JP7095809B2 - 質量分析装置及び質量分析装置用プログラム - Google Patents

質量分析装置及び質量分析装置用プログラム Download PDF

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Description

本発明は質量分析装置及び質量分析装置用のコンピュータプログラムに関し、さらに詳しくは、実測結果に基づいて装置パラメータを最適又はそれに近い状態に調整する機能を有する質量分析装置、及びそのためのコンピュータプログラムに関する。
液体クロマトグラフ質量分析装置(LC-MS)では、液体クロマトグラフ部のカラムから溶出する試料液中の化合物をイオン化するために、エレクトロスプレーイオン化(ESI)法、大気圧化学イオン化(APCI)法、大気圧光イオン化(APPI)法などの大気圧イオン化(API)法によるイオン源が用いられる。例えばESIイオン源では、カラムからの溶出液が供給されるキャピラリの先端付近にkVオーダーの高電圧を印加することで、溶出液に片寄った電荷を付与しながら略大気圧雰囲気であるイオン化室内に噴霧する。これにより生成された微小な帯電液滴は、イオン化室内で高温のガスに晒され、該液滴中の溶媒(移動相)の気化が促進される。溶媒の気化や液滴の分裂の過程で、該液滴中の試料成分はイオン化され気相中に取り出される。こうして生成された試料成分由来のイオンが収集されて質量分析に供される。
上記のようなイオン源を備えたLC-MSにおいて高感度の成分分析を行うには、イオン化効率ができるだけ高くなるように、イオン源の構成要素へ印加する電圧、それら構成要素自体やイオン化室内の温度、或いは、イオン化に際して利用される各種のガスの流量、等の装置パラメータを最適化することが重要である。こうした装置パラメータの最適値は、目的成分(化合物)の種類や移動相の条件(移動相の種類、流速等)等に依存する。そこで、装置パラメータの最適化は一般に、各パラメータの値を所定の範囲で変化させつつ目的成分を含む試料(一般的には標準試料)を実測することで得られた結果に基づいて行われる。この装置パラメータ最適化のための測定の回数が多いと、測定の効率が低下するのみならず、試料や移動相等の消費材の使用量が多くなり測定コストの増加に繋がる。そのため、できるだけ少ない測定回数で以て最適なパラメータ値つまりは最適な測定条件を探索することが要望されている。
調整すべきパラメータの種類の数がN、1種類のパラメータについて変化させる値の数をLとした場合、全てのパラメータについて総当たり的にパラメータ値を組み合わせて測定を実行しようとすると測定回数はLNとなる(以下、この方法を「網羅法」という)。例えばL、Nがそれぞれ数個程度であっても測定回数はかなり多くなる。
これに対し、複数種類のパラメータについて1種類ずつ順番にパラメータ値の最適化を行う方法が従来知られている(以下、この方法を「逐次法」という)。この逐次法は、非特許文献1に記載の、株式会社島津製作所が提供しているインターフェイスパラメータ最適化機能を含む制御用ソフトウェア「Labsolutions Connect MRM」に採用されている方法である。この逐次法における測定回数はL×Nであり、上述した網羅法に比べると測定回数は格段に少なくて済む。
上記網羅法では、総当たり的にパラメータ値を組み合わせて実施された測定結果の中で最良の結果、通常は目的化合物に対する信号強度が最大になる測定条件、が最適値である。それに対し、逐次法のように、パラメータ値の特定の組み合わせについてしか測定を実施しない方法では、全てのパラメータの最適化が終了した段階でも、全体的にみて必ずしも検出感度が高いようなパラメータに到達しない場合がある。即ち、最適化の結果が、大局的な最適解ではなく局所的な最適解に陥る場合がある。これを避けるため、非特許文献1に記載のソフトウェアには、或る1種類のパラメータの値が変更されながら測定が実行されたときに、その測定毎に得られる信号強度の変化がグラフで表示される機能が搭載されている。これにより、そうしたグラフをユーザが確認することで適切な最適化が行われているか否かを検証することができる。また、ユーザはそのグラフを確認したうえで適切な測定条件を選択し、その測定条件を示す情報が記載されているメソッドファイルを作成することができる。
特開2018-73360号公報 米国特許第8039795号明細書 米国特許第6759650号明細書 米国特許第7098452号明細書 国際公開第2018/078693号パンフレット
「LabSolutions Connect MRM」、[online]、株式会社島津製作所、[2019年7月17日検索]、インターネット<URL: https://www.an.shimadzu.co.jp/data-net/labsolutions/connect_mrm/index.htm> 田川、ほか4名、「LC-MS高感度計測のためのインターフェイスパラメータ最適化」、島津評論編集部、2019年3月20日発行、島津評論、第75巻、第3・4号、pp.131-135 スウェルスキー(K. Swersky)ほか2名、「マルチタスク・ベイジアン・オプティマイゼイション(Multi-Task Bayesian Optimization)」、[online]、[2019年7月18日検索]、NIPS、2013、インターネット<URL: https://papers.nips.cc/paper/5086-multi-task-bayesian-optimization.pdf> スノーク(J. Snoek)ほか2名、「プラクティカル・ベイジアン・オプティマイゼイション・オブ・マシン・ラーニング・アルゴリズムズ(Practical Bayesian Optimization of Machine Learning Algorithms)」、[online]、[2019年7月18日検索]、NIPS、2012、インターネット<URL: https://papers.nips.cc/paper/4522-practical-bayesian-optimization-of-machine-learning-algorithms.pdf>
本出願人は、上記逐次法に比べてさらに効率的に装置パラメータを最適化する方法として、マルチタスクベイズ最適化(Multi-Task Bayesian Optimization)法を利用した方法を提案している(非特許文献2参照)。マルチタスクベイズ最適化法の詳細は後述するが、マルチタスクベイズ最適化法では、複数種類のパラメータを1種類ずつ順番に最適化するのではなく、複数種類のパラメータの値を同時に変化させつつ測定を行い、その測定結果に基づき次の測定における測定条件である装置パラメータの値として適当な値を決定する、という作業を繰り返しながら、それら複数種類のパラメータを最適化することが特徴の一つである。そのため、マルチタスクベイズ最適化法でも逐次法と同様に、最適化が適切に行われないと局所解に陥るおそれがあり、それを回避するには、実測結果に伴う最適化の過程をユーザが確認することが重要である。
しかしながら、マルチタスクベイズ最適化法では、通常、測定毎に複数種類のパラメータの値が同時に変化する。また、パラメータ最適化の際に、或る測定の次に実施される測定においてどのパラメータがどの程度の値に変化するのかは、最適化の過程で決定されるため、予め定まっていない。そのため、非特許文献1に記載のソフトウェアで実施されているような方法によっては、複数種類のパラメータのそれぞれの変化と信号強度との関係をユーザが容易に把握できるような表示を行うことができない。さらにまた、そうした複数種類のパラメータと信号強度との関係が確認できないと、局所解に陥らないような適切な測定条件をユーザが判断して設定することも容易ではない。
本発明はこうした課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、装置パラメータの最適化に際してユーザがその最適化が適切に行われているか又は行われたかを容易に確認することができ、またその最適化の結果に基づいて適切な測定条件を容易に設定することができる質量分析装置及び質量分析装置用プログラムを提供することにある。
本発明に係る質量分析装置の一態様は、液体試料に含まれる成分をイオン化する大気圧イオン化法によるイオン源、試料成分由来のイオンを質量電荷比に応じて分離する質量分離部、及び、分離されたイオンを検出する検出部、を具備する質量分析装置であって、
前記イオン源でのイオン化効率に影響を及ぼす複数種類のパラメータを含む装置パラメータについて、ベイズ最適化法を利用して、該装置パラメータの値を変更しながら測定を実行することで得られた結果に基づいてパラメータ値の最適化を行うパラメータ最適化実行部と、
前記パラメータ最適化実行部による装置パラメータの最適化の途中段階で推定された、該装置パラメータのうちの全て又は一部の複数のパラメータと信号強度との関係を示す事後分布である感度モデルを、一つのヒートマップ様のグラフ又は複数の該グラフの配列で表現し、これを逐次更新しながら表示部に表示する表示処理部と、
前記表示処理部により表示されたグラフ上でユーザに任意の位置を指定させ、その指定された位置に対応する各パラメータの値の組み合わせに基づいて、試料測定の際に利用される測定条件を記述したメソッドファイルを作成するファイル作成部と、
を備えるものである。
また本発明に係る質量分析装置用プログラムの一態様は、液体試料に含まれる成分をイオン化する大気圧イオン化法によるイオン源、試料成分由来のイオンを質量電荷比に応じて分離する質量分離部、及び、分離されたイオンを検出する検出部、を具備する質量分析装置に用いられるプログラムであり、前記イオン源でのイオン化効率に影響を及ぼす複数種類のパラメータを含む装置パラメータのパラメータ値の最適化を行うためのプログラムであって、コンピュータを、
後記最適化時パラメータ決定機能部により決定される装置パラメータの値の下で測定を実行するように前記イオン源、前記質量分離部、及び、前記検出部の動作を制御する測定制御機能部と、
ベイズ最適化法を利用して、前記測定制御機能部による制御の下で実施された測定により得られた結果に基づいてパラメータ値の最適化を行い、次の測定における装置パラメータの値を決定する最適化時パラメータ決定機能部と、
前記測定制御機能部及び前記最適化時パラメータ決定機能部による装置パラメータの最適化の途中段階で推定された、該装置パラメータのうちの全て又は一部の複数のパラメータと信号強度との関係を示す事後分布である感度モデルを、一つのヒートマップ様のグラフ又は複数の該グラフの配列で表現し、これを逐次更新しながら表示部に表示する表示処理機能部と、
前記表示部上に表示された前記グラフ上でユーザに任意の位置を指定させ、その指定された位置に対応する各パラメータの値の組み合わせに基づいて、試料測定の際に利用される測定条件を記述したメソッドファイルを作成するファイル作成機能部と、
して動作させるものである。
当然のことながら、本発明に係る質量分析装置の一態様及び質量分析装置用プログラムの一態様において、上記ベイズ最適化法は非特許文献2~4等に開示されているマルチタスクベイズ最適化法も含む。
また本発明に係る質量分析装置の一態様及び質量分析装置用プログラムの一態様を適用する質量分析装置において、液体試料に含まれる成分をイオン化する大気圧イオン化法によるイオン源とは、典型的には、ESI法、APCI法、又はAPPI法によるイオン源であるものとすることができる。
本発明に係る質量分析装置の上記態様、及び、本発明に係る質量分析装置用プログラムの上記態様を用いた質量分析装置では、ベイズ最適化法により装置パラメータの最適化が進行する過程で事後分布である感度モデルが更新される毎に、表示部の画面上に描出される、感度モデルのヒートマップ様のグラフ又はその配列が逐次更新される。ベイズ最適化法によるパラメータ最適化では、始めは感度モデルの変化が大きいのに対し、パラメータが最適値に近づくに従い感度モデルの変化が小さくなる。そのため、ユーザはこのグラフ又はその配列を視認することで、装置パラメータが最適値に近づいたことを把握することができる。また、感度モデルのグラフ又はその配列から、最適化処理が適切に行われているか否かを確認することができる。
そして、最適化処理が終了した段階で、ユーザがその時点での感度モデルのグラフ上で例えば信号強度が最も大きい(感度が最も高い)と推定される位置を指定すると、ファイル作成機能部は、その指定された位置に対応する各パラメータの値の組み合わせに基づいてメソッドファイルを作成する。これにより、例えば、局所解に陥らないような適切な測定条件をユーザが判断したうえで簡単に設定することができる。即ち、測定条件の適切な設定をユーザによる簡単な作業によって行うことができる。
本発明の一実施形態であるLC-MSの概略ブロック構成図。 本実施形態のLC-MSにおけるイオン源の概略構成図。 本実施形態のLC-MSにおいてマルチタスクベイズ最適化法でパラメータ探索を行う際の処理の流れを示すフローチャート。 パラメータ探索における問題設定とその解法の一例を示す図。 ベイズ最適化法によるパラメータ探索の一例を示す図。 本実施形態のLC-MSにおいてマルチタスクベイズ最適化法でパラメータ探索を行う際の、事後分布である感度モデルの表示の一例を示す図。 本実施形態のLC-MSにおいてマルチタスクベイズ最適化法でパラメータ探索を行う際の、正解感度モデルと事後分布感度モデルとの対比の一例を示す図。 本実施形態のLC-MSにおいてマルチタスクベイズ最適化法でパラメータ探索を行う際の、正解感度モデルと事後分布感度モデルとの対比の一例を示す図。
本発明に係る質量分析装置を含むLC-MSの一実施形態について、添付図面を参照して説明する。
[本実施形態のLC-MSの全体構成]
図1は、本実施形態のLC-MSの要部のブロック構成図である。
本実施形態のLC-MSは、大別して、測定部1、制御部4、データ処理部5、入力部6、及び表示部7、を含む。測定部1は、液体クロマトグラフ部(LC部)2及び質量分析部(MS部)3を含む。液体クロマトグラフ部2は、送液ポンプ21、インジェクタ22、カラム23などを含み、質量分析部3は、イオン源31、質量分離部32、検出部33などを含む。
液体クロマトグラフ部2では、送液ポンプ21により送給される移動相中にインジェクタ22から試料を注入し、移動相の流れに乗せて該試料をカラム23へと送り込む。試料中の各種成分(化合物)はカラム23を通過する間に時間的に分離され、カラム23出口から溶出して質量分析部3に導入される。質量分析部3においてイオン源31は、カラム23からの溶出液中の成分をイオン化し、質量分離部32は生成された各種イオンをその質量電荷比m/zに応じて分離する。検出部33は質量電荷比に応じて分離されたイオンを検出し、イオン量に応じた検出信号を発生する。
制御部4は測定部1やデータ処理部5の動作を制御するものであり、パラメータ最適化時測定制御部41、通常測定制御部42、測定メソッド記憶部43などの機能ブロックを含む。データ処理部5は測定部1で得られたデータを受けて各種のデータ処理を行うものであり、ピーク強度算出部51、データ記憶部52、パラメータ最適化処理部53、などの機能ブロックを含む。パラメータ最適化処理部53は、その下位の機能ブロックとして、参照モデル記憶部531、事後分布モデル推定部532、次探索パラメータ決定部533、探索終了判定部534、メソッド作成部535、及び、最適化時表示処理部536を含む。
なお、一般に、制御部4及びデータ処理部5の機能ブロックの大部分は、パーソナルコンピュータをハードウェア資源とし、該コンピュータにインストールされた専用の制御・処理用のプログラムを該コンピュータ上で実行することで具現化されるものとすることができる。本発明に係る質量分析装置用プログラムの一実施形態は、この制御・処理用のプログラムの一部である。当然のことであるが、こうしたコンピュータプログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、メモリカード、USBメモリ(ドングル)などの、非一時的な記録媒体に収録されてユーザに提供されるようにすることができる。或いは、インターネットなどの通信回線を介したデータ転送の形式で、ユーザに提供されるようにすることもできる。
[本実施形態のLC-MSにおけるイオン源の構成及び概略動作]
図2は、本実施形態のLC-MSにおけるイオン源31の概略構成図である。このイオン源31は大気圧イオン源の一つであるESIイオン源であり、チャンバ310の内部に形成される略大気圧雰囲気であるイオン化室311に、溶出液中の成分をイオン化するESIプローブ312を備える。
ESIプローブ312は、溶出液が流通するキャピラリ3121、該キャピラリ3121を囲むように配置されているネブライズガス管3122、ネブライズガス管3122を囲むように配置されている加熱ガス管3123、主として加熱ガス管3123中のガスを加熱するインターフェイスヒータ3124、及び、キャピラリ3121に高電圧を印加する高電圧電源3125、を含む。イオン化室311と次段の中間真空室(図示しない)との間は、細径の脱溶媒管313を通して連通している。この脱溶媒管313を加熱するために、脱溶媒管ヒータ315が脱溶媒管313に周設されている。また、脱溶媒管313の入口部(イオン導入口)の周囲には、乾燥ガスをイオン化室311内に噴出する乾燥ガス管314が配置されている。ブロックヒータ316は主としてこの乾燥ガス管314中のガスを加熱するものである。
上記構成を有するイオン源31におけるイオン生成動作を簡単に説明する。
カラム23の出口から溶出した溶出液がキャピラリ3121の先端付近に到達すると、高電圧電源3125からキャピラリ3121に印加されている高電圧(最大数kV程度)により形成される直流電場によって、溶出液には片寄った電荷が付与される。電荷を付与された溶出液はネブライズガス管3122から噴出するネブライズガスの助けを受けて、微細な液滴(帯電液滴)となってイオン化室311内に噴霧される。噴霧された液滴はイオン化室311内のガス分子に接触し、分裂して微細化される。加熱ガス管3123から噴出する高温の加熱ガスは上記溶出液由来の噴霧流を囲むように流れるため、液滴からの溶媒の気化が促進されるとともに、噴霧流の広がりは抑えられる。液滴からの溶媒の気化が進行する過程で、該液滴中の成分分子は電荷を有して該液滴から飛び出し気体イオンとなる。
脱溶媒管313の両開口端には圧力差があるため、この圧力差によって、イオン化室311内から脱溶媒管313中に吸い込まれるようなガス流が形成される。上述したようにイオン化室311内で生成された試料成分由来のイオンや溶媒が未だ完全には気化していない微細な帯電液滴は、上記ガス流に乗って脱溶媒管313中に吸い込まれる。この吸い込み方向とは逆方向に、乾燥ガス管314から高温の乾燥ガスが噴出しているため、この乾燥ガスに晒されることで帯電液滴からの溶媒の気化は一層進行する。さらに、脱溶媒管313自体が脱溶媒管ヒータ315により高温に加熱されているので、脱溶媒管313中においても帯電液滴からの溶媒の気化は進行する。それにより、イオン化は一層促進され、試料成分由来の多量のイオンが次段の中間真空室へと送られ、質量分析に供される。
イオン源31には、イオン化効率に影響を与える主要な装置パラメータとして次の7種類のパラメータがある。
(1)インターフェイス温度(以下、「IFT」又は「I/F温度」と略す場合がある)
加熱ガス管3123中のガスやESIプローブ312先端付近を加熱するインターフェイスヒータ3124の温度である。
(2)ブロックヒータ温度(以下、「BHT」又は「BH温度」と略す場合がある)
主として乾燥ガス管314中のガスを加熱するブロックヒータ316の温度である。
(3)脱溶媒管温度(以下、「DLT」又は「DL温度」と略す場合がある)
主として脱溶媒管313を加熱する脱溶媒管ヒータ315の温度である。
(4)インターフェイス電圧(以下、「IFV」又は「I/F電圧」と略す場合がある)
液滴として噴霧される溶出液に電荷を付与するための電場を形成するための電圧であり、本実施形態では、ESIプローブ312の先端へ印加される高電圧(但し、極性はイオン化モードに依存し、正又は負のいずれかを採り得る)である。
(5)ネブライズガス流量(以下、「NebGas」と略す場合がある)
ネブライズガス管3122を通してESIプローブ312先端の噴出口付近に流す、溶出液の噴出を補助するネブライズガスの流量である。
(6)加熱ガス流量(以下、「HeatGas」と略す場合がある)
加熱ガス管3123を通してキャピラリ3121周囲から液滴の噴霧流と同方向に流す高温のガスの流量である。
(7)乾燥ガスの流量(以下、「DryGas」と略す場合がある)
乾燥ガス管314を通して、脱溶媒管313へのガスの吸い込み方向と逆方向に流す乾燥したガスの流量である。
上記7種類のパラメータの値を変えるとイオン化効率が変化し、質量分析に供されるイオンの量が変化して検出部33における検出感度(信号強度)も変化する。検出感度の変化の度合いや変化の方向は成分(化合物)に依存するため、高感度の測定を行うには化合物毎にパラメータ値を最適化する必要がある。
本実施形態のLC-MSでは、上述したイオン化効率に影響する装置パラメータを最適化するために、一般的なベイズ最適化法(Bayesian Optimization)を改良したマルチタスクベイズ最適化法を利用している。ここで、まずベイズ最適化法について、図4、図5を用いて概略的に説明する。
[ベイズ最適化法を利用したパラメータ最適化の概説]
或るパラメータの最適値を探索する場合、できるだけ少ない測定回数で以て最適な値を探索できることが望ましい。この問題は、一般化すれば、「繰返し測定において、できるだけ良好な測定値が得られるパラメータの値を探索する」という問題に帰着される。ここでいう良好な測定値とは、一般的には最大の信号強度値であるが、測定の目的等によっては、SN比が最大である測定値、或いは最小の測定値、などである場合もある。
いま一例として、図4(a)に示すように、或る一つのパラメータ(例えば電圧)に関する異なる四つのパラメータ値についての測定が終了しており、図中に黒丸点で示す四つの測定値が得られているものとする。いま、この四つの測定値よりもさらに大きな測定値を得ることが期待できる次のパラメータ値、を探索する場合を考える。
ユーザ(作業者)が自らの判断によって次に設定すべきパラメータ値を選択する場合には、図4(b)に点線及び一点鎖線でそれぞれ示すように、どのような測定対象モデルを想定するのかによって次のパラメータ値の選択がばらつく(図中のA、B)ことが避けられない。
これに対し、パラメータ探索の一手法としてよく知られているベイズ最適化法(特許文献1など参照)を用いれば、取得済みの測定データに基づいて、確率的に良い結果が期待できる次のパラメータ値(測定条件)を決定することができる。図4(c)は、上記四つの測定値からベイズ最適化法により測定対象のモデルを推定し、次に測定すべきパラメータ値を探索した結果を示す図である。図4(c)において、実線で示すカーブはベイズ最適化法により推定されたモデル関数の事後分布の平均値、斜線で塗りつぶした範囲はそのモデル関数の事後分布の不確かさ(或いは分散)、「Next」と記載された縦の太実線は自動的に選択された次のパラメータ値を示している。
より詳しく述べると、ベイズ最適化法では測定対象のモデル(以下、「モデル」とは実質的にパラメータ値と信号強度値又は感度との関係を示す分布)がガウス過程に従うという仮定の下で、取得済みの測定データに基づいてモデル関数の事後分布の平均値と分散値とを計算する。そして、それら計算値を基に、真のものにより近づくようにモデルを改善することが期待される次の測定条件(パラメータ値)を決定する。そして、決定された測定条件の下で次の測定を実施し新たな測定データを取得し、このデータを、既に取得済みの測定データに加えてモデル関数の事後分布を再推定し、モデル関数の事後分布の精度を高める。こうした処理を繰り返すことによって、より良好な測定値が得られるパラメータ値を得ることができる。
図5は、ベイズ最適化法を用いたパラメータ探索の一例を示す図であり、図5(a)は初期の四つの測定値(図4(a)と同じ)にさらに一つの測定値が加わった状態の図、図5(b)は初期の四つの測定値にさらに七つの測定値が加わった状態の図である。図4(c)と同様に、黒丸点は測定値、実線のカーブは推定されたモデル関数事後分布の平均値、点線のカーブは真のモデル、斜線で塗りつぶした範囲はモデル関数事後分布の不確かさ、「Next」と記載された縦の太実線は自動的に選択された次のパラメータ値を示している。図5(b)に示すように、パラメータ値を変更しながら測定を繰り返していくと、測定値が最も高くなるパラメータ値の付近の範囲で優先的にパラメータ探索が行われるようになる。これにより、測定値が最も高くなる又はそれに近くなるようなパラメータ値を見いだすことができる。
上記説明は1種類のみの装置パラメータを最適化する場合の例であるが、ベイズ最適化法では、複数種類のパラメータを並行して最適化するように拡張が可能であることは言うまでもない。
上述した一般的なベイズ最適化法では、測定点の数が少ない探索初期におけるモデル関数の事後分布の推定精度が比較的低く、そのために効率的な探索が難しい場合がある。これを克服するために、近年、ベイズ最適化法を改良したマルチタスクベイズ最適化法が提案されている(非特許文献2~4)。マルチタスクベイズ最適化法では、測定対象である実験(以下、「対象実験」という)とそれに関連する実験(以下、「参照実験」という)においてそれぞれデータを取得済みであることを前提とし、対象実験によるデータと参照実験によるデータとに相関があるという仮定の下で対象実験のモデルを推定する。非特許文献2に示されているように、マルチタスクベイズ最適化法では、観測点数が少ない探索初期の段階でも対象実験のモデルをかなり高い精度で推定することができるため、特に探索初期における探索の効率を改善することができる。
上記理由により、本実施形態のLC-MSではパラメータ最適化にマルチタスクベイズ最適化法を用いているが、通常のベイズ最適化法を用いても構わない。
[本実施形態のLC-MSにおけるパラメータ最適化の処理手順]
図3は、本実施形態のLC-MSにおいて、マルチタスクベイズ最適化法によるパラメータ最適化を行う際の処理の流れを示すフローチャートである。図3に従って、本実施形態のLC-MSにおけるパラメータ最適化の際の動作を説明する。
なお、マルチタスクベイズ最適化のアルゴリズムについては非特許文献3、4等に詳しく解説されており、また、そのアルゴリズム自体は本発明の趣旨ではないので、詳しい説明を省略する。
マルチタスクベイズ最適化を行うには、本装置又は本装置と同様の装置で得られた測定値に基づく参照モデルが必要である。この参照モデルは、例えば本装置と同機種の別の装置を用いた網羅的な測定を実施することで得られた実測データに基づいて作成しておくことができる。この場合の「モデル」とは、上記7種類のパラメータをそれぞれ1つの次元とする7次元空間における測定値、つまりはLC-MSにより得られる信号強度値の分布を示す感度モデルである。この参照モデルを構成するデータを参照モデル記憶部531に予め記憶しておく。
上記感度モデルは、7種類の装置パラメータに対応する7次元空間の信号強度分布として表される。こうした感度モデルに基づく演算処理の実行は可能であるものの、この感度モデルをユーザが理解容易であるように表示することは困難である。そこで、パラメータ最適化処理部53におけるデータ処理自体は7種類全ての装置パラメータを反映して行うものの、表示部7への感度モデルの表示自体は次元数を4に減らしている。本発明者らの検討によれば、イオン化効率に特に影響を及ぼすパラメータは、インターフェイス電圧(IFV)、ネブライズガス流量(NebGas)、加熱ガス流量(HeatGas)、及び乾燥ガス流量(DryGas)の4種類である。そこで、表示上では、この4種類のパラメータに対する感度モデルを、図6に示すような、ヒートマップ様グラフを2次元的に配列したグラフ(以下「ヒートマップ様2次元配列グラフ」という)で表すものとする。
図6において一つの略正方形状のヒートマップ様グラフは、横軸がインターフェイス電圧(IFV)、縦軸がネブライズガス流量(NebGas)であり、信号強度値(又は感度)が所定のカラースケールに従って表されている。また、複数のヒートマップ様グラフの横方向の配列の軸は乾燥ガス流量(DryGas)であり、縦方向の配列の軸は加熱ガス流量(HeatGas)である。このように2次元的なグラフを2次元的に配列することで、全体として、4次元空間における信号強度分布の情報を表している。したがって、ヒートマップ様2次元配列グラフ中の或る一つのヒートマップ様グラフ中の一点(厳密には1ピクセル)は、上記4種類のパラメータの値の一つの組み合わせに対応する信号強度値を示している。
まず、次探索パラメータ決定部533は、参照モデル記憶部531に格納されている参照モデルに基づいて、初期の測定条件つまりは7種類の装置パラメータのそれぞれの値を決定する。パラメータ最適化時測定制御部41は決定された測定条件を測定部1に設定したうえで測定(LC/MS分析)を実行するように測定部1の動作を制御する。通常、装置パラメータの最適化は化合物毎に行われるので、このときの試料としては目的の化合物を含む標準試料が用いられ、その化合物をターゲットとする測定が実施される(ステップS1)。データ処理部5においてピーク強度算出部51は、例えば目的化合物由来の特定の質量電荷比における抽出イオンクロマトグラム上のピークの高さ(又は面積)を信号強度値として求める。
事後分布モデル推定部532は、参照モデルを構成するデータと実測データとに基づき、ガウス過程回帰を利用してモデル関数の平均及び分散を計算することにより、モデル関数の事後分布(事後分布モデル)を推定する(ステップS2)。次探索パラメータ決定部533は、推定された事後分布モデルに基づく獲得関数を用いた演算により、次に測定すべき測定条件、即ち7種類のパラメータ値を算出する(ステップS3)。パラメータ最適化時測定制御部41は決定された新たな測定条件を測定部1に設定したうえで測定(LC/MS分析)を実行するように測定部1の動作を制御し、測定データを取得する(ステップS4)。
探索終了判定部534は、予め決められた繰返しの終了条件が満たされるか否かを判定する(ステップS5)。繰返しの終了条件は、例えばルーチンの繰返し回数が予め設定された値に到達したとき、或いは、測定値(信号強度値)が予め定められた目標に到達したとき、などとすることができる。それ以外に、本実施形態のLC-MSでは、後述するようにユーザによる最適化中止指示があった場合にも、終了条件が満たされたと判断する。そして、ステップS5において、繰返し終了条件が未だ満たしていないと判断されると(ステップS5でNo)、ステップS2へと戻り、新たに得られた測定値とそのときのパラメータ値とに基づく事後分布モデルの推定が再度行われる。こうして、ステップS2~S5の処理が繰り返されて、繰返し終了条件が満たされると、パラメータの探索を終了する(ステップS6)。
そのあと、メソッド作成部535は、例えば後述するようにユーザの指示に応じて、探索結果に基づいたパラメータ値の組み合わせを抽出し、該パラメータ値の組み合わせを測定条件とする測定メソッドを作成する。そして、目的化合物に対応する測定メソッドとして測定メソッド記憶部43に格納する(ステップS7)。こうして、或る一つの化合物についての測定メソッドが作成されるから、測定目的の化合物が複数ある場合には、その化合物毎に同様にパラメータ最適化を実行し測定メソッドを作成すればよい。
[本実施形態のLC-MSにおけるパラメータ最適化時の表示処理]
上述したように本実施形態のLC-MSでは、測定の実行と、その測定結果に基づく事後分布モデルの推定及び次測定のパラメータ決定という処理とを複数回繰り返しながら、装置パラメータを最適化する。その処理の際に、最適化時表示処理部536は特徴的な表示処理を行う。
即ち、上述したように、装置パラメータ最適化の実行中には、新たな測定条件の下での測定が実施される度に事後分布モデルが更新される。概略的には、この事後分布モデルは、測定が繰り返されるに従い正解である感度モデル(当然のことながら、正解である感度モデルは未知である)に徐々に近づくように変化し、正解である感度モデルとの差異が小さくなると測定毎の事後分布モデルの変化は小さくなる。即ち、事後分布モデルの変化は正解である感度モデルに近づくほど飽和する。これは、事後分布モデルが正解である感度モデルに或る程度近くなると、測定を追加的に実行することの効果が薄れ、逆に最適化の所要時間が長くなるという不利益が顕在化することを意味する。
そこで、本実施形態のLC-MSにおいて最適化時表示処理部536は、事後分布モデルを図6に示したようなヒートマップ様2次元配列グラフで表して表示部7の画面上に描出し、測定の実行によって事後分布モデルが更新される毎にこのヒートマップ様2次元配列グラフを最新のものに更新する。
図7及び図8は、測定回数の増加に伴う事後分布モデルの変化と正解である感度モデルとの対比の一例を示す図である。また、事後分布モデル中には、観測済みである点(測定条件)と次の観測点(つまりは探索の結果得られた点)も示している。なお、図7、図8の左側に示している正解感度モデルは対比の参考に示しているだけであって、上述したように実際には正解感度モデルは未知である。また、図7、図8の右側には、事後分布モデルのヒートマップ様2次元配列グラフを示しており、ここでは図面が煩雑になるのを避けるために、略矩形状の2次元配列の約半分のみを示しているが、実際には図6に示したようにその全体を表示するのがよい。
図7及び図8から、観測点の数が増えるに従い、正解である感度モデルに近い事後分布モデルを推定できていることが分かる。また、観測点の数が増える過程で追加される観測点の位置から、信号強度が高くなるような測定条件を優先的に探索できていることが分かる。
図7に示した観測点10点、図8に示した観測点13点、及び、観測点16点のときの事後分布モデルを示すグラフを比較すると、観測点10点から観測点13点にまで観測点の数が増える過程では事後分布モデルの変化が大きいのに対し、観測点13点から観測点16点にまで観測点の数が増える過程では事後分布モデルの変化が小さくなっていることが分かる。こうした事後分布モデルの変化をヒートマップ様2次元配列グラフでユーザが観察すると、観測点13点付近で或る程度、正確な推定ができていると推測することができる。
そこで、ユーザは測定の実行毎に更新されるヒートマップ様2次元配列グラフを確認し、満足できる程度に最適化が行われたと判断したとき、入力部6で所定の操作を行うことで最適化中止指示を与える。すると、この指示を受けた探索終了判定部354は、次に上記ステップS5の処理が実行されるときに終了条件を満たすと判断する。即ち、例えばルーチンの繰返し回数が予め設定された値に到達する前であっても、ユーザの判断によりパラメータの探索が打ち切られる。これにより、既に或る程度ユーザが満足できる程度にパラメータの最適化が行われていて、さらに時間を費やしても大きな感度向上が望みにくいような場合には、その時点でパラメータ探索を打ち切ることができる。
また、上記のようにパラメータの探索を終了したあと、図6に示すような最終的な事後分布モデルのヒートマップ様2次元配列グラフが表示部7の画面上に表示された状態で、ユーザは、最も適切であると推測される、通常は信号強度値が最大となる測定条件の位置を入力部6により指示する。すると、ヒートマップ様2次元配列グラフ上でユーザにより指示された位置に対応するパラメータ値の組み合わせを特定し、その特定したパラメータ値の組み合わせを測定条件とする測定メソッドを作成する。これにより、ユーザは例えばポインティングデバイスによるクリック操作を行うだけで、或る化合物についての良好な測定条件が格納された測定メソッドを作成することができる。
また、上述したように、本実施形態のLC-MSにおけるパラメータ最適化処理では、測定結果に基づいて次の測定における測定条件が自動的に決められるが、その途中でユーザが任意の測定条件(図6に示したグラフ上での任意の点)を設定し、その測定条件の下での測定の結果に基づく上記ステップS2~S4の処理が実施されるようにしてもよい。この場合、ユーザが任意に設定する測定条件は、一般的には、そのパラメータ最適化処理において測定が未実施である測定条件であるが、そのパラメータ最適化処理において既に1回以上測定が実施された測定条件であってもよい。
上記のようなユーザによる測定条件の設定は、例えば、何らかの事前情報として或る測定条件において良好な測定結果が得られることが分かっており、パラメータ最適化処理においてその測定条件での測定が未だ実施されていないような場合に有用である。
[変形例]
上記実施形態のLC-MSでは、イオン化効率に影響する7種類の装置パラメータについて最適化を行っていたが、その7種類全てが必要でないのは当然である。最適化するパラメータの種類が3以下である場合には、その数に応じてヒートマップ様2次元配列グラフの次元数を落とせばよい。
また、イオン源31がESIイオン源であっても、図2に示した構成は単に一例であり、その構成は様々に変更され得る。そして、その構成の変更に伴い、イオン化効率に影響するパラメータの内容は適宜に変更され得る。即ち、ESIイオン源においてイオン化効率に影響を与える要素は、略大気圧雰囲気中に噴霧される溶出液の帯電状態、噴霧される液滴の大きさ、液滴からの溶媒の気化のし易さ、発生したイオンを脱溶媒管又はそれに相当するイオン取込部(例えばサンプリングコーンなど)まで導く収集効率、など様々であり、こうした要素のいずれかに影響を及ぼすパラメータは、上述したようなパラメータ最適化の対象となり得る。
例えば特許文献2に記載の質量分析装置では、液体試料が輸送される導電性のキャピラリは接地され、そのキャピラリを囲むように設けられたノズルに高電圧が印加されて、ノズルとキャピラリとの間の電位差によって形成される電場により液滴に電荷が付与される。ノズルに印加する電圧を変化させると電場の強さが変化し、それによって液滴の帯電状態も変化してイオン化効率も影響を受ける。したがって、こうした構成では、キャピラリではなくノズルに印加される電圧が、上記実施形態におけるインターフェイス電圧に相当することは明らかである。
また、上記実施形態におけるイオン源31では、液滴からの溶媒の気化を促進する加熱ガスの吹き出し方向は溶出液の噴霧流の方向と略同方向であるが、例えば特許文献3に記載の質量分析装置では、溶出液の噴霧流の方向とは異なる二方向から溶出液の噴霧流に対して高温のガス流が吹き付けるように構成されている。また、特許文献4に記載の質量分析装置では、溶出液の噴霧流に対向するようにガス流が形成されている。こうした構成では、溶出液の噴霧流に対するガス流の方向が上記実施形態とは異なるものの、液滴からの溶媒の気化を促進することによりイオン化効率を高めるという目的は同じであるから、これらガスが上記実施形態における加熱ガス及び乾燥ガスに相当することは明らかである。また、このように溶出液の噴霧流に吹き付けられるガスは必ずしも加熱されたものであるとは限らないが、程度の差はあれ液滴からの溶媒の気化を促進する作用を有すること明らかであるから、必ずしも加熱は必須ではない。
また、上記実施形態におけるイオン源31では、イオン化室311内で発生したイオンは主としてガス流によって脱溶媒管313まで導かれるが、噴霧流中で発生したイオンを脱溶媒管313の入口まで電場の作用により誘引する構成を採ることもできる。例えば特許文献5に記載の質量分析装置では、キャピラリから溶出液を噴霧する方向の前方に収束電極及び反射電極を配置し、これら電極により形成する電場の作用で、発生したイオンを収束させつつ脱溶媒管の入口近傍まで誘引するようにしている。これにより、発生したイオンの利用効率(イオン収集効率)が向上し、実質的にイオン化効率を上げたことと同じ効果をもたらすから、こうした収束電極や反射電極に印加される電圧もパラメータ最適化の対象となり得る。
また、イオン源がESI法以外のイオン化法によるイオン源である場合には、当然、
そのイオン源の構成に特有のパラメータがイオン化効率に影響を与えるパラメータとなり得る。例えば、APCIイオン源では、針状電極に印加される高電圧が重要なパラメータである。また、APPIイオン源では、溶出液の噴霧流に照射されるレーザ光の強度(パワー)が重要なパラメータである。
ベイズ最適化法又はマルチベイズ最適化法により最適化されるパラメータは、イオン化効率に影響を及ぼすパラメータ以外の装置パラメータを含んでいてもよい。例えば、生成されたイオンを四重極マスフィルタ等の質量分離部32まで輸送するための1以上のイオン輸送光学系に印加される電圧、イオンを解離させるコリジョンセルを備える構成である場合にはそのコリジョンセルでイオンを解離させる際のコリジョンエネルギなど、質量分析部3における種々のパラメータを上記のパラメータ最適化の対象とすることができる。
さらにまた、液体クロマトグラフ部2におけるLC分離条件である、移動相流量、カラムオーブン温度、移動相の有機溶媒比率なども、上記のパラメータ最適化の対象とすることができる。こうしたLC分離条件を上記の手法で最適化する場合には、パラメータ値を変更しても目的化合物に対応するクロマトグラム上のピークの面積は変化するもののピーク高さは殆ど変化しない場合がある。したがって、LC分離条件に関連するパラメータを最適化する際には、目的化合物の信号強度はピーク高さではなくピーク面積としたほうがよい。
また、上記実施形態や変形例も本発明の一例にすぎず、それ以外の点について本発明の趣旨の範囲で適宜変形、修正、追加等を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは当然である。
[種々の態様]
上述した例示的な実施形態及びその変形例が以下の態様の具体例であることは、当業者であれば容易に理解される。
(第1項)第1項に記載の質量分析装置は、液体試料に含まれる成分をイオン化する大気圧イオン化法によるイオン源、試料成分由来のイオンを質量電荷比に応じて分離する質量分離部、及び、分離されたイオンを検出する検出部、を具備する質量分析装置であって、
前記イオン源でのイオン化効率に影響を及ぼす複数種類のパラメータを含む装置パラメータについて、ベイズ最適化法を利用して、該装置パラメータの値を変更しながら測定を実行することで得られた結果に基づいてパラメータ値の最適化を行うパラメータ最適化実行部と、
前記パラメータ最適化実行部による装置パラメータの最適化の途中段階で推定された、該装置パラメータのうちの全て又は一部の複数のパラメータと信号強度との関係を示す事後分布である感度モデルを、一つのヒートマップ様のグラフ又は複数の該グラフの配列で表現し、これを逐次更新しながら表示部に表示する表示処理部と、
前記表示処理部により表示されたグラフ上でユーザに任意の位置を指定させ、その指定された位置に対応する各パラメータの値の組み合わせに基づいて、試料測定の際に利用される測定条件を記述したメソッドファイルを作成するファイル作成部と、
を備えるものである。
(第7項)また第7項に記載の質量分析装置用プログラムは、液体試料に含まれる成分をイオン化する大気圧イオン化法によるイオン源、試料成分由来のイオンを質量電荷比に応じて分離する質量分離部、及び、分離されたイオンを検出する検出部、を具備する質量分析装置に用いられるプログラムであり、前記イオン源でのイオン化効率に影響を及ぼす複数種類のパラメータを含む装置パラメータのパラメータ値の最適化を行うためのプログラムであって、コンピュータを、
後記最適化時パラメータ決定機能部により決定される装置パラメータの値の下で測定を実行するように前記イオン源、前記質量分離部、及び、前記検出部の動作を制御する測定制御機能部と、
ベイズ最適化法を利用して、前記測定制御機能部による制御の下で実施された測定により得られた結果に基づいてパラメータ値の最適化を行い、次の測定における装置パラメータの値を決定する最適化時パラメータ決定機能部と、
前記測定制御機能部及び前記最適化時パラメータ決定機能部による装置パラメータの最適化の途中段階で推定された、該装置パラメータのうちの全て又は一部の複数のパラメータと信号強度との関係を示す事後分布である感度モデルを、一つのヒートマップ様のグラフ又は複数の該グラフの配列で表現し、これを逐次更新しながら表示部に表示する表示処理機能部と、
前記表示部上に表示された前記グラフ上でユーザに任意の位置を指定させ、その指定された位置に対応する各パラメータの値の組み合わせに基づいて、試料測定の際に利用される測定条件を記述したメソッドファイルを作成するファイル作成機能部と、
して動作させるものである。
第1項に記載の質量分析装置、及び、第7項に記載の質量分析装置用プログラムによれば、ベイズ最適化法により装置パラメータの最適化が進行する過程で事後分布である感度モデルが更新される毎に、表示部の画面上に描出される、感度モデルのヒートマップ様のグラフが逐次更新される。これにより、ユーザはこのグラフを視認することで、装置パラメータが最適値に近づいたことを把握することができる。また、感度モデルのグラフから、最適化処理が適切に行われているか否かを確認することができる。また、第1項に記載の質量分析装置、及び、第7項に記載の質量分析装置用プログラムによれば、例えば局所解に陥らないような適切な測定条件をユーザが判断したうえで簡単に測定条件を設定し、測定メソッドを作成することができる。
(第2項)第1項に記載の質量分析装置では、前記パラメータ最適化実行部による装置パラメータの最適化の実行中に、ユーザにその実行の中止を指示させる中止指示受付部をさらに備え、
前記パラメータ最適化実行部は前記中止指示受付部による中止指示の受け付けに応じて装置パラメータの最適化を中止する構成とすることができる。
(第8項)第7項に記載の質量分析装置用プログラムでは、 前記最適化時パラメータ決定機能部による装置パラメータの最適化の実行中に、ユーザにその実行の中止を指示させる中止指示受付機能部をさらに有し、
前記最適化時パラメータ決定機能部は前記中止指示受付機能部による中止指示の受け付けに応じて装置パラメータの最適化を中止するものとすることができる。
第2項に記載の質量分析装置、及び、第8項に記載の質量分析装置用プログラムによれば、パラメータ最適化の進行に伴って逐次更新される表示画面上の感度モデルのヒートマップ様グラフをユーザが確認して、ほぼ満足できる程度に最適化がなされた等を判断した時点で、ユーザの指示によってパラメータ最適化の処理を打ち切ることができる。これにより、パラメータ最適化に要する時間を短縮しながら、十分な性能を達成することができる測定条件を決めることができる。
(第3項)第1項に記載の質量分析装置では、前記パラメータ最適化実行部は、装置パラメータの最適化の途中で、前記表示処理部により表示されたグラフ上でユーザにより指定された任意の位置に対応する各パラメータの値の組み合わせを次の測定の測定条件として、パラメータ値の最適化を実行する構成とすることができる。
(第9項)第7項に記載の質量分析装置用プログラムでは、
前記測定制御機能部は、装置パラメータの最適化の途中で前記表示処理機能部により表示されたグラフ上でユーザにより指定された任意の位置に対応する各パラメータの値の組み合わせを次の測定の測定条件として測定を実施し、前記最適化時パラメータ決定機能部は該測定の結果に基づいてパラメータ値の最適化を実行するものとすることができる。
第3項に記載の質量分析装置、及び、第9項に記載の質量分析装置用プログラムによれば、例えば何らかの事前情報として或る測定条件において良好な測定結果が得られることが分かっいる場合に、ユーザの指示によって、こうした測定条件を優先的に又はこうした測定条件について漏れがないように設定したえでパラメータ最適化を遂行することができる。これにより、より良好な測定結果が得られるようなパラメータ探索を実行することができる。
(第4項)第1項に記載の質量分析装置では、前記イオン源はエレクトロスプレーイオン化法によるイオン源、つまりESIイオン源であるものとすることができる。
ESIイオン源は他の大気圧イオン化法によるイオン源と比較しても、イオン化効率に影響を及ぼすパラメータの種類が多く、その最適化は煩雑である。したがって、ESIイオン源を搭載した質量分析装置では、本発明に係る質量分析装置を適用することの効果が特に大きい。
(第5項)第4項に記載の質量分析装置において、前記装置パラメータに含まれる複数種類のパラメータは、略大気圧雰囲気中に噴霧される液体試料に電荷を付与する電場を形成するための電圧、噴霧された液体試料の液滴の大きさ、該液滴からの溶媒の気化を促進するためのガスの流量、該ガス若しくはイオン化が行われるイオン化室の温度、又は、イオンの生成位置から該イオンを次段へと輸送するイオン輸送部まで導く電場を形成するための電圧、の少なくともいずれかに関連するパラメータであるものとすることができる。
(第6項)さらに具体的に第5項に記載の質量分析装置では、前記複数種類のパラメータは、ノズル先端から液滴を噴霧するための補助用のネブライズガスの流量、噴霧された液滴中の溶媒の気化を促進するための加熱ガスの流量、該加熱ガスを加熱するヒータの温度、及び、生成されたイオンが導入される前記イオン輸送部の近傍でイオン及び液滴に吹き付けられる乾燥ガスの流量、の少なくとも一つを含むものとすることができる。
第5項及び第6項に記載の質量分析装置によれば、ESIイオン源を搭載した質量分析装置において、イオン化効率に比較的大きな影響を及ぼすパラメータを最適又はそれに近い状態に設定し、高い感度で目的化合物を検出できる測定メソッドを作成することができる。
1…測定部
2…液体クロマトグラフ部
21…送液ポンプ
22…インジェクタ
23…カラム
3…質量分析部
31…イオン源
310…チャンバ
311…イオン化室
312…ESIプローブ
3121…キャピラリ
3122…ネブライズガス管
3123…加熱ガス管
3124…インターフェイスヒータ
3125…高電圧電源
313…脱溶媒管
314…乾燥ガス管
315…脱溶媒管ヒータ
316…ブロックヒータ
32…質量分離部
33…検出部
4…制御部
41…パラメータ最適化時測定制御部
42…通常測定制御部
43…測定メソッド記憶部
5…データ処理部
51…ピーク強度算出部
52…データ記憶部
53…パラメータ最適化処理部
531…参照モデル記憶部
532…事後分布モデル推定部
533…次探索パラメータ決定部
534…探索終了判定部
535…メソッド作成部
536…最適化時表示処理部
6…入力部
7…表示部

Claims (9)

  1. 液体試料に含まれる成分をイオン化する大気圧イオン化法によるイオン源、試料成分由来のイオンを質量電荷比に応じて分離する質量分離部、及び、分離されたイオンを検出する検出部、を具備する質量分析装置であって、
    前記イオン源でのイオン化効率に影響を及ぼす複数種類のパラメータを含む装置パラメータについて、ベイズ最適化法を利用して、該装置パラメータの値を変更しながら測定を実行することで得られた結果に基づいてパラメータ値の最適化を行うパラメータ最適化実行部と、
    前記パラメータ最適化実行部による装置パラメータの最適化の途中段階で推定された、該装置パラメータのうちの全て又は一部の複数のパラメータと信号強度との関係を示す事後分布である感度モデルを、一つのヒートマップ様のグラフ又は複数の該グラフの配列で表現し、これを逐次更新しながら表示部に表示する表示処理部と、
    前記表示処理部により表示されたグラフ上でユーザに任意の位置を指定させ、その指定された位置に対応する各パラメータの値の組み合わせに基づいて、試料測定の際に利用される測定条件を記述したメソッドファイルを作成するファイル作成部と、
    を備える質量分析装置。
  2. 前記パラメータ最適化実行部による装置パラメータの最適化の実行中に、ユーザにその実行の中止を指示させる中止指示受付部をさらに備え、
    前記パラメータ最適化実行部は前記中止指示受付部による中止指示の受け付けに応じて装置パラメータの最適化を中止する、請求項1に記載の質量分析装置。
  3. 前記パラメータ最適化実行部は、装置パラメータの最適化の途中で、前記表示処理部により表示されたグラフ上でユーザにより指定された任意の位置に対応する各パラメータの値の組み合わせを次の測定の測定条件として、パラメータ値の最適化を実行する、請求項1に記載の質量分析装置。
  4. 前記イオン源はエレクトロスプレーイオン化法によるイオン源である、請求項1に記載の質量分析装置。
  5. 前記装置パラメータに含まれる複数種類のパラメータは、略大気圧雰囲気中に噴霧される液体試料に電荷を付与する電場を形成するための電圧、噴霧された液体試料の液滴の大きさ、該液滴からの溶媒の気化を促進するためのガスの流量、該ガス若しくはイオン化が行われるイオン化室の温度、又は、イオンの生成位置から該イオンを次段へと輸送するイオン輸送部まで導く電場を形成するための電圧、の少なくともいずれかに関連するパラメータである、請求項4に記載の質量分析装置。
  6. 前記複数種類のパラメータは、ノズル先端から液滴を噴霧するための補助用のネブライズガスの流量、噴霧された液滴中の溶媒の気化を促進するための加熱ガスの流量、該加熱ガスを加熱するヒータの温度、及び、生成されたイオンが導入される前記イオン輸送部の近傍でイオン及び液滴に吹き付けられる乾燥ガスの流量、の少なくとも一つを含む、請求項5に記載の質量分析装置。
  7. 液体試料に含まれる成分をイオン化する大気圧イオン化法によるイオン源、試料成分由来のイオンを質量電荷比に応じて分離する質量分離部、及び、分離されたイオンを検出する検出部、を具備する質量分析装置に用いられるプログラムであり、前記イオン源でのイオン化効率に影響を及ぼす複数種類のパラメータを含む装置パラメータのパラメータ値の最適化を行うためのプログラムであって、コンピュータを、
    後記最適化時パラメータ決定機能部により決定される装置パラメータの値の下で測定を実行するように前記イオン源、前記質量分離部、及び、前記検出部の動作を制御する測定制御機能部と、
    ベイズ最適化法を利用して、前記測定制御機能部による制御の下で実施された測定により得られた結果に基づいてパラメータ値の最適化を行い、次の測定における装置パラメータの値を決定する最適化時パラメータ決定機能部と、
    前記測定制御機能部及び前記最適化時パラメータ決定機能部による装置パラメータの最適化の途中段階で推定された、該装置パラメータのうちの全て又は一部の複数のパラメータと信号強度との関係を示す事後分布である感度モデルを、一つのヒートマップ様のグラフ又は複数の該グラフの配列で表現し、これを逐次更新しながら表示部に表示する表示処理機能部と、
    前記表示部上に表示された前記グラフ上でユーザに任意の位置を指定させ、その指定された位置に対応する各パラメータの値の組み合わせに基づいて、試料測定の際に利用される測定条件を記述したメソッドファイルを作成するファイル作成機能部と、
    して動作させる質量分析装置用プログラム。
  8. 前記最適化時パラメータ決定機能部による装置パラメータの最適化の実行中に、ユーザにその実行の中止を指示させる中止指示受付機能部をさらに備え、
    前記最適化時パラメータ決定機能部は前記中止指示受付機能部による中止指示の受け付けに応じて装置パラメータの最適化を中止する、請求項7に記載の質量分析装置用プログラム。
  9. 前記測定制御機能部は、装置パラメータの最適化の途中で前記表示処理機能部により表示されたグラフ上でユーザにより指定された任意の位置に対応する各パラメータの値の組み合わせを次の測定の測定条件として測定を実施し、前記最適化時パラメータ決定機能部は該測定の結果に基づいてパラメータ値の最適化を実行する、請求項7に記載の質量分析装置用プログラム。
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