JP7097225B2 - 粘着剤組成物及びその利用 - Google Patents
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〔1〕アクリル系ポリマー、金属キレート化合物及び液状ロジン系樹脂を含む、粘着剤組成物。
〔2〕上記液状ロジン系樹脂の粘度が1500~250000mPa・sである、〔1〕に記載の粘着剤組成物。
〔3〕上記液状ロジン系樹脂の重量平均分子量が500~5000である、〔1〕又は〔2〕に記載の粘着剤組成物。
〔4〕上記液状ロジン系樹脂の含有量が、上記アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.1~30質量部である、〔1〕から〔3〕のいずれかに記載の粘着剤組成物。
〔5〕上記金属キレート化合物の含有量が、上記アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.001~15質量部である、〔1〕から〔4〕のいずれかに記載の粘着剤組成物。
〔6〕〔1〕から〔5〕のいずれかに記載の粘着剤組成物から得られた粘着剤層を含む、粘着製品。
本発明の一実施形態に係る粘着剤組成物は、アクリル系ポリマー、金属キレート化合物及び液状ロジン系樹脂を含む。粘着剤組成物が当該構成であることにより、初期粘着性及び再剥離性が優れた粘着製品を製造するための粘着剤組成物を得ることができる。
本発明の一実施形態において「アクリル系ポリマー」とは、モノマーとして(メタ)アクリル酸又はアルキル(メタ)アクリレートを含むポリマーを意味する。なお、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味する。(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。上記アルキル(メタ)アクリレートにおけるアルキル基の炭素数は、1~12であることが好ましい。そのようなアルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリルレート、イソブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を用いることができる。粘着特性(保持力及び粘着力等)を考慮すれば、全モノマー成分中のアルキル(メタ)アクリレートの含有量は、70~99.9質量%とすることが好ましい。
本発明の一実施形態において金属キレート化合物は、1分子当たり金属キレート基を2個以上有する化合物であれば特に限定されない。本発明の一実施形態において、金属キレート化合物は架橋剤として使用される。本発明の一実施形態に係る粘着剤組成物が金属キレート化合物を含むことにより、粘着剤組成物を基材に塗工して一定期間放置する工程(一般に、養生する工程とも呼ばれる)にかかる時間を短縮でき、生産効率を上げることができる。金属キレート化合物は、例えば、アルミニウム、亜鉛、カドミウム、ニッケル、コバルト、銅、カルシウム、バリウム、チタン、マンガン、鉄、鉛、ジルコニウム、クロム、錫等の金属に、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、乳酸エチル、サリチル酸メチル等が配位した金属キレート化合物等が挙げられる。これらの中でも金属キレート化合物は、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)等のアルミニウムキレートが好ましい。
本発明の一実施形態において「液状ロジン系樹脂」とは、室温(23℃)で液体状態のロジン系樹脂を意図する。本発明の一実施形態において液状ロジン系樹脂は、粘着付与剤として使用される。従来、粘着付与剤として使用されるロジン系樹脂は、粘着性向上の観点から、軟化点が80℃以上である樹脂(すなわち、室温で固体である樹脂)が好ましいとされてきた。しかし、驚くべきことに、本発明者らは、室温(23℃)で液体状態のロジン系樹脂を用いることにより、初期粘着性及び再剥離性に優れる粘着剤組成物を得られることを見出した。なお、液状ロジン系樹脂は、室温(23℃)で液体状態であるため軟化点の測定が困難である。液状ロジン系樹脂が奏する作用機構としては、金属キレート化合物の硬化抑制に働いたこと、粘着剤組成物の流動性向上に働いたこと、基材との接着強度が向上したこと等が考えられる。なお、軟化点は、JIS K5902に規定されている乾球法にしたがって測定した軟化温度である。
本発明の一実施形態に係る粘着剤組成物は、さらに有機溶剤を含んでいてもよい。有機溶剤は、粘着剤組成物の粘度を調製する希釈剤として使用される。上記有機溶剤としては、例えば、n-ヘキサン、n-ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、デカヒドロナフタレン、ビシクロヘプタン、トリシクロデカン、ヘキサヒドロインデンシクロヘキサン、シクロオクタン、α-ピネン、ターピノーレン、リモネン等の脂環族炭化水素;トルエン、キシレン、ベンゼン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトンを挙げることができる。
本発明の一実施形態に係る粘着剤組成物は、さらに、必要に応じて、アルコール、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル及び、マロン酸エステルのうち少なくとも1種を含んでいてもよい。これらを粘着剤組成物に添加すると金属キレート化合物に作用して、粘着剤組成物の硬化時間を長くし、基材への追従性を高めることができる。さらに、これらを添加することにより、粘着剤組成物のポットライフを大幅に長くすることができる。
本発明の一実施形態に係る粘着製品は、上述の粘着剤組成物から得られた粘着剤層を含む。当該粘着製品としては、例えば、粘着シート、粘着ラベル、粘着テープ、両面テープ等が挙げられる。このような粘着製品は、基材レスで、又は基材に粘着剤の層を形成することにより製造される。より具体的には、例えば、段ボール、紙もしくはポリエチレンのシート、又は緩衝材など様々なものを固定化し、剥がした時に糊残りしにくい養生テープ、又は塗装時に塗料が余計な部分に付かないように保護するマスキングテープなどが粘着製品として挙げられる。
冷却管、窒素ガス導入管、温度計、滴下漏斗及び撹拌機を備えた反応容器内に、酢酸エチル100部(質量部、以下同じ)、2-エチルヘキシルアクリレート60部、ブチルアクリレート31.5部、アクリル酸3部、2-ヒドロキシエチルアクリレート0.5部、及び酢酸ビニル5.0部を入れた。その後、この反応容器内に過酸化物系重合開始剤(日本油脂株式会社製、商品名:ナイパーBMT-K40)0.1部を入れ、窒素ガス雰囲気中にて80℃で3時間反応させた。その後、アゾ系重合開始剤(株式会社日本ファインケム社製、商品名:ABN-E)0.3部を添加し、さらに80℃で3時間反応させることで、重量平均分子量が52.5万のアクリル系ポリマーを得た。その後、得られたアクリル系ポリマーを含む反応混合物を室温まで冷却し、液状ロジン系樹脂(荒川化学工業株式会社製、商品名:スーパーエステルL)10.0部、及び酢酸エチル10.0部を添加し、1時間撹拌させることにより溶液を得た。
液状ロジン系樹脂を、表1に示す液状ロジン系樹脂に変更した以外は、実施例1と同様の反応及び操作を行い、アクリル系ポリマー、粘着剤組成物及び粘着テープを得た。
実施例2:スーパーエステルA-18:荒川化学工業株式会社製
実施例3:エステルガムAT:荒川化学工業株式会社製
実施例4:ハリタックDP-2676-90E:ハリマ化成株式会社製、液状(有効成分90wt%、有効成分100%の場合の粘度は7000~8000mPa・s)
〔比較例1〕
液状ロジン系樹脂を使用しなかった以外は実施例1と同様の反応及び操作を行い、アクリル系ポリマー、粘着剤組成物及び粘着テープを得た。
アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)を使用しなかった以外は実施例1と同様の反応及び操作を行い、アクリル系ポリマー、粘着剤組成物及び粘着テープを得た。
液状ロジン系樹脂を表1に示すロジン系樹脂(D-135:荒川化学工業株式会社製、製品名:ペンセルD-135、フレーク状(軟化点135℃))に変更した以外は実施例1と同様の反応及び操作を行い、アクリル系ポリマー、粘着剤組成物及び粘着テープを得た。
実施例及び比較例にて得られた粘着テープの初期粘着性及び再剥離性を、以下の試験方法により評価した。
粘着テープを長さ50mm、幅25mmの長方形に裁断することにより、試験用粘着テープを作製した。得られた試験用粘着テープの剥離紙を剥離し、その剥離面に表面が研磨されたステンレス鋼板を載置した。その後、質量が2kgのロールを当該ステンレス鋼板上で往復させることにより、当該ステンレス鋼板を剥離面に貼り付け、室温(約23℃)で20分間静置した。その後、試験用粘着テープをステンレス鋼板から剥離角度180°、剥離速度300mm/minで剥離したときの剥離力を測定し、以下の評価基準に基づいて室温での粘着性(初期粘着性)を評価した。
(評価基準)
◎:剥離力が10N/25mm以上である。
○:剥離力が5N/25mm以上、10N/25mm未満である。
×:剥離力が5N/25mm未満である。
粘着テープを長さ50mm、幅25mmの長方形に裁断することにより、試験用粘着テープを作製した。得られた試験用粘着テープの剥離紙を剥離し、その剥離面に表面が研磨されたステンレス鋼板を載置した。その後、質量が2kgのロールを当該ステンレス鋼板上で往復させることにより、当該ステンレス鋼板を剥離面に貼り付け、60℃90%RHで3日間静置した。その後、試験用粘着テープをステンレス鋼板から剥離角度180°、剥離速度100mm/minで剥離したときの剥離状態を以下の評価基準で目視評価した。
(評価基準)
◎:ステンレス鋼板に粘着剤が残っていない(界面破壊)。
×:ステンレス鋼板に多量の粘着剤が残っている(凝集破壊)。
下記表1に実施例及び比較例にて得られた粘着テープの評価結果を、粘着剤組成物の組成とともに示す。
2EHA:2-エチルヘキシルアクリレート
BA:ブチルアクリレート
AA:アクリル酸
HEA:2-ヒドロキシエチルアクリレート。
Claims (9)
- アクリル系ポリマー、金属キレート化合物及び液状ロジン系樹脂を含み、当該アクリル系ポリマーは、全モノマー成分中の、アルキル基の炭素数が1~12であるアルキル(メタ)アクリレートの含有量が、70~99.9質量%である、粘着剤組成物。
- 上記液状ロジン系樹脂の粘度が1500~250000mPa・sである、請求項1に記載の粘着剤組成物。
- 上記液状ロジン系樹脂の重量平均分子量が500~5000である、請求項1又は2に記載の粘着剤組成物。
- 上記液状ロジン系樹脂の含有量が、上記アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.1~30質量部である、請求項1から3のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
- 上記金属キレート化合物の含有量が、上記アクリル系ポリマー100質量部に対して、0.001~15質量部である、請求項1から4のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
- 上記アクリル系ポリマーは、(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレート以外のモノマーである、その他のモノマーを含み、上記アクリル系ポリマーの全モノマー成分中の上記その他のモノマーの含有量が、0~20質量%である、請求項1から5のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
- 上記アクリル系ポリマーのTgが-65℃~-30℃である、請求項1から6のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
- 上記アクリル系ポリマーの重量平均分子量が、10万~150万である、請求項1から7のいずれか1項に記載の粘着剤組成物。
- 請求項1から8のいずれか1項に記載の粘着剤組成物から得られた粘着剤層を含む、粘着製品。
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