JP7095536B2 - 粘膜保護関連遺伝子発現促進剤およびその用途 - Google Patents
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Description
[1]平均分子量が300~5000のコラーゲン分解物を有効成分として含有し、かつ
前記コラーゲン分解物100質量部中に、プロリルヒドロキシプロリンが0.1質量部以上含有されている粘膜保護関連遺伝子発現促進剤。
1.粘膜保護関連遺伝子発現促進剤
本発明の粘膜保護関連遺伝子発現促進剤は、平均分子量が300~5000のコラーゲン分解物を有効成分として含有することを特徴とする。
本発明において、「コラーゲン分解物」とは、平均分子量が300~5000となるように加水分解処理されたコラーゲン原料の分解物を意味する。本発明では、上記の平均分子量のコラーゲン分解物とすることによって、経口摂取したときの体内への吸収性が高くなるとともに、細胞内での粘膜保護関連遺伝子の発現を促進することができる。
なお、コラーゲン原料のままであったり、コラーゲン分解物の平均分子量が5000を超えていたりすると、経口摂取したときの体内への吸収性が低くなる。また、コラーゲン分解物の平均分子量が300未満であると生理活性ペプチドとしての効果が弱まり、所望の効果が得られにくくなる。
前記コラーゲン原料の由来となる動物の種類、取得する部位などについては、特に限定はない。前記コラーゲン原料としては、単独でもよいし、2種以上を混合してもよい。
また、コラーゲン原料としては、前記魚や哺乳類の皮が挙げられる。このようなコラーゲン原料に含有されるコラーゲンは、部分的に架橋している不溶性のコラーゲンであるために、架橋を切断する可溶化処理が施される。上記可溶化処理の方法としては、公知の酸可溶化法やアルカリ可溶化法や酵素可溶化法等を用いることができる。
前記加熱減圧乾燥とは、加熱装置内を減圧させて沸点を下げることで、乾燥の促進を図り、少ないエネルギーで蒸発・乾燥させる方法をいう。
前記凍結乾燥とは、まず凍結を行い、次いで真空中で、凍結した乾燥物の沸点を下げて、乾燥物の水分を昇華させて乾燥させる方法をいう。
これらの乾燥方法は、いずれも、公知の乾燥装置を用いて行えばよい。前記乾燥時における温度条件としては、各乾燥方法に準じて適当な温度範囲に設定すればよいが、例えば、噴霧乾燥では出口温度を50~100℃、加熱減圧乾燥では20~100℃、凍結乾燥では20~60℃に調整することが挙げられるが、特に限定はない。
ここで、後述するようにプロリルヒドロキシプロリン単独で本発明の所望の効果を発現するわけではなく、例えば、コラーゲンタイプI、ヒアロルロン酸、エラスチン、ムチン1などの発現促進の場合、プロリルヒドロキシプロリン以外にコラーゲン分解物中に存在する他のペプチドあるいはアミノ酸成分がヒドロキシンプロリンと共同して粘膜保護関連遺伝子の発現促進効果が得られるものと考えられる。
後記の実施例に示すように、前記コラーゲン分解物は、粘膜保護関連遺伝子の発現を促進し、粘膜組織のバリア機能を高める効果を有する。本発明において、「粘膜保護関連遺伝子」としては、例えば、
(1)粘膜表面の粘液に含まれる糖タンパク質タンパク質をコードする遺伝子(本発明において「粘液糖タンパク質関連遺伝子」という)、
(2)細菌類、真菌類、ウイルス、ウイロイド等に対して増殖抑制活性を持つ抗菌ペプチドをコードする遺伝子(本発明において「抗菌ペプチド関連遺伝子」という)、
(3)細胞同士を接着させ、細胞と細胞との間に生まれ得る空隙を通しての外部からの異物侵入を防ぐ細胞接着機構体であるタイトジャンクションの構成成分として働くタンパク質をコードする遺伝子(本発明において「タイトジャンクション関連遺伝子」という)、
(4)水分移動の調節に関与し粘膜上皮の潤いの維持に働くタンパク質をコードする遺伝子(本発明において「水分移動関連遺伝子」という)、
(5)粘膜上皮組織、粘膜固有層、粘膜筋板、粘膜下組織等からなる粘膜組織そのものの構成や維持に働くタンパク質をコードする遺伝子(本発明において「粘膜組織関連遺伝子」という)などが挙げられる。
ムチン遺伝子としては、膜結合型のムチン遺伝子や分泌型のムチン遺伝子が挙げられる。膜結合型のムチン遺伝子としては、具体的には、ヒト由来の場合、ムチン1遺伝子(MUC1遺伝子)、ムチン3A/B遺伝子(MUC3A/B遺伝子)、ムチン4遺伝子(MUC4遺伝子)、ムチン12遺伝子(MUC12遺伝子)、ムチン13遺伝子(MUC13遺伝子)、ムチン15遺伝子(MUC15遺伝子)、ムチン16遺伝子(MUC16遺伝子)、ムチン17遺伝子(MUC17遺伝子)、ムチン20遺伝子(MUC20遺伝子)、ムチン21遺伝子(MUC21遺伝子)等が挙げられる。分泌型のムチン遺伝子としては、具体的には、ヒト由来の場合、ムチン2遺伝子(MUC2遺伝子)、ムチン5AC遺伝子(MUC5AC遺伝子)、ムチン5B遺伝子(MUC5B遺伝子)、ムチン6遺伝子(MUC6遺伝子)、ムチン7遺伝子(MUC7遺伝子)等が挙げられる。
上記の各ムチン遺伝子の発現によって生じるムチンには直接的機能として、上皮保護や潤滑作用があるが、膜結合型のムチンは、病原体が粘膜に侵入した場合、病原体由来のプロテアーゼで切断され病原体とともに、排出されることで防御機能を発揮すると考えられる。
ディフェンシン遺伝子としては、β-ディフェンシン遺伝子が挙げられる。β-ディフェンシン遺伝子としては、具体的には、ヒト由来の場合、β-ディフェンシン1遺伝子(DEFB1遺伝子)、β-ディフェンシン2遺伝子(DEFB4A遺伝子)、β-ディフェンシン3遺伝子(DEFB103B遺伝子)、β-ディフェンシン4遺伝子(DEFB104A遺伝子)、β-ディフェンシン5遺伝子(DEFB105A遺伝子)、β-ディフェンシン6遺伝子(DEFB106A遺伝子)、β-ディフェンシン7遺伝子(DEFB107A遺伝子)、β-ディフェンシン8遺伝子(DEFB108A遺伝子)、β-ディフェンシン9遺伝子(DEFB109A遺伝子)、β-ディフェンシン10遺伝子(DEFB110遺伝子)、β-ディフェンシン12遺伝子(DEFB112遺伝子)、β-ディフェンシン13遺伝子(DEFB113遺伝子)、β-ディフェンシン14遺伝子(DEFB114遺伝子)等が挙げられる。
カテリシジン遺伝子としては、具体的には、ヒト由来の場合、カテリシジン抗菌ペプチド遺伝子(CAMP遺伝子、別名LL-37遺伝子ともいう)等が挙げられる。
クローディン遺伝子としては、具体的には、ヒト由来の場合、クローディン1遺伝子(CLDN1遺伝子)、クローディン2遺伝子(CLDN2遺伝子)、クローディン3遺伝子(CLDN3遺伝子)、 クローディン4遺伝子(CLDN4遺伝子)、クローディン5遺伝子(CLDN5遺伝子)、クローディン7遺伝子(CLDN7遺伝子)、クローディン8遺伝子(CLDN8遺伝子)、クローディン10遺伝子(CLDN10遺伝子)、クローディン11遺伝子(CLDN11遺伝子)、クローディン12遺伝子(CLDN12遺伝子)、クローディン17遺伝子(CLDN17遺伝子)、クローディン18遺伝子(CLDN18遺伝子)、クローディン23遺伝子(CLDN23遺伝子)等が挙げられる。
オクルディン遺伝子としては、具体的には、ヒト由来の場合、オクルディン遺伝子(OCLN遺伝子)が挙げられる。
ZO遺伝子としては、具体的には、ヒト由来の場合、ZO-1遺伝子(別名TJP1遺伝子ともいう)、ZO-2遺伝子(別名TJP2遺伝子ともいう)、ZO-3遺伝子(別名TJP3遺伝子ともいう)等が挙げられる。
アクアポリン遺伝子としては、具体的には、ヒト由来の場合、アクアポリン1遺伝子(AQP1遺伝子)、アクアポリン3遺伝子(AQP3遺伝子)、アクアポリン4遺伝子(AQP4遺伝子)、アクアポリン5遺伝子(AQP5遺伝子)、アクアポリン8遺伝子(AQP8遺伝子)、アクアポリン9遺伝子(AQP9遺伝子)等が挙げられる。
コラーゲン遺伝子としては、具体的には、ヒト由来の場合、コラーゲンタイプ1A1遺伝子(COL1A1遺伝子)、コラーゲンタイプ1A2遺伝子(COL1A2遺伝子)、コラーゲンタイプ2A1遺伝子(COL2A1遺伝子)、コラーゲンタイプ4A1遺伝子(COL4A1遺伝子)、コラーゲンタイプ4A2遺伝子(COL4A2遺伝子)、コラーゲンタイプ4A3遺伝子(COL4A3遺伝子)、コラーゲンタイプ5A1遺伝子(COL5A1遺伝子)、コラーゲンタイプ5A3遺伝子(COL5A3遺伝子)、コラーゲンタイプ6A2遺伝子(COL6A2遺伝子)、コラーゲンタイプ8A2遺伝子(COL8A2遺伝子)、コラーゲンタイプ12A1遺伝子(COL12A1遺伝子)、コラーゲンタイプ13A1遺伝子(COL13A1遺伝子)、コラーゲンタイプ14A1遺伝子(COL14A1遺伝子)、コラーゲンタイプ18A1遺伝子(COL18A1遺伝子)、コラーゲンタイプ22A1遺伝子(COL22A1遺伝子)、コラーゲンタイプ25A1遺伝子(COL25A1遺伝子)、コラーゲンタイプ27A1遺伝子(COL27A1遺伝子)、コラーゲンタイプ28A1遺伝子(COL28A1遺伝子)等が挙げられる。
ヒアルロン酸合成酵素遺伝子としては、具体的には、ヒト由来の場合、ヒアルロン酸合成酵素2遺伝子(HAS2遺伝子)、ヒアルロン酸合成酵素3遺伝子(HAS3遺伝子)等が挙げられる。
エラスチン遺伝子としては、具体的には、ヒト由来の場合、エラスチン遺伝子(ELN遺伝子)等が挙げられる。
結合剤としては、例えば、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロース、エチルセルロース、水、エタノール、リン酸カリウム及びこれらの混合物等が挙げられる。
安定化剤としては、例えば、ピロ亜硫酸ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸、チオグリコール酸、チオ乳酸及びこれらの混合物等が挙げられる。
pH調整剤及び緩衝剤としては、例えば、クエン酸ナトリウム、クエン酸、酢酸ナトリウム、リン酸ナトリウム及びこれらの混合物等が挙げられる。
本発明の一つの態様において、本発明は、前記粘膜保護関連遺伝子発現促進剤を有効成分として含む粘膜保護用または粘膜修復用飲食品組成物である。
ここで、「一食あたりの単位包装形態」からなるとは、一食あたりの摂取量があらかじめ定められた形態のものであり、例えば、特定量を経口摂取し得る食品として、一般食品のみならず、飲料(ドリンク剤など)、健康補助食品、機能性表示食品、サプリメントなどの形態を意味する。
「一食あたりの単位包装形態」では、例えば、タブレット状・グミ状・飴状・ジェル状・ゲル状・糊状・ペースト状のゼリー、粉末状・顆粒状・カプセル状・ブロック状の固体状の食品、液状の飲料などの場合には、プラスチック容器(ペットボトルなど)、パック、パウチ、フィルム容器、紙箱、金属缶、ガラスビン(ボトルなど)などの包装容器で特定量(用量)を規定できる形態、あるいは、一食あたりの摂取量(用法、用量)を包装容器やホームページなどに表示することで特定量を規定できる形態が挙げられる。
本発明の粘膜保護用または粘膜修復用飲食品組成物は、三方シール包装したジェル状食品、一飲みで摂取できるミニ缶飲料など、どのような形態であっても、摂取・嚥下が容易であり、子供や高齢者にとっての利便性を向上させることができる。
魚鱗由来コラーゲンの熱変性物であるゼラチン(I型コラーゲン)1kgを75℃の温水4kgに溶解させ、60℃に温度調整した後、1次酵素反応として、黄色コウジカビ由来プロテアーゼ10gを添加し、pH5.0~6.0、温度45~55℃で120分間保持することにより酵素加水分解処理を行った。
その後、得られた反応液を10分間100℃に加熱処理することで酵素を失活させた後、60℃に冷却し、活性炭と濾過助剤の珪藻土を用いて濾過し、得られた母液に120℃で3秒間高温殺菌処理した。そして、殺菌後の母液を噴霧乾燥することで、固形状のコラーゲン分解物を調製した。
なお、分析は以下の条件で行った。標品としてはBachem社のL-プロリル-L-ヒドロキシプロリンを用いた。
〔システム〕
・LC:Waters社製ACQUITY UPLC
・MS:Waters社製Quattro Premier XEタンデムマス検出器
〔HPLC〕
・カラム:Waters社製ACQUITY UPLC HSS T3カラム 1.8μm(2.1×50mm)
・カラム温度:40℃
・移動相A:0.05%ペンタフルオロプロピオン酸
・移動相B:アセトニトリル
・グラジエント:移動相B:0%(0-4分)、移動相B:0→25%(4-9分)、
移動相B:25→80%(9-9.01分)、移動相B:80%(9.01-10分)
・流速:0.3mL/分
・注入量:5μL
・分析時間:13分
また、得られたコラーゲン分解物の平均分子量をゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定したところ、重量平均分子量は2089であった。このコラーゲン分解物をPro-Hyp(PO)高含有コラーゲン分解物(High Pro-Hyp Collagen Lysate;Pro-HypCL)として、以下の実験に使用した。
ヒト正常口腔粘膜繊維芽細胞(CellResearchCorpsha,HOMF100)を10%FBSを含むDMEM培地(富士フイルム和光純薬)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を96ウェルプレート(Corning社)に5.0×103細胞/ウェルとなるように播種し、37℃,5%CO2濃度環境下で培養した。この時、Pro-HypCL(1.0mg/mL)もしくは、Pro-HypCL中に含まれるPOと同等量のPO(5.0μg/mL)を添加した。24~48時間培養した後、SingleShot Cell Lysis Kit(BIO-RAD社)により細胞の溶解およびtotalRNAの抽出を行い、さらにiScript Advanced cDNA Synthesis kit for RT-qPCR(BIO-RAD社)により逆転写反応を行い、cDNAを得た。このcDNAを鋳型として、SsoAdvanced Universal SYBR Green SupermixおよびPrimePCR SYBR Green Assay(ともにBIO-RAD社)を用い、定量PCRを実施した。定量PCRには、CFX Connect Real-Time PCR Detection System(BIO-RAD社)を用い、β-グルクロニダーゼ(GUSB)を内部標準としてΔΔCT法により、遺伝子発現比較を行った。
以上の結果より、Pro-HypCLには、ヒト正常口腔粘膜繊維芽細胞において、COL1A1遺伝子、HAS2遺伝子、ELN遺伝子などのいわゆる粘膜組織関連遺伝子の発現促進活性を有していることがわかった。
ヒト正常口腔粘膜繊維芽細胞(CellResearchCorp社,HOMF100)を10%FBSを含むDMEM培地(富士フイルム和光純薬)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を96ウェルプレート(Corning社,NCO3585)に5.0×103細胞/ウェルとなるように播種し、37℃, 5%CO2濃度環境下で培養した。この時、Pro-HypCL(1.0mg/mL)もしくは、Pro-HypCL中に含まれる相当量のPO(5.0μg/mL)を添加した。24~72時間培養した後に培養上清を回収し、同時にプレートウェル中の細胞数をカウントした。培養上清中のコラーゲンタンパク質量をヒトコラーゲンタイプI ELISA kit(エーセル社)を用いて、同様に培養上清中のヒアルロン酸量をヒアルロン酸測定キット(PGリサーチ社)で定量し、1000細胞当たりの細胞が産生した濃度として算出し、比較を行った。
以上の結果より、Pro-HypCLには、ヒト正常口腔粘膜繊維芽細胞においてコラーゲンタイプI、ヒアルロン酸の産生を促進する活性を有していることがわかった。
ヒト正常口腔粘膜繊維芽細胞(CellResearchCorp社,HOMF100)を10%FBSを含むDMEM培地(富士フイルム和光純薬,041-29775)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.4×105細胞となるように35mmディッシュ(住友ベークライト社,Celltight C-1)に播種し、37℃,5%CO2濃度環境下で培養した。この時、Pro-HypCL(1.0mg/mL)もしくは、Pro-HypCL中に含まれる相当量のPO(5.0μg/mL)を添加した。24時間培養した後にトリプシン処理により細胞を回収し、細胞数をカウントした。回収した細胞中のエラスチン量は、Fastin Elastin Assay Kit(Biocolor社)を用い測定し、10000細胞当たりの細胞中のタンパク量として算出し、比較を行った。
以上の結果より、Pro-HypCLには、ヒト正常口腔粘膜繊維芽細胞においてエラスチンの産生を促進する活性を有していることがわかった。
ヒト正常口腔粘膜角化細胞(CellResearchCorpsha,HOMK100)をEpiLife Defined Growth Supplementを含むEpiLife Medium(Thermo社,MEPI500CA)を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を96ウェルプレート(Corning社,NCO3585)に1.0×104細胞/ウェルとなるように播種し、37℃,5%CO2濃度環境下で培養した。この時、Pro-HypCL(1.0mg/mL)もしくは、Pro-HypCL中に含まれる相当量のPO(5.0μg/mL)を添加した。24時間培養した後、SingleShot Cell Lysis Kit(BIO-RAD社)により細胞の溶解およびtotal RNAの抽出を行い、さらにiScript Advanced cDNA Synthesis kit for RT-qPCR(BIO-RAD社)により逆転写反応を行い、cDNAを得た。このcDNAを鋳型として、SsoAdvanced Universal SYBR Green SupermixおよびPrimePCR SYBR Green Assay(ともにBIO-RAD社)を用い、定量PCRを実施した。定量PCRには、CFX Connect Real-Time PCR Detection System(BIO-RAD社)を用い、β-グルクロニダーゼ(GUSB)を内部標準としてΔΔCT法により、遺伝子発現比較を行った。
ヒト正常口腔粘膜角化細胞(CellResearchCorp社,HOMK100)を実施例5と同様にして、Pro-HypCL(1.0 mg/mL)もしくは、Pro-HypCL中に含まれる相当量のPO(5.0μg/mL)を添加し培養した後、同様にして定量PCRを実施し、遺伝子発現比較を行った。
以上の結果より、Pro-HypCLには、ヒト正常口腔粘膜角化細胞においてβ-ディフェンシン1遺伝子およびβ-ディフェンシン2遺伝子の発現促進活性を有していることがわかった。特に、コラーゲン分解物とPOとを併用した場合に、ヒト正常口腔粘膜角化細胞においてβ-ディフェンシン1遺伝子やβ-ディフェンシン2遺伝子が活性化されるという現象は、今までに報告がなく、本発明者らが初めて見出した現象である。
ヒト正常口腔粘膜角化細胞(CellResearchCorp社,HOMK100)を実施例5と同様にして、Pro-HypCL(1.0mg/mL)もしくは、Pro-HypCL中に含まれる相当量のPO(5.0μg/mL)を添加し培養した後、同様にして定量PCRを実施し、遺伝子発現比較を行った。
以上の結果より、Pro-HypCLには、ヒト正常口腔粘膜角化細胞においてクローディン1遺伝子、オクルディン遺伝子、ZO-1遺伝子、ZO-2遺伝子などのいわゆるタイトジャンクション構成因子の遺伝子発現促進活性を有していることがわかった。
特に、コラーゲン分解物とPOとを併用した場合に、ヒト正常口腔粘膜角化細胞において、クローディン1遺伝子、オクルディン遺伝子、ZO-1遺伝子、ZO-2遺伝子が活性化されるという現象は、今までに報告がなく、本発明者らが初めて見出した現象である。
ヒト正常口腔粘膜角化細胞(CellResearchCorp社,HOMK100)を実施例5と同様にして、Pro-HypCL(1.0mg/mL)もしくは、Pro-HypCL中に含まれる相当量のPO(5.0μg/mL)を添加し培養した後、同様にして定量PCRを実施し、遺伝子発現比較を行った。
以上の結果より、Pro-HypCLには、ヒト正常口腔粘膜角化細胞においてアクアポリン3遺伝子の発現促進活性を有していることがわかった。
Pro-HypCLを1錠あたり300mg含有するチュアブル錠を定法に従い作製し、Pro-HypCL製剤を得た。被験者2名の協力下、以下の手順で、口腔内のムチン産生量に及ぼすPro-HypCL製剤の効果を調べた。食後2時間以上経過後、口腔内にティースプーンを入れ、左右の頬の内側を10回ずつ軽く掻き取るようにして口腔粘膜を採取した。これを0.5mLの生理食塩水に懸濁することでPro-HypCL製剤摂取前の口腔粘膜サンプルとした。次に、一方の被検者(試験被検者)には、Pro-HypCL製剤を1錠摂取させ、もう一方の被検者(対照被検者)には、Pro-HypCL製剤を与えなかった。なお、Pro-HypCL製剤を与えた被検者には、摂取の際、錠剤を口腔内で約5~10分間、舌で転がすことで自然崩壊させてもらった。
Claims (2)
- 平均分子量が300~5000のコラーゲン分解物を有効成分として含有し、かつ
前記コラーゲン分解物100質量部中に、プロリルヒドロキシプロリンが0.1~1質量部含有されている粘膜保護関連遺伝子発現促進剤であって、
前記粘膜保護関連遺伝子が(1)粘液糖タンパク質関連遺伝子、(2)抗菌ペプチド関連遺伝子、(3)タイトジャンクション関連遺伝子、(4)水分移動関連遺伝子および(5)粘膜組織関連遺伝子からなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記(1)粘液糖タンパク質関連遺伝子がヒト由来のムチン遺伝子であり、
前記(2)抗菌ペプチド関連遺伝子がヒト由来のβ-ディフェンシン遺伝子であり、
前記(3)タイトジャンクション関連遺伝子がヒト由来のクローディン遺伝子、オクルディン遺伝子およびZO遺伝子からなる群から選択される少なくとも1種であり、
前記(4)水分移動関連遺伝子がヒト由来のアクアポリン遺伝子であり、
前記(5)粘膜組織関連遺伝子がヒト由来のコラーゲン遺伝子、ヒアルロン酸合成酵素遺伝子およびエラスチン遺伝子からなる群から選択される少なくとも1種である、
粘膜保護関連遺伝子発現促進剤。 - 請求項1に記載の粘膜保護関連遺伝子発現促進剤を有効成分として含有する、粘膜保護用または粘膜修復用飲食品組成物。
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