JP2013123579A - 女性用吸収性物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】身体へのフィット性及びサイドシートの起立性に優れ、後方部において伝い漏れを起こし難い女性用吸収性物品を提供すること。
【解決手段】吸収性本体10に、幅方向Yに延びる第1及び第2折曲線11,12が形成されている。吸収体4は、第1折曲線11と第2折曲線12との間に肌対向面側に隆起する中高部42を有している。第1折曲線11より前方に、サイドシート5の内側縁部51が表面シート2に固定されて前側固定部55が形成されていると共に、第2折曲線12より後方に同様にして後側固定部56が形成されている。第1折曲線11と前側固定部55との離間長さL1は、10〜25mmで且つ第2折曲線12と後側固定部56との離間長さL2に比して短く、離間長さL2は、第2折曲線12と吸収性本体10の後端10bとの離間長さL3の35%以上を占める。
【選択図】図1

Description

本発明は、生理用ナプキン、パンティライナー、失禁パッド等の女性用吸収性物品(以下略して吸収性物品とも言う)に関する。
従来、生理用ナプキン等の吸収性物品においては、吸収性本体の長手方向に沿う両側部に配されたサイドシートに弾性部材を伸長状態で固定して防漏壁を形成し、該防漏壁によって経血等の排泄された体液の幅方向外方への漏れを防ぐ技術が採用されている。例えば特許文献1には、弾性部材が伸長状態で配され該弾性部材の収縮により起立する起立部を有するサイドシートを、吸収性本体に固定して非起立部を形成するにあたり、該弾性部材を、該弾性部材に対して斜めに交差する複数の筋状固定部によって、サイドシート及び該吸収性本体を構成する表面シートに固定する技術が記載されている。特許文献1に記載の技術によれば、サイドシートに配された破断し易い弾性部材を破断することなく吸収性本体の前後域で固定でき、薄型の吸収体による着用感を損なうことのない柔軟な追従性を有する吸収性物品を提供し得るとされている。
また特許文献2には、防漏壁(バリヤーフラップ)の収縮が不十分となることにより肌側に十分に立ち上がらない不都合を解消するために、三つ折りにしたナプキンにおいて、その折曲線が防漏壁の弾性伸縮部を横切るようにし、ナプキンを自然状態に置いたときの弾性伸縮部の収縮を容易にする技術が記載されている。
また特許文献3には、着用中に着用者の体圧により防漏壁が倒れたり潰れたりして防漏壁の機能が充分に発現されない不都合を解消するために、着用時に着用者の液排泄部に対向配置される排泄部対向部と該排泄部対向部より背側に配される後方部との間に、防漏壁が起立していない中央固定部を設ける技術が記載されている。
特開2011−152279号公報 特許第3169304号公報 特許第3919638号公報
弾性部材の収縮により起立可能なサイドシートを有する従来の吸収性物品においては、サイドシートを着用者の肌側に向かって十分な起立高さで起立させ、経血等の体液が着用者の肌を伝って後方に流れて漏れ出す、いわゆる伝い漏れを確実に防止する観点から、サイドシートの起立性を高めるべく、サイドシートに弾性部材が高伸長化された状態で固定されている。そのため、従来の吸収性物品は、一定の防漏効果を奏するものの、高伸長化された弾性部材の強い収縮力によって、特にその長手方向後方側が、着用者の股間部の外形形状の湾曲程度を超えて吸収性物品の肌対向面側に大きく湾曲し、身体に沿い難く、フィット性の点で改良の余地があった。このように、サイドシートの起立性と吸収性物品の身体への沿い易さとは相反する関係にあるところ、両特性を両立させ、後方部における伝い漏れを効果的に防止し得る吸収性物品は未だ提供されていない。
従って本発明の課題は、身体へのフィット性及びサイドシートの起立性に優れ、後方部において伝い漏れを起こし難い吸収性物品を提供することにある。
本発明者らは、就寝時等に長時間使用するのに適した生理用ナプキン、具体的には、前方(排泄部対向部)にウイング、後方に後方フラップが設けられ、且つ薄型で剛性の低い吸収体(繊維材料の積繊体を含まない吸収体)を備え、弾性部材の収縮により起立可能なサイドシートを有する生理用ナプキンについて種々検討した結果、該ナプキンを個装するための幅方向に延びる2本の折曲線を挟んで長手方向前方側と後方側とに、サイドシートにおける弾性伸縮性を有する部分を表面シートに固定してなる固定部を設け、且つそれら折曲線と固定部との位置関係を特定することにより、サイドシートの起立性とナプキンの身体への沿い易さとを両立させることが可能であることを知見した。
本発明は、液保持性の吸収体並びに該吸収体の肌対向面側に配置された表面シート及び該吸収体の非肌対向面側に配置された裏面シートを備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体における排泄部対向部より長手方向後方に位置する後方部の長手方向に沿う両側部それぞれから幅方向外方に延出する一対の後方フラップとを有し、該吸収性本体の長手方向に沿う両側部それぞれの肌対向面に該吸収性本体の略全長に亘ってサイドシートが設けられた縦長の女性用吸収性物品であって、前記吸収性本体に、幅方向に延びる第1及び第2折曲線が形成されており、両折曲線に沿って該吸収性本体を、肌対向面を内側にして折り畳み可能になされており、前記第1折曲線は、前記第2折曲線に比して前記吸収性本体の長手方向前端に近く、両折曲線の間に前記排泄部対向部が存しており、前記吸収体は、前記第1折曲線と前記第2折曲線との間に肌対向面側に隆起する中高部を有しており、前記サイドシートの長手方向に沿う内側縁部に、弾性部材が伸長状態で配されており、前記女性用吸収性物品の自然状態では少なくとも前記第1折曲線と前記第2折曲線との間において、該弾性部材の収縮により該サイドシートの該内側縁部側が前記吸収性本体の肌対向面から離間して起立し、前記第1折曲線より長手方向前方に、前記弾性部材を含む前記サイドシートの前記内側縁部が前記表面シートに固定されて前側固定部が形成されていると共に、前記第2折曲線より長手方向後方に、前記弾性部材を含む前記サイドシートの前記内側縁部が前記表面シートに固定されて後側固定部が形成されており、前記第1折曲線と前記前側固定部との離間長さは、10〜25mmで且つ前記第2折曲線と前記後側固定部との離間長さに比して短く、前記第2折曲線と前記後側固定部との離間長さは、該第2折曲線と前記吸収性本体の後端との離間長さの35%以上を占める女性用吸収性物品を提供することにより、前記課題を解決したものである。
本発明によれば、身体へのフィット性及びサイドシートの起立性に優れ、後方部において伝い漏れを起こし難い女性用吸収性物品が提供される。
図1は、本発明の女性用吸収性物品の一実施形態である生理用ナプキンの各部の弾性部材を伸長させて平面状に拡げた展開状態を模式的に示す肌対向面側(表面シート側)の平面図である。 図2は、図1のI−I線断面を模式的に示す断面図である。 図3は、図1のII−II線断面を模式的に示す断面図である。 図4は、図1に示す生理用ナプキンの自然状態における肌対向面側(表面シート側)を示す斜視図である。 図5は、本発明の女性用吸収性物品の他の実施形態である生理用ナプキンの模式的な平面図(図1相当図)である。
以下、本発明の女性用吸収性物品を、その好ましい一実施形態である生理用ナプキンに基づき図面を参照して説明する。本実施形態のナプキン1は、図1及び図2に示すように、液保持性の吸収体4並びに該吸収体4の肌対向面側に配置された表面シート2及び該吸収体4の非肌対向面側に配置された裏面シート3を備えた一方向に長い縦長の吸収性本体10と、該吸収性本体10における排泄部対向部Bより長手方向後方に位置する後方部Cの長手方向に沿う両側部それぞれから幅方向外方に延出する一対の後方フラップ7,7とを有し、該吸収性本体10の長手方向に沿う両側部それぞれの肌対向面に該吸収性本体10の略全長に亘ってサイドシート5が設けられており、一方向に長い縦長にである。ナプキン1は、更に、吸収性本体10における排泄部対向部Bの長手方向に沿う両側部それぞれから幅方向外方に延出する一対のウイング6,6を有している。このような、後方フラップを有する生理用ナプキンは、就寝時等に長時間使用するのに適しており、夜用の生理用ナプキンとして特に有用である。
本明細書において、肌対向面は、女性用吸収性物品(生理用ナプキン)又はその構成部材(吸収性本体、サイドシート等)における、女性用吸収性物品の着用時に着用者の肌側に向けられる面であり、非肌対向面は、女性用吸収性物品又はその構成部材における、女性用吸収性物品の着用時に肌側とは反対側(下着等の着衣側)に向けられる面である。また、長手方向(図中のX方向)は、女性用吸収性物品又はその構成部材の長辺に沿う方向であり、幅方向(図中のY方向)は、該長手方向と直交する方向である。
更に説明すると、ナプキン1(吸収性本体10)は、図1に示すように、長手方向Xに、着用時に着用者の腹寄りに配される前方部Aと、排泄部対向部Bと、着用時に排泄部対向部Bより着用者の背中側に配される後方部Cとに区分される。本実施形態のナプキン1における排泄部対向部Bは、左右に一対のウイング6,6を有する部位である。尚、女性用吸収性物品(生理用ナプキン)がウイングを有しないものである場合、該女性用吸収性物品(生理用ナプキン)における排泄部対向部は、後述する中高部42(上層吸収体41)が存する部位、即ち、周辺部よりも厚みが厚く且つ肌対向面側に隆起している部位である。
吸収性本体10は、ナプキン1の肌対向面を形成する表面シート2、ナプキン1の非肌対向面を形成する裏面シート3、及びこれら両シート2,3間に介在配置された吸収体4を具備している。
図2に示すように、表面シート2は、吸収体4の肌対向面の全域を被覆し、更に吸収体4の長手方向Xに沿う左右両側縁から幅方向Yの外方に延出している。
裏面シート3は、吸収体4の非肌対向面の全域を被覆し、更に吸収体4の長手方向Xに沿う左右両側縁から幅方向Yの外方に延出しており、その延出部と前述した表面シート2の延出部とが、接着剤、ヒートシール、超音波シール等の公知の接合手段によって互いに接合されている。
また、表面シート2及び裏面シート3は、吸収体4の長手方向Xの前後端から長手方向Xの外方に延出し、それらの延出部において、公知の接合手段によって互いに接合されている。
吸収体4は、図1に示すように、平面視において角が丸みを帯びた略矩形形状をしている。表面シート2及び裏面シート3それぞれと吸収体4との間は接着剤によって接合されていても良い。
吸収性本体10の肌対向面(表面シート2の肌対向面)における長手方向Xに沿う左右両側部には、図1に示すように、平面視において吸収体4の長手方向Xに沿う左右両側部に重なるように、一対のサイドシート5,5が吸収性本体10の長手方向Xの略全長に亘って配されている。一対のサイドシート5,5は、それぞれ、排泄部対向部B並びに前方部A及び後方部Cそれぞれの排泄部対向部B寄りの部分に亘って形成された平面視直線状の第1接合線13と、該第1接合線13の長手方向Xの前後に位置し且つ長手方向Xに交差するように延びる第2接合線14とで吸収性本体10に接合されている。
裏面シート3及びサイドシート5は、吸収体4の長手方向Xに沿う両側縁から幅方向Yの外方に延出してサイドフラップを形成している。前記サイドフラップは、図1に示すように、排泄部対向部Bにおいて幅方向Yの外方に向かって大きく張り出しており、これにより吸収性本体10の左右両側に、一対のウイング6,6が延設されている。また、前記サイドフラップ部は、後方部Cにおいても幅方向Yの外方に向かって大きく張り出しており、これにより吸収性本体10の左右両側に、一対の後方フラップ7,7が延設されている。
図1に示すように、吸収性本体10には、幅方向Yに延びる第1折曲線11及び第2折曲線12が形成されており、両折曲線11,12に沿って吸収性本体10を、肌対向面(表面シート2)を内側にして折り畳み可能になされている。第1折曲線11は、第2折曲線12に比して吸収性本体の長手方向Xの前端10aに近く、両折曲線11,12の間に排泄部対向部Bが存している。ナプキン1を個装形態に折り畳むには、第1折曲線11より長手方向Xの前方側に位置する部位(前方部A)を、表面シート2を内側にして該第1折曲線11に沿って長手方向Xに折り曲げると共に、第2折曲線12より長手方向Xの後方側に位置する部位(後方部C)を、表面シート2を内側にして該第2折曲線12に沿って長手方向Xに折り曲げ、折り曲げた前方部A及び後方部Cを、両折曲線11,12に挟まれた部位(排泄部対向部B)に重ねることによりナプキン1を三つ折りにする。
尚、本発明における折曲線(第1折曲線、第2折曲線)は、女性用吸収性物品(生理用ナプキン)の非肌対向面(裏面シート側)に必要に応じ個装フィルムを重ねた状態で、該女性用吸収性物品をその肌対向面(表面シート側)を内側にして折り畳んでなる個装体(例えば三つ折りや四つ折りの個装体)を形成する際に利用される折り曲げ部位であり、個装体形成後(折り畳み後)に該個装体を展開して女性用吸収性物品を広げた場合には、通常、その肌対向面に目視で線として現れる。折り曲げ部位が目視で線として現れない場合は、当該個装体を構成する女性用吸収性物品の折り曲げられていた部位を、本発明における折曲線とする。
吸収体4は、図1及び図2に示すように、第1折曲線11と第2折曲線12との間(排泄部対向部B)に、周辺部よりも厚みが厚く且つ表面シート2側(ナプキン1の肌対向面側)に隆起する中高部42を有している。より具体的には、吸収体4は、平面視において角が丸みを帯びた略矩形形状で且つ前方部Aから排泄部対向部Bを経て後方部Cに亘って延びる、下層吸収体40と、下層吸収体40よりも幅狭で且つ排泄部対向部Bにおいて下層吸収体40の幅方向Yの中央部の肌対向面側に配置された、上層吸収体41とを有しており、上層吸収体41と下層吸収体40との積層体が中高部42を形成している。上層吸収体41は、平面視において角が丸みを帯びた略矩形形状で、その長手方向を下層吸収体40の長手方向に一致させて、下層吸収体40上に配置されている。下層吸収体40と上層吸収体41との間は、接着剤によって接合されていても良い。
サイドシート5の長手方向Xに沿う内側縁部51には、弾性部材9が伸長状態で配されている。本実施形態においては、サイドシート5は、図2に示すように、ナプキン1の幅方向Yの中央寄りに位置する部分5Aが、シートの折り返しにより2層構造とされており、その折り返し部が、サイドシート5の長手方向Xに沿う内側縁部51となっていて、該内側縁部51に伸長状態で配された弾性部材9を有している。前記2層構造を構成するサイドシート5,5間は、接着剤によって接合されている。内側縁部51は、図1に示すように、ナプキン1の幅方向Yの中央部側に、長手方向Xに延びる直線状に形成されている。サイドシート5における前記部分5Aは、ナプキン1の長手方向Xの前後端部において、第2接合線14及び他の公知の接合手段によって、表面シート2と共に裏面シート3に固定されている。また、サイドシート5における、前記部分5Aよりナプキン1の幅方向Yの外方側に位置する部分5Bは、その前記部分5A寄りの部分が、第1接合線13によって表面シート2と共に裏面シート3に接合され、該部分以外の部分が、他の公知の接合手段によって裏面シート3に直接固定されている。
サイドシート5の内側縁部51は、1本以上の弾性部材9が伸長状態で配されることによって伸縮性が付与された弾性伸縮部となっており、その伸縮方向は長手方向Xに一致している。弾性部材9は、吸収性本体10の長手方向Xの略全長に亘って配されている。本実施形態においては、図1及び図2に示すように、弾性部材9は、サイドシート5の内側縁部51に1本配されている。伸縮性を有するサイドシート5の内側縁部51の伸長力(内側縁部51に配された弾性部材9を伸長させてサイドシート5を平面状に拡げた状態での応力)は、弾性部材9の配置数に比例するところ、本実施形態においてはこのように弾性部材9の配置数が1本と最少に設定されているため、該伸長力(収縮力)が比較的低く抑えられている。
図1に示すように、ナプキン1の前方部Aに位置する、サイドシート5の長手方向Xの前端部には、サイドシート5の内側縁部51が第2接合線14によって吸収性本体10(表面シート2)に固定されて、前端部固定部53が形成されており、また、ナプキン1の後方部Cに位置する、サイドシート5の長手方向Xの後端部には、サイドシート5の内側縁部51が第2接合線14によって吸収性本体10(表面シート2)に固定されて、後端部固定部54が形成されている。
本実施形態におけるサイドシート5は、前端部固定部53及び後端部固定部54に加えて、両固定部53,54間においても表面シート2に固定されている。即ち、図1に示すように、第1折曲線11より長手方向Xの前方に、弾性部材9を含むサイドシート5の内側縁部51が表面シート2に固定されて前側固定部55が形成されていると共に、第2折曲線12より長手方向Xの後方に、弾性部材9を含むサイドシート5の内側縁部51が表面シート2に固定されて後側固定部56が形成されている。前側固定部55は、前端部固定部53の長手方向Xの内方側の端部に連接されており、後側固定部56は、後端部固定部54の長手方向Xの内方側の端部に連接されている。両固定部55,56は、図1に示す如き平面視において何れも四角形形状をしている。
図3には、前側固定部55の幅方向Yに沿う模式的な断面図が示されている。尚、図3では、右側の前側固定部55のみを示しているが、左側の前側固定部55も右側と同様に構成されている。前側固定部55は、図3に示すように、弾性部材9を含むサイドシート5の内側縁部51及びその近傍が、吸収性本体10を構成する表面シート2の肌対向面に、接着剤やヒートシール等の公知の接合手段で接合され固定されて形成されている。本実施形態における前側固定部55は、サイドシート5の内側縁部51及びその近傍をその肌対向面側から加熱加圧(ヒートシール)して、該サイドシート5を吸収性本体10に熱融着させることによって形成されている。後側固定部56も、図3に示す前側固定部55と同様に形成されている。
また、本実施形態においては、図1に示すように、サイドシート5の内側縁部51は、前側固定部55と後側固定部56との間においては、表面シート2等の他の部材に固定されていない。
このように、長手方向Xに伸縮性を有する左右一対のサイドシート5の内側縁部51,51(弾性伸縮部)が、それぞれ、伸長状態で前端部固定部53及び後端部固定部54並びに前側固定部55及び後側固定部56で表面シート2(吸収性本体10)に固定されており、且つ前側固定部55と後側固定部56との間においては他の部材に固定されていないことにより、ナプキン1の自然状態(各部の弾性部材が伸長されていない状態)では、サイドシート5は、これらの固定部53〜56より長手方向Xの内方に位置する、第1折曲線11と第2折曲線12との間(排泄部対向部B)において、弾性部材9の収縮によりサイドシート5の内側縁部51側が、吸収性本体10の肌対向面(表面シート2の肌対向面)から離間して起立する。
本実施形態におけるサイドシート5は、図4に示すように、前側固定部55及び後側固定部56に挟まれた部分、より具体的には、排泄部対向部B並びに前方部A及び後方部Cそれぞれの排泄部対向部B寄りの部分(第1折曲線11より長手方向Xの前方側から第2折曲線12より長手方向Xの後方側に亘る領域)において、弾性部材9の収縮により、内側縁部51側が第1接合線13を起点として吸収性本体10の肌対向面(表面シート2の肌対向面)から離間して起立する。このとき、ナプキン1は、弾性部材9の収縮によって、長手方向Xの全体形状が、肌対向面側(表面シート2側)に凹状に湾曲する。
ところで、着用者における生理用ナプキンがあてがわれる部位(股間部)の外形形状(輪郭線)は、通常、膣口等の排泄部及びその近傍は略平坦、排泄部から前側(腹側)にかけては鋭角に近い鈍角で湾曲、排泄部から後側(背側)にかけては該前側に比して緩やかに湾曲しており、着用者の股間部の前後方向の輪郭線の湾曲度合いは一様ではない。本実施形態のナプキン1の主たる特長の1つとして、股間部の斯かる外形形状に沿うように湾曲して高いフィット性が得られるようにすべく、2本の折曲線11,12と固定部55,56との位置関係を工夫している点が挙げられる。
即ち、本実施形態においては、第1折曲線11と前側固定部55との離間長さL1(図1参照)は、10〜25mmで且つ第2折曲線12と後側固定部56との離間長さL2(図1参照)に比して短く、該離間長さL2は、第2折曲線12と吸収性本体10の後端10bとの離間長さL3の35%以上を占める。このように、サイドシート5の起立可能な部分の長さ(伸縮性を有する部分の長さ)を長手方向前側(前方部A)と後側(後方部C)とで異ならせると、自然状態あるいは着用時において弾性部材9の収縮による各部の湾曲度合いが異なり、結果として、ナプキン1全体の湾曲度合いが、着用者の股間部の前後方向の輪郭線の湾曲度合いに一致し易くなり、且つサイドシート5の起立性が向上する。
特に、長手方向前側(前方部A)におけるサイドシート5の起立可能な部分の長さに相当する、離間長さL1が、10〜25mmと比較的短く設定されていることにより、前方部Aは、自然状態あるいは着用時において弾性部材9の収縮により、図4に示す如く、排泄部対向部Bに対して鋭角又は鋭角に近い鈍角で立ち上がり、また特に、長手方向後側(後方部C)におけるサイドシート5の起立可能な部分の長さに相当する、離間長さL2が、離間長さL1に比して長く設定されていることにより、後方部Cは、自然状態あるいは着用時において弾性部材9の収縮により、図4に示す如く、排泄部対向部Bに対して鈍角で緩やかに立ち上がる。また、前述したように、排泄部対向部B(第1折曲線11と第2折曲線12との間)は、吸収体4の中高部42を有していて、中高部42を有していない他の部位に比して高剛性であるため、弾性部材9の収縮によっては湾曲し難く、そのため、自然状態あるいは着用時において、図4に示す如く略平坦となる。このように、ナプキン1は、自然状態あるいは着用時において、排泄部対向部Bは略平坦、排泄部対向部Bから前方部Aにかけては鋭角又は鋭角に近い鈍角で湾曲、排泄部対向部Bから後方部Cにかけては前方部A側に比して緩やかに湾曲するため、着用者の股間部の外形形状に沿うように湾曲し易くフィット性に優れ、また、サイドシート5の起立性にも優れる。
前述した作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、離間長さL1は、好ましくは12〜25mm、更に好ましくは12〜20mmであり、また、離間長さL2は、離間長さL3の35〜65%、特に37〜50%を占めることが好ましい。離間長さL3は、好ましくは80〜155mm、更に好ましくは95〜140mmである。
また、同様の観点から、第1折曲線11より長手方向Xの前方側に位置する部位(前方部A)の重量Aは、好ましくは0.8〜2.0g、更に好ましくは1.0〜1.8gであり、第2折曲線12より長手方向Xの後方側に位置する部位(後方部C)の重量Cは、好ましくは2.0〜5.0g、更に好ましくは2.5〜4.5gであり、両折曲線11,12に挟まれた部位(排泄部対向部B)の重量Bは、好ましくは2.0〜5.5g、更に好ましくは2.0〜5.0gである。また、重量A〜Cの大小関係は、B>C>Aとなっていることが好ましい。各部の重量が前記範囲にあり且つ斯かる大小関係が満たされていると、ナプキン1が着用者の股間部の外形形状により一層湾曲し易くなり、フィット性、サイドシート5の起立性、防漏性の点で良好な結果が得られる。
また、本実施形態においては、前述したように、サイドシート5の内側縁部51に配されている弾性部材9の数が1本のみであることにより、弾性部材9の配置数が複数本である場合に比して、内側縁部51の伸長力(収縮力)が比較的低く抑えられているため、前述した、2本の折曲線11,12と固定部55,56との位置関係の工夫によって、ナプキン1の湾曲度合いを所望の範囲に調整し易く、斯かる工夫によるフィット性及びサイドシート起立性の向上効果がより一層奏され易くなっている。
また、前述した、2本の折曲線11,12と固定部55,56との位置関係の工夫によって、ナプキン1の湾曲度合いを所望の範囲に調整し易くする観点から、弾性部材9は、ナプキン1の長手方向Xにおいて、比較的低い伸長力でサイドシート5の内側縁部51に配されていることが好ましく、具体的には、弾性部材9の伸長力は、好ましくは2.5〜10cN、更に好ましくは3.0〜7.5cNである。弾性部材の伸長力は次のようにして測定される。
<弾性部材の伸長力の測定方法>
テンシロン引張試験機(型番RTA−100、(株)オリエンテック社製)を用い、チャック間隔50mmで測定対象の弾性部材(サイドシートの内側縁部に配されている弾性部材)を伸長前の自然状態で保持し、引張強度300mm/minで引っ張って、該弾性部材が配されている吸収性物品の長手方向に対応する方向に伸長させる。初期チャック間隔50mmに対し、弾性部材の伸長率5%ごとの引張力を読み取り、引張曲線を作成する。作成した引張曲線を用い、弾性部材の伸長率の設計値(吸収性物品の製造時において弾性部材を所定の伸長率で配置するとき該伸長率)に対応する引張力を求め、それを当該弾性部材の伸長力とする。
また、前述した、2本の折曲線11,12と固定部55,56との位置関係の工夫による作用効果をより確実に奏させるようにするためには、吸収体4における中高部42を除く部分(非中高部)が柔軟で、サイドシート5の内側縁部51(弾性部材9)の収縮によって比較的湾曲され易いものであることが好ましく、より具体的には、該非中高部のJIS L1096に準じて測定される剛性値が40cN以下、特に10〜40cN、とりわけ15〜35cNであることが好ましい。本実施形態においては、前述したように、中高部42は下層吸収体40上に上層吸収体41を積層して形成されているので、下層吸収体40のJIS L1096に準じて測定される剛性値が40cN以下であることが好ましい。吸収体の剛性は次のようにして測定される。
<吸収体の剛性の測定方法>
剛性の測定は、JIS L1096(一般織物試験方法)に規定された剛軟性測定方法に適合した、(株)大栄科学精器製作所製のハンドロメーター試験機を使用し、温度23℃、湿度50%RHの環境下にて実施する。測定対象の吸収体から幅75mm、長さ50mm以上の矩形形状を切り出し、該矩形形状の切片を試験片とする。ハンドロメーター試験機における試料台のスロット間を20mmに調整し、試験片を、該試験片の測定部位がスロット間の中心に位置するように且つ吸収体の長手方向(吸収体が組み込まれている吸収性物品の長手方向)に沿う該試験片の長さがスロットに直交する方向と一致するようにして、該試料台上に水平に配置する。このとき、試験片は試料台上に固定せず、単に載置するのみである。試料台表面から8mm下方の位置(最下位置)まで下降するように調整したブレードを、試験片の上方から一定速度200mm/minで下降させ、試験片を押圧した時の指示計(荷重計)の示す最高値(cN)を読み取る。測定を5回行いその平均値を算出して、当該吸収体の剛性値とする。
図1に示すように、一対のウイング6,6の非肌対向面には、それぞれ、該ウイング6を下着等の着衣に固定するウイング粘着部61が設けられており、また、一対の後方フラップ7,7の非肌対向面には、それぞれ、該後方フラップ7を着衣に固定する後方フラップ粘着部71が設けられている。両粘着部61,71は、それぞれ、平面視して矩形形状を有している。両粘着部61,71は、ホットメルト粘着剤を所定箇所に塗布することにより設けられており、ナプキン1の使用前においてはフィルム、不織布、紙等からなる図示しない剥離シートによって被覆されている。
本実施形態における後方フラップ粘着部71は、図1に示すように、後側固定部56より長手方向Xの後方に位置するように設けられている。このように、後方フラップ7を着衣に固定する粘着部71が後側固定部56より後方側に位置していると、着用時における後方フラップ7の着衣に対する固定状態がより安定するため、後方部Cにおける伝い漏れを一層効果的に防止し得る。粘着部71による斯かる作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、後側固定部56の長手方向Xの前端(第2折曲線12寄りの端)と粘着部71との離間距離L4(図1参照)は、好ましくは3mm以上、更に好ましくは5〜20mmである。
本実施形態のナプキン1について更に説明すると、図1に示すように、ナプキン1の肌対向面(表面シート2の肌対向面)には、表面シート2と吸収体4とが裏面シート3側に一体的に凹陥してなる線状の溝部8が形成されている。溝部8においては、表面シート2及び吸収体4が熱融着等により一体化している。溝部8は、中高部42を包囲するように形成されている。このように、ナプキン1の肌対向面に溝部8が形成されていることにより、吸収体4の平面方向の液の拡散が効果的に抑制されるようになり、また、吸収体4のヨレを防止できる。溝部8の形成は、経血等の排泄液の拡散防止、着用時の身体に対する密着性の向上等に特に有効である。溝部8は、熱を伴うか又は伴わないエンボス、あるいは超音波エンボス等のエンボス加工により常法に従って形成することができる。
ナプキン1における各部の形成材料について説明すると、表面シート2及び裏面シート3としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができる。表面シート2としては、例えば、親水化処理が施された各種不織布や開孔フィルム等の液透過性のシートを用いることができる。また、裏面シート3としては、液不透過性の材料や撥水性の材料を用いることができる。液不透過性の材料としては、樹脂フィルムや、微細孔を有し、透湿性を有する樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布等とのラミネート材等を用いることができ、撥水性の材料としては、スパンボンド・メルトブローン・スパンボンド等からなる多層構造の複合不織布、スパンボンド不織布、ヒートボンド不織布、エアスルー不織布等を用いることができる。
吸収体4(下層吸収体40、上層吸収体41)を構成する材料としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、木材パルプ、合繊繊維等の親水性繊維からなる繊維集合体、又は該繊維集合体に粒子状の吸水性ポリマーを保持させたもの等を用いることができる。吸水性ポリマーとしては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、(アクリル酸−ビニルアルコール)共重合体、ポリアクリル酸ナトリウム架橋体、(でんぷん−アクリル酸)グラフト共重合体、(イソブチレン−無水マレイン酸)共重合体及びそのケン化物、ポリアスパラギン酸等が挙げられる。また、吸収体4は、前記繊維集合体等からなる液保持性の吸収性コアと、該吸収性コアを被覆する液透過性のコアラップシートとを含んで構成されていても良く、その場合、吸収性コアとコアラップシートとの間は、所定の部位においてホットメルト粘着剤等の接合手段により接合されていても良い。吸収性コアを被覆するコアラップシートとしては、例えば、ティッシュペーパー等の紙、各種不織布、開孔フィルム等の透水性シートを用いることができる。
但し、前述したように、吸収体4(中高部42を除く部分)としては、前記剛性値が40cN以下と低剛性で柔軟なものが好ましく、斯かる観点から吸収体4(下層吸収体40、上層吸収体41)として好ましく用いられるものとしては、例えば、パルプ繊維の集合体に吸水性ポリマーを分散状態で固定(担持)させた吸収性シート、エアレイド法等の乾式法により製造された乾式パルプシート、2枚の不織布の間に粒子状の吸水性ポリマーを散布したもの等が挙げられる。吸収体4の中高部42を除く部分の厚み(下層吸収体40の厚み)は、比較的薄いことが好ましく、具体的には、2.5mm以下、特に0.4〜2.0mmが好ましい。木材パルプ等の繊維材料を積繊してなる積繊体を含む吸収体は、総じて肉厚で剛性が高く、そのような剛性の高い吸収体をナプキン1に組み込むと、サイドシート5の内側縁部51(弾性部材9)の収縮によってはナプキン1が湾曲し難いため、本発明では用いないことが好ましい。
サイドシート5としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、例えば、液不透過性又は撥水性の樹脂フィルム、樹脂フィルムと不織布との積層体等を用いることができる。その他の材料としては、例えば、スパンボンド不織布、スパンボンド不織布(S)とメルトブロー不織布(M)とが複合化されたシート(例えばSM、SMS、SMMS等)、ヒートロール不織布、エアスルー不織布等の撥水性(疎水性)不織布が挙げられる。特に撥水性のエアスルー不織布を用いることが、肌触りのよさと横モレ防止の点から好ましい。また、サイドシート5に配される弾性部材9としては、当該技術分野において従来用いられている各種のものを特に制限なく用いることができ、糸状でも帯状でも良い。
本実施形態のナプキン1は、公知のウイング及び後方フラップを有する夜用の生理用ナプキンと同様に、下着等の着衣に装着して使用する。本実施形態のナプキン1を使用する際、一対のウイング6,6は、それぞれ、吸収性本体10の非肌対向面側に折り返され、粘着部61を介して着衣の非肌対向面(外面)に固定され、一対の後方フラップ7,7は、それぞれ、吸収性本体10の非肌対向面側に折り返されず、その非肌対向面が広げられた状態で、粘着部71を介して着衣の肌対向面(内面)に固定される。
本実施形態のナプキン1によれば、1)ナプキン1を個装する際に利用する2本の折曲線11,12とサイドシート5(内側縁部51)の吸収性本体10(表面シート2)に対する固定部55,56との位置関係が適切に調整されていること、及び2)両折曲線11,12の間に吸収体4の中高部42が設けられていること等により、サイドシート5の起立性とナプキン1の身体への沿い易さとが両立されているため、優れたフィット性及び防漏性が奏され、後方部Cにおいて伝い漏れを起こし難い。また、本実施形態のナプキン1においては、前記1)及び2)に加えて更に、サイドシート5の内側縁部51(弾性伸縮部)における弾性部材9の配置数が1本とされて、内側縁部51の伸長力(収縮力)が比較的低く抑えられているため、前記作用効果がより確実に奏される。更に、本実施形態のナプキン1においては、後方フラップ粘着部71が後側固定部56より長手方向後方に位置するように設けられているため、後方フラップ7が下着等の着衣に対して安定的に固定され、前記1)及び2)の作用効果と相俟って、伝い漏れがより一層確実に防止される。
図5には、本発明の女性用吸収性物品の他の実施形態である生理用ナプキン1Aが示されている。後述する他の実施形態については、前述した実施形態のナプキン1と異なる構成部分を主として説明し、同様の構成部分は同一の符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成部分は、前記実施形態のナプキン1についての説明が適宜適用される。
ナプキン1Aにおいては、図5に示すように、前側固定部55と後側固定部56との間で且つ第2折曲線12より長手方向Xの後方に、サイドシート5の内側縁部51が他の部材(表面シート2)に固定されて中間固定部57が形成されている。中間固定部57は、前側固定部55や後側固定部56と同様に、弾性部材9を含むサイドシート5の内側縁部51及びその近傍が、吸収性本体10を構成する表面シート2の肌対向面に、接着剤やヒートシール等の公知の接合手段で接合され固定されて形成されており、平面視四角形形状を有し、その断面視形状は、図3に示す前側固定部55と略同じである。前側固定部55と後側固定部56との間に中間固定部57が形成されていると、ナプキン1Aが装着された際に、肌対向面から離間して起立したサイドシート5の内側縁部51が外側にめくれる不都合がより効果的に防止される。斯かる作用効果をより確実に奏させるようにする観点から、第2折曲線12と中間固定部57との離間長さL5(図5参照)は、好ましくは30〜60mm、更に好ましくは35〜55mmである。また、離間長さL5は、第2折曲線12と後側固定部56との離間長さL2(図5参照)の30〜80%、特に40〜70%を占めることが好ましい。ナプキン1Aによっても、前述したナプキン1(図1参照)と同様の効果が奏される。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、ナプキン1は、ウイング6を有しないものであっても良い。また、本発明の女性用吸収性物品は、生理用ナプキンの他、パンティライナー(おりものシート)、失禁パッド等にも適用できる。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明は斯かる実施例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
図1〜図3に示す生理用ナプキン1と概ね同じ構成を有する生理用ナプキンを製造し、これを実施例1のサンプルとした。表面シートとしては、坪量25g/m2のエアスルー不織布(花王株式会社製「ロリエSpeed+スリムガード」に使用)を用いた。裏面シートとしては、坪量35g/m2の液不透過性且つ透湿性のポリエチレン製樹脂フィルム(炭酸カルシウム配合)を用いた。サイドシートとしては、坪量20g/m2のスパンボンド不織布を用いた。一対のサイドシートそれぞれの内側縁部には1本の糸状の弾性部材を配し、且つ該弾性部材の伸長力を4.0cNに設定した。吸収体としては、下層吸収体及び上層吸収体それぞれの素材として、パルプ繊維の集合体に吸水性ポリマーを分散状態に固定させた吸収性シート(花王株式会社製「ロリエSpeed+スリムガード」に使用の吸収性シート)を用いた。下層吸収体の素材とした吸収性シートは、坪量75g/m2、幅158mm、長さ270mmであり、該吸収性シートを、158mmの幅が75mmになるように、幅方向略中央付近で重なり合うように幅方向に二つ折りし、この二つ折りされた吸収性シート(厚み1.0mm、剛性値30cN)を下層吸収体とした。また、上層吸収体の素材とした吸収性シートは、坪量80g/m2、幅90mm、長さ90mmであり、該吸収性シートを、90mmの幅が35mmになるように、幅方向略中央付近で重なり合うように幅方向に二つ折りし、この二つ折りされた吸収性シート(厚み1.5mm、剛性値20cN)を上層吸収体とした。
〔実施例2〜4及び比較例1〜4〕
各部の長さ(前記離間長さL1,L2等)や中間固定部の有無等を下記表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして生理用ナプキンを製造し、それらを実施例2〜4及び比較例1〜4のサンプルとした。中間固定部を有するサンプル(実施例2及び比較例2)において、第2折曲線と中間固定部との離間長さL5(図5参照)は50mm、第2折曲線と後側固定部との離間長さL2(図5参照)に占める離間長さL5の割合は60%とした。また、吸収体の中高部を有しないサンプル(比較例1)において、吸収体としては、実施例1における下層吸収体のみを用いた。
〔評価〕
実施例及び比較例の各サンプル(生理用ナプキン)について、サイドシート起立性、後斜め漏れ防止性(後方部における伝い漏れ防止性)、フィット性をそれぞれ下記方法によって評価した。それらの結果を下記表1に示す。
<サイドシート起立性の評価方法>
図1を参照しながら説明すると、各実施例及び比較例の生理用ナプキンを、第1折曲線11及び第2折曲線12に沿って肌対向面を内側にして折り畳んだ後、この三つ折りされた生理用ナプキンを展開して自然状態とする。そして、生理用ナプキンの自然状態において、1)第1折曲線11と前側固定部55との中間付近における、サイドシート5の表面シート2からの起立高さを測定し、その測定値に基づいて前方部A(生理用ナプキンの長手方向前側)のサイドシート起立性を評価し、また、2)第2折曲線12と後側固定部56又は中間固定部57(図5参照)との中間付近における、サイドシート5の表面シート2からの起立高さを測定し、その測定値に基づいて後方部C(生理用ナプキンの長手方向後側)のサイドシート起立性を評価した。サイドシート起立性の評価基準は、前方部Aについては、6mm以上の場合を◎、3〜5mmの場合を○、2mm以下の場合を△、ほとんど起立していない場合を×とし、また、後方部Cについては、7mm以上の場合を◎、4〜6mmの場合を○、3mm以下の場合を△、ほとんど起立していない場合を×とした。尚、前方部A、後方部Cそれぞれについて、測定は3回実施し、それらの平均値を前記測定値とした。
<後斜め漏れ防止性の評価方法>
各実施例及び比較例の生理用ナプキンを、女性が立っている状態の腰部部分を再現した、ナプキン装着用のアクリル樹脂製の透明なモデルに擬似的に装着した。斯かるナプキンの擬似的な装着には、生理用ショーツ〔花王株式会社製「ロリエアクティブガード(コットンフィール)」、Lサイズ〕を利用した。こうしてナプキンを擬似的に装着した透明なモデルを、評価台に寝た姿勢をとるように(生理用ショーツの側部接合線の角度と評価台とが約25°の傾きとなるように)に置き、更に、45°の斜面台に該モデルを沿わせることで、横向きに傾けた。モデルの股間部から注入速度(1g/10秒)で馬脱繊維血液を注入し、注入された馬脱繊維血液がナプキン後方側部から漏れ始めた時点での馬脱繊維血液の注入量(最大注入量)を測定し、該最大注入量に基づいて後斜め防止性を評価した。後斜め漏れ防止性の評価基準は、最大注入量が10g以上の場合を◎、最大注入量が8g以上10g未満の場合を○、最大注入量が5g以上7g以下の場合を△、最大注入量が4g以下の場合を×とした。尚、各サンプルにつき測定は3回実施し、それらの平均値を前記最大注入量とした。
<フィット性の評価方法>
図1を参照しながら説明すると、各実施例及び比較例の生理用ナプキンを、第1折曲線11及び第2折曲線12に沿って肌対向面を内側にして折り畳んだ後、この三つ折りされた生理用ナプキンを展開し、該生理用ナプキンを手で軽く押さえながら、女性が立っている状態の腰部部分を再現した、ナプキン装着用のアクリル樹脂製の透明なモデルに沿わせ、該生理用ナプキンの湾曲した形状が該モデルに合っているかを目視にて観察し、下記評価基準によりフィット性を評価した。尚、各サンプルにつき評価は3回実施し、それらの平均を当該サンプルのフィット性の最終評価とした。
フィット性の評価基準:
◎:前方部A〜後方部C(全域)にかけて生理用ナプキンの湾曲状態が透明なモデルの形状に合っている。
○:前方部A〜後方部C(全域)にかけて生理用ナプキンの湾曲状態が透明なモデルの形状にほぼ合っている。
△:前方部A又は後方部Cの何れか一方のみが透明なモデルの形状に合っている。
×:前方部A及び後方部C何れも透明なモデルの形状に合っていない。
Figure 2013123579
表1に示す通り、実施例の生理用ナプキンは何れも、前方部及び後方部におけるサイドシート起立性、後斜め防止性並びにフィット性に優れるものであった。これに対し、比較例1及び2の生理用ナプキンは、主として、第2折曲線と後側固定部との離間長さL2(図1参照)が、該第2折曲線と吸収性本体の後端との離間長さL3(図1参照)の35%未満であるため、後方部のサイドシート起立性が良好とは言い難く、後斜め漏れ防止性及びフィット性に劣る結果となった。また、比較例3及び4の生理用ナプキンは、主として、第1折曲線と前側固定部との離間長さL1(図1参照)が10〜25mmの範囲外であるため、フィット性に劣る結果となった。以上のことから、身体へのフィット性及びサイドシートの起立性に優れ、後方部において伝い漏れを起こし難い女性用吸収性物品を得るためには、離間長さL3に占める離間長さL2の割合が35%以上であること、及び離間長さL1が10〜25mmの範囲内であることが重要であることがわかる。
1,1A 生理用ナプキン(女性用吸収性物品)
2 表面シート
3 裏面シート
4 吸収体
40 下層吸収体
41 上層吸収体
42 中高部
5 サイドシート
51 サイドシートの内側縁部
53 サイドシートの前端部固定部
54 サイドシートの後端部固定部
55 サイドシートの前側固定部
56 サイドシートの後側固定部
57 サイドシートの中間固定部
6 ウイング
61 ウイング粘着部
7 後方フラップ
71 後方フラップ粘着部
9 弾性部材
10 吸収性本体
11 第1折曲線
12 第2折曲線
13 第1接号線
14 第2接合線
A 前方部
B 排泄部対向部
C 後方部

Claims (6)

  1. 液保持性の吸収体並びに該吸収体の肌対向面側に配置された表面シート及び該吸収体の非肌対向面側に配置された裏面シートを備えた縦長の吸収性本体と、該吸収性本体における排泄部対向部より長手方向後方に位置する後方部の長手方向に沿う両側部それぞれから幅方向外方に延出する一対の後方フラップとを有し、該吸収性本体の長手方向に沿う両側部それぞれの肌対向面に該吸収性本体の略全長に亘ってサイドシートが設けられた縦長の女性用吸収性物品であって、
    前記吸収性本体に、幅方向に延びる第1及び第2折曲線が形成されており、両折曲線に沿って該吸収性本体を、肌対向面を内側にして折り畳み可能になされており、
    前記第1折曲線は、前記第2折曲線に比して前記吸収性本体の長手方向前端に近く、両折曲線の間に前記排泄部対向部が存しており、
    前記吸収体は、前記第1折曲線と前記第2折曲線との間に肌対向面側に隆起する中高部を有しており、
    前記サイドシートの長手方向に沿う内側縁部に、弾性部材が伸長状態で配されており、前記女性用吸収性物品の自然状態では少なくとも前記第1折曲線と前記第2折曲線との間において、該弾性部材の収縮により該サイドシートの該内側縁部側が前記吸収性本体の肌対向面から離間して起立し、
    前記第1折曲線より長手方向前方に、前記弾性部材を含む前記サイドシートの前記内側縁部が前記表面シートに固定されて前側固定部が形成されていると共に、前記第2折曲線より長手方向後方に、前記弾性部材を含む前記サイドシートの前記内側縁部が前記表面シートに固定されて後側固定部が形成されており、
    前記第1折曲線と前記前側固定部との離間長さは、10〜25mmで且つ前記第2折曲線と前記後側固定部との離間長さに比して短く、
    前記第2折曲線と前記後側固定部との離間長さは、該第2折曲線と前記吸収性本体の後端との離間長さの35%以上を占める女性用吸収性物品。
  2. 前記吸収体における前記中高部を除く部分のJIS L1096に準じて測定される剛性値が40cN以下である請求項1記載の女性用吸収性物品。
  3. 前記弾性部材は、前記サイドシートの前記内側縁部に1本配されている請求項1又は2記載の女性用吸収性物品。
  4. 前記サイドシートの前記内側縁部は、前記前側固定部と前記後側固定部との間においては他の部材に固定されていない請求項1〜3の何れか一項に記載の女性用吸収性物品。
  5. 前記後方フラップの非肌対向面に、該後方フラップを着衣に固定する粘着部が、前記後側固定部より長手方向後方に位置するように設けられている請求項1〜4の何れか一項に記載の女性用吸収性物品。
  6. 生理用ナプキンである請求項1〜5の何れか一項に記載の女性用吸収性物品。
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