JP2017508238A - 多極デバイスから捕捉イオンを除去するための方法 - Google Patents

多極デバイスから捕捉イオンを除去するための方法 Download PDF

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Abstract

多極デバイスのロッドのうちの1つまたはそれを上回るものにDCまたはRF一掃パルスを導入するステップを含む、多極イオン透過デバイスからイオンを一掃するための方法および装置。DCパルスは、イオン透過デバイスのRF電位によって生成される擬電位捕捉ウェルを克服するために十分な運動エネルギーをイオンに供給するよう選択される。RFパルスに対し、補助RF信号は、出射されたイオンの運動の周波数に対応する周波数を使用する。選択実施形態では、多極デバイスは、四重極であり得るか、またはこの装置は、タンデム質量分析計の一部であり得る。

Description

(関連出願)
本出願は、2013年12月31日に出願された米国仮出願番号第61/922,288号および2014年2月4日に出願された同第61/935,731号からの優先権の利益を主張しており、これら両方の仮出願の内容は、それらの全体が本明細書によって参考として援用される。
(分野)
本明細書中の教示は、質量分析システム内のイオンを一掃する方法を対象とする。
(背景)
タンデム質量分析システムでは、複数の質量分析計デバイスが、増進した分析能力を達成するように直列に接続される。したがって、不適切な移送が不正確な結果につながり得るため、1つのデバイスから次のデバイスへのイオンの移送は、分析において重要なステップである。
一般に、あるタンデム質量分析計は、イオンを移動させて操作するために複数の多極デバイスを使用する。例えば、四重極デバイスは、ロッドの内面の間隔が中心軸から一定の距離r(場半径)である、正方形の4つの角において中心長手軸の周囲で円周方向に配列される、4本のロッドから成る。場半径rに対するロッドRの直径の比は、丸いロッドについては約1.126である。ロッドは、理想的には、双曲線断面外形を有するが、多くの場合、形状が円形である。四重極は、RF電圧のみ、またはRFおよびDC電圧のいずれかをそれに印加させることができ、四重極を通ったイオン軌道は、DC電位(分解DC)がaの値によって、RF振幅がqの値によって判定される、マシューパラメータaおよびqによって統制される(参照することによって本明細書に組み込まれる、“Quadrupole Mass Spectrometry and Its Applications”, Peter H. Dawson, American Institute of Physics, 1995)。四重極設定は、2つの極(AおよびB)を有する。各極は、中心軸の対向する側で相互から直接横断して位置する、4本のロッドのうちの2つ(一対)から成る。B極上のRFは、A極に対して180°だけシフトさせられ、B極上の分解DCは、A極上の分解DCの反対極性である。四重極を通るイオン軌道は、非直線状であり、安定している(多極を通過する)か、または不安定である(半径方向に出射されるか、またはロッドのうちの1本に接触する)かのいずれか一方である、ある全体的軌道の周囲で振動する。四重極は、一般に、イオントラップ(3Dおよび2D)に沿った質量選択とともに使用される。四重極、トラップ、および飛行時間デバイスが、質量分析のために使用される。他のタイプの多極は、六重極および八重極を含むが、それらに限定されない。
タンデム質量分析計デバイスの典型的な簡略化された設置の側面図が、図1に描写されている。そのようなデバイスは、複数の四重極デバイス(Q0、Q1、Q2、およびQ3と標識される)から成る。Q0およびQ2は、RF電圧のみを使用して動作し、マシュー安定性パラメータaが0に等しく、qが0ではない、イオンガイドとして機能すると見なされる。Q0領域が、典型的には、3〜10mTorr体制(レジメ)内の上昇した圧力において操作される一方で、Q2イオンガイドは、タンデム質量分析実験中に3〜10mTorrにおいて操作され、衝突セルとして動作することができる。Q1およびQ3は、RFおよびDC電圧の両方で動作し、特定のm/zまたはm/z比の範囲のみを有するイオンを選択的に通過する、質量フィルタとして使用される。加えて、Q1およびQ3質量フィルタの前には、イオン移動デバイスとしての機能を果たし、フィルタリング四重極の直前に位置付けられるため前置フィルタとして表されることができる、RF単独モードで動作する短い四重極(ST1およびST3)が位置付けられる。ST2もまた、衝突セルとして動作することができる、Q2四重極の中への透過を向上させる役割を果たすイオン移動デバイスである。前置フィルタの直前には、レンズ(IQ1およびIQ3と標識される)が位置付けられる。IQ2は、衝突セルQ2に先立って位置付けられる別のレンズである。
タンデム質量分析計において高いイオンビーム強度を使用するとき、全イオン電流(TIC)測定が一貫せず、不安定であることが見出されている。そのような非一貫性は、例えば、信号対濃度のプロットがより高いカウント速度において非線形になる、較正曲線目的で作成されるプロット等の不正確な定量的測定につながり得る。この例は、化合物シタマキンについて生成された較正曲線が500ng/mLの濃度において線形性から15%の偏差を実証した、図2に描写されている。
内部試験を通して、これらの状況で示された非線形性は、システム内の前置フィルタ領域中で捕捉されるようになるイオンに関係付けられることが発見されている。イオンは、正しい条件に遭遇したときに、前置フィルタ/質量フィルタ境界(すなわち、ST1/Q1またはST3/Q3境界)においてイオン源の方向に向かって後方に反射することができる。これらの反射されたイオンはまた、IQ1およびIQ3レンズに最も近い上昇した圧力にある、バックグラウンドガスとの衝突を通じて、軸方向運動エネルギーを失い、前置フィルタ領域中で捕捉されるようになる。前置フィルタ領域中で捕捉されるようになるイオンは、前置フィルタを通るイオンの透過に変動を引き起こし得る。高いイオンビーム強度において、イオンは、前置フィルタ領域を急速に充填し、平衡状態が達成されるまで、イオン信号を時間とともに変動させる。
任意のRF単独四重極、より具体的には、本明細書で説明される前置フィルタからイオンを除去する1つの方法は、4本のロッドに印加されるDCパルスの使用を伴う。例として、ST1の前置フィルタ領域は、走査または多重反応監視(MRM)実験に先立って1ミリ秒の期間にわたって、その伝送電位から接地電位まで前置フィルタ上のDCオフセットをパルスさせることによって、空にされることができる。このシナリオでは、ST1電位は、イオンが、隣接するIQ1およびQ1光学部に向かって流出させられ、ST1領域から出て行かせられるようなものである。理解されるように、接地電位が使用されるが、隣接するデバイスに向かったイオンの一掃を可能にする限り、任意の好適な相対的電位が使用されることができる。したがって、前置フィルタDCオフセットは、捕捉されたイオンを隣接する光学部に向かって移動させる、隣接するイオン光学部に対する反発電位に変化させられる。このDCパルスは、中程度のイオンビーム強度が使用されるときに前置フィルタを空にするが、非常に明るいイオンビーム強度が使用されるときに不十分であることが分かっている。イオンが半径方向に逃避し得るレベルまでロッド上のRF振幅を低減させること等の他の技法が、利用されることができるが、残りの四重極と異なるRF振幅において前置フィルタを独立して操作するために、別個のRF発生器を必要とする。これは、費用の増加につながり得る。加えて、別個のRF発生器の使用を回避して、全ての四重極の振幅が集合的に低減させられることができるが、これは、Q0四重極を補充するために付加的な時間が必要とされるため、デューティサイクルの減少を引き起こす。
"Quadrupole Mass Spectrometry and Its Applications", Peter H. Dawson, American Institute of Physics, 1995)
(要旨)
種々の質量分析計動作モードでの動作とともに起こる前置フィルタ四重極を含む、多極内のイオンの捕捉は、前置フィルタ四重極−フィルタ四重極界面における(例えば、ST1とQ1との間の)イオンの反射の結果であることが見出されている。また、例えば、空間電荷効果が拡張したイオン雲につながり得る場所で、高強度イオンビームが使用されるとき等に、本反射がより高い半径方向振幅を有するイオン上で起こることも見出されている。
イオンがイオン透過四重極から一掃され得る従来の方法は、高価であるか、または効果的ではなく、したがって、そのような四重極を一掃する新しい方法が必要とされる。
イオン透過四重極を一掃する効果的かつ迅速な様式は、四重極からイオンを一掃する電位勾配を四重極内で生成することによることが見出された。これは、電位パルスを用いて、ロッドに向かって、またはロッドから離してのいずれかで、イオンの全てを強制的に移動させる半径方向DCパルスを、多極設定内のロッドのうちの1本または1本より多くの上で生成することによって達成される。
種々の実施形態では、多極イオン透過デバイスからイオンを一掃する方法が開示され、多極は、長手軸の周囲で円周方向に、かつそこから等距離に配列されるいくつかのロッドを有し、このロッドのそれぞれは、多極イオン透過デバイス内でイオンを捕捉するための多極場を生成するよう、RF発生器源およびコントローラに接続され、この方法は、DCパルスをロッドの総数未満の一連のロッドのうちの1本またはそれを上回るロッドに印加するステップを含み、DCパルスは、DCパルスの結果としてイオンによって獲得される運動エネルギーが、多極場によって生成される半径方向捕捉力を克服するようなものである。
種々の実施形態では、質量分析計内でイオンを輸送する際に使用するための多極デバイスが開示され、このデバイスは、長手軸の周囲で円周方向に、かつそこから等距離に配列される、一連のロッドと、イオンを捕捉することが可能な多極場を生成するために一連のロッドのうちの各ロッドに電気的に接続される、少なくとも1つのRF電位供給部と、ロッドのうちの少なくとも1本に電気的に接続される、少なくとも1つのDC電位供給部と、ロッドに印加されるRFおよびDC電位を制御するための1つまたはそれを上回るコントローラとを備え、1つまたはそれを上回るコントローラは、2つのモードの間で2つのモードのうちの1つを切り替えるように構成され、第1のモードでは、一連のロッドのうちの各ロッドに対するDC電位は同一であり、第2のモードでは、一連のロッドのうちのロッドのうちの少なくとも1本に対するDC電位は、一連のロッドのうちの残りのロッドに印加されるDC電位と異なる。
種々の実施形態では、長手軸の周囲で円周方向に、かつそこから等距離に配列される、4本のロッドと、イオンを捕捉することが可能な四重極場を生成するために4本のロッドのそれぞれに電気的に接続される、少なくとも1つのRF電位供給部と、ロッドのうちの少なくとも1本に電気的に接続される、少なくとも1つのDC電位供給部と、4本のロッドに印加されるRF電位およびDC電位を制御するための1つまたはそれを上回るコントローラとを備え、1つまたはそれを上回るコントローラは、2つのモードの間を2つのモードのうちの1つを切り替えるように構成され、第1のモードでは、4本のロッドのそれぞれに対するDC電位は同一であり、第2のモードでは、ロッドのうちの1本または2本に対するDC電位は同一であって、残りのロッドに対するDC電位と異なる電位に保たれる、質量分析計内でイオンを輸送する際に使用するための四重極デバイスが開示される。
種々の実施形態では、四重極前置フィルタ内のイオンを一掃する方法が開示され、四重極前置フィルタは、第1の長手軸の周囲で円周方向に、かつそこから等距離に配列される、第1および第2の一対の前置フィルタロッドを備え、この方法は、第1および第2の一対の前置フィルタロッドを四重極質量フィルタに接続するステップであって、四重極質量フィルタは、第1の長手軸と一列に並び、かつそこから下流に位置付けられる、第2の長手軸の周囲で円周方向に、かつそこから等距離に配列される、第1および第2の一対のフィルタリングロッドを備え、第1の一対の前置フィルタロッドは、それらの間に位置付けられるコンデンサによって、第1の一対のフィルタリングロッドと直列に電気的に接続され、第2の一対の前置フィルタロッドは、それらの間に位置付けられるコンデンサによって、第2の一対の質量フィルタリングロッドと直列に電気的に接続される、ステップと、第1および第2の一対の質量フィルタリングロッドをRF電圧源およびDC電圧源に接続するステップであって、RF電圧源は、四重極前置フィルタおよび四重極フィルタの両方の中でRF場を生成するためである、ステップと、DC電圧パルスを第1および/または第2の一対の四重極質量フィルタロッドに印加するステップとを含み、DC電圧パルスの印加は、四重極前置フィルタ内で分解DC場を形成させ、前置フィルタ内のRF場およびDC場の結果として生じる組み合わせは、四重極前置フィルタからイオンを除去することが可能である。
種々の実施形態では、第2の四重極からイオンを一掃する方法が開示され、第2の四重極は、直列に、かつ第1の四重極から上流に位置付けられ、この方法は、第1の四重極の中の第1の一対のロッドを、それらの間に位置付けられるコンデンサによって、第2の四重極の中の第1の一対のロッドに電気的に接続するステップと、第1の四重極の中の第2の一対のロッドを、それらの間に位置付けられるコンデンサによって、第2の四重極の中の第2の一対のロッドに電気的に接続するステップと、第2の四重極が質量フィルタとして動作するように、RF電圧供給およびDC電圧供給を第2の四重極に提供するステップと、第2の四重極の中の第1および/または第2の一対のロッドに対しDC電圧をパルスさせるステップとを含み、パルスさせるステップは、第1の四重極内で分解DC場を形成させる。
種々の実施形態では、DCパルスの振幅は、運動エネルギーを提供するように増加させられる。
種々の実施形態では、DCパルスは、ロッドのうちの1本のみに印加される。
種々の実施形態では、多極は、四重極である。
種々の実施形態では、DCパルスは、一連のロッドのうちの2本の隣接するロッドに印加される。
種々の実施形態では、DCパルスは、一連のロッドのうちの2本の隣接しないロッドに印加される。
種々の実施形態では、多極は、前置フィルタとして動作し、少なくとも1つのフィルタリング四重極の直接上流に位置付けられる。
種々の実施形態では、多極は、タンデム質量分析計の一部である。
種々の実施形態では、DCパルスは、印加されたDCパルスを伴う一連のロッドのうちの1本またはそれを上回るロッドに向かってイオンを移動させる。
種々の実施形態では、質量分析計は、タンデム質量分析計である。
種々の実施形態では、多極は、前置フィルタとして動作し、少なくとも1つのフィルタリング四重極の直接上流に位置付けられる。
種々の実施形態では、DC電位供給部は、DCパルスの印加のために一連のロッドのうちのロッドのうちの1本のみに電気的に接続される。
種々の実施形態では、第2のモードでは、供給されるDC電位は、イオンを捕捉することが可能な多極場を克服するために十分な運動エネルギーをイオンに付与する。
種々の実施形態では、第2のモードでは、一連のロッドのうちの1本のロッドに対するDC電位は、一連のロッドのうちの1本のロッドに向かってイオンを移動させるよう選択される。
種々の実施形態では、質量分析計は、タンデム質量分析計である。
種々の実施形態では、四重極デバイスは、前置フィルタとして動作し、少なくとも1つのフィルタリング四重極の直接上流に位置付けられる。
種々の実施形態では、DC電位は、DCパルスの印加のために4本のロッドのうちのロッドのうちの1本のみに電気的に接続される。
種々の実施形態では、第2のモードでは、供給されるDC電位は、四重極場によって生成される、イオンを捕捉する捕捉場を克服するために十分な運動エネルギーをイオンに付与する。
種々の実施形態では、コントローラは、第2のモードでは、ロッドのうちの1本に対するDC電位が、他の3本のロッドに対するDC電位と異なり、異なるDC電位を有する1本のロッドに向かってイオンを移動させるよう選択されるように構成される。
種々の実施形態では、コントローラは、第2のモードでは、2本の隣接するロッドに対するDC電位が同一であり、他の2本のロッドに対するDC電位と異なるように構成される。
種々の実施形態では、コントローラは、第2のモードでは、2本の隣接しないロッドに対するDC電位が同一であり、他の2本のロッドに対するDC電位と異なるように、構成される。
有効電圧という用語は、多極デバイスを通るイオンの軌道に影響を及ぼす電場を生成するように1本または複数のロッドに印加される全体的な電圧をいうことが意味される。四重極の場合に関して、そのような軌道は、マシュー(Mathieu)安定等式を使用することによって判定されることができる。
実施形態では、DC電位供給部が特定のロッドに接続されていないとき、このロッドのためのDC電位は、0Vであると理解され得る。このようにして、DC電位供給部が1本のロッドに接続されるのみであるとき、残りのロッドは、0Vの同一のDC電位を有すると理解され得る。
種々の実施形態では、四重極イオン透過デバイスからイオンを一掃する方法が開示され、四重極イオン透過デバイスは、極の2つのセットを有し、各極は、2本のロッドを有し、ロッドのそれぞれは、RF発生器源およびコントローラに接続され、この発生器源およびコントローラは、イオン透過デバイス内でイオンを捕捉するための四重極場を生成するためであり、本方法は、このイオンの運動の周波数に対応する周波数において、1ミリ秒未満の期間の間、補助RF場を生成するステップを含む。
種々の実施形態では、補助RF場は、補助RF電圧信号を該極の1つのセットに印加することによって生成される。
種々の実施形態では、補助RF電圧は、別個のRF発生器源によって生成され、変圧器の使用を通して上記極の1つのセットに伝送され、好ましくは、変圧器は、トロイダル変圧器であり得る。
種々の実施形態では、四重極イオン透過デバイスはまた、極の2つのセットの間の間隔内に配置される、少なくとも一対の補助電極も備え、上記補助RF場は、補助RF電圧信号を上記少なくとも一対の補助電極に印加することによって生成される。
図1は、典型的タンデム質量分析計のレイアウトの側面図を描写する。 図2は、化合物シタマキンの質量分析計ベースの較正曲線を描写する。 図3は、m/z609のための低強度TICを示す。 図4は、低強度TICにおいてm/z609のために生成されたスペクトルを示す。 図5は、4本ロッド離脱パルス後のイオン透過中の種々の電圧の関数としてのTICを描写する。 図6は、4本ロッド離脱パルスを含む種々のシナリオ中の界面に沿った空間DC電位を伴うQ0/IQ1/ST1/Q1設定界面の簡略化された図を描写する。 図7および8は、Q0/IQ1/ST1/Q1設定内の反射イオン軌道を描写する。 図7および8は、Q0/IQ1/ST1/Q1設定内の反射イオン軌道を描写する。 図9は、本発明の実施形態による、四重極の断面配列およびDC電圧ならびに例示的な電位の輪郭を描写する。 図10は、単一のロッドパルス中の四重極上の例示的DC電圧を描写する。 図11は、2本のA極ロッドの間の軸および2本のB極ロッドの間の軸に沿った電位寄与を描写する。 図12は、質量および駆動周波数の関数としての理論的擬電位ウェル深さを描写する。 図13は、タンデム四重極設定における無パルス動作中のイオン軌道のシミュレーションを描写する。 図14は、タンデム四重極設定における単一ロッドDCパルスの実装中のイオン軌道のシミュレーションを描写する。 図15は、単一のロッドDCパルスを実装するための例示的回路を描写する。 図16は、DC離脱パルスを伴わない、ST1=−18Vでのm/z609のTICトレースを描写する。 図17は、1ミリ秒にわたって1本のロッド上に−250VDC離脱パルスを伴う、ST1=−18Vでのm/z609のTICトレースを描写する。 図18は、DC離脱パルスを伴わない、ST1=−30Vでのm/z609のTICトレースを描写する。 図19は、1ミリ秒にわたって1本のロッド上に−250VDC離脱パルスを伴う、ST1=−30Vでのm/z609のTICトレースを描写する。 図20は、多重ロッドパルスを実装するための例示的回路を描写する。 図21は、図20の回路を利用するDC応答曲線を描写する。 図22は、イオンを一掃するための補助RFパルスを生成する代替実施形態の回路図を描写する。 図23は、イオンを一掃するための補助RFパルスを生成する代替実施形態の回路図を描写する。
(実施形態の詳細な説明)
以下の実施形態は、具体的には、四重極の使用を説明するが、理解されるように、これらの教示内で、イオンを操作する目的で好適な電力供給デバイスに接続された好適な配列とともにロッドを使用する、任意のデバイスに適用されることができる。そのようなデバイスは、例えば、質量分析において前置フィルタとして利用されることができる。
いくつかの実施形態では、前置フィルタ四重極は、残りの3本のロッド上で正常なDC電位を維持しながら、単一のロッドのみに印加されるDCオフセット電位を変化させることによって、空にされることができる。これは、1本のロッドに印加される電位オフセットに応じて、ロッドのうちの少なくとも1本の上で任意の捕捉されたイオンを強制的に出射または中和させる、1本のロッドから他の3本のロッドへ/3本のロッドから1本のロッドへの勾配を効果的に生成する。
(線形ダイナミックレンジ試験における線形性からの偏差)
シタマキン濃度対信号強度のプロットが、図2に描写されている。500ng/mLにおいて、ピーク面積対濃度をプロットするときに約+15%の差を表す、9.3×10cpsにおける線形性からの偏差が存在する。
(短太領域中の捕捉のための実験的証拠)
m/z606からm/z614に及ぶ8Daの質量範囲にわたって走査しながら、1000Da/秒の走査速度において、0.5分の期間にわたってスペクトルが収集された。実験は、とりわけ、イオン源およびシリンジポンプにおける変動が原因である多少の不安定性を通常有していたTICを生じた。m/z609における約2.2×10cpsのカウント速度に対する典型的全イオン電流(TIC)が、図3に示されている一方で、データのスペクトルは、図4に示されている。
図5は、前置フィルタ四重極DCオフセット電位の関数としての一連の全イオン電流プロットを描写する。図6で描写されるように、隣接するQ0/IQ1およびQ1光学部のDCオフセットは、それぞれ、−10/−10.5および−11Vである。これらの場合のそれぞれにおいて、電位を1ミリ秒にわたって0Vまで上昇させる一掃パルスが、4本の前置フィルタロッド上の電位に印加される。DC電位は、全ての他の時間において図に示される値に設定される。より高いDC電位において、前置フィルタ領域における捕捉の問題は、時間とともにTICの有意な変動として現れる。これは、前置フィルタ上のDC電位が−30および−40Vに設定されるときに明白となる。イオンビームが前置フィルタ領域を通過するとき、イオンは、前置フィルタ/質量フィルタ境界において後方に反射することができる。バックグラウンドガスとの衝突を受けるイオンは、軸方向運動エネルギーを失い、捕捉される。捕捉されるイオンの数密度は、密度がウェルの深さによって制限される最大値(IQ1に対する前置フィルタDC電位差および質量フィルタDC電位)に達するまで変動する。前置フィルタ領域を通したイオンの集束は、TICの変動につながる密度の関数である。いったん前置フィルタ領域中で捕捉されるイオンの密度が最大に達すると、TICは安定する。4本全てのロッド上のパルスが、前置フィルタ領域を一掃するという適切な作業を行っている場合には、前置フィルタに印加されるDC電位オフセットにもかかわらず、TICが安定したままとなるであろうことが予期されるであろう。
図6は、Q0/IQ1/ST1およびQ1領域の概略、ならびに四重極の4本のロッド上のDCパルスの使用の予期される結果を示す。Aと標識されたDC電位は、Q1質量フィルタの中への1eVのイオンエネルギーを使用した走査に適用される。ST1光学部は、約−18Vで伝送して着目イオンの最大透過を提供するように設定される。ST1を一掃することを意図しているDCパルスの間に、ST1上の電位は、0Vまで上昇し、Bに示されている。次いで、イオンは、それらが捕捉されたときから、熱的軸方向運動エネルギーまたは残留軸方向運動エネルギーを使用して、短い期間内で前置フィルタ領域から外へ移動することができる。イオンは、IQ1光学部および質量フィルタに向かって移動することができ、それによって、前置フィルタから捕捉されたイオンを一掃する。前置フィルタDC電位が常に−10.8Vに設定された実験が実行された。これは、イオンが軸方向DC場によって前置フィルタ領域中で捕捉されるいかなる可能性も除去する。TICは、イオンビーム強度にかかわらず安定し、短太領域中のイオン密度が実験の全体を通して一定であったことを示した。
しかしながら、前置フィルタDC電位が軸方向ウェルを生成するときに、イオンは前置フィルタ領域中で捕捉されるようになり、透過イオンビーム強度の変動につながる。これは、実験中に監視されるサンプルの測定精度に影響を及ぼす。記録される強度は、約数秒またはそれより長くあり得る、前の時間期間において前置フィルタ領域に進入したイオンの数に依存し得る。偏差は、前置フィルタ領域中で捕捉されるイオンの数が増加するにつれてより有意であると予期される。
(捕捉の機構)
望ましくない捕捉の機構は、以下で説明されるシミュレーション結果を使用して、より容易に視覚化されることができる。Simion(登録商標)8.07.47を使用して、概して、図1に説明されるシステムの一部の動作をシミュレーションする、モデルが構築された。具体的には、モデルは、Q0イオンガイドの最後の25mm、差動ポンプ送出開口、前置フィルタST1、および質量分析器Q1の最初の40mmから成った。初期イオン運動エネルギーは、Q1に向かって移動するクワッド軸に沿って5eVで一定に保たれた。イオンは、0.1mmの標準偏差を伴う3Dガウス分布を使用して、軸上に分配された。前置フィルタ領域中の圧力が、長手軸に沿って二次様式で0.01mTorrまで低減させられている間に、Q0における圧力が7mTorrで保たれた一方で、質量フィルタ領域は、0.01mTorrで保たれた。280Aの衝突断面積が、衝突ガスとしての窒素およびイオンとしてのm/z609とともに使用された。イオン軌道は、図7に示されるサンプルイオン軌道を用いて1ミリ秒後に終了させられた。本実施例では、イオンは、IQ1レンズと前置フィルタ/質量フィルタ境界との間で前後に数回反射された。
0.47、0.47、および0.706というマシュー(Mathieu)のq値が、それぞれ、Q0、ST1、およびQ1に選択された。Q1は、マシューa=0.2を有した。オフセット電位は、Q0、IQ1、ST1、およびQ1について、それぞれ、0、−0.5、−8、および−1Vであった。図7で見られるように、通常、左から右へ進行するイオン軌道は、ST1/Q1境界において反射し、また、窒素との衝突を通じて軸方向運動エネルギーを失った後に、IQ1付近でも反射する。イオンは、前置フィルタ領域中で捕捉されるようになる。反射および捕捉効果は、四重極軸からのイオンの初期開始位置の半径方向変位が大きいほど、さらに広く行き渡ようになる。この効果は、高強度イオンビームにおけるイオンの空間電荷反発とともに、より大きい程度まで生じることが予期される。
図8では、ガスがシミュレーションから除去されている。この状況では、前置フィルタ/質量フィルタ境界において後方に反射するイオン軌道は、IQ1レンズ上で終了するか、または少数の場合には、IQ1レンズを通過してQ0イオンガイド領域の中へ戻る。これは、イオンが前置フィルタ領域中で捕捉されるようになる、バックグラウンドガスとのイオンの衝突を通じた軸方向運動エネルギー損失を有することの必要性を実証する。
(イオンの除去)
本発明教示によると、捕捉されたイオンは、DC一掃パルスを前置フィルタロッドのうちの1本に印加することによって、前置フィルタ領域から除去されることができる。この現象は、勾配が生成される、図9に描写されている。本実施例では、1本のロッド上のDC電位オフセットを−8Vから−250Vに変化させることにより、−250Vを伴う極に向かって正イオンを移動させる。パルスの大きさは、イオンが、四重極ロッドに印加されるRF場によって生成されるイオンを捕捉する擬電位に打ち勝つに十分な半径方向運動エネルギーを獲得するために、十分に高くなければならない。
DCパルスからイオンに付与されることができる運動エネルギーの量は、近似的に計算されることができる。イオンが四重極軸上で開始すると仮定して、その点における電位は、4本のロッドに印加されたDCから生じるDC場の線形推測を行うことによって、計算されることができる。
図10は、電位がA極ロッドのうちの1本の上で−8Vから−250Vまで上昇させられた、パルスの間にロッドに印加された電位を示す。A極ロッドとB極との間の距離の関数としての電位への寄与が、図11に示されている。0mmの距離に位置する四重極軸において、A極からの電位が、−129Vである一方で、B極からの電位は、−8Vである。イオンが遭遇する電位は、これら2つの値の平均、すなわち、−68.5Vであり得る。イオンが獲得することができる最大運動エネルギーは、それが向かって進んでいるロッドと四重極軸上の電位との間の電位差である。この例では、電位差は、181.5eVの運動エネルギーを一価イオンに与える、181.5Vである。これは、以下の等式によって、等式の形態で表されることができる。
式中、A’およびA’’は、パルスがA’に印加された、A極ロッドに対するオフセットであり、B’およびB’’は、B極ロッドに対するオフセットである。この等式では、イオンがA’ロッドに引き付けられることが仮定される。
加えて、RF捕捉場に起因する微動からの寄与もまた、イオン運動エネルギーを正確に計算するために含まれるべきである。パルスからの最終的な最大運動エネルギーもまた、イオンが空間的に開始する場所に依存する。印加されたパルスを有するロッドから遠いほど、達成可能である最終的な最大運動エネルギーが高くなる。
擬電位ウェル深さDは、以下の2つの等式を使用して計算されることができる。
式中、qは、マシューパラメータであり、Vrfは、極から接地まで測定されたRF振幅であり、mは、イオンの質量であり、rは、四重極の場半径であり、Ωは、角駆動周波数であり、eは、電荷であり、A(1.001462)は、R/r=1.126である丸いロッドに対する四重極場内容である。
図12は、質量および駆動周波数の両方の関数としての計算された擬電位のプロットを示す。1.228MHzの駆動周波数が、低い質量範囲に対して使用される一方で、940kHzの駆動周波数は、高質量範囲に対して使用される。擬電位ウェル深さは、両方の質量範囲について約180eVの最大を有する。
前置フィルタ領域を空にするために、イオンに付与される運動エネルギーの量は、擬電位ウェル深さより大きくなければならない。ロッドに印加されるパルスの大きさは、固定オフセットを加えた擬電位ウェル深さに等しい値に設定されることができるか、または任意の質量のために必要とされるであろう最大より大きい値に設定されることができるかのいずれかである。
一掃パルスの振幅の計算は、着目質量と同時に存在し得る、着目質量(質量フィルタが伝送している質量)より高い、およびより低い、他のイオンのq値を考慮しなければならない。全てのイオンは、着目質量と同一のVrfを有する。したがって、着目質量より質量が大きい質量が、着目質量より低いq値を有する一方で、より軽い質量は、低質量カットオフである0.908における最高安定q値を伴って、着目質量より高いq値を有し得る。最大擬電位は、以下の等式を用いて、低質量カットオフにおけるq値を使用して計算されることができる。
これは、擬電位がq=0.47を使用して計算された、等式(2)から以前に求められたものより0.908/0.47=1.93倍大きい。
この等式は、四重極の軸上で開始し、一掃パルスが印加されたロッド、すなわち、A’ロッドに向かって移動する場合に、イオンが獲得することができる運動エネルギーを与える。q=0.47および最大質量を使用した最大擬電位は、180Vであった。最大RF振幅を伴うが、q=0.908において捕捉されたイオンの除去は、擬電位を180V×1.93=347Vまで上昇させる。これは、DCパルスがあらゆる状況で捕捉されたイオンを除去するであろうことを確実にするように、等式(2)からの電位差が等しくなければならないであろう最大値である。等式(1)は、代入A”=B’=B”および電位差=
を使用して、A’の値を求めるように再配列されることができ、次いで、以下を生じる。
次いで、最大必要一掃パルス振幅は、四重極がその質量範囲の最大値において操作されるときに前置フィルタ領域を空にするために、A’−A”=(4/3)*347V=463Vである。
図13および図14は、それぞれ、起動された一掃パルスを伴う、および伴わない、(m/z609に対する)イオン軌道の例を示す。前置フィルタのために選択されたDC電位は、図9で表示されたものであった。図13では、各軌道がシミュレーション境界において、または1ミリ秒後に終了する、100個のイオン軌道が表示されている。
図14では、DCパルスは、100マイクロ秒の期間後に起動される。この図は、一掃パルスが起動される前に、いくつかのイオンが前置フィルタを通過するために十分に速く移動しており、その場合、それらがQ1を通過し、シミュレーション境界において終了することを示している。一掃パルスがオンであるときに前置フィルタに進入するか、または前置フィルタの中ですでに捕捉されているイオンは、前置フィルタロッドと衝突する。シミュレーションはまた、前置フィルタ領域からイオンを一掃するために、少数のみの(2〜5)RFサイクルの持続時間が必要とされることも示す。
実験が、高ダイナミックレンジ検出器を含んた多四重極デバイスで行われた。ハードウェアは、DCパルスが前置フィルタ(ST1)光学部のA’ロッドに追加されることを可能にするように修正された。一掃パルスは、一時停止時間の開始時に1ミリ秒の持続時間の間印加された。5ミリ秒の一時停止時間が、全ての実験に使用され、測定の開始に先立って、イオンビームがイオン経路に沿って平衡を保つことを可能にすることを意図している。修正の概略図が、図15に示されている。一掃パルスおよびDCオフセット電位の合計が、A’ロッドに追加された。この電位は、A’ロッドの近くに接続されたインダクタを通して印加された。
これらの実験に使用される前置フィルタDCオフセットは、−18および−30Vであった。Q0/IQ1およびQ1光学部に対するDCオフセットは、それぞれ、−10、−10.5、および−11Vであった。A’ロッドは、前置フィルタの中で捕捉されたイオンの除去のために、−250Vまでパルスさせられた。これらの電位は、正イオンモードのみに使用された。
1ng/μlレセルピンの溶液が、7.0μl/分で注入された。質量範囲606〜614Daが、1000Da/秒で走査された。第1の同位体の強度は、上流四重極イオンガイド上のRF振幅を調節することによって、約10cpsに調節された。
図16は、前置フィルタの4本全てのロッドが−18Vの電位で保たれた、時間の関数としてのTICトレースを示す。いかなる一掃パルスもA’ロッドに印加されなかった。上部フレームに示されるTICは、m/z30、幅8Daにおける短い走査の直後に得られた。低質量走査の目的は、前置フィルタ領域からあらゆる捕捉されたイオンを空にすることである。TICは、最初の0.2分にわたって不安定である。すぐに実験を繰り返すことにより、中央フレーム、次いで、下部フレームに示されるTICを生じる。後続の走査では、前置フィルタが捕捉されたイオンで依然として充填されており、平衡状態が達成されているという事実に起因して、TICはそれほど不安定ではない。各実験の終了時にこの器具のために565Daに設定されたピーク質量まで下降するQ1質量の結果である、各実験の開始時のわずかな低下が可視的である。各フレームに示されるカウント速度は、m/z609についてのピーク強度を表す。これは、0.3〜0.5分のデータを使用して判定された。
図17は、ここでは一掃パルスが起動されることを除いて、同一の実験について収集されたデータを示す。各実験の前に、m/z30に設定されたQ1を用いて実験が実行される。本データにおいて、TICは、ここでは各実験の持続時間にわたって安定している。強度データは、図16のデータより約10%低い。
図18および19は、ここでは前置フィルタに印加されるDCオフセットが−30Vであることを除いて、同一のタイプの実験を示す。先に、前置フィルタに印加されたDCオフセットの規模が大きいほど、TICにおける不安定性がより顕著であることが見出された。図18のデータが、印加された一掃パルスを有していない一方で、図19のデータは、一掃パルスを有する。図18の上部フレームは、Q1質量がm/z30に設定された実験後に得られたデータを示す。TICは、底部フレームに示される第2の実験でさえも、減少し続けて安定しない。観察されたイオンカウントは、時間とともに減少し続ける。図19では、一掃パルスの使用が、安定したTICにつながる。この特定の場合では、イオン強度は、一掃パルスが印加されたときに増加しており、これは、DCオフセットが−18Vに設定されたときに図16および17において上記で見られるものと反対である。
上記の技法は、具体的には、前置フィルタ四重極とともに使用するために説明されるが、説明される技法はまた、Q2衝突セル等の他の四重極を急速に空にするために使用されることもできる。例えば、衝突セルロッドにいかなるRFも印加されず、7mTorrの圧力および所与の熱エネルギー(0.025eV)を伴って衝突セルの軸上で開始するイオンは、ロッド上で終了するために、数十マイクロ秒〜数百マイクロ秒を必要とした。m/z1250およびm/z2000が場半径に等しい距離(4.17mm)を進行するための進行時間の計算は、それぞれ、67および85マイクロ秒という値を与えた。これらの値は、衝突がない場合について計算され、イオンは、0.025eVの初期運動エネルギーを与えられた。より急速に衝突セルを空にする必要性がある場合には、一掃パルスを印加することにより、単純に四重極ロッド上のRF振幅を低下させることよりも有意により速い、<5マイクロ秒で領域を一掃し得る。
DCパルスがロッドのうちの1本のみに印加される、特定の実施形態が説明されているが、イオンの一掃はまた、例えば、四重極デバイスの動作時に、DCパルスを2本の隣接するロッド、または3本のロッドに印加することによって達成されることもできる。「隣接する」とは、ロッドが断面形態で視認され、例えば、四重極の場合については図10で見られるように、中心軸の周囲で円周方向に配列されるものとして描写されるときに、DCパルスが、右上ロッド、および左上ロッドまたは右下ロッドのいずれか一方に印加されることができることを意味することが意図されている。規定数のロッドを含有する多極設定では、DCパルスは、最大で存在するロッドの数より1本少ないロッドに印加されることができる。使用時に、四重極設定内の2本の隣接するロッドへのDCパルスの印加は、捕捉されたイオンを2本のロッドの間の間隔に駆動するであろう。これは、イオンが、単一のロッド上で堆積させられるよりもむしろ、間隔を通して四重極から出射される際に、前置フィルタロッド上のイオン汚染を低減させることに利益を有する。
さらに、四重極の場合に関して、2本のロッドが隣接していない(すなわち、それらが中心長手軸を横断して相互の正反対にある)、ロッドのうちの2本へのDCパルスの印加によって、イオンが一掃されてもよい。このようにして、印加されたDCパルスは、マシュー等式によって定義される不安定性の領域に従ってイオンを一掃する分解DCを生成する。
別の実施形態では、例えば、図20において設定される様式で、前置フィルタの中で分解DCを生成することが可能である。この実施形態では、前置フィルタロッド(A’、A”B”B’)は、複数対のロッドから成り、コンデンサを通って、質量フィルタによって供給されるRF(VrfA,VrfB)およびDC(U,U)電圧に電気的に接続される。このようにして、別個のRFまたはDC電圧供給部が前置フィルタに必要とされない。質量フィルタの2対のロッド(A’、A”B”B’)に印加されるRF電圧もまた、適切なRF場を生成するために使用される前置フィルタのロッドに伝送される。DCパルスは、DCパルスが断続的であり、充電フェーズ中にコンデンサを通して部分的に伝送されるため、前置フィルタを一掃する一対の四重極質量フィルタロッド(UまたはUを介して)または両対の四重極質量フィルタロッド(UおよびUを介して)に印加されることができる。しかしながら、質量フィルタが、一定のDC電圧が印加されているときのその通常分解モードで動作しているとき、コンデンサは、前置フィルタへのDC電圧の伝送または生成を防止し、したがって、前置フィルタが伝送専用デバイスとして動作することを可能にする。そのような方法の効果は、800VDCパルスが、50ミクロン秒の立ち上がり、10ミクロン秒の持続時間、および50ミクロン秒の立ち下がりを含む期間にわたって、一対の質量フィルタリングロッドに印加されるときに、図21で描写されている。これは、47pFコンデンサおよび20MOhmレジスタの存在に起因して、対の前置フィルタロッドの1つの対において約520VDCパルスの生成をもたらす。理解されるように、コンデンサは、分解DC場が前置フィルタ内で生成されるように、質量フィルタに印加されるDCパルスがコンデンサを介して前置フィルタに適切に伝送されるように、選択されなければならない。質量フィルタロッドに印加されるパルスおよび適切なコンデンサは、結果として生じる伝送されたDCパルスが、前置フィルタからのイオンの除去を引き起こすために十分に長いように、選択されなければならない。これは、典型的には、1つより多くのRFサイクルの長さを必要とする。
別の実施形態では、前置フィルタ領域は、補助RF信号を利用する代替的機構を使用して空にされることができる。前置フィルタ内で捕捉されるイオンは、前置フィルタに印加される駆動RFの周波数および振幅によって判定される運動の周波数を有する。イオンの運動の周波数に対応する、選択された周波数において補助RF信号をパルスさせることによって、イオンは、それらの前置フィルタロッドとの衝突に至り、イオンを除去させ得るより大きい半径方向振幅に励起され得る。
別の実施形態では、前置フィルタ領域は、補助RF信号を利用する代替的機構を使用して空にされることができる。前置フィルタ内で捕捉されるイオンは、前置フィルタに印加される駆動RFの周波数および振幅によって判定される運動の周波数を有するであろう。イオンの運動の周波数に対応する、選択された周波数において補助RF信号をパルスさせることによって、イオンは、前置フィルタロッドとの衝突につながり、イオンを除去させ得るより大きい半径方向振幅まで励起され得る。
イオンの長期的周波数は、イオンと関連付けられるマシューqおよびaパラメータの知識から判定されることができる。前置フィルタの場合、a=0に至る、いかなる分解DCも印加されていない。マシューqパラメータは、以下の式によって定義され、
式中、mは、着目質量であり、rは、前置フィルタの場半径であり、Ωは、駆動周波数であり、Vrfは、ゼロからピークまで、極から接地まで測定される前置フィルタに印加されるRF振幅である。イオンの運動の長期的周波数は、以下の式によって定義され、
ω=βΩ/2
式中、βは、q<0.4の場合に関して、以下の式によって概算されることができる。
より大きいq値に関して、より厳密な定義は、参照することによって組み込まれる、“An Introduction to Quadrupole Ion Trap Mass Spectrometry”R.E.March,J.Mass Spectrom.32,351−369(1997)の等式28において説明されるような連分数式を利用する。しかしながら、等式28の中の式「(β+4)」が「(β+4)」に訂正されるべきであることに留意されたい。
短い(1ミリ秒未満、好ましくは、約数マイクロ秒の)補助RFパルスを前置フィルタイオン光学部の1つの極に印加することによって、イオンが除去されることができる。補助RFパルスを印加する1つの方法は、変圧器の使用と、双極信号がA’およびA”電極に印加される、図22に描写される様式でRFを印加するステップとを伴う。代替実施形態では、補助RFパルスは、主要前置フィルタ電極に印加される必要がない。そのような実施形態は、双極信号が前置フィルタの主要ロッド/電極の間に挿入された一対の補助電極を横切って印加される、図23に描写されている。DC電位を印加するためのDCオフセット回路は示されていない。また、四重極励起等の他の形態の励起が印加されることができることも認識されたい。
図22を参照すると、四重極内に含まれる一対の極のうちの単一の極への補助RFパルスを生成するために使用されることができる回路を示す代替実施形態が描写されている。第1のRF電圧源101は、第2の一対の電極/ロッド(105A、105B)(B’およびB”と標識される)から成る第2の極104との四重配列で位置付けられる、一対の電極/ロッド(103A、103B)(A’およびA”と標識される)から成る第1の極102に接続され、それと対合される。第2の一対の電極(105A、105B)から成る第2の極104は、第2のRF電圧源(106)と接続される。これらの電圧源(101、106)のそれぞれは、従来の手段を通して任意のDCオフセットに対して補正される。第1および第2の極(102、104)ならびに関連電圧源(101、106)は、四重極場を生成するために利用されることができる。第1の極102は、加えて、変圧器107を介して補助RF電圧源108にリンクされる。一実施形態では、変圧器は、トロイダル変圧器であり得る。マシュー等式に関する上記の方法によってそのように選択される好適な周波数の判定に従って、短い補助RFパルスを導入することにより、特定の周波数を有するイオンは、四重極で半径方向に変位さするようにされ得、それらは除去させられる。
図23を参照すると、図22に類似する代替実施形態が描写されているが、四重極の2つの極のうちの1つに印加される補助電圧信号の導入によって補助RF場を生成するよりもむしろ、付加的な2対の対向する電極(209A/209B、210A/210B)が、前置フィルタのロッドの間に挿入され、対の電極の少なくとも1つの対(290A/209B)が、変圧器を介して補助RF電圧源208に接続される。変圧器207は、中心タップを通して補助電極にDCオフセットを移すための方法を提供する。DCオフセットはまた、示されていない補助電極対210A/210Bに提供されることもできる。図22の実施形態と同様に、補助RF電圧は、マシュー安定性パラメータに従って、特定の周波数を満たすイオンを除去するように選択される。理解されるように、2対の補助電極が図22の実施形態で描写されているが、一対のみが補助RF場の生成のために必要である。そのような一対の実施形態もまた、教示内に含むことを意図している。
短い時間期間にわたって周波数fをパルスさせることにより、その周波数を中心とした周波数の拡散を生じ得る。周波数の近似最小拡散(Δf)は、以下の式を使用して見出されることができ、
Δf=f/N
式中、Nは、励起期間の間に生じるfのサイクルの数である。(Arfken,G.Mathematical Methods for Physicists;Academic:New York,1968;p530、その内容が参照することによって組み込まれる)。拡散における周波数成分の振幅は、その成分を主要周波数fからさらに離れて減少し得る(French,A.P.Waves and Vibrations;W.W.Norton&Company,Inc.:New York, 1971;p216−223、その内容が参照することによって組み込まれる)。前置フィルタから異なるタイプのイオンを除去するために、十分な振幅を伴う十分な周波数範囲を網羅するために異なる主要周波数からの周波数拡散を重複させることが必要である。イオンは、(例えば、図22で説明される装置を使用して)それらをロッドA’およびA”に駆動することによって除去され、そこでイオンがロッド表面との衝突時に中和される。
パルスの持続時間もまた、印加された補助パルスの周波数拡散を計算するために使用されることができる。周波数拡散は、単純に、パルス持続時間の逆数、すなわち、以下である。
Δf=1/パルス持続時間
表1は、1MHzの駆動周波数を使用するときのいくつかのイオンに対するマシューq値、β値、および長期間周波数のいくつかの例を示す。イオンは、それらのマシューq値が反比例するように、同一のVrfレベルで捕捉されると仮定されている。長期間周波数は、βの連分数式を使用して計算された。
表2は、表1で計算された長期間周波数において10マイクロ秒にわたって印加された補助RF信号について計算された周波数拡散を示す。計算された周波数拡散の全ては、最小周波数拡散または上記で参照されるパルス持続時間から計算される拡散の定義のうちのいずれかを使用して得られる、計算された拡散に対応する100kHzである。
前置フィルタの中で捕捉されるイオンの範囲を網羅するために、前置フィルタの中で捕捉され得る、最低予測長期間周波数(最高質量)から最高予測長期間周波数(最低質量)までの周波数範囲を網羅するように離間させられる、いくつかの主要周波数成分で励起させることが必要であろう。これは、同等に離間させられる周波数のコーム(comb)を使用して複合波形が生成される、広帯域励起を印加することに類似する。成分の間隔は、捕捉されたイオンを除去するために必要とされる振幅が質量依存性であり得、より重い質量がより軽い質量よりも大きい振幅を必要とするという事実を可能にするように、各周波数間で異なり得る。周波数拡散は、より短いパルス持続時間を使用することによって増加させられることができるが、これは、各主要周波数と関連付けられる周波数成分が弱すぎて捕捉されたイオンを除去できない場合に、より高いパルス振幅を必要とし得る。
多数の実施形態の先述の説明は、例証および説明の目的で提示されていることを理解されたい。これは、包括的ではなく、請求された発明を開示される正確な形態に限定しない。修正および変更が、上記の説明を踏まえて可能であるか、または本発明を実践することから取得され得る。請求項およびそれらの均等物は、本発明の範囲を定義する。
具体的には、一掃パルスが、ロッドのうちの1本に向かって不要なイオンを駆動する勾配を生成する、実施形態が説明されているが、イオンはまた、ロッドのうちの1本から離してイオンを駆動することによって一掃されることもできると理解されるであろう。このようにして、ロッドのうちの1本に印加される一掃パルスの電位は、一掃パルスが印加されたロッドから離して、かつ残りのロッドに向かってイオンを移動させる、勾配が生成されるようなものである。しかしながら、この実施形態では、イオンが印加されたパルスを伴う1本のロッドに引き付けられるときの実施形態において必要であるよりも、擬電位捕捉障壁を克服するための十分な運動エネルギーをイオンに付与するために、より高いパルス振幅が1本のロッドに印加されるように要求される。
加えて、タンデム質量分析計が複数の多極デバイスの存在を伴う、実施形態が説明されているが、範囲内で説明される教示は、例えば、最後の質量分析計が飛行時間デバイスである場合等の他のタンデム質量分析計構成で使用されることができると理解されるであろう。

Claims (26)

  1. 多極イオン透過デバイスからイオンを一掃する方法であって、前記多極は、長手軸の周囲で円周方向に、かつそこから等距離に配列されるいくつかのロッドを有し、前記ロッドのそれぞれは、前記多極イオン透過デバイス内で前記イオンを捕捉するための多極場を生成するよう、RF発生器源およびコントローラに接続され、前記方法は、DCパルスをロッドの総数未満の一連のロッドのうちの1本またはそれを上回るロッドに印加するステップを含み、前記DCパルスは、前記DCパルスの結果として前記イオンによって獲得される運動エネルギーが、前記多極場によって生成される半径方向捕捉力を克服するように存在する、方法。
  2. 前記DCパルスの振幅は、前記運動エネルギーを提供するように増加される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記DCパルスは、前記ロッドのうちの1本のみに印加される、請求項1に記載の方法。
  4. 前記多極は、四重極である、請求項1に記載の方法。
  5. 前記DCパルスは、前記一連のロッドのうちの2本の隣接するロッドに印加される、請求項1に記載の方法。
  6. 前記DCパルスは、前記一連のロッドのうちの2本の隣接しないロッドに印加される、請求項4に記載の方法。
  7. 前記多極は、前置フィルタとして動作し、少なくとも1つのフィルタリング四重極の直接上流に位置付けられる、請求項1に記載の方法。
  8. 前記多極は、タンデム質量分析計の一部である、請求項1に記載の方法。
  9. 前記DCパルスは、前記印加されたDCパルスを伴う前記一連のロッドのうちの1本またはそれを上回るロッドに向かってイオンを移動させる、請求項1に記載の方法。
  10. 質量分析計内でイオンを輸送する際に使用するための多極デバイスであって、
    長手軸の周囲で円周方向に、かつそこから等距離に配列される、一連のロッドと、
    イオンを捕捉することが可能な多極場を生成するために前記一連のロッドのうちの各ロッドに電気的に接続される、少なくとも1つのRF電位供給部と、
    前記ロッドのうちの少なくとも1本に電気的に接続される、少なくとも1つのDC電位供給部と、
    前記ロッドに印加されるRF電位およびDC電位を制御するための1つまたはそれを上回るコントローラと、
    を備え、前記1つまたはそれを上回るコントローラは、2つのモードの間で2つのモードのうちの1つを切り替えるように構成され、第1のモードでは、前記一連のロッドのうちの各ロッドに対するDC電位は同一であり、第2のモードでは、前記一連のロッドのうちの前記ロッドのうちの少なくとも1本に対するDC電位は、前記一連のロッドのうちの残りのロッドに印加されるDC電位と異なる、デバイス。
  11. 前記質量分析計は、タンデム質量分析計である、請求項10に記載の方法。
  12. 前記多極は、前置フィルタとして動作し、少なくとも1つのフィルタリング四重極の直接上流に位置付けられる、請求項10に記載の方法。
  13. 前記DC電位供給部は、DCパルスの印加のために前記一連のロッドのうちのロッドのうちの1本のみに電気的に接続される、請求項10に記載の方法。
  14. 前記第2のモードでは、供給される前記DC電位は、イオンを捕捉することが可能な前記多極場を克服するために十分な運動エネルギーを前記イオンに付与する、請求項10に記載の方法。
  15. 前記第2のモードでは、前記一連のロッドのうちの前記1本のロッドに対する前記DC電位は、前記一連のロッドのうちの前記1本のロッドに向かって前記イオンを移動させるよう選択される、請求項13に記載の方法。
  16. 質量分析計内でイオンを輸送する際に使用するための四重極デバイスであって、
    長手軸の周囲で円周方向に、かつそこから等距離に配列される、4本のロッドと、
    イオンを捕捉することが可能な四重極場を生成するために前記4本のロッドのそれぞれに電気的に接続される、少なくとも1つのRF電位供給部と、
    前記ロッドのうちの少なくとも1本に電気的に接続される、少なくとも1つのDC電位供給部と、
    前記4本のロッドに印加されるRF電位およびDC電位を制御するための1つまたはそれを上回るコントローラと、
    を備え、前記1つまたはそれを上回るコントローラは、2つのモードの間で2つのモードの間のうちの1つを切り替えるように構成され、第1のモードでは、前記4本のロッドのそれぞれに対するDC電位は同一であり、第2のモードでは、前記ロッドのうちの1本または2本に対するDC電位は同一であって、残りのロッドの上のDC電位と異なる電位に保たれる、デバイス。
  17. 前記質量分析計は、タンデム質量分析計である、請求項16に記載のデバイス。
  18. 前記四重極デバイスは、前置フィルタとして動作し、少なくとも1つのフィルタリング四重極の直接上流に位置付けられる、請求項16に記載のデバイス。
  19. 前記DC電位は、DCパルスの印加のために前記4本のロッドのうちのロッドのうちの1本のみに電気的に接続される、請求項16に記載のデバイス。
  20. 前記第2のモードでは、供給されるDC電位は、前記四重極場によって生成される、イオンを捕捉する捕捉場を克服するために十分な運動エネルギーを前記イオンに付与する、請求項16に記載のデバイス。
  21. 前記コントローラは、前記第2のモードでは、前記ロッドのうちの1本に対するDC電位が、他の3本のロッドに対するDC電位と異なり、異なるDC電位を有する前記1本のロッドに向かってイオンを移動させるよう選択されるように構成される、請求項20に記載のデバイス。
  22. 前記コントローラは、前記第2のモードでは、2本の隣接するロッドに対するDC電位が同一であり、他の2本のロッドに対するDC電位とは異なるように構成される、請求項16に記載のデバイス。
  23. 前記コントローラは、前記第2のモードでは、2本の隣接しないロッドに対するDC電位が同一であり、他の2本のロッドに対するDC電位と異なるように、構成される、請求項16に記載のデバイス。
  24. 四重極前置フィルタ内のイオンを一掃する方法であって、前記四重極前置フィルタは、第1の長手軸の周囲で円周方向に、かつそこから等距離に配列される、第1および第2の一対の前置フィルタロッドを備え、
    前記第1および第2の一対の前置フィルタロッドを四重極質量フィルタに接続するステップであって、前記四重極質量フィルタは、前記第1の長手軸と一列に並び、かつそこから下流に位置付けられる第2の長手軸の周囲で円周方向に、かつそこから等距離に配列される、第1および第2の一対のフィルタリングロッドを備え、前記第1の一対の前置フィルタロッドは、それらの間に位置付けられるコンデンサによって、前記第1の一対のフィルタリングロッドと直列に電気的に接続され、前記第2の一対の前置フィルタロッドは、それらの間に位置付けられるコンデンサによって、前記第2の一対の質量フィルタリングロッドと直列に電気的に接続される、ステップと、
    前記第1および第2の一対の質量フィルタリングロッドをRF電圧源およびDC電圧源に接続するステップであって、前記RF電圧源は、前記四重極前置フィルタおよび前記四重極フィルタの両方の中でRF場を生成するためである、ステップと、
    DC電圧パルスを前記第1および/または第2の一対の四重極質量フィルタロッドに印加するステップと、
    を含み、それによって、前記DC電圧パルスの印加は、前記四重極前置フィルタ内で分解DC場を形成させ、前記前置フィルタ内のRF場およびDC場の結果として生じる組み合わせは、前記四重極前置フィルタからイオンを除去することが可能である、
    方法。
  25. 第2の四重極からイオンを一掃する方法であって、前記第2の四重極は、直列に、かつ第1の四重極から上流に位置付けられ、
    前記第1の四重極の中の第1の一対のロッドを、それらの間に位置付けられるコンデンサによって、前記第2の四重極の中の第1の一対のロッドに電気的に接続するステップと、
    前記第1の四重極の中の第2の一対のロッドを、その間に位置付けられるコンデンサによって、前記第2の四重極の中の第2の一対のロッドに電気的に接続するステップと、
    前記第2の四重極が質量フィルタとして動作するように、RFおよびDC電圧供給を前記第2の四重極に提供するステップと、
    前記第2の四重極の中の前記第1および/または第2の一対のロッドに対してDC電圧をパルスさせるステップと、
    を含み、前記パルスさせるステップは、前記第1の四重極内で分解DC場を形成させる、方法。
  26. 四重極イオン透過デバイスからイオンを一掃する方法であって、前記四重極イオン透過デバイスは、極の2つのセットを有し、各極は、2本のロッドを有し、前記ロッドのそれぞれは、RF発生器源およびコントローラに接続され、前記発生器源およびコントローラは、前記イオン透過デバイス内でイオンを捕捉するための四重極場を生成するためであって、前記方法が、前記イオンの運動の周波数に対応する周波数において、1ミリ秒未満の期間について補助RF場を生成するステップを含む、方法。
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