JP7092530B2 - 酸性成分及びアンモニアを含有する廃水のアンモニアストリッピング処理装置及びその方法 - Google Patents
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Description
このアンモニアストリッピング処理は、アンモニアの酸解離指数がpKa=9.3であることから、効率よくストリッピング処理を行うために水酸化ナトリウム等の不揮発性アルカリを添加し、遊離アンモニアが過剰になるpH9.3以上好ましくはpH11以上で行われている。これを理由とともに技術内容をさらに説明する。
例えば炭酸ナトリウム系水溶液のpHでみると、H2CO3水溶液で3~4.5程度、NaHCO3水溶液で8.4程度、Na2CO3水溶液で10.5~12程度であるため、アルカリとして水酸化ナトリウムを用いる場合、pH9.3以上とするには炭酸根に対し等モル以上、pH11以上とするには炭酸根に対し2倍モル程度以上のアルカリの添加が必要であった。
ストリッピング塔15内では、蒸気又は加熱空気などのストリッピング用気体18と気液接触し、廃水中のアンモニアは排気ガス19とし、ストリッピング塔15より上部排気する。また、アンモニア濃度が下がった処理水17はストリッピング塔15下部よりポンプ16により抜出し、前述の通り、導入廃水と熱交換器14により熱交換したのち、系外に排出する。接触効率向上のため、ストリッピング塔15内部には、不規則充填物などの充填材15aを充填することが考えられる。
すなわち、酸性成分及びアンモニアを含有する廃水をアルカリ添加せず、又は全添加量の一部量を添加した状態でストリッピング部においてアンモニアストリッピング処理する第1次ストリッピング処理手段と、
第1次ストリッピング処理手段での処理水に対して、アルカリ全添加量又は残量を添加した状態でストリッピング部においてアンモニアストリッピング処理する第2次ストリッピング処理手段とを有する、
ことを特徴とする酸性成分及びアンモニアを含有する廃水のアンモニアストリッピング処理装置によって解決できる。
そして、前記ストリッピング塔は上部に第1次ストリッピング処理手段を有し、下部に第2次ストリッピング処理手段を有し、
前記ストリッピング塔の下部からストリッピング用気体を前記ストリッピング塔上部まで吹き上げる吹き込み手段と、
前記廃水を前記ストリッピング塔上部から流下させる第1次流下手段と、
前記廃水を前記ストリッピング用気体と気液接触させて得た第1次処理水を、前記第1次ストリッピング処理手段の下方で流下させる第2次流下手段と、
を有する形態とすることができる。
前記廃水を前記第1次ストリッピング塔上部から流下させる第1次流下手段と、
前記第2次ストリッピング塔の下部からストリッピング用気体を前記第2次ストリッピング塔上部まで上昇させるストリッピング用気体供給手段と、
前記ストリッピング用気体を前記第1次ストリッピング塔の下部に導く連通手段と、
前記廃水を前記ストリッピング用気体と気液接触させて得た第1次処理水を、前記第2次ストリッピング塔の上部から流下させる第2次流下手段と、
を有する形態も提案される。
酸性成分及びアンモニアを含有する廃水をアルカリ添加せず、又は全添加量の一部量を添加した状態で第1次ストリッピング部において第1次アンモニアストリッピング処理し、
第1次ストリッピング処理した後の処理水に対して、アルカリ全添加量又は残量を添加した状態で第2次ストリッピング部において第2次アンモニアストリッピング処理する、形態を提供する。
そこで、本発明は、ストリッピング処理を、多段とした塔において実施するか、複数の塔を直列に連結した設備を用いることで、アルカリ消費量を減らし、なおかつ処理水のアンモニア濃度を排水規制値レベルまで削減する形態を提案するものである。
ストリッピング塔上部に廃水を供給し、塔上部で脱炭酸のための第1次ストリッピング処理を行う。この時アンモニアも一部放散する。脱炭酸アンモニウムされた廃水を塔中段より抜出し、例えばpH調整槽(タンク)に受ける。pH調整槽にてpH調整の後、脱炭酸アンモニウム廃水をストリッピング塔中段に戻し、第2次ストリッピング処理を行う。
また、アルカリの多少の過剰使用を認め、酸等の濃度変動が小さい場合はpH管理せず一定量のアルカリを添加する方法でもよい。
処理水中のアンモニア濃度が十分に低減されるので、日本国内のみならず海外の排水排出基準(アンモニア性窒素)、N規制等も満足できる。
従来例においては、ストリッピング前のアルカリによるpH調整でアンモニア含有廃水中の炭酸は炭酸塩として液側で回収していた。
上記態様によると、炭酸を炭酸アンモニウムのままあるいは炭酸ガスとアンモニアガスとしてガス側に移行させることで、アルカリの消費量を削減できる。
それにより、河川放流に際してpH調整(中和)に必要な酸の消費量も低減できる。
また、既設ストリッピング処理設備を改良する場合、ストリッピング処理を行う上で必要な熱源は、既に用意されており、新たに外部から加熱する必要はなく、既設のストリッピング塔を延長し炭酸ストリッピング部を設けるだけであるので、設備規模も従来とほぼ同じとすることができる。
ここで、本発明は、アルカリ使用量を低減する目的を有するから、廃水10にアルカリをまったく添加しない状態でストリッピング塔150へ供給するのが好ましいが、処理に必要とされる全添加量の一部のアルカリ量を廃水10に添加した状態でストリッピング塔150へ供給することもできる。この場合のアルカリ添加は、例えば図4の例のように実施することができる。
かくして、第2次ストリッピング処理手段24及び第1次ストリッピング処理手段21によって、廃水に対してストリッピング処理がなされ、ストリッピング処理後のアンモニアは排気ガス19とし、ストリッピング塔150より上部排気される。排気ガス19のその後の処理は前述のとおりである。
他方で、アンモニア濃度が下がった処理水17はストリッピング塔150下部よりポンプ16により抜出し、前述の通り、導入廃水と熱交換器14により熱交換したのち、系外に排出される。
1.第2次ストリッピング処理手段24によって、主にアンモニアがストリッピングされる。
ストリッピング後のガスは第1次ストリッピング処理手段21のストリッピングガスとして利用される。
2.従来技術例では、原廃水中の炭酸アンモニウム又は炭酸水素アンモニウムの炭酸分に対してアルカリを添加する必要があるので、アルカリ消費量は多い。
これに対して、実施の形態では、第1次ストリッピング処理手段21において、実質的にアルカリを添加しないで、アンモニア及び酸性ガスのストリッピング処理がなされ、結果として、炭酸アンモニウム又は炭酸水素アンモニウムが除去される。このように炭酸分が除去された第1次処理水に対してアルカリ添加を行う。
第1次処理水には、既に炭酸アンモニウム又は炭酸水素アンモニウムが除去され、その濃度はかなり低くなっている結果、その残留炭酸分に対して、必要とされる量のアルカリ(アンモニアを乖離させるためのアルカリ)量で足りるので、アルカリ消費量が少なくて足りる。
3.ストリッピング塔150下部からの処理水17については、その後の処理過程(図示せず)において、河川に放流するために、残留炭酸分に相当する少ない量のアルカリを中和するだけの酸の使用量で足りるので、中和用の酸の使用量をも低減できる。
4.添加するアルカリ量が少なくなるので、処理水の塩濃度が低くなる。
5.従来技術例においては、添加するアルカリが多くかつ塩濃度が高いので、結晶が析出する可能性が高い。
これに対し実施の形態では、第1次ストリッピング処理手段21ゾーンではアルカリ分がない又はごく少量であるので、結晶の析出は皆無である。
第2次ストリッピング処理手段24ゾーンではアルカリ分が少ないので、結晶が析出する可能性が低い。
6.第2次ストリッピング処理手段24ゾーンでストリッピングされたアンモニアガス成分は、炭酸アンモニウムが分解する35~60℃以上では炭酸ガスに対してはイナートとしてふるまうため、第1次ストリッピング処理手段21ゾーンでは実質的にストリッピング用ガス量の増大となり第1次ストリッピング処理手段21ゾーンでの炭酸ガスストリッピング効果の増大となる。
第2の実施の形態は、
第1次ストリッピング処理手段のストリッピング部を構成する第1次ストリッピング塔15A、並びに第2次ストリッピング処理手段のストリッピング部を構成する第2次ストリッピング塔15Bを有し、
前記廃水を前記第1次ストリッピング塔15A上部から流下させる第1次流下手段21Aと、
前記第2次ストリッピング塔15Bの下部からストリッピング用気体18を前記第2次ストリッピング塔15B上部まで上昇させるストリッピング用気体供給手段と、
前記ストリッピング用気体を前記第1次ストリッピング塔15Aの下部に導く連通手段28と、
前記廃水10を前記ストリッピング用気体と気液接触させて得た第1次処理水を、前記第2次ストリッピング塔15Bの上部から流下させる第2次流下手段24Aと、
を有するものである。
第2次ストリッピング塔15B上部まで上昇したストリッピング用気体は、連通手段28を介して前記第1次ストリッピング塔15A上部までさらに上昇していく。なお、連通手段28は、第1次ストリッピング塔15Aの充填材21Bの設置位置より低い位置に接続しており、第1次ストリッピング塔15Aの下部に溜まった処理液の液面位置より高い位置で接続していると、圧力損失を小さくでき、ランニングコストを低減できるため特に好ましい。
なお、アルカリの多少の過剰使用を認め、酸等の濃度変動が小さい場合はpH管理せず一定量のアルカリを添加する方法でもよい。
また、実施の形態は2段放散の構成であるが、3段放散以上の構成とすることも可能である。
H2SやHCNなどの弱酸系揮発性物質は、通常は揮発性が高いが、水酸化ナトリウムなどのアルカリを添加しpHが上昇すると、NaHS、Na2S、NaCNなどの形でHS-、S2-、CN-等のイオン化が促進され、その結果、ストリッピング処理によっても揮発せず、処理水中に残留することになる。
実施例は、上記実施形態を模したビーカースケールで、蒸気による放散を想定した蒸留試験を実施した。蒸留試験は、単蒸留装置を使用し、次のように行った。
(原液条件)
NH4 : 12000 mg/kg
IC : 5800 mg/kg (CO3 2-換算で28978mg/kg)
初期pH: 8.7
(1)原液500mlを丸底フラスコに仕込み、pHが11.5になるよう水酸化ナトリウム水溶液を添加後、沸騰石を10個程度加えヒーターで加熱した。
(2)留出液が30mlとなった時点で、留出液30mlと丸底フラスコ内の液30mlをそれぞれ採取した。その後加熱した純水を丸底フラスコに60ml加えた。これを1回の蒸留操作とする。
(3)(2)の操作を6回繰り返す。
(1)原液500mlを丸底フラスコに仕込み、沸騰石を10個程度加えヒーターで加熱した。
(2)留出液が30mlとなった時点で、留出液30mlと丸底フラスコ内の液30mlをそれぞれ採取した。その後加熱した純水を丸底フラスコに60ml加えた。
(3)(2)の操作を3回繰り返す。
(4)3回目の蒸留操作終了後に、pHが11.5になるように水酸化ナトリウム水溶液を添加した。
(5)その後、(2)の操作を3回行った(蒸留操作4~6回目を行った)。
11 アルカリ
12 pH調整槽
14 熱交換器
15A ストリッピング塔
15B ストリッピング塔
150 ストリッピング塔
18 ストリッピング用気体
21A 第1次流下手段
24A 第2次流下手段
Claims (4)
- 酸性成分及びアンモニアを含有する廃水をアルカリ添加せずにアンモニアストリッピング処理する第1次ストリッピング処理手段と、
前記第1次ストリッピング処理手段での処理水に対して、アルカリを添加した状態でストリッピング部においてアンモニアストリッピング処理する第2次ストリッピング処理手段と、
を有し、
前記第1次ストリッピング処理手段のストリッピング部を構成する第1次ストリッピング塔、並びに前記第2次ストリッピング処理手段のストリッピング部を構成する第2次ストリッピング塔と、
前記廃水を前記第1次ストリッピング塔上部から流下させる第1次流下手段と、
前記第2次ストリッピング塔の下部からストリッピング用気体を前記第1次ストリッピング塔上部まで上昇させるストリッピング用気体供給手段と、
前記ストリッピング用気体を前記第1次ストリッピング塔の下部に導く連通手段と、
前記廃水を前記ストリッピング用気体と気液接触させて得た第1次処理水を、前記第2次ストリッピング塔の上部から流下させる第2次流下手段と、
を有し、
前記ストリッピング用気体供給手段が吹き込み管又はリボイラーであり、
前記第2次ストリッピング塔の上部と前記第1次ストリッピング塔の下部を連通するように前記連通手段が接続されており、前記ストリッピング用気体供給手段により、ストリッピング後のガスが第1次ストリッピング処理手段のストリッピングガスとして利用されるように、前記ストリッピング用気体を前記第2次ストリッピング塔の下部から前記第1次ストリッピング塔の上部まで上昇させることを特徴とする酸性成分及びアンモニアを含有する廃水のアンモニアストリッピング処理装置。 - 第1次流下手段及び第2次流下手段のそれぞれ下方に気液接触効率を高める充填材を有する請求項1記載の酸性成分及びアンモニアを含有する廃水のアンモニアストリッピング処理装置。
- アンモニアストリッピング処理に使用するストリッピング用気体が、水蒸気、空気、アンモニアストリッピング処理後のガスの循環利用によるガス、のいずれか1つであること、または、これらのうち少なくとも2つ以上の混合ガスであり、ストリッピング温度を35℃以上で行うことを特徴とする請求項1又は2に記載する酸性成分及びアンモニアを含有する廃水のアンモニアストリッピング処理装置。
- 第1次ストリッピング処理手段のストリッピング部を構成する第1次ストリッピング塔、並びに第2次ストリッピング処理手段のストリッピング部を構成する第2次ストリッピング塔と、
酸性成分及びアンモニアを含有する廃水を前記第1次ストリッピング塔上部から流下させる第1次流下手段と、
前記第2次ストリッピング塔の下部からストリッピング用気体を前記第1次ストリッピング塔上部まで上昇させるストリッピング用気体供給手段と、
前記ストリッピング用気体を前記第1次ストリッピング塔の下部に導く連通手段と、
前記廃水を前記ストリッピング用気体と気液接触させて得た第1次処理水を、前記第2次ストリッピング塔の上部から流下させる第2次流下手段と、
を有し、
前記ストリッピング用気体供給手段が吹き込み管又はリボイラーであり、
前記第2次ストリッピング塔の上部と前記第1次ストリッピング塔の下部を連通するように前記連通手段が接続されており、前記ストリッピング用気体供給手段により、ストリッピング後のガスが第1次ストリッピング処理手段のストリッピングガスとして利用されるように、前記ストリッピング用気体を前記第2次ストリッピング塔の下部から前記第1次ストリッピング塔の上部まで上昇させる、酸性成分及びアンモニアを含有する廃水のアンモニアストリッピング処理装置を用いる、酸性成分及びアンモニアを含有する廃水のアンモニアストリッピング処理方法であって、
酸性成分及びアンモニアを含有する廃水をアルカリ添加せずに前記第1次ストリッピング処理手段のストリッピング部において第1次アンモニアストリッピング処理し、
第1次ストリッピング処理した後の処理水に対して、アルカリを添加した状態で前記第2次ストリッピング処理手段のストリッピング部において第2次アンモニアストリッピング処理する、
ことを特徴とする酸性成分及びアンモニアを含有する廃水のアンモニアストリッピング処理方法。
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