JP2017221275A - 吸収体 - Google Patents
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Abstract
Description
吸水性ポリマー材は、例えば自重の数十倍の液体を吸収して膨潤しながら該液体を内部に保持し閉じ込めることができ、パルプ繊維よりも液吸収保持性能が高い。一方で、吸水性ポリマー材は、吸水により膨潤するとゲル化する。吸収体内において、受液面に近い側で先にゲル化した吸水性ポリマー材がゲル層を形成し、液の透過や拡散を阻害(ゲルブロッキング)することがある。これにより、吸収体内での液の通液性が阻害され、液吸収速度が低下しかねない。この場合、液量が多くなり過ぎると、液残りやそれに伴う肌側への液戻りが生じることがある。
この問題に対して、特許文献1では、吸水性ポリマー材に繊維を含有させた複合物として用いることが記載されている。これにより、繊維の持つ水分の捕獲性等が吸水性ポリマー材に付与され、液の吸収速度に寄与するとされる。
特許文献2では、繊維を埋め込んだ複合吸収材を、脱落防止の観点から、綿状やシート状のセルロース系繊維と混合ないし積層して用いることが記載されている。同様に、特許文献3には、吸水性樹脂粒子の繊維への固着性を高める観点から、前記吸水性樹脂粒子と熱融着性樹脂粉末とを特定の重量比で混合することが記載されている。特許文献4には、高吸収性ポリマーの移動を防止する観点から、前記高吸収性ポリマーを繊維シートの起毛領域に配して担持性を高めることが記載されている。
吸収体の薄型化は、吸収性物品の柔らかさの向上による装着感の向上に寄与する。また、吸収体の薄型化は、吸収性物品の装着が着衣の外側から気づかれない自然な外観を作り出す。
しかし、パルプ繊維の量を低減していくと、吸水性ポリマー材の担持力(固定性)が大きく低下してしまう。それにより、吸水性ポリマー材が吸収性物品内で移動しやすくなり、肌に触れた際に擦れるなどして違和感を覚えかねないという問題が生じる。例えば、液吸収前の吸水性ポリマー材が粒状であれば粒の移動により異物感が生じてしまう。特に吸収体の薄型化により、むしろその異物感がより強調されやすい。また、液吸収の場面では固定されない吸水性ポリマー材が吸水によって膨潤すると、着用者の動きによって吸収体の型崩れや破壊を引き起こし、吸水性ポリマー材が存在しない部分が出来てしまうため、吸収性能が悪化しかねない。
このように、吸収体の薄型化が吸水性ポリマー材の固定性の低下を招き、異物感や、吸収体の型崩れや破壊につながり、吸収体の薄型化と良好な装着感とが両立し難い。更なる薄型化に伴う違和感や異物感を解消することについて、特許文献1等には記載はない。
加えて、吸収体10においては、上記の強固な溶融固着により、液吸収性複合材3は、基材不織布4の表面に露出して固定されている。したがって、液吸収性複合材3を構成する吸水性ポリマー材1は、従来の、吸水性ポリマー材を繊維シート間に挟持固定したものや、吸水性ポリマー材を袋状部に閉じ込めたものに比べて、液膨潤を許容する空間を大きくとることができる。これにより、液吸収阻害の原因となるゲルブロッキングを抑制することができる。
前記樹脂成分としては、特に制限なく種々のものを用いることができる。具体的には、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、プロピレンとαオレフィンとからなる結晶性プロピレン共重合体等のポリオレフィン類;ポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ジオールとテレフタル酸/イソフタル酸等を共重合した低融点ポリエステル、ポリエステルエラストマー等のポリエステル類;フッ素樹脂等が挙げられる。
吸水性ポリマー材1としては、吸収体に用いられるものを特に制限なく種々採用することができる。例えば、アクリル酸又はアクリル酸塩を主成分とし、場合によって架橋剤を添加してなる水溶性のエチレン性不飽和モノマーを重合させて得られるヒドロゲル材料が挙げられる。また、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、スルホン化ポリスチレン及びポリビニルピリジンの架橋物、デンプン−ポリ(メタ)アクリロニトリルグラフト共重合物のケン化物、デンプン−ポリ(メタ)アクリル酸グラフト共重合物、デンプン−ポリ(メタ)アクリルエステルグラフト共重合物の加水分解物などが挙げられる。これらの吸水性ポリマー材は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
吸水性ポリマー材1及び接合基部2の平均粒径は下記の方法により測定される値である。
まず、市販の製品等から分析する場合には、有機溶媒を用いて、接着剤を溶解させ、吸収性ポリマーが固着した不織布を取り出す。次いで、日本電子株式会社製の走査電子顕微鏡JCM−5100(商品名)を使用し、基材不織布4に固着されている液吸収性複合材3を撮影する(測定する吸水性ポリマー材1又は接合基部2が測定できる倍率に調整、20サンプル測定)。撮影した画像の長軸径を粒径とし、20サンプルの平均値を平均粒径とする。なお、吸水性ポリマー材1と接合基部2の見分け方は、吸水により形状変形を起こすかどうかで判別できる。
吸水性ポリマー材1の表面における接合基部2の被覆の程度は、例えば、液吸収性複合材3における吸水性ポリマー材1と接合基部2の質量比として示すことができる。なお、接合基部2の質量とは、1つの液吸収性複合材3において接合基部2として存在する樹脂成分全体の質量である。したがって、接合基部2が1つの液吸収性複合材3に複数ある場合は、該複数の接合基部2の樹脂成分の合計質量である。液吸収性複合材3における吸水性ポリマー材1と接合基部2の質量比は、30:1〜2:1であることが好ましく、15:1〜3:1であることがより好ましく、10:1〜4:1であることが更に好ましい。
(被覆率の測定方法)
液吸収性複合材3における接合基部2の被覆率は、次の方法により測定することができる。
日本電子株式会社製の走査電子顕微鏡JCM−5100(商品名)を使用し、液吸収性複合材3を静置し、サンプルの測定する面に対して垂直の方向から撮影した画像(測定する液吸収性複合材3が測定できる倍率に調整)を印刷し、透明PET製シート上に液吸収性複合材3全体の面積と、接合基部2それぞれの面積をなぞる。前記の画像を二値化処理する。前記二値化した画像を用い、液吸収性複合材3の面積と接合基部2の面積を得る。被覆率(%)=接合基部2の合計面積/液吸収性複合材3の面積×100として算出する。測定は10ヶ所行い、平均して被覆率とする。
また、起毛繊維51は繊維集合部52の繊維よりも可動域が大きいため、液吸収性複合材3の水膨潤時に、起毛繊維51同士の間隔が広がりやすい。そのため、液吸収性複合材3が起毛繊維51に固着されていると、液吸収性複合材3の膨潤する余地が繊維集合部4Aよりも大きくなり好ましい。また、隣接する液吸収性複合材3同士の間隔も広がり、膨潤時のゲルブロッキング及びそれによる吸収阻害が生じ難くなり好ましい。また、肌に触れたときの柔らかさが向上する。
基材不織布4が凹凸面を有する不織布である場合、前述した起毛繊維51に液吸収性複合材3が固着されていると更にゲルブロッキング防止性が高くなり好ましい。
図3に示す基材不織布41及び図4に示す基材不織布42は、いずれも両面が凹凸面になっている。そして、片面のみに液吸収性複合材3が配されている。前記凹凸面は、前述のとおり両面に限らず片面にあってもよい。また、液吸収性複合材3は、片面に限らず、両面に配されていてもよい。
吸収体20は、前述した液吸収性複合材3の固定性及び分散性の向上と共に、凹凸面を有することにより、厚み方向における柔らかなクッション性に優れる。また、両面の交差する複数の方向に点在する凸部41A及び凸部41Cを軸として柔軟で立体的な変形性を有する。
さらに、吸収体20において、液吸収性複合材3が配されている第1面A側では、凹部41Bが複数の凸部41Aで囲まれた窪み部分であるため、液の捕捉性が高い。これにより、前述した液吸収性複合材3の固定性の向上と共に、吸収体20表面上での液流れを抑えて、各凹部41Bでの液吸収性複合材3による液吸収速度が向上する。また、これにより液吸収後の吸収体20の型崩れが更に生じ難い。加えて、凹凸形状により肌に触れたときの柔らかさも向上する。一方、第2面B側の凹部41Dは、空隙がつながっていることで液の拡散性があがり、吸収速度が向上する。また、液の拡散性があがることで、液吸収性複合材3の1粒あたりの液吸収量が過剰にならず抑えられるため、液戻り量が減少する。
吸収体30においては、前述した液吸収性複合材3の固定性及び分散性の向上と共に、筋状の凹部41Bに沿って液が広がり、より多くの液吸収性複合材3で液の吸収保持が可能となる。すなわち、液吸収速度の向上に寄与し得る。また、凹凸形状により肌に触れたときの柔らかさにも優れる。
また、基材不織布42は、液の吸収前には、一方の面側にある前記凹凸面が折り畳まれた状態にされ、該一方の面側から見た山折り部及び谷折り部を備えるプリーツ部を有していることが好ましい(図示せず)。これにより、液吸収前の基材不織布の凹凸厚みを抑え、吸収体3の更なる薄さを実現することで、吸収体3を組み込んだ吸収性物品の装着感がより向上する。
さらに、前記凹凸面が折り畳まれた基材不織布42は、液吸収時に前記プリーツ部が展開して前記凹凸面が生じるようにされていることがより好ましい(図示せず)。これにより、液吸収後において、液吸収性複合材3の膨潤によるゲルブロッキングを防止できる。ゲルブロッキングの防止により、液吸収速度の向上や液戻り抑制等の優れた吸収性能を実現できる。
また、本発明の吸収体は、液吸収性複合材が基材不織布の表面に露出して固定されているので、液膨潤を許容する空間を大きく有し、液吸収阻害の原因となるゲルブロッキングが生じ難い。
さらに、本発明の吸収体は、更なる薄型化の実現により、下層にパルプ繊維と吸水性ポリマー材との混合吸収層を積層するだけで、吸収性能を好適に制御できる。
予め準備した吸水性ポリマー材に加水して混練し、さらに、熱融着性を有する樹脂成分を添加して混練する。これにより、接合基部を吸水性ポリマーに形成する。前記加水により吸水性ポリマー材の表面に粘着性を生じさせ、これにより熱溶融性の樹脂成分を含む接合基部を形成し易くする。そのため、加水は、粘着性を生じさせる程度であればよい。具体的には、吸水性ポリマー材に対する質量比で、水を10倍程度加えることが好ましい。吸水性ポリマー材としては、吸収性物品等に通常用いられるものを特に制限なく用いることができる。
次いで、前記樹脂成分を添加した吸水性ポリマー材に対し、乾燥、粉砕、分級などの処理を行って、本発明の吸収体に用いられる液吸収性複合材を得る。
なお、上記混練、乾燥、粉砕及び分級には、通常用いられる装置を特に制限なく用いることができる。
基材不織布となる原料不織布に対して、上記の液吸収性複合材を散布する。その後、基材不織布上の繊維と液吸収性複合材が接触しやすくする目的で、必要により、液吸収性複合材の上から加圧することが好ましい。この時点での加圧は、5kgのローラーを1往復させる程度の加圧とすることが好ましい。なお、原料不織布は、通常、長尺でロール状にされたものから巻き出されて使用するため、液吸収性複合材を散布する前に、必要により熱風回復処理しておくことが好ましい。また、散布前に必要により毛羽加工しておくことが好ましい。
次いで、液吸収性複合材を散布した基材不織布に対して加熱処理を行って、接合基部及び基材不織布の繊維を溶融一体化させる。ここでの加熱処理は、通常不織布に用いられる方法を特に制限なく採用することができる。その加熱温度は、基材不織布の繊維の融点又は接合基部の融点のうち、高い融点に対して3℃から50℃高いことが好ましく、5℃から30℃高いことがより好ましい。該加熱処理が熱風処理である場合、熱風の風速は、1m/s以上10m/s以下に設定され、好ましくは1.5m/s以上8m/s以下に設定される。この熱風の風速は、上記の下限以上とすることで、基材不織布の繊維及び接合基部への熱伝達し、確実に溶融固着させることができ、固定性が担保できる。一方、上記の上限以下とすることで、繊維へ熱が当たりすぎず、基材不織布の風合いが良くなる。
基材不織布を前述のようにプリーツ折りしたものとする場合、原料不織布は凹凸面を有するものを用い、前記加熱処理の後にプリーツ折り加工を行うことが好ましい。すなわち、前記加熱処理後に加圧処理を行って、プリーツ折りの形成を行う。
吸水性ポリマー材の表面に熱溶融性の樹脂成分を含む接合基部を有する液吸収性複合材が、前記接合基部を介して基材不織布上の繊維に固着されている吸収体。
前記接合基部は前記吸水性ポリマー材の表面に直接接合されている前記<1>に記載の吸収体。
<3>
前記液吸収性複合材の接合基部の樹脂成分と前記繊維とが溶融して一体化された状態で接合されている前記<1>又は<2>に記載の吸収体。
前記吸水性ポリマー材及び前記接合基部は粒状であり、前記接合基部の平均粒径は前記吸水性ポリマー材の平均粒径よりも小さい前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の吸収体。
<5>
前記平均粒径は、10μm以上が好ましく、15μm以上がより好ましく、20μm以上が更に好ましく、100μm以下が好ましく、80μm以下がより好ましく、65μm以下が更に好ましい、前記<4>に記載の吸収体。
<6>
前記液吸収性複合材における、前記吸水性ポリマー材と前記接合基部の平均粒径の比は、5:1〜100:1であることが好ましく、8:1〜70:1であることがより好ましく、10:1〜50:1であることが更に好ましい、前記<4>又は<5>に記載の吸収体。
前記液吸収性複合材における、前記吸水性ポリマー材と前記接合基部との質量比は、30:1〜2:1であり、15:1〜3:1であることがより好ましく、10:1〜4:1であることが更に好ましい、前記<1>〜<6>のいずれか1に記載の吸収体。
<8>
前記液吸収性複合材における、前記接合基部の被覆率は6%以上80%以下である、前記<1>〜<7>のいずれか1に記載の吸収体。
<9>
前記液吸収性複合材が固着されている前記繊維が、前記基材不織布における起毛した繊維である、前記<1>〜<8>のいずれか1に記載の吸収体。
前記基材不織布と前記液吸収性複合材のみから構成されている前記<1>〜<9>のいずれか1に記載の吸収体。
<11>
前記液吸収性複合材は、前記基材不織布の表面に露出して固定されている前記<1>〜<10>のいずれか1に記載の吸収体。
<12>
前記接合基部を構成する樹脂成分が、ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、プロピレンとαオレフィンとからなる結晶性プロピレン共重合体等のポリオレフィン類;ポリアミド類;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ジオールとテレフタル酸/イソフタル酸等を共重合した低融点ポリエステル、ポリエステルエラストマー等のポリエステル類;フッ素樹脂 の群から選ばれる少なくとも1種を含む、前記<1>〜<11>のいずれか1に記載の吸収体。
前記基材不織布は、少なくとも一方の面側に凸部及び凹部を備えた凹凸面を有する、前記<1>〜<12>のいずれか1に記載の吸収体。
<14>
前記基材不織布が、複数の凸部及び凹部を、不織布の平面視した際の交差する異なる方向のそれぞれに交互に配置された不織布である、前記<13>に記載の吸収体。
<15>
前記基材不織布が、筋状に延びた複数の凸部及び凹部を不織布の平面視した際の一方向に交互に配置した不織布である、前記<13>に記載の吸収体。
<16>
前記液吸収性複合材は、前記凸部及び凹部の両方に固着されている前記<13>〜<15>のいずれか1に記載の吸収体。
<17>
前記基材不織布は、液吸収前には前記凹凸面が折り畳まれた状態にされており、前記一方の面側から見た山折り部及び谷折り部を備えるプリーツ部を有している前記<13>〜<16>のいずれか1に記載の吸収体。
<18>
前記基材不織布は、液吸収時に前記プリーツ部が展開して前記凹凸面が生じる、前記<17>に記載の吸収体。
前記液吸収性複合材は、前記基材不織布の第1面側及び該第1面側とは反対側の第2面側の両面に配されている前記<1>〜<18>のいずれか1に記載の吸収体。
<20>
前記液吸収性複合材が前記基材不織布の第1面側のみに配されており、該第1面側を吸収性物品の肌面側に向けて配されるようにされる、前記<1>〜<19>のいずれか1に記載の吸収体。
前記<1>〜<20>のいずれか1に記載の吸収体を含む吸収性物品。
前記<1>〜<20>のいずれか1に記載の吸収体を肌側の表面シートと非肌側の裏面シートとで挟持して構成されている吸収性物品。
<23>
前記表面シートと前記吸収体とが直接接合されているか、前記表面シートと前記吸収体との間にセカンドシートを有する場合は、該セカンドシートと前記吸収体とが直接接合されている、前記<22>に記載の吸収性物品。
<24>
前記吸収体と前記裏面シートとが直接接合されている前記<22>又は<23>に記載の吸収性物品。
予め準備した吸水性ポリマー材に加水して混練し、さらに、熱融着性を有する樹脂成分を添加して混練して接合基部を吸水性ポリマー材に形成し、前記樹脂成分を添加した吸水性ポリマー材に対し、乾燥、粉砕、分級などの処理を行って、液吸収性複合材を得る工程を有する、前記<1>〜<20>のいずれか1に記載の吸収体の製造方法。
<26>
前記基材不織布となる原料不織布に対して、前記液吸収性複合材を散布し、次いで、該液吸収性複合材を散布した前記基材不織布に対して加熱処理を行って、前記接合基部及び基材不織布の繊維を溶融一体化させる工程を有する、前記<25>に記載の吸収体の製造方法。
<27>
前記基材不織布をプリーツ折りしたものとする場合、原料不織布は凹凸面を有するものを用い、前記加熱処理の後にプリーツ折り加工を行う、前記<25>又は<26>に記載の吸収体の製造方法。
予め準備した吸水性ポリマー材に加水して混練し、さらに、熱融着性を有する樹脂成分を添加して混練して接合基部を吸水性ポリマー材に形成して液吸収性複合材を得、前記基材不織布となる原料不織布に対して、前記液吸収性複合材を散布し、次いで、該液吸収性複合材を散布した前記基材不織布に対して加熱処理を行って、前記接合基部及び基材不織布の繊維を溶融一体化させる工程を有する、前記<1>〜<20>のいずれか1に記載の吸収体の製造方法。
前記加熱処理における加熱温度は、前記基材不織布の繊維の融点又は接合基部の融点のうち、高い融点に対して3℃から50℃高いことが好ましく、5℃から30℃高いことがより好ましい、前記<26>〜<28>のいずれか1に記載の吸収体の製造方法。
<30>
前記加熱処理が熱風処理であり、該熱風の風速は、1m/s以上10m/s以下に設定され、好ましくは1.5m/s以上8m/s以下に設定される、前記<26>〜<29>のいずれか1に記載の吸収体の製造方法。
(1)液吸収性複合材の調製
前述した(液吸収性複合材の製造方法)に基づいて液吸収性複合材を調製した。具体的には、花王株式会社製、商品名「メリーズパンツさらさらエアスルーLサイズ」(2016年製)の吸収体から取り出した吸水性ポリマー30gに300gのイオン交換水を加えニーダーで5分間混合しながら均等に膨潤させた。次いで、接合基部となる熱溶融性の樹脂成分であるポリエチレンパウダー「XM−220」(商品名、三井化学株式会社製)5.0gを前記ニーダーに投入して更に10分間混合した。その後、電気乾燥機を用いて、105℃にて8時間乾燥を行った。次いで、粉砕機(大阪ケミカル製、ワンダークラッシャーWC−3L)を用いて粉砕し、電磁ふるいを用いて分級を行い、106μmより小さい粒径、850μmより大きい粒径を除去することで、実施例1の液吸収性複合材を得た。この液吸収性複合材における接合基部の被覆率は、前述した(被覆率の測定方法)に基づいて測定した結果、24%であった。
(2)吸収体の作製
特開2012−136791実施例1記載の方法において、繊維ウエブに噴き付ける熱風の温度を140℃、風速を10m/秒に変更した方法を用いて、凹凸面を有する基材不織布を作製した。この不織布の該公報中の説明における第1突出部面をバフィングで起毛処理した。該基材不織布の大きさは、135mm×280mmとした。この基材不織布の構成繊維は芯がポリエチレンテレフタレート(融点258℃)で鞘がポリエチレン(融点135℃)からなる2.4dtex×51mmの芯鞘型複合繊維を用いた。
前記基材不織布の起毛処理した1面に上述の液吸収性複合材7.2gを散布し、飛散しないように5kgのローラーを1往復させて加圧した。次いで、140℃の熱風を風速1.4m/sで3分間を吹き付ける熱風処理を行い、液吸収性複合材の接合基部及び基材不織布の構成繊維の表面成分を溶融一体化させる処理を行った。すなわち、液吸収性複合材を、接合基部を介して、基材不織布の繊維に固着させる処理を行った。これにより、実施例1の吸収体試料S1を作製した。
この吸収体試料S1について、図5(A)〜(D)に示す画像を撮像した。図5(A)及び(B)に示す通り、液吸収性複合材3は基材不織布の繊維5の表面に接合されていた。また、図5(C)及び(D)に示す通り、液吸収性複合材3には、熱溶融性の樹脂成分であるポリエチレンパウダーからなる接合基部2が複数、吸水性ポリマー材1の表面に形成されていた。液吸収性複合材は、該接合基部を介して基材不織布の繊維に固着されていることを確認した。以下、実施例2〜5においても同様であった。作製した吸収体試料S1の厚みは、下記測定方法に基づいて測定した結果、1.2mmであった。
(3)おむつの作製
花王株式会社製、商品名「メリーズパンツさらさらエアスルーLサイズ」(2016年製)から吸収体を取り除き、その代わりに、吸収体試料S1を導入し、評価用のベビー用おむつを得た。
接合基部となるポリエチレンパウダーの量を1.0gとし、被覆率を8%とした以外は、実施例1と同様にして、実施例2の吸収体試料S2を作製した。また、別途、吸収体試料S2を用いて、実施例1と同様にして、実施例2の評価用のベビー用おむつを得た。
接合基部となるポリエチレンパウダーの量を15.0gとし、被覆率73%とした以外は、実施例1と同様にして、実施例3の吸収体試料S3を作製した。また、別途、吸収体試料S3を用いて、実施例1と同様にして、実施例3の評価用のベビー用おむつを得た。
基材不織布に起毛処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、実施例4の吸収体試料S4を作製した。また、別途、吸収体試料S4を用いて、実施例1と同様にして、実施例4の評価用のベビー用おむつを得た。
接合基部となるポリエチレンパウダーの量を0.5gとし、被覆率を5%とした以外は、実施例1と同様にして、実施例5の吸収体試料S5を作製した。また、別途、吸収体試料S5を用いて、実施例1と同様にして、実施例5の評価用のベビー用おむつを得た。
(実施例6)
基材不織布として平坦な不織布を用いた以外は、実施例1と同様にして、実施例6の吸収体試料S6を作製した。平坦な不織布は、芯がポリエチレンテレフタレート(融点258℃)で鞘がポリエチレン(融点135℃)からなり、表面が親水化処理されている2.4dtex×51mmの芯鞘型複合繊維を坪量30g/m2となるようカード機を用いて、ウエブを作製した。次いで、ウエブに熱風(温度145℃、風速5m/s)を吹きつけて作製した。
また、別途、吸収体試料S6を用いて、実施例1と同様にして、実施例6の評価用のベビー用おむつを得た。
吸収体の液保持部を、坪量225g/m2のパルプ繊維と坪量190g/m2の吸水性ポリマー材(実施例1と同様のもの)との混合積繊体とする構成とし、その外表面をティッシュペーパーで被覆した吸収体を作製した。これを比較例1の吸収体試料C1とした。吸収体試料C1の厚みは、5.7mmであった。また、別途、吸収体試料C1を用いて、実施例1と同様にして、比較例1の評価用のベビー用おむつを得た。
パルプ繊維の坪量を75g/m2とした以外は、比較例1と同様にして、比較例2の吸収体試料C2を作製した。吸収体試料C1の厚みは、2.1mmであった。また、別途、吸収体試料C2を用いて、実施例1と同様にして、比較例2の評価用のベビー用おむつを得た。
1.吸収体の厚みの測定
吸収体の切断面を、キーエンス製デジタルマイクロスコープVHX−1000で測定する部位が十分に視野に入り測定できる大きさに拡大し、0.05kPaの圧力がかかるように重りを吸収体の上に置き、厚みを測定する。測定は、10回行い、平均値を吸収体の厚みとした。
吸収体の中心を幅方向に切断した。切断面を下に向けて、手で50回振とうした。
担持率=(振とう前の吸水性ポリマー材重量(g)−脱落した吸水性ポリマー材重量(g))/振とう前の吸水性ポリマー材重量(g)x100
で算出した。
実施例及び比較例のおむつについて、下記方法により吸収体破壊動作回数を評価した。回数が多い方が、吸収体の型崩れがしにくいことを示す。
<吸収体破壊動作回数の測定方法>
評価対象のおむつを、肌対向面、即ち表面シートを内側にして縦方向に2つ折りし、人工尿の注入予定部である吸収体の中心部の両脇を手指で把持して上下方向に交互に動かした。この上下動作を50回繰り返した後、おむつの各部を伸長させて平面状に拡げ、表面シートを上に向けて水平面上に固定した状態で、吸収体の中心部における該表面シート上に人工尿40gを注入して吸収させ、その後、自然状態で3分間放置した。次いで、おむつに対し、人工尿の注入前に行った前記上下動作を再び行った。この上下動作は、おむつ着用中の着用者の脚の動きを想定したものである。この上下動作を吸収体が壊れるまで繰り返し、吸収体が壊れるのに要した上下動作の回数を、吸収体破壊動作回数とした。吸収体の一部でも崩れた場合は、「吸収体が型崩れした」と判断する。吸収体破壊動作回数が多いほど、吸収体の保形性に優れ、着用中に吸収体が壊れにくいと判断でき高評価となる。
前記測定方法で用いた人工尿の組成は次の通り。尿素1.94質量%、塩化ナトリウム0.7954質量%、硫酸マグネシウム(七水和物)0.11058質量%、塩化カルシウム(二水和物)0.06208質量%、硫酸カリウム0.19788質量%、ポリオキシエチレンラウリルエーテル0.0035質量%及びイオン交換水(残量)。
なお、吸収体破壊動作回数は6回まで行って結果を示しているため、6回目でも吸収体が型崩れしなかったものは、「>6」と表記した。
おむつの外側から股間部を触って、異物感を官能評価した。
5点;全くしない、4点;少しするが気にならない程度、3点;少しする、2点;異物感がある、1点;異物感が容易にわかる。
N=5の平均値とした。官能評価は、成人男女5人で行い、平均値を異物感の評価とした。
また、比較例2の吸収体試料では、パルプ繊維の坪量が比較例1の約3割とされていたため、厚みは2.1mmであり、固定性54%と低く、吸収体の型崩れ性試験における上下動回数が僅か1.5回しか耐えられず、異物感が容易に分かる状態(評価1)であった。これに対し、実施例1〜6は、比較例2よりも厚みが約半分であるにも拘らず、固定性、吸収体の型崩れ性試験、異物感の全てにおいて優れた結果を示していた。
2 接合基部
3 液吸収性複合材
4 基材不織布
5 繊維
10、20、30、40 吸収体
Claims (7)
- 吸水性ポリマー材の表面に熱溶融性の樹脂成分を含む接合基部を有する液吸収性複合材が、前記接合基部を介して基材不織布上の繊維に固着されている吸収体。
- 前記接合基部は前記吸水性ポリマー材の表面に直接接合されている請求項1記載の吸収体。
- 前記吸水性ポリマー材及び前記接合基部は粒状であり、前記接合基部の平均粒径は前記吸水性ポリマー材の平均粒径よりも小さい請求項1又は2記載の吸収体。
- 前記液吸収性複合材における、前記吸水性ポリマー材と前記接合基部との質量比は、30:1〜2:1である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の吸収体。
- 前記液吸収性複合材における、前記接合基部の被覆率は、6%以上80%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載の吸収体。
- 前記液吸収性複合材が固着されている前記繊維が、前記基材不織布における起毛した繊維である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の吸収体。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の吸収体を含む吸収性物品。
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