JP7082592B2 - 樹脂シート - Google Patents

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Description

本発明は、樹脂シートに関する。
粘着シートに代表される密着性の樹脂シートは、被着体への貼り付け作業性の良さ等から、種々の分野において幅広く利用されている。例えば、フレキシブル回路基板の製造において上記樹脂シートが用いられている。上記回路基板の製造は典型的には、ガラス等の硬質基板上に樹脂シートを積層し、該樹脂シート上に回路基板の基材フィルムを仮固定し、該基材フィルム上にて回路基板を形成した後、回路基板と樹脂シートとを分離することによって行われる。この種の従来技術を開示する先行技術文献として、特許文献1が挙げられる。特許文献2は、半導体ウエハに貼り付けて用いられる再剥離型粘着シートに関する技術文献である。
特開2012-186315号公報 特開2005-53998号公報
上記特許文献1に開示されるような回路基板の製造において、例えばTFTのパターン形成は通常150℃以上の加熱条件で行われ得る。当該製造に用いられる樹脂シートは、上記のような高温に曝されると、当該シート中に存在する水分等が気化することによりガスを放出する。放出されたガスは、樹脂シートと被着体とが良好に密着していても、その界面に侵入して両者の密着性を低下させる。また、被着体と樹脂シートとの間に空隙が存在していると、加熱時に該空隙中のガス成分が膨張し接着面積を減少させるため、やはり密着性は低下する。密着性の低下は、不良品の発生を引き起こし歩留り低下の原因になるだけでなく、樹脂シートが脱離し工程停止を引き起こす虞があるため、その改善が求められていた。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、貼り合わせ時には被着体に良好に密着可能であり、加熱時にはガス放出が抑制された樹脂シートを提供することを目的とする。
本発明によると、密着性樹脂層を備える樹脂シートが提供される。この密着性樹脂層は、特性(A1):120℃、5分間の加熱によってゲル分率が上昇し、かつ前記加熱を行う前のゲル分率G(%)に対する該加熱を行った後のゲル分率G(%)の比(G/G)が1.1~10000の範囲内である;を満たす。このように構成することで、貼り合わせ時には密着性樹脂層は被着体に良好に密着可能であり、かつ、加熱時にはゲル分率が速やかに上昇するので密着性樹脂層からのガス放出が抑制される。したがって、本発明によると、加熱に曝されても被着体との密着状態を良好に維持し得る樹脂シートが提供される。
また、本発明によると、密着性樹脂層を備える樹脂シートが提供される。この密着性樹脂層は、特性(A2):120℃、5分間の加熱によってゲル分率が上昇し、かつ前記加熱を行った後のゲル分率Gが30%~100%の範囲内である;を満たす。このように構成することで、貼り合わせ時には密着性樹脂層は被着体に良好に密着可能であり、かつ、加熱時にはゲル分率が速やかに所定以上になるので密着性樹脂層からのガス放出が抑制される。したがって、本発明によると、加熱に曝されても被着体との密着状態を良好に維持し得る樹脂シートが提供される。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、樹脂シートは、特性(B):前記密着性樹脂層をガラス板に貼り付け、150℃で30分間加熱した後に測定される180度剥離強度が、0.05~5.0N/20mmである;を満たす。特性(B)を満たす樹脂シートは、被着体を仮固定するのに適した接着力と優れた再剥離性とを併せ持つ再剥離性樹脂シートとなり得る。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記密着性樹脂層におけるラジカル捕捉剤の含有率は1重量%以下である。ラジカル捕捉剤は加熱時のゲル分率上昇を抑制する成分となり得る。ラジカル捕捉剤の含有量を所定以下とすることで、上記ゲル分率を効率よく上昇させることができる。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記密着性樹脂層には、炭素-炭素二重結合が存在している。このように構成することで、加熱時に上記樹脂層中の炭素-炭素二重結合(-C=C-)が反応してゲル分率が速やかに上昇する。また、前記密着性樹脂層における前記炭素-炭素二重結合の存在量は0.1~2.0mmol/gであることが好ましい。これによって、加熱時におけるゲル分率上昇を好適に実現することができる。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、前記密着性樹脂層は、一般式(1):
Figure 0007082592000001
(上式中、Rは水素またはメチル基である。);で表わされる加熱反応性基を有する化合物を含む。このように構成することで、加熱時に上記化合物中の炭素-炭素二重結合が反応してゲル分率が速やかに上昇する。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、樹脂シートは、前記密着性樹脂層を支持する樹脂フィルム基材をさらに備える。支持基材として樹脂フィルム基材を備える樹脂シートは、所定の剛性を有することから、加工性や取扱い性に優れたものとなり得る。
樹脂シートの一構成例を模式的に示す断面図である。 樹脂シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。 樹脂シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。 樹脂シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。 樹脂シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。 樹脂シートの他の一構成例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、製品として実際に提供される樹脂シートのサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
<樹脂シートの構成>
ここに開示される樹脂シートは密着性樹脂層を備える。この密着性樹脂層は、典型的には樹脂シートの少なくとも一方の表面(例えば両面)を構成している。樹脂シートは、上記密着性樹脂層を基材(支持体)の片面または両面に有する形態の基材付き樹脂シートであってもよく、上記密着性樹脂層が剥離ライナー(剥離面を備える基材としても把握され得る。)に保持された形態等の基材レスの樹脂シートであってもよい。この場合、樹脂シートは密着性樹脂層のみからなるものであり得る。ここでいう樹脂シートの概念には、粘着テープ、粘着ラベル、粘着フィルム等と称され得る粘着シートや、接着シート、接着フィルム等の粘接着シート類が包含され得る。また、上記密着性樹脂層は典型的には連続的に形成されるが、かかる形態に限定されるものではなく、例えば点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成された密着性樹脂層であってもよい。また、本明細書により提供される樹脂シートは、ロール状であってもよく、枚葉状であってもよい。あるいは、さらに種々の形状に加工された形態の樹脂シートであってもよい。
ここに開示される樹脂シートは、例えば、図1~図6に模式的に示される断面構造を有するものであり得る。このうち図1,図2は、両面接着タイプの基材付き樹脂シートの構成例である。図1に示す樹脂シート1は、基材10の各面(いずれも非剥離性)に密着性樹脂層21,22がそれぞれ設けられ、それらの密着性樹脂層が、少なくとも該密着性樹脂層側が剥離面となっている剥離ライナー31,32によってそれぞれ保護された構成を有している。図2に示す樹脂シート2は、基材10の各面(いずれも非剥離性)にそれぞれ密着性樹脂層21,22が設けられ、それらのうち一方の密着性樹脂層21が、両面が剥離面となっている剥離ライナー31により保護された構成を有している。この種の樹脂シート2は、該樹脂シートを巻回して他方の密着性樹脂層22を剥離ライナー31の裏面に当接させることにより、密着性樹脂層22もまた剥離ライナー31によって保護された構成とすることができる。
図3,図4は、基材レスの両面接着性樹脂シートの構成例である。図3に示す樹脂シート3は、基材レスの密着性樹脂層21の両面21A,21Bが、少なくとも該密着性樹脂層側が剥離面となっている剥離ライナー31,32によってそれぞれ保護された構成を有する。図4に示す樹脂シート4は、基材レスの密着性樹脂層21の一方の表面(密着面)21Aが、両面が剥離面となっている剥離ライナー31により保護された構成を有し、これを巻回すると、密着性樹脂層21の他方の表面(密着面)21Bが剥離ライナー31の背面に当接することにより、他面21Bもまた剥離ライナー31で保護された構成とできるようになっている。
図5,図6は、片面接着性の基材付き樹脂シートの構成例である。図5に示す樹脂シート5は、基材10の一面10A(非剥離性)に密着性樹脂層21が設けられ、その密着性樹脂層21の表面(密着面)21Aが、少なくとも該密着性樹脂層側が剥離面となっている剥離ライナー31で保護された構成を有する。図6に示す樹脂シート6は、基材10の一面10A(非剥離性)に密着性樹脂層21が設けられた構成を有する。基材10の他面10Bは剥離面となっており、樹脂シート6を巻回すると該他面10Bに密着性樹脂層21が当接して、該密着性樹脂層の表面(密着面)21Bが基材の他面10Bで保護されるようになっている。
<密着性樹脂層>
(ゲル分率)
ここに開示される密着性樹脂層は、120℃、5分間の加熱によってゲル分率が上昇することによって特徴づけられる。上記の特徴を示す密着性樹脂層は、密着性樹脂層を被着体に貼り合わせるときには、相対的に低いゲル分率を有することから良好な接着性、追従性を発揮し、被着体表面に良好に密着することが可能である。例えば、凹凸を有する表面に対しても良好に密着することが可能である。密着性樹脂層が被着体表面に良好に密着することは、被着体界面に空隙が少ないことでもあり得るため、該空隙に存在するガス成分が加熱時に膨張することによって引き起こされる密着性低下を防止または抑制することができる。また、樹脂シートを所定以上の温度に加熱すると、密着性樹脂層のゲル分率は速やかに上昇する。具体的には、密着性樹脂層中のアウトガス成分が同加熱により気化膨張するよりも早く上記ゲル分率は上昇して、密着性樹脂層の弾性は上昇する。これにより、アウトガス成分の気化膨張が抑制され、密着性樹脂層からのガス放出が抑制される結果、加熱時のガス放出に起因する密着性低下が抑制される。要するに、ここに開示される技術は、貼り合わせ時の密着性と加熱時におけるガス放出抑制とによって、加熱後においても良好な密着性を維持することを実現する。上記のような樹脂シートによると、例えば、樹脂シートを貼り付けた状態で被着体を搬送する場合において、搬送時の振動等によって樹脂シートが脱落するような不具合が防止される。なお、アウトガス成分とは、典型的には、該樹脂層中に存在する水等の揮発成分や、該樹脂層中の空隙に存在する気体成分のことである。
好ましい一態様に係る密着性樹脂層は、特性(A1):120℃、5分間の加熱によってゲル分率が上昇し、かつ上記加熱(120℃、5分間の加熱)を行う前のゲル分率G(%)に対する該加熱を行った後のゲル分率G(%)の比(G/G)が1.1~10000の範囲内である;を満たす。上述のように、密着性樹脂層は、貼り合わせ時にはゲル分率Gは相対的に低いので、被着体表面に良好に密着することが可能である。また、加熱時にはゲル分率が速やかに上昇して比(G/G)が1.1~10000の範囲内となるので、密着性樹脂層からのガス放出が抑制される。
他の好ましい一態様に係る密着性樹脂層は、特性(A2):120℃、5分間の加熱によってゲル分率が上昇し、かつ上記加熱(120℃、5分間の加熱)を行った後のゲル分率Gが30%~100%の範囲内である;を満たす。上述のように、密着性樹脂層は、貼り合わせ時にはゲル分率Gが相対的に低いので、被着体表面に良好に密着することが可能である。また、加熱時にはゲル分率が速やかに上昇してゲル分率Gが30%以上となるので、密着性樹脂層からのガス放出が抑制される。
上述のように、ここに開示される技術は、貼り合わせ性(初期密着性)と加熱後密着性との両立の観点から、比(G/G)が1より大きいことを満たす密着性樹脂層を備える構成で実施される。貼り合わせ性と加熱後の特性(密着性や再剥離性等)を考慮して、上記比(G/G)は2以上(例えば5以上、典型的には10以上)であってもよく、あるいは、100以上(例えば1000以上、典型的には5000以上)であってもよい。比(G/G)の上限は特に限定されないが、加熱後の特性(例えば剥離強度)への影響を考慮して、通常は10000以下であることが適当であり、50以下(例えば20以下、典型的には15以下)とすることが好ましい。目的や用途に応じてゲル分率Gを比較的高めに設定する場合には、比(G/G)は5以下(例えば3以下、典型的には2以下)としてもよく、さらには1.5以下(典型的には1.2以下)としてもよい。なお、この明細書においては、Gが0%の場合は、Gが0%より大きければ比(G/G)>1を満たすこととする。
ゲル分率Gはゲル分率Gより低い値であればよく、その限りにおいて特に限定されないが、ゲル分率Gが高すぎると、密着性樹脂層と被着体との密着性が低下する虞がある。より詳しくは、ゲル分率Gが高すぎると、貼り合わせ性が低下して密着性樹脂層と被着体との間に空隙が形成され得るため、加熱時に該空隙に存在するガスが膨張して密着性樹脂層と被着体との密着性が低下する虞がある。また、段差追従性が低下する傾向もある。そのような観点から、ゲル分率Gは90%以下であることが適当であり、好ましくは80%以下(例えば70%以下、典型的には60%以下)である。あるいは、ゲル分率Gは40%以下(例えば10%以下、典型的には5%以下)であってもよい。ゲル分率Gの下限値は0%であり得るが、通常は0.01%以上(例えば0.1%以上、典型的には1%以上)であり、2%以上であることが適当である。ゲル分率Gを高めることで、被着体に貼り付けた状態での流動性が制限され、例えば密着性樹脂層のズレや被着体端面からのはみ出し等の不具合の発生が抑制される。また、密着性樹脂層に適度な弾性を付与する観点から、ゲル分率Gは10%以上(例えば20%以上、典型的には30%以上)とすることが好ましく、ゲル分率Gは40%以上(例えば50%以上、あるいは60%以上)であってもよい。ゲル分率Gは後述の方法により測定される。後述の実施例におけるゲル分率Gについても同様である。
ゲル分率Gは、ゲル分率Gより高い値であればよく、その限りにおいて特に限定されないが、ゲル分率Gが低すぎると、加熱時におけるガス放出を押さえこみにくい傾向がある。そのような観点から、ゲル分率Gは、好ましくは30%以上であり、より好ましくは40%以上であり、さらに好ましくは50%以上(例えば60%以上、典型的には70%以上)である。加熱時のガス放出を強固に抑制する観点から、ゲル分率Gは80%以上(例えば90%以上、典型的には95%以上)であることが特に好ましい。ゲル分率Gの上限は100%であり得るが、通常は99.9%以下(例えば99%以下、典型的には98%以下)とすることが適当である。また、加熱後の特性(典型的には剥離強度)への影響を考慮して、ゲル分率Gは80%以下(例えば70%以下、典型的には65%以下)であってもよい。ゲル分率Gは後述の方法により測定される。後述の実施例におけるゲル分率Gについても同様である。
また、ここに開示される密着性樹脂層は、特性(A3):上記加熱(120℃、5分間の加熱)を行う前の該密着性樹脂層を1週間室温(25℃±5℃)で保管した場合において、当該保管後にゲル分率(%)の上昇が実質的に認められない;を満たすことが好ましい。この特性(A3)を満たす樹脂シートは、所定の加熱後にはゲル分率が上昇する特性を示す一方、上記加熱が行われない場合にはゲル分率は上昇しないため、初期の性能(例えば被着体との密着性)を継続的に保持することができる。つまり、保存性や取扱い性に優れる。
上記特性(A3)は、保管開始前における密着性樹脂層のゲル分率G(%)と保管終了後におけるゲル分率G(%)とを測定し、これらを対比することにより決定すればよい。通常の条件ではゲル分率の低下は起こらないので、比(G/G)は1以上となる。また、「ゲル分率(%)の上昇が実質的に認められない」とは、典型的には比(G/G)=1を意味するが、測定誤差等を勘案して、比(G/G)が1.1未満であることを許容してもよい。比(G/G)は、例えば1.05未満(典型的には1.02未満)であり得る。なお、特性(A3)における保管条件は常圧(大気圧、便宜上1気圧としてもよい。)とする。ゲル分率G、Gは後述の方法により測定される。後述の実施例においても同様である。
[ゲル分率G,G,G,Gの測定方法]
約0.5gの密着性樹脂層サンプル(重量W1)を採取し、平均孔径0.2μmの多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜(重量W2)で巾着状に包み、口をタコ糸(重量W3)で縛る。この包みをトルエン50mLに浸し、室温(典型的には25℃)で7日間保持して密着性樹脂層中のゾル成分のみを上記膜外に溶出させた後、上記包みを取り出して外表面に付着しているトルエンを拭き取り、該包みを130℃で2時間乾燥させ、該包みの重量(W4)を測定する。そして、各値を下式に代入することによりゲル分率を求める。
ゲル分率(%)=[(W4-W2-W3)/W1]×100
ゲル分率G,G,Gは、加熱処理(典型的には120℃、5分間の加熱)を施していない樹脂シートからの密着性樹脂層サンプルを用いて、上述のゲル分率測定方法により測定される。この樹脂シートは、典型的には密着性樹脂層を乾燥させて作製した後は、上記のような加熱が行われていない。
ゲル分率Gについては、下記の密着性樹脂層サンプルを用いて測定される。すなわち、密着剤樹脂層の表面が剥離ライナーにより保護された形態の樹脂シートを用意する。この樹脂シートを、予め120℃に加温したガラス板2枚の間に挟み、120℃で5分間の加熱を行う。当該加熱後の樹脂シートからの密着性樹脂層サンプルについて、上述のゲル分率測定方法によりゲル分率を測定する。
なお、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜としては、日東電工(株)製「ニトフロンNTF1122」(平均孔径0.2μm、気孔率75%、厚さ85μm)またはその相当品を使用することが望ましい。また、ゲル分率Gの測定で用いられるガラス板は特に限定されず、公知または慣用のガラス板を使用すればよい。
(炭素-炭素二重結合)
120℃、5分間の加熱によってゲル分率が上昇する特性を示す密着性樹脂層を作製する方法は特に限定されない。例えば、樹脂シート中に炭素-炭素二重結合を存在させて、これを加熱時に反応させることでゲル分率を上昇させる方法が好適例として挙げられる。上記の方法によると、特性(A1)、(A2)および(A3)を満たす構成を好適に実現することができる。上記方法を採用する場合、密着性樹脂層には、炭素-炭素二重結合が存在している。この構成は、特性(A3)を満たすうえで特に有利である。その理由として、炭素-炭素二重結合は、工業的に適用され得る通常の保管環境では空気中の湿気や酸度等と反応せず化学的に安定であることが挙げられる。その一方で、例えば60℃以上の高温状態ではラジカルを発生して他の分子と反応(例えば重合反応や架橋反応)する。炭素-炭素二重結合が存在する密着性樹脂層を採用することで、樹脂シートは保管時には密着性樹脂層のゲル分率の上昇が起こらず取扱い性に優れる。また、所定の加熱条件においては密着性樹脂層のゲル分率上昇(以下、「加熱時ゲル分率上昇」と略記する場合がある。)が速やかに実現される。
上記方法において、密着性樹脂層における炭素-炭素二重結合の存在形態は特に限定されない。上記炭素-炭素二重結合は、例えば、ポリマー(典型的には後述のベースポリマー)やオリゴマー、モノマー中に存在し得る。なかでも、密着性樹脂層中での移動性が相対的に低いポリマーが好ましい。上記ポリマーとしては、炭素-炭素二重結合を側鎖または主鎖に有するポリマーが挙げられる。ここで、炭素-炭素二重結合を主鎖に有するとは、ポリマーの主鎖骨格中に炭素-炭素二重結合が存在すること、主鎖末端に炭素-炭素二重結合が存在することを包含する。上記オリゴマーについても上記ポリマーと同様に、炭素-炭素二重結合を側鎖または主鎖(主鎖骨格中、主鎖末端)に有するオリゴマーが例示される。
ポリマー、オリゴマーの側鎖に存在し得る炭素-炭素二重結合の形態や、モノマーに存在し得る炭素-炭素二重結合の形態は特に限定されず、例えば、ビニル基を含む基(典型的には有機基)の形態で炭素-炭素二重結合は存在し得る。ビニル基含有基は、ビニル基やアリル基、(メタ)アクリロイル基であってもよい。ポリマー、オリゴマーへの炭素-炭素二重結合の導入方法は特に限定されず、当業者に公知の方法のなかから適切な方法が選択され得る。分子設計等の観点から、ポリマーまたはオリゴマーの側鎖に炭素-炭素二重結合を導入する方法が好ましい。
なお、この明細書においてポリマーまたはオリゴマーの主鎖とは、当該ポリマーまたはオリゴマーの骨格をなす鎖状構造のことを指すものとする。また、ポリマーまたはオリゴマーの側鎖とは、上記主鎖と結合する基(ペンダント、側基)や、ペンダントとみなされ得る分子鎖を指すものとする。
ここに開示される技術において、密着性樹脂層中に炭素-炭素二重結合を存在させる典型的方法として、次の方法が挙げられる。
(1)密着性樹脂層を構成するベースポリマーとして、炭素-炭素二重結合を有するポリマーを用いる方法。この方法は、具体的には、炭素-炭素二重結合を有するポリマーをベースポリマーとして密着性樹脂組成物に含ませて、該密着性樹脂組成物を用いて密着性樹脂層を形成する。
(2)密着性樹脂層中に、密着性樹脂層を構成するベースポリマーに加えて、炭素-炭素二重結合を有するポリマー、オリゴマーおよび/またはモノマーを含ませる方法。この方法は、具体的には、密着性樹脂組成物中に上記ポリマー、オリゴマーおよび/またはモノマーを適当量添加し、該密着性樹脂組成物を用いて密着性樹脂層を形成する。
上記(1)と(2)は併用してもよい。
炭素-炭素二重結合が存在する密着性樹脂層としては、例えば、炭素-炭素二重結合を有する基(加熱反応性基)が存在する構成の密着性樹脂層が挙げられる。密着性樹脂層中に加熱反応性基を存在させることで、該加熱反応性基が加熱時に反応して密着性樹脂層のゲル分率は上昇し得る。上記加熱反応性基は、加熱前の状態(例えば大気圧において40℃以下、典型的には室温)では実質的に不活性(非反応性)であることが好ましい。なお、加熱反応性基は、上記炭素-炭素二重結合を有する基に限定されるものではない。この点については後述する。
炭素-炭素二重結合が存在する密着性樹脂層の好適例として、一般式(1):
Figure 0007082592000002
(上式中、Rは水素またはメチル基である。);で表わされる加熱反応性基((メタ)アクリロイル基)を有する化合物を含む密着性樹脂層が挙げられる。ここで上記化合物は、ポリマー(典型的にはベースポリマー)、オリゴマーおよびモノマーを包含する。上記化合物を含む密着性樹脂層は、該化合物中の上記反応性基中の炭素-炭素二重結合が加熱時に反応して密着性樹脂層のゲル分率が速やかに上昇する。上記化合物はポリマーであることが好ましい。
上記化合物がポリマー(典型的にはベースポリマー)である場合、すなわち、ポリマー(典型的にはベースポリマー)が上記一般式(1)で表わされる加熱反応性基を有する場合、ポリマー(典型的にはベースポリマー)への上記加熱反応性基の導入方法は特に限定されず、当業者に公知の方法のなかから適切な方法が選択され得る。例えば、後述のアクリル系ポリマーへの加熱反応性基導入方法と同様の方法が好ましく採用され得る。上記化合物がオリゴマーの場合も、上記ポリマーの場合と同様の方法を採用して、オリゴマーに上記反応性基を導入すればよい。上記化合物がモノマーの場合には、上記反応性基を有するモノマーを入手または合成して、密着性樹脂層に含ませればよい。
炭素-炭素二重結合を有するポリマーとしては、特に限定されず、例えば後述のベースポリマーとして例示するもののなかから、密着性樹脂層の特性等を考慮して適当なポリマーを選択して用いることができる。上記ポリマーが炭素-炭素二重結合非含有ポリマーの場合には、該炭素-炭素二重結合非含有ポリマーに対して炭素-炭素二重結合を化学修飾等の方法によって導入したものが好ましく用いられ得る。
上記炭素-炭素二重結合のポリマーへの導入方法の具体例としては、ポリマーに官能基(以下「官能基A」ともいう。)を有するモノマーを共重合した後、この官能基Aと反応し得る官能基(以下「官能基B」ともいう。)と炭素-炭素二重結合とを有する化合物を、炭素-炭素二重結合が消失しないように反応(典型的には縮合、付加反応)させる方法が挙げられる。官能基Aと官能基Bとの組合せの例としては、カルボキシ基とエポキシ基との組合せ、カルボキシ基とアジリジル基との組合せ、水酸基とイソシアネート基との組合せ等が挙げられる。なかでも、反応追跡性の観点から、水酸基とイソシアネート基との組合せが好ましい。また、上記官能基A,Bの組合せは、炭素-炭素二重結合を有するポリマーが得られる組合せであれば、上記組合せ中における一方の官能基を官能基Aとし、他方を官能基Bとしてもよく、あるいは上記一方の官能基を官能基Bとし、上記他方を官能基Aとしてもよい。例えば、水酸基とイソシアネート基との組合せで説明すると、官能基Aは水酸基であってもよく(その場合、官能基Bがイソシアネート基となる。)、イソシアネート基であってもよい(その場合、官能基Bが水酸基となる。)。なかでも、ベースポリマーが水酸基を有し、上記化合物がイソシアネート基を有する組合せが好ましい。この組合せは、ベースポリマーがアクリル系ポリマーである場合に特に好ましい。
また、上記ポリマーがビニルアルコール系ポリマー(典型的にはポリビニルアルコール)の場合には、ビニルアルコール系ポリマー(典型的には、炭素-炭素二重結合非含有のビニルアルコール系ポリマー)に、ビニルブロミド等のハロゲン化ビニルやアリルブロミド等のハロゲン化アリルを反応させる方法も好適例として挙げられる。この方法では、上記反応は適当な塩基性条件で行われ、該反応により、側鎖にビニル基を含有するビニルアルコール系ポリマーが得られる。また例えば、特許第4502363号公報に開示されるような重合体を産生する微生物を利用して、炭素-炭素二重結合を有するポリマーを調製する方法を採用してもよい。この方法における微生物種、微生物培養条件等の諸条件は上記特許公報に記載の条件を採用するか、当業者の技術常識の範囲内で適宜改変するなどして設定すればよい。
上記官能基Aのモル(M)と官能基Bのモル(M)とのモル比(M/M)は、両者の反応性の観点から、通常は0.2~10の範囲とすることが適当であり、0.5~5.0(例えば0.7~3.0、典型的には1.0~2.5)の範囲とすることが好ましい。また、官能基Aと官能基Bとの接触機会を高める観点から、炭素-炭素二重結合を有する官能基B含有化合物を多めに配合してもよい。その場合、モル比(M/M)は1未満(例えば0.99未満、0.95未満)とすることが好ましい。官能基Bを有する化合物の配合量は、上述のモル比(M/M)を満たす範囲で、官能基Aを有するポリマー(典型的には、炭素-炭素二重結合が導入される前のポリマー)100重量部に対して、1重量部以上(例えば5重量部以上、典型的には10重量部以上)程度とすることが好ましく、40重量部以下(例えば30重量部以下、典型的には15重量部以下)程度とすることが好ましい。例えば、ベースポリマーとして後述のアクリル系ポリマーを用いる構成に対して、上述のモル比(M/M)や、炭素-炭素二重結合を有する官能基B含有化合物の配合量を好ましく適用することができる。
また、炭素-炭素二重結合を有するポリマーは、例えばジエン系ポリマー(典型的には共役ジエン系ポリマー)であってもよい。ジエン系ポリマー(典型的には共役ジエン系ポリマー)は、典型的にはジエン(典型的には共役ジエン)を重合または共重合して得られる重合体である。ジエン系ポリマー(典型的には共役ジエン系ポリマー)としては、ポリブタジエン、スチレンブタジエン共重合体等のブタジエン系ポリマー;ポリイソプレン、スチレンイソプレン共重合体等のイソプレン系ポリマー;ポリクロロプレン等のクロロプレン系ポリマー;等が挙げられる。
また、炭素-炭素二重結合は、化学的活性が高いことから、内部二重結合よりも外部二重結合の方が好ましい。ここで内部二重結合とは、ポリマー、オリゴマーの主鎖の内部に組み込まれた状態で存在する二重結合のことを指す。この炭素-炭素二重結合は、その炭素原子の両方が主鎖を構成している。また外部二重結合とは、ポリマー、オリゴマーの分子鎖(例えば主鎖)の外部に存在する二重結合のことを指す。なお、ポリマー、オリゴマーの主鎖末端に炭素-炭素二重結合が存在する場合には、当該二重結合は外部二重結合である。
ここに開示される技術が、炭素-炭素二重結合を有するポリマー(典型的にはベースポリマー)を含む密着性樹脂層を備える態様で実施される場合、密着性樹脂層中における炭素-炭素二重結合を有するポリマー(典型的にはベースポリマー)の含有量は、目標とする加熱時のゲル分率上昇の程度に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。例えば、後述の炭素-炭素二重結合の存在量を実現するように配合することが好ましい。
また、ここに開示される炭素-炭素二重結合を有するモノマーおよびオリゴマー(以下、単にモノマー/オリゴマーともいう。)としては、例えば、ウレタンオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリロイル基含有化合物;該(メタ)アクリロイル基含有化合物の2~5量体;等が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。炭素-炭素二重結合を有するオリゴマーはまた、ウレタン系オリゴマー、ポリエーテル系オリゴマー、ポリエステル系オリゴマー、ポリカーボネート系オリゴマー、ポリブタジエン系オリゴマー等のオリゴマーの1種または2種以上であってもよい。
なお、この明細書においてオリゴマーとは、分子量が3.0×10未満の重合物を指す。上記オリゴマーの分子量は100以上であることが好ましく、1.0×10以下であることが好ましい。オリゴマーの分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により求められる標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)、または化学式から算出される分子量が採用される。
ここに開示される技術が、炭素-炭素二重結合を有するモノマー/オリゴマーを含む密着性樹脂層を備える態様で実施される場合、密着性樹脂層中における炭素-炭素二重結合を有するモノマー/オリゴマーの含有量は、目標とする加熱時のゲル分率上昇の程度に応じて適宜設定すればよい。
密着性樹脂層における炭素-炭素二重結合の存在量は、目標とする加熱時のゲル分率上昇の程度に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。密着性樹脂層における炭素-炭素二重結合の存在量は、加熱時ゲル分率上昇を確実に発現させる観点から、密着性樹脂層1g当たり0.01mmol(以下、mmol/gともいう。)以上とすることが適当であり、0.2mmol/g以上(例えば0.3mmol/g以上、典型的には0.5mmol/g以上)とすることがより好ましい。また、炭素-炭素二重結合の存在量が多すぎると、架橋密度が高くなりすぎて、被着体との密着性が過度に低下する虞がある。そのような観点から、炭素-炭素二重結合の存在量は、10.0mmol/g以下とすることが適当であり、5.0mmol/g以下(例えば3.0mmol/g以下、典型的には1.0mmol/g以下)とすることが好ましい。
炭素-炭素二重結合の存在量は、NMR(Nuclear Magnetic Resonance)法により測定される。具体的には、密着性樹脂層から適当量の試料を採取し、該試料を内部標準物質を所定量添加した測定溶媒に溶解したものにつき測定を行うことによって炭素-炭素二重結合の存在量は求められる。分析装置としては、フーリエ変換NMR装置(Bruker Biospin社製、「AVANCE III-600 with Cryo Probe」)またはその相当品を用いるとよい。測定条件としては、下記の条件が採用され得る。
[測定条件]
観測周波数:H 600 MHz
測定溶媒:CDCl
測定温度:300K
化学シフト基準:測定溶媒 H;7.25ppm
(ラジカル発生剤)
また、ここに開示される密着性樹脂層は、ラジカル発生剤を含むことが好ましい。炭素-炭素二重結合の有無にかかわらず、加熱を行うとポリマー等の分子結合の開裂や、空気中の酸素酸化等によってラジカルが生成することが知られている(「高分子劣化・崩壊の<樹脂別>トラブル対策と最新の改質・安定化技術」 高分子物性研究会 1981年発行)。したがって、加熱時に上記ラジカルが存在すると、ラジカル反応(例えば重合反応や架橋反応)が起こり、密着性樹脂シートのゲル分率は上昇すると考えられる。しかし、樹脂シートが使用時に曝され得る熱履歴を利用してゲル分率を上昇させようとした場合、当該熱履歴は、通常は凡そ60℃~250℃、5時間程度までであるため、上記の熱履歴によってはラジカル反応は速やかに進行せず、密着性樹脂層からのガス放出は抑制されない。ここに開示される技術の好ましい一態様では、ラジカル発生剤を密着性樹脂層に積極的に含ませることで、上記反応の速やかな進行を確実なものとする。これにより、加熱時ゲル分率上昇を迅速に実現することができる。例えば、密着性樹脂層中に炭素-炭素二重結合が存在する場合には、加熱時にラジカル発生剤からフリーラジカルが生成し、これが上記炭素-炭素二重結合に付加することでラジカル反応が確実に行われ、密着性樹脂層のゲル分率がより速やかに上昇する。
この明細書において「ラジカル発生剤」とは、加熱時に自身が分解する等してフリーラジカルを発生させる剤のことをいう。典型的には、ラジカル重合に用いられる重合開始剤であり得る。上記ラジカル発生剤としては、例えば、ラジカル重合に用いられ得る重合開始剤である過酸化物系化合物(過酸化物系開始剤)、アゾ系化合物(アゾ系開始剤)が挙げられる。なかでも、水素引き抜き反応性を有する過酸化物系化合物が好ましい。例えば、水素引き抜き反応によりポリマー骨格中の水素が引き抜かれるとポリマーラジカルが生成する。このポリマーラジカル同士が反応(再結合)することで、ゲル分率は好適に上昇し得る。ラジカル発生剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
過酸化物系開始剤としては、例えば、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネート、モノパーオキシカーボネート、パーオキシケタール、ジアルキルパーオキサイド、ハイドロパーオキサイド、ケトンパーオキサイド等の有機過酸化物や過酸化水素等が挙げられる。
ジアシルパーオキサイドとしては、ジベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ジ-p-ニトロベンゾイルパーオキサイド、ジ-p-クロロベンゾイルパーオキサイド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジ-n-オクタノイルパーオキサイド、ジデカノイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシエステルとしては、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソブチレート、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシアセテート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。
パーオキシジカーボネートとしては、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
モノパーオキシカーボネートとしては、例えば、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、t-アミルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート等が挙げられる。
パーオキシケタールとしては、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレート等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイドとしては、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3等が挙げられる。
ハイドロパーオキサイドとしては、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルシクロヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
ケトンパーオキサイドとしては、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等が挙げられる。
なかでも、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステルが好ましく、BPO、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートがより好ましい。過酸化物系開始剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
過酸化物系開始剤の市販品としては、「パーメックシリーズ」、「パーヘキサシリーズ」、「パーブチルシリーズ」、「パーオクタシリーズ」、「パークミルシリーズ」、「パーロイルシリーズ」、「ナイパーシリーズ」、「パーヘキシルシリーズ」等(いずれも日油(株)製)が挙げられる。なかでも、「ナイパーシリーズ」や「パーオクタシリーズ」、「パーヘキシルシリーズ」が好ましい。
アゾ系開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]ハイドレート、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)等が挙げられる。
また、ラジカル発生剤は、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;フェニル置換エタン等の置換エタン系化合物;芳香族カルボニル化合物;過酸化物と還元剤との組合せによるレドックス系化合物(レドックス系開始剤);等の重合開始剤としても機能し得るものが挙げられる。レドックス系開始剤の例としては、過酸化物とアスコルビン酸との組合せ(過酸化水素水とアスコルビン酸との組合せ等)、過酸化物と鉄(II)塩との組合せ(過酸化水素水と鉄(II)塩との組合せ等)、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムとの組合せ等が挙げられる。
また、ラジカル発生剤は、有機合成において公知の無機系または有機系の酸化剤であってもよい。上記酸化剤としては、例えば、上述のラジカル重合開始剤として用いられ得る過酸化物のほか、過酢酸、トリフルオロ過酢酸、過安息香酸、メタクロロ過安息香酸、モノペルオキシフタル酸、過ギ酸等の有機過酸(過カルボン酸)が挙げられる。なかでも、メタクロロ過安息香酸が好ましい。これらは1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
ここに開示される密着性樹脂層がラジカル発生剤を含む場合、添加方法は特に限定されない。例えば、ラジカル発生剤ともなり得る重合開始剤をベースポリマー重合時に添加する方法が好ましい。この方法では、重合開始剤は、重合後も所定量が残存するように添加される。重合開始剤の残存量(ラジカル発生剤の存在量)は、重合開始剤の添加量だけでなく、ポリマー重合条件や密着性樹脂層形成時の乾燥条件等によっても調整可能である。あるいは、密着性樹脂組成物中に、典型的にはベースポリマー含有液に添加混合してもよい。この方法では、ラジカル発生剤は、他の添加成分(例えば架橋剤等)とともに該組成物中に添加され得る。
上記ラジカル発生剤の10時間半減期温度や活性化エネルギーは、使用時に曝される加熱条件や、目標とする加熱後特性等によって決定すればよく特に限定されない。例えば、10時間半減期温度が20℃~107℃(典型的には50℃~100℃)のラジカル発生剤や、活性化エネルギーが100~150kJ/molのラジカル発生剤を好ましく用いることができる。なお、10時間半減期温度は、適当な溶剤(例えばベンゼン)を用いて測定された値を採用すればよい。
ここに開示される密着性樹脂層がラジカル発生剤を含む場合、ラジカル発生剤の存在量(含有量)は、加熱時におけるゲル分率上昇の程度に応じて適宜決定すればよく、特に限定されない。密着性樹脂層中におけるラジカル発生剤の存在量は、加熱時ゲル分率上昇の観点から、0.001重量%以上(例えば0.005重量%以上、典型的には0.01重量%以上)であることが好ましい。ラジカル発生剤の存在量の上限は、特に限定されず、5重量%以下(例えば3重量%以下、典型的には2重量%以下)とすることが適当である。また、架橋密度が高くなりすぎることを抑制する観点から、1重量%以下(例えば0.5重量%以下、典型的には0.2重量%以下)とすることが好ましい。
上記ラジカル発生剤の存在量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法により測定することができる。例えば、上記ラジカル発生剤(例えばBPO)の存在量は、下記の方法により測定することができる。後述の実施例におけるラジカル発生剤の存在量についても同様である。
密着性樹脂層サンプル約0.1gを採取し、酢酸エチルを加えて24時間振とうする。その後、アセトニトリル10mLを加えて、さらに3時間振とうする。得られた溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルタで濾過したものにつき、HPLCによりサンプル中のラジカル発生剤量を測定する。HPLC測定は、例えば分析装置としてDionex社製の商品名「UltiMate3000」を用いて下記の条件で行うことができる。
[測定条件]
カラム: ZORBAX Eclipse Plus(3.0mmφ×50mm、1.8μm)
溶離液: 蒸留水/アセトニトリル逆相グラジエント条件
流量: 0.8mL/min
検出器: PDA(190nm~400nm)、230nm抽出
カラム温度: 40℃
注入量: 5μL
(その他のゲル分率上昇成分)
また、ここに開示される密着性樹脂層は、エポキシ樹脂等のエポキシ系化合物を含んでもよい。これにより、加熱時においてエポキシ系化合物中のエポキシ基が開環し、エポキシ系化合物同士が反応することで密着性樹脂層のゲル分率は上昇し得る。なお、エポキシ系化合物には、分子中に加熱反応性基としてエポキシ基を少なくとも1つ有するポリマー、オリゴマーおよびモノマーが包含される。
また、密着性樹脂層がエポキシ系化合物を含む態様において、エポキシ基と反応性を有する官能基(例えばカルボキシ基)を有するポリマーをベースポリマーとして用いることができる。これにより、加熱時に開環したエポキシ基が、ポリマー中の上記官能基(例えばカルボキシ基)と反応することで、密着性樹脂層のゲル分率は上昇し得る。ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを採用することで、アクリル系ポリマーによる特性(例えば被着体追従性や密着性)を得つつ、加熱時のゲル分率上昇を実現することができる。エポキシ系化合物の含有量は特に限定されず、当該分野の技術常識に基づき、実用上許容される保存安定性や、目標とする加熱時ゲル分率上昇を実現し得る適当な量を添加すればよい。
なお、エポキシ系化合物は、湿気や温度等によって開環反応が徐々に進行する傾向があり、所定温度以上の加熱を行わない場合でも経時的にゲル分率が上昇する虞がある。そのため、密着性樹脂層がエポキシ系化合物を含む場合、保管環境に配慮する等の対策を行うことが望ましい。あるいは、ここに開示される技術は、保存性等を考慮して、エポキシ系化合物を実質的に含まない密着性樹脂層を備える態様で実施してもよい。
また、ここに開示される密着性樹脂層には、加熱反応性基としてカルボキシ基および水酸基が存在していてもよい。密着性樹脂層中にカルボキシ基と水酸基とが存在することにより、これら官能基が加熱時に脱水反応して密着性樹脂層のゲル分率は上昇し得る。例えば、カルボキシ基を有する化合物(典型的にはポリマー)と水酸基を有する化合物(典型的にはポリマー)を含む構成や、カルボキシ基および水酸基を有する化合物(典型的にはポリマー)を含む構成の密着性樹脂層が挙げられる。上記化合物は、例えばアクリル系ポリマーであり得る。
上記密着性樹脂層において、カルボキシ基のモル(M)と水酸基のモル(M)とのモル比(M/M)は、加熱時ゲル分率上昇の観点から、通常は0.1~10の範囲であり、凡そ0.2~5(例えば0.3~3、典型的には0.5~2)の範囲とすることが適当である。
(ベースポリマー)
ここに開示される密着性樹脂層は、ベースポリマーとして、粘着剤や接着剤の分野において公知のアクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー(例えば、天然ゴム、クロロプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリルゴム等)、ポリエステル、ウレタン系ポリマー、ポリエーテル、シリコーン系ポリマー、ポリアミド、フッ素系ポリマー、エチレン-酢酸ビニル系ポリマー、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系ポリマー、シアノアクリレート系ポリマー、セルロース系ポリマー(ニトロセルロース系ポリマー等)、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリオレフィン、スチレン系ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリベンズイミダゾール、メラミン樹脂、ユリア樹脂、レゾルシノール系ポリマー等の各種ポリマーの1種または2種以上を含むものであり得る。密着性やコスト等の観点から、アクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー、ポリエステル、ウレタン系ポリマー、ポリエーテル、シリコーン系ポリマー、ポリアミド、フッ素系ポリマーが好ましく、アクリル系ポリマー、ゴム系ポリマーがより好ましく、アクリル系ポリマーが特に好ましい。
なお、密着性樹脂の「ベースポリマー」とは、該密着性樹脂に含まれるポリマーの主成分をいう。上記ポリマーは、室温付近の温度域においてゴム弾性を示すゴム状ポリマーであることが好ましい。また、この明細書において「主成分」とは、特記しない場合、50重量%を超えて含まれる成分を指す。
また、上記ベースポリマーを含んで形成される密着性樹脂層(密着性樹脂)は、室温付近の温度域において柔らかい固体(粘弾性体)の状態を呈し、圧力により簡単に被着体に接着する性質を有する材料であることが好ましい。密着性樹脂の典型例としては粘着剤が挙げられる。ここでいう粘着剤は、「C. A. Dahlquist, “Adhesion : Fundamental and Practice”, McLaren & Sons, (1966) P. 143」に定義されているとおり、一般的に、複素引張弾性率E(1Hz)<10dyne/cmを満たす性質を有する材料(典型的には、25℃において上記性質を有する材料)である。
上記アクリル系ポリマーとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートを主モノマーとして含み、該主モノマーと共重合性を有する副モノマーをさらに含み得るモノマー原料の重合物が好ましい。ここで主モノマーとは、上記モノマー原料におけるモノマー組成の50重量%超を占める成分をいう。
なお、「アクリル系ポリマー」とは、該ポリマーを構成するモノマー単位として、1分子中に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーに由来するモノマー単位を含む重合物をいう。以下、1分子中に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを「アクリル系モノマー」ともいう。この明細書におけるアクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーに由来するモノマー単位を含むポリマーとして定義される。かかるアクリル系ポリマーの典型例として、該アクリル系ポリマーのモノマー組成のうちアクリル系モノマーの割合が50重量%より多いアクリル系ポリマーが挙げられる。
また、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルおよびメタクリロイルを包括的に指す意味である。同様に、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートおよびメタクリレートを、「(メタ)アクリル」とはアクリルおよびメタクリルを、それぞれ包括的に指す意味である。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば下記式(2)で表される化合物を好適に用いることができる。
CH=C(R)COOR (2)
ここで、上記式(2)中のRは水素原子またはメチル基である。また、Rは炭素原子数1~20の鎖状アルキル基(以下、このような炭素原子数の範囲を「C1-20」と表すことがある。)である。密着性樹脂層の貯蔵弾性率等の観点から、RがC1-14(例えばC1-12、典型的にはC4-12)の鎖状アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、Rが水素原子でRがC5-14(例えばC6-14、典型的にはC8-12)の鎖状アルキル基であるアルキルアクリレート(以下、単にC5-14アルキルアクリレートともいう。)がより好ましい。
がC1-20の鎖状アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、s-ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ノナデシル(メタ)アクリレート、エイコシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらアルキル(メタ)アクリレートは、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。好ましいアルキル(メタ)アクリレートとして、n-ブチルアクリレート(BA)、2-エチルヘキシルアクリレート(2EHA)、ラウリルアクリレート(LA)が挙げられる。適度な剥離強度を得る観点から、2EHA、LAが特に好ましい。
全モノマー成分中における主モノマーの配合割合は70重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、95重量%以上であることがさらに好ましい。主モノマーの配合割合の上限は特に限定されないが、99.5重量%以下(例えば99重量%以下)とすることが好ましい。アクリル系ポリマーは実質的に主モノマーのみを重合したものであってもよい。また、主モノマーとして、C5-14アルキルアクリレートを含む場合、該C5-14アルキルアクリレートの主モノマー中における配合割合は、70重量%以上であることが好ましく、90重量%以上であることがより好ましく、95重量%以上(典型的には99~100重量%)であることがさらに好ましい。ここに開示される技術は、上記モノマー原料におけるモノマー組成の50重量%以上(例えば70重量%以上、典型的には95重量%以上)が2EHAおよび/またはLAである態様で好ましく実施され得る。
主モノマーであるアルキル(メタ)アクリレートと共重合性を有する副モノマーは、アクリル系ポリマーに架橋点を導入したり、アクリル系ポリマーの凝集力を高めたりするために役立ち得る。また、ここに開示される技術においては、後述する炭素-炭素二重結合含有モノマーの官能基(官能基B)と反応し得る官能基(官能基A)を有するモノマーを副モノマーとして採用することが好ましい。副モノマーとしては、例えば以下のような官能基含有モノマー成分を、1種のみを単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
カルボキシ基含有モノマー:例えばアクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸およびその無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)。
水酸基含有モノマー:例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ビニルアルコール、アリルアルコール等の不飽和アルコール類;2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテル等のエーテル系化合物。
アミド基含有モノマー:例えば(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド。
アミノ基含有モノマー:例えばアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート。
エポキシ基含有モノマー:例えばグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル。
シアノ基含有モノマー:例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル。
ケト基含有モノマー:例えばジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリレート、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、アリルアセトアセテート、ビニルアセトアセテート。
窒素原子含有環を有するモノマー:例えばN-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール、N-ビニルモルホリン、N-ビニルカプロラクタム、N-(メタ)アクリロイルモルホリン。
アルコキシシリル基含有モノマー:例えば3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン。
イソシアネート基含有モノマー:(メタ)アクリロイルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、m-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート。
上記副モノマーとしては、凝集性向上の観点からは、カルボキシ基含有モノマーを用いることが好ましく、上記カルボキシ基含有モノマーは、AAまたはMAAであることがより好ましい。また、水酸基との反応により加熱時のゲル分率を上昇させる場合にも、上記カルボキシ基含有モノマーを用いることができる。あるいは、カルボキシ基との反応を目的として上記水酸基含有モノマーを用いてもよい。副モノマーとして、カルボキシ基含有モノマーと水酸基含有モノマーとを併用することも可能である。
上記副モノマーの量は、所望の凝集力が実現されるように適宜選択すればよく、特に限定されない。通常は、凝集力と他の特性(例えば密着性)とをバランス良く両立させる観点から、副モノマー(好ましくはカルボキシ基含有モノマー)の量は、アクリル系ポリマーの全モノマー成分中の0.1重量%以上とすることが適当であり、好ましくは0.3重量%以上(例えば1重量%以上)である。また、副モノマー(好ましくはカルボキシ基含有モノマー)の量は、全モノマー成分中の30重量%以下が適当であり、好ましくは10重量%以下(例えば5重量%以下)である。
また、ベースポリマーとして、炭素-炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを用いる場合には、副モノマーとして、後述する炭素-炭素二重結合を有する化合物の官能基(官能基B)と反応し得る官能基(官能基A)を有する副モノマーを用いることが好ましい。かかる場合、副モノマーの種類は上記化合物種によって決定される。官能基Aを有する副モノマーとしては、例えば、カルボキシ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、水酸基含有モノマー、イソシアネート基含有モノマーが好ましく、水酸基含有モノマーが特に好ましい。副モノマーとして水酸基含有モノマーを用いることで、アクリル系ポリマーは水酸基を有する。これに対して、炭素-炭素二重結合を有する化合物として、イソシアネート基含有モノマーを用いることで、上記アクリル系ポリマーの水酸基と上記化合物のイソシアネート基とが反応し、上記化合物に由来する炭素-炭素二重結合がアクリル系ポリマーに導入される。
また、炭素-炭素二重結合を有する化合物との反応を目的として副モノマーを使用する場合、上記副モノマー(好ましくは水酸基含有モノマー)の量は、加熱時ゲル分率上昇の観点から、全モノマー成分中の1重量%以上(例えば5重量%以上、典型的には10重量%以上)とすることが好ましい。また、また、架橋密度が高くなりすぎることを抑制する観点から、40重量%以下(例えば30重量%以下、典型的には15重量%以下)とすることが好ましい。
また、アクリル系ポリマーの凝集力を高める等の目的で、上述した副モノマー以外の他の共重合成分を用いることができる。かかる共重合成分としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系モノマー;スチレン、置換スチレン(α-メチルスチレン等)、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、シクロペンチルジ(メタ)アクリレート等、イソボルニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート;アリール(メタ)アクリレート(例えばフェニル(メタ)アクリレート)、アリールオキシアルキル(メタ)アクリレート(例えばフェノキシエチル(メタ)アクリレート)、アリールアルキル(メタ)アクリレート(例えばベンジル(メタ)アクリレート)等の芳香族性環含有(メタ)アクリレート;エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン、イソブチレン等のオレフィン系モノマー;塩化ビニル、塩化ビニリデン等の塩素含有モノマー;メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシ基含有モノマー;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル等のビニルエーテル系モノマー;等が挙げられる。これら副モノマー以外の他の共重合成分は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。かかる他の共重合成分の量は、目的および用途に応じて適宜選択すればよく特に限定されないが、例えば、アクリル系ポリマーの全モノマー成分中の20重量%以下(例えば2~20重量%、典型的には3~10重量%)とすることが好ましい。
さらに、アクリル系ポリマーの架橋処理等を目的として、多官能性モノマーを共重合性成分として用いることができる。上記多官能性モノマーとして、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシアクリレート、ポリエステルアクリレート、ウレタンアクリレート等の1種または2種以上を用いることができる。上記多官能性モノマーの量は、目的および用途に応じて適宜選択すればよく特に限定されないが、例えば、アクリル系ポリマーの全モノマー成分中の30重量%以下(例えば20重量%以下、典型的には10重量%以下)程度とすることが好ましい。
上記モノマー組成を有するアクリル系ポリマーを得る方法は特に限定されず、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法、懸濁重合法等の、アクリル系ポリマーの合成手法として知られている各種の重合方法を適宜採用することができる。例えば、溶液重合法を好ましく採用することができる。溶液重合を行う際のモノマー供給方法としては、全モノマー原料を一度に供給する一括仕込み方式、連続供給(滴下)方式、分割供給(滴下)方式等を適宜採用することができる。溶液重合に用いる溶媒としては、トルエンや酢酸エチルなど公知または慣用の有機溶媒から適宜選択することができる。重合温度は、使用するモノマーおよび溶媒の種類、重合開始剤の種類等に応じて適宜選択することができ、例えば20℃~120℃(典型的には40℃~80℃)程度とすることができる。
重合に用いる開始剤は、重合方法の種類に応じて、公知または慣用の重合開始剤から適宜選択することができる。例えば、ラジカル発生剤として例示した重合開始剤の1種または2種以上を好ましく使用することができる。なかでも、過酸化物系開始剤が好ましく、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステルがより好ましく、BPO、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートがさらに好ましい。重合開始剤を重合後も所定量残存させてラジカル発生剤として使用する場合には、ここに開示される重合開始剤とラジカル発生剤とは同種のものとなり得る。
重合開始剤の使用量は、通常の使用量であればよく、例えば、全モノマー成分100重量部に対して0.005~1重量部(典型的には0.01~1重量部)程度の範囲から選択することができる。また、重合開始剤をラジカル発生剤としても利用する場合には、そのことを考慮して重合開始剤の使用量を設定すればよい。
(炭素-炭素二重結合を有するアクリル系ポリマー)
また、ここに開示されるアクリル系ポリマーは、加熱時ゲル分率上昇の観点から、炭素-炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーであることが好ましい。アクリル系ポリマーは、モノマー原料選択の自由度が高く、物性の制御が容易である点でも有利である。なお、上記炭素-炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを用いる方法は、上述の密着性樹脂層中に炭素-炭素二重結合を存在させる方法(1)に該当する。
アクリル系ポリマーへの炭素-炭素二重結合の導入方法は特に限定されない。例えば、アクリル系ポリマー中に共重合によって導入された官能基(官能基A)と反応し得る官能基(官能基B)と炭素-炭素二重結合とを有する化合物を、炭素-炭素二重結合が消失しないように反応(典型的には縮合、付加反応)させる方法を好ましく採用することができる。官能基Aと官能基Bとの組合せの例としては、カルボキシ基とエポキシ基との組合せ、カルボキシ基とアジリジル基との組合せ、水酸基とイソシアネート基との組合せ等が挙げられる。なかでも、反応追跡性の観点から、水酸基とイソシアネート基との組合せが好ましい。ポリマー設計等の観点から、アクリル系ポリマーが水酸基を有し、上記化合物がイソシアネート基を有する組合せが特に好ましい。
上記炭素-炭素二重結合を有する化合物は、上述のように、官能基Aと反応し得る官能基Bを有し得る。そのような化合物の好適例として、例えば、アクリル系ポリマーの重合に用いられ得る副モノマーとして例示したイソシアネート基含有モノマー(イソシアネート基含有化合物)が挙げられる。なかでも、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートがより好ましい。炭素-炭素二重結合を有するイソシアネート基含有化合物のイソシアネート基とアクリル系ポリマーの水酸基とが反応して結合(典型的にはウレタン結合)することにより、炭素-炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーが好適に実現される。
イソシアネート基含有モノマーの配合量は、上記官能基Aとしての水酸基との反応性の観点から、上述のモル比(M/M)を満たす範囲で適切に設定され得る。例えば、水酸基を有するアクリル系ポリマー(典型的には、炭素-炭素二重結合が導入される前のアクリル系ポリマー)100重量部に対して、1重量部以上(例えば5重量部以上、典型的には10重量部以上)程度とすることが好ましく、40重量部以下(例えば30重量部以下、典型的には15重量部以下)程度とすることが好ましい。
また、アクリル系ポリマー中の水酸基を残存させて、この残存水酸基を他の反応性官能基(例えばカルボキシ基)と反応させることによって加熱時のゲル分率を上昇させる方法も好ましく採用される。この場合、官能基Aとしての水酸基と官能基Bとしてのイソシアネート基とのモル比(M/M)は、1を超えることが適当であり、1.1以上とすることが好ましい。
ここに開示される技術におけるベースポリマー(好適にはアクリル系ポリマー)は、その重量平均分子量(Mw)が小さすぎると、密着性樹脂層の凝集力が不足して被着体表面への糊残りを生じやすくなる場合があり得る。一方、Mwが大きすぎると、被着体に対する密着性が低下しやすくなることがあり得る。そのような観点から、Mwが10×10以上500×10以下の範囲にあるベースポリマー(好適にはアクリル系ポリマー)が好ましい。Mwが20×10以上100×10以下(例えば30×10以上70×10以下)のベースポリマー(好適にはアクリル系ポリマー)によると、より良好な結果が実現され得る。なお、この明細書においてMwとは、GPCにより得られた標準ポリスチレン換算の値をいう。
(炭素-炭素二重結合を有するモノマー/オリゴマー)
また、ここに開示される技術は、炭素-炭素二重結合を有するモノマー/オリゴマーを含む密着性樹脂層を備える態様でも好ましく実施され得る。上記モノマー/オリゴマーとしては、上述のものを好ましく用いることができる。ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを用いる態様では、上述の(メタ)アクリロイル基含有化合物や、該(メタ)アクリロイル基含有化合物の多量体(例えば2~5量体)の1種または2種以上を用いることが好ましい。上記多量体は、例えば多官能(典型的には2~5官能)の化合物であり得る。なお、上記炭素-炭素二重結合を有するモノマー/オリゴマーを用いる方法は、上述の密着性樹脂層中に炭素-炭素二重結合を存在させる方法(2)に該当する。
(光重合開始剤)
また、ここに開示される密着性樹脂層は、樹脂シートを再剥離する際に剥離を軽くすることを目的として、光重合開始剤を含むことが好ましい。樹脂シートを被着体から剥がす場合に、予め活性エネルギー線(例えば紫外線(UV))照射を行うことで、密着性樹脂層を硬化収縮させ、再剥離を容易に行うことができる。この構成は、被着体表面の損傷を防止する点でも有利である。上記の構成は、良好な再剥離性が要求され得る用途(例えば、フレキシブル回路基板を仮固定する用途や、半導体素子を固定・保護する用途)に特に適している。
上記光重合開始剤としては、例えば、ケタール系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、ベンゾインエーテル系光重合開始剤、アシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤、α-ケトール系光重合開始剤、芳香族スルホニルクロリド系光重合開始剤、光活性オキシム系光重合開始剤、ベンゾイン系光重合開始剤、ベンジル系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、チオキサントン系光重合開始剤等の1種または2種以上を用いることができる。
光重合開始剤は、分子中に水酸基を有するものが好ましい。そのような水酸基含有光重合開始剤としては、上記光重合開始剤のなかから水酸基を有するものを好ましく用いることができる。例えば、ベンゾフェノン誘導体やアルキルフェノン誘導体、アセトフェノン誘導体が好適例として挙げられる。
ベンゾフェノン誘導体としては、例えば、o-アクリルオキシベンゾフェノン、p-アクリルオキシベンゾフェノン、o-メタクリルオキシベンゾフェノン、p-メタクリルオキシベンゾフェノン、p-(メタ)アクリルオキシエトキシベンゾフェノンが挙げられる。また、1,4-ブタンジオールモノ(メタ)アクリラート、1,2-エタンジオールモノ(メタ)アクリラート、1,8-オクタンジオールモノ(メタ)アクリラート等のアクリラートのベンゾフェノン-4-カルボン酸エステル等も用いることが可能である。アルキルフェノン誘導体としては、例えば、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オンが挙げられる。アセトフェノン誘導体としては、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニル-ケトン等が挙げられる。上記光重合開始剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、硬化速度や厚膜硬化性に優れるという理由から、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル〕フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オンが好ましい。
光重合開始剤の配合量は、ベースポリマー(好ましくはアクリル系ポリマー)100重量部に対して0.1~10重量部程度とすることが適当であり、0.5~5重量部とすることが好ましい。
ここに開示される密着性樹脂層がベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含む場合、アクリル系ポリマーに加えて上記アクリル系ポリマー以外のポリマーを含んでもよい。上記アクリル系ポリマー以外のポリマーとしては、上記ベースポリマーとして例示した各種ポリマーのうちアクリル系ポリマー以外のものが好適例として挙げられる。そのようなポリマーは、炭素-炭素二重結合を有するポリマーであり得る。ここに開示される密着性樹脂層がアクリル系ポリマーに加えて上記アクリル系ポリマー以外のポリマーを含む場合、該アクリル系ポリマー以外のポリマーの含有量は、アクリル系ポリマー100重量部に対して100重量部以下とすることが適当であり、50重量部以下が好ましく、30重量部以下がより好ましく、10重量部以下がさらに好ましい。アクリル系ポリマー以外のポリマーの含有量は、アクリル系ポリマー100重量部に対して5重量部以下であってもよく、1重量部以下であってもよい。ここに開示される技術は、例えば、ベースポリマーの99.5~100重量%がアクリル系ポリマーである態様で好ましく実施され得る。
(架橋剤)
密着性樹脂層を形成するために用いられる密着性樹脂組成物は、密着性樹脂層の凝集性向上の観点から、上記ベースポリマーに加えて架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤の種類は特に制限されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、アミン系架橋剤等が挙げられる。これら架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、イソシアネート系架橋剤、金属キレート系架橋剤が好ましい。
また、密着性樹脂層が炭素-炭素二重結合を有するポリマーやオリゴマーを含む場合には、金属キレート系架橋剤を使用することが好ましい。金属キレート系架橋剤は配位結合性の架橋であるため、金属キレート系架橋剤による架橋後のポリマー、オリゴマーは、共有結合性の架橋の場合と比べて構造の自由度(例えば、変形等の自由度)を保ちやすい傾向がある。これにより、加熱時において上記炭素-炭素二重結合の反応機会(典型的には、重合反応や架橋反応の機会)が増加し、加熱時のゲル分率上昇を効率よく実現することができる。
金属キレート系架橋剤は、典型的には、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合した構造を有するものであり得る。上記多価金属原子としては、Al、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Ba、Mo、La、Sn、Ti等が挙げられる。なかでも、Al、Zr、Tiが好ましい。また、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物等が挙げられる。金属キレート系架橋剤は、典型的には該有機化合物中における酸素原子が上記多価金属に結合(共有結合または配位結合)した構成の化合物であり得る。
架橋剤を含ませる場合の上記密着性樹脂組成物中における架橋剤の含有量は特に限定されないが、凝集性と他の特性(例えば剥離強度)との両立の観点から、密着性樹脂層がアクリル系樹脂層の場合には、上記アクリル系ポリマー100重量部に対して0.01~10重量部(例えば0.05~5重量部)程度とすることが好ましい。
(ラジカル捕捉剤)
ここに開示される密着性樹脂層は、保存安定性の観点から、酸化防止剤等のラジカル捕捉剤を含み得る。ラジカル捕捉剤は、文字どおり密着性樹脂層中のラジカルを捕捉する機能を発揮する剤であるため、例えば、密着性樹脂層中に炭素-炭素二重結合が存在する場合に、ラジカルが炭素-炭素二重結合に付加することを阻害し得る。ここに開示される技術が、炭素-炭素二重結合が存在する態様やラジカル発生剤を含む態様で実施される場合、ラジカル捕捉剤の量が多いと加熱時のゲル分率上昇が抑制される虞がある。そのような観点から、ここに開示される技術では、ラジカル捕捉剤の配合量を制限することが好ましい。
ここに開示されるラジカル捕捉剤の概念には、老化防止剤や光安定剤が含まれ得るが、その典型例は酸化防止剤である。上記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系(フォスファイト系)酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等の、従来公知の各種酸化防止剤が挙げられる。酸化防止剤は1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
フェノール系酸化防止剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,6-ジ-tert-ブチル-4-エチルフェノール等のモノフェノール系酸化防止剤;2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)等のビスフェノール系酸化防止剤;1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス-[メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3-トリス(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン等の高分子フェノール系酸化防止剤;が挙げられる。
フェノール系酸化防止剤は、ヒンダードフェノール系酸化防止剤であってもよい。上記ヒンダードフェノール系酸化防止剤としては、例えば、ペンタエリスリトール・テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,6-ビス(ドデシルチオメチル)-o-クレゾール、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6テトラメチル-1-ピペリジンエタノールとの重縮合物(コハク酸ジメチル-1-(2-ヒドロキシエチル)-4-ヒドロキシ-2,2,6,6テトラメチルピペリジン重縮合物)等が挙げられる。
リン系酸化防止剤の例としては、トリス(2,4-ジ-t-ブチルフェニル)フォスファイト、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、トリフェニルフォスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。
硫黄系酸化防止剤の例としては、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオネート等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤の例としては、フェニル-α-ナフチルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
密着性樹脂層中におけるラジカル捕捉剤(典型的には酸化防止剤)の含有量は、上述の加熱時ゲル分率上昇の観点から、1重量%以下(例えば0.5重量%以下、典型的には0.1重量%以下)であることが好ましい。密着性樹脂層はラジカル捕捉剤(典型的には酸化防止剤)を含まなくてもよい。しかし、酸化防止剤等のラジカル捕捉剤が全く存在しないと、密着性樹脂層中の溶存酸素等により室温で酸化が進行する場合があるため、適当量のラジカル捕捉剤(典型的には酸化防止剤)を含むことが好ましい。そのような観点から、密着性樹脂層におけるラジカル捕捉剤の含有量は、0.001重量%以上(例えば0.005%以上、典型的には0.01%以上)とすることが好ましい。なお、ラジカル捕捉剤の存在量は、例えばラジカル発生剤の存在量の測定方法と同様の方法により測定することができる。
(その他の添加成分)
また、ここに開示される密着性樹脂組成物は、被着体(典型的にはガラス)への接着性を改善すること等を目的として、シランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤としては、ビニル基含有シラン化合物、エポキシ基含有シラン化合物、スチリル基含有シラン化合物、(メタ)アクリル基含有シラン化合物、アミノ基含有シラン化合物、ウレイド基含有シラン化合物、メルカプト基含有シラン化合物、イソシアネート基含有シラン化合物、シリル基含有スルフィド等の1種または2種以上を用いることができる。なかでも、保存安定性に優れるアミノ基含有シラン化合物が好ましい。
アミノ基含有シラン化合物としては、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)3-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリメトキシシラン、γ-アニリノプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。なかでも、3-アミノプロピルトリメトキシシランがより好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、シランカップリング剤の添加効果を十分に発現させる観点から、ベースポリマー(好適にはアクリル系ポリマー)100重量部に対して0.01重量部以上(例えば0.03重量部以上、典型的には0.05重量部以上)であることが好ましい。また、保存安定性の観点から、シランカップリング剤の含有量は、ベースポリマー(好適にはアクリル系ポリマー)100重量部に対して1.0重量部未満(例えば0.5重量部以下、典型的には0.3重量部以下)であることが好ましい。
上記密着性樹脂組成物は、必要に応じて、粘着付与剤、レベリング剤、架橋助剤、可塑剤、軟化剤、充填剤、着色剤(顔料、染料等)、帯電防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等の、密着性樹脂組成物の分野において一般的な各種の添加剤を含有するものであり得る。これらの各種添加剤については、従来公知のものを常法により使用することができ、特に本発明を特徴づけるものではないので、詳細な説明は省略する。
(密着性樹脂層の形成方法)
ここに開示される密着性樹脂層は、粘着剤から形成される層(粘着剤層)や、接着剤から形成される層(接着剤層)、表面に易接着性を有する樹脂層であり得る。ここに開示される技術における密着性樹脂層(密着性樹脂からなる層)は、水系密着性樹脂組成物、溶剤型密着性樹脂組成物、ホットメルト型密着性樹脂組成物、活性エネルギー線硬化型密着性樹脂組成物から形成された密着性樹脂層であり得る。水系密着性樹脂組成物とは、水を主成分とする溶媒(水系溶媒)中に密着性樹脂(密着性樹脂形成成分)を含む形態の密着性樹脂組成物のことをいい、ここでいう水系密着性樹脂組成物の概念には、水分散型の密着性樹脂組成物(密着性樹脂が水に分散した形態の組成物)、水溶性の密着性樹脂組成物(密着性樹脂が水に溶解した形態の組成物)等と称されるものが含まれ得る。また、溶剤型密着性樹脂組成物とは、有機溶媒中に密着性樹脂を含む形態の密着性樹脂組成物のことをいう。ここに開示される技術は、溶剤型密着性樹脂組成物から形成された密着性樹脂層を備える態様で好ましく実施され得る。
ここに開示される密着性樹脂層は、従来公知の方法によって形成することができる。例えば、剥離性を有する表面(剥離面)に密着性樹脂組成物を付与(典型的には塗付)して乾燥させることにより密着性樹脂層を形成する方法を好ましく採用することができる。また、基材に密着性樹脂組成物を直接付与(典型的には塗付)して乾燥させることにより密着性樹脂層を形成する方法(直接法)も好ましく採用することができる。さらに、剥離面に密着性樹脂組成物を付与して乾燥させることにより該表面上に密着性樹脂層を形成し、その密着性樹脂層を基材に転写する方法(転写法)を採用してもよい。上記剥離面としては、剥離ライナーの表面や、剥離処理された基材背面等を利用し得る。上記塗付は、グラビアロールコーター、リバースロールコーター等の公知または慣用のコーターを用いて行えばよい。
架橋反応の促進、製造効率向上等の観点から、密着性樹脂組成物の乾燥は加熱下で行うことが好ましい。乾燥温度は、例えば40℃~150℃程度とすることができ、通常は60℃~130℃程度とすることが好ましい。例えば、100℃以下(典型的には80℃程度)の乾燥(例えば5分以下、典型的には3分程度の乾燥)では、溶媒の揮発が進行しているため、また乾燥は酸素存在下で行われ得るため、密着性樹脂層のゲル分率は実質的に上昇しないと考えられる。また、密着性樹脂組成物を乾燥させた後に、密着性樹脂層内における成分移行の調整、架橋反応の進行、基材や密着性樹脂層内に存在し得る歪の緩和等を目的としてエージングを行ってもよい。エージング条件は特に限定されず、例えば凡そ25℃~70℃(典型的には40℃~60℃)の温度で、10~120時間(典型的には24~48時間)のエージングとするのが適当である。
ここに開示される密着性樹脂層の厚さは特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。通常は、密着性樹脂層の厚さは5~200μm程度が適当であり、密着性等の観点から、好ましくは10~150μm(例えば15~100μm、典型的には25~80μm)程度である。ここに開示される樹脂シートが基材の両面に密着性樹脂層を備える両面接着性樹脂シートの場合、各密着性樹脂層の厚さは同じであってもよく、異なっていてもよい。
<基材>
片面粘着タイプまたは両面粘着タイプの基材付き樹脂シートにおいて、密着性樹脂層を支持(裏打ち)する基材として、各種のシート状基材を用いることができる。上記基材としては、樹脂フィルム、紙、布、ゴムシート、発泡体シート、金属箔、これらの複合体等を用いることができる。樹脂フィルムの例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン製フィルム;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム;塩化ビニル樹脂フィルム;酢酸ビニル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;ポリアミド樹脂フィルム;フッ素樹脂フィルム;セロハン;等が挙げられる。紙の例としては、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等が挙げられる。布の例としては、各種繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等が挙げられる。上記繊維状物質としては、綿、スフ、マニラ麻、パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等が例示される。ゴムシートの例としては、天然ゴムシート、ブチルゴムシート等が挙げられる。発泡体シートの例としては、発泡ポリウレタンシート、発泡ポリクロロプレンゴムシート等が挙げられる。金属箔の例としては、アルミニウム箔、銅箔等が挙げられる。
好ましい一態様では、所定の剛性(強度)を有し、加工性、取扱い性に優れる樹脂フィルムを基材として用いる。剛性の高い樹脂フィルム基材を用いることで、被着体が薄厚の場合に、搬送時等における被着体の撓みや損傷を好適に防止することができる。同様の観点から、樹脂フィルム基材としてポリエステルフィルムを用いることが好ましい。なお、この明細書において「樹脂フィルム」とは、典型的には非多孔質のフィルムであって、いわゆる不織布や織布とは区別される概念である。基材として用いられ得る樹脂フィルムの密度は、凡そ0.85~1.50g/cm(例えば0.90g/cm~1.20g/cm、典型的には0.92g/cm~1.05g/cm)程度であり得る。
なお、上記基材(例えば樹脂フィルム基材)には、必要に応じて、充填剤(無機充填剤、有機充填剤等)、老化防止剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、可塑剤、着色剤(顔料、染料等)等の各種添加剤が配合されていてもよい。
上記基材(例えば樹脂フィルム基材やゴムシート基材、発泡体シート基材等)の密着性樹脂層が配置される面(密着性樹脂層側表面)には、コロナ放電処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、酸処理、アルカリ処理、下塗り剤の塗付等の、公知または慣用の表面処理が施されていてもよい。このような表面処理は、基材と密着性樹脂層との密着性、言い換えると密着性樹脂層の基材への投錨性を向上させるための処理であり得る。基材の密着性樹脂層側表面に水酸基(-OH基)等の極性基が導入されるような表面処理を好ましく採用し得る。あるいはまた、ここに開示される樹脂シートと基材との密着性を高めることを目的として、樹脂シートと基材との間に従来公知の粘着剤層を設けてもよい。例えば、薄厚の被着体に貼り合わせる用途において、特許第4744262号公報や特許第5094832号公報に開示されるような粘着剤を樹脂シートと樹脂フィルム基材との間に配置することで、樹脂フィルム基材の剛性を利用して該被着体の撓みや破損を防止することが可能である。
また、ここに開示される樹脂シートが基材の片面に密着性樹脂層が設けられた片面接着性の樹脂シートの場合、基材の密着性樹脂層非形成面(背面)には、剥離処理剤(背面処理剤)によって剥離処理が施されていてもよい。背面処理層の形成に用いられ得る背面処理剤としては、特に限定されず、シリコーン系背面処理剤やフッ素系背面処理剤、長鎖アルキル系背面処理剤その他の公知または慣用の処理剤を目的や用途に応じて用いることができる。
基材の厚さは特に限定されず、目的に応じて適宜選択できるが、一般的には1~800μmであり得る。加工性や取扱い性、作業性等の観点から、基材の厚さは2μm以上(例えば3μm以上、典型的には5μm以上)であることが好ましく、700μm以下(例えば500μm以下、典型的には200μm以下)であることが好ましい。
<剥離ライナー>
剥離ライナーとしては、慣用の剥離紙等を使用することができ、特に限定されない。例えば、樹脂フィルムや紙等のライナー基材の表面に剥離処理層を有する剥離ライナーや、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン等)やポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)の低接着性材料からなる剥離ライナー等を用いることができる。上記剥離処理層は、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により上記ライナー基材を表面処理して形成されたものであり得る。
ここに開示される樹脂シート(密着性樹脂層と基材とを含み得るが、剥離ライナーは含まない。)の総厚は特に限定されず、凡そ5~1000μmの範囲とすることが適当である。樹脂シートの総厚は、粘着特性等を考慮して10~500μm(例えば15~300μm、典型的には20~200μm)程度とすることが好ましい。また、取扱い性等の観点から、樹脂シートの総厚は30μm以上(例えば50μm以上、典型的には70μm以上)であることがより好ましい。
<密着性樹脂組成物>
この明細書によると、ここに開示される密着性樹脂層を形成するために用いられる密着性樹脂組成物が提供される。好ましい一態様では、密着性樹脂組成物は、特性(a1):上記樹脂組成物を剥離性支持体に付与して80℃で3分間乾燥することによって形成した厚さ30μmの密着性樹脂層のゲル分率をG(%)とし、該密着性樹脂層をさらに120℃で5分間加熱したときのゲル分率をG(%)としたとき、比(G/G)が1.1~10000の範囲内である;を満たす。上記密着性樹脂組成物によると、貼り合わせ時には被着体に良好に密着可能であり、かつ、加熱時にはガス放出が抑制された密着性樹脂層が実現される。
また、他の好ましい一態様では、密着性樹脂組成物は、特性(a2):上記樹脂組成物を剥離性支持体に付与して80℃で3分間乾燥することによって形成した厚さ30μmの密着性樹脂層のゲル分率をG(%)とし、該密着性樹脂層をさらに120℃で5分間加熱したときのゲル分率をG(%)としたとき、比(G/G)>1であり、かつゲル分率Gが30%~100%の範囲内である;を満たす。上記密着性樹脂組成物によると、貼り合わせ時には被着体に良好に密着可能であり、かつ、加熱時にはガス放出が抑制された密着性樹脂層が実現される。
また、ここに開示される密着性樹脂組成物は、特性(a3):上記樹脂組成物を剥離性支持体に付与して80℃で3分間乾燥することによって形成した厚さ30μmの密着性樹脂層を1週間室温(25℃±5℃)で保管した場合において、当該保管後にゲル分率(%)の上昇が実質的に認められない;を満たすことが好ましい。なお、上記密着性樹脂層は、加熱(典型的には120℃、5分間の加熱)を行う前の密着性樹脂層である。
ここに開示される密着性樹脂組成物は、上述の密着性樹脂層に含まれ得る成分(ベースポリマー;炭素-炭素二重結合を有するポリマー、オリゴマー、モノマー;ラジカル発生剤;光重合開始剤;ラジカル捕捉剤;シランカップリング剤;その他の添加成分)を、好ましくは上述の配合割合で含み得る。上記ベースポリマーは、好ましくはアクリル系ポリマーである。また、密着性樹脂組成物には、密着性樹脂層の場合と同様、炭素-炭素二重結合が存在することが好ましい。これらの事項についての技術的意義は上述のとおりであるので、ここでは説明は繰り返さない。
<樹脂シートの特性>
ここに開示される樹脂シートは、PENフィルムに対する180度剥離強度(対PEN剥離強度)が0.1N/20mm以上を示すことが好ましい。上記剥離強度を示す樹脂シートは被着体(典型的にはPEN製被着体)に対して良好に密着することができ、貼り合わせ性にも優れる。上記剥離強度は、0.2N/20mm以上(例えば0.3N/20mm以上、典型的には0.5N/20mm以上)であることがより好ましい。また、剥離強度が高すぎると、貼り直し作業性が低下する傾向があることから、上記剥離強度は5.0N/20mm以下(例えば3.0N/20mm以下、典型的には1.0N/20mm以下)であることが好ましい。なお、上記剥離強度は加熱(120℃、3分間の加熱)前に測定される剥離強度である。対PEN剥離強度は、下記の方法で測定することができる。
[対PEN剥離強度の測定方法]
片面接着性の樹脂シートはそのままのものを、両面接着性の樹脂シートは一方の表面をPETフィルムに裏打ちしたものを、幅20mm、長さ100mmのサイズにカットして測定サンプルを作製する。23℃、50%RHの環境下にて、密着性樹脂層表面をPENフィルムの表面に2kgのゴムローラを1往復させて圧着する。これを同環境下に30分間放置した後、引張試験機を使用してJIS Z0237:2000に準じて、剥離角度180度、引張速度300mm/分の条件で剥離強度(N/20mm幅)を測定する。裏打ち用のPETフィルム基材としては、大三紙業(株)製のPETフィルム(厚さ75μm 薄赤ベタ印刷)を使用することができる。被着体としてのPENフィルムとしては、帝人デュポンフィルム(株)製の商品名「テオネックスQ65FA」を使用することができる。引張試験機としては、変角度ピール試験機(旭精工(株)製の商品名「山本式変角ピール測定機 YM-121」)を使用することができる。
ここに開示される樹脂シートは、段差追従性試験において、25μmの段差を有する被着体に貼り付けたときに形成される被着体界面における空隙の最大長さが1000μm以下を示すことが好ましい。上記樹脂シートは、貼り合わせ時における段差追従性に優れるので、表面に段差を有する被着体に対して良好に密着することができる。上記空隙の最大長さは、800μm以下(例えば600μm以下、典型的には300μm以下)であることがより好ましい。段差追従性試験は、後述の実施例に記載の方法で行われる。
また、ここに開示される樹脂シートは、密着性樹脂層をガラス板に貼り付け、150℃で30分間加熱した後に測定される180度剥離強度(加熱後の剥離強度)が、0.05~5.0N/20mmであることが好ましい(特性(B))。上記剥離強度が所定以上であることによって、樹脂シートは加熱後においても被着体に良好に密着し得る。上記剥離強度は0.2N/20mm以上であってもよい。一方、上記剥離強度が5.0N/20mmを超えると、再剥離性が低下し、使用後に被着体から剥がす際に被着体表面を損傷する等の不具合が生じる虞がある。そのような観点から、上記剥離強度は4.0N/20mm以下(例えば3.0N/20mm以下、典型的には1.5N/20mm以下)であることがより好ましい。上記加熱後の剥離強度が1.5N/20mm以下(例えば0.5N/20mm以下、典型的には0.3N/20mm以下)を示す樹脂シートは、凝集破壊が起こらず、糊残りが実質的に存在しないものとなり得るので特に好ましい。例えば、密着性樹脂層に光重合開始剤を含ませておき、樹脂シートを剥がす前に活性エネルギー線(例えばUV)を照射することで、上記剥離強度を好適に低下させることができる。なお、上記加熱後の剥離強度は、活性エネルギー線(例えばUV)照射等の易剥離処理を実施する前の値であってもよく、上記易剥離処理を実施した後の値であってもよい。上記易剥離処理を実施せずに上記加熱後の剥離強度を示す樹脂シートによると、UV照射等の易剥離処理を要することなく良好な加熱後密着性と再剥離性とを実現することができる。上記加熱後の剥離強度は、後述の実施例に記載の方法で測定される。
また、ここに開示される樹脂シートは、加熱時の気泡発生評価試験において被着体界面に最大径が2.0mm以上の気泡が認められないことが好ましい。上記気泡発生評価試験は後述の実施例に記載の方法で測定される。
<用途>
ここに開示される樹脂シートの用途は特に限定されず、例えば、貼り付け後に60℃~250℃(例えば100℃~230℃、典型的には130℃~200℃)の加熱に曝される環境で用いられる樹脂シートとして好ましく用いられ得る。上記加熱環境では、従来の粘着シートは、粘着シート中のアウトガス成分(典型的には、該樹脂層中に存在する水分等の揮発成分や、該樹脂層中の空隙に存在する気体成分)が同加熱により気化膨張して被着体界面で気泡となって現れ、被着体からの浮きや剥がれ等の不具合を引き起こし得る。ここに開示される樹脂シートは、そのようなアウトガス成分に由来するガス放出が抑制されているので、上記加熱条件に曝されても良好な密着性を維持することができる。
また、ここに開示される樹脂シートは、再剥離性に優れたものでもあり得るので、例えば上記加熱の後に剥がされる態様で使用される樹脂シートとして好適である。上記樹脂シートは、仮固定用シートや保護シートとして好ましく用いられ得る。
上記のような加熱に曝される用途としては、半導体素子製造用途が挙げられる。例えば半導体ウエハ加工(典型的にはシリコンウエハ加工)において該ウエハを固定板(例えばガラス板やアクリル板等の硬質基板)に固定するウエハ固定用シート(典型的にはレーザダイシング用シート)として好ましく用いられ得る。また、ここに開示される樹脂シートは、上記ウエハ加工において該ウエハ(例えば回路形成面)を保護する保護シートとしても好ましく用いられ得る。
上記シートには、上記製造における加工時や搬送時に被着体(典型的には半導体素子や硬質基板)から剥がれない程度の適度な密着性と、目的を達成した後に該被着体から良好に再剥離する性質が求められる。そして特に、上記シートは半導体素子の製造時における加熱に対して密着性等の特性の劣化が抑制されていることが重要である。例えば、半導体素子は、上記シートによって固定されたウエハに対してレーザダイシング加工を施した後、膜形成工程(例えば反射膜形成工程)等を経て製造され得る。上記レーザダイシングの際にはウエハや固定板は発熱する。レーザダイシングによる発熱量は、近年のウエハの大型化に伴って増大傾向にある。また、レーザダイシングの後に行われ得る膜形成工程(典型的には反射膜形成工程)は、通常130℃~200℃の温度で2~5時間程度実施される。ここに開示される樹脂シートは、上記のような加熱に対して良好な特性(典型的には密着性)を維持し得るので、例えばウエハ固定用シート(好適にはレーザダイシング用シート)として、レーザダイシング工程を含む半導体素子製造に好ましく用いられる。また、ここに開示される樹脂シートは、段差追従性に優れたものであり得るので、凹凸を有するウエハ表面(回路形成面)への密着性に優れたものとなり得る。さらに剥離の際には被着体表面を損傷しないものであり得る。
上述のように、ここに開示される樹脂シートは半導体素子の製造用途に好ましく適用される。したがって、この明細書によると、ここに開示される樹脂シートを用いた半導体素子の製造方法が提供される。好ましい一態様において、この製造方法は、固定板(典型的には硬質基板)表面に配置(例えば固定)された樹脂シートに半導体ウエハを固定する工程(固定工程)と;該半導体ウエハを加工する工程(加工工程)と;を含む。さらに好ましい一態様では、上記加工工程は、60℃以上(例えば130℃~200℃)に加熱される工程(加熱工程)を含む。なお、上記加熱の際には、樹脂シートは典型的には両面が被着体に挟まれた状態であるので、雰囲気中の酸素による反応阻害が抑制され、密着性樹脂層のゲル分率上昇は好適に実現される。上記加熱工程は、例えばレーザダイシング工程および/または膜形成工程(典型的には反射膜形成工程)であり得る。
また、上記製造方法では、上記ダイシング工程によってダイシングされたチップは、エキスパンド工程を経てピックアップされ得る。つまり、上記製造方法は、上記加熱工程の後に樹脂シートを半導体ウエハから除去する工程(除去工程。典型的には剥離工程)を含み得る。好ましい一態様では、樹脂シートの剥離(再剥離)を軽くすることを目的として、上記除去工程の前に活性エネルギー線(典型的にはUV)照射工程を実施する。この工程を含む場合、密着性樹脂層中には光重合開始剤を含ませておくことが好ましい。なお、半導体素子の製造に必要なその他の技術的事項については、当該分野の技術常識に基づき当業者であれば実施可能であるので、ここでは特に説明しない。
また、ここに開示される樹脂シートは、回路基板(典型的にはフレキシブル回路基板(FPC))、有機ELパネル、カラーフィルター、電子ペーパー、フレキシブルディスプレイ等の薄厚基板に製造に用いられる仮固定用シートとして好適である。ここでいう薄厚基板の厚さは5μm~2mm(例えば10μm~0.6mm)程度である。また、薄厚基板は、例えば、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアクリレート、ポリアミド、ポリノルボルネン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、ポリアラミド、ポリフェニレンサルファイド等の樹脂フィルムの少なくとも1層や、ステンレス鋼箔等を含むものであり得る。
上記仮固定用シートは、典型的には、一方の接着性表面をガラス等の硬質材料からなるキャリア基板に貼り合わせた後、他方の接着性表面に上記薄厚基板を仮固定する態様で用いられる。上記仮固定用シートには、薄厚基板の製造工程中にキャリア基板および薄厚基板から剥がれない程度の適度な密着性と、仮固定目的を達成した後に被着体から良好に剥離し得る再剥離性とが求められる。それに加えて、上記シートは該基板上へのパターン形成時の加熱に対して密着性等の特性の劣化が抑制されていることが重要である。具体的には、上記シートによって裏面が仮固定された薄厚基板は、その表面にパターンが形成されることによって製造される。パターン形成は、通常100℃~230℃の温度で1~3時間程度実施される。ここに開示される樹脂シートは、上記のような加熱に対して良好な特性(典型的には密着性)を維持し得るので、薄厚基板の製造に好ましく用いられる。
上述のように、ここに開示される樹脂シートは、回路基板(典型的にはFPC)等の薄厚基板の製造用途に好ましく適用される。したがって、この明細書によると、上記樹脂シートを用いた薄厚基板(例えば、回路基板(典型的にはFPC)、有機ELパネル、カラーフィルター、電子ペーパー、フレキシブルディスプレイ)の製造方法が提供される。好ましい一態様において、この製造方法は、キャリア基板表面に配置(例えば固定)された樹脂シートに薄厚基板(典型的には該基板の裏面)を固定する工程(固定工程)と;該薄厚基板の表面にパターンを形成する工程(パターン形成工程)と;を含む。さらに好ましい一態様では、上記パターン形成工程は、60℃以上(例えば100℃~230℃)に加熱される工程(加熱工程)を含む。なお、上記加熱の際には、樹脂シートは典型的には両面が被着体に挟まれた状態であるので、雰囲気中の酸素による反応阻害が抑制され、密着性樹脂層のゲル分率上昇は好適に実現され得る。
また、上記製造方法は、上記加熱工程の後に樹脂シートを薄厚基板から除去する工程(除去工程。典型的には剥離工程)を含み得る。好ましい一態様では、樹脂シートの剥離(再剥離)を軽くすることを目的として、上記除去工程の前に活性エネルギー線(典型的にはUV)照射工程を実施する。この工程を含む場合、密着性樹脂層中には光重合開始剤を含ませておくことが好ましい。なお、FPC等の薄厚基板の製造に必要なその他の技術的事項については、当該分野の技術常識に基づき当業者であれば実施可能であるので、ここでは特に説明しない。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。なお、以下の説明において「部」および「%」は、特に断りがない限り重量基準である。
<例1>
温度計、撹拌機、窒素導入管等を備えた反応容器に、2EHA96部と、AA4部と、重合開始剤としてのBPO(日油(株)製の商品名「ナイパーBW」)を0.3部と、重合溶媒としてのトルエンとを投入して、窒素ガス気流下60℃で重合反応を行い、重量平均分子量(Mw)が約60万のアクリル系ポリマーの45%トルエン溶液を得た。これを本例に係るアクリル系樹脂組成物として用いた。上記アクリル系樹脂組成物をPET製の剥離ライナー上に塗付して80℃で3分間乾燥し、さらに50℃で24時間のエージングを行うことにより、厚さ30μmの密着性樹脂層から構成された基材レスの樹脂シートを作製した。
<例2>
アクリル系ポリマーのモノマー組成と重合開始剤使用量を表1に示す組成に変更した他は例1と同様にして、本例に係る基材レスの樹脂シートを作製した。
<例3>
温度計、撹拌機、窒素導入管等を備えた反応容器に、2EHA100部と、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)12.6部と、重合開始剤としてのBPO(日油(株)製の商品名「ナイパーBW」)を0.25部と、重合溶媒としてのトルエンとを投入して、窒素ガス気流下60℃で重合反応を行い、重量平均分子量(Mw)が約60万のアクリル系ポリマーの45%トルエン溶液を得た。これにメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)13.5部を付加反応させ、炭素-炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを調製した。また、上記アクリル系ポリマーのトルエン溶液に、アクリルポリマーの固形分100部に対して、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製の商品名「コロネートL」)0.1部と、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名「イルガキュア127」(Irg127):2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル〕フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン)2部とを添加した。また、酸化防止剤(チバ・ジャパン(株)製の商品名「IRGANOX1010」;ペンタエリスリトール・テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート])を密着性樹脂層中に0.087%となる割合で添加した。このようにして、本例に係るアクリル系樹脂組成物を得た。
上記アクリル系樹脂組成物をPET製の剥離ライナー上に塗付して120℃で3分間乾燥し、さらに50℃で24時間のエージングを行うことにより、厚さ30μmの密着性樹脂層から構成された基材レスの樹脂シートを作製した。
<例4>
基材として、厚さ75μmのPETフィルム(大三紙業(株)製 薄赤ベタ印刷)を用意した。この基材に、例3で得たアクリル系樹脂組成物を塗付して120℃で3分間乾燥し、さらに50℃で24時間のエージングを行うことにより、厚さ30μmの密着性樹脂層がPETフィルム基材に支持された樹脂シートを作製した。
<例5>
イソシアネート系架橋剤および光重合開始剤を使用しなかったこと、酸化防止剤の含有率を0.089%に変更したことの他は例3と同様にしてアクリル系樹脂組成物を調製した。このアクリル系樹脂組成物をPET製の剥離ライナー上に塗付して80℃で3分間乾燥し、さらに50℃で24時間のエージングを行うことにより、厚さ30μmの密着性樹脂層から構成された基材レスの樹脂シートを作製した。
<例6>
温度計、撹拌機、窒素導入管等を備えた反応容器に、2EHA42.9部と、LA53.1部と、AA0.34部と、HEA11.0部と、重合開始剤としてのBPO(日油(株)製の商品名「ナイパーBW」)を0.2部と、重合溶媒としてのトルエンとを投入して、窒素ガス気流下60℃で重合反応を行い、重量平均分子量(Mw)が約60万のアクリル系ポリマーの45%トルエン溶液を得た。これに11.8部のMOIを付加反応させ、炭素-炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを調製した。また、上記アクリル系ポリマーのトルエン溶液に、アクリルポリマーの固形分100部に対して、アルミキレート系架橋剤(川崎ファインケミカル(株)製の商品名「アルミキレートAW」)3部と、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名「イルガキュア127」)2部と、シランカップリング剤(信越化学工業(株)製の商品名「KBM903」:3-アミノプロピルトリメトキシシラン)0.2部とを添加した。また、酸化防止剤(チバ・ジャパン(株)製の商品名「IRGANOX1010」)を密着性樹脂層中に0.095%となる割合で添加した。このようにして、本例に係るアクリル系樹脂組成物を得た。
上記アクリル系樹脂組成物をPET製の剥離ライナー上に塗付して80℃で3分間乾燥し、さらに50℃で24時間のエージングを行うことにより、厚さ30μmの密着性樹脂層から構成された基材レスの樹脂シートを作製した。
<例7>
アクリル系樹脂組成物の乾燥温度を120℃に変更した他は例6と同様にして本例に係る樹脂シートを作製した。
<例8>
温度計、撹拌機、窒素導入管等を備えた反応容器に、2EHA100部と、HEA4部と、重合開始剤としてのAIBNを0.2部と、重合溶媒としてのトルエンとを投入して、窒素ガス気流下60℃で重合反応を行い、重量平均分子量(Mw)が約60万のアクリル系ポリマーの45%トルエン溶液を得た。こアクリル系樹脂組成物を用いた他は例1と同様にして本例に係る樹脂シートを作製した。
<例9>
酸化防止剤の添加量を0.435%に変更した他は例3と同様にして本例に係る樹脂シートを作製した。
<例10>
温度計、撹拌機、窒素導入管等を備えた反応容器に、2EHA100部と、HEA12.6部と、重合開始剤としてのBPO(日油(株)製の商品名「ナイパーBW」)を0.25部と、重合溶媒としてのトルエンとを投入して、窒素ガス気流下60℃で重合反応を行い、重量平均分子量(Mw)が約60万のアクリル系ポリマーの45%トルエン溶液を得た。これにMOI 13.5部を付加反応させ、炭素-炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを調製した。また、上記アクリル系ポリマーのトルエン溶液に、アクリルポリマーの固形分100部に対して、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製の商品名「コロネートL」)0.1部と、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名「イルガキュア127」)2部と、BPO(日油(株)製の商品名「ナイパーBW」)2部とを添加した。また、酸化防止剤(チバ・ジャパン(株)製の商品名「IRGANOX1010」)を密着性樹脂層中に0.087%となる割合で添加した。このようにして、本例に係るアクリル系樹脂組成物を得た。
上記アクリル系樹脂組成物をPET製の剥離ライナー上に塗付して120℃で3分間乾燥し、さらに50℃で24時間のエージングを行うことにより、厚さ30μmの密着性樹脂層から構成された基材レスの樹脂シートを作製した。
<例11>
アクリル系ポリマーのモノマー組成と重合開始剤使用量を表2に示す組成に変更した他は例3と同様にして、本例に係る基材レスの樹脂シートを作製した。なお、表2中、ACMOはN-アクリロイルモルホリンである。
<例12>
アクリル系ポリマーのモノマー組成と重合開始剤使用量を表2に示す組成に変更した他は例3と同様にして、本例に係る基材レスの樹脂シートを作製した。
<例13>
重合開始剤をt-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油(株)製の商品名「パーヘキシルO」)に変更した他は例6と同様にして、本例に係る基材レスの樹脂シートを作製した。
<例14>
重合開始剤として、BPO(0.25部)に代えてAIBN(0.2部)を使用した他は例3と同様にして、本例に係る基材レスの樹脂シートを作製した。
各例に係る樹脂シートの概略(密着性樹脂層の組成、炭素-炭素二重結合存在量、乾燥条件、ラジカル発生剤の存在量、ゲル分率等)を表1、表2に示す。なお、炭素-炭素二重結合存在量は配合組成に基づき算出した値である。
[段差追従性]
各例に係る密着性樹脂組成物をPETフィルム基材(厚さ38μm)に塗付して所定の温度で3分間乾燥し、さらに50℃で24時間のエージングを行うことにより、厚さ30μmの密着性樹脂層がPETフィルム基材に支持された樹脂シートを作製した。乾燥温度は例1,2,5,6,8,13については80℃とし、例3,4,7,9~12,14については120℃とした。作製した樹脂シートを幅20mm、長さ70mmのサイズにカットして測定サンプルを作製した。
ガラス板(松浪硝子工業(株)製のアルカリガラス板)上に厚さ25μmのPETフィルム(東レ(株)製の商品名「ルミラーS10」)を設置してガラス面に段差を設けた。23℃、50%RHの環境下にて、上記段差部分が測定サンプルの幅方向のほぼ中央となるように位置決めして、測定サンプルの密着性樹脂層側表面を被着体表面に2kgのゴムローラを1往復させて圧着した。圧着してから30分後に測定サンプルの貼り付けられた被着体の段差部分を真上から観察して、被着体界面において段差部分に存在する空隙のサイズ(最大長さ)を確認した。空隙サイズの確認は、光学顕微鏡(倍率:100倍)を用いて行い、段差部分に存在する空隙の最大径(最大長さ)を記録した。光学顕微鏡としては、オリンパス(株)製の「MX50」を使用した。結果を表1、表2に示す。
[加熱後の剥離強度]
各例に係る密着性樹脂組成物をPETフィルム基材(厚さ75μm)に塗付して所定の温度で3分間乾燥し、さらに50℃で24時間のエージングを行うことにより、厚さ30μmの密着性樹脂層がPETフィルム基材に支持された樹脂シートを作製した。乾燥温度は例1,2,5,6,8,13については80℃とし、例3,4,7,9~12,14については120℃とした。
上記で作製した樹脂シートを幅20mm、長さ100mmのサイズにカットして測定サンプルを作製した。23℃、50%RHの環境下にて、測定サンプルの密着性樹脂層側表面をガラス板の表面に2kgのゴムローラを1往復させて圧着した。これを同環境下に30分間放置した後、乾燥器にて150℃で30分間の加熱を行った。その後、23℃、50%RHの環境下にて、引張試験機を使用してJIS Z0237:2000に準じて、剥離角度180度、引張速度300mm/分の条件で剥離強度(N/20mm幅)を測定した。例3,4,6,7,9~14については、加熱後に、UV照射機(日東精機(株)製、商品名「NEL SYSTEM UM810」、高圧水銀灯光源)を用いて60mW/cm×10秒のUV照射を行った。
なお、PETフィルム基材としては、大三紙業(株)製のPETフィルム(厚さ75μm 薄赤ベタ印刷)を使用した。ガラス板としては、松浪硝子工業(株)製のアルカリガラス板(80mm×80mm×0.7mm)を使用した。引張試験機としては、変角度ピール試験機(旭精工(株)製の商品名「山本式変角ピール測定機 YM-121」)を使用した。結果を表1、表2に示す。
[加熱時の気泡発生評価]
23℃、50%RHの環境下にて、各例に係る樹脂シートの密着性樹脂層側表面をガラス板の表面にハンドローラーを用いて貼り合わせた後、80mm×80mmのサイズにカットして測定サンプルを作製した。ガラス板としては、松浪硝子工業(株)製のアルカリガラス板(80mm×80mm×0.7mm)を使用した。これを同環境下に30分間放置した後、乾燥器にて150℃で30分間の加熱を行った。例1~3,5~8および例9~14に係る基材レス樹脂シートについては、ガラス板側とは反対側の表面に厚さ125μmのPENフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製の商品名「テオネックスQ65FA」)を貼り合わせてから上記の加熱を行った。加熱後の外観変化(被着体界面における気泡発生の有無)を目視で観察し、下記の基準で評価した。結果を表1、表2に示す。
◎:気泡の存在は認められなかった。
〇:最大径が2.0mm未満の微小気泡が認められた。
×:最大径が2.0mm以上の気泡が認められた。
Figure 0007082592000003
Figure 0007082592000004
表1,表2に示されるように、比(G/G)が1.1~10000であった例1~例7、例9~例13に係る樹脂シートは、加熱時には気泡の発生が認められないか、最大径2.0mm未満の微小気泡しか発生しなかった。一方、比(G/G)が1.1未満であった例8、例14に係る樹脂シートは、加熱時には被着体との界面で気泡が発生し、全面で剥がれが認められた。これらの結果から、比(G/G)を1.1~10000の範囲とすることで、加熱前には被着体に良好に密着して被着体界面における空隙が少ないこと、および加熱時には密着性樹脂層中のアウトガス成分の気化膨張より早く密着性樹脂層のゲル分率が上昇することにより、当該アウトガス成分の気化膨張を抑制し、浮きや剥がれ等の不具合の発生が防止されたことがわかる。
また別の観点から、例1~例7、例9~例13に係る樹脂シートによる加熱時の気泡抑制は、加熱前のゲル分率が相対的に低かったことと、加熱後のゲル分率Gが30~100%の範囲内であったことによって実現されたと解釈することもできる。
さらに、例3~例7、例9~例11、例13に係る樹脂シートは、加熱時の気泡発生が顕著に抑制されており、また加熱後の剥離がより良好であったことから、加熱後においても良好な密着性を実現し、かつ再剥離性に優れることがわかる。特に例3~例5、例9、例10に係る樹脂シートは、段差追従性にも優れていた。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1,2,3,4,5,6 樹脂シート
10 基材
21,22 密着性樹脂層
31,32 剥離ライナー

Claims (8)

  1. 半導体固定用樹脂シートであって、
    前記樹脂シートは、密着性樹脂層のみからなる基材レスの樹脂シートであるか、あるいは、基材の片面または両面に密着性樹脂層を有する樹脂シートであり、該基材は、樹脂フィルム、紙、布、ゴムシート、発泡体シート、または、それらの複合体であり、
    前記密着性樹脂層は、特性(A1):120℃、5分間の加熱によってゲル分率が上昇し、かつ前記加熱を行う前のゲル分率G(%)に対する該加熱を行った後のゲル分率G(%)の比(G/G)が1.1~10000の範囲内である;を満たし、
    前記密着性樹脂層は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含み、
    前記アクリル系ポリマーは、炭素-炭素二重結合を有しており、
    前記アクリル系ポリマーは、式:
    CH=C(R)COOR
    (上記式中のRは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素原子数1~20の鎖状アルキル基である。);
    で表されるアルキル(メタ)アクリレートを50重量%超含むモノマー原料の重合物であり、
    前記密着性樹脂層はラジカル発生剤を含み、ここで前記ラジカル発生剤は、加熱時にフリーラジカルを発生させるものであり、
    前記密着性樹脂層中におけるラジカル発生剤の存在量は0.001重量%以上5重量%以下である、樹脂シート。
  2. 半導体固定用樹脂シートであって、
    前記樹脂シートは、密着性樹脂層のみからなる基材レスの樹脂シートであるか、あるいは、基材の片面または両面に密着性樹脂層を有する樹脂シートであり、該基材は、樹脂フィルム、紙、布、ゴムシート、発泡体シート、または、それらの複合体であり、
    前記密着性樹脂層は、特性(A2):120℃、5分間の加熱によってゲル分率が上昇し、かつ前記加熱を行った後のゲル分率Gが30%~100%の範囲内である;を満たし、
    前記密着性樹脂層は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含み、
    前記アクリル系ポリマーは、炭素-炭素二重結合を有しており、
    前記アクリル系ポリマーは、式:
    CH=C(R)COOR
    (上記式中のRは水素原子またはメチル基であり、Rは炭素原子数1~20の鎖状アルキル基である。);
    で表されるアルキル(メタ)アクリレートを50重量%超含むモノマー原料の重合物であり、
    前記密着性樹脂層はラジカル発生剤を含み、ここで前記ラジカル発生剤は、加熱時にフリーラジカルを発生させるものであり、
    前記密着性樹脂層中におけるラジカル発生剤の存在量は0.001重量%以上5重量%以下である、樹脂シート。
  3. 前記密着性樹脂層は、前記半導体に貼り合わせられるものである、請求項1または2に記載の樹脂シート。
  4. 特性(B):前記密着性樹脂層をガラス板に貼り付け、150℃で30分間加熱した後に測定される180度剥離強度が、0.05~5.0N/20mmである;を満たす、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂シート。
  5. 前記密着性樹脂層は、ラジカル捕捉剤を含まないか、あるいは含み、前記ラジカル捕捉剤を含む場合、前記密着性樹脂層における前記ラジカル捕捉剤の含有率は1重量%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂シート。
  6. 前記密着性樹脂層における前記炭素-炭素二重結合の存在量は0.1~2.0mmol/gである、請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂シート。
  7. 前記アクリル系ポリマーは、一般式(1):
    Figure 0007082592000005
    (上式中、Rは水素またはメチル基である。);で表わされる加熱反応性基を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の樹脂シート。
  8. 前記密着性樹脂層を支持する樹脂フィルム基材を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂シート。
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