JP2007154082A - ポリオレフィン用接着剤組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ポリオレフィン系樹脂に対する密着性が良好であり、トルエン等の芳香族溶剤以外の溶剤にも溶解性が良好なポリオレフィン用接着剤組成物を提供する。
【解決手段】側鎖にラジカル重合性不飽和基を有し、且つ(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル単量体単位を有するアクリル系重合体を含有するポリオレフィン用接着剤組成物であり、ポリオレフィン系樹脂に対する密着性及びトルエン等の芳香族溶剤以外の溶剤にも溶解性が良好である。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂に対して十分な接着強度を持つポリオレフィン用接着剤組成物に関する。
従来、木質系ボード類、無機系ボード類、金属板等の基材の表面に化粧シートを接着剤で貼り合わせた化粧板において、化粧シートとしては、柔軟性、エンボス適性、耐汚染性等に優れた塩化ビニル樹脂シートが多く使用されていた。
しかしながら、塩化ビニル樹脂は、焼却時に塩化水素ガスが発生するため、焼却炉の腐食や酸性雨の要因となる。そのため、近年、塩化ビニル樹脂を使用しない化粧シートが要求されつつある。塩化ビニル樹脂に代わる樹脂として、ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性ポリオレフィン樹脂が検討されている。
ポリオレフィンシートと基材との接着に使用される接着剤としては、ウレタン系、ポリエステル系、水性アクリルエマルション系等のポリオレフィン用接着剤が挙げられる。しかしながら、これらの接着剤では十分な接着強度が得られていないのが実状である。
一方、ポリオレフィン樹脂に対して十分な接着強度を持つ接着剤として、塩素化ポリオレフィンが提案されている(例えば特許文献1)。しかしながら、塩素化ポリオレフィン等の含塩素化合物は、環境問題への関心の高まりから、その使用が回避される傾向にある。
塩素を含まない樹脂組成物としては、不飽和カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂をはじめとする種々の酸変性ポリオレフィン樹脂からなる樹脂組成物が提案されている。例えば、ポリオレフィンにアクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸をグラフト共重合させた後、さらにポリエステル又はアルコールなどを反応させた変性共重合体を含む樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献2)。また、ポリオレフィンに不飽和カルボン酸及び特定の(メタ)アクリレートをグラフト共重合させた酸変性ポリオレフィン樹脂も提案されている(例えば特許文献3)。
しかしながら、これら酸変性ポリオレフィン樹脂を含有する樹脂組成物は、ポリオレフィンへの密着性を有するものの、トルエン等の芳香族溶剤以外の溶剤への溶解性が低いという問題があった。
このような状況において、本出願人は上記環境問題や樹脂組成物の溶剤溶解性の低さを解決するために、特定の側鎖構造を有する(メタ)アクリレート樹脂からなる非塩素系ポリオレフィン用接着剤樹脂組成物を提案した(特許文献4)。しかしながら、この非塩素系ポリオレフィン用接着剤樹脂組成物においても、車両用途等のポリオレフィン樹脂に対して高密着性が要求される用途においては、密着性の向上が求められていた。
特開平6−306227号公報 特開平11−217537号公報 特開2002−173514号公報 特開2004−307577号公報
本発明の目的は、ポリオレフィン系樹脂に対する密着性が良好であり、トルエン等の芳香族溶剤以外の溶剤にも溶解性が良好なポリオレフィン用接着剤組成物を提供することにある。
すなわち、本発明は、側鎖にラジカル重合性不飽和基を有し、且つ(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル単量体単位を有するアクリル系重合体を含有するポリオレフィン用接着剤組成物にある。
本発明により、ポリオレフィン系樹脂に対する密着性が良好であり、トルエン等の芳香族溶剤以外の溶剤にも溶解性が良好なポリオレフィン用接着剤組成物を提供することが可能である。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明におけるアクリル系重合体は、側鎖にラジカル重合性不飽和基を有し、且つ(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル単量体単位を有する。
本発明におけるアクリル系重合体は、ポリオレフィン樹脂への塗工性、溶剤への溶解性、ポリオレフィン樹脂への密着性の観点から、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロキシル単量体単位を30〜99質量%の範囲で含有することが好ましい。下限値は、より好ましくは50質量%以上であり、特に好ましくは70質量%以上である。上限値は、より好ましくは97質量%以下であり、特に好ましくは95質量%以下である。また、ポリオレフィン樹脂との密着性の観点からは、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロキシル単量体単位の中でも特にアクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル単量体単位であることが好ましい。
また、アクリル系重合体の側鎖のラジカル重合性不飽和基の量は、二重結合当量(側鎖ラジカル重合性不飽和基1個当たりの平均分子量)が、単量体仕込み値からの計算値で平均300〜4000g/molであることが好ましい。下限値は、より好ましくは400g/mol以上であり、特に好ましくは700g/mol以上である。また、上限値は、より好ましくは3000g/mol以下であり、特に好ましくは2700g/mol以下である。
また、アクリル系重合体の数平均分子量の下限値は5000以上であることが好ましく、より好ましくは10000以上である。また、上限値は500000以下であることが好ましく、より好ましくは300000以下である。
アクリル系重合体の側鎖に存在するラジカル重合性不飽和基は、例えば以下に示す単量単位を導入することによって形成させることができる。
(1)側鎖に水酸基を有する単量体単位の水酸基にカルボキシル基を有する単量体を縮合させたもの
(2)側鎖にカルボキシル基又はスルホン基を有する単量体単位のカルボキシル基又はスルホン基に水酸基を有する単量体を縮合させたもの
(3)側鎖にエポキシ基、イソシアネート基又はアジリジニル基を有する単量体単位のエポキシ基、イソシアネート基又はアジリジニル基に水酸基を有する単量体又はカルボキシル基を有する単量体を付加させたもの
(4)側鎖に水酸基又はカルボキシル基を有する単量体単位の水酸基又はカルボキシル基にエポキシ基若しくはイソシアネート基を有する単量体、又はジイソシアネート化合物と水酸基含有アクリル酸エステル単量体との等モル付加物を付加反応させたもの
(5)側鎖にアミノ基を有する単量体単位のアミノ基にカルボキシル基を有する単量体を縮合させたもの
上記水酸基を有する単量体としては、例えばN−メチロールアクリルアミド、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル等の単量体が挙げられる。
また、カルボキシル基を有する単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸、アクリロイルオキシエチルモノサクシネート等の単量体が挙げられる。
スルホン基を有する単量体としては、例えば2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の単量体が挙げられる。
エポキシ基を有する単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル等の単量体が挙げられる。
イソシアネート基を有する単量体としては、例えば2,4−トルエンジイソシアネートとアクリル酸2−ヒドロキシエチルの等モル付加物のような、ジイソシアネートと活性水素を有するラジカル重合性単量体の付加物、(メタ)アクリル酸2−イソシアネートエチル等の単量体が挙げられる。
アジリジニル基を有する単量体としては、例えば(メタ)アクリル酸2−アジリジニルエチル、2−アジリジニルプロピオン酸アリル等の単量体が挙げられる。
アミノ基を有する単量体としては、例えば(メタ)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチル等の単量体が挙げられる。
本発明のアクリル系重合体においては、上記単量体単位及び(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル単量体単位と共に、共重合性を向上させる等、目的に応じて、その他の単量体単位を共重合単位として導入してもよい。そのようなその他の単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘプチル、(メタ)アクリル酸シクロオクチル、(メタ)アクリル酸3,3,5−トリメチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸シクロペンタジエニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸t−アミル、(メタ)アクリル酸ジプロピルメチル、(メタ)アクリル酸トリプロピルメチル、(メタ)アクリル酸ジイソプロピルメチル、(メタ)アクリル酸トリイソプロピルメチル、(メタ)アクリル酸ジブチルメチル、(メタ)アクリル酸トリブチルメチル、(メタ)アクリル酸ジイソブチルメチル、(メタ)アクリル酸トリイソブチルメチル、(メタ)アクリル酸ジt−ブチルメチル、(メタ)アクリル酸トリt−ブチルメチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノルマルブトキシエチル、(メタ)アクリル酸イソブトキシエチル、(メタ)アクリル酸tーブトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシエチル、(メタ)アクリル酸3−メトキシブチル、「ブレンマーPME−100、200又はAME−100、200」(日本油脂(株)製、商品名)、「ブレンマー50POEP−800B又は50AOEP−800B」(日本油脂(株)製、商品名)、「ブレンマー20ANEP−600」(日本油脂(株)製、商品名)等の(メタ)アクリル酸エステル類;ブタジエン、イソプレン、4−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン等のジエン類;スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン等のモノ又はポリアルキルスチレン等の芳香族ビニル化合物等が挙げられる。
これらの中でも、入手のし易さ、共重合性の面から、(メタ)アクリル酸エステル類が好ましい。更に、これらの中でも、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸イソボルニルの各単量体がより好ましい。
これらの単量体は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、アクリル系重合体を得るための重合方法としては、バルク重合、溶液重合、懸濁重合、乳化重合等のラジカル重合、アニオン重合、グループトランスファー重合(GTP)、配位アニオン重合等の公知の重合方法を採用できる。
アクリル系重合体の製造方法としては、例えば、(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシルと、前述した、水酸基を有する単量体、カルボキシル基を有する単量体、エポキシ基を有する単量体、アジリジニル基を有する単量体、アミノ基を有する単量体、スルホン基を有する単量体並びにイソシアネート基を有する単量体から選ばれた少なくとも1種の単量体、及び必要に応じてその他の単量体を共重合させ、次いで、得られたこの共重合体(a)に、以下に述べる(イ)〜(ニ)によりラジカル重合性不飽和基を導入することで得られる。
(イ)水酸基を有する共重合体の場合には、(メタ)アクリル酸等のカルボキシル基を有する単量体などを縮合反応させる。
(ロ)カルボキシル基、スルホン基を有する共重合体の場合には、前述の水酸基を有する単量体を縮合反応させる。
(ハ)エポキシ基、イソシアネート基又はアジリジニル基を有する共重合体の場合には、前述の水酸基を有する単量体又はカルボキシル基を有する単量体を付加反応させる。
(ニ)水酸基又はカルボキシル基を有する共重合体の場合には、エポキシ基を有する単量体、あるいはイソシアネート基を有する単量体、又はジイソシアネート化合物と水酸基含有アクリル酸エステル単量体との等モル付加物を付加反応させる。
上記の反応は、共重合体(a)を溶剤中に溶解させ、(イ)〜(ニ)で説明される単量体を縮合又は付加反応させるような公知の方法で行うことができる。安定に縮合又は付加反応させるためには、縮合又は付加反応触媒、微量のハイドロキノン等の重合禁止剤を加え、乾燥空気を送りながら行うことが好ましい。
本発明のポリオレフィン用接着剤組成物は、通常の接着剤では充分な接着強度が得られないポリオレフィン系樹脂の接着剤として非常に有用である。
対象となるポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ(4−メチル−1−ペンテン)、環状オレフィン樹脂、エチレン系ランダム共重合体、エチレン系ブロック共重合体、プロピレン系ランダム共重合体、プロピレン系ブロック共重合体等が挙げられる。これらの中でも、本発明のポリオレフィン用接着剤組成物は、ポリプロピレン、プロピレン系ランダム共重合体、プロピレン系ブロック共重合体の接着剤として好ましく用いられる。
エチレン系ランダム共重合体、エチレン系ブロック共重合体は、例えば、エチレン以外のα−オレフィンから誘導される単量体単位、あるいはジエン化合物から誘導される単量体単位を含む。
また、プロピレン系ランダム共重合体、プロピレン系ブロック共重合体は、例えば、プロピレン以外のα−オレフィンから誘導される単量体単位、あるいはジエン化合物から誘導される単量体単位を含む。そのような単量体単位の具体例としては、エチレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ペンテン、1−オクテン、1−デセン等のα−オレフィンから誘導される単量体単位;1,4−ヘキサジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7−メチル−1,6−オクタジエン等の鎖状非共役ジエンから誘導される単量体単位;シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチルテトラヒドロインデン、5−ビニルノルボルネン、5−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノルボルネン等の環状非共役ジエンから誘導される単量体単位;2,3−ジイソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−2,2−ノルボルナジエン等から誘導される単量体単位が挙げられる。このような単量体単位の含有量は、通常は1〜20質量%、好ましくは2〜15質量%である。
本発明のポリオレフィン用接着剤組成物は、ラジカル重合開始剤を含有することが好ましい。ラジカル重合開始剤を含有することで、アクリル系重合体中のラジカル重合性不飽和基とポリオレフィン系樹脂とを反応させることができることから、アクリル系重合体とポリオレフィン系樹脂との良好な密着性を得ることができる。
ラジカル重合開始剤としては、特に限定されるものではないが、有機過酸化物であることが好ましい。有機過酸化物を使用することでポリオレフィン系樹脂上に、アクリル系重合体の側鎖ラジカル重合性不飽和基との反応点を発生させることができる。
有機過酸化物の具体例としては、例えば、2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシピバレート、o−メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t―ブチルハイドロパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド等が挙げられる。これらの中で、ポリオレフィン系樹脂への密着性の観点から、ベンゾイルパーオキサイドが特に好ましい。
ラジカル重合開始剤の含有量は、アクリル系重合体100質量部に対して0.1〜50質量部の範囲内であることが好ましい。ラジカル重合開始剤が少なすぎる、また多すぎると良好な密着性が得られない場合がある。ラジカル重合開始剤の含有量の下限値は、より好ましくは1質量部以上であり、更に好ましくは5質量部以上である。また、上限値は、より好ましくは20質量部以下であり、更に好ましくは15質量部以下である。
本発明のポリオレフィン用接着剤組成物は、作業性を考慮すると溶液であることが好ましい。溶液中のアクリル系重合体の含有量は、10〜60質量%の濃度が好ましい。また、溶剤としては、トルエン、キシレン等の芳香族溶剤、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂環式溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のエステル系溶剤などが使用できる。また、イソプロピルアルコール等のアルコール系溶剤を上記の溶剤に併用することもできる。
本発明のポリオレフィン用接着剤組成物には、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、ブロッキング防止剤、その他の添加剤を加えてもよい。
本発明のポリオレフィン用接着剤組成物は、例えば、印刷を施したポリオレフィン系樹脂からなる基材シートと、該基材シート印刷面の保護のため若しくはエンボス加工により意匠性を高めるために貼り合わせられるポリオレフィン系透明樹脂シートとの接着剤等にも使用でき、その有用性は非常に高い。
次に、本発明を実施例により更に詳細に説明する。尚、実施例において各種評価は以下の方法により実施した。
(1)数平均分子量
GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)(Waters製、GPC150−C)を用い、ポリメタクリル酸メチルをスタンダードとして測定した。
(2)溶剤溶解性
接着剤組成物を、酢酸エチルを用いてポリマー濃度20%となるように希釈した後、25℃の環境下で30日間静置させた。ポリマーの溶解状態を目視により観察し、溶剤溶解性を下記に示す評価にて判定した。
○:無色透明、ポリマー析出なし
×:白濁、もしくはポリマー析出
(3)ポリプロピレン製基材への接着強度
接着剤組成物溶液を、トルエンを用いてポリマー濃度20%となるように希釈した後、図1に示すように、ポリプロピレン製基材(日本ポリケム(株)製、ノバテックPP・TX1810A)の接着面(縦1.26cm×横1.26cm)に20μl塗布し、ポリプロピレン製基材同士を十字になるよう重ね合わせた。500gの荷重下、室温で15分間放置後、80℃に設定した乾燥機で60分乾燥させ、接着試験片を形成した。
上記試験片の接着強度は万能型引張試験機(東洋測器(株))を用い図2に示すように測定した。剥離速度は2mm/minに設定した。
(合成例1)
容量1リットルの冷却管付フラスコに、メチルエチルケトン100質量部を入れ、80℃に昇温した。窒素雰囲気下でアクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル93質量部とメタクリル酸グリシジル7質量部と2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.2質量部の混合物を重合原液とし、これを2時間かけて滴下しながら重合させた。その後、メチルエチルケトン50質量部と2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.4質量部の混合物を加え、更に重合させた。4時間後に重合を完了し、メチルエチルケトン100質量部とハイドロキノンモノメチルエーテル0.5質量部とトリフェニルホスフィン2.5質量部とアクリル酸3.5質量部を加え、空気を吹き込みながら80℃で30時間攪拌した。その後、冷却し、メタノール5000質量部中に投じ、沈殿物をろ過して白色固体を得た。この白色固体をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥し精製し、アクリル系重合体(A−1)を得た。アクリル系重合体(A−1)における単量体の重合率は99.5%以上であり、数平均分子量は68000、二重結合当量は2104g/molであった。
(合成例2〜4)
重合原液を表1に示す値に変更した以外は、合成例1と全く同様に操作してアクリル系重合体(A−2)、(A−3)及び(A−4)を得た。各種評価結果を表1に示す。
(合成例5)
実施例1と同様のフラスコに、アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル100質量部とトルエン100質量部を入れ、窒素バブリングにより雰囲気を窒素置換した。次いで、2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を加えた後、内温が70℃になるまで昇温させ、同温度で6時間保持し重合を完結させた。得られた重合溶液にトルエン100質量部を添加して完全に溶解させた後、メタノール3000質量部中に投じ、沈殿物をろ過して白色固体を得た。この白色固体をメタノールで洗浄した後、減圧乾燥し精製し、アクリル系重合体(A−5)を得た。各種評価結果を表1に示す。
Figure 2007154082
表中の略号は以下の通り
TBCHA:アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル
TBCHMA:メタクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル
GlyMA:メタクリル酸グリシジル
MMA:メタクリル酸メチル
AIBN:2,2−アゾビスイソブチロニトリル
(実施例1〜3並びに比較例1及び3)
アクリル系重合体(A−1)〜(A−4)40質量部とベンゾイルパーオキサイド4質量部をトルエン60質量部に溶解し、接着剤組成物を得た。各種評価結果を表2に示す。
(比較例2)
アクリル系重合体(A−5)40質量部をトルエン60質量部に溶解し、接着剤組成物を得た。各種評価結果を表2に示す。
Figure 2007154082
接着試験片の斜視図である。 接着剥離試験の概略図である。
符号の説明
1:ポリプロピレン製基材
2:接着面
3:固定冶具

Claims (1)

  1. 側鎖にラジカル重合性不飽和基を有し且つ(メタ)アクリル酸4−t−ブチルシクロヘキシル単量体単位を有するアクリル系重合体を含有するポリオレフィン用接着剤組成物。
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