JP7089901B2 - 油中水型乳化化粧料 - Google Patents

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本発明は、油中水型乳化化粧料に関する。
従来、化粧持続性に優れた化粧料を得るため、種々の表面処理された粉体が用いられている。
例えば、特許文献1には、N-アシルアミノ酸またはその塩により表面処理された粉体と、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルおよびソルビタン脂肪酸エステルから選択される界面活性剤とを含んでなる油中水型乳化化粧料が、化粧持ち効果を維持しつつ、洗浄性が向上されたものであることが記載されている。
特開2016-222587号公報
本発明者は、N-アシルアミノ酸またはその塩により表面処理された着色顔料を含有する油中水型乳化化粧料では、塗布し始めに筋ムラがみられ、落屑がある肌では、きれいに塗布することができず、経時でよれが生じるという課題があることを見出した。
本発明者は、アミノ酸及びアシル化アミノ酸から選ばれる1種又は2種以上で表面処理された着色顔料を含有する油中水型乳化化粧料に、特定のエステル油を併用することにより、塗布し始めの筋ムラが抑制され、落屑が肌にあっても均一に仕上げることができ、経時でもよれが生じないことを見出した。
本発明は、次の成分(A)及び(B):
(A)アミノ酸及びアシル化アミノ酸から選ばれる1種又は2種以上で表面処理された着色顔料 1~20質量%、
(B)25℃で液状のペンタエリスリトール脂肪酸エステル及びジペンタエリスリトール脂肪酸エステルから選ばれるエステル油 0.01~30質量%
を含有する油中水型乳化化粧料に関する。
本発明の油中水型乳化化粧料は、塗布し始めの筋ムラが抑制され、落屑がある肌であっても均一に仕上げることができ、しかも、経時でもよれが生じないものである。
本発明で用いる成分(A)は、アミノ酸及びアシル化アミノ酸から選ばれる1種又は2種以上で表面処理された着色顔料である。
処理される着色顔料としては、通常の化粧料に用いられるものであればいずれでも良く、例えば、無機顔料としては、酸化チタン、酸化亜鉛、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、紺青、群青、酸化クロム、水酸化クロム等の金属酸化物;マンガンバイオレット、チタン酸コバルト等の金属錯体;カーボンブラックなどが挙げられ、有機顔料としては、レーキ顔料等が挙げられる。
また、処理される着色顔料としては、着色顔料で被覆されたものでもよく、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマスなどが挙げられる。
これらのうち、処理される着色顔料としては、金属酸化物から選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含むことが好ましく、酸化チタン、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラから選ばれる少なくとも1種又は2種以上を含むことがより好ましく、少なくとも酸化チタン、黄酸化鉄、黒酸化鉄、ベンガラを含むことがよりさらに好ましい。
これらの着色顔料の表面処理に用いられるアミノ酸としては、例えば、プロリン、ヒドロキシプロリン、アラニン、グリシン、サルコシン、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸等が挙げられ、これらの塩が含まれる。アミノ酸の塩としては、Na、Ca、Al、Mg、Zn、Zr、Ti塩が挙げられる。
また、これらの着色顔料の表面処理に用いられるアシル化アミノ酸において、アシル化アミノ酸のアシル基を構成する脂肪酸残基は、炭素数1~23の脂肪酸残基が好ましく、炭素数8~20の脂肪酸残基がより好ましい。アシル化アミノ酸としては、具体的には、ラウロイルグルタミン酸、ステアロイルグルタミン酸、ラウロイルアスパラギン酸、ジラウロイルグルタミン酸リシン、ラウロイルリジン等が挙げられ、ステアロイルグルタミン酸、ラウロイルアスパラギン酸、ジラウロイルグルタミン酸リシン、ラウロイルリジンが好ましい。アシル化アミノ酸としては、これらの塩が含まれ、これらの塩としては、Na、Ca、Al、Mg、Zn、Zr、Ti塩が挙げられ、Na、Ca塩が好ましく、Na塩がより好ましい。
アシル化アミノ酸塩としては、塗布し始めの筋ムラを抑制させ、落屑がある肌の均一な仕上がりを向上させる観点から、ステアロイルグルタミン酸2Na、ラウロイルアスパラギン酸Naが好ましく、ステアロイルグルタミン酸2Naがより好ましい。
また、成分(A)としては、アミノ酸及びアシル化アミノ酸から選ばれる1種又は2種以上の表面処理に加え、シリコーン処理、フッ素処理、脂肪酸処理から選ばれる1種又は2種以上の表面処理を併用してもよく、アミノ酸及びアシル化アミノ酸から選ばれる1種又は2種以上の表面処理に加え、シリコーン処理から選ばれる1種又は2種以上を併用したものが好ましく、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理から選ばれる1種又は2種以上を併用したものがより好ましく、ジメチルポリシロキサン処理を併用したものがさらに好ましい。
成分(A)としては、塗布し始めの筋ムラを抑制させ、落屑がある肌の均一な仕上がりを向上させる観点から、アシル化アミノ酸処理された着色顔料から選ばれる1種又は2種以上を含むことが好ましく、アシル化アミノ酸処理された黄酸化鉄、アシル化アミノ酸処理された黒酸化鉄、アシル化アミノ酸処理されたベンガラから選ばれる1種又は2種以上とアシル化アミノ酸処理された酸化チタンが共に含まれるのがより好ましい。
着色顔料を表面処理するには、通常の方法により、行うことができる。
処理量は着色顔料によって異なるが、塗布し始めの筋ムラを抑制させ、落屑がある肌の均一な仕上がりを向上させる観点から、表面処理した着色顔料100質量%中、0.1~10質量%であるのが好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
成分(A)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、塗布し始めの筋ムラを抑制させ、落屑がある肌の均一な仕上がりを向上させ、経時でのよれを抑制させる観点から、全組成中に1~20質量%であり、3~18質量%が好ましく、8~17質量%がより好ましい。
成分(B)のエステル油は、25℃で液状のペンタエリスリトール脂肪酸エステル及びジペンタエリスリトール脂肪酸エステルから選ばれるものである。
液状とは、流動性を有するもので、25℃で液体、ペースト状のものである。なかでも、25℃で液体のものが好ましい。
成分(B)を構成する脂肪酸残基としては、飽和脂肪酸残基又は不飽和脂肪酸残基のいずれでも良く、塗布し始めの筋ムラ、経時でのよれを抑制させる観点から、飽和脂肪酸残基が好ましい。また、成分(B)を構成する脂肪酸残基としては、直鎖脂肪酸残基又は分岐鎖脂肪酸残基のいずれでも良く、ヒドロキシ基を有していても良い。
このような脂肪酸残基としては、炭素数6~28の飽和脂肪酸残基が挙げられ、例えば、カプロン酸、カプリル酸、2-エチルヘキサン酸、イソノナン酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等が挙げられる。また、上記飽和脂肪酸残基の中でも、炭素数16~28の飽和脂肪酸残基が好ましい。このような脂肪酸残基としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸等が挙げられる。
また、炭素数16~22の飽和脂肪酸残基がより好ましく、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等が挙げられる。
成分(B)を構成する脂肪酸残基としては、塗布し始めの筋ムラ、経時でのよれを抑制させる観点から、ヒドロキシ基を有するものが好ましく、ヒドロキシステアリン酸残基を有するものが好ましい。
成分(B)を構成するアルコールは、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールであって、塗布し始めの筋ムラ、経時でのよれを抑制させる観点から、ジペンタエリスリトールであることがより好ましい。
成分(B)としては、ペンタエリスリトール脂肪酸エステルとしては、(ベヘン酸/ポリヒドロキシステアリン酸)ペンタエリスリチル等が挙げられ、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステルとしては、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチル、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル等が挙げられる。塗布し始めの筋ムラ、経時でのよれを抑制させる観点から、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステルから選ばれる1種又は2種以上を含むことが好ましく、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルから選ばれる1種又は2種以上を含むことがより好ましく、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチルを含むことがさらに好ましい。
トリポリヒドロキシステアリン酸ジペンタエリスリチルとしては、サラコスWO-6(日清オイリオ社製)、ペンタイソステアリン酸ジペンタエリスリチルとしては、サラコスDP-518N(日清オイリオ社製)等の市販品を用いることができる。
また、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチル、(ベヘン酸/ポリヒドロキシステアリン酸)ペンタエリスリチルは、公知の方法に従って製造することができ、例えば、後記製造例に記載された方法で製造することができる。
成分(B)は、1種又は2種以上を組合わせて用いることができ、含有量は、塗布し始めの筋ムラを抑制させ、落屑がある肌の均一な仕上がりを向上させ、経時でのよれを抑制させる観点から、全組成中に0.01~30質量%であり、0.05~10質量%が好ましく、0.08~5質量%がより好ましく、0.2~2.8質量%がさらに好ましい。
本発明において、成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)は、塗布し始めの筋ムラを抑制させ、落屑がある肌の均一な仕上がりを向上させ、経時でのよれを抑制させる観点から、1~200であるのが好ましく、6~120がより好ましく、16~35がさらに好ましい。
本発明の油中水型乳化化粧料は、さらに、(C)皮膜形成剤を含有することが好ましく、塗布し始めの筋ムラを抑制させ、落屑がある肌の均一な仕上がりを向上させることができる。
成分(C)の皮膜形成剤としては、通常の化粧料に用いられるもので、フッ素変性シリコーン樹脂、トリメチルシロキシケイ酸、アクリルシリコーン樹脂等が挙げられる。
フッ素変性シリコーン樹脂としては、下記一般式(1):
1 gSiO(4-g)/2 (1)
(式中、R1は炭素数1~8の炭化水素基、フェニル基、水酸基又は一般式-R2-Rf(R2は炭素数2~6の2価のアルキレン基を示し、Rfは炭素数1~8のパーフルオロアルキル基を示す)であって、水酸基及び一般式-R2-Rfを必須とする官能基から任意に選ばれ、gは平均数で1.0≦g≦1.8である。尚、複数のR1は、同じであっても、異なっても良い)で表される構造を有するものが好ましい。
フッ素変性シリコーン樹脂は、経時でのよれを抑制させる観点から、分子内にシラノール基を有し、シラノール基中のOH基の割合が、樹脂質量に対して0.1~5質量%であるのが好ましく、0.5~5質量%がより好ましい。
また、フッ素変性シリコーン樹脂は、経時でのよれを抑制させる観点から25℃で固体状であるのが好ましい。
フッ素変性シリコーン樹脂は、固体の状態で配合することができるが、溶剤に溶解して使用することもできる。溶剤としては、シリコーン油が挙げられ、シリコーン油としては、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ジメチルポリシロキサン(2cs)、ジメチルポリシロキサン(10cs)から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
このようなフッ素変性シリコーン樹脂としては、化粧品表示名称「トリフルオロアルキルジメチルトリメチルシロキシケイ酸」(INCI名称「Trifluoropropyldimethyl/Trimethylsiloxysilicate」が好ましく、予め溶剤に溶解させたXS66-B8226(50質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、XS66-B8636(50質量%ジメチルポリシロキサン(10cs)溶液)(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)等の市販品を用いることができる。
トリメチルシロキシケイ酸としては、シロキサン構造を主骨格とした架橋構造を持つ化合物で、[(CH33SiO1/2S[SiO2Tで表されるもの(Sは1~3、Tは0.5~8)が好ましい。
また、トリメチルシロキシケイ酸は、経時でのよれを抑制させる観点から、質量平均分子量が1000~10000のものが好ましく、2000~9000のものがより好ましく、3000~6000のものがさらに好ましい。
また、その性状は、経時でのよれを抑制させる観点から、固体状であるのが好ましい。
トリメチルシロキシケイ酸は、固体の状態で配合することができるが、溶剤に溶解して使用することもできる。溶剤としては、シリコーン油、炭化水素油が挙げられ、メチルトリメチコン、ジメチルポリシロキサン(2cs)、ジメチルポリシロキサン(6cs)、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、イソドデカンから選ばれる1種または2種以上を用いることができる。
トリメチルシロキシケイ酸としては、化粧品表示名称「トリメチルシロキシケイ酸」(INCI名称「Trimethylsiloxysilicate」)が好ましく、SR1000(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、予め溶剤に溶解させたKF-7312T(60質量%メチルトリメチコン溶液)、KF-7312L(50%ジメチルポリシロキサン(2cs)溶液)、KF-7312J(50質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、KF-7312K(50質量%ジメチルポリシロキサン(6cs)溶液)(以上、信越化学工業社製)等の市販品を用いることができる。
アクリルシリコーン樹脂としては、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体、アクリル-シリコーン系グラフト共重合体等が挙げられる。
カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体としては、シリコーンデンドリマー・アクリル共重合体等が挙げられ、例えば、特開平11―1530号公報、特開2000-63225号公報等に記載された製造方法に従って製造することができる。
本発明で用いられるカルボシロキサンデンドリマー構造を有するビニル系重合体の数平均分子量は、経時でのよれを抑制させる観点から好ましくは、3,000~2,000,000であり、さらに好ましくは、5,000~800,000である。
また、その性状は、経時でのよれを抑制させる観点から固体状であるのが好ましい。また、カルボシロキサンデンドリマー構造を有するビニル系重合体は、固体の状態で配合することができるが、溶剤に溶解して使用することもできる。溶剤としては、シリコーン油、炭化水素油が挙げられ、ジメチルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、イソドデカンから選ばれる1種又は2種以上を用いることができる。
カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体としては、シリコーンデンドリマー・アクリル共重合体が好ましく、化粧品表示名称「(アクリレーツ/メタクリル酸ポリトリメチルシロキシ)コポリマー」(INCI名称「Acrylates/Polytrimethylsiloxymethacrylate Copolymer」)が好ましく、予め溶剤に溶解させたFA4001CM(30質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、FA4002ID(40質量%イソドデカン溶液)(以上、東レ・ダウコーニング社製)等の市販品を用いることができる。
アクリル-シリコーン系グラフト共重合体は、分子鎖の片末端にラジカル重合性基を有するオルガノポリシロキサン化合物とアクリレート及び/又はメタクリレートを主体とするラジカル重合性モノマーとのラジカル重合体である。これは、例えば、特開平2-25411号公報、特開平2-132141号公報等に記載されているものや、特開平3-162442号公報、特開2003-104825号公報等に記載のアクリル-シリコーン系グラフト共重合体を使用することができる。
アクリル-シリコーン系グラフト共重合体としては、化粧品表示名称「(アクリレーツ/ジメチコン)コポリマー」(INCI名称「Acrylates/Dimethicone Copolymer」)が好ましく、予め溶剤に溶解させたKP545(30質量%デカメチルシクロペンタシロキサン溶液)、KP549(40質量%メチルトリメチコン溶液)、KP550(40質量%イソドデカン溶液)(以上、信越化学工業社製)等の市販品を用いることができる。
成分(C)の皮膜形成剤としては、塗布し始めの筋ムラを抑制させる観点から、フッ素変性シリコーン樹脂、トリメチルシロキシケイ酸、カルボシロキサンデンドリマー構造を側鎖に有するビニル系重合体から選ばれる1種又は2種以上を含むことが好ましく、フッ素変性シリコーン樹脂、トリメチルシロキシケイ酸から選ばれる1種又は2種以上を含むことがより好ましく、トリメチルシロキシケイ酸から選ばれる1種又は2種以上を含むことがさらに好ましい。
成分(C)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、塗布し始めの筋ムラを抑制させ、落屑がある肌の均一な仕上がりを向上させ、経時でのよれを抑制させる観点から、全組成中に0.01~10質量%が好ましく、0.2~8質量%がより好ましく、0.5~3質量%がさらに好ましい。
本発明において、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)は、塗布し始めの筋ムラを抑制させ、落屑がある肌の均一な仕上がりを向上させ、経時でのよれを抑制させる観点から、0.01~20であるのが好ましく、0.05~10がより好ましく、0.08~4がさらに好ましく、0.14~1.8がよりさらに好ましい。
本発明の油中水型乳化化粧料は、さらに、(D)体積平均粒子径5~100μmの板状粉体を含有することが好ましく、塗布し始めの筋ムラを抑制させ、落屑がある肌の均一な仕上がりを向上させることができる。
ここで、板状とは、形状が狭義の板状の他、薄片状、鱗状等の形状の粉体も含まれる。
成分(D)の板状粉体は、塗布し始めの筋ムラを抑制させ、落屑がある肌の均一な仕上がりを向上させる観点から、体積平均粒子径は8~60μmであるのが好ましく、10~30μmがより好ましい。また、アスペクト比10~80であるのがが好ましく、15~70がより好ましい。
ここで、体積平均粒子径は、レーザー回折散乱粒度分布測定器(堀場製作所製、LA-920)により測定される。本発明において、体積平均粒子径とは、体積基準の平均粒子径であり、50%メジアン径とする。
また、アスペクト比は、体積平均粒子径と粒子の平均厚さとの比により計算されるものであり、アスペクト比=(体積平均粒子径/平均厚さ)で定義される。
なお、粒子の平均厚さは、走査型電子顕微鏡や透過型電子顕微鏡により観察して測定した10~50個の母粒子の厚さを数平均して求められる。
成分(D)の板状粉体としては、例えば、板状酸化セリウム、板状硫酸バリウム、タルク、板状カオリン、セリサイト、白雲母、板状合成雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、板状無水ケイ酸、板状ヒドロキシアパタイト、ベントナイト、モンモリロナイト、ヘクトライト、板状セラミックスパウダー、板状アルミナ、板状窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、アルミニウム、板状ガラス末等が挙げられる。なお、成分(D)には、前述の成分(A)は含まれない。
成分(D)の板状粉体としては、塗布し始めの筋ムラを抑制させ、落屑がある肌の均一な仕上がりを向上させる観点から、タルク、板状合成雲母、板状ガラス末から選ばれる1種又は2種以上を含むことが好ましく、タルク、板状ガラス末から選ばれる1種又は2種以上を含むことがより好ましい。
成分(D)としては、例えば、タルクとして、タルクJA-46R(体積平均粒子径9μm)、タルクJA-68R(体積平均粒子径10.5μm)(以上、浅田製粉社製)等;板状合成雲母として、PDM-1000(体積平均粒子径12μm)、PDM-40L(体積平均粒子径40μm)(以上、トピー工業社製)等;板状ガラス末としては、シルキーフレークFTD010FY-F11(体積平均粒子径10μm)、シルキーフレークFTD025FY-F12(体積平均粒子径25μm)(以上、日本板硝子社製)等の市販品を用いることができる。
また、成分(D)の板状粉体は、そのまま用いることができるほか、必要に応じて、疎水化処理したものを用いることもできる。
疎水化処理としては、シリコーン処理、フッ素処理、脂肪酸処理、N-アシルアミノ酸処理等が挙げられる。シリコーン処理としては、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理、アルキルアルコキシシラン処理等が挙げられ、フッ素処理としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル処理、パーフルオロアルキルアルコキシシラン処理等が挙げられ、脂肪酸処理としては、ステアリン酸処理、ミリスチン酸処理等が挙げられ、N-アシルアミノ酸処理としては、ラウロイルリジン処理、ジラウロイルグルタミン酸リシンNa処理、ステアロイルグルタミン酸2Na処理、ラウロイルアスパラギン酸Na処理等が挙げられる。
疎水化処理としては、塗布し始めの筋ムラを抑制させ、落屑がある肌の均一な仕上がりを向上させる観点から、シリコーン処理、フッ素処理が好ましく、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理、アルキルアルコキシシラン処理、パーフルオロアルキルアルコキシシラン処理がより好ましく、メチルハイドロジェンポリシロキサン処理、ジメチルポリシロキサン処理がさらに好ましい。
疎水化処理は、通常の方法により行うことができる。
なお、成分(D)を疎水化処理した場合、成分(D)の含有量、体積平均粒子径、粒子の厚さは、疎水化処理した剤を含めての含有量、体積平均粒子径、粒子の厚さを意味する。
成分(D)は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、塗布し始めの筋ムラを抑制させ、落屑がある肌の均一な仕上がりを向上させる観点から、全組成中に0.1~10質量%が好ましく、1~8質量%がより好ましく、2~7質量%がさらに好ましい。
本発明の油中水型乳化化粧料は、さらに、成分(B)以外の25℃で液状の油成分を含有することができる。25℃で流動性を有する油性成分であり、流動性を有する限りペースト状の油性成分も含まれる。
成分(B)以外の25℃で液状の油成分としては、エステル油、シリコーン油、炭化水素油、炭素数12~22の脂肪酸、炭素数12~22の高級アルコール等が挙げられる。
これらのうち、エステル油としては、例えば、パラメトキシケイ皮酸オクチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、安息香酸アルキル(C12~C15)等の安息香酸アルキル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸エチルヘキシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル等のモノエステル油、セバシン酸ジ2-エチルヘキシル、セバシン酸ジイソプロピル、ジカプリン酸ジエチレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジ2-エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル等のジエステル油、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル等のトリエステル油等が挙げられる。
シリコーン油としては、ジメチルポリシロキサン、ジメチルシクロポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン等が挙げられる。
炭化水素油としては、流動パラフィン、水添ポリイソブテン等の流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン、流動オゾケライト、スクワラン、プリスタン、スクワレン、イソヘキサデカン等が挙げられる。
炭素数12~22の脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸等が挙げられる。
炭素数12~22の高級アルコールとしては、例えば、オレイルアルコール、2-デシルテトラデシノール、ドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
成分(B)以外の25℃で液状の油成分としては、塗布し始めの筋ムラを抑制させ、落屑がある肌の均一な仕上がりを向上させ、経時でのよれを抑制させる観点から、モノエステル油、ジエステル油、トリエステル油、ジメチルシクロポリシロキサン、粘度50cs以下のジメチルポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を含むことが好ましく、モノエステル油、ジエステル油、ジメチルシクロポリシロキサン、粘度50cs以下のジメチルポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を含むことがより好ましく、モノエステル油、ジメチルシクロポリシロキサン、粘度50cs以下のジメチルポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を含むことがさらに好ましく、モノエステル油、ジメチルシクロポリシロキサン、粘度20cs以下のジメチルポリシロキサンから選ばれる1種又は2種以上を含むことがよりさらに好ましい。
なお、粘度の測定は、25℃において、B型粘度計(TOKI SANGYO VISCOMETER TVB-10M、東機産業社製)、ロータ1にて、60rpm、1分間の条件で行うことができる。
成分(B)以外の25℃で液状の油成分は、1種又は2種以上を用いることができ、含有量は、塗布し始めの筋ムラを抑制させ、落屑がある肌の均一な仕上がりを向上させ、経時でのよれを抑制させる観点から、全組成中に1~50質量%が好ましく、10~45質量%がより好ましく、15~40質量%がさらに好ましい。
本発明の油中水型乳化化粧料において、水の含有量は、全組成中に5~70質量%が好ましく、10~50質量%がより好ましく、15~40質量%がさらに好ましい。
本発明の油中水型乳化化粧料は、前記成分以外に、通常化粧料に用いられる成分、例えば、前記以外の粉体、前記以外の油性成分、前記以外の高分子化合物、界面活性剤、酸化防止剤、香料、色素、防腐剤、pH調整剤、血行促進剤、冷感剤、制汗剤、殺菌剤、皮膚賦活剤、保湿剤、清涼剤等を含有することができる。
本発明の油中水型乳化化粧料は、通常の方法に従って製造することができ、液状、乳液液、ペースト状、クリーム状、ジェル状等の剤型にすることができ、液状、乳液状、クリーム状が好ましい。
また、本発明の油中水型乳化化粧料は、化粧下地、ファンデーション、コンシーラー;ほお紅、アイシャドウ、マスカラ、アイライナー、アイブロウ、オーバーコート剤、口紅等のメイクアップ化粧料;日やけ止め乳液、日焼け止めクリーム等の紫外線防御化粧料などとして適用することができる。なかでも、化粧下地、ファンデーションがより好ましい。
本発明の油中水型乳化化粧料は、単品のみの使用においても、リキッドファンデーションやパウダーファンデーション・白粉等の粉体化粧料の重ね付けにおいても使用することができる。
実施例に用いる2種の成分(B)の製造例を以下に示す。
製造例1(テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチルの製造):
攪拌機、温度計、窒素ガス吹込管及び水分離管を備えた3Lの4つロフラスコに、ジペンタエリスリトール〔商品名:ジ・ペンタリット、広栄化学工業社製〕58.4g(0.23モル)と2-(1,3,3-トリメチル)ブチル-5,7,7-トリメチルオクタン酸〔商品名:イソステアリン酸、日産化学工業社製〕293.9g(1.03モル)を仕込んだ(原料仕込み質量比=10:50.3)。その後、ジブチルチンオキサイド(触媒)を全仕込み量の0.05質量%、キシレン(還流溶剤)を全仕込み量の5質量%加え、攪拌しながら200~250℃で約21時間反応を行った。反応終了後、還流溶剤であるキシレンを減圧留去した。キシレンを除去した反応物を、活性白土により吸着処理し、次いで60℃程度まで冷却後ろ過し、常法にて脱臭・蒸留処理を行うことで、テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチルを245g得た。
テトライソステアリン酸ジペンタエリスリチルの酸価は0.2、水酸基価は81、凝固点-16℃であり、-30℃でも曇らなかった。また、25℃における粘度は、35万mPa・sであり、25℃で液状であった。粘度は、ブルックフィールド型粘度計(BH型)を用い、25℃にてローターNo.6を用い、2rpmにて測定した。
製造例2((ベヘン酸/ポリヒドロキシステアリン酸)ペンタエリスリチルの製造):
(1)撹拌機、温度計、窒素ガス吹込管及び水分分離器を備えた1Lの四つ口フラスコに、12-ヒドロキシステアリン酸(小倉合成工業社製、商品名「12-ヒドロ酸HP」、純度:99質量%)540gを仕込み、触媒として全体仕込み量の0.1%の塩化スズ、及び還流溶剤として全体仕込み量の5%のキシロールを加え、窒素気流下、生成した水を除去しながら200℃の温度で、15時間反応を行い、12-ヒドロキシステアリン酸重合物を得た。得られた重合物の酸価を測定したところ、酸価は19.4mgKOH/gであり、酸価より算出した平均重合度は10.2であることから、得られた生成物は12-ヒドロキシステアリン酸10量体であった。
(2)次いで、撹拌機、温度計、窒素ガス吹込管及び水分分離器を備えた1Lの四つ口フラスコに、上述のようにして得られた12-ヒドロキシステアリン酸重合物(酸価:19.4mgKOH/g、10量体)514g、ベヘン酸(ユニケマ社製、商品名「PRIFRAC2989」)82g及びペンタエリスリトール(李長栄化学工業社製、商品名「ペンタエリスリトール」)16gを加え、窒素気流下、生成した水を除去しながら210℃の温度で、生成物の酸価が1.4mgKOH/g以下になるまで反応を行った。
反応終了後、触媒を濾別し、次に活性白土を用いて脱色後、常法にて脱臭を行い、常温でペースト状のエステル化反応生成物(ベヘン酸/ポリヒドロキシステアリン酸)ペンタエリスリチル246gを得た。
得られたエステル化反応生成物の酸価は1.6mgKOH/gであり、水酸基価は21mgKOH/gであった。また、得られたエステル化反応生成物の脂肪酸残基における7量体以上の12-ヒドロキシステアリン酸重合物のモル比(%)は43%であり、ベヘン酸のモル比(%)は57%である。
実施例1~10及び比較例1~2
表1に示す組成の油中水型乳化化粧料(ファンデーション)を製造し、「塗布し始めの筋ムラ」、「落屑がある肌での仕上り」、「経時でのよれのなさ」について、評価した。結果を表1に併せて示す。
(製法)
粉体相成分を混合粉砕し、別途混合した油相成分に添加してディスパー(2000rpm)で10分間分散した。その後、水相成分を添加し、ディスパー(800rpm)で10分間撹拌して、油中水型乳化化粧料を得た。
(評価方法)
(1)塗付し始めの筋ムラ:
各油中水型乳化化粧料0.5gを指先に取り、上腕内側の肌に、1cm×3cmの大きさに対し、長軸方向へ3回同じ方向に伸ばして、塗布した各油中水型乳化化粧料の指の跡を目視評価した。専門評価者5名が下記の4段階で官能評価し、5名の合計点で示した。
4;筋ムラが全く目立たない。
3;筋ムラがほとんど目立たない。
2;筋ムラがやや目立つ。
1;筋ムラが非常に目立つ。
(2)落屑がある肌での仕上り:
肌に落屑があり、肌が荒れている女性が、スポンジを用いて各油中水型乳化化粧料を0.01g/30cm2塗布した。塗布後の肌の仕上がり(ファンデーションの塗布状態)について、専門評価者5名が下記の4段階で評価し、5名の合計点で示した。
4;仕上がりが非常にきれい。
3;仕上がりがきれい。
2;仕上がりがあまりきれいではない。
1;仕上がりが明らかにきれいではない。
(3)経時でのよれのなさ:
スポンジを用いて各油中水型乳化化粧料を0.01g/30cm2塗布した。塗布5時間経過後の肌のよれについて、専門評価者5名が下記の4段階で官能評価し、5名の合計点で示した。
4;よれが全くない。
3;よれがほとんどない。
2;よれがややある。
1;よれが明らかにある。
Figure 0007089901000001
実施例11~14
実施例1~10と同様にして、表2に示す組成の油中水型乳化化粧料(ファンデーション)を製造した。
得られたファンデーションは、塗布し始めに筋ムラが目立たず、落屑がある肌でもファンデーションがきれいに塗れて、良好な仕上がりが得られ、経時でのよれが生じない。
Figure 0007089901000002

Claims (3)

  1. 次の成分(A)、(B)及び(C)
    (A)アミノ酸及びアシル化アミノ酸から選ばれる1種又は2種以上で表面処理された着色顔料1~20質量%、
    (B)25℃で液状のペンタエリスリトール脂肪酸エステル及びジペンタエリスリトール脂肪酸エステルから選ばれるエステル油 0.01~30質量%
    (C)皮膜形成剤 0.01~10質量%
    を含有し、成分(C)に対する成分(B)の質量割合(B)/(C)が、0.05~10である、油中水型乳化化粧料。
  2. 成分(B)に対する成分(A)の質量割合(A)/(B)が、1~200である請求項1記載の油中水型乳化化粧料。
  3. さらに、(D)体積平均粒子径5~100μmの板状粉体を含有する請求項1又は2記載の油中水型乳化化粧料。
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