JP7089409B2 - 活性エネルギー線硬化性組成物及びその硬化物 - Google Patents

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Description

本発明は活性エネルギー線硬化性組成物及びその硬化物に関する。
従来、活性エネルギー線硬化性組成物は、液晶ディスプレイ及び有機ELディスプレイに代表されるフラットパネルディスプレイ等の製品において、フィルム部材、コーティング剤及び接着剤等の幅広い用途で使用されている。
活性エネルギー線硬化性組成物の中でも、エポキシ化合物及びビニルエーテル化合物等のカチオン重合性物質は、アクリレート化合物等のラジカル重合成物質に比べ、紫外線や電子線等の活性エネルギー線の照射による硬化の際に、収縮が小さいことや酸素の影響を受けない等の特徴を有している。
しかしながら、カチオン重合性物質は、ラジカル重合性物質と比較して、硬化速度が遅いという欠点がある。そのため、カチオン重合成物質の硬化工程時間を短縮するためには、照射量を増やす等の対応が必要となってしまう。そこで、硬化工程におけるランニングコストの削減のために、光照射量低くても十分硬化するよう、感度を高くすることが求められてきた。
感度を高める方法として、光増感剤にアントラセン化合物を使用する方法が開示されているが(例えば特許文献1参照)、その硬化速度の改善効果は十分ではない。
また、活性エネルギー線硬化性組成物に共通する課題として、印刷層を有する部材の接着剤に使用した場合、印刷部の陰になる遮蔽部に存在する接着剤は、光が透過しないため硬化性が低くなるという問題もあった。
遮蔽部硬化性を高める方法として、脂肪族エポキシモノマーと、ボレート系アニオン成分を有する熱酸発生剤を使用する方法が開示されているが(例えば、特許文献2参照)、モノマーとしての硬化速度に課題があり、また、熱酸発生剤の分解効率も低く、改良の余地があった。
特開平11-199681号公報 特開2006-335985号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、硬化性に優れる活性エネルギー線硬化性組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を行った結果、本発明に到達した。
即ち、本発明は、アニオン成分の共役酸のpKaが-30~-15であり、TG-DTAにおける熱分解温度が220℃以上であるオニウム塩(A)、アニオン成分の共役酸のpKaが-30~-15であり、TG-DTAにおける熱分解温度が220℃未満であるオニウム塩(B)、アニオン成分の共役酸のpKaが-15を超えて5以下であるオニウム塩(D)、脂環式骨格を有する炭素数5~30の2官能エポキシモノマー(C1)及び炭素数5~30のオキセタンモノマー(C2)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物(X)、該活性エネルギー線硬化性組成物を含むコーティング剤並びに活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物(X)は、硬化性に優れるという効果を有する。
本発明における活性エネルギー線硬化性組成物(X)は、アニオン成分の共役酸のpKaが-30~-15であり、TG-DTAにおける熱分解温度が220℃以上であるオニウム塩(A)、アニオン成分の共役酸のpKaが-30~-15であり、TG-DTAにおける熱分解温度が220℃未満であるオニウム塩(B)、脂環式骨格を有する炭素数5~30の2官能エポキシモノマー(C1)、炭素数5~30のオキセタンモノマー(C2)及びアニオン成分の共役酸のpKaが-15を超えて5以下であるオニウム塩(D)を含有する。
本発明におけるアニオン成分の共役酸のpKaが-30~-15であり、TG-DTAにおける熱分解温度が220℃以上であるオニウム塩(A)は、示差熱天秤(TG-DTA)を用い、窒素雰囲気中昇温速度5℃/minで測定し、5重量%減量のときの温度(熱分解温度)が220℃以上の化合物である。
[熱分解温度の測定]
オニウム塩(A)及び後記するオニウム塩(B)のTG-DTAにおける熱分解温度は、示差熱天秤(TG-DTA)を用い、窒素雰囲気中昇温速度5℃/minで測定し、5重量%減量のときの温度である。以下の測定装置を使用して以下の測定条件で測定した。
測定装置:示差熱天秤(TG-DTA)(TG-8120、(株)リガク製)
測定条件:窒素雰囲気中、25℃から昇温速度5℃/minで測定し、5重量%減量のときの温度を熱分解温度とした。
[pKa]
酸解離定数pKaとは、水溶液中での酸解離定数pKaのことを表し、例えば、化学便覧(II)(改訂4版、1993年、日本化学会編、丸善株式会社)に記載のものであり、この値が低いほど酸強度が大きいことを示している。水溶液中での酸解離定数pKaは、具体的には、無限希釈水溶液を用い、25℃での酸解離定数を測定することにより実測することができ、また、下記ソフトウェアパッケージ1を用いて、ハメットの置換基定数及び公知文献値のデータベースに基づいた値を、計算により求めることもできる。
本発明において、オニウム塩(A)、オニウム塩(B)及びオニウム塩(C)のpKaの値は、全て、このソフトウェアパッケージを用いて計算により求めた値である。
ソフトウェアパッケージ1: Advanced Chemistry Development (ACD/Labs) Software V8.14 for Solaris (1994-2007 ACD/Labs)。
前記のオニウム塩(A)は、カチオン成分及びアニオン成分からなるものである。
オニウム塩(A)のカチオン成分としては、スルホニウムイオン及びヨードニウムイオン等が挙げられる。
オニウム塩(A)のアニオン成分としては、ハロゲン化物アニオン、水酸化物アニオン、チオシアナートアニオン、炭素数1~4のジアルキルジチオカルバメートアニオン、炭酸アニオン、炭酸水素アニオン、ハロゲンで置換されていてもよい脂肪族又は芳香族カルボキシアニオン(安息香酸アニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、パーフルオロアルキル酢酸アニオン及びフェニルグリオキシル酸アニオン等)、ハロゲンで置換されていてもよい脂肪族又は芳香族スルホキシアニオン(トリフルオロメタンスルホン酸アニオン等)、6フッ化アンチモネートアニオン(SbF )、ホスフィンアニオン[6フッ化ホスフィンアニオン(PF )及び3フッ化トリス(パーフルオロエチル)ホスフィンアニオン(PF(C )等]及びテトラフェニルボレートアニオン及びテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオン等が挙げられる。
これらのアニオン成分のうち、硬化性の観点から好ましくは6フッ化アンチモネートアニオン(SbF )[共役酸のpKa:-25]、ホスフィンアニオン[6フッ化ホスフィンアニオン(PF )[共役酸のpKa:-20]及び3フッ化トリス(パーフルオロエチル)ホスフィンアニオン(PF(C )等][共役酸のpKa:-20]及びテトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオン[共役酸のpKa:-30]等が挙げられる。
前記のカチオン成分がスルホニウムイオンであるオニウム塩(A1)としては、下記一般式(1)又は下記一般式(2)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 0007089409000001
一般式(1)又は(2)において、Ar~Arはそれぞれ独立にベンゼン環骨格を少なくとも1個有し、ハロゲン原子、炭素数1~20のアシル基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のアルキルチオ基、炭素数1~20のアルキルシリル基、ニトロ基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基及びフェニルチオ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基(α)で置換されていてもよい芳香族炭化水素基、又は、前記の基(α)で置換されていてもよい複素環基である。一般式(1)又は(2)において、(X及び(Xは前記のアニオン成分を表す。一般式(2)において、Aは、酸素原子又は硫黄原子である。
なお、Ar~Ar、Ar及びArは1価の基、Arは2価の基である。
一般式(1)及び一般式(2)におけるAr~Arは、紫外~可視光領域に吸収をもつ基である。
Ar~Arにおけるベンゼン環骨格の数は、好ましくは1~5、更に好ましくは1~4である。
ベンゼン環骨格を1個有する場合の例としては、ベンゼン、又はベンゾフラン、ベンゾチオフェン、インドール、キノリン、クマリン等の複素環化合物から水素原子を1個又は2個除いた残基等が挙げられる。
ベンゼン環骨格を2個有する場合の例としては、ナフタレン、ビフェニル、フルオレン、又はジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、キサントン、キサンテン、チオキサントン、アクリジン、フェノチアジン及びチアントレン等の複素環化合物から水素原子を1個又は2個除いた残基等が挙げられる。
ベンゼン環骨格3個有する場合の例としては、アントラセン、フェナントレン、ターフェニル、p-(チオキサンチルメルカプト)ベンゼン及びナフトベンゾチオフェン等の複素環化合物から水素原子を1個又は2個除いた残基等が挙げられる。
ベンゼン環骨格4個有する場合の例としては、ナフタセン、ピレン、ベンゾアントラセン及びトリフェニレン等から水素原子を1個又は2個除いた残基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素が挙げられ、フッ素及び塩素が好ましい。
前記の炭素数1~20のアシル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、イソブチリル基、バレリル基及びシクロヘキシルカルボニル基等が挙げられる。
前記の炭素数1~20のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n-又はiso-プロピル基、n-、sec-又はtert-ブチル基、n-、iso-又はneo-ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基及びオクチル基等が挙げられる。
前記の炭素数1~20のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n-又はiso-プロポキシ基、n-、sec-又はtert-ブトキシ基、n-、iso-、又はneo-ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基及びオクチルオキシ基等が挙げられる。
前記の炭素数1~20のアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n-又はiso-プロピルチオ基、n-、sec-又はtert-ブチルチオ基、n-、iso-又はneo-ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基及びオクチルチオ基等が挙げられる。
前記の炭素数1~20のアルキルシリル基としては、トリアルキルシリル基(トリメチルシリル基及びトリイソプロピルシリル基等)等が挙げられる。
前記のAr~Arに置換する基(α)として、酸発生効率の観点から好ましいのは、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、フェニルチオ基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のアルキルチオ基及び炭素数1~20のアシル基であり、更に好ましいのは、ハロゲン原子、シアノ基、フェニル基、炭素数1~15のアルキル基、炭素数1~15のアルコキシ基、炭素数1~15のアルキルチオ基及び炭素数1~15のアシル基であり、特に好ましいのは、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のアルキルチオ基及び炭素数1~10のアシル基である。尚、上記のアルキル部分は直鎖でも分岐でも環状でもよい。
Ar~Ar、Ar及びArとして、酸発生効率の観点から好ましいのは、フェニル基、p-メチルフェニル基、p-メトキシフェニル基、p-tert-ブチルフェニル基、2,4,6-トリメチルフェニル基、p-(チオキサンチルメルカプト)フェニル基及びm-クロロフェニル基である。
Arとして、酸発生効率の観点から好ましいのは、フェニレン基、2-又は3-メチルフェニレン基、2-又は3-メトキシフェニレン基、2-又は3-ブチルフェニレン基及び2-又は3-クロロフェニレン基である。
一般式(1)又は(2)において、(X及び(Xは前記のアニオン成分を表す。
前記の(X及び(Xとしては、ハロゲン化物アニオン、水酸化物アニオン、チオシアナートアニオン、炭素数1~4のジアルキルジチオカルバメートアニオン、炭酸アニオン、炭酸水素アニオン、ハロゲンで置換されていてもよい脂肪族又は芳香族カルボキシアニオン(安息香酸アニオン、トリフルオロ酢酸アニオン、パーフルオロアルキル酢酸アニオン及びフェニルグリオキシル酸アニオン等)、ハロゲンで置換されていてもよい脂肪族又は芳香族スルホキシアニオン(トリフルオロメタンスルホン酸アニオン等)、6フッ化アンチモネートアニオン(SbF )、ホスフィンアニオン[6フッ化ホスフィンアニオン(PF )及び3フッ化トリス(パーフルオロエチル)ホスフィンアニオン(PF(C )等]及びボレートアニオン(テトラフェニルボレート及びブチルトリフェニルボレートアニオン等)等が挙げられる。
これらの内、硬化性の観点から好ましいのは、ホスフィンアニオン、ハロゲンで置換された脂肪族スルホキシイオン及びボレートアニオンであり、更に好ましいのはホスフィンアニオンであり、特に好ましいのはPF 又はPF(C である。
一般式(2)において、Aは、酸素原子又は硫黄原子である。酸発生効率の観点から好ましいのは、硫黄原子である。
前記のカチオン成分がスルホニウムイオンであるオニウム塩(A1)として、酸発生効率の観点から好ましいのは、トリフェニルスルホニウムイオン、トリ-p-トリルスルホニウムイオン又は[p-(フェニルメルカプト)フェニル]ジフェニルスルホニウムイオンをカチオン成分として有する化合物及び下記一般式(3)又は(4)で示される化合物であり、更に好ましいのは[p-(フェニルメルカプト)フェニル]ジフェニルスルホニウムイオンをカチオン成分として有する化合物、下記一般式(3)又は(4)で示される化合物である。
オニウム塩(A1)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
Figure 0007089409000002
一般式(3)及び一般式(4)における(X~(Xは前記のアニオン成分を表し、一般式(1)又は(2)における(X又は(Xとして例示したものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
前記のカチオン成分がヨードニウムイオンであるオニウム塩(A2)としては、下記一般式(5)で示される化合物等が挙げられる。
Figure 0007089409000003
一般式(5)において、Ar~Arは、それぞれ独立にベンゼン環骨格を少なくとも1個有し、前記の基(α)で置換されていてもよい芳香族炭化水素基、又は、前記の基(α)で置換されていてもよい複素環基である。
なお、Ar~Arは1価の基である。
一般式(5)におけるAr~Arは、一般式(5)で表される化合物が紫外~可視光領域に吸収をもつようになる基である。
Ar~Arにおけるベンゼン環骨格の数は、好ましくは1~5、更に好ましくは1~4であり、Ar~Arの具体例としては、一般式(1)又は一般式(2)のAr~Arとして例示したものと同様のものが挙げられ、好ましいものは炭素数1~20のアルキル基で置換された芳香族炭化水素基である。
一般式(5)において、(Xは、前記のアニオン成分を表し、一般式(1)又は(2)における(X又は(Xとして例示したものと同様のものが挙げられ、好ましいものも同様である。
前記のカチオン成分がヨードニウムイオンであるオニウム塩(A2)として、酸発生効率の観点から好ましいのは、(4-メチルフェニル){4-(1-メチルエチル)フェニル}ヨードニウムイオン、(4-メチルフェニル){4-(2-メチルプロピル)フェニル}ヨードニウムイオン、[ビス(4-t-ブチルフェニル)]ヨードニウムイオン、[ビス(4-t-ブチルフェニル)]トリフルオロ[トリス(パーフルオロエチル)]ヨードニウムイオン、[ビス(4-メトキシフェニル)]ヨードニウム及び[ビス(4-メトキシフェニル)]ヨードニウムイオンをカチオン成分として有する化合物であり、更に好ましいのは(4-メチルフェニル){4-(1-メチルエチル)フェニル}ヨードニウムイオン、(4-メチルフェニル){4-(2-メチルプロピル)フェニル}ヨードニウムイオン及び[ビス(4-t-ブチルフェニル)]ヨードニウムイオンをカチオン成分として有する化合物であるである。
オニウム塩(A2)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらのオニウム塩(A)のうち、硬化性の観点から好ましいものとしては、前記のカチオン成分がスルホニウムイオンであるオニウム塩(A1)及びヨードニウムイオンであるオニウム塩(A2)であり、更に好ましいものとしては前記のカチオン成分がヨードニウムイオンであるオニウム塩(A2)である。
本発明におけるアニオン成分の共役酸のpKaが-30~-15であり、TG-DTAにおける熱分解温度が220℃未満であるオニウム塩(B)は、示差熱天秤(TG-DTA)を用い、窒素雰囲気中昇温速度5℃/minで測定し、5%減量のときの温度(熱分解温度)が220℃未満の化合物である。
オニウム塩(B)において、アニオン成分の共役酸のpKaは、アニオン成分のみに依存し、カチオン成分には影響されない。そのため、前記アニオン成分は、オニウム塩(A)で例示したアニオン成分と同じものを用いることができる。
前記のオニウム塩(B)は、カチオン成分及びアニオン成分からなるものである。
オニウム塩(B)としては、スルホニウム塩(B1)、ヨードニウム塩(B2)、ベンゾチアゾニウム塩(B3)、アンモニウム塩(B4)及びホスホニウム塩(B5)等が挙げられる。
オニウム塩(B)のカチオン成分としては、スルホニウムイオン、ヨードニウムイオン、ベンゾチアゾニウムイオン、アンモニウムイオン及びホスホニウム等が挙げられる。
オニウム塩(B)のアニオン成分としては、上記オニウム塩(B)のアニオン成分と同じものが挙げられ、好ましいものも同様である。
スルホニウム塩(B1)としては、アニオン成分として(PF )を有するもの[(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、(4-ヒドロキシフェニル)(2-メチルベンジル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、(4-ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、(4-ヒドロキシフェニル)(4-ニトロベンジル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、(4-ヒドロキシフェニル)(4-メチルベンジル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスファート等];アニオン成分として(PF(C )を有するもの[(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、(4-ヒドロキシフェニル)(2-メチルベンジル)メチルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、(4-ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、(4-ヒドロキシフェニル)(4-ニトロベンジル)メチルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、(4-ヒドロキシフェニル)(4-メチルベンジル)メチルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート等];アニオン成分として(SbF )を有するもの[(4-ヒドロキシフェニル)(2-メチルベンジル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート、(4-アセトフェニル)ジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート、(4-ベンジルオキシカルボニルオキシフェニル)ジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート、(4-ベンゾイルオキシフェニル)ジメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート等];アニオン成分として(CFSO )を有するもの[(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(4-ヒドロキシフェニル)(2-メチルベンジル)メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(4-ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、(4-ヒドロキシフェニル)(4-メチルベンジル)メチルスルホニウムトリフルオロメタンスルホナート等];アニオン成分として((CFSO)を有するもの[(4-ヒドロキシフェニル)ジメチルスルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(4-ヒドロキシフェニル)(2-メチルベンジル)メチルスルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、(4-ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド等];アニオン成分として(AsF )を有するもの[(4-アセトキシフェニル)ジメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセナート及び(4-ベンゾイルオキシフェニル)ジメチルスルホニウムヘキサフルオロアルセナート等]等が挙げられる。
市販品の例としては、TA-60、TA-60B、TA-100、TA-120、(以上、サンアプロ(株)製)、アデカプトンCP77、アデカオプトンCP77(以上、旭電化工業(株)製)、CI-2639、CI-2624(以上、日本曹達(株)製)、サンエイドSI-80L、サンエイドSI-100L、サンエイドSI-60L(以上、三新化学工業(株)製)が挙げられる。
ヨードニウム塩(B2)としては、ジフェニルヨードニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド及び(p-ニトロフェニル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
ベンゾチアゾニウム塩(B3)としては、アニオンとして(SbF )を有するもの[3-ベンジルベンゾチアゾニウムヘキサフルオロアンチモナート、3-(4-メトキシベンジル)ベンゾチアゾニウムヘキサフルオロアンチモナート、2-メチルスルファニル-3-ベンジルベンゾチアゾニウムヘキサフルオロアンチモナート及び5-クロロ-3-ベンジルベンゾチアゾニウムヘキサフルオロアンチモナート等];アニオンとして(PF )を有するもの(3-ベンジルベンゾチアゾニウムヘキサフルオロホスファート等);アニオンとして(BF )を有するもの(3-ベンジルベンゾチアゾニウムテトラフルオロボラート等)等が挙げられる。
アンモニウム塩(B4)としては、テトラメチルアンモニウムブチルトリス(2,6-ジフルオロフェニル)ボラート、テトラメチルアンモニウムヘキシルトリス(p-クロロフェニル)ボラート、テトラメチルアンモニウムヘキシルトリス(3-トリフルオロメチルフェニル)ボラート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムブチルトリス(2,6-ジフルオロフェニル)ボラート、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムヘキシルトリス(p-クロロフェニル)ボラート及びベンジルジメチルフェニルアンモニウムヘキシルトリス(3-トリフルオロメチルフェニル)ボラート等が挙げられる。
ホスホニウム塩(B5)としては、(4-メチルフェニル)ジフェニルホスホニウムトリフラート等が挙げられる。
これらのオニウム塩(B)のうち、硬化性の観点から、好ましくはスルホニウム塩(B1)であり、更に好ましくは(4-ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、(4-ヒドロキシフェニル)(4-ニトロベンジル)メチルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、(4-ヒドロキシフェニル)ベンジルメチルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート、(4-ヒドロキシフェニル)(4-ニトロベンジル)メチルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートである。
オニウム塩(B)は1種を単独で用いても良いし、2種以上を併用してもよい。
脂環式骨格を有する炭素数5~30の2官能エポキシモノマー(C1)としては、3',4'-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ε-カプロラクトン変性3',4'-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、ノルボルナジエンジオキシド、ジペンテンジオキシド、ビニルシクロヘキセンジオキシド、5,6-エポキシ-4,7-メタノ-1-オキサスピロ-(2,5)-オクタン、6-メチル-6-トリクロロメチル-4,8-ジオキサ-トリシクロ(5.1.0.0(3,5))オクタン-2-オン、下記一般式(6)で表される化合物及び下記一般式(7)で表される化合物等が挙げられる。
Figure 0007089409000004
Figure 0007089409000005
一般式(6)及び一般式(7)中、R~R26はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1~18の炭化水素基又は炭素数1~18のアルコキシ基である。
前記の炭素数1~18の炭化水素基中の炭素原子は酸素原子で置換されていてもよく、水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。
前記の炭素数1~18のアルコキシ基中の炭素原子は酸素原子で置換されていてもよく、水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい。
~R26の内、硬化性の観点から好ましいものとしては、水素原子、ハロゲン原子及び炭素数1~4の炭化水素基(メチル基、エチル基、プロピル基及びブチル基等)が挙げられ、更に好ましいのは水素原子である。
また、一般式(6)及び一般式(7)中、a~d、f及びgは、それぞれ独立に、0~4の整数である。また、e及びhは1~4の整数であり、かつe=hである。
また、一般式(6)において、硬化性の観点から、好ましいa、b、c及びdの組み合わせは(a=1、b=0、c=1、d=0)、(a=1、b=1、c=1、d=0)、(a=1、b=1、c=2、d=0)、(a=1、b=1、c=1、d=1)及び(a=2、b=1、c=2、d=1)であり、更に好ましくは(a=1、b=0、c=1、d=0)、(a=1、b=1、c=1、d=0)及び(a=1、b=1、c=1、d=1)であり、特に好ましくは(a=1、b=1、c=1、d=0)である。
また、一般式(7)において、硬化性の観点から、好ましいe、f、g及びhの組み合わせは(e=1、f=1、g=0、h=1)、(e=1、f=1、g=1、h=1)及び(e=1、f=2、g=1、h=1)であり、更に好ましくは(e=1、f=1、g=0、h=1)である。
一般式(6)で表される化合物及び一般式(7)で表される化合物は、国際公開第2014/175129号に記載の方法等で合成することができる。
エポキシ化合物を用いるカチオン重合において、使用するモノマーはエステル基、ウレタン基、ウレア基、アミノ基のような高極性基を持たないことが好ましい。高極性基が存在すると、カチオン重合における連鎖移動反応が成長反応よりも優先的に起こり、見かけの重合速度が低下し、分子量も低下してしまう。
前記のエポキシモノマー(C1)の内、硬化性の観点から好ましいのは、一般式(6)で表される化合物及び一般式(7)で表される化合物であり、更に好ましいのは3a,4,7,7a-テトラヒドロインデンジオキシド、1,3a,4,6a-テトラヒドロペンタレンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド及び1-メチルジシクロペンタジエンジオキシドである。
前記のエポキシモノマー(C1)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
炭素数5~30のオキセタンモノマー(C2)としては、単官能オキセタンモノマー(C21)、2官能オキセタンモノマー(C22)及び3官能以上のオキセタンモノマー(C23)等が挙げられる。
[単官能オキセタンモノマー(C21)]
前記(C21)としては、3-エチル-3-ヒドロキシメチルオキセタン(商品名「OXT-101」、東亞合成(株)製)、3-エチル-3-(2-エチルヘキシロキシメチル)オキセタン(商品名「OXT-212」、東亞合成(株)製)、3-エチル-3-フェノキシメチルオキセタン(商品名「OXT-211」、東亞合成(株)製)、3-エチル-3-アクリロキシメチルオキセタン(商品名「OXE-10」、大阪有機化学工業(株)製)及び3-エチル-3-メタクリロキシメチルオキセタン(商品名「ETERNACOLL OXMA」、宇部興産(株)製)等が挙げられる。
[2官能オキセタンモノマー(C22)]
前記(C22)としては、ポリエチレングリコールビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、エチレンオキサイド(以下、EOと略記することがある)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、プロピレンオキシド(PO)変性ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、PO変性水添ビスフェノールAビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、EO変性ビスフェノールFビス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン(商品名「OXT-121」、東亞合成(株)製)、3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン(商品名「OXT-221」、東亞合成(株)製)、4,4’ -ビス[3-エチル-(3-オキセタニル)メトキシメチル]ビフェニル(商品名「ETERNACOLL OXBP」、宇部興産(株)製)、ジ(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシエチルアジピン酸(商品名「アジピン酸ビスオキセタン」、宇部興産(株)製)、ビス(3-エチルオキセタン-3-イルメチル)カーボネート(商品名「ジオキセタンカーボネート」、宇部興産(株)製)及びテレフタル酸ビス-(3-エチル-オキセタン-3-イルメチル)エステル(商品名「OXTP」、宇部興産(株)製)等が挙げられる。
[3官能以上のオキセタンモノマー(C23)]
前記(C23)としては、ペンタエリスリトールトリス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジペンタエリスリトールテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル、ジトリメチロールプロパンテトラキス(3-エチル-3-オキセタニルメチル)エーテル等が挙げられる。
オキセタン化合物を用いるカチオン重合において、エポキシモノマーとの併用が好ましい。また、オキセタン基のモル濃度はエポキシ基のモル濃度よりも大きいことが好ましい。カチオン重合において、オキセタンモノマーの開始反応速度は、エポキシモノマーと比較して非常に小さいため、オキセタンモノマー単独ではカチオン重合が進行しない。一方、オキセタンモノマーは、連鎖移動反応が起きにくく、成長反応速度が非常に大きい。
前記のオキセタンモノマー(C2)の内、硬化性及び基材密着性の観点から好ましいのは、(C21)及び(C22)であり、更に好ましいのは(C22)である。
前記のオキセタンモノマー(C2)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明におけるアニオン成分の共役酸のpKaが-15を超えて5以下であるオニウム塩(D)は、水中又は有機溶剤中で測定したpKaが-15を超えて5以下である共役酸をアニオン成分として有するオニウム塩である。
前記のオニウム塩(D)としては、アニオン成分の共役酸が無機酸のオニウム塩(D1)、アニオン成分の共役酸が有機酸のオニウム塩(D2)等が挙げられる。
[アニオン成分の共役酸が無機酸のオニウム塩(D1)]
前記(D1)のアニオン成分の共役酸としては、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、硝酸、リン酸、テトラフルオロホウ酸等が挙げられる。
前記のオニウム塩(D1)のカチオン成分としては、硬化性の観点から好ましくはスルホニウムイオン等が挙げられ、前記(A1)と同じものを挙げることができる。
[アニオン成分の共役酸が有機酸のオニウム塩(D2)]
前記オニウム塩(D2)のアニオン成分の共役酸としては、メタンスルホン酸[共役酸のpKa:-1.9]、トリフルオロメタンスルホン酸[共役酸のpKa:-14.7]、酢酸[共役酸のpKa:4.8]、トリフルオロ酢酸[共役酸のpKa:0.2]、安息香酸[共役酸のpKa:4.2]、p-トルエンスルホン酸[共役酸のpKa:-2.8]等が挙げられる。
前記の(D1)のカチオン成分としては、前記(A1)のカチオン成分と同じものを挙げることができ、硬化性の観点から好ましいものは前記(A1)のカチオン成分の好ましいものと同様である。
前記の(D)の内、貯蔵安定性の観点から、好ましいのは(D2)であり、さらに好ましいのは、アニオン成分の共役酸がメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸であるオニウム塩である。
前記の(D)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物(X)は、金属酸化物粉末(E)を含有することにより、セラミック電子部品のグリーンシート形成及び電極層形成に使用することができる。
金属酸化物粉末(E)としては、Si、Mg、Al、Ti、Zr、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Sn及びZnの酸化物を含む粒子が挙げられる。
具体的には、酸化チタン、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、酸化ニオブ及びチタン酸ジルコン酸鉛等が挙げられる。
金属酸化物粉末(E)の形状としては、球状の粒子及び針状の粒子等が挙げられる。
金属酸化物粉末(E)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
金属酸化物粉末(E)の粒子径は、誘電率の観点から、平均粒子径として0.01μm~2.0μmであることが好ましく、更に好ましくは0.01μm~1.0μmである。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物(X)は、前記の(A)、(B)、(C1)、(C2)、(D)及び(E)以外に、その他の添加剤を含有していてもよい。
その他の添加剤としては、着色剤(F)、分散剤(G)、増感剤(H)及び溶剤等が挙げられる。
着色剤(F)としては、従来、塗料及びインキ等に使用されている等の顔料(無機顔料及び有機顔料等)及び染料等が挙げられる。
無機顔料としては、黄鉛、亜鉛黄、紺青、硫酸バリウム、カドミウムレッド、酸化チタン、亜鉛華、ベンガラ、アルミナ、炭酸カルシウム、群青、カーボンブラック、グラファイト及びチタンブラック等が挙げられる。
有機顔料としては、β-ナフトール系、β-オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系、ピラゾロン系等の溶性アゾ顔料、β-ナフトール系、β-オキシナフトエ酸系、β-オキシナフトエ酸系アニリド系、アセト酢酸アニリド系モノアゾ、アセト酢酸アニリド系ジスアゾ、ピラゾロン系等の不溶性アゾ顔料、銅フタロシニンブルー、ハロゲン化銅フタロシアニンブルー、スルホン化銅フタロシアニンブルー、金属フリーフタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、イソシンドリノン系、キナクリドン系、ジオキサンジン系、ペリノン系及びペリレン系等の多環式又は複素環式化合物が挙げられる。
染料の具体例として、イエロー染料としては、カップリング成分としてフェノール、ナフトール、アニリン、ピラゾロン、ピリドン若しくは開鎖型活性メチレン化合物を有するアリール又はヘテリルアゾ染料、カップリング成分として開鎖型活性メチレン化合物を有するアゾメチン染料、ベンジリデン染料及びモノメチンオキソノール染料等のメチン染料、ナフトキノン染料及びアントラキノン染料等のキノン染料等、キノフタロン染料、ニトロ、ニトロソ染料、アクリジン染料並びにアクリジノン染料等が挙げられる。
マゼンタ染料としては、カップリング成分としてフェノール、ナフトール、アニリン、ピラゾロン、ピリドン、ピラゾロトリアゾール、閉環型活性メチレン化合物若しくはヘテロ環(ピロール、イミダゾール、チオフェン及びチアゾール誘導体等)を有するアリール又はヘテリルアゾ染料、カップリング成分としてピラゾロン類又はピラゾロトリアゾール類を有するアゾメチン染料、アリーリデン染料、スチリル染料、メロシアニン染料及びオキソノール染料等のメチン染料、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料及びキサンテン染料等のカルボニウム染料、ナフトキノン、アントラキノン及びアントラピリドン等のキノン染料並びにジオキサジン染料等の縮合多環染料等を挙げられる。
シアン染料としては、インドアニリン染料及びインドフェノール染料等のアゾメチン染料、シアニン染料、オキソノール染料及びメロシアニン染料等のポリメチン染料、ジフェニルメタン染料、トリフェニルメタン染料及びキサンテン染料等のカルボニウム染料、フタロシアニン染料、アントラキノン染料、カップリング成分としてフェノール、ナフトール、アニリン、ピロロピリミジノン若しくはピロロトリアジノン誘導体を有するアリール又はヘテリルアゾ染料(C.I.ダイレクトブルー14等)並びにインジゴ・チオインジゴ染料を挙げられる。
着色剤(F)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
着色剤(F)の粒子径は、塗膜の鮮映性の観点から、平均粒子径として0.01μm~2.0μmが好ましく、0.01μm~1.0μmが更に好ましい。
分散剤(G)としては、ビックケミー社製分散剤(Anti-Terra-U、Disperbyk-101,103、106、110、161、162、164、166、167、168,170、174、182、184又は2020等)、味の素ファインテクノ社製分散剤(アジスパーPB711、PB821、PB814、PN411及びPA111等)、ルーブリゾール社製分散剤(ソルスパーズ5000、12000、32000、33000、36000及び39000等)が挙げられる。
分散剤(G)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
本発明における増感剤(H)としては、アントラセン、チオキサントン、ベンゾフェノンチオキサントン、フェノチアゼン及びぺリレン等が挙げられる。
なかでも、アントラセンは、カチオン重合開始剤と併用することで、飛躍的に光感度を向上させることができることから好ましい。
アントラセン増感剤としては、ジエキシアントラセン(商品名「UVS-1101」、川崎化成工業(株)製)、ジプロポキシアントラセン(商品名「UVS-1221」、川崎化成工業(株)製)、ジブトキシアントラセン(商品名「UVS-1331」、川崎化成工業(株)製)が挙げられる。
増感剤(H)の内、溶解性、硬化性の観点から好ましいのは、ジブトキシアントラセンである。
増感剤(H)は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
2官能エポキシモノマー(C1)の重量割合は、硬化性の観点から、2官能エポキシモノマー(C1)及びオキセタンモノマー(C2)の合計重量に基づき、好ましくは0.1~99重量%であり、更に好ましくは1~90重量%であり、特に好ましくは5~70重量%である。
オキセタンモノマー(C2)の重量割合は、硬化性の観点から、(C1)及び(C2)の合計重量に基づき、好ましくは1~99.9重量%であり、更に好ましくは10~99重量%であり、特に好ましくは30~95重量%である。
前記のオニウム塩(A)の重量割合は、硬化性の観点から、(C1)及び(C2)の重量に基づき、好ましくは0.1~30重量%であり、更に好ましくは0.5~20重量%であり、特に好ましくは1~10重量%である。
前記のオニウム塩(B)の重量割合は、硬化性の観点から、(C1)及び(C2)の合計重量に基づき、好ましくは0.1~30重量%であり、更に好ましくは0.5~20重量%であり、特に好ましくは1~10重量%である。
前記のオニウム塩(D)の重量割合は、硬化性の観点から、(C1)及び(C2)の合計重量に基づき、好ましくは0.1~30重量%であり、更に好ましくは0.5~20重量%であり、特に好ましくは1~10重量%である。
前記の金属酸化物粉末(E)及び前記の着色剤(F)の合計重量の割合は、着色性及び機械的物性の観点から、活性エネルギー線硬化性組成物(X)の重量に基づき、好ましくは1~60重量%であり、更に好ましくは1~30重量%である。
前記の分散剤(G)の重量割合は、前記の金属酸化物粉末(E)及び着色剤(F)の分散性の観点から、金属酸化物粉末(E)及び前記の着色剤(F)の合計重量に基づき、好ましくは1~90重量%であり、更に好ましくは5~80重量%である。
前記の増感剤(H)の重量割合は、硬化性の観点から、(C1)及び(C2)の合計重量に基づき、0.1~10重量%であり、更に好ましくは0.5~5重量%である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物(X)の製造方法は、特に限定はされない。
例えば、前記のオニウム塩(A)と、前記のオニウム塩(B)と、前記のモノマー(C1)と、前記のモノマー(C2)と、前記の金属酸化物粉末(E)及び/又は前記の着色剤(F)と、必要に応じて前記の分散剤(G)と、増感剤(H)とを、20~80℃の温度範囲で、公知の機械的混合方法(メカニカルスターラー及びマグネティックスターラー等を用いる方法)を用いることによって均一混合することで、製造することができる。
活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物は、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化して得ることができ、硬化性の観点から、好ましくは光で硬化させた硬化物である。次に硬化物の製造方法について説明する。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物(X)は、360nm~830nmの活性光線の照射で光硬化により硬化物を得ることできるため、一般的に使用されている高圧水銀灯の他、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ及びハイパワーメタルハライドランプ、UV-LED等(UV・EB硬化技術の最新動向、ラドテック研究会編、シーエムシー出版、138頁、2006)が使用できる。
活性光線の照射時及び/又は照射後にオニウム塩(A)から発生した酸を拡散させる目的で、加熱を行ってもよい。
加熱温度は、30℃~200℃であることが好ましく、更に好ましくは35℃~150℃、特に好ましくは40℃~120℃である。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物(X)は、活性光線の照射時及び/又は照射後にオニウム塩(A)から発生した酸と、モノマー(C1)及び(C2)が反応することでカチオン重合が進行する。このカチオン重合速度は非常に大きいため、重合に伴い大きな反応熱が発生する。この大きな反応熱が未反応部分(遮蔽部)へ伝搬することで、オニウム塩(B)から酸が発生し、活性光線が直接当たらない部分についても硬化物を得ることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物(X)の基材への塗布方法としては、公知のコーティング法(スピンコート、ロールコート及びスプレーコート等)及び公知の印刷法(平版印刷、カルトン印刷、金属印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷及びグラビア印刷等)を適用できる。また、微細液滴を連続して吐出するインクジェット方式の塗布にも適用できる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物(X)は、少エネルギー量でも高着色剤濃度で厚膜硬化可能であるため、コーティング剤、インキ(UV印刷インキ及びUVインクジェット印刷インキ等)、塗料、接着剤及びセラミック電子部品製造用の材料として極めて有用である。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[熱分解温度の測定]
オニウム塩(A)及び後記するオニウム塩(B)のTG-DTAにおける熱分解温度は、示差熱天秤(TG-DTA)を用い、窒素雰囲気中昇温速度5℃/minで測定し、5重量%減量のときの温度である。以下の測定装置を使用して以下の測定条件で測定した。
測定装置:示差熱天秤(TG-DTA)(TG-8120、(株)リガク製)
測定条件:窒素雰囲気中、25℃から昇温速度5℃/minで測定し、5重量%減量のときの温度を熱分解温度とした。
製造例1:オニウム塩(A1-1){下記一般式(8)で表される化合物}の製造
Figure 0007089409000006
ジフェニルスルホキシド12.1重量部、ジフェニルスルフィド9.3重量部及びメタンスルホン酸43.0重量部を撹拌しながら、これに無水酢酸7.9重量部を滴下し、40~50℃で5時間反応させた後、室温(約25℃)まで冷却し、この反応溶液を20重量%トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム水溶液121重量部中に投入し、室温で1時間撹拌して、黄色の粘調な油状物が析出した。この油状物を酢酸エチルにて抽出し、有機層を水で数回洗浄した後、有機層から溶剤を留去し、得られた残渣にトルエンを加えて溶解した後、ヘキサンを加え、10℃で1時間撹拌した後に静置した。1時間後、溶液は2層に分離したため、上層を分液によって除去した。残渣にヘキサンを加え、室温でよく混合すると淡黄色の結晶が析出した。これを濾別し、減圧乾燥して、目的とするオニウム塩(A1-1)48重量部を得た。TG-DTAによる(A1-1)の熱分解温度は340℃、(A1-1)のアニオン成分の共役酸のpKaは-20あった。
製造例2:オニウム塩(A2-1){下記一般式(9)で表される化合物}の製造
Figure 0007089409000007
トルエン[東京化成工業(株)製]6.5重量部、イソプロピルベンゼン[東京化成(株)製]8.1重量部、ヨウ化カリウム[東京化成工業(株)製]5.4重量部及び無水酢酸20重量部を酢酸70重量部に溶解させ、10℃まで冷却し、温度を10±2℃に保ちながら、濃硫酸12重量部と酢酸15重量部の混合溶液を1時間かけて滴下した。25℃まで昇温し、24時間攪拌した。その後、反応溶液にジエチルエーテル50重量部を加え、水で3回洗浄し、ジエチルエーテルを減圧留去した。残渣にトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム118重量部を水100重量部に溶解させた水溶液を加え、25℃で20時間攪拌した。その後、反応溶液に酢酸エチル500重量部を加え、水で3回洗浄し、有機溶剤を減圧留去することで目的とするオニウム塩(A2-1)5.0重量部を得た。TG-DTAによる(A2-1)の熱分解温度は245℃、(A2-1)のアニオン成分の共役酸のpKaは-20であった。
製造例3:オニウム塩(B-1){下記一般式(10)で表される化合物}の製造
Figure 0007089409000008
ベンジルブロマイド[東京化成工業(株)製]0.855g(5ミリモル)、4-(メチル)チオフェノール[東京化成工業(株)製]0.7g(5ミリモル)をメタノール15mlに溶解させ、50℃で12時間撹拌した。イオン交換水30ml、酢酸エチル15mlを加え30分撹拌したのち分液し、酢酸エチル層を除去した。水層に等モルのトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウムを含む水溶液37g、酢酸エチル30mlを室温下で混合し、そのまま3時間撹拌した。酢酸エチル層を分液操作にて水で2回洗浄した後、ロータリーエバポレーターにより溶媒を留去することにより、目的とするオニウム塩(B-1)を収率94重量%で得た。TG-DTAによる(B-1)の熱分解温度は156℃、(B-1)のアニオン成分の共役酸のpKaは-20であった。
製造例3:オニウム塩(B-2){下記一般式(11)で表される化合物}の製造
Figure 0007089409000009
p-ニトロベンジルブロマイド[東京化成工業(株)製]1.08g(5ミリモル)、4-(メチル)チオフェノール[東京化成工業(株)製]0.7g(5ミリモル)をメタノール15mlに溶解させ、50℃で12時間撹拌した。イオン交換水30ml、酢酸エチル15mlを加え30分撹拌したのち分液し、酢酸エチル層を除去した。水層に等モルのトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウムを含む水溶液37g、酢酸エチル30mlを室温下で混合し、そのまま3時間撹拌した。酢酸エチル層を分液操作にて水で2回洗浄した後、ロータリーエバポレーターにより溶媒を留去することにより、目的とするオニウム塩(B-2)を収率92重量%で得た。TG-DTAによる(B-2)の熱分解温度は218℃、(B-2)のアニオン成分の共役酸のpKaは-20であった。
製造例4:3a,4,7,7a-テトラヒドロインデンジオキシド(C1-1)の製造
冷却管、撹拌装置、温度計を備えたSUS製反応容器に3a,4,7,7a-テトラヒドロインデン[東京化成工業(株)製]120重量部、酢酸エチル480重量部を仕込み、過酢酸濃度30重量%の酢酸エチル溶液1,270部を3時間かけて滴下した。滴下中は反応温度が30℃を保つように調節した。滴下終了後、3時間反応温度を30℃に保ち、エポキシ化反応を終了した。反応液を室温まで冷却後、20重量%水酸化ナトリウム水溶液1200重量を加え、1時間撹拌後、30分静置し、分液することにより、未反応の過酢酸および複生成物の酢酸を除去した。蒸留装置を用いて酢酸エチルを留去した後、3a,4,7,7a-テトラヒドロインデンジオキシド(C1-1)(炭素数9)152重量部を得た。
製造例5:ジシクロペンタジエンジオキシド(C1-2)の製造
冷却管、撹拌装置、温度計を備えたガラス製反応容器にジシクロペンタジエン[東京化成工業(株)製]132重量部、酢酸エチル480重量部を仕込み、過酢酸濃度30重量%の酢酸エチル溶液1,270重量部を3時間かけて滴下した。滴下中は反応温度が30℃を保つように調節した。滴下終了後、3時間反応温度を30℃に保ち、エポキシ化反応を終了した。反応液を室温まで冷却後、20重量%水酸化ナトリウム水溶液1200重量を加え、1時間撹拌後、30分静置し、分液することにより、未反応の過酢酸および複生物の酢酸を除去した。蒸留装置を用いて酢酸エチルを留去した後、ジシクロペンタジエンジオキシド(C1-2)(炭素数10)164重量部を得た。
<実施例1~28、比較例1~4>
表1及び2に記載の(A)~(G)を、表1及び2に記載の配合組成(部)に従って、一括で配合し、ディスパーサーで均一に分散するまで撹拌し、実施例1~28の活性エネルギー線硬化性組成物(X)及び比較例1~4の比較用活性エネルギー線硬化性組成物を得た。
[深部硬化性の評価]
実施例1~28、比較例1~4で得られた各活性エネルギー線硬化性組成物(X)を、表面処理を施したPETフィルム(厚さ:100μm)[商品名「コスモシャインA4300」、東洋紡(株)製]に、シリコンスペーサー(厚さ:1mm)を用いて硬化後の膜厚が1mmとなるように塗布して、大気雰囲気下で、LED光源紫外線照射装置[型番「FJ100 150×20 365、phoseon TECHNOLOGY(株)製、照射波長 365nm]により、紫外線を照射強度400mW/cm2で5秒照射、積算露光量2,000mJ/cmで露光し、硬化性組成物を硬化させ、下記の判定基準で評価した。

○:深部まで硬化している
△:表面のみ硬化している
×:未硬化(液状のまま)
[遮蔽部硬化性の評価]
熱硬化性の黒色インク[MRXインキ、帝国インキ製造(株)製]を、100mm×140mm×厚さ0.7mmのガラス板の周縁部(ガラス板の長辺から20mm幅の領域及びガラス版の短辺から40mmの領域)全域にスクリーン印刷により塗布し、150℃で2時間乾燥させることで、厚さ20μmの遮蔽部を外周部に有し、60mm四方の非遮光部を中心に有するガラス板(α)を用意した。実施例1~28、比較例1~4で得られた各活性エネルギー線硬化性組成物(X)を、表面処理を施したPETフィルム(厚さ:100μm)[商品名「コスモシャインA4300」、東洋紡(株)製]に、40mm×10mm四方に中身を切り抜いたシリコンスペーサー(厚さ:1mm)を用いて塗布した。次に、露光部が10mm×10mm四方となるように、上からガラス板(α)を被せ、ベルトコンベア式UV照射装置[アイグラフィックス(株)製「ECS-151U」]にて露光量2,000mJ/cmで照射することにより、試験片を得た。
この試験片からガラス板(α)を剥がして、樹脂層が付着したガラス板上の樹脂層をメタノールで洗浄し、樹脂層の外周部に存在する未硬化の組成物を除去した。露光部と遮蔽部の界面を基準(0mm)として、遮蔽部の硬化距離(L)を電子ノギス[ABSソーラーデジマチックCD-S15C、(株)ミツトヨ製]を用いて測定し、下記の判定基準で評価した。
☆:L≧25mm
◎:10mm<L<25mm
○:0<L≦10mm
△:露光部は硬化しているが、L=0mm
×:露光部が未硬化(液状のまま)
[貯蔵安定性の評価]
実施例1~28及び比較例1~4で得られた活性エネルギー線硬化性組成物を遮光及び密閉条件下、室温で放置し、下記の判定基準で評価した。
○:30日以上経過してもゲル化しない
×:30日以内にゲル化する
Figure 0007089409000010
Figure 0007089409000011
表1及び2中の略号は以下のとおり。
<アニオン成分の共役酸のpKaが-30~-15であり、TG-DTAにおける熱分解温度が220℃未満であるオニウム塩(A)>
(A1-1):ジフェニル4-チオフェノキシフェニルスルホニウム・トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート[pKa:-20、熱分解温度:340℃]
(A2-1):4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウム・トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート[pKa:-20、熱分解温度:245℃]
(A2-2):4-メチルフェニル-4-(1-メチルエチル)フェニルヨードニウム・ヘキサフルオロホスフェート[商品名「Irgacure250」、BASF(株)製、pKa:-20、熱分解温度:245℃]
<アニオン成分の共役酸のpKaが-30~-15であり、TG-DTAにおける熱分解温度が220℃以上であるオニウム塩(B)>
(B-1):(4-ヒドロキシフェニル)メチルベンジルスルホニウム・トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート[pKa:-20、熱分解温度:156℃]
(B-2):(4-ヒドロキシフェニル)メチル(4-ニトロベンジル)スルホニウム・トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート[pKa:-20、熱分解温度:218℃](B-3):ベンジル(4-ヒドロキシフェニル)メチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート[pKa:-25、熱分解温度:155℃、東京化成工業(株)製]
<エポキシモノマー(C1)>
(C1-3):3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(炭素数14)[商品名「セロキサイド2021P」、(株)ダイセル製]
(比C1-1):1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル[商品名「デナコール Ex-212」、ナガセケムテックス(株)製]
<オキセタンモノマー(C2)>
(C2-1):3-エチル-3{[(3-エチルオキセタン-3-イル)メトキシ]メチル}オキセタン(炭素数12)[商品名「OXT-221」、東亞合成(株)製]
(C2-2):1,4-ビス[(3-エチル-3-オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン(炭素数20)[商品名「OXT-121」、東亞合成(株)製]
<アニオン成分の共役酸のpKaが-15を超えて5以下であるオニウム塩(D)>
(D1-1):トリフェニルスルホニウム・テトラフルオロボラート[商品名「トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボラート」、東京化成工業(株)製、pKa:-0.4]
(D2-1):トリス(4-メチルフェニル)スルホニウム・トリフルオロメタンスルホネート[商品名「TS-01」、三和ケミカル(株)製、pKa:-14.7]
(D2-2):ジフェニル-2,4,6-トリメチルフェニルスルホニウム・p-トルエンスルホネート[商品名「WPAG-367」、富士フイルム和光純薬(株)製、pKa:-2.8]
<増感剤(G)>
(G-1):9,10-ジブトキシアントラセン[商品面「アントラキュア UVS-1331」、川崎化成工業(株)製]
表1及び2の結果から、本発明の活性エネルギー線硬化性組成物(X)は、比較例の比較用活性エネルギー線硬化性組成物と比較して、深部硬化性及び遮蔽部硬化性に優れる。
本発明の活性エネルギー線硬化性組成物(X)は、着色剤及び/又は金属酸化物を含有しているが、厚膜の場合であっても、活性エネルギー線照射時の硬化性に優れ、硬化させてなる硬化物は、基材密着性に優れることから、コーティング剤、インキ(UV印刷インキ及びUVインクジェット印刷インキ等)、塗料、接着剤及びセラミック電子部品製造用の材料として極めて有用である。

Claims (7)

  1. アニオン成分の共役酸のpKaが-30~-15であり、TG-DTAにおける熱分解温度が220℃以上であるオニウム塩(A)、アニオン成分の共役酸のpKaが-30~-15であり、TG-DTAにおける熱分解温度が220℃未満であるオニウム塩(B)、アニオン成分の共役酸のpKaが-15を超えて5以下であるオニウム塩(D)、脂環式骨格を有する炭素数5~30の2官能エポキシモノマー(C1)及び炭素数5~30のオキセタンモノマー(C2)を含有する活性エネルギー線硬化性組成物であって、前記オニウム塩(A)が、下記一般式(1)、下記一般式(2)又は下記一般式(5)で示される化合物であり、オニウム塩(B)がスルホニウム塩(B1)であり、前記オニウム塩(D)が下記一般式(1)又は下記一般式(2)で示される化合物において、Ar ~Ar は同じものであり、(X 及び(X の共役酸がテトラフルオロホウ酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸又はp-トルエンスルホン酸であるオニウム塩であって、前記炭素数5~30のオキセタンモノマー(C2)が2官能オキセタンモノマー(C22)又は3官能以上のオキセタンモノマー(C23)である活性エネルギー線硬化性組成物(X)
    Figure 0007089409000012
    [一般式(1)又は(2)において、Ar ~Ar はそれぞれ独立にベンゼン環骨格を少なくとも1個有し、ハロゲン原子、炭素数1~20のアシル基、炭素数1~20のアルキル基、炭素数1~20のアルコキシ基、炭素数1~20のアルキルチオ基、炭素数1~20のアルキルシリル基、ニトロ基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、アミノ基、シアノ基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基及びフェニルチオ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基(α)で置換されていてもよい芳香族炭化水素基、又は、前記の基(α)で置換されていてもよい複素環基である。一般式(1)又は(2)において、(X 及び(X はPF 又はPF (C であるアニオン成分を表す。一般式(2)において、A は、酸素原子又は硫黄原子である。Ar ~Ar 、Ar 及びAr は1価の基、Ar は2価の基である。]
    Figure 0007089409000013
    [一般式(5)において、Ar ~Ar は、それぞれ独立にベンゼン環骨格を少なくとも1個有し、前記の基(α)で置換されていてもよい芳香族炭化水素基、又は、前記の基(α)で置換されていてもよい複素環基である。Ar ~Ar は1価の基である。一般式(5)において、(X はPF 又はPF (C であるアニオン成分を表す。]
  2. 2官能エポキシモノマー(C1)及びオキセタンモノマー(C2)の合計重量に基づき、2官能エポキシモノマー(C1)の重量割合が0.1~99重量%であり、オキセタンモノマー(C2)の重量割合が1~99.9重量%である請求項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  3. 2官能エポキシモノマー(C1)及びオキセタンモノマー(C2)の合計重量に基づき、オニウム塩(A)の重量割合が0.1~30重量%である請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  4. 2官能エポキシモノマー(C1)及びオキセタンモノマー(C2)の合計重量に基づき、オニウム塩(B)の重量割合が0.1~30重量%である請求項1~のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  5. 2官能エポキシモノマー(C1)及びオキセタンモノマー(C2)の合計重量に基づき、オニウム塩(D)の重量割合が0.1~30重量%である請求項1~のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物を含むコーティング剤。
  7. 請求項1~5のいずれか1項に記載の活性エネルギー線硬化性組成物の硬化物。
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