のポリイミド系フィルムを備える表示装置。
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