JP7082592B2 - 樹脂シート - Google Patents
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Description
なお、以下の図面において、同じ作用を奏する部材・部位には同じ符号を付して説明することがあり、重複する説明は省略または簡略化することがある。また、図面に記載の実施形態は、本発明を明瞭に説明するために模式化されており、製品として実際に提供される樹脂シートのサイズや縮尺を必ずしも正確に表したものではない。
ここに開示される樹脂シートは密着性樹脂層を備える。この密着性樹脂層は、典型的には樹脂シートの少なくとも一方の表面(例えば両面)を構成している。樹脂シートは、上記密着性樹脂層を基材(支持体)の片面または両面に有する形態の基材付き樹脂シートであってもよく、上記密着性樹脂層が剥離ライナー(剥離面を備える基材としても把握され得る。)に保持された形態等の基材レスの樹脂シートであってもよい。この場合、樹脂シートは密着性樹脂層のみからなるものであり得る。ここでいう樹脂シートの概念には、粘着テープ、粘着ラベル、粘着フィルム等と称され得る粘着シートや、接着シート、接着フィルム等の粘接着シート類が包含され得る。また、上記密着性樹脂層は典型的には連続的に形成されるが、かかる形態に限定されるものではなく、例えば点状、ストライプ状等の規則的あるいはランダムなパターンに形成された密着性樹脂層であってもよい。また、本明細書により提供される樹脂シートは、ロール状であってもよく、枚葉状であってもよい。あるいは、さらに種々の形状に加工された形態の樹脂シートであってもよい。
(ゲル分率)
ここに開示される密着性樹脂層は、120℃、5分間の加熱によってゲル分率が上昇することによって特徴づけられる。上記の特徴を示す密着性樹脂層は、密着性樹脂層を被着体に貼り合わせるときには、相対的に低いゲル分率を有することから良好な接着性、追従性を発揮し、被着体表面に良好に密着することが可能である。例えば、凹凸を有する表面に対しても良好に密着することが可能である。密着性樹脂層が被着体表面に良好に密着することは、被着体界面に空隙が少ないことでもあり得るため、該空隙に存在するガス成分が加熱時に膨張することによって引き起こされる密着性低下を防止または抑制することができる。また、樹脂シートを所定以上の温度に加熱すると、密着性樹脂層のゲル分率は速やかに上昇する。具体的には、密着性樹脂層中のアウトガス成分が同加熱により気化膨張するよりも早く上記ゲル分率は上昇して、密着性樹脂層の弾性は上昇する。これにより、アウトガス成分の気化膨張が抑制され、密着性樹脂層からのガス放出が抑制される結果、加熱時のガス放出に起因する密着性低下が抑制される。要するに、ここに開示される技術は、貼り合わせ時の密着性と加熱時におけるガス放出抑制とによって、加熱後においても良好な密着性を維持することを実現する。上記のような樹脂シートによると、例えば、樹脂シートを貼り付けた状態で被着体を搬送する場合において、搬送時の振動等によって樹脂シートが脱落するような不具合が防止される。なお、アウトガス成分とは、典型的には、該樹脂層中に存在する水等の揮発成分や、該樹脂層中の空隙に存在する気体成分のことである。
約0.5gの密着性樹脂層サンプル(重量W1)を採取し、平均孔径0.2μmの多孔質ポリテトラフルオロエチレン膜(重量W2)で巾着状に包み、口をタコ糸(重量W3)で縛る。この包みをトルエン50mLに浸し、室温(典型的には25℃)で7日間保持して密着性樹脂層中のゾル成分のみを上記膜外に溶出させた後、上記包みを取り出して外表面に付着しているトルエンを拭き取り、該包みを130℃で2時間乾燥させ、該包みの重量(W4)を測定する。そして、各値を下式に代入することによりゲル分率を求める。
ゲル分率(%)=[(W4-W2-W3)/W1]×100
ゲル分率GA,GC,GDは、加熱処理(典型的には120℃、5分間の加熱)を施していない樹脂シートからの密着性樹脂層サンプルを用いて、上述のゲル分率測定方法により測定される。この樹脂シートは、典型的には密着性樹脂層を乾燥させて作製した後は、上記のような加熱が行われていない。
ゲル分率GBについては、下記の密着性樹脂層サンプルを用いて測定される。すなわち、密着剤樹脂層の表面が剥離ライナーにより保護された形態の樹脂シートを用意する。この樹脂シートを、予め120℃に加温したガラス板2枚の間に挟み、120℃で5分間の加熱を行う。当該加熱後の樹脂シートからの密着性樹脂層サンプルについて、上述のゲル分率測定方法によりゲル分率を測定する。
なお、多孔質ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜としては、日東電工(株)製「ニトフロンNTF1122」(平均孔径0.2μm、気孔率75%、厚さ85μm)またはその相当品を使用することが望ましい。また、ゲル分率GBの測定で用いられるガラス板は特に限定されず、公知または慣用のガラス板を使用すればよい。
120℃、5分間の加熱によってゲル分率が上昇する特性を示す密着性樹脂層を作製する方法は特に限定されない。例えば、樹脂シート中に炭素-炭素二重結合を存在させて、これを加熱時に反応させることでゲル分率を上昇させる方法が好適例として挙げられる。上記の方法によると、特性(A1)、(A2)および(A3)を満たす構成を好適に実現することができる。上記方法を採用する場合、密着性樹脂層には、炭素-炭素二重結合が存在している。この構成は、特性(A3)を満たすうえで特に有利である。その理由として、炭素-炭素二重結合は、工業的に適用され得る通常の保管環境では空気中の湿気や酸度等と反応せず化学的に安定であることが挙げられる。その一方で、例えば60℃以上の高温状態ではラジカルを発生して他の分子と反応(例えば重合反応や架橋反応)する。炭素-炭素二重結合が存在する密着性樹脂層を採用することで、樹脂シートは保管時には密着性樹脂層のゲル分率の上昇が起こらず取扱い性に優れる。また、所定の加熱条件においては密着性樹脂層のゲル分率上昇(以下、「加熱時ゲル分率上昇」と略記する場合がある。)が速やかに実現される。
なお、この明細書においてポリマーまたはオリゴマーの主鎖とは、当該ポリマーまたはオリゴマーの骨格をなす鎖状構造のことを指すものとする。また、ポリマーまたはオリゴマーの側鎖とは、上記主鎖と結合する基(ペンダント、側基)や、ペンダントとみなされ得る分子鎖を指すものとする。
(1)密着性樹脂層を構成するベースポリマーとして、炭素-炭素二重結合を有するポリマーを用いる方法。この方法は、具体的には、炭素-炭素二重結合を有するポリマーをベースポリマーとして密着性樹脂組成物に含ませて、該密着性樹脂組成物を用いて密着性樹脂層を形成する。
(2)密着性樹脂層中に、密着性樹脂層を構成するベースポリマーに加えて、炭素-炭素二重結合を有するポリマー、オリゴマーおよび/またはモノマーを含ませる方法。この方法は、具体的には、密着性樹脂組成物中に上記ポリマー、オリゴマーおよび/またはモノマーを適当量添加し、該密着性樹脂組成物を用いて密着性樹脂層を形成する。
上記(1)と(2)は併用してもよい。
[測定条件]
観測周波数:1H 600 MHz
測定溶媒:CDCl3
測定温度:300K
化学シフト基準:測定溶媒 1H;7.25ppm
また、ここに開示される密着性樹脂層は、ラジカル発生剤を含むことが好ましい。炭素-炭素二重結合の有無にかかわらず、加熱を行うとポリマー等の分子結合の開裂や、空気中の酸素酸化等によってラジカルが生成することが知られている(「高分子劣化・崩壊の<樹脂別>トラブル対策と最新の改質・安定化技術」 高分子物性研究会 1981年発行)。したがって、加熱時に上記ラジカルが存在すると、ラジカル反応(例えば重合反応や架橋反応)が起こり、密着性樹脂シートのゲル分率は上昇すると考えられる。しかし、樹脂シートが使用時に曝され得る熱履歴を利用してゲル分率を上昇させようとした場合、当該熱履歴は、通常は凡そ60℃~250℃、5時間程度までであるため、上記の熱履歴によってはラジカル反応は速やかに進行せず、密着性樹脂層からのガス放出は抑制されない。ここに開示される技術の好ましい一態様では、ラジカル発生剤を密着性樹脂層に積極的に含ませることで、上記反応の速やかな進行を確実なものとする。これにより、加熱時ゲル分率上昇を迅速に実現することができる。例えば、密着性樹脂層中に炭素-炭素二重結合が存在する場合には、加熱時にラジカル発生剤からフリーラジカルが生成し、これが上記炭素-炭素二重結合に付加することでラジカル反応が確実に行われ、密着性樹脂層のゲル分率がより速やかに上昇する。
ジアシルパーオキサイドとしては、ジベンゾイルパーオキサイド(BPO)、ジ-p-ニトロベンゾイルパーオキサイド、ジ-p-クロロベンゾイルパーオキサイド、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジ-n-オクタノイルパーオキサイド、ジデカノイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド等が挙げられる。
パーオキシエステルとしては、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソブチレート、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、t-ブチルパーオキシアセテート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等が挙げられる。
パーオキシジカーボネートとしては、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。
モノパーオキシカーボネートとしては、例えば、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、t-アミルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート等が挙げられる。
パーオキシケタールとしては、2,2-ビス(4,4-ジ-t-ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n-ブチル-4,4-ビス(t-ブチルパーオキシ)バレート等が挙げられる。
ジアルキルパーオキサイドとしては、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルクミルパーオキサイド、α,α’-ビス(t-ブチルパーオキシ-m-イソプロピル)ベンゼン、2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3等が挙げられる。
ハイドロパーオキサイドとしては、クメンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、2,5-ジメチルシクロヘキサン-2,5-ジハイドロパーオキサイド等が挙げられる。
ケトンパーオキサイドとしては、シクロヘキサノンパーオキサイド、3,3,5-トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド等が挙げられる。
なかでも、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステルが好ましく、BPO、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエートがより好ましい。過酸化物系開始剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
密着性樹脂層サンプル約0.1gを採取し、酢酸エチルを加えて24時間振とうする。その後、アセトニトリル10mLを加えて、さらに3時間振とうする。得られた溶液を孔径0.2μmのメンブレンフィルタで濾過したものにつき、HPLCによりサンプル中のラジカル発生剤量を測定する。HPLC測定は、例えば分析装置としてDionex社製の商品名「UltiMate3000」を用いて下記の条件で行うことができる。
[測定条件]
カラム: ZORBAX Eclipse Plus(3.0mmφ×50mm、1.8μm)
溶離液: 蒸留水/アセトニトリル逆相グラジエント条件
流量: 0.8mL/min
検出器: PDA(190nm~400nm)、230nm抽出
カラム温度: 40℃
注入量: 5μL
また、ここに開示される密着性樹脂層は、エポキシ樹脂等のエポキシ系化合物を含んでもよい。これにより、加熱時においてエポキシ系化合物中のエポキシ基が開環し、エポキシ系化合物同士が反応することで密着性樹脂層のゲル分率は上昇し得る。なお、エポキシ系化合物には、分子中に加熱反応性基としてエポキシ基を少なくとも1つ有するポリマー、オリゴマーおよびモノマーが包含される。
ここに開示される密着性樹脂層は、ベースポリマーとして、粘着剤や接着剤の分野において公知のアクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー(例えば、天然ゴム、クロロプレンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、ニトリルゴム等)、ポリエステル、ウレタン系ポリマー、ポリエーテル、シリコーン系ポリマー、ポリアミド、フッ素系ポリマー、エチレン-酢酸ビニル系ポリマー、エポキシ系樹脂、塩化ビニル系ポリマー、シアノアクリレート系ポリマー、セルロース系ポリマー(ニトロセルロース系ポリマー等)、フェノール樹脂、ポリイミド、ポリオレフィン、スチレン系ポリマー、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリベンズイミダゾール、メラミン樹脂、ユリア樹脂、レゾルシノール系ポリマー等の各種ポリマーの1種または2種以上を含むものであり得る。密着性やコスト等の観点から、アクリル系ポリマー、ゴム系ポリマー、ポリエステル、ウレタン系ポリマー、ポリエーテル、シリコーン系ポリマー、ポリアミド、フッ素系ポリマーが好ましく、アクリル系ポリマー、ゴム系ポリマーがより好ましく、アクリル系ポリマーが特に好ましい。
なお、密着性樹脂の「ベースポリマー」とは、該密着性樹脂に含まれるポリマーの主成分をいう。上記ポリマーは、室温付近の温度域においてゴム弾性を示すゴム状ポリマーであることが好ましい。また、この明細書において「主成分」とは、特記しない場合、50重量%を超えて含まれる成分を指す。
なお、「アクリル系ポリマー」とは、該ポリマーを構成するモノマー単位として、1分子中に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーに由来するモノマー単位を含む重合物をいう。以下、1分子中に少なくとも一つの(メタ)アクリロイル基を有するモノマーを「アクリル系モノマー」ともいう。この明細書におけるアクリル系ポリマーは、アクリル系モノマーに由来するモノマー単位を含むポリマーとして定義される。かかるアクリル系ポリマーの典型例として、該アクリル系ポリマーのモノマー組成のうちアクリル系モノマーの割合が50重量%より多いアクリル系ポリマーが挙げられる。
また、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイルおよびメタクリロイルを包括的に指す意味である。同様に、「(メタ)アクリレート」とはアクリレートおよびメタクリレートを、「(メタ)アクリル」とはアクリルおよびメタクリルを、それぞれ包括的に指す意味である。
CH2=C(R1)COOR2 (2)
ここで、上記式(2)中のR1は水素原子またはメチル基である。また、R2は炭素原子数1~20の鎖状アルキル基(以下、このような炭素原子数の範囲を「C1-20」と表すことがある。)である。密着性樹脂層の貯蔵弾性率等の観点から、R2がC1-14(例えばC1-12、典型的にはC4-12)の鎖状アルキル基であるアルキル(メタ)アクリレートが好ましく、R1が水素原子でR2がC5-14(例えばC6-14、典型的にはC8-12)の鎖状アルキル基であるアルキルアクリレート(以下、単にC5-14アルキルアクリレートともいう。)がより好ましい。
カルボキシ基含有モノマー:例えばアクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、クロトン酸等のエチレン性不飽和モノカルボン酸;マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸等のエチレン性不飽和ジカルボン酸およびその無水物(無水マレイン酸、無水イタコン酸等)。
水酸基含有モノマー:例えば2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;ビニルアルコール、アリルアルコール等の不飽和アルコール類;2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングルコールモノビニルエーテル等のエーテル系化合物。
アミド基含有モノマー:例えば(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド。
アミノ基含有モノマー:例えばアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート。
エポキシ基含有モノマー:例えばグリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル。
シアノ基含有モノマー:例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル。
ケト基含有モノマー:例えばジアセトン(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリレート、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、アリルアセトアセテート、ビニルアセトアセテート。
窒素原子含有環を有するモノマー:例えばN-ビニル-2-ピロリドン、N-メチルビニルピロリドン、N-ビニルピリジン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルピリミジン、N-ビニルピペラジン、N-ビニルピラジン、N-ビニルピロール、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルオキサゾール、N-ビニルモルホリン、N-ビニルカプロラクタム、N-(メタ)アクリロイルモルホリン。
アルコキシシリル基含有モノマー:例えば3-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン。
イソシアネート基含有モノマー:(メタ)アクリロイルイソシアネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、m-イソプロペニル-α,α-ジメチルベンジルイソシアネート。
また、ここに開示されるアクリル系ポリマーは、加熱時ゲル分率上昇の観点から、炭素-炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーであることが好ましい。アクリル系ポリマーは、モノマー原料選択の自由度が高く、物性の制御が容易である点でも有利である。なお、上記炭素-炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを用いる方法は、上述の密着性樹脂層中に炭素-炭素二重結合を存在させる方法(1)に該当する。
また、ここに開示される技術は、炭素-炭素二重結合を有するモノマー/オリゴマーを含む密着性樹脂層を備える態様でも好ましく実施され得る。上記モノマー/オリゴマーとしては、上述のものを好ましく用いることができる。ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを用いる態様では、上述の(メタ)アクリロイル基含有化合物や、該(メタ)アクリロイル基含有化合物の多量体(例えば2~5量体)の1種または2種以上を用いることが好ましい。上記多量体は、例えば多官能(典型的には2~5官能)の化合物であり得る。なお、上記炭素-炭素二重結合を有するモノマー/オリゴマーを用いる方法は、上述の密着性樹脂層中に炭素-炭素二重結合を存在させる方法(2)に該当する。
また、ここに開示される密着性樹脂層は、樹脂シートを再剥離する際に剥離を軽くすることを目的として、光重合開始剤を含むことが好ましい。樹脂シートを被着体から剥がす場合に、予め活性エネルギー線(例えば紫外線(UV))照射を行うことで、密着性樹脂層を硬化収縮させ、再剥離を容易に行うことができる。この構成は、被着体表面の損傷を防止する点でも有利である。上記の構成は、良好な再剥離性が要求され得る用途(例えば、フレキシブル回路基板を仮固定する用途や、半導体素子を固定・保護する用途)に特に適している。
ベンゾフェノン誘導体としては、例えば、o-アクリルオキシベンゾフェノン、p-アクリルオキシベンゾフェノン、o-メタクリルオキシベンゾフェノン、p-メタクリルオキシベンゾフェノン、p-(メタ)アクリルオキシエトキシベンゾフェノンが挙げられる。また、1,4-ブタンジオールモノ(メタ)アクリラート、1,2-エタンジオールモノ(メタ)アクリラート、1,8-オクタンジオールモノ(メタ)アクリラート等のアクリラートのベンゾフェノン-4-カルボン酸エステル等も用いることが可能である。アルキルフェノン誘導体としては、例えば、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オンが挙げられる。アセトフェノン誘導体としては、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニル-ケトン等が挙げられる。上記光重合開始剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、硬化速度や厚膜硬化性に優れるという理由から、1-ヒドロキシシクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル〕フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オンが好ましい。
密着性樹脂層を形成するために用いられる密着性樹脂組成物は、密着性樹脂層の凝集性向上の観点から、上記ベースポリマーに加えて架橋剤を含むことが好ましい。架橋剤の種類は特に制限されず、例えば、イソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、アジリジン系架橋剤、メラミン系架橋剤、過酸化物系架橋剤、尿素系架橋剤、金属アルコキシド系架橋剤、金属キレート系架橋剤、金属塩系架橋剤、カルボジイミド系架橋剤、アミン系架橋剤等が挙げられる。これら架橋剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。なかでも、イソシアネート系架橋剤、金属キレート系架橋剤が好ましい。
ここに開示される密着性樹脂層は、保存安定性の観点から、酸化防止剤等のラジカル捕捉剤を含み得る。ラジカル捕捉剤は、文字どおり密着性樹脂層中のラジカルを捕捉する機能を発揮する剤であるため、例えば、密着性樹脂層中に炭素-炭素二重結合が存在する場合に、ラジカルが炭素-炭素二重結合に付加することを阻害し得る。ここに開示される技術が、炭素-炭素二重結合が存在する態様やラジカル発生剤を含む態様で実施される場合、ラジカル捕捉剤の量が多いと加熱時のゲル分率上昇が抑制される虞がある。そのような観点から、ここに開示される技術では、ラジカル捕捉剤の配合量を制限することが好ましい。
硫黄系酸化防止剤の例としては、ジラウリル-3,3’-チオジプロピオネート、ジミリスチル-3,3’-チオジプロピオネート、ジステアリル-3,3’-チオジプロピオネート、ペンタエリスリトールテトララウリルチオプロピオネート等が挙げられる。
アミン系酸化防止剤の例としては、フェニル-α-ナフチルアミン、ジフェニルアミン等が挙げられる。
また、ここに開示される密着性樹脂組成物は、被着体(典型的にはガラス)への接着性を改善すること等を目的として、シランカップリング剤を含むことが好ましい。シランカップリング剤としては、ビニル基含有シラン化合物、エポキシ基含有シラン化合物、スチリル基含有シラン化合物、(メタ)アクリル基含有シラン化合物、アミノ基含有シラン化合物、ウレイド基含有シラン化合物、メルカプト基含有シラン化合物、イソシアネート基含有シラン化合物、シリル基含有スルフィド等の1種または2種以上を用いることができる。なかでも、保存安定性に優れるアミノ基含有シラン化合物が好ましい。
ここに開示される密着性樹脂層は、粘着剤から形成される層(粘着剤層)や、接着剤から形成される層(接着剤層)、表面に易接着性を有する樹脂層であり得る。ここに開示される技術における密着性樹脂層(密着性樹脂からなる層)は、水系密着性樹脂組成物、溶剤型密着性樹脂組成物、ホットメルト型密着性樹脂組成物、活性エネルギー線硬化型密着性樹脂組成物から形成された密着性樹脂層であり得る。水系密着性樹脂組成物とは、水を主成分とする溶媒(水系溶媒)中に密着性樹脂(密着性樹脂形成成分)を含む形態の密着性樹脂組成物のことをいい、ここでいう水系密着性樹脂組成物の概念には、水分散型の密着性樹脂組成物(密着性樹脂が水に分散した形態の組成物)、水溶性の密着性樹脂組成物(密着性樹脂が水に溶解した形態の組成物)等と称されるものが含まれ得る。また、溶剤型密着性樹脂組成物とは、有機溶媒中に密着性樹脂を含む形態の密着性樹脂組成物のことをいう。ここに開示される技術は、溶剤型密着性樹脂組成物から形成された密着性樹脂層を備える態様で好ましく実施され得る。
片面粘着タイプまたは両面粘着タイプの基材付き樹脂シートにおいて、密着性樹脂層を支持(裏打ち)する基材として、各種のシート状基材を用いることができる。上記基材としては、樹脂フィルム、紙、布、ゴムシート、発泡体シート、金属箔、これらの複合体等を用いることができる。樹脂フィルムの例としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、エチレン・プロピレン共重合体等のポリオレフィン製フィルム;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム;塩化ビニル樹脂フィルム;酢酸ビニル樹脂フィルム;ポリイミド樹脂フィルム;ポリアミド樹脂フィルム;フッ素樹脂フィルム;セロハン;等が挙げられる。紙の例としては、和紙、クラフト紙、グラシン紙、上質紙、合成紙、トップコート紙等が挙げられる。布の例としては、各種繊維状物質の単独または混紡等による織布や不織布等が挙げられる。上記繊維状物質としては、綿、スフ、マニラ麻、パルプ、レーヨン、アセテート繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、ポリオレフィン繊維等が例示される。ゴムシートの例としては、天然ゴムシート、ブチルゴムシート等が挙げられる。発泡体シートの例としては、発泡ポリウレタンシート、発泡ポリクロロプレンゴムシート等が挙げられる。金属箔の例としては、アルミニウム箔、銅箔等が挙げられる。
剥離ライナーとしては、慣用の剥離紙等を使用することができ、特に限定されない。例えば、樹脂フィルムや紙等のライナー基材の表面に剥離処理層を有する剥離ライナーや、フッ素系ポリマー(ポリテトラフルオロエチレン等)やポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン等)の低接着性材料からなる剥離ライナー等を用いることができる。上記剥離処理層は、例えば、シリコーン系、長鎖アルキル系、フッ素系、硫化モリブデン等の剥離処理剤により上記ライナー基材を表面処理して形成されたものであり得る。
この明細書によると、ここに開示される密着性樹脂層を形成するために用いられる密着性樹脂組成物が提供される。好ましい一態様では、密着性樹脂組成物は、特性(a1):上記樹脂組成物を剥離性支持体に付与して80℃で3分間乾燥することによって形成した厚さ30μmの密着性樹脂層のゲル分率をGA(%)とし、該密着性樹脂層をさらに120℃で5分間加熱したときのゲル分率をGB(%)としたとき、比(GB/GA)が1.1~10000の範囲内である;を満たす。上記密着性樹脂組成物によると、貼り合わせ時には被着体に良好に密着可能であり、かつ、加熱時にはガス放出が抑制された密着性樹脂層が実現される。
ここに開示される樹脂シートは、PENフィルムに対する180度剥離強度(対PEN剥離強度)が0.1N/20mm以上を示すことが好ましい。上記剥離強度を示す樹脂シートは被着体(典型的にはPEN製被着体)に対して良好に密着することができ、貼り合わせ性にも優れる。上記剥離強度は、0.2N/20mm以上(例えば0.3N/20mm以上、典型的には0.5N/20mm以上)であることがより好ましい。また、剥離強度が高すぎると、貼り直し作業性が低下する傾向があることから、上記剥離強度は5.0N/20mm以下(例えば3.0N/20mm以下、典型的には1.0N/20mm以下)であることが好ましい。なお、上記剥離強度は加熱(120℃、3分間の加熱)前に測定される剥離強度である。対PEN剥離強度は、下記の方法で測定することができる。
片面接着性の樹脂シートはそのままのものを、両面接着性の樹脂シートは一方の表面をPETフィルムに裏打ちしたものを、幅20mm、長さ100mmのサイズにカットして測定サンプルを作製する。23℃、50%RHの環境下にて、密着性樹脂層表面をPENフィルムの表面に2kgのゴムローラを1往復させて圧着する。これを同環境下に30分間放置した後、引張試験機を使用してJIS Z0237:2000に準じて、剥離角度180度、引張速度300mm/分の条件で剥離強度(N/20mm幅)を測定する。裏打ち用のPETフィルム基材としては、大三紙業(株)製のPETフィルム(厚さ75μm 薄赤ベタ印刷)を使用することができる。被着体としてのPENフィルムとしては、帝人デュポンフィルム(株)製の商品名「テオネックスQ65FA」を使用することができる。引張試験機としては、変角度ピール試験機(旭精工(株)製の商品名「山本式変角ピール測定機 YM-121」)を使用することができる。
ここに開示される樹脂シートの用途は特に限定されず、例えば、貼り付け後に60℃~250℃(例えば100℃~230℃、典型的には130℃~200℃)の加熱に曝される環境で用いられる樹脂シートとして好ましく用いられ得る。上記加熱環境では、従来の粘着シートは、粘着シート中のアウトガス成分(典型的には、該樹脂層中に存在する水分等の揮発成分や、該樹脂層中の空隙に存在する気体成分)が同加熱により気化膨張して被着体界面で気泡となって現れ、被着体からの浮きや剥がれ等の不具合を引き起こし得る。ここに開示される樹脂シートは、そのようなアウトガス成分に由来するガス放出が抑制されているので、上記加熱条件に曝されても良好な密着性を維持することができる。
温度計、撹拌機、窒素導入管等を備えた反応容器に、2EHA96部と、AA4部と、重合開始剤としてのBPO(日油(株)製の商品名「ナイパーBW」)を0.3部と、重合溶媒としてのトルエンとを投入して、窒素ガス気流下60℃で重合反応を行い、重量平均分子量(Mw)が約60万のアクリル系ポリマーの45%トルエン溶液を得た。これを本例に係るアクリル系樹脂組成物として用いた。上記アクリル系樹脂組成物をPET製の剥離ライナー上に塗付して80℃で3分間乾燥し、さらに50℃で24時間のエージングを行うことにより、厚さ30μmの密着性樹脂層から構成された基材レスの樹脂シートを作製した。
アクリル系ポリマーのモノマー組成と重合開始剤使用量を表1に示す組成に変更した他は例1と同様にして、本例に係る基材レスの樹脂シートを作製した。
温度計、撹拌機、窒素導入管等を備えた反応容器に、2EHA100部と、2-ヒドロキシエチルアクリレート(HEA)12.6部と、重合開始剤としてのBPO(日油(株)製の商品名「ナイパーBW」)を0.25部と、重合溶媒としてのトルエンとを投入して、窒素ガス気流下60℃で重合反応を行い、重量平均分子量(Mw)が約60万のアクリル系ポリマーの45%トルエン溶液を得た。これにメタクリロイルオキシエチルイソシアネート(MOI)13.5部を付加反応させ、炭素-炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを調製した。また、上記アクリル系ポリマーのトルエン溶液に、アクリルポリマーの固形分100部に対して、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製の商品名「コロネートL」)0.1部と、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名「イルガキュア127」(Irg127):2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル〕フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン)2部とを添加した。また、酸化防止剤(チバ・ジャパン(株)製の商品名「IRGANOX1010」;ペンタエリスリトール・テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート])を密着性樹脂層中に0.087%となる割合で添加した。このようにして、本例に係るアクリル系樹脂組成物を得た。
上記アクリル系樹脂組成物をPET製の剥離ライナー上に塗付して120℃で3分間乾燥し、さらに50℃で24時間のエージングを行うことにより、厚さ30μmの密着性樹脂層から構成された基材レスの樹脂シートを作製した。
基材として、厚さ75μmのPETフィルム(大三紙業(株)製 薄赤ベタ印刷)を用意した。この基材に、例3で得たアクリル系樹脂組成物を塗付して120℃で3分間乾燥し、さらに50℃で24時間のエージングを行うことにより、厚さ30μmの密着性樹脂層がPETフィルム基材に支持された樹脂シートを作製した。
イソシアネート系架橋剤および光重合開始剤を使用しなかったこと、酸化防止剤の含有率を0.089%に変更したことの他は例3と同様にしてアクリル系樹脂組成物を調製した。このアクリル系樹脂組成物をPET製の剥離ライナー上に塗付して80℃で3分間乾燥し、さらに50℃で24時間のエージングを行うことにより、厚さ30μmの密着性樹脂層から構成された基材レスの樹脂シートを作製した。
温度計、撹拌機、窒素導入管等を備えた反応容器に、2EHA42.9部と、LA53.1部と、AA0.34部と、HEA11.0部と、重合開始剤としてのBPO(日油(株)製の商品名「ナイパーBW」)を0.2部と、重合溶媒としてのトルエンとを投入して、窒素ガス気流下60℃で重合反応を行い、重量平均分子量(Mw)が約60万のアクリル系ポリマーの45%トルエン溶液を得た。これに11.8部のMOIを付加反応させ、炭素-炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを調製した。また、上記アクリル系ポリマーのトルエン溶液に、アクリルポリマーの固形分100部に対して、アルミキレート系架橋剤(川崎ファインケミカル(株)製の商品名「アルミキレートAW」)3部と、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名「イルガキュア127」)2部と、シランカップリング剤(信越化学工業(株)製の商品名「KBM903」:3-アミノプロピルトリメトキシシラン)0.2部とを添加した。また、酸化防止剤(チバ・ジャパン(株)製の商品名「IRGANOX1010」)を密着性樹脂層中に0.095%となる割合で添加した。このようにして、本例に係るアクリル系樹脂組成物を得た。
上記アクリル系樹脂組成物をPET製の剥離ライナー上に塗付して80℃で3分間乾燥し、さらに50℃で24時間のエージングを行うことにより、厚さ30μmの密着性樹脂層から構成された基材レスの樹脂シートを作製した。
アクリル系樹脂組成物の乾燥温度を120℃に変更した他は例6と同様にして本例に係る樹脂シートを作製した。
温度計、撹拌機、窒素導入管等を備えた反応容器に、2EHA100部と、HEA4部と、重合開始剤としてのAIBNを0.2部と、重合溶媒としてのトルエンとを投入して、窒素ガス気流下60℃で重合反応を行い、重量平均分子量(Mw)が約60万のアクリル系ポリマーの45%トルエン溶液を得た。こアクリル系樹脂組成物を用いた他は例1と同様にして本例に係る樹脂シートを作製した。
酸化防止剤の添加量を0.435%に変更した他は例3と同様にして本例に係る樹脂シートを作製した。
温度計、撹拌機、窒素導入管等を備えた反応容器に、2EHA100部と、HEA12.6部と、重合開始剤としてのBPO(日油(株)製の商品名「ナイパーBW」)を0.25部と、重合溶媒としてのトルエンとを投入して、窒素ガス気流下60℃で重合反応を行い、重量平均分子量(Mw)が約60万のアクリル系ポリマーの45%トルエン溶液を得た。これにMOI 13.5部を付加反応させ、炭素-炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを調製した。また、上記アクリル系ポリマーのトルエン溶液に、アクリルポリマーの固形分100部に対して、イソシアネート系架橋剤(日本ポリウレタン工業(株)製の商品名「コロネートL」)0.1部と、光重合開始剤(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製の商品名「イルガキュア127」)2部と、BPO(日油(株)製の商品名「ナイパーBW」)2部とを添加した。また、酸化防止剤(チバ・ジャパン(株)製の商品名「IRGANOX1010」)を密着性樹脂層中に0.087%となる割合で添加した。このようにして、本例に係るアクリル系樹脂組成物を得た。
上記アクリル系樹脂組成物をPET製の剥離ライナー上に塗付して120℃で3分間乾燥し、さらに50℃で24時間のエージングを行うことにより、厚さ30μmの密着性樹脂層から構成された基材レスの樹脂シートを作製した。
アクリル系ポリマーのモノマー組成と重合開始剤使用量を表2に示す組成に変更した他は例3と同様にして、本例に係る基材レスの樹脂シートを作製した。なお、表2中、ACMOはN-アクリロイルモルホリンである。
アクリル系ポリマーのモノマー組成と重合開始剤使用量を表2に示す組成に変更した他は例3と同様にして、本例に係る基材レスの樹脂シートを作製した。
重合開始剤をt-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(日油(株)製の商品名「パーヘキシルO」)に変更した他は例6と同様にして、本例に係る基材レスの樹脂シートを作製した。
重合開始剤として、BPO(0.25部)に代えてAIBN(0.2部)を使用した他は例3と同様にして、本例に係る基材レスの樹脂シートを作製した。
各例に係る密着性樹脂組成物をPETフィルム基材(厚さ38μm)に塗付して所定の温度で3分間乾燥し、さらに50℃で24時間のエージングを行うことにより、厚さ30μmの密着性樹脂層がPETフィルム基材に支持された樹脂シートを作製した。乾燥温度は例1,2,5,6,8,13については80℃とし、例3,4,7,9~12,14については120℃とした。作製した樹脂シートを幅20mm、長さ70mmのサイズにカットして測定サンプルを作製した。
ガラス板(松浪硝子工業(株)製のアルカリガラス板)上に厚さ25μmのPETフィルム(東レ(株)製の商品名「ルミラーS10」)を設置してガラス面に段差を設けた。23℃、50%RHの環境下にて、上記段差部分が測定サンプルの幅方向のほぼ中央となるように位置決めして、測定サンプルの密着性樹脂層側表面を被着体表面に2kgのゴムローラを1往復させて圧着した。圧着してから30分後に測定サンプルの貼り付けられた被着体の段差部分を真上から観察して、被着体界面において段差部分に存在する空隙のサイズ(最大長さ)を確認した。空隙サイズの確認は、光学顕微鏡(倍率:100倍)を用いて行い、段差部分に存在する空隙の最大径(最大長さ)を記録した。光学顕微鏡としては、オリンパス(株)製の「MX50」を使用した。結果を表1、表2に示す。
各例に係る密着性樹脂組成物をPETフィルム基材(厚さ75μm)に塗付して所定の温度で3分間乾燥し、さらに50℃で24時間のエージングを行うことにより、厚さ30μmの密着性樹脂層がPETフィルム基材に支持された樹脂シートを作製した。乾燥温度は例1,2,5,6,8,13については80℃とし、例3,4,7,9~12,14については120℃とした。
上記で作製した樹脂シートを幅20mm、長さ100mmのサイズにカットして測定サンプルを作製した。23℃、50%RHの環境下にて、測定サンプルの密着性樹脂層側表面をガラス板の表面に2kgのゴムローラを1往復させて圧着した。これを同環境下に30分間放置した後、乾燥器にて150℃で30分間の加熱を行った。その後、23℃、50%RHの環境下にて、引張試験機を使用してJIS Z0237:2000に準じて、剥離角度180度、引張速度300mm/分の条件で剥離強度(N/20mm幅)を測定した。例3,4,6,7,9~14については、加熱後に、UV照射機(日東精機(株)製、商品名「NEL SYSTEM UM810」、高圧水銀灯光源)を用いて60mW/cm2×10秒のUV照射を行った。
なお、PETフィルム基材としては、大三紙業(株)製のPETフィルム(厚さ75μm 薄赤ベタ印刷)を使用した。ガラス板としては、松浪硝子工業(株)製のアルカリガラス板(80mm×80mm×0.7mm)を使用した。引張試験機としては、変角度ピール試験機(旭精工(株)製の商品名「山本式変角ピール測定機 YM-121」)を使用した。結果を表1、表2に示す。
23℃、50%RHの環境下にて、各例に係る樹脂シートの密着性樹脂層側表面をガラス板の表面にハンドローラーを用いて貼り合わせた後、80mm×80mmのサイズにカットして測定サンプルを作製した。ガラス板としては、松浪硝子工業(株)製のアルカリガラス板(80mm×80mm×0.7mm)を使用した。これを同環境下に30分間放置した後、乾燥器にて150℃で30分間の加熱を行った。例1~3,5~8および例9~14に係る基材レス樹脂シートについては、ガラス板側とは反対側の表面に厚さ125μmのPENフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製の商品名「テオネックスQ65FA」)を貼り合わせてから上記の加熱を行った。加熱後の外観変化(被着体界面における気泡発生の有無)を目視で観察し、下記の基準で評価した。結果を表1、表2に示す。
◎:気泡の存在は認められなかった。
〇:最大径が2.0mm未満の微小気泡が認められた。
×:最大径が2.0mm以上の気泡が認められた。
また別の観点から、例1~例7、例9~例13に係る樹脂シートによる加熱時の気泡抑制は、加熱前のゲル分率が相対的に低かったことと、加熱後のゲル分率GBが30~100%の範囲内であったことによって実現されたと解釈することもできる。
さらに、例3~例7、例9~例11、例13に係る樹脂シートは、加熱時の気泡発生が顕著に抑制されており、また加熱後の剥離がより良好であったことから、加熱後においても良好な密着性を実現し、かつ再剥離性に優れることがわかる。特に例3~例5、例9、例10に係る樹脂シートは、段差追従性にも優れていた。
10 基材
21,22 密着性樹脂層
31,32 剥離ライナー
Claims (8)
- 半導体固定用樹脂シートであって、
前記樹脂シートは、密着性樹脂層のみからなる基材レスの樹脂シートであるか、あるいは、基材の片面または両面に密着性樹脂層を有する樹脂シートであり、該基材は、樹脂フィルム、紙、布、ゴムシート、発泡体シート、または、それらの複合体であり、
前記密着性樹脂層は、特性(A1):120℃、5分間の加熱によってゲル分率が上昇し、かつ前記加熱を行う前のゲル分率GA(%)に対する該加熱を行った後のゲル分率GB(%)の比(GB/GA)が1.1~10000の範囲内である;を満たし、
前記密着性樹脂層は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含み、
前記アクリル系ポリマーは、炭素-炭素二重結合を有しており、
前記アクリル系ポリマーは、式:
CH2=C(R1)COOR2
(上記式中のR1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素原子数1~20の鎖状アルキル基である。);
で表されるアルキル(メタ)アクリレートを50重量%超含むモノマー原料の重合物であり、
前記密着性樹脂層はラジカル発生剤を含み、ここで前記ラジカル発生剤は、加熱時にフリーラジカルを発生させるものであり、
前記密着性樹脂層中におけるラジカル発生剤の存在量は0.001重量%以上5重量%以下である、樹脂シート。 - 半導体固定用樹脂シートであって、
前記樹脂シートは、密着性樹脂層のみからなる基材レスの樹脂シートであるか、あるいは、基材の片面または両面に密着性樹脂層を有する樹脂シートであり、該基材は、樹脂フィルム、紙、布、ゴムシート、発泡体シート、または、それらの複合体であり、
前記密着性樹脂層は、特性(A2):120℃、5分間の加熱によってゲル分率が上昇し、かつ前記加熱を行った後のゲル分率GBが30%~100%の範囲内である;を満たし、
前記密着性樹脂層は、ベースポリマーとしてアクリル系ポリマーを含み、
前記アクリル系ポリマーは、炭素-炭素二重結合を有しており、
前記アクリル系ポリマーは、式:
CH2=C(R1)COOR2
(上記式中のR1は水素原子またはメチル基であり、R2は炭素原子数1~20の鎖状アルキル基である。);
で表されるアルキル(メタ)アクリレートを50重量%超含むモノマー原料の重合物であり、
前記密着性樹脂層はラジカル発生剤を含み、ここで前記ラジカル発生剤は、加熱時にフリーラジカルを発生させるものであり、
前記密着性樹脂層中におけるラジカル発生剤の存在量は0.001重量%以上5重量%以下である、樹脂シート。 - 前記密着性樹脂層は、前記半導体に貼り合わせられるものである、請求項1または2に記載の樹脂シート。
- 特性(B):前記密着性樹脂層をガラス板に貼り付け、150℃で30分間加熱した後に測定される180度剥離強度が、0.05~5.0N/20mmである;を満たす、請求項1~3のいずれか一項に記載の樹脂シート。
- 前記密着性樹脂層は、ラジカル捕捉剤を含まないか、あるいは含み、前記ラジカル捕捉剤を含む場合、前記密着性樹脂層における前記ラジカル捕捉剤の含有率は1重量%以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の樹脂シート。
- 前記密着性樹脂層における前記炭素-炭素二重結合の存在量は0.1~2.0mmol/gである、請求項1~5のいずれか一項に記載の樹脂シート。
- 前記密着性樹脂層を支持する樹脂フィルム基材を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の樹脂シート。
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