JP7096680B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は吸収性物品に関する。
使い捨ておむつや失禁パッド等の吸収性物品は、一般的にその長手方向に沿う両側部に防漏カフを備え、尿等の排泄液の横漏れを防いでいる。防漏カフを備える吸収性物品として、着用者の身体へのフィット性を良好にする観点から、該防漏カフに備えられた弾性部材の収縮により、該吸収性物品を変形させるものが提案されている。例えば、本出願人は、先に、変形誘導部を有する吸収性コアと一対の立体防漏構造とを備えた吸収性物品であって、該立体防漏構造には、長手方向の前後端部域それぞれに、自由端部が本体に固定された自由端部固定部が形成され、それによって立体防漏構造の起立が阻害された起立阻害部が形成されており、立体防漏構造の長手方向中央における起立可能幅を、起立阻害距離より短くすることが可能な吸収性物品を提案している(特許文献1)。特許文献1に記載の吸収性物品によれば、立体防漏構造が備える弾性部材の収縮により、失禁パッドの自然状態において吸収性コアの立体的な変形が起こる。
特開2015-2765号公報
一方、良好な装着感を得る観点から、吸収体の薄型化が望まれている。しかし薄型化した吸収体は変形しやすく、装着時の作業性の低下を生じることがあり、また、身体へのフィット性に改善の余地があった。
したがって、本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品を提供することにある。
本発明は、着用者の前後方向に対応する縦方向及び該縦方向に直交する横方向を有し、肌対向面を形成する表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート及びこれら両シート間に介在された吸収体を備えた吸収性本体と、該吸収性本体の前記縦方向の両側部に配された防漏カフとを備えた吸収性物品であって、前記吸収性物品は、前記縦方向の中央位置を挟んでその前後に位置する2本の折り線を含む複数の折り線それぞれに沿って肌対向面側に折り返されて前記縦方向に折り畳まれており、前記防漏カフは、前記吸収性物品の前記縦方向における前記2本の折り線間のみに、該縦方向に伸縮する伸縮部を有し、且つ該縦方向における前記2本の折り線それぞれの位置より外方に前記吸収性本体に固定された端部固定部を有しており、前記吸収体は、基材シートと、該基材シートの片面に形成された吸収性コアとを備え、該吸収性コアは、吸水性樹脂と、該吸水性樹脂を前記基材シートに固定する水溶性高分子とを含む、吸収性物品を提供するものである。
本発明の吸収性物品によれば、薄型で装着感に優れると共に、良好な身体へのフィット性及び装着時の作業性が奏される。
図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態である失禁パッドの平面図である。 図2は、図1に示す失禁パッドの使用前の個別包装状態を示す図である。 図3は、図1のI-I線断面を模式的に示す断面図である。 図4は、図3に示す表面シート、吸収体、及び裏面シートの拡大断面図である。 図5は、図1に示す失禁パッドの斜視図である。 図6は、図5に示す失禁パッドにおいて、防漏カフが横方向の内方に向かって湾曲する状態を示す平面図である。 図7は、凹部を有する吸収体を製造する装置を示す斜視図である。 図8(a)は、図2のII-II線断面図である。図8(b)は、本発明の吸収性物品の別の実施形態を示す図8(a)相当図である。
以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい一実施形態である失禁パッド1に基づき図面を参照して説明する。図1には、本実施形態の失禁パッド1を表面シート2側から視た平面図が示されている。図1は、失禁パッド1を、後述する弾性部材16aを伸長させて平面状に拡げた状態を示している。図3には、本実施形態の失禁パッド1の断面図が示されている。
失禁パッド1は、図1に示すように、着用時に着用者の液排泄部(膣口等)に対向配置される排泄部対向部Bと、該排泄部対向部Bよりも着用者の腹側(前側)寄りに配される前方部Aと、該排泄部対向部Bよりも着用者の背側(後側)寄りに配される後方部Cとを有している。失禁パッド1は、着用者の前後方向に対応する縦方向X及び該縦方向Xに直交する横方向Yを有し、縦方向Xに、前方部A、排泄部対向部B及び後方部Cの順番で区分される。着用者の前後方向に対応する縦方向Xは、着用時に、着用者の腹側から股下を通って背側に向かう方向である。また、失禁パッド1は、縦方向Xに延びる中心線CLに対して左右対称に形成されている。縦方向Xとは、中心線CLに平行な方向でもある。
失禁パッド1は、図3に示すように、肌対向面を形成する液透過性の表面シート2、非肌対向面を形成する裏面シート3及びこれら両シート2,3間に介在された吸収体4を備えた吸収性本体10と、該吸収性本体10の横方向Yの両側部に配された一対の防漏カフ15とを備えている。
また、本明細書において、肌対向面は、失禁パッド1又はその構成部材(例えば吸収体4)における、失禁パッド1の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、失禁パッド1又はその構成部材における、失禁パッド1の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。
失禁パッド1は、縦方向Xの中央位置を挟んでその前後に位置する2本の折り線FL1,FL2を含む複数の折り線それぞれに沿って肌対向面側に縦方向Xに折り返されて折り畳まれている。本実施形態において失禁パッド1を縦方向Xに折り返している前記複数の折り線は、前記2本の折り線FL1,FL2のみであり、失禁パッド1は、前記2本の折り線FL1,FL2に沿って肌対向面側に折り返されて三つ折り状態に折り畳まれている。図2に示すように、本実施形態の失禁パッド1は、その使用前の包装状態においては、包装材80によって個別に包装された状態となっている。包装材80は、失禁パッド1の横方向Yの端部からの延出部及び縦方向Xの両端からの延出部を有する縦方向Xに長い矩形状のシートであり、失禁パッド1は、包装材80上に配され、前方部A寄りの第1折り線FL1及び後方部C寄りの折り線FL2で、包装材80と共に肌対向面側に折り曲げられて、三つ折りにされて折り畳まれている。包装材80と共に三つ折りに折り畳まれた失禁パッド1は、その両側縁から横方向Y外方に延出する包装材80の両側部81それぞれをヒートシール等の公知の固定方法により固定して封止すると共に、包装材80の開封開始端を公知のタブテープ85で所定箇所止着することにより、失禁パッド1が包装材80によって個別に包装された失禁パッド1の個装体8となる(図2参照)。
本実施形態の第1折り線FL1及び第2折り線FL2は、失禁パッド1が三つ折りの個装形態に折り畳まれた際に、横方向Yに延びるように生じる。本実施形態において、排泄部対向部Bは、吸収性物品の縦方向Xにおいて2本の折り線FL1,FL2に囲まれた領域となっている。このような縦方向Xにおける2本の折り線FL1,FL2間の領域を、以下、折り線間領域FRともいう。また、折り線FL1,FL2それぞれの位置より縦方向Xの外方側の領域を、以下、外方領域ともいう。本実施形態において、外方領域は、前方部A及び後方部Cとなっている。
第1折り線FL1及び第2折り線FL2は、前方部Aと後方部Cとの縦方向の長さが等しくなる位置に配されていても良く、吸収性物品を縦方向Xにおいて3等分する位置に配されていても良い。
失禁パッド1では、表面シート2は、図1及び図3に示すように、吸収体4の肌対向面の全域を被覆し、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出している。一方、裏面シート3は、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆し、更に吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出して、後述するサイドシート5と共にサイドフラップ部Sを形成している。裏面シート3の非肌対向面には、ショーツ等の下着に固定するための粘着部31が設けられている。裏面シート3とサイドシート5とは、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁からの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。尚、表面シート2及び裏面シート3それぞれと吸収体4との間は接着剤によって接合されていてもよい。
本実施形態の表面シート2は、図3に示すように、肌対向面側に配された第1シート2aと、非肌対向面側に配された第2シート2bとを有する複合シートからなる。表面シート2は、複合シートではなく、1枚のシートからなる単層構造であっても良い。
また、本実施形態の表面シート2は、図3に示すように、肌対向面側、即ち第1シート2aに凹部12b及び凸部12aからなる凹凸領域を有している。第1シート2aの凸部12aと第2シート2bとの間には中空部2cがあり、第1シート2aの凹部12b部分は、第2シート2bと接合されている。
表面シート2は、本実施形態のように凹凸領域を有していても良く、凹凸領域を有さない平坦なものであっても良い。
表面シート2及び裏面シート3の形成材料としては、それぞれ吸収性物品に従来使用されている各種のもの等を特に制限なく用いることができる。
表面シート2として、例えば、尿などの体液を透過し得る液透過性シートであることを前提として、合成繊維又は天然繊維からなる織布や不織布、多孔性シート等を用いることができる。
裏面シート3として、例えば、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布とのラミネートシート等を用いることができる。裏面シート3に関し、液不透過性とは、液難透過性も含む概念であり、裏面シート3が液を全く通さない場合も含まれる。
失禁パッド1では、図1及び図3に示すように、吸収性本体10の肌対向面側における縦方向Xに沿う両側部に一対のサイドシート5が配されている。好適には、サイドシート5は、平面視において、吸収体4の縦方向Xに沿う左右両側部に重なるように、失禁パッド1の縦方向Xの全長に亘って配されている。サイドシート5は、吸収体4よりも横方向Yの外方へ延出しており、その延出部位と、裏面シート3の横方向Yの延出部位とが接合されてサイドフラップ部Sを形成している。
失禁パッド1は、前述のように一対の防漏カフ15を備えている。本実施形態の防漏カフ15は、横方向Y内方側のサイドシート5の一部と、該サイドシート5に伸長状態で固定された1本又は複数本の糸状の弾性部材16aとにより形成される。防漏カフ15は、吸収体4の長手方向に沿う両側縁それぞれの近傍に、接着剤等の接合手段によって表面シート2に固定された固定部5aを有し、該固定部5aの横方向Y内側の端部が、防漏カフ15の固定端15bとなっている。防漏カフ15は、固定端15bと自由端15aとの間が、着用中に起立することにより、尿等の排泄液の横漏れを防止するようになっている。防漏カフ15は、自由端15aと固定端15bとの間に伸縮部16を有している。伸縮部16は、サイドシート5に伸長状態で固定された弾性部材16aによって縦方向Xに伸縮する部分であり、縦方向Xにおける2本の折り線FL1,FL2間に位置する折り線間領域FRに形成されている。即ち、防漏カフ15は、失禁パッド1の縦方向Xの中央を挟む2本の折り線FL1,FL2間のみに伸縮性を有している。また、防漏カフ15は、折り曲げ部15dから自由端15a側が外向きに折り返されて形成された折り返し部15cを有している。折り曲げ部15dは、失禁パッド1の横方向Yにおいて、防漏カフ15の固定端15bの位置又は該固定端15bの位置より内側に位置する。防漏カフ15は、折り曲げ部15dを起点に外向きに折り返されており、それによって折り返し部15cが形成されている。なお、防漏カフ15の縦方向において、弾性部材16aが縦方向Xに沿って配されていても、該弾性部材16aが伸縮性を発現しない状態で配されている部分は、伸縮部16に該当しない。
防漏カフ15は、図1に示すように、2本の折り線FL1,FL2それぞれの位置より外方に、防漏カフ15が吸収性本体10に固定された端部固定部17を有している。本実施形態の防漏カフ15は、前方部A及び後方部Cの縦方向Xの外方側端部部分、より具体的には吸収体4から縦方向Xの外方に延出した部分が、端部固定部17によって吸収性本体10に固定されている。また、防漏カフ15は、端部固定部17間に縦方向Xに沿って位置する固定部5aにおいては、図3に示すように、防漏カフ15の表面シートと対向する面が表面シート2に固定されている。
本実施形態における防漏カフ15は、失禁パッドが前記三つ折り状態から展開された状態(図1及び図5参照)では、伸縮部16の収縮によって、端部固定部17間の折り返し部15cが着用者の身体側に向けて起立する。防漏カフ15が着用中に起立することにより、尿等の排泄液の横漏れを防止する。
サイドシート5としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、液不透過性又は撥水性の不織布や樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体等を用いることができる。
失禁パッド1では、表面シート2及び裏面シート3は、吸収体4の縦方向Xの前端及び後端それぞれから縦方向Xの外方に延出し、それらの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって、互いに接合されている。具体的には、表面シート2及び裏面シート3は、図1に示すように、縦方向Xの前端側及び後端側の延出部において、接合部(不図示)により接合されている。
本実施形態における吸収体4は、図1に示すように平面視して、角が丸みを帯びた略矩形形状であり、前方部Aから排泄部対向部Bを経て後方部Cに亘って延びている。
本実施形態の吸収体4は、図3に示すように、基材シート20と、該基材シート20の片面に形成された吸収性コア14とを備えている。本実施形態の吸収体4は、吸収性コア14がパルプ繊維を含有していないため、パルプ繊維を含有した吸収性コアを具備する吸収体に比して、厚みが薄い。
本実施形態における吸収性コア14は、図4に示すように、吸水性樹脂43と、該吸水性樹脂43を基材シート20に固定する水溶性高分子47とを含んでいる。吸収性コア14は、吸水性樹脂43が、水溶性高分子47と結合して、基材シート20に固定されている。
基材シート20としては、吸収性コア14を保持し得る材料のものが用いられ、液透過性シートであってもよく、液不透過性シート又は液難透過性シートであってもよい。基材シート20は、例えば不織布、紙、織布、及びフィルムなどから構成することができる。これらの2種以上の材料の積層体を基材シートとして用いてもよい。尿等の排泄液を平面方向に拡散させる観点からは、基材シートは液透過性の繊維シートからなることが好ましい。
不織布としては、各種の製造方法で得られるものを特に制限なく用いることができる。不織布の例としては、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、メルトブローン不織布、ニードルパンチ不織布及びレジンボンド不織布などが挙げられる。これらの不織布は、それぞれ単独で用いることができ、あるいは2種以上の不織布の積層体の形態で用いることもできる。
織布としては、種々の繊維組織を有するものを用いることができる。紙としては、抄紙可能な繊維を原料とし、湿式抄紙法又は乾式抄紙法によって得られたものを用いることができる。フィルムとしては、例えばTダイ法やインフレーション法によって成形され、一軸又は二軸延伸されて得られたものを用いることができる。
基材シート20を構成する前記の各種の材料は、例えば各種の熱可塑性樹脂などの合成高分子材料や、パルプ等のセルロースなどの天然高分子材料を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル繊維、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸エステル等のポリアクリル酸系繊維、ポリスチレンやポリ塩化ビニル等のビニル系繊維などを用いることができる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、あるいは2種以上をブレンドして用いてもよい。これらの樹脂から繊維を形成する場合には、単一樹脂の繊維を形成してもよく、あるいは芯鞘型やサイドバイサイド型の複合繊維を形成してもよい。
基材シート20は、吸収体4の保形性の観点から、その坪量が10g/m以上であることが好ましく、15g/m以上であることが更に好ましく、20g/m以上であることが一層好ましい。また基材シート20は、吸収体4の薄さ及び柔軟性の観点から、70g/m以下であることが好ましく、65g/m以下であることが更に好ましく、60g/m以下であることが一層好ましい。具体的には、基材シートは、その坪量が10g/m以上70g/m以下であることが好ましく、15g/m以上65g/m以下であることが更に好ましく、20g/m以上60g/m以下であることが一層好ましい。
基材シート20の片面20aには吸収性コア14が形成されている。吸収性コア14は、基材シート20と直接に接した状態で該基材シート20上に位置していてもよく、あるいは、基材シート20と吸収性コア14との間に1又は2以上の部材や層が介在した状態で、基材シート20と吸収性コア14とが間接的に隣接していてもよいが、吸収性物品の薄型化の観点から、基材シート20と吸収性コア14との間には他の部材を介在させないことが好ましい。
本実施形態の吸収性コア14は、吸水性樹脂43と、該吸水性樹脂43を基材シート20に固定する水溶性高分子47とを含んでいる。水溶性高分子47の「水溶性」とは、25℃の水100gに対する溶解度が0.5g以上であることを意味する。
前記溶解度の測定方法は以下の通りである。100mLのガラスビーカー(5mmΦ)に対象物を所定量、25℃の50mLイオン交換水に添加混合し、長さ20mm、幅7mmのスターラーチップを入れ、アズワン株式会社製マグネチックスターラーHPS-100を用いて600rpm撹拌する。添加した対象物の全量が24時間以内に水に溶解するか否かを確認する。斯かる一連の作業を、評価対象物の総重量(前記ビーカーへの投入量)が異なる複数のサンプルについて行い、評価対象物の全量が溶解した複数のサンプルのうち、その溶解量が最大であったサンプルにおける評価対象物の総重量の2倍の値を、前記溶解度とする。前記溶解度は、好ましくは1g以上、更に好ましくは5g以上、一層好ましくは10g以上である。
吸収性物品の薄型化を容易とする観点から、本発明の吸収性物品において、吸収性コア14は繊維材料を非含有であることが好ましい。
水溶性高分子47として、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、デキストリン、ポリエチレンオキシド、水溶性ナイロンなどが挙げられ、これらの中でも、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール及びデキストリンから選ばれる1種以上が好ましい。水溶性高分子47は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、水溶性高分子のうち、特に水溶性、及び吸水性樹脂43の基材シート20への固定の観点から、ポリビニルピロリドン、中でもK-15、K-30、K-60又はK-90のグレードのポリビニルピロリドンを用いることが好ましい。
吸水性樹脂43は、水との接触によって膨潤して水を吸収保持し得る材料からなる。
吸水性樹脂43は、自重の20倍以上の水を吸収して保持できるものであることが好ましい。また、吸水性樹脂43は、対象物が尿であれば自重の20倍以上、特に30倍以上を吸収して保持できるものが好ましく、血液であれば1倍以上、好ましくは3倍以上を吸収・保持できるものが好ましい。吸水性樹脂43における水の吸収・保持の上限値に特に制限はないが、自重の1000倍を上限の目安とすることができる。
吸水性樹脂43としては、例えば、各種のヒドロゲル材料、例えばアクリル酸若しくはアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体の架橋物、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体の架橋物、デンプン又はカルボキシメチル化セルロースの架橋物、デンプン-アクリル酸塩グラフト共重合体の加水分解生成物の架橋物、ビニルアルコール-アクリル酸塩共重合体の架橋物、無水マレイン酸グラフトポリビニルアルコールの架橋物、架橋イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体のケン化物等を用いることができる。
吸水性樹脂43の形状は特に制限されず、球状、塊状、俵状又は不定形であっても良く、繊維状のものでもよい。
薄型の吸収性コアを具備する吸収性物品は、剛性が低く、防漏カフの伸縮部の収縮力が吸収性物品全体に影響し、吸収性物品全体が変形する。伸縮部は、一般的に防漏カフの自由端を起立させるためのものであるが、該自由端は固定端の拘束を受けるため、横方向Yの内方側に向かって斜めに起立する。即ち、伸縮部を横方向Yの内方側に向かわせる力が生じる。この力は、薄型の吸収体を備えていることによって一層顕著に現れる。実際に防漏カフは内方側に向かって偏る(図6参照)。
本発明の吸収性物品は、薄型の吸収体を備え、縦方向Xの中央位置を挟んでその前後に位置する2本の折り線FL1,FL2間、即ち折り線間領域FRに伸縮部16を有し、該2本の折り線FL1,FL2より外方に端部固定部17を有しているため、前述の伸縮部を横方向Yの内方側に向かわせる力が、防漏カフの固定端等の伸縮部以外の部分を介して、縦方向X及び横方向Yに伝達する。その結果、縦方向Xについてみると、吸収性物品は縦方向Xの断面視で全体が凹形状となる。また、横方向Yについてみると、伸縮部を横方向Yの内方側に向かわせる力の影響で、吸収性物品は、伸縮部16が存在する領域が、横方向Yの断面視で凹形状となる。この横方向Yの断面視で凹形状となる力は伸縮部16の存在しない外方領域まで伝達しにくく、該外方領域は横方向の断面視で凹形状になりにくい。即ち、本発明の吸収性物品は、横方向Yの断面視で、折り線間領域FRの前後にある外方領域(本実施形態の前方部A及び後方部C)はほぼ平坦であり、折り線間領域FR(本実施形態の排泄部対向部B)は凹形状である一方、縦方向Xの断面視で、物品全体として断面形状が凹である。装着時に折り畳まれた状態から展開した後、このような形状が実現されていると、吸収性物品を着用者の腹部から股間部、臀部にかけて当接させ易く、装着時の作業性に優れる。また、装着中も好ましい形状が安定的に維持されることでフィット性に優れる。
一方、薄型の吸収体を備えたとしても、従来の吸収性物品のように、伸縮部が前記2本の折り線を超えて存在すると、物品全体として縦方向Xの断面視形状が凹形状となると共に、外方領域の横方向Yの断面視形状が凹形状となる。これにより、外方領域の形状が着用者の身体に沿わない形状に歪んでしまい、装着時の違和感や物品の身体からの浮きにつながる可能性がある。このような場合は、装着の作業性やフィット性が低下しやすい。また、伸縮部16及び端部固定部17が2本の折り線FL1,FL2間にあると、端部固定部17を介して2本の折り線FL1,FL2間の内方に向かう力が外方領域にも伝わり、やはり物品全体として歪んだ形状となってしまい、同様の不都合が発生しやすい。
着用者の液排泄部へのフィット性をより高める観点から、伸縮部16の縦方向Xの長さL16は、伸縮部16が2本の折り線FL1,FL2の内方に位置することを前提として、失禁パッド1の縦方向Xの長さLに対して、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、また好ましくは50%以下、より好ましくは45%以下、また好ましくは20%以上50%以下、より好ましくは30%以上45%以下である。
また、伸縮部16の縦方向Xの長さL16は、好ましくは20mm以上、より好ましくは30mm以上であり、また好ましくは180mm以下、より好ましくは150mm以下であり、また好ましくは20mm以上180mm以下、より好ましくは30mm以上150mm以下である。
なお、特に言及しない限り、本明細書に記載の距離や寸法は、吸収性物品を平面状に拡げた状態において測定する。
着用者の腹部又は臀部へのフィット性をより高める観点から、前方部A及び後方部Cの縦方向Xの長さL10,L11はそれぞれ、排泄部対向部Bの縦方向Xの長さL13に対して、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上、また好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、また好ましくは50%以上90%以下、より好ましくは60%以上80%以下である。
本実施形態の吸収性コア14は、図3に示すように、失禁パッド1の縦方向Xにおける2本の折り線FL1,FL2間に位置する部分の横方向Yにおいて、防漏カフ15の固定端15bの位置より横方向Yの外方に延出した部分を有している。
以下、吸収性コア14において、防漏カフ15の固定端15bの位置よりも横方向Yの外側に位置する部分をサイド吸収部14Sともいい、防漏カフ15の固定端15bの位置よりも横方向Yの内側に位置する部分を中央吸収部14Cともいう。
本実施形態の吸収性コア14においては、サイド吸収部14Sの坪量が、中央吸収部14Cの坪量に比して低い。斯かる構成を有すると、横方向Yへの収縮力が発生する排泄部対向部Bにおける吸収体の剛性が低下し、横方向Yの断面において凹状に湾曲しやすくなるという効果が奏される。斯かる効果は、吸収性コア14における、防漏カフの固定端15bの位置より外側に吸収性コアが存在しない場合にも同様に奏される。但し、吸収体の横方向Yへの剛性を確保する観点から、吸収性コア14は、固定端15bの位置より外方に延出するサイド吸収部14Sを有し、サイド吸収部14Sの坪量が、中央吸収部14Cの坪量に比して低いことがより好ましい。
サイド吸収部14Sの坪量を中央吸収部14Cの坪量より低くして、前述の横方向Yの吸収体剛性の低下の効果を向上させる観点から、サイド吸収部14Sの坪量は、中央吸収部14Cの坪量に対して、好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上であり、また好ましくは50%以下、より好ましくは40%以下であり、また好ましくは20%以上50%以下、より好ましくは30%以上40%以下である。
吸収性物品を薄型化すると共に、吸収性能を担保する観点から、中央吸収部14Cの坪量は、好ましくは70g/m以上、より好ましくは150g/m以上であり、また好ましくは700g/m以下、より好ましくは650g/m以下であり、また好ましくは70g/m以上650g/m以下、より好ましくは150g/m以上650g/m以下である。
本明細書において、吸収性物品からその構成部材(例えば吸収体)を取り出し、該構成部材を評価測定等する場合において、その構成部材が、接着剤、融着などによって他の構成部材に固定されている場合には、その固定部分を、溶剤の塗布、ドライヤーによる熱風吹き付け、コールドスプレー(例えばニチバン株式会社製の市販品)の吹き付けなどによって除去してから取り出す。
また、吸収性コア14の重量を測定する場合は、乾燥状態の吸収体4の重量を測定しておき、吸収体4を水に浸漬させる。浸漬させた吸収体4から撹拌などによって吸収性コアをはがしたら、基材シートを乾燥させ、乾燥状態の吸収体4の重量から基材シートの重量を差し引き、これを吸収性コアの重量とする。
吸収性物品を薄型化する観点から、吸収体4の厚みD1(図4参照)は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.3mm以上であり、また好ましくは2mm以下、より好ましくは1.5mm以下である。吸収体4の厚みD1は、吸収前の吸収体4の最大厚みである。
また、吸収前の吸収性コア14の厚みD3(図4参照)は、吸収体4の厚みD1(図4参照)に対して、好ましくは50%以上、より好ましくは65%以上、また好ましくは90%以下、より好ましくは80%以下、また好ましくは50%以上90%以下、より好ましくは65%以上80%以下である。
吸収体4の厚みD1、及び吸収性コア14の厚みD3は以下の方法で測定される。先ず、測定対象の吸収体4を水平な場所にシワや折れ曲がりがないように置き、5cN/cmの荷重下での厚みを測定する。具体的には、厚みの測定に、例えば、厚み計(尾崎製作所社製、PEACOCK DIAL UPRIGHT GAUGE SR5-C)を用いる。このとき、厚み計の先端部と測定対象物との間に、荷重が5cN/cmとなるように大きさを調整した平面視円形状又は正方形状のプレート(厚さ5mm程度のアクリル板)を配置して、厚みを測定する。この方法により、吸収体4の厚みD1と基材シート20の厚みを測定し、その差分値を吸収性コア14の厚みとする。
本実施形態における吸収体4は、図3に示すように、基材シート20の片面に、吸収性コア14が形成されている。
吸収性物品の中には吸収性コアがティッシュペーパーや不織布等のコアラップシートで被覆されたものがあるが、吸収性物品をより薄型化する観点から、吸収体4は、基材シート20の吸収性コア14が形成された面が別体のシートによって被覆されていないことが好ましい。
失禁パッド1において吸収体4は、図3に示すように、基材シート20の吸収性コアが形成されていない面が肌対向面側に向き、吸収性コア14が形成された面が非肌対向面側に向いた状態で配されている。斯かる構成により、折り線FL1,FL2の位置にて吸収性物品を容易に折り曲げることができ、フィット性をより向上させることができる。また、基材シート20が吸収性コア14より肌対向面側にある構成とすることで、逆の構成である場合に比して、液の拡散性が高く、且つ一旦吸収された尿等の排泄液が着用者の肌側に移行する、いわゆる液戻りが生じ難い。さらに、着用時の肌触りを良好にする。このように吸収体4は、基材シート20の吸収性コア14が形成された面が裏面シート3側に向いていることが好ましい。
本実施形態の失禁パッド1は、図3に示すように、表面シート2と吸収体4の基材シート20とが隣接している。吸収体4と共に吸収性物品をより曲げ易くして、フィット性を高める観点から、吸収体4の肌対向面が、表面シート2の非肌対向面と接着していることが好ましい。このような構成とすることで、排泄液を表面シート2から吸収体4へ移行させやすくすることができる。表面シート2と吸収体4とは、吸収体4の肌対向面、又は表面シート2の非肌対向面に接着剤を塗工することにより、接着させることができる。
本実施形態における吸収体4は、図3に示すように、基材シート20の片面に、吸収性コア14が平面状に連続して形成されており、その表面が平坦であるが、吸収性コア14は、その表面が平坦でなくても良く、また平面状に連続して形成されていなくとも良い。例えば、吸収性コア14に、相対的に吸収性コア14の形成材料が少ない断面視凹状の部分、即ち凹部が形成されていても良い。なお、前記断面視の「断面」は、吸収体4の厚み方向に沿う断面である。
前記凹部は、吸収性コア14において、吸収性コア14の形成材料が存在しない部分、もしくは他の部分に比して相対的に低坪量である部分である。凹部を有することによって該凹部が屈曲点となり、吸収体をより柔軟に変形させることができる。吸収性コア14は、複数の凹部を有していても良い。
また、吸収性コア14を横方向Yに湾曲しやすくする観点から、凹部は縦方向Xに延びていることが好ましい。特に凹部を防漏カフの固定端15b付近に配置することで、吸収性コア14が横方向Yの断面において凹状に湾曲しやすくなるという効果が奏される。これと同様の効果を奏させる観点から、中央吸収部14Cとサイド吸収部14Sとの間に凹部を有していても良い。この場合、凹部は、サイド吸収部14Sに比して坪量が低い。
さらに、縦方向Xに延びる複数の凹部を横方向Yに間欠的に配置すると、吸収性コア14が横方向Yに容易に湾曲するため、吸収体の柔軟性が向上する。
凹部を有する吸収性コア14は、後述する製造方法により得られる。
吸収性コア14の薄型化と吸収性確保の観点から、吸水性樹脂43は、レーザー回折式粒度分布法で測定した累積体積50%での粒径D50、即ちメジアン径が、好ましくは150μm以上、より好ましくは180μm以上であり、また好ましくは500μm以下、より好ましくは400μm以下であり、また好ましくは150μm以上500μm以下、より好ましくは180μm以上400μm以下である。
吸水性樹脂43のメジアン径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA-920、堀場製作所社製)を用いて、下記の測定条件にて測定することができる。
測定方法:フロー法
分散媒:エタノール/蒸留水=90/10wt%
分散方法:攪拌、内蔵超音波3分
試料濃度:0.1%
排泄液の吸収後も装着感を良好に維持する観点から、吸収性コア14中の吸水性樹脂43に対する水溶性高分子47の比率は、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.3%以上であり、また好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下であり、また好ましくは0.1%以上5%以下、より好ましくは0.3%以上4%以下である。なお、「吸水性樹脂43に対する水溶性高分子47の比率」は、吸収性コア14中に含まれる吸水性樹脂43の質量を分母とし、水溶性高分子47の質量を分子として算出される比率のことである。
また、吸収性コア14における水溶性高分子47の含有量は、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、また好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下であり、また好ましくは0.05質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上8質量%以下含まれている。
吸収性コア14は、吸水性樹脂43及び水溶性高分子47以外の他の構成材料を含んでいても良い。例えば、消臭剤、香料、可塑剤、多価アルコール等を含んでいても良い。
また吸収性コアには、以上の成分に加え、必要に応じて該吸収性コアの各種の性能を向上させ得る成分を含有させることもできる。そのような成分としては、例えば増粘剤、pH調整剤などが挙げられる。
吸収体4の面積に占める吸収性コア14の割合は、吸収体4の吸収能力及び拡散性を十分に高める観点から、好ましくは50面積%以上、より好ましくは60面積%以上、更に好ましくは70面積%以上であり、また100面積%以下、好ましくは95面積%以下、より好ましくは90面積%以下であり、また好ましくは50面積%以上100面積%以下、より好ましくは60面積%以上95面積%以下、更に好ましくは70面積%以上90面積%以下である。なお、「吸収体4の面積」及び「吸収性コア14の面積」とは、基材シート20上に吸収性コア14が設けられた側の面におけるそれぞれの面積のことである。吸収体4の面積に占める吸収性コア14の割合が100面積%であるとは、吸収性コア14が基材シート20の全面に配されていることである。
以上の説明は、吸収性コア14が基本的に単層のものである場合についてのものであったが、本発明においては、吸収性コア14は、同じ組成を有するか、又は、異なる組成を有する2層以上の積層構造部分を有するものであってもよい。
本実施形態における吸収体4は、基材シート20の片面に吸水性樹脂43及び水溶性高分子47を含む組成物を塗工して形成されたものである。以下、吸水性樹脂43及び水溶性高分子47を含む組成物を単に組成物60ともいう。図7には、組成物60を塗工して吸収性コア14を形成して吸収体4を製造する製造方法に好適な装置50が示されている。装置50は、組成物60の供給部51と、組成物60の塗布部53と、組成物60の乾燥部55とを備えている。
供給部51は、組成物60の貯蔵タンク51aを備えている。タンク51a内には組成物60が蓄えられている。タンク51a内の組成物60は、撹拌翼51bによって撹拌されて均一化されている。撹拌翼51bは、シャフト51cを介してモータ等の回転駆動源51dに接続されている。タンク51aの底部には管路52の一端が接続されている。管路52の他端は塗布部53に接続されている。
塗布部53は、長尺状の基材シート20の連続体20Sの片面に組成物60を塗工する塗工ヘッド54を備えている。以下、基材シート20の連続体20Sを単に「連続体20S」ともいう。塗工ヘッド54は、管路52を介して供給部51から供給された組成物60を、一方向D、即ち連続体20Sの搬送方向Dに沿って連続的に塗布する。また、図7に示す塗布部53は、搬送方向Dに沿って、組成物60を塗布しない部分を形成する。具体的には、塗工ヘッド54は、連続体20Sの両側部域20b,20b間の領域に、組成物60を平面状に塗布した湿潤状態の塗布体63と、組成物60が塗布されない搬送方向Dに延びる非塗工部64とを形成する。このような塗工ヘッド54として、組成物60のような流動体の塗布が可能なものが用いられ、例えばダイコータなどが挙げられるが、これに限られない。
このように、塗工ヘッド54は、基材シート20上に、組成物60の非塗工部64を部分的に形成するように、組成物60を塗工して塗布体63を形成しても良い。
また、図7に示すように、塗工ヘッド54は、基材シート20上に、前述の中央吸収部14Cに対応する中央塗布体63Cと、前述のサイド吸収部14Sに対応するサイド塗布体63Sとを形成しても良い。例えば、連続体20Sの搬送方向Dと直交する直交方向Eにおける基材シート20の中央に中央塗布体63Cを、該中央塗布体63Cの両側にサイド塗布体63Sを形成しても良い。この場合、中央吸収部14Cとサイド吸収部14Sとの坪量が、前述の関係となるよう、中央塗布体63Cとサイド塗布体63Sとの組成物60の坪量を異ならせるよう、組成物60を塗工する。
連続体20Sの搬送方向Dにおいて、塗布部53の下流には乾燥部55が配置されている。乾燥部55は、塗布部53によって形成された塗布体63を乾燥させて揮発成分を除去し、塗布体63の乾燥体である吸収性コア14を連続体20S(基材シート20)に固定させる。乾燥部55は、湿潤状態の塗布体63から揮発成分を除去し得る装置であり、その例として、赤外線の放射装置や、加熱された熱風の吹出装置などが挙げられるが、これらに限られない。
上述の装置50により、連続体20Sの片面、即ち基材シート20の片面に吸収性コア14が形成された吸収体4の連続体4Sが得られる。また、前述の非塗工部64は、吸収性コア14の形成材料が存在しない部分となり、前述の凹部となる。装置50は、中央塗布体63Cとサイド塗布体63Sとの間に非塗工部64を形成することで、中央吸収部14Cとサイド吸収部14Sとの間に凹部を有する吸収体4の連続体を形成することができる。この吸収体4の連続体は、必要に応じて後加工に付される。後加工としては、例えば吸収体4の連続体4Sをその長手方向にわたって裁断して毎葉の吸収体4に加工する工程や、吸収体4の連続体4Sを、吸収性物品等の最終製品に組み込む工程や吸収体4の連続体4Sを巻き取って原反化する工程が挙げられる。
以上の方法によれば、組成物60を基材シート20の片面に塗布するだけの単純なプロセスで目的とする吸収性コア14及び吸収体4を得ることができる。また、以上の方法によれば、吸収性コア14の厚みや坪量を高精度に制御することができる。これにより、吸収性コア14の坪量や厚みに局所的なばらつきが生じ難くすることができ、吸収体4は安定した吸収性能を発現し得る。また、基材シート20上の広い領域で任意に吸収性コアの坪量を変更することができる。さらに、組成物60を薄く塗工することにより吸収性コア14を極めて薄く形成することも可能である。
以上の効果を一層顕著なものとする観点から、組成物60は、上述した吸水性樹脂43や水溶性高分子47等の吸収性コア14の構成材料を、溶媒に分散又は溶解させたものであることが好ましい。組成物60には、吸水性樹脂43を膨潤させない程度水を含有してもよいが、吸水性樹脂43が吸水及び膨潤することを防ぐ観点から、組成物60は水を非含有であることが好ましい。水を非含有とは、組成物60中に意図的に有意な量の水を添加すること排除する趣旨である。したがって原料等の不純物として不可避的に混入する微量の水や、大気中から不可避的に混入する微量の水の存在は許容される。
組成物60中に含まれる吸水性樹脂43や水溶性高分子47等の構成材料の割合は、該構成材料を溶媒に分散させる場合、吸収性コア14中の吸水性樹脂43や水溶性高分子47が前述の割合となるよう調整することが好ましい。また、組成物60はパルプ繊維等の繊維材料を非含有であることが好ましい。
組成物60に含まれる溶媒としては非水溶媒が好適に用いられる。そのような非水溶媒としては、例えばエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸ブチルなどが挙げられる。これらの非水溶媒は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの非水溶媒のうち、入手容易性や汎用性、安全性の点からエタノールを用いることが好ましい。
組成物60に占める非水溶媒の割合は、組成物60の塗工を容易とする観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、一層好ましくは40質量%以上であり、また好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下、一層好ましくは60質量%以下であり、また好ましくは30質量%以上70質量%以下、より好ましくは35質量%以上65質量%以下、一層好ましくは40質量%以上60質量%以下である。
前述の凹部を有する吸収性コア14は、例えば塗布部53が2台以上の塗工ヘッド54を有する装置を用いても形成することができる。この装置では、基材シート20の搬送方向Dに沿って2台の塗工ヘッド54が直列に並べられており、上流の塗工ヘッド54により形成された第1塗布体の上に、下流の塗工ヘッド54により第2塗布体を形成する。このとき、第1塗布体の上には、組成物60の塗工部と非塗工部とを部分的に有するよう、第2塗布体を形成する。前記非塗工部が吸収性コア14の凹部となる。第1塗布体及び第2塗布体を乾燥させると、前記凹部として低坪量の部分を有する吸収性コア14が形成される。凹部として低坪量部の部分を有する吸収性コア14は、一台の塗工ヘッド54で凹部を形成するように、組成物60の吐出量を調整しながら組成物60を吐出する装置を用いても形成することができる。
吸収体を製造する装置が、複数台の塗工ヘッドを備える場合、該塗工ヘッドそれぞれが異なる種類の組成物60を塗布することにより、異なる組成を有する吸収性コアを形成することができる。また、上述したのと同様な方法で、異なる組成を有する2層以上の複数の層が積層された積層構造を有する吸収性コア14を形成することができる。また、一台の塗工ヘッド54で複数の層が積層された積層構造を形成するように組成物60を吐出してもよい。
失禁パッド1は、上述の構成を有する失禁パッドが得られる任意の製造方法によって製造することができる。例えば、以下の方法により製造可能である。先ず、サイドシート5の帯状シートを連続搬送させながら、2本の折り線FL1,FL2間に対応する領域に接着剤を塗工した上で、該帯状シート上に伸張状態の弾性部材16aを合流させ、該接着剤を介して弾性部材16aを部分的に該帯状シート上に固定させる。弾性部材16aが固定された帯状シートを、表面シート2の連続シートの両側に、前述の外方領域と対応する位置で固定して、表面シート2の連続シートの両側に防漏カフ15の連続シートを接合した連続複合材を得る。次いで、その連続複合材と、裏面シート3の連続シートとを、両シート間に、上述の吸収体の製造方法により得られた吸収体の連続体4Sを失禁パッド1個分の長さに切断した短尺の吸収体4を挟みこんだ状態に接合した後、該吸収体4のない箇所で順次切断して、個々の失禁パッドを製造する。個々の失禁パッドを個装シートと合流させ、2本の折り線L1,FL2で個装シートごと折り、シールと共に折り、シールやタブテープの取付を行う。防漏カフ15の2本の折り線FL1,FL2より外方の非伸縮部においては、弾性部材が存在しないか、弾性部材が存在しても該弾性部材の伸張状態を解除され伸縮性を発現しないことが好ましい。
以上、本発明について説明したが、本発明は前述した実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本発明の吸収性物品は、失禁パッドの他、使い捨ておむつや生理用ナプキン等であっても良い。上述した効果をより確実に奏させる観点から、本発明の吸収性物品は、防漏カフの伸縮部を形成する弾性部材以外の弾性部材であって、装着時に脚周りに配されるものを具備しない吸収性物品であることが好ましい。
また、上述した実施形態の吸収性コア14は、中央吸収部14Cとサイド吸収部14Sとを有していたが、吸収性コア14は、吸収性コア全体が均一な坪量であっても良い。
図8(a)に、前述した実施形態における吸収性物品の個装体の断面図を示す。また、図8(b)に別の実施形態における吸収性物品の図8(a)相当図を示す。
前述した実施形態において吸収性物品は、該吸収性物品を縦方向Xに折り返している複数の折り線として、縦方向Xの中央位置を挟んでその前後に位置する2本の折り線FL1,FL2のみを有していたが、本発明の吸収性物品は、該2本の折り線FL1,FL2以外の折り線を有していてもよい。2本の折り線FL1,FL2のみを有する場合、吸収性物品は、使用前の包装状態において図8(a)に示すように、該2本の折り線FL1,FL2に沿って折り返されて三つ折り状態に折り畳まれている。2本の折り線FL1,FL2とそれ以外の折り線とを有する場合、例えば前記2本の折り線に加えて他の折り線FL3を1本有する場合、吸収性物品は、使用前の包装状態において図8(b)に示すように4つ折り状態に折り畳まれている。
1 失禁パッド
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
5 サイドシート
6 圧搾溝
10 吸収性本体
20 基材シート
20S 連続体
14 吸収性コア
15 防漏カフ
16 伸縮部
17 端部固定部
43 吸水性樹脂
47 水溶性高分子
50 装置
51 供給部
51a タンク
51b 撹拌翼
51c シャフト
51d 回転駆動源
52 管路
53 塗布部
54 塗工ヘッド
55 乾燥部
60 組成物
63 塗布体

Claims (5)

  1. 着用者の前後方向に対応する縦方向及び該縦方向に直交する横方向を有し、肌対向面を形成する表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート及びこれら両シート間に介在された吸収体を備えた吸収性本体と、該吸収性本体の前記縦方向の両側部に配された防漏カフとを備えた吸収性物品であって、
    前記吸収性物品は、前記縦方向の中央位置を挟んでその前後に位置する2本の折り線を含む複数の折り線それぞれに沿って肌対向面側に折り返されて前記縦方向に折り畳まれており、
    前記防漏カフは、前記吸収性物品の前記縦方向における前記2本の折り線間のみに、該縦方向に伸縮する伸縮部を有しており、
    前記防漏カフは、前記縦方向における前記2本の折り線それぞれの位置より外方側に離間した位置のみに、前記吸収性本体に固定された端部固定部を有しており、
    前記吸収体は、基材シートと、該基材シートの片面に形成された吸収性コアとを備え、該吸収性コアは、吸水性樹脂と、該吸水性樹脂を前記基材シートに固定する水溶性高分子とを含み、
    前記吸収体の厚みが0.1mm以上2mm以下である、吸収性物品。
  2. 前記吸収性物品を前記縦方向に折り返している前記複数の折り線が、前記2本の折り線のみであり、
    前記吸収性物品が三つ折り状態に折り畳まれている、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記吸収性コアは、前記吸収性物品の横方向における前記防漏カフの固定端の位置より外側の部分が、該固定端の位置より内側の部分に比して坪量が低いか、又は該防漏カフの固定端の位置より外側に吸収性コアが存在しない、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記吸収体は、前記基材シートの前記吸収性コアが形成された面が別体のシートによって被覆されていない、請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記吸収体は、前記基材シートの前記吸収性コアが形成された面が前記裏面シート側に向いている、請求項1~4の何れか1項に記載の吸収性物品。
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