JP7157530B2 - 吸収性物品 - Google Patents

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Description

本発明は吸収性物品に関する。
使い捨ておむつや失禁パッド等の吸収性物品に用いられる吸収体として、パルプ繊維と吸水性樹脂とを含む吸収体が知られているが、パルプ繊維を含む吸収体は、嵩高く厚みが大きいものであることから、吸収体の薄型化が提案されている。例えば、特許文献1には、基材層、該基材層によって支持される吸収性ポリマー粒子、該基材層に前記吸収性ポリマー粒子を固定する熱可塑性接着剤材料、吸収性ポリマー粒子及び熱可塑性接着剤材料と接触する油捕捉剤成分を含む、吸収性構造体が記載されている。
また、本出願人は、JIS K 7223に準拠した遠心保持量が20g/g以下の吸水性樹脂が、嵩高性のセルロース繊維を含む2枚のシートに挟まれ、且つ水溶性バインダーを介して該シートに固着している吸収体を具備しており、所定の手順に従って血液が注入され水洗いされた後の該血液によって赤色に染まった赤色部分の赤色度合いa*値が0以下である、生理用ナプキンを提案している(特許文献2)。
特許第5784829号公報 特許第5508747号公報
特許文献1に記載の吸収性構造体は、吸収性ポリマーの吸収能が熱可塑性接着剤材料によって低下する上に、尿等の排泄液を吸収した吸収性ポリマーが膨張することで厚みが増し、装着感が悪化することがあった。
特許文献2に記載の生理用ナプキンは、吸収体がパルプ繊維を含んでいないことから薄型であるものの、尿等の排泄液を吸収した後の装着感に改善の余地があった。
したがって、本発明の課題は、前述した従来技術が有する欠点を解消し得る吸収性物品を提供することにある。
本発明は、肌対向面を形成する表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート、及びこれら両シート間に介在された吸収体を具備する吸収性物品であって、前記吸収体は、基材シートと、該基材シートの片面に形成された吸収性コアとを備えており、前記吸収性コアはパルプ繊維を含まず、吸水性樹脂と、該吸水性樹脂を前記基材シートに固定する水溶性高分子とを含んでおり、前記吸水性樹脂は、非架橋部を表面に有する低架橋樹脂を含んでおり、吸水速度〔JIS K 7224(1996)〕が25秒以下であり、後述する所定の方法により測定される人工尿吸収時の体積増加率が16.5倍以下である、吸収性物品を提供するものである。
本発明の吸収性物品は、薄型でフィット性が良好であり、尿等の排泄液を吸収しても装着感に優れる。
図1は、本発明の吸収性物品の一実施形態である失禁パッドの平面図である。 図2は、図1のI-I線断面を模式的に示す断面図である。 図3は、図2に示す失禁パッドの吸収体の断面図である。 図4は、尿等の排泄液を吸収した後における図3に示す吸収体の断面図である。 図5は、図3に示す吸収体を製造する装置を示す斜視図である。 図6(a)及び(b)は、図5に示す塗工ヘッドを異なる構造とした装置を示す斜視図である。
以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい一実施形態である失禁パッド1に基づき図面を参照して説明する。図1には、本実施形態の失禁パッド1を表面シート2側から視た平面図が示されており、図2には、本実施形態の失禁パッド1の断面図が示されている。本実施形態の失禁パッド1は、図2に示すように、肌対向面を形成する液透過性の表面シート2、非肌対向面を形成する裏面シート3、及びこれら両シート2,3間に介在された吸収体4を具備している。
失禁パッド1は、図1に示すように、着用時に着用者の排泄部(膣口等)に対向配置される排泄部対向部Bと、該排泄部対向部Bよりも着用者の腹側(前側)寄りに配される前方部Aと、該排泄部対向部Bよりも着用者の背側(後側)寄りに配される後方部Cとを有している。失禁パッド1は、着用者の前後方向に対応する縦方向X及び該縦方向Xに直交する横方向Yを有し、縦方向Xに、前方部A、排泄部対向部B及び後方部Cの順番で区分される。着用者の前後方向に対応する縦方向Xは、着用時に、着用者の腹側から股下を通って背側に向かう方向である。また、失禁パッド1は、縦方向Xに延びる中心線CLに対して左右対称に形成されている。縦方向Xとは、中心線CLに平行な方向でもある。
また、本明細書において、肌対向面は、失禁パッド1又はその構成部材(例えば吸収体4)における、失禁パッド1の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、失禁パッド1又はその構成部材における、失禁パッド1の着用時に肌側とは反対側(着衣側)に向けられる面である。
また、本発明の吸収性物品において、排泄部対向部Bとは、本実施形態の失禁パッド1のようにウイング部を有しない吸収性物品においては、吸収性物品が3つ折りの個装形態に折り畳まれた際に生じる、該吸収性物品を横方向(吸収性物品の横方向、図中のY方向)に横断する2本の折曲線(図示せず)について、該吸収性物品の縦方向Xの前端から数えて第1折曲線と第2折曲線とに囲まれた領域を意味する。尚、ウイング部を有する吸収性物品において排泄部対向部Bは、吸収性物品の縦方向(吸収性物品の長手方向、図中のX方向)において該ウイング部を有する領域(一方のウイング部の縦方向Xに沿う付け根と他方のウイング部の縦方向Xに沿う付け根とに挟まれた領域)を意味する。
失禁パッド1では、表面シート2は、図1及び図2に示すように、吸収体4の肌対向面の全域を被覆し、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出している。一方、裏面シート3は、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆し、更に吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁から横方向Yの外方に延出して、後述するサイドシート5と共にサイドフラップ部Sを形成している。失禁パッド1の裏面シート3側の非肌対向面には、ショーツ等の下着に固定するための粘着部31が設けられている。裏面シート3とサイドシート5とは、吸収体4の縦方向Xに沿う両側縁からの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。尚、表面シート2及び裏面シート3それぞれと吸収体4との間は接着剤によって接合されていてもよい。
裏面シート3の形成材料としては、吸収性物品の裏面シートに従来使用されている各種のもの等を特に制限なく用いることができ、例えば、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布とのラミネートシート等を用いることができる。
失禁パッド1では、図1及び図2に示すように、肌対向面における縦方向Xに沿う両側部に一対のサイドシート5が配されている。好適には、サイドシート5は、平面視において、吸収体4の縦方向Xに沿う左右両側部に重なるように、失禁パッド1の縦方向Xの全長に亘って配されている。サイドシート5は、吸収体4よりも横方向Yの外方へ延出しており、その延出部位と、裏面シート3の横方向Yの延出部位とが接合されてサイドフラップ部Sを形成している。
横方向Yにおけるサイドシート5の内側縁部には、1本又は複数本の糸状の弾性部材16が縦方向Xに沿って伸長状態で固定されており、該弾性部材16の収縮によって、失禁パッド1の縦方向Xの両側部に、該縦方向Xに延びる一対の防漏カフ15が形成される。より具体的には、防漏カフ15は、縦方向Xに延びる固定端15b、自由端15a、及び自由端15aと固定端15bとの間に外向きに折り返された折り返し部15cを有している(図2参照)。この自由端15a側に前述の弾性部材16が固定されており、該弾性部材16が収縮することで、自由端15aと固定端15bとの間、即ち折り返し部15cが、着用者の身体側に向けて起立する。防漏カフ15は、吸収体4の長手方向に沿う両側縁それぞれの近傍に、接着剤等の接合手段によって表面シート2に固定された固定部5aを有し、該固定部5aの横方向Y内側の端部が、防漏カフ15の固定端15bとなっている。防漏カフ15は、固定端15bと自由端15aとの間が、着用中に起立することにより、尿等の排泄液の横漏れを防止する。
サイドシート5としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、液不透過性又は撥水性の不織布や樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体等を用いることができる。
失禁パッド1では、表面シート2及び裏面シート3は、吸収体4の縦方向Xの前端及び後端それぞれから縦方向Xの外方に延出し、それらの延出部において、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって、互いに接合されている。具体的には、表面シート2及び裏面シート3は、図1に示すように、縦方向Xの前端側及び後端側の延出部に形成された接合部(不図示)によって接合されている。
吸収体4は、図2に示すように、基材シート20と、該基材シート20の片面20aに形成された吸収性コア14とを備えている。本実施形態における吸収体4は、図1に示すように平面視して、縦方向Xの両端に該縦方向Xの外方に向かって凸の凸部を有する略矩形形状であり、前方部Aから排泄部対向部Bを経て後方部Cに亘って延びている。図3には、図2に示す吸収体4の横断面図が示されており、図4には、尿等の排泄液を吸収した後の吸収体4の横断面図が示されている。なお、図2は基材シート20の片面20aが非肌対向面側を向いた構成を示しているが、図3及び図4は、基材シート20を図中の下側に向けた状態で示している。
基材シート20としては、吸収性コア14を保持し得る材料のものが用いられ、液透過性シートであってもよく、液不透過性シート又は液難透過性シートであってもよい。基材シート20は、例えば不織布、紙、織布、及びフィルムなどから構成することができる。これらの2種以上の材料の積層体を基材シートとして用いてもよい。尿等の排泄液を平面方向に拡散させる観点からは、基材シートは液透過性の繊維シートからなることが好ましい。
不織布としては、各種の製造方法で得られるものを特に制限なく用いることができる。不織布の例としては、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、メルトブローン不織布、ニードルパンチ不織布及びレジンボンド不織布などが挙げられる。これらの不織布は、それぞれ単独で用いることができ、あるいは2種以上の不織布の積層体の形態で用いることもできる。
織布としては、種々の繊維組織を有するものを用いることができる。紙としては、抄紙可能な繊維を原料とし、湿式抄紙法又は乾式抄紙法によって得られたものを用いることができる。フィルムとしては、例えばTダイ法やインフレーション法によって成形され、一軸又は二軸延伸されて得られたものを用いることができる。
基材シート20を構成する前記の各種の材料は、例えば各種の熱可塑性樹脂などの合成高分子材料や、パルプ等のセルロースなどの天然高分子材料を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えばポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等のポリエステル繊維、ポリアクリル酸やポリメタクリル酸エステル等のポリアクリル酸系繊維、ポリスチレンやポリ塩化ビニル等のビニル系繊維などを用いることができる。これらの樹脂は単独で用いてもよく、あるいは2種以上をブレンドして用いてもよい。これらの樹脂から繊維を形成する場合には、単一樹脂の繊維を形成してもよく、あるいは芯鞘型やサイドバイサイド型の複合繊維を形成してもよい。
基材シート20は、吸収体4の保形性の観点から、その坪量が10g/m以上であることが好ましく、15g/m以上であることが更に好ましく、20g/m以上であることが一層好ましい。また基材シート20は、吸収体4の薄さ及び柔軟性の観点から、70g/m以下であることが好ましく、65g/m以下であることが更に好ましく、60g/m以下であることが一層好ましい。具体的には、基材シートは、その坪量が10g/m以上70g/m以下であることが好ましく、15g/m以上65g/m以下であることが更に好ましく、20g/m以上60g/m以下であることが一層好ましい。
基材シート20の片面20aには吸収性コア14が形成されている。吸収性コア14は、基材シート20と直接に接した状態で該基材シート20上に位置していてもよく、あるいは、基材シート20と吸収性コア14との間に1又は2以上の部材や層が介在した状態で、基材シート20と吸収性コア14とが間接的に隣接していてもよいが、吸収性物品の薄型化の観点から、基材シート20と吸収性コア14との間には他の部材を介在させないことが好ましい。
本実施形態の吸収性コア14は、パルプ繊維を含まず、吸水性樹脂43と、該吸水性樹脂43を基材シート20に固定する水溶性高分子47とを含んでいる。水溶性高分子47の「水溶性」とは、25℃の水100gに対する溶解度が0.5g以上であり、好ましくは1g以上、より好ましくは5g以上、更に好ましくは10g以上である。
100mLのガラスビーカー(5mmΦ)に、所定量の評価対象物(水溶性高分子)と、液温25℃のイオン交換水50mLとを投入して混合し、その混合物に長軸方向の長さ20mm、短軸方向の長さ(幅)7mmのスターラーチップを入れ、マグネチックスターラー(例えばアズワン株式会社製HPS-100)を用いて回転数600rpmで該混合物を撹拌し、評価対象物の全量が攪拌開始から24時間以内に50mLのイオン交換水に溶解するか否かを確認する。斯かる一連の作業を、評価対象物の総重量(前記ビーカーへの投入量)が異なる複数のサンプルについて行い、評価対象物の全量が溶解した複数のサンプルのうち、その溶解量が最大であったサンプルにおける評価対象物の総重量の2倍の値を、該評価対象物の25℃の水100gに対する溶解度とする。このように本発明に係る水溶性高分子47は、水との接触によって溶解する。
水溶性高分子47として、例えばポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、デキストリン、ポリエチレンオキシド、水溶性ナイロンなどが挙げられ、これらの中でも、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール及びデキストリンから選ばれる1種以上が好ましい。水溶性高分子47は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。また、水溶性高分子のうち、特に水溶性、及び吸水性樹脂43の基材シート20への固定の観点から、ポリビニルピロリドン、中でもK-15、K-30、K-60又はK-90のグレードのポリビニルピロリドンを用いることが好ましい。
吸水性樹脂43は、水との接触によって膨潤して水を吸収保持し得る材料からなる。本実施形態の吸水性樹脂43は、非架橋部を表面に有する低架橋樹脂45を含んでいる。低架橋樹脂45としては、その表面に、非架橋部と架橋部とを有する樹脂(以下、第1樹脂ともいう。)と、非架橋部のみを表面に有する樹脂(以下、第2樹脂ともいう。)とが挙げられる。吸収性コア14が含有する吸水性樹脂43は、第1樹脂のみであっても良いし、第1樹脂及び第2樹脂の両方であっても良い。本実施形態の吸水性樹脂43は、低架橋樹脂45として、第1樹脂及び第2樹脂とを含んでいる。本発明の吸収性コア14に含有させる吸水性樹脂43として、後述する表面架橋処理が施された吸水性樹脂の粉砕物を用いる場合、第1樹脂及び第2樹脂に加えて、表面に非架橋部を有しない樹脂(以下、高架橋樹脂ともいう。)を含むことがある。該高架橋樹脂46を含めて吸収性コア14を製造する場合、後述する吸水性樹脂43の吸水速度や、人工尿吸収時の体積増加率等を測定する際には、高架橋樹脂を含む吸水性樹脂43の全体をサンプルとして測定を行う。即ち、吸水性樹脂43の性能評価に関する測定において、吸収性コア14の構成材料として用いられる吸水性樹脂43全体からサンプリングして測定を行う。
なお、粉砕物の集合体から、粉砕により粒径の小さい低架橋樹脂のみを分級等によって分離し、該低架橋樹脂のみを吸収性コア14に配合しても良い。粉砕物の全量を、吸収性コア14に配合する場合であっても、粉砕の程度を高める等により、該粉砕物の集合体は、低架橋樹脂のみであっても良い。
また、吸収性コア14から吸水性樹脂43を取り出す際は、吸収性コア14をエタノールに浸せばよい。水溶性高分子47はエタノールに溶解するが、吸水性樹脂43はエタノールに溶解しないため、容易に吸水性樹脂43を取り出すことができる。
吸水性樹脂43は、自重の20倍以上の水を吸収して保持できるものであることが好ましい。また、吸水性樹脂43は、対象物が尿であれば自重の20倍以上、特に30倍以上を吸収して保持できるものが好ましく、血液であれば1倍以上、好ましくは3倍以上を吸収・保持できるものが好ましい。吸水性樹脂43における水の吸収・保持の上限値に特に制限はないが、自重の1000倍を上限の目安とすることができる。
吸水性樹脂43としては、例えば、各種のヒドロゲル材料、例えばアクリル酸若しくはアクリル酸アルカリ金属塩の重合体又は共重合体の架橋物、ポリアクリル酸及びその塩並びにポリアクリル酸塩グラフト重合体の架橋物、デンプン又はカルボキシメチル化セルロースの架橋物、デンプン-アクリル酸塩グラフト共重合体の加水分解生成物の架橋物、ビニルアルコール-アクリル酸塩共重合体の架橋物、無水マレイン酸グラフトポリビニルアルコールの架橋物、架橋イソブチレン-無水マレイン酸共重合体、酢酸ビニル-アクリル酸エステル共重合体のケン化物等を用いることができる。
吸水性樹脂43は、吸水速度及び人工尿吸収時の体積増加率がそれぞれ後述する範囲であれば任意のものを用いることができ、表面架橋処理が施された吸水性樹脂の粉砕物を用いることが好ましい。「表面架橋処理が施された吸水性樹脂」としては、架橋剤の存在下又は非在下にモノマーを重合して得られる重合体又は共重合体からなる中間樹脂に、後処理として、表面処理を施した後架橋樹脂を用いることが好ましい。
中間樹脂の製造方法としては、公知の重合法を用いることができ、逆相懸濁重合法、例えば特許第2721658号公報に記載の陰イオン界面活性剤を分散剤として用いた逆相懸濁重合方法や、水溶液重合法、例えば特開2003-235889号公報に記載の水溶液重合法等が挙げられる。
中間樹脂に対して表面架橋処理を施す際、使用する架橋剤は、中間樹脂の製造に用いる架橋剤と種類が同じであっても異なっていても良い。
吸水性樹脂43は、吸水速度が好ましくは25秒以下、より好ましくは20秒以下、さらに好ましくは15秒以下である。
吸水速度は以下の方法により測定される。
<吸水速度の測定方法>
吸水速度はボルテックス法〔JIS K 7224(1996)〕により測定される。100mLのガラスビーカーに、生理食塩水(0.9質量%塩化ナトリウム水)50mLとマグネチックスターラーチップ(中央部直径8mm、両端部直径7mm、長さ30mmで、表面がフッ素樹脂コーティングされているもの)を入れ、ビーカーをマグネチックスターラー(アズワン製HPS-100)に載せる。マグネチックスターラーの回転数を600±60rpmに調整し、生理食塩水を攪拌させる。測定試料である吸水性樹脂2.0gを、攪拌中の食塩水の渦の中心部で液中に投入し、JIS K 7224(1996)に準拠して該吸水性樹脂の吸水速度(秒)を測定する。具体的には、吸水性樹脂のビーカーへの投入が完了した時点でストップウォッチをスタートさせ、スターラーチップが試験液に覆われた時点(渦が消え、液表面が平らになった時点)でストップウォッチを止め、その時間(秒)をボルテックス法による吸水速度として記録する。測定はn=5測定し、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とした。尚、これらの測定は23±2℃、湿度50±5%で行い、測定の前に試料を同環境で24時間以上保存した上で測定する。
吸水性樹脂43は、人工尿吸収時の体積増加率が16.5倍以下である。吸水性樹脂43は、人工尿吸収時の体積増加率が、好ましくは2倍以上であり、好ましくは16.5倍以下である。本発明における人工尿吸収時の体積増加率は以下の方法により測定される。
<人工尿吸収時の体積増加率の測定方法>
下端の開口部に金網(目開き63μm、JIS Z8801-1:2000)が備えられた円筒プラスチックチューブ(内径30mm、高さ60mm)を垂直に立て、精秤した吸水性樹脂1.0gを、該金網上に、該吸水性樹脂が均一の厚さ(堆積高さ)になるように入れる。金網上に堆積した前記吸水性樹脂の高さである堆積高さH1を測定する。0.9質量%濃度の塩化ナトリウム溶液を人工尿とし、前記吸水性樹脂が膨潤するのに十分な量、例えば前記吸水性樹脂の飽和吸収量の5倍以上の量の人工尿を備えたシャーレを準備する。このシャーレ内に、前記円筒プラスチックチューブを前記金網側の開口部を下側に向けて入れて、前記吸水性樹脂を人工尿に30分間浸す。
次いで、円筒プラスチックチューブをシャーレから取り出す。
そして、人尿の吸収により塊となった前記吸水性樹脂の上に、外径29.5mm×厚さ22mm、質量150gの分胴を載せ、前記円筒プラスチックチューブ内の前記吸水性樹脂に2.0kPaの荷重がかかるようにして、10分間放置する。次いで、分銅を乗せたまま前記吸水性樹脂の塊の高さである塊高さH2を測定し、測定した該塊高さH2を前記堆積高さH1で除して、体積増加率(H2/H1)を求める。
前述の低架橋樹脂45は、非架橋部を有することから、元の形状をとどめたまま膨潤することができず、尿等の排泄液を一定量吸収すると、形状が崩壊する。この際、形状が崩壊した低架橋樹脂45は、元の形をとどめている他の吸水性樹脂間の空隙を埋めるように配される。これにより、本発明に係る吸水性樹脂43は、膨潤による体積の増加を抑えることができ、人工尿吸収時の体積増加率を前述の範囲とすることができる。
失禁パッド1は、パルプ繊維を含む吸収性コアを備える失禁パッドに比して薄型である。薄型である失禁パッド1は、着用者の身体にフィットし易いと共に、尿等の排泄液を吸収しても吸収体4の厚みL1が大きく変化せず、良好なフィット性を維持するため、装着感に優れる。具体的には、吸収性コア14は、パルプ繊維を含まず、吸水性樹脂43と、該吸水性樹脂43を基材シート20に固定する水溶性高分子47とを含んでいる。吸収性コア14が排泄液を吸収すると、該吸収した部分において、吸水性樹脂43どうしの間を埋めていた水溶性高分子47が溶解する(図4参照)。水溶性高分子47が溶解すると、吸水性樹脂43が膨張して大きくなり易くなる、つまり吸水性樹脂43による吸水が阻害されにくくなる。このように吸水性樹脂の吸収性能が発揮されやすく、しかも吸水性樹脂43の吸水速度が25秒以下であるため、優れた吸収性能を有する。
また、水溶性高分子47による結合が解かれた吸水性樹脂43が流動可能となることで吸収体4の厚みL4を均一に維持し易くなる。これと、吸水性樹脂43の人工尿吸収時の体積増加率が16.5倍以下であることが相俟って、排泄液を吸収しても、吸収体4の厚みL4が大きくなり難い。その結果、失禁パッド1は排泄液の吸収後であっても薄さを維持することができるため、排泄液の吸収後であっても優れた装着感を維持する。また吸水性樹脂43が流動可能となることで、失禁パッド1が排泄液を局所的に吸収しても、吸収体4の厚みL4が局所的に大きくなることを防ぐことができる。
失禁パッドの吸収性能を向上させる観点から、吸水性樹脂43は、飽和吸収量が好ましくは35g/g以上、より好ましくは40g/g以上である。
飽和吸収量は以下の方法により測定される。
<飽和吸収量の測定方法>
飽和吸収量の測定は、JIS K 7223(1996)に準拠して行う。ナイロン製の織布(メッシュ開き250、三力製作所販売、品名:ナイロン網、規格:250×メッシュ巾×30m)を幅10cm、長さ40cmの長方形に切断して長手方向中央で二つ折りにし、両端をヒートシールして幅10cm(内寸9cm)、長さ20cmのナイロン袋を作製する。測定試料である吸水性樹脂1.00gを精秤し、作製したナイロン袋の底部に均一になるように入れる。試料の入ったナイロン袋を生理食塩水(0.9重量%塩化ナトリウム水)に1時間浸漬させる。1時間後、ナイロン袋を生理食塩水から取り出し、1時間垂直状態に吊るして水切りした後、該ナイロン袋の重量を測定する。目的とする飽和吸収量は次式から算出される。
生理食塩水の飽和吸収量(g/g)=(a-b-c)/c
;式中、aは吸水後の試料及びナイロン袋の総重量(g)、bはナイロン袋の吸水前(乾燥時)の重量(g)、cは試料の吸水前(乾燥時)の重量(g)を表す。測定は5回行い(n=5)、上下各1点の値を削除し、残る3点の平均値を測定値とした。
吸収性コア14の吸収性能を十分に高める観点から、吸水性樹脂43は、吸収性コア14の全質量に対して、好ましくは70質量%以上、より好ましくは75質量%以上であり、また好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下であり、また好ましくは70質量%以上85質量%以下、より好ましくは75質量%以上80質量%以下含まれている。
吸水性樹脂の液の吸水を阻害しにくくする観点から、水溶性高分子47は吸収性コア14中に、吸水性樹脂43に対して好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.3%以上であり、また好ましくは5%以下、より好ましくは4%以下であり、また好ましくは0.1%以上5%以下、より好ましくは0.3%以上4%以下含まれている。なお、「吸水性樹脂43に対する水溶性高分子47の比率」は、吸収性コア14中に含まれる吸水性樹脂43の質量を分母とし、水溶性高分子47の質量を分子として算出される比率のことである。
吸水性樹脂43の人工尿吸収時の体積増加率を好ましい範囲にする観点から、低架橋樹脂45は、その表面に、非架橋部と架橋部とを有していることが好ましい。即ち、低架橋樹脂45として第1樹脂を含むことが好ましい。
吸水性樹脂43は、吸水速度及び人工尿吸収時の体積増加率がそれぞれ上述する範囲であれば任意のものを用いることができる。吸水速度は、吸水性樹脂のメジアン径等を調整することによって実現される。吸収時の体積増加率は、上述のように、低架橋樹脂を含むことによって実現される。低架橋樹脂45を含み、吸水速度及び人工尿吸収時の体積増加率がそれぞれ上記の範囲である吸水性樹脂43としては、表面架橋処理が施された吸水性樹脂の粉砕物を用いることが好ましい。「表面架橋処理が施された吸水性樹脂」(以下、原料樹脂ともいう。)としては、架橋剤の存在下又は非在下にモノマーを重合して得られる重合体又は共重合体からなる、前述の中間樹脂に、後処理として、表面処理を施した後架橋樹脂を用いることが好ましい。
原料樹脂の粉砕物は、原料樹脂を粉砕処理することにより得られる。原料樹脂の粉砕には、例えば、ミル等を利用することができる。ミルを利用する場合、粉砕条件(ハンマー回転数、補修部スクリーン孔径)を種々変更し、メジアン径を調整することができる。
低架橋樹脂45の形状は特に制限されず、球状、塊状、俵状又は不定形であっても良く、繊維状のものでもよいが、低架橋樹脂45が前述の原料樹脂の粉砕物である場合、不定形であることが好ましい。
吸水性樹脂43の吸水速度を前述の範囲にする観点から、吸水性樹脂43は、レーザー回折式粒度分布法で測定した累積体積50%での粒径D50、即ちメジアン径が、好ましくは150μm以上、より好ましくは180μm以上であり、また好ましくは500μm以下、より好ましくは400μm以下であり、また好ましくは150μm以上500μm以下、より好ましくは180μm以上400μm以下である。
吸水性樹脂43のメジアン径は、レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA-920、堀場製作所社製)を使用し、下記の測定条件にて測定することができる。
測定方法:フロー法
分散媒:エタノール/蒸留水=90/10wt%
分散方法:攪拌、内蔵超音波3分
試料濃度:0.1%
吸収性コア14は、吸水性樹脂43及び水溶性高分子47以外の他の構成材料を含んでいても良い。例えば、消臭剤、香料、可塑剤、多価アルコール等を含んでいても良い。
また吸収性コアには、以上の成分に加え、必要に応じて該吸収性コアの各種の性能を向上させ得る成分を含有させることもできる。そのような成分としては、例えば増粘剤、pH調整剤などが挙げられる。
吸収性物品の中には吸収性コアがティッシュペーパーや不織布等のコアラップシートで被覆されたものがあるが、吸収性物品をより薄型化する観点から、吸収体4は、基材シート20における吸収性コア14が形成された面が別体のシートによって被覆されていないことが好ましい。
失禁パッド1において吸収体4は、基材シート20の吸収性コア14が配された面が非肌対向面側に向けられた状態で配されている。斯かる構成により、液が基材シートで素早く拡散されるため、さらには、吸収性コアと表面材の間に一枚シートが配されるために、液戻りが発生し難い。このように吸収体4は、基材シート20側が表面シート2側に向いていることが好ましい。
失禁パッドの薄型化による良好なフィット性をより確実に奏させる観点から、吸収体4の吸収前の厚みL1(図3参照)は、好ましくは2mm以下、より好ましくは1.7mm以下、さらに好ましくは1.5mm以下である。吸収体4の吸収前の厚みは、吸収体4の吸収前の最大厚みである。
上記と同様の観点から、吸収性コア14は、その吸収前の厚みL3(図3参照)が好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.8mm以下、さらに好ましくは0.6mm以下である。
吸収体4の厚みL1及び吸収性コア14の厚みL3は以下の方法で測定される。すなわち、測定対象の吸収体4を水平な場所にシワや折れ曲がりがないように置き、5cN/cmの荷重下での厚みを測定する。具体的には、厚みの測定に、例えば、厚み計(尾崎製作所社製、PEACOCK DIAL UPRIGHT GAUGES R5-C)を用いる。このとき、厚み計の先端部と測定対象物との間に、荷重が5cN/cmとなるように大きさを調整した平面視円形状又は正方形状のプレート(厚さ5mm程度のアクリル板)を配置して、厚みを測定する。吸収体4の厚みL1と基材シート20の厚みL2を測定し、その差分値を吸収性コア14の厚みL3とする。
吸収性コア14は、基材シート20の片面に隙間なく連続して形成されていてもよく、あるいは基材シート20の片面の一部が露出するように形成されていてもよい。例えば基材シート20が矩形のものである場合、左右の両側部域間の領域にのみ吸収性コア14を形成することができる。あるいは、吸収性コア14を、一方向に筋状に延びるように複数条形成し、隣り合う吸収性コア14間の領域において基材シート20の表面が露出するようにしてもよい。更に、吸収性コア14を市松模様状に配置してもよい。
なお、吸収性コア14は、基材シート20の両面に形成されていてもよく、基材シート20の片面のみに形成されていてもよい。
吸収性コアの平面視での形状が上述のいずれの場合であっても、吸収性コアの厚みは、上述した値であることが好ましい。
吸収体4の面積に占める吸収性コア14の割合は、吸収体4の吸収能力及び拡散性を十分に高める観点から、好ましくは50面積%以上、より好ましくは60面積%以上、更に好ましくは70面積%以上であり、また100面積%以下、好ましくは95面積%以下、より好ましくは90面積%以下であり、また好ましくは50面積%以上100面積%以下、より好ましくは60面積%以上95面積%以下、更に好ましくは70面積%以上90面積%以下である。なお、「吸収体4の面積」及び「吸収性コア14の面積」とは、基材シート20上に吸収性コア14が設けられた側の面におけるそれぞれの面積のことである。吸収体4の面積に占める吸収性コア14の割合が100面積%であるとは、吸収性コア14が基材シート20の全面に配されていることである。
以上の説明は、吸収性コアが基本的に単層のものである場合についてのものであったが、本発明においては、吸収性コアは、同じ組成を有するか、又は、異なる組成を有する2層以上の積層構造部分を有するものであってもよい。その場合であっても、平面視での吸収性コア14の形状や、吸収性コアの厚み(最大厚み部での厚み)は、上述のとおりであることが好ましい。
本発明に係る吸収体は、基材シート20の片面に吸水性樹脂43及び水溶性高分子47を含む組成物を塗工して形成されたものである。以下、吸水性樹脂43及び水溶性高分子47を含む組成物を単に組成物60ともいう。図5には、組成物60を塗工して吸収性コア14を形成し、吸収体4を製造する製造方法に好適な装置50が示されている。同図に示す吸収体4を製造する装置50は、組成物60の供給部51と、組成物60の塗布部53と、組成物60の乾燥部55とを備えている。
供給部51は、組成物60の貯蔵タンク51aを備えている。タンク51a内には組成物60が蓄えられている。タンク51a内の組成物60は、撹拌翼51bによって撹拌されて均一化されている。撹拌翼51bは、シャフト51cを介してモータ等の回転駆動源51dに接続されている。タンク51aの底部には管路52の一端が接続されている。管路52の他端は塗布部53に接続されている。
塗布部53は、長尺状の基材シート20の連続体20Sの片面に組成物60を塗工する塗工ヘッド54を備えている。以下、基材シート20の連続体20Sを単に「連続体20S」ともいう。塗工ヘッド54は、管路52を介して貯蔵タンク51aから供給された組成物60を、一方向D、即ち搬送方向Dに沿って連続的に塗布するものである。塗工ヘッド54としては、組成物60のような流動体の塗布が可能なものが用いられる。そのような塗工ヘッド54の例としてはダイコータなどが挙げられるが、これに限られない。図5においては、塗工ヘッド54によって連続体20Sの長手方向(方向D)の両側部域20b,20b間の領域に組成物60が塗布されて、湿潤状態の塗布体63が形成されている様子が示されている。
連続体20Sの搬送方向Dにおいて、塗布部53の下流には乾燥部55が配置されている。乾燥部55は、塗布部53によって形成された塗布体63を乾燥させて揮発成分を除去し、塗布体63の乾燥体である吸収性コア14を連続体20S(基材シート20)に固定させる。乾燥部55は、湿潤状態の塗布体63から揮発成分を除去し得る装置であり、その例として、赤外線の放射装置や、加熱された熱風の吹出装置などが挙げられるが、これらに限られない。
上述の装置50により、連続体20Sの片面、即ち基材シート20の片面に吸収性コア14が形成された吸収体4の連続体4Sが得られる。この吸収体4の連続体4Sは必要に応じて後加工に付される。後加工としては、例えば吸収体4の連続体4Sをその長手方向にわたって裁断して毎葉の吸収体4に加工する工程や、吸収体4の連続体4Sを、吸収性物品等の最終製品に組み込む工程や吸収体4の連続体4Sを巻き取って原反化する工程が挙げられる。
以上の方法によれば、組成物60を基材シート20の片面に塗布し、乾燥するというシンプルなプロセスで目的とする吸収性コア14及び吸収体4を得ることができる。また、以上の方法によれば、吸収性コア14の厚みや坪量を高精度に制御することができる。これにより、吸収性コア14の坪量や厚みに局所的なばらつきが生じ難くすることができ、吸収体4は安定した吸収性能を発現し得る。また、基材シート20上の広い領域で任意に吸収性コアの坪量を変更することができる。さらに、組成物60を薄く塗工することにより吸収性コア14を極めて薄く形成することも可能である。
以上の効果を一層顕著なものとする観点から、組成物60は、上述した吸水性樹脂43や水溶性高分子47等の吸収性コア14の構成材料を、溶媒に分散又は溶解させたものであることが好ましい。組成物60には、吸水性樹脂43を膨潤させない程度水を含有してもよいが、吸水性樹脂43が吸水及び膨潤することを防ぐ観点から、組成物60は水を非含有であることが好ましい。水を非含有とは、組成物60中に意図的に有意な量の水を添加すること排除する趣旨である。したがって原料等の不純物として不可避的に混入する微量の水や、大気中から不可避的に混入する微量の水の存在は許容される。
組成物60中に含まれる吸水性樹脂43や水溶性高分子47等の構成材料の割合は、吸収性コア14中に含まれる吸水性樹脂43や水溶性高分子47等の構成材料の割合が所望の割合となるよう調整する。また、組成物60はパルプ繊維等の繊維材料を非含有である。
組成物60に含まれる溶媒としては非水溶媒が好適に用いられる。そのような非水溶媒としては、例えばエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸ブチルなどが挙げられる。これらの非水溶媒は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの非水溶媒のうち、入手容易性や汎用性、安全性の点からエタノールを用いることが好ましい。エタノールは揮発成分であり、前述のように、乾燥部で除去される。
組成物60に占める非水溶媒の割合は、組成物60の塗工を容易とする観点から、好ましくは30質量%以上、より好ましくは35質量%以上、一層好ましくは40質量%以上であり、また好ましくは70質量%以下、より好ましくは65質量%以下、一層好ましくは60質量%以下であり、また好ましくは30質量%以上70質量%以下、より好ましくは35質量%以上65質量%以下、一層好ましくは40質量%以上60質量%以下である。
上述の装置50は、塗布部53に備えられた塗工ヘッド54が、特定のパターンの塗布体63を形成する構造であってもよい。例えば図6(a)に示す装置50Aの塗布部53Aにおける塗工ヘッド54aは、連続体20Sの搬送方向Dに沿って、且つ搬送方向と直交する幅方向Wに沿って断続的に塗布体63Aを形成し得る構造を有している。この塗工ヘッド54により、複数の塗布体63Aが搬送方向Dに沿って間隔を置いて形成され、且つ搬送方向Dに沿って並んだ複数の塗布体63Aからなる塗布体列65が幅方向Wに間隔を置いて複数列形成される。
また、図6(b)に示す装置50Bにおける塗布部53Bは、2台の塗工ヘッド54b,54cが備えられている。2台の塗工ヘッド54b,54cは、基材シート20の搬送方向Dに沿って直列に並んでおり、搬送方向Dの上流側には第1塗工ヘッド54bが、それよりも下流側には第2塗工ヘッド54cが配置されている。第1塗工ヘッド54bは、連続体20Sの両側部域20b,20b間の領域に組成物60bを塗布して第1塗布体63Bを形成する。一方、第2塗工ヘッド54cは、第1塗布体63Bよりも幅が狭い第2塗布体63Cを第1塗布体63B上に形成する。第2塗布体63Cは、連続体20Sの幅方向W、即ち第1塗布体63Bの幅方向の中央部分の上に重ねて形成される。第1塗布体63Bを形成するために用いられる組成物60bと、第2の塗布体13Cを形成するために用いられる組成物60cとは、その組成が互いに相違していてもよいし、同じものであってもよい。その結果、本装置50Bにより製造された吸収体4bは、その幅方向Wの中央域が2層構造となっている一方、吸収体4bの幅方向Wの両側に位置する側部域が単層構造になっている。このように、吸収体4bは、その中央域と側部域とで厚みが相違し、且つ吸収性能も相違している。図6(b)に示す装置50Bでは塗工ヘッド54を2台直列に並べているが、任意の数の層を形成し得るよう、塗工ヘッド54は2台以上配置しても良い。また、一台の塗工ヘッド54で複数の層を形成するように組成物60を吐出してもよい。あるいは2層目が中央部に形成されてなくてもよく、2層目が複数層になっていてもよい。このように装置50Bは、複数の層からなる積層構造を有する吸収性コア14を形成することができる。
以上、本発明について説明したが、本発明は前述した実施形態に制限されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本発明野の吸収性物品は、失禁パッドの他、使い捨ておむつや生理用ナプキン等であっても良い。
吸水性樹脂43は、前述の原料樹脂の粉砕物に代えて、飽和吸量及び人工尿吸収時の体積増加率が前述の範囲を充たすように、架橋処理の条件を調整した中間樹脂を後処理することなくであっても良い。また、後処理としての表面処理方法は、1回でも2回又は3回等の複数回でも良い。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
原料樹脂は、ポリアクリル酸ナトリウム塩重合体(サンダイヤ社製、IM997)を用いた。原料樹脂の粉砕は、ラボミルLM-05(株式会社ダルトン製)を用いて行い、メジアン径が約200μmの吸水性樹脂を得た。吸水性樹脂の吸水速度、人工尿吸収時の体積増加率及び飽和吸量を前述の方法により測定した。測定値を表1に示す。
〔実施例2〕
実施例1と粉砕の条件を変更し、メジアン径が約300μmの吸水性樹脂を得た。粉砕の条件を変更した以外は、実施例1と同様の方法により吸水性樹脂を得た。
〔比較例1〕
比較例1としてはサンダイヤ社製のIM997(メジアン径457μm)を粉砕しないで用いた。
Figure 0007157530000001
表1に示すように、比較例1の吸水性樹脂に比して、実施例1、2の吸水性樹脂は、飽和吸収量をほぼ維持しながら、速い吸水速度を実現している。そのため、各実施例の吸水性樹脂を使用した吸収性コアは、パルプ繊維を含有しなくても十分な吸水速度・吸収容量を達成でき、また、パルプ繊維を含有する吸収性コアよりも薄型化することができる。さらに、実施例1、2の吸水性樹脂は、人工尿吸収後の体積増加率が、比較例1の吸水性樹脂に比して低い。パルプ繊維を含有しない吸収性コアにおいて、吸収後の厚みは吸水性樹脂の体積増加の影響を受ける。即ち、各実施例の吸水性樹脂を使用し、パルプ繊維を含有していない吸収性コアは、比較例1の吸水性樹脂を使用する場合よりも、吸収後の厚みが10%以上抑えられる。このことから、実施例の吸水性樹脂を含む吸収性コアが組み込まれた吸収性物品は、液吸収後であっても優れた装着感を維持することができる。
1 失禁パッド
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
4S 連続体
5 サイドシート
6 圧搾溝
20 基材シート
20S 連続体
14 吸収性コア
43 吸水性樹脂
45 低架橋樹脂
46 高架橋樹脂
47 水溶性高分子
50 装置
51 供給部
51a タンク
51b 撹拌翼
51c シャフト
51d 回転駆動源
52 管路
53 塗布部
54 塗工ヘッド
55 乾燥部
60 組成物
63 塗布体

Claims (5)

  1. 肌対向面を形成する表面シート、非肌対向面を形成する裏面シート、及びこれら両シート間に介在された吸収体を具備する吸収性物品であって、
    前記吸収体は、基材シートと、該基材シートの片面に吸水性樹脂及び水溶性高分子を含む組成物を塗工することによって形成された吸収性コアとを備えており、
    前記吸収性コアはパルプ繊維を含んでおらず、
    前記吸収性コアにおいて、前記吸水性樹脂は前記水溶性高分子を介して前記基材シートに固定されており、且つ前記吸水性樹脂の質量に対する前記水溶性高分子の質量の比率が0.1%以上5%以下であり、
    前記吸水性樹脂は、表面架橋処理が施された原料樹脂の粉砕物であり、且つメジアン径が180μm以上400μm以下であり、
    前記粉砕物は、非架橋部を表面に有する低架橋樹脂を含んでおり、
    前記吸水性樹脂は、吸水速度〔JIS K 7224(1996)〕が25秒以下であり、下記の方法により測定される人工尿吸収時の体積増加率が16.5倍以下である、吸収性物品。
    <人工尿吸収時の体積増加率の測定方法>
    下端の開口部に金網(目開き63μm、JIS Z8801-1:2000)が備えられた円筒プラスチックチューブ(内径30mm、高さ60mm)を垂直に立て、精秤した吸水性樹脂1.0gを、該金網上に、該吸水性樹脂が均一の厚さ(堆積高さ)になるように入れる。金網上に堆積した前記吸水性樹脂の高さである堆積高さH1を測定する。0.9質量%濃度の塩化ナトリウム溶液を人工尿とし、前記吸水性樹脂が膨潤するのに十分な量、例えば前記吸水性樹脂の飽和吸収量の5倍以上の量の人工尿を備えたシャーレを準備する。このシャーレ内に、前記円筒プラスチックチューブを前記金網側の開口部を下側に向けて入れて、前記吸水性樹脂を人工尿に30分間浸す。
    次いで、円筒プラスチックチューブをシャーレから取り出す。
    そして、人工尿の吸収により塊となった前記吸水性樹脂の上に、外径29.5mm×厚さ22mm、質量150gの分胴を載せ、前記円筒プラスチックチューブ内の前記吸水性樹脂に2.0kPaの荷重がかかるようにして、10分間放置する。次いで、分銅を乗せたまま前記吸水性樹脂の塊の高さである塊高さH2を測定し、測定した該塊高さH2を前記堆積高さH1で除して、体積増加率(H2/H1)を求める。
  2. 前記低架橋樹脂は、その表面に、前記非架橋部と架橋部とを有している、請求項1に記載の吸収性物品。
  3. 前記吸収体は、前記基材シートの片面のみに吸収性コアを備え、前記基材シートの前記吸収性コアが形成された面が別体のシートによって被覆されていない、請求項1又は2に記載の吸収性物品。
  4. 前記吸収体は、前記基材シートの前記吸収性コアが形成された面が前記裏面シート側に向いている、請求項1~3の何れか1項に記載の吸収性物品。
  5. 前記吸収体の吸収前の厚みは1.5mm以下である、請求項1~4の何れか1項に記載の吸収性物品。
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