JP2011195548A - 光酸発生剤及び光反応性組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は、新規な化合物であるベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩、該ベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩を含有する光酸発生剤、及び該光酸発生剤を含有する光反応性組成物に関する。
光反応性組成物は、取扱いが簡単であることから、印刷製版材料、各種レジスト、紫外線硬化塗料等に幅広く使用されている。
従来、光反応性組成物として、光重合性モノマー及び/又は光重合性ポリマーとアリールジアゾニウム塩の組成物(特許文献1参照)、トリアリールスルホニウム錯体塩等の光酸発生剤を添加した光反応性組成物(特許文献2参照)等が知られている。
しかしながら、これらアリールジアゾニウム塩、トリアリールスルホニウム錯体塩等の光酸発生剤を用いた場合、その極大吸収波長が300nm以下であるため、近紫外線領域である300〜400nm付近の光源を用いる条件下では当該光反応性組成物の反応速度が不充分であるという問題があった。
光酸発生剤及び光反応性組成物の用途は、今日、多様化しており、それに対応するための多種多様な光酸発生剤が求められている。特に、近紫外線領域での感度が非常に高く、短時間の光照射により光反応性組成物の反応を開始、完遂させることができる光酸発生剤が望まれている。また、多種多様な用途に合わせて、溶剤に対する溶解度等の特性が異なる多種の光酸発生剤や、種々の光源への適用を果たすために、近紫外線領域内の極大吸収波長が異なる多種の光酸発生剤の提案が求められている。
本発明の目的は、これらの要求に応えられる光酸発生剤であって、近紫外線領域である300〜400nm付近での感度が非常に高く、反応速度を非常に高めることができる光酸発生剤及び、近紫外線照射による反応時間が非常に短い光反応性組成物を提供することにある。
本願発明者らは、上記の課題に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、下記の化学式1に示すベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩化合物を新たに発見し、係る化合物が光酸発生剤、及び光反応性組成物として有用であることを見出し、以下に示す発明に至った。
項1.式(1):
項1.式(1):
(式中、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜8のアシル基又は、水酸基を示し、X−は、アニオンを示す。)で表されるベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩。
項2.項1に記載のベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩を含有する光酸発生剤。
項3.項1に記載のベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩、及び酸反応性化合物を含有する光反応性組成物。
項2.項1に記載のベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩を含有する光酸発生剤。
項3.項1に記載のベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩、及び酸反応性化合物を含有する光反応性組成物。
[ベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩]
本発明のベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩は、下記化学式(1)にて示される。
本発明のベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩は、下記化学式(1)にて示される。
(式中、R1〜R4は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜8のアシル基又は、水酸基を示し、X−は、アニオンを示す。R2で表される置換基の位置は、ベンゾ[b]チオフェンの4〜7位の範囲で任意である。)
上記化学式(1)のR1〜R4において、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でもフッ素原子、塩素原子が好ましい。
上記化学式(1)のR1〜R4において、ハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、中でもフッ素原子、塩素原子が好ましい。
炭素数1〜4のハロゲン化アルキル基としては、例えば、ブロモメチル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロブチル基等が挙げられ、中でもトリフルオロメチル基が好ましい。
炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、オクチル基、デシル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等の炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。
炭素数1〜4のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられ、中でもメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が好ましい。
炭素数1〜8のアシル基としては、例えば、アセチル基、ホルミル基、ベンゾイル基等が挙げられ、中でもアセチル基が好ましい。
上記化学式(1)中のR1、R2で示される置換基のうち、特に好ましい置換基としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、ブロモメチル基、クロロメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられ、中でも水素原子が好ましい。
また上記化学式(1)中のR3、R4で示される置換基のうち、特に好ましい置換基としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、フッ素原子等が挙げられ、中でもメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基等が好ましい。
また上記化学式(1)中のR2で表される置換基の位置は、ベンゾ[b]チオフェンの4〜7位のいずれにも限定されないが、5位であることが好ましい。
上記化学式(1)のX−で示されるアニオンとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、ヘキサフルオロヒ酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、ペンタフルオロヒドロキソアンチモン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン、テトラキス(トリフルオロメチルフェニル)ホウ酸イオン、トリフルオロ(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン、テトラキス(ジフルオロフェニル)ホウ酸イオン、ジフルオロビス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン、ビス(ペンタフルオロエチル)テトラフルオロリン酸イオン、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸イオン、ビス(ヘプタフルオロイソプロピル)テトラフルオロリン酸イオン、トリス(ヘプタフルオロイソプロピル)トリフルオロリン酸イオン、ビス(ヘプタフルオロプロピル)テトラフルオロリン酸イオン、トリス(ヘプタフルオロプロピル)トリフルオロリン酸イオン、ビス(パーフルオロイソブチル)テトラフルオロリン酸イオン、トリス(パーフルオロイソブチル)トリフルオロリン酸イオン、ビス(パーフルオロブチル)テトラフルオロリン酸イオン、トリス(パーフルオロブチル)トリフルオロリン酸イオン等のフッ素化アルキルフルオロリン酸イオン、メタンスルホン酸イオン、エタンスルホン酸イオン、プロパンスルホン酸イオン、ブタンスルホン酸イオン、オクタンスルホン酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、パーフルオロブタンスルホン酸イオン、パーフルオロヘキサンスルホン酸イオン、ベンゼンスルホン酸イオン、ベンゼン−1,3−ジスルホン酸イオン、カンファースルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオン、アントラキノン−1−スルホン酸イオン、アントラキノン−2−スルホン酸イオン、アントラキノン−1,5−ジスルホン酸イオン、メタンカルボン酸イオン、エタンカルボン酸イオン、プロパンカルボン酸イオン、ブタンカルボン酸イオン、オクタンカルボン酸イオン、トリフルオロメタンカルボン酸イオン、ベンゼンカルボン酸イオン、p−トルエンカルボン酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドイオン、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチドイオン等が挙げられる。
これらの中でも、ベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩化合物を光酸発生剤として用いた際に発生する酸の酸強度の観点、安全性の観点から、ヘキサフルオロリン酸イオン、フッ素化アルキルフルオロリン酸イオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸イオン、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、パーフルオロブタンスルホン酸イオン、カンファースルホン酸イオン、p−トルエンスルホン酸イオンが好ましく、トリフルオロメタンスルホン酸イオン、パーフルオロブタンスルホン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオンがより好ましい。
上述のX−で示されるアニオンは、1種単独であっても、2種以上であってもよい。
上記化学式(1)に示されるベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩としては、下記に示すスルホキシド、ベンゾ[b]チオフェン誘導体、及びX−にて示されるアニオンのアルカリ金属塩又はH+X−で示される酸を原料として製造される化合物であり、それぞれの原料のうち、好ましい態様に挙げた原料を用いて製造されるベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩がより好ましい。その中でも特にビス(4−n−ブトキシフェニル)(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート、ビス(4−n−ブトキシフェニル)(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)スルホニウムパーフルオロブタンスルホナート、及びビス(4−n−ブトキシフェニル)(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)スルホニウムヘキサフルオロホスファートがさらに好ましい。
[ベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩の製造方法]
上記の化学式(1)で表されるベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩は、例えば、下記の化学式(2):
上記の化学式(1)で表されるベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩は、例えば、下記の化学式(2):
(式中、R5及びR6は、それぞれ、上記の化学式(1)におけるR3及びR4で示される基を示す。)で表されるスルホキシドとベンゾ[b]チオフェン誘導体とを縮合剤及び強酸の存在下で縮合反応させた後、引き続き、前記X−にて示されるアニオンのアルカリ金属塩又はH+X−で示される酸と反応させる方法等により製造することができる。
上記の化学式(2)で表されるスルホキシドの具体例としては、
ジフェニルスルホキシド、ビス(4−メチルフェニル)スルホキシド、ビス(4−エチルフェニル)スルホキシド、ビス(4−n−プロピルフェニル)スルホキシド、ビス(4−イソプロピルフェニル)スルホキシド、ビス(4−n−ブチルフェニル)スルホキシド、ビス(4−tert−ブチルフェニル)スルホキシド、ビス(4−フェニルフェニル)スルホキシド、
ビス(4−メトキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−エトキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−n−プロポキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−イソプロポキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−n−ブトキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−イソブトキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−sec−ブトキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホキシド、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−アセトキシフェニル)スルホキシド、
ビス(4−フルオロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−ブロモフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヨードフェニル)スルホキシド等が挙げられる。
ジフェニルスルホキシド、ビス(4−メチルフェニル)スルホキシド、ビス(4−エチルフェニル)スルホキシド、ビス(4−n−プロピルフェニル)スルホキシド、ビス(4−イソプロピルフェニル)スルホキシド、ビス(4−n−ブチルフェニル)スルホキシド、ビス(4−tert−ブチルフェニル)スルホキシド、ビス(4−フェニルフェニル)スルホキシド、
ビス(4−メトキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−エトキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−n−プロポキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−イソプロポキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−n−ブトキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−イソブトキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−sec−ブトキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホキシド、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−アセトキシフェニル)スルホキシド、
ビス(4−フルオロフェニル)スルホキシド、ビス(4−クロロフェニル)スルホキシド、ビス(4−ブロモフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヨードフェニル)スルホキシド等が挙げられる。
これらの中でも、ジフェニルスルホキシド、ビス(4−メチルフェニル)スルホキシド、ビス(4−エチルフェニル)スルホキシド、ビス(4−n−プロピルフェニル)スルホキシド、ビス(4−イソプロピルフェニル)スルホキシド、ビス(4−n−ブチルフェニル)スルホキシド、ビス(4−メトキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−エトキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−n−プロポキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−イソプロポキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−n−ブトキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−フルオロフェニル)スルホキシドが好適に用いられる。
スルホキシドは、市販されているものをそのまま使用してもよいし、適宜製造したものを使用してもよい。スルホキシドの製造方法としては特に限定されず、例えば、スルホキシドが、式(2)におけるR5とR6が共にメチル基であるビス(4−メチルフェニル)スルホキシドである場合は、トルエンと塩化チオニルとをトリフルオロメタンスルホン酸の存在下で反応させる方法(Synlett.,1999,1397)、また、式(2)におけるR5がメチル基でありR6がメトキシ基である4−メチルフェニル−(4−メトキシフェニル)スルホキシドである場合は、トルエンとp−メトキシフェニルスルフィニルクロリドとを塩化アルミニウムの存在下で反応させる方法(J.Org.Chem.,1974,39,1203)等の公知の方法により製造することができる。
上記のベンゾ[b]チオフェン誘導体は、市販されているものをそのまま使用してもよいし、適宜製造したものを使用してもよい。ベンゾ[b]チオフェン誘導体の製造方法としては特に限定されず、例えば、国際公報WO2002/066457号に記載されている方法等の公知の方法を参考にして製造することができる。
上記のベンゾ[b]チオフェン誘導体の例としては、ベンゾ[b]チオフェン、3−メチル−ベンゾ[b]チオフェン、3−ブロモメチル−ベンゾ[b]チオフェン等が挙げられる。
これらの中でも、特にベンゾ[b]チオフェンが好適に用いられる。
上記のスルホキシドの使用割合は、収率を向上させる観点及び経済性の観点から、ベンゾ[b]チオフェン誘導体1モルに対して通常0.8〜2モル程度の割合とすることができ、好ましくは0.9〜1.5モル程度、より好ましくは1.0〜1.2モル程度である。
上記の縮合剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、無水酢酸、無水トリフルオロ酢酸、濃硫酸、五酸化二リン、ポリリン酸等が挙げられる。これらの中でも、無水酢酸、濃硫酸、五酸化二リン等が好適に用いられる。これら縮合剤は、1種単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。
縮合剤の使用割合は、特に限定されるものではないが、ベンゾ[b]チオフェン誘導体1モルに対して通常1〜20モル程度の割合とすることができ、好ましくは1〜15モル程度である。縮合剤の使用割合が1モル未満である場合は、収率が低下するおそれがある。また、縮合剤の使用割合が20モルを超える場合は、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
上記の強酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。これらの中でも、メタンスルホン酸が好適に用いられる。これら強酸は、1種単独で使用してもよいし、あるいは2種以上を併用してもよい。
強酸の使用割合は、特に限定されるものではないが、ベンゾ[b]チオフェン誘導体1モルに対して通常1〜25モル程度の割合とすることができ、好ましくは2〜15モル程度である。強酸の使用割合が1モル未満である場合は、収率が低下するおそれがある。また、強酸の使用割合が25モルを超える場合は、使用量に見合う効果がなく容積効率が悪化し経済的でない。
上記のスルホキシドとベンゾ[b]チオフェン誘導体とを縮合剤及び強酸の存在下で縮合させる前記反応において、反応溶媒は必ずしも必要ではないが、撹拌効率を向上させる等の目的で、スルホラン、ジクロロメタン、クロロホルム等の溶媒を反応溶媒として用いてもよい。反応溶媒を用いる場合の使用量は、ベンゾ[b]チオフェン誘導体100重量部に対して通常30〜3000重量部程度とすることができ、好ましくは50〜2000重量部程度である。
上述の縮合反応における操作としては、特に限定されるものではないが、例えば、所定量の前記スルホキシド、ベンゾ[b]チオフェン誘導体、縮合剤、必要に応じて反応溶媒等を混合、撹拌しながら、所定量の強酸を滴下する方法等を挙げることができる。
反応温度は、通常は−20〜100℃程度とすることができ、好ましくは−10〜80℃程度である。反応温度が−20℃より低い場合は、反応速度が遅くなり、反応に長時間を要するおそれがある。また、反応温度が100℃より高い場合は、副反応が起こりやすく、収率及び純度が低下するおそれがある。反応時間は、反応温度等により異なるが、通常、通常0.5〜48時間程度とすることができ、好ましくは1〜24時間程度である。
上記の式(1)で表されるベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩は、スルホキシドとベンゾ[b]チオフェン誘導体との前記縮合反応に引き続いて、当該縮合反応物を上述のX−にて示されるアニオンのアルカリ塩又はH+X−で示される酸と反応させることにより製造することができる。
具体例としては、上述したX−にて示されるアニオンのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩、又はH+X−で示される酸等を挙げることができる。これらの中でも、得られるベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩を光酸発生剤として用いた際に発生する酸の酸強度の観点、安全性等の観点から、ヘキサフルオロリン酸、ヘキサフルオロリン酸ナトリウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸カリウム、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸ナトリウム、トリフルオロメタンスルホン酸カリウム、パーフルオロブタンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸ナトリウム、パーフルオロブタンスルホン酸カリウム、トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸、及びトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウムがより好適に用いられる。
上記のアルカリ金属塩、又はH+X−で示される酸の使用割合は、特に限定されるものではないが、ベンゾ[b]チオフェン誘導体1モルに対して通常0.8〜2モル程度の割合とすることができ、好ましくは0.9〜1.5モル程度である。アルカリ金属塩、又はH+X−で示される酸の使用割合が0.8モル未満である場合は、収率が低下するおそれがある。また、アルカリ金属塩の使用割合が2モルを超える場合は、使用量に見合う効果がなく経済的でない。なおアルカリ金属塩、又はH+X−で示される酸は共に水溶液として用いることができる。水溶液として用いる場合の濃度としては、通常1〜80重量%とすることができ、好ましくは3〜50重量%程度である。
上述の縮合反応物とアルカリ金属塩、又はH+X−で示される酸との反応における操作は、特に限定されるものではないが、例えば、上述の縮合反応後の反応溶液に所定量の上記のアルカリ金属塩、又はH+X−で示される酸を添加する方法、縮合反応後の反応溶液を所定量のアルカリ金属塩又はH+X−で示される酸に添加する方法、縮合反応後の反応溶液を所定量の水に添加して縮合反応物の水溶液を形成させた後にアルカリ金属塩、又はH+X−で示される酸を添加する方法、及び縮合反応後の反応溶液を所定量の水に添加して縮合反応物の水溶液を形成させた後に当該水溶液をアルカリ金属塩、又はH+X−で示される酸に添加する方法等が挙げられる。また、反応の際にモノクロロベンゼン、酢酸エチル及びジクロロメタン等の有機溶媒を存在させても良い。
反応温度は、通常−10〜100℃程度とすることができ、好ましくは0〜80℃程度である。反応温度が−10℃より低い場合は、反応速度が遅くなり、反応に長時間を要するおそれがある。また、反応温度が100℃より高い場合は、副反応が起こりやすく、収率及び純度が低下するおそれがある。
かくして得られるベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩は、反応終了後、析出した固体を濾別する方法、あるいは、反応物をモノクロロベンゼン、酢酸エチル、ジクロロメタン等の有機溶媒により抽出した後、当該有機溶媒を留去する方法等により単離することができる。また、ベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩は、必要に応じて、モノクロロベンゼン、トルエン、酢酸エチル、アセトン、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ヘプタン、水等の溶媒による再結晶、活性炭処理、あるいはカラム精製等の常法により精製することができる。
[光酸発生剤]
本発明に係る光酸発生剤は、上述の化学式(1)で表されるベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩を含有するものである。光酸発生剤において、前記ベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に係る光酸発生剤は、上述の化学式(1)で表されるベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩を含有するものである。光酸発生剤において、前記ベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
光酸発生剤は、特定波長の光線を吸収することによって分解を生じ、その分解物が、例えば、下記に詳述する光反応性組成物中に含まれる溶媒等の他の成分、又は上記の光酸発生剤自身から水素原子を引き抜き、上記のX−にて示されるアニオンと共に働くことによって酸を生じるものである。
上記の特定波長の光線としては、通常200〜500nm程度の波長を有する光線であり、より好ましくは300〜450nm程度である。
[光反応性組成物]
本発明に係る光反応性組成物は、上述した化学式(1)で表されるベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩、及び酸反応性化合物を含有するものである。ここで酸反応性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
本発明に係る光反応性組成物は、上述した化学式(1)で表されるベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩、及び酸反応性化合物を含有するものである。ここで酸反応性化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
上記の酸反応性化合物は、例えば、上述のような特定波長の光線を照射された光酸発生剤から発生する酸により、重合や分解等の化学反応を生じる化合物である。酸反応性化合物としては、例えば、カチオン重合性モノマー、カチオン重合性オリゴマー、カチオン重合性ポリマー等のカチオン重合性化合物、並びに、ポリマー中のエステル結合やエーテル結合等が分解する各種レジスト材料、ポリマー側鎖が架橋する各種レジスト材料等が挙げられる。
前記カチオン重合性化合物の具体例としては、
アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル等の単官能グリシジルエーテル化合物;
1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の多官能グリシジルエーテル化合物;
グリシジル(メタ)アクリレート、ジグリシジルジフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート等のグリシジルエステル化合物;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ブロモ化ビスフェノールA、ビフェノール、レゾルシン、ビスフェノールノボラック樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等をグリシジルエーテル化した化合物;
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、アリルシクロヘキセンジオキシド、3,4−エポキシ−4−メチルシクロヘキシル−2−プロピレンオキシド、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)エーテル等の脂環式エポキシ化合物;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、塩化ビニル、スチレン、ナトリウムスチレンスルホネート、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、tert−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブタジエン、クロロプレン、ビニルケトン、N−ビニルピロリドン等のビニル化合物;
エチレングリコールビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;
トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;
トリメチレンオキシド、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロルメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス{ [(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、トリ〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルフェニル〕エーテル、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)オリゴジメチルシロキサン、スピロ[ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3’−オキセタン]、スピロ[7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3’−オキセタン]、5−メチル−2−オキサスピロ[3.5]ノナン、スピロ[3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3’−オキセタン]等のオキセタン化合物;
2,3−エピチオプロピルチオベンゼン、2,3−エピチオプロピルチオブタン、2,3−エピチオプロピルチオヘキサン、2,3−エピチオプロピルチオベンゼン、2,3−エピチオプロピルオキシベンゼン、2,3−エピチオプロピルオキシブタン、2,3−エピチオプロピルオキシヘキサン、2,3−エピチオプロピル(メタ)アクリレート、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]エーテル、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]メタン等のエピスルフィド化合物等を挙げることができる。なお、前記「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
アリルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、2−メチルオクチルグリシジルエーテル等の単官能グリシジルエーテル化合物;
1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等の多官能グリシジルエーテル化合物;
グリシジル(メタ)アクリレート、ジグリシジルジフタレート、ジグリシジルテトラヒドロフタレート等のグリシジルエステル化合物;
ビスフェノールA、ビスフェノールF、ブロモ化ビスフェノールA、ビフェノール、レゾルシン、ビスフェノールノボラック樹脂、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂等をグリシジルエーテル化した化合物;
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ビニルシクロヘキセンジオキシド、アリルシクロヘキセンジオキシド、3,4−エポキシ−4−メチルシクロヘキシル−2−プロピレンオキシド、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)エーテル等の脂環式エポキシ化合物;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
酢酸ビニル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、塩化ビニル、スチレン、ナトリウムスチレンスルホネート、2−メチルスチレン、ビニルトルエン、tert−ブチルスチレン、クロルスチレン、ビニルアニソール、ビニルナフタレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、ブタジエン、クロロプレン、ビニルケトン、N−ビニルピロリドン等のビニル化合物;
エチレングリコールビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル等のビニルエーテル化合物;
トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、4,4−ビス(イソシアナトシクロヘキシル)メタン、イソホロンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;
トリメチレンオキシド、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3,3−ジメチルオキセタン、3,3−ジクロルメチルオキセタン、3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン、ビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル、1,4−ビス{ [(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、トリ〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル〕ベンゼン、ビス〔(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルフェニル〕エーテル、(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)オリゴジメチルシロキサン、スピロ[ビシクロ[2.2.2]オクタン−2,3’−オキセタン]、スピロ[7−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3’−オキセタン]、5−メチル−2−オキサスピロ[3.5]ノナン、スピロ[3−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3’−オキセタン]等のオキセタン化合物;
2,3−エピチオプロピルチオベンゼン、2,3−エピチオプロピルチオブタン、2,3−エピチオプロピルチオヘキサン、2,3−エピチオプロピルチオベンゼン、2,3−エピチオプロピルオキシベンゼン、2,3−エピチオプロピルオキシブタン、2,3−エピチオプロピルオキシヘキサン、2,3−エピチオプロピル(メタ)アクリレート、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]エーテル、ビス[4−(2,3−エピチオプロピルチオ)フェニル]メタン等のエピスルフィド化合物等を挙げることができる。なお、前記「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
これらカチオン重合性化合物の中でも、前記光酸発生剤の高い酸発生能力を有効に活用する観点から、単官能グリシジルエーテル化合物、多官能グリシジルエーテル化合物、グリシジルエステル化合物、脂環式エポキシ化合物、ビニルエーテル化合物及びオキセタン化合物が好ましく用いられる。
本発明の光反応性組成物に含まれる光酸発生剤の量は、特に限定されるものではないが、酸反応性化合物100重量部に対して通常0.01〜20重量部程度とすることができ、好ましくは0.1〜10重量部程度である。光酸発生剤の使用量が0.01重量部未満である場合は、当該酸反応が不充分となるおそれがある。また、光酸発生剤の使用量が10重量部を超える場合は、使用量に見合う効果がなく経済的でない。
本発明の光反応性組成物には、溶媒としての有機溶媒を含有していてもよく、具体例としては、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレンカーボネート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、イソプロピルアルコール等が挙げられる。
上記の有機溶媒の使用量は、酸反応性化合物100重量部に対して通常0.1〜100重量部程度とすることができ、好ましくは1〜50重量部程度である。
また、本発明の光反応性組成物には、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール等の重合禁止剤;エオシン、メチレンブルー、マラカイトグリーン等の染料;2,4−ジエチルチオキサントン、2−エチルアントラキノン、9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジプロポキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン等の増感剤;ベンジルジメチルケタール、ベンゾインイソプロピルエーテル等の光ラジカル重合開始剤;トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスファート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスファート、イミドスルホネート、オキシムスルホネート等の、本発明の光酸発生剤以外の光酸発生剤等を含有していてもよい。
上述の重合禁止剤の使用量は、酸反応性化合物100重量部に対して通常0.001〜5重量部程度とすることができ、好ましくは0.005〜1重量部程度である。また、上述の染料、増感剤及び本発明の光酸発生剤以外の光酸発生剤の使用量は、酸反応性化合物100重量部に対してそれぞれ、通常0.01〜10重量部程度とすることができ、好ましくは0.01〜5重量部程度である。
本発明の光反応性組成物は、例えば、上述した所定量の光酸発生剤及び酸反応性化合物、並びに、必要に応じて、有機溶媒、重合禁止剤、染料、増感剤又は、本発明の光酸発生剤以外の光酸発生剤等を、撹拌混合する方法により製造することができる。
撹拌混合する温度は、特に限定されないが、通常は0〜100℃程度とすることができ、好ましくは10〜60℃程度である。撹拌混合する時間は、通常は0.1〜24時間程度とすることができ、好ましくは0.1〜6時間程度である。
かくして得られた光反応性組成物は、そのままの状態で、あるいは必要に応じて使用された有機溶媒を蒸発させた状態又は残存させた状態で、近紫外線等を照射することにより反応させることができる。
具体的には、例えば、酸反応性化合物としてカチオン重合性モノマーを用いた場合、上述の酸反応性化合物を含有する光反応性組成物を、膜厚が通常0.1〜500μm程度になるように平滑なアルミ板あるいはガラス板上に塗布した後、上述した特定波長の光線を照射することにより重合し硬化した樹脂の薄膜を得ることができる。特定波長の光線とは、具体的には、通常200〜500nm程度の波長を有する光線であり、より好ましくは300〜450nm程度である。
上述の近紫外線等の光源としては、例えば、高圧水銀ランプ、低圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、殺菌灯、LED及びレーザー光等が挙げられる。照射時間は、使用する光源、光酸発生剤の種類及び使用量により異なるので一概には規定できないが、通常0.1秒〜1時間程度とすることができ、好ましくは0.5秒〜0.5時間程度である。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例になんら限定されるものではない。
実施例1
撹拌機、温度計及び冷却器を備え付けた100mL容の四つ口フラスコに、ビス(4−ブトキシフェニル)スルホキシド5.2g(0.015モル)、ベンゾ[b]チオフェン2.0g(0.015モル)及び無水酢酸7.7g(0.075モル)を仕込み、内温を0〜10℃に保ちながら、メタンスルホン酸4.3g(0.045モル)を1時間かけて滴下した。滴下終了後も同温度に維持しながら2時間撹拌することにより、縮合反応物の反応溶液を得た。
撹拌機、温度計及び冷却器を備え付けた100mL容の四つ口フラスコに、ビス(4−ブトキシフェニル)スルホキシド5.2g(0.015モル)、ベンゾ[b]チオフェン2.0g(0.015モル)及び無水酢酸7.7g(0.075モル)を仕込み、内温を0〜10℃に保ちながら、メタンスルホン酸4.3g(0.045モル)を1時間かけて滴下した。滴下終了後も同温度に維持しながら2時間撹拌することにより、縮合反応物の反応溶液を得た。
撹拌機、温度計及び冷却器を備え付けた200mL容の四つ口フラスコに、ヘキサフルオロリン酸カリウム4.1g(0.023モル)、水60g、及びモノクロロベンゼン20gを仕込み、内温を30〜50℃に保ちながら30分かけて前記反応溶液の全量を滴下した。さらに、40〜50℃で30分撹拌した後、モノクロロベンゼン層を分取し、5%NaHCO3水溶液50gを加えて40〜50℃で30分撹拌した。再びモノクロロベンゼン層を分取し、モノクロロベンゼンを留去して赤色の濃縮物10.5gを得た。
この濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製することにより、ビス(4−n−ブトキシフェニル)(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)スルホニウムヘキサフルオロホスファートの淡黄色固体4.5g(0.01モル)を得た。得られたビス(4−n−ブトキシフェニル)(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)スルホニウムヘキサフルオロホスファートの純度は、高速液体クロマトグラフにより測定した結果、95.0%であった。また、ベンゾ[b]チオフェンに対する収率は65%であった。
得られた淡黄色固体が、前記式(1)におけるR1、R2が水素原子、R3、R4が4−n−ブトキシ基、X−がヘキサフルオロリン酸イオンである、ビス(4−n−ブトキシフェニル)(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)スルホニウムヘキサフルオロホスファートであることを、下記の分析結果により確認した。
元素分析:C;55.2%、H;5.1%、F;18.8%、O;5.3%、P;5.1%、S;10.5%(理論値:C;55.25%、H;5.13%、F;18.73%、O;5.26%、P;5.09%、S;10.54%)
1H−核磁気共鳴スペクトル(400MHz、CD3CN)δ(ppm):0.95(t、J=7.6、6H)、1.40−1.52(m、4H)、1.69−1.81(m、4H)、4.08(t、J=6.8、4H)、7.17−7.23(m、4H)、7.46−7.61(m、3H)、7.64−7.73(m、4H)、7.85(s、1H)、8.11−8.14(m、1H)
実施例2
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業株式会社製、商品名:セロキサイド2021P)0.1gと3−エチル−3−{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(東亞合成株式会社製、商品名:アロンオキセタンOXT−221)0.9gを量りとり、これに実施例1で合成したビス(4−n−ブトキシフェニル)(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)スルホニウムヘキサフルオロホスファートを20mg添加し、さらにプロピレンカーボネートを180mg加えて室温で10分間攪拌して均一な試料溶液とした。
1H−核磁気共鳴スペクトル(400MHz、CD3CN)δ(ppm):0.95(t、J=7.6、6H)、1.40−1.52(m、4H)、1.69−1.81(m、4H)、4.08(t、J=6.8、4H)、7.17−7.23(m、4H)、7.46−7.61(m、3H)、7.64−7.73(m、4H)、7.85(s、1H)、8.11−8.14(m、1H)
実施例2
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業株式会社製、商品名:セロキサイド2021P)0.1gと3−エチル−3−{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(東亞合成株式会社製、商品名:アロンオキセタンOXT−221)0.9gを量りとり、これに実施例1で合成したビス(4−n−ブトキシフェニル)(ベンゾ[b]チオフェン−2−イル)スルホニウムヘキサフルオロホスファートを20mg添加し、さらにプロピレンカーボネートを180mg加えて室温で10分間攪拌して均一な試料溶液とした。
比較例1
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業株式会社製、商品名:セロキサイド2021P)0.1gと3−エチル−3−{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(東亞合成株式会社製、商品名:アロンオキセタンOXT−221)0.9gを量りとり、これに従来より光酸発生剤として多用されている東京化成工業株式会社製トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート 20mgを添加し、さらにプロピレンカーボネートを180mg加えて室温で10分間攪拌して均一な試料溶液とした。
3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート(ダイセル化学工業株式会社製、商品名:セロキサイド2021P)0.1gと3−エチル−3−{[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル}オキセタン(東亞合成株式会社製、商品名:アロンオキセタンOXT−221)0.9gを量りとり、これに従来より光酸発生剤として多用されている東京化成工業株式会社製トリ−p−トリルスルホニウムヘキサフルオロホスファート 20mgを添加し、さらにプロピレンカーボネートを180mg加えて室温で10分間攪拌して均一な試料溶液とした。
光反応性の評価
実施例2及び比較例1で得られた光反応性組成物について、それぞれの光反応性について評価した。
実施例2及び比較例1で得られた光反応性組成物について、それぞれの光反応性について評価した。
評価方法は次の通りである。すなわち、露光装置(エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製PDC121(光化学反応熱熱量計))を用いて、重合熱の測定及び露光後の光反応性組成物の状態を確認した。
アルミ製オープンサンプルパンに実施例2及び比較例1で得た試料5mgを滴下し、365nm(i線)の光線を、光強度10mW/cm2で2.0分間照射した。同様に、アルミ製オープンサンプルパンに実施例2及び比較例1で得た試料5mgを滴下し、405nm(h線)の光線を、光強度50mW/cm2で2.0分間照射した。尚、それぞれの膜厚は400μmであった。
評価の結果を表1に示す。
表1から、実施例2で得られた光反応性組成物は、一定のエネルギーの光を照射後、硬化が認められた。一方、実施例2と同様の光酸発生剤、酸反応性化合物を用い、同様のエネルギーの光を照射したにも関わらず、比較例1で得られた光反応性組成物は、全く硬化せず、反応の進行が十分でないことが明らかであった。
表1から、実施例2で得られた光反応性組成物は、光照射後、非常に短時間で発熱が認められ、発熱量も大きいことがわかる。また、実施例2で得られた光反応性組成物は、測定後すべて硬化していたことが観察された。
したがって、実施例2で得られた光反応性組成物は、近紫外線領域である365nm及び405nmの光照射による反応時間が非常に短い光反応性組成物であって、当該光反応性組成物に用いられた本発明に係るベンゾ[b]チオフェンスルホニウム塩は、反応速度を非常に高めることができる光酸発生剤であるといえる。
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