JP2010254654A - スルホニウム塩,光酸発生剤,光硬化性組成物,及びその硬化体 - Google Patents
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Abstract
【課題】i線に高光感応性でカチオン重合性化合物に高相溶性のスルホニウム塩の提供。
【解決手段】式(1)
〔R1R6はアルキル,-OH,アルコキシ,アルキルカルボニル,アリールカルボニル,アルコキシカルボニル,アリールオキシカルボニル,アリールチオカルボニル,アシロキシ,アリールチオ,アルキルチオ,アリール,複素環式炭化水素,アリールオキシ,アルキルスルフィニル,アリールスルフィニル,アルキルスルホニル,アリールスルホニル,ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ,アミノ,-CN,-NO2又はハロゲン,Xは(Rf)bPF6-b -,R7 cBY4-c,R7 cGaY4-c -,(R8SO2)3C(Yはハロゲン,Rfはフッ置換アルキル,R7は置換フェニル,R8はC1-20アルキル,C1-20パーフルオロアルキル,C6-20アリール,bは1-5,cは1-4)〕のスルホニウム塩。
【選択図】なし
【解決手段】式(1)
〔R1R6はアルキル,-OH,アルコキシ,アルキルカルボニル,アリールカルボニル,アルコキシカルボニル,アリールオキシカルボニル,アリールチオカルボニル,アシロキシ,アリールチオ,アルキルチオ,アリール,複素環式炭化水素,アリールオキシ,アルキルスルフィニル,アリールスルフィニル,アルキルスルホニル,アリールスルホニル,ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ,アミノ,-CN,-NO2又はハロゲン,Xは(Rf)bPF6-b -,R7 cBY4-c,R7 cGaY4-c -,(R8SO2)3C(Yはハロゲン,Rfはフッ置換アルキル,R7は置換フェニル,R8はC1-20アルキル,C1-20パーフルオロアルキル,C6-20アリール,bは1-5,cは1-4)〕のスルホニウム塩。
【選択図】なし
Description
本発明は,スルホニウム塩,光酸発生剤,硬化性組成物及びその硬化体に関する。より詳しくは,本発明は,光,電子線又はX線等の活性エネルギー線を作用させてカチオン重合性化合物を硬化する際に好適なスルホニウム塩,当該スルホニウム塩を含有する光酸発生剤,当該光酸発生剤を含有する硬化性組成物,及び当該硬化性組成物を硬化することにより得られる硬化体に関する。
従来,光,電子線又はX線等の活性エネルギー線を作用させてエポキシ化合物等のカチオン重合性化合物を硬化する際に使用する光酸発生剤として,トリアリールスルホニウム塩(特許文献1),ナフタレン骨格を有するフェナシルスルホニウム塩(特許文献2),ジアルキルベンジルスルホニウム塩(特許文献3)及びチオキサントン骨格を導入したスルホニウム塩(特許文献4),及びポリアリールスルフィド骨格を有したスルホニウム塩(特許文献5)が知られている。
現在,フォトレジストを用いるフォトリソグラフィー工程において,露光光として波長365nmのi線が広く用いられている。その理由に,照射光源として,廉価でありながら良好な発光強度を示す中圧・高圧水銀灯が利用できることがあり,また,i線領域(360nm〜390nm)に発光波長があるLEDランプが近年普及しつつあることも挙げられる。したがって,i線に対し高い感応性を示す光酸発生剤の必要性は,今後更に高まって行くと考えられる。
しかしながら,既存の光酸発生剤のうち,トリアリールスルホニウム塩(特許文献1),ナフタレン骨格を有するフェナシルスルホニウム塩(特許文献2)及びジアルキルベンジルスルホニウム塩(特許文献3)は,i線に対する感応性が低いため,感応性を高めるには増感剤の併用が必要となる。また,チオキサントン骨格を導入したスルホニウム塩(特許文献4)は,i線に対し吸収率が大きすぎ,そのため,厚膜硬化時に深部まで光が通らずに硬化不良が生じる,という問題がある。また,ポリアリールスルフィド骨格を有するスルホニウム塩(特許文献5)は,水銀灯照射に対する光酸発生剤としての有効性については記載されているものの,i線に対する感度については開示されてない。また,このものはエポキシ化合物等のカチオン重合性化合物への溶解性が低く,経時的に組成物から分離,析出する等実用上の問題がある。
本発明の目的は,i線に高い光感応性を有し,かつエポキシ化合物等のカチオン重合性化合物への相溶性が高い,新たなスルホニウム塩を提供することである。
しかしながら,既存の光酸発生剤のうち,トリアリールスルホニウム塩(特許文献1),ナフタレン骨格を有するフェナシルスルホニウム塩(特許文献2)及びジアルキルベンジルスルホニウム塩(特許文献3)は,i線に対する感応性が低いため,感応性を高めるには増感剤の併用が必要となる。また,チオキサントン骨格を導入したスルホニウム塩(特許文献4)は,i線に対し吸収率が大きすぎ,そのため,厚膜硬化時に深部まで光が通らずに硬化不良が生じる,という問題がある。また,ポリアリールスルフィド骨格を有するスルホニウム塩(特許文献5)は,水銀灯照射に対する光酸発生剤としての有効性については記載されているものの,i線に対する感度については開示されてない。また,このものはエポキシ化合物等のカチオン重合性化合物への溶解性が低く,経時的に組成物から分離,析出する等実用上の問題がある。
本発明の目的は,i線に高い光感応性を有し,かつエポキシ化合物等のカチオン重合性化合物への相溶性が高い,新たなスルホニウム塩を提供することである。
本発明者は,下記の式(1)で示すスルホニウム塩を合成し,それが上記目的に好適であることを見出した。すなわち,本発明のスルホニウム塩は,式(1),
〔式(1)中,R1〜R6は,それぞれ,アルキル基,ヒドロキシ基,アルコキシ基,アルキルカルボニル基,アリールカルボニル基,アルコキシカルボニル基,アリールオキシカルボニル基,アリールチオカルボニル基,アシロキシ基,アリールチオ基,アルキルチオ基,アリール基,複素環式炭化水素基,アリールオキシ基,アルキルスルフィニル基,アリールスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アリールスルホニル基,ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基,置換されていてよいアミノ基,シアノ基,ニトロ基又はハロゲン原子を表し,
m1〜m6,はそれぞれR1〜R6の個数を表し,ここに,m1,m4及びm6は0〜5の整数,m2,m3及びm5は0〜4の整数であり,
X-は(Rf)bPF6-b -,R7 cBY4-c -,R7 cGaY4-c -,(R8SO2)3C-で表されるアニオン(ここに,Yはハロゲン原子,Rfは水素原子の80モル%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基,Pはリン原子,Fはフッ素原子,R7は,少なくとも1個の水素原子がハロゲン原子,トリフルオロメチル基,ニトロ基又はシアノ基で置換されたフェニル基,Bはホウ素原子,Gaはガリウム原子,R8は炭素数1〜20のアルキル基,炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基,bは1〜5の整数,cは1〜4の整数を表す。)〕で示されるものである。
m1〜m6,はそれぞれR1〜R6の個数を表し,ここに,m1,m4及びm6は0〜5の整数,m2,m3及びm5は0〜4の整数であり,
X-は(Rf)bPF6-b -,R7 cBY4-c -,R7 cGaY4-c -,(R8SO2)3C-で表されるアニオン(ここに,Yはハロゲン原子,Rfは水素原子の80モル%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基,Pはリン原子,Fはフッ素原子,R7は,少なくとも1個の水素原子がハロゲン原子,トリフルオロメチル基,ニトロ基又はシアノ基で置換されたフェニル基,Bはホウ素原子,Gaはガリウム原子,R8は炭素数1〜20のアルキル基,炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基,bは1〜5の整数,cは1〜4の整数を表す。)〕で示されるものである。
また,本発明は,上記スルホニウム塩を含有することを特徴とする光酸発生剤をも提供する。
また,本発明は,上記光酸発生剤とカチオン重合性化合物とを含有することを特徴とするエネルギー線硬化性組成物をも提供する。
更には,本発明は,上記エネルギー線硬化性組成物を硬化させて得られる硬化体をも提供する。
本発明のスルホニウム塩は,可視光,紫外線,電子線及びX線等の活性エネルギー線に対する光感応性に優れ,エポキシ化合物等のカチオン重合性化合物への相溶性が高い。
本発明の光酸発生剤は,カチオン重合性化合物の硬化に用いるとき,紫外光,特にi線の作用による硬化性に優れており,増感剤を用いなくても,カチオン重合性化合物を硬化させることができる。本発明の光酸発生剤はまた,厚膜硬化性にも優れている。
本発明のエネルギー線硬化性組成物は,上記の光酸発生剤を含有するため,紫外光で硬化させることができる。また,本発明のエネルギー線硬化性組成物は,貯蔵安定性が高く,増感剤を用いる必要がないことから,コスト及び作業性に優れる。
本発明の硬化体は,増感剤を用いずに得ることができるため,増感剤の残存に起因する着色や劣化という問題がない。
本発明の光酸発生剤は,カチオン重合性化合物の硬化に用いるとき,紫外光,特にi線の作用による硬化性に優れており,増感剤を用いなくても,カチオン重合性化合物を硬化させることができる。本発明の光酸発生剤はまた,厚膜硬化性にも優れている。
本発明のエネルギー線硬化性組成物は,上記の光酸発生剤を含有するため,紫外光で硬化させることができる。また,本発明のエネルギー線硬化性組成物は,貯蔵安定性が高く,増感剤を用いる必要がないことから,コスト及び作業性に優れる。
本発明の硬化体は,増感剤を用いずに得ることができるため,増感剤の残存に起因する着色や劣化という問題がない。
したがって,本発明のスルホニウム塩は,塗料,コーティング剤,インキ,インクジェットインキ,ポジ型レジスト,レジストフィルム,液状レジスト,ネガ型レジスト,MEMS用レジスト,感光性材料,各種接着剤,成形材料,注型材料,パテ,ガラス繊維含浸剤,目止め材,シーリング材,封止材,光半導体(LED)封止材,ナノインプリント材料,光造用,及びマイクロ光造形用材料等に用いられる光酸発生剤として,好適である。また,本発明のエネルギー線硬化性組成物及び硬化体は,上記の用途に好適である。
本明細書において,単に「アルキル基」というときは,直鎖アルキル基,分枝鎖アルキル基の他に,シクロアルキル基をも包含する。
式(1)において,R1〜R6のうち,アルキル基としては,炭素数1〜18の直鎖アルキル基(メチル,エチル,n−プロピル,n−ブチル,n−ペンチル,n−オクチル,n−デシル,n−ドデシル,n−テトラデシル,n−ヘキサデシル及びn−オクタデシル等),炭素数1〜18の分枝鎖アルキル基(イソプロピル,イソブチル,sec−ブチル,tert−ブチル,イソペンチル,ネオペンチル,tert−ペンチル,イソヘキシル及びイソオクタデシル),及び炭素数3〜18のシクロアルキル基(シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル,シクロヘキシル及び4−デシルシクロヘキシル等)等が挙げられる。これらのうち,特に好ましいのは,メチル基である。
R1〜R6のうち,アルコキシ基としては,炭素数1〜18の直鎖又は分枝鎖アルコキシ基(メトキシ,エトキシ,プロポキシ,イソプロポキシ,ブトキシ,イソブトキシ,sec−ブトキシ,tert−ブトキシ,ヘキシルオキシ,デシルオキシ,ドデシルオキシ及びオクタデシルオキシ等)等が挙げられる。これらのうち,特に好ましいのは,メトキシ基である。
R1〜R6のうち,アルキルカルボニル基としては,炭素数2〜18の直鎖又は分枝鎖アルキルカルボニル基(アセチル,プロピオニル,ブタノイル,2−メチルプロピオニル,ヘプタノイル,2−メチルブタノイル,3−メチルブタノイル,オクタノイル,デカノイル,ドデカノイル及びオクタデカノイル等)等が挙げられる。これらのうち,特に好ましいのは,アセチル基である。
R1〜R6のうち,アリールカルボニル基としては,炭素数7〜11のアリールカルボニル基(ベンゾイル及びナフトイル等)等が挙げられる。
R1〜R6のうち,アルコキシカルボニル基としては,炭素数2〜19の直鎖又は分枝鎖アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル,エトキシカルボニル,プロポキシカルボニル,イソプロポキシカルボニル,ブトキシカルボニル,イソブトキシカルボニル,sec−ブトキシカルボニル,tert−ブトキシカルボニル,オクチロキシカルボニル,テトラデシルオキシカルボニル及びオクタデシロキシカルボニル等)等が挙げられる。
R1〜R6のうち,アリールオキシカルボニル基としては,炭素数7〜11のアリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル及びナフトキシカルボニル等)等が挙げられる。
R1〜R6のうち,アリールチオカルボニル基としては,炭素数7〜11のアリールチオカルボニル基(フェニルチオカルボニル及びナフトキシチオカルボニル等)等が挙げられる。
R1〜R6のうち,アシロキシ基としては,炭素数2〜19の直鎖又は分枝鎖アシロキシ基(アセトキシ,エチルカルボニルオキシ,プロピルカルボニルオキシ,イソプロピルカルボニルオキシ,ブチルカルボニルオキシ,イソブチルカルボニルオキシ,sec−ブチルカルボニルオキシ,tert−ブチルカルボニルオキシ,オクチルカルボニルオキシ,テトラデシルカルボニルオキシ及びオクタデシルカルボニルオキシ等)等が挙げられる。
R1〜R6のうち,アリールチオ基としては,炭素数6〜20のアリールチオ基(フェニルチオ,2−メチルフェニルチオ,3−メチルフェニルチオ,4−メチルフェニルチオ,2−クロロフェニルチオ,3−クロロフェニルチオ,4−クロロフェニルチオ,2−ブロモフェニルチオ,3−ブロモフェニルチオ,4−ブロモフェニルチオ,2−フルオロフェニルチオ,3−フルオロフェニルチオ,4−フルオロフェニルチオ,2−ヒドロキシフェニルチオ,4−ヒドロキシフェニルチオ,2−メトキシフェニルチオ,4−メトキシフェニルチオ,1−ナフチルチオ,2−ナフチルチオ,4−[4−(フェニルチオ)ベンゾイル]フェニルチオ,4−[4−(フェニルチオ)フェノキシ]フェニルチオ,4−[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルチオ,4−(フェニルチオ)フェニルチオ,4−ベンゾイルフェニルチオ,4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ,4−ベンゾイル−3−クロロフェニルチオ,4−ベンゾイル−3−メチルチオフェニルチオ,4−ベンゾイル−2−メチルチオフェニルチオ,4−(4−メチルチオベンゾイル)フェニルチオ,4−(2−メチルチオベンゾイル)フェニルチオ,4−(p−メチルベンゾイル)フェニルチオ,4−(p−エチルベンゾイル)フェニルチオ4−(p−イソプロピルベンゾイル)フェニルチオ及び4−(p−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ等)等が挙げられる。
R1〜R6のうち,アルキルチオ基としては,炭素数1〜18の直鎖又は分枝鎖アルキルチオ基(メチルチオ,エチルチオ,プロピルチオ,イソプロピルチオ,ブチルチオ,イソブチルチオ,sec−ブチルチオ,tert−ブチルチオ,ペンチルチオ,イソペンチルチオ,ネオペンチルチオ,tert−ペンチルチオ,オクチルチオ,デシルチオ,ドデシルチオ及びイソオクタデシルチオ等)等が挙げられる。
R1〜R6のうち,アリール基としては,炭素数6〜10のアリール基(フェニル,トリル,ジメチルフェニル及びナフチル等)等が挙げられる。
R1〜R6のうち,複素環式炭化水素基としては,炭素数4〜20の複素環式炭化水素基(チエニル,フラニル,ピラニル,ピロリル,オキサゾリル,チアゾリル,ピリジル,ピリミジル,ピラジニル,インドリル,ベンゾフラニル,ベンゾチエニル,キノリル,イソキノリル,キノキサリニル,キナゾリニル,カルバゾリル,アクリジニル,フェノチアジニル,フェナジニル,キサンテニル,チアントレニル,フェノキサジニル,フェノキサチイニル,クロマニル,イソクロマニル,ジベンゾチエニル,キサントニル,チオキサントニル及びジベンゾフラニル等)等が挙げられる。
R1〜R6のうち,アリールオキシ基としては,炭素数6〜10のアリールオキシ基(フェノキシ及びナフチルオキシ等)等が挙げられる。
R1〜R6のうち,アルキルスルフィニル基としては,炭素数1〜18の直鎖又は分枝鎖スルフィニル基(メチルスルフィニル,エチルスルフィニル,プロピルスルフィニル,イソプロピルスルフィニル,ブチルスルフィニル,イソブチルスルフィニル,sec−ブチルスルフィニル,tert−ブチルスルフィニル,ペンチルスルフィニル,イソペンチルスルフィニル,ネオペンチルスルフィニル,tert−ペンチルスルフィニル,オクチルスルフィニル及びイソオクタデシルスルフィニル等)等が挙げられる。
R1〜R6のうち,アリールスルフィニル基としては,炭素数6〜10のアリールスルフィニル基(フェニルスルフィニル,トリルスルフィニル及びナフチルスルフィニル等)等が挙げられる。
R1〜R6のうち,アルキルスルホニル基としては,炭素数1〜18の直鎖又は分枝鎖アルキルスルホニル基(メチルスルホニル,エチルスルホニル,プロピルスルホニル,イソプロピルスルホニル,ブチルスルホニル,イソブチルスルホニル,sec−ブチルスルホニル,tert−ブチルスルホニル,ペンチルスルホニル,イソペンチルスルホニル,ネオペンチルスルホニル,tert−ペンチルスルホニル,オクチルスルホニル及びオクタデシルスルホニル等)等が挙げられる。
R1〜R6のうち,アリールスルホニル基としては,炭素数6〜10のアリールスルホニル基(フェニルスルホニル,トリルスルホニル(トシル基)及びナフチルスルホニル等)等が挙げられる。
R1〜R6のうち,ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基としては,式(2)で表されるヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基等が挙げられる。
(AOはエチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基,qは1〜5の整数を表す。)
R1〜R6のうち,置換されていてよいアミノ基としては,アミノ基(−NH2)及び炭素数1〜15の置換アミノ基(メチルアミノ,ジメチルアミノ,エチルアミノ,メチルエチルアミノ,ジエチルアミノ,n−プロピルアミノ,メチル−n−プロピルアミノ,エチル−n−プロピルアミノ,n−プロピルアミノ,イソプロピルアミノ,イソプロピルメチルアミノ,イソプロピルエチルアミノ,ジイソプロピルアミノ,フェニルアミノ,ジフェニルアミノ,メチルフェニルアミノ,エチルフェニルアミノ,n−プロピルフェニルアミノ及びイソプロピルフェニルアミノ等)等が挙げられる。
R1〜R6のうち,ハロゲン原子としては,フッ素原子,塩素原子,臭素原子及びヨウ素原子等が挙げられる。
R1〜R6は,相互に独立であり,従って,互いに同一でも異なっていてもい。
m1〜m6は,R1〜R6の個数をそれぞれ表し,m1,m4及びm6は0〜5の整数であり,好ましくは0〜3,さらに好ましくは0〜2,特に好ましくは0又は1である。また,m2,m3及びm5は0〜4の整数であり,好ましくは0〜3,さらに好ましくは0〜2,特に好ましくは0又は1である。m1〜m6がこれら好ましい範囲にあると,スルホニウム塩の光感応性がさらに良好となる。
本発明のスルホニウムのうち,下記構造のものが光感応性の点で特に好ましい。
式(1)において,X-は,本発明のスルホニウム塩に活性エネルギー線(可視光,紫外線,電子線及びX線等)を照射することにより発生する酸(HX)に対応するアニオンである。X-は(Rf)bPF6-b -,R7 cBY4-c -,R7 cGaY4-c -,(R8SO2)3C-で表されるアニオンである。
Yはハロゲン原子(フッ素原子が好ましい。)を表す。
Rfは,水素原子の80モル%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基(炭素数1〜8のアルキル基が好ましい。)を表す。フッ素置換によりRfとするアルキル基としては,直鎖アルキル基(メチル,エチル,プロピル,ブチル,ペンチル及びオクチル等),分枝鎖アルキル基(イソプロピル,イソブチル,sec−ブチル及びtert−ブチル等)及びシクロアルキル基(シクロプロピル,シクロブチル,シクロペンチル及びシクロヘキシル等)等が挙げられる。Rfにおいてこれらのアルキル基の水素原子がフッ素原子に置換されている割合は,もとのアルキル基が有していた水素原子のモル数に基づいて,80モル%以上が好ましく,さらに好ましくは90%以上,特に好ましくは100%である。フッ素原子による置換割合がこれら好ましい範囲にあると,スルホニウム塩の光感応性がさらに良好となる。特に好ましいRfとしては,CF3−,CF3CF2−,(CF3)2CF−,CF3CF2CF2−,CF3CF2CF2CF2−,(CF3)2CFCF2−,CF3CF2(CF3)CF−及び(CF3)3C−が挙げられる。b個のRfは,相互に独立であり,従って,互いに同一でも異なっていてもよい。
Pは,リン原子,Fは,フッ素原子を表す。
R7は,水素原子の一部が少なくとも1個の元素又は電子求引基で置換されたフェニル基を表す。そのような1個の元素の例としては,ハロゲン原子が含まれ,フッ素原子,塩素原子及び臭素原子等が挙げられる。電子求引基としては,トリフルオロメチル基,ニトロ基及びシアノ基等が挙げられる。これらのうち,1個の水素原子がフッ素原子又はトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基が好ましい。c個のR7は相互に独立であり,従って,互いに同一でも異なっていてもよい。
Bは,ホウ素原子,Gaは,ガリウム原子を表す。
R8は,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基を表し,アルキル基及びパーフルオロアルキル基は直鎖,分枝鎖状又は環状のいずれでもよく,アリール基は無置換であっても,置換基を有していてもよい。
Sはイオウ原子,Oは酸素原子,Cは炭素原子を表す。
bは,1〜5の整数が好ましく,さらに好ましくは2〜4,特に好ましくは2又は3である。
cは,1〜4の整数が好ましく,さらに好ましくは4である。
bは,1〜5の整数が好ましく,さらに好ましくは2〜4,特に好ましくは2又は3である。
cは,1〜4の整数が好ましく,さらに好ましくは4である。
(Rf)bPF6-b -で表されるアニオンとしては,(CF3CF2)2PF4 -,(CF3CF2)3PF3 -,((CF3)2CF)2PF4 -,((CF3)2CF)3PF3 -,(CF3CF2CF2)2PF4 -,(CF3CF2CF2)3PF3 -,((CF3)2CFCF2)2PF4 -,((CF3)2CFCF2)3PF3 -,(CF3CF2CF2CF2)2PF4 -又は(CF3CF2CF2CF2)3PF3 -で表されるアニオン等が挙げられる。これらのうち,(CF3CF2)3PF3 -,(CF3CF2CF2)3PF3 -,((CF3)2CF)3PF3 -,((CF3)2CF)2PF4 -,((CF3)2CFCF2)3PF3 -又は((CF3)2CFCF2)2PF4 -で表されるアニオンが好ましい。
R7 cBY4-c -で表されるアニオンとしては,(C6F5)4B-,((CF3)2C6H3)4B-,(CF3C6H4)4B-,(C6F5)2BF2 -,C6F5BF3 -又は(C6H3F2)4B-で表されるアニオン等が挙げられる。これらのうち,(C6F5)4B-又は((CF3)2C6H3)4B-で表されるアニオンが好ましい。
R7 cGaY4-c -で表されるアニオンとしては,(C6F5)4Ga-,((CF3)2C6H3)4Ga-,(CF3C6H4)4Ga-,(C6F5)2GaF2 -,C6F5GaF3 -又は(C6H3F2)4Ga-で表されるアニオン等が挙げられる。これらのうち,(C6F5)4Ga-又は((CF3)2C6H3)4Ga-で表されるアニオンが好ましい。
(R8SO2)3C-で表されるアニオンとしては,(CF3SO2)3C-,(C2F5SO2)3C-,(C3F7SO2)3C-又は(C4F9SO2)3C-で表されるアニオン等が挙げられる。これらのうち,(CF3SO2)3C-で表されるアニオンが好ましい。
本発明のスルホニウム塩は,以下に述べる製造方法(1)等で製造できる。
<製造方法(1)>
次反応式で示される方法(たとえば,第4版実験化学講座24巻,1992年,丸善株式会社発行,376頁,特開平7−329399号公報,特開平8−165290号公報,特開平10−212286号公報又は特開平10−7680号公報等に記載されている方法)。
次反応式で示される方法(たとえば,第4版実験化学講座24巻,1992年,丸善株式会社発行,376頁,特開平7−329399号公報,特開平8−165290号公報,特開平10−212286号公報又は特開平10−7680号公報等に記載されている方法)。
上記の反応式中,R1〜R6,S,O,X-,m1〜m6は,式(1)における定義に同じである。Hは水素原子を表す。
HX’は,一価の多原子アニオンの共役酸を表す。HX’としては,入手しやすさ,酸の安定性及び反応収率の観点から,メタンスルホン酸,パーフルオロメタンスルホン酸及び硫酸が好ましい。
脱水剤は,たとえば,無水リン酸及び無水酢酸等を表す。
一価の多原子アニオン(X’-)は,たとえば,上記のように副分解反応により,本発明のアニオン(X-)に交換することができる。
DXは,アルカリ金属(リチウム,ナトリウム及びカリウム等)カチオンと本発明のアニオン((Rf)bPF6-b -,R7 cBY4-c -,R7 cGaY4-c -又は(R8SO2)3C-で表されるアニオン。)との塩を表す。
DX’は,アルカリ金属(リチウム,ナトリウム及びカリウム等)カチオンと一価の多原子アニオン(メタンスルホン酸アニオン,パーフルオロメタンスルホン酸アニオン及び硫酸水素アニオンが好ましい。)との塩を表す。
HX’は,一価の多原子アニオンの共役酸を表す。HX’としては,入手しやすさ,酸の安定性及び反応収率の観点から,メタンスルホン酸,パーフルオロメタンスルホン酸及び硫酸が好ましい。
脱水剤は,たとえば,無水リン酸及び無水酢酸等を表す。
一価の多原子アニオン(X’-)は,たとえば,上記のように副分解反応により,本発明のアニオン(X-)に交換することができる。
DXは,アルカリ金属(リチウム,ナトリウム及びカリウム等)カチオンと本発明のアニオン((Rf)bPF6-b -,R7 cBY4-c -,R7 cGaY4-c -又は(R8SO2)3C-で表されるアニオン。)との塩を表す。
DX’は,アルカリ金属(リチウム,ナトリウム及びカリウム等)カチオンと一価の多原子アニオン(メタンスルホン酸アニオン,パーフルオロメタンスルホン酸アニオン及び硫酸水素アニオンが好ましい。)との塩を表す。
上記反応式中,第1段目の反応は,無溶剤下で行ってもよいし,必要により有機溶媒(アセトニトリル,テトラヒドロフラン,ジオキサン,エタノール,アセトン等)中で行ってもよい。反応温度は,20〜105℃程度である。反応時間は,1〜数十時間程度である。
第2段目の反応は,第1段目の反応に引き続いて行ってもよいし,反応中間体(G3)を単離(必要に応じて精製)してから行ってもよい。反応中間体(G3)と,アルカリ金属カチオンと本発明のアニオンとの塩(DX)の水溶液とを混合・撹拌して,複分解反応を行い,析出する固体をろ別するか,または分離した油状物を有機溶媒で抽出して有機溶媒を除去することにより,本発明のスルホニウム塩が固体あるいは粘調な液体として得られる。得られる固体又は粘稠液体は必要に応じて適当な有機溶媒で洗浄するか,再結晶法もしくはカラムクロマトグラフィー法により精製することができる(以下,同様である。)。
<製造方法(2)>
上記<G2>は下記反応式のように,第4版実験化学講座23巻(1991年,丸善),276〜277頁等に記載されている酸化反応によって合成できる。
上記<G2>は下記反応式のように,第4版実験化学講座23巻(1991年,丸善),276〜277頁等に記載されている酸化反応によって合成できる。
反応式中,R4〜R6,S,O,m4〜m6は,式(1)における定義に同じである。
酸化剤は,酸化剤(過酸化水素等)を表す。
酸化剤は,酸化剤(過酸化水素等)を表す。
本発明のスルホニウム塩の化学構造は,一般的な分析手法(たとえば,1H−,11B−,13C−,19F−,31P−核磁気共鳴スペクトル,赤外吸収スペクトル及び/又は元素分析等)によって同定することができる。
本発明のスルホニウム塩は,光酸発生剤として好適である。
光酸発生剤とは,光照射によりその化学構造が分解し,酸を発生するものをいう。発生した酸は,エポキシドの硬化反応等の触媒として適用できる。
本発明の光酸発生剤は,単独で使用してもよいし,これに他の光酸発生剤を含有させて使用してもよい。
光酸発生剤とは,光照射によりその化学構造が分解し,酸を発生するものをいう。発生した酸は,エポキシドの硬化反応等の触媒として適用できる。
本発明の光酸発生剤は,単独で使用してもよいし,これに他の光酸発生剤を含有させて使用してもよい。
他の光酸発生剤を含有する場合,他の光酸発生剤の含有量(モル%)は,スルホニウム塩のモル数に基づいて,1〜100が好ましく,さらに好ましくは5〜50である。
他の光酸発生剤としては,オニウムイオン(スルホニウム,ヨードニウム,セレニウム,アンモニウム及びホスホニウム等)又は遷移金属錯体イオンと,アニオンとの塩等の従来公知のものが含まれる。
上記アニオンとしては,(Rf)bPF6-b -,R7 cBY4-c -,R7 cGaY4-c -又は(R8SO2)3C-で表されるアニオン以外に,MYa -,R8SO3 -,(R8SO2)2N-,過ハロゲン酸イオン(ClO4 -,BrO4 -等),ハロゲン化スルホン酸イオン(FSO3 -,ClSO3 -等),硫酸イオン(CH3SO4 -,CF3SO4 -,HSO4 -等),炭酸イオン(HCO3 -,CH3CO3 -等),アルミン酸イオン(AlCl4 -,AlF4 -等),ヘキサフルオロビスマス酸イオン(BiF6 -),カルボン酸イオン(CH3COO-,CF3COO-,C6H5COO-,CH3C6H4COO-,C6F5COO-,CF3C6H4COO-等),アリールホウ酸イオン(B(C6H5)4 -,CH3CH2CH2CH2B(C6H5)3 -等),チオシアン酸イオン(SCN-)及び硝酸イオン(NO3 -)等が使用できる。
ここで,Mは,リン原子,ホウ素原子又はアンチモン原子を表す。
ここで,Mは,リン原子,ホウ素原子又はアンチモン原子を表す。
上記スルホニウムイオンとしては,トリアリールスルホニウム,ジアリールスルホニウム,モノアリールスルホニウム及びトリアルキルスルホニウムが含まれる。
上記トリアリールスルホニウムとしては,トリフェニルスルホニウム,トリ−p−トリルスルホニウム,トリ−o−トリルスルホニウム,トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム,1−ナフチルジフェニルスルホニウム,2−ナフチルジフェニルスルホニウム,トリス(4−フルオロフェニル)スルホニウム,トリ−1−ナフチルスルホニウム,トリ−2−ナフチルスルホニウム,トリス(4−ヒドロキシフェニル)スルホニウム,4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム,4−(p−トリルチオ)フェニルジ−p−トリルスルホニウム,4−(4−メトキシフェニルチオ)フェニルビス(4−メトキシフェニル)スルホニウム,4−(フェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム,4−(フェニルチオ)フェニルビス(4−メトキシフェニル)スルホニウム,4−(フェニルチオ)フェニルジ−p−トリルスルホニウム,ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド,ビス〔4−{ビス[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]スルホニオ}フェニル〕スルフィド,ビス{4−[ビス(4−フルオロフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド,ビス{4−[ビス(4−メチルフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド,ビス{4−[ビス(4−メトキシフェニル)スルホニオ]フェニル}スルフィド,4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム,4−(4−ベンゾイル−2−クロロフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム,4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルビス(4−フルオロフェニル)スルホニウム,4−(4−ベンゾイルフェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム,7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジ−p−トリルスルホニウム,7−イソプロピル−9−オキソ−10−チア−9,10−ジヒドロアントラセン−2−イルジフェニルスルホニウム,2−[(ジ−p−トリル)スルホニオ]チオキサントン,2−[(ジフェニル)スルホニオ]チオキサントン,2−{[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルホニオ}チオキサントン,4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジ−p−トリルスルホニウム,4−[4−(4−tert−ブチルベンゾイル)フェニルチオ]フェニルジフェニルスルホニウム,4−[4−(ベンゾイルフェニルチオ)]フェニルジ−p−トリルスルホニウム,4−[4−(ベンゾイルフェニルチオ)]フェニルジフェニルスルホニウム,5−(4−メトキシフェニル)チアアンスレニウム,5−フェニルチアアンスレニウム,5−トリルチアアンスレニウム,5−(4−エトキシフェニル)チアアンスレニウム及び5−(2,4,6−トリメチルフェニル)チアアンスレニウム等が挙げられる(米国特許第4231951号,米国特許第4256828号,特開昭61−100557号,特開平7−61964号,特開平7−10914号,特開平7−25922号,特開平8−27208号,特開平8−27209号,特開平8−165290号,特開平8−301991号,特開平9−143212号,特開平9−278813号,特開平10−7680号,特開平10−212286号,特開平10−287643号,特開平10−245378号,特開平8−157510号,特開平10−204083号,特開平8−245566号,特開平8−157451号,特開平7−324069号,特開平9−268205号,特開平9−278935号,特開2001−288205号,特開平11−80118号,特開平10−182825号,特開平10−330353,特開平10−152495,特開平5−239213号,特開平7−333834号,特開平9−12537号,特開平8−325259号,特開平8−160606号,特開2000−186071号(米国特許第6368769号),特表2005−501040号,特開2005−530698号,特開2006−104185号,特表2006−518332号及び特開2007−254454号等)。
上記ジアリールスルホニウムとしては,ジフェニルフェナシルスルホニウム,ジフェニル4−ニトロフェナシルスルホニウム,ジフェニルベンジルスルホニウム及びジフェニルメチルスルホニウム等が挙げられる(特開平7−300504号,特開昭64−45357号及び特開昭64−29419号等)。
上記モノアリールスルホニウムとしては,フェニルメチルベンジルスルホニウム,4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルスルホニウム,4−メトキシフェニルメチルベンジルスルホニウム,4−アセトカルボニルオキシフェニルメチルベンジルスルホニウム,2−ナフチルメチルベンジルスルホニウム,2−ナフチルメチル(1−エトキシカルボニル)エチルスルホニウム,フェニルメチルフェナシルスルホニウム,4−ヒドロキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム,4−メトキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム,4−アセトカルボニルオキシフェニルメチルフェナシルスルホニウム,2−ナフチルメチルフェナシルスルホニウム,2−ナフチルオクタデシルフェナシルスルホニウム及び9−アントラセニルメチルフェナシルスルホニウム等が挙げられる(特開平6−345726号,特開平8−325225号,特開平9−118663号(米国特許第6093753号),特開平2−196812号,特開平2−1470号,特開平2−196812号,特開平3−237107号,特開平3−17101号,特開平6−228086号,特開平10−152469号,特開平7−300505号,特開2000−39706号,特開2003−277353及び特開2003−277352等)。
上記トリアルキルスルホニウムとしては,ジメチルフェナシルスルホニウム,フェナシルテトラヒドロチオフェニウム,ジメチルベンジルスルホニウム,ベンジルテトラヒドロチオフェニウム及びオクタデシルメチルフェナシルスルホニウム等が挙げられる(特開平4−308563号,特開平5−140210号,特開平5−140209号,特開平5−230189号,特開平6−271532号,特開昭58−37003号,特開平2−178303号,特開平10−338688号,特開平9−328506号,特開平11−228534号,特開平8−27102号,特開平7−333834号,特開平5−222167号,特開平11−21307号,特開平11−35613号及び米国特許第6031014号等)。
上記ヨードニウムイオンとしては,ジフェニルヨードニウム,ジ−p−トリルヨードニウム,ビス(4−ドデシルフェニル)ヨードニウム,ビス(4−メトキシフェニル)ヨードニウム,(4−オクチルオキシフェニル)フェニルヨードニウム,ビス(4−デシルオキシフェニル)ヨードニウム,4−(2−ヒドロキシテトラデシルオキシ)フェニルフェニルヨードニウム,4−イソプロピルフェニル(p−トリル)ヨードニウム,イソブチルフェニル(p−トリル)ヨードニウム等が挙げられる(Macromolecules,10,1307(1977),特開平6−184170号,米国特許第4256828号,米国特許第4351708号,特開昭56−135519号,特開昭56−38350号,特開平10−195117号,特開2001−139539号,特開2000−510516号及び特開2000−119306号等)。
上記セレニウムイオンとしては,トリアリールセレニウム(トリフェニルセレニウム,トリ−p−トリルセレニウム,トリ−o−トリルセレニウム,トリス(4−メトキシフェニル)セレニウム,1−ナフチルジフェニルセレニウム,トリス(4−フルオロフェニル)セレニウム,トリ−1−ナフチルセレニウム,トリ−2−ナフチルセレニウム,トリス(4−ヒドロキシフェニル)セレニウム,4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルセレニウム及び4−(p−トリルチオ)フェニルジ−p−トリルセレニウム等),ジアリールセレニウム(ジフェニルフェナシルセレニウム,ジフェニルベンジルセレニウム及びジフェニルメチルセレニウム等),モノアリールセレニウム(フェニルメチルベンジルセレニウム,4−ヒドロキシフェニルメチルベンジルセレニウム,フェニルメチルフェナシルセレニウム,4−ヒドロキシフェニルメチルフェナシルセレニウム及び4−メトキシフェニルメチルフェナシルセレニウム等)及びトリアルキルセレニウム(ジメチルフェナシルセレニウム,フェナシルテトラヒドロセレノフェニウム,ジメチルベンジルセレニウム,ベンジルテトラヒドロセレノフェニウム及びオクタデシルメチルフェナシルセレニウム等)等が挙げられる(特開昭50−151997号,特開昭50−151976号,特開昭53−22597号等)。
上記アンモニウムイオンとしては,テトラアルキルアンモニウム(テトラメチルアンモニウム,エチルトリメチルアンモニウム,ジエチルジメチルアンモニウム,トリエチルメチルアンモニウム,テトラエチルアンモニウム,トリメチル−n−プロピルアンモニウム,トリメチルイソプロピルアンモニウム,トリメチル−n−ブチルアンモニウム,トリメチルイソブチルアンモニウム,トリメチル−t−ブチルアンモニウム,トリメチル−n−ヘキシルアンモニウム,ジメチルジ−n−プロピルアンモニウム,ジメチルジイソプロピルアンモニウム,ジメチル−n−プロピルイソプロピルアンモニウム,メチルトリ−n−プロピルアンモニウム及びメチルトリイソプロピルアンモニウム等),ピロリジニウム(N,N−ジメチルピロリジニウム,N−エチル−N−メチルピロリジニウム及びN,N−ジエチルピロリジニウム等),イミダゾリニウム(N,N′−ジメチルイミダゾリニウム,N,N′−ジエチルイミダゾリニウム,N−エチル−N′−メチルイミダゾリニウム,1,2,3−トリメチルイミダゾリニウム,1,3,4−トリメチルイミダゾリニウム,1,3−ジエチル−2−メチルイミダゾリニウム,1,3−ジエチル−4−メチルイミダゾリニウム及び1,2,3,4−テトラメチルイミダゾリニウム等),テトラヒドロピリミジニウム(N,N′−ジメチルテトラヒドロピリミジニウム,N,N′−ジエチルテトラヒドロピリミジニウム,N−エチル−N′−メチルテトラヒドロピリミジニウム及び1,2,3−トリメチルテトラヒドロピリミジニウム等),モルホリニウム(N,N′−ジメチルモルホリニウム,N−エチル−N−メチルモルホリニウム及びN,N−ジエチルモルホリニウム等),ピペリジニウム(N,N−ジメチルピペリジニウム,N−エチル−N′−メチルピペリジニウム及びN,N′−ジエチルピペリジニウム等),ピリジニウム(N−メチルピリジニウム,N−エチルピリジニウム,N−n−プロピルピリジニウム,N−イソプロピルピリジニウム,N−n−ブチルピリジニウム,N−ベンジルピリジニウム及びN−フェナシルピリジウム等),イミダゾリウム(N,N′−ジメチルイミダゾリウム,N−エチル−N−メチルイミダゾリウム,N,N′−ジエチルイミダゾリウム,1,2−ジエチル−3−メチルイミダゾリウム,1,3−ジエチル−2−メチルイミダゾリウム及び1−メチル−3−n−プロピル−2,4−ジメチルイミダゾリウム等),キノリウム(N−メチルキノリウム,N−エチルキノリウム,N−n−プロピルキノリウム,N−イソプロピルキノリウム,N−n−ブチルキノリウム,N−ベンジルキノリウム及びN−フェナシルキノリウム等),イソキノリウム(N−メチルイソキノリウム,N−エチルイソキノリウム,N−n−プロピルイソキノリウム,N−イソプロピルイソキノリウム,N−n−ブチルイソキノリウム,N−ベンジルイソキノリウム及びN−フェナシルイソキノリウム等),チアゾニウム(ベンジルベンゾチアゾニウム及びフェナシルベンゾチアゾニウム等),及びアルリジニウム(ベンジルアクリジウム及びフェナシルアクリジウム等)等が挙げられる(米国特許第4069055号,特許公報第2519480号,特開平5−222112号,特開平5−222111号,特開平5−262813号,特開平5−255256号,特開平7−109303号,特開平10−101718号,特開平2−268173号,特開平9−328507号,特開平5−132461号,特開平9−221652号,特開平7−43854号,特開平7−43901号,特開平5−262813号,特開平4−327574,特開平2−43202号,特開昭60−203628号,特開昭57−209931号及び特開平9−221652号等)。
上記ホスホニウムイオンとしては,テトラアリールホスホニウム(テトラフェニルホスホニウム,テトラ−p−トリルホスホニウム,テトラキス(2−メトキシフェニル)ホスホニウム,テトラキス(3−メトキシフェニル)ホスホニウム及びテトラキス(4−メトキシフェニル)ホスホニウム等),トリアリールホスホニウム(トリフェニルベンジルホスホニウム,トリフェニルフェナシルホスホニウム,トリフェニルメチルホスホニウム及びトリフェニルブチルホスホニウム等,及びテトラアルキルホスホニウム(トリエチルベンジルホスホニウム,トリブチルベンジルホスホニウム,テトラエチルホスホニウム,テトラブチルホスホニウム,テトラヘキシルホスホニウム,トリエチルフェナシルホスホニウム及びトリブチルフェナシルホスホニウム等)等が挙げられる(特開平6−157624号,特開平5−105692号,特開平7−82283号及び特開平9−202873号等)。
上記遷移金属錯体イオンとしては,クロム錯体カチオン{(η5−シクロペンタジエニル)(η6−トルエン)Cr+,(η5−シクロペンタジエニル)(η6−キシレン)Cr+,(η5−シクロペンタジエニル)(η6−1−メチルナフタレン)Cr+,(η5−シクロペンタジエニル)(η6−クメン)Cr+,(η5−シクロペンタジエニル)(η6−メシチレン)Cr+,(η5−シクロペンタジエニル)(η6−ピレン)Cr+,(η5−フルオレニル)(η6−クメン)Cr+,(η5−インデニル)(η6−クメン)Cr+,ビス(η6−メシチレン)Cr2+,ビス(η6−キシレン)Cr2+,ビス(η6−クメン)Cr2+,ビス(η6−トルエン)Cr2+,(η6−トルエン)(η6−キシレン)Cr2+,(η6−クメン)(η6−ナフタレン)Cr2+,ビス(η5−シクロペンタジエニル)Cr+,ビス(η5−インデニル)Cr+,(η5−シクロペンタジエニル)(η5−フルオレニル)Cr+及び(η5−シクロペンタジエニル)(η5−インデニル)Cr+等},及び鉄錯体カチオン{(η5−シクロペンタジエニル)(η6−トルエン)Fe+,(η5−シクロペンタジエニル)(η6−キシレン)Fe+,(η5−シクロペンタジエニル)(η6−1−メチルナフタレン)Fe+,(η5−シクロペンタジエニル)(η6−クメン)Fe+,(η5−シクロペンタジエニル)(η6−メシチレン)Fe+,(η5−シクロペンタジエニル)(η6−ピレン)Fe+,(η5−フルオレニル)(η6−クメン)Fe+,(η5−インデニル)(η6−クメン)Fe+,ビス(η6−メシチレン)Fe2+,ビス(η6−キシレン)Fe2+,ビス(η6−クメン)Fe2+,ビス(η6−トルエン)Fe2+,(η6−トルエン)(η6−キシレン)Fe2+,(η6−クメン)(η6−ナフタレン)Fe2+,ビス(η5−シクロペンタジエニル)Fe+,ビス(η5−インデニル)Fe+,(η5−シクロペンタジエニル)(η5−フルオレニル)Fe+及び(η5−シクロペンタジエニル)(η5−インデニル)Fe+等}等が挙げられる(ただし,Crはクロム原子,Feは鉄原子を表す。)(Macromol. Chem.,81,86(1965),Angew.Makromol.Chem.,50,9(1976),Macromol. Chem.,153,229(1972),J. Polym. Sci., Polym. Chem. Edn., 14,1547(1976),Chem. Ztg., 108, 345(1984),J. Imaging. Sci., 30, 174(1986),J.Photochem.Photobiol.A:Chem.,77(1994),J. Rad. Curing., 26(1986),Adv. Polym. Sci., 78,61(1986),米国特許第4973722号,同第4992572号,同第3895954号,ヨーロッパ特許公開公報第203829号,同第354181号,同第94914号,同第109851号,同第94915号,特開平58−210904号(米国特許第4868288号),特開昭59−108003号,特開2000−226396号及び特開平2−284903号等)。
本発明の光酸発生剤は,カチオン重合性化合物への溶解を容易にするため,あらかじめカチオン重合を阻害しない溶剤に溶かしておいてもよい。
そのような溶剤としては,カーボネート(プロピレンカーボネート,エチレンカーボネート,1,2−ブチレンカーボネート,ジメチルカーボネート及びジエチルカーボネート等);エステル(酢酸エチル,乳酸エチル,β−プロピオラクトン,β―ブチロラクトン,γ−ブチロラクトン,δ−バレロラクトン及びε−カプロラクトン等);エーテル(エチレングリコールモノメチルエーテル,プロピレングリコールモノエチルエーテル,ジエチレングリコールモノブチルエーテル,ジプロピレングリコールジメチルエーテル,トリエチレングリコールジエチルエーテル,トリプロピレングリコールジブチルエーテル等);及びエーテルエステル(エチレングリコールモノメチルエーテル酢酸エステル,プロピレングリコールモノエチルエーテル酢酸エステル及びジエチレングリコールモノブチルエーテル酢酸エステル等)等が挙げられる。
溶剤を使用する場合,溶剤の使用割合は,本発明の光酸発生剤100重量部に対して,15〜1000重量部が好ましく,さらに好ましくは30〜500重量部である。
本発明のエネルギー線硬化性組成物は,上記の光酸発生剤とカチオン重合性化合物とから構成される。
上記カチオン重合性化合物としては,環状エーテル(エポキシド及びオキセタン等),エチレン性不飽和化合物(ビニルエーテル及びスチレン等),ビシクロオルトエステル,スピロオルトカーボネート及びスピロオルトエステル等が挙げられる(特開平11−060996号,特開平09−302269号,特開2003−026993号,特開2002−206017号,特開平11−349895号,特開平10−212343号,特開2000−119306号,特開平10−67812号,特開2000−186071号,特開平08−85775号,特開平08−134405号,特開2008−20838,特開2008−20839,特開2008−20841,特開2008−26660,特開2008−26644,特開2007−277327,フォトポリマー懇話会編「フォトポリマーハンドブック」(1989年,工業調査会),総合技術センター編「UV・EB硬化技術」(1982年,総合技術センター),ラドテック研究会編「UV・EB硬化材料」(1992年,シーエムシー),技術情報協会編「UV硬化における硬化不良・阻害原因とその対策」(2003年,技術情報協会),色材,68,(5),286−293(1995),ファインケミカル,29,(19),5−14(2000)等)。
上記エポキシドとしては,公知のもの等が使用でき,芳香族エポキシド,脂環式エポキシド及び脂肪族エポキシドが含まれる。
上記芳香族エポキシドとしては,少なくとも1個の芳香環を有する1価又は多価のフェノール(フェノール,ビフェノール,ビスフェノールA,ビスフェノールF,フェノールノボラック,クレゾールノボラック及びこれらの臭素化物又はこれらのアルキレンオキシド付加体した化合物)のグリシジルエーテル,及び少なくとも1個の芳香環を有する1価又は多価のカルボン酸(フタル酸及び3−メチルフタル酸等)のグリシジルエステル(ジグリシジルフタレート及びジグリシジル−3−メチルフタレート等)が挙げられる。
上記脂環式エポキシドとしては,少なくとも1個のシクロヘキセンやシクロペンテン環を有する化合物を酸化剤でエポキシ化することによって得られる化合物(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート,3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート,6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート,3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート,3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート,2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサンメタジオキサン,ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート,3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルカルボキシレート,メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン),ジシクロペンタジエンジエポキシド及びエチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)等)が挙げられる。
上記脂肪族エポキシドとしては,脂肪族多価アルコール又はこのアルキレンオキシド付加体のポリグリシジルエーテル(1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル,1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル,水素添加ビスフェノールAジグリシジルエーテル,グリセリンのトリグリシジルエーテル,トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル,ソルビトールのテトラグリシジルエーテル及びジペンタエリスリトールのヘキサグリシジルエーテル等),脂肪族多塩基酸のポリグリシジルエステル(ジグリシジルテトラヒドロフタレート,ジグリシジルヘキサヒドロフタレート及びジグリシジルヘキサヒドロ−3−メチルフタレート等),長鎖不飽和化合物のエポキシ化物(エポキシ化大豆油及びエポキシ化ポリブタジエン等),グリシジル基含有ポリマー(グリシジル(メタ)アクリレートのホモポリマー又はこれと他の不飽和モノマーとのコポリマー等),及びジメチルシロキサン骨格を有する多官能エポキシド(Journal of Polym. Sci., Part A, Polym. Chem., Vol. 28, 497 (1990))等が挙げられる。
上記オキセタンとしては,公知のもの等が使用でき,3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン,(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチルベンゼン,[1−(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)エチル]フェニルエーテル,イソブトキシメチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,イソボルニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,イソボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−エチルヘキシル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,エチルジエチレングリコール(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジシクロペンテニルオキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジシクロペンテニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,テトラヒドロフルフリル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,テトラブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−テトラブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,トリブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−トリブロモフェノキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−ヒドロキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,2−ヒドロキシプロピル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ブトキシエチル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ペンタクロロフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ペンタブロモフェニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ボルニル(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,3,7−ビス(3−オキセタニル)−5−オキサ−ノナン,3,3’−(1,3−(2−メチレニル)プロパンジイルビス(オキシメチレン))ビス−(3−エチルオキセタン),1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン,1,2−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]エタン,1,3−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]プロパン,エチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジシクロペンテニルビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,トリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,テトラエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,トリシクロデカンジイルジメチレン(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,トリメチロールプロパントリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,1,4−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ブタン,1,6−ビス(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)ヘキサン,ペンタエリスリトールトリス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ポリエチレングリコールビス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジペンタエリスリトールペンタキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,ジペンタエリスリトールテトラキス(3−エチル−3−オキセタニルメチル)エーテル,3−エチル−3−フェノキシメチルオキセタン,3−エチル−3−(4−メチルフェノキシ)メチルオキセタン,3−エチル−3−(4−フルオロフェノキシ)メチルオキセタン,3−エチル−3−(1−ナフトキシ)メチルオキセタン,3−エチル−3−(2−ナフトキシ)メチルオキセタン,3−エチル−3−{[3−(エトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン,オキセタニルシルセスキオキセタン及びフェノールノボラックオキセタン等が挙げられる。
上記エチレン性不飽和化合物としては,公知のカチオン重合性単量体等が使用でき,脂肪族モノビニルエーテル,芳香族モノビニルエーテル,多官能ビニルエーテル,スチレン及びカチオン重合性窒素含有モノマーが含まれる。
上記脂肪族モノビニルエーテルとしては,メチルビニルエーテル,エチルビニルエーテル,ブチルビニルエーテル,イソブチルビニルエーテル,シクロヘキシルビニルエーテル,2−クロロエチルビニルエーテル,2−ヒドロキシエチルビニルエーテル,4−ヒドロキシブチルビニルエーテル,ステアリルビニルエーテル,2−アセトキシエチルビニルエーテル,ジエチレングリコールモノビニルエーテル,2−エチルヘキシルビニルエーテル,ドデシルビニルエーテル,オクタデシルビニルエーテル,アリルビニルエーテル,2−メタクリロイロオキシエチルビニルエーテル及び2−アクリロイロオキシエチルビニルエーテル等が挙げられる。
上記芳香族モノビニルエーテルとしては,2−フェノキシエチルビニルエーテル,フェニルビニルエーテル及びp−メトキシフェニルビニルエーテル等が挙げられる。
上記多官能ビニルエーテルとしては,ブタンジオール−1,4−ジビニルエーテル,トリエチレングリコールジビニルエーテル,1,4−ベンゼンジビニルエーテル,ハイドロキノンジビニルエーテル,シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル(1,4−ビス[(ビニルオキシ)メチル]シクロヘキサン),ジエチレングリコールジビニルエーテル,ジプロピレングリコールジビニルエーテル及びヘキサンジオールジビニルエーテル等が挙げられる。
上記スチレンとしては,スチレン,α−メチルスチレン,p−メトキシスチレン及びp−tert−ブトキシスチレン等が挙げられる。
上記カチオン重合性窒素含有モノマーとしては,N−ビニルカルバゾール及びN−ビニルピロリドン等が挙げられる。
上記ビシクロオルトエステルとしては,1−フェニル−4−エチル−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタン及び1−エチル−4−ヒドロキシメチル−2,6,7−トリオキサビシクロ−[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
上記スピロオルトカーボネートとしては,1,5,7,11−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン及び3,9−ジベンジル−1,5,7,11−テトラオキサスピロ[5.5]ウンデカン等が挙げられる。
上記スピロオルトエステルとしては,1,4,6−トリオキサスピロ[4.4]ノナン,2−メチル−1,4,6−トリオキサスピロ[4.4]ノナン及び1,4,6−トリオキサスピロ[4.5]デカン等が挙げられる。
これらのカチオン重合性化合物のうち,エポキシド,オキセタン及びビニルエーテルが好ましく,さらに好ましくはエポキシド及びオキセタン,特に好ましくは脂環式エポキシド及びオキセタンである。また,これらのカチオン重合性化合物は単独で使用してもよく,または2種以上を併用してもよい。
エネルギー線硬化性組成物中の本発明の光酸発生剤の含有量は,カチオン重合性化合物100部に対し,0.05〜20重量部が好ましく,さらに好ましくは0.1〜10重量部である。この範囲であると,カチオン重合性化合物の重合がさらに十分となり,硬化体の物性がさらに良好となる。なお,この含有量は,カチオン重合性化合物の性質やエネルギー線の種類と照射量,温度,硬化時間,湿度,塗膜の厚み等のさまざまな要因を考慮することによって決定され,上記範囲に限定されない。
本発明のエネルギー線硬化性組成物には,必要に応じて,公知の添加剤(増感剤,顔料,充填剤,帯電防止剤,難燃剤,消泡剤,流動調整剤,光安定剤,酸化防止剤,密着性付与剤,イオン補足剤,溶剤,非反応性の樹脂及びラジカル重合性化合物等)を含有させることができる。
本発明のエネルギー線硬化性組成物には,基本的に増感剤の必要がないが,硬化性を補完するものとして,必要により,増感剤を含有できる。そのような増感剤としては,公知(特開平11−279212号及び特開平09−183960号等)の増感剤等が使用でき,アントラセン{アントラセン,9,10−ジブトキシアントラセン,9,10−ジメトキシアントラセン,2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン,2−tert−ブチル−9,10−ジメトキシアントラセン,2,3−ジメチル−9,10−ジメトキシアントラセン,9−メトキシ−10−メチルアントラセン,9,10−ジエトキシアントラセン,2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン,2−tert−ブチル−9,10−ジエトキシアントラセン,2,3−ジメチル−9,10−ジエトキシアントラセン,9−エトキシ−10−メチルアントラセン,9,10−ジプロポキシアントラセン,9,10−ジイソプロポキシアントラセン,9,10−ジエトキシアントラセン,2−エチル−9,10−ジプロポキシアントラセン,2−tert−ブチル−9,10−ジプロポキシアントラセン,2,3−ジメチル−9,10−ジプロポキシアントラセン,9−イソプロポキシ−10−メチルアントラセン,9,10−ジベンジルオキシアントラセン,2−エチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン,2−tert−9,10−ジベンジルオキシアントラセン,2,3−ジメチル−9,10−ジベンジルオキシアントラセン,9−ベンジルオキシ−10−メチルアントラセン,9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン,2−エチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン,2−tert−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン,2,3−ジメチル−9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシアントラセン,9−(α−メチルベンジルオキシ)−10−メチルアントラセン,9,10−ジフェニルアントラセン,9−メトキシアントラセン,9−エトキシアントラセン,9−メチルアントラセン,9−ブロモアントラセン,9−メチルチオアントラセン及び9−エチルチオアントラセン等};ピレン;1,2−ベンズアントラセン;ペリレン;テトラセン;コロネン;チオキサントン{チオキサントン,2−メチルチオキサントン,2−エチルチオキサントン,2−クロロチオキサントン,2−イソプロピルチオキサントン及び2,4−ジエチルチオキサントン等};フェノチアジン;キサントン;ナフタレン{1−ナフトール,2−ナフトール,1−メトキシナフタレン,2−メトキシナフタレン,1,4−ジヒドロキシナフタレン,1,5−ジヒドロキシナフタレン,1,6−ジヒドロキシナフタレン,2,7−ジヒドロキシナフタレン,2,7−ジメトキシナフタレン,1,1′−チオビス(2−ナフトール),1,1′−ビ−(2−ナフトール)及び4−メトキシ−1−ナフトール等};ケトン{ジメトキシアセトフェノン,ジエトキシアセトフェノン,2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン,4’−イソプロピル−2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン,2−ヒドロキシメチル−2−メチルプロピオフェノン,2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン,p−ジメチルアミノアセトフェノン,p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン,p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン,p−アジドベンザルアセトフェノン,1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン,ベンゾイン,ベンゾインメチルエーテル,ベンゾインエチルエーテル,ベンゾインイソプロピルエーテル,ベンゾイン−n−ブチルエーテル,ベンゾインイソブチルエーテル,1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン,ベンゾフェノン,o−ベンゾイル安息香酸メチル,ミヒラーケトン,4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン,4,4’−ジクロロベンゾフェノン及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等};カルバゾール{N−フェニルカルバゾール,N−エチルカルバゾール,ポリ−N−ビニルカルバゾール及びN−グリシジルカルバゾール等};クリセン{1,4−ジメトキシクリセン,1,4−ジエトキシクリセン,1,4−ジプロポキシクリセン,1,4−ジベンジルオキシクリセン及び1,4−ジ−α−メチルベンジルオキシクリセン等};フェナントレン{9−ヒドロキシフェナントレン,9−メトキシフェナントレン,9−エトキシフェナントレン,9−ベンジルオキシフェナントレン,9,10−ジメトキシフェナントレン,9,10−ジエトキシフェナントレン,9,10−ジプロポキシフェナントレン,9,10−ジベンジルオキシフェナントレン,9,10−ジ−α−メチルベンジルオキシフェナントレン,9−ヒドロキシ−10−メトキシフェナントレン及び9−ヒドロキシ−10−エトキシフェナントレン等}等が挙げられる。
増感剤を含有する場合,増感剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,1〜300重量部が好ましく,さらに好ましくは5〜200重量部である。
上記顔料としては,公知の顔料等が使用でき,無機顔料(酸化チタン,酸化鉄及びカーボンブラック等)及び有機顔料(アゾ顔料,シアニン顔料,フタロシアニン顔料及びキナクリドン顔料等)等が挙げられる。
顔料を含有する場合,顔料の含有量は,光酸発生剤100部に対して,0.5〜400000重量部が好ましく,さらに好ましくは10〜150000重量部である。
上記充填剤としては,公知の充填剤等が使用でき,溶融シリカ,結晶シリカ,炭酸カルシウム,酸化アルミニウム,水酸化アルミニウム,酸化ジルコニウム,炭酸マグネシウム,マイカ,タルク,ケイ酸カルシウム及びケイ酸リチウムアルミニウム等が挙げられる。
充填剤を含有する場合,充填剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,50〜600000重量部が好ましく,さらに好ましくは300〜200000重量部である。
上記帯電防止剤としては,公知の帯電防止剤等が使用でき,非イオン型帯電防止剤{グリセリン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル,N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アルキルアミン,ポリオキシエチレンアルキルアミン,ポリオキシエチレンアルキルアミン脂肪酸エステル及びアルキルジエタノールアミド等};アニオン型帯電防止剤{アルキルスルホン酸塩,アルキルベンゼンスルホン酸塩及びアルキルリン酸塩等};カチオン型帯電防止剤{テトラアルキルアンモニウム塩及びトリアルキルベンジルアンモニウム塩等};両性型帯電防止剤{アルキルベタイン及びアルキルイミダゾリウムベタイン等};高分子型帯電防止剤{第四級アンモオ含有スチレン−(メタ)アクリレート共重合体,第四級アンモニオ含有スチレン−アクリロニトリル−マレイミド共重合体,ポリオキシエチレングリコール,ポリエーテルエステルアミド,ポリエーテルアミドイミド,エチレンオキシド−エピクロロヒドリン共重合体及びメトキシポリオキシエチレングリコール(メタ)アクリレート共重合体等}等が挙げられる。
帯電防止剤を含有する場合,帯電防止剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,0.1〜20000重量部が好ましく,さらに好ましくは0.6〜5000重量部である。
上記難燃剤としては,公知の難燃剤等が使用でき,無機難燃剤{三酸化アンチモン,五酸化アンチモン,酸化錫,水酸化錫,酸化モリブデン,ホウ酸亜鉛,メタホウ酸バリウム,赤燐,水酸化アルミニウム,水酸化マグネシウム及びアルミン酸カルシウム等};臭素難燃剤{テトラブロモ無水フタル酸,ヘキサブロモベンゼン及びデカブロモビフェニルエーテル等};及びリン酸エステル難燃剤{トリス(トリブロモフェニル)ホスフェート等}等が挙げられる。
難燃剤を含有する場合,難燃剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,0.5〜40000重量部が好ましく,さらに好ましくは5〜10000重量部である。
上記消泡剤としては,公知の消泡剤等が使用でき,アルコール消泡剤{イソプロパノール,n−ブタノール,オクタエチルアルコール及びヘキサデシルアルコール等};金属石鹸消泡剤{ステアリン酸カルシウム及びステアリン酸アルミニウム等};リン酸エステル消泡剤{トリブチルホスフェート等};脂肪酸エステル消泡剤{グリセリンモノラウレート等};ポリエーテル消泡剤{ポリアルキレングリコール等};シリコーン消泡剤{ジメチルシリコーンオイル及びシリカ・シリコーンコンパウンド等};及び鉱物油消泡剤{シリカ粉末を分散させた鉱物油等}等が挙げられる。
消泡剤を含有する場合,消泡剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,0.1〜20000重量部が好ましく,さらに好ましくは0.5〜5000重量部である。
上記流動調整剤としては,公知の流動性調整剤等が使用でき,水素添加ヒマシ油,酸化ポリエチレン,有機ベントナイト,コロイド状シリカ,アマイドワックス,金属石鹸及びアクリル酸エステルポリマー等が挙げられる。
流動性調整剤を含有する場合,流動性調整剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,0.1〜20000重量部が好ましく,さらに好ましくは0.5〜5000重量部である。
上記光安定剤としては,公知の光安定剤等が使用でき,紫外線吸収型安定剤{ベンゾトリアゾール,ベンゾフェノン,サリチレート,シアノアクリレート及びこれらの誘導体等};ラジカル補足型安定剤{ヒンダードアミン等};及び消光型安定剤{ニッケル錯体等}等が挙げられる。
光安定剤を含有する場合,光安定剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,0.05〜40000重量部が好ましく,さらに好ましくは0.5〜10000重量部である。
上記酸化防止剤としては,公知の酸化防止剤等が使用でき,フェノール系酸化防止剤(モノフェノール系,ビスフェノール系及び高分子フェノール系等),硫黄系酸化防止剤及びリン系酸化防止剤等が挙げられる。
酸化防止剤を含有する場合,酸化防止剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,0.1〜20000重量部が好ましく,さらに好ましくは0.6〜5000重量部である。
密着性付与剤としては,公知の密着性付与剤等が使用でき,カップリング剤,シランカップリング剤及びチタンカップリング剤等が挙げられる。
上記密着性付与剤を含有する場合,密着性付与剤の含有量は,密着性付与剤100部に対して,0.1〜20000重量部が好ましく,さらに好ましくは0.6〜5000重量部である。
上記イオン補足剤としては,公知のイオン補足剤等が使用でき,有機アルミニウム(アルコキシアルミニウム及びフェノキシアルミニウム等)等が挙げられる。
イオン補足剤を含有する場合,イオン補足剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,0.1〜20000重量部が好ましく,さらに好ましくは0.6〜5000重量部である。
上記溶剤としては,カチオン重合性化合物の溶解やエネルギー線硬化性組成物の粘度調整のために使用できれば制限はなく,エーテル{アニソール,ジエチルエーテル,テトラヒドロフラン,1,4−ジオキサン及びエチル−tert−ブチルエーテル等};芳香族炭化水素{トルエン,キシレン,クメン,エチルベンゼン及びメシチレン等};ケトン{アセトン,メチルエチルケトン,イソブチルケトン及びシクロヘキサノン等};アルコール{メタノール,エタノール,イソプロピルアルコール及びtert−ブタノール等};ニトリル{アセトニトリル等}等が挙げられる。
溶剤を含有する場合,溶剤の含有量は,光酸発生剤100部に対して,50〜2000000重量部が好ましく,さらに好ましくは200〜500000重量部である。
上記非反応性の樹脂としては,ポリエステル,ポリ酢酸ビニル,ポリ塩化ビニル,ポリブタジエン,ポリカーボナート,ポリスチレン,ポリビニルエーテル,ポリビニルブチラール,ポリブテン,スチレンブタジエンブロックコポリマー水添物,(メタ)アクリル酸エステルの共重合体及びポリウレタン等が挙げられる。これらの樹脂の数平均分子量は,1000〜500000が好ましく,さらに好ましくは5000〜100000である(数平均分子量はGPC等の一般的な方法によって測定された値である。)。
非反応性の樹脂を含有する場合,非反応性の樹脂の含有量は,光酸発生剤100部に対して,5〜400000重量部が好ましく,さらに好ましくは50〜150000重量部である。
非反応性の樹脂を含有させる場合,非反応性の樹脂をカチオン重合性化合物等と溶解しやすくするため,あらかじめ溶剤に溶かしておくことが望ましい。
ラジカル重合性化合物としては,公知{フォトポリマー懇話会編「フォトポリマーハンドブック」(1989年,工業調査会),総合技術センター編「UV・EB硬化技術」(1982年,総合技術センター),ラドテック研究会編「UV・EB硬化材料」(1992年,シーエムシー),技術情報協会編「UV硬化における硬化不良・阻害原因とその対策」(2003年,技術情報協会)}のラジカル重合性化合物等が使用でき,単官能モノマー,2官能モノマー,多官能モノマー,エポキシ(メタ)アクリレート,ポリエステル(メタ)アクリレート及びウレタン(メタ)アクリレートが含まれる。
上記単官能モノマーとしては,メチル(メタ)アクリレート,エチル(メタ)アクレート,2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート,ラウリル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート,スチレン,ビニルシクロヘキセン,イソブチレン及びブタジエン等が挙げられる。
上記2官能モノマーとしては,2価アルコール又はこれらのアルキレンオキシド付加体のジ(メタ)アクリレート{2価アルコール(エチレングリコール,プロピレングリコール,ビスフェノールA,ビスフェノールAの水素化物及びこれらのアルキレンオキシド付加体等)のジ(メタ)アクリレート},及びジビニルベンゼン等が挙げられる。
上記多官能モノマーとしては,2官能モノマー以外のモノマーが使用でき,多価アルコール(トリメチロールプロパン,グリセリン及びペンタエリスリトール及びこのアルキレンオキシド付加体等)の(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては,エポキシド{芳香族エポキシド,脂環式エポキシド及び脂肪族エポキシド等}と,(メタ)アクリル酸とを反応させて得られるエポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ポリエステル(メタ)アクリレートとしては,芳香族多塩基酸(フタル酸,イソフタル酸,テレフタル酸,トリメリット酸及びピロメリット酸等)又は脂肪族多塩基酸(コハク酸,アジピン酸及びセバシン酸等)と,多価アルコール(エチレングリコール,ジエチレングリコール,ポリエチレングリコール,プロピレングリコール,ジプロピレングリコール,ポリプロピレングリコール,ネオペンチルグリコール,ポリテトラメチレングリコール,1,3−ブタンジオール,1,4−ブタンジオール,1,6−ヘキサンジオール,トリメチロールプロパン,グリセリン,ペンタエリスリトール,ビスフェノール及びこれらのアルキレンオキシド付加体等)とから得たヒドロキシ末端のポリエステルを,(メタ)アクリル酸でエステル化することにより得られるポリエステル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ウレタン(メタ)アクリレートとしては,多官能イソシアネート{脂環式イソシアネート(イソホロンジイソシアネート及びジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等),脂肪族イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネート等),芳香族イソシアネート(トルエンジイソシアネート,フェニレンジイソシアネート及びジフェニルメタンジイソシアネート等)等}と,多価アルコール{エチレングリコール,ジエチレングリコール,ポリエチレングリコール,プロピレングリコール,ポリプロピレングリコール,ネオペンチルグリコール,ポリテトラメチレングリコール,1,3−ブタンジオール,1,4−ブタンジオール,1,6−ヘキサンジオール,トリメチロールプロパン,グリセリン,ペンタエリスリトール,ビスフェノール,水添ビスフェノール,ポリカプロラクトンジオール,ポリエステルジオール及びポリカーボネートジオール等}とから得たイソシアネート末端のプレポリマーを,ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート{2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート,4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びペンタエリスリトールのトリ(メタ)アクリレート等}とのウレタン化反応によって得られるウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ラジカル重合性化合物を含有する場合,ラジカル重合性化合物の含有量は,光酸発生剤100部に対して,5〜400000重量部が好ましく,さらに好ましくは50〜150000重量部である。
上記ラジカル重合性化合物を含有する場合,これらをラジカル重合によって高分子量化するために,熱又は光によって重合を開始するラジカル重合開始剤を使用することが好ましい。
そのようなラジカル重合開始剤としては,公知のラジカル重合開始剤等が使用でき,熱ラジカル重合開始剤及び光ラジカル重合開始剤が含まれる。
上記熱ラジカル重合開始剤としては,有機過酸化物{ケトンパーオキシド(メチルエチルケトンパーオキシド及びシクロヘキサノンパーオキシド等),パーオキシケタール(2,2−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ブタン及び1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン等),ヒドロパーオキシド(tert−ブチルヒドロパーオキシド及びクメンヒドロパーオキシド等),ジアルキルパーオキシド(ジ−tert−ブチルパーオキシド等),ジアシルパーオキシド(イソブチリルパーオキシド,ラウロイルパーオキシド及びベンゾイルパーオキシド等),パーオキシジカーボネート(ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等),パーオキシエステル(tert−ブチルパーオキシイソブチレート及び2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン等)等},及びアゾ化合物{1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル),2,2’−アゾビスイソブチロニトリル,2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル),2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド,2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド,2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド),2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド],2,2’−アゾビス(2−メチルプロパン),2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)及びジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)等}等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤としては,アセトフェノン開始剤{アセトフェノン,p−tert−ブチルトリクロロアセトフェノン及び2,2−ジエトキシアセトフェノン等},ベンゾフェノン開始剤{ベンゾフェノン,o−ベンゾイル安息香酸メチル及び4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等},ミヒラーケトン開始剤{4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン及び4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等},ベンゾイン開始剤{ベンゾイン,ベンゾインメチルエーテル等},チオキサントン開始剤{チオキサントン,2−メチルチオキサントン,2−エチルチオキサントン,2−クロロチオキサントン,2−イソプロピルチオキサントン及び2,4−ジエチルチオキサントン等}及びアシルホスフィン開始剤{モノアシルホスフィンオキシド及びビスアシルホスフィンオキシド等}等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤を含有する場合,ラジカル重合開始剤の含有量は,ラジカル重合性化合物100部に対して,0.01〜20重量部が好ましく,さらに好ましくは0.1〜10重量部である。
本発明のエネルギー線硬化性組成物は,カチオン重合性化合物,光酸発生剤及び必要により添加剤を,室温(20〜30℃程度)又は必要により加熱(40〜90℃程度)下で,均一に混合溶解するか,またはさらに,3本ロール等で混練して調製することができる。
本発明のエネルギー線硬化性組成物は,エネルギー線を照射することにより硬化して,硬化体を与える。
エネルギー線としては,本発明のスルホニウム塩の分解を誘発するエネルギーを有する限り如何なるものでもよいが,低圧,中圧,高圧若しくは超高圧の水銀灯,メタルハライドランプ,LEDランプ,キセノンランプ,カーボンアークランプ,蛍光灯,半導体固体レーザ,アルゴンレーザ,He−Cdレーザ,KrFエキシマレーザ,ArFエキシマレーザ又はF2レーザ等から得られる紫外〜可視光領域(波長:約100〜約800nm)のエネルギー線が好ましい。なお,エネルギー線には,電子線又はX線等の高エネルギーを有する放射線を用いることもできる。
エネルギー線としては,本発明のスルホニウム塩の分解を誘発するエネルギーを有する限り如何なるものでもよいが,低圧,中圧,高圧若しくは超高圧の水銀灯,メタルハライドランプ,LEDランプ,キセノンランプ,カーボンアークランプ,蛍光灯,半導体固体レーザ,アルゴンレーザ,He−Cdレーザ,KrFエキシマレーザ,ArFエキシマレーザ又はF2レーザ等から得られる紫外〜可視光領域(波長:約100〜約800nm)のエネルギー線が好ましい。なお,エネルギー線には,電子線又はX線等の高エネルギーを有する放射線を用いることもできる。
エネルギー線の照射時間は,エネルギー線の強度やエネルギー線硬化性組成物に対するエネルギー線の透過性に影響を受けるが,常温(20〜30℃程度)で,0.1秒〜10秒程度で十分である。しかしエネルギー線の透過性が低い場合やエネルギー線硬化性組成物の膜厚が厚い場合等にはそれ以上の時間をかけるのが好ましいことがある。エネルギー線照射後0.1秒〜数分後には,ほとんどのエネルギー線硬化性組成物はカチオン重合により硬化するが,必要であればエネルギー線の照射後,室温(20〜30℃程度)〜150℃で数秒〜数時間加熱しアフターキュアーすることも可能である。
本発明のエネルギー線硬化性組成物の具体的な用途としては,塗料,コーティング剤,インキ,インクジェットインキ,ポジ型レジスト,レジストフィルム,液状レジスト,ネガ型レジスト,MEMS用レジスト,感光性材料,各種接着剤,成形材料,注型材料,パテ,ガラス繊維含浸剤,目止め材,シーリング材,封止材,光半導体(LED)封止材,ナノインプリント材料,光造用,マイクロ光造形用材料等が挙げられる。
本発明のスルホニウム塩は,光照射によって強酸が発生することから,公知(特開2003−267968号,特開2003−261529号,特開2002−193925号等)の化学増幅型レジスト材料用の光酸発生剤等としても使用できる。
化学増幅型レジスト材料としては,(1)酸の作用によりアルカリ現像液に可溶となる樹脂及び光酸発生剤を必須成分とする2成分系化学増幅型ポジ型レジスト,(2)アルカリ現像液に可溶な樹脂,酸の作用によりアルカリ現像液に可溶となる溶解阻害剤及び光酸発生剤を必須成分とする3成分系化学増幅型ポジ型レジスト,並びに(3)アルカリ現像液に可溶な樹脂,酸の存在下で加熱処理することにより樹脂を架橋しアルカリ現像液に不溶とする架橋剤及び光酸発生剤を必須成分とする化学増幅型ネガ型レジストが含まれる。
以下,実施例により本発明を更に説明するが,本発明がこれに限定されることを意図するものではない。なお,以下特記しない限り,部は重量部,%は重量%を意味する。
〔製造例1〕 [4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルフィドと[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルホキシドの混合物の合成
[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルフィド10.0部,アセトニトリル40.0部,硫酸0.166部を仕込み均一に混合後,50℃に昇温して30%過酸化水素水溶液1.926部を10分間かけて滴下した。その後65℃で3時間反応させ,反応溶液を室温(約25℃)まで冷却後,ジクロロメタン120部を加え,蒸留水200部で
pHが中性になるまで分液操作にて洗浄した。ジクロロメタン層をロータリーエバポレーターに移して溶媒を留去することにより,褐色液状の[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルフィドを49%と[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルホキシドを51%含む混合物を9.8部得た。この混合物の一部をカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=1/1:容量比)で精製した後,1H−NMRにて同定した。[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルホキシドの1H−NMRデータ:{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.59〜7.70(4H,m),7.40〜7.55(8H,m),7.25〜7.35(2H,m)}。含有量は混合物のHPLC分析によるピーク面積比より算出した。
[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルフィド10.0部,アセトニトリル40.0部,硫酸0.166部を仕込み均一に混合後,50℃に昇温して30%過酸化水素水溶液1.926部を10分間かけて滴下した。その後65℃で3時間反応させ,反応溶液を室温(約25℃)まで冷却後,ジクロロメタン120部を加え,蒸留水200部で
pHが中性になるまで分液操作にて洗浄した。ジクロロメタン層をロータリーエバポレーターに移して溶媒を留去することにより,褐色液状の[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルフィドを49%と[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルホキシドを51%含む混合物を9.8部得た。この混合物の一部をカラムクロマトグラフィー(溶離液:酢酸エチル/ヘキサン=1/1:容量比)で精製した後,1H−NMRにて同定した。[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルホキシドの1H−NMRデータ:{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.59〜7.70(4H,m),7.40〜7.55(8H,m),7.25〜7.35(2H,m)}。含有量は混合物のHPLC分析によるピーク面積比より算出した。
〔製造例2〕 〔4−[(2−メチル)フェニルチオ]フェニル〕(2−メチルフェニル)スルフィドと〔4−[(2−メチル)フェニルチオ]フェニル〕(2−メチルフェニル)スルホキシドの混合物の合成
[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルフィド10.0部を,〔4−[(2−メチル)フェニルチオ]フェニル〕(2−メチルフェニル)スルフィド11.0部に変更した以外,製造例1と同様にして,褐色液状の〔4−[(2−メチル)フェニルチオ]フェニル〕(2−メチルフェニル)スルフィドを49%と〔4−[(2−メチル)フェニルチオ]フェニル〕(2−メチルフェニル)スルホキシドを51%を含む混合物を得た。〔4−[(2−メチル)フェニルチオ]フェニル〕(2−メチルフェニル)スルホキシドの1H−NMRデータ:{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.40〜7.65(5H,m),7.10〜7.45(7H,m),2.30〜2.40(6H,d)}。各化合物の含有量は混合物のHPLC分析によるピーク面積比より算出した。
[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルフィド10.0部を,〔4−[(2−メチル)フェニルチオ]フェニル〕(2−メチルフェニル)スルフィド11.0部に変更した以外,製造例1と同様にして,褐色液状の〔4−[(2−メチル)フェニルチオ]フェニル〕(2−メチルフェニル)スルフィドを49%と〔4−[(2−メチル)フェニルチオ]フェニル〕(2−メチルフェニル)スルホキシドを51%を含む混合物を得た。〔4−[(2−メチル)フェニルチオ]フェニル〕(2−メチルフェニル)スルホキシドの1H−NMRデータ:{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.40〜7.65(5H,m),7.10〜7.45(7H,m),2.30〜2.40(6H,d)}。各化合物の含有量は混合物のHPLC分析によるピーク面積比より算出した。
〔製造例3〕 〔4−[(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニル〕(2−メトキシフェニル)スルフィドと〔4−[(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニル〕(2−メトキシフェニル)スルホキシドの混合物の合成
[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルフィド10.0部を,〔4−[(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニル〕(2−メトキシフェニル)スルフィド12.0部に変更した以外,製造例1と同様にして,褐色液状の〔4−[(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニル〕(2−メトキシフェニル)スルフィドを49%と〔4−[(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニル〕(2−メトキシフェニル)スルホキシドを51%を含む混合物を得た。〔4−[(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニル〕(2−メトキシフェニル)スルホキシドの1H−NMRデータ:{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.35〜7.45(5H,m),7.00〜7.35(7H,m),3.60〜3.75(6H,d)}。各化合物の含有量は混合物のHPLC分析によるピーク面積比より算出した。
[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルフィド10.0部を,〔4−[(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニル〕(2−メトキシフェニル)スルフィド12.0部に変更した以外,製造例1と同様にして,褐色液状の〔4−[(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニル〕(2−メトキシフェニル)スルフィドを49%と〔4−[(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニル〕(2−メトキシフェニル)スルホキシドを51%を含む混合物を得た。〔4−[(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニル〕(2−メトキシフェニル)スルホキシドの1H−NMRデータ:{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.35〜7.45(5H,m),7.00〜7.35(7H,m),3.60〜3.75(6H,d)}。各化合物の含有量は混合物のHPLC分析によるピーク面積比より算出した。
〔製造例4〕 2−(フェニルチオ)チオキサントンの合成
2−クロロチオキサントン11.0部,チオフェノール4.9部,水酸化カリウム2.5部及びN,N−ジメチルホルムアミド162部を均一混合し,130℃で9時間反応させた後,反応溶液を室温(約25℃)まで冷却し,蒸留水200部中に投入し,生成物を析出させた。これをろ過し,残渣を水で濾液のpHが中性になるまで洗浄した後,残渣を減圧乾燥させ,黄色粉末状の生成物を得た。カラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/ヘキサン=1/1:容量比)にて生成物を精製して,2−(フェニルチオ)チオキサントンを収率45%で得た。生成物は1H−NMRにて同定した{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)8.43(1H,d),8.25(1H,s),7.75〜7.90(3H,m),7.66(1H,d),7.60(1H,t),7.42〜7.46(5H,m)}。
2−クロロチオキサントン11.0部,チオフェノール4.9部,水酸化カリウム2.5部及びN,N−ジメチルホルムアミド162部を均一混合し,130℃で9時間反応させた後,反応溶液を室温(約25℃)まで冷却し,蒸留水200部中に投入し,生成物を析出させた。これをろ過し,残渣を水で濾液のpHが中性になるまで洗浄した後,残渣を減圧乾燥させ,黄色粉末状の生成物を得た。カラムクロマトグラフィー(溶離液:トルエン/ヘキサン=1/1:容量比)にて生成物を精製して,2−(フェニルチオ)チオキサントンを収率45%で得た。生成物は1H−NMRにて同定した{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)8.43(1H,d),8.25(1H,s),7.75〜7.90(3H,m),7.66(1H,d),7.60(1H,t),7.42〜7.46(5H,m)}。
〔実施例1〕 フェニル[4−(4−フェニルチオ)フェニルチオ]フェニル(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート〔式(3)〕の合成
製造例1で合成した[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルフィドを49%と[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルホキシドを51%含む混合物5.5部,無水酢酸2.8部及びアセトニトリル16.5部を仕込み,均一に混合後,トリフルオロメタンスルホン酸1.6部を室温で滴下した。その後,60℃で2時間反応させ,反応溶液を室温(約25℃)まで冷却し,蒸留水100部の中に投入し,ジクロロメタン80部で抽出し,水層のpHが中性になるまで水で洗浄した。ジクロロメタン層をロータリーエバポレーターに移して,溶媒を留去し,褐色液状の生成物を得た。これに酢酸エチル5部を加え,60℃の水浴中で溶解させた後,ヘキサン50部を加え撹拌した後,冷蔵庫(約5℃)で30分間静置してから上澄みを除く操作を2回行い,生成物を洗浄した。残渣をロータリーエバポレーターに移して溶媒を留去することにより,フェニル[4−(4−フェニルチオ)フェニルチオ]フェニル(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウム トリフレート(トリフレート=トリフルオロメタンスルホン酸アニオン)を得た。
このトリフレートをジクロロメタン75部に溶かし,10%トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム水溶液52.7部の中に投入してから,室温(約25℃)で3時間撹拌し,ジクロロメタン層を分液後,水で3回洗浄し,有機層をロータリーエバポレーターに移して溶媒を留去することにより,フェニル[4−(4−フェニルチオ)フェニルチオ]フェニル(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートを収率70%で得た。生成物は1H−NMRにて同定した{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.60〜8.00(11H,m),7.3〜7.60(16H,m)}。また,赤外吸光分光分析(KBr錠剤法)により,1200cm-1付近にC−F結合の吸収を確認した。
このトリフレートをジクロロメタン75部に溶かし,10%トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム水溶液52.7部の中に投入してから,室温(約25℃)で3時間撹拌し,ジクロロメタン層を分液後,水で3回洗浄し,有機層をロータリーエバポレーターに移して溶媒を留去することにより,フェニル[4−(4−フェニルチオ)フェニルチオ]フェニル(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートを収率70%で得た。生成物は1H−NMRにて同定した{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.60〜8.00(11H,m),7.3〜7.60(16H,m)}。また,赤外吸光分光分析(KBr錠剤法)により,1200cm-1付近にC−F結合の吸収を確認した。
〔実施例2〕 フェニル[4−(4−フェニルチオ)フェニルチオ]フェニル(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(式(4))の合成
「10%トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム水溶液52.7部」を「10%テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム水溶液74.6部」に変更したこと以外は実施例1と同様にして,フェニル[4−(4−フェニルチオ)フェニルチオ]フェニル(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを収率78%で得た。生成物は1H−NMRにて同定した{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.60〜8.00(11H,m),7.3〜7.60(16H,m)}。また,赤外吸光分光分析(KBr錠剤法)により,980cm-1付近にB−C結合の吸収を確認した。
〔実施例3〕 (2−メチル)フェニル〔4−[4−(2−メチル)フェニルチオ]フェニルチオ〕フェニル[4−(2−メチル)フェニルチオ]フェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート(式(5))の合成
「[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルフィドを49%と[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルホキシドを51%含む混合物5.5部」を製造例2で合成した「〔4−[(2−メチル)フェニルチオ]フェニル〕(2−メチルフェニル)スルフィドを49%と〔4−[(2−メチル)フェニルチオ]フェニル〕(2−メチルフェニル)スルホキシドを51%を含む混合物6.0部」に変更した以外,実施例1と同様にして,(2−メチル)フェニル〔4−[4−(2−メチル)フェニルチオ]フェニルチオ〕フェニル[4−(2−メチル)フェニルチオ]フェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートを収率72%で得た。生成物は1H−NMRにて同定した{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.6〜8.0(10H,m),7.1〜7.6(15H,m),2.3〜2.4(12H,m)}。また,赤外吸光分光分析(KBr錠剤法)により,1200cm-1付近にC−F結合の吸収を確認した。
〔実施例4〕 (2−メチル)フェニル〔4−[4−(2−メチル)フェニルチオ]フェニルチオ〕フェニル[4−(2−メチル)フェニルチオ]フェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(式(6))の合成
「[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルフィドを49%と[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルホキシドを51%含む混合物5.5部」を製造例2で合成した「〔4−[(2−メチル)フェニルチオ]フェニル〕(2−メチルフェニル)スルフィドを49%と〔4−[(2−メチル)フェニルチオ]フェニル〕(2−メチルフェニル)スルホキシドを51%を含む混合物6.0部」に,また「10%トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム水溶液52.7部」を「10%テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム水溶液74.6部」にそれぞれ変更した以外,実施例1と同様にして,(2−メチル)フェニル〔4−[4−(2−メチル)フェニルチオ]フェニルチオ〕フェニル[4−(2−メチル)フェニルチオ]フェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを収率72%で得た。生成物は1H−NMRにて同定した{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.6〜8.0(10H,m),7.1〜7.6(15H,m),2.3〜2.4(12H,m)}。また,赤外吸光分光分析(KBr錠剤法)により,980cm-1付近にB−C結合の吸収を確認した。
〔実施例5〕 (2−メトキシ)フェニル〔4−[4−(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニルチオ〕フェニル[4−(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート(式(7))の合成
「[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルフィドを49%と[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルホキシドを51%含む混合物5.5部」を製造例3で合成した「〔4−[(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニル〕(2−メトキシフェニル)スルフィドを49%と〔4−[(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニル〕(2−メトキシフェニル)スルホキシドを51%を含む混合物6.6部」に変更した以外,実施例1と同様にして,(2−メトキシ)フェニル〔4−[4−(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニルチオ〕フェニル[4−(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートを収率68%で得た。生成物は1H−NMRにて同定した{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.6〜8.0(10H,m),7.1〜7.6(15H,m),3.6〜3.75(12H,m)}。また,赤外吸光分光分析(KBr錠剤法)により,1200cm-1付近にC−F結合の吸収を確認した。
〔実施例6〕 (2−メトキシ)フェニル〔4−[4−(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニルチオ〕フェニル[4−(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(式(8))の合成
「[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルフィドを49%と[4−(フェニルチオ)フェニル]フェニルスルホキシドを51%含む混合物5.5部」を製造例3で合成した「〔4−[(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニル〕(2−メトキシフェニル)スルフィドを49%と〔4−[(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニル〕(2−メトキシフェニル)スルホキシドを51%を含む混合物6.6部」に,また「10%トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム水溶液52.7部」を「10%テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム水溶液74.6部」に変更した以外,実施例1と同様にして,(2−メトキシ)フェニル〔4−[4−(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニルチオ〕フェニル[4−(2−メトキシ)フェニルチオ]フェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを収率68%で得た。生成物は1H−NMRにて同定した{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.6〜8.0(10H,m),7.1〜7.6(15H,m),3.6〜3.75(12H,m)}。また,赤外吸光分光分析(KBr錠剤法)により,980cm-1付近にB−C結合の吸収を確認した。
〔比較例1〕 フェニル[4−(4−フェニルチオ)フェニルチオ]フェニル(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート(式(9))の合成
「10%トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム水溶液52.7部」を「5%ヘキサフルオロリン酸カリウム40.1部」に変更したこと以外,実施例1と同様にして,フェニル[4−(4−フェニルチオ)フェニルチオ]フェニル(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェートを収率80%で得た。生成物は1H−NMRにて同定した{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.60〜8.00(11H,m),7.3〜7.60(16H,m)。また,赤外吸光分光分析(KBr錠剤法)により,840cm-1付近にP−F結合の吸収を確認した。
〔比較例2〕フェニル[4−(4−フェニルチオ)フェニルチオ]フェニル(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネート(式(10))の合成
「10%トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム水溶液52.7部」}を「5%ヘキサフルオロアンチモン酸カリウム59.8部」に変更したこと以外,実施例1と同様にして,フェニル[4−(4−フェニルチオ)フェニルチオ]フェニル(4−フェニルチオ)フェニルスルホニウム ヘキサフルオロアンチモネートを収率75%で得た。生成物は1H−NMRにて同定した{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.60〜8.00(11H,m),7.3〜7.60(16H,m)}。また,赤外吸光分光分析(KBr錠剤法)により,650cm-1付近にSb−F結合の吸収を確認した。
〔比較例3〕
CPI−110P{4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート,サンアプロ株式会社製}を比較用のスルホニウム塩とした。
CPI−110P{4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム ヘキサフルオロホスフェート,サンアプロ株式会社製}を比較用のスルホニウム塩とした。
〔比較例4〕4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート(式(11))の合成
ジフェニルスルホキシド12.1部,ジフェニルスルフィド9.3部及びメタンスルホン酸43.0部を撹拌しながら,これに無水酢酸7.9部を滴下し,40〜50℃で5時間反応させた後,室温(約25℃)まで冷却し,この反応溶液を20%トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム水溶液121部中に投入し,室温(約25℃)で1時間撹拌して,黄色のやや粘調な油状物が析出した。この油状物を酢酸エチルにて抽出し,有機層を水で数回洗浄した後,有機層から溶剤を留去し,得られた残渣にトルエンを加えて溶解した後,ヘキサンを加え,10℃で1時間よく撹拌した後静置した。1時間後,溶液は2層に分離したため,上層を分液によって除いた。残った下層にヘキサンを加え,室温(約25℃)でよく混合すると淡黄色の結晶が析出した。これをろ別し,減圧乾燥して,4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウムトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートを収率60%で得た。生成物は1H−NMRにて同定した{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.72〜7.87(12H,m),7.54〜7.63(5H,m),7.42(2H,d)}。また,赤外吸光分光分析(KBr錠剤法)により,1200cm-1付近にC−F結合の吸収を確認した。
〔比較例5〕4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート(式(12))の合成
「20%トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム水溶液121部」を「10%テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸リチウム342.9部」に変更したこと以外,比較例4と同様にして,4−(フェニルチオ)フェニルジフェニルスルホニウム テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートを収率60%で得た。生成物は1H−NMRにて同定した{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)7.72〜7.87(12H,m),7.54〜7.63(5H,m),7.42(2H,d)}。また,赤外吸光分光分析(KBr錠剤法)により,980cm-1付近にB−C結合の吸収を確認した。
〔比較例6〕ジフェニル−2−チオキサントニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェート(式(13))の合成
製造例4で合成した2−(フェニルチオ)チオキサントン15.0部,ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート41.9部,安息香酸銅(II)0.4部及びクロロベンゼン300部を均一混合し,120〜125℃で3時間反応させた後,反応溶液を室温(約25℃)まで冷却し,蒸留水300部中に投入し,生成物を析出させた。これをろ過し,残渣を水で濾液のpHが中性になるまで洗浄し,残渣を減圧乾燥した後,ジエチルエーテル100部を加えて超音波洗浄器でジエチルエーテル中に分散し約15分間静置してから上澄みを除く操作を3回繰り返して,生成した固体を洗浄した。ついで,固体をロータリーエバポレーターに移して,溶媒を留去することにより,黄色固体を得た。この黄色固体をジクロロメタン770部に溶かし,10%トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸カリウム水溶液342部中に投入した後,室温(約25℃)で2時間撹拌し,有機層を水で数回洗浄し,減圧乾燥することにより,ジフェニル−2−チオキサントニルスルホニウム トリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロホスフェートを収率98%,純度85%で得た。生成物は1H−NMRにて同定した{d6−ジメチルスルホキシド,δ(ppm)8.72(1H,s),8.47(1H,d),8.30(1H,d),8.13(2H,d),7.78〜7.98(11H,m),7.70(1H,t)}。純度はHPLCにより定量した。また,赤外吸光分析(KBr錠剤法)により,1200cm-1付近にC−F結合の吸収を確認した。
<エネルギー線硬化性組成物の評価>
1.硬化性組成物の調製
評価試料(実施例1〜6,比較例1〜6のスルホニウム塩)と,エポキシド(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート,ダウケミカル株式会社製,UVR−6110)とを表1に示した配合量(重量部)で60℃にて加熱し,均一混合して,光硬化性試験用の組成物を調製した。
1.硬化性組成物の調製
評価試料(実施例1〜6,比較例1〜6のスルホニウム塩)と,エポキシド(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート,ダウケミカル株式会社製,UVR−6110)とを表1に示した配合量(重量部)で60℃にて加熱し,均一混合して,光硬化性試験用の組成物を調製した。
なお,比較例1,3で得たスルホニウム塩は,ヘキサフルオロリン酸塩であり,実施例1〜6および比較例2,4〜6で得たトリス(ペンタフルオロエチル)トリフルオロリン酸塩,ヘキサフルオロアンチモン酸塩及びテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ホウ酸塩よりも,発生する酸の強度が弱く,カチオン重合に対する活性が低いため,スルホニウム塩の配合量を多くした。
2.光硬化性評価
上記で得た硬化性組成物をアプリケーター(40μm)でポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに塗布した。PETフィルムに紫外線照射装置を用いて,フィルターによって波長を限定した紫外光を照射した。なお,フィルターは365フィルター(アイグラフィックス株式会社製,365nm未満の光をカットするフィルター)とL−34(株式会社ケンコー光学製,340nm未満の光をカットするフィルター)を併用した。照射後,40分後の塗膜硬度を鉛筆硬度(JIS K5600−5−4:1999)を測定し,以下の基準により評価し(硬化後の塗膜厚は約40μm),これらの結果を表2に示した。鉛筆硬度が高いほど,エネルギー線硬化性組成物の光硬化性が良好であること,すなわちスルホニウム塩のカチオン重合性化合物に対する重合開始能(スルホニウム塩の光感応性)が優れていることを示す。
上記で得た硬化性組成物をアプリケーター(40μm)でポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムに塗布した。PETフィルムに紫外線照射装置を用いて,フィルターによって波長を限定した紫外光を照射した。なお,フィルターは365フィルター(アイグラフィックス株式会社製,365nm未満の光をカットするフィルター)とL−34(株式会社ケンコー光学製,340nm未満の光をカットするフィルター)を併用した。照射後,40分後の塗膜硬度を鉛筆硬度(JIS K5600−5−4:1999)を測定し,以下の基準により評価し(硬化後の塗膜厚は約40μm),これらの結果を表2に示した。鉛筆硬度が高いほど,エネルギー線硬化性組成物の光硬化性が良好であること,すなわちスルホニウム塩のカチオン重合性化合物に対する重合開始能(スルホニウム塩の光感応性)が優れていることを示す。
(評価基準)
◎:鉛筆硬度が2H以上
○:鉛筆硬度がH〜B
△:鉛筆硬度が2B〜4B
×:液状〜タックがあり,鉛筆硬度を測定できない
◎:鉛筆硬度が2H以上
○:鉛筆硬度がH〜B
△:鉛筆硬度が2B〜4B
×:液状〜タックがあり,鉛筆硬度を測定できない
(紫外光の照射条件)
・紫外線照射装置:ベルトコンベア式UV照射装置(アイグラフィックス株式会社製)
・ランプ:1.5kW高圧水銀灯
・フィルター:365フィルター(アイグラフィックス株式会社製)
L−34(株式会社ケンコー光学製)
・照度(365nmヘッド照度計で測定):145mW/cm2
・紫外線照射装置:ベルトコンベア式UV照射装置(アイグラフィックス株式会社製)
・ランプ:1.5kW高圧水銀灯
・フィルター:365フィルター(アイグラフィックス株式会社製)
L−34(株式会社ケンコー光学製)
・照度(365nmヘッド照度計で測定):145mW/cm2
・積算光量(365nmヘッド照度計で測定):
条件−1:211mJ/cm2
条件−2:411mJ/cm2
条件−3:600mJ/cm2
条件−1:211mJ/cm2
条件−2:411mJ/cm2
条件−3:600mJ/cm2
3.相溶性評価
(試料の調製)
評価試料{実施例1〜6,比較例1〜6のスルホニウム塩}5部と,下記に示す代表的なカチオン重合性化合物(樹脂A,B,C)100部をそれぞれ配合し,60℃で混合後,室温まで冷却して相溶性試験用試料を調製した。
・樹脂A: 3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;ダウケミカル株式会社製,商品名;UVR−6110
・樹脂B: ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン株式会社製,商品名;エピコート828
・樹脂C: 3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン;東亞合成株式会社製,商品名;OXT−101
この配合試料を5℃のインキュベーターで1ヶ月保存した後,光酸発生剤の樹脂への相溶性を外観で評価した。
(評価基準)
×:不溶物の分離,沈降が見られる
△:僅かなかすみが見られる
○:均一透明で,不溶物の分離や沈降が見られない
これらの結果を表2に示した。低温での貯蔵後も外観が透明で不溶物の析出が見られないものほど光酸発生剤の樹脂への相溶性が優れていることを示す。
(試料の調製)
評価試料{実施例1〜6,比較例1〜6のスルホニウム塩}5部と,下記に示す代表的なカチオン重合性化合物(樹脂A,B,C)100部をそれぞれ配合し,60℃で混合後,室温まで冷却して相溶性試験用試料を調製した。
・樹脂A: 3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;ダウケミカル株式会社製,商品名;UVR−6110
・樹脂B: ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ジャパンエポキシレジン株式会社製,商品名;エピコート828
・樹脂C: 3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン;東亞合成株式会社製,商品名;OXT−101
この配合試料を5℃のインキュベーターで1ヶ月保存した後,光酸発生剤の樹脂への相溶性を外観で評価した。
(評価基準)
×:不溶物の分離,沈降が見られる
△:僅かなかすみが見られる
○:均一透明で,不溶物の分離や沈降が見られない
これらの結果を表2に示した。低温での貯蔵後も外観が透明で不溶物の析出が見られないものほど光酸発生剤の樹脂への相溶性が優れていることを示す。
表2に示した結果より,比較用のスルホニウム塩では365nm以上の紫外光でのカチオン重合性化合物の硬化性能(光感応性)とカチオン重合性化合物への溶解性とをともに両立するものがないのに対して,本発明のスルホニウム塩は,この紫外光によって,カチオン重合性化合物の硬化が良好であり,かつカチオン重合性化合物への溶解性に優れていることが確認された。
本発明のスルホニウム塩は,塗料,コーティング剤,インキ,インクジェットインキ,ポジ型レジスト,レジストフィルム,液状レジスト,ネガ型レジスト,MEMS用レジスト,感光性材料,各種接着剤,成形材料,注型材料,パテ,ガラス繊維含浸剤,目止め材,シーリング材,封止材,光半導体(LED)封止材,ナノインプリント材料,光造用,マイクロ光造形用材料等に使用される光酸発生剤として好適に用いられる。
Claims (8)
- 式(1),
〔式(1)中,R1〜R6は,それぞれ,アルキル基,ヒドロキシ基,アルコキシ基,アルキルカルボニル基,アリールカルボニル基,アルコキシカルボニル基,アリールオキシカルボニル基,アリールチオカルボニル基,アシロキシ基,アリールチオ基,アルキルチオ基,アリール基,複素環式炭化水素基,アリールオキシ基,アルキルスルフィニル基,アリールスルフィニル基,アルキルスルホニル基,アリールスルホニル基,ヒドロキシ(ポリ)アルキレンオキシ基,置換されていてよいアミノ基,シアノ基,ニトロ基又はハロゲン原子を表し,
m1〜m6,はそれぞれR1〜R6の個数を表し,ここに,m1,m4及びm6は0〜5の整数,m2,m3及びm5は0〜4の整数であり,
X-は(Rf)bPF6-b -,R7 cBY4-c -,R7 cGaY4-c -,(R8SO2)3C-で表されるアニオン(ここに,Yはハロゲン原子,Rfは水素原子の80モル%以上がフッ素原子で置換されたアルキル基,Pはリン原子,Fはフッ素原子,R7は,少なくとも1個の水素原子がハロゲン原子,トリフルオロメチル基,ニトロ基又はシアノ基で置換されたフェニル基,Bはホウ素原子,Gaはガリウム原子,R8は炭素数1〜20のアルキル基,炭素数1〜20のパーフルオロアルキル基又は炭素数6〜20のアリール基,bは1〜5の整数,cは1〜4の整数を表す。)〕で示されることを特徴とするスルホニウム塩。 - R1〜R6が,互いに独立に,メチル基,メトキシ基またはアセチル基より選ばれる1種であることを特徴とする,請求項1に記載のスルホニウム塩。
- R1,R3,R4及びR6が,互いに独立に,メチル基またはメトキシ基であり,m1,m3,m4及びm6が何れも1であり,m2及びm5が何れも0である,請求項1又は2に記載のスルホニウム塩。
- m1〜m6が何れも0である,請求項1ないし3の何れかに記載のスルホニウム塩。
- X-が,(CF3CF2)3PF3 -,(C6F5)4B-,((CF3)2C6H3)4B-,(C6F5)4Ga-,((CF3)2C6H3)4Ga-,(CF3SO2)3C-で表されるアニオンである,請求項1ないし4の何れかに記載のスルホニウム塩。
- 請求項1ないし5の何れかに記載のスルホニウム塩を含有することを特徴とする光酸発生剤。
- 請求項6に記載の光酸発生剤とカチオン重合性化合物とを含有することを特徴とするエネルギー線硬化性組成物。
- 請求項7に記載のエネルギー線硬化性組成物を硬化させて得られることを特徴とする硬化体。
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-
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WO2022030139A1 (ja) * | 2020-08-05 | 2022-02-10 | サンアプロ株式会社 | 光酸発生剤 |
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