JP7089409B2 - 活性エネルギー線硬化性組成物及びその硬化物 - Google Patents
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Description
遮蔽部硬化性を高める方法として、脂肪族エポキシモノマーと、ボレート系アニオン成分を有する熱酸発生剤を使用する方法が開示されているが(例えば、特許文献2参照)、モノマーとしての硬化速度に課題があり、また、熱酸発生剤の分解効率も低く、改良の余地があった。
即ち、本発明は、アニオン成分の共役酸のpKaが-30~-15であり、TG-DTAにおける熱分解温度が220℃以上であるオニウム塩(A)、アニオン成分の共役酸のpKaが-30~-15であり、TG-DTAにおける熱分解温度が220℃未満であるオニウム塩(B)、アニオン成分の共役酸のpKaが-15を超えて5以下であるオニウム塩(D)、脂環式骨格を有する炭素数5~30の2官能エポキシモノマー(C1)及び炭素数5~30のオキセタンモノマー(C2)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物(X)、該活性エネルギー線硬化性組成物を含むコーティング剤並びに活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物である。
[熱分解温度の測定]
オニウム塩(A)及び後記するオニウム塩(B)のTG-DTAにおける熱分解温度は、示差熱天秤(TG-DTA)を用い、窒素雰囲気中昇温速度5℃/minで測定し、5重量%減量のときの温度である。以下の測定装置を使用して以下の測定条件で測定した。
測定装置:示差熱天秤(TG-DTA)(TG-8120、(株)リガク製)
測定条件:窒素雰囲気中、25℃から昇温速度5℃/minで測定し、5重量%減量のときの温度を熱分解温度とした。
酸解離定数pKaとは、水溶液中での酸解離定数pKaのことを表し、例えば、化学便覧(II)(改訂4版、1993年、日本化学会編、丸善株式会社)に記載のものであり、この値が低いほど酸強度が大きいことを示している。水溶液中での酸解離定数pKaは、具体的には、無限希釈水溶液を用い、25℃での酸解離定数を測定することにより実測することができ、また、下記ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数及び公知文献値のデータベースに基づいた値を、計算により求めることもできる。
本発明において、オニウム塩(A)、オニウム塩(B)及びオニウム塩(C)のpKaの値は、全て、このソフトウェアパッケージを用いて計算により求めた値である。
オニウム塩(A)のカチオン成分としては、スルホニウムイオン及びヨードニウムイオン等が挙げられる。
オニウム塩(A)のアニオン成分としては、ハロゲン化物アニオン、水酸化物アニオン、チオシアナートアニオン、炭素数1~4のジアルキルジチオカルバメートアニオン、炭酸アニオン、炭酸水素アニオン、ハロゲンで置換されていてもよい脂肪族又は芳香族カルボキシアニオン(安息香酸アニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、パーフルオロアルキル酢酸アニオン及びフェニルグリオキシル酸アニオン等)、ハロゲンで置換されていてもよい脂肪族又は芳香族スルホキシアニオン(トリフルオロメタンスルホン酸アニオン等)、6フッ化アンチモネートアニオン(SbF6 -)、ホスフィンアニオン[6フッ化ホスフィンアニオン(PF6 -)及び3フッ化トリス(パーフルオロエチル)ホスフィンアニオン(PF3(C2F5)3 -)等]及びテトラフェニルボレートアニオン及びテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオン等が挙げられる。
これらのアニオン成分のうち、硬化性の観点から好ましくは6フッ化アンチモネートアニオン(SbF6 -)[共役酸のpKa:-25]、ホスフィンアニオン[6フッ化ホスフィンアニオン(PF6 -)[共役酸のpKa:-20]及び3フッ化トリス(パーフルオロエチル)ホスフィンアニオン(PF3(C2F5)3 -)等][共役酸のpKa:-20]及びテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオン[共役酸のpKa:-30]等が挙げられる。
なお、Ar1~Ar4、Ar6及びAr7は1価の基、Ar5は2価の基である。
Ar1~Ar7におけるベンゼン環骨格の数は、好ましくは1~5、更に好ましくは1~4である。
ベンゼン環骨格を1個有する場合の例としては、ベンゼン、又はベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、キノリン、クマリン等の複素環化合物から水素原子を1個又は2個除いた残基等が挙げられる。
ベンゼン環骨格を2個有する場合の例としては、ナフタレン、ビフェニル、フルオレン、又はジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、キサントン、キサンテン、チオキサントン、アクリジン、フェノチアジン及びチアントレン等の複素環化合物から水素原子を1個又は2個除いた残基等が挙げられる。
ベンゼン環骨格3個有する場合の例としては、アントラセン、フェナントレン、ターフェニル、p-(チオキサンチルメルカプト)ベンゼン及びナフトベンゾチオフェン等の複素環化合物から水素原子を1個又は2個除いた残基等が挙げられる。
ベンゼン環骨格4個有する場合の例としては、ナフタセン、ピレン、ベンゾアントラセン及びトリフェニレン等から水素原子を1個又は2個除いた残基等が挙げられる。
前記の(X1)-及び(X2)-としては、ハロゲン化物アニオン、水酸化物アニオン、チオシアナートアニオン、炭素数1~4のジアルキルジチオカルバメートアニオン、炭酸アニオン、炭酸水素アニオン、ハロゲンで置換されていてもよい脂肪族又は芳香族カルボキシアニオン(安息香酸アニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、パーフルオロアルキル酢酸アニオン及びフェニルグリオキシル酸アニオン等)、ハロゲンで置換されていてもよい脂肪族又は芳香族スルホキシアニオン(トリフルオロメタンスルホン酸アニオン等)、6フッ化アンチモネートアニオン(SbF6 -)、ホスフィンアニオン[6フッ化ホスフィンアニオン(PF6 -)及び3フッ化トリス(パーフルオロエチル)ホスフィンアニオン(PF3(C2F5)3 -)等]及びボレートアニオン(テトラフェニルボレート及びブチルトリフェニルボレートアニオン等)等が挙げられる。
これらの内、硬化性の観点から好ましいのは、ホスフィンアニオン、ハロゲンで置換された脂肪族スルホキシイオン及びボレートアニオンであり、更に好ましいのはホスフィンアニオンであり、特に好ましいのはPF6 -又はPF3(C2F5)3 -である。
オニウム塩(A1)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、Ar8~Ar9は1価の基である。
一般式(5)におけるAr8~Ar9は、一般式(5)で表される化合物が紫外~可視光領域に吸収をもつようになる基である。
Ar8~Ar9におけるベンゼン環骨格の数は、好ましくは1~5、更に好ましくは1~4であり、Ar8~Ar9の具体例としては、一般式(1)又は一般式(2)のAr1~Ar7として例示したものと同様のものが挙げられ、好ましいものは炭素数1~20のアルキル基で置換された芳香族炭化水素基である。
オニウム塩(A2)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
オニウム塩(B)において、アニオン成分の共役酸のpKaは、アニオン成分のみに依存し、カチオン成分には影響されない。そのため、前記アニオン成分は、オニウム塩(A)で例示したアニオン成分と同じものを用いることができる。
オニウム塩(B)としては、スルホニウム塩(B1)、ヨードニウム塩(B2)、ベンゾチアゾニウム塩(B3)、アンモニウム塩(B4)及びホスホニウム塩(B5)等が挙げられる。
オニウム塩(B)のカチオン成分としては、スルホニウムイオン、ヨードニウムイオン、ベンゾチアゾニウムイオン、アンモニウムイオン及びホスホニウム等が挙げられる。
オニウム塩(B)のアニオン成分としては、上記オニウム塩(B)のアニオン成分と同じものが挙げられ、好ましいものも同様である。
スルホニウム塩(B1)としては、アニオン成分として(PF6 -)を有するもの[(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、(4-ヒドロキシフェニル)(2-メチルベンジル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、(4-ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、(4-ヒドロキシフェニル)(4-ニトロベンジル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、(4-ヒドロキシフェニル)(4-メチルベンジル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等];アニオン成分として(PF3(C2F5)3 -)を有するもの[(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、(4-ヒドロキシフェニル)(2-メチルベンジル)メチルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、(4-ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、(4-ヒドロキシフェニル)(4-ニトロベンジル)メチルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、(4-ヒドロキシフェニル)(4-メチルベンジル)メチルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート等];アニオン成分として(SbF6 -)を有するもの[(4-ヒドロキシフェニル)(2-メチルベンジル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート、(4-アセトフェニル)ジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート、(4-ベンジルオキシカルボニルオキシフェニル)ジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート、(4-ベンゾイルオキシフェニル)ジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート等];アニオン成分として(CF3SO3 -)を有するもの[(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(4-ヒドロキシフェニル)(2-メチルベンジル)メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(4-ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(4-ヒドロキシフェニル)(4-メチルベンジル)メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等];アニオン成分として((CF3SO2)2N-)を有するもの[(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(4-ヒドロキシフェニル)(2-メチルベンジル)メチルスルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(4-ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等];アニオン成分として(AsF6 -)を有するもの[(4-アセトキシフェニル)ジメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセナート及び(4-ベンゾイルオキシフェニル)ジメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセナート等]等が挙げられる。
市販品の例としては、TA-60、TA-60B、TA-100、TA-120、(以上、サンアプロ(株)製)、アデカプトンCP77、アデカオプトンCP77(以上、旭電化工業(株)製)、CI-2639、CI-2624(以上、日本曹達(株)製)、サンエイドSI-80L、サンエイドSI-100L、サンエイドSI-60L(以上、三新化学工業(株)製)が挙げられる。
オニウム塩(B)は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
前記の炭素数1~18のアルコキシ基中の炭素原子は酸素原子で置換されていてもよく、水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。
R1~R26の内、硬化性の観点から好ましいものとしては、水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1~4の炭化水素基(メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等)が挙げられ、更に好ましいのは水素原子である。
また、一般式(6)において、硬化性の観点から、好ましいa、b、c及びdの組み合わせは(a=1、b=0、c=1、d=0)、(a=1、b=1、c=1、d=0)、(a=1、b=1、c=2、d=0)、(a=1、b=1、c=1、d=1)及び(a=2、b=1、c=2、d=1)であり、更に好ましくは(a=1、b=0、c=1、d=0)、(a=1、b=1、c=1、d=0)及び(a=1、b=1、c=1、d=1)であり、特に好ましくは(a=1、b=1、c=1、d=0)である。
また、一般式(7)において、硬化性の観点から、好ましいe、f、g及びhの組み合わせは(e=1、f=1、g=0、h=1)、(e=1、f=1、g=1、h=1)及び(e=1、f=2、g=1、h=1)であり、更に好ましくは(e=1、f=1、g=0、h=1)である。
前記のエポキシモノマー(C1)の内、硬化性の観点から好ましいのは、一般式(6)で表される化合物及び一般式(7)で表される化合物であり、更に好ましいのは3a,4,7,7a-テトラヒドロインデンジオキシド、1,3a,4,6a-テトラヒドロペンタレンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド及び1-メチルジシクロペンタジエンジオキシドである。
前記のエポキシモノマー(C1)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記(C21)としては、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン(商品名「OXT-101」、東亞合成(株)製)、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(商品名「OXT-212」、東亞合成(株)製)、3-エチル-3-フェノキシメチルオキセタン(商品名「OXT-211」、東亞合成(株)製)、3-エチル-3-アクリロキシメチルオキセタン(商品名「OXE-10」、大阪有機化学工業(株)製)及び3-エチル-3-メタクリロキシメチルオキセタン(商品名「ETERNACOLL OXMA」、宇部興産(株)製)等が挙げられる。
前記(C22)としては、ポリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキサイド(以下、EOと略記することがある)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド(PO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールFビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン(商品名「OXT-121」、東亞合成(株)製)、3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン(商品名「OXT-221」、東亞合成(株)製)、4,4’ -ビス[3-エチル-(3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル(商品名「ETERNACOLL OXBP」、宇部興産(株)製)、ジ(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシエチルアジピン酸(商品名「アジピン酸ビスオキセタン」、宇部興産(株)製)、ビス(3-エチルオキセタン-3-イルメチル)カーボネート(商品名「ジオキセタンカーボネート」、宇部興産(株)製)及びテレフタル酸ビス-(3-エチル-オキセタン-3-イルメチル)エステル(商品名「OXTP」、宇部興産(株)製)等が挙げられる。
前記(C23)としては、ペンタエリスリトールトリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
オキセタン化合物を用いるカチオン重合において、エポキシモノマーとの併用が好ましい。また、オキセタン基のモル濃度はエポキシ基のモル濃度よりも大きいことが好ましい。カチオン重合において、オキセタンモノマーの開始反応速度は、エポキシモノマーと比較して非常に小さいため、オキセタンモノマー単独ではカチオン重合が進行しない。一方、オキセタンモノマーは、連鎖移動反応が起きにくく、成長反応速度が非常に大きい。
前記のオキセタンモノマー(C2)の内、硬化性及び基材密着性の観点から好ましいのは、(C21)及び(C22)であり、更に好ましいのは(C22)である。
前記のオキセタンモノマー(C2)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記のオニウム塩(D)としては、アニオン成分の共役酸が無機酸のオニウム塩(D1)、アニオン成分の共役酸が有機酸のオニウム塩(D2)等が挙げられる。
前記(D1)のアニオン成分の共役酸としては、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、硝酸、リン酸、テトラフルオロホウ酸等が挙げられる。
前記のオニウム塩(D1)のカチオン成分としては、硬化性の観点から好ましくはスルホニウムイオン等が挙げられ、前記(A1)と同じものを挙げることができる。
前記オニウム塩(D2)のアニオン成分の共役酸としては、メタンスルホン酸[共役酸のpKa:-1.9]、トリフルオロメタンスルホン酸[共役酸のpKa:-14.7]、酢酸[共役酸のpKa:4.8]、トリフルオロ酢酸[共役酸のpKa:0.2]、安息香酸[共役酸のpKa:4.2]、p-トルエンスルホン酸[共役酸のpKa:-2.8]等が挙げられる。
前記の(D1)のカチオン成分としては、前記(A1)のカチオン成分と同じものを挙げることができ、硬化性の観点から好ましいものは前記(A1)のカチオン成分の好ましいものと同様である。
前記の(D)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
金属酸化物粉末(E)としては、Si、Mg、Al、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Sn及びZnの酸化物を含む粒子が挙げられる。
具体的には、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、酸化ニオブ及びチタン酸ジルコン酸鉛等が挙げられる。
金属酸化物粉末(E)の形状としては、球状の粒子及び針状の粒子等が挙げられる。
金属酸化物粉末(E)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
その他の添加剤としては、着色剤(F)、分散剤(G)、増感剤(H)及び溶剤等が挙げられる。
着色剤(F)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
分散剤(G)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なかでも、アントラセンは、カチオン重合開始剤と併用することで、飛躍的に光感度を向上させることができることから好ましい。
アントラセン増感剤としては、ジエキシアントラセン(商品名「UVS-1101」、川崎化成工業(株)製)、ジプロポキシアントラセン(商品名「UVS-1221」、川崎化成工業(株)製)、ジブトキシアントラセン(商品名「UVS-1331」、川崎化成工業(株)製)が挙げられる。
増感剤(H)の内、溶解性、硬化性の観点から好ましいのは、ジブトキシアントラセンである。
増感剤(H)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
オキセタンモノマー(C2)の重量割合は、硬化性の観点から、(C1)及び(C2)の合計重量に基づき、好ましくは1~99.9重量%であり、更に好ましくは10~99重量%であり、特に好ましくは30~95重量%である。
例えば、前記のオニウム塩(A)と、前記のオニウム塩(B)と、前記のモノマー(C1)と、前記のモノマー(C2)と、前記の金属酸化物粉末(E)及び/又は前記の着色剤(F)と、必要に応じて前記の分散剤(G)と、増感剤(H)とを、20~80℃の温度範囲で、公知の機械的混合方法(メカニカルスターラー及びマグネティックスターラー等を用いる方法)を用いることによって均一混合することで、製造することができる。
活性光線の照射時及び/又は照射後にオニウム塩(A)から発生した酸を拡散させる目的で、加熱を行ってもよい。
加熱温度は、30℃~200℃であることが好ましく、更に好ましくは35℃~150℃、特に好ましくは40℃~120℃である。
オニウム塩(A)及び後記するオニウム塩(B)のTG-DTAにおける熱分解温度は、示差熱天秤(TG-DTA)を用い、窒素雰囲気中昇温速度5℃/minで測定し、5重量%減量のときの温度である。以下の測定装置を使用して以下の測定条件で測定した。
測定装置:示差熱天秤(TG-DTA)(TG-8120、(株)リガク製)
測定条件:窒素雰囲気中、25℃から昇温速度5℃/minで測定し、5重量%減量のときの温度を熱分解温度とした。
冷却管、撹拌装置、温度計を備えたSUS製反応容器に3a,4,7,7a-テトラヒドロインデン[東京化成工業(株)製]120重量部、酢酸エチル480重量部を仕込み、過酢酸濃度30重量%の酢酸エチル溶液1,270部を3時間かけて滴下した。滴下中は反応温度が30℃を保つように調節した。滴下終了後、3時間反応温度を30℃に保ち、エポキシ化反応を終了した。反応液を室温まで冷却後、20重量%水酸化ナトリウム水溶液1200重量を加え、1時間撹拌後、30分静置し、分液することにより、未反応の過酢酸および複生成物の酢酸を除去した。蒸留装置を用いて酢酸エチルを留去した後、3a,4,7,7a-テトラヒドロインデンジオキシド(C1-1)(炭素数9)152重量部を得た。
冷却管、撹拌装置、温度計を備えたガラス製反応容器にジシクロペンタジエン[東京化成工業(株)製]132重量部、酢酸エチル480重量部を仕込み、過酢酸濃度30重量%の酢酸エチル溶液1,270重量部を3時間かけて滴下した。滴下中は反応温度が30℃を保つように調節した。滴下終了後、3時間反応温度を30℃に保ち、エポキシ化反応を終了した。反応液を室温まで冷却後、20重量%水酸化ナトリウム水溶液1200重量を加え、1時間撹拌後、30分静置し、分液することにより、未反応の過酢酸および複生物の酢酸を除去した。蒸留装置を用いて酢酸エチルを留去した後、ジシクロペンタジエンジオキシド(C1-2)(炭素数10)164重量部を得た。
表1及び2に記載の(A)~(G)を、表1及び2に記載の配合組成(部)に従って、一括で配合し、ディスパーサーで均一に分散するまで撹拌し、実施例1~28の活性エネルギー線硬化性組成物(X)及び比較例1~4の比較用活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
実施例1~28、比較例1~4で得られた各活性エネルギー線硬化性組成物(X)を、表面処理を施したPETフィルム(厚さ:100μm)[商品名「コスモシャインA4300」、東洋紡(株)製]に、シリコンスペーサー(厚さ:1mm)を用いて硬化後の膜厚が1mmとなるように塗布して、大気雰囲気下で、LED光源紫外線照射装置[型番「FJ100 150×20 365、phoseon TECHNOLOGY(株)製、照射波長 365nm]により、紫外線を照射強度400mW/cm2で5秒照射、積算露光量2,000mJ/cm2で露光し、硬化性組成物を硬化させ、下記の判定基準で評価した。
○:深部まで硬化している
△:表面のみ硬化している
×:未硬化(液状のまま)
[遮蔽部硬化性の評価]
熱硬化性の黒色インク[MRXインキ、帝国インキ製造(株)製]を、100mm×140mm×厚さ0.7mmのガラス板の周縁部(ガラス板の長辺から20mm幅の領域及びガラス版の短辺から40mmの領域)全域にスクリーン印刷により塗布し、150℃で2時間乾燥させることで、厚さ20μmの遮蔽部を外周部に有し、60mm四方の非遮光部を中心に有するガラス板(α)を用意した。実施例1~28、比較例1~4で得られた各活性エネルギー線硬化性組成物(X)を、表面処理を施したPETフィルム(厚さ:100μm)[商品名「コスモシャインA4300」、東洋紡(株)製]に、40mm×10mm四方に中身を切り抜いたシリコンスペーサー(厚さ:1mm)を用いて塗布した。次に、露光部が10mm×10mm四方となるように、上からガラス板(α)を被せ、ベルトコンベア式UV照射装置[アイグラフィックス(株)製「ECS-151U」]にて露光量2,000mJ/cm2で照射することにより、試験片を得た。
この試験片からガラス板(α)を剥がして、樹脂層が付着したガラス板上の樹脂層をメタノールで洗浄し、樹脂層の外周部に存在する未硬化の組成物を除去した。露光部と遮蔽部の界面を基準(0mm)として、遮蔽部の硬化距離(L)を電子ノギス[ABSソーラーデジマチックCD-S15C、(株)ミツトヨ製]を用いて測定し、下記の判定基準で評価した。
☆:L≧25mm
◎:10mm<L<25mm
○:0<L≦10mm
△:露光部は硬化しているが、L=0mm
×:露光部が未硬化(液状のまま)
実施例1~28及び比較例1~4で得られた活性エネルギー線硬化性組成物を遮光及び密閉条件下、室温で放置し、下記の判定基準で評価した。
○:30日以上経過してもゲル化しない
×:30日以内にゲル化する
<アニオン成分の共役酸のpKaが-30~-15であり、TG-DTAにおける熱分解温度が220℃未満であるオニウム塩(A)>
(A1-1):ジフェニル4-チオフェノキシフェニルスルホニウム・トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート[pKa:-20、熱分解温度:340℃]
(A2-1):4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウム・トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート[pKa:-20、熱分解温度:245℃]
(A2-2):4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート[商品名「Irgacure250」、BASF(株)製、pKa:-20、熱分解温度:245℃]
<アニオン成分の共役酸のpKaが-30~-15であり、TG-DTAにおける熱分解温度が220℃以上であるオニウム塩(B)>
(B-1):(4-ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウム・トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート[pKa:-20、熱分解温度:156℃]
(B-2):(4-ヒドロキシフェニル)メチル(4-ニトロベンジル)スルホニウム・トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート[pKa:-20、熱分解温度:218℃](B-3):ベンジル(4-ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート[pKa:-25、熱分解温度:155℃、東京化成工業(株)製]
(C1-3):3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(炭素数14)[商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製]
(比C1-1):1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル[商品名「デナコール Ex-212」、ナガセケムテックス(株)製]
<オキセタンモノマー(C2)>
(C2-1):3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン(炭素数12)[商品名「OXT-221」、東亞合成(株)製]
(C2-2):1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン(炭素数20)[商品名「OXT-121」、東亞合成(株)製]
(D1-1):トリフェニルスルホニウム・テトラフルオロボラート[商品名「トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート」、東京化成工業(株)製、pKa:-0.4]
(D2-1):トリス(4-メチルフェニル)スルホニウム・トリフルオロメタンスルホネート[商品名「TS-01」、三和ケミカル(株)製、pKa:-14.7]
(D2-2):ジフェニル-2,4,6-トリメチルフェニルスルホニウム・p-トルエンスルホネート[商品名「WPAG-367」、富士フイルム和光純薬(株)製、pKa:-2.8]
<増感剤(G)>
(G-1):9,10-ジブトキシアントラセン[商品面「アントラキュア UVS-1331」、川崎化成工業(株)製]
Claims (7)
- アニオン成分の共役酸のpKaが-30~-15であり、TG-DTAにおける熱分解温度が220℃以上であるオニウム塩(A)、アニオン成分の共役酸のpKaが-30~-15であり、TG-DTAにおける熱分解温度が220℃未満であるオニウム塩(B)、アニオン成分の共役酸のpKaが-15を超えて5以下であるオニウム塩(D)、脂環式骨格を有する炭素数5~30の2官能エポキシモノマー(C1)及び炭素数5~30のオキセタンモノマー(C2)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、前記オニウム塩(A)が、下記一般式(1)、下記一般式(2)又は下記一般式(5)で示される化合物であり、オニウム塩(B)がスルホニウム塩(B1)であり、前記オニウム塩(D)が下記一般式(1)又は下記一般式(2)で示される化合物において、Ar 1 ~Ar 7 は同じものであり、(X 1 ) - 及び(X 2 ) - の共役酸がテトラフルオロホウ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸又はp-トルエンスルホン酸であるオニウム塩であって、前記炭素数5~30のオキセタンモノマー(C2)が2官能オキセタンモノマー(C22)又は3官能以上のオキセタンモノマー(C23)である活性エネルギー線硬化性組成物(X)。
- 2官能エポキシモノマー(C1)及びオキセタンモノマー(C2)の合計重量に基づき、2官能エポキシモノマー(C1)の重量割合が0.1~99重量%であり、オキセタンモノマー(C2)の重量割合が1~99.9重量%である請求項1に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 2官能エポキシモノマー(C1)及びオキセタンモノマー(C2)の合計重量に基づき、オニウム塩(A)の重量割合が0.1~30重量%である請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 2官能エポキシモノマー(C1)及びオキセタンモノマー(C2)の合計重量に基づき、オニウム塩(B)の重量割合が0.1~30重量%である請求項1~3のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 2官能エポキシモノマー(C1)及びオキセタンモノマー(C2)の合計重量に基づき、オニウム塩(D)の重量割合が0.1~30重量%である請求項1~4のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を含むコーティング剤。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物。
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