JP2017221274A - 吸収体 - Google Patents

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宏子 川口
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Abstract

【課題】更なる薄型化と液吸収性の向上とを両立し得る吸収体を提供する。【解決手段】少なくとも一方の面側に凸部及び凹部を備えた凹凸面を有する基材不織布と、該基材不織布の前記凹凸面の繊維に固着された吸水性ポリマー材とを有する吸収体。【選択図】図1

Description

本発明は、おむつや生理用ナプキン等の吸収性物品に用いられる吸収体に関する。
吸収性物品に用いられる吸収体には、吸水性ポリマー材(いわゆるSAPと呼ばれる表面架橋された高分子材料)が液吸収保持材料として用いられている。
吸水性ポリマー材は、例えば自重の数十倍の液体を吸収して膨潤しながら該液体を内部に保持し閉じ込めることができ、パルプ繊維よりも液吸収保持性能が高い。しかし、吸水性ポリマー材は、液吸収前の状態で、例えば粒状など小さな体積で複数を吸収体内に配しているため、脱落移行による吸収体内での偏在などの問題があった。また、液吸収後には、吸水性ポリマー材の膨潤で吸収体の厚みが変化し装着感に影響する場合があった。このような問題に対して、これまでいくつかの提案がなされてきた。
例えば、特許文献1には、2つのシートを部分的に接合して袋状のセルを形成し、該セル内に高吸収性ポリマー粒子を封入した吸収体が記載されている。セル内では、高吸収性ポリマー粒子は、セルの最大容積よりも少ない量存在し移動可能にしている。さらに該吸収体においては、高吸収性ポリマーの偏在抑制のため、セルをなす襞の延在方向と直交する方向沿ってタック部を備える。同様に、特許文献2には、上層及び下層のウエブ間に多数の袋状部を形成し、該袋状部に可塑化された架橋吸水性ポリマーを配した吸収体が記載されている。
また、特許文献3には、2枚のシート間に、高吸収性ポリマーの坪量が相対的に高い筋状の高坪量領域と相対的に低い低坪量領域とを配した吸収体が記載されている。該吸収体では、前記高坪量領域と低坪量領域とを幅方方向に交互に配し、幅方向中央域における厚みの増加が幅方向側部域における厚みの増加よりも大きくなる。これにより、該吸収体を組み込んだ吸収性物品の両側にくびれ部を設けた場合の利点を阻害しないようにしている。
特開2010−233969号公報 特開平9−327479公報 特開2010−88528号公報
近年、吸収性物品の更なる薄型化の要求に応えるべく、吸収体をより薄くすることが求められている。そのため、吸収性能を吸水性ポリマー材によって担保し、嵩のあるパルプ繊維の量を極限まで削減することが試みられている。
吸収体の薄型化は、吸収性物品の柔らかさの向上による装着感の向上に寄与する。また、吸収体の薄型化は、吸収性物品の装着が着衣の外側から気づかれない自然な外観を作り出す。
しかし、吸収体の更なる薄型化に伴い吸水性ポリマー材の更なる高密度化は避けられない。吸水性ポリマー材は、吸水により膨潤するとゲル化するため、受液面に近い側で先にゲル層を形成し、その後の液の透過や拡散の阻害(ゲルブロッキング)が生じやすい。これにより、吸収体内での液の通液性が阻害され、液吸収速度が低下しかねない。この場合、液量が多くなり過ぎると、液残りやそれに伴う肌側への液戻りが生じることがある。また、上記特許文献に記載された吸収体のように吸収性ポリマーを袋状に閉じ込めていると、吸水性ポリマー材の膨潤許容範囲は制限され液吸収性の向上に限界がある。
このように、薄型化による装着感の向上と液吸収性の向上とが必ずしも両立し得ないという問題がある。
本発明は、上記の問題を踏まえ、吸収体の更なる薄型化と液吸収性の向上とを両立し得る吸収体に関する。
本発明は、少なくとも一方の面側に凸部及び凹部を備えた凹凸面を有する基材不織布と、該基材不織布の前記凹凸面の繊維に固着された吸水性ポリマー材とを有する吸収体を提供する。
本発明の吸収体は、吸収体の更なる薄型化と液吸収性の向上とを両立させることができる。
本発明に係る吸収体の好ましい実施形態(第1実施形態)を模式的に示す斜視図であり、符号Pで示す円内の図は吸水性ポリマーの基材不織布の繊維への固着状態を模式的に示す部分拡大説明図である。 本発明に係る吸収体の別の好ましい実施形態(第2実施形態)を模式的に示す一部断面斜視図である。 (A)は、本発明に係る吸収体のさらに別の好ましい実施形態(第3実施形態)を模式的に示す断面図であり、(B)は、前記(A)に示す吸収体の液吸収後の状態を模式的に示す断面図である。 吸水性ポリマーが基材不織布の起毛繊維に固着されている状態を模式的に示す説明図である。 (A)吸水性ポリマーの表面の一部に接合基部を備えた液吸収性複合材が繊維に固着されている状態を模式的に示す部分拡大図であり、(B)は、前記液吸収性複合材が図4に示す起毛繊維に固着されている状態を模式的に示す部分拡大図である。 (A)は、実施例1で作製した吸収体試料を撮像した図面代用写真であり、(B)は前記(A)を部分拡大して示した図面代用写真であり、(C)は前記(B)の液吸収性複合材をさらに拡大して示した図面代用写真であり、(D)は前記(C)の液吸収性複合材の表面をさらに拡大して示した図面代用写真である。
以下、本発明の吸収体について、好ましい実施形態に基づき図面を参照して説明する。なお、本発明の吸収体は、例えば生理用ナプキンや乳幼児用ないし大人用のおむつ等の吸収性物品の液保持部として適用することが好ましい。ただし、本発明の吸収体はこれに限定されるものではない。なお、本発明の吸収体の各実施形態、及び、本発明の吸収体を構成する吸水性ポリマー材の繊維への各固着態様(具体例)において、同一符号は同一部位を示す。また、各実施形態における基材不織布を総称して基材不織布4ということがある。
本実施形態の吸収体10は、図1に示すように、基材不織布41と、基材不織布41の一方の面の繊維5に固着された吸水性ポリマー材1とを有する。基材不織布41は、第1面A及び該第1面Aとは反対側の第2面Bを有し、前記一方の面側である第1面A側に凸部41A及び凹部41Bを複数備えた凹凸面41Fを有する。すなわち、第1面A側の凹凸面41F上の繊維に吸水性ポリマー材1が複数固着されている。
本実施形態において、基材不織布41が有する第1面A側の凹凸面41Fには、複数の凸部41A及び凹部41Bが、基材不織布の平面視した際の交差する方向のそれぞれの方向(例えば図1におけるX方向及びY方向)に交互に配置されている。すなわち、凸部41Aと凹部41Bとが連続してなる切れ目のない凹凸の起伏を、第1面Aの平面の複数の方向へと拡散するように形成している。これにより、基材不織布41の表面積が基材不織布41の大きさ(面積)に対して増大することになる。
このような凹凸の起伏のある凹凸面41Fの凸部41A及び凹部41Bの両方の表面繊維に吸水性ポリマー材1が露出して固着されている。すなわち、吸水性ポリマー材1は、吸収体10の凹凸41F面に沿って平面方向に分散して固着されている。
これにより、吸収体10は、基材不織布41の厚み方向への吸水性ポリマー材1の堆積を回避して、平面方向への吸水性ポリマー材1の分散性を高めて更なる薄型化を実現できる。しかも、吸水性ポリマー材1は、厚み方向への堆積を回避しつつも、凹凸面41Fの起伏に沿った配置によって厚み方向への分散性が高く、液との接触性が良い。
また、吸収体10において、上記の固着形態によって、基材不織布41以外に他の繊維層(例えばパルプ繊維集合体など)を必要とせず、例えば表面シートないしセカンドシートと吸収体を直接接合することや、吸収体と裏面シートを直接接合することもできる。吸収体10は、パルプ繊維を含まず、基材不織布と吸水性ポリマー材のみから構成されることもできる。また、基材不織布41に袋状の部分を設けて、その袋内に吸水性ポリマー材を閉じ込める必要がないため、吸収体10においては、基材不織布41の一面上で吸水性ポリマー材1の膨潤を抑制するものがない。
以上のことから、吸収体10は、吸水性ポリマー材1の膨潤時の膨潤する余地が更に広がり、ゲルブロッキング及びそれによる吸収阻害が更に生じ難くなる。すなわち、一度に多量の液や繰り返しの液を受けた際においても、吸収速度の低下を抑える(高い吸収速度を維持する)ことができ、液残りや肌側への液戻りを抑制して、優れた吸収性を示す。さらに、基材不織布41の表面積の増大により、平坦な場合に比べて吸水性ポリマー材1の量を多くでき、この点からも吸収体10の吸収性が向上する。凹凸面41Fの高低差は、既に繊維単位で吸水性ポリマー材1の分散性を高めているため、吸収体10の薄さを実感できる微細な高低差であっても、前記分散性を高めることができる。
また、吸収体10では、吸水性ポリマー材1は、基材不織布41の表面繊維に直接固着されているので固定性が高く、袋状部に閉じ込める必要がないため、吸収体10は、液吸収前の肌への異物感や、液吸収後の型崩れや破壊が低減される。加えて、凹部41Bにおいては、吸水性ポリマー材1の膨潤した体積をある程度収容することができる。そのため、凹部41Bを含む凹凸面41Fを肌面側として吸収体10を吸収性物品に組み込んだ際に、液吸収後の吸収体10の表面における異物感が軽減され、良好な装着感の観点から好ましい。
本実施形態において、基材不織布41は、第2面B側にも凹凸面41Gを有する。第2面B側の凹凸面41Gは、複数の凸部41C及び凹部41Dを不織布の平面視した際の交差する方向のそれぞれの方向(例えば図1におけるX方向及びY方向)に交互に配置されてなる。第2面B側の凸部41Cは、第1面A側の凹部41Bに対応する位置にあり、第2面B側の凹部41Dは、第1面A側の凸部41Aに対応する位置にある。
基材不織布41が両面に凹凸面を有することにより、吸収体10は、前述した吸水性ポリマー材1の分散性の向上と共に、厚み方向における柔らかなクッション性に優れる。また、両面の交差する複数の方向に点在する凸部41A及び凸部41Cを軸として柔軟で立体的な変形性を有する。
さらに、吸収体10において、吸水性ポリマー材1が配されている第1面A側では、凹部41Bが複数の凸部41Aで囲まれた窪み部分であるため、液の捕捉性が高い。これにより、前述した液吸収性複合材3の固定性の向上と共に、吸収体10表面上での液流れを抑えて、各凹部41Bでの吸水性ポリマー材1による液吸収速度が向上する。また、これにより液吸収後の吸収体10の型崩れや破壊が更に生じ難い。加えて、凹凸形状により肌に触れたときの柔らかさも向上する。一方、第2面B側の凹部41Dは、空隙がつながっていることで液の拡散性があがり、吸収速度が向上する。また、液の拡散性があがることで、吸水性ポリマー材1の1粒あたりの液吸収量が過剰にならず抑えられるため、液戻り量が減少する。
本実施形態においては、吸水性ポリマー材1は基材不織布4の第1面A側にのみ配され、第2面B側には吸水性ポリマー材1は配されていない。吸水性ポリマー材1の配置面は、本実施形態のものに限定されず、第1面A側及び該第1面A側とは反対側の第2面B側の両面に配されていてもよい。また、凹凸面は、本実施形態のように第1面A側及び第2面B側の両方にある形態に限らず、一方の側にある形態であってもよい。凹凸面と吸水性ポリマー材1との組み合わせが、第1面A及び第2面Bの少なくともいずれか一方にあればよい。
吸収体10は、吸収性物品の液吸収保持部として組み込む際には、第1面A側及び第2面B側のいずれの面を着用者の肌面側に向けて配置してもよい。吸収速度等の液吸収性の観点からは、凹凸面と吸水性ポリマー材1との組み合わせを有する面を肌面側にむけて配置することが好ましい。本実施形態においては第1面A側を肌面側に向けて配置することが好ましい。以下、他の実施形態においても同様である。また、吸収体10は、単層で使用してもよく、複数層で使用してもよい。
次に、基材不織布の凹凸面が上記のものとは異なる形状を有する別の形態の吸収体20(第2実施形態)について、図2を参照して説明する。
第2実施形態の吸収体20において、基材不織布42は、吸水性ポリマー材1が配されている第1面A側に、筋状に延びた凸部42A及び凹部42Bを有する。複数の凸部42A及び凹部42Bが、不織布を平面視した際の一方向に交互に配置されて第1面A側の凹凸面42Fをなす。第1面A側とは反対側の第2面B側には、筋状に延びた複数の凸部42C及び凹部42Dが交互に配された凹凸面42Gを有する。第2面B側の凸部42Cは、第1面A側の凹部42Bに対応する位置にあり、第2面B側の凹部42Dは、第1面A側の凸部42Aに対応する位置にある。
吸収体20において、凹凸の起伏のある凹凸面42F上の繊維に吸水性ポリマー材1が固着されている。すなわち、繰り返し交互に配置された凸部42A及び凹部42Bの両方の繊維に吸水性ポリマー材1が固着されている。これにより、吸収体20においても、吸収体10と同様に、吸水性ポリマー材1の固定性及び分散性に優れ、更なる薄型化を実現でき、かつ、優れた吸収性を示す。また、良好な装着感が得られる。
さらに、吸収体20において、吸水性ポリマー材1の固定性及び分散性の向上と共に、筋状の凹状部41Bに沿って液が広がり、より多くの吸水性ポリマー材1で液の吸収保持が可能となる。すなわち、液吸収速度の向上に寄与し得る。また、凹凸形状により肌に触れたときの柔らかさにも優れる。
基材不織布の凹凸面は、上記の第1実施形態及び第2実施形態のものに限定されることなく、吸水性ポリマー材1の分散性を高めることができる種々の形態をとり得る。
基材不織布の凹凸面をどのような形態とする場合であっても、吸収体の液吸収前の厚みは、薄型化による装着感の向上の観点から、3.0mm以下が好ましく、2.5mm以下がより好ましく、2.0mm以下が更に好ましい。また、液吸収前の厚みは、吸水性ポリマーの保持量の確保と固定性の観点から、0.5mm以上が好ましく、0.8mm以上がより好ましく、1.0mm以上が更に好ましい。吸収体の厚みは、後述する測定方法により確認することができる。
さらに本発明において、基材不織布は、吸収体の更なる薄さを実感でき、かつ、吸水性ポリマー材1の膨潤できる空間を確保する観点から、プリーツ部を有する形態が好ましい。具体的には、液吸収前には前述した凹凸面(例えば基材不織布41及び42の凹凸面)が折り畳まれ、液吸収時に凹凸面が生じる形態が好ましい。ここでいう「凹凸面が折り畳まれた状態」とは、凸部と凹部とをプリーツ状に折り畳んだ状態をいう。すなわち、基材不織布(例えば前述の基材不織布41及び42等)の凹凸面を折り畳んで、吸水性ポリマー材1の配された第1面A側からみた山折り部及び谷折り部を備えるプリーツ部を配した状態をいう。具体的には、後述の図3(A)に示すような形態が挙げられる。このプリーツ部が液吸収時に展開して前記凹凸面が生じる。これにより、液吸収前の基材不織布の凹凸厚みを抑え、更なる薄さを実現することで、装着感がより向上する。液吸収時には吸水性ポリマー材1の膨潤とともにプリーツ部の折れ曲がりがなくなる、特に谷折り部の折れ曲がりがなくなると(凹部形状が変化すると)、吸水性ポリマー材1の間隔が広がり、該吸水性ポリマー材1の膨潤が阻害され難くなり好ましい。この観点から、折れ曲がり状態から凹凸面が立体的に立ち上がるようにされていることがより好ましい。すなわち、液吸収前に薄くされた吸収体は、液吸収時に厚み変化を起こして吸水性ポリマー材1を厚み方向に分散させ、吸水性ポリマー材1の膨潤によるゲルブロッキングを防止できる。ゲルブロッキングの防止により、液吸収速度の向上や液戻り抑制等の優れた吸収性能を実現できる。また、この厚み変化においても、吸水性ポリマー材1は、繊維単位に固着されているので、脱落し難い。そのため、吸収体は、液吸収後の保形性に優れ、型崩れし難い。
このようなプリーツ部の折り形態としては、一般的にプリーツと言われる種々の形態とすることができる。例えば、ボックスプリーツやワンウェイプリーツなどが挙げられる。このとき、折りの程度(強さ)は適宜設定できる。例えば、山折り部及び谷折り部に明確な折り線を有して折り重なる部分同士が接する程の強い折りの状態でもよく、折り重なる部分同士が離間してフリルや襞を形成する程度の弱い折りの状態であってもよい。
図3(A)は、凹凸面が折り畳まれたプリーツ部8を有する基材不織布43を備えた吸収体の具体例(第3実施形態の吸収体30)を示している。
本実施形態の吸収体30では、受液面(第1面A)側からみて、基材不織布43は、山折り部6及び谷折り部7を備えるプリーツ部8を複数有する。プリーツ部8は、第1面A側において、山折り部6の両側に、第1面A(受液面)側にむけられた露出面(山折り露出面ともいう)43Cと第1面A側とは反対面側に向けられた折り畳み面43Aとを有する。さらに、谷折り部7を境に、折り畳み面43Aと、折り畳み面43Aに対向して折り重ねられた折り重なり面43Bを有する。すなわち、プリーツ部8は、山折り露出面43C,山折り部6、折り畳み面43A、谷折り部7及び折り重なり面43Bからなる。また基材不織布43は、プリーツ部8以外の領域に、第1面A側の単層露出面43Dを有する。
吸収体30において、初期の受液時の液吸収速度を高くする観点から、少なくとも山折り露出面43C及び単層露出面43Dに吸水性ポリマー材1が複数固着されていることが好ましい。繰り返しの受液時の液吸収速度を高くする観点から、山折り露出部面43C及び折り畳み面43Aの両方に吸水性ポリマー材1が複数固着されていることがより好ましい。折り重なり面43Bにも吸水性ポリマー材1が複数固着されていることが更に好ましい。また、折り畳み面43A及び折り重なり面43Bに吸水性ポリマー材1があると、液吸収時の凹凸面の立ち上がりがより明確に生じ易くなり好ましい。
図3(B)は、図3(A)の吸収体30が液吸収したことで厚み変化した状態の一例を示している。このように液吸収によりプリーツ部8が展開されて、基材不織布43は、凸部43E及び凹部43Fを備えた基材不織布44となる。このとき、図(B)のように明確な凹凸面と成らなくても、少なくとも谷折り部7の折れ曲がりが無くなり、凹部形状が変化することが、液吸収性の向上とゲルブロッキング防止の観点から好ましい。この基材不織布43の厚み変化により、吸水性ポリマー材1ないし水膨潤した吸水性ポリマー材1Aの間隔が広がり、ゲルブロッキングを防止して更なる水膨潤を可能にする。ゲルブロッキングの防止により、液吸収速度の向上や液戻り抑制等の優れた吸収性能を実現できる。また、前述のとおり、吸水性ポリマー材1及び水膨潤した吸水性ポリマー材1Aは、繊維単位に固着されているので、脱落し難い。そのため、吸収体30は、液吸収後の保形性に優れ、型崩れし難い。
吸収体30において、ゲルブロッキングを防止し優れた吸収性能を実現する観点から、液の吸収前後における厚みの変化が2倍以上であることが好ましく、2.5倍以上であることがより好ましく、3倍以上であることが更に好ましい。また、液の吸収前後における厚みの変化は、液吸収後における装着感の向上の観点から、10倍以下であることが好ましく、8倍以下であることがより好ましく、6倍以下であることが更に好ましい。
また、吸収体30において、液吸収後の厚みは、薄型化による装着感の向上の観点から、30mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましく、20mm以下が更に好ましい。また、液吸収後の厚みは、ゲルブロッキングを防止し優れた吸収性能を実現する観点から、1.0mm以上が好ましく、1.6mm以上がより好ましく、2.0mm以上が更に好ましい。
(吸収体の厚みの測定方法)
液吸収前及び液吸収後における吸収体の厚みは次の方法により測定することができる。
(1)液吸収前(吸液前)の測定
評価対象の製品から、コールドスプレーを用いてホットメルト接着剤の接着力を弱め、各部材を丁寧に剥がして吸収体を取り出し、吸収体を幅方向に切断する。吸収体の切断面を、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000で測定する部位が十分に視野に入り測定できる大きさに拡大し、0.05kPaの圧力がかかるように重りを吸収体の上に置き、厚みを測定する。測定は、10回行い、平均値を液吸収前の吸収体の厚みとする。
(2)液吸収後(吸液後)の測定
評価対象の製品に含まれるすべてのギャザーを切り取るなどの手段で無効化し、フラットな形状にする。十分な量の人工尿(液がなくならない)に表面材側から液面に30分漬ける。表面材を下側にして金網の上に30分静置し、吸収しきれなかった液をきる。製品から各部材を丁寧に剥がして吸収体を取り出し、吸収体を幅方向に切断する。吸収体の切断面を、株式会社キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000で測定する部位が十分に視野に入り測定できる大きさに拡大し、0.05kPaの圧力がかかるように重りを吸収体の上に置き、厚みを測定する。測定は、10回行い、平均値を液吸収後の吸収体の厚みとする。
吸収体30において、液吸収時に、谷折り部7の折れ曲がりが無くなり、凹部形状の変化がより明確に生じるよう、吸水性ポリマー材1の配置を設定することが好ましい。具体的には、谷折り部7に隣接する折り畳み面43A及び折り重なり面43Bに、山折り露出面43C及び単層露出面43Dよりも吸水性ポリマー材1が多く固着されていることが好ましい。これにより、液吸収後の吸収体30の厚み増加をできるだけ抑えつつ、ゲルブロッキングを防止して、薄型化による装着感の良化と吸収性能の向上とを更に優れたものとすることができる。
上記の液吸収時の吸収体30において、谷折り部7の折れ曲がりが無くなるとは、次の方法により判断される。すなわち、液吸収前のドライ状態で図3(A)に示す谷折り部7の部分に印をつけておき、飽和吸収された後、同様に顕微鏡で観察し、印をつけた部分の角度を測定する。その角度が60度以上の場合に、折れ曲がりが無くなったとする。
また、吸収体30において、基材不織布43が第1面A及び第2面Bの両面に凹凸面を有する不織布を折り畳んだものである場合、液吸収によって、第1面A(受液面)の反対面である第2面側Bにも凹凸面が生じる。すなわち、第2面B側に凹部の空洞が生じる。第2面B側の凹部は、空隙がつながっていることで液の拡散性があがり、吸収速度が向上する。また、液の拡散性があがることで、吸水性ポリマー材1の1粒あたりの液吸収量が過剰にならず抑えられるため、液戻り量が減少する。
上記の液吸収時の吸収体30において、第2面B側に空洞が生じるとは、次の方法により判断される。すなわち、前記(吸収体の厚みの測定方法)(2)液吸収後(吸液後)の測定と同様にして、図3(B)の状態で空洞の厚みを測定し、3mm以上であると、空洞が生じたとする。
以上のとおり、本発明の吸収体は、基材不織布の凹凸面(例えば第1及び第2実施形態)の繊維、又は、前記凹凸面を折り畳んだプリーツ部を有する面(例えば第3実施形態)の繊維に吸水性ポリマー材を固着している。そのため、吸水性ポリマー材を固着するための繊維を含む構成部材として、基材不織布のみを有する構成とすることができる。これにより、本発明の吸収体は、繊維材料を極限まで減じて更なる薄型化を実現できる。また、高い液吸収速度を維持して優れた吸収性を示し、良好な装着感が得られる。
さらに、本発明の吸収体において、吸水性ポリマー材の繊維への好ましい固着態様としてつぎのような具体例が挙げられる。
図4は、吸水性ポリマー材の繊維への好ましい固着態様(第1固着態様)を示している。具体的には、吸水性ポリマー材1が固着されている繊維5が、基材不織布4における起毛した繊維51(以下、起毛繊維51ともいう。)である。起毛繊維51とは、基材不織布4の本体を構成する繊維集合部52の表面から繊維が飛び出した部分をいう。起毛繊維51は、繊維の一端が他の繊維と接合せずに自由端となって飛び出した部分であってもよく、ループ状に飛び出した部分であってもよい。このことから、起毛繊維51は、繊維集合部52よりも繊維間距離の大きい領域にある繊維であるといえる。この起毛繊維51が飛び出していることで、吸水性ポリマー材1とよく絡み、吸水性ポリマー材1と繊維が接触しやすいため、吸水性ポリマー材1の固着性が向上する。なお、起毛は、バフィング処理など通常用いられる種々の方法により行うことができる。
また、起毛繊維51は繊維集合部52の繊維よりも可動域が大きいため、吸水性ポリマー材1の水膨潤時に、起毛繊維51同士の間隔が広がりやすい。そのため、吸水性ポリマー材1が起毛繊維51に固着されていると、吸水性ポリマー材1の膨潤する余地が繊維集合部52よりも大きくなり好ましい。また、隣接する吸水性ポリマー材1同士の間隔も広がり、膨潤時のゲルブロッキング及びそれによる吸収阻害が生じ難くなり好ましい。また、肌に触れたときの柔らかさが向上する。
本発明の吸収体において、吸水性ポリマー材1の繊維5への固着の方法としては、吸水性ポリマー材1の液吸収性を阻害せず、繊維5からの脱落を防止できる方法を種々用いることができる。例えば、ホットメルト接着剤等の接着剤を微細に塗布してしたり、繊維5の表面の熱溶融により接合したりすることが挙げられる。
より固着性を高め、接着剤の液通過性低下を低減する観点から、図5(A)及び(B)に示すような固着形態とすることが好ましい。
図5(A)は、吸水性ポリマー材の繊維への好ましい固着態様(第2固着態様)を示している。具体的には、吸水性ポリマー材1の表面の一部に熱融着性の樹脂成分からなる接合基部2を設けて液吸収性複合材3としている。液吸収性複合材3は、接合基部2を介して、各繊維5の線状表面上に載置され固着される。また、第2固着態様において、液吸収性複合材3は、図5(B)に示すように、前述の第1固着態様で示した起毛繊維5に固着されることが液吸収性の観点から好ましい。
接合基部2は、吸水性ポリマー材1の全体でなく一部を覆う限り、1つの液吸収性複合材3に1つ配されていてよく、複数配されていてもよい。
液吸収性複合材3は、従来のように単に繊維同士の絡まりで担持されているではなく、熱溶融性の接合基部2を介して固着されているので、吸収体における固定性が高い。さらに言えば、液吸収性複合材3の接合基部2の樹脂成分と繊維5とが溶融して一体化された状態で接合されているため、単に接着剤等を介して接合されるものよりも接合強度が高い。これにより、液吸収前の液吸収性複合材3の移動が抑えられ、肌に触れたときの異物感が抑えられる。そのため、液吸収性複合材3の脱落防止用のコアラップシートが必要ない。また、液吸収性複合材3の固定性が高いことから、液吸収後の吸収体10の型崩れが生じ難い。異物感の抑制及び吸収体の型崩れの抑制が、吸収体の薄型化よる吸収性物品の柔らかさの向上、使用時における吸収性物品内湿度の低減とともに、装着感を向上させる。
さらに、前述した強固な溶融固着により、液吸収性複合材3は基材不織布の表面繊維への固定一体化がより強固になる。これにより、基材不織布の表面において、液吸収性複合材3の密度制御を精度よく行うことができ、該液吸収性複合材3の好適な分散配置の制御が可能となる。
液吸収性複合材3では、吸水性ポリマー材1と接合基部2とが直接的に接合されていることが好ましい。直接的な接合とは、接着剤等の介在しない接合をいう。直接的な接合としては、例えば、吸水性ポリマー材1の含水時の粘着性による接合、接合基部2の樹脂成分の溶融による接合等が挙げられる。すなわち、吸水性ポリマー材1及び接合基部2自体が有する接着性を利用して、必要最小限の接合面積で接合されることが好ましい。これにより、接合基部2が覆う部分以外の吸水性ポリマー材1の表面の液吸収性を、接着剤等で阻害せず、十分に確保することができる。液吸収性複合材3において、接合基部2の一部が吸水性ポリマー材1に埋め込まれた状態になっており、かつ接合基部2の一部が吸水性ポリマー材1の表面から外に出ている状態になっている。これにより、接合基部2は吸水性ポリマー材1から外力や膨潤した際に脱落しにくく、かつ基材不織布4の表面への溶融固着も可能になり、固定性が向上する。
接合基部2は、親水性及び疎水性のいずれも選択することができる。吸水性ポリマー材への液の引き込み性を上げる点から、接合基部2は親水性の方が好ましい。接合基部2を構成する樹脂成分自体が親水性であってもよいし、親水性の活性剤を付与してもよい。一方、接合基部2が疎水性である場合でも被覆率の制御で吸液阻害を起こさないように制御することができる。
接合基部2を構成する樹脂成分は、上記の繊維5との溶融固着のため、熱溶融性を有する。
前記樹脂成分としては、特に制限なく種々のものを用いることができる。具体的には、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、プロピレンとαオレフィンとからなる結晶性プロピレン共重合体等のポリオレフィン類;ポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ジオールとテレフタル酸/イソフタル酸等を共重合した低融点ポリエステル、ポリエステルエラストマー等のポリエステル類;フッ素樹脂等が挙げられる。
接合基部2の形状は、吸水性ポリマー材1の表面に接合できるものであれば特に制限されず種々のものを採用できる。例えば、繊維状、粒状(パウダー)が挙げられる。吸水性ポリマー材1の表面に均一に接合基部2を付着させ、固定性を向上させる観点から、粒状(パウダー)であることが好ましい。粒状(パウダー)である場合、繊維5への固着性の観点から、球形状であることがより好ましい。
接合基部2の大きさは、吸水性ポリマー材1の表面の一部を覆う大きさであり、吸水性ポリマー材1よりも小さいものである。接合基部2が粒状(パウダー)の樹脂成分からなる場合、平均粒径は小さい程パッキング性が良くなるが、下記の範囲であれば、吸水性ポリマー材1の表面を接合基材2で覆う際に隙間が生じ、吸水性ポリマー材1の吸水性を発揮することができ好ましい。この観点から、10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましく、20μm以上が更に好ましい。前記平均粒径は、下記の範囲であれば、吸水性ポリマー材1に接合基材2が接合された後、外力により接合基材2が吸水性ポリマー材1から脱落しにくく好ましい。この観点から、100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、65μm以下が更に好ましい。具体的には、前記平均粒径は、10μm以上100μm以下が好ましく、15μm以上80μm以下がより好ましく、20μm以上65μm以下が更に好ましい。なお、接合基部2の樹脂成分の平均粒径は、後述する(平均粒径の測定方法)で測定される粒径である。
本発明において、吸水性ポリマー材1は、水を吸収することによってゲル状になり水を保持し得るものである。吸収した水の保持性ため、表面架橋された高分子材料である。自重の20倍以上の液を吸収・保持できゲル化し得るものが好ましい。
吸水性ポリマー材1としては、吸収体に用いられるものを特に制限なく種々採用することができる。例えば、アクリル酸又はアクリル酸塩を主成分とし、場合によって架橋剤を添加してなる水溶性のエチレン性不飽和モノマーを重合させて得られるヒドロゲル材料が挙げられる。また、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、スルホン化ポリスチレン及びポリビニルピリジンの架橋物、デンプン−ポリ(メタ)アクリロニトリルグラフト共重合物のケン化物、デンプン−ポリ(メタ)アクリル酸グラフト共重合物、デンプン−ポリ(メタ)アクリルエステルグラフト共重合物の加水分解物などが挙げられる。これらの吸水性ポリマー材は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
吸水性ポリマー材1の形状は、吸収体に用いられる種々ものを特に制限なく用いることができる。例えば、球状、粒状、繊維状、俵状、塊状などが挙げられる。
吸水性ポリマー材1の大きさは、吸収体10の液吸収性に寄与し、吸水前の状態及び吸水後の膨潤した状態いずれにおいても繊維5への固着が保持される範囲で設定されることが好ましい。具体的には、吸水性ポリマー材1が粒状である場合、吸水性ポリマー材1の平均粒径は、吸収体10の液吸収性の観点から、膨潤する前の状態で、200μm以上が好ましく、250μm以上がより好ましく、300μm以上が更に好ましい。また、前記平均粒径は、繊維5への固着性の観点から、1000μm以下が好ましく、650μm以下がより好ましく、500μm以下が更に好ましい。具体的には、前記平均粒径は200μm以上1000μm以下が好ましく、250μm以上650μm以下がより好ましく、300μm以上500μm以下が更に好ましい。なお、吸水性ポリマー材1が「膨潤する前の状態」とは、室温22℃、湿度50%で平衡状態に達した後の状態をいう。吸水性ポリマー材1の平均粒径は、後述する(平均粒径の測定方法)で測定される粒径である。
(平均粒径の測定方法)
吸水性ポリマー材1及び接合基部2の平均粒径は下記の方法により測定される値である。
まず、市販の製品等から分析する場合には、有機溶媒を用いて、接着剤を溶解させ、吸収性ポリマーが固着した不織布を取り出す。次いで、日本電子株式会社製の走査電子顕微鏡JCM−5100(商品名)を使用し、基材不織布4に固着されている液吸収性複合材3を撮影する(測定する吸水性ポリマー材1又は接合基部2が測定できる倍率に調整、20サンプル測定)。撮影した画像の長軸径を粒径とし、20サンプルの平均値を平均粒径とする。なお、吸水性ポリマー材1と接合基部2の見分け方は、吸水により形状変形を起こすかどうかで判別できる。
第2固着態様の液吸収性複合材3においては、吸収性ポリマー1と接合基部2とが次の関係であることが好ましい。
すなわち、吸収性ポリマー1及び接合基部2が粒状である場合、接合基部2の平均粒径は、吸水性ポリマー材1の平均粒径よりも小さいことが好ましい。液吸収性複合材3における吸水性ポリマー材1と接合基部2の平均粒径の比は、5:1〜100:1であることが好ましく、8:1〜70:1であることがより好ましく、10:1〜50:1であることが更に好ましい。これにより、吸水性ポリマー材1の表面を接合基材2で覆う際に隙間が生じ、吸水性ポリマー材1の吸水性を発揮することができる。
第2固着態様の液吸収性複合材3において、吸水性ポリマー材1の表面における接合基部2の被覆の程度は、繊維5への固着性(安定性)と吸水性ポリマー材1の吸水性との関係で設定できる。繊維5への固着性の観点からは、吸水性ポリマー材1の表面における接合基部2の被覆の程度は高いほど好ましい。一方、吸水性ポリマー材1の吸水性の観点からは、吸水性ポリマー材1の表面における接合基部2の被覆の程度は低いほど好ましい。前記被覆の程度は、両性能のバランスを考慮して設定できる。
吸水性ポリマー材1の表面における接合基部2の被覆の程度は、例えば、液吸収性複合材3における吸水性ポリマー材1と接合基部2の質量比として示すことができる。なお、接合基部2の質量とは、1つの液吸収性複合材3において接合基部2として存在する樹脂成分全体の質量である。したがって、接合基部2が1つの液吸収性複合材3に複数ある場合は、該複数の接合基部2の樹脂成分の合計質量である。液吸収性複合材3における吸水性ポリマー材1と接合基部2の質量比は、30:1〜2:1であることが好ましく、15:1〜3:1であることがより好ましく、10:1〜4:1であることが更に好ましい。
また、吸水性ポリマー材1の表面における接合基部2の被覆の程度は、下記のSEM観察による測定により得られる接合基部2の被覆率(面積率)として示すこともでいる。該被覆率は、6%以上80%以下であることが好ましく、8%以上60%以下であることがより好ましく、10%以上40%以下であることが更に好ましい。
(被覆率の測定方法)
液吸収性複合材3における接合基部2の被覆率は、次の方法により測定することができる。
日本電子株式会社製の走査電子顕微鏡JCM−5100(商品名)を使用し、液吸収性複合材3を静置し、サンプルの測定する面に対して垂直の方向から撮影した画像(測定する液吸収性複合材3が測定できる倍率に調整)を印刷し、透明PET製シート上に液吸収性複合材3全体の面積と、接合基部2それぞれの面積をなぞる。前記の画像を二値化処理する。前記二値化した画像を用い、液吸収性複合材3の面積と接合基部2の面積を得る。被覆率(%)=接合基部2の合計面積/液吸収性複合材3の面積×100として算出する。測定は10ヶ所行い、平均して被覆率とする。
本発明の吸収体において、基材不織布は、吸収性物品に用いられる種々の不織布を特に制限なく用いることができる。例えば、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布、立体賦形不織布と呼ばれている不織布などが挙げられる。
また、基材不織布に用いることができる繊維材料は特に制限されない。特に、液吸収性複合材3の接合基部2との固着性の観点から、接合基部2との相溶性の高い成分が表面にある繊維を用いることが好ましい。接合基材2と基材不織布4に用いる繊維材料は同じ樹脂であることが更に好ましい。例えば、次の繊維などが挙げられる。すなわち、ポリエチレン(PE)繊維、ポリプロピレン(PP)繊維等のポリオレフィン繊維;ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等の熱可塑性樹脂を単独で用いてなる繊維;芯鞘型、サイドバイサイド型等の構造の複合繊維、例えば鞘成分がポリエチレン又は低融点ポリプロピレンである芯鞘構造の繊維が好ましく挙げられる。該芯/鞘構造の繊維の代表例としては、PET(芯)とPE(鞘)、PP(芯)とPE(鞘)、PP(芯)と低融点PP(鞘)等の芯鞘構造の繊維が挙げられる。更に具体的には、上記構成繊維は、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維等のポリオレフィン系繊維、ポリエチレン複合繊維、ポリプロピレン複合繊維を含むのが好ましい。ここで、該ポリエチレン複合繊維の複合組成は、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンであり、該ポリプロピレン複合繊維の複合組成が、ポリエチレンテレフタレートと低融点ポリプロピレンであるのが好ましく、より具体的には、PET(芯)とPE(鞘)、PET(芯)と低融点PP(鞘)が挙げられる。また、これらの繊維は、単独で用いて不織布を構成してもよいが、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
このように、本発明の吸収体は、吸水性ポリマー材1又は液吸収性複合体3の基材不織布への固定性が高く、脱落が抑制されている。そのため、本発明の吸収体は、従来ものから更なる薄型化とともに、液吸収前の吸水性ポリマー材1又は液吸収性複合体3の脱落及び移動が抑えられ、肌に触れたときの異物感が抑えられる。すなわち、吸収体の薄型化による吸収性物品の柔らかさの向上とともに、前記異物感が抑えられて、装着感が向上する。さらに吸収後において、吸水性ポリマー材1又は液吸収性複合体3の脱落による吸収体の型崩れが抑えられ、この点からも装着感が向上する。
また、本発明の吸収体は、吸水性ポリマー材1又は液吸収性複合体3が基材不織布の凹凸面の表面に露出して分散固定されているので、液膨潤を許容する空間を大きく有し、液吸収阻害の原因となるゲルブロッキングが生じ難い。特に、凹凸面をプリーツ折りした不織布を基材不織布として用いていると、液吸収前後の厚みの動的変化により、吸水性ポリマー材1又は液吸収性複合体3の分散性がより高まり、ゲルブロッキングが更に抑えられて液吸収性能が向上する。
さらに、本発明の吸収体は、更なる薄型化の実現により、下層にパルプ繊維と吸水性ポリマー材との混合吸収層を積層するだけで、吸収性能を好適に制御できる。
次に、本発明の吸収体及び液吸収性複合材3の好ましい製造方法について説明する。
本発明の吸収体の製造方法の好ましい形態としては、基材不織布4に対して吸水性ポリマー材1を固着させる方法、液吸収性複合材3を固着させる方法とが挙げられる。
基材不織布4に対して吸水性ポリマー材1を固着させる場合、次のような工程含む製造方法が挙げられる。
すなわち、基材不織布となる原料不織布に対して、接着剤を塗工する。次いで、接着剤の上から吸水性ポリマー1を散布する。更に吸収性ポリマー1の脱落及び移動を抑える目的で、必要に応じて吸収性ポリマー材1の上から接着剤を塗工する。その後、基材不織布4上の繊維と吸収性ポリマーが接触しやすくする目的で、必要により、吸収性ポリマー材1の上から加圧することが好ましい。この時点での加圧は、5kgのローラーを1往復させる程度の加圧とすることが好ましい。なお、原料不織布は、通常、長尺でロール状にされたものから巻き出されて使用するため、液吸収性複合材を散布する前に、必要により熱風回復処理しておくことが好ましい。また、散布前に必要により毛羽加工しておくことが好ましい。
一方、基材不織布4に対して液吸収性複合材3を固着させる場合、次のような(1)及び(2)の工程を含む製造方法が挙げられる。
(1)液吸収性複合材の形成工程
予め準備した吸水性ポリマー材に加水して混練する。次いで、熱融着性を有する樹脂成分を添加して混練する。前記加水により吸水性ポリマー材の表面に粘着性を生じさせ、これにより熱溶融性の樹脂成分からなる接合基部を形成し易くする。そのため、加水は、粘着性を生じさせる程度であればよい。具体的には、吸水性ポリマー材に対する質量比で、水を10倍程度加えることが好ましい。吸水性ポリマー材としては、吸収性物品等に通常用いられるものを特に制限なく用いることができる。
次いで、加水し前記樹脂成分を添加した吸水性ポリマー材に対し、乾燥、粉砕、分級などの処理を行って、本発明の吸収体に用いられる液吸収性複合材を得る。
なお、上記混練、乾燥、粉砕及び分級には、通常用いられる装置を特に制限なく用いることができる。
(2)液吸収性複合材の固着工程
基材不織布となる原料不織布に対して、吸水性ポリマー材1又は液吸収性複合材3を散布する。その後、基材不織布上の繊維と液吸収性複合材が接触しやすくする目的で、必要により、液吸収性複合材の上から加圧することが好ましい。この時点での加圧は、5kgのローラーを1往復させる程度の加圧とすることが好ましい。なお、原料不織布は、通常、長尺でロール状にされたものから巻き出されて使用するため、液吸収性複合材を散布する前に、必要により熱風回復処理しておくことが好ましい。また、散布前に必要により毛羽加工しておくことが好ましい。
次いで、液吸収性複合材を散布した基材不織布に対して加熱処理を行って、接合基部及び基材不織布の繊維を溶融一体化させる。ここでの加熱処理は、通常不織布に用いられる方法を特に制限なく採用することができる。その加熱温度は、基材不織布の繊維の融点又は接合基部の融点のうち、高い融点に対して3℃から50℃高いことが好ましく、5℃から30℃高いことがより好ましい。また、熱風の風速は、1m/s以上10m/s以下に設定され、好ましくは1.5m/s以上8m/s以下に設定される。この熱風の風速は、遅すぎると基材不織布の繊維及び接合基部への熱伝達ができず、融着固着せずに固定性が不十分になる。一方、風速が速すぎると、繊維へ熱が当たりすぎるため、基材不織布の風合いが悪くなる傾向となる。
なお、基材不織布4に対して吸水性ポリマー材1を固着させる場合、液吸収性複合材3を固着させる場合のいずれの場合であっても、基材不織布4をプリーツ折りすることがより好ましい。基材不織布4をプリーツ折りしたものとする場合、原料不織布は凹凸面を有するものを用い、前記加熱処理の後にプリーツ折り加工を行うことが好ましい。すなわち、前記加熱処理後に加圧処理を行って、プリーツ折りの形成を行う。これにより、プリーツ折りされる凹凸面に液吸収性複合材を均等散布することができ、液吸収性能の観点から好ましい。プリーツ折りのための加圧処理の方法としては、不織布等に対し通常用いられる加圧手段を特に制限なく採用できる。ここでの加圧の程度は、吸収前厚みを制御するために適宜調整できる。
本発明の吸収体は、種々の分野に適用できる。例えば生理用ナプキン、パンティライナー、使い捨ておむつ、失禁パッドなどの身体から排出される液の吸収に用いられる吸収性物品に液保持部として好適に用いられる。
本発明の吸収体を含む吸収性物品は、典型的には、前記吸収体を肌側の表面シートと非肌側の裏面シートとで挟持して構成される。吸収性物品の構成部材には、当該技術分野において通常用いられている材料を特に制限無く用いることができる。例えば、表面シートとしては、液透過性のある肌触りの柔らかいものを用いることができ、例えば、エアスルー不織布等の各種の不織布などが挙げられる。また、表面シートは、複数の不織布からなるものでもよく、不織布と他の素材との組み合わせからなるものであってもよい。裏面シートとしては、熱可塑性樹脂のフィルムや、該フィルムと不織布とのラミネート等の液不透過性ないし撥水性のシートを用いることができる。裏面シートは水蒸気透過性を有していてもよい。吸収性物品は更に、該吸収性物品の具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。例えば吸収性物品を使い捨ておむつや生理用ナプキンに適用する場合には、表面シート上の左右両側部に一対又は二対以上の立体ガードを配置することができる。
上述した実施形態に関し、本発明は更に以下の吸収体、該吸収体を含む吸収性物品及び吸収体の製造方法を開示する。
<1>
少なくとも一方の面側に凸部及び凹部を備えた凹凸面を有する基材不織布と、該基材不織布の前記凹凸面の繊維に固着された吸水性ポリマー材とを有する吸収体。
<2>
前記吸水性ポリマー材が前記凸部及び前記凹部の両方に固着されている前記<1>に記載の吸収体。
<3>
前記基材不織布は、液吸収前には前記凹凸面が折り畳まれた状態にされており、前記一方の面側から見た山折り部及び谷折り部を備えるプリーツ部を有している、前記<1>又は<2>に記載の吸収体。
<4>
前記プリーツ部は、前記山折り部の両側に、前記一方の面側に向けられた露出面と前記一方の面側とは反対面側に向けられた折り畳み面とを有し、前記露出面及び前記折り畳み面の両方に前記吸水性ポリマー材が固着されている前記<3>に記載の吸収体。
<5>
前記吸収体の液吸収前の厚みは、3.0mm以下が好ましく、2.5mm以下がより好ましく、2.0mm以下が更に好ましく、また、0.5mm以上が好ましく、0.8mm以上がより好ましく、1.0mm以上が更に好ましい、前記<1>〜<4>のいずれか1に記載の吸収体。
<6>
前記吸収体の液吸収後の厚みは、30mm以下が好ましく、25mm以下がより好ましく、20mm以下が更に好ましく、また、1.0mm以上が好ましく、1.6mm以上がより好ましく、2.0mm以上が更に好ましい、前記<1>〜<5>のいずれか1に記載の吸収体。
<7>
液吸収によって、厚みが液吸収前に比べて2倍以上に変化する前記<1>〜<6>のいずれか1に記載の吸収体。
<8>
液吸収によって、前記谷折り部の折れ曲がりがなくなる前記<3>〜<7>のいずれか1に記載の吸収体。
<9>
液吸収によって、前記凹凸面の反対面側に空洞が生じる前記<3>〜<8>のいずれか1に記載の吸収体。
<10>
前記吸収体は、繊維層として、前記基材不織布のみを有する前記<1>〜<9>のいずれか1に記載の吸収体。
<11>
前記吸水性ポリマー材が固着されている前記繊維が、前記基材不織布における起毛した繊維である、前記<1>〜<10>のいずれか1に記載の吸収体。
<12>
前記吸水性ポリマー材が、表面の一部に熱溶融性の樹脂成分からなる接合基部を有し、前記接合基部を介して基材不織布上の繊維に固着されている、前記<1>〜<11>のいずれか1に記載の吸収体。
<13>
前記基材不織布が有する前記一方の面側の前記凹凸面には、複数の凸部及び凹部が、基材不織布の平面視した際の交差する方向のそれぞれの方向に交互に配置されている、前記<1>〜<12>のいずれか1に記載の吸収体。
<14>
凹凸の起伏のある前記凹凸面の前記凸部及び前記凹部の両方の表面繊維に吸水性ポリマー材が露出して固着されている、前記<13>に記載の吸収体。
<15>
前記一方の面側とは反対側の面側にも凹凸面を有し、該凹凸面には、複数の凸部及び凹部が、基材不織布の平面視した際の交差する方向のそれぞれの方向に交互に配置されている、前記<13>又は<14>に記載の吸収体。
<16>
前記基材不織布が有する前記一方の面側に、筋状に延びた凸部及び凹部を有し、複数の凸部及び凹部が、不織布を平面視した際の一方向に交互に配置されて前記一方の面側の凹凸面をなす、前記<1>〜<12>のいずれか1に記載の吸収体。
<17>
前記一方の面側とは反対側の面側には、筋状に延びた複数の凸部及び凹部が交互に配された凹凸面を有する、前記<16>に記載の吸収体。
<18>
前記吸水性ポリマー材は、前記吸収体の前記凹凸面に沿って平面方向に分散して固着されている、前記<1>〜<17>のいずれか1に記載の吸収体。
<19>
前記基材不織布と前記吸水性ポリマー材のみから構成される前記<1>〜<18>のいずれか1に記載の吸収体。
<20>
前記吸水性ポリマー材は、前記基材不織布の表面繊維に直接固着されている前記<1>〜<19>のいずれか1に記載の吸収体。
<21>
前記吸水性ポリマー材は、前記一方の面側及び該一方の面側とは反対側の面側の両面に配されている前記<1>〜<20>のいずれか1に記載の吸収体。
<22>
前記凹凸面と前記吸水性ポリマー材との組み合わせを有する面を肌面側にむけて配置される、前記<1>〜<21>のいずれか1に記載の吸収体。
<23>
前記プリーツ部は、前記谷折り部を境に、折り畳み面と、該折り畳み面に対向して折り重ねられた折り重なり面を有し、前記折り畳み面及び前記折り重なり面に前記吸水性ポリマー材がある、前記<3>〜〜<22>のいずれか1に記載の吸収体。
<24>
前記吸水性ポリマー材の表面に熱溶融性の樹脂成分を含む接合基部を有して液吸収性複合材とされ、前記接合基部を介して、前記液吸収性複合材が前記基材不織布上の繊維に固着されている、前記<1>〜〜<23>のいずれか1に記載の吸収体。
<25>
前記液吸収性複合材における、前記吸水性ポリマー材と前記接合基部との質量比は、30:1〜2:1である、前記<24>に記載の吸収体。
<26>
前記<1>〜<25>のいずれか1に記載の吸収体を含む吸収性物品。
<27>
前記基材不織布となる原料不織布に対して、前記吸水性ポリマー材に接合基部を備える液吸収性複合材を散布し、次いで、該液吸収性複合材を散布した基材不織布に対して加熱処理を行って、前記接合基部及び前記基材不織布の繊維を溶融一体化させる工程を有する、吸収体の製造方法。
<28>
前記原料不織布として凹凸面を有するものを用い、前記加熱処理の後に、加圧処理を行ってプリーツ折りを形成する、前記<27>に記載の吸収体の製造方法。
<29>
前記吸収性ポリマー材に加水して混練し、次いで、熱融着性を有する樹脂成分を添加して混練して、前記吸水性ポリマー材の表面に前記樹脂成分からなる接合基部を設けて、前記液吸収性複合材を形成する工程と、
前記基材不織布となる原料不織布に対して、前記液吸収性複合材を散布し、次いで、該液吸収性複合材を散布した基材不織布に対して加熱処理を行って、前記接合基部及び前記基材不織布の繊維を溶融一体化させる工程と、
を有する吸収体の製造方法。
以下、本発明を実施例に基づきさらに詳しく説明するが、本発明はこれにより限定して解釈されるものではない。なお、本実施例において「部」および「%」とは特に断らない限りいずれも質量基準である。
(実施例1)
(1)液吸収性複合材の調製
前述した(液吸収性複合材の製造方法)に基づいて液吸収性複合材を調製した。具体的には、花王株式会社製、商品名「メリーズパンツさらさらエアスルーLサイズ」(2016年製)の吸収体から取り出した吸水性ポリマー30gに300gのイオン交換水を加えニーダーで5分間混合しながら均等に膨潤させた。次いで、接合基部となる熱溶融性の樹脂成分であるポリエチレンパウダー「XM−220」(商品名、三井化学株式会社製)5.0gを前記ニーダーに投入して更に10分間混合した。その後、電気乾燥機を用いて、105℃にて8時間乾燥を行った。次いで、粉砕機(大阪ケミカル製、ワンダークラッシャーWC−3L)を用いて粉砕し、電磁ふるいを用いて分級を行い、106μmより小さい粒径、850μmより大きい粒径を除去することで、実施例1の液吸収性複合材を得た。この液吸収性複合材における接合基部の被覆率は、前述した(被覆率の測定方法)に基づいて測定した結果、24%であった。
(2)吸収体の作製
特開2012−136791実施例1記載の方法において、繊維ウエブに噴き付ける熱風の温度を140℃、風速を50m/秒に変更した方法を用いて、厚みを出しつつ、凹凸面を有する基材不織布41を作製した。この不織布の該公報中の説明における第1突出部面をバフィングで起毛処理した。該基材不織布の大きさは、135mm×280mmとした。この基材不織布の構成繊維は芯がポリエチレンテレフタレート(融点258℃)で鞘がポリエチレン(融点135℃)からなる2.4dtex×51mmの芯鞘型複合繊維を用いた。
前記基材不織布の起毛処理した1面に上述の液吸収性複合材を7.2g散布し、飛散しないように5kgのローラーを1往復させて加圧した。次いで、140℃の熱風を風速1.4m/sで3分間を吹き付ける熱風処理を行い、液吸収性複合材の接合基部及び基材不織布の構成繊維の表面成分を溶融一体化させる処理を行った。すなわち、液吸収性複合材を接合基部を介して基材不織布の繊維に固着させる処理を行った。次いで、カレンダロールにより加圧処理を行って図3(A)に示す形態のプリーツ折りを行い、実施例1の吸収体試料S1を作製した。作製した吸収体試料S1の厚みは、前述した測定方法により測定して、1.2mmであった。このようにして、液吸収前は厚みを薄くして、液吸収後は厚みが出るような形態の吸収体試料を作製した。
この吸収体試料S1について、図6(A)〜(D)に示す撮像した画像を取得した。図6(A)及び(B)に示す通り、液吸収性複合材3は基材不織布の繊維5の表面に接合されていた。また、図6(C)及び(D)に示す通り、液吸収性複合材3には、熱溶融性の樹脂成分であるポリエチレンパウダーからなる接合基部2が複数、吸水性ポリマー材1の表面に形成されていた。液吸収性複合材は、該接合基部を介して基材不織布の繊維に固着されていることを確認した。以下、実施例2〜5においても同様であった。
(3)おむつの作製
花王株式会社製、商品名「メリーズパンツさらさらエアスルーLサイズ」(2016年製)から吸収体を取り除き、その代わりに、吸収体試料S1を導入し、評価用のベビー用おむつを得た。
(実施例2)
接合基部となるポリエチレンパウダーの量を1.0gとし、被覆率を8%とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の吸収体試料S2を作製した。また、別途、吸収体試料S2を用いて、実施例1と同様にして、実施例2の評価用のベビー用おむつを得た。
(実施例3)
接合基部となるポリエチレンパウダーの量を15.0gとし、被覆率を73%とした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の吸収体試料S3を作製した。また、別途、吸収体試料S3を用いて、実施例1と同様にして、実施例3の評価用のベビー用おむつを得た。
(実施例4)
基材不織布に起毛処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、実施例4の吸収体試料S4を作製した。また、別途、吸収体試料S4を用いて、実施例1と同様にして、実施例4の評価用のベビー用おむつを得た。
(比較例1)
基材不織布を、両面が凹凸面のない平坦な形状のものを用いた以外は、実施例1と同様にして、比較例1の吸収体試料C1を作製した。また、別途、吸収体試料C1を用いて、実施例1と同様にして、比較例1の評価用のベビー用おむつを得た。
(比較例2)
基材不織布を、両面が凹凸面のない平坦な形状のものを用いた以外は、実施例4と同様にして、比較例2の吸収体試料C2を作製した。また、別途、吸収体試料C2を用いて、実施例1と同様にして、比較例2の評価用のベビー用おむつを得た。
(比較例3)
吸収体の液保持部を、坪量225g/mのパルプ繊維と坪量190g/mの吸水性ポリマー材(実施例1と同様のもの)との混合積繊体とし、両面が凹凸面のない平坦な形状とし、その外表面をティッシュペーパーで被覆した吸収体を作製した。これを比較例3の吸収体試料C3とした。また、別途、吸収体試料C3を用いて、実施例1と同様にして、比較例3の評価用のベビー用おむつを得た。
(比較例4)
パルプ繊維の坪量を75g/mとした以外は、比較例3と同様にして、比較例4の吸収体試料C4を作製した。また、別途、吸収体試料C4を用いて、実施例1と同様にして、比較例4の評価用のベビー用おむつを得た。
(試験)
1.各吸収体試料の厚みの測定
前述した(吸収体の厚みの測定方法)の、(1)液吸収前(吸液前)の測定及び(2)液吸収後(吸液後)の測定に記載した各測方法に基づいて、実施例1〜4、比較例1〜4の各吸収体試料の吸液前及び吸液後の厚みを測定した。
2.固定性
吸収体の中心を幅方向に切断する。切断面を下に向けて、手で50回振とうした。
担持率=(振とう前の吸水性ポリマー材重量(g)-脱落した吸水性ポリマー材重量(g))/振とう前の吸水性ポリマー材重量(g)x100
で算出した。
3.吸収時間(sec)
吸収時間の測定は、評価対象のおむつ上に3.5kPaの圧力を均等にかけ、試験体のほぼ中央に設置した断面積1000mmの筒を当て、そこから人口尿を注入した。10分ごとに40gずつ4回にわたり、計160gの人工尿を注入し、4回目の注入の際に円筒から液がおむつ表面から全てなくなる時間を測定した。3回測定し、その平均を吸収時間とした。
前記測定方法で用いた人工尿の組成は次の通り。尿素1.94質量%、塩化ナトリウム0.7954質量%、硫酸マグネシウム(七水和物)0.11058質量%、塩化カルシウム(二水和物)0.06208質量%、硫酸カリウム0.19788質量%、ポリオキシエチレンラウリルエーテル0.0035質量%及びイオン交換水(残量)。
上記の各試験の結果は下記表1に示す通りであった。
上記表1に示す通り、比較例1及び2では、平坦な基材不織布に液吸収性複合材を固着させて厚みが1mm未満と薄型化されていた一方で、吸収時間が300秒を越えても液が入らなくなってしまっていた。これは、基材不織布が平坦であったため、吸液時の液吸収性複合材(吸水性ポリマー材)の膨潤空間を確保することが出来ず、ゲルブロッキングを引き起こしていたことによると思われる。また、比較例3及び4は、パルプ繊維を含む厚みのある吸収体で、吸収時間は80秒、95秒と、比較例1及び2より短時間であった。比較例3においては、比較例1及び2よりも吸収体試料の厚みがある分、吸水性ポリマー材の距離があり、ゲルブロッキングを起こし難いので、吸収速度が比較例1及び2より速かった。比較例4においては、比較例3よりもパルプ繊維坪量を下げて厚みを薄くした分、比較例3よりもゲルブロッキングが見られ吸収速度が下がっていた。固定性も比較例3よりも悪かった。これら比較例3及び4は、液吸収前の厚みにより吸収速度を上げていることから、吸収体の薄型化と液吸収性の向上とは両立できていなかった。
これに対し、実施例1〜4は、凹凸の基材不織布に液吸収性複合材を固着させて薄型化され、同時に、4回合計160gの人工尿を全て吸収することができ、しかも時間は23秒〜45秒の間で1分もかからなかった。これは、同じ薄型化した比較例1及び2が達成し得ない優れた吸収時間であり、また、パルプ繊維を含む比較例3及び4の約4分の1の吸収時間で、吸収性能に優れていた。これは、基材不織布を凹凸にして液吸収性複合材を凹凸面に分散させて固着させていたこで、吸液時の液吸収性複合材(吸水性ポリマー材)の膨潤空間を確保することができ、ゲルブロッキングを防止できたものと思われる。
すなわち、実施例1〜4は、薄型化と液吸収の向上とを両立できていた。
また、実施例1〜4において、液吸収前の厚みと液吸収後の厚みの差があるほど吸水性ポリマー材の距離が離れやすく(膨らむ空間が確保でき)、吸収速度が速くなっていた。また、第2面側の空洞が生じるほどに液拡散も増し、更に吸収速度が向上することが確認された。
1 吸水性ポリマー材
2 接合基部
3 液吸収性複合材
4、41、42、43、44 基材不織布
5 繊維
10、20、30 吸収体

Claims (10)

  1. 少なくとも一方の面側に凸部及び凹部を備えた凹凸面を有する基材不織布と、該基材不織布の前記凹凸面の繊維に固着された吸水性ポリマー材とを有する吸収体。
  2. 前記吸水性ポリマー材が前記凸部及び前記凹部の両方に固着されている請求項1記載の吸収体。
  3. 前記基材不織布は、液吸収前には前記凹凸面が折り畳まれた状態にされており、前記一方の面側から見た山折り部及び谷折り部を備えるプリーツ部を有している、請求項1又は2記載の吸収体。
  4. 前記プリーツ部は、前記山折り部の両側に、前記一方の面側に向けられた露出面と前記一方の面側とは反対面側に向けられた折り畳み面とを有し、前記露出面及び前記折り畳み面の両方に前記吸水性ポリマー材が固着されている請求項3記載の吸収体。
  5. 液吸収によって、厚みが液吸収前に比べて2倍以上に変化する請求項3又は4に記載の吸収体。
  6. 液吸収によって、前記谷折り部の折れ曲がりがなくなる請求項3〜5のいずれか1項に記載の吸収体。
  7. 液吸収によって、前記凹凸面の反対面側に空洞が生じる請求項3〜6のいずれか1項に記載の吸収体。
  8. 前記吸収体は、繊維層として、前記基材不織布のみを有する請求項1〜7のいずれか1項に記載の吸収体。
  9. 前記吸水性ポリマー材が、表面の一部に熱溶融性の樹脂成分からなる接合基部を有し、前記接合基部を介して基材不織布上の繊維に固着されている、請求項1〜8のいずれか1項に記載の吸収体。
  10. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の吸収体を含む吸収性物品。

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