JP2018156879A - タンデム四重極型質量分析装置および該装置の制御パラメータ最適化方法 - Google Patents

タンデム四重極型質量分析装置および該装置の制御パラメータ最適化方法 Download PDF

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Abstract

【課題】MRM測定のための制御パラメータの最適化を、短時間かつ低コストで行える技術を提供する。【解決手段】化合物を含む試料に対するMRM測定を行う測定工程(ステップS2)と、当該測定工程によって得られた測定結果に基づいて、制御パラメータの最適値を決定する決定工程(ステップS3)とを備える。測定工程が、コリジョンエネルギの値を所定の値に固定しつつ、前段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の値と後段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の値との組み合わせを変更しながら、MRM測定を行う第1測定工程(ステップS21)を備え、決定工程が、第1測定工程において、最も強い検出信号を与えた組み合わせを、前段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の最適値と後段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の最適値の組み合わせと決定する第1決定工程(ステップS31)を備える。【選択図】図2

Description

本発明はタンデム四重極型質量分析装置(三連四重極型質量分析装置とも呼ばれる)において多重反応モニタリング(MRM=Multiple Reaction Monitoring)測定を行う際の制御パラメータを決定する技術に関する。
質量分析の手法の一つに「MS/MS分析(タンデム分析)」と呼ばれるものがあり、このMS/MS分析を行うにあたっては、例えばタンデム四重極型質量分析装置が用いられる。
一般的なタンデム四重極型質量分析装置におけるMS/MS測定では、イオン源で生成された化合物由来のイオンが、まずは、前段の四重極マスフィルタ(慣用的に「Q1」と記述される)に導入され、ここで、特定の質量電荷比m/zを有するイオンがプリカーサイオンとして選別される。このプリカーサイオンが、四重極型(又はそれ以上の多重極型)のイオンガイド(慣用的に「q2」と記述される)が内装されたコリジョンセルに導入される。コリジョンセル内にはアルゴン等の衝突誘起解離(CID)ガスが供給されており、コリジョンセルに導入されたプリカーサイオンはここでCIDガスと衝突して開裂し、これにより各種のプロダクトイオンが生成される。このプロダクトイオンが、後段の四重極マスフィルタ(慣用的に「Q3」と記述される)に導入され、ここで、特定の質量電荷比を有するプロダクトイオンが選別されて検出器に到達し、検出される。
タンデム四重極型質量分析装置においては、例えば、前段の四重極マスフィルタと後段の四重極マスフィルタを通過し得るイオンの質量電荷比をそれぞれ固定し、特定のプリカーサイオンに対する特定のプロダクトイオンの強度(量)を測定する、所謂「多重反応モニタリング測定(MRM測定)」を行うことができる。MRM測定では、2段階のマスフィルタによって、非測定対象の化合物、夾雑成分由来のイオンや中性粒子等を除去することができるため、高いSN比のイオン強度信号を得ることができる。そのため、MRM測定は、特に微量成分の定量等に威力を発揮する。
また、タンデム四重極型質量分析装置は、単独で使用される場合もあるが、液体クロマトグラフ(LC)やガスクロマトグラフ(GC)と組み合わせて使用されることも多い。例えば液体クロマトグラフの検出器としてタンデム四重極型質量分析装置を用いたLC/MS/MSは、多数の化合物を含む試料や夾雑物を含む試料中の化合物の定量分析などによく用いられる(特許文献1参照)。
LC/MS/MS(又はGC/MS/MS)においてMRM測定を行う場合には、目的とする各化合物(目的化合物)の保持時間と対応付けて、ターゲットとするプリカーサイオンの質量電荷比とプロダクトイオンの質量電荷比の組み合わせ(所謂「MRMトランジション」)が、分析者により指定される(あるいは、自動で決定される)。このとき、指定されたMRMトランジションに対して、MRM測定における各種の制御パラメータ(具体的には、前段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧(所謂「Q1プリロッド電圧(Q1 Prerod Bias)」)、後段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧(所謂「Q3プリロッド電圧(Q3 Prerod Bias)」)、コリジョンセルにおける衝突エネルギ(所謂「コリジョンエネルギ(Collision Energy)」、等)を最適な値に調整しておくことによって、各目的化合物に由来するイオンの信号強度を、高い精度および感度で得ることができる。ひいては、当該化合物の定量を、高精度かつ高感度に行うことができる。
そこで、これらの各制御パラメータを、MRMトランジションに対して最適なものとなるように、自動的に最適化する機能を備える質量分析装置が存在する。
従来の質量分析装置において、この最適化は例えば次のように行われていた。
まず、目的化合物について、MRMトランジションが例えば分析者によって指定されると、当該目的化合物を含む既知の試料(標準試料)に対するMRM測定が実行される(1回目のMRM測定)。このMRM測定においては、Q3プリロッド電圧とコリジョンエネルギのそれぞれが、予め分析者等により設定された所定のデフォルト値に固定され、Q1プリロッド電圧だけが次々と変更されていく。このMRM測定が完了して測定結果が得られると、最も強い検出信号を与えたQ1プリロッド電圧の値が特定され、これが最適値に決定される。
続いて、標準試料がもう一本準備されて、もう一度MRM測定が実行される(2回目のMRM測定)。このMRM測定においては、Q1プリロッド電圧が先に決定された最適値に固定されるとともに、コリジョンエネルギが1回目のMRM測定のときと同じデフォルト値に固定される。そして、Q3プリロッド電圧だけが次々と変更されていく。このMRM測定が完了して測定結果が得られると、最も強い検出信号を与えたQ3プリロッド電圧の値(すなわち、最適なQ1プリロッド電圧の元で、最も強い検出信号を与えたQ3プリロッド電圧の値)が特定され、これが最適値に決定される。
続いて、標準試料がさらにもう一本準備されて、もう一度MRM測定が実行される(3回目のMRM測定)。このMRM測定においては、Q1プリロッド電圧およびQ3プリロッド電圧の各々が、先に決定された最適値に固定され、コリジョンエネルギだけが次々と変更されていく。このMRM測定が完了して測定結果が得られると、最も強い検出信号を与えたコリジョンエネルギの値(すなわち、最適なQ1プリロッド電圧および最適なQ3プリロッド電圧の元で、最も強い検出信号を与えたコリジョンエネルギの値)が特定され、これが最適値に決定される。
特開2015-76338号公報
従来の手法では、1回のMRM測定で、1個の化合物についての1種類の制御パラメータしか最適化できない。したがって、1個の化合物について、Q1プリロッド電圧、Q3プリロッド電圧、および、コリジョンエネルギの3種類の各制御パラメータを最適化するためには、3個の標準試料と3回のMRM測定が必要となり、例えば10個の化合物について各制御パラメータを最適化するためには、30個の標準試料と30回のMRM測定が必要となる。このように、従来においては、MRM測定のための制御パラメータの最適化に、大変な時間とコストが必要とされていた。
本発明が解決しようとする課題は、MRM(多重反応モニタリング)測定のための制御パラメータの最適化を、短時間かつ低コストで行える技術を提供することである。
上記課題を解決するために成された本発明は、
イオンを開裂させるコリジョンセルを挟んで前後に、プリロッド電極を備える四重極マスフィルタを有する、タンデム四重極型質量分析装置において、化合物に対する最適な制御パラメータを決定する制御パラメータ最適化方法であって、
a)前記化合物を含む試料に対するMRM測定を行う測定工程と、
b)前記測定工程によって得られた測定結果に基づいて、制御パラメータの最適値を決定する決定工程と、
を備え、
前記測定工程が、
a1)コリジョンエネルギの値を所定の値に固定しつつ、前段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の値と後段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の値との組み合わせを変更しながら、前記MRM測定を行う第1測定工程、
を備え、
前記決定工程が、
b1)前記第1測定工程において、最も強い検出信号を与えた組み合わせを、前記前段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の最適値と前記後段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の最適値の組み合わせと決定する第1決定工程、
を備える。
この発明によると、1回のMRM測定で、前段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の最適値と後段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の最適値とが同時に決定される。したがって、制御パラメータの最適化を短時間かつ低コストで行うことができる。
この発明では、第1測定工程において、コリジョンエネルギの値は、適当な範囲(すなわち、少なくとも、プリカーサイオンを開裂させてプロダクトイオンを生成できるようなコリジョンエネルギの範囲)の中から任意に選択することができる。したがって、ここでは、第1測定工程において、コリジョンエネルギが最適値に固定されているとは限らないことになる。しかしながら、本件の発明者らは、各種の実験および考察によって、前段および後段の各四重極マスフィルタの各プリロッド電圧はイオンの導入態様に影響し、コリジョンエネルギはプリカーサイオンの壊し方に影響するものであって、前者と後者は、相関関係のない独立した制御パラメータである、との知見を得ており、この知見から、第1測定工程においてコリジョンエネルギが最適値に固定されていなくとも、各プリロッド電圧の各最適値を十分な精度で特定できると推測した。そして、発明者らは、実際に、この発明に係る態様によって、各プリロッド電圧の最適値を十分な精度で特定できることを実験により確認した。
また、上記に説明した従来の手法(すなわち、Q1プリロッド電圧とQ3プリロッド電圧のうちの一方の電圧を一定値に固定しつつ、他方の電圧だけを変更しながらMRM測定を行って、当該測定結果に基づいて、当該他方の電圧の最適値を決定する手法)では、MRM測定において適用されない電圧の値の組み合わせが多数存在することになるが、この発明によると、取り得る組み合わせを漏れなく網羅することができるので、各プリロッド電圧の最適値を精度よく決定することができる。
前記制御パラメータの最適化方法において、コリジョンエネルギの最適値は、例えば別途の測定等を行うことによって(あるいは計算により理論的に)決定してもよいが、好ましくは、
前記測定工程が、
a2)前記前段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧および前記後段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の各値を一定の値に固定しつつ、前記コリジョンエネルギの値を変更しながら、前記MRM測定を行う第2測定工程、
を備え、
前記決定工程が、
b2)前記第2測定工程において、最も強い検出信号を与えた前記コリジョンエネルギの値を最適値と決定する第2決定工程、
を備える。
この発明によると、1回のMRM測定で、前段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の最適値および後段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の最適値だけでなく、コリジョンエネルギの最適値も決定される。したがって、制御パラメータの最適化を特に短時間かつ低コストで行うことができる。
この発明では、第2測定工程において、前段および後段の四重極マスフィルタの各プリロッド電圧が最適値に固定されているとは限らない。しかしながら、上述したとおり、本件の発明者らは、各プリロッド電圧とコリジョンエネルギとは、相関関係のない独立した制御パラメータである、との知見を得ており、この知見から、第2測定工程において各プリロッド電圧が最適値に固定されていなくとも、コリジョンエネルギの最適値を十分な精度で特定できると推測した。そして、発明者らは、実際に、この発明に係る態様によって、各コリジョンエネルギの最適値が十分な精度で特定できることを実験により確認した。
好ましくは、前記制御パラメータ最適化方法において、
前記測定工程において、複数種類の化合物を含む試料に対するMRM測定が行われ、
前記決定工程において、前記複数種類の化合物の各々について、制御パラメータの最適値が決定される。
この発明によると、1回のMRM測定で、複数種類の化合物の各々について、制御パラメータの最適値が決定される。したがって、制御パラメータの最適化を特に短時間かつ低コストで行うことができる。
また、本発明は、タンデム四重極型質量分析装置も対象としている。本発明に係るタンデム四重極型質量分析装置は、
イオンを開裂させるコリジョンセルを挟んで前後に、プリロッド電極を備える四重極マスフィルタを有する、タンデム四重極型質量分析装置であって、
a)化合物を含む試料に対するMRM測定を行う測定部と、
b)前記測定工程によって得られた測定結果に基づいて、前記化合物に対する制御パラメータの最適値を決定する最適値決定部と、
を備え、
前記測定部が、
コリジョンエネルギの値を一定の値に固定しつつ、前段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の値と後段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の値との組み合わせを変更しながら、前記MRM測定を行い、
前記決定部が、
前記MRM測定において、最も強い検出信号を与えた組み合わせを、前記前段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の最適値と前記後段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の最適値の組み合わせと決定する。
1回のMRM測定で、前段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の最適値と後段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の最適値とが同時に決定されるので、制御パラメータの最適化を短時間かつ低コストで行うことができる。
実施形態に係る液体クロマトグラフ質量分析装置の要部の構成図。 制御パラメータの最適化に係る処理の流れを示す図。 メソッドファイルの設定に係る各種の入力操作をオペレータから受け付けるための受付画面の構成例を示す図。 各チャンネルに、Q1プリロッド電圧、Q3プリロッド電圧、および、コリジョンエネルギの各値を設定する態様を説明するための図。
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
<1.装置構成>
実施形態に係る液体クロマトグラフ質量分析装置の構成について、図1を参照しながら説明する。図1は、液体クロマトグラフ質量分析装置100の要部の構成図である。
液体クロマトグラフ質量分析装置100は、液体クロマトグラフ部1と、質量分析装置2と、制御部3と、を備える。
<液体クロマトグラフ部1>
液体クロマトグラフ部1は、移動相が貯留された移動相容器10と、移動相を吸引して一定流量で送給するポンプ11と、移動相中に予め用意された試料を所定量だけ注入するインジェクタ12と、試料に含まれる各種化合物を時間方向に分離するカラム13と、を備える。
この構成において、移動相容器10に貯留された移動相は、ポンプ11により吸引されて、一定流量でカラム13に向けて送給される。この送給途中で、インジェクタ12から移動相中に一定量の試料液が導入され、当該試料は移動相の流れに乗ってカラム13に導入される。そして、カラム13を通過する間に、試料中の各種化合物が時間方向に分離されて、カラム13の出口から溶出し、質量分析装置2に導入される。
<質量分析装置2>
質量分析装置2は、イオンを開裂させるコリジョンセル232を挟んで前後に、プリロッド電極2312,2342を備える四重極マスフィルタ231,234を有する、タンデム四重極型質量分析装置である。
質量分析装置2は、具体的には、略大気圧であるイオン化室20と高性能の真空ポンプ(図示省略)により真空排気される高真空の分析室23との間に、段階的に真空度が高められた第1中間室21および第2中間真空室22を配置した、多段差動排気系の構成を、備える。
イオン化室20には、試料溶液に電荷を付与しながら噴霧するエレクトロスプレイイオン化用プローブ201が設置される。また、イオン化室20と次段の第1中間真空室21との間は、細径の加熱キャピラリ202を通して連通している。また、第1中間真空室21と第2中間真空室22にはそれぞれ、イオンを収束させつつ後段へ輸送するためのイオンガイド211、221が設置されている。また、第1中間真空室21と第2中間真空室22との間は、頂部に小孔を有するスキマー212で隔てられている。
分析室23には、イオンを質量電荷比に応じて分離する前段四重極マスフィルタ231と、多重極イオンガイド233が内部に設置されたコリジョンセル232と、イオンを質量電荷比に応じて分離する後段四重極マスフィルタ234と、イオン検出器235と、がこの順で設置されている。
コリジョンセル232は、アルゴン、窒素などのCIDガスの供給機構(図示省略)と接続されており、コリジョンセル232の内部には、当該CIDガスが連続的(または、間欠的)に供給されるようになっている。
エレクトロスプレイイオン化用プローブ201、イオンガイド211,221,233、および、四重極マスフィルタ231,234、のそれぞれは、電源部24と接続されている。電源部24は、これらの各部201,211,221,233,231,234に、それぞれ所定の電圧を印加する。ただし、前段および後段の四重極マスフィルタ231,234のそれぞれは、メインロッド電極2311,2341と、その前段に配置されたプリロッド電極(すなわち、入口端での電場の乱れを補正するためのプリロッド電極)2312,2342と、を備えており、電源部24は、メインロッド電極2311,2341とプリロッド電極2312,2342のそれぞれに、互いに異なる電圧を印加できるようになっている。
上記の構成に係る質量分析装置2において分析を行う態様について説明する。
エレクトロスプレイイオン化用プローブ201にカラム13からの溶出液が到達すると、当該プローブ201の先端において電荷が付与されながら、溶出液が噴霧される。噴霧により形成された液滴(帯電した液滴)は、付与された電荷による静電気力の作用によって分裂しながら微細化され、その過程で溶媒が気化して化合物由来のイオンが飛び出す。なお、イオン化法は、このエレクトロスプレイイオン化法に限られるものではなく、大気圧化学イオン化法、大気圧光イオン化法等を用いてもよい。
生成されたイオンは、加熱キャピラリ202を通して第1中間真空室21に送られ、ここでイオンガイド211で収束された上で、スキマー212頂部の小孔を経て第2中間真空室22に送られる。化合物由来のイオンはここでイオンガイド221で収束された上で、分析室23に送られ、前段四重極マスフィルタ231の長軸方向の空間に導入される。
MS/MS分析を行う際には、前段四重極マスフィルタ231および後段四重極マスフィルタ234の各プリロッド電極2312,2342には、電源部24からそれぞれ所定の直流電圧が印加される。また、前段四重極マスフィルタ231および後段四重極マスフィルタ234の各メインロッド電極2311,2341にも、電源部24からそれぞれ所定の電圧(高周波電圧と直流電圧とが重畳された電圧)が印加される。また、コリジョンセル232に配置された電極(図示省略)にも、電源部24から所定の電圧が印加される。さらに、コリジョンセル232内に、連続的に(または間欠的に)、所定の圧力でCIDガスが供給される。
したがって、前段四重極マスフィルタ231に送り込まれた各種イオンの中で、前段四重極マスフィルタ231のメインロッド電極2311に印加されている電圧に応じた特定の質量電荷比を有するイオンのみが該フィルタ231を通過し、プリカーサイオンとしてコリジョンセル232に導入される。プリカーサイオンは、コリジョンセル232内で、ここに配置されている電極に印加される電圧に応じた加速度に加速されて、所定のコリジョンエネルギでCIDガスに衝突して解離する。これにより各種のプロダクトイオンが生成される。生成された各種のプロダクトイオンが後段四重極マスフィルタ234に導入されると、後段四重極マスフィルタ234のメインロッド電極2341に印加されている電圧に応じた特定の質量電荷比を有するプロダクトイオンのみが該フィルタ234を通過し、イオン検出器235に到達して検出される。イオン検出器235は、例えばパルスカウント型検出器であり、入射したイオンの数に応じた個数のパルス信号を、検出信号として制御部3へ出力する。
<制御部3>
制御部3は、パーソナルコンピュータをハードウエア資源として構成され、ディスプレイ等からなる表示部31およびキーボードやマウス等からなる入力部32が接続されている。制御部3は、液体クロマトグラフ部1および質量分析装置2と電気的に接続されており、分析作業の管理、イオン検出器235で得られたデータの解析・処理、等を行う。
液体クロマトグラフ質量分析装置100は、MRM測定に係る制御パラメータの最適値を決定する機能(以下、「制御パラメータの最適化機能」ともいう)を有する。ここで最適化の対象とされる制御パラメータは、前段四重極マスフィルタ231のプリロッド電極2312に印加する電圧(以下「Q1プリロッド電圧(Q1 Prerod Bias)」ともいう)、後段四重極マスフィルタ234のプリロッド電極2342に印加する電圧(以下「Q3プリロッド電圧(Q3 Prerod Bias)」ともいう)、および、コリジョンセル232においてプリカーサイオンがCIDガスと衝突する際のエネルギ(これは、具体的には、コリジョンセル232に配置された電極に印加する電圧から規定される)(以下「コリジョンエネルギ(CE:Collision Energy)」ともいう)である。
制御部3には、制御パラメータの最適化機能に係る機能ブロックとして、メソッドファイル設定部301、測定制御部302、および、最適値決定部303が実現される。これら各部301,302,303の少なくとも一部は、パーソナルコンピュータにインストールされた専用の制御・処理ソフトウエアをコンピュータ上で実行することにより具現化される
メソッドファイル設定部301は、メソッドファイルを設定する。「メソッドファイル」とは、MRM測定における、液体クロマトグラフ部1および質量分析装置2の動作内容や測定条件を記述したファイルである。
測定制御部302は、液体クロマトグラフ部1の各部および質量分析装置2の各部の動作(具体的には、ポンプ11、インジェクタ12、電源部24、CIDガス供給部(図示せず)等の動作)を、メソッドファイルに従って制御して、液体クロマトグラフ部1および質量分析装置2に、メソッドファイルに記述された態様でのMRM測定を実行させる。
最適値決定部303は、MRM測定により得られた測定データに基づいて、最適化の対象とされる各パラメータの最適値を決定する。
<2.制御パラメータの最適化>
制御パラメータの最適化に係る処理の流れについて、図2を参照しながら説明する。図2は、当該処理の流れを示す図である。
ステップS1:メソッドファイルの設定
まず、メソッドファイル設定部301が、制御パラメータの最適化に係る処理に用いられる試料(以下「対象試料」ともいう)のMRM測定についてのメソッドファイルを設定する。ただし、この対象試料には、複数種類の化合物が含まれているものとする。
ステップS1の処理について、図2に加え、図3、図4を参照しながら具体的に説明する。図3は、メソッドファイルの設定に係る各種の入力操作をオペレータから受け付けるための受付画面9の構成例を示す図である。図4は、各チャンネルに、Q1プリロッド電圧、Q3プリロッド電圧、および、コリジョンエネルギの各値を設定する態様を説明するための図である。
ステップS11:イベントの作成
分析者が、入力部32を介して、メソッドファイルの設定を開始する旨の指示を入力すると、メソッドファイル設定部301は、表示部31に、メソッドファイルの設定に係る各種の入力操作をオペレータから受け付けるための受付画面9を表示させる。受付画面9には、各種の設定項目の入力を受け付ける欄が表示され、分析者は、各入力欄に所望の数値等を入力することによって、各種の測定条件等を設定することができる。なお、設定項目は多岐にわたるため、図の例では一部の設定項目のみが示されている。
分析者は、入力部32を介して、受付画面9上で、対象試料に含まれる定量したい化合物(目的化合物)を1個以上指定入力する(項目91)。また、分析者は、各目的化合物について、ターゲットとするプリカーサイオンおよびプロダクトイオンの各質量電荷比(MRMトランジション)を1個以上指定入力する(項目92)。さらに、分析者は、各MRMトランジションについて、測定時間範囲を指定入力する(項目93)。
メソッドファイル設定部301は、分析者が各項目91,92,93に指定入力した情報を受け付けて、メソッドファイルに設定する。このとき、メソッドファイル設定部301は、1個のMRMトランジションを、1個のイベントとして受け付けてメソッドファイルで管理する。なお、液体クロマトグラフ質量分析装置100においては、1個のメソッドファイル(すなわち、1回の試料導入に伴うMRM測定に係る動作内容や測定条件を記述したメソッドファイル)に、例えば1000個程度のイベントを設定することができ、各イベントに、異なる測定条件がそれぞれ規定された複数個のチャンネルを設定することができるものとする。
ステップS12:チャンネルの設定
続いて、メソッドファイル設定部301は、ステップS11で設定された1以上のイベントのそれぞれに複数のチャンネルを割り当てて、各チャンネルに、Q1プリロッド電圧、Q3プリロッド電圧、および、コリジョンエネルギの各値を設定する。以下において、ステップS12の処理についてより具体的に説明する。
ステップS121:第1チャンネル群の設定
まず、メソッドファイル設定部301は、Q1プリロッド電圧の一群の候補値、および、Q3プリロッド電圧の一群の候補値をそれぞれ特定する。候補値は、例えば、Q1プリロッド電圧(あるいは、Q3プリロッド電圧)の取り得る範囲を所定の間隔で(例えば、5V刻みで)取った値とすればよい。そして、メソッドファイル設定部301は、Q1プリロッド電圧の一群の候補値とQ3プリロッド電圧の一群の候補値との全通りの組み合わせ(Q1-Q3組み合わせ)を作成する。
続いて、メソッドファイル設定部301は、作成されたQ1-Q3組み合わせの個数と同数個のチャンネルを、ステップS11で作成された各イベントの元に設定し、当該一群のチャンネルのそれぞれに、作成された一群のQ1-Q3組み合わせのいずれかを割り当てる。つまり、各チャンネルの各電圧の値に、各Q1-Q3組み合わせに係るQ1プリロッド電圧およびQ3プリロッド電圧の各候補値を設定する。
また、メソッドファイル設定部301は、当該一群のチャンネルの全て(すなわち、異なるQ1-Q3組み合わせが割り当てられた一群のチャンネルの全て)に、同じ値のコリジョンエネルギを設定する。ここで設定されるコリジョンエネルギの値は、適当な範囲(すなわち、プリカーサイオンを開裂させてプロダクトイオンを生成できるような、コリジョンエネルギの範囲)から任意に選択することができる。
これによって、ステップS11で作成された1以上のイベントのそれぞれに、一群のチャンネル(すなわち、異なるQ1-Q3組み合わせが割り当てられ、また、互いに同じコリジョンエネルギの値が設定された、一群のチャンネル)が設定される。これら一群のチャンネルを、以下「第1チャンネル群」ともいう。
ステップS122:第2チャンネル群の設定
次に、メソッドファイル設定部301は、コリジョンエネルギの一群の候補値を特定する。候補値は、上述したとおり、例えば、コリジョンエネルギの取り得る範囲を所定の間隔で(例えば、5V刻みで)取った値とすればよい。
続いて、メソッドファイル設定部301は、コリジョンエネルギの一群の候補値の個数と同数個のチャンネルを、ステップS11で作成された各イベントの元に設定し、当該一群のチャンネルのそれぞれに、コリジョンエネルギの候補値のいずれかを割り当てる。つまり、各チャンネルのコリジョンエネルギの値に、各候補値を設定する。
また、メソッドファイル設定部301は、当該一群のチャンネルの全て(すなわち、異なるコリジョンエネルギの値が割り当てられた一群のチャンネルの全て)に、同じ値のQ1プリロッド電圧を設定する。また、当該一群のチャンネル全てに、同じ値のQ3プリロッド電圧を設定する。ここで設定されるQ1プリロッド電圧およびQ3プリロッド電圧の各値も、適当な範囲から任意に選択することができる。
これによって、ステップS11で作成された1以上のイベントのそれぞれに、一群のチャンネル(すなわち、異なるコリジョンエネルギの値が割り当てられ、互いに同じQ1プリロッド電圧の値が設定され、さらに、互いに同じQ3プリロッド電圧の値が設定された、一群のチャンネル)が設定される。これら一群のチャンネルを、以下「第2チャンネル群」ともいう。
メソッドファイル設定部301は、さらに、各イベントについて設定された各チャンネル(すなわち、第1チャンネル群に含まれる各チャンネルおよび第2チャンネル群に含まれる各チャンネル)について、他の設定項目(例えば、各チャンネルの1回あたりの実行時間(所謂、デュエルタイム(dwell time)等)の設定を行い、これによってステップS12の処理が完了する。
以上で、メソッドファイルの設定が完了する。設定されたメソッドファイルは、例えば分析者からの指示に応じて、受付画面9に表示されることが好ましい。例えば、図3に例示されるように、受付画面9において、一群のイベントを表示する欄(第1欄)901を設け、ここから分析者がいずれかのイベントを選択すると(図示の例では、イベントNo1が選択されている)、当該選択されたイベントについて設定された一群のチャンネルが、第2欄902に表示されるようにしてもよい。
ステップS2:MRM測定
対象試料のMRM測定についてのメソッドファイルが設定され、さらに、分析者が測定開始の指示を入力すると、当該指示に応じて、測定制御部302が、液体クロマトグラフ部1および質量分析装置2に、当該メソッドファイルに記述された態様でのMRM測定を実行させる。つまり、ここでは、質量分析装置2と測定制御部302とが協働して、対象試料に対するMRM測定を行う測定部を構成する。
具体的には、液体クロマトグラフ部1において、測定制御部302の制御下で、ポンプ11が移動相容器10に貯留された移動相をカラム13に向けて送給し、当該送給される移動相中にインジェクタ12から対象試料が導入される。対象試料がカラム13を通過する間に、対象試料中の各種化合物が時間方向に分離されて、順番に質量分析装置2に導入される。
質量分析装置2では、メソッドファイルにて規定されている各イベント(具体的には、各イベントに設定された各チャンネル)に係る測定が、各イベントについて設定されている測定時間範囲において実行される。
具体的には、質量分析装置2に導入された化合物は、イオン化室20にてイオン化され、第1中間真空室21および第2中間真空室22においてそれぞれ収束された上で、分析室23に送られる。測定制御部302は、分析室23の各部を、実行すべきチャンネルについて設定されている情報にしたがって制御する。例えば、図3の例において「イベントNo1のch3」に係る測定を実行する時刻には、前段四重極マスフィルタ231のメインロッド電極2311に質量電荷比が「111.30」のイオンをプリカーサイオンとして選択するような電圧を印加し、後段四重極マスフィルタ234のメインロッド電極2341に質量電荷比が「27.60」のイオンをプロダクトイオンとして選択するような電圧を印加する。また、前段四重極マスフィルタ231のプリロッド電極2312に「-30V」の電圧を印加し、後段四重極マスフィルタ234のプリロッド電極2342に「-20V」の電圧を印加する。また、コリジョンセル232内の電極には「-25V」の電圧を印加する。このようにして、メソッドファイルにて規定されている各イベント(具体的には、各イベントに設定された各チャンネル)に係るMRM測定が実行される。なお、各イベントは、測定時間範囲の重なりが許容されており、複数のイベントの測定時間範囲が重なっている時間帯では、当該複数のイベントに設定されたチャンネルが所定の短い周期で切り替えられながら実行される。
上述したとおり、複数のイベントには互いに異なる化合物を対象とするものが含まれている。つまり、ここでは、複数種類の化合物の各々を対象とするMRM測定が順次に(あるいは、並行して)実行されることになる。
また、上述したとおり、各イベントには、第1チャンネル群と第2チャンネル群とが設定されている。したがって、ステップS2では、各イベントについて、コリジョンエネルギの値を一定の値に固定しつつ、Q1プリロッド電圧の値とQ3プリロッド電圧の値との組み合わせを変更しながら、MRM測定を行う第1測定工程(ステップS21)と、Q1プリロッド電圧およびQ3プリロッド電圧の各値を一定の値に固定しつつ、コリジョンエネルギの値を変更しながら、MRM測定を行う第2測定工程(ステップS22)とが実行されることになる。もっとも、第1測定工程と第2測定工程とは、必ずしもこの順に行われる必要はなく、逆の順で行われてもよいし、並行して(すなわち、第1チャンネル群に含まれるチャンネルと第2チャンネル群に含まれるチャンネルとが所定の短い周期で切り替えられながら)行われてもよい。
ステップS3:各制御パラメータの最適値の決定
対象試料のMRM測定が完了すると、各イベントについて得られた測定データに基づいて、最適値決定部303が、各制御パラメータの最適値を決定する。
具体的には、最適値決定部303は、第1測定工程(ステップS21)において、最も強い検出信号を与えたチャンネルを特定し、当該チャンネルにて設定されていたQ1プリロッド電圧の値を、Q1プリロッド電圧の最適値と決定し、当該チャンネルにて設定されていたQ3プリロッド電圧の値を、Q3プリロッド電圧の最適値と決定する(第1決定工程)(ステップS31)。また、最適値決定部303は、第2測定工程(ステップS22)において、最も強い検出信号を与えたチャンネルを特定し、当該チャンネルにて設定されていたコリジョンエネルギの値を、コリジョンエネルギの最適値と決定する(第2決定工程)(ステップS32)。もっとも、第1決定工程と第2決定工程とは、必ずしもこの順に行われる必要はなく、逆の順で行われてもよいし、並行して行われてもよい。
ステップS31〜ステップS32の処理が、各イベントで得られた測定データについて実行されることによって、各イベントにて指定されているMRMトランジションに対応する各制御パラメータの最適値が決定されることになる。上述したとおり、複数のイベントには互いに異なる化合物を対象とするものが含まれている。つまり、ここでは、複数種類の化合物の各々(より具体的には、各化合物について設定されたMRMトランジションの各々)について、各制御パラメータの最適値が決定されることになる。
このように、ここでは、第1測定工程(ステップS21)および第2測定工程(ステップS22)が完了した後に、各制御パラメータの最適値が決定される。つまり、第1測定工程(ステップS21)が行われている段階では、まだコリジョンエネルギの最適値は特定されておらず、第2測定工程(ステップS22)が行われている段階では、まだQ1プリロッド電圧およびQ3プリロッド電圧の各最適値は特定されていない。つまり、第1測定工程(ステップS21)において、コリジョンエネルギが最適値に固定されているとは限らないし、第2測定工程(ステップS22)において、Q1プリロッド電圧およびQ3プリロッド電圧がそれぞれ最適値に固定されているとも限らない。
本件の発明者らは、各種の実験および考察によって、Q1プリロッド電圧およびQ3プリロッド電圧の各値はイオンの導入態様に影響し、コリジョンエネルギの値はプリカーサイオンの壊し方に影響するものであって、各プリロッド電圧とコリジョンエネルギとは、相関関係のない独立した制御パラメータである、との知見を得ており、この知見から、上記の態様でも、各制御パラメータの最適値を十分な精度で特定できると推測した。そして、発明者らは、実際に、上記の態様によって、各制御パラメータの最適値が十分な精度で特定できることを実験により確認した。
<3.MRM測定に要する時間>
例えば、対象試料に500個の化合物(目的化合物)が含まれている場合に、分析者が、各目的化合物についてターゲットとするプリカーサイオンの質量電荷比を1個指定入力し、各プリカーサイオンについて1個のプロダクトイオンの質量電荷比を指定入力したとする(つまり、500個のMRMトランジションを指定入力したとする)。この場合、上記のステップS1で、メソッドファイルに500個のイベントが設定され、各イベントに複数個のチャンネルが設定される。そして、上記のステップS2で、対象試料のMRM測定において当該500個のイベントが実行される。そして、上記のステップS3で、500個のイベントのそれぞれ(すなわち、500個のMRMトランジションのそれぞれ)に対応する各制御パラメータの最適値(すなわち、3種類の制御パラメータの各最適値)が決定される。このように、上記の構成によると、1回の試料導入に伴う1回のMRM測定で、500個(あるいは、それ以上)の目的化合物のそれぞれに対応する各制御パラメータの最適値を決定できる。
従来は、1個のMRMトランジションに対応する各制御パラメータの最適値を決定するのに、3回の試料導入に伴う3回のMRM測定を必要としていた。つまり、従来においては、例えば500個の目的化合物のそれぞれに対応する各制御パラメータの最適値を決定するためには、1500回の試料導入と1500回のMRM測定(仮に、1回のMRM測定に要する時間を0.5分とすると、750分の測定時間)とが必要であった。上記の実施形態によると、これが1回の試料導入と1回のMRM測定で済むので、必要とされる試料の個数が1500個から1個に削減され、MRM測定に要する時間が750分から0.5分に短縮されることになる。
<4.他の実施形態>
上記の実施形態においては、最適化の対象とされる制御パラメータは、Q1プリロッド電圧、Q3プリロッド電圧、および、コリジョンエネルギの3種であったが、さらに、他の制御パラメータ(例えば、DLバイアス、Qarrayバイアス、等)が最適化の対象に加えられてもよい。
また、上記の実施形態において、液体クロマトグラフ部1のカラム13は必須ではなく、対象試料は必ずしもカラム13を通過させる必要はない。対象試料をカラム13を通過させずに質量分析装置2に導入した場合、対象試料中の各種化合物が同時に質量分析装置2に導入されることになる。この場合、メソッドファイルにて規定されている各イベントに係る測定が並行して実行される(より正確には、各イベントに設定されているチャンネルが切り換えられながら順に行われる)ことになる。
また、上記の実施形態において、対象試料は1種類の化合物のみを含むものであってもよい。
また、上記の実施形態は本発明の一例であるから、本発明の趣旨の範囲で適宜に変形、追加、修正を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
100 液体クロマトグラフ質量分析装置
1 液体クロマトグラフ部
2 質量分析装置
20 イオン化室
21 第1中間室
22 第2中間室
23 分析室
231 前段四重極マスフィルタ
2311 メインロッド電極
2312 プリロッド電極
232 コリジョンセル
234 後段四重極マスフィルタ
2341 メインロッド電極
2342 プリロッド電極
235 イオン検出器
3 制御部
301 メソッドファイル設定部
302 測定制御部
303 最適値決定部

Claims (4)

  1. イオンを開裂させるコリジョンセルを挟んで前後に、プリロッド電極を備える四重極マスフィルタを有する、タンデム四重極型質量分析装置において、化合物に対する最適な制御パラメータを決定する制御パラメータ最適化方法であって、
    a)前記化合物を含む試料に対するMRM測定を行う測定工程と、
    b)前記測定工程によって得られた測定結果に基づいて、制御パラメータの最適値を決定する決定工程と、
    を備え、
    前記測定工程が、
    a1)コリジョンエネルギの値を所定の値に固定しつつ、前段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の値と後段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の値との組み合わせを変更しながら、前記MRM測定を行う第1測定工程、
    を備え、
    前記決定工程が、
    b1)前記第1測定工程において、最も強い検出信号を与えた組み合わせを、前記前段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の最適値と前記後段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の最適値の組み合わせと決定する第1決定工程、
    を備える、制御パラメータ最適化方法。
  2. 請求項1に記載の制御パラメータ最適化方法であって、
    前記測定工程が、
    a2)前記前段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧および前記後段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の各値を一定の値に固定しつつ、前記コリジョンエネルギの値を変更しながら、前記MRM測定を行う第2測定工程、
    を備え、
    前記決定工程が、
    b2)前記第2測定工程において、最も強い検出信号を与えた前記コリジョンエネルギの値を最適値と決定する第2決定工程、
    を備える、制御パラメータ最適化方法。
  3. 請求項1または2に記載の制御パラメータ最適化方法であって、
    前記測定工程において、複数種類の化合物を含む試料に対するMRM測定が行われ、
    前記決定工程において、前記複数種類の化合物の各々について、制御パラメータの最適値が決定される、制御パラメータ最適化方法。
  4. イオンを開裂させるコリジョンセルを挟んで前後に、プリロッド電極を備える四重極マスフィルタを有する、タンデム四重極型質量分析装置であって、
    a)化合物を含む試料に対するMRM測定を行う測定部と、
    b)前記測定工程によって得られた測定結果に基づいて、前記化合物に対する制御パラメータの最適値を決定する最適値決定部と、
    を備え、
    前記測定部が、
    コリジョンエネルギの値を一定の値に固定しつつ、前段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の値と後段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の値との組み合わせを変更しながら、前記MRM測定を行い、
    前記決定部が、
    前記MRM測定において、最も強い検出信号を与えた組み合わせを、前記前段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の最適値と前記後段の四重極マスフィルタのプリロッド電圧の最適値の組み合わせと決定する、タンデム四重極型質量分析装置。
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