JP4860328B2 - 表面被覆粉体及びそれを配合する化粧料 - Google Patents

表面被覆粉体及びそれを配合する化粧料 Download PDF

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Description

本発明は、表面被覆粉体に関するものであり、さらに詳しくは、付着性、展延性、疎水性に優れる表面被覆粉体に関するものである。また、本発明の表面被覆粉体を化粧料に配合した時には、化粧持ち、伸び広がり、肌への付着性及び肌なじみに優れるものである。
表面被覆粉体とは、粉体表面に油剤や他の粉体を物理的に吸着もしくは化学的に反応させ、粉体の表面の状態及び性質を変化させた粉体であり、未被覆の状態と比較して表面被覆粉体は、表面の濡れ性、例えば親水性や疎水性等の物理化学的性質又は発色性等の光学的性質を著しく異なるものとすることができる。化粧品業界においても、従来より表面被覆粉体を利用する技術は検討されてきている。特に、ジメチルポリシロキサンやメチルハイドロジェンポリシロキサン等のシリコーン化合物を被覆して疎水性が付与された粉体は、非常に汎用されているものである。そこで、シリコーン化合物以外の疎水化処理剤も検討されている。例えば、水素添加レシチンを用いた技術(例えば、特許文献1)や、粒子表面にA層(常温で固体状の表面処理剤被覆層)とB層(常温で液体状の表面処理剤被覆層)を形成する技術(例えば、特許文献2)等が挙げられる。
特公平4−58443号公報 特開2001−72527号公報
しかしながら、シリコーン化合物による表面被覆粉体は、疎水性には優れるものの、化粧料に配合した場合、肌への付着性、モイスチュアー効果、分散性において必ずしも良いものではなかった。従来技術の表面被覆粉体は、それぞれの問題点を解決したものであったが、化粧料に配合した場合、十分な品質を実現することには至らなかった。特に、付着性、肌なじみ等の使用感触が十分ではなかった。
かかる実情に鑑み、本発明者らは鋭意検討した結果、粉体に特定のエステル化合物であるダイマー酸とダイマージオールとのオリゴマーエステルの両末端のカルボキシル基をイソステアリルアルコールでエステル化した化合物を表面被覆することにより、付着性、展延性、疎水性において良好であることを見出し、本発明を完成した。また、該エステル化合物及び疎水化処理剤により表面被覆した粉体、もしくは疎水化処理した表面被覆粉体をさらに該エステル化合物により表面被覆した粉体が、疎水性に加え、付着性や展延性においても良好であることを見出し、本発明を完成した。さらにそれらの表面被覆粉体を配合する化粧料が、肌への付着性や伸び広がりが良好で化粧持ちに優れることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、粉体を成分(a)下記一般式(1)に示すダイマー酸とダイマージオールとのオリゴマーエステルの両末端のカルボキシル基をイソステアリルアルコールでエステル化した化合物で表面被覆して得られた表面被覆粉体であることを特徴とする表面被覆粉体を提供するものである。
OCO−R−(−COO−R−OCO−R−)−COOR ・・・(1)
(式中、Rはダイマー酸残基を、Rはダイマージオール残基を、Rはイソステアリルアルコール残基を示し、nは4〜6の数を示す。)
また、粉体を前記成分(a)及び成分(b)疎水化処理剤により被覆したことを特徴とする表面被覆粉体、及び、粉体を成分(b)により被覆し、さらに成分(a)により被覆したことを特徴とする表面被覆粉体を提供するものである。さらには、上記表面被覆粉体を配合することを特徴とする化粧料を提供するものである。
本発明の表面被覆粉体は、付着性、展延性、疎水性に優れる表面被覆粉体に関するものである。さらに、その表面被覆粉体を配合する化粧料は、化粧持ち、肌への付着性及び肌なじみに優れるものである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の表面被覆粉体に用いられる成分(a)のダイマー酸とダイマージオールとのオリゴマーエステルの両末端のカルボキシル基をイソステアリルアルコールでエステル化した化合物(以下、単に「エステル化合物」と表す場合がある)は、下記一般式(1)で表すことができる。
OCO−R−(−COO−R−OCO−R−)−COOR ・・・(1)
(式中、Rはダイマー酸残基を、Rはダイマージオール残基を、Rはイソステアリルアルコール残基を示し、nは4〜6の数を示す。)
成分(a)エステル化合物は、ダイマー酸とダイマージオールから得られるオリゴマーエステルの両末端に存在するカルボキシル基をイソステアリルアルコールでエステル化した化合物である。
出発物質である、ダイマー酸は、不飽和脂肪酸の分子間重合反応によって得られるが、炭素数が11〜22の不飽和脂肪酸を2量化して得られ、炭素数36程度の二塩基酸が主成分である。CAS番号で、61788−89−4が該当する。また、ダイマー化反応において、二重結合を水素化した、水素添加ダイマー酸が好ましい。市販品としては、例えばPRIPOL1006、同1009、同1015、同1025等(ユニケマ社製)が挙げられる。
ダイマージオールは、前記ダイマー酸及び/又はその低級アルコールエステルを触媒存在下で水素添加して、ダイマー酸のカルボン酸部分をアルコールとした炭素数36程度のジオールを主成分としたものである。市販品としては、例えばPRIPOL2033等(ユニケマ社製)が挙げられる。
イソステアリルアルコールは、ダイマー酸の副産物から得られた脂肪酸を還元して得られるものや、ガーベット法により得られるもの、アルドール縮合法により得られるもの等が挙げられるが、特に限定されずいずれのものを使用することもできる。市販品としては、例えばSpeziol C18 ISOC(コグニス社製)等が挙げられる。
成分(a)エステル化合物の製造方法は特に限定されないが、例えば、ダイマー酸とダイマージオールをエステル化してオリゴマーエステルを得た後、更にイソステアリルアルコールで、カルボキシル基をエステル化することにより得ることができる。また、ダイマー酸とダイマージオール及びイソステアリルアルコールを一度にエステル化させることにより得ることができる。
成分(a)の製造において、中間体としてオリゴマーエステルを得る場合、中間体であるダイマー酸とダイマージオールとのオリゴマーエステルは、それぞれの仕込み比を変えることにより、得られるエステルの平均エステル化度や平均分子量を調整することができる。その仕込み比の範囲は、ダイマー酸1モル当量に対してダイマージオールを0.4〜0.9モル当量であることが好ましい。更に、イソステアリルアルコールでエステル化する場合、残存するカルボキシル基に対し0.8〜1.5モルであることが好ましい。
成分(a)エステル化合物を得る場合の、エステル化反応の条件は特に限定されず、通常用いられる方法で行われる。例えば、触媒としてパラトルエンスルホン酸、硫酸、塩酸、メタンスルホン酸、三フッ化硼素ジエチルエーテル錯体等を用い、溶媒としてヘプタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン等を用いて、50〜260℃で行うことができる。あるいは無溶剤、無触媒でも100〜260℃でエステル化を行うことができる。
成分(a)エステル化合物は、25℃における粘度が10,000〜20,000mPa・sであることが好ましい。このようなエステル化合物としては、LUSPLAN DA−DD−IS(日本精化社製)が挙げられる。尚、粘度は、コーンプレート型粘度計(Haake社製ROTO visco1)を用い、条件は、ずり速度100(1/s)、コーン直径35mm、角度2°で測定した。
本発明の表面被覆粉体に用いられる粉体としては、球状、板状、針状等の形状、煙霧状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造、等により特に限定されず、いずれのものも使用することができる。特に化粧料に用いる場合は、通常化粧料に用いられる粉体であれば、いずれのものも使用することができる。例えば、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、複合粉体類、等が挙げられる。具体的には、酸化チタン、黒酸化チタン、コンジョウ、群青、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、二酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化クロム、水酸化クロム、カーボンブラック、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、マイカ、合成マイカ、合成セリサイト、セリサイト、タルク、炭化珪素、硫酸バリウム、窒化硼素等の無機粉体類、オキシ塩化ビスマス、雲母チタン、酸化鉄コーティング雲母、酸化鉄雲母チタン、有機顔料被覆雲母チタン、アルミニウムパウダー等の光輝性粉体類、ナイロンパウダー、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体パウダー、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体パウダー、ウールパウダー、シルクパウダー、結晶セルロース、N−アシルリジン、タール系顔料等の有機粉体類、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン被覆ガラスフレーク、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体等が挙げられる。
本発明の表面被覆粉体において、成分(a)を粉体に被覆する方法は、湿式法、乾式法を問わず通常公知の粉体被覆処理技術を用いることが可能である。具体的には、流動層コートによる処理方法、メカノケミカルによる表面被覆処理方法、メカノケミカルによる表面被覆処理方法、高速攪拌混合による表面被覆処理方法、若しくは、イソプロピルアルコール等の溶媒を粉体に添加してスラリーとし、これに成分(a)を混合後、減圧下加熱して溶剤を留去する方法などが挙げられる。
本発明の表面被覆粉体において、成分(a)のエステル化合物の被覆量は、特に限定されないが、粉体と成分(a)のエステル化合物との比率は質量比で、粉体:エステル化合物=99.9:0.1〜92:8が好ましく、99:1〜95:5が特に好ましい。成分(a)をこの範囲で、被覆すると、付着性、展延性、疎水性に優れた表面被覆粉体を得ることができるため好ましい。
本発明の表面被覆粉体において、成分(b)の疎水化処理剤は、粉体表面に化学的もしくは物理的に吸着させ、粉体表面を疎水性にするものであればいずれのものを使用することができ、高い疎水性を得たい場合は非常に有利である。具体的には、ジメチルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、(ジメチコン/メチコン)コポリマー、反応性のシリコーン、反応性シラン、高粘度シリコーン、架橋型シリコーン、アクリル変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、シリコーン樹脂等のシリコーン化合物、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、非イオン性界面活性剤等の界面活性剤、金属石鹸、ポリイソブチレン、ワックス、油脂等の油剤、パーフルオロアルキルリン酸(塩)、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロポリエーテルアルキルリン酸等のフッ素化合物、PVP−ヘキサデセンのコポリマー等のPVP変性ポリマー等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。
本発明の表面被覆粉体において、化粧料に配合する場合、成分(b)は、化粧持ちや使用性の観点より、シリコーン化合物が特に好ましい。市販品としては、KF−96A(6CS)、KF−99P、KF−9901(信越化学工業社製)等が挙げられる。
また、成分(b)を粉体に被覆する方法は通常公知の方法が用いられ、例えば、イソプロピルアルコール等の溶媒を使用する湿式法、気相法、メカノケミカル法等が挙げられる。
本発明の表面被覆粉体において、成分(b)の疎水化処理剤の被覆量は、特に限定されず処理剤の種類及び粉体の種類により異なるが、粉体と成分(b)の疎水化処理剤との比率は質量比で、粉体:疎水化処理剤=99.95:0.05〜85:15が好ましく、99.5:0.5〜93:7が特に好ましい。成分(b)をこの範囲で、被覆すると、特に、疎水性に優れた表面被覆粉体を得ることができるため好ましい。
本発明の表面被覆粉体の表面処理の順番は、成分(a)、成分(b)同時であっても、どちらが先であっても特に限定されないが、まず成分(b)で被覆処理を行い、次いで成分(a)で被覆することにより、疎水性に加え付着性や展延性の点において優れるものが得られるため好ましい。また、この表面被覆粉体を配合した化粧料は、化粧持ち、肌への付着性及び肌なじみに優れるものが得られるため好ましい。
本発明の表面被覆粉体において、まず成分(b)で被覆処理を行い、次いで成分(a)で被覆することにより得られる表面被覆粉体は、成分(b)を前記記載の方法で被覆した粉体を粉砕し、その後成分(a)を前記記載の方法で被覆し、さらに粉砕することによって得られる。この表面被覆粉体において、成分(a)の被覆量は、特に限定されないが、粉体と成分(a)のエステル化合物との比率は質量比で、粉体:エステル化合物=99.9:0.1〜92:8が好ましく、99:1〜95:5が特に好ましい。また、成分(b)の被覆量は、特に限定されないが、粉体と成分(b)の疎水化処理剤との比率は質量比で、粉体:疎水化処理剤=99.95:0.05〜85:15が好ましく、99.5:0.5〜93:7が特に好ましい。
本発明の表面被覆粉体は、化粧料用として使用することができる他に、特に限定されないが、プラスチックの添加剤、インク、塗料、トナー(磁性粉)等の各種分野で広く使用することができる。
本発明の表面被覆粉体を化粧料に配合した場合、化粧持ち、肌への付着性や肌なじみに優れ、さらに伸び広がりの良い化粧料を得ることができる。
本発明の表面被覆粉体の化粧料への配合量は、特に限定されないが、0.1〜99%が好ましく、3〜95%がより好ましい。この範囲で、本発明の表面被覆粉体を化粧料に配合すると、化粧持ち、肌への付着性や肌なじみに優れ、さらに伸び広がりの良い化粧料を得ることができる。
本発明の表面被覆粉体及びそれを配合する化粧料には、上記成分の他に、通常、化粧料に使用される成分、油剤、界面活性剤、油ゲル化剤、紫外線吸収剤、水溶性高分子、トリメチルシロキシケイ酸等の油溶性被膜形成剤、水性成分、パラオキシ安息香酸誘導体、フェノキシエタノール等の防腐剤、ビタミン類、美容成分、香料等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜配合することができる。
本発明の表面被覆粉体を配合する化粧料には、粉っぽさの抑制、肌への付着性向上、エモリエント感の付与、化粧持続性の向上等の目的で、通常化粧料に用いられる油剤が配合可能であり、動物油、植物油、合成油等の起源及び、固形油、半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、ロウ類、硬化油類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、シリコーン油類、フッ素系油類、ラノリン誘導体類等の油剤が挙げられる。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、ポリブテン、パラフィンワックス、セレシンワックス、マイクロクリスタリンワックス、モクロウ、モンタンワックス、フィッシャトロプスワックス等の炭化水素類、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、ラノリン、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ゲイロウ等のロウ類、セチルイソオクタネート、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、トリオクタン酸グリセリル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリベヘン酸グリセリル、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、コレステロール脂肪酸エステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル・ベヘニル・オクチルドデシル)等のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ロジン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等の脂肪酸類、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ラウリルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ベヘニルアルコール等の高級アルコール類、低重合度ジメチルポリシロキサン、高重合度ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、フッ素変性シリコーン等のシリコーン類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール等のラノリン誘導体類、等が挙げられ、これらを一種又は二種以上用いることができる。本発明の化粧料における油剤の配合量は、化粧料の用途によって異なるが、概ね0〜95%の範囲が好ましい。
本発明の表面被覆粉体を配合する化粧料は、例えば、ファンデーション、白粉、頬紅、化粧下地、口紅、アイシャドウ、アイブロウ、コンシーラー、マスカラ、アイライナー等のメーキャップ化粧料が好ましく、さらには、クレンジング料、ボディーソープ、ハンドソープ、洗顔料等の洗浄料、化粧水、乳液、クリーム、リップクリーム、制汗剤、日焼け止め乳液や日焼け止めクリーム等のサンケア製品等のスキンケア化粧料、シャンプー、リンス、トリートメント、ヘア乳液、ヘアクリーム、ヘアマスカラ、チック等の頭髪化粧料等も挙げられる。剤型は粉末状、プレス状、液状、乳液状、固形状、ペースト状、ゲル状、スプレー状等種々の形態を選択することができる。
以下に実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
(合成例1)
「ダイマー酸ダイマージオールオリゴマーエステルイソステアリルアルコールエステル化合物」
水素添加ダイマー酸(PRIPOL1006:ユニケマ社製)200g(0.348モル)及びダイマージオール(PRIPOL2033:ユニケマ社製)132g(0.243モル)を反応器に仕込み、窒素気流中210〜220℃に加熱し、生成する水を留去しながら5時間エステル化反応を行い、中間体であるダイマー酸ダイマージオールオリゴマーエステル(ダイマー酸:ダイマージオール=1:0.7)323gを得た。さらに、当該オリゴマーエステル307gとイソステアリルアルコール(Speziol C18 ISOC:コグニス社製)59g(0.217モル)を反応器に仕込み、窒素気流中210〜220℃に加熱し、生成する水を留去しながら10時間エステル化反応を行い、目的のエステル化合物351gを得た。得られたエステル化合物は、色相ガードナー2、酸価5.2、ケン化価111、粘度15,000mPa・s、屈折率1.48であった。
実施例1〜9及び比較例1〜5:表面被覆粉体
表1及び表2に示す組成の表面被覆粉体を下記製造方法により調製した。表1及び表2に示した実施例1〜9及び比較例1〜5の表面処理粉体について、「付着性」、「展延性」、「疎水性」の各項目について、以下に示す評価方法及び判定基準により評価判定し、結果を併せて表1及び表2に示した。尚、比較例3〜5は、本発明の成分(a)以外の化合物で表面被覆されているものを用いた。
(製造方法)
A:成分3〜5を混合し、80℃に加熱する。
B:Aに成分1、2を添加して、均一に混合する。
C:Bを減圧して成分5を回収する。
(評価方法1:付着性)
上腕部に試料を0.3mg/cmずつ、1つの試料に対し2箇所塗布した。1箇所は、チークブラシを用いて5回擦り、もう1箇所は擦らずにスタンダードとした。擦った箇所をスタンダードと比べ、塗布膜の変化を目視にて観察した。評価は専門評価パネル10名により、下記絶対評価にて7段階に評価し評点を付け、試料毎にパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
(絶対評価)
(評点):(評価)
6:全く変化なし。
5:わずかに膜薄になるが判別は困難である。
4:少し膜薄になり差が少しわかる。
3:膜薄になり差が分かる。
2:かなり膜薄であるが、粉体は残っている。
1:わずかに粉体は残っている。
0:ほとんど粉体が残っていない。
(判定基準)
(評点平均値) :(判定)
5点以上 :非常に良好:◎
3.5点以上5点未満:良好 :○
2点以上3.5点未満:やや不良 :△
2点未満 :不良 :×
(評価方法2:展延性)
上腕部に各試料を0.3mg塗布し、ファンデーション用スポンジを用いて3回擦った時の伸び広がりの評価を行った。評価は専門評価パネル10名により、下記絶対評価にて5段階に評価し評点を付け、試料毎にパネル全員の評点合計から、その平均値を算出し、下記4段階判定基準により判定した。
(絶対評価)
(評点):(評価)
5:非常に良い。
4:良い。
3:普通。
2:やや悪い。
1:悪い。
(判定基準)
(評点平均値) :(判定)
4.5点以上 :非常に良好:◎
3.5点以上4.5点未満:良好 :○
1.5点以上3.5点未満:やや不良 :△
1.5点未満 :不良 :×
(評価方法3:疎水性)
精製水100mlを入れたビーカーに、各試料を2g入れた時に、粉体が浮くものを◎、浮いているものと沈むものが混在するものを○、沈むものを×として評価した。
表1及び表2の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜9の表面被覆粉体は、「付着性」、「展延性」、「疎水性」の全ての項目に優れた表面被覆粉体であった。これに対して、比較例1、2は「付着性」及び「展延性」が良好でなく、比較例3は「付着性」及び「展延性」が良好でなく、比較例4では「疎水性」は良好だが「展延性」が劣っており、比較例5では「疎水性」が良好ではなかった。
実施例10:パウダーファンデーション(固型粉末状)
(成分) (%)
1.実施例8の表面被覆粉体 50
2.ナイロン粉末 2
3.二酸化珪素 *1 3
4.炭化水素ワックス粉末 3
5.表面被覆粉体(タルク) *2 残量
6.シリコーン被覆ベンガラ *3 0.5
7.シリコーン黄酸化鉄 *3 1.5
8.シリコーン黒酸化鉄 *3 0.1
9.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
10.ジ−2’−エチルヘキサン酸ネオペンチルグリコール 0.5
11.ワセリン 0.2
12.ジメチルポリシロキサン *4 1
13.流動パラフィン 1.5
*1:ゴッドボール D11−796C(鈴木油脂工業社製)
*2:タルク98部に対し、合成例1のエステル化合物2部を、実施例1と同様の方法を用いて製造し、表面被覆粉体を得た。
*3:メチルハイドロジェンポリシロキサン1.5%被覆
*4:KF−96(6CS)(信越化学工業社製)
(製造方法)
A:成分1〜9をヘンシェルミキサーで均一に混合する。
B:Aに成分10〜13を添加し、更に混合する。
C:Bをパルベライザーにて粉砕し、金皿に圧縮成型し、パウダーファンデーションを得た。
実施例10のパウダーファンデーションは、化粧持ち、肌への付着性や肌なじみに優れ、さらに伸び広がりの良い化粧料であった。
実施例11:リキッドファンデーション
(成分) (%)
1.スクワラン 3
2.流動パラフィン 2
3.ジメチルポリシロキサン *4 13
4.セスキオレイン酸ソルビタン 1
5.モノオレイン酸POE(20)ソルビタン 2
6.パラオキシ安息香酸メチル 0.3
7.1,3−ブチレングリコール 5
8.ベンガラ 0.6
9.黄色酸化鉄 1.6
10.黒色酸化鉄 0.2
11.実施例8の表面被覆粉体 9
12.表面被覆粉体(タルク) *2 0.3
13.精製水 残量
(製造方法)
A:成分1〜5を混合し、75℃に加熱する。
B:成分6〜13を均一に分散し、75℃に加熱する。
C:BにAを添加し、混合する。
D:Cを冷却後、容器に入れてリキッドファンデーションを得た。
実施例11のリキッドファンデーションは、化粧持ち、肌への付着性や肌なじみに優れ、さらに伸び広がりの良い化粧料であった。
実施例12:リキッドファンデーション
(成分) (%)
1.ジメチルポリシロキサン *4 8
2.デカメチルシクロペンタシロキサン 15
3.トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル 15
4.セスキオレイン酸ソルビタン 1
5.セチルジメチコンコポリオール *5 2
6.ステアラルコニウムヘクトライト 4.5
7.ベンガラ 0.2
8.黄色酸化鉄 0.9
9.黒色酸化鉄 0.1
10.実施例8の表面被覆粉体 10
11.パラオキシ安息香酸メチル 0.2
12.精製水 残量
13.1,3−ブチレングリコール 3
14.塩化ナトリウム 適量
*5:ABIL EM−90(ゴールドシュミット社製)
(製造方法)
A:成分1〜10を均一に分散する。
B:Aに成分11〜14を加え、均一に分散する。
C:Bを容器に入れてリキッドファンデーションを得た。
実施例12のリキッドファンデーションは、化粧持ち、肌への付着性や肌なじみに優れ、さらに伸び広がりの良い化粧料であった。
実施例13:固形粉末状ほほ紅
(成分) (%)
1.表面被覆粉体(酸化鉄被覆雲母) *6 20
2.実施例9の表面被覆粉体 残量
3.表面被覆粉体(タルク) *2 30
4.粉末状炭化水素ワックス 5
5.赤色226 0.2
6.ベンガラ 0.1
7.防腐剤(p−オキシ安息香酸エステル) 適量
8.香料 適量
9.ワセリン 0.3
10.ジメチルポリシロキサン *4 4
11.流動パラフィン 1.5
*6:酸化鉄被覆雲母96.5部に対し、合成例1のエステル化合物2部及びジメチルポリシロキサン(20cs)1.5部を、実施例4と同様の方法を用いて製造し、表面被覆粉体を得た。
(製造方法)
A:成分1〜7をヘンシェルミキサーにて均一に混合後、成分8〜11を添加し、更に混合する。
B:Aをパルベライザーにて粉砕する。
C:Bを金皿に圧縮成型し固形粉末状ほほ紅を得た。
実施例12の固形粉末状ほほ紅は、化粧持ち、肌への付着性や肌なじみに優れ、さらに伸び広がりの良い化粧料であった。
実施例13:固形粉末状アイシャドウ
(成分) (%)
1.表面被覆粉体(雲母チタン) *7 35
2.表面被覆粉体(窒化ホウ素) *8 3
3.表面被覆粉体(雲母) *9 残量
4.表面被覆粉体(タルク) *2 25
5.粉末状炭化水素ワックス 2
6.赤色226 0.2
7.青色1号 0.5
8.防腐剤(p−オキシ安息香酸エステル) 適量
9.香料 適量
10.ジメチルポリシロキサン *10 3
*7:雲母チタン95部に対し、合成例1のエステル化合物5部を、実施例2と同様の方法を用いて製造し、表面被覆粉体を得た。
*8:窒化ホウ素96.5部に対し、合成例1のエステル化合物2部及びジメチルポリシロキサン(20cs)1.5部を、実施例4と同様の方法を用いて製造し、表面被覆粉体を得た。
*9:雲母93.5部に対し、合成例1のエステル化合物5部及びジメチルポリシロキサン(20cs)1.5部を、実施例4と同様の方法を用いて製造し、表面被覆粉体を得た。
*10:KF−96(100CS)(信越化学工業社製)
(製造方法)
A:成分1〜8をヘンシェルミキサーにて均一に混合後、成分9〜10を添加し、更に混合する。
B:Aをパルベライザーにて粉砕する。
C:Bを金皿に圧縮成型し固形粉末状アイシャドウを得た。
実施例13の固形粉末状アイシャドウは、化粧持ち、肌への付着性や肌なじみに優れ、さらに伸び広がりの良い化粧料であった。
実施例14:フェイスパウダー(粉末状)
(成分) (%)
1.実施例7の表面被覆粉体 残量
2.表面被覆粉体(窒化ホウ素) *8 5
3.表面被覆粉体(タルク) *2 25
4.表面被覆粉体(二酸化珪素) *11 10
5.ベンガラ 0.3
6.黒酸化鉄 0.2
7.黄酸化鉄 0.8
8.表面被覆粉体(有機シリコーン樹脂粉体) *12 10
9.防腐剤(p−オキシ安息香酸エステル) 適量
10.香料 適量
*11:ゴッドボール D11−796C(鈴木油脂工業社製)93.5部に対し、合成例1のエステル化合物5部及びジメチルポリシロキサン(20cs)1.5部を、実施例4と同様の方法を用いて製造し、表面被覆粉体を得た。
*12:KSP−100(信越化学工業社製)95部に対し、合成例1のエステル化合物5部を実施例2と同様の方法を用いて製造し、表面被覆粉体を得た。
(製造方法)
A:成分1〜8をヘンシェルミキサーにて均一に混合後、成分9、10を添加し、更に混合する。
B:Aをパルベライザーにて粉砕する。
C:Bを容器に充填して粉末状のフェイスパウダーを得た。
実施例14のフェイスパウダーは、化粧持ち、肌への付着性や肌なじみに優れ、さらに伸び広がりの良い化粧料であった。

Claims (4)

  1. 粉体を、次の成分(a)および成分(b)
    (a)下記一般式(1)
    OCO−R −(−COO−R −OCO−R −) −COOR ・・・(1

    (式中、R はダイマー酸残基を、R はダイマージオール残基を、R はイソス
    テアリルアルコール残基を示し、nは4〜6の数を示す)
    で示されるダイマー酸とダイマージオールとのオリゴマーエステルの両末端のカルボキシル基をイソステアリルアルコールでエステル化した化合物
    (b)疎水化処理剤
    で表面被覆して得られることを特徴とする表面被覆粉体。
  2. 粉体を、前記成分(b)により表面被覆し、さらに前記成分(a)で表面被覆して得られることを特徴とする請求項記載の表面被覆粉体。
  3. 請求項1または2に記載の表面被覆粉体が化粧料用であることを特徴とする表面被覆粉体。
  4. 請求項1〜の何れかに記載の表面被覆粉体を配合することを特徴とする化粧料。
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