JP7097433B2 - 宿主細胞ガレクチンおよび他の夾雑物からグリコシル化タンパク質を精製する方法 - Google Patents

宿主細胞ガレクチンおよび他の夾雑物からグリコシル化タンパク質を精製する方法 Download PDF

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Description

この出願は、2017年8月17日に米国特許商標庁に提出された米国仮特許出願第62/546,558号の優先権を主張する。
配列表
本出願は、ASCII形式で電子出願され、その全体が参照により本明細書に組み込まれる配列表を含む。2018年8月14日に作成された前記ASCIIコピーは、JUST0381_SL.txtという名称であり、4,148バイトのサイズである。
1.発明の分野
本発明は、組換え生産されたタンパク質を夾雑宿主細胞タンパク質および金属イオンから精製する方法に関する。
2.関連技術の議論
組換え治療用タンパク質の工業生産では、厳格な規制基準を満たすために夾雑宿主細胞タンパク質および金属イオンを関心対象のタンパク質から効果的に除去する必要がある。
グリコシル化組換えタンパク質が末端β-ガラクトシル残基に富む場合、それらのガラクトシド残基に可逆的に結合した宿主細胞タンパク質ガレクチンから組換えタンパク質を精製することは重要な問題である。
ガレクチンは、β-ガラクトシドに特異的に結合することができる動物レクチンである。12種類のガレクチンが脊椎動物において記述されており、それらは3つの異なるサブグループに属する:プロトタイプ(例えば、ガレクチン-1、-2、-7、-10、-13、-14)、タンデムリピート(例えば、ガレクチン-4、-8、-9、-12)およびキメラガレクチン(例えば、ガレクチン-3)。これらのガレクチンタンパク質は、細胞相互作用および宿主細胞における悪性形質転換に関与すると報告されている。(例えば、Cummings RD and Liu FT,Galectins,In:Varki A,Cummings RD,Esko JD,Freeze HH,Stanley P,Bertozzi CR,Hart GW,Etzler ME,editors.Essentials of Glycobiology.2nd edition.Cold Spring Harbor(NY):Cold Spring Harbor Laboratory Press;2009.Chapter 33;Gitt,MA et al.,Galectin-4 and galectin-6 are two closely related lectins expressed in mouse gastrointestinal tract,J Biol Chem.273(5):2954-60(1998);Bidon,N.et al.,Galectin-8:a complex sub-family of galectins(Review),Int J Mol Med.8(3):245-50(2001);Hadari,YR et al.,Galectin-8.A new rat lectin,related to galectin-4,J Biol Chem.270(7):3447-53(1995);Sato,M.et al.,Functional analysis of the carbohydrate recognition domains and a linker peptide of galectin-9 as to eosinophil chemoattractant activity,Glycobiology 12(3):191-97(2002);Yang,RY et al.,Cell cycle regulation by galectin-12,a new member of the galectin superfamily,J Biol Chem.276(23):20252-60(2001);Ramaswamy,S et al.,Structural basis of multivalent galactose-based dendrimer recognition by human galectin-7,FEBS J.2015 Jan;282(2):372-87(2015);Patnaik,SK et al.,Complex N-glycans are the major ligands for galectin-1,-3,and-8 on Chinese hamster ovary cells,Glycobiology 16(4):305-17(2006)参照)。
ガレクチン‐3は約30kDaの分子量であり、β-ガラクトシドの特異的結合を可能にする約130アミノ酸の炭水化物認識結合ドメイン(CRD)を含む。ガレクチン-3が結合すると報告されているタンパク質には、ラミニン、フィブロネクチン、ヘンシン、エラスチン、IV型コラーゲン、テネイシン-C、テネイシン-R、インテグリンα1β1、α4β7、α6β1、およびαMβ1、VEGFR2、NG2、およびアミノペプチダーゼNがある。(Funasaka et al.,Galectin-3 in angiogenesis and metastasis,Glycobiology 24(10):886-891(2014))。宿主細胞タンパク質であるガレクチン-3は、組換え生産された第IX因子タンパク質の夾雑物であると報告された。(Blostein et al.,Galectin-3 Binding Protein Contaminates the Purification of Recombinant Factor IX,Blood 108:1038(2006)。
アフリベルセプトは、典型的には末端β-ガラクトシル残基に富む、もう1つ別の組換え治療用タンパク質である。アフリベルセプトタンパク質には、2つの主要な成分:ヒトIgG1のFc部分に融合した、ヒト血管内皮増殖因子(VEGF)受容体1および2の細胞外ドメイン由来のVEGF結合部分が含まれる。(Papadopoulos et al.,Modified chimeric polypeptides with improved pharmacokinetic properties,国際公開第00/75319 A1号;米国特許第7070959B2号参照)。米国食品医薬品局(FDA)は2011年11月にアフリベルセプトの市販を承認し、欧州医薬品庁(EMA)は2012年11月に承認した。アフリベルセプトは、Eylea(登録商標)(Regeneron Pharmaceuticals,Inc.)の商品名で、眼の障害または疾患、例えば、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)後の黄斑浮腫、網膜中心静脈閉塞症(CRVO)、網膜静脈分枝閉塞症(BRVO)、血管新生型(滲出型)加齢黄斑変性(AMD)、近視性脈絡膜血管新生による視力障害、糖尿病性黄斑浮腫(DME)、DMEを有する患者における糖尿病性網膜症(DR)、および血管新生型加齢黄斑変性(AMD)の治療における眼科薬として使用されている。ziv-アフリベルセプトは、Zaltrap(登録商標)(Regeneron Pharmaceuticals,Inc.)の商品名で、転移性結腸直腸癌の治療のための静脈内注入薬として開発された。
構造的には、アフリベルセプトは約96.9キロダルトン(kDa)のタンパク質分子量を有する二量体糖タンパク質である。およそ15%のグリコシル化が含まれ、およそ115kDaの総分子量を与えている。一次配列によって予測される各ポリペプチド鎖上の5つの推定N-グリコシル化部位はすべて炭水化物で占められている可能性があり、末端シアル酸残基の不均一性を含むある程度の鎖の不均一性を示し得る。しかし、CHO細胞によって産生されるアフリベルセプトは、ガレクチン-3の結合標的である末端β-ガラクトシル残基に富む可能性がある。
組換えタンパク質を精製して、ガレクチンおよび金属イオンなどの他の宿主細胞夾雑物を除去するための、工業生産目的に適した有効で経済的な方法は、本発明が提供する切実な必要である。
本発明は、関心対象のグリコシル化組換えタンパク質を夾雑物から精製する方法に関する。この方法は以下の工程を含む:
(a)プロテインAマトリックスに、ほぼ中性のpHで、関心対象のグリコシル化組換えタンパク質(POI)およびガレクチン宿主細胞タンパク質夾雑物を含む宿主細胞培養上清またはろ液を負荷する工程であって、ここで、POIは、免疫グロブリンFcドメインのC2およびC3ドメインならびにガレクチン宿主細胞タンパク質夾雑物が可逆的に結合している1つ以上の末端β-ガラクトシル残基を含む、工程;
(b)POIが結合したプロテインAマトリックスを、1~3Mの塩化カルシウムを含む約pH6.0~6.5の緩衝液で洗浄する;
(c)約pH4未満のクエン酸またはクエン酸塩を含む緩衝液でPOIをプロテインAマトリックスから溶出液プールに溶出する工程であって、
(i)溶出液プールがpH3.3~3.7のpH範囲よりも塩基性である場合、溶出液プールをクエン酸でpH3.3~3.7に滴定し、および
(ii)任意で、ウイルス不活性化に十分な期間(典型的には30~90分、ただしウイルス不活性化のウイルスパネル検証によって必要に応じて経験的に)溶出液プールをpH3.3~3.7に保持する工程;
(d)(c)からの溶出液プール中のPOIを、pH5.0~5.5で、約2~15ミリシーメンス(mS)の低伝導率緩衝液中の陽イオン交換マトリックスに結合する工程;
(e)陽イオン交換マトリックスから、最大約40~100mSまで次第に高くなる伝導率の電解質濃度勾配でPOIをCEX溶出液プールに溶出する工程;ならびに
(f)CEX溶出液プールを、pH5.0~6.0の高伝導率緩衝液中の疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)マトリックスに負荷し、HICマトリックスを洗浄する工程。本発明の方法は、β-ガラクトシル結合ガレクチン宿主細胞タンパク質夾雑物(1または複数)および金属カチオン夾雑物などの他の望ましくない夾雑物からPOIを分離する。
アフリベルセプト、アレファセプト、エタネルセプト、アバタセプト、ベラセプト、rFVIIIFc、rFIXFc、およびリロナセプトなどの、しかしこれらに限定されないグリコシル化組換え治療用タンパク質は、本発明の方法を使用して工業規模でそのような夾雑物から精製することができる。
前述の概要は、本発明のすべての態様を定義することを意図するものではなく、追加の態様が「実施形態の詳細な説明」などの他の項に記載されている。本文書全体が統一された開示として関連付けられることを意図しており、特徴の組合せが本文書の同じ文、段落、または節の中に一緒に見出されない場合でも、本明細書に記載される特徴のすべての組合せが企図されることが理解されるべきである。
上記に加えて、本発明は、追加の態様として、上記の特定の段落によって定義される変形よりも何らかの点で範囲が狭い本発明のすべての実施形態を含む。例えば、本発明の特定の態様は属として説明され、属のすべての成員は個々に本発明の態様であることが理解されるべきである。また、属として説明されるかまたは属の成員を選択する態様は、その属の2つ以上の成員の組合せを包含すると理解されるべきである。本出願人(1人または複数)は、本明細書に記載される本発明の全範囲を発明したが、本出願人は、他者の先行技術の研究に記載された主題について特許請求することを意図しない。したがって、特許請求の範囲内の法定の先行技術が特許庁または他の団体もしくは個人によって本出願人の注意を喚起される場合、本出願人は、そのような特許請求の範囲の主題を再定義して、そのような法定の先行技術または法定の先行技術の明らかな変形をそのような特許請求の範囲から明確に除外するために、適用される特許法に基づく修正権を行使する権利を留保する。そのような修正された特許請求の範囲によって定義される本発明の変形も、本発明の態様として意図される。
図1は、NaCl勾配溶出にわたるサイズ排除クロマトグラフィによる製品濃度およびHMWレベルを分析したFractogel(登録商標)SO CEXクロマトグラフィ画分からのデータの比較を示す。
図2は、Fractogel(登録商標)SO CEX勾配溶出画分からのデータ:製品濃度、HMW、累積製品収率および累積プール単量体(純度)の比較を示す。垂直の破線は、90%の収率を達成するための収集終了(EOC)目標を示す。
図3は、個々のCEX溶出勾配画分におけるガレクチン-3および総宿主細胞タンパク質(HCP)レベルの比較を示す。短いダッシュの水平な線は、CEX負荷物の総CHO HCPレベルを示す。長いダッシュの水平な線は、CEXプールの総CHO HCPレベルを示す。
図4Aは、pH4.5で操作したFractogel(登録商標)SO 充填RoboColumn(登録商標)からの個々の画分の擬似クロマトグラムとガレクチン-3濃度の結果を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、四角形はガレクチン-3濃度(ng/mg)を表し、三角形はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図4Bは、pH5.0で操作したFractogel(登録商標)SO 充填RoboColumn(登録商標)の個々の画分の擬似クロマトグラムとガレクチン-3濃度の結果を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、四角形はガレクチン-3濃度(ng/mg)を表し、三角形はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図4Cは、pH5.5で操作したFractogel(登録商標)SO 充填RoboColumn(登録商標)からの個々の画分の擬似クロマトグラムとガレクチン-3濃度の結果を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、四角形はガレクチン-3濃度(ng/mg)を表し、三角形はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図4Dは、pH6.0で操作したFractogel(登録商標)SO 充填RoboColumn(登録商標)からの個々の画分の擬似クロマトグラムとガレクチン-3濃度の結果を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、四角形はガレクチン-3濃度(ng/mg)を表し、三角形はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図5Aは、pH4.5で操作したFractogel(登録商標)COO充填RoboColumn(登録商標)からの個々の画分の擬似クロマトグラムとガレクチン-3濃度の結果を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、四角形はガレクチン-3濃度(ng/mg)を表し、三角形はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図5Bは、pH5.0で操作したFractogel(登録商標)COO充填RoboColumn(登録商標)からの個々の画分の擬似クロマトグラムとガレクチン-3濃度の結果を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、四角形はガレクチン-3濃度(ng/mg)を表し、三角形はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図5Cは、pH5.5で操作したFractogel(登録商標)COO充填RoboColumn(登録商標)からの個々の画分の擬似クロマトグラムとガレクチン-3濃度の結果を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、四角形はガレクチン-3濃度(ng/mg)を表し、三角形はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図5Dは、pH6.0で操作したFractogel(登録商標)COO充填RoboColumn(登録商標)からの個々の画分の擬似クロマトグラムとガレクチン-3濃度の結果を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、四角形はガレクチン-3濃度(ng/mg)を表し、三角形はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図6は、CEX樹脂スクリーニングの工程収率パーセントと純度パーセント(単量体製品)の比較を示す。Fractogel(登録商標)SO の結果を中空記号で表し、Fractogel(登録商標)COOの結果を中実記号で表す。菱型はpH4.5を表し、四角形はpH5.0を表し、三角形はpH5.5を表し、円はpH6.0を表す。
図7は、CEX樹脂スクリーニングの工程収率パーセントとガレクチン-3除去パーセントの比較を示す。Fractogel(登録商標)SO の結果を中空記号で表し、Fractogel(登録商標)COOの結果を中実記号で表す。菱型はpH4.5を表し、四角形はpH5.0を表し、三角形はpH5.5を表し、円はpH6.0を表す。
図8Aは、Fractogel(登録商標)SO 樹脂の収率パーセントに対するpHおよび塩濃度の影響を表す等高線図を示す。
図8Bは、Fractogel(登録商標)SO 樹脂のSECによる純度パーセントに対するpHおよび塩濃度の影響を表す等高線図を示す。
図8Cは、Fractogel(登録商標)SO 樹脂のガレクチン-3濃度(ng/mg)に対するpHおよび塩濃度の影響を表す等高線図を示す。
図9Aは、Fractogel(登録商標)COO樹脂の収率パーセントに対するpHおよび塩濃度の影響を表す等高線図を示す。
図9Bは、Fractogel(登録商標)COO樹脂のSECによる純度パーセントに対するpHおよび塩濃度の影響を表す等高線図を示す。
図9Cは、Fractogel(登録商標)COO樹脂のガレクチン-3濃度(ng/mg)に対するpHおよび塩濃度の影響を表す等高線図を示す。
図10は、個々のFractogel(登録商標)SO 溶出勾配画分のガレクチン-3レベルの比較を示す。円は各画分のタンパク質濃度(g/L)を表し、四角形は多属性質量分析法(MAM)による各画分のガレクチン-3レベル(ppm)を表し、三角形はELISAによって決定した各画分のガレクチン-3レベル(ppm)を表す。負荷物中のガレクチン-3のレベル(ppm)を小さなダッシュ(ELISAによって測定)と大きなダッシュ(MAMによって測定)として示す。
図11Aは、pH5.0の酢酸ナトリウムとNaClで実施したRoboColumn(登録商標)でのPhenyl Sepharose(登録商標)Fast Flow High Subからの個々の画分の擬似クロマトグラム、塩濃度およびガレクチン-3濃度を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、実線は塩濃度を表し、円はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図11Bは、pH6.0のMESナトリウムおよびNaClで実施したRoboColumn(登録商標)でのPhenyl Sepharose(登録商標)Fast Flow High Subからの個々の画分の擬似クロマトグラム、塩濃度およびガレクチン-3濃度を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、実線は塩濃度を表し、円はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図11Cは、pH5.0のクエン酸ナトリウムで実施したRoboColumn(登録商標)でのPhenyl Sepharose(登録商標)Fast Flow High Subからの個々の画分の擬似クロマトグラム、塩濃度およびガレクチン-3濃度を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、実線は塩濃度を表し、円はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図11Dは、pH6.0のクエン酸ナトリウムで実施したRoboColumn(登録商標)でのPhenyl Sepharose(登録商標)Fast Flow High Subからの個々の画分の擬似クロマトグラム、塩濃度およびガレクチン-3濃度を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、実線は塩濃度を表し、円はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図11Eは、pH5.0の酢酸ナトリウムと硫酸ナトリウムで実施したRoboColumn(登録商標)でのPhenyl Sepharose(登録商標)Fast Flow High Subからの個々の画分の擬似クロマトグラム、塩濃度およびガレクチン-3濃度を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、実線は塩濃度を表し、円はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図11Fは、pH6.0のMESナトリウムと硫酸ナトリウムで実施したRoboColumn(登録商標)でのPhenyl Sepharose(登録商標)Fast Flow High Subからの個々の画分の擬似クロマトグラム、塩濃度およびガレクチン-3濃度を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、実線は塩濃度を表し、円はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図11Gは、pH6.0のリン酸ナトリウムで実施したRoboColumn(登録商標)でのPhenyl Sepharose(登録商標)Fast Flow High Subからの個々の画分の擬似クロマトグラム、塩濃度およびガレクチン-3濃度を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、実線は塩濃度を表し、円はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図11Hは、pH7.0のリン酸ナトリウムで実施したRoboColumn(登録商標)でのPhenyl Sepharose(登録商標)Fast Flow High Subからの個々の画分の擬似クロマトグラム、塩濃度およびガレクチン-3濃度を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、実線は塩濃度を表し、円はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図12Aは、pH5.0の酢酸ナトリウムとNaClで実施したRoboColumn(登録商標)でのToyopearl(登録商標)Butyl 650Mからの個々の画分の擬似クロマトグラム、塩濃度およびガレクチン-3濃度を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、実線は塩濃度を表し、円はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図12Bは、pH6.0のMESナトリウムとNaClで実施したRoboColumn(登録商標)でのToyopearl(登録商標)Butyl 650Mからの個々の画分の擬似クロマトグラム、塩濃度およびガレクチン-3濃度を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、実線は塩濃度を表し、円はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図12Cは、pH5.0のクエン酸ナトリウムで実施したRoboColumn(登録商標)でのToyopearl(登録商標)Butyl 650Mからの個々の画分の擬似クロマトグラム、塩濃度およびガレクチン-3濃度を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、実線は塩濃度を表し、円はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図12Dは、pH6.0のクエン酸ナトリウムで実施したRoboColumn(登録商標)でのToyopearl(登録商標)Butyl 650Mからの個々の画分の擬似クロマトグラム、塩濃度およびガレクチン-3濃度を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、実線は塩濃度を表し、円はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図12Eは、pH5.0の酢酸ナトリウムと硫酸ナトリウムで実施したRoboColumn(登録商標)でのToyopearl(登録商標)Butyl 650Mからの個々の画分の擬似クロマトグラム、塩濃度およびガレクチン-3濃度を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、実線は塩濃度を表し、円はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図12Fは、pH6.0のMESナトリウムと硫酸ナトリウムで実施したRoboColumn(登録商標)でのToyopearl(登録商標)Butyl 650Mからの個々の画分の擬似クロマトグラム、塩濃度およびガレクチン-3濃度を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、実線は塩濃度を表し、円はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図12Gは、pH6.0のリン酸ナトリウムで実施したRoboColumn(登録商標)でのToyopearl(登録商標)Butyl 650Mからの個々の画分の擬似クロマトグラム、塩濃度およびガレクチン-3濃度を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、実線は塩濃度を表し、円はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図12Hは、pH7.0のリン酸ナトリウムで実施したRoboColumn(登録商標)でのToyopearl(登録商標)Butyl 650Mからの個々の画分の擬似クロマトグラム、塩濃度およびガレクチン-3濃度を示す。菱形は製品濃度(g/L)を表し、実線は塩濃度を表し、円はガレクチン-3濃度(ng/mL)を表す。
図13は、異なるWash 2緩衝液でのRoboColumn(登録商標)スクリーニングからのプロテインA溶出液プールの鉄レベルを表す。
図14は、示されているように、より高いクエン酸塩濃度を含むWash 2緩衝液でのRoboColumn(登録商標)スクリーニングからのプロテインA溶出液プールの鉄レベルを表す。
図15は、製品の鉄濃度に対する溶出時のクエン酸塩および低pH保持の影響を分析するためのプロテインA低pHウイルス不活性化実験の概略図を示す。
図16は、プロテインA Wash 2緩衝液、プロテインA溶出緩衝液、および低pHウイルス不活性化滴定剤としてのクエン酸塩を評価するRoboColumn(登録商標)スクリーニングからのCEX溶出液プールの鉄レベルを示す。白いバーは、鉄が検出されなかったことを示す。
図17は、安定性を高めるために30°Cに保持した、高い鉄試料と低い鉄試料のそれぞれの経時的な高分子量(HMW)レベルの比較を示す。
図18は、製剤化された高い鉄試料(工程1)と低い鉄試料(工程2)の視覚的な比較を示す。
図19は、CHOガレクチン-3および鉄から関心対象のグリコシル化組換えタンパク質を精製するために使用される本発明の方法の例示的な実施形態の概略フロー図を示す。
図20は、ICP-MSによって定量化した水および緩衝液試料中の鉄の濃度(μg/L)を示す。
図21は、ICP-MSによって定量化した水および緩衝液試料中の銅の濃度(μg/L)を示す。
図22は、ICP-MSによって定量した水および緩衝液試料中の亜鉛の濃度(μg/L)を示す。
図23は、水フラッシュおよびクエン酸緩衝液フラッシュからの珪藻土(DE)深層フィルタ画分で観察された鉄の濃度(μg/L)を示す。
図24は、水フラッシュおよびクエン酸緩衝液フラッシュからの珪藻土(DE)深層フィルタ画分で観察された銅の濃度(μg/L)を示す。
図25は、水フラッシュおよびクエン酸緩衝液フラッシュからの珪藻土(DE)深層フィルタ画分で観察された亜鉛の濃度(μg/L)を示す。
図26は、本明細書の例5に記載されるように、プロテインAアフィニティクロマトグラフィ工程とCEXクロマトグラフィ工程の間に、深層フィルタの珪藻土を介した平衡緩衝液(EQ)またはクエン酸緩衝液フラッシュのいずれかによる任意の深層ろ過工程を組み込んだ実験シーケンスの概略図である。
図27は、異なるプロテインA溶出条件と深層フィルタフラッシュ条件を用いてプロテインA、深層フィルタおよびCEXプールで観察された鉄のレベル(ppm)を示す。
図28は、異なるプロテインA溶出条件と深層フィルタフラッシュ条件を用いてプロテインA、深層フィルタおよびCEXプールで観察された銅のレベル(ppm)を示す。
図29は、異なるプロテインA溶出条件と深層フィルタフラッシュ条件を用いてプロテインA、深層フィルタおよびCEXプールで観察された亜鉛のレベル(ppm)を示す。
本明細書で使用される項の見出しは構成目的のみのためであり、説明される主題を限定すると解釈されるべきではない。
定義
本明細書で特に定義されない限り、本出願に関連して使用される科学用語および技術用語は、当業者によって一般的に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上特に要求されない限り、単数形の用語は複数形を含み、複数形の用語は単数形を含むものとする。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「1つの」および「その」は、文脈上明らかに異なる指示がない限り、複数の指示対象を含む。例えば、「1つのタンパク質」への言及は複数のタンパク質を含み、「1つの細胞」への言及は複数の細胞の集団を含む。
本発明は、関心対象のグリコシル化組換えタンパク質を夾雑物から精製する方法に関する。関心対象のグリコシル化組換えタンパク質は、少なくとも免疫グロブリンFcドメインのC2およびC3ドメインならびに1つ以上の末端β-ガラクトシル残基を含む。そのようなグリコシル化組換えタンパク質の一例は、商業的にEylea(登録商標)としても知られるアフリベルセプトである。アフリベルセプトは、典型的には組換えDNA発現技術によって最も好都合に生産される、アフリベルセプトアミノ酸配列(配列番号1)を有する2つの同一の融合ポリペプチド鎖の集合体である。アフリベルセプトのアミノ酸配列は以下のとおりである:
Figure 0007097433000001
スルフィド架橋は、配列番号1の以下のアミノ酸位置のシステイン残基(上記の配列番号1に示す下線を付したシステイン(C)残基)の間に予想される:
30-79(鎖内)
124-185(鎖内)
211-211(鎖間)
214-214(鎖間)
246-306(鎖内)
352-410(鎖内)。
アフリベルセプトの2つの融合ポリペプチド鎖は、配列番号1のアミノ酸位置211および214でジスルフィド結合によって共有結合している。融合タンパク質は、典型的には、配列番号1の36、68、123、196、および282の位置のアスパラギン残基(上記の配列番号1に示す太字/イタリック体のアスパラギン(N)残基)で共有結合したN-グリカン(培養条件に依存して末端β-ガラクトシル残基を有し得る)でグリコシル化されている。本発明の範囲内の「アフリベルセプト」には、融合ポリペプチド鎖の一方または両方が、追加のカルボキシ末端リジン(K)残基を有する配列番号1のアミノ酸配列を有するかまたは有さない実施形態も含まれる。
関心対象の他のグリコシル化組換えタンパク質(または「POI」)には、アレファセプト、エタネルセプト、アバタセプト、ベラセプト、rFVIIIFc、rFIXFc、およびリロナセプト、ならびに様々な治療用ペプチボディが含まれ得るが、これらに限定されない。
関心対象のグリコシル化組換えタンパク質は、本発明の方法によるさらなる処理のために、最初はバッチまたは灌流(連続フローバイオプロセシング)宿主細胞培養上清もしくはろ液(例えば、透析ろ過および/または限外ろ過および/またはウイルスろ過の1つ以上の工程後)に含まれる。所望する場合は、本発明の方法の工程を適用する前または後に、関心対象のグリコシル化組換えタンパク質の調製に追加の精製工程を適用することもできる。例えば、POIは、必要に応じて、例えば透析ろ過、限外ろ過、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィ、陽イオン交換(CEX)もしくは陰イオン交換(AEX)クロマトグラフィ、または関心対象の抗原もしくはプロテインAもしくはプロテインGをアフィニティリガンドとして使用するアフィニティクロマトグラフィを用いて、1つまたはいくつかの工程によって精製することができる。プロテインAは、ヒトγ1、γ2、またはγ4重鎖に基づくポリペプチドを含むタンパク質を精製するのに使用することができる(Lindmark et al.,J.Immunol.Meth.62:1-13(1983))。プロテインGは、すべてのマウスアイソタイプおよびヒトγ3に推奨される(Guss et al.,EMBO J.5:15671575(1986))。アフィニティリガンドが結合するマトリックスは、ほとんどの場合アガロースであるが、他のマトリックスも利用可能である。制御細孔ガラスまたはポリ(スチレンジビニル)ベンゼンなどの機械的に安定したマトリックスは、アガロースで達成できるよりも速い流速と短い処理時間を可能にする。タンパク質がC3ドメインを含む場合、Bakerbond ABX(商標)樹脂(J.T.Baker,Phillipsburg,N.J.)が精製のために有用である。回収するタンパク質に依存して、エタノール沈殿、逆相HPLC、クロマトフォーカシング、SDS-PAGE、および硫酸アンモニウム沈殿などのタンパク質精製の他の手法も、可能な選択肢である。
夾雑物から関心対象のグリコシル化組換えタンパク質を精製する本方法は、関心対象のグリコシル化組換えタンパク質(POI)を含むバッチまたは灌流宿主細胞培養上清もしくはろ液を、ほぼ中性のpHで、プロテインAアフィニティクロマトグラフィマトリックス(すなわちプロテインAマトリックス)に負荷することを含む。「プロテインA」は、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の細胞壁に元々認められるおよそ42kDaの表面タンパク質である;プロテインAは黄色ブドウ球菌のspa遺伝子によってコードされ、黄色ブドウ球菌におけるその発現は、DNAトポロジー、細胞浸透圧、およびArlS-ArlRと呼ばれる2成分系によって制御される。(Fournier,B.,and Klier,A,Protein A gene expression is regulated by DNA supercoiling which is modified by the ArlS-ArlR two-component system of Staphylococcus aureus,Microbiology 150:3807-19(2004)参照)。プロテインA(Spa遺伝子産物)は、免疫グロブリンに結合するその能力のために、生化学的研究および産業において有用である。プロテインAは、3ヘリックスバンドルに折り畳まれた5つの相同なIg結合ドメインからなる。各ドメインは、多くの哺乳動物種のタンパク質、中でも特にIgGに結合することができる。結晶学的精密化により、プロテインAの主要な結合部位は、C2ドメインとC3ドメインの間のFc領域にあることが示されている。(Deisenhofer,J.,Crystallographic refinement and atomic models of a human Fc fragment and its complex with fragment B of Protein A from Staphylococcus aureus at 2.9- and 2.8-A resolution,Biochemistry 20(9):2361-70(1981))。さらに、プロテインAは、ヒトVH3遺伝子ファミリーのIgG F(ab’)断片を含むヒトIgG分子に結合する。(Sasso EH,Silverman GJ,Mannik M,Human IgA and IgG F(ab’) that bind to staphylococcal Protein A belong to the VHIII subgroup,Journal of Immunology.147(6):1877-83(1991)参照)。プロテインAは、典型的には免疫学、生物学的研究、および産業用途で使用するために工業発酵において生産および精製される。天然(または未変性)プロテインAは黄色ブドウ球菌で培養でき、上述した5つの相同な抗体結合領域および細胞壁付着のためのC末端領域を含む。典型的には大腸菌(Escherichia coli)で産生されるプロテインAの組換え形態も、本発明の目的のために有用である。本発明で使用するために、プロテインAマトリックスは様々な実施形態で商業的に入手することができる(例えば、Sigma Aldrichからの黄色ブドウ球菌由来のProtein A-Sepharose(登録商標);GE Healthcare Life SciencesからのMabSelect(商標)プロテインA、MabSelect SuRe(登録商標)プロテインA、MabSelect SuRe(登録商標)LX、およびProtein A Sepharose(登録商標)FF;EMD MilliporeからのEshmuno(登録商標)AプロテインA;Tosoh BioscienceからのToyopearl(登録商標)AF-rProtein A;Thermo Fisher ScientificからのPOROS(登録商標)プロテインA;RepligenからのCaptivA(登録商標)プロテインAアフィニティ樹脂)。プロテインAの組換え形態は、一般に5つの相同な抗体結合ドメインを含むが、本発明の目的のために、基質、例えば、樹脂(限定されないが、アガロースなど)への共有結合を促進するために構造の他の部分を変化させることができる。プロテインAマトリックスは、タンパク質の精製に有用なカラムに配置または充填され得る。工業用途のためにその特性を改善するように改変された単一ドメインの多量体(典型的には四量体、五量体または六量体)であるプロテインAの操作された形態も、本発明でのプロテインAマトリックスにおいて有用である。
「マトリックス」という用語には、本発明の方法の目的のための関連するクロマトグラフィリガンド(例えば、プロテインAもしくは他のアフィニティクロマトグラフィリガンド、荷電部分、または疎水性部分など)を担持する、樹脂、ビーズ、ナノ粒子、ナノファイバー、ヒドロゲル、膜、およびモノリス、または任意の他の物理的マトリックスが包含される。
関心対象のグリコシル化組換えタンパク質を含むバッチ宿主細胞培養物または灌流(連続フローバイオプロセシング)宿主細胞培養物、上清もしくはろ液は、関心対象のグリコシル化組換えタンパク質(POI)の1つ以上の末端β-ガラクトシル残基に可逆的に結合したガレクチン宿主細胞夾雑物も含む。「ガレクチン」という用語は、通常は可溶性形態で生じるβ-ガラクトシド結合レクチンを意味する。様々なガレクチンは、多種多様な動物細胞型によって発現され、それらの炭水化物認識ドメイン(CRD)のアミノ酸配列によって識別できる。3つのサブグループが存在する:(i)結合してホモ二量体を形成し得る単一CRDを含むプロトタイプガレクチン;(ii)単一CRDと、プロリン、グリシン、およびチロシン残基に富む大きなアミノ末端ドメインを有することを特徴とするキメラガレクチン、例えば、ガレクチン-3;ならびに(iii)共有結合で架橋された、または典型的には長さが5から50超のアミノ酸残基の範囲の小さなペプチド結合ドメインによって連結された、少なくとも2つのCRDが単一ポリペプチド内に存在するタンデムリピートガレクチン。さらに、ガレクチン転写物の多くは、差別的にスプライシングされて異なるアイソフォームを生成し得る。ガレクチンの例には、エレクトロレクチンおよび様々なS型(スルフヒドリル依存性)ガレクチンが含まれる。いくつかの例には、ガレクチン-1、ガレクチン-3、ガレクチン-4、ガレクチン-6、ガレクチン-7、ガレクチン-8、ガレクチン-9、ガレクチン-10、ガレクチン-12、ガレクチン-13、およびガレクチン-14が含まれるが、これらに限定されない。(例えば、Cummings RD and Liu FT,Galectins,In:Varki A,Cummings RD,Esko JD,Freeze HH,Stanley P,Bertozzi CR,Hart GW,Etzler ME,editors.Essentials of Glycobiology.2nd edition.Cold Spring Harbor(NY):Cold Spring Harbor Laboratory Press;2009.Chapter 33;Gitt,MA et al.,Galectin-4 and galectin-6 are two closely related lectins expressed in mouse gastrointestinal tract,J Biol Chem.273(5):2954-60(1998);Bidon,N.et al.,Galectin-8:a complex sub-family of galectins(Review),Int J Mol Med.8(3):245-50(2001);Hadari,YR et al.,Galectin-8.A new rat lectin,related to galectin-4,J Biol Chem.270(7):3447-53(1995);Sato,M.et al.,Functional analysis of the carbohydrate recognition domains and a linker peptide of galectin-9 as to eosinophil chemoattractant activity,Glycobiology 12(3):191-97(2002);Yang,RY et al.,Cell cycle regulation by galectin-12,a new member of the galectin superfamily,J Biol Chem.276(23):20252-60(2001);Ramaswamy,S et al.,Structural basis of multivalent galactose-based dendrimer recognition by human galectin-7,FEBS J.2015 Jan;282(2):372-87(2015);Patnaik,SK et al.,Complex N-glycans are the major ligands for galectin-1,-3,and -8 on Chinese hamster ovary cells,Glycobiology 16(4):305-17(2006)参照)。
「ガレクチン-3」は、ハムスターもしくはハムスター由来の細胞、マウスもしくはマウス由来の細胞、またはヒトもしくはヒト由来の細胞などの、しかしこれらに限定されない哺乳動物細胞のβ-ガラクトシド結合タンパク質である。この宿主細胞レクチンは、哺乳動物種の細胞に広く分布している。(例えば、Mehul,B.et al.,J.Biol.Chem.269,18250-18258(1994);Mehul,B.et al.,Cross‐linking of galectin 3,a galactose‐binding protein of mammalian cells,by tissue‐type transglutaminase,FEBS Lett 360:160‐164(1995);Reljic,R.et al.,Mouse monoclonal IgA binds to the galectin-3/Mac-2 lectin from mouse macrophage cell lines,Immunology Letters,93:1,51(2004);Henrick,K.et al.,Evidence for subsites in the galectins involved in sugar binding at the nonreducing end of the central galactose of oligosaccharide ligands:sequence analysis, homology modeling and mutagenesis studies of hamster galectin-3,Glycobiology 8(1):45-57(1998);Dumic et al.,Galectin-3:An open-ended story,Biochimica and Biophysica Acta 1760:616-635(2006)参照)。
「夾雑物」または「不純物」という用語は、精製される組換えタンパク質の試料中に存在する、精製される関心対象の組換えタンパク質以外の、任意の外来性または好ましくない分子またはイオン、特にDNA、RNA、またタンパク質などの生体高分子を指す。夾雑物には、例えば、精製される組換えタンパク質を分泌する宿主細胞からの他のタンパク質、例えば、夾雑ガレクチン宿主細胞タンパク質(例えば、ガレクチン-3)、または金属カチオン、例えば、アルミニウムカチオン(例えば、Al(III))、バリウムカチオン、カルシウムカチオン、コバルトカチオン(例えば、Co(II))、銅カチオン、鉄カチオン(例えば、Fe(II)もしくはFe(III))、亜鉛カチオン、マグネシウムカチオン、マンガンカチオン、水銀カチオン、ニッケルカチオン、および/またはストロンチウムカチオンが含まれる。タンパク質の天然環境または培地の夾雑成分は、タンパク質の診断的または治療的使用を妨げる物質であり、酵素、ホルモン、および他のタンパク質性または非タンパク質性(例えば、ポリヌクレオチド、脂質、炭水化物)溶質が含まれ得る。典型的には、「単離されたタンパク質」は、所与の試料の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、または少なくとも約50%を構成する。いくつかの実施形態では、関心対象のタンパク質、例えば、アフリベルセプト融合タンパク質は、還元または非還元条件下で、任意で染色、例えば、クマシーブルーまたは銀染色を使用して、(1)タンパク質の95重量%超、最も好ましくは99重量%超まで、または(2)SDS-PAGEもしくは他の適切な手法によって均一まで精製される。単離された組換えタンパク質は、組換え細胞内でインサイチューを含む。しかし、典型的には、関心対象の単離されたタンパク質(例えば、アフリベルセプト)は、少なくとも1つの精製工程によって調製される。純度および不純物レベルは、CE-SDS、HCP ELISA、ガレクチンELISA、多属性質量分析(MAM)、質量分析による金属分析、および/またはDNAのQPCRを含むがこれらに限定されない任意の適切なアッセイを使用して評価される。
本発明の方法を実施する過程でタンパク質の安定性を測定するための様々な分析技術が当技術分野で利用可能であり、例えば、Wang,W.(1999),Instability,stabilization and formulation of liquid protein pharmaceuticals,Int.J.Pharm.185:129-188に総説されている。安定性は、選択した期間、選択した温度で測定することができる。例えば、製剤が実際に2~8°Cで保存される場合、一般に製剤は30°Cで少なくとも1ヶ月間、または40°Cで少なくとも1週間、および/または2~8°Cで少なくとも2年間安定でなければならない。迅速なスクリーニングのために、タンパク質を含む溶液または製剤を30~40℃で2週間~1ヶ月間保持し、その時点でタンパク質の安定性を測定する。通常の保存温度(30~40°C)よりも高い温度でのこの保存は、より長期間にわたるより慣例的な冷蔵温度での保存で生じる状態をシミュレートするものであり、「加速安定性」と称される。
タンパク質の「安定な」溶液または製剤は、その中のタンパク質が、タンパク質、例えば、組換えアフリベルセプトタンパク質の精製および/または処理(例えば、限外ろ過、透析ろ過、もしくは他のろ過工程、クロマトグラフィ工程、低pHウイルス不活性化、バイアル充填、輸送、および/または保存)の際にその物理的安定性および/または化学的安定性および/または生物学的活性を本質的に保持するものである。合わせて、特定の物理的条件、例えば、温度およびpHの下での特定の溶液または製剤における関心対象のタンパク質の物理的、化学的および生物学的安定性は、タンパク質の「安定性」を具体化する。例えば、氷点下の温度で保存されたタンパク質は、化学的、物理的または生物学的活性に有意な変化がないと予想されるが、40°Cで保存されたタンパク質は、その物理的、化学的および生物学的活性の変化を有すると予想され、変化の程度はタンパク質の保存時間に依存する。タンパク質製剤の形状も変化の割合に影響を及ぼし得る。例えば、凝集体の形成はタンパク質濃度によって大きく影響され、タンパク質濃度が高いほどより高い割合の凝集が観察される。賦形剤も医薬品の安定性に影響を与えることが知られており、例えば塩の添加は一部のタンパク質の凝集率を高めるが、スクロースなどの他の賦形剤は保存中の凝集率を低下させることが公知である。不安定性はpHによっても大きく影響され、修飾の種類とpH依存性に応じてより高いおよびより低い分解速度を生じさせる。
タンパク質は、色および/もしくは透明度の目視検査で、またはUV光散乱もしくはサイズ排除クロマトグラフィによって、または他の適切な方法で測定されるように、二次および/もしくは三次構造(すなわち固有の構造)の変化、または凝集、ならびに/または沈殿および/もしくは変性の最小限の兆候を示す場合、「その物理的安定性を保持する」。タンパク質の物理的不安定性、すなわち物理的安定性の喪失は、オリゴマー化によって引き起こされ得、二量体およびより高次の凝集体、肉眼では見えないおよび目に見える粒子の形成、ならびに沈殿をもたらす。物理的な劣化の程度は、関心対象の分解物の種類に応じて様々な手法を用いて確認することができる。二量体およびより高次の可溶性凝集体は、サイズ排除クロマトグラフィを使用して定量化できるが、肉眼では見えない粒子は、光散乱、光遮蔽または他の適切な技術を使用して定量化し得る。一実施形態では、タンパク質の安定性は、溶液中のアフリベルセプト単量体タンパク質の割合に従って決定され、分解(例えば、断片化)および/または凝集タンパク質の割合は低い。
所与の時点での化学的安定性が、共有結合が形成または切断されず、タンパク質成分の一次構造の変化を生じさせないものである場合、タンパク質は医薬製剤中で「その化学的安定性を保持する」。一次構造の変化は、タンパク質の二次および/または三次および/または四次構造の改変をもたらし、凝集体の形成または既に形成された凝集体の逆転をもたらし得る。典型的な化学修飾には、異性化、脱アミド化、N末端環化、骨格加水分解、メチオニン酸化、トリプトファン酸化、ヒスチジン酸化、β脱離、ジスルフィド形成、ジスルフィドスクランブリング、ジスルフィド切断、およびD-アミノ酸の形成を含む一次構造の変化をもたらす他の変化が含まれ得る。化学的不安定性、すなわち化学的安定性の喪失は、イオン交換クロマトグラフィ、キャピラリー等電点電気泳動、ペプチド消化物の分析、および複数の種類の質量分析技術を含む様々な技術によって調べ得る。化学的安定性は、タンパク質の化学的に変化した形態を検出および定量することによって評価できる。化学的変化には、例えばサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)、SDS-PAGEおよび/またはマトリックス支援レーザー脱離イオン化/飛行時間型質量分析(MALDI/TOF MS)を使用して評価できるサイズ変化(例えばクリッピング)が含まれる。他の種類の化学変化には、イオン交換クロマトグラフィ、キャピラリー等電点電気泳動、またはペプチドマッピングなどの、しかしこれらに限定されない電荷に基づく方法によって評価できる電荷の変化(例えば脱アミド化の結果として生じるもの)が含まれる。
物理的および/または化学的安定性の喪失は、修飾および修飾されるタンパク質に依存して、関心対象の生物学的活性の増加または減少のいずれかとして、生物学的活性の変化をもたらし得る。所与の時点でのタンパク質の生物学的活性が、医薬製剤が調製された時点で示された生物学的活性の約30%以内である場合、タンパク質は医薬製剤中で「その生物学的活性を保持する」。活性がその出発値の70%未満である場合、活性は減少したとみなされる。生物学的アッセイには、リガンド結合、効力、細胞増殖、またはそのバイオ医薬品活性の他の代替測定などの、インビボおよびインビトロベースのアッセイの両方が含まれる。一例として、アフリベルセプトの生物学的活性は、ELISAによる胎盤成長因子(PlGF)への結合またはVEGFA依存性ヒト臍静脈内皮細胞(HUVEC)増殖の阻害などのインビトロリガンド結合アッセイを使用して推定することができる。
本発明の目的のための関心対象の組換えタンパク質(例えば、アフリベルセプト、アレファセプト、エタネルセプト、アバタセプト、ベラセプト、rFVIIIFc、rFIXFc、およびリロナセプト)は、典型的には組換え発現技術によって生産される。「組換え」という用語は、物質(例えば、核酸またはポリペプチド)がヒトの介入によって人為的または合成的に(すなわち非自然に)改変されていることを示す。改変は、その天然環境もしくは状態内の、またはその天然環境もしくは状態から取り出された物質に対して実施され得る。例えば、「組換え核酸」は、例えば、クローニング、DNAシャフリングまたは他の周知の分子生物学的手順の間に、核酸を組み換えることによって作製されるものである。そのような分子生物学的手順の例は、Maniatis et al.,Molecular Cloning.A Laboratory Manual.Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N.Y.(1982)に見出される。「組換えDNA分子」は、そのような分子生物学的手法によって連結されたDNAのセグメントからなる。本明細書で使用される「組換えタンパク質」または「組換えポリペプチド」という用語は、組換えDNA分子を使用して発現されるタンパク質分子を指す。「組換え宿主細胞」は、組換え核酸を含むおよび/または発現する細胞である。例えば、アフリベルセプト融合タンパク質の発現に有用な組換えDNA分子は、例えば、Papadopoulos et al.,Modified Chimeric Polypeptides with Improved Pharmacokinetic Properties、米国特許第7,070,959 B2号;および国際公開第00/75319 A1号によって記述されている。
「天然に生じる」という用語は、ポリペプチド、核酸、宿主細胞などの生物学的物質に関連して本明細書に存在する場合、自然界に見出される物質を指す。
「制御配列」または「制御シグナル」という用語は、特定の宿主細胞において、それが連結されているコード配列の発現およびプロセシングに影響を与えることができるポリヌクレオチド配列を指す。そのような制御配列の性質は宿主生物に依存し得る。特定の実施形態では、原核生物の制御配列は、プロモータ、リボソーム結合部位、および転写終結配列を含み得る。真核生物の制御配列は、1つまたは複数の転写因子認識部位を含むプロモータ、転写エンハンサー配列またはエレメント、ポリアデニル化部位、および転写終結配列を含み得る。制御配列は、リーダ配列および/または融合パートナー配列を含むことができる。プロモータおよびエンハンサーは、転写に関与する細胞タンパク質と特異的に相互作用するDNAの短い配列からなる(Maniatis,et al.,Science 236:1237(1987))。プロモータおよびエンハンサーエレメントは、酵母、昆虫および哺乳動物細胞ならびにウイルスの遺伝子を含む様々な真核生物源から単離されている(類似の制御エレメント、すなわちプロモータは、原核生物にも見出される)。特定のプロモータおよびエンハンサーの選択は、関心対象のタンパク質を発現するためにどの細胞種を使用するかに依存する。一部の真核生物プロモータおよびエンハンサーは幅広い宿主範囲を有するが、他のものは限られた細胞種のサブセットで機能する(総説については、Voss,et al.,Trends Biochem.Sci.,11:287(1986)およびManiatis,et al.,Science 236:1237(1987)参照)。
「プロモータ」は、RNAポリメラーゼが結合して1つ以上の下流の構造遺伝子によるメッセンジャーRNAの転写を開始させる部位を含むDNAの領域である。プロモータは、同じ鎖上およびDNAの上流(センス鎖の5’領域側)で、遺伝子の転写開始部位の近くに位置する。プロモータは、典型的には約100~1000bpの長さである。
「エンハンサー」は、1つ以上の活性化タンパク質(転写因子)と結合して遺伝子の転写を活性化することができるDNAの短い(50~1500bp)領域である。
本明細書で使用される「作動可能な組合せで」、「作動可能な順序で」および「作動可能に連結された」という用語は、所与の遺伝子の転写および/または所望のタンパク質分子の合成を指令することができる核酸分子が生成されるような方法での核酸配列の連結を指す。この用語は、機能性タンパク質が生成されるような方法でのアミノ酸配列の連結も指す。例えば、タンパク質コード配列に「作動可能に連結された」ベクター中の制御配列は、制御配列の転写活性と適合性の条件下でタンパク質コード配列の発現が達成されるように、タンパク質コード配列に連結されている。
「ポリペプチド」および「タンパク質」は、本明細書では互換的に使用され、ペプチド結合を介して共有結合した2つ以上のアミノ酸の分子鎖を含む。この用語は、製品の特定の長さを指すものではない。したがって、「ペプチド」および「オリゴペプチド」は、ポリペプチドの定義内に含まれる。これらの用語は、ポリペプチドの翻訳後修飾、例えばグリコシル化、アセチル化、リン酸化などを含む。さらに、タンパク質断片、類似体、突然変異または変異タンパク質、融合タンパク質などがポリペプチドの意味に含まれる。これらの用語は、公知のタンパク質工学技術を使用して組換えによって発現され得る1つ以上のアミノ酸類似体または非標準もしくは非天然アミノ酸が含まれる分子も包含する。さらに、融合タンパク質は、周知の有機化学技術によって本明細書に記載されるように誘導体化することができる。
ポリペプチド(例えば、融合タンパク質、免疫グロブリン、または抗体)の「変異体」は、別のポリペプチド配列と比べて、1つ以上のアミノ酸残基がそのアミノ酸配列に挿入されている、それから欠失されている、および/またはそれに置換されているアミノ酸配列を含む。変異体は融合タンパク質を含む。
「融合タンパク質」という用語、例えばアフリベルセプト融合タンパク質は、タンパク質が複数の親タンパク質またはポリペプチドに由来するポリペプチド成分を含むことを示す。典型的には、融合タンパク質は、あるタンパク質由来のポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列が、異なるタンパク質由来のポリペプチド配列をコードするヌクレオチド配列にインフレームで付加されており、任意でリンカーによって分離されている「融合遺伝子」から発現される。次いで、融合遺伝子は、単一のタンパク質として組換え宿主細胞によって発現され得る。
「分泌」タンパク質は、分泌シグナルペプチド配列の結果として小胞体(ER)、分泌小胞、または細胞外空間を指向することができるタンパク質、ならびに必ずしもシグナル配列を含まずに細胞外空間に放出されるタンパク質を指す。分泌タンパク質が細胞外空間に放出された場合、分泌タンパク質は細胞外プロセシングを受けて「成熟」タンパク質を生成することができる。細胞外空間への放出は、エキソサイトーシスおよびタンパク質分解切断を含む多くの機構によって起こり得る。いくつかの他の実施形態では、関心対象のアフリベルセプト融合タンパク質は、分泌タンパク質として宿主細胞によって合成され得、その後、細胞外空間および/または培地からさらに精製され得る。
本明細書で使用される場合、宿主細胞において組換えDNA技術によって生産されるタンパク質に関して「可溶性」とは、水溶液中に存在するタンパク質であり、タンパク質がツインアルギニンシグナルアミノ酸配列を含む場合、可溶性タンパク質はグラム陰性菌宿主の細胞周辺腔に排出されるか、または分泌可能な真核生物宿主細胞によってもしくは適切な遺伝子(例えば、kil遺伝子)を有する細菌宿主によって培地に分泌される。したがって、可溶性タンパク質は、宿主細胞内部の封入体には見出されないタンパク質である。あるいは、状況に応じて、可溶性タンパク質は、細胞膜に組み込まれた状態では見出されない、またはインビトロで、生理学的条件下で関心対象の水性緩衝液に他のタンパク質なしで懸濁した場合、有意の量の不溶性凝集体を形成することなく(すなわち総タンパク質の10%未満、典型的には約5%未満の凝集体を形成する)生理学的条件下で水性緩衝液に溶解するまたは溶解することができるタンパク質であり、そのような緩衝液は、尿素、塩酸グアニジニウム、または過塩素酸リチウムなどの界面活性剤またはカオトロピック剤を含まない。これに対して、不溶性タンパク質は、宿主細胞中の細胞質顆粒(封入体と呼ばれる)内に変性した形態で存在するタンパク質であり、またはやはり文脈に応じて、不溶性タンパク質は、細胞質膜、ミトコンドリア膜、葉緑体膜、小胞体膜などを含むがこれらに限定さない細胞膜中に存在するか、もしくは生理学的条件下で関心対象の水性緩衝液に他のタンパク質なしで(生理学的に適合性の温度で)懸濁した場合、生理学的条件下のインビトロ水性緩衝液中で有意の量の不溶性凝集体を形成する(すなわち総タンパク質の約10%以上の凝集体を形成する)タンパク質であり、そのような緩衝液は、尿素、塩酸グアニジニウム、過塩素酸リチウムなどの界面活性剤またはカオトロピック剤を含まない。
「ポリヌクレオチド」または「核酸」という用語は、2つ以上のヌクレオチド残基を含む一本鎖および二本鎖ヌクレオチドポリマーの両方を含む。ポリヌクレオチドを含むヌクレオチド残基は、リボヌクレオチドまたはデオキシリボヌクレオチドまたはいずれかの種類のヌクレオチドの修飾形態であり得る。前記修飾には、ブロモウリジンおよびイノシン誘導体などの塩基修飾、2’,3’-ジデオキシリボースなどのリボース修飾、ならびにホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、ホスホロセレノアート、ホスホロジセレノアート、ホスホロアニロチオアート、ホスホルアニラダートおよびホスホロアミダートなどのヌクレオチド間結合修飾が含まれる。
「オリゴヌクレオチド」という用語は、200個以下のヌクレオチド残基を含むポリヌクレオチドを意味する。いくつかの実施形態では、オリゴヌクレオチドは10~60塩基の長さである。他の実施形態では、オリゴヌクレオチドは、12、13、14、15、16、17、18、19、または20~40ヌクレオチドの長さである。オリゴヌクレオチドは、例えば、突然変異遺伝子の構築に使用するために、一本鎖または二本鎖であり得る。オリゴヌクレオチドは、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。オリゴヌクレオチドは、検出アッセイのために、放射性標識、蛍光標識、ハプテンまたは抗原性標識を含む標識を含むことができる。オリゴヌクレオチドは、例えばPCRプライマー、クローニングプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとして使用し得る。
本明細書で互換的に使用される「ポリヌクレオチド配列」または「ヌクレオチド配列」または「核酸配列」は、文脈に応じて、オリゴヌクレオチドを含むポリヌクレオチド、DNA、およびRNA、核酸、またはヌクレオチド残基の一次配列を表す文字列中のヌクレオチド残基の一次配列である。任意の特定のポリヌクレオチド配列から、所与の核酸または相補的ポリヌクレオチド配列のいずれかを決定することができる。一本鎖または二本鎖であり得、センスまたはアンチセンス鎖を表すゲノムまたは合成起源のDNAまたはRNAが含まれる。別段の指定がない限り、本明細書で論じる任意の一本鎖ポリヌクレオチド配列の左側末端は5’末端である;二本鎖ポリヌクレオチド配列の左側方向は5’方向と称される。新生RNA転写物の5’から3’への付加方向は転写方向と称される;RNA転写物の5’末端に対して5’側にある、RNA転写物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は「上流配列」と称される;RNA転写物の3’末端に対して3’側にある、RNA転写物と同じ配列を有するDNA鎖上の配列領域は「下流配列」と称される。
本明細書で使用される場合、「単離された核酸分子」または「単離された核酸配列」は、(1)核酸の天然源において通常付随する少なくとも1つの夾雑核酸分子から同定および分離された核酸分子、または(2)関心対象の核酸の配列を決定できるようにクローニングされた、増幅された、タグ付けされた、もしくは他の方法でバックグラウンド核酸から区別された核酸分子のいずれかである。単離された核酸分子は、自然界で認められる形態または環境以外のものである。ただし、単離された核酸分子は、例えば核酸分子が天然の細胞とは異なる染色体位置にある場合は、免疫グロブリン(例えば、抗体)を通常発現する細胞に含まれる核酸分子を包含する。
本明細書で使用される場合、「~をコードする核酸分子」、「~をコードするDNA配列」、および「~をコードするDNA」という用語は、デオキシリボ核酸の鎖に沿ったデオキシリボヌクレオチドの順序または配列を指す。これらのデオキシリボヌクレオチドの順序は、mRNA鎖に沿ったリボヌクレオチドの順序を決定し、またポリペプチド(タンパク質)鎖に沿ったアミノ酸の順序も決定する。したがって、DNA配列はRNA配列およびアミノ酸配列をコードする。
「遺伝子」という用語は、生物学的機能に関連する任意の核酸を指すために広く使用される。遺伝子は、典型的にはコード配列およびそのようなコード配列の発現に必要な調節配列を含む。「遺伝子」という用語は、特定のゲノム配列または組換え配列、およびその配列によってコードされるcDNAまたはmRNAに適用される。遺伝子には、例えば他のタンパク質に対する認識配列を形成する非発現核酸セグメントも含まれる。非発現調節配列には、転写因子などの調節タンパク質が結合して、隣接または近傍配列の転写をもたらす、転写制御エレメントが含まれる。
「遺伝子の発現」または「核酸の発現」は、DNAのRNAへの転写(任意でRNAの修飾、例えば、スプライシングを含む)、RNAのポリペプチドへの翻訳(場合によりポリペプチドの翻訳後修飾を含み得る)、または文脈によって示される転写と翻訳の両方を意味する。
発現カセットは、組換え発現技術の典型的な特徴である。発現カセットは、関心対象のタンパク質をコードする遺伝子、例えば、アフリベルセプト融合タンパク質配列をコードする遺伝子を含む。真核生物「発現カセット」とは、哺乳動物細胞などの真核細胞におけるタンパク質の産生を可能にする発現ベクターの一部を指す。真核生物「発現カセット」には、mRNA転写のための真核細胞で作動可能なプロモータ、関心対象のタンパク質(1つまたは複数)をコードする1つ以上の遺伝子、およびmRNAの終結およびプロセシングシグナルが含まれる。発現カセットは、有用には、コード配列の中に、選択マーカーとして有用な遺伝子を含むことができる。発現カセットでは、プロモータは、関心対象の外因性タンパク質をコードするオープンリーディングフレームの5’側に作動可能に連結されている;ポリアデニル化部位は、オープンリーディングフレームの3’側に作動可能に連結されている。発現カセットが作動可能なままである限り、他の適切な制御配列も含まれ得る。オープンリーディングフレームは、任意で複数の関心対象のタンパク質のコード配列を含むことができる。
本明細書で使用される場合、構造遺伝子に関して使用される場合の「コード領域」または「コード配列」という用語は、mRNA分子の翻訳の結果として新生ポリペプチドに認められるアミノ酸をコードするヌクレオチド配列を指す。コード領域は、真核生物では、5’側が開始メチオニンをコードするヌクレオチドトリプレット「ATG」に接し、3’側が終止コドンを特定する3つのトリプレット(すなわちTAA、TAG、TGA)の1つに接している。
組換え発現技術は、典型的には発現カセットを含む組換え発現ベクターの使用を含む。
「ベクター」という用語は、タンパク質コード情報を宿主細胞に移入するために使用される任意の分子または実体(例えば、核酸、プラスミド、バクテリオファージまたはウイルス)を意味する。
本明細書で使用される「発現ベクター」または「発現構築物」という用語は、所望のコード配列および特定の宿主細胞における作動可能に連結されたコード配列の発現に必要な適切な核酸制御配列を含む組換えDNA分子を指す。発現ベクターは、転写、翻訳に影響を与えるまたはそれを制御する配列、およびイントロンが存在する場合は、それに作動可能的に連結されたコード領域のRNAスプライシングに影響を与える配列を含むことができるが、これらに限定されない。原核生物での発現に必要な核酸配列には、プロモータ、任意でオペレータ配列、リボソーム結合部位、および場合により他の配列が含まれる。真核細胞は、プロモータ、エンハンサー、終止およびポリアデニル化シグナルを利用することが公知である。分泌シグナルペプチド配列はまた、所望する場合、細胞から関心対象のポリペプチドをより容易に単離するために、発現されたポリペプチドが組換え宿主細胞によって分泌され得るように、任意で、関心対象のコード配列に作動可能に連結された発現ベクターによってコードされ得る。そのような技術は、当技術分野で周知である。(例えば、Goodey,Andrew R.;et al.,Peptide and DNA sequences,米国特許第5,302,697号;Weiner et al.,Compositions and methods for protein secretion,米国特許第6,022,952号および米国特許第6,335,178号;Uemura et al.,Protein expression vector and utilization thereof,米国特許第7,029,909号;Ruben et al.,27 human secreted proteins,米国特許出願第2003/0104400 A1号)。関心対象のマルチサブユニットタンパク質の発現のために、それぞれが異なるサブユニット単量体のコード配列を含む適切な数と割合の別々の発現ベクターを使用して、宿主細胞を形質転換することができる。他の実施形態では、単一の発現ベクターを使用して、関心対象のタンパク質の異なるサブユニットを発現させることができる。
組換え発現技術は、典型的には組換え発現ベクターを含む哺乳動物宿主細胞を含む。
「宿主細胞」という用語は、核酸で形質転換されている、または形質転換することができ、それによって関心対象の遺伝子またはコード配列を発現する細胞を意味する。この用語には、関心対象の遺伝子が存在する限り、子孫の形態または遺伝子構成が元の親細胞と同一であるか否かにかかわらず、親細胞の子孫が含まれる。組換えアフリベルセプト融合タンパク質を生産するために、多数の利用可能な周知の宿主細胞のいずれかを本発明の実施において使用し得る。特定の宿主の選択は、当技術分野で認識されている多くの因子に依存する。これらには、例えば選択された発現ベクターとの適合性、DNA分子によってコードされるペプチドの毒性、形質転換の速度、ペプチドの回収の容易さ、発現特性、生物学的安全性およびコストが含まれる。すべての宿主が特定のDNA配列の発現に等しく有効ではあり得ないとの理解を持って、これらの因子のバランスをとらなければならない。これらの一般的なガイドライン内で、培養中の有用な微生物宿主細胞には、細菌(大腸菌種など)、酵母(サッカロミセス種(Saccharomyces sp.)など)ならびに他の真菌細胞、藻類または藻類様細胞、昆虫細胞、植物細胞、哺乳動物(ヒトを含む)細胞、例えば、CHO細胞およびHEK-293細胞が含まれる。修飾はDNAレベルでも行うことができる。ペプチドをコードするDNA配列は、選択された宿主細胞とより適合性のコドンに変更し得る。大腸菌については、最適化されたコドンが当技術分野で公知である。制限部位を排除するまたはサイレント制限部位を含むようにコドンを置換することができ、これは、選択された宿主細胞でのDNAのプロセシングに役立ち得る。次に、形質転換された宿主を培養および精製する。宿主細胞は、所望の化合物が発現されるように、従来の発酵条件下で、例えば、バッチモードまたは連続灌流モードで培養し得る。そのような発酵条件は当技術分野で周知である。
有用な哺乳動物宿主細胞株の例は、CHO-K1細胞(例えば、ATCC CCL61)、DXB-11、DG-44、およびチャイニーズハムスター卵巣細胞/-DHFR(CHO、Urlaub et al.,Proc. Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣細胞;SV40によって形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7、ATCC CRL 1651);ヒト胚腎臓株(293細胞または懸濁培養での増殖のためにサブクローニングされた293細胞(Graham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977));ベビーハムスター腎臓細胞(BHK、ATCC CCL 10);マウスセルトリ細胞(TM4、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980));サル腎臓細胞(CV1 ATCC CCL 70);アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76、ATCC CRL-1587);ヒト子宮頸癌細胞(HELA、ATCC CCL 2);イヌ腎臓細胞(MDCK、ATCC CCL 34);バッファローラット肝細胞(BRL 3A、ATCC CRL 1442);ヒト肺細胞(W138、ATCC CCL 75);ヒト肝癌細胞(Hep G2、HB 8065);マウス乳腺腫瘍(MMT 060562、ATCC CCL51);TRI細胞(Mather et al.,Annals N.Y Acad.Sci.383:44-68(1982));MRC 5細胞もしくはFS4細胞;または哺乳動物骨髄腫細胞である。
「細胞」、「細胞株」、および「細胞培養物」は、しばしば互換的に使用され、本明細書におけるそのような呼称はすべて細胞子孫を含む。例えば、CHO細胞に「由来する」細胞は、チャイニーズハムスター卵巣細胞の細胞子孫であり、何世代もによって元の初代細胞親から除去され得、形質転換子孫細胞も含まれ得る。形質転換体および形質転換細胞には、移入の回数にかかわらず一次対象細胞およびそれから誘導された培養物が含まれる。また、意図的または偶発的な突然変異のために、すべての子孫のDNA含有量が厳密に同一ではない可能性があることも理解される。最初に形質転換された細胞でスクリーニングされたものと同じ機能または生物学的活性を有する突然変異子孫は含まれる。
宿主細胞は、ポリペプチド(標的結合タンパク質を含む)の生産のために上記の核酸またはベクターで形質転換またはトランスフェクトされ、プロモータを誘導する、形質転換体を選択する、または所望の配列をコードする遺伝子を増幅するために必要に応じて改変された従来の栄養培地で培養される。さらに、選択マーカーによって分離された転写ユニットの複数のコピーを有する新規ベクターおよびトランスフェクトされた細胞株は、抗体などのポリペプチドの発現に特に有用である。
「トランスフェクション」という用語は、細胞による外来または外因性DNAの取り込みを意味し、外因性DNAが細胞膜の内部に導入されている場合、細胞は「トランスフェクト」されている。多くのトランスフェクション技術が当技術分野で周知であり、本明細書に開示されている。例えば、Graham et al.,1973,Virology 52:456;Sambrook et al.,2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,前出;Davis et al.,1986,Basic Methods in Molecular Biology,Elsevier;Chu et al.,1981,Gene 13:197参照。そのような技術を使用して、1つ以上の外因性DNA部分を適切な宿主細胞に導入することができる。
「形質転換」という用語は、細胞の遺伝的特性の変化を指し、細胞は、新しいDNAまたはRNAを含むように改変されている場合、形質転換されている。例えば、細胞は、トランスフェクション、形質導入、または他の技術を介して新しい遺伝物質を導入することによってその天然の状態から遺伝的に改変される場合、形質転換される。トランスフェクションまたは形質導入後、形質転換DNAは、細胞の染色体に物理的に組み込まれることによってその細胞のDNAと組み換わり得るか、または複製されずにエピソームエレメントとして一過性に維持され得るか、またはプラスミドとして独立して複製し得る。形質転換DNAが細胞の分裂と共に複製される場合、細胞は「安定に形質転換されて」いるとみなされる。
本発明において関心対象のグリコシル化組換えタンパク質またはPOI(例えば、組換えアフリベルセプト融合ポリペプチド)を生産するために使用される宿主細胞は、様々な培地で培養し得る。ハムF10(Sigma)、最小必須培地((MEM)、(Sigma))、RPMI-1640(Sigma)およびダルベッコ改変イーグル培地((DMEM)、(Sigma))などの市販の培地は、宿主細胞を培養するのに適している。さらに、Ham et al.,Meth.Enz.58:44 (1979),Barnes et al.,Anal.Biochem.102:255(1980),米国特許第4,767,704号;同第4,657,866号;同第4,927,762号;同第4,560,655号;または同第5,122,469号;国際公開第90103430号;国際公開第87/00195号;またはU米国特許第30,985号に記載されている培地のいずれかを宿主細胞の培地として使用し得る。これらの培地はいずれも、培地中または培地上の細胞の生理学的条件が宿主細胞による関心対象のタンパク質の発現を促進するように、ホルモンおよび/または他の成長因子(インスリン、トランスフェリン、もしくは上皮成長因子など)、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム、およびリン酸塩など)、緩衝液(HEPESなど)、ヌクレオチド(アデノシンおよびチミジンなど)、抗生物質(Gentamycin(商標)薬など)、微量元素(通常、マイクロモル範囲の最終濃度で存在する無機化合物として定義される)、ならびにグルコースまたは等価のエネルギー源を必要に応じて添加し得る;任意の他の必要な補充物も、当業者に公知の適切な濃度で含まれ得る。温度(必ずしもではないが、典型的には約37°C)、pH(必ずしもではないが、典型的には約pH6.5~7.5)、酸素化などの培養条件は、関心対象のタンパク質の発現のために選択された宿主細胞で以前に使用されたものであり、当業者には明らかであろう。培養培地は、ウシ胎仔血清(FBS)などの適切な量の血清を含むことができ、または好ましくは、宿主細胞は無血清培地での培養に適合させることができる。いくつかの実施形態では、水性培地は液体であり、そのため宿主細胞は液体培地内の細胞懸濁液で培養される。宿主細胞は、バッチ細胞培養または連続(灌流)細胞培養システムで有用に増殖させることができる。
他の実施形態では、哺乳動物宿主細胞を、例えば寒天またはアガロースを含む固体または半固体水性培地で培養して、細胞が接着して接着層を形成する培地または基質表面を形成することができる。
宿主細胞を培養すると、組換えポリペプチドは細胞内、細胞周辺腔で産生され得るか、または培地に直接分泌され得る。アフリベルセプトなどのポリペプチドが細胞内で産生される場合、最初の工程として、宿主細胞または溶解断片のいずれかである微粒子デブリが、例えば遠心分離、深層ろ過または限外ろ過によって除去される。
緩衝液または他の結合/反応アッセイ試薬のインキュベーションに関する「生理学的条件下」とは、非共有結合反応などの生化学反応が起こることを可能にする温度、pH、およびイオン強度の条件下でのインキュベーションを意味する。典型的には、温度は室温または最大約37°Cまでの周囲温度で、pH6.5~7.5である。
物質の組成物の「生理学的に許容される塩」、例えば、関心対象のタンパク質の塩、例えば融合タンパク質もしくは抗体などの免疫グロブリンの塩、または関心対象の任意の他のタンパク質の塩は、薬学的に許容されることが公知であるかまたはそのことが後日に発見される任意の塩(1つまたは複数)を意味する。薬学的に許容される塩のいくつかの非限定的な例は、酢酸塩;トリフルオロ酢酸塩;塩酸塩および臭化水素酸塩などのハロゲン化水素酸塩;硫酸塩;クエン酸塩;マレイン酸塩;酒石酸塩;グリコール酸塩;グルコン酸塩;コハク酸塩;メシル酸塩;ベシル酸塩;ペンタガロイルグルコース(PGG)および没食子酸エピガロカテキン(EGCG)などの没食子酸エステルの塩(没食子酸は3,4,5トリヒドロキシ安息香酸としても知られる)、硫酸コレステリル、パモ酸塩、タンニン酸塩およびシュウ酸塩の塩である。
「反応混合物」は、生理学的なインキュベーション条件下で、共有結合または非共有結合反応などの関心対象のインビトロ生化学反応が起こることを可能にする、必要なすべての試薬および因子を含む水性混合物である。
ポリヌクレオチドの「ドメイン」または「領域」(本明細書では互換的に使用される)は、最大で完全なポリヌクレオチドまでおよび完全なポリヌクレオチドを含むが、典型的には完全なポリヌクレオチド未満を含む、ポリヌクレオチド全体の任意の部分である。ドメインは、必ずしもそうである必要はないが、ポリヌクレオチド鎖の残りの部分とは独立して折り畳まれることができ(例えば、DNAヘアピン折り畳み)、および/またはコード領域もしくは調節領域などの特定の生物学的、生化学的、もしくは構造的機能もしくは位置と関連付けることができる。
タンパク質の「ドメイン」または「領域」(本明細書では互換的に使用される)は、最大で完全なタンパク質までおよび完全なタンパク質を含むが、典型的には完全なタンパク質未満を含む、タンパク質全体の任意の部分である。ドメインは、必ずしもそうである必要はないが、タンパク質鎖の残りの部分とは独立して折り畳まれることができ、および/または特定の生物学的、生化学的、もしくは構造的機能もしくは位置(例えば、リガンド結合ドメイン、またはサイトゾル、膜貫通もしくは細胞外ドメイン)と関連付けることができる。
アフリベルセプト融合タンパク質などの、しかしこれに限定されない関心対象の組換えタンパク質の定量化は、タンパク質の生産またはタンパク質精製工程の収率の追跡において(またはアフリベルセプトもしくは他の関心対象の治療用タンパク質を含む原薬または医薬品のロットリリースアッセイのために)、しばしば有用または必要である。したがって、関心対象のタンパク質に特異的に結合する抗体、特にモノクローナル抗体は、これらの目的のために有用であり得る。
「抗体」または互換的に「Ab」という用語は、最も広い意味で使用され、完全に構築された抗体、モノクローナル抗体(ヒト、ヒト化またはキメラ抗体を含む)、ポリクローナル抗体、多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、および所望の生物学的活性を示す限り、前記抗体の相補性決定領域(CDR)を含む、抗原に結合することができる抗体断片(例えば、Fab、Fab’、F(ab’)、Fv、一本鎖抗体、ダイアボディ)が含まれる。化学的に誘導体化された抗体を含む、無傷の分子および/または断片の多量体または凝集体が企図される。IgG、IgM、IgD、IgA、およびIgE、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2、または任意のアロタイプを含む、あらゆるアイソタイプクラスまたはサブクラスの抗体が企図される。異なるアイソタイプは異なるエフェクター機能を有し得る;例えばIgG1およびIgG3アイソタイプは抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を有し得る。
「単離された」タンパク質、例えば、アフリベルセプト融合タンパク質または関心対象の他の組換えタンパク質は、その天然環境またはそれが産生細胞によって分泌された培地の1つ以上の成分から同定され、分離されているものである。いくつかの実施形態では、単離されたタンパク質は、その治療、診断、予防、研究または他の使用を妨げる、その天然環境または培養培地環境で見出されるタンパク質またはポリペプチドまたは他の夾雑物を実質的に含まない。
分子をプロテインAまたはプロテインAマトリックスに「結合する」または「結合すること」という用語は、適切な条件(例えば、pHおよび選択された塩/緩衝液組成物)下で、関与し得る親和性の物理的機構に関わりなく、それらの条件下でのプロテインAへの結合親和性によってプロテインAマトリックス(例えばプロテインA樹脂)内またはその上に分子が可逆的に固定化されるように、分子をプロテインAに曝露することを意味する。(例えば、Jendeberg,L. et al.,The Mechanism of Binding Staphylococcal Protein A to Immunoglobin G Does Not Involve Helix Unwinding,Biochemistry 35(1):22-31(1996);Nelson,J.T.et al.,Mechanism of Immobilized Protein A Binding to Immunoglobulin G on Nanosensor Array Surfaces,Anal.Chem.,87(16):8186-8193(2015)参照)。
分子をイオン交換マトリックス(例えば、CEX樹脂などのCEXマトリックス)に「結合する」または「結合すること」という用語は、適切な条件(例えば、pHおよび選択された塩/緩衝液組成物)下で、分子とイオン交換マトリックスの荷電基(1つまたは複数)(すなわち荷電リガンド)との間のイオン相互作用によってイオン交換マトリックス内またはその上に分子が可逆的に固定化されるように、分子をイオン交換マトリックスに曝露することを意味する。
「緩衝液」または「緩衝溶液」という用語は、その共役酸塩基範囲の作用によるpHの変化に抗する溶液を指す。約pH4から約pH6.5の範囲でpHを制御する有用な緩衝液の例には、酢酸塩、MES、クエン酸塩、トリス、ビス-トリス、ヒスチジン、アルギニン、コハク酸塩、クエン酸塩、グルタミン酸塩、および乳酸塩、もしくはこれらの2つ以上の組合せ、または他の鉱酸もしくは有機酸緩衝液が含まれる;リン酸塩は有用な緩衝液の別の例である。ナトリウム、アンモニウム、およびカリウムカチオンを含む塩は、しばしば緩衝液を作成するのに使用される。
「負荷緩衝液」または「平衡緩衝液」という用語は、タンパク質製剤(例えば、バッチもしくは灌流培養上清もしくはろ液、または関心対象のタンパク質を含む溶出液プール)を、場合によってプロテインAマトリックス、イオン交換マトリックス(例えば、CEXマトリックスもしくはAEXマトリックス)上に、または疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)マトリックス上に負荷するために、タンパク質製剤と混合される緩衝液および塩(1つまたは複数)を指す。この緩衝液は、タンパク質を負荷する前にマトリックスを平衡させるため、およびタンパク質を負荷した後に洗浄するためにも使用される。
「洗浄緩衝液」という用語は、本明細書では、タンパク質製剤の負荷後および関心対象のタンパク質の溶出前またはフロースルー後に、場合によってプロテインAマトリックスまたはイオン交換マトリックス(例えば、CEXマトリックスもしくはAEXマトリックス)、または疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)マトリックスを通過する緩衝液を指すために使用される。洗浄緩衝液は、所望のタンパク質の実質的な溶出を伴わずに1つ以上の夾雑物を除去するのに役立ち得るか、または非結合タンパク質を洗い流すために使用できる。
「溶出緩衝液」または「溶出液」という用語は、マトリックスに可逆的に結合した関心対象のタンパク質(POI)を溶出するために使用される緩衝液を指す。本明細書で使用される場合、「溶液」という用語は、水を含む、緩衝溶液または非緩衝溶液のいずれかを指す。
「溶出プール」または「溶出液プール」という用語は、関心対象の組換えタンパク質を含む、マトリックスから溶出された物質を意味する。
プロテインAマトリックスまたはイオン交換マトリックス(例えば、CEXマトリックス)または疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)マトリックスに関して「負荷する」という用語は、タンパク質製剤(例えば、バッチもしくは灌流培養上清もしくはろ液、または関心対象のタンパク質を含む溶出液プール)をプロテインAマトリックスまたはイオン交換マトリックスまたはHICマトリックスに負荷することを意味する。
プロテインAマトリックスまたはイオン交換マトリックス(例えば、CEXマトリックス)または疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)マトリックスに関して「洗浄する」という用語は、適切な緩衝液を、場合によってプロテインAマトリックスまたはイオン交換マトリックスまたはHICマトリックスに通過させることを意味する。
夾雑物から関心対象のグリコシル化組換えタンパク質を精製する本発明の方法は、POIが可逆的に結合したプロテインAマトリックスを、1~3Mの塩化カルシウムを含む約pH6.0~6.5の緩衝液で洗浄することを含む。より好ましくは、洗浄緩衝液中の塩化カルシウムの濃度は、2~2.7M塩化カルシウム、例えば約2.0M、約2.1M、約2.2M、約2.3M、約2.4M、約2.5M、約2.6M、または約2.7M塩化カルシウムである。
プロテインAマトリックスまたはイオン交換マトリックス(例えば、CEXマトリックス)から分子(例えば所望の組換えタンパク質または夾雑物)を「溶出する」という用語は、典型的には溶出緩衝液をプロテインAマトリックスまたはイオン交換マトリックスに通過させることによって、そのような物質から分子を取り出すことを意味する。
タンパク質精製に関連して使用される「分離する」または「単離する」という用語は、所望のタンパク質と第2のタンパク質または他の夾雑物もしくは不純物の両方を含む混合物中の第2のタンパク質または他の夾雑物もしくは不純物から、所望のタンパク質の分子の少なくとも大部分が、第2のタンパク質または他の夾雑物もしくは不純物の分子の少なくとも大部分を含む混合物の部分から取り出されるように、所望のタンパク質を分離することを指す。
関心対象の組換えタンパク質(すなわち「POI」)および1つ以上の夾雑物を含む組成物または溶液から所望のタンパク質を「精製する」または「精製すること」という用語は、組成物または溶液から少なくとも1つの夾雑物を除去する(完全にまたは部分的に)ことによって組成物または溶液中の所望の組換えタンパク質の純度を高めることを意味する。
「治療用生物学的製剤」という用語は、ヒトの疾患または状態の予防、治療、または治癒に適用できるタンパク質を意味する。治療用生物学的製剤の例には、モノクローナル抗体、天然タンパク質(例えば、受容体、リガンド、ホルモン、酵素もしくはサイトカイン)の組換え形態、融合タンパク質、ペプチボディ、ならびに/または、例えば、LDL受容体Aドメイン、トロンボスポンジンドメイン、サイログロブリンドメイン、トレフォイル/PDドメイン、VEGF結合ドメイン、EGFドメイン、アナトドメイン、ノッチ/LNRドメイン、DSLドメイン、インテグリンβドメイン、およびCa-EGFドメインから選択されるドメインに基づく単量体ドメイン結合タンパク質が含まれる。
「ペプチボディ」という用語は、抗体C1、CL、VHおよびVLドメイン、ならびにFabおよびF(ab)を除く抗体Fcドメイン(すなわち少なくともC2およびC3抗体ドメイン)を含む融合タンパク質分子を指し、ここで、Fcドメインは1つ以上のペプチド、好ましくは薬理学的に活性なペプチドに結合している。ペプチボディの生産は、一般的にPCT国際公開第00/24782号に記載されている。
「陽イオン交換マトリックス」または「CEXマトリックス」という用語は、負に帯電しており、固相上または固相中を通過する水溶液中のカチオンと交換するための遊離カチオンを有する固相を指す。負電荷は、1つ以上の荷電リガンドを、例えば共有結合によって固相に付着させることによって提供し得る。あるいはまたはさらに、電荷は固相の固有の特性であり得る(例えば全体的に負の電荷を有するシリカの場合のように)。陽イオン交換(「CEX」)マトリックス(例えば、CEX樹脂)は、タンパク質の精製に有用なカラムに配置または充填され得る。CEXは、タンパク質の高分子量(HMW)種、ならびに宿主細胞タンパク質、DNA、および残留プロテインAを除去するための有効な工程である(Zeid,et al.,(2008).Biotechnology and Bioengineering 102,971-976;Yigzaw,Y.,et al.,(2009),Current Pharmaceutical Biotechnology 10,421-426;Gagnon,P.,Purification tools for monoclonal antibodies.1996:Validated Biosystems,Inc.;Stein,A.,and Kiesewetter,A.(2007).Journal of Chromatography B 848,151-158;Staby,A.,et al.,(2006),Journal of Chromatography 1118,168-179)。一般に、CEXは、標的分子のpI未満のpHで、低伝導率条件下でタンパク質がCEXマトリックス(例えば、CEX樹脂)に結合する結合溶出モード(BEM)で操作される。次いで、結合したタンパク質の溶出は、典型的には伝導率を上げるおよび/またはpHシフトを誘導することによって達成される。これは、直線勾配または所定の条件への段階溶出のいずれかで実施することができる。不純物、特にHMW種は、しばしばmAb生成物よりも強く結合し、溶出条件およびプール収集基準を調整することによって主要な所望の画分から分離できる(Yigzaw,Y.,et al.,(2009)前出;Gagnon,P.,et al.,(1996)前出;Pabst,T.M.,et al.,(2009)Journal of Chromatography 1216,7950-7956)。市販されている有用なCEXマトリックスの例には、EMD MilliporeからのFractogel(登録商標)COO、Fractogel(登録商標)SO 、またはEshmuno S(登録商標);GE Healthcare Life SciencesからのSP Sepharose(登録商標)FFまたはCapto(商標)S;およびThermo Fisher ScientificからのPOROS(登録商標)XS;Tosoh BioscienceからのToyopearl(登録商標)Sulfate-650-Fが含まれるが、これらに限定されない。
「陰イオン交換マトリックス」または「AEXマトリックス」という用語は、正に帯電しており、固相上または固相中を通過する水溶液中のアニオンと交換するための遊離アニオンを有する固相を指す。電荷は、1つ以上の正に帯電したリガンドを、例えば共有結合によって固相に付着させることによって提供し得る。あるいはまたはさらに、電荷は固相の固有の特性であり得る。陰イオン交換(「AEX」)マトリックス(例えば、AEX樹脂)は、タンパク質の精製に有用なカラムに配置または充填され得る。
「疎水性相互作用クロマトグラフィマトリックス」または「HICマトリックス」という用語は、物質の表面疎水性に基づいて、物質と差別的に相互作用する固相材料またはマトリックスを指す。(例えば、Queiroz,J.A.et al.,Hydrophobic interaction chromatography of proteins,J.Biotechnol.87(2):143-59(2001);Chen,J.et al.,Comparison of standard and new generation hydrophobic interaction chromatography resins in the monoclonal antibody purification process,Journal of Chromatography A 1177(2):272-81(2008)参照)。種々の適切なHICマトリックスが市販されており、例えば、Bio-RadからのMacro-Prep(登録商標)t-ButylなどのMacro-Prep(登録商標)HIC樹脂;Tosoh BioscienceからのToyopearl(登録商標)Butyl、Toyopearl(登録商標)Butyl 650M、Toyopearl(登録商標)Hexyl、Toyopearl(登録商標)Hexyl 650CまたはToyopearl(登録商標)Phenyl;EMD MilliporeからのFractogel(登録商標)EMD phenyl 650;およびGE Healthcare Life SciencesからのPhenyl Sepharose(登録商標)Fast Flow High SubまたはPhenyl Sepharose(登録商標)Fast Flow Low Subが挙げられる。HIC部分を含むマルチモーダル樹脂も、本発明の方法を実施するための有用なHICマトリックスとなり得る。HICマトリックス(例えば、HIC樹脂)は、タンパク質の精製に有用なカラムに配置または充填され得る。
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に均一な抗体の集団から得られる抗体を指し、すなわち集団を構成する個々の抗体は、少量存在し得る潜在的な自然発生突然変異を除いて同一である。標的結合タンパク質であるモノクローナル抗体は非常に特異的な結合剤であり、典型的には異なるエピトープに対する異なる抗体を含むポリクローナル抗体製剤とは対照的に、個々の抗原部位またはエピトープを指向する。モノクローナル抗体の非限定的な例には、マウス、ウサギ、ラット、ニワトリ、キメラ、ヒト化、またはヒト抗体、完全に構築された抗体、多重特異性抗体(二重特異性抗体を含む)、抗原に結合することができる抗体断片(Fab、Fab’、F(ab)、Fv、一本鎖抗体、ダイアボディ)、マキシボディ、ナノボディ、および所望の生物学的活性を示す限り、前述のCDRを含む組換えペプチド、またはその変異体もしくは誘導体が含まれる。
「モノクローナル」という修飾語は、抗体の実質的に均一な集団から得られるという抗体の特徴を示し、特定の方法による抗体の生産を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、モノクローナル抗体は、Kohler et al.,Nature,256:495(1975)によって最初に記述されたハイブリドーマ法によって作製し得るか、または組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号参照)によって作製し得る。「モノクローナル抗体」はまた、例えばClackson et al.,Nature,352:624-628(1991)およびMarks et al.,J.Mol.Biol.,222:581-597(1991)に記載されている技術を使用してファージ抗体ライブラリから単離してもよい。
「免疫グロブリン」という用語は、それぞれが軽鎖(LC)に共有結合した2本の二量体重鎖(HC);単一の非二量体化免疫グロブリン重鎖および共有結合した軽鎖(HC+LC)、またはキメラ免疫グロブリン(軽鎖+重鎖)-Fcヘテロ三量体(いわゆる「ヘミボディ」)を含む完全な抗体を包含する。「免疫グロブリン」はタンパク質であるが、必ずしも標的結合タンパク質ではない。
「抗体」では、各四量体が2組の同一のポリペプチド鎖対からなり、それぞれの対は約220アミノ酸(約25kDa)の一本の「軽」鎖と約440アミノ酸(約50~70kDa)の一本の「重」鎖を有する。各鎖のアミノ末端部分には、主に抗原認識に関与する約100~110個以上のアミノ酸の「可変」(「V」)領域が含まれる。各鎖のカルボキシ末端部分は、主にエフェクター機能に関与する定常領域を定義する。可変領域は異なる抗体間で異なる。定常領域は異なる抗体間で同じである。各重鎖または軽鎖の可変領域内には、標的結合タンパク質である抗体の場合、抗原に対する抗体の特異性を決定するのに役立つ3つの超可変サブ領域が存在する。超可変領域の間の可変ドメイン残基はフレームワーク残基と呼ばれ、一般に異なる抗体間である程度相同である。免疫グロブリンは、重鎖の定常ドメインのアミノ酸配列に応じて異なるクラスに割り当てることができる。ヒト軽鎖は、カッパ(κ)およびラムダ(λ)軽鎖に分類される。軽鎖および重鎖内で、可変領域と定常領域は約12個以上のアミノ酸の「J」領域によって結合され、重鎖は約10個以上のアミノ酸の「D」領域も含む。一般的に、Fundamental Immunology,Ch.7(Paul,W.,ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989))参照。「抗体」は、組換えによって作製された抗体、およびグリコシル化されているかまたはグリコシル化されていない抗体も包含する。
「軽鎖」または「免疫グロブリン軽鎖」という用語は、完全長軽鎖および結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有するその断片を含む。完全長軽鎖は、可変領域ドメインVと定常領域ドメインCを含む。軽鎖の可変領域ドメインは、ポリペプチドのアミノ末端にある。軽鎖はκ鎖とλ鎖を含む。
「重鎖」または「免疫グロブリン重鎖」という用語は、完全長重鎖および結合特異性を付与するのに十分な可変領域配列を有するその断片を含む。完全長重鎖は、可変領域ドメインVと3つの定常領域ドメインC1、C2、およびC3を含む。Vドメインはポリペプチドのアミノ末端にあり、Cドメインはカルボキシル末端にあり、C3がポリペプチドのカルボキシ末端に最も近い。重鎖は、ミュー(μ)、デルタ(δ)、ガンマ(γ)、アルファ(α)、およびイプシロン(ε)に分類され、それぞれ抗体のアイソタイプをIgM、IgD、IgG、IgA、およびIgEとして定義する。重鎖は、IgG(IgG1、IgG2、IgG3およびIgG4サブタイプを含む)、IgA(IgA1およびIgA2サブタイプを含む)、IgMならびにIgEを含む、任意のアイソタイプであり得る。これらのいくつかは、さらにサブクラスまたはアイソタイプ、例えばIgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1およびIgA2に分類し得る。異なるIgGアイソタイプは、抗体依存性細胞傷害性(ADCC)および補体依存性細胞傷害(CDC)などの異なるエフェクター機能(Fc領域によって媒介される)を有し得る。ADCCでは、抗体のFc領域は、ナチュラルキラーおよびマクロファージなどの免疫エフェクター細胞の表面のFc受容体(FcγR)に結合し、標的細胞の食作用または溶解をもたらす。CDCでは、抗体は、細胞表面で補体カスケードを惹起することによって標的細胞を死滅させる。
「Fc領域」、または本明細書で互換的に使用される「Fcドメイン」もしくは「免疫グロブリンFcドメイン」は、完全な抗体において抗体のC1およびC2ドメインを含む2つの重鎖断片を含む。2つの重鎖断片は、2つ以上のジスルフィド結合によって、およびC3ドメインの疎水性相互作用によって結合されている。
「サルベージ受容体結合エピトープ」という用語は、IgG分子のインビボ血清半減期の延長に関与するIgG分子(例えば、IgG、IgG、IgG、またはIgG)のFc領域のエピトープを指す。
抗体の構造および生成の詳細な説明については、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、Roth,D.B.,and Craig,N.L.,Cell,94:411-414(1998)参照。簡単に述べると、重鎖および軽鎖免疫グロブリン配列をコードするDNAを生成する工程は、主に発生中のB細胞で起こる。様々な免疫グロブリン遺伝子セグメントの再編成と結合の前に、V、D、Jおよび定常(C)遺伝子セグメントは、一般に単一の染色体上で比較的近接して見出される。B細胞の分化中、V、D、J(または軽鎖遺伝子の場合はVとJのみ)遺伝子セグメントの適切な各ファミリーメンバーの1つが、重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子の機能的に再編成された可変領域を形成するように組み換えられる。この遺伝子セグメントの再編成工程は連続的であると考えられる。最初に、重鎖D-J結合が作製され、続いて重鎖V-DJ結合および軽鎖V-J結合が作製される。V、DおよびJセグメントの再編成に加えて、軽鎖のVセグメントとJセグメントが結合している位置および重鎖のDセグメントとJセグメントが結合している位置での可変組換えによって、免疫グロブリン重鎖と軽鎖の一次レパートリにさらなる多様性が生じる。軽鎖におけるそのような変動は、典型的にはV遺伝子セグメントの最後のコドンおよびJセグメントの最初のコドン内で生じる。結合における同様の不正確さは、DセグメントとJセグメントの間の重鎖染色体上で生じ、10ヌクレオチドにも及び得る。さらに、ゲノムDNAによってコードされないDとJ遺伝子セグメントの間、およびVとD遺伝子セグメントの間にいくつかのヌクレオチドが挿入され得る。これらのヌクレオチドの付加は、N領域の多様性として公知である。可変領域遺伝子セグメントにおけるそのような再編成およびそのような結合の間に起こり得る可変組換えの正味の影響は、一次抗体レパートリの生成である。
「超可変」領域という用語は、抗原結合に関与する抗体のアミノ酸残基を指す。超可変領域は、相補性決定領域またはCDRからのアミノ酸残基[すなわち、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,th Ed Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)によって記載されている、軽鎖可変ドメインの残基24~34(L1)、50~56(L2)および89~97(L3)、ならびに重鎖可変ドメインの残基31~35(H1)、50~65(H2)および95~102(H3)]を含む。単一のCDRでさえも、すべてのCDRを含む抗原結合部位全体よりも低い親和性ではあるが、抗原を認識して結合し得る。「フレームワーク」または「FR」残基は、超可変領域残基以外の可変領域残基である。
超可変「ループ」からの残基の代替的な定義は、軽鎖可変ドメインの残基26~32(L1)、50~52(L2)および91~96(L3)、ならびに重鎖可変ドメインの残基26~32(H1)、53~55(H2)および96~101(H3)としてChothia et al.,J.Mol.Biol.196:901-917(1987)によって記述されている。
「標的結合タンパク質」(TBP)という用語は、アフリベルセプト、アレファセプト、エタネルセプト、アバタセプト、ベラセプト、rFVIIIFc、rFIXFc、およびリロナセプト、または抗体もしくは抗体の免疫学的に機能性の断片、ならびにCDR由来の配列または関心対象の標的部分に特異的に結合するような所望の標的結合特性を有する他のリガンド結合部分を含む他の組換えタンパク質を含む
一般に、標的結合タンパク質は、同様の結合アッセイ条件下で、他の無関係な標的に対する親和性と比較して、その標的部分またはリガンドに対して有意により高い結合親和性を有し、その結果としてその標的部分またはリガンドを識別できる場合、関心対象の標的部分またはリガンドに「特異的に結合する」。典型的には、解離定数(K)が10-8M以下である場合、標的結合タンパク質はその標的に「特異的に結合する」と言われる。標的結合タンパク質は、Kが10-9M以下である場合は「高親和性」で、Kが10-10M以下である場合は「非常に高い親和性」で標的に特異的に結合する。
「同一性」という用語は、配列を整列して比較することによって決定される、2つ以上のポリペプチド分子または2つ以上の核酸分子の配列間の関係を指す。「同一性パーセント」とは、比較する分子のアミノ酸またはヌクレオチド間の同一残基のパーセントを意味し、比較する分子の最小のサイズに基づいて計算される。これらの計算のために、整列内のギャップ(ある場合)は、特定の数学モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち「アルゴリズム」)によって対処しなければならない。整列した核酸またはポリペプチドの同一性を計算するために使用できる方法には、Computational Molecular Biology,(Lesk,A.M.,ed.),1988,New York:Oxford University Press;Biocomputing Informatics and Genome Projects,(Smith,D.W.,ed.),1993,New York:Academic Press;Computer Analysis of Sequence Data,Part I,(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.),1994,New Jersey:Humana Press;von Heinje,G.,1987,Sequence Analysis in Molecular Biology,New York:Academic Press;Sequence Analysis Primer,(Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.),1991,New York:M.Stockton Press;およびCarillo et al.,1988,SIAM J.Applied Math.48:1073に記載されているものが含まれる。例えば、配列同一性は、2つのポリペプチドのアミノ酸の位置の類似性を比較するために一般的に使用される標準的な方法によって決定することができる。BLASTまたはFASTAなどのコンピュータプログラムを使用して、2つのポリペプチドまたは2つのポリヌクレオチド配列をそれぞれの残基の最適な一致のために整列させる(一方もしくは両方の配列の全長に沿って、または一方もしくは両方の配列の所定の部分に沿って)。これらのプログラムはデフォルトのオープニングペナルティおよびデフォルトのギャップペナルティを提供し、PAM 250[標準的なスコアリングマトリックス;Dayhoff et al.,Atlas of Protein Sequence and Structure,vol.5,supp.3(1978)参照]などのスコアリングマトリックスは、コンピュータプログラムと共に使用することができる。例えば、同一性パーセントは次のように計算することができる:同一の一致の合計数に100を乗じ、次いで一致したスパン内の長い方の配列の長さと、2つの配列を整列するために長い方の配列に導入したギャップの数の合計で除する。同一性パーセントの計算では、比較する配列を、配列間で最大の一致が得られるように整列する。
GCGプログラムパッケージは、同一性パーセントを決定するために使用できるコンピュータプログラムであり、このパッケージにはGAPが含まれる(Devereux et al.,1984,Nucl.Acid Res.12:387;Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,Wis.)。コンピュータアルゴリズムGAPを使用して、配列同一性パーセントを決定する2つのポリペプチドまたは2つのポリヌクレオチドを整列させる。配列を、それぞれのアミノ酸またはヌクレオチドの最適な一致(アルゴリズムによって決定される「一致したスパン」)のために整列する。ギャップオープニングペナルティ(平均対角の3倍として計算し、「平均対角」は使用されている比較行列の対角の平均である;「対角」は特定の比較行列によって各完全アミノ酸一致に割り当てられるスコアまたは数である)およびギャップ伸長ペナルティ(通常はギャップオープニングペナルティの1/10倍)、ならびにPAM 250またはBLOSUM 62などの比較行列をアルゴリズムと共に使用する。特定の実施形態では、標準的な比較マトリックス(PAM 250比較マトリックスについてはDayhoff et al.,1978,Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345-352;BLOSUM 62比較マトリックスの場合はHenikoff et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.89:10915-10919参照)もアルゴリズムによって使用される。
GAPプログラムを使用してポリペプチドまたはヌクレオチド配列の同一性パーセントを決定するための推奨パラメータには、以下のものが含まれる:
アルゴリズム:Needleman et al.,1970,J.Mol.Biol.48:443-453;
比較行列:前出のHenikoff et al.,1992からのBLOSUM 62;
ギャップペナルティ:12(ただし、末端ギャップペナルティなし)
ギャップ長ペナルティ:4
類似性の閾値:0
2つのアミノ酸配列を整列させるための特定の整列スキームは、2つの配列の短い領域のみの一致をもたらす可能性があり、2つの完全長配列間に有意な関係がない場合でも、この小さな整列領域は非常に高い配列同一性を有し得る。したがって、選択した整列方法(GAPプログラム)は、所望する場合、標的ポリペプチドの少なくとも50個の連続するアミノ酸にわたる整列をもたらすように調整することができる。
関心対象のタンパク質(例えば、アフリベルセプト、アレファセプト、エタネルセプト、アバタセプト、ベラセプト、rFVIIIFc、rFIXFc、およびリロナセプト)に関連して使用される場合の「修飾」という用語は、1つ以上のアミノ酸変化(置換、挿入または欠失を含む);化学修飾;治療薬または診断薬への結合による共有結合修飾;標識化(例えば、放射性核種または様々な酵素による);PEG化(ポリエチレングリコールによる誘導体化)などのポリマー共有結合、ならびに非天然アミノ酸の化学合成による挿入または置換を含むが、これらに限定されない。当業者に公知の方法によって、タンパク質は、「操作され」たタンパク質のコード配列が発現カセットに含める前に、改善された標的親和性、選択性、安定性、および/または製造可能性のために「操作され」得るまたは修飾され得る。
アフリベルセプト、アレファセプト、エタネルセプト、アバタセプト、ベラセプト、rFVIIIFc、rFIXFc、およびリロナセプトなどの関心対象のタンパク質に関連して使用される場合の「誘導体」という用語は、治療薬または診断薬への結合、標識化(例えば、放射性核種または様々な酵素による)、PEG化(ポリエチレングリコールによる誘導体化)などのポリマー共有結合、ならびに非天然アミノ酸の化学合成による挿入または置換によって共有結合的に修飾されたタンパク質を指す。
DNAのクローニング
DNAのクローニングは、標準的な技術を使用して実施される(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Guide,Vols 1-3,Cold Spring Harbor Press参照)。例えば、cDNAライブラリは、ポリA+mRNA、好ましくは膜結合mRNAの逆転写によって構築でき、このライブラリを、ヒト免疫グロブリンポリペプチド遺伝子配列に特異的なプローブを使用してスクリーニングし得る。しかし、一実施形態では、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、関心対象の免疫グロブリン遺伝子セグメント(例えば、軽鎖または重鎖可変セグメント)をコードするcDNA(または完全長cDNAの一部)を増幅する。増幅された配列は、任意の適切なベクター、例えば、発現ベクター、ミニ遺伝子ベクター、またはファージディスプレイベクターに容易にクローニングすることができる。関心対象のポリペプチドのある部分の配列、例えば、アフリベルセプト融合ポリペプチド配列を決定することが可能である限り、使用する特定のクローニング方法は重要ではないことが理解されよう。
抗体核酸の1つの供給源は、関心対象の抗原で免疫化した動物からB細胞を得て、それを不死細胞に融合することによって生成されるハイブリドーマである。あるいは、免疫動物のB細胞(または脾臓全体)から核酸を単離することができる。抗体をコードする核酸のさらに別の供給源は、例えばファージディスプレイ技術によって生成されたそのような核酸のライブラリである。関心対象のペプチド、例えば、所望の結合特性を有する可変領域ペプチドをコードするポリヌクレオチドは、パニングなどの標準的な技術によって同定することができる。
DNAの配列決定は、標準的な手法を使用して実施される(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、Sambrook et al.(1989)Molecular Cloning:A Laboratory Guide,Vols 1-3,Cold Spring Harbor PressおよびSanger,F.et al.(1977)Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74:5463-5467参照)。クローン化した核酸の配列を遺伝子およびcDNAの公開された配列と比較することによって、当業者は、配列決定された領域に応じて、容易に決定することができるであろう。遺伝子配列情報の1つの供給源は、National Library of Medicine,National Institutes of Health,Bethesda,MDである。
単離されたDNAは、制御配列に作動可能に連結するかまたは発現ベクターに導入することができ、これらを、さもなければ関心対象の組換えタンパク質を産生しない宿主細胞にトランスフェクトして、組換え宿主細胞におけるタンパク質の合成を指令する。免疫グロブリンおよび他のタンパク質の組換え生産は、当技術分野で周知である。
核酸は、別の核酸配列と機能的な関係に置かれている場合、作動可能に連結されている。例えば、プレ配列もしくは分泌リーダーのDNAは、ポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現される場合、ポリペプチドのDNAに作動可能に連結されている;プロモータもしくはエンハンサーは、配列の転写に影響を与える場合、コード配列に作動可能に連結されている;または、リボソーム結合部位は、翻訳を促進するように位置付けられている場合、コード配列に作動可能に連結されている。一般に、作動可能に連結されているとは、連結されているDNA配列が連続していること、分泌リーダーの場合は、連続しており、読み取り相にあることを意味する。ただし、エンハンサーは連続している必要はない。連結は、好都合な制限部位での結合によって達成される。そのような部位が存在しない場合は、合成オリゴヌクレオチドアダプタまたはリンカーを従来の慣例に従って使用する。
多くのベクターが当技術分野で公知である。ベクター成分には、そのすべてが当技術分野で周知である、以下の1つ以上が含まれ得る:シグナル配列(例えば発現されるタンパク質の分泌を指令し得る)、複製起点、1つ以上の選択マーカー遺伝子(例えば抗生物質または他の薬剤耐性を付与し得る、栄養要求性欠損を補完し得る、または培地で得られない重要な栄養素を供給し得る)、エンハンサーエレメント、プロモータ、および転写終結配列。
水および他の成分の純度。本発明で使用される水および他のすべての成分は、好ましくは、関心対象の法的管轄区域においてそのような医薬組成物および薬剤に求められる適用法令または薬局方基準、例えば、米国薬局方(USP)、欧州薬局方、日本薬局方、または中国薬局方などを満たす純度レベルのものである。例えば、USPによれば、注射用蒸留水は、製品の内毒素含有量が制御されなければならない非経口製剤および他の製剤の生産において、ならびに特定の機器および非経口製品と接触する成分の洗浄などの他の医薬用途で賦形剤として使用される;注射用蒸留水を生成するための供給源または給水の最低品質は、米国環境保護庁(U.S. Environmental Protection Agency)(EPA)、EU、日本、またはWHOによって定義される飲料水である。
患者に投与する前に、関心対象の治療用組換えタンパク質は、無菌性、内毒素またはウイルス夾雑物の欠如などの、関心対象の法的管轄区域において医薬組成物および薬剤に求められる適用法令または薬局方基準を満たすべきである。
緩衝液系
夾雑物から関心対象のグリコシル化組換えタンパク質を精製する本発明の方法で使用される緩衝液(1つまたは複数)は、約5~100mM濃度の範囲の緩衝液を含み得る。本発明の方法を実施するための適切な緩衝系は、リン酸緩衝液、MES緩衝液、トリス緩衝液、ビス-トリス緩衝液、ヒスチジン緩衝液、アルギニン緩衝液、酢酸緩衝液、コハク酸緩衝液、クエン酸緩衝液、グルタミン酸緩衝液、および乳酸緩衝液から選択することができ、または、緩衝液はこれらの緩衝液系の2つ以上の組合せであり得る。本発明のいくつかの有用な実施形態は、約5mM~約20mMの範囲の緩衝液濃度を有し、他の実施形態は、約5~約10mMの緩衝液濃度を有する。
使用される緩衝液は、任意で、約0.001(w/v)~約0.1%(w/v)の濃度で非イオン性界面活性剤を含み得る。有用な非イオン性界面活性剤は、ポリソルベート20、ポリソルベート80、Brij(登録商標)35(すなわちポリエチレングリコールドデシルエーテル)、ポロキサマー188(すなわちプルロニックF68;ポリエチレン-ポリプロピレングリコール;ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックコポリマー;ポリ(エチレンオキシド-コ-ポリプロピレンオキシド))、またはTriton(商標)X-100(すなわち4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル-ポリエチレングリコール))であり得る。アルキルサッカライドまたはアルキルグリコシド(例えば、Aegis Therapeutics,LLCによってProTek(登録商標)の商品名で市販されている;例えば、Maggio,Stabilizing Alkylglycoside Compositions And Methods Thereof,米国特許第8,133,863 B2号参照)も、本発明を実施するための「非イオン性界面活性剤」に包含される。
電解質
夾雑物から関心対象のグリコシル化組換えタンパク質を精製する本発明の方法は、プロテインAマトリックスからのPOIの溶出から生じる溶出液プール中のPOIを、pH5.0~5.5の低伝導率緩衝液中の陽イオン交換マトリックスに結合する工程を含む。これは、典型的には約2~15mSの伝導率を有する緩衝液である。任意で、プロテインAマトリックスからの溶出液プール中のPOIを陽イオン交換マトリックスに結合する前に、溶出液プールを、珪藻土による深層ろ過に供することができる。好ましくは、任意の深層ろ過工程で使用される珪藻土は、使用前に約0.1M~約1Mクエン酸塩のクエン酸緩衝液(約pH4~約pH6の緩衝液)でフラッシュすることによって前処理した。この前処理クエン酸緩衝液フラッシュは、任意の深層ろ過で使用される珪藻土から、いくつかの付着した金属カチオンを有意に除去することができる。
陽イオン交換マトリックスへの結合後、POIを、陽イオン交換マトリックスから、最大約40~100mSまで次第に高くなる伝導率の電解質濃度勾配(直線または段階勾配)でCEX溶出液プールに溶出する。したがって、CEX溶出に適した勾配範囲は、2~100mSの伝導率範囲を有する。特定のPOIに応じて、有効な勾配範囲は2~70mSであり得、例えばアフリベルセプトを精製するための有用な勾配範囲は、約15mS~最大約66mSまでの範囲で緩衝液の伝導率を増加させ得る。伝導率を調整するための有用な電解質には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、および硫酸ナトリウムが含まれる。
本発明の方法の次の工程は、pH5.0~6.0の高伝導率緩衝液中の疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)マトリックスにCEX溶出液プールを負荷し、HICマトリックスを洗浄する(数倍量の高伝導率緩衝液、例えば、典型的には3倍以上のカラム容量で)ことである。HIC負荷のための高伝導率緩衝液は、典型的には約40~100mSの伝導率である。HIC洗浄緩衝液は、高伝導率のHIC負荷緩衝液と同じ緩衝液でも異なる緩衝液でもよいが、伝導率が同じかそれ以上で、pH5.0~6.0であるべきである。伝導率を調整するための有用な電解質には、塩化ナトリウム、塩化カリウム、および硫酸ナトリウムが含まれる。
本発明の例示的な実施形態
さらなる例示として、以下の番号付けされた実施形態が本発明に包含される:
実施形態1:夾雑物から関心対象のグリコシル化組換えタンパク質を精製する方法であって、以下の工程:
(a)プロテインAマトリックスに、ほぼ中性のpHで、関心対象のグリコシル化組換えタンパク質(POI)およびガレクチン宿主細胞タンパク質(HCP)夾雑物を含む宿主細胞培養上清またはろ液を負荷する工程であって、ここで、POIは、免疫グロブリンFcドメインのC2およびC3ドメインならびにガレクチン-3夾雑物が可逆的に結合した1つ以上の末端β-ガラクトシル残基を含む、工程;
(b)POIが結合したプロテインAマトリックスを、1~3Mの塩化カルシウムを含む約pH6.0~6.5の緩衝液で洗浄する工程;
(c)約pH4未満のクエン酸またはクエン酸塩を含む緩衝液でPOIをプロテインAマトリックスから溶出液プールに溶出する工程であって、
(i)溶出液プールがpH3.3~3.7のpH範囲よりも塩基性である場合、溶出液プールをクエン酸でpH3.3~3.7に滴定し、および
(ii)任意で、ウイルス不活性化に十分な期間、溶出液プールをpH3.3~3.7に保持する工程;
(d)(c)からの溶出液プール中のPOIを、pH5.0~5.5で、約2~15mSの低伝導率緩衝液中の陽イオン交換マトリックスに結合する工程;
(e)陽イオン交換マトリックスから、最大約40~100mSまで次第に高くなる伝導率の電解質濃度勾配で、POIをCEX溶出液プールに溶出する工程;ならびに
(f)CEX溶出液プールを、pH5.0~6.0の高伝導率緩衝液中の疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)マトリックスに負荷し、HICマトリックスを洗浄し、それによってPOIをガレクチンHCP夾雑物から分離する工程
を含む方法。
実施形態2:(b)において、POIが結合しているプロテインAマトリックスを洗浄する工程が、2~2.7Mの塩化カルシウムを含む緩衝液を使用する、実施形態1に記載の方法。
実施形態3:POIがアフリベルセプト、アレファセプト、エタネルセプト、アバタセプト、ベラセプト、rFVIIIFc、rFIXFc、およびリロナセプトから選択される、実施形態1~2に記載の方法。
実施形態4:POIがアフリベルセプトである、実施形態1~3に記載の方法。
実施形態5:ガレクチンHCP夾雑物がガレクチン-3である、実施形態1~4に記載の方法。
実施形態6:宿主細胞培養上清またはろ液が金属カチオン夾雑物をさらに含み、POIが金属カチオン夾雑物からも分離される、実施形態1~5に記載の方法。
実施形態7:金属カチオン夾雑物が、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、銅、亜鉛、鉄、マグネシウム、マンガン、水銀、ニッケル、およびストロンチウムカチオンから選択される、実施形態1~6に記載の方法。
実施形態8:金属カチオン夾雑物が鉄カチオンである、実施形態1~7に記載の方法。
実施形態9:(c)からの溶出液プール中のPOIを陽イオン交換マトリックスに結合する前に、溶出液プールを、珪藻土によるろ過を含む深層ろ過に供する工程をさらに含む、実施形態1~8に記載の方法。
実施形態10:珪藻土がクエン酸緩衝液で前処理された、実施形態1~9に記載の方法。
以下の実施例は例示であり、いかなる形でも本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
例1:材料および方法
POIは患者への最終的な投与を意図していないため、本明細書で説明するすべての実験で使用する水は、Milli-Q(登録商標)Integral Water Purification System(Merck)を用いて精製した。
CHOガレクチン除去試験:
ハイスループットスクリーニング(「HTS」)。下流のHTS試験を、Tecan Freedom EVO(登録商標)ロボット液体ハンドリングシステム(Tecan US,Research Triangle Park,NC,USA)を使用して実施した。ロボット液体ハンドリングシステムは、自動化されたマイクロクロマトグラフィを容易にするためにTe-Chromコンポーネントで構成された。濃度と濁度の測定は、内蔵マイクロプレートリーダで実施した。樹脂は、Atoll(Weingarten,Germany)から予備充填された450μLのRoboColumns(登録商標)として入手した;8つのこのようなカラムを、実験に応じて、結合溶出(BEM)モードまたはフロースルー(FT)モードのいずれかで並行して操作した。
プロテインAクロマトグラフィ。HTSプロテインA洗浄スクリーニング試験を、MabSelect SuRe(登録商標)プロテインA樹脂(GE Healthcare,Piscataway,NJ,USA)を含むRoboColumns(登録商標)を使用してBEMで実施した。カラムを平衡化緩衝液(25mMトリス、100mM NaCl、pH7.4)で平衡化させ、次いで収集した細胞培養液を樹脂1リットルあたりおよそ10gまで負荷した。負荷後、平衡化緩衝液(「EQ」)を使用した3倍カラム容量(「CV」)の平衡化洗浄工程を実施した。次に、実験比較のために、各カラムを以下の洗浄緩衝液の1つで洗浄した:
25mMトリス、480mMラクトース pH7.3;
25mM MES、2M CaCl pH6.0;
25mM MES、2M CaCl pH6.5;
25mMトリス、2M CaCl pH7.0;
25mM MES、750mMアルギニン pH6.0;
25mM MES、750mMアルギニン pH6.5;または
25mMトリス、750mMアルギニン pH7.0。
2番目の実験は、4倍カラム容量について25mM MES、pH6で緩衝した塩化カルシウム(0.25~2.63M)の漸増濃度によるWash 2条件を使用して実施した。次いで、3回目の洗浄は2倍カラム容量のEQで実施した。カラムを、4倍カラム容量の25mMクエン酸塩pH3.6を使用して96ディープウェルプレート(Qiagen Sciences,Germantown,Maryland,USA)に溶出した。2Mトリス塩基を使用して、その後の溶出プールをpH5に中和した。各カラムからの溶出プールの製品濃度を、CHOガレクチン-3タンパク質標準品を用いて製造者が推奨するプロトコルを使用して、分析プロテインA HPLCおよびガレクチン-3 ELISA(R&D systems,Minneapolis,MN,USA)によって測定した。
CEXクロマトグラフィ。HTS NaCl溶出勾配スクリーニングを、Fractogel(登録商標)SO またはFractogel(登録商標)COO(EMD Millipore,Billerica,MA,USA)を含むRoboColumns(登録商標)を使用して、20cm/時で実施した。CEXカラムは、負荷の前に目標pH(pH4.5~6.0)および伝導率(およそ3~8mS/cm)に平衡化させた。平衡化後、15~30g/Lの樹脂をカラムに負荷した。平衡化緩衝液での洗浄工程に続いて、カラムを段階的塩化ナトリウム勾配で溶出した。溶出画分(1CV/画分)を、280nmの吸光度(A280)による製品濃度分析とサイズ排除クロマトグラフィ(SEC)による純度、ガレクチン-3特異的ELISA、および製造者が推奨するプロトコルを使用したCHO宿主細胞タンパク質(HCP)特異的ELISA(Cygnus,Southport,NC)を含むさらなる分析のために、96ディープウェルプレート(Qiagen Sciences,Germantown,Maryland,USA)に収集した。個々の画分からの結果を使用して、擬似クロマトグラムを作成した。各画分からの累積結果を使用して、収率と物質収支を計算した。
Aktaexplorer 100またはAktapurifier 100(GE Healthcare Life Sciences,Piscataway,NJ,USA)液体クロマトグラフィシステムを使用して、ベンチスケールのクロマトグラフィ実験を実施した。Fractogel(登録商標)SO (EMD Millipore,Billerica,MA,USA)およびFractogel(登録商標)COO樹脂を、およそ15~20cmの床高さまで1.15cm IDまたは3.2cm IDのVantageカラム(EMD Millipore,Billerica,MA,USA)に充填した。実験は140~180cm/時で実施した。CEXカラムを、負荷の前におよそ6mS/cmの伝導率の酢酸ナトリウム緩衝液中でpH5.0またはpH5.5に平衡化させた。次に、中和したプロテインA溶出液プールをおよそ20~30g/L樹脂までカラムに負荷し、平衡化緩衝液で洗浄し、10~20CVについてカラム容量(CV)あたり50mM NaClによってNaCl濃度を漸増する直線勾配で溶出した。クロマトグラフィの実施中、カラム溶出液のpH、伝導率、および吸光度をモニターした。溶出期の間、画分を収集し、A280、SEC、CHO HCP特異的ELISA、およびガレクチン-3特異的ELISAによって製品濃度を測定した。プールの回収率と純度を個々の画分から計算さした。
HICクロマトグラフィ。HTS NaCl勾配スクリーニングを、Toyopearl(登録商標)Butyl 650M(Tosoh,King of Prussia,PA,USA)およびPhenyl Sepharose(登録商標)Fast Flow High Sub(GE Healthcare,Piscataway,NJ,USA)を充填したRoboColumns(登録商標)を使用して実施した。カラムに、NaClで調整した中和プロテインAプールを樹脂1リットルあたり製品25g(g/Lr)まで負荷した。溶出塩勾配は、高塩濃度から低塩濃度まで段階的に実施した。スクリーニングした緩衝液/塩条件には、酢酸ナトリウム/NaCl、MESナトリウム/NaCl、酢酸ナトリウム/硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムおよびリン酸ナトリウムが含まれた。すべての工程は20cm/時で実施した。フロースルー画分および溶出画分を、タンパク質濃度(A280およびSECによる)について、およびガレクチン-3特異的ELISAによって分析した。
HTS HIC製品フロースルースクリーニングを、Toyopearl(登録商標)Butyl 650Mを充填したRoboColumns(登録商標)を使用して、20cm/時で実施した。負荷物は、中和したプロテインA溶出液プール材料であり、これを1CVの増分で70~125g/L樹脂までカラムに適用した。6~9CVの洗浄量も、1CV増分で実施した。画分を収集し、タンパク質濃度について分光学的に(A280)、およびガレクチン-3特異的ELISAによって分析した。
ベンチスケールの実験を、内径(ID)1.15cm×床高さ25cm~ID 3.2cm×床高さ25cmの範囲のサイズのVantage(登録商標)Lクロマトグラフィカラムに充填したToyopearl(登録商標)Butyl 650M樹脂を使用して180cm/時で、Aktapurifier 100(GE Healthcare Life Sciences)で実施した。カラムに100~125g/Lrを負荷した。フロースルー製品プールは、画分として収集するかまたはUV吸光度に基づいて収集した。画分またはフロースルー洗浄/製品プール試料を、A280、SEC、CHO HCP特異的ELISA、およびガレクチン-3特異的ELISAによってタンパク質濃度について分析した。
鉄除去試験:
プロテインAクロマトグラフィ。HTSプロテインA洗浄スクリーニングを、MabSelect SuRe(登録商標)プロテインAを充填したRoboColumns(登録商標)を使用して、45cm/時で実施した。カラムに12g/Lrを負荷し、3CVのEQで洗浄し、続いて2回目の洗浄(Wash 2)では4CVの異なる緩衝液条件で洗浄した。スクリーニングしたWash 2緩衝液は以下の条件を含んだ:
50mMクエン酸ナトリウム pH6.0;
50mMクエン酸ナトリウム pH7.0;
200mMクエン酸ナトリウム pH6.0;
200mMクエン酸ナトリウム pH7.0;
125mMトリス、500mM NaCl、pH7.4;
25mMトリス、100mM NaCl、pH7.4;
25mMトリス、100mM NaCl、5mM EDTA、pH7.0;または
25Mトリス、100mM NaCl、5mM EDTA、pH8.0。
Wash 2の後に、さらなる3CVの平衡化緩衝液で洗浄した。上記のように、Wash 2および溶出画分をタンパク質濃度について分析した。これらの画分は、従来の誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)アッセイを使用して、鉄レベルについBrooks Analytical Laboratory(Bothell,WA,USA)によっても分析された。
ベンチスケールのプロテインA、低pHウイルス不活性化(「VI」)、およびCEX実験。主要なプロテインA Wash 2条件を、MabSelect SuRe(登録商標)プロテインAを充填した内径1.15cm×カラム高さ25cmのカラムを使用して250cm/時で、Aktapurifier 100でベンチスケールで実施した。カラムに、収集した細胞培養液(HCCF)を19g/L樹脂まで負荷した。洗浄緩衝液の量は、Wash 1では2CVのEQ、Wash 3では3CVのWash 2および3CVのEQに低減した。2つの異なるWash 2条件を比較した:EQ緩衝液(25mMトリス、100mM NaCl、pH7.4)および500mMクエン酸ナトリウム、pH5.5。両方ともpH3.6の100mM酢酸ナトリウムと25mMクエン酸ナトリウムの溶出緩衝液も比較した。溶出プールを2つのアリコートに分けた。1つのアリコートを、2Mクエン酸を使用して3.5のより低いpHに滴定し、60分間保持して、低pHウイルス不活性化(VI)操作をシミュレートし、2Mトリス塩基を使用してpH5.0に中和した。2番目のアリコートは、2Mトリス塩基を使用してpH5.0への中和のみを行った。
生じた4つの製品プール、すなわち:低pH保持あり/なしの酢酸ナトリウム溶出および低pH保持あり/なしのクエン酸ナトリウム溶出プールを、Fractogel(登録商標)COOを充填したRoboColumns(登録商標)を使用したHT-CEXクロマトグラフィによって精製した。カラムに20g/Lrまで負荷し、100mM酢酸ナトリウム(pH 5.5)緩衝液中、40mM NaCl/CVの勾配で段階的にNaCl溶出勾配を実施した。すべての工程は20cm/時で実施した。画分をプールし、A280によってタンパク質濃度について分析した。すべての工程からの試料を、誘導結合プラズマ質量分析(ICP-MS)によって鉄について分析した。
例2:アフリベルセプトからのCHOガレクチン-3の除去
プロテインAクロマトグラフィ洗浄スクリーニング実験。「Wash 2」として2M CaClまたは750mMアルギニン緩衝液を含む緩衝液を使用して、CHOガレクチン-3とアフリベルセプト間の相互作用を妨げることができるかどうかを判定するためにHTSスクリーニング実験を実施した。実験は、Tecan液体ハンドラーで8つのMabSelect SuRe(登録商標)プロテインA充填RoboColumns(登録商標)を使用して実施した。カラム平衡化、負荷後のWash 1およびWash 3を、平衡化緩衝液(「EQ」;25mMトリス、100mM NaCl、pH7.4)を使用して実施した。溶出は、25mMクエン酸塩、pH3.6を使用して実施し、すべてのプールを2Mトリス塩基でpH5.0に中和した。アフリベルセプトを含む収集した細胞培養液を負荷のために使用し、すべてのカラムに同じ製品質量を負荷した。Wash 2については、ガレクチン-3結合に関して競合できるβ-ガラクトース部分が含まれているため、480mMのラクトースを陽性対照として使用した。平衡化緩衝液(EQ;25mMトリス、100mM NaCl、pH7.4)をWash 2陰性対照として使用した。ラクトース含有緩衝液は、EQと比較して2対数のガレクチン-3を除去することができた(以下の表1)。2M CaCl洗浄は、EQよりも1対数多いガレクチン-3を除去し、pH6.0およびpH6.5では有意な製品損失は観察されなかった。pH 7.0での2M CaCl洗浄によって有意な量の製品が除去され、このpHがこの特定の製品にとって理想的ではないことを示した。アルギニン洗浄は、EQと比較して0.5対数をわずかに超えるガレクチン-3を除去し、pH6.0およびpH6.5での洗浄中に有意な収量損失が観察されたが、pH7.0では観察されなかった。
表1.最初のプロテインAのWash 2スクリーニングの結果。HCCF=収集した細胞培養液;NA=該当せず;EQ=平衡化緩衝液、すなわち25mMトリス、100mM NaCl、pH7.4。
Figure 0007097433000002
2回目の実験は、有効なガレクチン-3除去が予想できる塩化カルシウムの範囲を推定するために、MabSelect SuRe(登録商標)プロテインA充填RoboColumns(登録商標)を使用して上記のように実施した。Wash 2のCaCl濃度を、pH6.0の20mM MESで緩衝した0.25M~2.63Mで試験した。EQを陰性対照として使用した。結果を以下の表2に示す。対照条件と比較して、プロテインA工程の収率は最大2.40M CaClまで一貫していた。より高いCaCl濃度では、工程収率の低下が観察され、試験に使用された製品(アフリベルセプト)に特異的である可能性が最も高いが、他の分子では必ずしも観察されない。工程収率とは無関係に、収集した細胞培養液(HCCF)と比較した場合、ガレクチン-3クリアランスは試験した条件全体にわたって高かった。CaCl洗浄なしのプロテインA溶出液プールのガレクチン-3濃度と比較すると、0.25M CaClではガレクチン-3の除去が全くなく、0.5M CaClではガレクチン-3の除去は4%のみであった。1.0M CaClでは、さらなるガレクチン-3の除去は控えめ(24%)であった。2.0~2.63MのCaClでは、さらに42~52%のガレクチン-3の除去が観察された。このグリコシル化組換えタンパク質分子では、対照と比較して、1.0M以上の濃度でCaCl洗浄を使用することによってガレクチン-3のさらなる除去を達成できることが観察された。この実験で、最大2.63MのCaClで有効なガレクチン-3除去が起こることも観察された。これらの実験結果から、ガレクチン-3の除去にはさらに高いCaCl濃度(塩化カルシウムの溶解度によって制限される)が有効であり得ると予想される。同様に、ガレクチン-3とPOIの間の相互作用に依存して、他のグリコシル化組換えタンパク質製品にはより低いCaCl濃度が有用である可能性がある。本発明の方法の実施において、適切なCaCl濃度の選択は、関心対象のタンパク質の工程収率とガレクチンクリアランスの望ましいバランスを含む。
表2.プロテインAのWash 2 CaClスクリーニング試験の結果。NA=該当せず。
Figure 0007097433000003
CEXクロマトグラフィスクリーニング実験。高い回収率を維持しながら、凝集産物および特定のタンパク質ガレクチン-3を含むCHO宿主細胞タンパク質の適切な除去をもたらす操作条件を同定するために、CEX樹脂を使用した初期実験をベンチスケールで実施した。10CVのNaCl溶出勾配を使用したFractogel(登録商標)SO によるスクリーニング試験は、高い収率が達成可能であるが、およそ90%の収率で高分子量(HMW)種においてわずかな(<20%)減少があることを示した。図1は、二量体、オリゴマー、および総HMWを重ね合わせたCEXクロマトグラムを示す。図2は、計算された溶出液プール純度と全溶出液プールのHMW含有量を重ね合わせたCEXクロマトグラムを示す。
このCEXの実施がガレクチン-3も除去できるかどうかを判定するために、ペプチドマップに基づく多属性法(「MAM」;Rogers,R.et al.,Development of a quantitative mass spectrometry multi-attribute method for characterization,quality control testing and disposition of biologics,mAbs,7(5):881-890(2015))を使用して、溶出画分中のガレクチン-3レベルを調べ、定量した(以下の表3)。さらに、表3は、Cygnus HCP ELISAで測定した総CHO宿主細胞タンパク質の濃度を示す。図3は、様々なNaCl溶出勾配画分におけるガレクチン-3、一般的な宿主細胞タンパク質(HCP)、および関心対象の製品の比較を示す。
Fractogel(登録商標)SO カラムから溶出した個々の画分の分析は、POIと共溶出するHCPおよびガレクチン-3が少量存在することを示した。しかし、80%を超えるPOIが溶出した後、総HCPとガレクチン-3の両方の溶出が急激に増加した。これは、Fractogel SO が、高い製品回収率を維持しながら、有意な量のガレクチン-3を製品から分離できることを示す。さらに、ガレクチン-3の溶出傾向は総HCPの溶出傾向を反映しており、製品負荷で観察されたHCPの大部分がガレクチン-3であったことを意味する。これはさらに、Cygnus HCP ELISAによって検出された宿主細胞タンパク質(HCP)除去がガレクチン-3除去の良好な指標であることを意味する。
Fractogel(登録商標)SO がガレクチン-3の除去をある程度提供できるという観察に基づき、HTSを使用してガレクチン-3の除去を改善するためのCEX操作条件をスクリーニングした。これらの試験では、Tecan液体ハンドリングシステムを使用して、強陽イオン交換体Fractogel(登録商標)SO および弱陽イオン交換体Fractogel(登録商標)COOをそれぞれRoboColumns(登録商標)で、pH4.5、5.0、5.5、および6.0でスクリーニングした。カラムに30g/Lの樹脂を負荷し、20CVにわたって50mM/CVの段階的NaCl勾配で溶出した。溶出勾配の画分を収集し、ELISAによって製品濃度およびガレクチン-3濃度を測定した(図4A~図4Dおよび図5A~図5D)。
Fractogel(登録商標)SO およびFractogel(登録商標)COOでのPOIとガレクチン-3の相対的保持率の比較は、より低いpHでは、ガレクチン-3がPOI溶出ピークの尾部に溶出することを明らかにした。pHが、Fractogel(登録商標)COOでpH5.0に、Fractogel(登録商標)SO でpH5.5に上昇すると、ガレクチン-3の溶出は勾配のより早期にシフトし、したがってPOI溶出ピークと重なった。Fractogel(登録商標)COOの場合、ガレクチン-3はpH4.5勾配でPOIからのある程度の分離を示したが、Fractogel(登録商標)SO と比較すると控えめであった。
サイズ排除クロマトグラフィによる製品回収率と製品単量体%の比較を図6に示す。ELISAによる製品回収率とガレクチン-3除去を図7に示す。
表3.個々のCEX溶出勾配画分中のガレクチン-3および総CHO HCP濃度。HCP=宿主細胞タンパク質;NA=該当せず;NT=試験せず;MAM=質量分析の多属性法(Rogers,R.et al.,mAbs,7(5):881-890(2015)参照)
Figure 0007097433000004
これらの実験中、高分子量(HMW)種の全体的な除去もSECによってモニターし、両方の樹脂について、高収率と高製品純度の両方を達成できる広範囲の操作条件が存在することが認められた。予想外ではないが、100%の工程収率に近づくと、製品純度が低下したが、すべての条件下で純度は98%を超えた。
統計ソフトウェアパッケージ(JMP、SAS、バージョン12.1.0、2015)を使用して、工程収率、ガレクチン-3除去、およびCEXプールのHMW含有量についての回帰分析も実施し、工程設定値を定義するための予測モデルを作成した。SECによる収率、ガレクチン-3濃度、および純度の等高線図を、Fractogel(登録商標)SO については図8A~Cに、Fractogel(登録商標)COOについては図9A~Cに示す。負荷試料のHMWおよびガレクチン-3濃度は、それぞれ1.2%および13.8ng/mgであった。
予想外ではないが、pHまたは溶出NaCl強度が増加すると、強陽イオン交換体と弱陽イオン交換体の両方の工程収率が上昇した。さらに、SECによる純度は、試験した条件の範囲全体にわたって高かった。試験した両方の樹脂について、ガレクチン-3の除去はpHを下げることによって改善された。Fractogel(登録商標)COOの場合、ガレクチン-3の最良の除去はpH4.5においてであったが、操作ウィンドウは小さく、pH5.0以上でわずかに除去された。Fractogel(登録商標)SO はガレクチン-3除去のより大きな操作ウィンドウを有しており、pH4.5~5.5でクリアランスが観察された。Fractogel(登録商標)SO の最適な操作pHは、低いpHでのCEXの操作を回避しながらガレクチン-3の除去を最大化するためにpH5.0付近であると考えられた。
CEX Robocolumn(登録商標)スクリーニングのガレクチン-3除去結果を、pH5.0で操作したFractogel(登録商標)SO カラムを使用してベンチスケールで確認した。ベンチスケールカラムのCEX方法はRoboColumns(登録商標)と同様で、pH5.0の酢酸ナトリウム緩衝液中の0~1M NaClの20CV溶出勾配を使用した。勾配溶出の結果を図10に示す。負荷物質は、質量分析多属性法(「MAM」;Rogers,et al.,Development of a quantitative mass spectrometry multi-attribute method for characterization,quality control testing and disposition of biologics,mAbs 7(5):881-890(2015))では57.5ng/mgのガレクチン‐3、およびガレクチン‐3 ELISAでは5.6mg/mgを含んだ。勾配がおよそ500mMナトリウムを上回る場合、溶出ピークの尾部はガレクチン-3に富んでいたが、ピークの主要部分はいくらかのガレクチン-3除去を示した。CEXプール中のガレクチン-3のレベルは、溶出の終了時に収集するピークの割合を増やすことによってさらに制御することができる。
HICクロマトグラフィスクリーニング。ガレクチン-3除去のための2つのHIC樹脂:Phenyl Sepharose(登録商標)Hi-SubおよびToyopearl(登録商標)Butyl 650Mを評価するために、RoboColumns(登録商標)によるHTSスクリーニングを使用した。これらの樹脂を、pH5.0の酢酸ナトリウム緩衝液とNaClまたは硫酸ナトリウム、pH6.0のMESナトリウム緩衝液とNaClまたは硫酸ナトリウム、pH5.0および6.0のクエン酸ナトリウム、pH6.0および7.0のリン酸ナトリウムを用いて結合溶出モードでスクリーニングした。プロテインA精製アフリベルセプトの負荷物質は、ELISAで18ng/mgのガレクチン-3を含み、これを25g/Lの樹脂に負荷した。高塩から低塩への塩勾配を使用して、結合製品を溶出させた。フロースルー、洗浄、および溶出勾配ピークの画分をガレクチン-3 ELISAによって分析した。結果を図11A~図11Hおよび図12A~図12Hに示す。この製品は、試験したいずれの条件でもHIC樹脂のどちらにも強く結合しなかった。しかし、両方の樹脂がある程度のレベルのガレクチン-3を除去した。Butyl 650Mは、検出可能なガレクチン-3を含む画分がごくわずかであったので、ガレクチン-3の最も堅固なクリアランスを有していた。
最も堅固なガレクチン-3除去を有するButyl 650Mの最適なpHおよび塩の操作範囲を決定するために、2回目のRoboColumn(登録商標)スクリーニングを実施した。ガレクチン-3は製品よりも樹脂により強く結合するようであったため、この実験は製品フロースルーモードで実施した。2つの異なるレベルのNaClを4つの異なるpHで評価した。pH5.0および5.5では、酢酸ナトリウムを緩衝液として使用した。pH6.0および6.5では、MESナトリウムを緩衝液として使用した。負荷物質は、洗浄液と同じpHおよび塩濃度になるように調整し、カラムに最大100g/Lの樹脂を負荷した。フロースルーの画分を収集し、増加する負荷レベルを表すミニプールをガレクチン-3について分析した。さらに、負荷後の洗浄液を収集し、2つの画分で分析し、初期画分は製品ウォッシュアウトの大部分を含み、後期画分はウォッシュアウトのテーリング部分を含んだ。結果を以下の表4に示す。この結果は、Butyl 650M樹脂によるガレクチン3の除去にはより高い塩濃度とより低いpHが最適であり、pH5.0で完全なクリアランスを示すことを指示する。ガレクチン-3のブレイクスルーは負荷レベルが高くなるにつれて増加し始めるが、ガレクチンの除去は100g/Lの樹脂負荷でも依然として有意であり、ガレクチンの大半または全部が負荷後洗浄中もカラムに結合したままであると考えられる。
表4.Butyl 650M樹脂を使用したRoboColumn(登録商標)フロースルースクリーニングからの画分の特異的ELISAによって決定したガレクチン-3レベル。LOQ=アッセイの定量限界。
Figure 0007097433000005
ハイスループットフロースルースクリーニングの結果をベンチスケールのButyl 650Mカラムで確認した。カラムに、pH5.0の400mM NaClで調整したCEXプールを負荷した。125g/L樹脂まで収集したフロースルーの画分、および負荷後洗浄液をガレクチン-3 ELISAによって分析した(以下の表5参照)。
表5.Butyl 650M樹脂を使用したベンチスケールフロースルースクリーニングからの画分のELISAによるガレクチン-3レベル。LOQ=アッセイの定量限界。
Figure 0007097433000006
例3:鉄カチオンの除去による組換えタンパク質の精製
プロテインAクロマトグラフィスクリーニング。Tecan液体ハンドラーで8つのMabSelect SuRe(登録商標)プロテインA充填カラムを使用して、鉄を除去するためのWash 2条件のハイスループットRoboColumn(登録商標)スクリーニングを実施した。カラムを平衡化し、鉄を含む収集した細胞培養液(HCCF)を同様に負荷し、続いて平衡化緩衝液(EQ:25mMトリス、100mM NaCl、pH7.4)で洗浄した。次に、各カラムを、クエン酸塩およびEDTAなどの公知の金属キレート化合物からなる異なる二次洗浄液で洗浄し、EQを陰性対照として使用した。二次洗浄に続いてEQで洗浄し、低pH緩衝液を使用して製品を溶出させた。溶出プールをICP-MSによる鉄定量に供した(図13)。すべての溶出プールは有意の量の鉄を含み、EQ条件は最も高いレベルであり、200mMクエン酸塩のWash 2条件はおよそ200ppmの除去を示した。EDTA Wash 2はわずかな除去のみを提供した。
Wash 2緩衝液中のより高いレベルのクエン酸塩がより多くの鉄を除去できるかどうかを判定するために2回目のRoboColumn(登録商標)洗浄スクリーニングを実施した。結果を図14に示す。クエン酸塩のレベルを上げると、ICP-MSによって測定されたように、有意に多くの鉄除去をもたらした。興味深いことに、pH5.5の低pH条件は、pH6.0と比較して鉄の除去をわずかに改善し、より低いpHがクエン酸塩による鉄キレート化を改善し得ることを示した。
クエン酸塩と低pHの複合効果の観察により、低pH溶出工程でクエン酸塩を使用する利点と、その後のウイルス不活性化のための低pH保持の利点を比較する試験を実施した(図15の実験の概略図参照)。200mMクエン酸塩のWash 2またはEQのWash 2のいずれかで、pH3.6の25mMクエン酸塩溶出を使用して2つのベンチスケールのプロテインA実験を実施した。得られた溶出プールのアリコートを2つに分け、各溶出プールの半分を、クエン酸を使用して1時間のウイルス不活性化保持のためにpH3.5に滴定し、残りの半分をpH5.0に中和した。その後の4つのプールはすべてCEX RoboColumns(登録商標)にかけ、キレート化された鉄を製品から除去した。CEXプールを、EQ Wash 2および酢酸ナトリウム溶出を使用した対照CEXプールと共にICP-MS分析に供した(図16参照)。結果は、クエン酸塩溶出の追加が、製品に結合した鉄の量を有意に減少させたことを明らかにする。さらに、クエン酸塩洗浄、溶出、および低pHウイルス不活性化の組合せは、検出限界以下までの鉄の除去をもたらした。
次に、鉄の存在が製品の安定性に影響を与えるかどうかを酢酸塩判定するために、高鉄プール(EQ Wash 2、溶出、低pH VIなし)および低鉄プール(クエン酸塩Wash 2、クエン酸塩溶出、クエン酸低pH VI)の試料を加速安定性に置いた。試料を、40g/Lの濃度で10mMホスファート、40mM NaCl、5%(w/v)スクロースおよび0.03%PS-20に製剤化し、30°Cに保持した。2週間ごとの時点で、分析SECによって高分子量(HMW)種について試験した。データを図17に示す。高鉄試料は、低鉄試料と比較して、HMWの増加率が大きく、茶色がかった色も有していた(図18参照)。高鉄試料の色は茶色/黄色4標準(BY4)に相当し、低鉄試料の色は茶色/黄色5および6標準(BY5およびBY6)の間である。
例4:下流工程にわたるガレクチンおよび金属カチオンの除去
組換えアフリベルセプトからのCHOガレクチン-3および鉄カチオンの除去によるグリコシル化組換えアフリベルセプトの精製を、本発明の例示的実施形態と組み合わせて、上記で概説した技術のいくつかを組み込んだ3カラム下流工程にわたって評価した。概略的に、工程の流れを図19に示す。
クロマトグラフィの実行は、上記の例1に記載されているようにベンチスケールで行い、カラムに次の容量:Protein Aについては19g/L樹脂、CEXには30g/L樹脂、およびHICには100g/L樹脂を負荷した。ガレクチン-3除去のために、工程には、プロテインA工程用の2M CaClのWash 2、Fractogel(登録商標)SO 樹脂によるpH5.0のCEXクロマトグラフィ、およびButyl 650M樹脂によるHIC工程が含まれた。鉄を除去するために、工程には、鉄をキレート化して製品から除去するために、プロテインAの25mMクエン酸塩溶出およびウイルス不活性化のためのクエン酸滴定が含まれた。次に、キレート化された鉄をCEX工程によって除去した。
結果は、ガレクチン-3が、収集した細胞培養液(HCCF)中の>667ppmからHICプール中の検出不能レベルまで、この工程によって有効に除去されることを明らかにする(以下の表6参照)。HIC工程が最も有効であったが、プロテインAおよびCEX工程も有意に寄与した。鉄も、HCCF中の1022ppbからCEXプール中の5ppbまで、有効に除去された。
プロテインA/VIとCEX工程の組合せは鉄の除去に寄与した。これらのデータは、上記で概説した方法の工程が、ガレクチン-3および鉄カチオン不純物の有意な除去を提供したことを実証する。
表6.夾雑物であるCHOガレクチン-3および鉄を除去するために開発された本発明の3カラム法の実施形態によって精製された製品プール中のCHOガレクチン-3および鉄レベル。VI=ウイルス不活性化。
Figure 0007097433000007
例5:工程における金属カチオン夾雑物の他の発生源の除去
水および緩衝液試料の金属分析。工程における鉄および他の金属夾雑物の潜在的な発生源を理解するために、水および緩衝液試料を上記のようにICP-MSによって鉄、銅および亜鉛について評価した。結果をそれぞれ図20、図21、および図22に示す。水試料は、3つの金属の非常に低いレベルから検出不能までのレベルを有していたが、2Mクエン酸および500mMクエン酸緩衝液は、有意のレベルの鉄汚染に加えて、いくらかの銅および亜鉛を示した。クエン酸緩衝液はクエン酸よりも鉄のレベルが高く、クエン酸ナトリウム成分は酸形態よりも金属汚染が多い可能性があることを示唆した。クエン酸塩は金属キレート剤であるため、これらの化学物質の製造中に金属汚染が発生する可能性がある。
珪藻土深層フィルタの金属汚染。珪藻土(DE)深層フィルタが金属カチオン汚染の発生源であり得るかどうかを判定するために、0.0023cmのMillipore A1HC深層フィルタを使用してフィルタフラッシュ試験を実施した。フィルタを30L/mの水、続いて>100L/mの500mMクエン酸塩pH5.5でフラッシュした。各フラッシュ中にろ液の4~5の4mL画分を収集し、ICP-MSによって鉄、銅および亜鉛について分析した。結果をそれぞれ図23、図24、および図25に示す。水フラッシュで、いくらかの鉄、銅および亜鉛カチオンがフィルタから溶出し、フィルタを通して10L/mの水をフラッシュした後、これらの金属のレベルはベースラインに戻った。その後、フィルタを0.5Mクエン酸塩pH5.5でフラッシュすると、高レベルの鉄(>6000μg/L)を含む3つすべての金属のさらなる溶出が生じた。これらのデータは、クエン酸緩衝液がフィルタからのさらなる金属カチオンをキレート化できる可能性が高いことを示す。~50L/mの緩衝液の後、金属レベルはベースライン(すなわち緩衝液中に存在する金属のレベル)に戻った。これらの結果は、DEが、鉄を含む金属カチオン汚染の重要な発生源であり得ることを示唆し、これは、クエン酸塩含有溶出緩衝液の使用またはウイルス不活性化のためのクエン酸の使用によるプロテインAプール中のクエン酸塩の存在によって悪化し得る。
様々なプロテインA溶出および深層フィルタフラッシュ緩衝液を使用した鉄、銅および亜鉛カチオン除去の評価。プロテインAクロマトグラフィ、A1HC深層フィルタによる深層ろ過、およびCEXクロマトグラフィの3つの一連の工程を使用して、関心対象のタンパク質から鉄、銅および亜鉛カチオンを除去する本発明の方法の能力を評価した(図26)。実験の一環として、2つの異なるプロテインA溶出緩衝液、すなわち100mM酢酸塩、pH3.6および25mMクエン酸塩、pH3.6、ならびに2つの異なる深層フィルタフラッシュ緩衝液、すなわち平衡化(EQ)緩衝液単独(100mM酢酸塩、pH5.0)および500mMクエン酸塩、pH5.5とそれに続くEQフラッシュの金属除去への影響を試験した。鉄、銅および亜鉛カチオンレベルを、ICP-MSを使用してプロテインA溶出液プール(「ProAプール」)、深層ろ過に供したプロテインA溶出液プール(「深層ろ過プール」)、およびCEX溶出液プール(「CEXプール」)において定量した;結果をそれぞれ図27、図28、および図29に示す。
プロテインA溶出のために100mM酢酸緩衝液を使用すると、25mMクエン酸緩衝液溶出と比較して、プロテインA溶出液プール中の鉄および亜鉛カチオンのより低いレベルをもたらしたが、銅のレベルは低く、変化しなかった。プールを深層フィルタでろ過した場合、おそらくフィルタからの鉄カチオン汚染のために、すべての場合に鉄のレベルが増加した。深層フィルタを500mMクエン酸緩衝液でプレフラッシュすることによって前処理すると、深層フィルタプールの鉄レベルが低下し、その条件と100mM酢酸塩プロテインA溶出緩衝液の組合せは、鉄カチオンの量のさらなる減少を提供した。銅および亜鉛カチオンのレベルは、すべての深層ろ過条件下で低いままであった。
CEXクロマトグラフィによる深層フィルタプール中のPOIの精製は、約1ppmの鉄を含むすべての条件で、有意の量の鉄カチオンを除去した。亜鉛および銅カチオンについては、すべての条件が、深層フィルタプールで観察されるものと同様の低いレベル(1~2ppm)であった。合わせて考慮すると、これらのデータは、クエン酸緩衝液深層フィルタの前処理フラッシュと組み合わせた100mM酢酸塩プロテインA溶出緩衝液の使用が、深層フィルタプール段階を介した精製工程における鉄カチオン汚染を有意に減少できることを示す。亜鉛カチオンレベルは、プロテインA溶出液プール段階での酢酸緩衝液プロテインA溶出によって減少したが、銅カチオンレベルはすべての条件で低いままであり、比較的影響を受けなかった。
配列番号1 <223>人工配列の記載:合成ポリペプチド

Claims (9)

  1. 夾雑物から関心対象のグリコシル化組換えタンパク質を精製する方法であって、以下の工程:
    (a)プロテインAマトリックスに、中性のpHで、関心対象の前記グリコシル化組換えタンパク質(POI)およびガレクチン宿主細胞タンパク質(HCP)夾雑物、これはガレクチン-3を含む、を含む宿主細胞培養上清またはろ液を負荷する工程であって、前記POIが、免疫グロブリンFcドメインのC2およびC3ドメインならびにガレクチン-3が可逆的に結合した1つ以上の末端β-ガラクトシル残基を含む、工程;
    (b)前記POIが結合した前記プロテインAマトリックスを、1~3Mの塩化カルシウムを含むpH6.0~6.5の緩衝液で洗浄する工程;
    (c)pH4未満のクエン酸またはクエン酸塩を含む緩衝液で前記POIを前記プロテインAマトリックスから溶出液プールに溶出する工程であって、
    (i)前記溶出液プールがpH3.3~3.7のpH範囲よりも塩基性である場合、前記溶出液プールをクエン酸でpH3.3~3.7に滴定し、および
    (ii)任意で、ウイルス不活性化に十分な期間、前記溶出液プールをpH3.3~3.7に保持する工程;
    (d)(c)からの前記溶出液プール中の前記POIを、pH5.0~5.5で、2~15mSの低伝導率緩衝液中の陽イオン交換マトリックス(CEX)に結合する工程;
    (e)前記陽イオン交換マトリックスから、0~100mSまで次第に高くなる伝導率の電解質濃度勾配で、前記POIをCEX溶出液プールに溶出する工程;ならびに
    (f)前記CEX溶出液プールを、pH5.0~6.0の、40~100mSの伝導率、又はそれ以上の高伝導率緩衝液中の疎水性相互作用クロマトグラフィ(HIC)マトリックスに負荷し、前記HICマトリックスを洗浄し、それによって前記POIを前記ガレクチン-3から分離する工程
    を含む方法。
  2. (b)において、前記POIが結合している前記プロテインAマトリックスを洗浄する工程が、2~2.7Mの塩化カルシウムを含む緩衝液を使用する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記POIが、アフリベルセプト、アレファセプト、エタネルセプト、アバタセプト、ベラセプト、rFVIIIFc、rFIXFc、およびリロナセプトから選択される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記POIがアフリベルセプトである、請求項3に記載の方法。
  5. 前記宿主細胞培養上清またはろ液が金属カチオン夾雑物をさらに含み、および前記POIが前記金属カチオン夾雑物からも分離される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記金属カチオン夾雑物が、アルミニウム、バリウム、カルシウム、コバルト、銅、亜鉛、鉄、マグネシウム、マンガン、水銀、ニッケル、およびストロンチウムカチオンから選択される、請求項に記載の方法。
  7. 前記金属カチオン夾雑物が鉄カチオンである、請求項に記載の方法。
  8. (c)からの前記溶出液プール中の前記POIを陽イオン交換マトリックスに結合する前に、前記溶出液プールを、珪藻土によるろ過を含む深層ろ過に供する工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  9. 前記珪藻土がクエン酸緩衝液で前処理された、請求項に記載の方法。
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