JP2010516651A - Fc含有タンパク質の精製のための方法 - Google Patents

Fc含有タンパク質の精製のための方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、陽イオン交換クロマトグラフィーに基づいたFc含有タンパク質の精製のための方法に関する。

Description

発明の技術分野
本発明は、タンパク質精製の分野にある。より具体的には、それはFc含有タンパク質の精製に関する。当該方法は、陽イオン交換クロマトグラフィーによる精製ステップを少なくとも含む。
発明の背景
タンパク質は、通常「生物製剤」と呼ばれる薬剤として商業的に重要となった。最も重要な挑戦の一つが、工業規模でのタンパク質精製のための、対費用効果が高く、そして効率的な方法の開発である。タンパク質の工業規模での製造のための多くの方法が現在利用可能である一方、細胞培養上清のような粗生成物は、所望の産物のみならず不純物も含み、そしてそれは、所望の産物から分離することが困難である。細胞が無血清培地中で増殖されるならば、組み換えタンパク質産物を発現する細胞の細胞培養上清は、あまり不純物を含まないかもしれないが、宿主細胞タンパク質(HCP)は、精製工程において依然として除去されていないままである。さらに、保健機関はヒトへの投与を目的としたタンパク質の高水準の純度を要求する。
タンパク質精製のために広く使用されている、多くのクロマトグラフ系が知られている。
イオン交換クロマトグラフィー系は、電荷の違いに基づいて、タンパク質の分離のために主として使用される。
陰イオン交換体は、弱性または強性のいずれかとして分類され得る。弱陰イオン交換体上の電荷を帯びた置換基は弱塩基であり、そしてそれは脱プロトン化され、したがってその電荷を高いpHで失う。DEAE−セファロースは、弱陰イオン交換体の例であり、そしてそこで、アミノ基はpHが約9未満においてプラスに荷電しており、そしてより高いpH値において、しだいにその電荷を失う。例えば、ジエチルアミノエチル(DEAE)またはジエチル−(2−ヒドロキシ−プロピル)アミノエチル(QAE)は対イオンとして塩素を有する。一方、強陰イオン交換体は、強塩基を含み、そしてそれはイオン交換クロマトグラフィーにおいて通常使用されるpHの範囲(pH1〜14)においてプラスに荷電されたままである。Q−セファロース(Qは四級アンモニウムを表す)は、強陰イオン交換体の例である。
陽イオン交換体も同様に、弱性または強性のいずれかに分類され得る。強陽イオン交換体は、pH1〜14において荷電されたままである(スルホプロピル基のような)強酸を含み、一方、弱陽イオン交換体は(カルボキシメチル基のような)弱酸を含み、そしてそれはpHを4または5未満に落とした時にその電荷を失う。例えば、カルボキシメチル(CM)およびスルホプロピル(SP)は対イオンとしてナトリウムを有する。
疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)は、タンパク質の疎水性基とマトリクス上に存在する不溶性の固定化された疎水性基との間の疎水性相互作用に基づいて、タンパク質を分離するために使用される。通常、高塩濃度緩衝液中のタンパク質調製物が、HICカラム上に装填される。緩衝液中の塩は、溶液中のタンパク質の溶媒和を減らすために水分子と相互作用し、それにより、その後マトリクス上の疎水性基によって吸着される、タンパク質中の疎水性領域を曝露する。当該分子が疎水性であればあるほど、結合を促進するために塩があまり必要とされない。通常、塩勾配の減少は、カラムからタンパク質を溶出させるために使用される。イオン強度が減少するために、タンパク質の親水性領域の曝露が増加し、そしてタンパク質は、疎水性の増加する順にカラムから溶出される。
疎水性電荷誘導クロマトグラフィー(HCIC)は、低いpH値においてイオン化するヘテロ環リガンドのpH依存的挙動に基づいた、クロマトグラフィーの別の様式である。このカラムの様式に基づく吸着は疎水性相互作用によって起こるが、イオン化されたリガンドと結合タンパク質(例えば、バイオセプラ(Biosepra)製の吸着剤MEP ハイパーセル)との間の電荷反発力を引き起こすためにpHを下げることによって、脱着は促進される。
タンパク質を精製するさらなる方法は、関心のあるタンパク質とカラム樹脂に固定化された別のタンパク質との親和性に基づく。当該固定化されたリガンドの例は、細菌性細胞膜タンパク質であるプロテインAおよびプロテインGであり、そしてそれらは特定の免疫グロブリンのFc部位と特異性を有する。プロテインAおよびプロテインGのいずれも、IgG抗体と強い親和性を有するが、それらは他の免疫グロブリンクラスおよびアイソタイプに対しても変動親和性を有する。
プロテインAを固定化したアフィニティクロマトグラフィーによって、一ステップのみで、宿主細胞タンパク質(HCP)、DNA、ウィルス、抗体の不完全形態のような不純物の99.5%以上を除去することができる。しかし、この精製技術の主要な欠点は、樹脂の費用である。イオン交換性樹脂よりも約30倍高価であり、そして大量精製のために使用される原料の全経費の約35%に相当し得る。プロテインA樹脂はまた、潜在的に免疫原性であるプロテインA残留物が溶出液中で見られ、したがって除去される必要があるという、幾つかの安定性の問題を示す。水酸化ナトリウムのような一般的な浄化溶液によってリガンドが容易に変性するため、プロテインA樹脂はまた浄化するのが困難であり、そしてこのことは、樹脂の再利用に悪影響が生じる可能性のある汚染事象の発生における主要な問題を示す。
コンビナトリアルケミストリーは、プロテインAの作用を模倣することのできる幅広い種類のリガンド、例えばプロテインAの疎水性コア構造におけるPhe−132、Tyr−133ジペプチド結合領域を模倣するトリアジン誘導体(プロメティック(Prometic)社によって、マブゾーベント(MAbsorbent)A1P、A2PおよびA3Pとして市販されている)の合成を可能とした。
抗体を精製するさらなる方法は、ラクダ科の重鎖抗体断片を使用することによって開発されたアフィニティリガンドを使用する(バイオアフィニティカンパニー(Bio Affinity Company)からのキャプチャーセレクト(CaptureSelect)(登録商標)製品)。
抗体精製の分野において、FollmanとFahrner(2004)は、プロテインAクロマトグラフィーを組み込んだ方法を用いてなされた同じ宿主細胞タンパク質の除去が、アフィニティクロマトグラフィーステップを経ない方法を使用することでなされ得ることを見出した。彼らは、従来のプロテインA法に匹敵する水準までCHOP(チャイニーズハムスター卵巣細胞タンパク質)を除去する、疎水性相互作用カラムクロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィーおよび陽イオン交換クロマトグラフィーを含む、3つの非親和性精製方法を見出した(J Chromatogr A.2004.Jan 23;1024(1−2):79−85);国際公開第03/102132A2号)。彼らはまた、非アフィニティクロマトグラフィーと高性能タンジェンシャルフローろ過(HPTFF)との組み合わせに関するタンパク質精製のための手法を開示している。陽イオン交換クロマトグラフィーにおける第一精製(捕獲)ステップの後、当該宿主細胞タンパク質の量は、約14,000ppmであった。
抗体または免疫グロブリン(Ig)は、ジスルフィド結合によって互いに結合された軽鎖および重鎖からなる。それぞれの鎖のアミノ末端に位置する第一のドメインは、アミノ酸配列が可変であり、そしてそれは、非常に広範囲の抗体結合特異性を提供する。これらのドメインは、重鎖可変領域(VH)および軽鎖可変領域(VL)として知られている。それぞれの鎖のその他のドメインは、アミノ酸配列が不変であり、そしてそれは重鎖定常領域(CH)および軽鎖定常領域(CL)として知られている。
抗体の主要クラスは、IgA、IgD、IgGおよびIgMであり;そしてこれらのクラスは、サブクラス(アイソタイプ)へさらに分けられてもよい。例えば、IgGクラスは、4つのサブクラス、すなわちIgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4を有する。
抗体クラス間の違いは、定常ドメイン1〜4(CH1〜CH4)を含む、重鎖定常領域の違いに由来し、そしてそれは免疫グロブリンクラスに依存する。いわゆるヒンジ領域は、CH1ドメインとCH2ドメインとの間に位置している。ヒンジ領域は、タンパク質切断に特に敏感であり;当該タンパク質分解は、正確な切断部位に依存する、2または3個の断片をもたらす。CH2およびCH3ドメインを含む重鎖定常領域部分はまた、場合により、ヒンジ領域と一緒になって、免疫グロブリンの「Fc」部と呼ばれる。したがって抗体は、Fc含有タンパク質である。
治療用タンパク質として使用される、幾つかの抗体が知られている。市販の組み換え抗体の例は、例えば:アブシキシマブ、リツキシマブ、バシリキシマブ、ダクリズマブ、パリビズマブ、インフリキシマブ、トラスツズマブ、アレムツズマブ、アダリムマブ、セツキシマブ、エファリズマブ、イブリツモマブ、ベバシズマブまたはオマリズマブである。
Fc含有タンパク質の別の形態は、いわゆるFc融合タンパク質である。Fc融合タンパク質は、高頻度で免疫グロブリンG(IgG)である免疫グロブリンのFc領域と融合した、抗体のFab領域または受容体の結合領域のような、タンパク質のエフェクター領域からなるキメラタンパク質である。Fc融合タンパク質は、それらが、Fc領域によって付与される以下のような利点を提供するため、治療薬として広く使用されている:
− IgGのアイソタイプに従って変化する親和性を用いた、プロテインAまたはプロテインGアフィニティクロマトグラフィーを使用した精製の可能性。ヒトIgG1、IgG2、およびIgG4は、プロテインAと強く結合し、そしてIgG3を含む全てのヒトIgGは、プロテインGと強く結合する;
− Fc領域が、リソソーム分解から守るサルベージ受容体FcRnと結合するため、循環系における増加した半減期;
− Fc融合タンパク質の医学的用途に応じて、Fcエフェクター機能は好ましいだろう。そのようなエフェクター機能は、Fc受容体(FcγR)との相互作用を通じた抗体依存性細胞傷害性(ADCC)、および補体成分1q(C1q)と結合することによる補体依存性細胞傷害性(CDC)を含む。
血清中半減期およびエフェクター機能は、Fc融合タンパク質を対象とした治療的用途に応じて、Fc領域をFcRn、FcγRおよびC1qそれぞれへの結合を増加させるか、または減少させるように操作することにより調節され得る。
ADCCにおいて、抗体のFc領域は、ナチュラルキラー細胞およびマクロファージのような、免疫エフェクター細胞表面上のFc受容体(FcγR)と結合し、標的細胞の貪食または溶解を引き起こす。
CDCにおいて、抗体は、補体カスケードを誘発することによって、標的細胞を破壊する。IgGアイソフォームは、IgG4<IgG2<IgG1=IgG3の順で増加する、異なるレベルのエフェクター機能を発揮する。ヒトIgG1は、高いADCCおよびCDCを示し、そして、病原菌および癌細胞に対する治療的用途に最も好適である。
特定の状況下において、例えば標的細胞の減少が好ましくない時、エフェクター機能の抑制が必要とされる。反対に、腫瘍に対する使用を対象とした抗体の場合において、エフェクター機能の増加はそれらの治療活性を改善するかもしれない(Carter et al.,2006)。
エフェクター機能の修飾は、したがって、FcγRもしくは補体因子の結合を改善または減少させるFc領域を操作することにより達成され得る。
活性FcγR(FcγRI、FcγRIIa、FcγRIII a、およびFcγRIII b)ならびに抑制性FcγR(FcγRIIb)、または補体第一成分(C1q)へのIgGの結合は、ヒンジ領域およびCH2ドメインに位置する残基に依存する。CH2ドメインの二つの領域は、FcγRおよび補体C1qの結合において重要であり、そしてIgG2およびIgG4において特有な配列を有する。例えば、233〜236番目の位置にあるIgG2残基のヒトIgG1への置換は、ADCCおよびCDCを大幅に減少させた(Armour et al.,1999およびShields et al.,2001)。
多くの変異がIgGのCH2ドメイン中になされ、そしてADCCおよびCDCに対するそれらの効果がインビトロで試験された(Shields et al.,2001, Idusogie et al.,2001および2000,Steurer et al.,1995)。特に、E333におけるアラニンの変異は、ADCCおよびCDCの両方を増加させることが報告された(Idusogie et al.,2001および2000)。
治療抗体の血清中半減期の増加は、その有効性を増加させる別の方法であり、そしてそれにより、より高い血中濃度、より少ない頻度の投与および投与用量低下を可能とする。これは、新生児のFcR(FcRn)へのFc領域の結合を高めることによって達成され得る。内皮細胞表面上に発現しているFcRnは、pH依存的にIgGと結合し、そしてそれを分解から守る。CH2ドメインとCH3ドメインとの間の接触面に位置する幾つかの変異は、IgG1の半減期を増加させることを示した(Hinton et al.,2004およびVaccaro et al., 2005)。
以下の表1は、IgG Fc領域の幾つかの既知の変異を要約したものである(インビボジェン(Invivogen)のウェブサイトから取られた)。
Figure 2010516651
Fc含有タンパク質、特に抗体およびFc融合タンパク質の治療的有用性を前提として、ヒトへの投与のために十分な、相当量の高度に精製されたタンパク質が必要とされている。効率的な精製方法は、Fc含有タンパク質の大規模精製において好適である。
発明の概要
本発明は、Fc含有タンパク質の精製のための陽イオン交換クロマトグラフィーステップの開発に基づく。
したがって、第一の実施形態において、本発明は、Fc含有タンパク質を液体から分離および精製する方法であって、以下のステップ:
a.陽イオン交換樹脂に前記Fc含有タンパク質を結合させ;
b.前記Fc含有タンパク質の等電点より約1pH単位低く、そして約2〜6mS/cmの伝導率を有する緩衝液を用いて、前記陽イオン交換樹脂を洗浄し;および
c.塩勾配を増加させながら、前記Fc含有タンパク質の前記等電点より約1pH単位低い緩衝液を用いて、前記Fc含有タンパク質を溶出すること
を含む、陽イオン交換クロマトグラフィーを少なくとも含む、前記方法に関する。
本発明の方法に従って、陽イオン交換クロマトグラフィーステップの溶出液は、陰イオン交換クロマトグラフィーおよび疎水性相互作用クロマトグラフィーから選択される、一またはそれ以上のさらなる精製ステップに供され得る。
この方法は、好ましくは、抗体およびFc融合タンパク質から選択されるFc含有タンパク質の精製のために使用される。
驚くべきことに、陽イオン交換クロマトグラフィーステップの溶出液中におけるHCPレベルは10,000ppm未満または5,000ppm未満であり、そして凝集体レベルは1%未満に減少することが示された。
洗浄ステップ(b)によって、例えば遊離の重鎖または軽鎖からなる不完全抗体断片のような、不完全Fc含有タンパク質断片を除去できることがさらに示された。したがって、本発明の第二の実施形態は、溶液、好ましくは浄化細胞培養上清から、Fc含有タンパク質を捕獲させるための陽イオン交換クロマトグラフィーの使用であって、陽イオン交換樹脂へのFc含有タンパク質の結合の後に、当該樹脂がFc含有タンパク質の等電点より約1pH単位低い緩衝液を用いて洗浄される、前記使用に関する。
図1は、実施例1に記載された陽イオン交換クロマトグラフィーにおけるクロマトグラフィーのプロファイルを示す。1−装填、2−洗浄、3−NaCl勾配中で溶出、4−再生/衛生化、5−再平衡化。pH5での溶出:0〜1MのNaCl勾配、pH6:0〜0.8MのNaCl勾配、pH7:0〜0.6MのNaCl勾配、pH8:0〜0.45MのNaCl勾配。 図2は、実施例2に記載されている陽イオン交換クロマトグラフィー捕獲ステップ中において製造された異なる画分の、非還元性の、銀染色されたSDS−PAGEを示す。レーン1:分子量マーカー;レーン2:標準物質、抗CD25rhAb;レーン3:抗体、抗CD25採取物;レーン4:抗体、pH4に調節された抗CD25採取物;レーン5:素通り画分;レーン6:洗浄;レーン7:溶出ピーク;レーン8:溶出ピーク後部。 図3は、実施例2に記載されている陽イオン交換クロマトグラフィーにおけるクロマトグラフィーのプロファイルを示す。(a)伝導率(mS/cm)、(b)280nmにおけるOD、(c)緩衝液B1(%)。1−装填、2−洗浄、3−溶出、4−再生、5−衛生化、6−再平衡化。 図4は、実施例3および4に記載された3ステップの精製工程のステップ2および3における、非還元の、銀染色されたSDS−PAGEを示す。レーン1−分子量マーカー;レーン2−標準物質、抗CD25rhAb;レーン3−AEX 素通り画分(ステップ2、工程1);レーン4−HIC溶出液(ステップ3、工程1由来のバルク);レーン5−HIC溶出液(ステップ2、工程2);レーン6−AEX素通り画分(ステップ3、工程2由来のバルク)。 図5は、ラブチップ(LabChip)90による電気泳動図を示す。点線:工程1由来のバルク。実線:工程2由来のバルク。A:軽鎖(約25kDa)、B:重鎖(約50kDa)、C:抗CD25 rhAb。
発明の詳細な説明
本発明は、液体またはFc含有タンパク質の組成物中に存在するかもしれない不完全Fc含有タンパク質断片、凝集体および宿主細胞タンパク質(HCP)のような不純物の量または程度を著しく減少させることができる、陽イオン交換クロマトグラフィーステップに基づく、精製方法の開発に基づく。
本発明はしたがって、Fc含有タンパク質を液体から分離および精製する方法であって、以下のステップ:
a.陽イオン交換樹脂に前記Fc含有タンパク質を結合させ;
b.前記Fc含有タンパク質の等電点より約1pH単位低く、そして約2〜6mS/cmの伝導率を有する緩衝液を用いて、前記陽イオン交換樹脂を洗浄し;および
c.塩勾配を増加させながら、前記Fc含有タンパク質の前記等電点より約1pH単位低い緩衝液を用いて、前記Fc含有タンパク質を溶出すること
を含む、陽イオン交換クロマトグラフィーを少なくとも含む、前記方法に関する。
この精製ステップは、本明細書において陽イオン交換クロマトグラフィーステップ(CEX)と呼ばれるだろう。
Fc含有タンパク質を含む液体は、ヒトまたは動物由来の体液のような任意の組成物または調製物でも、あるいは細胞培養上清または細胞培養採取物のような細胞培養由来の液体でもよい。好ましくは、それは浄化細胞培養採取物である。それはまた、例えば捕獲ステップ由来の溶出液または素通り画分のような別の精製ステップ由来の液体でも、あるいは陽イオン交換クロマトグラフィーステップに先立つ、他の好適な精製ステップ由来の液体であってもよい。
本発明に従って、Fc含有タンパク質を含む液体は、最初に陽イオン交換クロマトグラフィーに供される。当該液体は、好ましくは、細胞培養物質、例えば可溶化された細胞、より好ましくは細胞培養上清であってもよい。本明細書において使用されている用語「細胞培養上清」とは、細胞が培養され、そしてタンパク質が分泌されている、好適な細胞シグナルいわゆるシグナルペプチドを含む培地のことである。Fc含有タンパク質を発現している細胞は、無血清培養条件下において培養されていることが好ましい。したがって好ましくは、当該細胞培養上清は動物血清由来成分を欠いている。最も好ましくは、当該細胞培養培地は既知組成培地である。
好ましくは、本発明に従って精製されたタンパク質は、例えば抗体のようなFc含有タンパク質であって、より好ましくはヒト定常領域を含む、ヒト、ヒト化、またはキメラ抗体であって、好ましくはIgG1抗体であって、それはまた、好ましくはFc融合タンパク質である。Fc含有タンパク質は、高頻度で免疫グロブリンG(IgG)である、免疫グロブリンのFc領域と融合した、例えば抗体のFab領域または受容体の結合領域のようなタンパク質のエフェクター領域からなるキメラタンパク質である。
本発明の方法に従った陽イオン交換クロマトグラフィーは、一またはそれ以上の追加的なステップを有する精製方法において使用されてもよい。当該追加的なステップは、陽イオン交換クロマトグラフィーステップの前または後に行なわれてもよい。好ましくは、それらは、陽イオン交換クロマトグラフィーステップの後に行なわれる。より好ましくは、それらは、陰イオン交換クロマトグラフィー(AEX)および疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)から選択される。
したがって、好ましい実施形態において、陽イオン交換クロマトグラフィーを使用した精製ステップの溶出液は、陰イオン交換クロマトグラフィーまたは疎水性相互作用クロマトグラフィーから選択される、さらなる精製ステップに供される。
さらに二つの精製好ましい実施形態において、本発明に従った方法は、陽イオン交換クロマトグラフィーステップに加えて、陰イオン交換クロマトグラフィーおよび疎水性相互作用クロマトグラフィーを用いたステップをいずれかの順番で含む。
陰イオン交換クロマトグラフィーの素通り画分は、好ましくは回収される。したがって、本発明の方法は、陽イオン交換クロマトグラフィー、陰イオン交換クロマトグラフィーおよび疎水性相互作用クロマトグラフィー、または陽イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィーおよび陰イオン交換クロマトグラフィーステップを含んでもよい。必要であれば、一またはそれ以上のさらなる精製ステップが、本発明の方法の前または後に行なわれてもよい。
陽イオン交換クロマトグラフィー上にFc含有タンパク質を含む液体を装填する前に、当該液体は、5未満のpHに好ましくは約4のpHに調節されるか、または別法として約pH7で約4mS/cm未満の伝導率となるように水を用いて希釈されるかの、好ましくはいずれかである。これは、陽イオン交換樹脂とFc含有タンパク質が結合するために不可欠である。
5未満のpHとは、例えば、約5.0、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1、4.0、3.9、3.8、3.7、3.6、3.5、3.4、3.3、3.2、3.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1または約2.0であってもよい。
4mS/cm未満の伝導率とは、例えば、4.0、4.9、4.8、4.7、4.6、4.5、4.4、4.3、4.2、4.1、3.0、2.9、2.8、2.7、2.6、2.5、2.4、2.3、2.2、2.1、2.0または1.9mS/cmであり得る。それは、好ましくは約2.8mS/cmである。
約4へのpHの調節は、それが、濃酢酸の添加により、装填量を著しく増加させることなく容易に行なわれるので好ましい。さらに、陽イオン交換樹脂としてフラクトゲルSEハイキャップ(Fractogel SE Hicap)(充填された樹脂の1リットルあたり40〜50gのIgG1が入っている)を使用した時に、動的容量が高い。
本発明に従った陽イオン交換クロマトグラフィーのステップ(b)において、当該陽イオン交換樹脂は、約2〜約6mS/cmの伝導率を有し、そしてFc含有タンパク質の等電点より約1pH単位低いpHである緩衝液を用いて洗浄された。
ステップ(b)における緩衝液は、例えば、約2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3、3.1、3.2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4、4.1、4.2、4.3、4.4、4.5、4.6、4.7、4.8、4.9、5、5.1、5.2、5.3、5.4、5.5、5.6、5.7、5.8、5.9または6mS/cmの伝導率を有していてもよい。
さらに好ましい実施形態において、当該陽イオン交換カラムは、ステップ(b)において、pHが約7〜約8.5の範囲であって、約2〜6mS/cmの伝導率である緩衝液を用いて洗浄される。当該pHは、例えば、約7.0、7.05、7.1、7.15、7.2、7.25、7.3、7.35、7.4、7.45、7.5、7.55、7.6、7.65、7.7、7.75、7.8、7.85、7.9、7.95、8、8.05、8.1、8.15、8.2、8.25、8.3、8.35、8.4、8.45または約8.5であってもよい。
最も好ましい実施形態において、ステップ(b)における陽イオン交換樹脂は、約pH8であって、約3.5mS/cmの伝導率を有するリン酸緩衝液を用いて洗浄される。
さらに好ましい実施形態において、当該洗浄ステップは、約10〜30mMの、好ましくは20mMのリン酸ナトリウムを含む緩衝液中で行なわれる。当該緩衝液は、例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29または30mMのリン酸ナトリウムを含んでもよい。
本発明に従った陽イオン交換クロマトグラフィーのステップ(c)において、Fc含有タンパク質は、Fc含有タンパク質の等電点よりも約1単位分低いpHで、塩勾配を増加させながら、陽イオン交換樹脂から溶出される。
Fc含有タンパク質の溶出は、任意の好適な塩、例えばNaClまたはKClを使用して行われてもよい。NaClを増加させるような塩勾配は望ましい。
本発明の方法に従った塩勾配の増加は、好ましくは浅い勾配である。
好ましくは、Fc含有タンパク質は、約2〜約15mS/cmの範囲の伝導率で、約7〜約8.5のpHで、塩勾配を増加させながら、陽イオン交換樹脂から溶出される。約2〜約15mS/cmの範囲の伝導率勾配は、0mM〜約150mMの塩化ナトリウム濃度の増加によって生じるかもしれない。pHは当該勾配をかけている間は一定に維持され、そしてpHは7.0〜8.5の間であるかもしれない。
好ましい実施形態において、Fc含有タンパク質は、陽イオン交換樹脂から約7.0〜約8.5のpHの範囲で、約0〜約150mM NaClの範囲の緩衝液で塩勾配を増加させながら溶出される。緩衝液の塩勾配の増加は、約0〜約155、0〜145、5〜145、5〜150、5〜155、10〜145、10〜150または約10〜約155mMのNaClの範囲である。
溶出緩衝液のpHは、約7.0、7.1、7.15、7.2、7.25、7.3、7.35、7.4、7.45、7.5、7.55、7.6、7.65、7.7、7.75、7.8、7.85、7.9、7.95、8、8.05、8.1、8.15、8.2、8.25、8.3、8.35、8.4、8.45、または約8.5であり得る。
さらに好ましい実施形態において、ステップ(c)におけるFc含有タンパク質は、陽イオン交換樹脂から、Fc含有タンパク質の等電点よりも約1pH単位分低いpHで、伝導率の勾配をかけながら溶出される。
Fc含有タンパク質の溶出は、280nmの吸光度で検出され、そしてフラクションは、吸光度のピーク相が下っている間は回収される。フラクションはその後、溶出ピークの後部に存在する凝集体およびHCPを避けるために貯留され、これは本明細書において「後部からの切り取り」という。溶出ピークの後部には、好ましくは主ピークから除かれてもよい、はっきりと見える肩が存在するかもしれない。または定組成溶離が、凝集体およびHCPの溶出を防ぐだろう伝導率およびpHの緩衝液を用いて行なわれ得る。好ましくは、Fc含有タンパク質は、約pH8で約0〜約150mM NaClの、増加するNaCl勾配を用いた緩衝液で溶出される。
さらに好ましい実施形態において、ステップ(c)における溶出は、リン酸ナトリウム、トリス(Tris)またはヘペス(HEPES)から選択される緩衝液で行なわれる。
本発明の好ましい実施形態において、溶出ピークの後部からの切り取りは、陽イオンクロマトグラフィーステップのステップ(c)において行なわれる。
陽イオン交換クロマトグラフィーは、例えば発明の背景において、上で説明された弱陽イオンまたは強陽イオン交換体のような任意の好適な陽イオン交換樹脂上で行なわれてもよい。
好ましくは、陽イオン交換クロマトグラフィーにおいて使用される陽イオン交換樹脂は、強陽イオン交換樹脂である。フラクトゲルEMD SEハイキャップ(M)(メルク製)という名前で市販されているカラムが、本発明の方法との関連において特に好適である陽イオン交換樹脂の例である。
好ましい実施形態において、陽イオン交換樹脂は、遠心分離またはろ過による沈殿物質の除去の後、濃酢酸の添加によってpH4に調節された浄化細胞培養上清を用いて装填される。別の実施形態において、陽イオン交換樹脂は、遠心分離またはろ過によって沈殿物質および細胞片を除去した後に、濃酢酸の添加によってpH4に調節された細胞培養物質を用いて装填される。さらに好ましい実施形態において、フラクトゲルEMD SEハイキャップ樹脂は、充填された陽イオン交換樹脂の1リットルあたり40〜47gの動的容量で、約pH4のpHに、そして約15mS/cmの伝導率に調節されたFc含有タンパク質を含む液体を用いて装填される。約15mS/cmの液体の伝導率とは、例えば、15.9、15.8、15.7、15.6、15.5、15.4、15.3、15.2、15.1、15、14.9、14.8、14.7、14.6、または14.5mS/cmであり得る。
本発明の好ましい実施形態において、ステップ(a)において陽イオン交換樹脂上に装填されたFc含有液は、浄化採取物(すなわち、浄化細胞培養上清)であってもよい。
陽イオン交換クロマトグラフィーは、好ましくは捕獲ステップとして使用され、したがって、Fc含有タンパク質の精製に、特に宿主細胞タンパク質、Fc含有タンパク質凝集体およびFc含有タンパク質の不完全断片の削減、減少または除去において、ならびにFc含有タンパク質調製物の濃縮に役立つ。
本明細書において使用される用語「不完全Fc含有タンパク質」または「不完全Fc含有タンパク質断片」とは、免疫グロブリン定常ドメイン、または完全なさらなるドメインを含まないドメインに由来する、本発明に従って精製されるFc含有タンパク質の幾つかの部分を含む意味である。したがって、Fc含有タンパク質が免疫グロブリン可変ドメインを含むのであれば、不完全Fc含有タンパク質断片は可変領域の特定の重要な部分を含まない。Fc含有タンパク質がFc融合タンパク質であるならば、不完全Fc含有タンパク質は、Fc融合タンパク質の治療用部分における特定の重要な部分を含まない。Fc含有タンパク質が抗体であるならば、不完全Fc含有断片は標的抗体のアミノ酸配列の一部のみを含むポリペプチドである。これらの断片は、標的抗体の不完全な合成に起因して、一またはそれ以上の内部ペプチド結合の切断に起因して、または、例えば抗体の遊離の重鎖または遊離の軽鎖を生じさせる、独立したサブユニット間のジスルフィド架橋の欠如に起因して生じる可能性がある。
本発明に従って、陽イオン交換クロマトグラフィーは、好ましくは20〜350倍の範囲内における、すなわち、20、40、60、80、100、120、140、160、180、200、220、240、260、280、300、320、340倍の範囲内におけるHCPの除去または減少のために使用され得る。したがって、ステップ(c)により生じる陽イオン交換樹脂の溶出液は、10,000ppm未満、または9,500ppm未満、または9,000ppm未満、または8,500ppm未満、または8,000ppm未満、または7,500ppm未満、または7,000ppm未満、または6,500ppm未満、または6,000ppm未満、または5,500ppm未満、または5,000ppm未満、または4,500ppm未満、または4,000ppm未満のHCPレベルを有する。
本発明の陽イオン交換クロマトグラフィーは、約10倍まで凝集体のレベルを減少させるというさらなる利点を有する。したがって本発明の実施形態において、陽イオン交換カラムの溶出液は、1%未満、または0.9%未満、または0.8%、または0.7%未満、または0.6%未満または0.5%未満、または0.5%未満、または0.4%未満、または0.3%未満、または0.2%未満、または0.1%未満の凝集体レベルを有する。
さらに、本発明の陽イオン交換クロマトグラフィーは、不完全Fc含有タンパク質のレベルを、SDS−PAGEによって決定される検出レベルよりも低いところまで減少させる。したがって、好ましい実施形態において、陽イオン交換クロマトグラフィーの溶出液は、1mcgのFc含有タンパク質を装填した時の、非還元条件および銀染色下におけるSDS−PAGEによって検出することができない程度の不完全Fc含有タンパク質のレベルを有する。当該不完全Fc含有タンパク質は、好ましくは、遊離の抗体重鎖および/または軽鎖を含む。
本明細書における用語「凝集体」とは、タンパク質凝集体のことを意味し、そして例えば高分子量の凝集体となる、精製されるべきFc含有タンパク質の多量体を含む。
非常に好ましい実施形態において、本発明の方法は、以下のステップ:
i.本発明の方法にしたがって前記Fc含有タンパク質を含み、そして5未満のpHに調節された、または伝導率が4mS/cm未満になるまで水で希釈された液体を、陽イオン交換クロマトグラフィーへ供すること;
ii.ステップ(i)の溶出液を陰イオン交換クロマトグラフィーまたは疎水性相互作用クロマトグラフィーに供すること;
iii .ステップ(ii)の溶出液または素通り画分を疎水性相互作用または陰イオン交換クロマトグラフィーに供すること
を含む、Fc含有タンパク質の精製計画の第一ステップとして使用される。
本発明に従って、陽イオン交換クロマトグラフィーステップまたは疎水性相互作用クロマトグラフィーステップ由来の溶出液は、さらに陰イオン交換クロマトグラフィーに供され得る。当該陰イオン交換クロマトグラフィーは、例えば発明の背景において上で説明された弱または強陰イオン交換体のような、任意の好適な陰イオン交換樹脂上で行なわれてもよい。好ましくは、当該陰イオン交換クロマトグラフィーは、強陰イオン交換樹脂上で行なわれる。ポロス(Poros)50HQ(アプライドバイオシステムズ(Applied Biosystems)製)という名前で市販されている樹脂が、本発明の陰イオン交換クロマトグラフィーにおいて特に好適である陰イオン交換樹脂の例である。
陰イオン交換カラムはまた、好ましくは、好適な緩衝液を用いて平衡化される。
好ましくは、前のステップからの溶出液は、それを陰イオン交換カラム上に装填する前に好適な装填用緩衝液で希釈されるか、または透析される。陰イオン交換カラムはまた、好ましくは装填用緩衝液を用いて平衡化される。好適な平衡化/装填用/洗浄用緩衝液は、例えば、約5〜約25mMの範囲のリン酸ナトリウムである。
約5〜約25mMの緩衝液濃度とは、例えば、約5、10、15、20、25mMであってもよい。装填用緩衝液の好ましい伝導率は約1.0〜約4.5mS/cmの範囲内、例えば2、2.5、3、3.5、4、4.5mS/cmである。
装填用緩衝液の好適なpHの範囲は、等電点よりも約0.5〜1単位低い。好適なpH値は、7.0〜9.0の範囲、好ましくは約7.5〜約9.0の範囲であり、例えば約7.5、7.55、7,6、7.65、7.7、7.75、7.8、7.85、7.9、7.95、8.0、8.05、8.1、8.15、8.2、8.25、8.3、8.35、8.4、8.45、8.5、8.55、8.6、8.65、8.7、8.75、8.8、8.85、8.9または8.95である。
好適な平衡化/装填用/洗浄用緩衝液は、例えば約5mMの濃度であって、そして約8.5のpHであるリン酸ナトリウムであってもよい。装填する物質は、そのような緩衝液に対して透析されるか、または透析濾過されるか、あるいは別法として、それが約1mS/cmの伝導率となるように水で希釈される。本発明の枠内において、関心のあるFc含有タンパク質を含む素通り画分(または漏出画分ともよばれる)は回収される。
本発明に従って、陽イオン交換クロマトグラフィーステップ由来の溶出液、または陰イオン交換クロマトグラフィーステップ由来の素通り画分は、その後、疎水性相互作用クロマトグラフィーに供される。当該疎水性相互作用クロマトグラフィーは、任意の好適な疎水性相互作用クロマトグラフィー樹脂上で行なわれてもよい。フェニルセファロース6ファストフローハイサブ(Fast Flow High sub)およびフェニルセファロースHP(GEヘルスケア製)の名前で市販されている2つの樹脂が、本発明の方法の疎水性相互作用クロマトグラフィーにとって特に好適であるHIC樹脂の例である。
疎水性相互作用クロマトグラフィーカラムは、好ましくは好適な平衡化緩衝液で平衡化される。
好ましくは、前のステップ由来の溶出液は、それを疎水性相互作用クロマトグラフィーカラム上に装填する前に希釈されるか、透析されるか、または透析濾過され、例えば陰イオン交換クロマトグラフィー由来の素通り画分は、好ましくは装填用緩衝液中へ希釈される。装填用緩衝液への希釈に先立って、陽イオン交換クロマトグラフィーステップ由来の溶出液は、好ましくは約pH7.0の100mMリン酸ナトリウム中へ最初に透析濾過され、そして約2〜4倍に濃縮される。
好適な装填用緩衝液は、例えば、100mMのリン酸ナトリウムおよび0.5〜0.6Mの硫酸ナトリウム(Na2SO4)からなる緩衝液である。平衡化/洗浄用/装填用緩衝液のための好適なpH値は、約5.0〜約8.0の範囲であり、好ましくは約6.5〜約7.5の範囲であり、例えば、約6.5、6.55、6.6、6.65、6.7、6.75、6.8、6.85、6.9、6.95、7.0、7.05、7.1、7.15、7.2、7.25、7.3、7.35、7.4、7.45または7.5である。例えば約1.0〜1.2Mの硫酸アンモニウム((NH42SO4)のような、硫酸ナトリウム以上に抗カオトロピックな他の塩が使用されてもよい。または、塩化ナトリウムも約3.5〜4Mの濃度で使用され得る。
装填後、カラムは好適な洗浄用緩衝液で洗浄され、その後Fc含有タンパク質は、好適な溶出緩衝液を用いてHIC樹脂から溶出される。HICカラムからの溶出は、定組成溶離または勾配溶離でなされ得る。
好適な平衡化/洗浄用緩衝液は、例えば、0.5〜0.6MのNa2SO4もしくは1.0〜1.2Mの(NH42SO4または3.5〜4.0MのNaClを含む、pH7の100mMリン酸ナトリウムであり得る。
HICカラムからの溶出は、定組成溶離または勾配溶離でなされ得る。定組成溶離のための好適な溶出緩衝液は、約5〜約25mMの、好ましくは10、15または20mMのリン酸ナトリウムを含む。勾配溶離が行なわれる時、Fc含有タンパク質は、約100mM〜約10mMのリン酸ナトリウム中に、約0.5M〜0MのNa2SO4、または約1.0〜0Mの(NH42SO4、または約4〜0MのNaClを含む、塩勾配を減少させる緩衝液を用いてHIC樹脂から溶出される。
本発明の枠内において、関心のあるFc含有タンパク質を含む、HICの溶出液が回収される。
本発明の好ましい実施形態において、Fc含有タンパク質は、約7.5〜約9.5の間に等電点(pI)を有する。当該等電点は、例えば、約7.5、7.6、7.7、7.8、7.9、8、8.1、8.2、8.3、8.4、8.5、8.6、8.7、8.8、8.9、9、9.1、9.2、9.3、9.4または約9.5である。
樹脂の容量、使用されるカラムの長さおよび直径、ならびに本発明の様々なステップにおいて使用される動的容量および流速は、処理されるべき液体の容積、本発明の方法に供される液体中のタンパク質の濃度などのような、幾つかのパラメーターに依存する。それぞれのステップのこれらのパラメーターの決定は、当業者の平均的技術の十分範囲内である。
本精製方法の好ましい実施形態において、一またはそれ以上の限外濾過ステップが行なわれる。限外濾過は、先のクロマトグラフィーステップから得られた溶出液中の小さい有機分子および塩の除去のために、好適な緩衝液中でFc含有タンパク質を平衡化するために、または所望の濃度にFc含有タンパク質を濃縮するために有用である。そのような限外濾過は、分子量が5、10、15、20、25、30kDaよりも低い分子量、またはそれを超える分子量を有する成分の除去をすることができる細孔径を有する膜を用いた、タンジェンシャルフロー濾過(TFF)として知られている技術によって行なわれる。
さらなる好ましい実施形態において、本発明の方法に従って精製されたFc含有タンパク質は、免疫グロブリン(Ig)定常領域、最も好ましくはヒト定常領域を含む。
本明細書で使用される用語「Fc含有タンパク質」はまた、CH1、ヒンジ、CH2、CH3、CH4ドメイン、またはその任意の組み合わせから選択される、ならびに好ましくはヒンジ、CH2およびCH3ドメインから選択される免疫グロブリン定常ドメインを少なくとも一つ有する、任意のタンパク質のことである。免疫グロブリン定常ドメインは、任意のIgG、IgA、IgE、IgM、またその組み合わせ、もしくはそのアイソタイプに由来してもよい。好ましくは、それは例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4のようなIgGである。より好ましくは、それはIgG1である。
好ましい実施形態において、Fc含有タンパク質は、免疫グロブリン可変領域、例えば一またはそれ以上の重鎖可変ドメインおよび/または一またはそれ以上の軽鎖可変ドメインを含む。好ましくは、Fc含有タンパク質は、一または二つの重鎖可変ドメインを含む。より好ましくは、Fc含有タンパク質は、一または二つの軽鎖定常および/または可変ドメインをさらに含む。
本明細書において使用されている用語「Fc含有タンパク質」とは、本明細書において「Fc部位」と呼ばれる免疫グロブリン由来部位、および疾患の治療が意図されているか否かに関係なく、本明細書において「治療用部位」と呼ばれる第二の非免疫グロブリンタンパク質由来の部位を含むタンパク質、特に治療用タンパク質を含む意味である。Fc部位と融合した組み換えポリペプチドは、関心のある任意のポリペプチド、特に細胞中の細胞分泌および/または細胞産生が望ましい、ポリペプチドに相当してもよい。
Fc融合タンパク質はまた、好ましくは本発明の方法に従うFc含有タンパク質である。
Fc部位は、ヒトまたは動物免疫グロブリン(Ig)由来であって、好ましくはIgG由来であってもよい。当該IgGは、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4であってもよい。Fc部位は、免疫グロブリンの定常領域ドメインの全てまたは一部を含んでもよい。Fc部位は少なくともCH2およびCH3ドメインを有することが好ましい。Fc部位は、Igヒンジ領域、CH2およびCH3ドメインを含むことがさらに好ましい。特にFc部位が、ヒンジ領域と共に、またはヒンジ領域を有さないで、IgG CH2およびCH3ドメインを含むことが好ましい。
本発明のFc含有タンパク質は、単量体または二量体であってもよい。当該Fc含有タンパク質は、二量体Fc部位(例えば、ジスルフィドで架橋された、2つのヒンジ−CH2−CH3構築物の二量体)であって、そのうちの一つのみが治療部位と融合しているものを含む「擬似二量体」であってもよい。Fc含有タンパク質は、二つの異なる治療部位を含むヘテロ二量体であってもよく、または単一の治療部位の二つのコピーを含むホモ二量体であってもよい。好ましくは、Fc融合タンパク質は二量体である。本発明のFc含有タンパク質はまた、ホモ二量体であることが好ましい。
本発明に従って、Fc部位はまた、エフェクター機能を調節するために修飾されてもよい。例えば、EUインデックス番号(Kabat et al.,1991)に従った以下のFc変異は、Fc部位がIgG1に由来するものであるならば導入され得る:
− T250Q/M428L
− M252Y/S254T/T256E + H433K/N434F
− E233P/L234V/L235A/7G236 + A327G/A330S/P331S
− E333A; K322A。
さらなるFcの変異は、例えば330、331、234もしくは235またはその組み合わせから選択されるEUインデックス番号での置換であってもよい。CH2ドメイン中にあるEUインデックス番号297におけるアミノ酸の置換はまた、本発明においてFc部位へ導入されてもよく、そしてそれはN−結合型炭水化物付着の潜在的部位を除去する。EUインデックス番号220のシステイン残基はまた、セリン残基と交換されてもよく、そしてそれは、通常免疫グロブリン軽鎖定常領域とのジスルフィドを形成するシステイン残基を除去する。
Fc含有タンパク質の治療部位は、例えばEPO、TPO、増殖ホルモン、インターフェロン−アルファ、インターフェロン−ベータ、インターフェロン−ガンマ、PDGF−ベータ、VEGF、IL−1アルファ、IL−1ベータ、IL−2、IL−4、IL−5、IL−8、IL−10、IL−12、IL−18、L−18結合タンパク質、TGF−ベータ、TNF−アルファ、またはTNF−ベータであってもよく、またはそれらに由来してもよい。
Fc含有タンパク質の治療部位はまた、受容体、例えば膜貫通受容体に由来してもよく、好ましくは受容体の細胞外ドメインに由来してもよく、そして特に、任意の受容体の細胞外部位またはドメインのリガンド結合断片に由来してもよい。治療的に興味深い受容体の例は、CD2、CD3、CD4、CD8、CD11a、CD14、CD18、CD20、CD22、CD23、CD25、CD33、CD40、CD44、CD52、CD74、CD80、CD86、CD147、CD164、IL−2受容体、IL−4受容体、IL−6受容体、IL−12受容体、IL−18受容体サブユニット(IL−18R−アルファ、IL−18R−ベータ)、EGF受容体、MIF受容体、VEGF受容体、インテグリン アルファ4 10ベータ 7、インテグリンVLA4、B2インテグリン、TRAIL受容体1、2、3、および4、RANK、RANKリガンド、内皮細胞接着分子(EpCAM)、細胞接着分子−3(ICAM−3)、(細胞障害性Tリンパ球抗原である)CTLA4、Fc−ガンマ−I受容体、HLA−DR10ベータ、HLA−DR抗原、L−セレクチン、例えばTNF1(p55)、TNFR2(p75)の細胞外ドメインに由来する断片のような、TNFRスーパーファミリーに属する受容体の断片、OX40、オステオプロテジェリン、CD27、CD30、CD40、RANK、DR3、Fasリガンド、TRAIL−R1、TRAIL−R2、TRAIL−R3、TAIL−R4、NGFR、AITR,BAFFR、BCMAまたはTACIである。
本発明に従って精製される治療用Fc融合タンパク質、すなわち動物の疾患の治療または予防を意図した、またはヒトへの治療または投与を意図したFc融合タンパク質は、本発明の枠内における使用において特に好適である。
最も好ましくは、前記Fc融合タンパク質は、TACI受容体の断片(例えば国際公開第02/094852号参照)またはIFN−ベータ(例えば国際公開第2005/001025号参照)の断片のいずれかを含む。
本発明の好ましい実施形態において、本発明に従って精製され得るFc含有タンパク質は抗体である。好ましくは、前記抗体はモノクローナル抗体である。当該抗体は、キメラ抗体、ヒト化抗体、またはヒト抗体であってもよい。抗体は、抗体をコードする、一つ、二つまたはそれ以上のポリヌクレオチドを形質移入した宿主細胞中で産生されるか、あるいはハイブリドーマから産生されるかのいずれかであってもよい。
本明細書において使用される用語「抗体」とは、治療部位が少なくとも一つの免疫グロブリン(Ig)の可変領域を含む、Fc含有タンパク質のことである。好ましい免疫グロブリンは、哺乳類の免疫グロブリンである。より好ましい免疫グロブリンは、ラクダ科の免疫グロブリンである。さらにより好ましい免疫グロブリンは、げっ歯類の、特にラットまたはマウス由来の免疫グロブリンである。最も好ましい免疫グロブリンは霊長類、特にヒト免疫グロブリンである。
用語「抗体」は、免疫グロブリンまたはそのフラグメントのことであり、そして、抗原結合部位を含む任意のポリペプチドを含む。当該用語は、ポリクローナル、モノクローナル、単一特異的、多特異的、非特異的、ヒト化、ヒト、キメラ、一本鎖、合成、組み換え、ハイブリッド、変異型、移植型、またはインビトロ産生抗体を含むが、それらに限定されない。抗体は、例えば、IgA、IgG、IgD、IgE、IgMのような任意の既知の抗体クラスから選択されてもよい。抗体は、単量体、二量体、または三量体もしくは五量体のような多量体であってもよい。
「抗体」は、ジスルフィド結合によって分子間で接続されている少なくとも二つの重鎖(H)および二つの軽鎖(L)を含む、またはその抗原結合部位を含む糖タンパク質のことである。それぞれの重鎖は、(本明細書においてVHと省略されている)重鎖可変領域および重鎖定常領域を含む。全ての軽鎖は、(本明細書においてVLと省略されている)軽鎖可変領域および軽鎖定常領域を含む。VHおよびVLは、抗原への結合特異性を保持しており、そして相補性決定領域(CDR)と呼ばれる超可変性領域にさらに細分化され得る。CDRは、より保存されたフレームワーク領域(FR)と呼ばれる領域と共に散在している。VHおよびVLのそれぞれは、3つのCDRと4つのフレームワーク領域を含み、そしてそれは、アミノ末端からカルボキシ末端まで以下の順番で並んでいる:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、FR4。重鎖および軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用する結合ドメインを含む。
本発明に従って精製され得る抗体の例は、CD3(例えばOKT3、NI−0401)、CD11a(例えば、エファリズマブ)、CD4(例えば、ザノリムマブ、TNX−355)、CD20(例えば、イブリツモマブチウキセタン、リツキシマブ、トシツモマブ、オクレリズマブ、オファツムバブ、IMMU−106、TRU−015、AME−133、GA−101)、CD23(例えば、ルミリキシマブ)、CD22(例えば、エプラツズマブ)、CD25(例えば、バシリキシマブ、ダクリズマブ)、上皮増殖因子受容体(EGFR)(例えば、パニツムマブ、セツキシマブ、ザルツムマブ、MDX−214)、CD30(例えば、MDX−060)、細胞表面糖タンパク質CD52(例えば、アレムツマブ)、CD80(例えば、ガリキシマブ)、血小板GPIIb/III a受容体(例えば、アブシキシマブ)、TNFアルファ(例えば、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ)、インターロイキン−6受容体(例えば、トシリズマブ)、癌胎児性抗原(CEA)(例えば、99mTc−ベシレソマブ(besilesomab))、アルファ−4/ベータ−1インテグリン(VLA4)(例えば、ナタリズマブ)、アルファ−5/ベータ−1インテグリン(VLA5)(例えば、ボロシキシマブ(volociximab))、VEGF(例えば、ベバシズマブ、ラニビズマブ)、免疫グロブリンE(IgE)(例えば、オマリズマブ)、HER−2/neu(例えば、トラスツズマブ)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)(例えば、111In−カプロマブペンデチド、MDX−070)、CD33(例えば、ゲムツズマブオゾガマイシン)、GM−CSF(例えば、KB002、MT203)、GM−CSF受容体(例えば、CAM−3001)、EpCAM(例えば、アデカツムマブ)、IFN−ガンマ(例えば、NI−0501)、IFN−アルファ(例えば、MEDI−545/MDX−1103)、RANKL(例えば、デノスマブ)、肝細胞増殖因子(例えば、AMG102)、IL−15(例えば、AMG714)、TRAIL(例えば、AMG655)、インスリン様増殖因子受容体(例えば、AMG479、R1507)、IL−4およびIL13(例えば、AMG317)、BAFF/BLyS受容体3(BR3)(例えば、CB1)、CTLA−4(例えば、イピリムマブ)からなる群から選択されるタンパク質に対する抗体である。
好ましくは、本発明に従って精製され得る抗体は、CD3、CD4、CD11a、CD25、IFN−ガンマ、EpCAM、TACIからなる群から選択されるタンパク質に対する抗体である。
最も好ましくは、前記抗体は、CD4抗体(例えば、国際公開第97/13852号参照)、抗CD1抗体(例えば、国際公開第98/23761号参照)および抗CD25抗体(例えば、国際公開第2004/045512号参照)からなる群から選択される。
好ましい実施形態において、精製されるべき抗体は、配列番号1に記載されているアミノ酸配列を含む重鎖可変領域、および配列番号2に記載されているアミノ酸配列を含むヒトカッパ軽鎖可変領域を有するIgG1サブクラスの抗CD25rhAb、またはその保存配列の改変体である。
さらに一層好ましい実施形態において、抗体は、(i)配列番号3のVH CDR1、配列番号4のVH CDR2および配列番号5のVH CDR3ならびに配列番号6のVL CDR1、配列番号7のVL CDR2および配列番号8のVL CDR3;または、(ii)(i)で定義された配列の、任意の一つの保存配列の改変体、を含む抗CD−25抗体である。
TNF、Blysまたはインターフェロン−γに対する抗体は、治療的に興味深い抗体のさらなる例である。
本発明の方法に従って精製されたタンパク質がヒトへの投与を予定しているならば、当該方法において、ウィルスの除去の1またはそれ以上のステップを含むことは有利となる。
例えば、貯留または輸送を促進するために、前記材料は凍結され、そして本発明の任意の精製ステップの前および/または後に解凍されてもよい。
本発明に従って、組み換えFc含有タンパク質は、酵母、昆虫、または哺乳動物細胞のような、真核生物の発現系において産生されてもよく、その結果、グリコシル化Fc含有タンパク質となる。
本発明に従って、動物培養細胞株またはヒト培養細胞株のような哺乳動物細胞において、Fc含有タンパク質を発現することは最も好ましい。チャイニーズハムスター卵巣細胞(CHO)またはマウス骨髄腫培養細胞株NS0は、精製されるべきFc含有タンパク質の発現のために特に好適である培養細胞株の例である。Fc含有タンパク質はまた、好ましくは、例えば、ヒト線維肉腫HT1080培養細胞株、ヒト網膜芽細胞腫培養細胞株PERC6、もしくはヒト胚腎臓培養細胞株293のような、または例えば欧州特許第1230354号明細書に記載されている永久羊膜培養細胞株のような、ヒト培養細胞株中において産生され得る。
精製されるべきFc含有タンパク質が、それを分泌する哺乳動物細胞によって発現されるのであれば、本発明の精製方法の出発物質は、採取物もしくは粗製採取物とも呼ばれる細胞培養上清である。当該細胞が動物血清を含む培地において培養されるのであれば、細胞培養上清はまた、不純物としての血清タンパク質を含む。
好ましくは、Fc含有タンパク質を発現および分泌する細胞は、無血清条件下において培養される。Fc含有タンパク質はまた、既知組成培地において産生されてもよい。この場合において、本発明の精製方法の出発材料は、不純物として宿主細胞タンパク質を主として含む、無血清細胞培養上清である。例えばインスリンのような増殖因子が、細胞培養培地へ添加されるならば、これらのタンパク質は、精製過程中に同様に排除されるだろう。
細胞培養上清中へ放出される、溶解性の分泌Fc含有タンパク質を産生するために、Fc含有タンパク質の治療部位の天然型シグナルペプチドが使用されるか、または好ましくは異種性シグナルペプチド、すなわち、例えば、ウシもしくはヒト増殖ホルモンシグナルペプチドまたは免疫グロブリンシグナルペプチドのような、特定の発現系において有効である他の分泌タンパク質由来のシグナルペプチドが使用されるかのいずれかである。
任意のまたは保存的アミノ酸置換の保存的配列の改変は、ある群のメンバー間の置換が分子の生物学的機能を保持するという著しく類似の物理学的性質を有する当該群内の同義のアミノ酸を含んでもよい(Grantham,1974)。
本発明に従って精製されるFc含有タンパク質はまた、残基上の、またはN−末端基もしくはC−末端基上の側鎖において、当技術分野において既知の方法によって、官能基修飾されてもよい。かかる修飾されたFc含有タンパクは、それらが、上で定義された未修飾のFc含有タンパク質の活性と実質的に同じであるタンパク質の活性を破壊せず、そしてそれを含む組成物において毒性を付与しない限り、本発明に含まれる。
例えば、Fc含有タンパク質は、例えば、安定性、半減期、バイオアベイラビリティ、ヒトの身体に対する寛容性、または免疫原性のような、タンパク質の特性を改善するために、重合体と複合化され得る。この目的を達成するために、Fc含有タンパク質は、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)と連結されてもよい。ペグ化は、例えば、国際公開第92/13095号に記載されている既知の手法によって行なわれてもよい。
第二の実施形態において、本発明は、陽イオン交換樹脂へのFc含有タンパク質の結合に続いて、当該樹脂がFc含有タンパク質の等電点より約1単位低いpHである緩衝液で洗浄される、液体からFc含有タンパク質を捕獲させるための陽イオン交換クロマトグラフィーの使用に関する。Fc含有タンパク質は、好ましくは、樹脂から塩勾配をかけて溶出される。さらに、溶出ピークの後部の切り取りが行なわれ得る。
本発明は、本発明に従う精製法によって精製されたタンパク質にさらに関する。以下において、当該タンパク質はまた、「精製Fc含有タンパク質」と呼ばれる。
当該精製Fc含有タンパク質は、好ましくは高度の精製Fc含有タンパク質である。高度精製Fc含有タンパク質は、例えば、1レーンあたり2mcgの量のタンパク質をロードした後の、銀染色された、非還元のSDS−PAGEゲルにおける単一のバンドの存在によって決定される。精製Fc含有タンパク質はまた、HPLCにおいて溶出時に単一のピークとして示されてもよい。
本発明の精製方法で得られるFc含有タンパク調製物は、少なくとも20%未満の不純物を含んでいてもよく、好ましくは10%、5%、3%、2%、または1%未満の不純物を含んでいてもよく、あるいはそれは、均一的に、すなわち、検出可能なタンパク質性の汚染物質をまったく含んでいないように精製されてもよい。
精製Fc含有タンパク質は、治療的用途を、特にヒト患者への投与を目的としたものであってよい。精製Fc含有タンパク質が患者へ投与されるのであれば、それは好ましくは全身投与で、そして好ましくは皮下もしくは筋肉内または局所的にすなわち局在的に投与される。直腸内またはくも膜下腔内投与はまた、精製Fc含有タンパク質の特定の医学的用途に応じて好適であるかもしれない。
この目的のために、本発明の好ましい実施形態において、精製Fc含有タンパク質は、医薬組成物中に、すなわち、薬学的に許容される担体、賦形剤または同様のものと共に製剤化されてもよい。
「薬学的に許容される」の定義は、活性成分の生物学的活性の有効性を阻害せず、そしてそれが投与される宿主に対して毒性のない、任意の担体を含む意味である。例えば、非経口投与のために、活性タンパク質(複数)は、生理食塩水、ブドウ糖溶液、血清アルブミンおよびリンゲル溶液のようなビヒクル中の、注射用の単位投薬剤形で製剤化されてもよい。
本発明の医薬組成物の活性成分は、様々な方法で個人に投与され得る。投与経路は、皮内、経皮(例えば、徐放製剤において)、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下、経口、頭蓋内、硬膜外、局所、直腸内、および鼻腔内経路を含む。治療上有効な他の投与経路は、例えば、上皮または内皮組織を通じた吸収によって、または活性薬剤をコードするDNA分子が患者へ(ベクターを経由して)投与され、活性薬剤がインビボにおいて発現および分泌される遺伝子治療によって使用され得る。さらに、本発明のタンパク質(複数)は、薬学的に許容される界面活性剤、賦形剤、担体、希釈剤およびビヒクルのような生物学的に活性のある薬剤の他の成分と共に投与され得る。
非経口(例えば、静脈内、皮下、筋肉内)投与のために、活性タンパク質(複数)は、薬学的に許容される非経口用ビヒクル(例えば水、生理食塩水、デキストロース溶液)、および等張性を維持する添加剤(例えばマンニトール)、または化学的安定性を維持する添加剤(例えば保存剤および緩衝液)と共に、溶液、懸濁液、乳液または凍結乾燥された粉末として製剤化され得る。当該製剤は、通常使用される技術によって無菌化される。
活性タンパク質(複数)の治療上の有効量は、Fc含有タンパク質の種類、リガンドに対するFc含有タンパク質の親和性、投与経路、患者の臨床状況を含む、多変数の内の1関数となるだろう。
「治療上の有効量」とは、投与されるときに、Fc含有タンパク質が、上で説明したようなFc融合タンパク質治療部位のリガンドの阻害をするような量である。
単回投与で、または複数回投与で個人に投与される用量は、Fc含有タンパク質の薬物動態的特性、投与経路、患者の状態および特徴(性別、年齢、体重、健康状態、体格)、症状の程度、並行して行なわれる治療法、治療頻度ならびに期待される効果を含む、様々な要素に依存して変化するだろう。確立された用量範囲の調節および操作は、当業者の能力ならびに個人における治療部位の天然型リガンドの阻害を決定するインビトロおよびインビボにおける方法の範囲内に十分ある。
精製Fc含有タンパク質は、約0.001〜100mg/kg体重の量で、または約0.01〜10mg/kg体重の量で、または約0.1〜5mg/kg体重の量で、または約1〜3mg/kg体重の量で、または約2mg/kg体重の量で使用されてもよい。
さらに好ましい実施形態において、精製Fc含有タンパク質は、毎日または1日おきに、または一週間に3回または一週間に1回投与されてもよい。
一日用量は通常分割投与で、または所望の結果を得るために有効な持続放出製剤の形態で与えられる。第二の、または続いて起こる投与は、同様の用量で、個人へ投与された初期または先の用量未満またはそれを超える量で行なわれ得る。第二の、または続いて起こる投与は、発症中または発症に先立って投与され得る。
本発明は、Fc含有タンパク質を含む組成物中における、HCP、凝集体、および不完全Fc含有タンパク質断片濃度の減少のための、陽イオン交換クロマトグラフィーの使用にさらに関する。
好ましい実施形態において、HCPレベルは、10,000ppm未満、または9,500ppm未満、または9,000ppm未満、または8,500ppmまたは8,000ppm未満、または7,500ppm未満、または7,000ppm未満、または6,500ppm未満、または6,000ppm未満、または5,500未満、または5,000ppm未満、または4,500ppm未満、または4,000ppm未満に減らされる。凝集体レベルは、1%未満、または0.9%未満、または0.8%、または0.7%未満、または0.6%未満、または0.5%未満、または0.5%未満、または0.4%未満、または0.3%未満、または0.2%未満、または0.1%未満に減らされる。遊離の重鎖および/または遊離の軽鎖のような、不完全Fc含有タンパク質のレベルは、1mcgのFc含有タンパク質を装填して、非還元条件および銀染色下におけるSDS−PAGEによって決定される検出レベルよりも低いところまで減らされる。
本発明を十分に記載してきたので、等価なパラメーター、濃度、および条件の広い範囲内で、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、および過度の実験を行なうことなく、同じことが行なわれ得ることが当業者によって十分に理解されるだろう。
本発明は、その特定の実施形態に関連して記載されたが、それはさらなる修飾を行ない得ることが理解されるだろう。本用途は、本発明の任意の変形、使用または適用を包含することを意図しており、一般的に本発明の原理に従い、そして本発明が関連する技術分野内における既知または慣習の範囲内であり、および添付された特許請求の範囲内に従うものとして上文において説明されている基本的特徴に適用されてもよい、本開示から逸脱したものを含む。
学術論文または要約、公開されたもしくは未公開の米国または外国特許出願、発行された米国もしくは外国特許、あるいはその他の参考文献を含む、本明細書において引用されている全ての参考文献は、引用された参考文献中に存在する全てのデータ、表、図および文章を含めて、全体で、参照により本明細書に組み込まれる。さらに、本明細書に引用されている参考文献中に引用された文献の全ての内容もまた、完全に、参照により組み込まれる。
既知の方法ステップ、慣行法ステップ、既知の方法または慣行法は、本発明の全ての態様、記載、または実施形態が、関連技術において開示、教示、または提示されていると認めることには決してならない。
特定の実施態様についての前述の記載は、本発明の一般的性質を十分に明らかにすることになるので、当業者は(本明細書において引用されている参考文献の内容を含めて)当技術内における知識を適用することによって過度の実験を要せず、本発明の一般的概念から離れることなくかかる特定の実施形態を様々な適用のために容易に修飾および/または適用することができる。したがって、かかる適用および修飾は、本明細書において示されている教示および指針に基づいて、開示された実施形態と等価の範囲の意味にあることを意図する。本明細書における表現および専門用語は、記述の目的のためのものであって、限定されるものではなく、そして本明細書の表現および専門用語は、本明細書に記載されている教示および指針の点から、当技術分野における通常の技術の一つの知識と組み合わせて、当業者によって解釈されるものと理解され得る。
実施例:無血清CHO細胞上清由来の組み換え抗体の精製
実施例を通じて頻繁に使用される略語
Ab:抗体
AEX:陰イオン交換クロマトグラフィー
BV:総容積
CEX:陽イオン交換クロマトグラフィー
CHO:チャイニーズハムスター卵巣
Cond:伝導率
ELISA:酵素結合免疫吸着測定法
HCP:宿主細胞タンパク質
HIC:疎水性相互作用クロマトグラフィー
K:カリウム
kD:キロダルトン
Na:ナトリウム
NaAc:酢酸ナトリウム
NaCl:塩化ナトリウム
SE−HPLC:サイズ排除高速液体クロマトグラフィー(Ab凝集体の定量化)
ppm:100万分率
rh:組み換えヒト
RT:室温
SDS−PAGE:ドデシル硫酸ナトリウム ポリアクリルアミドゲル電気泳動
SE−HPLC:サイズ排除高速液体クロマトグラフィー
UV:紫外線
装置
Aktaエキスプローラー100(GEヘルスケア)
フラクションコレクターFrac−950(GEヘルスケア)
XK16クロマトグラフィーカラム,直径1.6cm(GEヘルスケア)
0.66cmクロマトグラフィーカラム(オムニフィット(Omnifit))
デジタルバランスPM6100(メトラー(Mettler))
712コンダクトメーター(メトローム(Metrohm))
713pHメーター(メトローム)
実施例1:捕獲ステップ−陽イオン交換クロマトグラフィー−溶出条件
陽イオン交換クロマトグラフィーを、CHO細胞中で産生された抗CD25組み換えヒトモノクローナル抗体(抗CD25rhAb)の捕獲のために使用した。この実験の目的は、溶出ステップの収率および純度(すなわちHCPの量)に対して、溶出緩衝液のpHの効果を評価することである。5つの異なる溶出条件を、以下の手順に従って試験した:
出発物質は、配列番号1に記載されているアミノ酸配列を含むヒトγ1重鎖可変領域、および配列番号2に記載されているアミノ酸配列を含むヒトカッパ軽鎖可変領域を有する抗CD25rhAbの浄化採取物であった。無血清条件下においてCHO細胞中で発現されたヒトモノクローナル抗体の分子量は、約150キロダルトン(kDa)であり、そして等電点(pI)は、約9であった。全ての操作を室温で行い、そして流速を100cm/時間で、一定に維持した。280nmにおけるUVシグナルを全ての時間で記録した。
カラム
フラクトゲルEMD SEハイキャップ(M)樹脂(メルク)を、直径0.66cm、カラム高さ(bed height)4cmの、体積1.4mlのカラム中へ充填した。
緩衝液
A1=pH5.0、pH6.0、pH7.0またはpH8.0である、20mMクエン酸/リン酸
A2=0.5M NaOH
B1=20mMクエン酸/リン酸+1M NaCl、pH5.0、6.0、7.0または8.0
平衡化
カラムを、少なくとも10BVの十分な量の緩衝液A1を用いて平衡化した。
装填
約1g/Lの滴定濃度である70mlの抗CD25rhAb採取物を、はじめに濃酢酸の添加によってpH4.5に調節し、そして0.22μmで濾過された(cond.15.0mS/cm)。装填用量は、充填された樹脂の1mlあたり、ビアコア(Biacore)アッセイによって決定されるように、47mgの抗CD25rhAbであった。
洗浄ステップ
カラムを、少なくとも10BVの十分な量の緩衝液A1を用いて洗浄した。
溶出
カラムを、pH5.0、6.0、7.0、または8.0で、25BVの、緩衝液A1から緩衝液B1への直線状のNaCl勾配(表1、列1参照)の後に、5BVの緩衝液B1を用いて溶出した。1.4mlのフラクションを回収した。
再生および衛生化
カラムを5BVの緩衝液A2を用いて再生した。
再平衡化
カラムを、少なくとも5BVの十分な緩衝液A1を用いて再平衡化した。
結果
捕獲カラムからの抗CD25rhAbの溶出を、以下に記載する条件においてNaCl勾配を増加させることによって行なった。定組成溶離(pHおよび塩濃度が一定である)も同様に試験した。
Figure 2010516651
図1は、(定組成溶出を除いた)表1に示す条件での洗浄および溶出ステップ実験の重複クロマトグラムを示す。
上の表1で示されるように、全ての溶出条件(塩勾配、または定組成)で得られた抗体収率は、79%以上であった。pH8での洗浄ステップの後、勾配をかけた溶出によって、溶出ピークにおいて純度が20500ppmのHCPとなり、pH5で得られたレベル、すなわち97600ppmよりも4.7倍低いレベルとなった。これらの結果は、pH8の条件に相当する、表1の最も大きい洗浄ピークと相関する。同一のpH(表1)において、定組成溶離よりも勾配の使用により、より多くのHCPの排除を可能とした。これは、HCPが洗浄ステップのみならず(6.4%)、溶出ピークの後部においても排除されるからである(22.2%)。
結論
洗浄および溶出条件が、著しいHCPの排除を提供する一方で、産物の回収を最大化するように最適化された。
実施例2:捕獲ステップ−陽イオン交換クロマトグラフィー−「スケールアップ」
実施例1の最適化された溶出条件を、1.4から20mlへスケールアップされたカラムを使用して、抗CD25rhAbを捕獲させるために使用した。
出発物質は、無血清条件下で培養されたCHO細胞中で発現された抗CD25rhAbの浄化採取物であった。全ての操作を室温で行い、そして流速を150cm/時間で、一定に維持した。280nmにおけるUVシグナルを全ての時間で記録した。
カラム
フラクトゲルEMD SEハイキャップ(M)樹脂(メルク)を、直径1.66cm、カラム高さ10cmの、体積20mlのカラム中へ充填した。
緩衝液
A1=100mM NaAc + 128mM NaCl、pH4.0、伝導率14.7mS/cm
A2=0.5M NaOH + 2M KCl
A3=20mMリン酸、pH8.0
B1=20mMリン酸 + 1M NaCl、pH8.0
平衡化
カラムを、少なくとも10BVの十分な量の緩衝液A1を用いて(または標的となる、伝導率14.7mS/cmおよびpH4.0±0.1に到達するまで)平衡化した。
装填
装填に先立って、約1g/Lの滴定濃度であるCD25rhAb浄化採取物を、はじめに濃酢酸の添加によってpH4.0に調節し、そして0.22μmで濾過された。カラムを、その動的容量の80%で、すなわち1mあたり36.7mgの抗CD25rhAbで、15mS/cmの伝導率を有する抗CD25rhAb調製採取物を用いて装填した。
洗浄ステップ
カラムを、少なくとも20BVの十分な量の緩衝液A3を用いて洗浄した。
溶出
カラムを、25BV以上で、緩衝液B1 0〜15%の濃度勾配(すなわち、20mMリン酸pH8中における、0〜150mMのNaCl)で溶出した。15mlのフラクションを回収した。
再生化
カラムを、5BVの緩衝液B1を100%(すなわち1M NaClを)用いて再生した。
衛生化
その後、カラムを少なくとも3BVの緩衝液A2(0.5M NaOH + 2M KCl)を用いて、上昇流モードで衛生化した。1時間のインキュベート後、カラムを2BVの緩衝液A2を用いて洗浄した。
再平衡化
カラムを少なくとも5BVの緩衝液A1を用いて再平衡化した。
結果
抗体収率、HCPおよび凝集体の排除に関する結果を表2に示す:
Figure 2010516651
この捕獲ステップを、pH4.0における47mg/mlの5%漏出画分の、その限度容量に基づいたフラクトゲルEMD SEハイキャップ樹脂の選択によって最適化し(結果は示されていない)、そして、pH8の20mMリン酸ナトリウムを用いた洗浄およびpH8.0でのNaCl勾配における溶出によって、HCPをより良く除去することができた。装填容量を最大化するために必要となる、浄化採取物のpHを4.0にする調節は、0.22μmのフィルター上における濾過によって除去される、重要な沈殿物の形成を引き起こす。しかし、沈殿物があったにもかかわらず、抗CD25rhAbの回収が93%であった。
捕獲ステップのクロマトグラムにおいて(図3)、洗浄ステップにおいて、280nmの吸光度でかなりの量のピーク(すなわち、タンパク質)観察された。図2のSDS−PAGEのプロファイルは、洗浄ステップによって、抗体の遊離の重鎖および遊離の軽鎖(それぞれ、約50および25kDaのバンド)ならびにHCPを含む、低分子量のタンパク質の除去ができたことを示している。これらの2つのバンドは、溶出ピーク(レーン7)には存在しない。洗浄ステップによって、(遊離の軽鎖および遊離の重鎖を含む)抗体断片ならびにHCPの除去をすることができた(表2参照)。
図2のレーン7に見られるように、抗CD25rhAbに相当する150kDaの唯一つの主バンドが存在するため、溶出産物は比較的純粋である。
捕獲ステップ後の抗体収率は89%であった(表2)。洗浄ステップを用いて、そして溶出ピーク後部の切り取りによって、HCPレベルは、pH4で10,000ppm未満の最終レベルに調節された純化採取物と比較して119倍減少した。最終的に、捕獲溶出液中の凝集体のレベルは0.2%であった。溶出ピークの後部は、高レベルの凝集体を含む、はっきりと見える肩を示し(クロマトグラム参照)、そしてこのフラクションが溶出フラクションと共に貯留されなければ、高純度の産物が得られる。
結論
CEX上の捕獲ステップのために開発された条件を用いて、以下の不純物はかなり低いレベルまで減少した:
HCP(<10,000ppm)
凝集体(<1%)
(非還元条件および銀染色下のSDS−PAGEによっては検出されない)重鎖および軽鎖のような抗体断片
実施例3:3ステップの精製工程:CEX−AEX−HIC(工程1)
3ステップの精製工程を、組み換え抗体の精製のために開発した。第一ステップであるCEX上の捕獲ステップの後に、2通りの可能な順番でAEXおよびHICステップを行なった。
3.1 ステップ1:陽イオン交換クロマトグラフィー
実施例2に記載されたとおりの捕獲ステップ。
3.2 ステップ2:陰イオン交換クロマトグラフィー
出発物質
好適な装填用緩衝液(5mM リン酸ナトリウム pH8.5)中で透析された、CEX上における捕獲ステップ由来の溶出物は(実施例2)、陰イオン交換クロマトグラフィーのための出発物質として使用した。
カラム
50HQ樹脂(アプライドバイオシステムズ)を、カラム高さ10cmのおよび直径1.6cmのカラム中に20ml容積分を充填した。
全ての操作を室温で行い、そして流速を150cm/時間で維持した。280nmでのUVシグナルは、全ての時間で記録された。
緩衝液
A1=5mM リン酸、pH8.5、伝導率1.1mS/cm
A2=0.5M NaOH
A3=0.5M リン酸、pH8.5
平衡化
カラムを、少なくとも10BVの緩衝液A1を用いて平衡化した(5mM リン酸、pH8.5または標的伝導率1.1mS/cmおよびpH8.5±1に到達するまで)。
素通り画分中の抗CD25rhAbの装填、洗浄およびそれに付随する回収
カラムを、5mMリン酸緩衝液中、1.5g/Lの濃度である、pH8.5(pH8.5±0.1、伝導率1.1±1mS/cm)の捕獲前物質を用いて装填した。カラムをその後、10BVの緩衝液A1で洗浄した。素通り画分および洗浄フラクションを回収した。
溶出
カラムを、5BVの緩衝液A3を用いて溶出した。
衛生化
カラムを、5BVの緩衝液A2を用いて衛生化した。
前平衡化
カラムを、5BVの緩衝液A3を用いて前平衡化した。
再平衡化
カラムを、5BVの緩衝液A1を用いて再平衡化した。
3.3 ステップ2:疎水性相互作用クロマトグラフィー
出発物質
この精製ステップのために使用された出発物質は、陰イオン交換クロマトグラフィーの素通り画分であった(実施例3.2参照)。
カラム
フェニルセファロース6ファストフローサブ樹脂(GEヘルスケア)を、直径0.66cmおよびカラム高さ4cmのカラムへ1.4ml容積分充填した。
全ての操作を室温で行い、そして流速を100cm/時間で一定に維持した。280nmにおけるUVシグナルを、全ての時間で記録した。
緩衝液
A1=100mM リン酸、pH7.0
A2=0.5M NaOH
A3=10mM リン酸、pH7.0
B1=100mM リン酸+1M Na2SO4、pH7.0
平衡化
カラムを、緩衝液A1と緩衝液B1(それぞれ50%)との混合物10BVを用いて平衡化した。
装填
緩衝液B1で2倍希釈された実施例3.2の陰イオン交換クロマトグラフィーの素通り画分を用いてカラムを装填した。カラムを、80%の容量(すなわち、充填された樹脂1mlあたり16.3mgの抗CD25rhAb)で装填した。
洗浄ステップ
カラムを、緩衝液A1と緩衝液B1との混合液(それぞれ50%)を5BV用いて洗浄した。
溶出
緩衝液B1を50%〜0%の濃度勾配で20BV以上用いて、カラムを溶出した。1BVのフラクションを回収し、その後緩衝液A3で洗浄した。
衛生化および再生化
5BVの緩衝液A2を用いて衛生化。1時間のインキュベーションの後、カラムを3BVの水を用いて洗浄した。
再平衡化
カラムを、緩衝液A1と緩衝液B1との混合液(それぞれ50%)を5BV用いて再平衡化した。
実施例4:3ステップの精製工程:CEX−HIC−AEX(工程2)
この工程において、実施例2のCEX捕獲ステップの後に、HICステップが行なわれ、そして最後にAEXステップが行なわれた。実施例3.2および実施例3.3中に記載されているものと同一の手順に、幾つかの異なるパラメーターの例外を用いて行なった。
4.1 ステップ1:陽イオン交換クロマトグラフィー
実施例2に記載されている通りの捕獲ステップ
4.2 ステップ2:疎水性相互作用クロマトグラフィー(HIC)
CEX上における捕獲ステップ(実施例2)由来の溶出液を、pH7.0の100mMリン酸緩衝液中で透析濾過し、そして(約4倍に)濃縮した。上記実施例3.3中に記載されているステップをその後、以下の相違を伴って追随した:カラムサイズ、溶離(勾配の代わりに定組成)。
カラム
フェニルセファロース6ファストフローサブ樹脂(GEヘルスケア)を、直径1.6cmおよびカラム高さ10cmのカラム中に20ml容量分充填した。
装填
透析濾過され、そしてpH7.0の緩衝液B1(100mMリン酸+1M Na2SO4)で2倍希釈されたCEX捕獲ステップ由来の溶出液を用いて装填した。カラムを、80%の容量(すなわち、充填される樹脂1mlあたり16.3mgの抗CD25rhAb)で装填した。
溶出
15BVの緩衝液A3を用いてカラムを溶出し、そして15mlのフラクションを回収した。
4.2 ステップ3:陰イオン交換クロマトグラフィー
当該工程の最終ステップにおいて、小規模およびより低い流速(すなわち、100cm/時)で、AEXを行なった。上の実施例3.2のステップを、幾つかの相違を除いて追随した:
カラム
ポロス50HQ樹脂(アプライドバイオシステムズ)を、カラム高さ4cmおよび直径0.66cmのカラム中に1.4ml容量分充填した。
装填
カラムを、濃度2.4g/L、pH8.5(pH8.5±0.1、伝導率1.1±1mS/cm)であって、5mMリン酸緩衝液中で透析された、HICステップ由来の溶出液(実施例4.2)を用いて装填した。
結果(実施例3および4)
抗体精製のための2つの工程を試験した。両方の場合において、CEX上の捕獲ステップの後に、以下の順番:AEX−HIC(工程1)またはHIC−AEX(工程2)のうちの一つである2つのクロマトグラフィーステップを行なった。抗体収率、HCPおよび凝集体に関する、当該方法の結果を以下の表3に示す。
Figure 2010516651
280nmにおけるODによって測定される当該方法の全体的な収率は、工程1において約58%、そして工程2においては約64%であった(表3)。両方の場合において、20ppm未満のHCPを最終バルクにおいて得た(注記:捕獲溶出液のHCPの値は、2つの異なるCEX溶出液が共に混合されている、表2における値とは異なる)。両方の方法における最終的な凝集体の量は、0.1%未満である。図4(SDS−PAGE分析)は、工程1(レーン4)が、(非常に薄い軽鎖のバンドが存在する)Ab標準(レーン2)と同程度の純度である最終バルクを与えることを示している。工程2において、遊離の軽鎖および遊離の重鎖を示すバンドは、視認可能であった。これらの結果を、図5における電気泳動図によって確認し(ラブチップ90分析)、そしてそこで観察される主ピークが、精製された抗体に相当する。工程1によって得られた産物は、遊離の重鎖を含んでいない(点線のピーク2を参照)。以下の表4における値は、遊離の重鎖および遊離の軽鎖の濃度が非常に低い(<1%)ことを裏付けている:
Figure 2010516651
さらに、工程1からの、精製されたバルク中のDNAレベル(Ab1mgあたり8.9pg)は、プロテインAアフィニティ−CEX−AEXによる方法を用いて得られたもの(Ab1mgあたり9.4pg)と同程度である(記載せず)。
結論
CEX−AEX−HICの順番からなる、工程1を用いて製造された精製バルクから得えられる純度(HCP、凝集体、不完全断片、DNA)は、プロテインAアフィニティ−CEX−AEXの順番からなる方法を用いたものと同程度である。
全体の結論
CEX上における抗体の捕獲ステップのために開発された条件を用いて、非常に低いレベルのHCP(<10.000ppm)および凝集体(<1%)が得られることが示された。遊離の重鎖および遊離の軽鎖のような抗体断片は著しく減少し、そしてSDS−PAGE分析によって検出不能となった。
この最適化された捕獲ステップは、HCP、凝集体および抗体断片に対して高純度の抗体を与える(>90%以上)。さらに、浄化採取物をpH4(47g/L)で装填したときの捕獲カラムの高い動的容量は、このステップを非常に費用効率のよいものとする。
AEXおよびHICステップを追加した3ステップの方法は、HCP、凝集体および抗体断片に関して、プロテインA上のアフィニティクロマトグラフィーを用いた方法に匹敵する最終物質の純度を、しかしより低い費用で与える(資料未記載)。
(工程1または2のいずれかにしたがった)3ステップの方法により、全体の0.1%未満への凝集体の減少、全体の15〜20ppmへのHCPの減少、および全体の1%未満への遊離軽鎖および重鎖の減少した、高度に精製された抗CD25rhAbとなった。
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配列表の簡単な説明
配列番号1:抗CD25rhAb軽鎖可変領域(VH)。
配列番号2:抗CD25rhAb重鎖可変領域(VL)。
配列番号3:抗CD25rhAb重鎖可変領域のCDR1。
配列番号4:抗CD25rhAb重鎖可変領域のCDR2。
配列番号5:抗CD25rhAb重鎖可変領域のCDR3。
配列番号6:抗CD25rhAb軽鎖可変領域のCDR1。
配列番号7:抗CD25rhAb軽鎖可変領域のCDR2。
配列番号8:抗CD25rhAb軽鎖可変領域のCDR3。

Claims (35)

  1. Fc含有タンパク質を液体から分離および精製する方法であって、以下のステップ:
    a.陽イオン交換樹脂に前記Fc含有タンパク質を結合させ;
    b.前記Fc含有タンパク質の等電点より約1pH単位低く、そして約2〜6mS/cmの伝導率を有する緩衝液を用いて、前記陽イオン交換樹脂を洗浄し;および
    c.塩勾配を増加させながら、前記Fc含有タンパク質の前記等電点より約1pH単位低い緩衝液を用いて、前記Fc含有タンパク質を溶出すること
    を含む、少なくとも1つの陽イオン交換クロマトグラフィー精製ステップを含む、前記方法。
  2. 陰イオン交換クロマトグラフィーおよび疎水性相互作用クロマトグラフィーから選択されるさらなる精製ステップへ、前記陽イオン交換クロマトグラフィーステップの前記溶出液を供することをさらに含む、請求項1記載の方法。
  3. 陰イオン交換クロマトグラフィーおよび疎水性相互作用クロマトグラフィーでの、2つのさらなる精製ステップをいずれかの順で含む、請求項1記載の方法。
  4. 前記陰イオン交換クロマトグラフィーの素通り画分が回収される、請求項2または3記載の方法。
  5. ステップ(a)における前記Fc含有タンパク質の結合が、pH5未満で行なわれる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. ステップ(a)における前記陽イオン交換樹脂への結合に先立って、前記Fc含有タンパク質が、約pH7.0において、4mS/cm未満の伝導率になるように水で希釈される、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  7. ステップ(b)における前記洗浄が、pHが約7〜約8.5において、約2〜6mS/cmの伝導率で行なわれる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. ステップ(b)における前記洗浄が、約pH8において、約3.5mS/cmの伝導率を有するリン酸緩衝液を用いて行なわれる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  9. ステップ(c)において、塩勾配の増加が浅い勾配である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
  10. ステップ(c)において、約7〜約8.5のpHにおいて、約2〜約15mS/cmの範囲の伝導率で、塩勾配を増加させながら、前記Fc含有タンパク質が前記陽イオン交換樹脂から溶出される、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. ステップ(c)において、ステップ(c)における前記Fc含有タンパク質が、約7〜約pH8.5の範囲のpHにおいて、約0〜約150mMの範囲でNaCl勾配を増加させながら、前記陽イオン交換樹脂から溶出される、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. ステップ(c)において、溶出ピークの後部の切り取りが行なわれる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. ステップ(a)における前記陽イオン交換樹脂が、強陽イオン交換樹脂である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記強陽イオン交換樹脂が、フラクトゲル EMD SE ハイキャップ(Fractogel EMD SE Hicap)(M)樹脂である、請求項13記載の方法。
  15. ステップ(a)が、約pH4で、および約15mS/cmの伝導率で、ならびに充填された陽イオン交換樹脂の1リットルあたり約40〜47gのFc含有タンパク質の動的容量で、前記陽イオン交換樹脂を装填することを含む、請求項13記載の方法。
  16. ステップ(c)から得られる前記陽イオン交換樹脂の前記溶出液が、10,000ppm未満または5,000ppm未満のHCPレベルを有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. ステップ(c)から得られる前記陽イオン交換樹脂の前記溶出液が、1%未満の凝集体レベルを有する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
  18. ステップ(c)から得られる前記陽イオン交換樹脂の前記溶出液が、1mcgのFc含有タンパク質を装填するときに、非還元条件および銀染色下におけるSDS−PAGEによって検出することのできない不完全Fc含有タンパク質のレベルを有する、請求項1〜17記載の方法。
  19. 前記不完全Fc含有タンパク質断片が、遊離の抗体重鎖および/または軽鎖を含む、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記Fc含有液体が浄化採取物である、請求項1〜19のいずれか一項に記載の方法。
  21. 前記Fc含有タンパク質が、約7.5〜約9.5の間の等電点を有する、請求項1〜20のいずれか一項に記載の方法。
  22. 一またはそれ以上の限外濾過のステップをさらに含む、請求項1〜21のいずれか一項に記載の方法。
  23. 前記精製Fc含有タンパク質を医薬組成物へ製剤化することをさらに含む、請求項1〜22のいずれか一項に記載の方法。
  24. 前記Fc含有タンパク質が、免疫グロブリン(Ig)定常領域を含む、請求項1〜23のいずれか一項に記載の方法。
  25. 前記定常領域がヒト定常領域である、請求項24記載の方法。
  26. 前記免疫グロブリンがIgG1である、請求項24または25記載の方法。
  27. 前記定常領域がCH2およびCH3ドメインを含む、請求項24〜26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記定常領域が、ヒンジ、CH2およびCH3ドメインを含む、請求項24〜27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記Fc含有タンパク質が、免疫グロブリン可変領域をさらに含む、請求項1〜28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記Fc含有タンパク質がFc融合タンパク質である、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 前記Fc含有タンパク質が抗体である、請求項1〜29のいずれか一項に記載の方法。
  32. 前記抗体が、CD3、CD4、CD11a、CD25、IFN−ガンマ、EpCAM、TACI−Rからなる群から選択される抗原と特異的に結合する、請求項31記載の方法。
  33. 前記抗体が、配列番号1で示される前記アミノ酸配列を含むヒト重鎖可変領域、および配列番号2で示される前記アミノ酸配列を含むヒトカッパ軽鎖可変領域、またはその保存的配列改変体、を有する抗CD−25抗体である、請求項記載の方法。
  34. 前記抗体が、(i)配列番号3のVH CDR1、配列番号4のVH CDR2および配列番号5のVH CDR3ならびに配列番号6のVL CDR1、配列番号7のVL CDR2および配列番号8のVL CDR3;または(ii)(i)で定義された前記配列のいずれか一つの保存配列の改変体、を含む抗CD−25抗体である、請求項31記載の方法。
  35. 液体からFc含有タンパク質を捕獲するための陽イオン交換クロマトグラフィーの使用であって、前記陽イオン交換樹脂への前記Fc含有タンパク質の結合の後、前記樹脂が前記Fc含有タンパク質の等電点よりも約1pH単位低い緩衝液を用いて洗浄される、前記使用。
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