JP6498480B2 - 熱ショックタンパク質発現誘導剤 - Google Patents

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Description

本発明は、熱ショックタンパク質発現誘導剤に関する。
生体の防御システムの一つとして、例えば一般的な生理的温度を3℃以上超える高温や種々の化学薬品、重金属、放射線、紫外線、飢餓、酸素欠乏等様々なストレスを受けた際に、該ストレスから細胞を保護するため熱ショックタンパク質(Heat shock protein;以下、「HSP」ともいう)と呼ばれる特異的タンパク質の発現(産生)が誘導されることが知られている。HSPにはいくつかの種類があり、その分子量に応じて、例えばHSP90ファミリー(分子量90kDa以上110kDa以下)、HSP70ファミリー(分子量70kDa以上80kDa未満)、HSP60ファミリー(分子量60kDa以上70kDa未満)及び低分子量HSPファミリー(分子量60kDa未満)のように分類されている。
HSPは、上記のような種々のストレスにより細胞内のタンパク質が変性した場合に、該タンパク質が再度正常な立体構造を形成(フォールディング)し、生理機能を回復することを助ける役割を果たす。また非ストレス下においても生体内に一定量存在し、フォールディングに問題のあるタンパク質を補助する等、生体防御や生体の恒常性維持に寄与している。従って、このような機能を有するHSPの発現を意図的に誘導すれば、種々のストレスからの細胞の保護や、機能低下又は機能不全を来した細胞の生理機能回復促進、タンパク質のフォールディング異常に起因する各種疾患や症状の予防又は治療等の効果が期待される。具体的には、HSPの発現を誘導することにより、例えば癌、胃潰瘍、脳梗塞やアルツハイマー病等の脳疾患、潰瘍性大腸炎、肺線維症等の予防又は治療、創傷治癒促進、抗炎症、抗酸化、メラニン産生抑制、抗シワ等に効果があることが知られている。
HSPの発現を誘導する方法としては、例えば温熱療法等、生体に対して故意にストレスを与えることが行われている。しかし、この方法では与えるストレスが強すぎると生体に過度の負担がかかるというリスクがある。そこで、このような外的ストレスによらずに生体内においてHSPの発現を誘導する方法が提案されている。
特に近年、例えば、生薬の性質である四気のうち、温または平に該当する性質を持つ生薬の起源となる植物抽出物を含有する熱ショックタンパク質誘導剤(特許文献1)、アルニカを含有する熱ショックタンパク質の発現誘導剤(特許文献2)、ゼルンボン及びその類縁体、カロテン、リコペン、ゼアキサンチン、クリプトキサンチン、ルテイン、フェニルエチルイソチオシアネート、ならびに、ウルソール酸からなる群より選択される少なくとも1種を有効成分として含有することを特徴とする、熱ショックタンパク質発現誘導剤(特許文献3)、亜鉛化合物を10mM以上含有する培地で培養した酵母の菌体抽出物を有効成分とするヒートショックプロテイン70産生誘導剤(特許文献4)、ケール又はその加工品を有効成分とする熱ショックタンパク質発現促進剤(特許文献5)等、安全性の高い天然物由来の成分を利用する方法が注目されている。このような流れの中で、HSPの発現を誘導し得る新規な天然物由来の成分が求められていた。
特開2008−127296号公報 特開2011−190200号公報 WO2012/043808号公報 特開2014−108945号公報 特開2014−088378号公報
本発明は、熱ショックタンパク質の発現を誘導し得る新規な天然物由来の成分を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、機能性素材として健康食品やサプリメント、化粧料等に広く用いられている海産物由来のペプチドがHSPの発現を誘導することを見出し、この知見に基づいて本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、次の(1)〜(4)からなっている。
(1)海産物由来のペプチドを有効成分とする熱ショックタンパク質発現誘導剤。
(2)前記海産物由来のペプチドが海藻類由来のペプチド又は魚類由来のペプチドであることを特徴とする前記(1)に記載の熱ショックタンパク質発現誘導剤。
(3)前記海藻類由来のペプチドがワカメ由来のペプチドであることを特徴とする前記(2)に記載の熱ショックタンパク質発現誘導剤。
(4)前記魚類由来のペプチドがコラーゲンペプチドであることを特徴とする前記(2)に記載の熱ショックタンパク質発現誘導剤。
本発明の熱ショックタンパク質発現誘導剤は、生体におけるHSP、特にHSP70の発現を誘導する。
本発明の熱ショックタンパク質発現誘導剤は、HSPの作用が関係する各種疾患等の予防又は治療剤等として利用できる。
本発明の熱ショックタンパク質発現誘導剤は、天然物である海産物に由来するペプチドを有効成分とするため、経口的にも非経口的にも安全に生体に対して投与することができる。
各試験区におけるHSP70含有量の測定結果を示すグラフ。
本発明で言うところの海産物とは、海又は汽水域に生息する魚介類、海藻類及び海洋性哺乳類であれば特に限定されず、例えば魚介類としてはホタテ、シジミ、カキ等の貝類、イカ、タコ等の頭足類、タラ、スケトウダラ、タイ、イトヨリダイ、ニシン、カツオ、マグロ、サケ、フグ、サンマ、スズキ、イワシ、ナマズ、ウナギ等の魚類、エビ、カニ、オキアミ、シャコ等の甲殻類、ウニ、ナマコ等の棘皮動物、海藻類としては昆布、ワカメ、ヒジキ、ヒバマタ、カジメ、ノリ、マツモ等の褐藻類、ヒトエグサ、アオサ等の緑藻類、スサビノリ、ツノマタ等の紅藻類、スピルリナ、ヘマトコッカス等の微細藻類、海洋性哺乳類としてはクジラ、アザラシ等が挙げられる。
本発明の熱ショックタンパク質発現誘導剤(以下、「HSP発現誘導剤」ともいう)の有効成分である海産物由来のペプチドは、上記海産物を起源とするタンパク質を加水分解して得られるペプチドである。該タンパク質は海産物の肉、皮、鱗、骨、外骨格、殻、葉、茎等いずれの部位から得られたものであっても良く、またゼラチンやコラーゲンの構造をとるタンパク質を使用しても良いが、とりわけ海藻類又は魚類を起源とするタンパク質が好ましく、ワカメの葉、茎又はメカブに含まれるタンパク質又は魚類の魚類の皮、鱗、骨等に含まれるコラーゲン様のタンパク質がより好ましい。なお、コラーゲン様のタンパク質を加水分解して得られるペプチドは、一般にコラーゲンペプチドと呼ばれる。
海産物を起源とするタンパク質を加水分解する方法に特に制限はなく、例えば慣用の装置を用いて、常法により実施することができる。タンパク質を加水分解する方法としては、酸又はアルカリによる分解、プロテアーゼによる酵素分解等が挙げられる。酸又はアルカリとしては、有機、無機いずれの酸、アルカリを用いてもよく、プロテアーゼとしては、例えばプロテアーゼS「アマノ」(天野製薬社製)、ブロメラインF(天野製薬社製)、サモアーゼ(大和化成社製)、スミチームAP(新日本化学社製)、スミチームMP(新日本化学社製)、スミチームFP(新日本化学社製)、ペプシン、パンクレアチン、パパイン、その他一般的に用いられるプロテアーゼ活性を有する酵素を用いることができる。例えば、プロテアーゼによる酵素分解を利用した、ワカメ由来のペプチド(以下、「ワカメペプチド」ともいう)及び魚類由来のコラーゲンペプチド(以下、単に「コラーゲンペプチド」ともいう)の製造方法の好ましい概略は以下の通りである。
<ワカメペプチドの製造方法>
ワカメを水に分散し、これをアルギン酸リアーゼで処理する。この処理により、ワカメに含まれるアルギン酸を予め分解し、その後の製造工程における処理液の粘度上昇を防ぐことができる。次に、アルギン酸リアーゼの被処理物を遠心分離し、タンパク質を含有する沈殿物を得、該沈殿物を水に分散し、プロテアーゼで処理する。プロテアーゼ処理の温度及びpHは常識的に許容される範囲内の条件であれば良いが、そのプロテアーゼの至適温度、至適pHで行うことが反応時間の短縮や酵素の安定性上望ましい。プロテアーゼ処理後、酵素を失活させて得た酵素処理液から遠心分離、濾過等の方法で未分解のタンパク質を除去し、ワカメペプチド溶液を得る。得られたワカメペプチド溶液は、所望によりさらにエバポレーターによる濃縮、電気透析膜、イオン交換樹脂等による脱塩、濃縮、クロマトグラフィーによる単離精製等の処理を行っても良く、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥等により粉末化しても良い。
<コラーゲンペプチドの製造方法>
コラーゲンを含有する魚皮、魚鱗等を熱水中で加熱してコラーゲンを溶出させ、これを遠心分離した上澄液をコラーゲン抽出液として得る。該抽出液を使用する酵素の至適温度まで加温し、pHを使用する酵素の至適値に調整し、酵素を加えてインキュベートする。酵素分解の温度及びpHは、その酵素の至適温度、至適pHで行うことが反応時間の短縮や酵素の安定性上望ましいが、それに限定されるものではなく、常識的に許容される範囲内の条件であれば良い。所定時間経過後、酵素を失活させて得た酵素処理液に活性炭を添加して脱臭、脱色処理し、これを濾過してコラーゲンペプチド溶液を得る。得られたコラーゲンペプチド溶液は、所望によりさらにエバポレーターによる濃縮、電気透析膜、イオン交換樹脂等による脱塩、濃縮、クロマトグラフィーによる単離精製等の処理を行っても良く、噴霧乾燥、凍結乾燥、真空乾燥等により粉末化しても良い。
また、海産物由来のペプチドは市販のものを用いても良く、例えばコラーゲンペプチドとしては、ペプタンF2000HD(ルスロ社製)、フィッシュコラーゲンPFA(ルスロ社製)、イクオスHDLシリーズ(新田ゼラチン社製)、フィッシュコラーゲンリッチRCP−01P(ラビジェ社製)、サーモンコラーゲンペプチド(マルハニチロ社製)等が商業的に製造及び販売されており、本発明のHSP発現誘導剤にはこれらを用いることができる。
海産物由来のペプチドの分子量に特に制限はないが、通常、重量平均分子量100000以下であり、例えばワカメペプチドとしては、重量平均分子量300〜10000の範囲、コラーゲンペプチドとしては、重量平均分子量300〜50000の範囲のものが用いられる。なお、上記重量平均分子量は、「パギイ法第10版」(写真用ゼラチン試験法合同審議会、2006年版)の「20−1.分子量分布」及び「20−2.平均分子量」に記載の方法に従って測定される。
本発明のHSP発現誘導剤は、海産物由来のペプチドのみをそのまま用いても良く、或いは海産物由来のペプチド以外に本発明の効果を阻害しない範囲で他の任意の成分(医薬品添加物、食品添加物及び食品素材等)を配合し、少なくとも海産物由来のペプチドを含有する組成物として調製しても良い。
上記組成物の調製に用いられる海産物由来のペプチド以外の任意の成分としては、例えば賦形剤(乳糖、デキストリン、コーンスターチ、結晶セルロース等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル等)、崩壊剤(カルボキシメチルセルロースカルシウム、無水リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム等)、結合剤(デンプン糊液、ヒドロキシプロピルセルロース液、アラビアガム液等)、溶解補助剤(アラビアガム、ポリソルベート80等)、甘味料(砂糖、果糖ブドウ糖液糖、ハチミツ、アスパルテーム等)、着色料(β−カロテン、食用タール色素、リボフラビン等)、保存料(ソルビン酸、パラオキシ安息香酸メチル、亜硫酸ナトリウム等)、増粘剤(アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリル酸ナトリウム等)、酸化防止剤(BHT、BHA、アスコルビン酸、トコフェロール等)、香料(ハッカ、ストロベリー香料等)、酸味料(クエン酸、乳酸、DL−リンゴ酸等)、調味料(DL−アラニン、5´−イノシン酸ナトリウム、L−グルタミン酸ナトリウム等)、pH調整剤(クエン酸、クエン酸三ナトリウム等)、乳化剤又は界面活性剤(グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、アルキル硫酸エステル塩、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、塩化ジアルキルジメチルアンモニウム等)、油剤(高級アルコール、エステル油、流動パラフィン、ワセリン、スクワラン、ロウ、天然油脂、シリコーン油等)、低級アルコール類(エタノール、イソプロピルアルコール等)、多価アルコール類(プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコール、ソルビトール、マルチトール等)、紫外線吸収剤(パラアミノ安息香酸エチル、サリチル酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2−エチルヘキシル、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等)、無機粉末(タルク、カオリン、窒化ホウ素等)、有機粉末(セルロースパウダー、架橋型シリコーン末、ポリ四フッ化エチレン粉末等)、ビタミン類、ミネラル類、アミノ酸類等が挙げられる。
本発明のHSP発現誘導剤を医薬品として調製する場合、その剤形に特に制限はなく、投与経路に応じて任意の剤形に調製することができる。経口投与に適した剤形としては、例えば錠剤、カプセル剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、液剤、シロップ剤、トローチ剤等が挙げられ、非経口投与に適した剤形としては、例えば注射剤、点滴剤、坐剤、吸入剤、経皮吸収剤、経粘膜吸収剤、貼付剤、乳剤、クリーム剤、軟膏剤、ローション剤、パップ剤等が挙げられる。なお、注射剤は、静脈注射、筋肉注射、皮下注射、点滴等のいずれに用いるものであっても良い。
上記医薬品100質量%中の海産物由来のペプチドの含有量はペプチドの種類や医薬品の剤形、投与経路等により異なるが、例えばワカメペプチドの場合、通常0.0001〜50質量%、好ましくは0.001〜20質量%、より好ましくは0.01〜10質量%の範囲内に設定することができる。。
また、本発明のHSP発現誘導剤は飲食品、化粧料等に添加して使用することができる。
本発明のHSP発現誘導剤を飲食品に添加して使用する場合、添加対象となる飲食品の形態に特に制限はないが、例えば清涼飲料、ドロップ、キャンディ、チューインガム、チョコレート、グミ、ヨーグルト、アイスクリーム、プリン、ゼリー菓子、クッキー、錠菓等が挙げられる。
上記飲食品に対する海産物由来のペプチドの添加量はペプチドの種類や飲食品の形態等により異なるが、例えばワカメペプチドの場合、飲食品100質量%中、通常0.001〜95質量%、好ましくは0.5〜50質量%の範囲内に設定することができる。
本発明のHSP発現誘導剤を化粧料に添加して使用する場合、添加対象となる化粧料の形態に特に制限はないが、例えば化粧水、乳液、クリーム、美容液、パック等の皮膚化粧料、メイクアップベースローション、メイクアップベースクリーム等の下地化粧料、乳液状、油性、固形状等の各剤型のファンデーション、アイカラー、チークカラー等のメイクアップ化粧料、ハンドクリーム、レッグクリーム、ネッククリーム、ボディローション等の身体用化粧料等が挙げられる。
上記化粧料に対する海産物由来のペプチドの添加量はペプチドの種類や化粧料の形態等により異なるが、例えばワカメペプチドの場合、化粧料100質量%中、通常0.0001〜99質量%、好ましくは0.001〜50質量%の範囲内に設定することができる。
本発明のHSP発現誘導剤は、上記の通り医薬品として又は飲食品、化粧料等に添加して経口的若しくは非経口的に生体に投与することにより、生体内におけるHSPの発現を誘導することができる。なお、本発明のHSP発現誘導剤の有効成分である海産物由来のペプチドは天然物を起源とし、健康食品等にも広く用いられている安全性の高い成分であることから、経口的に投与することが好ましい。
本発明のHSP発現誘導剤が発現を誘導するHSPに特に制限はないが、例えばHSP90ファミリーに属するもの(分子量90kDa以上110kDa以下;HSP90α、HSP90β、HSP104、HSP110等)、HSP70ファミリーに属するもの(分子量70kDa以上80kDa未満;HSP70、HSP72、HSP73等)、HSP60ファミリーに属するもの(分子量60kDa以上70kDa未満;HSP60、HSP65等)及び低分子量HSPファミリーに属するもの(分子量60kDa未満;HSP47、HSP40、HSP27、HSP20等)が挙げられる。これらの中でも、HSP70ファミリーに属するもの、とりわけ分子量70kDaであるHSP70に対して、本発明のHSP発現誘導剤は優れた発現誘導効果を発揮する。
本発明のHSP発現誘導剤は、上記HSPの発現を誘導することによって、高温や種々の化学薬品、重金属、放射線、紫外線、飢餓、酸素欠乏等様々なストレスからの細胞の保護や、機能低下又は機能不全を来した細胞の生理機能回復促進、タンパク質のフォールディング異常に起因する疾患や症状の予防又は治療等に寄与する。具体的には、例えば癌、胃潰瘍、脳梗塞やアルツハイマー病等の脳疾患、潰瘍性大腸炎、肺線維症等の予防又は治療剤、創傷治癒促進剤、抗炎症剤、抗酸化剤、メラニン産生抑制剤、抗シワ剤等として使用できる。
本発明のHSP発現誘導剤の生体に対する投与量は、該HSP発現誘導剤の配合組成や投与の目的、投与経路等により異なるが、例えばワカメペプチドを経口投与する場合、成人1日当たり10〜6000mgの範囲である。
以下に本発明を実施例に基づいてより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[ワカメペプチドの製造]
フレーク状乾燥わかめ100gを水3kgに分散させ、これにアルギン酸リア−ゼ(ナガセ生化学工業社製)4mgを添加して45℃、pH7.0で8時間処理した。処理物を1500rpmで5分間遠心分離し、沈殿物を得た。該沈殿物を水1.5kgに懸濁分散させ、これにプロテアーゼ(商品名:プロテアーゼS「アマノ」;天野エンザイム社製)30mgを添加して70℃、pH8.0で16時間酵素処理を行った。該酵素処理液を室温まで放冷後、1500rpmで5分間遠心分離し、上澄液を得た。該上澄液を濾過装置(型式:PS−24001;旭化成社製)を用いて分画分子量1万の設定で限外濾過し、濾過液をロータリーエバポレーターにて濃縮後、真空乾燥して粉末状のワカメペプチド(試作品1)10gを得た。
[コラーゲンペプチドの製造]
スケトウダラ皮100gに水200gを加え、80〜85℃で1時間加熱後、5000×gで6分間遠心分離し、上澄液を得た。該上澄液にプロテアーゼ(商品名:ブロメラインF;天野エンザイム社製)0.1gを添加し、65℃で1時間酵素処理を行った後、活性炭を添加して60℃で30分間処理した。該処理液を濾過助剤(珪藻土)を用いて引圧濾過し、濾過液をロータリーエバポレーターにて濃縮後、凍結乾燥して粉末状のコラーゲンペプチド(試作品2)20gを得た。
[HSP70の発現誘導試験]
(1)細胞の培養
ヒト子宮頸部癌細胞(HeLa細胞;RCB0007;理化学研究所バイオリソースセンター)を5×10個/0.5mLの細胞濃度で24ウェルプレートに播種し、10容量%FBS及び1容量%ペニシリン−ストレプトマイシン含有DMEM培地(ナカライテスク社製)中で37℃、5%COの条件で一晩培養した。その後、各種被験物質を規定の濃度で含有する新鮮な培地に交換し、同条件でさらに24時間培養した(試験区1〜5)。これらの試験区のうち、試験区1〜4は海産物由来のペプチドを用いた本発明に係る実施例であり、試験区5は海産物由来でないペプチド(納豆菌由来のポリ−γ−グルタミン酸)を用いた比較例である。また、対照としていずれの被験物質も含有しない培地に交換して同様に処理した試験区(試験区6;陰性対照)と、被験物質を含有しない培地に交換し、培地交換後17時間が経過した時点から1時間、42℃の熱ストレスを与えた試験区(試験区7;陽性対照)を設けた。各試験区において使用した被験物質の種類及び添加濃度を表1に示す。
Figure 0006498480
(2)HSP70の発現誘導性の評価
上記試験区1〜5の細胞培養後、上清の培地を取り除き、トリプシンで細胞をウェルからはがし、氷冷PBS(日水製薬社製)を添加、洗浄した後、細胞を回収した。回収した細胞にHSP70 ELISA kit(Stress Xpress社製)に付属したプロテアーゼ阻害剤含有Extraction Bufferを添加し、ボルテックスミキサーを用いて細胞を破壊した後、12000×gで10分間遠心分離して上清をタンパク質抽出液として回収した。
得られた各タンパク質抽出液について、Micro BCA Protein Assay kit(PIERCE Biotechnology社製)を用い、キット所定の手法に従ってタンパク質濃度を測定し、該タンパク質抽出液中の総タンパク質量を求めた。一方、HSP70 ELISA kitを用い、キット所定の手法に従って各タンパク質抽出液中のHSP70含有量を測定し、各試験区の培養細胞中におけるタンパク質1μg当たりのHSP70含有量を算出した。結果をグラフ化して図1に示す。
図1の結果から明らかなように、陽性対照である試験区7の培養細胞は陰性対照である試験区6の培養細胞に比べてHSP含有量が多くなっていたが、同様に海産物由来のペプチドを添加した試験区1〜4の培養細胞においても試験区6と比べてHSP70含有量の増加が認められた。一方、海産物由来でないペプチドを添加した試験区5の培養細胞については、試験区6と比べてHSP70含有量に有意差は認められなかった。このことから、海産物由来のペプチドが細胞内のHSPの発現を誘導することがわかった。

Claims (3)

  1. ワカメ由来のペプチド又は魚類由来のコラーゲンペプチドを有効成分とする熱ショックタンパク質発現誘導剤であって、該熱ショックタンパク質がHSP70である熱ショックタンパク質発現誘導剤
  2. 前記魚類由来のコラーゲンペプチドが魚類の皮由来のコラーゲンペプチドであることを特徴とする請求項1に記載の熱ショックタンパク質発現誘導剤
  3. 前記魚類の皮由来のコラーゲンペプチドがスケトウダラ皮由来のコラーゲンペプチドであることを特徴とする請求項2に記載の熱ショックタンパク質発現誘導剤
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