JP7089844B2 - 光学ガラス、プリフォーム及び光学素子 - Google Patents

光学ガラス、プリフォーム及び光学素子 Download PDF

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本発明は、光学ガラス、プリフォーム及び光学素子に関する。
デジタルカメラやビデオカメラ等の光学系は、その大小はあるが、収差と呼ばれるにじみを含んでいる。この収差は単色収差と色収差に分類されるが、特に色収差は、光学系に使用されるレンズの材料特性に強く依存している。
一般に色収差は、低分散の凸レンズと高分散の凹レンズとを組み合わせて補正されるが、この組み合わせでは赤色領域と緑色領域の収差の補正しかできず、青色領域の収差が残る。この除去しきれない青色領域の収差を二次スペクトルと呼ぶ。二次スペクトルを補正するには、青色領域のg線(435.835nm)の動向を加味した光学設計を行う必要がある。このとき、光学設計で着目される光学特性の指標として、部分分散比(θg,F)が用いられている。上述の低分散のレンズと高分散のレンズとを組み合わせた光学系では、低分散側のレンズに部分分散比(θg,F)の大きい光学材料を用い、高分散側のレンズに部分分散比(θg,F)の小さい光学材料を用いることで、二次スペクトルが良好に補正される。
部分分散比(θg,F)は、下式(1)により示される。
θg,F=(n-n)/(n-n)・・・・・・(1)
光学ガラスには、短波長域の部分分散性を表す部分分散比(θg,F)とアッベ数(ν)との間に、およそ直線的な関係がある。この関係を表す直線は、部分分散比(θg,F)を縦軸に、アッベ数(ν)を横軸に採用した直交座標上で、NSL7とPBM2の部分分散比及びアッベ数をプロットした2点を結ぶ直線で表され、ノーマルラインと呼ばれている(図1参照)。ノーマルラインの基準となるノーマルガラスは光学ガラスメーカー毎によっても異なるが、各社ともほぼ同等の傾きと切片で定義している。(NSL7とPBM2は株式会社オハラ社製の光学ガラスであり、PBM2のアッベ数(ν)は36.3,部分分散比(θg,F)は0.5828、NSL7のアッベ数(ν)は60.5、部分分散比(θg,F)は0.5436である。)
ここで、28以上45以下のアッベ数(ν)を有するガラスとしては、例えば特許文献1~2示されるような光学ガラスが知られている。
特再公表WO02/014235号公報 特開平10-130033号公報
また、光学ガラスの材料コストを低減するために、光学ガラスを構成する諸成分の原料費は、なるべく安価であることが望まれる。
特許文献1に記載されたガラスは、光学恒数が低屈折率、低分散のガラスであり、近年要求される高分散側のレンズに十分応えるものとは言い難く、特許文献2に記載されたガラスは、要求される光学恒数は満たしているものの、高価な原料であるTa成分を含有しているため、非常に高価なレンズになってしまうという問題がある。さらに特許文献2に記載されたガラスは、高価な原料を含まない例も記載されているが、プレス成形性が悪く、特にレンズを作製する際のプレス時の失透性が問題となり、生産性の良い光学素子製造を実現することが困難となる。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、部分分散比(θg,F)の小さい光学ガラスを、より安価に得ることにある。すなわち、複雑な形状の光学素子をプレス成形で作製できるため、製造コストが安く、且つ生産性の良い光学素子製造を実現することができる。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意試験研究を重ねた結果、SiO成分及びNb成分を含有し、SiO/RnO(RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)を4.0未満と光学ガラスにおいて、例えばTa成分などの高価格原料を含有せず、材料コストを低減しながらも、低い部分分散比を有するガラスを得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
(1) 酸化物換算組成の質量%で、
SiO成分を15.0~50.0%、
Nb成分を20.0~50.0%含有し、
質量比でSiO/RnOが4.0未満(RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)であり、
部分分散比(θg,F)がアッベ数(νd)との間で、(-0.00256×νd+0.637)≦(θg,F)≦(-0.00256×νd+0.689)の関係を満たす光学ガラス。
(2) 酸化物換算組成の質量%で、
ZnO成分 0~25.0%、
ZrO成分 0~25.0%、
である(1)の光学ガラス。
(3) 酸化物換算組成の質量%で、
成分 0~15.0%、
TiO成分 0~15.0%、
WO成分 0~10.0%、
MgO成分 0~10.0%、
CaO成分 0~10.0%、
SrO成分 0~10.0%、
BaO成分 0~10.0%、
La成分 0~10.0%、
Gd成分 0~10.0%、
成分 0~10.0%、
Yb成分 0~10.0%、
LiO成分 0~20.0%、
NaO成分 0~20.0%、
O成分 0~10.0%、
Ta成分 0~10.0%、
成分 0~10.0%、
GeO成分 0~10.0%、
Al成分 0~10.0%、
Ga成分 0~10.0%、
Bi成分 0~10.0%、
TeO成分 0~5.0%、及び
SnO成分 0~1.0%を含有し
Sb成分 0~1.0%
である(1)又は(2)いずれか記載の光学ガラス。
(4) 酸化物基準の質量%で、Ln成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)の質量和が0~15.0%、RnO成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の質量和が0~30.0%、RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の質量和が0~20.0%である(1)から(3)のいずれか記載の光学ガラス。
(5) 屈折率(nd)が1.65~1.80であり、アッベ数(νd)が28~45である(1)から(4)のいずれか記載の光学ガラス。
(6) 分光透過率が80%を示す波長(λ80)が450nm以下であり、分光透過率が5%を示す波長(λ)が365nm以下である(1)から(5)のいずれか記載の光学ガラス。
(7) (1)から(6)のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
(8) (1)から(6)いずれか記載の光学ガラスからなる研磨加工用及び/又は精密プレス成形用のプリフォーム。
(9) (7)又は(8)いずれか記載の光学素子を備える光学機器。
本発明によれば、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、部分分散比(θg,F)の小さい光学ガラスを、より安価に得ることができる。
部分分散比(θg,F)が縦軸でアッベ数(ν)が横軸の直交座標に表されるノーマルラインを示す図である。 本願の実施例についての部分分散比(θg,F)とアッベ数(ν)の関係を示す図である。
本発明の光学ガラスは、酸化物換算組成の質量%で、SiO成分を15.0~50.0%、Nb成分を20.0~50.0%含有し、質量比でSiO/RnOが4.0未満(RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)であり、部分分散比(θg,F)がアッベ数(νd)との間で、(-0.00256×νd+0.637)≦(θg,F)≦(-0.00256×νd+ 0.689 )の関係を満たす。
SiO成分及びNb成分を含有し、SiO/RnOが4.0未満(RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)とすることにより、光学ガラスの材料コストを低減させつつも、低い部分分散比を有するガラスを得られる。
そのため、屈折率(n)及びアッベ数(ν)が所望の範囲内にありながら、部分分散比(θg,F)が小さく光学系の色収差の低減に有用な光学ガラスを、より安価に得ることができる。
加えて、可視光についての透過率が高いことで可視光を透過させる用途に好適に使用できる。
以下、本発明の光学ガラスの実施形態について詳細に説明するが、本発明は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施できる。なお、説明が重複する箇所については、適宜説明を省略する場合があるが、発明の趣旨を限定するものではない。
[ガラス成分]
本発明の光学ガラスを構成する各成分の組成範囲を以下に述べる。本明細書中で特に断りがない場合、各成分の含有量は、全て酸化物換算組成のガラス全質量に対する質量%で表示されるものとする。ここで、「酸化物換算組成」とは、本発明のガラス構成成分の原料として使用される酸化物、複合塩、金属弗化物等が熔融時に全て分解され酸化物へ変化すると仮定した場合に、当該生成酸化物の総質量を100質量%として、ガラス中に含有される各成分を表記した組成である。
<必須成分、任意成分について>
SiO成分は、安定なガラス形成を促し、光学ガラスとして好ましくない失透(結晶物の発生)を低減する必須成分である。
特に、SiO成分の含有量を15.0%以上にすることで、部分分散比を大幅に高めることなく、耐失透性に優れたガラスを得られる。また、プレス時の失透や着色を低減できる。従って、SiO成分の含有量は、好ましくは15.0%、より好ましくは18.0%、さらに好ましくは20.0%、さらに好ましくは25.0%、さらに好ましくは27.0%を下限とする。
他方で、SiO成分の含有量を50.0%以下にすることで、屈折率が低下し難くなるため、所望の高屈折率を得やすく、且つ部分分散比の上昇を抑えられる。また、これによりガラス原料の熔解性の低下を抑えられる。従って、SiO成分の含有量は、好ましくは50.0%、より好ましくは48.0%、さらに好ましくは45.0%、さらに好ましくは40.0%を上限とする。
SiO成分は、原料としてSiO、KSiF、NaSiF等を用いることができる。
Nb成分は、屈折率を高め、且つアッベ数及び部分分散比を低くでき、また、耐失透性を高められる必須成分である。
特に、Nb成分の含有量を20.0%以上にすることで、目的の光学恒数まで屈折率を高くして本発明の範囲の成分内で調整することで異常分散性を小さくすることができる。従って、Nb成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは23.0%、さらに好ましくは28.0%を下限とする。
他方で、Nb成分の含有量を50.0%以下にすることで、ガラスの材料コストを低減できる。また、ガラス製造時における熔解温度の上昇を抑制し、且つNb成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、Nb成分の含有量は、好ましくは50.0%、より好ましくは45.0%、さらに好ましくは44.0%、さらに好ましくは40.0%を上限とする。
Nb成分は、原料としてNb等を用いることができる。
RnO(RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)に対する、SiOの含有量の比率は4.0未満が好ましい。
これにより、目的の光学恒数を得ることができ、且つ異常分散性を小さくすることができ、さらにガラスの液相温度を低くすることができる。
従って、SiO/RnOは、好ましくは4.0未満、より好ましくは3.7未満、さらに好ましくは3.5未満、より好ましくは3.3未満とする。
他方で、SiO/RnOを0超とすることにより、ガラスの粘性を軟らかくして安定性を改善し成形をしやすくすることができる。従って、SiO/RnOは、好ましくは、0超、より好ましくは1.0超、さらに好ましくは1.5超、さらに好ましくは1.7超とする。
Nb成分の含有量に対する、SiO成分及びB成分の和の比率は、2.0未満が好ましい。これにより、異常分散性を維持しつつ目的とする光学恒数まで調整することができる。従って、(SiO+B)/Nbは、好ましくは2.0未満、より好ましくは1.7未満、さらに好ましくは1.5未満、さらに好ましくは1.4未満とする。
他方で、(SiO+B)/Nbを0超とすることにより、ガラスを安定化させ失透しにくくすることができる。従って、(SiO+B)/Nbは、好ましくは0超、より好ましくは0.5以上、さらに好ましくは0.8以上、さらに好ましくは0.9以上とする。
ZnO成分は、0%超含有する場合に、安価であり、且つガラス転移点を下げられる任意成分である。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%超、さらに好ましくは1.0%超としてもよい。
他方で、ZnO成分の含有量を25.0%以下にすることで、ガラスの失透や着色を低減しつつ、化学的耐久性を高められる。従って、ZnO成分の含有量は、好ましくは25.0%以下、より好ましくは20.0%以下、さらに好ましくは16.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満とする。
ZnO成分は、原料としてZnO、ZnF等を用いることができる。
ZrO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの屈折率及びアッベ数を高め、部分分散比を低くし、且つ耐失透性を高めることができる任意成分である。また、これにより失透や着色を低減できる。従って、ZrO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.5%超、さらに好ましくは1.0%超、さらに好ましくは3.0%超としてもよい。
他方で、ZrO成分の含有量を20.0%以下にすることで、失透を低減でき、且つ、より均質なガラスを得易くできる。従って、ZrO成分の含有量は、好ましくは20.0%、より好ましくは15.0%、さらに好ましくは11.0%を上限とする。
ZrO成分は、原料としてZrO、ZrF等を用いることができる。
成分は、0%超含有する場合に、安定なガラス形成を促すことで耐失透性を高められ、且つガラス原料の熔解性を高められる任意成分である。従って、B成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%、さらに好ましくは2.0%を下限としてもよい。
他方で、B成分の含有量を15.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えられ、且つ部分分散比の上昇を抑えられる。従って、B成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは12.0%未満、さらに好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは8.0%未満、さらに好ましくは6.0%未満とする。
成分は、原料としてHBO、Na、Na・10HO、BPO等を用いることができる。
TiO成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高め、アッベ数を低くし、且つ耐失透性を高める任意成分である。
他方で、TiO成分の含有量を15.0%以下にすることで、ガラスの着色を低減でき、内部透過率を高められる。また、これにより部分分散比が上昇し難くなるため、ノーマルラインに近い所望の低い部分分散比を得易くできる。従って、TiO成分の含有量は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満とする。特に、ガラスの異常分散性を小さくする観点では、さらに好ましくは含まない。
TiO成分は、原料としてTiO等を用いることができる。
WO成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高めてアッベ数を低くし、耐失透性を高め、且つガラス原料の熔解性を高められる任意成分である。
他方で、WO成分の含有量を10.0%以下にすることで、ガラスの部分分散比を上昇し難くでき、且つ、ガラスの着色を低減して内部透過率を高められる。従って、WO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
WO成分は、原料としてWO等を用いることができる。
MgO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの熔解温度を低くできる任意成分である。
他方で、MgO成分の含有量を10.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑制しつつ、失透を低減できる。従って、MgO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
MgO成分は、原料としてMgO、MgCO、MgF等を用いることができる。
CaO成分は、0%超含有する場合に、ガラスの材料コストを低減しつつ、アッベ数を低くでき、失透を低減でき、且つ、ガラス原料の熔解性を高められる任意成分である。従って、CaO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%超、さらに好ましくは2.0%超としてもよい。
他方で、CaO成分の含有量を10.0%以下にすることで、屈折率の低下やアッベ数の上昇、部分分散比の上昇を抑えられ、且つ失透を低減できる。従って、CaO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは9.0%、さらに好ましくは8.0%、さらに好ましくは6.0%を上限とする。
CaO成分は、原料としてCaCO、CaF等を用いることができる。
SrO成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高められ、且つ耐失透性を高められる任意成分である。
特に、SrO成分の含有量を10.0%以下にすることで、化学的耐久性の悪化を抑えられる。従って、SrO成分の含有量は、好ましくは10.0%、より好ましくは8.0%未満、さらに好ましくは4.0%未満とする。
SrO成分は、原料としてSr(NO、SrF等を用いることができる。
BaO成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高められ、部分分散比を低くでき、耐失透性を高められ、ガラス原料の熔解性を高められ、且つ、他のアルカリ土類成分に比べてガラスの材料コストを低減できる任意成分である。
特に、BaO成分の含有量を10.0%以下にすることで、化学的耐久性の悪化や、失透を抑えられる。従って、BaO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%未満、さらに好ましくは4.0%未満とする。
BaO成分は、原料としてBaCO、Ba(NO等を用いることができる。
La成分、Gd成分、Y成分及びYb成分は、少なくともいずれかを0%超含有することで、屈折率を高め、且つ部分分散比を小さくできる任意成分である。
特に、La成分、Gd成分、Y成分及びYb成分のそれぞれの含有量を10.0%以下にすることで、アッベ数の上昇を抑えられ、比重を小さくでき、失透を低減でき、且つ材料コストを低減できる。従って、La成分、Gd成分、Y成分及びYb成分のそれぞれの含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%以下、さらに好ましくは3.0%以下、さらに好ましくは1.0%未満とする。
La成分、Gd成分、Y成分及びYb成分は、原料としてLa、La(NO・XHO(Xは任意の整数)、Y、YF、Gd、GdF、Yb等を用いることができる。
LiO成分は、0%超含有する場合に、部分分散比を低くでき、ガラス転移点を低くでき、且つガラス原料の熔解性を高められる任意成分である。従って、LiO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%超、さらに好ましくは2.0%以上、さらに好ましくは3.0%超、最も好ましくは5.0%超としてもよい。
他方で、LiO成分の含有量を20.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えられ、化学的耐久性を悪化し難くでき、且つ過剰な含有による失透を低減できる。
従って、LiO成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%以下、さらに好ましくは10.0%未満とする。
LiO成分は、原料としてLiCO、LiNO、LiF等を用いることができる。
NaO成分は、0%超含有する場合に、部分分散比を低くでき、ガラス転移点を低くでき、且つガラス原料の熔解性を高められる任意成分である。従って、LiO成分の含有量は、好ましくは0%超、より好ましくは0.3%超、さらに好ましくは0.5%超、さらに好ましくは1.0%超としてもよい。
他方で、NaO成分の含有量を20.0%以下にすることで、屈折率の低下を抑えられ、化学的耐久性を悪化し難くでき、且つ過剰な含有による失透を低減できる。
従って、NaO成分の含有量は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%以下、さらに好ましくは10.0%未満とする。
NaO成分は、原料としてNaCO、NaNO、NaF、NaSiF等を用いることができる。
O成分は、少なくともいずれかを0%超含有する場合に、ガラス原料の熔解性を高められ、且つガラス転移点を低くできる任意成分である。
他方で、KO成分の含有量を10.0%以下にすることで、部分分散比の上昇を抑えられ、失透を低減でき、且つ化学的耐久性を悪化し難くできる。従って、KO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは8.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満とする。
O成分は、原料としてKCO、KNO、KF、KHF、KSiF等を用いることができる。
Ta成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高め、アッベ数及び部分分散比を下げ、且つ耐失透性を高められる任意成分である。
他方で、Ta成分の含有量を10.0%以下にすることで、希少鉱物資源であるTa成分の使用量が減り、且つガラスがより低温で熔解し易くなるため、ガラスの生産コストを低減できる。また、これによりTa成分の過剰な含有によるガラスの失透を低減できる。従って、Ta成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。特にガラスの材料コストを低減させる観点では、Ta成分を含有しなくてもよい。
Ta成分は、原料としてTa等を用いることができる。
成分は、0%超含有する場合に、ガラスの安定性を高められる任意成分である。
一方で、P成分の含有量を10.0%以下にすることで、P成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、P成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
成分は、原料としてAl(PO、Ca(PO、Ba(PO、BPO、HPO等を用いることができる。
GeO成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高め、且つ失透を低減できる任意成分である。
他方で、GeO成分の含有量を10.0%以下にすることで、高価なGeO成分の使用量が低減されるため、ガラスの材料コストを低減できる。従って、GeO成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
GeO成分は、原料としてGeO等を用いることができる。
Al成分及びGa成分は、少なくともいずれかを0%超含有する場合に、化学的耐久性を高め、且つ耐失透性を向上できる任意成分である。
他方で、Al成分及びGa成分のそれぞれの含有量を10.0%以下にすることで、Al成分やGa成分の過剰な含有による失透を低減できる。従って、Al成分及びGa成分のそれぞれの含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
Al成分及びGa成分は、原料としてAl、Al(OH)、AlF、Ga、Ga(OH)等を用いることができる。
Bi成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高めてアッベ数を低くでき、且つガラス転移点を低くできる任意成分である。
他方で、Bi成分の含有量を10.0%以下にすることで、部分分散比を上昇し難くでき、且つ、ガラスの着色を低減して内部透過率を高めることができる。従って、Bi成分の含有量は、好ましくは10.0%以下、より好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
Bi成分は、原料としてBi等を用いることができる。
TeO成分は、0%超含有する場合に、屈折率を高め、部分分散比を低くでき、且つガラス転移点を低くできる任意成分である。
他方で、TeO成分の含有量を5.0%以下にすることで、ガラスの着色を低減して内部透過率を高めることができる。また、高価なTeO成分の使用を低減することで、より材料コストの安いガラスを得られる。従って、TeO成分の含有量は、好ましくは5.0%、さらに好ましくは3.0%未満、さらに好ましくは1.0%未満とする。
TeO成分は、原料としてTeO等を用いることができる。
Sb成分は、0%超含有する場合にガラスの脱泡を促進し、ガラスを清澄する成分であり、本発明の光学ガラス中の任意成分である。Sb成分は、ガラス全質量に対する含有量を1.0%以下にすることで、ガラス溶融時における過度の発泡を生じ難くすることができ、Sb成分が溶解設備(特にPt等の貴金属)と合金化し難くすることができる。従って、酸化物換算組成のガラス全質量に対するSb成分の含有率は、好ましくは1.0%、より好ましくは0.8%、さらに好ましくは0.6%を上限とする。ここで、特にソラリゼーションに低い光学ガラスを得易くする観点では、酸化物換算組成のガラス全質量Sb成分の含有量は、好ましくは0.5%、より好ましくは0.3%、最も好ましくは0.1%を上限とする。
なお、ガラスを清澄し脱泡する成分は、上記のSb成分に限定されるものではなく、ガラス製造の分野における公知の清澄剤や脱泡剤、或いはそれらの組み合わせを用いることができる。
Ln成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)の含有量の和(質量和)は、15.0%以下が好ましい。これにより、ガラスの失透を低減でき、アッベ数の上昇を抑えられ、且つガラスの材料コストを低減できる。従って、Ln成分の質量和は、好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満、さらに好ましくは3.0%以下とする。
RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の含有量の和(質量和)は、20.0%以下が好ましい。これにより、これら成分の過剰な含有によるガラスの失透を低減できる。従って、RO成分の質量和は、好ましくは20.0%以下、より好ましくは15.0%以下、より好ましくは10.0%未満、さらに好ましくは7.0%未満、さらに好ましくは5.0%未満とする。
他方で、RO成分の質量和は、ガラス原料の熔解性を高め、且つ失透を低減する観点から、好ましくは0%超、より好ましくは1.0%以上、さらに好ましくは2.0%以上としてもよい。
RnO成分(式中、RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)の含有量の和(質量和)は、30.0%以下が好ましい。これにより、ガラスの屈折率を低下し難くし、ガラス形成時の失透を低減できる。従って、RnO成分の合計含有量は、好ましくは30.0%以下、より好ましくは28.0%、さらに好ましくは25.0%、さらに好ましくは20.0%、さらに好ましくは16.0%を上限とする。
他方で、RnO成分の質量和は、ガラス原料の熔解性を高め、且つガラス転移点を低くする観点から、好ましくは0%超、より好ましくは5.0%超、さらに好ましくは7.0%超、さらに好ましくは10.0%超としてもよい。
<含有すべきでない成分について>
次に、本発明の光学ガラスに含有すべきでない成分、及び含有することが好ましくない成分について説明する。
他の成分を本願発明のガラスの特性を損なわない範囲で必要に応じ、添加できる。ただし、Ti、Zr、Nb、W、La、Gd、Y、Yb、Luを除く、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Ag及びMo等の各遷移金属成分は、それぞれを単独又は複合して少量含有した場合でもガラスが着色し、可視域の特定の波長に吸収を生じる性質があるため、特に可視領域の波長を使用する光学ガラスにおいては、実質的に含まないことが好ましい。
また、PbO等の鉛化合物及びAs等の砒素化合物は、環境負荷が高い成分であるため、実質的に含有しないこと、すなわち、不可避な混入を除いて一切含有しないことが望ましい。
さらに、Th、Cd、Tl、Os、Be、及びSeの各成分は、近年有害な化学物資として使用を控える傾向にあり、ガラスの製造工程のみならず、加工工程、及び製品化後の処分に至るまで環境対策上の措置が必要とされる。従って、環境上の影響を重視する場合には、これらを実質的に含有しないことが好ましい。
[製造方法]
本発明の光学ガラスは、例えば以下のように作製される。すなわち、上記原料を各成分が所定の含有量の範囲内になるように均一に混合し、作製した混合物を白金坩堝、石英坩堝又はアルミナ坩堝に投入して粗溶融した後、金坩堝、白金坩堝、白金合金坩堝又はイリジウム坩堝に入れて1000~1400℃の温度範囲で3~5時間溶融し、攪拌均質化して泡切れ等を行った後、900~1400℃の温度に下げてから仕上げ攪拌を行って脈理を除去し、金型に鋳込んで徐冷することにより作製される。
<物性>
本発明の光学ガラスは、高い屈折率と所定の範囲のアッベ数を有することが好ましい。
本発明の光学ガラスの屈折率(n)は、好ましくは1.65、より好ましくは1.68、さらに好ましくは1.70を下限としてもよい。この屈折率の上限は、好ましくは1.80、より好ましくは1.78、さらに好ましくは1.77、さらに好ましくは1.76としてもよい。
本発明の光学ガラスのアッベ数(ν)は、好ましくは28、より好ましくは30、さらに好ましくは30.5を下限としてもよい。他方で、本発明の光学ガラスのアッベ数(ν)は、好ましくは45、より好ましくは43、より好ましくは40、さらに好ましくは38を上限としてもよい。
このような屈折率及びアッベ数を有する本発明の光学ガラスは光学設計上有用であり、特に高い結像特性等を図りながらも、光学系の小型化を図ることができるため、光学設計の自由度を広げることができる。
本発明の光学ガラスは、低い部分分散比(θg,F)を有する。
より具体的には、本発明の光学ガラスの部分分散比(θg,F)は、アッベ数(ν)との間で、(-0.00256×νd+0.637)≦(θg,F)≦(-0.00256×νd+0.689)の関係を満たすことが好ましい。
従って、本発明の光学ガラスでは、部分分散比(θg,F)及びアッベ数(νd)が、θg,F≧(-0.00256×νd+0.637)の関係を満たすことが好ましく、θg,F≧(-0.00256×νd+0.647)の関係を満たすことがより好ましく、θg,F≧(-0.00256×νd+0.657)の関係を満たすことがさらに好ましい。
他方で、本発明の光学ガラスでは、部分分散比(θg,F)及びアッベ数(νd)が、θg,F≦(-0.00256×νd+0.689)の関係を満たすことが好ましく、θg,F≦(-0.00256×νd+0.681)の関係を満たすことがより好ましく、θg,F≦(-0.00256×νd+0.677)の関係を満たすことがさらに好ましい。
これにより、低い部分分散比(θg,F)を有する光学ガラスが得られるため、この光学ガラスから形成される光学素子を、光学系の色収差の低減に役立てられる。
なお、特にアッベ数(ν)が小さい領域では、一般的なガラスの部分分散比(θg,F)はノーマルラインよりも高い値にあり、横軸にアッベ数(νd)、縦軸に部分分散比(θg,F)を取ったときの、一般的なガラスの部分分散比(θg,F)とアッベ数(ν)の関係は、ノーマルラインよりも傾きの大きな曲線で表される。上述の部分分散比(θg,F)及びアッベ数(νd)の関係式では、ノーマルラインよりも傾きの大きな直線を使ってこれらの関係を規定することで、一般的なガラスよりも部分分散比(θg,F)の小さなガラスを得られることを表している。
本発明の光学ガラスは、着色が少ないことが好ましい。
特に、本発明の光学ガラスは、ガラスの透過率で表すと、厚み10mmのサンプルで分光透過率80%を示す波長(λ80)が、好ましくは450nm以下、より好ましくは420nm以下、さらに好ましくは410nm以下、さらに好ましくは400nm以下である。
また、本発明の光学ガラスは、厚み10mmのサンプルで分光透過率5%を示す波長(λ)が、好ましくは365nm以下、より好ましくは355nm以下、さらに好ましくは345nm以下である。
これにより、ガラスの吸収端が紫外領域の近傍に位置するようになり、可視域におけるガラスの透明性が高められるため、この光学ガラスをレンズ等の光学素子の材料として好ましく用いることができる。
また、本発明の光学ガラスは、耐失透性が高いことが好ましい。これにより、ガラス作製時におけるガラスの結晶化等による透過率の低下が抑えられるため、この光学ガラスをレンズ等の可視光を透過させる光学素子に好ましく用いることができる。特に、本発明の光学ガラスは、1200℃以下の低い液相温度を有することが好ましい。より具体的には、本発明の光学ガラスの液相温度は、好ましくは1200℃、より好ましくは1150℃、より好ましくは1100℃、より好ましくは1050℃を上限とする。これにより、より低い温度で溶融ガラスを流出しても、作製されたガラスの結晶化が低減されるため、溶融状態からガラスを形成したときの耐失透性を高めることができ、ガラスを用いた光学素子の光学特性への影響を低減することができる。一方、本発明の光学ガラスの液相温度の下限は特に限定しないが、本発明によって得られるガラスの液相温度は、概ね500℃以上、具体的には550℃以上、さらに具体的には600℃以上であることが多い。なお、本明細書中における「液相温度」とは、直径2mm程度の粒状に粉砕したガラス試料を白金板上に載せ、800℃から1220℃の温度傾斜のついた炉内で30分間保持した後取り出し、冷却後にガラス中の結晶の有無を倍率80倍の顕微鏡にて観察することで測定される、ガラス中に結晶が認められず失透が生じない最も低い温度である。
[プリフォーム及び光学素子]
作製された光学ガラスから、例えばリヒートプレス成形や精密プレス成形等のモールドプレス成形の手段を用いて、ガラス成形体を作製できる。すなわち、光学ガラスからモールドプレス成形用のプリフォームを作製し、このプリフォームに対してリヒートプレス成形を行った後で研磨加工を行ってガラス成形体を作製したり、例えば研磨加工を行って作製したプリフォームに対して精密プレス成形を行ってガラス成形体を作製したりできる。なお、ガラス成形体を作製する手段は、これらの手段に限定されない。
このようにして作製されるガラス成形体は、様々な光学素子に有用であるが、その中でも特に、レンズやプリズム等の光学素子の用途に用いることが好ましい。これにより、光学素子が設けられる光学系の透過光における、色収差による色のにじみが低減される。そのため、この光学素子をカメラに用いた場合は撮影対象物をより正確に表現でき、この光学素子をプロジェクタに用いた場合は所望の映像をより高精彩に投影できる。
本発明の実施例(No.1~No.68)及び比較例の組成、並びに、屈折率(n)、アッベ数(ν)、部分分散比(θg,F)、分光透過率が5%及び80%を示す波長(λ、λ80)、並びに液相温度の結果を表1~表10に示す。なお、以下の実施例はあくまで例示の目的であり、これらの実施例のみ限定されるものではない。
実施例及び比較例のガラスは、いずれも各成分の原料として各々相当する酸化物、水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、弗化物、水酸化物、メタ燐酸化合物等の通常の光学ガラスに使用される高純度の原料を選定し、表に示した各実施例及び比較例の組成の割合になるように秤量して均一に混合した後、石製坩堝(ガラスの溶融性によっては白金坩堝、アルミナ坩堝を用いても構わない)に投入し、ガラス組成の熔融難易度に応じて電気炉で1100~1400℃の温度範囲で0.5~5時間熔解した後、白金坩堝に移して攪拌均質化して泡切れ等を行った後、1000~1400℃に温度を下げて攪拌均質化してから金型に鋳込み、徐冷してガラスを作製した。
実施例及び比較例のガラスの屈折率(n)、アッベ数(ν)及び部分分散比(θg,F)は、日本光学硝子工業会規格JOGIS01―2003に基づいて測定した。
なお、本測定に用いたガラスは、徐冷降温速度を-25℃/hrとして、徐冷炉にて処理を行ったものを用いた。
実施例及び比較例のガラスの透過率は、日本光学硝子工業会規格JOGIS02に準じて測定した。なお、本発明においては、ガラスの透過率を測定することで、ガラスの着色の有無と程度を求めた。具体的には、厚さ10±0.1mmの対面平行研磨品をJISZ8722に準じ、200~800nmの分光透過率を測定し、λ(透過率5%時の波長)及びλ80(透過率80%時の波長)を求めた。
実施例及び比較例の液相温度は、粉砕したガラス試料を10mm間隔で白金板上に載せ、これを800℃から1200℃の間に温度傾斜のついた炉内で30分間保持した後で取り出し、冷却後にガラス試料中の結晶の有無を倍率80倍の顕微鏡にて観察することで測定した。この際、サンプルとして光学ガラスを直径2mm程度の粒状に粉砕した。
Figure 0007089844000001
Figure 0007089844000002
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Figure 0007089844000010
これらの表のとおり、本発明の実施例の光学ガラスは、部分分散比(θg,F)及びアッベ数(νd)が、(-0.00256×νd+0.637)≦(θg,F)≦(-0.00256×νd+0.689)の関係を満たしており、より詳細には(-0.00256×νd+0.657)≦(θg,F)≦(-0.00256×νd+0.677)の関係を満たしていた。すなわち、本願の実施例のガラスについての部分分散比(θg,F)とアッベ数(ν)の関係は、図2に示されるようになった。
本発明の実施例の光学ガラスは、いずれも屈折率(n)が1.65以上、より詳細には1.67以上であるとともに、この屈折率(n)は1.90以下、より詳細には1.80以下であり、所望の範囲内であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、いずれもアッベ数(ν)が28以上、より詳細には30以上であるとともに、このアッベ数(ν)は45以下、より詳細には39以下であり、所望の範囲内であった。
加えて、本発明の実施例の光学ガラスは、λ80(透過率80%時の波長)がいずれも450nm以下、より詳細には420nm以下であった。
また、本発明の実施例の光学ガラスは、λ(透過率5%時の波長)がいずれも365nm以下、より詳細には355nm以下であった。
よって、本発明の実施例の光学ガラスは、可視光に対する透過率が高く着色し難いことが明らかになった。
加えて、本発明の実施例の光学ガラスは、液相温度が1200℃以下、より詳細には1110℃以下であった。
さらに、本発明の実施例の光学ガラスを用いて、ガラスブロックを形成し、このガラスブロックに対して研削及び研磨を行い、レンズ及びプリズムの形状に加工した。その結果、安定に様々なレンズ及びプリズムの形状に加工することができた。
以上、本発明を例示の目的で詳細に説明したが、本実施例はあくまで例示の目的のみであって、本発明の思想及び範囲を逸脱することなく多くの改変を当業者により成し得ることが理解されよう。

Claims (7)

  1. 酸化物換算組成の質量%で、
    SiO2成分を15.0~40.0%、
    Nb25成分を28.0~45.0%、
    Ta25成分を0~1.0%未満、
    Li2O成分を0~10.0%未満、
    Rn2O成分を10.0%超~20.0%、
    ZnO成分を0~1.38%
    23成分を0~6.0%未満、
    ZrO2成分を1.00~11.0%
    TiO 2 成分を0~10.0%未満含有し、
    RO成分(式中、RはMg、Ca、Sr、Baからなる群より選択される1種以上)の質量和が0~2.29%であり、
    質量比でSiO2/Rn2Oが4.0未満(RnはLi、Na、Kからなる群より選択される1種以上)であり、(SiO 2 +B 2 3 )/Nb 2 5 が0.9以上2.0未満であり、
    屈折率(nd)が1.65~1.80であり、アッベ数(νd)が28~45であり、
    部分分散比(θg,F)がアッベ数(νd)との間で、(-0.00256×νd+0.637)≦(θg,F)≦(-0.00256×νd+0.689)の関係を満たす光学ガラス。
  2. 酸化物換算組成の質量%で
    3成分 0~10.0%、
    MgO成分 0~1.0%未満、
    rO成分 0~2.29%、
    23成分 0~10.0%、
    Gd23成分 0~10.0%、
    23成分 0~10.0%、
    Yb23成分 0~10.0%、
    Na2O成分 0~20.0%、
    2O成分 0~10.0%、
    25成分 0~10.0%、
    GeO2成分 0~10.0%、
    Al23成分 0~10.0%、
    Ga23成分 0~10.0%、
    Bi23成分 0~10.0%、
    TeO2成分 0~5.0%、及び
    SnO2成分 0~1.0%を含有し
    Sb23成分 0~1.0%
    である請求項1に記載の光学ガラス。
  3. 酸化物基準の質量%で、Ln23成分(式中、LnはLa、Gd、Y、Ybからなる群より選択される1種以上)の質量和が0~15.0%である請求項1又は2いずれか記載の光学ガラス。
  4. 分光透過率が80%を示す波長(λ80)が450nm以下であり、分光透過率が5%を示す波長(λ5)が365nm以下である請求項1から3のいずれか記載の光学ガラス。
  5. 請求項1から4のいずれか記載の光学ガラスからなる光学素子。
  6. 請求項1から4のいずれか記載の光学ガラスからなる研磨加工用及び/又は精密プレス成形用のプリフォーム。
  7. 請求項に記載の光学素子を備える光学機器。
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