JP7090923B2 - 飲食用組成物、飲食用組成物の呈味を改善する方法及び色を改善する方法、乳酸菌増殖用組成物、大麦の茎葉の栽培方法、阿蘇産又は黒ボク土を用いて栽培した大麦の茎葉 - Google Patents
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Description
[1]大麦の茎及び/又は葉を用いた飲食用組成物であって、
該大麦が、倍取、シルキースノウ、サヌキハダカ、ダイシモチ、イチバンボシ、はがねむぎ、カシマゴール、シュンライ及びファイバースノウから選ばれる少なくとも1の品種の大麦である飲食用組成物。
[2]更に、ビタミン類、タンパク質、食物繊維、多糖類、オリゴ糖、乳製品、豆乳製品、糖類、ミネラル類、植物又は植物加工品、微生物、甘味料、酸味料、着色料、増粘剤、光沢剤、賦形剤、結合剤、滑沢剤、安定剤、希釈剤、増量剤、乳化剤、香料、食品添加物、及び、調味料から選ばれるいずれか1種以上を含有する、[1]に記載の飲食用組成物。
[3]ビタミン類、食物繊維、多糖類、オリゴ糖、糖類、ミネラル類、及び、植物又は植物加工品から選ばれるいずれか1種以上を含有する[1]又は[2]に記載の飲食用組成物。
[4]ビタミン類が、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンC又はビタミンEであり、
食物繊維が、難消化性デキストリン又はポリデキストロースであり、
多糖類が、N-アセチルグルコサミン、ヒアルロン酸又はコンドロイチン硫酸であり、
オリゴ糖が、ビートオリゴ糖、大豆オリゴ糖、キシロオリゴ糖、フラクトオリゴ糖又はイソマルトオリゴ糖であり、
糖類が、デキストリン、ブドウ糖、乳糖、ショ糖、麦芽糖、果糖、エリスリトール、トレハロース、マルチトール、キシリトール又はでんぷんであり、
ミネラル類が、カルシウム、マグネシウム又は鉄であり、
植物又は植物加工品が、レモン、リンゴ、明日葉、ケール、甘藷、甘藷茎葉、じゃがいも、ニンジン、カボチャ、ニガウリ、トマト、グリーンピース、モロヘイヤ、スピルリナ又は抹茶である[1]から[3]のいずれか1項に記載の飲食用組成物。
[5]大麦の茎及び/又は葉を用いた飲食用組成物の呈味を改善する方法であって、
該大麦が、倍取、シルキースノウ、サヌキハダカ、ダイシモチ、イチバンボシ、はがねむぎ、カシマゴール、シュンライ及びファイバースノウから選ばれる少なくとも1の品種の大麦である、前記方法。
[6]大麦の茎及び/又は葉を用いた飲食用組成物の色を改善する方法であって、
該大麦が、倍取、シルキースノウ、サヌキハダカ、ダイシモチ、イチバンボシ、はがねむぎ、カシマゴール、シュンライ及びファイバースノウから選ばれる少なくとも1の品種の大麦である、前記方法。
[7]六条大麦の茎及び/又は葉を含有することを特徴とする乳酸菌増殖用組成物。
[8]前記六条大麦が、倍取、シルキースノウ、イチバンボシ、はがねむぎ、カシマゴール、シュンライ及びファイバースノウから選ばれる少なくとも1の品種の六条大麦である、[7]に記載の乳酸菌増殖用組成物。
[9]月平均で10℃以上の日較差が3ヶ月以上続く条件下で栽培する、大麦の茎及び/又は葉の栽培方法。
[10]栽培期間が、播種から出穂前である、[9]に記載の方法。
[11][9]又は[10]に記載された方法で栽培された大麦の茎及び/又は葉を含有する飲食用組成物。
[12]月平均で10℃以上の日較差が3ヶ月以上続く条件下で栽培する、大麦の茎及び/又は葉。
[13]熊本県阿蘇地域で栽培された六条大麦の茎及び/又は葉。
[14][13]に記載の大麦の茎及び/又は葉を含有する飲食用組成物。
[15]少なくとも一部に黒ボク土を含む土を用いて栽培される六条大麦の茎及び/又は葉。
[16]少なくとも一部に黒ボク土を含む土を用いて栽培され、かつ、飲食用組成物に使用される六条大麦の茎及び/又は葉。
[17]赤土を用いて栽培されたものと比べて、丈、分けつ、色、茎径及び葉幅からなる群から選ばれる少なくとも1種の特性が優れており、かつ、飲食用組成物に使用される六条大麦の茎及び/又は葉。
[18]六条大麦の種又は苗を少なくとも一部に黒ボク土を含む土を用いて栽培する工程
を含む、飲食用組成物に使用される六条大麦の茎及び/又は葉を栽培する方法。
[19][15]~[17]のいずれか1項に記載の六条大麦の茎及び/又は葉、又は[18]に記載の方法によって得られる六条大麦の茎及び/又は葉を含む青汁用の飲食用組成物。
また本発明の呈味の改善方法は、大麦の茎葉を用いた飲食品における風味及び嗜好性を向上させることができる。
また本発明の色の改善方法は、大麦の茎葉を用いた飲食品における色を鮮やかにでき、見た目が美しいものにすることができる。
[1.飲食用組成物]
本発明は、飲食用組成物に関するものである。
前記乳酸菌用培地は、前記乳酸菌増殖用組成物を含有してなり、更に必要に応じて乳酸菌の生育に好適な成分を含有してなる。前記乳酸菌の培養方法は、前記乳酸菌用培地を用いて乳酸菌を培養する方法である。
本発明の栽培方法は、大麦の茎葉の栽培方法に関する。
本発明の六条大麦の茎葉の第1の態様は、熊本県阿蘇地域で栽培された六条大麦の茎葉に関する。以降では、本発明の六条大麦の茎葉の第1の態様を「六条大麦の茎葉(1)」ともよぶ。
本発明の六条大麦の茎葉の第2の態様は、少なくとも一部に黒ボク土を含む土を用いて栽培される六条大麦の茎葉に関する。以降では、本発明の六条大麦の茎葉の第2の態様を「六条大麦の茎葉(2)」ともよぶ。六条大麦の茎葉(2)は、飲食用組成物に使用される六条大麦の茎葉であることが好ましい。
以下の実施例1-1~10-4のうち、前記特定成分を含有していない実施例1-1~1-9は、製造例(参考例)である。
〔実施例1-1〕
原料として、背丈が約30cmで刈り取った倍取の茎葉を用いた。これを水洗いし、付着した泥などを除去し、5~10cm程度の大きさに切断する前処理を行った。前処理した茎葉を、90~100℃の熱湯で90秒間~120秒間、1回のみブランチング処理し、その後、冷水で冷却した。続いて、得られた茎葉を、水分量が5質量%以下となるまで、乾燥機中で、20分間~180分間、80℃~130℃の温風にて乾燥させた。乾燥した茎葉を約1mmの大きさに粗粉砕処理した。得られた大麦の茎葉を、200メッシュ区分を90%以上が通過するように微粉砕処理し、茎葉の乾燥粉末試料を得た。
実施例1-1で用いた品種の代わりに、下記の表1に示す大麦品種を用いた以外は、実施例1-1と同様にして、茎葉の乾燥粉末試料を得た。なお、比較例1-9の大麦品種は、以下の評価例1-1~2-4の標準品として用いた。
実施例1-1~1-7及び比較例1-1~1-9の粉末試料1.8gを、水100mlと混合して各サンプルを得た。これらのサンプルのうち、比較例1-9の粉末試料から得られたサンプルを、標準品とした。
前記の被験者10名に、実施例1-1~1-7及び比較例1-1~1-8の各サンプルについて、標準品である比較例1-9のサンプルと比べて色が鮮やかであるか否かを答えさせた。各サンプルについての「標準品に比べて緑色が鮮やかである」と答えた人の数を、色の鮮やかさの評価点として、図1のグラフに示す。図1に示すように、六条大麦(実施例1-1~1-5、1-7)は、二条大麦(比較例1-2~1-8及び比較例1-9)と比べて、色が鮮やかであり、嗜好性が高いことが判る。また実施例1-6の六条大麦も、二条大麦のうち最も評価の高い比較例1-2及び1-4と同等程度の色の鮮やかさを有することが判る。
前記の10名の被験者に、実施例1-1~1-7及び比較例1-1~1-8の各サンプルを、標準品である比較例1-9のサンプルと飲み比べさせ、標準品と比べて「えぐみが弱い」、甘いと感じるか否かについて、それぞれ答えさせた。各サンプルについての「標準品に比べてえぐみが弱い」、「標準品よりも甘い」とそれぞれ答えた人の数を、えぐみの弱さ、甘さの評価点として、図2のグラフに示す。図2に示すように、六条大麦(実施例1-1~1-6)は、従来から飲食品に使用されている六条大麦(比較例1-1)及び二条大麦(比較例1-9)、並びにその他の二条大麦(比較例1-2~1-8)と比べて、えぐみが弱く、甘いことから、飲みやすく嗜好性が高いことが判る。また、実施例1-7の六条大麦も、えぐみの弱さや甘さの点で二条大麦のうち最も評価の高い比較例1-2及び1-7と同等程度に優れていることが判る。
前記の10名の被験者に、実施例1-1~1-7及び比較例1-1~1-8の各サンプルを、標準品である比較例1-9のサンプルと飲み比べさせ、標準品と比べて、「えぐみが弱い」、「また飲みたい」と感じるか否かについて、それぞれ答えさせた。各サンプルについての「標準品に比べてえぐみが弱い」、「標準品に比べてまた飲みたい」とそれぞれ答えた人の数を、えぐみの弱さ、美味しさの評価点として、図3のグラフに示す。図3に示すように、特定の六条大麦(実施例1-1~1-5)は、従来から飲食品に使用されている六条大麦(比較例1-1)及び二条大麦(比較例1-9)、並びにその他の二条大麦(比較例1-2~1-8)と比べて、えぐみが弱く、美味しいことから、飲みやすく嗜好性が高いことが判る。また実施例1-6及び1-7の六条大麦も、えぐみの弱さや美味しさの点で二条大麦のうち最も評価の高い比較例1-2と同等程度に優れていることが判る。
実施例1-1で用いた品種の代わりに、下記の表2に示す大麦品種を用いた以外は、実施例1-1と同様にして、茎葉の乾燥粉末試料を得た。
実施例1-1、1-2、1-8、1-9及び比較例1-9~1-13の粉末試料1.8gを、水100mlと混合して各サンプルを得た。
被験者として、健常な成人10名を無作為に選出した。これらの被験者10名に対し、以下の(4)~(6)の官能評価を実施した。また、実施例1-8、1-9については比較例1-9を比較対象とする、以下(7)の官能評価も実施した。
前記の10名の被験者に、実施例1-1、1-2、1-8、1-9及び比較例1-10~1-13の各サンプルを、標準品である比較例1-9のサンプルと飲み比べさせ、標準品と比べて青臭さが弱いと感じるか否かを答えさせた。各サンプルについての「標準品と比べて青臭さが弱い」と答えた人の数を、青臭さの弱さの評価点として図4のグラフに示す。
前記の10名の被験者に、実施例1-1、1-2、1-8、1-9及び比較例1-10~1-13の各サンプルを標準品である比較例1-9のサンプルと飲み比べさせ、標準品と比べて、甘みが強いと感じるか否かを答えさせた。各サンプルについて「標準品と比べて甘みが強い」と答えた人の数を、甘みの強さの評価点として、図4のグラフに示す。
前記の10名の被験者に、実施例1-1、1-2、1-8、1-9及び比較例1-10~1-13の各サンプルを標準品である比較例1-9のサンプルと飲み比べさせ、標準品と比べて、「美味しい」と感じるか否かを答えさせた。各サンプルについての「標準品と比べて美味しい」と答えた人の数を、美味しさの評価点として図4のグラフに示す。
前記の被験者10名に、実施例1-8及び1-9の各サンプルについて、前記評価例(1-1)と同様に、標準品である比較例1-9のサンプルと比べて色が鮮やかであるか否かを答えさせたところ、実施例1-8及び1-9のいずれにおいても、被験者10名のうち、9名が「標準品に比べて緑色が鮮やかである」と答えた。よって、実施例1-1~7で用いた六条大麦品種である倍取、シルキースノウ、サヌキハダカ、ダイシモチ、イチバンボシ、シュンライ及びファイバースノウに代えて、はがねむぎ、カシマゴールを用いた場合においても、従来用いていた二条大麦に比べてより色の鮮やかな飲食品が得られることが判る。
〔実施例2-1~2-4及び比較例2-2〕
下記表3で示す品種の大麦の茎葉の粉末1gと、下記表3に示す特定成分である粉末状のビタミンB1を0.005g配合して粉末試料を得た。ビタミンB1としては、チアミン塩酸塩を用いた。ここで同表において、ニシノホシの茎葉の粉末は比較例1-9で得られたものを用い、シルキースノウの茎葉の粉末は実施例1-2で得られたものを用い、イチバンボシの茎葉の粉末は実施例1-5で得られたものを用い、シュンライの粉末は、実施例1-6で得られたものを用い、ファイバースノウの粉末は、実施例1-7で得られたものを用いた(下記の表4~表11においても同様)。
前記のビタミンB1をそのまま粉末試料とした。
実施例2-1~2-4及び比較例2-1~2-2で得られた粉末試料を、水100mlと混合して各サンプルを得た。また、比較例1-9の粉末試料について同様にして得られたサンプルを、標準品とした。
下記表4で示す品種の大麦の茎葉の粉末1gと、下記表4に示す特定成分である粉末状の難消化性デキストリン1g配合して粉末試料を得た。
前記難消化性デキストリンをそのまま粉末試料とした。
実施例3-1~3-4及び比較例3-1~3-2で得られた粉末試料について、(1)評価例3-1と同様にして評価値を得た。その結果を表4に示す。
下記表5で示す品種の大麦の茎葉の粉末1gと、下記表5に示す特定成分である粉末状のヒアルロン酸0.03gを配合して粉末試料を得た。
前記ヒアルロン酸をそのまま粉末試料とした。
実施例4-1~4-4及び比較例4-1~4-2で得られた粉末試料について、(1)評価例3-1と同様にして評価値を得た。その結果を表5に示す。
下記表6で示す品種の大麦の茎葉の粉末1gと、下記表6に示す特定成分である粉末状のフラクトオリゴ糖0.004gを配合して粉末試料を得た。
前記フラクトオリゴ糖をそのまま粉末試料とした。
実施例5-1~5-4及び比較例5-1~5-2で得られた粉末試料について、(1)評価例3-1と同様にして評価値を得た。その結果を表6に示す。
下記表7で示す品種の大麦の茎葉の粉末1gと、下記表7に示す特定成分である粉末状のイソマルトオリゴ糖0.3gを配合して粉末試料を得た。
前記イソマルトオリゴ糖をそのまま粉末試料とした。
実施例6-1~6-4及び比較例6-1~6-2で得られた粉末試料について、(1)評価例3-1と同様にして評価値を得た。その結果を表7に示す。
下記表8で示す品種の大麦の茎葉の粉末1gと、下記表8に示す特定成分である粉末状の麦芽糖1gを配合して粉末試料を得た。
前記麦芽糖をそのまま粉末試料とした。
実施例7-1~7-4及び比較例7-1~7-2で得られた粉末試料について、(1)評価例3-1と同様にして評価値を得た。その結果を表8に示す。
下記表9に示す品種の大麦の茎葉の粉末1gと、下記表9に示す特定成分である粉末状のマルチトール1gを配合して粉末試料を得た。
前記マルチトールをそのまま粉末試料とした。
実施例8-1~8-4及び比較例8-1~8-2で得られた粉末試料について、(1)評価例3-1と同様にして評価値を得た。その結果を表9に示す。
下記表10で示す品種の大麦の茎葉の粉末1gと、下記表10に示す特定成分である粉末状のカルシウム(サンゴカルシウム)0.1gを配合して粉末試料を得た。
前記カルシウムをそのまま粉末試料とした。
実施例9-1~9-4及び比較例9-1~9-2で得られた粉末試料について、(1)評価例3-1と同様にして評価値を得た。その結果を表9に示す。
下記表11で示す品種の大麦の茎葉の粉末1gと、下記表11に示す特定成分である抹茶0.3gを配合して粉末試料を得た。
抹茶をそのまま粉末試料とした。
実施例10-1~10-4及び比較例10-1~10-2で得られた粉末試料について、(1)評価例3-1と同様にして評価値を得た。その結果を表9に示す。
実施例1-1、1-2、1-8、1-9及び比較例1-9、1-10の粉末試料について、生体内での乳酸菌増殖効果のモデル試験として、以下の乳酸菌増殖試験を実施した。
(乳酸菌用培地の作成)
粉末試料0.1gを、50mlコニカルチューブにとり、食品衛生検査指針に準じて作製したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)50mlで懸濁させた。この懸濁液を0.5mlとり、9.5mlPBSで希釈して、粉末試料の含有量が0.01質量%であるPBS(以下「0.01%麦添加PBS」ともいう。)を得た。この0.01%麦添加PBSを試験管に3mlとり、そこに6mlのPBSを加え、粉末試料の含有量が0.0033質量%であるPBS(0.0033%麦添加PBS)を得た。これをオートクレーブにて121℃、20minの条件で滅菌し、乳酸菌用培地を得た。
乳酸菌として、CELL BIOTECH製 Streptococcus faecalisの乾燥菌体(白色微粉末) 5×1011個/gを使用した。この乾燥菌体1gを50ml遠沈管にとり、PBS10mlで懸濁させた。この懸濁液を乳酸菌数の理論値が102個/ml(1×10-9g/ml)となるまで段階希釈したもの1mlを、前記で得られた乳酸菌用培地9mlに添加し、35℃、48hrの条件で静置培養を行った。これらの培養液について、培養開始より0、24、48hr時点におけるCFU測定を行った。CFU測定は、具体的には、BCP培地の寒天プレートに各培養時点の培養液100μlを付したものを、35℃で24時間インキュベートした後、コロニー数を計数することによって行った。
(乳酸菌用の粉末試料入り培地の作成)
<乳酸菌増殖試験1>と同様にして、粉末試料入り培地を作成した。
(乳酸菌用の搾汁試料入り培地の作成)
PBS10mlに搾汁試料3μlを添加した。搾汁試料のBrix値が10%であり、搾汁試料添加後のPBSの密度が1g/cm3と仮定すると、「(3μl×10%)/10ml=0.003%」の計算式から、この培地中の固形分量は0.003質量%と計算された。これをオートクレーブにて121℃、20minの条件で滅菌し、乳酸菌用の粉末試料入り培地を得た。
乳酸菌として、CELL BIOTECH製 Streptococcus faecalisの乾燥菌体(白色微粉末)5×1011個/gを使用した。この乾燥菌体1gを50ml遠沈管にとり、PBS10mlで懸濁させた。この懸濁液を乳酸菌数の理論値が5×103個/mlとなるまで段階希釈した乳酸菌液100μlを、前記で得られた乳酸菌用の粉末試料入り培地9.9ml及び搾汁試料入り培地9.9mlにそれぞれ添加した。これ以外は、<乳酸菌増殖試験1>と同様にして、粉末試料入り培地に乳酸菌を添加した培養液については培養開始より8、24、32及び48hrの各時点におけるCFU測定を行った。また、搾汁試料入り培地に乳酸菌を添加した培養液については、培養開始より24及び48hrの各時点においてCFU測定を行った。これらのCFU測定は、<乳酸菌増殖試験1>と同様の方法で行った。なお各培養液の培養開始0hrのコロニー数は直接測定していないものの、1.6×103cfu/gと考えられる。これは、各培地に添加する前の乳酸菌液(理論値5×103個/ml)のCFU測定をしたところ1.6×105cfu/gであり、前記の各培養液においては、この乳酸菌液を100分の1に希釈しているためである。
[1.阿蘇地域及び鳥栖地域の気温差比較]
大麦を栽培する地域として、阿蘇地域と鳥栖地域を選択し、2013年10月2日に、それぞれの圃場に大麦を播種し、栽培した。なお、本明細書においては、阿蘇地域とは、熊本県の菊池を含む阿蘇山のすそ野一帯で同じような気候を示す地域をいい、鳥栖地域とは、佐賀県の鳥栖及び福岡県の久留米を含む平地一帯で同じような気候を示す地域をいう。
2013年秋に、阿蘇地域と鳥栖地域の圃場において、二条大麦のニシノホシ、六条大麦のファイバースノウ、シルキースノウ及びシュンライを栽培して、阿蘇地域において播種後8日目、19日目、29日目、39日目、44日目、51日目及び63日目に、鳥栖地域において播種後8日目、15日目、27日目、34日目、41日目、49日目及び63日目に、草丈を測定した。その結果を以下の表18に示す。
2013年秋、阿蘇地域及び鳥栖地域において、二条大麦であるニシノホシ並びに六条大麦であるファイバースノウ、シルキースノウ及びシュンライを播種から約70日間栽培し、茎葉を収穫した。これを水洗いし、付着した泥などを除去し、5~10cm程度の大きさに切断する前処理を行った。前処理した茎葉を、ブランチング槽で90~100℃で90~120秒間、1回のみブランチング処理し、その後、冷水で冷却した。続いて、得られた茎葉を、水分量が5質量%以下になるまで、乾燥機中で温風によって乾燥させた。得られた大麦の茎葉を、200メッシュ区分を90%以上が通過するように粉砕機を用いて粉砕処理し、茎葉の乾燥粉末を得た。
[1.阿蘇地域及び北海道地域において栽培した場合の草丈比較評価]
北海道及び阿蘇において、二条大麦のニシノホシ、六条大麦のファイバースノウ、シルキースノウ及びシュンライを、栽培して、播種から約60日目の草丈を測定した。
結果を表21に示す。表中の数値の単位は「cm」である。
阿蘇地域、鳥栖地域及び北海道地域の圃場において、二条大麦のニシノホシ、六条大麦のファイバースノウ、シルキースノウ及びシュンライを栽培して、各品種において、背丈が45cmを超えた播種後日数を比較した結果を表22に示す。
2013年春、阿蘇地域、鳥栖地域及び北海道地域において、六条大麦であるファイバースノウ、シルキースノウ及びシュンライ並びに二条大麦であるニシノホシを播種から約70日間栽培し、茎葉を収穫した。これを水洗いし、付着した泥などを除去し、5~10cm程度の大きさに切断する前処理を行った。前処理した茎葉を、ブランチング槽で90~100℃で90~120秒間、1回のみブランチング処理し、その後、冷水で冷却した。続いて、得られた茎葉を、水分量が5質量%以下になるまで、乾燥機中で温風によって乾燥させた。得られた大麦の茎葉を、200メッシュ区分を90%以上が通過するように粉砕機を用いて粉砕処理し、茎葉の乾燥粉末を得た。
1.実施例11-1~4及び比較例11-1~2
プランターに黒ボク土を入れ、プランター毎に六条大麦「シルキースノウ」、「シュンライ」、「ファイバースノウ」及び「カシマゴール」の4品種(実施例11-1~4)又は二条大麦「ニシノホシ」及び「はるか二条」の2品種(比較例11-1~2)の種4.8gを播種(20g/m2)した。給水や雑草管理などの通常の植物栽培法により、上記6品種の大麦を栽培した。なお、「カシマゴール」および「はるか二条」の種については、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構の九州沖縄農業研究センターから提供されたものを使用した。
実施例11-1~4及び比較例11-1~2で用いた黒ボク土の代わりに、黒ボク土及び赤土の混合土(黒ボク土:赤土=1:9)を用いた以外は、実施例11-1~4及び比較例11-1~2と同様にして、大麦を栽培した。なお、赤土は、天日干しにより乾燥させ、固まっている部分を破砕したものを用いた。
実施例11-1~4及び比較例11-1~2で用いた黒ボク土の代わりに、赤土を用いた以外は、実施例11-1~4及び比較例11-1~2と同様にして、大麦を栽培した。なお、赤土は、天日干しにより乾燥させ、固まっている部分を破砕したものを用いた。
栽培中の六条大麦について、10日間隔で、丈、分けつ数、茎径、葉幅及び色(スケールを使用)を測定した。赤土の測定値を基準とした黒ボク土及び混合土の相対値を表26に示す。表26に示されているとおり、黒ボク土又は黒ボク土及び赤土の混合土で栽培した六条大麦は、赤土で栽培したものと比べて、同じ栽培日数において、丈、分けつ数、茎径、葉幅及び色のいずれかの特性又はこれらの2種以上の特性において優れたものであった。また、黒ボク土を用いた条件では栽培開始後3日目程度で発芽したのに対して、赤土及び混合土を用いた条件では栽培開始後7日目前後で発芽した。このことから、黒ボク土を用いることにより、発芽日数を短縮することができることがわかった。
栽培開始後33日後に収穫した六条大麦「シルキースノウ」及び「カシマゴール」並びに二条大麦「ニシノホシ」及び「はるか二条」の茎葉を水洗いし、付着した泥などを除去した後、得られた茎葉1gを用いて、Folin-Denis法(財団法人日本食品分析センター編集、五訂日本食品標準成分表分析マニュアルの解説)により、総ポリフェノール量(質量%)を、クロロゲン酸を標準物質として測定した。結果を表27に示す。表27が示すとおりに、六条大麦「シルキースノウ」及び「カシマゴール」では、赤土で栽培した場合と比べて、黒ボク土及び混合土で栽培した場合に総ポリフェノール量が増加する傾向にあった。それに対して、二条大麦「ニシノホシ」及び「はるか二条」では、そのような傾向は見られなかった。このことは、黒ボク土を少なくとも一部に含む土で栽培すると、総ポリフェノール量が比較的高い六条大麦の茎葉が得られることを示す。
栽培開始後33日後に収穫した茎葉を水洗いし、付着した泥などを除去した後、得られた茎葉についてジューサーを用いて搾汁し、得られた搾汁液を用いて、HPLCを用いた自動プレカラム誘導体化法でアミノ酸の含有量を測定した。結果、数種のアミノ酸については、総ポリフェノール量と同様に、六条大麦では、赤土で栽培した場合と比べて、黒ボク土及び混合土で栽培した場合にアミノ酸含有量が増加する傾向にあった。このことは、黒ボク土を少なくとも一部に含む土で栽培すると、アミノ酸含有量が比較的高い六条大麦の茎葉が得られることを示す。
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