以下、セラミック配線基板3、プローブ基板2およびプローブカード1の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1はプローブカード1の実施形態の一例を示す断面図であり、図2は図1に示すプローブカード1におけるセラミック配線基板3のA部を拡大して示す断面図である。また、
図3はセラミック配線基板3の他の例の要部を拡大して示しており、図3(a)は断面図であり、図3(b)は図3(a)の平面図である。図4(a)はセラミック配線基板の第1の主面を拡大して模式的に示す平面図であり、図4(b)は図4(a)B-B線における断面の一例を示す断面図である。
図1に示すプローブカード1は、セラミック配線基板3の配線導体5にプローブピン12が接続されたプローブ基板2が、セラミック配線基板3の金属部材7と固定部材14とで回路基板13に固定されて構成されている。
本開示のセラミック配線基板3は、互いに対向する第1の主面41および第2の主面42を有し、少なくとも第1の主面が研磨面であるセラミック基板4と、セラミック基板4の第1の主面41、第2の主面42および内部に設けられた配線導体と、第1の主面41に接合材8を介して接合されている金属部材7とを備えている。
金属部材7は、セラミック基板4の第1の主面41に接合されている。
そして、セラミック基板4は、ムライト質焼結体からなり、ムライト質相4mと点在するアルミナ結晶粒子4aとを含んでいる。そして、第1の主面41において、ムライト質相4mの表面粗さが5nm以下である。
本開示のセラミック配線基板3によれば、セラミック基板4はムライト質相4mと点在するアルミナ結晶粒子4aとを含み、研磨面である第1の主面41において、ムライト質相4mの表面粗さが5nmであることから、比較的強度の弱いムライト質相4mが十分な強度を有するものとなるので、金属部材7の接合強度が高いものとなる。
セラミック基板4はムライト質相4mと点在するアルミナ結晶粒子4aとを含むものである。そのため、第1の主面41は、図4(a)に示す例のように、ムライト質相4m中にアルミナ結晶粒子4aが点在する面である。図4(a)においては、ムライト質相4mとアルミナ結晶粒子4aとを区別しやすいように、ムライト質相4mにはドットの網掛けを施している。セラミック基板4中のムライト質相4mの割合は70質量%~95質量%程度であり、アルミナ結晶粒子4aの割合は5質量%~30質量%である。比較的強度の小さいムライト質相4m中に強度の高いアルミナ結晶粒子4aが点在していることで、ムライト質焼結体は強度が高められている。ムライト質相4mは、ムライト(3Al2O3・2SiO2)を主結晶とするものであり、Ti、MnおよびMo等が酸化物として含まれている。ムライト質相4m中に含まれるムライト(3Al2O3・2SiO2)は90質量%以上である。
セラミック基板4(ムライト質焼結体)を主に構成している相であり、アルミナ結晶粒子4aに比較して強度の小さいムライト質相4mに大きな研磨傷があると、そこを起点に破壊しやすくなる。逆に、ムライト質相4mに大きな研磨傷がない、すなわちある程度以下の表面粗さであればセラミック基板4の第1の主面41における強度が高いものとなる。セラミック基板4の第1の主面41における強度が高いと、その上に接合された金属部材7に応力が加わっても、セラミック基板4の表面(第1の主面41)で破壊し難くなるので、接合強度の高いものとなる。
そのため、アルミナ結晶粒子4aを含まない、ムライト質相4mの部分の表面粗さを測定する。第1の主面41におけるムライト質相4mの表面粗さは、例えば、図4(a)中に二点鎖線で示すような位置において測定することができる。なお、ムライト質相4mに微小なボイドがある場合は、ボイドのない部分で測定する。表面粗さは、原子間力顕微鏡(AFM:Atomic Force Microscope)で測定する。図4(a)に示す例のように、50
μm×50μmの視野内において3箇所で、測定長さ10μmにおける算術平均粗さRaを測定して、3箇所の算術平均粗さRaの平均値を表面粗さとする。
金属部材7は、図3に示す例のように、接合材8を介してセラミック基板4の第1の主面41に直接接合されていてもよい。この場合の、セラミックに直接接合することのできる接合材8としては、例えば、樹脂接着剤または活性金属を含むろう材(活性ろう材)を用いることができる。
また、図1および図2に示す例のように、第1の主面41に接合材8の接合性を高める膜等を設けて、この膜を介して第1の主面41に接合されていてもよい。具体的には、図1および図2に示す例のように、第1の主面41に金属膜9が設けられており、金属部材7の一端が金属膜9にろう材81を介して接合されていてもよい。すなわち、金属部材7の一端は、接合材8であるろう材81および金属膜9を介して第1の主面41に接合されていてもよい。また、接合材8が樹脂接着剤である場合に比較して、耐熱性および接合強度がより向上する。接合材8が活性ろう材である場合に比較して、接合材8として融点の低いろう材81を用いることができるので、製造時の熱履歴を低く抑えることができ、使用できる接合材8(ろう材81)の材料の自由度を高めることができる。
金属部材7が接合材8(ろう材81)および金属膜9を介してセラミック基板4の第1の主面41に接合されている場合には、図1および図2に示す例のように、ろう材81の外縁が金属膜9の外縁より内側に位置するようにすることができる。このような構成にすると、露出している金属膜9の外縁部分で、金属部材7を接合する際の熱による接合材8および金属部材7とセラミック基板4との間の熱応力に起因する残留応力を緩和することができるので、金属部材7の接合強度が高くなる。また、金属膜9の外縁に加わる応力を抑えることができるので、金属膜9がセラミック基板4から剥がれ難くなる。また、金属部材7の接合される側の端部の側面から金属膜9の表面にかけて、凹曲面のメニスカス形状のフィレット部が形成されると、この部分で応力を緩和することができる。そのため、金属膜9の外縁より内側に接合材8の外縁が位置し、接合材8の外縁より金属部材7の端部の外縁(側面)が内側に位置するようにすることができる。
図5は接合強度と表面粗さとの関係の一例を示すグラフである。このグラフは、以下のようにして得たものである。まず、ムライト質相と点在するアルミナ結晶粒子を含むムライト質焼結体の基板を準備し、研磨時間、研磨圧力、研磨に用いると粒等の研磨条件を変えることで、研磨面の表面粗さの異なる基板を作製した。表面粗さは上述した原子間力顕微鏡(AFM)による測定で算術平均粗さRaを測定した。図5のグラフの横軸ではAFM表面粗さRaとしている。次に、表面粗さの異なる基板のそれぞれに、金属膜を形成した。まず、主面の全面に0.2μmのチタン層をスパッタ法で形成して、さらに、このチタン層の全面に3μmの銅層をスパッタ法で形成し、金属薄膜層を形成した。そして、フォトリソグラフィーにより直径12mmの金属薄膜パターンを残し、その上にめっき法で厚みが2μmのニッケルめっき膜および1μmの金めっき膜を形成することで金属膜を形成した。金属膜の上に図1に示す例のような形状の金属部材を接合材としてAu-Sn共晶合金のろう材で接合して、金属部材の接合強度試験用の試料とした。ろう材は、金属部材のフランジの側面から金属膜の上面にかけてフィレット部が形成され、フィレット部の外縁は金属膜の外縁より0.5mm程度内側に位置していた。金属部材は、雄ねじ(ボルト)であり、接合される側の端部に鍔部(フランジ)を有する。金属部材は、ねじ部が径5mm、長さ5mmで、フランジが直径9mm、厚みが1mmの、Fe-Ni-Co合金からなるものを用いた。金属部材は、表面にはニッケルめっきおよび金めっきを施したものを用いた。ムライト質焼結体の基板への金属部材の接合強度は、引張り試験にて測定した。
図5に示すグラフからわかるように、一般的に金属部材の接合強度として要求される180kgf以上となるのは、ムライト質相4mの表面粗さが5nm以下の場合であることが分かる。また、表面粗さが1nmより小さくても接合強度は向上していない。すなわち、表面粗さが1nmより小さい場合は、研磨傷の大きさが接合強度に影響を与えないほど十分小さくなっているということである。そのため、表面粗さを1nm未満とする必要はなく、1nm未満とするような研磨は無駄になるということである。よって、ムライト質相4mの表面粗さは、1nm以上5nm以下とすると、金属部材の接合強度が高く、なおかつ研磨工程を含む製造工程が効率的なものとなるといえる。
表面粗さの測定には、従来より、触針式が広く用いられているが、この方法ではムライト質相4mと点在するアルミナ結晶粒子4aとを含む場合に、アルミナ結晶粒子4aを含まない、ムライト質相4mの部分だけという微小領域の表面粗さを測定することが困難である。アルミナ結晶粒子4aの表面まで含んで測定すると、硬度の異なるアルミナ結晶粒子4aとムライト質相4mとでは研磨状態が異なるので、ムライト質相4mの部分の粗さが分からなくなってしまう。
ここで、従来から用いられている触針式により測定した表面粗さ(触針式表面粗さという)と金属部材の接合強度との関係について説明する。図6(a)は触針式表面粗さとAFM表面粗さとの関係の一例を示すグラフであり、図6(b)は接合強度と触針式表面粗さとの関係の一例を示すグラフである。触針式表面粗さは、上記の研磨したムライト質焼結体の基板の研磨面を触針式の表面粗さ計を用いて、測定長さは1.3mmで測定したもので、アルミナ結晶粒子4aの表面まで含んで測定したものである。図6(a)からわかるように、触針式表面粗さとAFM表面粗さとはリニアな関係ではない。すなわち、アルミナ結晶粒子4aの表面を含む研磨面の表面粗とムライト質相4mの表面粗さとはリニアな関係ではないので、金属部材の接合強度に対する影響の大きいムライト質相4mの表面状態(研磨状態)が分からないということである。そのため、図6(b)に示すグラフのように、触針式の表面粗さが小さくなるにつれて金属部材の接合強度が小さくなっていない。よって、触針式で研磨面全体を測定するのではなく、ムライト質相4mの表面粗さのみを測定し、その表面粗さを適切な値にすることで、金属部材の接合強度の高いセラミック配線基板3を得ることができる。
図4(b)に示す例のように、第1の主面において、アルミナ結晶粒子4aはムライト質相4mから突出している部分を有していてもよい。このように、アルミナ結晶粒子4aがムライト質相4mから突出している部分を有している、すなわち第1の主面41が微小な突起部を有していると、この上に形成される金属膜9あるいは金属膜9を有さない場合の接合材8中に突起部(アルミナ結晶粒子4aの一部)が食い込むことになる。そのため、これらの上に接合される金属部材7の接合強度がさらに高いものとなる。このアルミナ結晶粒子4aがムライト質相4mから突出している突出高さは、金属膜9を有する場合は金属膜9を貫通しないように金属膜9の厚みより小さい方がよい。そのため、突出高さは例えば200nm程度までとすることができる。
図7および図8はセラミック配線基板3の他の例の要部を拡大して示しており、両図において(a)は図2(a)と同様の断面図であり、(b)は(a)におけるセラミック配線基板3の一部を省略して示す平面図である。金属膜9と金属柱10の位置関係を見やすくするために、セラミック配線基板3における金属部材7および接合材8を透過図としてそれぞれの外縁を二点鎖線で示し、金属膜9に隠れている金属柱10を透過して破線で示している。
セラミック配線基板3は、図7および図8に示す例のように、金属膜9に接続され、第1の主面41からセラミック基板4の内部に延びる金属柱10を有していてもよい。この
ような構成とした場合には、金属膜9に接続された金属柱10がセラミック基板4に打ち込まれた杭のように働くので、金属膜9のセラミック基板4への接合強度がより高いものとなる。
金属柱10の長さ(深さ)は、特に制限はないが、セラミック基板4が、複数のセラミック層からなる多層基板である場合には、少なくともセラミック層1層分の長さである。金属柱10の太さ(径)についても特に制限はなく、金属柱10の数および配置についても特に制限はない。金属部材7が金属膜9に接合される側の端部に鍔部(フランジ)を有し、鍔部の厚みが比較的薄い場合には、金属膜9における平面視で鍔部より内側に位置する部分に大きな応力が加わりやすいので、ここに接続するように金属柱10を配置すると効果的である。また、金属膜9の外周部分も大きな応力が加わりやすいので、図7に示す例のように、金属膜9の外縁部に接続するように金属柱10を配置することも効果的である。この場合は、金属膜9内での応力の偏りを抑えるために、金属膜9の外周に沿って周方向に等間隔に同じ大きさの金属柱10を配置することもできる。図7に示す例においては、金属膜9の中央部に径の大きいものを1つ、金属膜9の外縁部に径の小さいものを周方向に等間隔で8つ配置している。図8に示す例では、接合材8の外縁と重なる位置に、に径の小さいものを周方向に等間隔で8つ配置している。接合材8の外縁も応力が集中しやすい場所なので効果的である。このように、効果的な位置がいくつかあるが、金属柱10、接合材8の材質や形状に応じて適宜選択することができる。また、例えば、金属膜9の外縁部と接合材8の外縁と重なる位置の両方のように、組み合わせることもできる。
図9(a)、図9(b)はいずれもセラミック配線基板3の他の例の要部を拡大して示す断面図である。
セラミック配線基板3は、図9に示す例のように、金属部材7と第1の主面41との間の接合材8中に金属部材7よりも軟質な金属板11が設けられていてもよい。このような構成にすると、金属部材7とセラミック基板4との間に加わる応力が金属板11に分散されて最大主応力が小さくなるので、金属部材7の接合強度が高くなる。
図9(a)に示す例は、図2に示す例のようにセラミック基板4の第1の主面41に金属膜9が設けられている場合に、金属板11を設けたものである。この例では、金属板11は金属膜9に接合材8(ろう材81)で接合され、金属板11に接合材8(ろう材81)で金属部材7が接合されている。図9(a)に示す例においても、図2に示す例と同様に、接合材8(ろう材81)の外縁は金属膜9の外縁より内側に位置している。また、金属部材7と金属板11との間の接合材8(ろう材81)の外縁は金属板11の外縁より内側に位置している。このように、金属板11が接合材8(ろう材81)で挟まれており、金属板11が接合材8(ろう材81)から露出する部分を有し、接合材8(ろう材81)中に埋め込まれていない場合も、接合材8(ろう材81)中に金属板11が設けられているとする。
このように、金属板11上の接合材8(ろう材81)の外縁が金属板11の外縁より、また金属膜9上の接合材8(ろう材81)の外縁が金属膜9の外縁より内側に位置するような構成にすると、露出している金属板11および金属膜9の外縁部分で、金属部材7を接合する際の熱による接合材8および金属部材7とセラミック基板4との間の熱応力に起因する残留応力を緩和することができるので、金属部材7の接合強度がより高くなる。また、金属膜9の外縁に加わる応力を抑えることができるので、金属膜9がセラミック基板4から剥がれ難くなる。また、金属部材7の接合される側の端部の側面から金属板11の表面にかけて、および金属板11の金属膜9と接合される側の端部の側面から金属膜9の表面にかけて、凹曲面のメニスカス形状のフィレット部が形成されると、この部分で応力を緩和することができる。
また、図9(a)に示す例は金属膜9があり金属柱10がない例であるが、図7に示す例および図8に示す例のように、金属膜9に接続され、第1の主面41からセラミック基板4の内部に延びる金属柱10を有する場合にも、同様の金属板11を適用することができる。
また、図9(a)に示す例においては、接合材8として、金属部材7と金属板11との間および金属板11と金属膜9との間のいずれも活性金属を含まないろう材81を用いることができる。接合材8としてろう材81を用いると、上述したのと同様に、接合材8が樹脂接着剤あるいは活性ろう材である場合に対して有効であるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、また、金属部材7と金属板11との間および金属板11と金属膜9との間で異なる接合材8を用いることもできる。
図9(b)に示す例は、図3に示す例のように、セラミック基板4の第1の主面41に金属膜9を設けず、金属部材7が接合材8を介してセラミック基板4の第1の主面41に直接接合されている場合に、金属板11を設けたものである。この例では、金属板11は接合材8中に埋め込まれており、金属板11は接合材8から露出する部分を有していない。図9(a)に示す例のように、金属部材7と金属板11との間の接合材8の外縁が金属板11の外縁より内側に位置し、金属板11の一部が露出している構成とすることもできる。いずれの場合でも、金属板11とセラミック基板4との間の接合材8は、例えば活性ろう材あるいは樹脂接着剤を用いることができ、金属部材7と金属板11との間の接合材8は、これらに加えて活性金属を含まないろう材81を用いることができる。金属板11を挟んで上下に位置する接合材8は同じものを用いることもできるし、異なるものを用いることもできる。同じ接合材8を用いると同じ接合条件で同時に接合することができる。
セラミック基板4は、上述したようなムライト質焼結体であるセラミック焼結体からなり、互いに対向する第1の主面41および第2の主面42を有する板状の基板である。セラミック基板4は、ムライト質焼結体からなる複数のセラミック層が積層されてなる多層セラミック基板とすることができる。セラミック基板4としてムライト質焼結体を用いていることから、セラミック基板4はシリコンウエハとの熱膨張係数が近似している。そのため、セラミック配線基板3にプローブピン12を設けたプローブ基板2を備えたプローブカード1を用いてバーンインテストを行なうと、高温(例えば125℃)と低温(例えば-40℃)でのテストを行う場合でも、セラミック配線基板3上のプローブピン12の先端の位置がシリコンウエハ上の端子からずれにくいものとなる。また、アルミナなどと比較すると、低温で焼成することができるので、配線導体5に低抵抗な銅を含むものを使用することができるので、電源特性や高周波特性等の電気的な特性に優れたセラミック配線基板3、プローブ基板およびプローブカード1となる。
セラミック基板4の平面視の形状は、例えば、正方形状、長方形状および八角形状のような多角形板状、あるいは円形状である。例えば、厚さが3mm~10mmで、方形の場合であれば100mm×100mm~300mm×300mmとすることができ、円形状の場合であれば直径100mm~300mmとすることができる。セラミック基板4の少なくとも第1の主面41は研磨によって平坦化されている。この平坦化された第1の主面41は、プローブカード1において回路基板13と対向する面であり、第1の主面41上の配線導体5と回路基板13の配線導体とが電気的に接続される。この接続がセラミック基板4の第1の主面41の全面において均一なものとなるように平坦化されている。同様に、プローブピン12を介してシリコンウエハ上の半導体素子と電気的に接続される第2の主面42も研磨して平坦化されていてもよい。セラミック基板4の両主面が研磨面であると、上記のセラミック基板4の厚みは全面でほぼ均一なものとなり、回路基板13およびシリコンウエハ上の半導体素子のような検査対象との電気的接続が良好になる。
配線導体5は、例えば、タングステン、モリブデン、マンガン、銅、クロムまたは白金等の金属材料によって形成されている。また、配線導体5は、これらの金属材料の合金材料からなるものであってもよい。これらの金属材料(合金材料)は、例えばメタライズ導体(厚膜導体)、薄膜導体またはめっき導体等の形態でセラミック基板4の第1の主面41、第2の主面42および内部に設けられている。セラミック基板4の第1の主面41、第2の主面42および内部(セラミック層間)には、膜状の導体が設けられ、膜状の導体同士を接続するためにセラミック層を貫通する柱状の導体(貫通導体)が設けられる。膜状の導体の厚みは例えば5μm~20μmであり、柱状の導体は、例えば直径が30μm~100μmの円柱状である。
配線導体5が形成されたセラミック基板4の第2の主面42に、ポリイミド等の樹脂からなる複数の絶縁層を設け、この樹脂層を介してセラミック基板4の表面に配線導体5を設けてもよい。この樹脂層と樹脂層の表面および内部に設けられる配線導体5は、薄膜導体で形成し、より微細な配線とすることができる。これによって、樹脂層の表面に形成された配線導体5に接続されるプローブピン12の間隔をより小さいものとすることができる。
金属膜9は、配線導体5の膜状の導体と同じ金属材料および同じ形態とすることができ、セラミック基板4の第1の主面41に設けられている。金属膜9の平面視の形状および大きさは、金属部材7(の底面)の形状および大きさに応じて設定することができる。金属膜9の大きさを金属部材7(の底面)の大きさより一回り大きくすると、金属部材7の底面とともに側面も接合面とすることができ、金属部材7の接合強度を大きくすることができる。具体的には、例えば、金属膜9の平面視の形状が方形の場合であれば8mm×8mm~20mm×20mmとすることができ、金属膜9の平面視の形状が円形状の場合であれば直径8mm~20mmとすることができる。金属膜9の厚みは例えば5μm~20μmとすることができる。図2、図7および図8に示す例では、金属部材7の接合面の形状が円形であるのに対して、金属膜9の平面視の形状も円形であるが、金属膜9の平面視の形状は金属部材7とは異なる形状であってもよい。
金属柱10は、一端が金属膜9に接続され、他端が第1の主面41からセラミック基板4の内部に延びて設けられている。金属柱10は、配線導体5の柱状の導体(貫通導体)と同じ金属材料、同じ方法で形成することができる。第1の主面41からセラミック基板4の内部に延びる長さは、セラミック層の厚みおよび貫通するセラミック層の層数により、例えば0.2mm~1mmとすることができる。金属柱10は、例えば円柱状であり、直径は配線導体5の柱状の導体(貫通導体)と同様に、例えば30μm~100μmとすることができる。また、上述したように、複数の金属柱10は互いに異なる径であってもよいし、長さについても互いに異なるものであってもよい。図7および図8に示す例においては、金属膜9の中央部に接続される金属柱10は、径の大きいものが1つ配置されているが、これに変えて、径の小さいもの、例えば金属膜9の外縁部に配置されたものと同じ径のものを、小さい間隔で複数個配置しても同様の効果が得られる。また、配線導体5の貫通導体、金属膜9の外縁部の金属柱10および金属膜9の中央部の金属柱10を同じ径にすることで、効率よく形成することができる。
金属部材7は、例えばFe-Ni-Co合金やFe-Ni合金等の合金材料からなるものを用いることができ、プレス加工や切削加工等で形成することができる。セラミック基板4と熱膨張係数が近似している材料からなる場合には、セラミック基板4と接合した後の残留応力が小さく接合強度が低下し難い。表面保護のために、上記のような合金からなるものの表面にニッケルめっき等を施した金属部材7であってもよい。接合材8としてろう材を使用する場合には、ろう材の濡れ性を考慮してニッケルめっき後に金めっきを施し
てもよい。
金属部材7の形状は、例えば、図1に示す例の場合は、雄ねじ(ボルト)であり、接合される側の端部に鍔部(フランジ)を有する。金属部材7は、鍔部を有さない円柱状のものであってもよいし、いわゆる六角ボルトであってもよい。通常の六角ボルトの頭は厚みが厚く、第1の主面41から頭が大きく突出して回路基板13と干渉しやすくなるので、図1~図3および図7,8に示す例のように、円柱状のねじ部の接合される側の端部(一端)に円板状の鍔部(フランジ)を有するものとすることができる。鍔部を有することで、全体の大きさを大きくすることなくセラミック基板4との接合面積を増加して接合強度を高くすることができる。これらの例では金属部材7の一端部(一端面)は円形状であるが、これに限られるものではなく、例えば方形状等の多角形状であってもよい。一端面が円形状のような角部を有さない形状であると、金属部材7に外力が加わった際に、セラミック基板4との接合部において応力が集中しやすい部分がないので、接合強度が高いものとなる。金属部材7の形状はこれに限られるものではなく、例えば図10に示す例のような雌ねじを有するもの(ナット)であってもよいし、雄ねじである場合であっても一端から他端まで一体でなく、分割可能なものであってもよい。分割可能な金属部材としては、例えば、一端側は図1に示すような雄ねじであり、他端側は、一端にこの雄ねじが結合する雌ねじ部を有し、他端に固定部材14に結合される雄ねじ部を有しているものが挙げられる。また、金属部材7は、ねじ部を有さない一端部とねじ部を有する他端部とが接合されたものであってもよい。金属部材7の一端部が第1の主面41に対して傾いて接続された場合であっても、その後にねじ部を有する他端部の傾きを修正して接合することで、セラミック基板4との接合部に均一に応力が加わるようにすることができる。
金属部材7の寸法は、一端が第1の主面41上の配線導体5間に収まる大きさで、プローブ基板2と回路基板13との距離等に応じた長さであれば特に限定されるものではない。金属部材7の形状が例えば図1に示す例のような場合であれば、ねじ部は、例えば径が2mm~15mmで長さが4mm~50mmで、フランジは例えば径が7mm~19mmで、厚みが0.5mm~3mmとすることができる。
また、金属部材7の、第1の主面41または金属膜9に接合される一端部は、図10に示す例のように、第1の主面41に対向する接合面から側面にかけて、C面もしくはR面を有する形状とすることができる。金属部材7の接合面側の周縁部に接合材8が溜まりやすくなるため、接合材8が外側に濡れ広がる長さを抑えながら金属部材7の側面には濡れ広がりやすくなるので、容易にメニスカスを形成し且つメニスカスの広がりを抑えやすくなるので、設計の自由度が向上する。これは、金属部材7の形状が、ねじ部の接合される側の端部に鍔部(フランジ)を有する形状の場合も同様である。
金属板11は、金属部材7よりも軟質な金属材料からなるものであり、上記したFe-Ni-Co合金(例えば、Ni29%、Co17%、Fe53.5%、Mn0.3%、Si0.2%:ヤング率159GPa)またはFe-Ni合金(例えば、Ni36%、Fe63.1%、Mn0.7%、C0.2%:ヤング率140-150GPa)の場合であれば、例えば、無酸素銅(Cu>99.96%:ヤング率117GPa)、黄銅(Cu70%、Zn30%:ヤング率110GPa)、りん青銅(Cu91.8%、Sn8%、P0.2%:ヤング率110GPa)、アルミニウム(Al>99.85%:ヤング率69GPa)、金(Au:ヤング率78GPa)、銀(Ag:ヤング率73-83GPa)等の金属材料を用いることができ、接合材8の種類、接合温度に応じて適宜選択することができる。このような金属からなる大判の板材を、プレス加工や切削加工等で金属板11を作製することができる。
金属板11の平面視の形状および大きさは、金属部材7(の底面)および金属膜9の形
状および大きさに応じて設定することができる。金属板11の平面視の形状は、例えば金属部材7の接合される側の端部(一端部)の形状、端部に鍔部(フランジ)が設けられる場合は鍔部を含む端部の形状と相似形とすることができる。金属板11の大きさを金属部材7(の底面)の大きさより一回り大きくすると、金属部材7と金属板11との間の接合材8を凹曲面のメニスカス形状のフィレット部を有する形状とすることができる。金属板11の形状が金属部材7の一端部の形状の相似形でかつ一回り小さい場合には、金属部材7の側面から金属板11の上面にかけて形成されるフィレット部の幅が均一なものとなるので、接合強度に関して異方性がなくなる。また、第1の主面41に金属膜9が設けられる場合には、金属板11の大きさを金属膜9の大きさより一回り小さくすると、金属板11と金属膜9との間の接合材8を凹曲面のメニスカス形状のフィレット部を有する形状とすることができる。また、金属板11の厚みは例えば0.05mm~0.3mmとすることができる。
表面保護(腐食防止)あるいは接合材8の濡れ性(接合性)のために、表面にニッケルめっき等を施した金属部材7であってもよい。接合材8としてろう材を使用する場合には、ろう材の濡れ性を考慮してニッケルめっき上にさらに金めっきを施してもよい。
接合材8は、樹脂接着剤やろう材、活性ろう材を使用することができる。樹脂接着剤としては、接着強度が強く、耐熱性もある樹脂を使用するのがよく、例えば、エポキシ系樹脂が挙げられる。樹脂接着剤には、必要に応じて熱膨張係数を低下させてセラミック基板4および金属部材の熱膨張係数に近づけるために、樹脂成分より低熱膨張係数の無機充填材を添加してもよい。ろう材としては、各種銀ろう、Au-Sn共晶合金、各種半田を使用することができるが、銀ろう、Au-Sn共晶合金を使用すると長期の温度サイクル信頼性や耐熱性の劣化が発生しにくい。活性ろう材は、各種銀ろうにチタンやハフニウムおよびジルコニウムのうち少なくとも1種の活性金属材料の粉末をさらに添加したものである。活性ろうを使用した場合には真空中や不活性雰囲気とすることで、セラミック基板4にろう材を直接接合することができるようになる。
上記のようなセラミック配線基板3の製造方法の一例について説明する。
セラミック基板4は、セラミック層となるグリーンシートを複数枚積層して焼成することによって作製することができる。グリーンシートの作製においては、まず、ムライト(3Al2O3・2SiO2)粉末と添加剤として、Mn2O3粉末、TiO2粉末およびMoO3粉末等を添加した混合粉末に対して有機バインダ、溶媒を添加してボールミル等を用い十分に混合、分散させることでスラリーを作製する。このスラリーをドクターブレード法、射出法などの成形方法によってグリーンシートを作製することができる。あるいは、混合粉末に有機バインダを添加し、プレス成形、圧延成形等の方法により所定の厚みのグリーンシートを作製することもできる。なお、グリーンシートの厚みはたとえば50~300μmとすることができるが、特に限定されない。
混合粉末には、ムライト質焼結体の緻密化と、配線導体5との同時焼結性を高めるために、さらに、Ca、Sr、BおよびCrの群から選ばれる1種以上の酸化物粉末、または焼成によって酸化物を形成しうる炭酸塩、硝酸塩、酢酸塩からなる粉末を添加してもよい。
このグリーンシートに対して、例えば、金型パンチング、マイクロドリル、レーザー等の孔形成方法により貫通孔を形成する。この貫通孔は、配線導体5の貫通導体となる部分および金属柱10となる部分に設ける。
また、グリーンシートに対して、導体ペーストを、例えばスクリーン印刷により貫通導
体用および金属柱10用の貫通孔内に充填し、スクリーン印刷、グラビア印刷などの印刷方法により、セラミック層間の配線導体5、金属膜9の形状でグリーンシートの主面に印刷塗布する。導体ペーストは、例えば、銅(Cu)粉末とタングステン(W)粉末またはモリブデン(Mo)粉末とを所定の比率となるように混合した混合金属粉末に対して有機バインダ、溶媒等を添加して三本ミル等を用いて十分に混合させることで調製することができる。なお、この導体ペースト中には、セラミック基板4との密着性を高めるために、上記の金属粉末以外にアルミナ粉末あるいはセラミック基板4と同一組成物の混合粉末を添加してもよく、さらにはTi等の活性金属あるいはそれらの酸化物を添加してもよい。
なお、導体ペーストは、すべて同一の組成である必要はなく、必要とされる配線抵抗や電気特性に応じて、部分的に組成を変えても構わない。例えば、配線導体5において、径が30~100μm程度ある貫通導体は、一般的に厚みが5~20μm程度で幅が20~100μm程度のセラミック層間の膜状の導体に比べて断面積が大きくなる傾向があるので、貫通導体や幅の広いセラミック層間の膜状の導体については部分的にタングステン(W)、モリブデン(Mo)やその合金で形成しても構わない。このようにすると、電気特性への影響を抑えつつ、セラミック層と貫通導体との焼成収縮の違いによる部分的な変形を緩和することができる。
その後、導体ペーストを印刷塗布したグリーンシートを含む複数のグリーンシートを位置合わせして積層圧着して積層体を作製する。
積層体を、非酸化性雰囲気(窒素雰囲気あるいは窒素と水素との混合雰囲気)中で焼成することで、配線導体5を備えた配線基板となる。原料粉末(上記混合粉末)中に上述したようにマンガン(Mn)が含まれたものを、1380~1420℃で焼成すると、焼成時にムライトが分解してアルミナ結晶が析出し、ムライト質相4m中にアルミナ結晶粒子4aが点在するムライト質焼結体からなるセラミック基板4を得ることができる。アルミナ粉末を予めムライト粉末に加えておくことでもムライト質相中にアルミナ結晶粒子が点在するムライト質焼結体を得ることができる。アルミナ粉末を加える方法より、上記したように焼成中にアルミナ結晶を析出させる方法の方が、アルミナ結晶粒子4aの粒径の大きさのばらつきが小さく、セラミック基板4の強度がより高いものが得られる。
次に、この配線基板の第1の主面41を研磨することで、研磨面である第1の主面41を有するセラミック配線基板3となる。第2の主面42も研磨して、第1の主面41および第2の主面42の両主面とも研磨面としてもよい。研磨加工は、砥石や砥粒を用いる機械研磨、砥粒を反応性の溶媒に懸濁した研磨材を用いる化学機械研磨によって行なわれる。この研磨加工によってできた研磨面にはマイクロクラックが発生する。研磨加工の仕上げとして、例えば砥粒の径が1μm未満のアルミナ粒子を用いた遊離砥粒を用いたラッピング研磨を行なうことで、マイクロクラックを低減することもできる。この仕上げ研磨の時間を長くすることで、原子間力顕微鏡で測定したムライト質相4mの表面粗さを5nm以下とするとともに、アルミナ結晶粒子4aがムライト質相4mから突出している部分を有するものとすることができる。また、配線導体5を薄膜で形成する場合には、研磨面の表面粗さは、例えば算術平均粗さ(Ra)が0.3μm以下であるのがよいが、ムライト質相4mの表面粗さが5nm以下であれば通常はそのようになり、アルミナ結晶粒子4aのムライト質相4mからの突出量が600nm以下になるようにすればよい。
セラミック基板4の主面上の配線導体5は、例えば以下のようにして作製することができる。例えばスパッタ法等の薄膜形成法を用いて、まず、セラミック基板4の内部に配線導体5を有する配線基板の主面の全面に0.1~3μm程度のチタンやクロム等の接合金属層を形成する。次に、この接合金属層の全面に2~10μm程度の銅等の主導体層を形成して、導電性薄膜層を形成する。必要に応じてバリア層等を形成してもよい。そして、
フォトリソグラフィーにより導電性薄膜層をパターン加工することで薄膜の配線導体5を形成することができる。
このとき、金属膜9を予め導体ペーストでメタライズ層として形成している場合は、メタライズ層を露出させてもよいし、メタライズ層の上に薄膜導体層をさらに設けて金属膜9としてもよい。また、金属膜9の中央部をメタライズ層で形成し、外縁部を薄膜で形成することもできる。より応力が大きく加わる中央部を接合強度のより高いメタライズ層で形成し、外形を形成する外縁部を寸法精度の高い薄膜で形成するので、接合強度と寸法精度を高いレベルで両立させることができる。なお、メタライズ層で金属膜9を形成しない場合は、配線導体5の形成と同時に、金属膜9も薄膜で形成され、寸法精度のより高いものとなる。
配線導体5の表面および金属膜9の表面には、1~10μm程度のニッケル膜および0.1~3μm程度の金膜を順に形成して、配線導体5および金属膜9の表面を保護するとともに、ろう材やはんだ等の接合性を高めることができる。ニッケル膜および金膜は、電解めっきによるめっき膜あるいは薄膜で形成することができる。
次に、第1の主面41に接合材8を介して金属部材7を接合することでセラミック配線基板3となる。接合材8が接着剤である場合には、例えば液状の熱硬化性エポキシ接着剤を金属部材7の一端面に塗布し、この一端面を第1の主面41に押し付けて、接着剤の硬化条件(例えば150℃を60分間保持)の熱履歴を与えることで、接着剤を硬化させて接合することができる。接合材8が活性ろう材の場合には、例えば金属部材7の一端面に活性共晶銀ろうペーストを塗布し、この一端面を第1の主面41に押し付けて、活性共晶銀ろうの溶融条件(例えば不活性雰囲気中で830℃を10分間保持)の熱履歴を与えることで溶融接合することができる。また、接合材8がろう材の場合には、例えば金属膜9と金属部材7の間にAu-Sn共晶合金ろうのシートを配置し、Au-Sn共晶合金ろうの溶融条件(例えば、窒素雰囲気中で320℃を10分間保持)のの熱履歴を与えることで溶融接合することができる。
ここで、接合材8(ろう材81)として例えばAu-Sn合金ろうのシートを用いた場合には、金属膜9の表面の金めっき厚みを金属部材7の表面の金めっき厚みより厚く形成してもよい。このようにすると、接合時に加えた熱で接合材8(ろう材81)が溶融した場合に金属膜9の表面の金めっきが金属部材7の表面の金めっきより接合材8(ろう材81)に多く溶け込むことになるので、Au-Sn合金の組成は金属膜9側がより共晶組成から大きくずれて融点が高くなる。そして、接合材8(ろう材81)が金属膜9の外周側に流れるより、金属部材7の接合部の側面を這い上がる高さが大きくなりやすくなる。そのため、接合材8(ろう材81)が金属膜9の外周端まで流れにくくなるので、金属部材7の接合強度が高くなる。結果として、金属膜9を小さくすることもできるので、設計の自由度が高いものとなる。
なお、金属部材7は、セラミック基板4の第1の主面41に垂直になるように接合すると、セラミック基板4が変形することを金属部材7で効果的に防ぐことができる。
また、金属部材7と第1の主面41との間の接合材8中に金属板11が設けられる場合は、第1の主面41(または金属膜9)に接合材8で金属板11を接合した後に、金属板11に接合材8で金属部材7を接合すればよい。あるいは、第1の主面41(または金属膜9)の上に接合材8、金属板11、接合材8および金属部材7を順に載置して、接合材8に応じた熱履歴を与えることで一括して金属板11と金属部材7を同時に接合することができる。
プローブ基板2は、上記のようなセラミック配線基板3と、セラミック配線基板3の配線導体5に電気的に接続されたプローブピン12とを備える。より具体的には、セラミック基板4の第2の主面42上に位置する配線導体5にプローブピン12が接合されている。
プローブピン12は、例えば、ニッケルやタングステンなどの金属からなるものである。プローブピン12がニッケルからなる場合であれば、例えば、以下のようにして作製される。まず、シリコンウエハの1面にエッチングにより複数のプローブピンの雌型を形成し、雌型を形成した面にめっき法を用いてニッケルから成る金属を被着させる。そして、さらに雌型をニッケルで埋め込み、埋め込まれたニッケル以外のウエハ上のニッケルをエッチング法等の加工を用いて除去して、ニッケル製プローブピンが埋設されたシリコンウエハを作製する。このシリコンウエハに埋設されたニッケル製プローブピンをセラミック基板4の第2の主面42上に位置する配線導体5にはんだ等の接合材で接合する。そして、シリコンウエハを水酸化カリウム水溶液で除去することによって、プローブ基板2が得られる。
このようなプローブ基板2は、金属部材7の接合強度が高いので、プローブカード1に用いた場合に、回路基板13への取り付け固定時や平坦性の調整時等に外力が加わっても金属部材7が剥れたり、セラミック基板4が欠けたりする可能性が低減されたものとなる。
図1に示す例においては、プローブ基板2の第2の主面42の中央部には配線導体5およびプローブピン12が設けられていないが、測定する半導体素子の電極の配置に応じてプローブピン12は配置されるものであるので、この例に限られるものではない。
プローブカード1は、上記のプローブ基板2と、プローブ基板2のセラミック配線基板3の第1の主面41に対向して配置され、金属部材7を介してプローブ基板2が固定されている回路基板13とで基本的に構成される。より具体的には、例えば図1に示す例のように、プローブ基板2を回路基板13に支持部材15と金属部材7および固定部材14で固定するとともに、セラミック配線基板3の第1の主面41上の配線導体5と回路基板13の表面の電極16とを接続部材17で電気的に接続することでプローブカード1となる。
このようなプローブカード1は、金属部材7の接合強度が高いので、信頼性の高いものとなる。
回路基板13は、半導体素子の動作状態を判断するテスターとプローブ基板2(プローブピン12)との接続を仲介するためのプリント回路基板であり、ガラスエポキシ多層基板で形成されている。
接続部材17は、金属製のピン等である。接続部材17の一端は、セラミック配線基板3の第1の主面41上の配線導体5にろう材やはんだ等で固定されている。接続部材17の他端は回路基板13に接触されている。これにより、回路基板13とプローブ基板2とが電気的に接続されている。
支持部材15は、枠状であり、回路基板13の外縁部に固定されている。不図示の枠体とともに回路基板13とプローブ基板2とを周縁部で機械的に固定している。支持部材15および枠体は主に42アロイやインバーのように高剛性で、低熱膨張な金属で形成される。なお、図1に示す例おいては、支持部材15をセラミック基板4の周縁部に引っかける形状として、プローブ基板2の周縁部を支持部材15で固定し、プローブ基板2の中央
部は金属部材7および固定部材14で固定している。プローブ基板2の周縁部を支持部材15で固定した状態で、金属部材7と固定部材14とによりプローブ基板2の中央部と回路基板13の中央部との距離を調節することで、プローブ基板2の平坦度を調節することができる。
なお、図1に示す例おいては、金属部材7をセラミック基板4の中央の1ケ所だけに接合しているが、この例に限られるものではない。例えば、セラミック基板4の中央部以外にも複数の金属部材7を接合してもよい。複数の金属部材7を有する場合には、より細かく平坦度の調整することができる。
また、プローブカード1は図1に示す例に限られるものではなく、例えば、回路基板13とプローブ基板2との間にさらにインターポーザー基板を設けたものであってもよい。